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大祓百鬼夜行⑧〜まぼろし橋で見る想い出は

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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 渡った者を黄泉に送る「まぼろしの橋」が掛かった。
 これはカクリヨファンタズムの川に掛かる特別な橋。
 この場に佇んでいれば、「死んだ想い人の幻影」が現れるという。
 「まぼろしの橋」を浄化しよう。
 もういない、大切な人と朝まで語らう、それだけで叶うのだから。
 けれど貴方に、今はいない大切な人ともう一度会う覚悟はあるのだろうか?

●大祓百鬼夜行⑧〜まぼろし橋で見る想い出は
「カクリヨファンタズムの川に『まぼろしの橋』が掛かるよ」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)は話し始めた。
 カクリヨファンタズムの川には渡った者を黄泉に送る「まぼろしの橋」が掛かるという。
 この橋に佇んでいると「死んだ想い人の幻影」が現れる。
「そして、その幻影と朝まで語らえば橋を浄化することができるんだよ」
 渡った者を黄泉に送る「まぼろしの橋」は浄化しなければならない。
 だが、そのためには今はもういない大切な人と対峙する必要があるというのだ。
「……二度と会えない筈の相手に会う為、覚悟を決める? それとも、あの時伝えられなかった想いを言葉にする? 言葉少なく、朝までの時間を過ごす? いずれにしても、自分の過去と向き合う必要があるかもしれないね」
 大切な人と、もう一度会う覚悟があるだろうか?
 しかし、とルビナは言う。
「でもね。悲しい再開も楽しい再開も、同じ再開だよね。楽しく朝まで過ごして笑顔で別れることだってできるよ」
 この出会いをどのように考えるかは自分次第だと。
「『まぼろしの橋』の浄化に、協力してくれないかな?」
 どうか、と。
 ルビナは頭を下げた。


陵かなめ
 こんにちは、よろしくお願いします。
 『大祓百鬼夜行』の戦争シナリオ⑧『まぼろし橋の決闘』シナリオです。
 このシナリオには特別なプレイングボーナスがありますので利用してください。
 特別なプレイングボーナスは『あなたの「想い人」を描写し、夜が明けるまで語らう』です。

 基本的に、完全個別描写です。
 一緒に描写を希望される場合は、必ず全員のプレイングに【グループ名】を記述してください。

●プレイングについて
 【大切な人】【関係】【呼び名】【どんな語らいをしたいか】を教えて下さい。

 オープニング公開と同時にプレイングを受け付けます。
 プレイングお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『想い人と語らう』

POW   :    二度と会えない筈の相手に会う為、覚悟を決めて橋に立つ。

SPD   :    あの時伝えられなかった想いを言葉にする。

WIZ   :    言葉は少なくとも、共に時を過ごすことで心を通わせる。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

花凪・陽
死んでしまった大切な人と語らえばいいんだね
……大丈夫。きっと大丈夫

橋で巡り会ったのは少し年上の羅刹の男性
私の、義理のお父さん
とっても凄い陰陽師だったんだよ
親のいなかった子狐を私を拾ってくれて、大切に育ててくれた
そして……オブリビオンから私を守るため、私を庇って死んでしまった

幻だとしてもね、もう一度お父さんに会えて嬉しいの
今はUDCアースってところで働いているんだ
お父さんみたいにちっちゃな子の面倒を見たりしているの
お父さんも、こんな気持ちだったのかなーって思ってる

お父さんは昔から無口だから
黙って相槌を打つばかり
でも、ちゃんと話を聞いてくれているのは分かっているよ
……幻でも、聞いてくれてありがとう



●想い出の相槌
 カクリヨファンタズムの川に『まぼろしの橋』が掛かる。そこに佇むのは花凪・陽(春告け狐・f11916)だ。
 夜もふけ、辺りが一層寂しく暗くなっていく。
 陽は一つ大きく息を吐き出した。
 この橋は、今はもういない大切な人の幻が現れる橋だという。
 大丈夫、きっと大丈夫だと自分を励まし陽は前を向いた。
 ザアと風が舞う。
 そして橋の真ん中に幻影が現れた。
 少し年上の羅刹の男性のようだ。
「あ……お父さん?」
 震える声をなんとか立て直し、陽は父の幻影へと歩み寄った。

「幻だとしてもね、もう一度お父さんに会えて嬉しいの」
 陽はそう言って、義理の父を見上げる。
 父は……親のいなかった陽を拾い大切に育ててくれた人だ。とてもすごい陰陽師だったけれど、オブリビオンから私を守るため、死んでしまった。
 自分をかばって――。
 当時の気持ちを振り払うように首を振り、陽は話しを続けた。
「今はUDCアースってところで働いているんだ」
 父はただ穏やかな顔をしている。
「お父さんみたいにちっちゃな子の面倒を見たりしているの」
 父もこんな気持だったのかと思いながら毎日を過ごしている、と。
 伝えてみると、父の幻影は黙ってゆっくりと頷いた。
 ああ、と、陽はこみ上げてくる感情を確認するように胸に手を当てる。
 無口なところもゆっくりと相槌を打ちながら話を聞いてくれるところも、生前の父の姿そのままだ。
 だからこそ分かる。
「でも、ちゃんと話を聞いてくれているのは分かっているよ」
「そうか」
 短く返事が返ってきた。
 きちんと自分の話を聞いてくれているのは分かるのだ。
 やがて辺りが白む。
 別れの時が近づいていた。
 陽はきゅっと口元を結んだ後、父に向き合う。
「……幻でも、聞いてくれてありがとう」
 そう伝えると、父の幻影がそっと陽の頭に手を乗せた。
 幼子をあやすように、ぽんと頭を軽く撫でる。
 決して感情表現が豊かではない父の、最大限の感情の表現だとよく分かった。

 やがて幻影は消えていく。
 乗せられた手のひらが消えた時、そこに先程まで僅かな重みがあったような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが、三人には寝てもらった

第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健
生前の名:内県賢好(うちがた・かつよし)享年45

大切な人:内県紬(うちがた・つむぎ)3歳年上の妻で天才陰陽師。165cm
「あの、あなた…ええと?」(戸惑っている)

紬か。うんまあ、今の背は高い(生前160cm)が、わしだ、賢好だ
紬は…紬の父(人間)が、わしの父(ヤドリガミ)を殺めてしまった(内県家の家督争い。当時の当主は伯父)のもあって、人質を兼ねておると思っておったな?
実はそんなことがなくとも、夫婦になるのは決まっておったのだ。話す機会がなかった

そう、わしはお主を愛しておったよ

「ひどい人」



●風そよぐ
 カクリヨファンタズムの川に『まぼろしの橋』が掛かる。
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は穏やかな笑みを浮かべ、橋に佇んでいた。
 普段は四人で一人の複合型なのだが、今日だけは他の三人には寝てもらっている。
 今から姿を見せるのは、第四の人格である盾とまとめ役の武士に関わりの深い者なのだから。その人格の生前の名は内県賢好という。
 風が賢好の髪を持ち上げ、次の瞬間、見ると橋に女性の姿があった。
「あの」
 女性は戸惑いながら言葉を発する。
 その声に聞き覚えがあった。賢好は迷いなく女性へと近づき顔を見せる。
 すると女性は、はっと息を呑んだ。
「あの、あなた……ええと?」
 その様子から戸惑っていることがよく分かる。賢好だと認識しているようだが、何より身長が違うのだ。
「紬か。うんまあ」
 自分の頭に手をやって頷いた。
「今の背は高いが、わしだ、賢好だ」
 今現在の義透の身長は180センチを越えている。目の前の女性――内県紬の知る賢好は160センチほどだった。20センチ以上も差があるのだから、違和感をおぼえるのも無理はないだろう。
「そう、なのですか」
 紬は困ったように指を遊ばせた。
 控えめで整然と何も変わらない様子に見える。彼女は3歳年上の妻で、天才陰陽師だった。
 彼女の身長は165センチ。今の自分は見下ろす目線だけれど、以前は同じくらいか自分が少し見上げていたくらいなのだ。
 少し遠慮して多くを語らない姿も、とても幻影とは思えないほど彼女の姿そのままだと感じる。
 賢好はゆっくりと話しを切り出した。
「紬は……紬の父が、わしの父を殺めてしまったのもあって、人質を兼ねておると思っておったな?」
「……それは……」
 紬が目を伏せる。
 無言だがそれは肯定しているとも同じこと。
 人間である紬の父は、内県家の家督争いのために賢好の父を殺めてしまった。
 当時の状況を語ってやると、紬はますます困ったように黙り込む。
 しかし――。
「実はそんなことがなくとも、夫婦になるのは決まっておったのだ」
「そ……」
 そろそろ空が白んでくる。風がそよそよと二人の間を吹いて抜けた。
「話す機会がなかった」
「それは……」
 紬の姿が希薄になっていく。賢好はさらりと最後に言葉を口にした。
「そう、わしはお主を愛しておったよ」
 静かな言葉は風に乗り、たしかに相手に届いただろう。
「ひどい人」
 それを聞いたとしても、もう何も変わらない二人だというのに。
 紬は静かに笑って消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ等も歓迎です

【WIZ】

居なくなったひとに会える橋…
不思議な場所です…

私の逢いたい人は…

時々夢にみる
誰なのかわからない
あの女の人…

(その人は、過去に自分を庇ってオブリビオンに殺された
『自分の姉』です。でもアリス自身はその記憶を失っています)

ふとみると…その人が…

『貴女は…』

私と同じ金色の長い髪に
青い瞳…
貴女は…どなたですか…?
いえ…どなたでも構いません…

貴女にお逢いしたかったです…

『私…貴女の夢をよくみるんです…貴女がどなたなのか、解らないのに…』

話したいのに
言葉が見つからない…

でも、貴女は
私を優しく抱きしめて下さいます…

(無意識に頬を涙が伝い)

いつか…貴女の事が解る時…
くるのかな…



●金の髪が舞う夜に
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は少し淋しげな周囲を見回した。
 カクリヨファンタズムの川に『まぼろしの橋』が掛かっている。
「居なくなったひとに会える橋…、不思議な場所です……」
 この橋に佇んでいれば「死んだ想い人の幻影」が現れるというのだ。
 アリスには会いたい人がいる。
 それは時々夢に見る、誰なのかわからない……けれど、とても会いたいと思う女性だ。
 ザアと風が吹いた。
 アリスの金髪が揺れる。
 はっと顔を上げると、女性の幻影がアリスの目の前に立っていた。
「貴女は……」
 知らず、女性へと近づく。
 目の前に現れた幻影は、まさにあの女性だった。
 アリスと同じ金髪で、青い瞳が目に入る。
 二人、向かい合うと『色』が同じだということがよく分かった。
「貴女は……どなたですか……?」
「……」
 女性が柔らかく微笑んだ。
 その笑顔を見ていると、何故かアリスの胸がぎゅっと締め付けられる。
 アリス自身に記憶がないからだろうか、目の前の女性は名前さえも答えてはくれなかった。
 けれど、この女性が誰でも構わないと思う。
「貴女にお逢いしたかったです……」
 その気持を、素直に女性に伝えた。
「私……貴女の夢をよくみるんです……」
 橋の上で、二人並んで佇む。
「貴女がどなたなのか、解らないのに……」
 胸が詰まって、言葉が続かなかった。
 何度も思ったことがある。
 ――貴女は誰ですか?
 ――どうして、私の夢に出てくるのでしょうか?
 彼女が夢に出てくるたび、やるせない思いだけが余韻として残った。
 たくさん話したいことがあったはずなのに、言葉が見つからない。
 アリスの言葉が途切れたその時、女性がそっと手を伸ばした。
「あ……」
 思わずため息が漏れる。
 女性は優しく包み込むようにアリスを抱きしめた。
 どうしてなのか分からないけれど、安心と切なさが溢れてくる。
「いつか……貴女の事が解る時……、くるのかな……」
 無意識に、アリスの頬を涙が伝った。
 風が吹く。
 二人の金髪が緩やかに揺れた。
 やがて夜明けの時だ。
 女性の姿が薄れていく。
 いつか、この優しい腕に込められた思いがわかる時が来るのだろうか。
 アリスの願いを包み込むように女性の手が背を撫でる。
 最後に強く風が吹き、女性は静かに消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠・翔
アドリブ歓迎


死んだ大切な人に会える…か
ある意味会いたくはない…けど現実見なきゃな


橋の先にはたくさんの種族の違う子供達
全員…同じ奴隷仲間…けど、ここにいるって事はそうなんだな…
と言うか世界違うだろ…さっさと転生でも何でもしてろよ。辛い目あったんだからよと言いますが皆苦笑している

「ーーー家族の事が心配だから見に来た」

…馬鹿野郎


「ーーー泣くな馬鹿。相変わらずの泣き虫なんだな」
「私達は貴方を恨んでないよ?過去に縛られないで」
「湿っぽい別れは嫌」

泣いてねぇよ

俺の心配せずさっさと転生でもしてろ


そう言うと皆笑い無理だなーって言う
夜が明けるまで皆と語らい朝日を背に…じゃあなと別れる

…もぅ、泣いて、いいよ、な…



●夜明けを告げる光が
 久遠・翔(性別迷子・f00042)は橋に佇んでひとつ大きく息を吐き出した。
「死んだ大切な人に会える……か」
 カクリヨファンタズムの川に掛かった『まぼろしの橋』がどのような幻影を呼び寄せるのか、理解はしている。
「ある意味会いたくはない……」
 はぁー、と、もう一度息を吐きだしてから覚悟を決めた。
「けど現実見なきゃな」
 翔は顔を上げて橋の向こう側を見る。
 すると、そこに多くの幻影が現れた。
 目を凝らしてよく見る。
 それは種族の違う子どもたち。全員、見知った顔。……同じ奴隷仲間だった子どもたちだ。
「……けど、ここにいるって事はそうなんだな……」
 この橋に現れるのは『死んだ想い人の幻影』つまり、彼らはもう今はいない。
 子どもたちは翔を取り囲むように群がってきた。
「と言うか世界違うだろ……さっさと転生でも何でもしてろよ」
 辛い目に、あったのだから。
 震えそうになる声をこらえ、皆の顔を見回す。
 子どもたちは苦笑して互いの顔を見合わせた。
「――家族の事が心配だから見に来た」
 相変わらず、彼らは翔に仲間としての視線を向けてくる。
「……馬鹿野郎」
 ――だから、こう言うしかないじゃないか。
 翔は絞り出すように、呟いた。
 すると誰かが翔の背中をバシンと叩く。
「――泣くな馬鹿。相変わらずの泣き虫なんだな」
「ばっ……」
 強い力で叩かれたわけではないのだけれど、思わずよろけて抗議の声を上げた。
 背を叩いた子どもが笑ってひらりと逃げる。
 ケラケラと、周囲の子どもたちが笑った。
「お前らなぁ……!」
 翔の声を遮るように、今度は別の女の子がピンと翔のおでこを弾いた。
「私達は貴方を恨んでないよ? 過去に縛られないで」
「そ……」
「湿っぽい別れは嫌」
 弾かれたおでこを抑えて翔がもう一度皆を見る。
 ――これは湿っぽい再開なんてものじゃない。
 翔が立ち上がって胸を反らした。
「泣いてねぇよ」
 ――だって、みんな、泣いてはいないのだから。
「俺の心配なんかせず、さっさと転生でもしてろ」
 その言葉がまるで楽しいことであるかのように、皆は笑った。
「無理だなー!」
「……」
 やがて夜が明けていく。
 気づけば皆の姿が薄れていた。
 やがて別れの時がきたのだと分かる。
「……じゃあな」
 背に朝の日を浴びて、最後の言葉を口にした。
「……じゃあな」
 子どもたちは消えていく。
 橋に朝日が降り注いだ頃には、そこに翔だけが立っていた。
 夜が明けたようだ。
 この場には自分ひとりだけ。
「……もぅ、泣いて、いいよ、な……」
 だから。
 翔はひとりで肩を震わせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月16日


挿絵イラスト