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大祓百鬼夜行⑲〜電車で来た

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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「やったぞ、ようやくたどり着いたぞ!」
「だがまだ安心するのは早い。これから我々は骸魂を取り込み、猟兵に倒してもらわなければならないのだ!」
「ならば迅速に倒してもらえるよう、この駅の近くで待とう!」
「それはいい! よし、準備はいいな。それでは行くぞ、骸魂一気飲みだ!」


「で、その結果こんなんなったみたいでして」
 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装備した花園・桃姫が呆れ気味に言った。
「『大江鬼衆』という鬼の妖怪の皆さんがUDCアースの駅近くの踏切で骸魂を飲み込んで猟兵を待っていたらしいのですが……どうやら骸魂に影響されて踏切をそのまま魔改造し『迷宮化』させてしまったようで」
 もちろん普通に改造したわけではない。謎の妖怪パワーにより単線が数百本に増え、いくつもの開かずの踏切で区切られた大迷宮と化してしまった。しかもUDCアースの存在は妖怪を認識できないため、変化に気づかず開かない踏切を永遠に待ち続けているのだとか。
「このままでは電車も通行できず、物流も崩壊してしまいます。ですので大江鬼衆の皆さんたちを倒し迷宮化を解除して欲しいのです」
 カクリヨファンタズムのオブリビオンの例に漏れず、彼女たちも倒せば骸魂が剥がれる。遠慮なく叩きのめしていいということだ。
「ちなみにこの踏切ですが、いくら待っても電車が来ることはない一方、遮断機内に何かが入ればその瞬間に電車が突っ込んできて、中に入った者を何であろうと跳ね飛ばしてしまいます。電車自体には誰も乗っておらず、乗客などの心配はありません。デストラップの一種と思った方が分かりやすいかもしれませんね」
 それは猟兵はもちろん、作り主である大江鬼衆すらも例外ではないという。つまり、どうにかして敵を踏切内に放り込めば電車が勝手に跳ね飛ばしてくれるというわけだ。
「一応UDCアースの普通の人もその辺にいるのですが、認識がずれてるというか存在がずれてるというか、とにかく妖怪とは干渉し合えない感じなので、戦闘の邪魔になることはありません」
 戦闘中に一般人の心配はいらないということだ。もちろんこのまま放っておけば踏切を待ちくたびれて過労死、なんてとんでもない事も起こりかねない故いつまでも捨て置ける話でもないのだが。
「ちなみに彼女たちが踏切に陣取ったのは、駅の近くなら電車でやってきた猟兵がスムーズに戦闘に入れると思ったからだそうで」
 転移があるのに……と呟きながら、グリモアを起動しその転移を発動させるミルケン。
「ともあれ、この事件と彼女たちの善意を捨てておくわけにはいきません。どうか皆さん、お気をつけて」
 そう言ってミルケンは、踏切迷宮の中へと猟兵を送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……踏切と妖怪電車を利用して戦う』

 戦場は迷宮化しており、無数の踏切と線路が入り組んでいます。その踏切は全て遮断機が下りており、無理矢理入れば敵味方関係なく即電車に跳ね飛ばされます。
 一応敵もそのことは分かっているので自分から入っていくことはありませんが、戦闘中気づかずに迷い込んだりする可能性は大いにあります。
 敵が踏切に入るよう誘導する、力尽くで無理矢理放り込むなど色々手を講じてみてください。
 誰かが踏切に入らない限り待っていても電車が来ることはありません。また電車がどこからきてどこに行くのかは、作り主の妖怪すらも知りません。

 敵は『大江鬼衆』という女性型の鬼。とある目的があって活動している集団ですが、今はそれを後回しにして大祓百鬼夜行に協力してくれています。
 戦闘スタイルは金棒による打撃や自己強化を使うパワーファイターです。力はかなり強い反面細かい作戦を立てるのは苦手なので、うまく対処してください。

 それでは、超特急でプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『大江鬼衆』

POW   :    棍棒撃
単純で重い【棍棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    鬼化覚醒
【鬼の力】に覚醒して【大鬼】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    鬼神[リョウメンスクナ】
骸魂【リョウメンスクナ】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【財宝】を消費し、無くなると眠る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ま、まあ、猟兵の移動方法を知らなければ、勘違いしてもおかしくないですかねぇ?

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FMS』のバリアを展開し「踏切」と私で鬼さん達を挟む位置へ配置しますねぇ。
そして【酷郭】を発動、周囲の『地面』や『空気』に『律』を流し込み、制御下に置きますぅ。

『棍棒』の届かない高度を取れればよし、それが難しい場合は、近づこうとする鬼さんの前の『空気』を爆破し、接近させなければ良いでしょう。
そして、鬼さん達の足元の『地面』を隆起させ、「踏切に繋がる急勾配の坂」にした上で、『律』による爆破と『FRS』の[砲撃]で「坂の下の踏切」まで転がすか吹き飛ばして落としますねぇ。



 UDCアースのとある町。そこの駅近辺の踏切が、妖怪によって今迷宮化させられていた。
「ま、まあ、猟兵の移動方法を知らなければ、勘違いしてもおかしくないですかねぇ?」
 その原因が妖怪たちの勘違いと裏目に出た親切心にあると聞いた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、彼女たちの行動にやや困惑しつつも戦いに入るべく踏切迷宮へ向かう。
 空中を浮遊しながら探していると、程なくして迷宮内をうろうろしている大江鬼衆たちが見つかった。
「ここはどこだ! さっき通った気がするぞ!」
「いや違う! 別の踏切な気がするぞ!」
「そもそも私たちはどこへ向かっているのだ!」
 どうやら自分で作っておいて自分で迷っているらしい。骸魂と本来の意識が混ざり合って混濁しているせい……かどうかは分からないが、ともあれ見つけたからにはすべきことは一つ。るこるは踏切と自分で相手を挟むような位置に浮かびつつ、大江鬼衆たちの横にバリアを放つ円盤『FMS』を配置、横への逃げ場を失くす形をとった。
「来たぞ、猟兵だ!」
「やっと見つけたぞ!」
 どうやら猟兵を探して彷徨っていたらしい彼女たち。倒してもらうためと倒すため、奇しくも依代と骸魂の目的が一致していた形だったようだが、それならば戦いに赴く側にも好都合。真っすぐ向かってこようとする相手に、るこるは早々に対処を開始した。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
 【豊乳女神の加護・酷郭】で周囲の空間周囲の空気に『律』を流し込みを、自身の制御下におくるこる。だが空気が変わったことを感知はするが、それが何なのかを気にせず大江鬼衆は一目散に攻めかかってくる。
「よく分からないことをしているが、そう簡単に行くと思うな!」
 伸びあがり、棍棒を振り回す大江鬼衆。流石に直撃とまではいかないが、その勢いは凄まじく外れた棒の風圧だけでも体が揺らぐ。もっと高空に逃げたいところだが、ここは妖怪製の不思議空間、下手をすれば上にまで踏切がありかねない。
 だが、自分が逃げられないのならば、相手を押し返してしまえばいい。るこるはFMSで区切られた空間を操作し、その足元に急な傾斜を作り上げた。
「うおぉ、なんだこれは!?」
 上に伸びあがっていたこともあり、急にバランスを崩す大江鬼衆たち。その中でも丁度飛び跳ねていた一人が着地をしくじり転倒、そのまま坂を転げ落ち、踏切の中に入ってしまった。
「あっ……」
 その瞬間、けたたましい音を立てて電車が突っ込んできた。その鬼は思い切り電車にはねられ、踏切の向こう側へ吹っ飛んでいく。流石に死んでこそいないが、倒れて動かないあたり骸魂が剥がれ気絶しているのだろう。
 あとはこのまま全員落としてしまえば……そう考えるるこるの前で、大江鬼衆たちは一斉に棍棒を振り上げ、横のFMSにむけて叩きつけ始めた。
「道がないなら作ればいい! それが我ら大江鬼衆!」
 見た目に違わぬ脳筋理論だが、直撃すれば猟兵すらKO出来るその力はすさまじく、FMSを吹き飛ばし枠をこじ開けていく。
 その理屈を捻じ曲げる力には感心するが、それで逃がしてやるわけにはいかない。
「足元がお留守ですねぇ」
 バリアをこじ開け脱出した、その瞬間、そのこじ開けられた場所の足元の空気をるこるは爆発させた。脱出に向けてあげていた足を攫われ、大江鬼衆は結局内側へ向けて吹き飛ばされる。
「うわー!」
 宙を舞う鬼衆だが、やはり身体能力は高いのか強引に体を制御、なんとしても転倒と転落は避けようとする。
「それでは、これでぇ」
 それに対し放たれる、浮遊砲台からのとどめの一撃。舞い上がった鬼たちはそれで吹っ飛ぶ軌道を変えられ、纏めて踏切の中に放り込まれた。
 そして突っ込んでくる電車。
「ぬわー!」
 そのまま向こう側へ飛ばされて動かなくなる大江鬼衆。脱出からかちあげ、吹っ飛ばし、そして跳ね飛ばしと何かの装置のような流れが決まり、鬼衆たちはある種彼女たちは骸魂剥がしというゴールへと叩き込まれたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


気遣いの結果で生まれたなら仕方ないけど、
迷宮が出来ちゃったのは微妙に面倒だねえ。
まあ仕方ない、さっさと救出しに行こうか。

さて、相手の攻撃は単純な棍棒の打撃ね。
直接当たるのは見切って避ければいいし、
地形が壊れるて足場が悪くなるのもまあそこまで問題じゃないかな。
それなりに身軽な方だし、悪路や足場の悪さは慣れてるしね。
むしろ向こうの方が動きにくくなるんじゃないかな。

攻撃を避けたら【崩天地顎】で相手を掴んで、
踏切の中に叩きつけて電車にぶつけて倒していこうか。

うーん、一応死なないとは思うけれど、
助けに来た相手を電車に跳ねさせるのは見た目がちょっとおっかないねえ。



 踏切が迷宮化したのは大江鬼衆の仕業だが、そうなってしまったのは彼女たちが踏切に陣取ったが故。そしてその理由は少しでも猟兵の手間を省こうとしたのが裏目に出てしまったから。
「気遣いの結果で生まれたなら仕方ないけど、迷宮が出来ちゃったのは微妙に面倒だねえ。まあ仕方ない、さっさと救出しに行こうか」
 ペトことペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、その結果の伴わなかった気遣いを惜しみつつも、すべきことは一つと踏切迷宮へと乗り込んだ。
 迷宮というだけあってそこは元の街並みを無視するほどに広大だが、集団で騒ぎながらうろついている大江鬼衆たちは割とすぐに居場所が特定できた。
「おお、また誰か来たぞ!」
「猟兵だな! よし、やっつけるぞ!」
 目指す敵を見つけた勢い……というより迷った果てにようやく見つけられた安堵にかられ、一斉に棍棒を振り上げペトへと押しかける大江鬼衆たち。
 その勢いのまま連続で棍棒を叩きつけ、その一撃ごとに大地が揺らぎ地面が巻き上がるが、ペトは冷静にその動きを見切っては跳び、相手の周りから離れるように動いていく。
「思った通り、かなり力強いけど動きは単純ね」
 棍棒が叩きつけられた地面の陥没の深さは彼女たちの力の強さを物語っているが、あくまで強力な力であるがゆえに直撃さえ避ければどうということはない。
 また自分で作った迷宮を自分で壊していっている形にはなるが、もとより身軽な動きを得手とするペトは足場の悪さもそこまで気にするほどの事ではなく、道が単純になる、と考えればそう悪い事ばかりでもない。
 もっともそれらはすべて裏を返せば、一撃でも貰ってしまえば即窮地に追い込まれるということだ。
 ペトは一旦壊れた足場の反対側に着地。陥没や瓦礫を挟んで相手と向かい合う位置を取った。
「ぬぬ、奴め、素早いぞ」
「回り込んで捕まえろ!」
 邪魔になっている破壊された地形を回避し、ペトを追い詰めようとする大江鬼衆。その追い込みを飛び跳ね、瓦礫をかわし、一つの方向目がけてペトは逃げていく。
「この、待てー!」
 それを真っ直ぐ懸命に追いかけていく大江鬼衆。走るうちにその列は伸び切り、折角の数の利を生かせない直線状態へとなっていた。
 その状態を確認し、ペトはある場所へと一気に向かっていく。
「さて、そろそろいいかな。望み通り、お相手してあげよう」
 そう言ってペトが振り返る。その背に負うのは、けたたましく警笛が鳴り響く踏切だ。
「よし、追い詰めたぞ!」
「やっつけろー!」
 後続を待つことなく、追いついた者から棍棒を振り上げ大江鬼衆は襲い掛かってきた。だが躱すときに何度も動きは見切ったうえ、相手も走り回ってからの一撃のためか狙いも荒い。その一撃を難なく躱し、ペトは大江鬼衆の顔面を鷲掴みにした。
「思いっきり、叩きつける!」
 そのまま引っこ抜くように後方にぶん投げ、後ろにあった場所に叩きつける。その場所とはつまり、彼女が背に負った踏切の中。
「あだだ……ん?」
 陥没した線路の中大江鬼衆が体を起こす。その眼前には、線路が壊れていることなどお構いなしに、既に電車が迫っていた。
「うわあああああ!?」
 そのまま壊れた線路を突っ切り、電車は大江鬼衆を跳ね飛ばして去っていく。鬼はそのまま線路の反対側に投げ出され、骸魂が剥がれたのか動かなくなった。
「うーん、一応死なないとは思うけれど、助けに来た相手を電車に跳ねさせるのは見た目がちょっとおっかないねえ」
 ペトの言う通り、この状況は事情を知らない者が見たら殺意満点の残酷な一撃にしか見えないだろう。
 だが、実際これこそが骸魂を剥がし、彼女たちを救出しつつその望みも叶えるために最善の行動なのだ。
 一刻も早くそれを成すべく見た目についての考えを頭から振り払い、ペトは追いついてきた端から大江鬼衆を踏切内に叩きつけていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アノン・カノン
わー、踏切いっぱい…踏切が鳴ってる間は渡っちゃダメなんだよね。
でも踏切を挟んで反対側にも敵はいるし…どうすればいいかな。

こういう時は…パパお願い!
(UC発動)
パパは強いから、電車に撥ねられても平気だよね!
そのまま踏切の向こうまで行ってもらって、そっちにいる敵を攻撃してもらったり、掴み上げて踏切の中に放り込んでもらったりするよ。

アノンも、踏切よりこっち側にいる敵とは自分で戦うよ。
ランスを振り回して【なぎ払い】、距離が離れてるなら【ランスチャージ】で一気に突っ込んで吹っ飛ばしちゃうんだから!
えへへ、パパ見てるー?アノンも戦えてるよっ♪



 大量の開かずの踏切のある踏切迷宮。当然ながらそこにある踏切は全て遮断機が下り、カンカンとけたたましく警笛が鳴り響いていた。
 その踏切の前で、一人の少女が開くのを待つかのようにじっと立っていた。
「わー、踏切いっぱい……踏切が鳴ってる間は渡っちゃダメなんだよね。でも踏切を挟んで反対側にも敵はいるし……どうすればいいかな」
 アノン・カノン(零の堕とし仔・f20149)は踏切を前に、当り前のルールを大事に守りながらも己の役目との板挟みに唇に指を当てて考える。確かに少女らしい仕草ではあるが、豊満な体を持った少女であっても小さい童女ではない彼女はその仕草を見せるにはいささか違和感がある。最も最大の違和感は、その仕草があまりにも自然でわざとらしさの欠片もない事なのかもしれないが。
 ともあれ、彼女は踏切の向こうに敵を見つけ、そして大江鬼衆もまた踏切対岸にいるアノンの姿に気づいた。
「何かいるぞ!」
「あれは猟兵だな! すぐに行かねば!」
 そうは言うものの、踏切を渡れないことは大江鬼衆も分かっている。どうすれば反対側へ渡れるのか、その道を探しきょろきょろし、一部の鬼はとりあえず闇雲に走り出しているその対岸で、アノンは思いついたというように手を叩いた。
「こういう時は……パパお願い! あのひとたちをやっつけて!」
 甘えるようなその声に呼ばれて現れたのは、筋骨隆々の抽選男性、【無敵のパパ】。パパは『娘』の願いに応えるかのように、躊躇なく遮断機を乗り越え踏切の中へと入っていった。
 そして当然の如く、猛スピードで走ってきた電車がパパに突っ込んでくる。一切スピードを緩めることなく電車はパパにぶつかり、そのまま轟音を立てて通り過ぎて行った。
 そして電車が通り過ぎた後にあったもの。それは無傷のままに踏切の反対側に立つパパの姿だった。
「パパは強いから、電車に撥ねられても平気だよね!」
 その光景を、さも当然の事のように見るアノン。幼子にとってパパは世界一強くて逞しい存在。それは疑う余地もない当然の『常識』であり、その信頼がある限り本当にパパは絶対に無敵であり続けるのだ。
 そしてその強いパパは、逞しい腕で大江鬼衆に掴みかかる。
「な、なんだこの男……うぐえっ!?」
 予想外の場所を突っ切ってきた相手に大江鬼衆は一瞬対応が遅れ、一人が喉を掴まれ掴み上げられた。巨漢のパパの頭上まで持ち上げられたその鬼は闇雲に手足を振り回しあばれ、周囲の鬼たちも仲間を助けようと棍棒を振り上げる。
 そして地形すら破壊するほどの振り下ろしが一斉にパパに叩きつけられたが、それは周囲の空気こそ揺るがせどパパの体にはやはり一切の傷をつけることは出来なかった。
 そのままパパは周囲の敵を意に介することなく、掴んでいた鬼を踏切内に放り投げる。即座に電車が来襲し、当然の如く鬼ははね飛ばされ、そのまま踏切の外へ吹っ飛んで動かなくなった。
「わぁ、パパ凄い!」
 その姿に無邪気に手を叩いて喜ぶアノンを、回り道の末ようやく反対側にたどり着いたらしい大江鬼衆が取り囲む。
「こっちを先に倒すぞ!」
 そう言って一斉に襲い掛かる大江鬼衆。彼女たちはそこまで気づいていないが、アノンの想像が元になっているパパはアノン本体こそが泣き所。彼女を狙うのはまさに最良の対策と言えた。
 だがアノン自身もそんなことは意に介することなく、自分のことは自分でするという『良い子』の理屈で無邪気に槍を構える。
「えーい!」
 そのまま大きく横に振りまわして相手の囲みを散らし、孤立した一人に向かって突進し、その腹部に槍を抉りこんだ。
「吹っ飛ばしちゃうんだから!」
 そのまま大江鬼衆異常に豊満で肉付きの良い体の体重をぶつけ、相手を吹き飛ばす。吹き飛んでいった先はもちろん踏切の中で、その鬼はやはり電車にはねられそのまま離れた場所へ飛ばされていく。
「えへへ、パパ見てるー? アノンも戦えてるよっ♪」
 元々半分脱げかけていた服がはだけ、スカートがめくれ上がるのも構わず飛び跳ねてパパに手を振るアノン。パパもそれに答えるよう大きな体を見せつけ、また一人大江鬼衆を踏切に放り込んだ。
 電車で二人の間が遮られ、そしてそれが通り過ぎて再びアノンの姿がパパから見えるようになった時。彼女の槍が一回り膨らみアノンが体をそれにこすり付けるようにしていることに気づける余裕のある大江鬼衆は、もう踏切の向こうにはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神楽・鈴音
私と同じくらいの背丈なのに、あの胸……
くっ……!
これも骸魂の力ね!
そうに違いないわ!

一刻も早くペシャンコにしてやりたいので、踏切に到着するなり、UCで迷宮を展開
線路に沿う形で賽銭箱の壁を並べ、踏切部分は侵入できるよう隙間を作成

線路内に配置した壁は電車に破壊されちゃうでしょうけど、そこは気にしないわ
どうせ、まともな出口は私の立ってるところしかないんだし、壁が壊されたところから出るには、線路内に立ち入らなければならないわけだしね

後は、UC効果で敵の認識を『踏切に入ればここから出られる』と歪めて、次々と踏切に突入させるわ
「ほら、言ったでしょ。確かに、ちゃんと『迷宮の外』には出られたわよ



 大江鬼衆の戦闘スタイルは力任せに棍棒を振り回すパワーファイトである。だが、彼女たちの上背はお世辞にも大柄とは言えない。
 一方で、体の厚みに関しては相当なもの。正に圧巻、ボリューム満点のその体格は肉の要塞と呼んで然るべきサイズを備えていた。
「私と同じくらいの背丈なのに、あの胸……くっ……! これも骸魂の力ね! そうに違いないわ!」
 神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)はそのサイズこそが敵の力の源と見て、そこに強い警戒と敵意の視線を注いでいた。なおこれはあくまで猟兵としての使命感から来るものであり、決して平坦な自分と比較しての嫉妬と羨望からではない。そう言うことにしておくべしである。
 ともあれ、どんな感情があろうとすべきことは変わらない。一刻も早く相手をぺしゃんこにすべく、鈴音は現地に到着するなりその場を己の領域へと書き換えた。
「絶対に逃がさないわよ……あなたがお賽銭を入れるまでね!」
 踏切だらけだった迷宮に、途端に現れる大量の賽銭箱。それは迷宮の上に迷宮を重ねるかの如く複雑な構造を作って並んでいく。
 その賽銭箱が線路内に出現した瞬間、電車が轟音を立てて賽銭箱を跳ね飛ばし、叩き潰した。その音に大江鬼衆も異変に気づく。
「なんだなんだ!?」
「なんか出てきたぞ! 賽銭箱だぞ!」
「入れる賽銭なんてない! 電車賃しか持ってきてないぞ!」
 突如現れた賽銭箱の群れに困惑する大江鬼衆。だが彼女たちにとってこの賽銭箱は邪魔者でしかない。何しろ大江鬼衆本体にも進行対象に近い親玉はいるし、骸魂の方もどちらかというと祀られる側、妖怪なのだ。そして何より彼女たちは余計なものは持ち歩かないスタンスなのか本当に貧乏なのか、お金をほとんど持っていない。
 そんな大江鬼衆は賽銭箱と踏切の二重迷宮を当てもなくうろつきだすが、このまま黙って待っていても埒が明かない。
「とりあえず、なんかあっちに行けば出られる気がするぞ!」
「よし、行ってみよう!」
 とりあえず一つの方向を目指してまっすぐ進みだす大江鬼衆。迷路の出口は一つしかなく、それは鈴音がいるところ。そこを目指すには当然踏切を突っ切っていかなければならないが、果たして大江鬼衆は素直にそこまで来てくれるのか。
「どうせ、まともな出口は私の立ってるところしかないんだしね」
 そこに関しても、鈴音は織り込み済みであった。
 この賽銭箱迷路はただ相手を迷わせるだけではない。『相手の認識を歪める』という力をもう一つ持っているのだ。
 その力によって思考をゆがめられた大江鬼衆はまっすぐ出口へと向かっていく。たとえそこに何があろうとも。
「よし、ここが出口だな! いくぞ……」
 けたたましい轟音と共に、大江鬼衆たちがまとめて電車に跳ね飛ばされた。
 そのまま踏切の外、賽銭箱も超えて飛んでいき、迷宮の外へごろごろと転がる大江鬼衆たち。
 彼女たちが歪められた認識。それは『踏切に入ればここから出られる』というものであった。元々自分たちでも迷宮内で迷っていた彼女たちはその変換にあっさりと嵌り、本来自殺行為である踏切突入を敢行してしまったのだ。
 ただ、その認識も完全な間違いではない。
「ほら、言ったでしょ。確かに、ちゃんと『迷宮の外』には出られたわよ」
 賽銭箱を飛び越えたことでたしかに『賽銭箱迷宮』からは出られたのだ。
 骸魂が剥がれ完全に伸びている大江鬼衆たち。本来ならこのまま起きるのを待って賽銭の一つも要求したいところだが、金がないと公言されてしまっているし帰りの電車賃まで巻き上げるのはいささか憚られる。
「どうせ死にはしてないでしょ。妖怪だし……無駄にクッションとかあるし!」
 完全勝利したはずなのになぜか負け惜しみのような悪態を尽きつつ、鈴音は歩いて踏切迷宮を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

骸魂もろとも猟兵に倒される為……か。
やりにくいわね。
美虎(メイフゥ)ここは任せてもいい?

守護霊の【ドーピング】と『血統覚醒』で超強化して
女格闘家の霊『美虎』に意識を委ねるわ

ルルの体、よく馴染むアル♪
【第六感・見切り】で鬼さん達の攻撃を避けて
手足に【オーラ防御】纏わせての【功夫・怪力】で棍棒を壊すよ!

お疲れ様、美虎。
後は私に任せて頂戴

さて……
貴女達は妖怪だし、私好みの童顔巨乳だし
電車ではなく快楽で飛ばしてアゲル♥

【誘惑・催眠術】で魅了。
【化術】で肉棒を生やし【串刺し・慰め・乱れ撃ち】しつつ
乳をしゃぶり【生命力吸収】

正気に返った彼女達とも愛し合えたら……
なんて、過ぎた願いかしらね



 大江鬼衆に限らず、この大祓百鬼夜行の敵は基本的には自ら骸魂を取り込み、猟兵に倒されようとしている存在である。それ故本質的には敵ではない存在であり、傷つけることにためらいを覚えるものも少なくない。
「骸魂もろとも猟兵に倒される為……か。やりにくいわね」
 ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)もまた彼女たちと直接戦うことにいささかのやりづらさを感じていた。
 とはいえ倒されることは彼女たちにとっては本望でもあるし、骸魂が剥がれれば依代の方は無傷で気絶するだけで済むのだ。ならば過剰にダメージを与えず無力化することで倒せればと、ドゥルールは自身に【血統覚醒】をかけたうえで死霊の一体を自身に憑依させた。
「美虎(メイフゥ)ここは任せてもいい?」
 その呼び出しに答えるかのように、ドゥルールの体が揺らぎ、他の姿へと変わる。その姿は、チャイナドレスに薄い羽衣を肩にかけた、赤青二色の瞳を持つ女。
「ルルの体、よく馴染むアル♪」
 その女の名は『楊・美虎(ヤン・メイフゥ)』。美虎は素振りの様に拳脚を振るうと、軽やかに跳躍して大江鬼衆の集団の中に飛び込んだ。
「なんかまた来たぞ!」
「やっつけろ!」
 群れの中に飛び込んできた相手を、勇んだカモとでも見たか一斉に取り囲んで棍棒を振り上げる大江鬼衆たち。だが力任せに武器を振るうその姿勢は、美虎にとっては最もいなしやすく、そして嫌う攻撃だった。
「はいはい邪魔よ鬼さんたち、蚩尤殺五兵砕!」
 空中に避け、拳に赤、脚に青のオーラを纏い空中で回転する美虎。拳と足は鬼の棍棒だけを的確に狙い、頑丈なそれを次々とへし折っていった。
 かつてはこの力で別の鬼に恐るべき悪逆を働いた彼女だが、吸収され再構築された存在故かそこまでするつもりはない。丸腰になった大江鬼衆の真ん中に軽やかに着地すると、残心のようにポーズを決めてからその姿は揺らぎ、ドゥルールの姿へと戻った。
「お疲れ様、美虎。後は私に任せて頂戴」
 憑依を解き、丸腰の鬼の一人へと掴みかかるドゥルール。
「さて……貴女達は妖怪だし、私好みの童顔巨乳だし、電車ではなく快楽で飛ばしてアゲル♥」
 そう言ってその鬼と目を合わせ、そこから催眠術を流し込む。
「あわわわ、な、なんだぁ……」
 元々単純な思考を持つ鬼はそういった精神攻撃にはことのほか脆く、あっさりと目を回し腕の中で力を抜いた。
 このまま傍らの踏切に放り込んでしまえばそれで片はつく話なのだが、ドゥルールはそれをしない。自分の趣味と、相手が本当の意味では敵でないことゆえに快楽責めからの吸収という得意の形での撃破を試みる。
「のわわわ……なんなんだこれぇ……」
 己の体を化術で変異させ、貫き、啜り、可愛がる。周囲で囲む鬼たちも手を出そうとするが、武器を失ってしまった故に手が減っているため中々攻めには行けない。
 やがて胸に顔をうずめられていた鬼がびくびくと震え、体の力を抜いて動かなくなる。骸玉が離れ気絶したその体を傍らに丁寧に置き、次の鬼を抱き寄せるドゥルール。
「正気に返った彼女達とも愛し合えたら……なんて、過ぎた願いかしらね」
 彼女たちはあくまで骸魂の影響で猟兵と敵対しているだけ。それ故正気に返った後は戦う理由もなく、また生物と呼ぶには微妙だがオブリビオンのような骸の海由来の存在でもない。これが彼女たちとの最後の逢瀬にならないことを祈りつつ、ドゥルールは次の鬼から力を啜るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ケイ・エルビス
アドリブ連携歓迎だ

装備のクワトロカードで竜巻を発生させ
戦闘時は砂嵐で目潰しを狙い棍棒の一撃を叩きつけてくる敵の
掴みやすい部位である棍棒や長い髪を早業と戦闘経験から見切って
フェイント交えたダッシュで掴んで
怪力のジャイアントスイングで複数の敵を巻き込み弱らせた後
UCを投げっぱなしジャーマンで発動して
踏切内に放り投げ妖怪電車を利用して戦うぜ

「力自慢なようだが、こんな搦め手はどうだい?」

竜巻はもしオレや仲間が踏切に入ってしまった時は
その突風で吹き飛んで電車を回避できるよう2回攻撃で活用するよ
ピンチの仲間がいたらブラスターで援護射撃やかばう



 骸魂を剥がされるごとに人数を減らしてきた大江鬼衆。とうとう最後の一団となった彼女たちの前に、最後の猟兵が現れた。
「さて、やってやろうか!」
 ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)は『クワトロカード』を取り出し、踏切を含めた戦場に竜巻を巻き起こした。
「うおぉ、級に風が吹いてきたぞ!」
「だがこのくらいなら!」
 道具で起こした風ゆえか、大江鬼衆はバランスは多少崩す者の吹き飛ばされるようなことはなく、まっすぐケイへと向かってくる。だが、ケイとてこの風一つで片が付くなどとは思っていない。風の向こう、大江鬼衆たちの動きを注視すれば、どうやら目を妙にしばたかせている。巻き上がった土埃や風による目の渇きで、恐らくは目の調子が悪くなっているのだろう。
 高い身体能力で風そのものは突っ切れるが、鍛えられない部分はどうしようもない。大江鬼衆たちは一斉に棍棒を振り下ろすが、その予想通り狙いは甘く、大まかにしかケイの居所をとらえられずその狙いは甘い。
「こっちだ!」
 それをフェイントをかけながら素早く相手の懐に潜り込むよう躱すケイ。棍棒は狙いを外し、足元に大きな穴を穿つがその衝撃もケイは跳ねて躱す。
「ちょっと悪い気もするけど……簡便な!」
 そのまま相手の首の後ろに手をやり、衝撃で大きくたなびいていた長い髪をケイは掴んだ。目と同様、こちらも基本的に鍛えられる部位ではない。もちろん様々な手段で髪を武器のようにするものも多いが、大江鬼衆たちはそう言った能力がないのは事前情報で分かっていること。その髪を全力で引っ張り、ケイはその鬼を思い切り振り回した。
「捕まえたぜ……!」
「うおぉぉぉ、回る回る!」
 さすがに空中に浮かされては力自慢の鬼とて抵抗のしようはない。【ブレイク・スター】のぶん回しの勢いに、仲間の鬼も助けに入ることもできず遠巻きに手をこまねいてみているばかりだ。
 そのままジャイアントスイングの様に何度も大回転してから、遠心力を付けてケイは鬼を派手に投げ飛ばした。
「ぬおおー!?」
 絶叫と共に飛んでいく先は、もちろん踏切の中。当然のように電車が突っ込んできて、その鬼は跳ね飛ばされ骸魂をはがされた。
「お、おのれー!」
 もう残り数人、これ以上跡がなくなった鬼たちが、半ばやけ気味にケイへと突っ込んでくる。ケイは相手が踏切に自分を追いこもうとしていることを察すると、あえてそちらに体をやるようにして逃げる姿勢を見せた。
 それに嵩に懸かり、一気に追い詰めようとする大江鬼衆。
「力自慢なようだが、こんな搦め手はどうだい?」
 だが、当然ながらそれもケイの計算の内。ケイは自分もろとも大江鬼衆が踏切内に入った瞬間、全力の速さでカードを起動し強引に自分を吹き飛ばした。
 踏切から外れた瞬間ケイの鼻先を電車が掠めていき、そしてその電車が残る大江鬼衆を全て跳ね飛ばしていく。
「ぎゃうぅぅ……」
 そのままどさどさと踏切外に大江鬼衆が重なるように落ち、それと同時に警笛が鳴りやみ、遮断機が上がった。
 それを合図にしたように景色が揺らぎ、迷宮は消滅、目の前には単線の踏切と、そこを渡るUDCアースの人々が現れた。妖怪を認知できない人々は今までずっと踏切を待っていたことも気づかず、当り前のように踏切を横切り、通り過ぎていく。大江鬼衆たちはまだ気絶しているが、骸魂が剥がれた妖怪の常として、放っておけばいずれ目を覚ますだろう。
「さ、俺も帰るか」
 すぐ近くの駅をちらりとみやり、ケイは転移の光につつまれグリモアベースへと帰還していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月20日


挿絵イラスト