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大祓百鬼夜行⑧〜凍える死出の橋を渡れ

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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「カクリヨファンタズムの川には、時折、渡った者を黄泉に送る『まぼろしの橋』が掛かるんだってっ!」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、大祓百鬼夜行での新たな予知を、集まってくれた猟兵達へ話し始めた。

「幽世に倦んだ妖怪が渡るという噂の橋を、強力なオブリビオンが占拠しちゃう予知を見たよっ! そのオブリビオンの名前は『凍れるローレライ』! ローレライが妖怪で、雪女の骸魂を飲み込んじゃって生まれた強力なオブリビオンで、彼女の歌声は他の妖怪達『死んだ想い人の幻影』をみせて誘い込んじゃう特性があってねっ? そこでオブリビオンは、やってきた妖怪達を黄泉送りに……つまり殺そうとしているよっ!」
 猟兵達がにわかに殺気立つ。
 このままでは、妖怪達は想い人を踏みにじられるどころか命を落としかねない。
「そうなる前に、あたいがみんなを『まぼろしの橋』へ転送するから、妖怪を襲おうとしているオブリビオンをやっつけてねっ!」
 レモン曰く、橋に踏み込むと周囲は超空間となり、オブリビオンを倒すか黄泉に行くまで出ることはできないらしい。殺すか殺されるかの二択を妖怪達は迫られる。
 その『まぼろしの太鼓橋』での死闘は、狭い橋幅に加えて足場が不安定だ。
 しかもオブリビオンは人魚、形勢不利になると川へ緊急回避を行うだろう。
 戦闘力だけではなく、知略も武器にしなければ、この死闘は乗り越えられない!
「でもだからといって、犠牲者が殺される事、そしてこのオブリビオンが殺害の罪を背負う事のどちらも、見過ごすわけにはいかないよっ! このオブリビオンだって、元は大祓骸魂の予知のために敢えてオブリビオン化した勇気ある妖怪さん……みんなの力で、絶対に助けてあげてっ!」
 レモンのグリモアが輝くと、猟兵達は決戦の舞台である『まぼろしの橋』へ転送されていった。

 ――凍れる吐息は思い出さえも白く凍てつかせ。
 ――我が身は今や、氷を纏いしオブリビオン。
 ――あなたの想い人を思い出させてあげましょう。
 ――それが嘘だと分かっていても。
 ――あなたはきっと、ここへ来てくれる。
 ――安心して。あたしがその人の元へあなたを連れていってあげる。
 ――さあ、目を閉じて。
 ――身も心も、凍てつかせてあげましょう。

 凍えるローレライの歌声が、月光に照らされる『まぼろしの橋』から聞こえる……。


七転 十五起
 なぎてんはねおきです。
 大祓百鬼夜行での純戦闘シナリオです。
 なるべく短期間での完結を目指して運営して参ります。

●プレイングボーナス……狭い橋の上でうまく戦う。
 橋の形状は太鼓橋です。太鼓の胴のようにまん中が半円形に反った形状の橋です。
 詳しくは、検索エンジンで画像を調べてみて下さい。
 高低差がある、足場の不安定かつ幅の狭い橋の上で、どう立ち回るか。
 無論、敵も橋を活用して戦おうとします。
 パワーだけではなく、知略もフル活用しましょう。

●補足情報
 カクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。

●その他
 コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)

 それでは、皆様の熱い戦闘プレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『凍れるローレライ』

POW   :    凍れる吐息
【対象を凍結させる吐息】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    纏う氷
自身に【凍結の吐息により発生した氷】をまとい、高速移動と【氷塊でできた矢】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    誘う歌声
【自身の口】から【心惹かれる美しい歌声】を放ち、【歌声の持つ催眠効果】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠レティシャ・プリエールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エメラ・アーヴェスピア
なるほど、相手は狭い橋と得意な川を利用して戦う、と
…私がそれに付き合う義理は無いわね、私の兵器達の対応力を侮らないで頂戴
それじゃあ、この仕事も片づけさせてもらいましょうか

まずは狭い戦場の問題だけれども…一番簡単な解決方法を取らせてもらいましょうか
『我が元に響くは咆哮』…!空から燃える系統の砲弾を発射できる重火器を用いた【爆撃】で全体的に攻撃、その狭さが逆に仇となるのよ
…あ、私も巻き込まれるのは嫌だから、今回は『咆哮』の肩に乗りましょうか
川に逃げたら?燃える砲弾が電気を放つ砲弾になるだけよ
ああ、でも同僚さん達を巻き込まない様に気を付けないと…

※アドリブ・絡み歓迎


死之宮・謡
アドリブ歓迎

ほうほう…中々面白い橋だな…だがまぁオブリビオンどもには関係の無い話なのか?占拠するにしてももう少しまともな場所は無かったのか…
と、言うか…黄泉との境界になってしまった橋の下を流れる川何て泳いでも大丈夫なのか…?それもオブリビオンなら関係ないと…?
………如何であろうと殲滅するまでだが、な……

先ずは衰弱の・呪詛を籠めた黒霧で周囲を覆い尽くして視界を奪い、同時に潜伏の呪いで身を隠し、惑乱の呪いで更に自分の位置を誤認させてクレイアスターによる射撃で呪いを撃ち出し攻撃
更に、静かに川にも炸裂する呪球をばら撒いて逃げられた際に追撃
最後は【槍吟】でフィニッシュ



 カクリヨファンタズムのとある場所に出現した『まぼろしの橋』。
 霧立ち込める中に突然出現した太鼓橋へ向かうエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。
「あれね。ところどころ白く霜がこびりついてるのは、オブリビオンの影響かしら?」
 敵は氷雪系のユーベルコードを得意とするオブリビオン。
 取り込んだ骸魂が雪女だったため、辺り一帯は肌寒さを感じる。
 居合わせた死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)が橋の霜を踏みしめる。
「ほうほう……中々面白い橋だな……橋自体が霊体なのか? だがまぁ、橋が何でできているかなどオブリビオンどもには関係の無い話なのか? 占拠するにしても、もう少しまともな場所は無かったのか……? 足場が悪すぎだろう……?」
 死之宮が橋を渡り始めた途端、肌を静電気のようなビリッという刺激が走る。
「……超空間に入ったみたいね」
 エメラも様変わりした空気に警戒心を露わにする。
 と、その時、川の中からオブリビオン……凍れるローレライが飛び出してきた。
「……妖怪じゃないの? もしかして、猟兵……?」
 小首を傾げるオブリビオンに、エメラは身構えて言い放つ。
「現れたわね、オブリビオン。それじゃあ、この仕事も片づけさせてもらいましょうか」
「というか、と、言うか……黄泉との境界になってしまった橋の下を流れる川なんて、泳いでも大丈夫なのか……? それもオブリビオンなら関係ないと……?」
「むしろ、超空間で川の水が流れている事がおかしいわよね……」
 死之宮の疑問に、エメラも同調する。
 しかし、いくら思考を巡らせても答えは出ない。
「……如何であろうと殲滅するまでだが、な……」
「私を殺すの? でも、殺されるのは、あなた」
 オブリビオンは太鼓橋の手すりに腰を掛けると、心惹かれる美しい歌声を響かせ始めた。
 狭い橋幅かつ不安定な足場という太鼓橋の上では、歌声を遮ることは容易ではない。
「なるほど、相手は狭い橋と得意な川を利用して戦う、と。……でも、私がそれに付き合う義理は無いわね、私の兵器達の対応力を侮らないで頂戴」
 エメラは自身に洗脳効果が及ぶ前に、すかさず反撃に移った。
「まずは狭い戦場の問題だけれども……一番簡単な解決方法を取らせてもらいましょうか」
 エメラが召喚した魔導蒸気操機兵に、魔導蒸気製パワードスーツと魔導蒸気重火器が装備されることで攻守ともに強化される。更に、魔導蒸気スラスターによる時速515kmもの速度で飛翔することが出来るのだ。その体高は5mと巨大化しているため、機体は橋に乗り切れずに空中を漂っていた。
「“我が元に響くは咆哮(トゥランライオット)”! 焼夷弾を装填した魔導蒸気重火器で一仕事してきなさいな。あ、私も巻き込まれるのは嫌だから、今回は『咆哮』の肩に乗りましょうか」
 エメラはこうして、空中に逃れてから歌声の届かない高度まで上昇すると、そこから橋へ向けて焼夷弾を投下してゆく!
「逃げ場なんてないわよ。橋の狭さが仇となったわね? ……ああ、でも同僚さん達を巻き込まない様に気を付けないと……」
「ちゃんと私がいることを覚えててくれていたようだな。ただ……今、目に見えている私が“本当の私”とは限らないが」
 爆撃の合間を縫って、死之宮が黒霧を放つ。その姿は、黒霧の中で無数に揺らめく幻惑となって敵を翻弄する。
 もともと立ち込めていた白い霧は爆風で吹き飛ばされ、代わりに黒霧にオブリビオンは包まれてしまう。
 霧の中は光を通さない漆黒の闇だ。しかもこれは膨大な呪詛で出来ており、吸い込んだオブリビオンはたちまち衰弱の一途を辿り始めた。
「はぁ……はぁ……歌声が……続かないわ……」
 黒霧に体力が奪われ、オブリビオンの歌声が途切れてしまった。
 そこへ、死之宮の必殺の一撃がオブリビオンを穿つ。
「穢煌葎弓クレイアスター……大呪の矢をその身に受けよ」
 完全な暗闇の中から放たれた穢れの矢は、吸い込まれるようにオブリビオンの身体を射抜いてみせた。
 空からは爆撃、地上では衰弱させる闇と穢れの矢という猛攻に、とうとうオブリビオンは足の下の川へ緊急避難することを決意する。
「ここは川の中へ潜ってやり過ごさないと……って、え?」
 橋を飛び降りたオブリビオンの目に写ったのは、川面に幾つも浮かぶ呪詛の球体であった。
「ピンチになったら川へ飛び込む事は想定済みだ……先手を打たせてもらった」
 此処で死之宮はユーベルコードを発動!
「悉く息絶えよ――“狂葬:槍吟(ロスト・エデン)”」
 次の瞬間、川面に浮かんだ呪詛の球体の数々から、1040本もの夥しき呪詛を籠めた黒紫槍が発射された!
 黒紫槍は幾何学模様を描きながら橋の下を飛び交い、容赦なくオブリビオンの身体を何度も穿ち抜いていった。
「きゃああっ!? 早く、早く水の中へ……」
 オブリビオンは必死に川底へ潜ってやり過ごそうとする。
 しかし突然、川全体に高圧電流が流れたことで、オブリビオンの身体が感電して川面に浮かび上がってしまった。
「川の中へ飛び込めば、此方も焼夷弾から電撃を放つスタングレネードに換装するだけよ?」
 狭い橋の上という特殊な戦場を上手く活用したエメラと死之宮は、しばらくオブリビオンに対して一方的に攻め続けていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
『死んだ想い人の幻影』を見せて黄泉送りとはずいぶん悪趣味なヤツだぜ。
「・・・犠牲者が出る前に止めてみせます。」

雷神霊装でいくぜ、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」
狭い場所での戦闘だ。引き上げた反応速度で敵の攻撃を見切り最小限の動きで避けたり妖刀で受け流したりするぜ。
そして敵の隙を見付けたら引き上げたスピードで近付いて雷撃を纏わせた妖刀で叩き斬ってやる。

敵が川に逃げ込むってんなら寧ろ好都合だぜ。武器を破魔弓に持ち変えて雷撃を纏わせた矢を川に射ち込んでやる。

てめえの冥土の土産の歌なんぞ、俺達の雷光が絶ち斬ってやるぜッ!


【技能・見切り、受け流し、スナイパー】
【アドリブ歓迎】



 件の太鼓橋へ駆け付けた赤い鬼面を被った巫女服姿の乙女が、ほっと胸を撫で下ろした。
「どうやら、俺達以外に誰も居ないみたいだな? ったく、『死んだ想い人の幻影』を見せて黄泉送りとはずいぶん悪趣味なヤツだぜ」
 赤い鬼面……ヒーローマスクの神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)が喋り始める。
 装着者の神代・桜が凶津の言葉に同調するように頷いた。
「……犠牲者が出る前に止めてみせます」
「その意気だぜ、相棒ッ! っと、人魚の姉ちゃんがおいでなすったようだな?」
 川から飛び出してきたオブリビオンの表情は、警戒心で仏頂面になっていた。
「猟兵、すごく強いのね。私もちょっと本気出すわ」
 オブリビオンは自身に凍結の吐息により発生した氷を纏うと、移動速度が上昇!
 これに反応するべく、神代コンビもユーベルコードで対抗する。
「スピード勝負かッ! なら“雷神霊装・二ノ型(スパークフォーム・ツー)”でいくぜ、相棒ッ!」
「……転身ッ!」
 そこへ、氷の矢が神代コンビへ殺到してゆく!
 変身前に攻撃するとは、何たる悪辣さか!
 だが、神代コンビは二人の力を一つにすることで、桜色の雷撃を纏いし霊装姿へ変身!
 放たれた氷の矢は、電撃の放熱で一瞬で蒸発してしまった!
「嘘……っ?」
 全力の攻撃が瞬時に無効化されてしまったオブリビオンは、高速移動での超至近距離から氷の矢を撃ち込もうと、狭い橋の上を素早く往復し始めた。
 だが、歴戦の猟兵である神代コンビに取って、オブリビオンの移動速度は自分達から比べてみれば時速50kmもの差が出ていた。
「遅いぜッ! これでも喰らいなッ!?」
 凶津は妖刀に纏わせた桜色の雷撃と共に斬撃を放つ!
 橋を往復すする敵を追い掛けるように高速移動すると、放たれた氷の矢を切り払った上でオブリビオンを袈裟斬りに伏してみせる。
「きゃああっ!」
「こちとら反応速度も爆発的に強化されてるんだぜッ! そっちの攻撃なんざ遅くて欠伸が出ちまうってもんだッ! てめえの冥土の土産の歌なんぞ、俺達の雷光が絶ち斬ってやるぜッ!」
「くっ、一旦仕切り直すわ……」
 オブリビオンは橋の下の川へ緊急回避を試みる。
 だが、これも神代コンビには予測済みの行動であった。
「……逃しません!」
 桜が破魔弓に武器を持ち替えると、矢に雷撃を纏わせる。
 それを川面へ放つと、電撃が水の中を疾走してオブリビオンを感電させてしまった!
「ぎゃっ!? ま、またこれなの……!?」
 オブリビオンはしばらく身体が痺れて、川面に漂うしか出来なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
やれやれ…素敵なおっぱいの人魚なのに冷気てんこ盛りかつ陰険トラップかよ
「メルシーは冥府も旅行できるけどね?」


【情報収集・視力・戦闘知識】
強化された視力で
橋の構造
敵の退避経路の予測
敵の攻撃の癖と方向性と威力の把握

メルシー
【念動力】
不可視の念動障壁を展開
【属性攻撃・迷彩】
水光属性を障壁に追加
「ご主人サマ危ないっ!」
主を庇って吹き飛ばされ…海に落ちた…振り
水音だけ響かせ光学迷彩で存在を隠


…やってくれたな
焦りを演
【スナイパー】
敢えて直線的に念動光弾を打ち出し敵の回避の方向性を定め
此方に意識を向けさせ

川に逃げようとした瞬間
UC発動
やれ
「了解☆」
【切断・二回攻撃】
鎌剣での不意打ちで妨害
其処から連携攻撃!



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は『まぼろしの橋』を占拠する人魚を見るなり、重い溜息を吐いた。
「やれやれ……素敵なおっぱいの人魚なのに、冷気てんこ盛りかつ陰険トラップかよ。この超空間は殺すか殺されるかの二択とか、本当ふざけるなよ……」
「この橋の向こうが読みの世界なのかな? メルシーは冥府も旅行できるけどね?」
 相棒のメルシーが緊張感のない声でドヤ顔を見せた。
「おい、真面目にやれ、メルシー。狭い橋の上だ、敵も僕達も前後への移動しか出来ないはずだ」
「ならどうするの?」
 メルシーの問いに、カシムが即答した。
「いくぞメルシー! 魔力と思考をリンクさせろ!」
「ラジャった☆」
 阿吽の呼吸でユーベルコードを発動!
 2人とも音速を超える高速移動を可能にしつつ、メルシーが発生させる目に見えない念動障壁で橋の行動範囲を更に狭めてゆく。
 だがそれに気が付かないオブリビオンは、氷の矢を立て続けに乱射!
「ご主人サマ危ないっ!」
 カシムを庇ってメルシーが氷の矢をその身に浴びると、彼女は橋の下へ落下してしまった!
(なーんて♪ 演技だよーだ☆)
 念動障壁を川面に叩き付けて、あたかも身体が水の中へ堕ちたように演出するメルシー。
 そのまま橋の下で待機する。
 一方、カシムはメルシーが落下したことで怒りと焦りを演技でオブリビオンに見せつけていた。
「……やってくれたな?」
「うふふ……あなたも後を追わせてあげる」
 氷の矢の乱れ撃ちがカシムを襲う!
 だが、無数の氷の矢は、空中で見せない何かに遮られたまま空中で留まってしまっていた。
 ……メルシーの念動障壁だ!
「見えない障害物って厄介ですよね? 反撃いくぞ!」
 カシムはヴァルギリオス・ロッドから光弾を弾幕として発射し、橋の上という限られた空間で回避できないような密度で攻撃を開始!
「ちょ、ちょっと、こんなの無理よ……!」
 オブリビオンは堪らず、川の中へ逃げ帰ってゆく。
 だが、着水するまでの僅かな時間、オブリビオンは橋の下で待ち構えていたメルシーと目が合った。
「……やれ、メルシー!」
 カシムの合図と共にメルシーが動く。
「冥府の鎌の切れ味、とくと味わってね☆」
「いやぁぁぁーッ!?」
 マッハ31の超高速連続斬撃が、オブリビオンの身体に刻まれてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・劔
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いてここまでの大異変…生意気よ!
しかも妖怪を殺戮なんぞやらせないわ!

【戦闘知識】で敵の動きと戦い方を読む

【天候操作】で川も凍り付く超寒波を引き起こす!

【属性攻撃】で氷属性を二刀と周囲の川に付与

あんたは逃がさないわよ

あんたには殺戮も悲劇ばかりの異変は起こさせないわ

敵の攻撃は【見切り】
【残像】を残して避けながらこちらも氷の礫の【弾幕】で牽制し逃げ道を塞ぎながら【念動力】での行動封鎖と同時に【結界術】により結界に閉じ込めて

時刻みを発動させ

超高速で飛び迫れば【二回攻撃】による連続斬撃で結界と時空間ごと【切断】する!

元に戻っても空亡劔の名前は忘れないでよ!!



「この最強の大妖怪である空亡 劔を差し置いて、ここまでの大異変……生意気よ!」
 橋に到着するやいなや、オブリビオンへ叱責する空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)。
 殺神魔剣『空亡・紅』と永久凍剣『二世氷結地獄・極』の二刀流を振るい、放たれる氷の矢を叩き落としながらオブリビオンへ接近してゆく。
「この狭い橋の幅と起伏なら、回避するより受け流したほうが得策よ!」
「なんてデタラメな戦い方なの……!」
 真っ向から立ち向かってくる空亡の戦い方に、オブリビオンは戦々恐々だ。
「あんたは逃がさないわよ、妖怪の殺戮なんぞやらせないわ! あんたには殺戮も悲劇ばかりの異変は起こさせないわよ!」
 強い決意とともに、永久凍剣を天へ掲げる空亡。
 すると、超空間内の天候が急に荒れだし、瞬く間に辺りは大寒波と猛吹雪に見舞われてしまった!
 これでは、川の中へオブリビオンは逃げることが出来ない!
「……退路を断たれたのね。なら、ここで倒すだけよ」
「ええ、私も負けないわ!! さあ、どっちが強い氷属性使いか、ここで勝負よ!」
 永久凍剣『二世氷結地獄・極』の切っ先をオブリビオンへ突き付ける空亡。
「望むところだわ」
 オブリビオンも虚空に無数の氷の矢を浮かばせ、殺意を漲らせた。
 ……しばしの無言のあと、刹那、互いに氷の矢を生成して放ちまくる!
 両者一歩も譲らない熾烈な攻防戦だ!
 お互いの氷の矢が相殺し合う!
「「はああぁーっ!!」」
 実力拮抗! 戦いは膠着状態に突入だ!
 だが、これは空亡にとっては時間稼ぎだ。
 本命は、オブリビオンを生成した結界の中へ念動力で押し込むことであった。
「……今よ!」
 そして、完成した結界の檻へ、空亡はオブリビオンをタックルから送り込んだ念動力で吹き飛ばして収容してみせた。
 まるでアクリル板製の棺桶に押し込まれたかのようなオブリビオンは身動きが封じられてしまう。そこへ、空亡は切り札のユーベルコードを放つ!
「我が身、我が真体は時を統べし魔剣なり! 今こそその力を解放せん!!」
 殺神魔剣『空亡・紅』が彼女の想いに共鳴し、人類の敵を討つ刃となって強化される。空亡自身もマッハ10に手が届く超音速で一気に敵へ肉薄!
「元に戻っても、空亡 劔の名前は忘れないでよ!! その体の中の骸魂ごと、時空と空間を斬り捨てるわ! これが“時刻み(クロノスブレイド)”よ!」
 超音速の連続斬撃は、時空を斬り裂く超常の刃だ。
 同じく超常の存在である骸魂がズタズタに斬り刻まれ、オブリビオンはたちまち弱体化していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
ヒトが戦うには些か酷なお相手でございますね
この手の相手に苦戦するのがヒトの尊さであるとは思いますが、状況が状況ですからね

属性変換機構を使用し、魔力に電撃属性を付加し戦闘に臨みましょう
戦闘機動機構で浮遊し足場の制約から逃れつつ、鋭剣型魔杖で近接戦です
お相手が水中に逃れたら、92式で水中に電撃を放ち、地上にお出で願いましょう
敵が歌声で動きを封じようとしたタイミングで、相殺魔術を使用し無効化致しますが、あくまで動きを封じられた様を装い、不意を打つ形で無力化致します

如何に精緻に作られようと、この身と心は作り物
もとより温もりなど存在しないのですよ
……もちろん、それらしく振る舞うことはできますけれど


箒星・仄々
自らオブリビオンになられるとは…敬服します

そんな妖怪さんが
無辜の方々を殺すなんてことを
絶対にさせません

お止めしましょう

太鼓橋で
氷使いさんですから
ここは風の魔力で空中を移動しましょう

摩擦抵抗を減らしての高機動で
出来るだけ人魚さんよりも
高い位置をキープするように心がけます

更に炎の魔力を放ち
氷の矢を迎撃したり
纏う氷を溶かし
その高速移動を削ぎます

撹乱して懐に入り込めたら
人魚さんをペロ
滑りすぎて橋の下まで滑り落ちるかも知れませんね

川へ逃げようとするのなら好都合です
そのタイミングで予め川に潜ませていたランさんを
跳ね上がらせて串刺しに

終幕
雪女さんへ鎮魂の調べ
ローレライさんへお疲れ様と感謝の声掛け



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は『まぼろし橋』を占拠しているオブリビオンに、強い敬意を抱いていた。
「自らオブリビオンになられるとは……敬服します。そんな妖怪さんが無辜の方々を殺すなんてことを絶対にさせません。私達がお止めしましょう」
 箒星の決意の言葉に、居合わせたティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)がクスクスと笑みを漏らす。
「ボクは依頼されたお仕事を忠実にこなすだけですけどね。それにしても、催眠効果を持つユーベルコードですか。ヒトが戦うには些か酷なお相手でございますね」
 ティーは球体関節の手指をわざとらしく動かしながら、零式鋭剣型短魔杖に超高密度の魔力刃を生成させる。
「この手の相手に苦戦するのがヒトの尊さであるとは思いますが、状況が状況ですからね」
 零式鋭剣型短魔杖を逆手に持つと、凍える歌声を披露し始めたオブリビオンへ告げた。
「すぐに終わらせて差しあげましょう。黒猫さん、歌の影響は受けていませんか?」
「問題ありません。早くローレライさんをお救いしましょう」
 箒星は全身をペロペロと舐め回しながら同意を示した。
「ではまず、ここは風の魔力で空中を移動しましょう」
「させないわ。体力を消耗するけど……はぁぁ……っ!」
 オブリビオンの吐く息が瞬時に彼女の全身を覆い尽くすと、氷塊でできた矢を幾つも乱射しながら突撃してきた。
 だが箒星、懐中時計の形状からボタンひとつで展開させた蒸気機関式竪琴こと『カッツェンリート』を荒々しく奏でてみせれば。
「炎の壁ですよ~!」
 劫火が猟兵2人の目の前に高々と出現し、放たれた氷の矢を蒸発させてしまう。
 更に、炎の壁はオブリビオンの移動範囲を制限する。
「うぅ……! 危うく自ら火達磨になるところだったわ……」
 ジリジリと肌を焼く炎から身を守るべく、再び厚い氷を纏わせるオブリビオン。
 と、ここで彼女は猟兵達が目の前から消えた事に気が付いた。
「……また空を飛ぶのね。しかも2人同時?」
 風の魔法で空中を駆け抜ける箒星に、ティーは感心しながら頷いた。
「なるほど、全身を舐めていたのは、摩擦抵抗を減らすユーベルコードでしたか。空気抵抗も減らし、オブリビオンに負けない高速移動を獲得するとはお見事ですね」
 ですが、とティーも脚部に備わった99式戦闘機動機構で空を飛び、メイド服の裾をなびかせていた。
「ボク自身、足場の制約に囚われて戦う義理は毛頭ございませんので」
「行きましょう、私が援護します」
 箒星は情動的なメロディを素早いアルペジオで奏でてゆく。
 すると、炎の矢を上空からオブリビオンの頭上へ降り注がせた。
 移動範囲を狭められたオブリビオンは、氷塊の矢でこれらを相殺すべく試みるが……。
「そうすると、歌声に集中できないですよね?」
 ティー、急降下から一気にオブリビオンの懐へ突っ込んできた!
 魔力刃に紫電がほとばしる!
 自身に内蔵された魔力属性変換機構で雷属性魔法を武器に宿したのだ!
 オブリビオン、回避できない!
 そのまま脇腹を雷の斬撃が抉ってゆく。
「きゃああっ!」
 駆け巡る電流のショックに、全身を痙攣させるオブリビオン。
 途端、上空から降り注ぐ炎の矢に身を焦がして追加ダメージを負ってしまう。
 堪らずオブリビオンは端から飛び降り、川の中へ緊急回避。
 だが、やはり猟兵側が先手を打っていた。
「ランさん、今です!」
 箒星の合図と共に、一匹のメカジキが川の中から飛び出してきた。
「何よこれっ!? 痛いっ!」
 空飛ぶメカジキの鋭い突起に肩を貫かれるオブリビオンが、恐怖に顔を歪めた。
 黄泉に繋がる川に、飛翔する体長5mの海洋生物が突如出現すれば、誰だって目を疑うのは明白である。
「あれは私の“槍”の『カッツェンランツェ(ねこのやり)』ことランさんです。橋の下に潜ませていたのですよ」
 ドヤ顔をする箒星だが、すぐさまランさんへ指示を出す。
「ランさん、早く戻って下さい! このままでは……」
「冷凍マグロにして魚河岸に並べてあげるわ」
 ランさんの身体が徐々に白く霜が生えてゆく……!
「させません……!」
 箒星は竪琴から鋭い尖端の両刃細身の魔法剣『カッツェンナーゲル』ヘ持ち帰ると、疾風を纏った素早い連続刺突で敵を牽制。
「おともだちを返すわね?」
 カチコチになったランさんを肩口から引っこ抜いたオブリビオン、そのまま飛んできた箒星へ投げ付ける! 冷凍マグロと化したランさんに刺突が防がれてしまったが、炎の魔力を剣先から流し込むことで解凍に成功させた。
 元気を取り戻したランさんに跨る箒星、そのまま一気にオブリビオンの懐へ潜り込むと、彼女の身体を高速でペロペロ舐め回し始めた。
「な、何をするのよ、いきなり!」
「ううん、舌が冷えて、頭が痛いですね……」
 アイスクリーム頭痛を起こして、箒星は空中で頭を抱えてしまう。
 一方、舐め回された嫌悪感に震えるオブリビオンはまんまと川の中へ。
 だが、ティーは空中に浮遊させる92式火力投射型魔杖から、神の怒りと見紛うほどの強力な電撃を川へ撃ち込んでみせた。
「逃しませんよ? ちゃんと地上で決着を付けましょうか」
「ぎゃあっ!?」
 感電に耐えきれずに、橋の上へ戻ってきたオブリビオン。
 しかし、体のバランスが取れないのか、太鼓橋の上でピチピチと跳ね回っているではないか。
「これ……立てないわ……! まさか、あの猫が私を舐め回したせいで……」
「御名答です。もう貴女は立ち上がれませんよ」
 箒星はしてやったりと得意げに告げた。
 オブリビオンの身体は摩擦抵抗がゼロに近付いたため、橋の上で踏ん張りが効かなくなってしまってしまったのだ。これでは、オブリビオン自身が魚河岸の冷凍マグロ状態だ。
「ナイスアシストです、黒猫さん。さて、勝負ありでしょうか?」
 零式鋭剣型短魔杖を振り上げ、恐らく舐め取られていないであろうオブリビオンの身体の箇所を見極めるティー。
 だが、オブリビオンは最後の悪足掻きに走る。

 ――凍れる吐息は思い出さえも白く凍てつかせ。
 ――我が身は今や、氷を纏いしオブリビオン。
 ――あなたの想い人を思い出させてあげましょう。
 ――それが嘘だと分かっていても。
 ――あなたはきっと、ここへ来てくれる。
 ――安心して。あたしがその人の元へあなたを連れていってあげる。
 ――さあ、目を閉じて。
 ――身も心も、凍てつかせてあげましょう。

 心惹かれる美しい歌声が、至近距離にいるティーへ浴びせられた!
 途端、ティーはその場にへたり込み、恍惚の表情を浮かべて呆けてしまう。
 攻撃の手が緩んだところで、オブリビオンはティーの身体を氷漬けにしようと試みる。
「まずはひとり……!」
「逃げて下さい!」
 箒星のキリモミ突撃! だが間に合わない!
 ティーの全身が完全に真っ白に凍て付いてしまったのを確認したオブリビオン。
「次は、あなたの番よ」
 そう告げ、ティーへ背中を向けた、その時だった。
「如何に精緻に作られようと、この身と心は作り物――」
 凍て付いたティーの全身から炎の魔力が噴出し、纏わり付いた霜と氷を瞬時に蒸発させる!
「つまり、もとより温もりなど存在しないのですよ。ですから、催眠の歌もユーベルコードで相殺してましたし、凍死もしません。ボクは凍り付いても、このように機能復旧が可能なのです」
 事実、誘う歌声はティーの“即席相殺魔術(インスタント・カウンターマジック)”で無効化出来ていた。
 呆けていたのは、敵を油断させるための見事な演技だった。
「……もちろん、それらしく振る舞うことはできますけれど。まんまと騙されてくれて、ありがとうございます」
 戦場を知り尽くした地獄のメイド人形は、笑顔を模した表情プログラムを実行してみせる。
 そして今、敵に背を向けるという最大の隙を見せたオブリビオンの背中へ、ティーは超高圧電流を宿した魔力刃を突き付ける!
「ぎゃあぁーっ!?」
 心臓に差し込まれた刃から流れる感電の熱で、オブリビオンの纏う氷が溶けて水蒸気へ変わってゆく。
「苦しいのは今だけです。さあ、このまま骸魂を破壊して差し上げましょう」
 トドメの大電流がオブリビオンの全身を貫けば、彼女が内包していた雪女の骸魂が瓦解! 分離したローレライの女性が気絶して倒れ込んだ。
 途端、太鼓橋が徐々に崩壊し始める。
 勝負に勝ったことで、超空間に亀裂は入ってゆく……!
「任務完了。救出対象を保護し、帰投します」
 ティーはローレライの女性をお姫様抱っこで抱えながら、超空間から脱出していった。
 その後ろで、箒星は消えていった雪女の骸魂への鎮魂曲を竪琴で戦争し始める。
「妖怪の皆さんは、必ずお救いします。そして、骸魂の皆さんに安らかな眠りを……」
 大祓百鬼夜行は中盤戦に差し掛かる。
 この橋の制圧も、雲の橋をかけるエネルギーとなっていくだろう。
 猟兵達の戦いは、まだまだ続く……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月17日


挿絵イラスト