大祓百鬼夜行⑯〜カップルさんいらっしゃい!
●存在しないはずの番組
草木も眠る丑三つ時。UDCアースのとあるゴミ置き場に打ち捨てられた年代物のテレビ。薄い液晶型を見慣れた今、目にするのも珍しい古ぼけたブラウン管テレビ。辺りに電源もなく動くはずのないそれに、ザザザ……と砂嵐が映ったかと思うと、次の瞬間何やら番組のようなものが流れ出す。
「カップルさんいらっしゃい!」
司会と思われる西洋鎧を着こんだ妖怪の声に応えるように、手を繋ぎながら現れた妖怪のカップル。二人は用意された椅子に座ると、司会が促すまま、自己紹介を始める。
「妖狐の風早です」
「百々目鬼の小夜です」
お互い照れた様子で見つめ合う初々しいカップルに、司会の西洋鎧の付喪神――悪の組織ワルイゾー大幹部にして自称アーマー閣下は二人の馴れ初めを訊ねる。
「初めて会ったのは随分前なんですけど、風鈴祭りの日に、わたしの手癖の悪さからつい風鈴を盗んでしまって……初対面なのに彼がかばって、代金も払ってくれたんです」
「それは運命ってやつやねえ……でもほら、彼氏の方も下心みたいなもんがあったんちゃうの?」
「いえ、困っているようだったので手を貸しただけで。けれど余計なことをしたのかと心配になりました」
その時はすぐに別れ、数年後、二人はまた風鈴祭りの日に再会したのだという。いろいろあって、現在は幸せなのだと話す二人に、アーマー閣下は相手に直してほしいことはあるかと訊ねる。
「たぶん無意識だと思うんですけど、未だに物を盗む癖が抜けないみたいで」
「……ご、ごめんなさい。直そうとは思ってるんだけど……」
「盗むのは僕の心だけで充分なんだけど」
「やだもう風早ったら!」
司会者がのろけるカップルに突っ込んで、番組は大いに盛り上がっていた――。
●グリモアベースにて
「みんな、集まってくれてありがとう。みんなの活躍のお陰で雲の道も少しずつ辿ることができているわ。戦力増加は厄介だけど、妖怪たちも頑張ってくれているの。できることを一つ一つやっていきましょうね」
連日力を貸してくれているグリモアベースに集まった猟兵たちの顔を見つめ、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は大きく頷いて見せる。
「UDCアースのゴミ捨て場に放置されたテレビに、存在しないはずの番組が映し出されることがわかったの。それはゲストを呼んでのトークバラエティみたいなんだけど……とにかくそれは妖怪が作ったテレビ番組なんだけど、このまま放置するとUDCアースの現実世界がテレビの中の世界に切り替わってしまうんだって」
カップルを招き、そのトークを楽しむ番組。一見無害なようにも思えるが。
「ほら、リア充憎しの嫉妬の炎が渦巻いて邪神とか呼びかねないでしょ? だからやっぱり止めなきゃいけないの」
真面目な顔でぐっと拳を握りしめると、エリシャはそれでね、と続けた。
「みんなにはその番組の出演者になってほしいの。カップルで行ってもいいし、カップルの振りをするだけでもいいわ。面白い話で司会者を楽しませてきてほしいの」
場が盛り上がると司会が椅子から転げ落ちる。それでダメージを与えることが出来るし、倒してしまえば最終的には骸魂に囚われた妖怪を助けることもできるだろう。
「大切なのは全力で楽しいトークをして盛り上がること。いろいろなエピソードがあるんじゃないかしら。ぜひそれを披露してきてね」
司会者の妖怪は大幹部妖怪と呼ばれ、大幹部だけあってトークの回しが上手いのだそうだ。親しみを与えるためか、なぜか関西弁を使用し、ゲストから軽妙なトークを引き出す凄腕だ。
「せっかくだし、楽しんできてね。みんなが楽しめばきっと番組も盛り上がるはずだから。よろしく頼むわね!」
そう言って片目を瞑ると、エリシャは星型のグリモアを輝かせると、転送を開始した。
湊ゆうき
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」における⑯TVショーへようこそ〜King of Mediaのシナリオとなります。
こんにちは。湊ゆうきです。
どうしてもこのシナリオがやりたかったのです! 昔はよく見てました。
カップルで参加するトークバラエティ番組です。基本的には恋人同士ですが、カップルの振りをしてもいいです。異性同性は問いません。基本的にお二人で参加かと思いますが、UCで召喚するとか、多重人格だとか、二人で会話できそうであれば、おひとり様での参加でも構いません。
同行の方がいらっしゃる場合はその旨お書き添えください。
トーク内容はなれそめでも面白エピソードでも、相手に直してほしいとこでも、なんでもOKです。オチ的なものがあれば、司会者が椅子から転げやすいですが、盛り上がれば何でもOKです!
番組参加者には、番組からプレゼントがあるということで、リプレイの最後に何がもらえたか記載します。MSがダイスで決定するおまけ要素的なものなので、プレイングの成功度には関わりません(アイテム発行もありません)。
プレイングボーナスは「番組の企画に全力で乗っかる(戦わずともダメージを与えられます)」です。
プレイングはOP公開後すぐに受付いたします。
戦場の制圧状況により、最少人数での採用を予定しています。できるだけ早くリプレイをお届けする予定です。
すぐの完結が必要ない状況になれば、書けるだけ書く場合もあります。
それでは、ご参加お待ちしております!
第1章 ボス戦
『大幹部妖怪』
|
POW : 肉刺醍伏流・鏡開き
【背負った巨刃を最上段から振り下ろす攻撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 肉刺醍伏流・丑刻参り
攻撃が命中した対象に【呪傷】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【周囲の物体が変化した付喪神】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : 肉刺醍伏流・大宴会
レベル×1体の【付喪神】を召喚する。[付喪神]は【物理】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠大門・有人」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
純真天使・ペトラエル
淫魔と天使の百合婦々(ふうふ)
妻のピュアさんと恋人繋ぎで登場してキスします。
わたしは元々、復活した邪神再封印の使命を受けて天使界から遣わされました。そして何とかお城の中へ忍び込み、不意打ちは正義に反すると標的を見つけ声を掛けたのです。
「はじめまして!暗殺者です!」
ところがピュアさんに一目惚れしてしまい、その魅力で即骨抜きにされ……はいと返事を♪
他にも色々あって今ではすっかりラブラブ婦々になってしまいました。こんな可愛いのに邪神なんですよね……
封印する事は出来ませんでしたが、ピュアさんが暴走しない様に導こうと日々頑張ってます!
もう一度キスをして退場します♪
とにかく、ペトラは今とても幸せですっ❤️
純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
淫魔と天使の百合婦々(ふうふ)
妻のペトラちゃんと一緒に空から登場してチュッ❤️
懐かしいなぁ〜♪お部屋で遊んでたら、正に理想的な天使の超可愛い女の子が突然現れて〜♪それがペトラちゃんだったんだよね〜♪
つい飛びついて逃がさない様にむぎゅ〜って抱きしめながら〜♪
可愛い可愛いってい〜っぱいキスして〜♪
淫魔の神さまとお姫様と国民的アイドルの魅力を使って「ぴゅあのお嫁さんになって〜❤️」って全力アピールしちゃったんだ〜♪ペトラちゃんの可愛さにぴゅあもメロメロだよぉ〜❤️
去年のクリスマスもデートして、沢山イチャイチャしちゃったね〜♪
ペトラちゃんが奥さんになってくれて〜♪ぴゅあもと〜っても幸せ〜♪チュウッ❤️
●淫魔と天使の百合婦々
スタジオには観覧の客が詰め掛け、番組の始まりを待っていた。照明、カメラ、音響、スタンバイ――OK!
「さあ、それでは早速呼んでみましょうか」
司会者である西洋鎧姿の悪の組織ワルイゾー大幹部――自称アーマー閣下が番組のタイトルであるお決まりのセリフを告げる。
「カップルさんいらっしゃ~い!」
その呼びかけに応え空中から現れたのは一組の可愛らしいカップル。一人は色白の肌に金髪青目の光輝く翼と光輪を持つ愛らしい天使、純真天使・ペトラエル(エンジェル・パラディオン【あなたへ微笑む天使】・f30430)。そうしてペトラエルと仲睦まじげに指を絡め、恋人繋ぎで現れたのは、桃色の髪と同色の蠱惑的な瞳を持つ淫魔の姫、純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の邪神姫【百合淫魔姫】・f30297)である。淫魔である彼女のその美貌は、全ての者を虜にする尋常ならざるものがある。
「これはこれは……随分と可愛らしいお二人さんですねえ」
「愛と奇跡を司る天使ペトラエル・ターンと申します」
「淫魔王国の神様でお姫様で国民的アイドル・ピュアニカだよ❤️」
空中から現れた二人はすとんと着地すると同時にキスをする。もはや挨拶のように口づけを交わす二人に、司会者はいきなり椅子からずっこけた。
「いやいやいや、いきなりですか! まあ仲がよろしいということで」
二人はえへへ、とお互いに顔を見合わせ、手を繋いだまま椅子に座る。
「それで、ペトラエルさんは天使、ピュアニカさんは淫魔ということでしたが……それって世間的には禁断の恋っていうやつですか?」
早速二人の恋の背徳的な魅力に気が付いたアーマー閣下。一応説明しておくが、かれは大幹部。有能なのである。
「はい、わたしは元々、復活した邪神再封印の使命を受けて天使界から遣わされました」
こう見えて特級天使であるペトラエルは、重要な任務を授かっていたのだ。
「おお、それがなれそめですか。詳しく聞かせてもらえます?」
こくり、と頷くとペトラエルは言葉を続ける。
「何とかお城の中へと忍び込みましたが……相手は邪神とはいえ、不意打ちは正義に反すると思いました。ですので、標的を見つけて声をかけたのです」
「ほう、なんと?」
「はじめまして! 暗殺者です!」
アーマー閣下またしても椅子から転げ落ちる。ちなみに転げ落ちるたび、甲冑なので無駄にガチャガチャいって意外とうるさかったりもする。
「そ、それは正直すぎるでしょ~!!」
観覧客も大ウケである。
「懐かしいなぁ〜♪」
ペトラエルの手をきゅっと握ったまま、ピュアニカが無邪気な笑顔を見せる。
「お部屋で遊んでたら、正に理想的な天使の超可愛い女の子が突然現れて〜♪ それがペトラちゃんだったんだよね〜♪」
ちなみにピュアニカは超男性嫌いの可愛い女の子が大好きなお姫様である。自分を暗殺しに来たのが可愛い天使だったらそりゃテンション爆上がりなわけである。
「つい飛びついて逃がさない様にむぎゅ〜って抱きしめながら〜♪ 可愛い可愛いってい〜っぱいキスして〜♪」
さすが絶世の美貌を持つ淫魔である。だが、ペトラエルが惹かれたのは淫魔の誘惑に負けたからだけではないだろう。
ピュアニカを見た瞬間に電撃に打たれたように、彼女は心を奪われてしまったのだ。まさに運命である。
「使命を遂行するために来たのに……すっかりピュアさんに一目惚れしてしまい、その魅力で即骨抜きにされ……」
優しく、時に強く抱きしめられ、唇に、頬に、おでこに、首にと、いたるところを口づけられて。その時のことを思い出して頬を染めるペトラエル。
「淫魔の神さまとお姫様と国民的アイドルの魅力を使って『ぴゅあのお嫁さんになって〜❤️』って全力アピールしちゃったんだ〜♪」
「……そして、はいと返事を♪」
「そんなドラマみたいなことあります? そんなんで運命の相手に出会えるなら、いやあ、僕もちょっと邪神倒しに行こかな」
観客席も大いに笑いに包まれるのであった。
「他にも色々あって……今ではすっかりラブラブ婦々になってしまいました。こんな可愛いのに邪神なんですよね……」
どうしてかしら、と小首を傾げるペトラエルをピュアニカがぎゅっと抱きしめる。
「ペトラちゃんの可愛さにぴゅあもメロメロだよぉ〜❤️」
それでも、と天使の顔を覗かせてペトラエルは真面目な顔できゅっと拳を握りしめる。
「封印する事は出来ませんでしたが、ピュアさんが暴走しない様に導こうと日々頑張ってます!」
「去年のクリスマスもデートして、沢山イチャイチャしちゃったね〜♪」
聖なる夜、誓いの丘と呼ばれる場所にある白亜の教会で、ウエディングドレスに身を包んで永久の愛を誓いあって――。
その時のエピソードも披露し、そのらぶらぶいちゃいちゃっぷりに、アーマー閣下は甘い、甘すぎる……! と呻いていた。
「とにかく、ペトラは今とても幸せですっ❤️」
「ペトラちゃんが奥さんになってくれて〜♪ ぴゅあもと〜っても幸せ〜♪」
最後にもう一度口づけを交わして。二人のあま~い時間は過ぎていった。
「……いやいや、そういうの、帰ってからいっぱいやりなさいよ。もう、ほんとにやってられませんわ。誰か司会変わってくれる?」
二人のらぶらぶっぷりに当てられたアーマー閣下が客席にそう問いかけると、客席から笑い声が起き、大いに盛り上がったのだった。
番組からの二人へのプレゼント💝たこ焼き1年分
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヤクモ・カンナビ
f32793津崎どのとは実の処カップルでは無いが、殊にオブリビオン退治に関しては信頼出来るパートナーじゃ
咄嗟にボロが出ぬ様に嘘は吐かぬが、誤解させる言い方で挑むとするかの
出演理由は「わらわが番組プレゼントに興味を持った」からじゃが…
馴れ初めはひと月前、わらわが一人で地域の慈善活動(※反銀河帝国活動)をしちょった処を要明どのに見られた事じゃった
要明どのは手伝うて下そうたばかりか、わらわを佳う見ても下さる
ちとばかし剽軽じゃが、頼もしいお人と思うて居るよ…って
と、突然然うからかわれると慌てて仕舞うわ!?
わらわ斯様な雰囲気には慣れちょらんのじゃが!?
…ま、斯うからかわれるのも時には楽しいものじゃ文字数
津崎・要明
(f00100 カンナビ団長と)
ヤクモちゃん見た時はショックで。なん、この娘ちっさ!って、16ですよ?
独りで慈善活動とか俺なら秒でやめます
で、大丈夫かなって見てたんすけど、仕事の処理がめっちゃ早くて、条件をインプットするとすぐアウトプットが来る
式抜かして答えだけ書いちゃう人いるでしょ?あれ。
俺、はぁ?って感じ
でも、説明求めると分かりやすく教えてくれて
面倒だと思うんすけど、面倒そうにしないんでなんかいい子だなぁ、と。
分かってるか確認する時、ちょい不安そうにこっち見るのが、もー、かわいくって(顔を寄せる)
いや、理解力疑われてるだけですけどね!
(プライズ目当てでテレビ告白…これ、公開処刑ですよね?)
●全てはプレゼントのために
カップルのそれぞれの個性が出るトーク内容に、西洋鎧のアーマー閣下が絶妙な合いの手を入れて観覧客と視聴者を笑いに巻き込んでいく。しっかり場は温まったスタジオに、次なる二人が呼び出される。
「では、次のカップルをお呼びしましょうか」
アーマー閣下が奥でスタンバイしているカップルに向け、番組のタイトルであるお決まりのセリフを告げる。
「カップルさんいらっしゃ~い!」
呼ばれて現れた二人は少し緊張しているように見えた。ぎこちなく手を繋いで現れた二人は、男性である津崎・要明(ブラックタールのUDCメカニック・f32793)がリードしなければと、ヤクモ・カンナビ(スペースノイドのサイキッカー・f00100)が段差に転ばないようにと気を付けながら手を引いて歩いていく。
「ブラックタールのUDCメカニック、津崎要明と……」
「スペースノイドでスペースシップ『アメノトリフネ』から来たヤクモ・カンナビじゃ」
なんとか自己紹介を済ませて、アーマー閣下に勧められるまま椅子に座る二人。
「ほう、またまた興味深いお二人ですなあ。ひょっとしてまだ付き合い始めたばかりですかねえ?」
なんだか照れくさそうにしているのを、初々しいカップルだとアーマー閣下は思ったようだ。だが、二人が妙に緊張しているのには理由があった。
(「津崎どのとは実の処カップルでは無いが……殊にオブリビオン退治に関しては信頼出来るパートナーじゃ」)
ちらり、とヤクモは要明の横顔を盗み見る。この存在しない番組を放置すれば大変なことになるので、猟兵として止めなければいけないのはもちろんだが、ヤクモが要明に恋人の振りをしてまで付き合ってもらったのには訳があった。
(「出演理由は、わらわが番組プレゼントに興味を持ったからじゃが……」)
気にはなったが一人では出られない。それを快く承諾してくれた要明には感謝の気持ちでいっぱいだ。
そして要明もまた一人決意を秘めていた。いつも世話になっているヤクモが出たいと言った番組なのだ。自分が足を引っ張るわけにはいかない。やるからには全力で。カップルらしく振舞って見せると。
「よかったら、なれそめの方、聞かせてもらえますか?」
アーマー閣下、もじもじしている(ように見える)二人へと、そっと話題のバトンパス。何度でも言おう。彼は大幹部。有能なのだ。
「そうじゃのう、出会いは……ひと月前、わらわが一人で地域の慈善活動をしちょった処を、要明どのに見られた事じゃった」
ここでいう慈善活動とは、反銀河帝国活動――いわゆるレジスタンスとしての活動のことだが、まあさほど間違ってはいないだろう。
「ヤクモちゃん見た時はショックで……なん、この娘ちっさ! って、16ですよ?」
それは嘘偽りのない要明の気持ちだったのだろう。かの銀河皇帝が倒れた今も、その若さで同志たちを繋ぐ役割を担い、グリモア猟兵としても活躍する姿を見ているから。
「独りで慈善活動とか俺なら秒でやめます」
「確かにねえ、そんな風にひとり頑張る姿を見てたら放っておけなくなるのはわかるわー」
「要明どのは手伝うて下そうたばかりか、わらわを佳う見ても下さる」
ちょっと恥ずかしそうにそう告げて、上目遣いで要明を見る。しっかり初々しいカップル感が出ている。
「で、大丈夫かなって見てたんすけど……仕事の処理がめっちゃ早くて、条件をインプットするとすぐアウトプットが来る」
「ほうほう」
電脳魔術士としての能力と、各種のバイオ医療技術と教育により、多彩な知識を得ているヤクモは処理能力もずば抜けている。
「式抜かして答えだけ書いちゃう人いるでしょ? あれ。そんなことできない俺、はぁ? って感じ」
こう見えて努力家の要明にしてみれば、天才肌のヤクモのその能力は想像の範囲外で。そういったタイプは、きっと自分みたいなのとは頭の出来が違うから、迷惑そうにされるのかと思っていたら。
「でも、説明求めると分かりやすく教えてくれて」
「其の様に云うてもらえるほど、わかりやすかったかのう」
「説明するのだって面倒だと思うんすけど、面倒そうにしないんで、なんかいい子だなぁ、と」
「そりゃ気になる子のいい面知っちゃったら、恋のメロディが始まっちゃうわけやねえ。いやー若いってええねえ」
観客席は笑いに包まれる。一体アーマー閣下はいくつなのか。誰もが気になったが、そこは突っ込まないのがお約束。
「それで彼女さんの方も、そんな彼氏さんの熱い視線に気づいてしまったわけやね」
「要明どのは……ちとばかし剽軽じゃが、頼もしいお人と思うて居るよ……」
頼もしいと思っているのは確かなことで。こんな番組にまで出てくれる男気を評価しないはずがない。
「丁寧に教えてくれるヤクモちゃんが、俺に一通り説明して、分かってるか確認する時、ちょい不安そうにこっち見るのが、もー、かわいくって」
そう言って要明は、思い切ってヤクモの肩に手をまわし顔を寄せる。
「いや、理解力疑われてるだけですけどね!」
突然のことにヤクモは年頃の少女らしく頬を染めて慌てる。今まで学んだ教育や知識をもってしても、こういう場でどう振舞うべきかの最適解が見つからない。
(「と、突然、然うからかわれると慌てて仕舞うわ!? わらわ斯様な雰囲気には慣れちょらんのじゃが!?」)
視線だけで要明に訴えかけるが、当の要明はちょっと楽しそうに全力でヤクモを褒めて可愛がる。
「こんな恥ずかしがり屋な彼女がこの番組に出たいって言ったらそりゃ叶えてあげなきゃって!」
「ほほう? いやー意外と彼氏さんを自慢したかったのかもしれませんよー」
「いや、それはわらわが番組プレゼントに興味を持ったからで……」
思わず正直に告白したヤクモを見て、要明は内心焦っていた。
(「プライズ目当てでテレビ告白……これ、公開処刑ですよね?」)
「ああ、結構いますよ、そういう方。でもその彼女さんの気持ちを叶えてあげようとしたわけでしょ? いやー憎いね、このこの!」
お、なんだいけるんじゃないかという流れで、要明はならばとさらに盛り上げる。
「そうです、俺はヤクモちゃんのためなら何だって……番組出演が叶わないなら、賞品だけでも奪うくらいの気持ちで!」
そこでついにアーマー閣下、椅子から転げ落ちたのである。
「いやいやいや、そんな熱い気持ち持ってる参加者さんを門前払いしませんがな。彼女さんも大切にされて嬉しいでしょ?」
「要明どのはわらわのことを佳う気にして下さる……」
「そりゃこんな可愛い子を大切にしないわけがないでしょ!」
精一杯カップルを演じると言った要明は演技とは思えないほどの熱意が溢れている。本来なら、ヤクモのことをカンナビ団長と呼び、こんな風に気安く触れたりなんてする存在ではないけれど。
(「……ま、斯うからかわれるのも時には楽しいものじゃ」)
単なる思いつきに付き合ってくれただけなのに、こんな風に褒められて悪い気はしないとヤクモは内心でふふふと笑う。
そうしてアーマー閣下が盛り上げ、無事にトークが終わり、番組スタッフからプレゼントが渡されると、二人同時に固まったのだった。
ランダムとはいえ、これのために頑張ったのだろうかとちょっと思いながら……。
番組からの二人へのプレゼント💝たわし
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御魂・神治
リア充...
......しゃーない、天将、カノジョのフリしてや
ほれ、実体化
『なんですかその態度は』
ん?こいつか?天将や
不愛想で男みたいな名前やけど女や
馴れ初めか?知らん!急に家に来たんや、てか居たんや
お前の仕事は危なっかしいから言うて、合鍵渡してへんハズやのに玄関開けて押し掛け...痛ァ!
し、出向してきてくれたんや
(天将ケツつねらんといてや!)
『彼が除霊師を始めたのは大学在学中』
『面倒臭がり故に伝統的なやり方が身に付かず、我流にしたんですね、私の助言ではないです』
『何でも爆発オチに持っていくのはどうかと思いますが』
なんでや!爆発オチ最高やろ!
●ツンデレAIに爆発オチを否定された件について
「リア充……か。そうやな、こないな番組放置したらリア充の嫉妬の炎でUDCアースが爆発してまうわ」
存在しないはずのカップルトーク番組の話を聞いた御魂・神治(除霊(物理)・f28925)は至極真面目な顔で頷いた。『んなもん全部爆破したればええねん』が口癖のような神治だとしても、嫉妬の炎でUDC壊滅……それはさすがにどうかと思う。
しかしこの番組はカップルで出演しなければならない。少し考えた後、神治は人工式神の【天将】に助力を願うことにした。
「……しゃーない、天将、カノジョのフリしてや。ほれ、実体化」
いつもはサポートAI的存在として神治を助けてくれる天将のアバターは女性の姿。ユーベルコードを使用すれば、等身大にもなれるので、誰かに頼むより手っ取り早いと思ったのだが。
『なんですかその態度は』
大変真面目で有能な彼女だが、物言いがきつかった。それが人に物を頼む態度ですかと言いたげにむっとした顔で腕を組んでこちらを見てくる天将の納得のいく依頼の仕方をするまで、神治はあと三回くらいやり直しをさせられたのだった。
そんな苦労はありつつも、やってきたスタジオ。いよいよ二人の出番だ。
「では、次のカップルをお呼びしましょうか……カップルさんいらっしゃ~い!」
西洋鎧を着こんだ凄腕司会者、アーマー閣下がスタンバイしていた二人に向け、番組のタイトルであるお決まりのセリフを告げる。
「どうも~。除霊師をしとる御魂神治いうもんや」
柔和な表情でひらひらと手を振って現れた神治と、無言で椅子に座る天将。司会者と観覧客の視線が天将に集まった。
「ん? こいつか? 天将や」
紹介されてもピクリとも動かない天将。もちろん愛想笑いをするはずもない。
「不愛想で男みたいな名前やけど女や」
「これはまたまた不思議なカップルですねえ。えーと、彼女さん、誘拐されてきたとかやないよね?」
無言のままの天将をいじるアーマー閣下。これも閣下の心遣い。少しでも緊張をほぐそうという狙いなのだ。
『誘拐はされておりません』
事実だけきっぱり述べるが、観覧席は疑問符だらけである。
「おっと、さっき喧嘩でもしてきたんですかねえ? 彼女さんが機嫌を直すようななれそめ話でも聞きましょか」
どんなカップルがこようと、自然にトークを回すアーマー閣下。何だって、彼、有能ですから。
「馴れ初めか? 知らん! 急に家に来たんや、てか居たんや」
「おおっと、ここで押しかけ女房疑惑が出てきましたよー。あれですか、こう見えてツンデレなんですか?」
『ツンデレ……違います』
瞬時に情報を検索し、否定する天将。
「そやなあ、確かにツンデレっていうか……お前の仕事は危なっかしいから言うて、合鍵渡してへんハズやのに玄関開けて押し掛け……痛ァ!」
突然痛みを訴えた神治。それもそのはず、天将が見えないように背後からおしりをつねっていたのだ。
(「天将、ケツつねらんといてや!」)
視線で訴えると、この前も見たことがあるむっとした顔で何かを訴えていた。仕方なく、言い方を変える。
「し、出向してきてくれたんや」
「ほう、仕事と言いますと、除霊関係の?」
『彼が除霊師を始めたのは大学在学中』
そこでようやく天将が自ら口を開いた。けれどその顔は相変わらず淡々としている。
『面倒臭がり故に伝統的なやり方が身に付かず、我流にしたんですね、私の助言ではないです』
除霊師としては異色の銃はぶっ放すわ、爆弾を使うわの神治は、態度と口調のせいもあって若干うさんくさい。ただ神治にしてみれば、それでも充分効果はあるし、従来の除霊手順はひどく面倒くさいものなのだから、効率的だと褒めてほしいぐらいだ。
「何かの縁が結ばれたんですなあ。いや、でも彼女さんなんやかんや彼氏さんのこと好きなんでしょ? この際、相手になおしてほしいこととか言うてみます?」
事実と異なることを言われるのは、AI的に正したくなるのだが、この番組の趣旨を理解しているからこそ、そこをスルーし、質問にだけちゃんと答える天将。
『何でも爆発オチに持っていくのはどうかと思いますが』
「なんでや! 爆発オチ最高やろ!」
この相容れない会話に、アーマー閣下、ついに椅子から転げ落ちる。
「いやーどっちの言うこともわかるわ~。爆発オチは男のロマンやねん。でもそれを理解できない彼女さんの気持ちもわからんでもないわ~」
数々のカップルとトークを交わしてきたアーマー閣下はどちらの言い分もわかるわ~と頷いた。これこそが彼が司会者として支持されている証。どちらの肩を持つこなく、誰を傷つけることなく、そして観客を笑いに誘う。
「いや~、僕もね、最期死ぬんやったら爆散して死にたいって思ったりするんですわー」
観客、大うけである。悪の大幹部である彼が爆散するのはきっと視聴者の心に浮かぶ『あるある』なのだろう。
「ほら、爆発でこないにウケるんやで。爆発オチ最高やろ」
『たまにならいいです。何でもはどうかと言っているのです』
相変わらず平行線な二人に、アーマー閣下は一言。
「え、彼女さんいつデレるんですか?」
『ツンデレではないと申し上げましたが?』
その言葉に、観客は笑いに包まれる。何がおかしいのかわからない天将へと、神治はサムズアップ。
「いや~、天将最高やないか」
むっとした天将は、とりあえずもう一度、神治のおしりをつねりあげた。
番組からの二人へのプレゼント💝ハワイ旅行
大成功
🔵🔵🔵
神坂・露
レーちゃん(f14377)。
これはレーちゃんのことを語れるチャンスかもしれないわ!
キッカケは…ダークセイヴァーのすっごく寒くて豪雪地帯よ。
でねでね。助けてくれたのがこの美人な黒服の女の子なの♪
近くの村でしっかり処置してくれたからあたし無事だったのよ。
あたしは雪に埋もれて意識がなくてお礼も言えなかったの。
で。村の人達にこの子の当時の家を聞いたけど誰も知らなくて…。
だからね。外見と顔聞いて助けてくれた場所の周辺の村々を巡って。
一生懸命さがしたらある村でね。見つけたの♪ね?ね?レーちゃん。
初めての時は話しかけてもずっと無視してたのよ。酷いわ。
数か月くらいでやっと返事してくれるよーになって…えへへ♪
シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。
理由も言わずに引っ張り連れてこられたが…なんだここは?
よくわからんから黙って露の発言と司会の者を見守っている。
どうやら好意的な者同士が出演する番組らしいが…ん?
私に好意的な理由は仕事の際に聞いていたから驚かん。
まさか故郷の猛吹雪の中で他の村々を巡っていたとはな…。
露に話を振られ返事をしたが疲れた声を出したかもしれん。
「…食料の調達交渉の場で、突然声を掛けられたな…」
助けたことも顔も覚えてなかったから一瞥しただけだった。
「…とても迷惑な奴だと思ったことを覚えている」
初対面の露の率直な感想だ。盛ってはいない。
「今でも迷わ…っ、うぐ!」
思いきり首を絞められて苦しい思いをした。
●愛は氷の心を溶かす?
「カップル……好きな人同士が出演する番組ってことよね?」
グリモアベースで話を聞くと、この存在しない番組を放置できないらしいし、出演すればどうやら危機は去るらしい。
カップルたちが楽しいトークで盛り上がる番組と聞いた神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は、「これだわ!」ときゅっと拳を握り締めた。
大好きな人のことを思う存分語っていい。それが世界を救うだなんて最高だ。依頼だと言えばきっと断られないだろう。
「これはレーちゃんのことを語れるチャンスかもしれないわ!」
ムーンストーンのような瞳をきらきらと輝かせて、露はうきうきと準備に取り掛かった。
「いや~、今日は楽しいカップルが続きますねえ。神回ですねえ。では、次のカップルをお呼びしましょうか……カップルさんいらっしゃ~い!」
(「……なんだここは?」)
露に手を繋がれ、スタジオに現れたシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は心の底から困惑していた。
目の前には西洋鎧を着たオブリビオンにしか見えない甲冑騎士がいる。それがマイクを手に軽妙なトークをこなし、自分たちの前にもマイク。辺りは自分たちを映すカメラに大勢の観客。露は依頼だからとしか言わず、わけもわからないまま引っ張ってこられたシビラは困惑するしかなかった。
「レーちゃん大好きな神坂露っていうのよ♪ こっちはレーちゃん❤️」
「……シビラだ」
ぎゅぎゅうっとシビラを抱きしめながら露は自己紹介する。よくわからないが、名乗らないといけない雰囲気なので、シビラも淡々と名を告げる。
「これはこれはまた可愛らしいカップルさんですね~。どちらも可愛いけど、雰囲気はずいぶんと違いますね~」
「えへへ、そうなの、そうなの❤️ レーちゃんはとっても可愛いのよー。今日はそれを話しに来たの!!」
シビラの腕をぎゅっと抱きしめたまま、妙に前のめりの露。
(「よくはわからんが、どうやら好意的な者同士が出演する番組のようだな……」)
二人のやり取りを観察し、何となく理解する。しかしシビラは、はてと首をかしげる。露が自分に好意を向けてくれるのは知っているが、こちらから返したつもりはない。
「いやあ、らぶらぶなお二人さんなんですね。では、まずはなれそめでも教えてもらいましょうか」
(「らぶらぶ……? なれそめ……?」)
「キッカケは……ダークセイヴァーのすっごく寒い豪雪地帯でのことよ」
その日は特に激しい猛吹雪だった。普通であれば、出歩くのをためらうほどの猛吹雪。けれどなぜだろうか、シビラはふと見つけてしまったのだ。雪に埋もれて倒れている自分と同じくらいに見える小さな少女を。
「すっごい吹雪だったわ……もう前が見えないくらいで、目の前が真っ白になって……でねでね、その時助けてくれたのがこの美人な黒服の女の子なの♪」
「ほうほう、命の恩人ってやつですなあ。それは運命的ですねえ」
「ずーっと冷たい雪が降る中歩いていたから、身体のあちこちに凍傷を負って。でも近くの村でしっかり処置してくれたから、あたし無事だったのよ」
凍傷はひどいものになれば命にも関わる。見ず知らずの行き倒れたよそ者に適切な処置を施してくれたあの村の人々には感謝の気持ちでいっぱいだ。
「でも、あたしは雪に埋もれて意識がなくて。レーちゃんにお礼も言えなかったの……」
「ははあ、助けても恩を着せるわけでもなく、黙って去っていったんですか」
露と司会者であるアーマー閣下のやりとりを聞きながら、シビラは当時のことを思い出す。故郷は極寒の地だった。熱も命も奪われる冷たい世界。目の前に人が倒れていたから助けた。シビラにとってはそれだけなのだが。
(「私に好意的な理由は仕事の際に聞いていたから今さら驚かん」)
それがきっかけだとすればそうなのだろうと思う。命の恩人へは大なり小なり好意を抱くものだろうから。
「それで、村の人達にこの子の当時の家を聞いたけど誰も知らなくて……」
それならと、シビラから露を託された村人にシビラの外見と顔を聞いて、助けてくれた場所の周辺の村々を巡っては探し歩いた。
「一生懸命探したらある村でね。見つけたの♪ ね? ね? レーちゃん」
雪に慣れていない露が吹雪の中、自分を探して他の村を巡っていたとは知らなかった。露に促され、シビラは鷹揚に頷く。
「初めての時は話しかけてもずっと無視してたのよ。酷いわ……」
「……食料の調達交渉の場で、突然声を掛けられたからな……」
助けたことすら記憶から抜け落ち、その時顔も覚えていなかったから、さらにぴんともこなかった。突然声をかけてくる見知らぬ人間に一瞥をくれただけだった。
それでもしつこくしつこく声をかけてきて。
「……とても迷惑な奴だと思ったことを覚えている」
それが当時の露に対する率直な感想だった。
「ほうほう、それで、冷たい彼女さんをどうやって振り向かせたんですか?」
「大事なのは諦めないこと! だって、ちゃんとお礼を言いたかったんだもの。無視されてもずーっとずーっと話しかけたし、何度でも会いに行ったわ♪」
えへんと胸を張る露に対し、アーマー閣下、ついに椅子から転げ落ちる。
「それ、やりすぎると訴えられますけどねー」
観客席から笑い声が起きる。しかしシビラはにこりともせず、なるほどと頷いていた。あまりうっとうしい時は、訴えると言えばいいのかもしれないと。
「数か月くらいでやっと返事してくれるよーになって……えへへ♪」
幸せそうにシビラの腕をぎゅっとする露。その笑みに会場もつられて笑顔になってしまうほどの幸せな微笑み。
「迷惑って思ったなんてひどいわ。でも今は違うわよね? 頼りになるわよね?」
わくわくと見つめてくる露に対して、シビラはいつも通り淡々と告げる。
「今でも迷わ……っ、うぐ!」
言い終わる前に露に首を絞められた。
「ちょ! 可愛い天使みたいな子かと思ったら、これヤンデレですやん! 露さん、放送できなくなるからやめてくださーい!」
アーマー閣下の珍しく焦った声が辺りに響き……。
「いやあ、いろいろな愛の形がありますよねえ」
誤魔化すように、なんとかうまくまとめられたのだった。
番組からの二人へのプレゼント💝YES/NO枕
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
小雉子・吉備
【蛟】
別に本当の夫婦じゃなくて良いのなら
霓虹ちゃんと同性夫婦を演じて
番組に潜り込んじゃおう
え?キビに男装して欲しい
……って事はキビが旦那役に?
と言う事で晒しを巻いて胸を抑え
タキシードを着て髪型も後ろに纏める感じで整えて
話題の話は、キビが幽世に流れ着いて霓虹ちゃんに拾われて、魔術やらお料理やら色々師事して……そうしてる内に
って感じで、霓虹ちゃんと話を進めちゃえば良いのかなっ?
ある日、自分探しを再開する為に、霓虹ちゃんの元を離れて、その先で骸魂に憑かれて色々あって……猟兵(伏せた方が良いなら伏せつつ)になって、後を追っかけて猟兵になった霓虹ちゃんと再会した後にかな。
[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]
蒼・霓虹
【蛟】
ええ、折角やるならトコトンやりきって
しまいましょう
吉備ちゃんなら男装な麗人も似合っていると思うんですよ、と言う事で事前に吉備ちゃんに似合うの見繕い
わたしも純白のドレスで着飾り
oO(師弟関係からの恋愛も、良い話の流れに使えそうですし……吉備ちゃんの男装姿を見ると、性別が同性だったのが残念で……時々脱線しても良いかなぁ……と思う事も無くも、イケナイイケナイっ!)
話の流れは吉備ちゃんの話からの
流れで
吉備ちゃんは教えがいのある
教え子でしたし娘代わりでも
あったのですけれど
無茶した(猟兵になった事)事を風の頼りで聞いて居ても立っても居られなく後を追って……後はご想像に
[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]
●師弟愛からの新婚さん
「カップルで出るトーク番組、かあ……」
存在しないテレビ番組。けれどそれが世界の危機に連なるものならば。何とか対処したいと思った小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)だが、今のところそういう相手はまだいない。
「でも、別に本当のカップルとか夫婦じゃなくて良いのなら……」
吉備の中にアイデアが閃く。師と慕う優しくて頼りになる存在がすぐそばにいる。
「霓虹ちゃんと同性夫婦を演じて番組に潜り込んじゃおう!」
「ふふ、吉備ちゃん。実はわたしも同じことを考えていました」
「え、霓虹ちゃんも?」
吉備を優しく見つめる蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)が歩み寄ってくるが、その手には衣装のような何かが握られている。
「と、いうわけで。折角やるならトコトンやりきってしまいましょう」
「えーと、それは……ってタキシード!? キビに男装してほしいってこと?」
「吉備ちゃんなら男装の麗人も似合うと思うんですよ」
「ってことはキビが旦那役に? に、似合うかなあ……」
手渡されたタキシードを手に思案顔の吉備。けれど霓虹は絶対似合うと太鼓判を押してくれる。ならばと覚悟を決め、晒しを巻いて胸を押さえて。髪もいつものツインテールではなく、後ろで纏めて整えて。
「……どうかな?」
「さすが吉備ちゃんです。素敵な旦那様ですね」
「霓虹ちゃんも純白のドレス似合ってるよ……ふふ、なんだか楽しくなってきたね」
二人が笑い合うその近くで、虹龍の虹の力が顕現した意思を持つ戦車【彩虹】がそっと寂しそうに佇んでいた。
「……彩虹さん、ひょっとして出たかったんですか……」
「ごめんね、今回はキビと霓虹ちゃんで行ってくるね」
そうして、ちょっと寂しそうな彩虹を残して、二人はスタジオへと向かったのだった。
「では、次のカップルをお呼びしましょうか……カップルさんいらっしゃ~い!」
西洋鎧を着こんだ凄腕司会者、アーマー閣下が番組のタイトルであるお決まりのセリフを告げると、吉備と霓虹は仲良く手を繋いで登場した。
「雉鶏精の小雉子吉備と……」
「虹と幸運を司る竜神・虹龍の蒼霓虹です」
二人が自己紹介すると、アーマー閣下はまずほう、と二人の衣装に目を見張った。
「これまた可愛らしいお二人さんですけど、衣装に気合入ってますなあ。もしやこの番組を式場にしようとしてます?」
今まさに挙式を挙げてきましたといった風情の二人にツッコミを入れると、会場が笑いで満たされる。
「では早速ですけど、なれそめから聞かせてもらえます?」
「えっと、実はキビ、幽世に辿り着くまでの記憶がないんだけど……ともかく、そうして幽世に流れ着いて、そこで霓虹ちゃんに拾われて……」
「ほうほう、またまた命の恩人系の出会いですかねえ」
「霓虹ちゃんはいろんなことができて、だから魔術やらお料理やら色々師事して……」
「なるほど、一つ屋根の下ってやつですな。一つ屋根の下……この響きだけで胸が高鳴りますわな。や、僕が鳴らすんは、鎧のガチャガチャした音だけちゃいますよ」
ちょいちょい小ネタを挟んでくるアーマー閣下。
「吉備ちゃんは教えがいのある教え子でしたし、娘代わりでもあったのですけれどね」
話を受け継いで、霓虹は男装の吉備をにこにこと眺めながら口を開く。
(「師弟関係からの恋愛も、良い話の流れに使えそうですし……吉備ちゃんの男装姿を見ると、性別が同性だったのが残念で……なんてイケナイイケナイっ!」)
なんだか楽しくってちょっと妄想が捗ってしまう。霓虹にとっても、吉備はとっても可愛い教え子だ。この間も桜を見ながら親子水入らず風に楽しい時間を過ごしたのだから。
「その時は、先生として慕っていて。でもあるとき、自分探しを再開する為に霓虹ちゃんの元を離れて、その先で骸魂に憑かれて色々あって……」
そして猟兵になって。その噂を聞いた霓虹が吉備を追いかけるように猟兵になって二人は戦場で再会した。
「吉備ちゃんが無茶したという事を風の頼りで聞いて、居ても立っても居られなく後を追って……後はご想像に」
猟兵になったと聞いて、じっとしていられなくなったのは確かで。戦場で戦う姿は、自分が教える立場だったのに、こんなに立派になったのかと嬉しくて。
「そう、再会したあとにね」
うふふ、と微笑みあう二人。そしてアーマー閣下はそこで盛大に椅子から転げ落ちた。
「ええー、そこまで言っておいてあとはうやむやですか~。続きはWEBでみたいにどっかで見れるんですか? 無料でお願いしますよ~」
観客大爆笑である。けれどアーマー閣下は気づいていなかった。
数々の猟兵たちが出演し、番組を盛り上げたことで知らないうちにダメージをくらい、弱っていたことを。
そうして番組は猟兵たちのおかげで大盛り上がりの内にエンディングを迎えた。
全てが終わった時、司会のアーマー閣下は倒れ、取り込んだ妖怪を残し、骸の海へと還っていく。そうして存在しないはずの番組はひっそりと終わりを迎え、UDCアースの平和は守られたのだった。
番組に出演した猟兵たちに様々な思い出とちょっとした爪痕を残して……。
番組からの二人へのプレゼント💝たわし
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵