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大祓百鬼夜行⑦〜皐月のお月見

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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 そよそよ、そよそよ。幽世の片隅で、すすきが揺れている。
 すすき達は満月に照らされ、きらきらとした輝きを放っていた。
 ここでお月見したら楽しいだろうな。
 この光景を見れば、そんな思いを抱く人もいるかもしれない。

 けれど今日のすすき野は、何か様子がおかしかった。
 煌々と輝いていたはずの満月から――ぴし、ぴし、と不穏な音がしたからだ。
 見れば月には大きなヒビが入っている。
 その隙間からすすき野を見下ろすのは、巨大な人魂だ。

 人知れず満月は割れ続け、人魂も少しずつ姿を晒す。
 月が完全に割れてしまえば――齎されるのは、避けられない破滅だろう。


「……っと。集まってくれてありがとう」
 グリモアベースにて猟兵達を出迎えるのは花凪・陽(春告け狐・f11916)だ。彼女は三方(月見団子を乗せる台座のあれだ)を抱え、ニコニコと笑みを浮かべている。
「今から皆には……カクリヨファンタズムに行ってお月見をしてもらいたいんだ。場所は『満月のすすき野』ってところだよ。ここは一年中真夜中で、綺麗なすすきがいっぱいそよそよしてるんだって」
 話だけ聞いていればのんびりしていそうな依頼だが、現在カクリヨは戦争の真っ只中だ。
 果たしてどういうことだろうか。陽は三方を手近なところに置き、グリモアを起動していく。
「どういうことかって……見てもらった方が早いかな。今すすき野はこんな状況なんだよ」
 グリモアを通し映し出されたのは、すすきがたくさん生えた長閑で美しい光景だ。
 しかしよく見ると何かがおかしい。
 空に浮かぶ満月が――ひび割れているのだ。
「満月がね、骸魂の影響を受けて凶暴化しちゃってるの。このまま月が生まれると……中から恐ろしい『カタストロフの幼生』が生まれちゃうんだ!」
 カタストロフの幼生。
 まったくよく分からない存在だが、確かに月の影からは何かが姿を現しかけている。
 なんていうか巨大な人魂のような。これがカタストロフの幼生なのだろうか。

「カタストロフの幼生を消滅させるためには、賑やかなお月見をするといいんだよ。月がひび割れていて中から何かが出現している事実からはいい感じに目を背け、『わーきれいな月だなー』なんて呟きつつワイワイお月見すれば、満月は元に戻るはずだから!」
 お月見が楽しく終わればカタストロフの幼生は消滅し、月の凶暴化も解けるだろう。
 そのためにも、とにかく楽しく過ごすのが一番だ。
「三方は持っていっていいよ。お月見団子も用意してあるから。他にも必要なものがあれば、出来る範囲で用意するね」
 そう言いつつ陽が渡してきたのはUDCアースでよく見るスーパーの袋だ。
 中にはパック詰めされたお団子に、あんこやきなこ、お茶やお酒が入っていた。
「飲んで食べて楽しく過ごせばきっとどうにかなるはずだよ。あ、未成年はお酒飲んじゃ駄目だからね」
 他にもレジャーシートやらなんやらを用意しつつ、陽は猟兵達へと笑顔を向ける。
「それじゃあ気をつけて。5月のお月見、楽しんできてね!」


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 今日は素敵なお月見日和。

●プレイングボーナス
 幼生の事を気にしないようにしつつ、全力でお月見を楽しむ。

●『月割れてるけどお月見しよう』
 一年中真夜中で満月のすすき野にて楽しいお月見タイムです。
 ただし月が割れてます。中から巨大な人魂のような『カタストロフの幼生』が誕生しようとしています。
 皆さんはその事実からいい感じに目を逸し、楽しいお月見をして下さい。
 楽しくお月見すれば幼生は消滅し、月も元に戻ります。

 備品として三方やらお団子やら飲み物やらが用意されています。
 未成年の飲酒は厳禁です。
 公序良俗の範囲でわいわい楽しんでいただければと思います。


 オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。

 シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
 また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。

 それでは今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『月割れてるけどお月見しよう』

POW   :    全力で月の美しさを褒め称え、「立派な満月」だと思い込む。

SPD   :    賑やかな歌や踊りでお祭り気分を盛り上げる。

WIZ   :    お月見にふさわしいお菓子やお酒を用意する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん。努めてのほほん

…こういうときって、彼(『侵す者』。細かいこと気にしない)か私ですよねー。
で、今回は私で。

考えてみれば、こうして陰海月とお月見するの、はじめてなんですよねー。
団子がなくなる速度が速いですが。まあ、私は温かいお茶をのんでゆったりしましょう。
ええ、あの月は(割れ無視)綺麗ですねー。こう大きいと、見ごたえもありますねー。


少年心溢れる陰海月、月より団子な感じで月見団子食べてる。たまに月を見ては、ぷーきゅぷきゅー(お月さま綺麗ー)と鳴く。




 世界に異常が起きていようと、視界いっぱいにすすきが広がる光景は圧巻だ。
 そんなすすき野に足を踏み入れつつ、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はゆるりと笑う。
 義透の後方では、ミズクラゲの『陰海月』もぷかぷかと浮いている。初めてのすすき野に興味津々のようだ。
「……こういう時って彼か私ですよねー。で、今回は私で」
 現在義透の身体を動かしているのは四人の悪霊のうち、『疾き者』だ。
 のほほんとした性格の彼には、「異常から目を逸しつつお月見を楽しむ」という今回の依頼も向いているだろう。
 ちなみに彼というのは『侵す者』という人格のことだ。彼も細かいことを気にしない性格をしているため、表に出ていればきっと十分に働いたに違いない。
 そんなことを思いつつ、義透は手近な場所へと腰をかける。
 気温は春の半ばのように快適で、天気も良好。ちらちらと見える星や雲も風光明媚で――ただ、月だけがひび割れ異変を晒している。
 けれどそれは気にしない。それよりも、今は陰海月と共にのんびり過ごしたいのだから。

 渡された月見団子を三方の上に飾ってみれば、あっという間にお月見の光景が出来上がり。
 最初は陰海月もじーっと様子を眺めていたが、すぐに団子を手に取りぱくぱくと食べ始めたようだ。
 義透も団子を摘みつつ、元気いっぱいの陰海月へと笑顔を向ける。
「考えてみれば、こうして陰海月とお月見するの、はじめてなんですよねー」
 陰海月と出会ってからはまだ数ヶ月しか経っていない。これから一緒に色んな季節を楽しむのだろうか。それはきっと、素敵なことだと思う。
 暖かいお茶も頂きつつ、少しだけ義透は頭を上げる。
 確かに月はひび割れているが――それはそれとして、立派な満月だ。
 つられて月を見上げた陰海月も「ぷーきゅぷきゅー」と鳴いている。どうやら月の美しさに感銘を受けているらしい。
「ええ、あの月は綺麗ですねー。こう大きいと、見ごたえもありますねー」
 二人共、月が割れてるのには気付いているけれど、わざわざそれを口にしない。
 美味しいお団子、暖かいお茶、そして大切な仲間。これだけ揃っていれば、お月見は十分楽しめるのだ。

「秋になったら本物のお月見もしましょうねー」
 義透から投げかけられた言葉に、陰海月は「ぷきゅっ」と同意の返事を返す。
 季節が巡るのが楽しみだ。そんな思いを胸に抱きつつ、二人はのんびりと時間を過ごしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
【星飴】

月が割れてるのも今しかないと
思えばちょっぴし特別
ぜーんぜん気にならないよ

うんうんっ
美味しそうなのがこんなにあるよ
ふふふーぼくも知らなかったなあ
お月見ってこんなに良いものなんだね

空きっ腹にお酒は良くないの?
じゃあ、ぼくもお団子から
中にあんこが入ってて、甘くて美味しいよ
レイッツァちゃんもこっちのお団子食べてみる?

もちろん
そういう季節になったら、本物のお月見をしよう
こうしてまたお団子とお酒を付けてさ

んに?花?どこにもないよ
首をゆるり傾げて
頬を撫でる風が心地良い
ふよんと笑い
お酒も美味しいし、綺麗だし
最高の気分なんだよ

今こうして隣に居てくれるのが
レイッツァちゃんなのも嬉しいや
ほら、乾杯っ


レイッツァ・ウルヒリン
【星飴】

月が割れてるのは全然気にしない
こういうのもあるんだなぁ~程度

わー、美味しそうなのいっぱいだね!
お月見ってこんな良い行事なの?
ううっ、今までチェックしてなかったなぁ。勿体ない。

ティアさんは何から食べる?
僕はお団子からいこうかな
空きっ腹にお酒は良くないからねぇ(※ワク)
あんこ?僕のやつ何も入ってなかった…ハズレだったのかなぁ

ふふー、一緒に月見なんて風情があるね!
ねぇ、戦争じゃなくってさ、そういう季節になったら本物のお月見しようよ

月見酒に…隣に『華』で花見酒でもあるか
んに。僕だけの華だよ(にこにこ、相手の口癖を真似してみる)

僕もティアさんと一緒で嬉しいよ!
それじゃ乾杯っ
くぅ~お酒が進むなぁ




 ひび割れた満月なんて、きっと今しか見れないだろう。
 そう考えるとちょっとだけ特別だろうか。そんなことを考えながら、ティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)はのんびりと空を見上げている。
 そんな彼女の傍らでは、レイッツァ・ウルヒリン(紫影の星使い・f07505)が持参した食べ物や飲み物を広げていた。
「わー、美味しそうなのいっぱいだね!」
「うんうんっ。美味しそうなのがこんなにあるよ。お団子にお酒に……これがお月見のセット、なのかな?」
「お月見ってこんな良い行事なの? ううっ、今までチェックしてなかったなぁ。勿体ない」
 レイッツァがふと投げかけた疑問に、ティアもちょっとだけ思案する。
 お月見。聞いたことはあったけれど、実際に楽しむ機会というのはなかったかもしれない。
「ふふふー、ぼくも知らなかったなあ。お月見ってこんなに良いものなんだね」
「これからは要チェック、だね」
 二人で顔を見合わせて、一緒の話題について考える。
 ほわほわした暖かな時間を過ごしていけば、月の異変だって可愛らしく見えてきた。

 おしゃべりも楽しいけれど、せっかくだから用意したものも楽しもう。
 そう考えたレイッツァが視線を向けたのは、団子と日本酒の瓶だ。
「ティアさんは何から食べる? 僕はお団子からいこうかなって思うんだ、空きっ腹にお酒は良くないからねぇ」
「空きっ腹にお酒は良くないの? レイッツァちゃんは物知りなんだね」
 じゃあお団子から、と二人でまんまるお団子を手にとって、一緒にぱくり。
 するとティアの表情がみるみるぱぁっと輝いた。
「このお団子、中にあんこが入ってて、甘くて美味しいよ」
「あんこ? 僕のやつ何も入ってなかった……ハズレだったのかなぁ」
「それじゃあレイッツァちゃんもこっちのお団子食べてみる?」
「わ、ありがとう。これならあんこも入ってるかな……?」
 お団子の種類はバラバラのようで、あんこ入りや何も入っていないもの、変わり種ではみたらり入りのものもあった。
 あんこにきなこもバーっと広げて、どんどんお団子を食べていけばお腹も十分膨れてくる。そろそろお酒を飲んでも大丈夫だろうか。

 プラスチックのコップにお酒を注ぎつつ、レイッツァはゆるりと周囲を見回す。
 そよそよ揺れるすすきに、どこまでも広がるような夜空。晴れ晴れとした光景は、見る者の心を安らげてくれる。
「ふふー、一緒に月見なんて風情があるね! ティアさんと一緒に来られてよかったよ」
「うん、ぼくもそう思う。レイッツァちゃんとお月見できて、嬉しいな」
 心が弾むのは、美しい風景やお団子のお陰もあるけれど――それ以上に、隣に大切な仲間がいるからだろう。
 その事実を示すかのように、二人の表情もずっと柔らかな笑顔だった。
「ねぇ、戦争じゃなくってさ、そういう季節になったら本物のお月見しようよ。他の世界でやるのもいいかな、きっと楽しいよ」
「もちろん。そういう季節になったら、本物のお月見をしよう。こうしてまたお団子とお酒を付けてさ」
 す、とティアが酒を入れたコップを持てば、レイッツァも一緒にコップを掲げる。
 透き通った液体に月とすすきが映り込むと、もっとキラキラして見えるのが不思議だ。
 レイッツァはそのままコップを動かし、こっそりとティアの姿を映してみる。
「月見酒に……隣に『華』で花見酒でもあるか」
「んに? 花? どこにもないよ」
 レイッツァの言葉にこてんと小首を傾げつつ、ティアはきょろきょろと周囲を見回す。
 そんな彼女の姿も微笑ましくて、レイッツァは悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「んに。僕だけの華だよ」
「それってぼくの真似? ふふ、レイッツァちゃん面白い」
 くすくすと顔を見合わせて、雑談をまったり楽しんで。
 そんな二人を包み込むように、風がそよそよと頬に触れる。
 心地の良い環境、美味しい食事、そして楽しく笑いあえる仲間。お月見って、こんなに幸せなんだ。
 不思議な酩酊感は、海にぷかぷか浮かぶ心地にも似ているな、とティアは思った。

「お酒も美味しいし、綺麗だし、最高の気分なんだよ」
「うんうん、すっごい良い気分。このまま乾杯しちゃおっか」
 二人は改めてコップを掲げ、顔を見合わせる。
「今こうして隣に居てくれるのが、レイッツァちゃんなのも嬉しいや」
「僕もティアさんと一緒で嬉しいよ!」
 だからまた、一緒に遊びに行こうね。約束を交わすように、一緒に呼吸を整えて。
「それじゃ乾杯っ」
「ほら、乾杯っ」
 ぱちん、とコップを合わせ、一緒にくいっとお酒を飲めば――その味はいつもより優しく、美味しく感じられた。
 更にお団子も一つ、二つと食べていけばお酒もどんどん進んでいく。
「くぅ~、お酒が進むなぁ。いくらでも飲めちゃいそうだよ」
「うんうん。お団子もまだまだあるし、いっぱい食べちゃおう」
 二人のお月見はきっとまだまだ続くだろう。
 それはきっと――月がまんまるさを取り戻しても、ずっと。
 長く楽しいお月見は、二人のこれからを示しているかのようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月14日


挿絵イラスト