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大祓百鬼夜行⑪~がらがら崖崩れからバスを守れ!

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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●お裁縫妖怪、いきます!
「おっさいっほお~、おっさいっほお~♪」
 奇妙な歌を口ずさみながらバス停でバスを待つお裁縫妖怪、紫音。
 彼女は大祓百鬼夜行でできた世界のほつれを修正する謎めいた妖怪。周りには針と糸がふわふわ浮いている、金髪ロールのお人形さんみたいな少女だった。
「バスが、来ましたよ~」
 バス停に立っているのは彼女一人だ。誰にともなくバスの到来を告げるが、そこへ現れたのはステレオタイプなお化けを横長に、餅のように伸ばした真っ白なバス。
「行きましょ~、行きましょ~」
 だがここは幽世なので、紫音は気にせず乗り込んでいく。バスは紫音を乗せた後にがたごと発車し、険しい山道を登っていく。
 ガードレールなどない山道だ。運転を誤れば崖へ真っ逆さま。しかし如何に幽世と言えど、運転手が運転を誤ることなど考えにくいが……。
 すると刹那、地震が起こり、がらがらと雪崩れる音が聞こえてきた。地震で岩壁が崩れ、岩石がバスに向かって降ってきたのだ。
「ひゃあ~、潰れちゃいます~」

●カクリヨファンタズム・大祓百鬼夜行
「大祓百鬼夜行もやられてばかりではいけませんので! 私達も動いていきましょう!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は言う。今こそ世界への反撃の時だと。
「カクリヨファンタズムのバス停では、待っているとどこからともなく奇妙な形状の『妖怪バス』というものがやってくるそうです! お裁縫妖怪の紫音さんは百鬼夜行でできた『世界のほつれ』を修正するために妖怪バスに乗り込んだのですが、その途中崖崩れに見舞われてしまう、ということがわかりました!」
 結果、バスは崖崩れに潰され押し流されて、崖下真っ逆さま。こうなればバスも紫音も助からない。
「ですが、皆さんが一緒にその妖怪バスに乗ってあげれば崖崩れから守ってあげることが可能ですので、何とかして紫音さんを守り、世界のほつれまで連れて行ってあげてください!」
 崖崩れから守りさえすれば、バスは自然と世界のほつれへ向かっていく。そこまで辿り着ければ、あとは紫音が世界のほつれを修復してくれることだろう。
「最近オブリビオンとの戦いばかりでしたが、たまにはこういうお仕事もよいのではないでしょうか!? 息抜きになるかはわかりませんけど! それではよろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 戦争シナリオです。戦争の概要は専用ページをよろしくです!

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『妖怪バスでほつれに向かえ』
 紫音と一緒にバスに乗り込み、道中に起こる崖崩れから対処してください。
 窓は開くようですので、バスから身を乗り出して対処することも可能かと思います。

●MSのキャパシティ
 戦争シナリオってことで青丸足りたら即完結の可能性が高いです。ご了承ください。
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第1章 冒険 『妖怪バスでほつれに向かえ』

POW   :    肉体や気合いで苦難を乗り越える

SPD   :    速さや技量で苦難を乗り越える

WIZ   :    魔力や賢さで苦難を乗り越える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セプテンバー・トリル
私の目が緑色のうちは崖崩れなど起こさせませんわ!

【WIZ】連携・アドリブ歓迎
崖が近づいたら【ガイドロッド】を振って【ディビジョンズ】を召喚します。
そのままバスより先行させてUC【緊急支援要請】を発動。
ディビジョンズを道路を塞がずに跨いで高所工事の可能なタカアシガニのような形態に組み合わせて崖の補修工事を【早業】で行いますわ。
危険な個所はパワーショベルで削り、待機させた【ナックルダンパー】までベルトコンベアで輸送。
後は金網を張り、速乾性のモルタルを吹き付けましょう。

私は今後この道を利用する方達の為にも最後まで工事を行うので途中で飛び降りて下車します。
後は他の方達にお任せしますわ。


雨谷・境
かわいいバスっすね……
って見惚れてる場合じゃないっす
山道で崖崩れなんて洒落にならないっすからね!
紫音もバスも助けにいくっすよ!

最初はのんびりバスに乗ってるっす
紫音と雑談したりとかしつつ
俺こう見えてバス停の妖怪なんすよ
だからバスに乗ってると不思議と安心するんすよねー
あ、えび天食べるっす?
美味しいっすよ

こんな感じで世間話をしつつも警戒は怠らず
異変を察知したらすぐに窓から身を乗り出すっす!

崖崩れの落下物を確認したらすぐにバス停を構える
俺のバス停に切れないものはないっすよ!
UC発動、窓から頑張ってバス停を振るい、危険なものは一刀両断っす!
怪力には自信があるっす!
岩石だろうとなんでも来いっすよ!


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

オーライ! ワタシも人肌脱ぎマショー!
こんなこともあろうかと乗り込んでいたワタシたちの出番デース!
ご安心くだサイ妖怪バス殿!

バスから身を乗り出して、変形開始!
「六式武装展開、金の番!」
妖怪バス殿を守る防具として、展開!
ようは装甲バス化であります!
この(ほぼ)無敵モードで落石から守りマース!

自身は全く移動できマセンガ、装備しているバスはそのまま走れるので問題ありマセーン!
状況によっては武装を出して攻撃もできマース!
安全快適な運行と参りマショー! HAHAHA!



●ふらり鈍行バスの旅
「おっさいっほお~、おっさいっほお~♪」
 奇妙な歌を口ずさみながらバス停でバスを待つお裁縫妖怪、紫音はちょっぴり上機嫌。普段は閑古鳥が鳴くほどに閑散とした路線。だが今日は紫音以外にも客がいた。
(私の目が緑色のうちは崖崩れなど起こさせませんわ!)
 セプテンバー・トリル(ゼネコンのお姫様・f16535)がその一人。とある国のゼネコンを司る家系に生まれた彼女としては、自然災害で交通網が打撃を受ける予知を捨て置けなかった。並々ならぬ熱意を燃やしつつも、バス待ちの列の先頭に並ぶ紫音を不安がらせないようごく自然に振舞う。
 やがて、真っ白くて弾力がありそうな、全体的に丸みを帯びたバスががたごと走ってやってきた。バス停が近づくとゆっくりと減速し、昇降口を列の前に揃えて停まる。
「かわいいバスっすね……」
 雨谷・境(境目停留所の怪・f28129)が思わず見惚れる傍では列が進んで乗車が始まる。「おっと、こんなことしてる場合じゃないっす」と境は空いた間隔を埋めるように急ぎ足でバスに乗り込んだ。
(オーライ! ワタシも一肌脱ぎマショー!)
 各所で獅子奮迅の活躍をするバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が最後尾でバスの中へ。バスが直面する苦難の道は、連れが多いほうが心強い。
 客が全員乗り込んだのを確認すると、バスは警笛を鳴らして昇降口の扉を閉める。そしてまたがたごと走り出した。

 バスの速度は徐行運転を気持ち速くした程度。それが山道故か、それとも時を気にしない幽世の民の性質故かはわからぬが、鈍行の旅もたまにはいいものだ。
「俺こう見えてバス停の妖怪なんすよ。だからバスに乗ってると不思議と安心するんすよねー」
「わぁ~、バス停の妖怪さん! わかりますよ~! 私も、針と糸が手元にあると、すごく落ち着くんですぅ~!」
 妖怪同士、境と紫音は意気投合。バスの乗客は彼らだけ。似たような景色が流れる山道では、多少の騒がしさはむしろ歓迎だ。
「紫音さんは本当にお裁縫が大好きですのね。お裁縫と言えば淑女の嗜み……今は手元に用意もありませんが、今度いつか、お裁縫を教えて頂けます?」
「いいですよぉ~! いつでもお待ちしてますから!」
「裁縫はメイドの嗜みでもありマスネー。ワタシも裁縫の心得はありマスガ、お裁縫妖怪のお手並みを拝見したいものデース」
「じゃあ、私が『世界のほつれ』を直すところを見せちゃいますよ~」
 わいわいがやがや、バスの中は戦争の最中を感じさせない陽気な世界。このまま何事もなく終わればいい、とは三人の誰もが思ったことだろう。
 しかしグリモア猟兵の予知が何の妨害もなく外れることはない。そして自然災害は妨害する余地がないのだから、必然、起こる。
 バスは少し傾斜を強めて山道を上っていく。グリモア猟兵が伝えた景色と雰囲気が似てきたのを悟り、三人は警戒意識を引き締めた。
「もっとお話をしていたかったのですが……ここまでのようですわね」
 紫音には何のことやら。セプテンバーは席を立つと、窓を開けてバスの前方へガイドロッドを振った。
「おいでなさい、ディビジョンズ! そして合体しなさい、万能の獣へ!」 
 ガイドロッドからは星屑のような光が流れ、バスを先行して道路の真ん中に工事用重機達が召喚された。彼らはガチガチと変形合体して、道路の交通を妨げず長脚で跨ぐ、言わばタカアシガニのような形態となった。
 地震発生までは幾許もないが、合体したディビジョンズはショベルのアームやベルトコンベアを迅速に稼働させて崖の補修工事を始めた。ヒビが入って如何にも地震に耐えなさそうな箇所は丸ごと削り取り、大岩小岩をベルトコンベアで大型ダンプ、ナックルダンパーまで輸送する。
「わぁ、崖のお裁縫ですかぁ~?」
「ふふ、面白いことを仰いますのね。確かに、そのようなものかと――」
 ディビジョンズがアームを伸ばして金網を張り、速乾性のモルタルを吹き付けていたところ、ついにその時はやってきた。
 ずん、と地下から突き上げてくる揺れが山道を襲う。
「何ですか? この揺れは~」
 紫音が近くの手すりに掴まって席から滑り落ちそうになるのを堪える。反対に境とバルタンは飛び跳ねるように立ち上がって窓の外に視線を向けた。
 予知のあった落石が来るか――しかし予知は妨害された。セプテンバーが召喚した重機達によって。
 崩れ落ちる岩石は予め大半が取り除かれ、まだ腕を伸ばしきれていなかった上方からバラバラと降ってきた岩石は金網がしっかり受け止める。けたたましい金属音がいくつか響いていたが、バスへの被害はない。
「この先は未知ですわね……本来ならばここでバスが潰れていたのですから。心苦しいところではありますが、私はこの世界の未来の為に使命を果たすべく――後は皆様にお任せしますわ!」
「了解っす!」
「任されマシタヨー! アナタは心置きなく自分の道を突き進んでくだサーイ!」
 窓枠に足をかけたセプテンバーは、サムズアップした境とドヤ顔のバルタンに見送られてバスから飛び降りる。その後ろ姿に紫音は最後部のガラス窓越しに手を振った。
「でもでも、今の地震、でしょうか。すごかったですね~」
「そうっすね。でも、地震ってのは連続して起こるのが基本っす。まだ来るっすよ、きっと――」
 境が話している最中に、ガタガタと荷棚が騒ぎ出した。大きな横揺れが持続してバスに襲い掛かる。
「ひゃあ~! 危ないです~」
「大丈夫っすよ、俺達がついてるっすから。あ、えび天食べるっす? 美味しいっすよ」
 地震に怯えた様子を見せる紫音に、境はえび天をすっと差し出す。香ばしい匂いに紫音はすんと鼻を鳴らし、
「もらってもいいんですか~?」
「もちろんっす。食べ終わる頃には、きっと目的地に到着してるっすから」
「えぇ、ワタシ達が保証しますヨー、妖怪バス殿の安全を!」
 紫音の様子が落ち着いたのを見届けて境はバスの窓を開放し、身を乗り出す。セプテンバーの手が行き届いていないこの先は、新たな落石が待つか。
 がらんがらんと空が喧しい。バスの前には雪崩れてくる大岩がいくつも現れていた。
「俺のバス停に切れないものはないっすよ!」
 境は窓枠の側方を掴んでバスの外側まで身を乗り出し立ち上がると、片手でバス停に力漲らせ落石を叩き斬る。物理法則を無視するかのような荒業に落石は真っ二つにされ、バスの上部を越えて崖下に消えていった。
「岩石だろうと何だろうと、なんでも来いっすよ!」
 風を切って気持ちがいい、などと言っていられぬほどに、境は汗だくでバス停を振り回す。バスに降りかかる困難は境の手によって排除された――かに見えたが。
 境を嘲笑うかのように、がらっと崩れてきた落石は斜面のでっぱりをジャンプ台にして高々と飛んだ。境が持つバス停も届かぬところ、しかし確実に放物線はバスの屋根へと着地する。
「あれはさすがに無理っす!」
「ならいよいよワタシの出番デス! 六式武装展開、金の番!」
 ここまで控えていたバルタンは満を持して窓から身を乗り出すと、バスの上部全体に広がる装甲と化して貼り付いた。境の手を逃れていった落石はバルタンの固い装甲の上にバウンドして、やはり崖下に落ちていった。
 バルタンの今の状態は落石など物ともしない無敵状態を誇る。反面自身は全く動けないが、バルタンが貼り付くバスには影響がないのだから、バスは止まることなく目的地へ走り続けた。
 地震は断続的に発生するが、降りかかる脅威は二人が全て引き受けて、紫音は一人もしゃもしゃとえび天を食べている。
 そうしてぺろりと尻尾の先まで食べ終えた頃。
「終点、終点です」
 それまで全く鳴り響かなかったアナウンスが不意に広がった。くぐもった低い声はただ終点であることだけを告げ、バスはゆっくりと速度を落としていく。
「……もう大丈夫っすね」
「お疲れ様デシタヨー」
 境はバス停を下ろし、バルタンは装甲化を解除して車内に戻ってきた。
「ごちそうさまでした~。えび天、とてもおいしかったですよ~」
「ならよかったっす」
 境は再びサムズアップ。そしてバスは完全に停まると、乗車時と同じように昇降口の扉を開く。
「では、今度は私の番ですね~。世界のほつれ……直しに向かいましょ~」
 どこかピクニックにでも向かう雰囲気で、腕を振り上げる紫音と共にバスの旅は終わりを告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月15日


挿絵イラスト