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大祓百鬼夜行⑪〜上告、棄却さるべしwith P.U.I

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #コミカル・ギャグ寄り #5/12以降に執筆開始を予定 #参加制限設けておりませんのでお気軽にどうぞ #シリアス描写も可能

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#大祓百鬼夜行
#コミカル・ギャグ寄り
#5/12以降に執筆開始を予定
#参加制限設けておりませんのでお気軽にどうぞ
#シリアス描写も可能


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 許せねぇ、許せねぇ、許せねぇ。
 俺が一体何したっていうんだ。
 釜茹で、石積み、針地獄。挙句トリ公に啄まれながら、毎日全身火炙りだ?
 許せねぇ、許せねぇよう。
 ちょいとばかし、そこらの金目の物を盗んだだけじゃねえか。
 見つかっちまって、殺っちまったのは不味いと思ったぜ、流石によぉ。

 けどそりゃ、悲鳴を上げようとするあの小娘が悪いだろうがよぉ!
 騒がなけりゃあ、命まで盗るこたなかったのによぉ!

 ぴぃぴぃぷうぷううるせぇなあ、いいから早く、走らせろ!
 閻魔様に言ってやんだよぉ、俺は何も悪くねぇ。
 そうじゃなかったら、お前の命を盗ってやるってよぉ!


「oh... 逆恨みも極まってんな。crazyだぜオイ」
 粗方の予知を伝えると、グリモア猟兵エクスデス・エクソシズム(死者還し・f15183)は呆れ混じりの言葉をつぶやいた。
 カクリヨファンタズムとUDCアースで開戦した戦争、大祓百鬼夜行。今回の戦場は、カクリヨファンタズムのバス停だ。そこで待っていると、どこからか現れ、どこかへ向かう、奇妙な形状の「妖怪バス」が現れる。

 しかし今回、このバスが骸魂……オブリビオンによってジャックされてしまう。向かう先は、未知なる『大閻魔』の元。今回の戦争には介入していない存在だが、もしこの『大閻魔』に骸魂が宿ってしまえば、もう戦争どころではなくなってしまう恐れがある。
 早急に、骸魂を叩き潰して阻止するしかない。
 だがなぜそんな相手の元への道筋を、骸魂が知っているのか。
「どうも、この骸魂ってのが極悪人でよ。盗みに殺しで斬首刑、そのままbad ghostになった。そいつを、地獄の獄卒やってた妖怪の方が啄んだ。そしたら、思ったより恨みの強かった骸魂が、妖怪の方を完全に乗っ取っちまったらしい」
 妖怪「波山」。火を噴き不吉な羽音を出すだけの害の少ない妖怪。そんな彼を齧るようにして憑りつく首。さながら、『飛頭鶏』といったところか。食ったはずが食われていたとは、何とも皮肉なことである。

 経緯はともかくとして、やることは単純だ。
 バスジャックした骸魂を倒し、憑りつかれた妖怪を救出する。
「通過するバス停への転送はできるが、突入の仕方や狭いバスの車内での戦い方ってのは、各々に考えてもらうことになる。だが、敵はどうにも頭のネジがトんじまってるようでな、警戒心が薄い。作戦がはまれば楽勝でknock out! 完全勝利もメじゃねえぜ」
 ぱちんと指を鳴らすとともに、転送が始まる。そして、ああと思い出したように手を打つと、猟兵たちに言い忘れたことを叫ぶエクスデス。

「運転手はいねえ、バス自体が妖怪だそうなんでな。けどバスそのものをぶっ壊したり傷付けたりはしないでやってくれ! so so cuteなカワイコちゃんなんでな!」


佐渡
●今回のシナリオに関する注意事項
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 佐渡と申します。今回のシナリオは、カクリヨファンタズムで走る「妖怪バス」をハイジャックした敵を倒すシナリオとなっています。バスへの突入方法や、狭い車内での戦法を工夫することで、戦闘を優位に進められます。
 また、バス自体が妖怪で猟兵たちに協力的です。
 皆様の作戦、そして活躍を全力で描写させていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『飛頭鶏』

POW   :    未練を残す亡者の群よ、我は今死者の夜明けを告げる
【怨念を帯びた鳴き声で蘇った亡霊達が攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    我は呪う、我は怨む。故に燃え落ちよ、世界の全てよ
【燃え盛る火の玉】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【が、しかし大量の炎の雨】を放ち続ける。
WIZ   :    死した我が飛ぶは死後の世界。生者よ、失せるがよい
【呪いを帯びた炎の雨】を降らせる事で、戦場全体が【燃え盛る炎に包まれた地獄】と同じ環境に変化する。[燃え盛る炎に包まれた地獄]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は照崎・舞雪です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 走る、走る、走る。

 妖怪たちの足となるはずの「妖怪バス」は、今まさにバスジャックの憂き目にあい、泣きながら走らされていた。
 ぴぃぴぃ、ぷうぷう。特徴的なクラクションにも似る鳴き声を上げるその姿は、もこっとした毛皮にくりくりの目、丸くて大きなシルエット。どこか愛嬌のあるこのバスは、口汚い言葉と時折吐かれる炎に怯え、涙を流す。

 走る、走る、走る。
 骸魂に憑りつかれた妖怪と共に、このバスをも救うため、猟兵たちの戦いが始まろうとしていた。
トリテレイア・ゼロナイン
さて、この体躯ではバス内部での戦闘は困難ですが…
やり様はあります

バス停から脚部スラスターの●推力移動でバスの天井に飛び乗り●怪力でしがみ付き

(妖怪バスへ)
少々、重いかと思われますが車内の不届き者を成敗するまで暫しのご辛抱を

UCの妖精ロボを起動
車内へ侵入させてバスジャック犯と戦闘

直接相対出来ぬのは騎士として思う所はあれど、貴方を大閻魔の元へ向かわせる訳には参りません
罪を雪ぐ為にその妖怪から離れて頂きます

妖精からの情報収集を元に亡霊の攻撃を細やかな●操縦で車内を縦横無尽に跳び回らせ回避
頭部レーザーの●乱れ撃ちスナイパー射撃で車内の被害を最小限に飛頭鶏を蜂の巣にしてゆきます




 鳴きながら走るその様は、さながらサイレンを鳴らした緊急車両。
 しかし捕まるべきはこちらのバスであり、もっと言うなら早急に対処が必要なのは中の妖怪、それに憑りつく骸魂である。

 涙で腫れた目と疲れた足。限界が近づく中、妖怪バスが、これで幾つ目かもわからないバス停を通り過ぎたその直後。
 丸い背中に感じる重み。思わず悲鳴を上げてブレーキを踏みそうになるが、同時に響いたのは機械的なアナウンスのようでもあり、どこか穏やかな声。
「少々、重いかと思われますが暫しのご辛抱を」
 それが何なのか、妖怪バスにはわからない。
 けれどその言葉で。自分を労わるように撫でたつるりとした触感で。天井の彼が頼りになる人物であるとは感じ取れたのだろう、妖怪バスは一鳴きして答える。それは、骸魂にこれまでの泣かされた声とは大きく違うものだった。

「ちくしょう、ちくしょう、静かになったと思ったらクソ暑ぃ」
 バス車内。悪態をつく骸魂。
 それもそのはず先ほどまで効いていたクーラーが停止、窓は完全に閉まっていた。そのくせ憑りついた鶏は火を吐くものだから車内は蒸し焼き地獄同然。
「おいクソバス! 焦がされたくなけりゃあ、窓を……!」
 悪態をつき、脅しをかけようとしたその刹那。

「ああ、ああ! 窓に、なんだ、窓に!」
 気付いたときには、手遅れだった。
 今こそとばかりに開く窓。同時に飛び込む小さな姿。それは、さながら妖精。
 だが実際は違う。天井に陣取った鋼の白騎士、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の放った偵察用小型ロボ。それこそ妖精の正体である。
 熱気によって敵の集中力を阻害し、合図と同時に奇襲。大柄な彼自身が車内に突入するのではなく、小型機を用いた一斉射撃。騎士としては思うところはあったが、しかし。彼の計略は、見事にはまった。
 射出された細いレーザーは、鶏を傷付けず背後の男……骸魂の目や鼻といったポイントに的中。ぎゃあと悲鳴を上げながら亡霊を呼び出しても既に遅い。
 天井のトリテレイアは車内の情報、敵の状態、バスの残り体力などをスキャンし既に離脱済み。

「もう安心してください、我々が、あなた方を助けます」
 最後に、鶏と妖怪バスに確かにそう告げて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
恨み辛みの感情が完全に悪とは言わないが、逆恨みとはね
在るべき場所に戻してやるとしよう

バス停傍らの街路樹など、バスより高い何かしらに登って待機
バスが接近したなら屋根へと飛び移り、注意しながら車内の様子を伺う
敵から離れた窓を静かにノック。妖怪バスが協力してくれるって話なので、恐らく窓を開けてくれるだろう。そこから車内へ潜入

長時間の戦闘はバスも敵の攻撃を受ける可能性があるので、速攻で行く
神刀の封印を解き、紫の神気を纏いUCを発動。――参の秘剣【紫電閃】

加速して一気に接近。刀は振り回せないので九連続の突きを一気に叩き込む
そのまま押しきれそうなら攻撃、無理なら敵が下手に反撃してくる前にバスから離脱も検討




 妖怪バスはまだ走っている。だが、その姿はもはや暴走とはいいがたい。猟兵たちが来てくれる、それをわかった妖怪バスは、速度を少しだけ落とし、いつでも猟兵たちを迎えられるような準備を整えていた。

「クソ、クソ、嗅ぎ付けられた、クソ……!」
 バスの中で、骸魂は焦りを隠せずにいた。猟兵に見つかったことで思い返されるのは、生前の斬首のその瞬間。繰り返された刑罰の日々。
「ま、まあいい! 向こうが殺ろうとしてくるんだ、先に殺っちまえばいい、それだけじゃねえか……! しょうがねえよなあ!」
 この期に及んで、自己を正当化する言い訳をつらつらと並べる姿は、滑稽が過ぎる。
(――逆恨み、なんてもんじゃないなあれは)
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はそんな様子を窓越しに覗いていた。
 彼は進行ルート上にある街路樹にて待ち構え、屋根へと飛び移った。着地の衝撃は妖怪バスが受け止めてくれ、内部の敵に察知されることもなかったが、もし派手な着地をしてもあの様子だと気付かないかもしれない。彼は苦笑いを浮かべた。

 どちらにせよ、プランは固まっている。あとは、それを問題なく遂行するだけ。
 厳重に封じられた刀を解き、抜き放つ。稲妻を纏い、光を帯びる刃。同時に彼の体は目にも止まらぬ速さで窓から滑り込んだ。
 骸魂がその姿を視界に収めるよりも速く、九つの軌跡が顔に突き刺さり。
 骸魂の傷から血が噴き出し、悲鳴を上げるよりも速く、追い打ちの一閃が火の玉を振り払った。
 合わせて十。それらはまさに瞬き一つの合間に過ぎ去ってゆく。放つ構えのその前から潰された技は車内も鏡介を焼くこともできず、鶏は無傷、骸魂は更に大きく力を削がれ、支配は弱まることだろう。
 だが、鏡介は更なる追撃を辞め、即座に車内から離脱する。――神刀の力は、味方にも同じく振るわれねば彼自身に牙を剥く代物、長期戦になれば、妖怪バスに被害が及ぶ恐れがあった。

「――戦果は上々、だな」
 痛む心臓を押さえながら、彼は呟く。鳴き声を上げたバスに、手を振りながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

空亡・劔
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いてこんな大異変を起こすなんて生意気なのよ!

というかなんか気が抜ける鳴き声ね
このバス!
【天候操作】で強風と雨の注意報
【念動力】で飛びながら風に乗って並走よ
ってつぶらな瞳になんか気が抜けるわねっ
兎に角助けるから開けなさいっ(突入

って炎とか危ないじゃない!
【結界術】で結界をバス内部に展開
【属性攻撃】で氷を武器に付与しつつ結界にも重ねて炎への抵抗性を強化

こんな室内で火遊びとかとんでもない奴ねあんた!
さっさと鎮火させてやるわよ!

二刀による【二回攻撃】で【切断】を狙い

氷の【弾幕】で炎を消しに

これ以上はやらせない
時を統べし者を発動させ
動きを止めれば氷漬けにし
時は動き出す




 妖怪バスはぐるぐるとカクリヨを回っていた。骸魂がそれに気づくことはない。もはや妖怪バスの手綱を握ることなど忘れ去り、来る猟兵への警戒ばかりで頭がいっぱいだ。鳥の頭と噛みつく生首の頭程度では、さしたる警戒もできるはずがないが。

「クソ、なんだ、急に空が曇り出しやがった……」
 車内の骸魂が悪態をつく。バスの中で流れる大雨、強風の注意報のアナウンス。それを猟兵の仕業だとさえ思わずに、骸魂はいつ来る変わらない相手への警戒に精神をすり減らす。
 既に、猟兵は間近にまで迫っていたというのに。
 空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)は既にバスの後方に着けていた。嵐に紛れて浮遊しながら、内部の様子をうかがっている。
「……というかなんか気が抜ける鳴き声ねこのバス」
 正面に回って自分が来たことを伝えてはある。それにしてもぴぃぴぃぷうぷうと鳴きっぱなしだわ、つぶらな眼で期待されているわで、彼女の求めるような恐怖や何かといったものは感じられない。
 世界が恐れる最強の大妖怪、と自称する彼女にとっては些か面白みに欠けるが、今は置く。今やるべきは、自分を差し置いてこの異変を起こした黒幕に一泡吹かせることだから。

 妖怪バスの最後方、尻を小突いて窓を開けさせると、彼女は車内へ突撃する。一瞬呆気にとられたが、骸弾もようやく自身が察知できる形での猟兵の訪れに調子に乗る。
「へへ、のこのこ出たな猟兵ぃ! お前らも俺に濡れ衣を――」
 長ったらしい口上は、途中で遮られた。
 車内に散る水晶の欠片。羽根の形のようなそれが骸魂の時間のみを固定させ、動きを遮る。時間にして、百秒にも満たない。

 ――気付いた時には骸魂は氷漬けになっていた。車内には防炎の結界が敷かれ、額にはバツ印の切り傷。なすすべもないままに戦いは勝利という形で決着していた。
 濡れ衣どころでは済まなかった、ということだろう。舌を抜かれなかっただけ、幸運だったのかもしれないが。

成功 🔵​🔵​🔴​

天王寺・吾郎
次のバス停で待ち構えてるのでアルが、バスが止まらないことを考慮、待っている所で、鶏を12羽召喚。
「ウチが投げるから、バスに窓とか入れる隙間あったら、入って、妖怪を止めておいてほしいのネ。バスが減速したら、ウチも突っ込むから、宜しくアルよ。妖怪を相手してほしいのネ」
鶏をバスに投げて、彼らの羽ばたきで2羽以上バスに入れたら、おそらく、妖怪を相手にすれば、バスも減速してくれるであろう。そしたら、突っ込んで入ろう。
「下手なこと止めるヨロシ。タダでさえ、殺人は重犯罪アル。この世界でも、変わってないヨロシ。だから、止めに来たアルよ」
奴が突っ込んできたら、【功夫】【カウンター】で、相手を地面に叩きつける。





「ウチが投げるから、入って、妖怪を止めておいてほしいのネ」

 未だ走り続ける妖怪バス。そのバス停の一つで待機しながら、自らの技によって呼び出した鶏相手にミーティングを行う姿。
 ――黄色に黒のラインの中華服に、エプロンとコック帽をかぶった大熊猫。色々大渋滞しているが、彼もまた猟兵。天王寺・吾郎(白黒料理人・f32789)は、遠方からの気配を察知して、集めた鶏たち抱きかかえて体勢を整える。

 妖怪バスは遠くの彼の姿を認めると、すぐに窓を全開にした。
「おい、おいこのクソバス! 何勝手に窓開けてやがる!」
 当然それに気付いた骸魂は怒りながら身を乗り出す。妖怪バスを怒鳴りつけ、ついでにやってくるかもしれない猟兵を真っ先に見つけるための行動。
 だが、その目前に迫ったのは、甲高い鶏の鳴き声と鋭い足爪だった。

「うぎゃぁあああぁぁぁぁ……」
 情けない悲鳴をドップラー効果と共に周囲に響かせながら、少し先でバスが停車した。ぴぃぴぃという鳴き声でバスが吾郎を呼ぶ。急いで停車したバスの元まで行き、窓から中を覗いてみれば。
「ひぃ、ひぃい! 鶏は、鶏は勘弁してくれぇ!」
 呼び出された十二羽すべてが骸魂、憑りついた男の顔を踏みつけている。一方の骸魂の方は抵抗もできずに泣き言を漏らすだけ。憑りつかれた妖怪の方も、急な同族の訪れに攻撃などしようハズもない。
「下手なこと止めるヨロシ。殺人は重犯罪アル!」
 びしと指……指? を指して骸弾に語る吾郎。しかしその言葉に、骸魂は反応した。
「重罪、重罪ィ?! だったらお前らはなんなんだよォ! 斬って撃って引っ掻かせて、お前らはお咎めなしじゃねぇかよォおお!」
 行動の意味を棚上げに、行為のみを引き合いに出して叫ぶ骸魂。力で無理やり妖怪を従わせ、背後に怨念の群れを呼び出しながら先頭で跳びかかる。

 が。
 パンダはパンダでも、彼は猟兵。
 闇雲な突撃を受け流し、そのまま投げ倒す。地面で殴るような衝撃を与えるのとは違い、相手の衝撃を自分の体を通し、そして相手の狙った部位に「流して」「返す」。内なる力を鍛える武術あってできる芸当。
 ダメージに口も効けぬ骸魂。仰向けになったため動きがとれぬ鶏の妖怪。
 バスは停車。もはや決着は目前だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
逆恨みとは
骸魂さんらしいですけれども
そんなこと許しません

ランさんを召喚

飛行してバスに並び
開いている窓から内部に突入します

にゃんぱらりと着地したら
竪琴を起動&UC発動

UCの状態異常力は
心の闇の浄化&封魔です

これらを旋律に乗せて放ちます

破魔の音色で鳴き声を阻害し
亡霊召喚を阻止~減弱

また憐れみや優しさを込めて爪弾き
亡霊たちを慰め
成仏を促します

手下にされるとはお可哀そうに
どうぞお休み下さい

骸魂さん
全く反省の色が見られないようです
お仕置きが必要なようですね
覚悟下さい

そのまま封魔の音の波紋で攻撃し
妖怪さんとの分離を促します

終幕
骸魂さんへ鎮魂の調べ
ちゃんと罪を認めて償って下さいね

波山さん
大変でしたね
なでなで




 ついに停車した妖怪バス。骸魂は立てこもりに方針を転換し、妖怪バスと自身の憑いた妖怪を盾にしてなんとか自分は生き残る算段を立て始める。
「ちくしょぉ! お前らさえいなければ、閻魔王に無罪放免にしてもらうはずだったってのに、畜生ォ!」
 そんなことが叶うはずもないのに、妄言を喚く骸魂。

 ――だが、その叫びも一度止む。そのわけは、遠くから聞こえる謎の音色。
 竪琴の物悲し気な音色は、柔らかい慈悲の曲を奏でる。足音なく、窓の外を走るなにものか。機械的な光沢ではなく生物が放つ光は、道路上になどいるはずのない魚の鱗に相違ない。

「なんとも、逆恨みとは」
 軽やかな声音と共に、咎めるような台詞。巨大な影を追うようにして右、左と顔を揺らしていた骸魂が目の前に視界を戻せば、そこには想像の三分の一程度低い位置に、大きな羽根つき帽子があった。視線をつばで隠し、小脇に竪琴を抱えたまま。それは、一見して決して戦う戦士の姿ではない。
「ぶ、ぶはははは! てめぇ、そのナリで何しに来たんだガキんちょ!」
 嘲笑。そのうえで、骸魂は叫びをあげ、背後に悪霊を呼び出す。
 様子だけを見れば完全に弱い者いじめの構図。しかし骸魂はそれこそを望んでいた。自身が圧倒し、誰にも文句を言わせない。そんな在り方が。

 そして骸魂は背後の亡霊をけしかけた。自分は、突然現れた小柄な姿を痛めつける様を、特等席から笑うために。
 車内に、そよ風が吹く。空調のものではない涼風。それに合わせて流れ出す旋律。生死を問わず、鼓膜ではなく心を揺らす魔法の旋律。召喚された悪霊は、動きを辞め、その形を半ば崩す。
 なにをした。そんな言葉を叫ぶより早く。
 しゃん、しゅたんと飛ぶ姿。帽子の下には猫の顔。浮かぶ表情は叱るような怒り顔。箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は曲を変えた。
 不安を急き立て、心を乱す分断の音色。三色の魔力が互いに不和を誘い、鶏の体から骸魂の頭を引き剥がす。
「な、なにしやが――ッ」

 しゃんぱらり。抜かれた刃がひらりと泳げば、骸はあるべき海へと沈む。
 幕引きは、いつだって静かなもの。裁きは、いつも一瞬なのだ。

 全てが終わった仄々はぴぃぴぃ鳴く妖怪バス。こけぇと喉の調子が戻った波山。そして足になってくれた目旗魚を労わりながら、アンコールに応えるのだった。
 最後のナンバーは、鎮魂歌。
 罪人には贖いを。であるなら彼らにも慈悲を、と。


 こうして、妖怪バスのジャック事件は解決した。
 未知なる閻魔王に対する情報は未だなく、謎に包まれたまま。しかし今回の、敵対するようなことがないのが幸いだろう。

 妖怪バスは人懐こく、彼らとの別れを惜しみながらぴぃぴぃぷうぷう鳴いた。
 かような妖怪たちを守るためにも、勝利を齎さねばならないだろう。
 猟兵たちの戦いは、まだ続いてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月18日


挿絵イラスト