大祓百鬼夜行⑮〜彼は皆の幸せを願ったが
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ツバメさん、黄金を持っていっておくれ。
雲の道が出来てゆく。猟兵たちが大祓骸魂の元へ向かう。
雲の道を作るために黄金を使えば使うほど骸魂が目を覚ます。
でも、世界を守るためにはこうするしか……。
それで……、それで?
何だったっけ?
とても大事なことを忘れてしまった……。
そうだ。
僕の手でみんなにしあわせを持っていこう。
僕が死んでも、みんなが僕を忘れてしまっても。
僕の――愛は揺るがない。
それが本当に――。
●
「妖怪親分の1人が見つかったわよ!」
フェアリーのグリモア傭兵ネミ・ミミーニーズ(f00595)が、胡散臭い『真の姿アンケート』片手に大騒ぎしている。
世界は『カクリヨファンタズム』、『大祓百鬼夜行』。
誰からも忘れられていたという古の究極妖怪『大祓骸魂』が動き出した。
忘れられたが故に干渉できない敵に対抗するため、妖怪たちがその身を捧げる。
相手は『西洋親分『しあわせな王子さま』骸蝕形態』。
王子様は完全に意識を奪われた「骸蝕形態」へと変貌している。
崩壊し続ける肉体で、自身が消えてしまう前に1人でも多くの者に『幸せ』を与えようとしてくる。
「状況が状況なので説得は無理だと思う。普通に倒しちゃっても助けられないってわけじゃないからそこは安心ね!」
そして、いつもよりテンションの高いネミが状況の追加説明に入る。
「今回は親分のすごいプレッシャーのおかげで、いきなり『真の姿』になれるわよ!」
普段なら窮地にならなければ真の姿を開放することはできない。だが今回は王子様の影響で最初から真の姿になることが出来る。
真の姿になることは必須ではないが、せっかくの機会なので利用してみるといいのではないだろうか。
「だいたいそんな感じね! それじゃー頼むわよ!」
今にも真の姿になりそうなネミが、猟兵たちを送り出した。
背腹かえる
プレイングボーナス……真の姿を晒して戦う(🔴は不要)。
立ち向かう猟兵達は、王子さまの膨大な虞の影響により、窮地になくても「真の姿」に変身して戦う事ができます。
●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●ご挨拶
背腹かえるです。よろしくお願いします。
戦争シナリオ、ボス戦フラグメント1つで完結。
相手は『西洋親分『しあわせな王子さま』骸蝕形態』となります。
●参加の際のお願い
プレイングに『真の姿』になるかどうか明記していただけると助かります。
第1章 ボス戦
『西洋親分『しあわせな王子さま』骸蝕形態』
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POW : 骸蝕石怪変
自身の【黄金の剥がれた部位 】を【異形の姿】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD : 部位崩壊弾
レベル分の1秒で【切り離した体の部位(遠隔操作可能) 】を発射できる。
WIZ : 崩落の呪い
攻撃が命中した対象に【崩落の呪い 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象の皮膚や装甲が剥がれ落ちること】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
田中・陣
幸せなおうじさま、かあ。
今回の行動も自己犠牲であると思えば
ぴったり本来の性質通りなのかも。
しかし、なかなかいい根性してるよね。
期待には応えたい所ですし、体を張って
行きましょう。
パワーフードの棒付きの飴を咥えつつ距離を詰めます。
相手の様子を見て、体の一部が異形になる
タイミングを見計らいます。
その攻撃が刺突などならば懐中時計で受け止め、
ある程度の面積を持つ異形ならば、拳で攻撃して破壊します。
どちらかというとこのカウンター破壊がメインの目論見。
十分な範囲を破壊できない場合は
そのまま前進して直接殴って破壊します。
真っ直ぐ進んでぶん殴る愚直スタイルですけど
あいにくそれ以外のやり方なんて知りませんしね。
「幸せなおうじさま、かあ」
田中・陣(ヘイトフル・ドレッド・f19381)は、黄金が舞い飛ぶ不思議な光景を見据える。
不思議な光景の中心。王子さまは骸魂に心を歪められても、まだ皆のためにその身を捧げようとしている。
「しかし、なかなかいい根性してるよね」
声のした方へと視線を向け、王子さまは何かを訴えている。
「僕の、黄金で――」
既に会話できる状態ではない。ここに残っているのは、同じ言葉を繰り返すだけの抜け殻。このまま放っておくわけにはいかない。全力で立ち向かい、解放する。
「今回の行動も自己犠牲であると思えば、ぴったり本来の性質通りなのかも」
王子さまの期待に応えるため、陣は拳を握りしめる。
猟兵の接近に反応し、王子さまから放たれるプレッシャーが攻撃的なものへと切り替わる。剥がれ落ちた黄金が攻撃と自己犠牲の念を宿し、リング状に変形して向かってくる。
「あれは……」
その形状がドーナツなのだと、陣は理解した。本来なら優しく差し出されたであろう贈り物も、骸魂に歪められた今は凶器でしかない。黄金のドーナツを拳で叩き壊し、王子さまに迫る。
「みんなを――、しあわせに――」
王子さまは、黄金の剥がれた顔で不気味な囁きを繰り返す。黄金で出来たお菓子が、贈り物を受け取らなかった陣へ次々と襲い掛かる。
「邪魔」
陣は冷たく言い放つ。これはもう王子さまのしあわせを思う心が宿った黄金ではない。棒付きの飴を咥える。口に広がる甘さで、身体の奥から力が湧き上がる。目の前に現れた食べられないお菓子を、叩き壊す。
ただただ真っ直ぐ進む、殴る。自分に出来るその愚直なスタイルで、王子さまの期待に応える。
「あいにくそれ以外のやり方なんて知りませんしね」
そして、王子さまの表情がよく見えるところまで近づいた。骸魂の暴走に苦しむその顔を、【潰す】。彫像の顔がひしゃげ、その台座ごと大きく吹き飛ぶ。
まず、一発。
大祓骸魂へと届ける全力の戦いは始まったばかり――。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
ここまで覚悟決められて、それで動かねぇなんて真似は俺には出来ねぇ
真の姿になって戦うぞ
まぁ取り繕う余裕がねぇってのもあるがな
追加でダメージを受け続けるなら回復し続ければいい
まだ足りねぇなら皆(剣)で切り裂きつつ相手から奪うし(生命力吸収等)欠けるなら貯蓄から持ってくる
回避は考えない
考える暇があるなら前にでて切り裂く
即死でないなら耐れば勝機はある
…ほら
少しずつ受けるダメージは減っている
だから耐えよう
攻撃が来る
黒纏が弾き破損、俺の血を修復に回し、更に前にでて切り裂く
手が血で滑り握れないなら己が爪をもって攻撃に移る
…ほら天秤は傾いた
今のまま勝てないなら積み重ねて相手を堕とし勝てる所まで持っていくまで
「ここまで覚悟決められて、それで動かねぇなんて真似は俺には出来ねぇ」
王子さまから放たれるプレッシャーを全身に浴び、尾守・夜野(墓守・f05352)が叫ぶ。
既に夜野の姿は獣の気を伴う真の姿へと変貌している。
「まぁ取り繕う余裕がねぇってのもあるがな」
そう発言する夜野の人格が、彼自身のものなのか真の姿の副産物なのかはわからない。その赤い目は、迫りくる戦いだけを見ていた。
「たいせつな、殺し合い――」
全身から放つプレッシャーに対し、どこか空虚な声の王子さま。そんな王子さまへ向かて進む夜野に、呪われた黄金がへばり付く。攻撃は避けない。夜野は攻撃を受けても歩みを止めない。
「現と幻想をさまよえるものよ、死と再生の象徴よ」
夜野の肌がぼろぼろと崩れてゆく。崩壊の呪いをその身に受けながら、夜野は【炎々蝶堕】の力を開放する。王子さまの力で夜野の身体が崩れ落ち、夜野の蝶が崩れる身体をその場で再生する。
真の姿の夜野と、既にあるべき姿を失った王子さまとの命の削り合い。そう、あくまで削り合い。即死じゃない。ならば前に出ることが出来る。勝機がある。
崩壊と再生を繰り返す夜野の歩みは止まらない。蝶と黄金の舞う花道を、不気味な獣が進む。
「しあわ……せ――」
「まだ足りねぇ!」
ユーベルコードの戦いで決着がつかなかった。ならば、次は剣による勝負。
王子さまは台座から動かない。そして夜野も攻撃を避けない。王子さまのサーベルが夜野の身体を大きく斬り裂き、夜野の剣が王子さまを深々と突き刺す。
直撃のダメージは互角。だが、夜野は突き刺した剣から王子さまの命を吸い上げる。ひたすら続いた命の削り合い。ここで、ようやく――。
「……ほら天秤は傾いた」
血塗られた皿が地に落ち、黄金を失った皿が天へと掲げられる。崩れた均衡の中で、夜野の腕が更なる異形化を遂げる。剣を握れなくなった手が、剣以上の暴力を宿す。
「現と幻想をさまよえるものよ――」
骸魂と王子さまが、勝負の天秤から叩き落された――。
大成功
🔵🔵🔵
アイン・セラフィナイト
『幸せ』のために暴走するのか。誰かのために、何者かのために、世界のために、自分を犠牲に。
その覚悟と願いの為に、全力で斃させてもらう。
真の姿に変身する。
攻撃に当たる訳にはいかないな。『暁ノ鴉羽』を周囲に展開、『オーラ防御・見切り・第六感』で攻撃に触れないように立ち回ろう。
UC発動、周囲の無機物を高重量の砂へ変換、西洋親分に纏わせて行動不能に陥らせてみよう。(属性攻撃・範囲攻撃)
忘れない。忘れるわけがない。貴方がいたという事実は、猟兵たちに刻まれる。貴方が成そうとしたその覚悟は、未来永劫刻まれる。
だから……討とう。
『境界術式』展開、魔弾の雨で『リミッター解除・全力魔法・蹂躙』だ!
(アドリブ歓迎)
アイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)は、目を伏せた。
「『幸せ』のために暴走するのか。誰かのために、何者かのために、世界のために、自分を犠牲に」
優しい。そして、力を持たなかった王子さま。力はないが何も出来ないわけではなかった。
目を開き、強い眼差しで崩れゆく王子さまを捉える。
「その覚悟と願いの為に、全力で斃させてもらう」
確かな意志を持って王子さまを倒す。それは王子さまと骸魂を超えて、雲の道の向こうにいる大祓骸魂へと届くことになるのだ。
覚悟を決めたアインの姿が、青年へと変わる。
成長したアインの周囲に、呪いの黄金が舞っている。全力で相手をする。だが、攻撃に付き合う必要はない。アインを守る様、極光の如き輝きを放つ鴉羽の嵐が展開される。『暁ノ鴉羽』から放たれる神性が、呪いの力を弾き返す。
このくらいの攻めなら、とアインが思ったところに。
「全力で、必須条件――」
呪いの黄金が巨大な渦となり、アインと『暁ノ鴉羽』を飲み込まんとする。
「これに触れないよう、全力で受け止めろと!」
守りのために構えていた杖を反転し、アインもユーベルコードの力を解き放つ。
「絆がれた我が盟杖、解け荒む挺身の砂塵、波紋に墜ちる雫が涸る―――!」
【呼び声に応えよ、豊穣の祖よ】で、周囲の散乱したガラクタを砂へと変換する。狙うのは、王子さま本体。全力の攻撃のために黄金の剥がれたその彫像が、高重量の砂への飲み込まれる。
砂に捕らえた。僅かに見える頭に、アインは語りかける。
「忘れない。忘れるわけがない。貴方がいたという事実は、猟兵たちに刻まれる。貴方が成そうとしたその覚悟は、未来永劫刻まれる」
「もし、僕が――」
王子さまから、虚ろな声だけが響く。返事の代わりに王子さまから放たれたのは、呪いを凝縮した黄金の矢。それが、今放てる最後の黄金。砂に埋もれた彫像を飾るものは、もうない。
「だから……討とう」
鋭く放たれた魔弾が最後の呪いを貫通する。魔弾は止まらない。それは王子さまをも突き抜け――。
『親分』の全力を乗り越えた魔弾の行き着く先は――。
大成功
🔵🔵🔵
ティエル・ティエリエル
王子様の相手はお姫様のボクが相手だー!
あっ、ボクがお姫様だってことは終わったら内緒にしててね☆彡
(真の姿のお姫様ドレス姿に変身)
ぽろっと取れちゃった腕を発射してくるから、ロケットパンチだ!とはしゃぎながらも飛び回って回避だー!
遠隔操作でどこまでも追いかけてくるから……ふふーん、ここは王道の手段でいくよ♪
ぐるぐる飛び回りながら王子様の方に突撃!
ロケットパンチが追いかけてきたら、直前で【スカイステッパー】で空中を蹴って急上昇!そのまま自滅しちゃえー♪
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
瓦礫の散乱した薄暗い空間に、煌びやかなドレスを纏ったフェアリーが舞い降りる。
アックス&ウィザーズ世界の妖精の国から、お姫様がいなくなったという話を知る者は多くはない。その名を、ティエル・ティエリア・ティエリエル。
それが世界を元気に飛び回る猟兵妖精、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)の正体だ。
「みんなには内緒だよ☆」
偽名とか変装とかしてないみたいですけど、本当に内緒なんですかね?
「王子様の相手はお姫様のボクが相手だー!」
妖精のお姫様登場から数秒。余韻を残すまでもなく、元気な声が響く。
「お姫様……」
既に意識がないはずの王子さまが、『お姫様』という単語に反応する。恭しく一礼すると、小さなお姫様にその手を差し出す。が、王子さまの反応があったのはそこまで。
差し出された王子さまの腕が、ボロリと崩れ。骸魂の狂気を宿して、お姫様に向かって飛んでくる。
「ロケットパンチだ!」
スーパーロボットでお馴染みの必殺技を見たところで、こちらもお姫様モード終了。いつものおてんば妖精に戻ってしまう。
「わわ、どこまでも追いかけてくるよ!」
追尾してくる黄金の腕を見る目は、もう完全に楽しいイタズラを思いついた時の顔だ。
ぐるぐると螺旋を描きつつ、縦横無尽に飛び回る。螺旋飛行から直線に入り更なる追い上げ。それを追うロケットパンチも更に速度を上げる。
「危なーい!」
王子さまにぶつかる直前に、【スカイステッパー】で急カーブ!
全速力のロケットパンチが、王子さま自身の顔面に炸裂する。
「やったね♪」
いつもより豪華なドレスで、イタズラ成功の決めポーズ。ママに見つかったらタイヘンだ!
王子さまに取り憑いた骸魂の攻撃が王子さま自身に当たったことに重要な意味があったはずだけど。決めポーズ中の本人は気づいてなさそうだ。
「あっ、ボクがお姫様だってことは終わったら内緒にしててね☆彡」
内緒も何も、ドレス以外はいつものティエルちゃんだったと思います。
大成功
🔵🔵🔵
エィミー・ロストリンク
【POW】
すごいプレッシャーを感じる……だけど覚悟も感じるよー
その想いは無駄にはしない。だけどわたし達も諦めないよ!
真の姿:セイレーンの力を解放した大人の女性姿
今の力ならソーダ水の身体に変形し放題と、水の身体とメガリス海嘯拳の津波のちからを合わせて流体回避
さらにラクチェの要石で鉄水を作り出して異形の姿の攻撃を防御する
UC発動で「玉鋼の塗箱」の力で骸魂の力を吸い取って封印
「さまよえる舵輪」でメガリス武装団船からの遠距離攻撃で足を止めて、「ヤヌスの鏡」で分身体を形成
それぞれベルセルク・骸魂無骨を持って打撃と刺突の合わせ技で王子さまの身体を削る
絶対に死なせないよ。猟兵との絆を守る為に、骸魂だけ断つ!
「すごいプレッシャーを感じる……だけど覚悟も感じるよー」
エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)は、目の前に広がる光景からいくつかの不思議な力を感じた。
目に見える形で、黄金が舞っている。それに纏わりつくのは、正体の分からぬ何者か。そして台座の上で猟兵を待つ王子さま。
「その想いは無駄にはしない。だけどわたし達も諦めないよ!」
強い意志と共に、エィミーの身体が急成長する。幼い子供の姿から、魅力的な大人の姿へ。成長した姿から更に力が溢れ出し、エィミーのいた場所にソーダ水の海が出現する。
真の姿となったエィミーはメガリスを手に、【姫君に奉りし三種の海嘯器】の力を開放する。
最初は『玉鋼の塗箱』にて、メガリス海嘯拳の構え。まず骸魂の力を狙う。目標は、周囲を乱れ飛ぶ黄金の異形の1つ1つ。
「まとめて一気にいくよ!」
溢れる闘気をソーダ水の津波に変え、黄金の攻撃を飲み込む。激流と共に『玉鋼の塗箱』を放ち、ソーダ水の中で暴れる骸魂へ叩きつける。
「これで大人しく――、ならない! 次は!」
いくつかの黄金がソーダ水から飛び出す。今度は、骸魂から解き放たれた王子さまの攻撃だ。
『さまよえる舵輪』と共に、エィミーが跳ぶ。氾濫するソーダ水の上にメガリス武装団船が出現し。激しい砲撃戦が始める。攻撃を受けた黄金が砕け散る。小さな金粉となった黄金が、風に乗ってどこかへ消えてゆく。
「あれが雲の道になるのかな?」
消えゆく黄金を見送り、残された彫像を見据える。あの王子さまに全力で立ち向かい、解放する。
3つ目のメガリス『ヤヌスの鏡』を掲げたエィミーが、2人になる。更に黒竜大斧ベルセルクと十字槍「骸魂無骨」。直接攻撃用のメガリスを握るそれぞれのエィミーが、最後の攻撃を仕掛ける。
竜鱗の刃が彫像の胸を深く抉る。その奥に見えた鉛の心臓に――。
「絶対に死なせないよ。猟兵との絆を守る為に、骸魂だけ断つ!」
呪詛を断つ一撃が、王子さまのものではない心臓を貫く!
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
真の姿に変身!
と、言っても見た目変わらないんですが。
しかし、体の奥底から満ちるサイキックパワーの熱量は感じます。
真の姿すごい。
西洋親分にはお世話になってます。
そのお世話に報いるためにもここで倒させていただきます。
ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ヨーヨーで親分の攻撃を叩き落としながら【武器落し】。
相手迎撃を避けるために、軌道を【念動力】でカクカクに曲げながら、親分にワイヤーを絡めたところをUC【サイキックブラスト】を叩き込みます。
呪いは【呪詛耐性】あります。
「真の姿に変身!」
そう叫んだのは、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。
「と、言っても見た目変わらないんですが」
本人の言う通り、見た目はまったく変わっていない。ただ静かに、風もないのに摩那の服や髪は揺れている。
「しかし、体の奥底から満ちるサイキックパワーの熱量は感じます」
1歩進めば、降り積もった埃が舞い上がり、摩那の足跡より広い床が顔を見せる。最初は圧倒されるばかりだった王子さまのプレッシャーが、今は摩那を避けて吹き抜けている。
確実にやれる。そう確信出来るだけの力と自信が、体中に溢れている。
いくつもの黄金の塊が戦場に浮いている。その1つにでも掠れば致命傷となる。
「西洋親分にはお世話になってます」
挨拶とともに摩那が取り出したのは『エクリプス』、変幻自在の動きを見せる特別なヨーヨーだ。
「そのお世話に報いるためにもここで倒させていただきます」
「倒され、役目――」
摩那の宣言と、虚ろな返事。そして、王子さまの攻撃が始まる。
目の前に飛んできた黄金に、摩那はヨーヨーを叩きつける。黄金が勢いよく戦場の外まで弾き出され、ワイヤーの軌跡を残してヨーヨー自身も鋭く跳ね返る。
まず1つ。だが残る黄金は多く、こちらのヨーヨーは1つ。そのヨーヨーも、黄金に触れたが故に手元に戻せば呪いを受ける。ならばこのまま――。
「このまま全ての攻撃を弾けば問題ないです!」
サイキックパワーの満ちた今の摩那ならこの攻撃の軌道を変え続けることで全ての黄金を狙える!
1つ目の黄金を弾いた反動で、奥の2つ目へ。1本のワイヤーが、乱雑に飛び交う黄金の全てを1つに繋ぐ。
「そして――」
全ての黄金を弾き出し、摩那はヨーヨーのワイヤーを引く。複雑な軌跡を残したワイヤーが、王子さまの周囲を飛び交い続けたワイヤーが、王子さまの身体に絡みつく。
「――全力の【サイキックブラスト】です!」
ワイヤーを持つ手にもう一方の手も重ね、高圧電流を流し込む。何重にも巻き付いたワイヤーが、摩那の電流を更に増幅され。
彫像の身体から溢れた落雷が、天へと昇って行った――。
大成功
🔵🔵🔵
久遠寺・遥翔
親分、あんたの覚悟は受け取った
なら俺は今の俺が出せる全力で挑ませてもらう!
イグニシオンに【騎乗】
真の姿となりさらにUCを起動して装甲を犠牲に攻撃特化の形態をとる
【戦闘知識】による予測を【視力】による観測と【第六感】で補正した心眼で
相手の強化・弱体箇所を【見切り】
【残像】を織り交ぜて回避しつつ相手の死角を攻める
避けきれない部分は【オーラ防御】を【結界術】でコーティングした多重防御壁で受け薄い装甲を補いつつ
被ダメージは結界で受けた敵の攻撃から【生命力吸収】で回復
【空中戦】で碧き劫焔を纏った両掌による斬撃と【焼却】属性の【2回攻撃】を叩き込む
あんたが示した道を開いて、あんたも骸魂から今解放してやる!
「親分、あんたの覚悟は受け取った」
キャバリア『イグニシオン』に乗って現れたのは、久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)。
イグニシオンの正面、台座を含めた王子さまは、キャバリアの半分ほどの高さだろうか。度重なる猟兵の攻撃を受けてなお、王子さまから放たれるプレッシャーは衰えることを知らない。キャバリアの中にいても、心の奥底から『虞』を引き摺り出されるこの感覚。
負けられない。この虞を超えて、親分の期待に応える!
「ツバメさん……」
王子さまから剥がれゆく黄金が激しく舞い、膨らむ。それはキャバリアを遥かに超える大きさへと異形化し、イグニシオンの頭上に巨大な黄金の船が出来上がる。
「黄金の戦艦……。あれを雲の道にするわけだな!」
攻撃が強力なほど、打ち勝った時のリターンも大きい。強力な攻撃が来るなら、こちらも全力で迎え撃つ。
「なら俺は今の俺が出せる全力で挑ませてもらう! SYSTEM-IGNIS起動!」
最初から全力。遥翔の叫びで、イグニシオンの真のフレームが解放される。そこにユーベルコードによる変形も重ねる。守りは不要。持てる力を全て攻撃に回す。
全てを攻撃に回したイグニシオンに、黄金の船から黄金の弾幕が降り注ぐ。砲撃を躱す為に、一旦真横に飛ぶ。降り注ぐ黄金と砲身が、イグニシオンを追う。
「まだだ!」
逃げ続ける標的を狙うには、砲身の動きだけでは足りない。イグニシオンの動きに合わせ、黄金の戦艦がゆっくりと動き出す。
動き出した。あれだけ大きなものは、一度動き出せば急には動きを変えられない。遥翔はここで攻めに出る。
正面から弾幕に突撃するイグニシオン。薄くなった装甲に呪われた砲弾が突き刺さり――、消える。地上の残像が消えたとき、本体は黄金の戦艦より高く飛んでいた。
黄金の対空砲がイグニシオンを襲う。このままでは直撃、だがもう逃げない。遥翔から放たれるオーラが機体を包み込む。最低限の守りを纏い、イグニシオンは攻撃に全てを賭ける。
「おおぉぉ!」
キャバリアを駆る遥翔の両手が碧く燃える。イグニシオンの両手にも碧い炎が宿る。
「あんたが示した道を開いて、あんたも骸魂から今解放してやる!」
真なるイグニシオンが、碧き劫焔の道を斬りひらく!
大成功
🔵🔵🔵
有州院・こりす
嗚呼、嗚呼…
美しくも気高き魂が失われようとしている事
この上なく哀しゅうございます
UC行使
詠唱省略
王子へ哀切が極まるほど戦闘力も増幅
崩落する闇の体もドレスの花弁も涙の代わり
とめどなく溢れ続ける
愛おしさ故の情熱から限界突破
青薔薇UDCを捧げて捕食
あなたの全てをわたくしの内に
青い薔薇の花言葉をご存知?
「叶わぬ夢」「不可能」…いいえUDCアースの民にとってそれは既に古きもの
「夢叶う」ですわとにっこり微笑
※補足
真の姿『コリス姫』をこりす本人は全く感知せず記憶も残らない
愛深き狂乱の姫君
漆黒の蔓いばらを縒り合わせたような禍々しい闇
装備リボンブローチ&トランプ束は青薔薇に似たUDCに
ステータス絵参照
覚醒時口調
嗚呼、嗚呼……。
美しくも気高き魂が失われようとしている事。
この上なく哀しゅうございます。
献身に全てを捧げる王子さまを嘆く言葉が聞こえた。
声を発したのは『コリス姫』。自ら死地に向かう王子さまに導かれてやってきたのは、愛深き狂乱の姫君。猟兵、有州院・こりすの真の姿。
行使しているユーベルコードこそこりすのものである【スマイルスマイル☆フローラルプリンセス】だが。その力は、より暗く、より深く、そして熱く、愛に満ちたモノ。
「青い薔薇の花言葉をご存知?」
コリス姫が、崩れゆく王子さまに語り掛ける。
「不可能――、ぐりもあでも――」
虚ろな言葉だけを繰り返し、王子さまは目の前の敵に呪われた黄金を叩きつける。
「ああ、王子さま……。わたくしが欲しいのは煌びやかな贈り物ではなく。あなたの愛……」
コリス姫は攻撃を避けない。黄金の呪いを受け、虚ろな身体がボロボロと崩れてゆく。
「僕達が――、繋ぐ――」
王子さまの攻撃が、激しさを増す。コリス姫の身体が、崩れる速度を増す。黄金を失った王子さまもまた、崩れてゆく。
「ああ、王子さま……。どうして愛の言葉をくださらないの?」
悲しい。こんなに愛しているのに。
こんなに贈り物を頂いているのに。悲しい。
あなたがわたくしを満たしてくださらないなら。
あなたでわたくしを満たすしかないではないですか。
全身に黄金を浴びながら、コリス姫は泣いていた。泣きながら崩れていた。
王子さまは、黄金を失った王子さまは青い薔薇に喰われていた。
青い薔薇の花言葉。
「叶わぬ夢」「不可能」……いいえUDCアースの民にとってそれは既に古きもの。
「夢叶う」ですわ。
コリス姫は、にっこりと微笑む。
――いや。
本当に微笑んでいただろうか?
誰が、それを見ることができたというのだろうか?
でも、それでいいのです。わたくしの愛は揺るがない。
それがほんとうに――。
「……あれ?」
有州院・こりす(まいごのまいごの・f24077)が、誰もいない『忘れられたものたちの終着駅』で目を覚ました。
確か西洋親分を助けに来て。すごいぷれっしゃーを感じて……。
どうしたんだっけ?
「よくわかんないけどこりすちゃんたちの勝利なんやろ!」
1人、勝利宣言をするこりす。
その先に、青い薔薇と黄金の道が続いていた――。
大成功
🔵🔵🔵