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大祓百鬼夜行⑲〜バストル・アバウト・レールウェイ

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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「皆さーん! 調子の方はどうですかー? 頑張ってますかー?」
 シーカー・ワンダーは集まった猟兵たちに手を振って挨拶すると、顔の画面に無限めいて枝分かれし、地も宙も縦横無尽に駆け巡る線路を映し出した。

「というわけでですねえ、今大祓百鬼夜行の影響で、こんなことになっちゃってる踏切があるんですよー。どうやら『ごいのひさま』っていうオブリビオンが、いっぱい出て来たのが原因みたいでー……」

 場所はUDCアース。カクリヨファンタズムからあふれ出した妖怪オブリビオン、『ごいのひさま』の影響により、単線の踏切を中心に巨大な迷宮が出来上がってしまったのである。
 見ての通り、線路は凄まじい数に分かれた上に踏み切りすら大量に存在する始末。しかも、巻き込まれたUDCアースの住民たちは事態を察知できず、永遠に上がらない遮断機を待ち続けている。
 しかしながら外部の方は異変を察知できているようで、近くの駅は原因の確認と解決が為るまで全面運休を余儀なくされてしまっている。このままでは、UDCアースの物流に多大な被害をもたらすだろう。

「なのでですねえ、皆さんにはこの踏切迷宮に行って、ごいのひさまを退治して欲しいんですー! ごいのひさまも骸魂に憑かれてるだけなので、正気に戻してあげれば自然とこの現象も治るかとー!」

 戦闘の際の注意事項だが、踏切を無理に渡ってはいけない。
 現在、路線には鬼瓦めいた顔を持つ妖怪車両が走っており、踏切を越えたものを敵味方の区別なく吹き飛ばしていく。
 ごいのひさまは鳥なのであまり関係はないようだが、猟兵の中には無関係で済まないものもいるだろう。
 遠距離攻撃や飛行手段を用いて戦うのが良いかもしれない。


鹿崎シーカー
 というわけでドーモ、鹿崎シーカーです。
 遅ればせながら戦争シナリオ出させていただきます。どうぞよろしく。

●概要
 オブリビオン妖怪『ごいのひさま』が大量に出現した影響で、線路が無限に分かれたり、大量の踏切が出たりして迷宮化してしまったようだ。
 このままでは踏切は永遠に上がらず、他の駅から電車を通すこともできない。
 線路を走る妖怪車両に気を付けながら、『ごいのひさま』を退治してほしい。

●第一章・集団戦『ごいのひさま』
 まるくてもふく、驚かせる為に発光するだけの無害な青鷺火(五位の光)……だった。けれども骸魂に憑かれ、可愛い顔で鬼火を放つようになってしまった。憑いた骸魂が剥がれれば、周囲に漂う鬼火が消えるらしい。
 飛んでいるので、妖怪車両の影響はやや薄目です。

 今回は基本的におひとりさまずつの採用になります。グループでの合わせプレイングも受け付けておりますが、青丸が規定数に達した時点で受付終了となるのでお気をつけください。
 具体的な期限は特に設けません。

 アドリブ・連携を私の裁量に任せるという方は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると助かります。ただし、これは強制ではなく、これの有る無しで判定に補正かけるとかそういうことはありません。

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 集団戦 『ごいのひさま』

POW   :    ゆらゆらひのたま
自身が装備する【青と橙の鬼火】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD   :    ごいごいふれいむ
レベル×1個の【青と橙】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    ついてくる
攻撃が命中した対象に【青か橙の炎】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する「青と橙の鬼火」】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メアリー・フェアチャイルド
●SPD

殺戮鉄道を疾走する憤怒の形相の鬼瓦トーマスだ!コワイ!!
なーんて、踏切に入らなきゃいいだけだもんね
機関砲とかミサイルとか積んでないだろうし、へーきへーき
もし轢かれちゃっても、あたしデッドマンだし元に戻せるもんね……戻せれるのかな?
やっぱ、安全牌をとっておこ

んじゃ、さっそくごいのひさまを集めよっか
踏切迷宮を歩き回って良さげな場所があったら、そこであたしちゃんのギターで鳥の声を真似た音色を奏でる【楽器演奏】の【パフォーマンス】で集めるよ
集めたら狩りの時間だぞ、うぉらぁ!
【気合い】の入った『鋼音の咆哮』で纏めてシビれさせてあげる
音の衝撃波で飛ばしてくる炎も消すけど、線路の中には落とさないよ!



 長く伸びる線路に沿って歩きながら、メアリー・フェアチャイルド(サンダーボルト・f25520)は左側頭部についたマイナスネジを手で絞めながら練り歩いた。
 ここはUDCアース。大挙して押し寄せたオブリビオン妖怪の悪影響を受け、無限めいて分裂し歪み果てた踏切の近くだ。
 無数に枝分かれした線路は、あるものは真っ直ぐ、あるものは急カーブを描いてどこへと知れぬ場所を目指す。ジェットコースターレールのように浮かび上がり、曲がりくねったものすらある。
 そして、天地を縦横無尽に駆け巡る線路のあちこちに、永久に上がらない踏切と、それを待ち続ける人々がいる。
 スマホを見ながら時間を潰す若者。踵を苛立たしげに打ち鳴らす中年。彼らに、この異常風景は見えていない。恐らくは、いつもと変わらぬ平時の光景を認識している。
 メアリーは首をぐるりと巡らせる。滅茶苦茶な線路の真上を走る電線に、身を寄せ合って止まるバスケットボール大の丸い鳥たちがいた。
 彼らこそこの空間の原因、『ごいのひさま』だ。骸魂に取りつかれた彼らがカクリヨファンタズムからあふれ出したことで、踏切はこのようになった。
 さらに、メアリーの真横を突き抜ける鬼瓦じみた妖怪列車。
 ところどころが盛り上がった、紫色の有機的車体を横目にしながら、メアリーは神妙な顔で思索した。
(うーん、やっぱり機関砲とかミサイルとかは無いっぽい?)
(見た目怖いけど……まぁ、普通の列車かな。踏切越えて轢かれなければ大丈夫っしょ)
(最悪轢かれても、あたしデッドマンだし大丈夫……。大丈夫、だよね?)
 両の瞳を上に向け、イメージする。
 踏切をダイナミックに飛び越えたところに、突っ込んできてメアリーを粉砕。バラバラになった四肢があちこちへ飛んでいき―――。
 そこまで想像したところで、メアリーは激しく首を振った。
(あー、やめやめ! やっぱ安全牌とっとこ。もし戻らなかったら困るし!)
(っつーことで……)
 メアリーが足を止めると、そこは無人の踏切であった。
 大量に分裂し、迷宮化したこの路線の中には、待つ者の無い踏切もいくつかある。彼女はここを戦場に選んだ。思い切りギターを唸らせる場所を!
「始めますか!」
 背負っていた機械斧めいたボディを持つエレキギターを体の前に持ってくると、胸に刺さったマシンの杭とギターの末端にアンプ用ケーブルをジャックイン。
 杭が青白い電光をバチバチと放つのを見下ろし、メアリーはギターを掻き鳴らした! GYAAAAAAAAAAAAM!
 鳴り響くサウンドに、ごいのひさまの群れが一斉にメアリーを見た!
「さあ始めるよリサイタル! ライブツアーだ! 全員集合ッ!」
 メアリーはギターを縦に構えると、両手を高速で動かし甲高い音を爪弾き始める。
 森の中で大勢の鳥が鳴くかのようなサラウンドが踏切迷宮に広がっていき、ごいのひさまたちが次々に飛び立った。
 大量のごいのひさまたちは、撒き餌に釣られる小魚の群れめいて密度を増し、メアリーの頭上を旋回して渦を巻き始める。
 暗い空を覆う白と藍色の渦。演奏を続けながら、メアリーは頭上を仰いでニヤリと笑った。
「よーしよしよし、いい子だ。よく集まってきたぞー。そんでもってこれをー……」
 ギターをスタンダードポジションに持ち替え、右手を振り上げる。
 胸の杭から流れる電流がケーブルを伝ってギターへ流れ込むと同時、メアリーは気合いに強張らせた右手を振り下ろした!
「こうだぁぁぁぁぁぁぁッ!」
 ZGYAAAAAAAAAAAAM! 噴火めいた衝撃波が青い稲妻を伴って天空を撃つ!
 竜巻の如き爆音の衝撃波に巻き込まれたごいのひさまたちは一直線に空高くへと打ち上げられ、免れた個体は色めき立ってそこら中を飛び回る!
 その様を見てメアリーはしたりと笑う。
「真上にぶっ飛ばしゃ、線路には落ちないでしょ!」
 直後、衝撃波に巻き込まれなかったごいのひさまたちの目が鋭くメアリーを睨んだ!
 虚空にいくつもの鬼火が出現し、空を眩く照らし出す!
「えっ、ちょ……」
 メアリーが頬を引きつらせた、その時である!
 無数のホイッスルを無軌道に吹き鳴らすような鳥の声と共に、ごいのひさまたちはメアリーに向かって大きく一度羽ばたいた! 一直線に放たれる無数の鬼火!
「うおおおおおおっと!?」
 メアリーはとっさの横っ飛びから地面をゴロゴロと転がり回避! 彼女が居た場所に大量の鬼火が着弾し、CABOOOOOOOOM! 青と橙二色の火柱を吹き上げる!
 片膝立ちから立ち上がって走ったメアリーを追跡するごいのひさまたち!
 次々と生み出される鬼火が追尾ミサイルめいて真っ直ぐにメアリーの背中をめがける!
 メアリーは肩越しに追い付きかかる鬼火を見返り、歯噛みした。
「逃がしちゃくれないか! しょうがないったらもー!」
 素早く前後反転からのギター一奏! ZGYAAAAAAAAAAAM! 突風じみた衝撃波で鬼火を消し飛ばす!
 インパクトの余波を急上昇でかわしたごいのひさまたちは、ピィピィと鳴きながら次の鬼火を周囲に生成。
 メアリーは挑戦的な笑みを浮かべると、ギターを構える!
「熱烈なファンっていうのも悪くないかな! いいよ! その位置なら線路にも落ちないだろうし……まとめてシビれさせてあげる!」
『ピィィィィィィィィィ!』
 怒ったごいのひさまたちの一斉鬼火掃射を、メアリーは荒ぶるギターの音色で迎え撃つ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
一人称:私
二人称:あなた
三人称:~さん

うわー、ここの線路もまたずいぶんと入り組んでしまいました。
これは直すのも大変そうです。

これ以上、線路や踏切が増えて、させらメチャクチャにならないように素早く退治しましょう。

ここはたくさんある踏切を使って戦ってみましょう。
UC【混沌弾球】を発動。

【呪詛耐性】にまかせて、マジカルボード『アキレウス』で、ごいのひさま達を跳ね飛ばす形で【シールドバッシュ】【なぎ払い】。
さらにボードを踏切を支点にしてのクイックターンや、バネにしての【ジャンプ】で追撃していきます。



『ピィピィピィピィ!』
 無数の小鳥がホイッスルじみた鳴き声を上げ、天の川の如き群体となって空を駆ける。その先には、スノーボードじみた板に乗って空中を滑走する黒木・摩那!
 ジェットコースター・レールのようにねじれて上下逆さになったり、あるいは大きくアーチを描く空中線路の隙間を高速ですり抜けながら、摩那は流れる地上を見下ろした。
 上下左右問わず、自由自在に曲がりくねり無数に分かれた線路の数々。点々と設置された踏切。歪められた世界!
 摩那は右こめかみ付近の髪を軽く押さえ、呆れたように呟く。
「うわー……ここの線路もまたずいぶんと入り組んでしまいました。これは直すのも大変そうです」
 刹那、BOMB! 青い火の球が彼女を掠める。追いすがる小鳥の群れ―――オブリビオン妖怪『ごいのひさま』が放つ鬼火のひとつだ!
 ごいのひさまたちは周囲に生み出した青と橙の鬼火を時計回りに回転させながら、摩那をしつこく追跡してくる。
「これ以上線路を増やされても困ります。手早く退治しなくては」
 摩那は速度を落とさないまま後方を振り返り、眼鏡の赤いフレームに触れる。
 レンズに青緑色の文字が無数に浮かび上がり、上から下へ流れていく。線路の世界をある程度見渡した眼鏡型ウェアラブル端末に、摩那は命じた。
「周辺状況を確認。予測計算開始。配置よし……機動開始」
 詠唱を終えると同時、摩那のボードが急加速! 驚いたごいのひさまたちはピィピィと鳴きながらも、気を取り直して忙しく羽ばたきこれを追う!
 ボードの上で中腰姿勢を取った摩那は林間コースを突破するスノーボーダーめいて機動を小刻みに変えながら進行方向の線路を回避!
 背後から打ちだされた鬼火や線路、通りすがった鬼瓦妖怪列車を紙一重で回避しながら突き進んでいく!
『ピィィィィィィィィィィ!』
 BBBBBBBBBBBOOOOOOOOOM!
 ごいのひさまの群れからマシンガンめいて放たれる青と橙色の鬼火の数々! それらはごいのひさまの念力によって、統一意志を持った魚群のようにいくつもの隊列に分化する!
 空中に大きく弧を描きながら歪み果てた線路の隙間を抜け、鬼火の大群が頭上から摩那に襲いかかる! 摩那は前方下向きの矢印を浮かべるレンズに従い下降!
 永遠に上がらない踏切を待つ人々の頭上を突き抜け、一拍遅れて暴風が吹く。通りがかった妖怪車両に命中しそこなった鬼火大群が命中・爆発! KRA-TOOOOOOOOM!
「ARRRRRRRRRRRGH!」
 蛇のように前方車両を持ち上げて悲鳴を上げる鬼瓦妖怪車両! しかして踏切を待つ者たちは無反応。
 妖怪も、迷宮も認識できぬ一般人たちの真上をごいのひさまの大群と鬼火が通過していく! 海中の鉄砲水めいて!
 そして彼らが追撃する先、急上昇する摩那の左右に二つの鬼火隊列が追走し、挟み潰しにかかる! 摩那は宙返りで上下反転してこれを寸前で回避!
 かちあった鬼火が爆発するのを推進力に、頭から真下の線路を急降下していく摩那。万歳体勢を取る彼女の背中に、ごいのひさまたちは大量の鬼火を解き放つ!
 獲物を見つけたピラニア大群じみて急接近してくる無数の火の玉!
 摩那は眼鏡レンズの『WARNING!』表示を見ても動じず、そのまま落下し、両足を曲げて真下の踏切バーをキャッチし大車輪! 遠心力をつけ、ごいのひさまたちめがけて跳躍!
「ふっ!」
『ピィィィィィィ!?』
 驚いたごいのひさまたちが先頭から急ブレーキをかけ、空中玉突き事故を引き起こす。
 つんのめった彼らに摩那はボードの裏側を向け、ドリルめいて回転しながらドロップキックを仕掛けに行った!
 ごいのひさまたちは慌てて羽ばたき、迎撃の鬼火を連射! しかしそれらはプロペラじみて高速回転する摩那のボードに次々と弾かれていく!
「はぁぁぁぁぁっ!」
『ピィィィィィィィィィィィ!』
 拒絶するようにバタバタと翼を動かして喚く先頭ごいのひさまに摩那のボードが命中!
 さらに後続ごいのひさまたちに衝撃が伝播して隊列が一瞬膨らみ、SPAAAAAANK! ごいのひさまたちの戦列の前側が爆ぜた!
 四方八方にすっ飛んでいく丸っこい鳥を余所に、反動で逆側に飛翔した摩那は空中でアクロバットを繰り広げる!
 我に返ったごいのひさまたちが怒りの声を上げ、次々に鬼火を射出! 摩那はそちらを頭上にすると交叉した両腕を掲げて防御態勢をとった!
 彼女のガードの上から鬼火が次々と命中し、爆発! 黒いジャケットとチャイナ服めいたインナーに火が延焼する!
「このジャケット、お気に入りなんですけどね……!」
 顔をしかめて呻く摩那。回避しなかった理由は彼女の足先、斜め下を向いた踏切のバーだ!
 黄色と黒のストライプ模様が摩那のボードが着地した衝撃でたわむ! 目と鼻の先を突っ切る妖怪列車と、体に燃える炎を余所に摩那はピンボールじみた再跳躍!
 なおも撃ち出される鬼火を、頭を支店にしたホイールソーの如き回転により薙ぎ払いながらごいのひさまたちへ特攻!
 距離が徐々に近づいていき―――ZMN! ごいのひさま隊列の内側に食い込み、中から鳥たちを爆散せしめる!
 ボードもところどころ鬼火を灯した摩那は、次なる踏切めがけて垂直ジャンプした。無事なごいのひさまの対空鬼火射撃がそれを追う!
 歪んだ世界の空に、青と橙が満天の流星群じみた軌跡を描いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア
地上には縦横無尽に走り回る列車、
対する相手は空中で影響は少ない……。
……つまりこちらにも同じことが言える、ということです。
行きますよ、レン。空中戦です。

翼竜に騎乗。空対空攻撃を仕掛けます。
さすがに必殺必中の狙撃、とはいきませんが……できないならできないなりに。
エイル、追い込んで。挟み込んで仕留めます。
うちの夜鷹ならオブリビオン相手でもそうそう遅れは取りません。
死角を補い合い、牽制と本命を切り替えながら、一匹ずつ孤立させて墜とす。

鳥撃ちは猟師の本分です。存分に実力を出させていただきましょう。
あまり時間をかけていられる場合でもなさそうですからね。



 迷宮化した踏切のそこかしこで飛び交うごいのひさまたちの鳴き声。爆発する二色の鬼火。
 花火大会じみた喧噪に満たされた空を、シャルロット・クリスティア(弾痕・f00330)もまた鞍をつけた銀のワイバーンにのって飛翔していた。
 滑空する翼竜の真下を、妖怪列車が突き抜ける。
 鬼瓦先頭車両の頭上をすれ違うのはシャルロットのみにあらず。彼女に追いすがるごいのひさまたちが次々に火炎弾を撃ちだしてくるのだ!
「レン! 行きますよ!」
 シャルロットが手綱を引くと、翼竜は一声鳴いて応え急上昇! ぴったりと追いすがってくる鬼火を錐揉み旋回、波模様を描くような軌道、カーブしながらアーチ状になった線路の真下を潜って振り切らんとする!
 背後で通りがかった妖怪車両が側面に鬼火のラッシュを叩きつけられて爆発!
「AAAAAAAAAAAAAARGH!」
 ダメージを受けた蛇じみてのたうち回り、悲鳴を上げる妖怪車両を回避したごいのひさまたちがなおもシャルロットに追随!
 シャルロットは執拗に追跡してくるオブリビオン妖怪たちを肩越しに見つめながら思考する。
(互いに地上の列車を無視できる空中。条件は同じですが、数は多い……)
(こちらの武器は軌道が限られる銃と弓。向こうは自由自在に操れる鬼火。少し不利ではありますが……やることは変わりませんね)
 斜めに背負った長大なマシンガンを抜いたシャルロットは、すぐ真下に止まった夜鷹を見下ろす。ダークブラウンの羽毛を持つ猛禽は真っ直ぐな瞳で主を見返した。
「エイル、追い込んで。挟み込んで一匹ずつ仕留めます」
 甲高い声で鳴いた夜鷹はすぐさま飛び立ち、上空でCターンを決めてごいのひさまたちの群れに突撃していく!
 猛禽の影に驚いたごいのひさまたちは慌ててブレーキをかけ、左右に散開! 夜鷹のエイルは錐揉みしながら右の隊列へ突っ込んでいき、ごいのひさまの一匹をクチバシで射抜いた!
 隊列から弾き出された一匹を、宙返りしたワイバーンの背に乗ったシャルロットがマシンガンで照準! 単発発射!
 BLAM! 銃声とともにエイルに捕らわれた一匹の胴体に火花が爆ぜる! エイルはすぐさまその個体を投げ捨てて湾曲軌道を描いて次の一匹へ!
 狙われたごいのひさまの一匹はエイルの方を向き、周囲に鬼火を呼び出して放つ!
 繰り出される火の玉を猛禽は翼を広げてのバレルロールと、翼を折りたたんだ矢の如き直進を駆使して特攻! クチバシの先をごいのひさまの胸に突き刺した! 即座にシャルロットの射撃! BLAM!
「次っ!」
 鋭く声を発したシャルロットに、翼竜が警戒めいて声を上げた。顔を上げて左右を見ると、両側を挟み込んだごいのひさまたちが大量の鬼火をマシンガンめいて掃射してくる決定的瞬間!
「レン、頼みましたよ!」
 銀のワイバーンは頭を下げて地上の線路めがけて急降下! 彼女たちの居た場所で交錯した鬼火たちは動きを止め、シャルロットを追って直角軌道変更! ごいのひさまたちの念力によるベクトル操作だ!
「これは……あまり時間をかけてはいられなさそうですね。手早く仕留めていかなければ」
 呟き、手綱を引くシャルロット! タイミングを見計らったように突っ込んで来る鬼瓦妖怪列車を羽ばたきホバーでギリギリ避けたワイバーンは、そのまま列車と十字に交錯する軌道で飛翔!
 心配そうに鳴く騎竜のうなじを撫でてやり、シャルロットは優しく言い聞かせる。
「大丈夫ですよ、レン。鳥撃ちは猟師の本分です。すぐに片を付けてしまいましょう」
 直後、後方上空でごいのひさまたちの悲鳴!
 眦を鋭くしたシャルロットは体をひねって背後上空に銃口を突き出した。
 エイルの突撃により隊列を乱したごいのひさまの群れのうち、鷹の足に捕らわれた一匹を撃つ!
 BANG! 撃ち落とされた一匹から跳躍めいて飛び出したエイルに、怒ったごいのひさまたちが鬼火を次々とけしかける!
 大きく羽ばたき、飛び上がるエイルに追いすがる青と橙色の炎たち!
 シャルロットはマークが外れた隙を突いてワイバーンに垂直上昇を命じ、エイルを狙うごいのひさまたちと同じ高度へ! そちらに気づいた何匹かが鬼火をけしかけてくる!
「エイル! 頑張ってください!」
 シャルロットのエールに、夜鷹が鋭い笛の音じみた声を切り返した。
 ワイバーンはドリルめいて回転しながら方向転換。そこへ鬼火を引き連れ、真っ直ぐ向かってくるごいのひさまたちの一匹を、エイルがつかんで高高度へかっさらう!
 その一匹を銃撃するシャルロット! だが直後、撃ち出された鬼火のいくつかがワイバーンの身体に命中! 激しく燃え盛る!
「GYAAAAAAAAAAARGH!」
「レン!」
 激しく羽ばたき暴れるワイバーンの手綱を握り、シャルロットは必死になって御する。
 撃ち抜かれたごいのひさまを宙返りの勢いで投げ捨てたエイルが追撃を狙うごいのひさまの群れへと突撃! それを迎え撃つべく放たれた大量の鬼火が空中で激しく炸裂した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャロル・キャロライン
幾多に分かれる迷宮のような道――。

ですが、いくら無限のように分かれると言っても、地面の上を走っていることに変わりはありません。
背に《神翼》を展開し、上空へと移動。視界内に存在する「ごいのひさま」の位置を確認します。

あれらを私一人で倒していては、時間が掛かりすぎます。
神の御力をお借りいたしましょう。

《神剣》と《神盾》とを構え、UCを用いて同じ装備を持つ幾多の天使を召喚。
彼ら/彼女らとともに一斉に「ごいのひま」に攻撃を仕掛けます。
敵の攻撃は《神盾》と《神鎧》、そして《神衣》をもって捌き、又は弾きつつ接近。
《神剣》の力をもって骸魂を切り裂きます。

不浄なる存在よ、この世界より消え失せなさい。



 BOOOOOM! BOOOOOM……!
 目下で次々と咲く爆炎の花を、キャロル・キャロライン(聖騎士・f27877)は青い瞳で見下ろしていた。
 複雑に入り組んだ線路。走り回る妖怪列車。同僚たる猟兵たちが、大量のごいのひさまと地や空を駆け回って戦い続ける様子が一望できる。
 背中に大きな白銀の翼を生やして浮遊したキャロルは、白銀の剣と盾を装備したまま、冷静に考える。
(やはり数が多いですね。皆さんも奮戦していますが……これでは時間がかかり過ぎてしまいます。私が一人きりで加勢したところで、焼石に水……)
 ひとつ回答を出したキャロルが頷き、手にした剣をゆっくりと掲げる。白銀の刃が、荘厳な鐘めいたサウンドを鳴らしながら光を放ち始めた。
(であるなら、やることはひとつ。神の御力をお借りいたしましょう)
「天より来たれ、神の指! 不浄なりし者たちに裁きを!」
 キャロルが声を張った次の瞬間、剣から閃光が空へと伸びた。
 雲間に到達した光は円状に広く展開。煌めく粒子を撒き散らす。
 余裕のあるごいのひさまたちが全て、空を仰いだ。銀と金が入り混じったような光に覆われた光の天蓋から、ゆっくりと降りてくる無数の人影。
 その人影は皆、キャロルと同じ剣と盾を持ち、青い十字を染め抜いたローブをまとっていた。男女入り混じった体つき。背中から伸びる白銀の翼。頭部は銀色の兜を身に着け、その表情は伺えぬ。
 神々しく眩い光に、ごいのひさまたちは圧倒されて息を呑む。無数の天使たちを降臨させたキャロルは、ごいのひさまの軍勢を見下ろすと、剣の切っ先を突きつけて言い放った。
「不浄なる存在よ、この世界より消え失せなさい。殲滅です!」
 キャロルの号令を受けた天使たちが一斉に翼を広げ、光の雨じみて急降下を開始した!
 流星群じみて降り注ぎながら剣を振り上げ、襲いかかって来る大軍勢は、泡を食って散開するごいのひさまたちに追い付き一匹一匹白銀の剣で斬り捨てていく!
 肉を裂く斬撃の音と姦しい鳥の悲鳴が空を満たす! その中でキャロルもまた流れ星めいてごいのひさまの一匹に急接近し、白銀の剣で一閃! 真っ二つに斬り捨てた!
「ピィィィィィィィ!」
「一匹足りとも逃しません。我が神の名の下に」
 決然たる宣言をした刹那、彼女の背後に回り込んだごいのひさまたちが万歳めいて翼を振り上げ、頭上に大きな鬼火を形成! 振り向くキャロルに投げつける!
『ピピピピピピピピピピピ!』
 突っ込んで来る鬼火のひとつをキャロルは斬り捨て、二発目を盾でガード! 翼を広げた垂直飛翔で三発目を回避し、空中に円弧を描く軌道でごいのひさまたちを迎え撃ちに行く!
 キャロルに鬼火を投げつけたごいのひさまたちは四方八方に飛び散って逃げるが、その逃げ場に天使たちが立ちふさがって剣を振り上げた!
「ピィィィィィィィィ!」
 目を丸くして翼をばたつかせるごいのひさまたちに無言で振り下ろされる白銀の剣!
 だがそれらがごいのひさまたちを唐竹割りにするより早く、別個体のごいのひさまたちが天使の軍勢に鬼火を放って一瞬で火だるまに変えた!
 声も無く焼き払われ、消え去る天使たち。同時に援護の炎を撃ったごいのひさまは別の天使に斬り捨てられた。
 周囲は既に空中大戦めいた有様! 降臨の光景と襲撃の驚愕から復帰したごいのひさまたちが鬼火を次々と繰り出し、天使たちはそれらを盾でしのぎながら接近、剣を打ち振る!
 キャロルもまた同様に宙を舞い、斬り損ねたごいのひさまの一体に追いすがって背後から一刀両断! その時、背後から二重螺旋を描いて飛来した青と橙の鬼火が翼の生えた背中に命中して炸裂!
 BOMB!
「くっ……」
 顔をしかめて体勢を崩すキャロルの全方位から、ごいのひさまたちが押し寄せてくる! 兜を身に着けていないキャロルを頭と見て集中攻撃にかかったのだ!
 生成された傍から放たれる鬼火の数々! キャロルは大きく羽ばたいて体勢復帰し、空を見上げた。
「なんの……!」
 急上昇したキャロルを追って、鬼火が軌道変更して垂直上昇する! 
 キャロルは空中で身をひねって複雑回転。一方向にまとまって飛来する鬼火めがけて、盾を構えて垂直降下した! 横殴りの雨を傘でしのぐが如く!
 BBBBBBBBBBBBBBOMB! 次から次へとぶつかり爆発する鬼火の衝撃が、盾を伝ってキャロルの骨を軋ませる。しかしキャロルの瞳に陰りなし!
「祝福されしこの体。この程度で砕けはしません。はっ!」
 盾を薙ぎ払って最後の一発を打ち払うキャロル。彼女めがけて鬼火を放ったごいのひさまたちは天使たちに斬り捨てられ、あるいは逃走を試みて追い回されている。
 逃がさじと羽ばたく天使に、置き土産めいて投げ放たれる鬼火たち! 天使はこれを白銀の盾で防御し、加速する!
 天使と妖怪鳥が縦横無尽に飛び交う中へ、さらにフリー状態だったごいのひさまたちが鬼火を土星じみて引き連れながら突っ込んでいく。
 戦火拡大! 戦場を素早く見渡したキャロルは刃を振って構え直した。
「これで少しは、皆様の負担も減るはずですね。後は順に抹消するのみ」
 天使と妖怪がドッグファイトを繰り広げるその中心で、キャロルは白銀の羽根を散らして羽ばたいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エメラ・アーヴェスピア
さて、色々あって久しぶりの仕事だけど…まさか戦争が起こっているなんて
情報を集めつつ仕事をするとしましょうか

なるほど、線路に気を付けて敵を倒せばいいのね
…むしろ接近戦をしない私は気楽かしら、ただ線路は守らないと少し危ないかしら
それなら私は『我を護るは不壊の城壁』、防衛と同僚さん達の支援をメインに動くとしましょうか
相手の攻撃を防ぎ、反撃をしたら一度解除する事で追撃も防ぐとしましょう
他の攻撃もほとんどが遠距離攻撃のようだし、私の防壁なら十分守れるでしょう
さぁ、手堅く行きましょう

※アドリブ・絡み歓迎


木霊・ウタ

あんた
あいつ
名前呼び捨て

心情
妖怪たちの覚悟に胸熱だ
大祓百鬼夜行を止めるぜ

戦闘
迦楼羅を炎翼として顕現し飛行

出来るだけ踏み切りを渡らないようにするけど
もしもの時は爆炎による急加速や超機動で躱すぜ

爆炎纏う焔摩天を振るって
炎と剣風で炎の渦を生み出し
鬼火を獄炎にとり込んだり(鬼は地獄仕える配下?だもんな
風で吹き消したりしながら
ごいのひさまを纏めて薙ぎ払う

で倒しながら青鷺火の炎をも獄炎の一部として
増してきた火勢を収束

長大な炎の刃を為し一閃

線路ごと残りの敵を両断&焼却

ごいのひさま
今、骸魂から解放してやる

事後
骸魂へ鎮魂曲を奏でる
安らかにな

ごいのひさま>
サンキュ



 爆炎の翼を生やし、空中を高速バックする木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)の右腕や左膝、左わき腹に炎が燃える!
 衣服を焼き焦がし、肌をジリジリと熱で蝕まれるのを感じながらウタは歯噛みした。ごいのひさまの群れが鬼火を引き連れ、一気に距離を詰めてくる!
「うおおおおおおおおおっ! やられてたまるかよおッ!」
 宙返りから燃える大剣を振りかぶるウタに、ごいのひさまたちは追加の鬼火を撃ち出した!
 ウタは爆炎宿る大剣をフルスイング! 彼の目の前に炎と剣圧で生まれた紅蓮の渦が高速で回転し、鬼火を次々と吸着していく!
 ごいのひさまたちは猛禽めいて目を光らせると、何重もの螺旋軌道を描きながら後退飛翔! 生み出した鬼火を前方で凝集させて巨大化させた!
『ピィィィィィィィィィィィィ!』
 ごいのひさまたちは息を合わせた多人数タックルで巨大な鬼火をビリヤードめいて発射!
 青と橙色を渦巻かせる太陽はウタが蹴飛ばした炎の渦を呑み込んで押し寄せる!
「嘘だろ!?」
 とっさに防御態勢を取ったウタに鬼火の太陽が急接近し、CABOOOOOOOOOOOOOM! 大爆発を引き起こした!
 インパクトをまともに食らったウタが吹き飛ばされる先には、カンカンと音を鳴らす踏切! 遠くの線路から獲物の気配を嗅ぎつけた鬼瓦妖怪列車が迫りくる!
 加えて流星群じみたごいのひさまたちの追撃鬼火連弾! 激しく錐揉み回転するウタは防御態勢をとれぬ!
 それを見上げたエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が、緑の瞳を瞬かせながら呟いた。
「来たわね……」
 踏切と、踏切を待つ人々を背にしたエメラは右手を振り上げた。その頭上をウタが突っ切ったタイミングで叫ぶ!
「防御展開! 我を護るは不壊の城壁!」
 エメラが右手を振り下ろした瞬間、彼女目前の地面を太い金色のラインが横切った。それは真上にバリアめいた光の壁を伸ばし、内から炸裂!
 出現した黄金色に輝く機械の城壁が、振りかかる鬼火をその身で受けて防御した!
 エメラは一歩踏み出し、城壁越しに驚愕するごいのひさまたちを指差す!
「お返しよ! 全門開放! カウンターカノン!」
 城壁に並んだ四角い穴から大型砲台がいくつも迫り出し、金色のビームを発射! ZGYUUUUUUUMZGYUUUUUUMZGYUUUUUUUUUM!
 空を彩る黄金色のストライプ。魔力を充填したビームは大急ぎで飛び下がるごいのひさまの何匹かを呑み込み影を消し飛ばす!
 砲撃をよそに、エメラは背後を振り返った。宙返りで踏切のバーに着地したウタのすぐ真後ろを妖怪列車が突き抜けていく。
「無事? 轢かれないよう気を付けてね」
「ああ、悪ぃな!」
 ウタは体にまとわりついた鬼火を払う。砲撃を嫌って離れたごいのひさまたちがウタを有効射程外に出したことで、追撃が止んだのだ。
 足蹴にした踏切バーをリズムよくたわませながら、ウタが大剣を肩に担ぐ。踏切を待つ人々には、彼もエメラも妖怪列車も見えていない。
「そんじゃエメラ、この人たちも守ってくれよな」
「任せてちょうだい。他の攻撃もほとんどが遠距離攻撃のようだし、私の防壁なら十分……」
 ZZZOOOOOOOOOM! エメラの言葉を遮る爆音!
 城壁からの反撃魔力ビームを回避できる位置に陣取ったごいのひさまの群れが次々と呼び出した鬼火を固め、大型鬼火に変えて城壁を攻撃しているのだ!
 BOOOOOOOOM! BOOOOOOOOM! 万里の長城めいて長大な城壁が爆発に揺らぐ!
 己の呼び出した防壁に向き直ったエメラは、首元のブローチから空中に投影されたホログラム映像を眺めながら険しい顔をした。投げつけられる鬼火に加え、命中箇所を起点に火の手が上がっている!
 エメラは左手を薙いで画面を消すと、右腕を真横に伸ばした。
「一度城壁を消して出し直すわ。注意を引いて!」
「任せろ!」
 炎の翼を広げながら屈み込むウタ。エメラが右手親指と薬指をくっつけ、カウントを読み上げる。
「3、2、1……カウンターウォール解除!」
 エメラが指を打ち鳴らすと同時にウタが跳ぶ! 黄金の光に包まれた城壁が滝めいて地に落ちるところを突き抜け、ごいのひさまの群れへ一直線!
 ロケットじみて炎の尾を引きながら吠える!
「お前たちの相手は俺だ! かかって来いっ!」
『ピィィィィィィィイイイイイイイイイイ!』
 挑発を真っ向から受けたごいのひさまたちは、ウタの遥か前方でO字型のフォーメーション! 生み出した鬼火を中央に飛ばして集め、凝集させて巨大化させ―――協力念動力で射出!
 BOOOOOOOOOOOOOOM! 迫りくる超巨大な鬼火に、ウタは引き絞った大剣の切っ先を向けた。刃にドリルめいて炎が回転!
「おおおおおおおおおおおおおおッ!」
 急加速し、巨大鬼火に刺突を繰り出す! ZGRATOOOOOOOOOOOOOOOOM! 大爆発した鬼火の欠片が斜めに宙をかけ、踏切へと降り注ぐ! エメラはそれらに向かって手をかざす!
「リブート! カウンターウォール!」
 再度突き上げる金光の城砦が、線路もろとも踏切を焼き払わんとする鬼火を片っ端からガードする!
 BOMBOMBOMBOMBOMB! 連鎖する爆音が空気を震わせ、城壁に無数の花火を咲かせる。
 一方で、ごいのひさまたちは一斉に目を剥いた。巨大鬼火が破裂した地点で大剣を真っ直ぐ振り上げたウタの刃が、赤と青と橙の三重螺旋を回す炎の巨大渦を突き上げていたのだ!
 ウタは歯を食いしばり、両腕から大剣へ強いて炎を注ぎ込む。鬼火を無理矢理取り込んだ獄炎は、暴れ牛めいて大剣を激しく震わせた。気を抜けば暴発が待つ!
 しかしウタは括目し、大剣を振りかぶったのだ!
「ぬおおおおおおおおお! お返しだぜええええええええええッ!」
『ピィ――――――ッ!』
 大慌てで散開しようとするごいのひさまたちに薙ぎ払い一閃!
 虚空を右から左へ三色の爆炎斬撃が撫で、無数の煌めきがそれを追う。そして、BBBBBBBBBBBCABOOOOOOOOOOOOM! 連なる爆発が空気を滅茶苦茶に掻きまわした!
 巻き添えになって焼き払われたごいのひさまたち。無事だった個体も爆風に煽られ、木の葉の如く宙を舞う!
 他方、地上ではエメラが空中に向かって手の平を突き出していた!
「私からのお礼もまだよ! 木霊さん、当たらないように気を付けて!」
 ガゴンガゴンと重苦しい金属音を立てつつ、黄金城砦が砲門から砲塔を突き出した。大穴にどこからともなく現れた光の粒を収束させ、ZGYAAAAAAAAAAAAAAAAAM!
 何本もの光線の筋が空を切る! 振り返ったウタは炎の翼をはためかせ、高度を稼いだ。
「うおっと!」
 レーザーたちは一直線に伸びていき、鴉の襲撃を受けた鳩の群れめいて飛び回るごいのひさまたちを一匹一匹襲っていく!
 飲み込まれたごいのひさまたちは蒸発! 蒸発! 蒸発! 爆炎の残滓を魔力砲が貫き、打ち払い、マーブル模様を描き出す。
 範囲内の歪んだ線路や踏切もまた全て消し飛び、広い夜空が戻ってきた。頭上に浮かべたドローンと視界を共有し、それを確かめていたエメラが不意に背後を振り返る。
 踏切で隔てられた道の向こう、停止バーが上がるのを待つ人々の遥か後方からイナゴの大群めいて飛来する無数の影は―――騒ぎを聞きつけ、加勢に来たごいのひさまたちだ!
「いけない……!」
 エメラは目を見開き、指を鳴らして展開していた防壁を解除! 人々の合間を縫って踏切に駆け寄るが、線路の向こうから妖怪列車が暴走してくる! 渡れぬ!
 エメラの顔に焦燥が滲んだ。
(このままじゃ、向こう側の人たちが巻き添えに……!) 
「エメラ! じっとしてろ!」
 後方からウタの声! 炎の翼を広げて急降下した彼は、獲物を捕らえる猛禽めいてエメラを抱きあげ、両足裏からジェット噴射して踏切を高速で突っ切る!
 間一髪、背後を撃ち抜く妖怪列車! 地面スレスレでエメラを下ろしたウタは追加で押し寄せてくるごいのひさまたちへと向かった!
「防壁頼むぜ!」
「了解……!」
 降ろされて軽くよろめきながらも、エメラは右腕を振り上げる! 打ち上げられる城砦!
 ウタは真っ向からごいのひさまたちに突撃しながら、威勢よく声を張った。
「来い! まとめて今、骸魂から解放してやる!」
『ピピピピピピピピピピピピピ!』
 ごいのひさまの群れは全員で宙返りを決めながら鬼火を乱射! 殺人ピッチングマシーンがボールを乱射するかのごとく、円環を作りながら絶え間なく炎を撃ち出してくる!
 ウタは爆炎の翼を左右に広げ、大きく羽ばたいて熱風放出! 飛んでくる鬼火を次々に打ち消した!
 余波に煽られて吹き散らされ、ごいのひさまたちが陣形を崩す。制御を外れた鬼火が明後日の方向に飛翔するのを、エメラの黄金城壁がまとめてガード! 砲口を下方に向け、ビームを掃射する!
 ZGYUGYUGYUGYUGYUUUUUUUM! 大地を連続で穿つ金色の光が粉塵を巻き上げ、運よく逃げ延びたごいのひさまたちを千々に散らす。
 ウタは瞳を動かし、残ったごいのひさまたちを素早く見定めると力強く踏み込んで大剣を振りかぶった! 轟と唸り刀身から燃え伸びる紅蓮!
「サンキューな、ごいのひさま! お前たちだけじゃなく、他の妖怪たちのためにも! この戦い……必ず勝って見せるからよッ!」
 限界まで体をひねり―――振り抜く!
 BOOOOOOOOOM! 放射状に広がった真っ赤な炎が、残ったごいのひさまたちを吹き飛ばした!
 いつしか周囲の、そして空を満たしていた戦闘の音は静まり返り、残った枝分かれ線路がぐにゃぐにゃと歪みながら寄り集まっていく。
 その風景を見回したエメラは指を鳴らして城壁を消滅させると、大剣を地に突き刺して背を伸ばすウタに歩み寄った。
「終わったわね。久しぶりの仕事だったけど……まぁまぁ焦らされたわ」
「ああ……」
 生返事をしたウタは、爆炎の翼を散らした背中に背負ったギターを手に取り、緩やかな音色を流し始める。
 穏やかな鎮魂のロックが響く中、迷宮はひとつに収束していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月13日


挿絵イラスト