大祓百鬼夜行⑨〜女王様と生まれたばかりのお姫様
●女王様は新たな椅子を追い求めて
今宵も竹林のあちらこちらで光が灯る。いつもなら何事もなく平和で綺麗な風景なのだが、今回は違った。光る竹の節から小さな可愛らしいかぐや姫が出現。それは一人だけではなく、何人もの大群となって現れたのだ。
「お外に出られたわ。どこに行きましょう?」
「どこに行きましょう? みんなで一緒に」
コロコロと鈴を転がすようにかぐや姫達は話をする。はじめて触れる世界に興味津々な彼女達は周囲を見回しながら、どうしようか考えていた。彼女達に何者かが声をかける。
「あんた達を椅子にするには足りないけど、僕にするにはよさそうだわ。喜びなさい」
「誰ですか! 私たちは自由です!」
狡猾な女性の声に反発するかぐや姫達の動きが止まった。声の主が現れ、その姿に恐れおののいてしまったから。
上半身は人間の女性、下半身は蛇、頭髪は蛇、背には白き翼、腰かけているのは土下座している人のように見える石、『石化の惑い手『メデュレーン』』が愉快そうに口角をあげる。指一本たりとも動けない小さな存在達をどうするかは決めていた。
「自由なんて無いわ。アタシのために新しい椅子を探してきなさい」
「い、嫌です……なんで、体が動かないんですかぁ」
メデュレーンの命令に逆らうことが出来ず、小さなかぐや姫達は竹林から出ていく。彼女のお眼鏡に叶う新しい椅子候補を探すためにあちらこちら駆け回ることになるのだ。
●小さな仲間の救出のために
明日葉・雅(咎喰らい・f07590)は予知の内容を整理し、蒼い瞳をした雅が説明する。
「今回の戦場は竹林となり、敵はメデューサのような外見をしております。救出対象となるのは生まれたばかりの東方妖怪です」
それだけ言うと瞳を閉じ、改めて紅い瞳をした明日葉が説明を引き継いだ。困ったように頭を掻きながら、言葉を続ける。
「あとな、ちっとばかり面倒な事になってるんだよ。かぐや姫達はオブリビオンに操られててな……助けに来たこっちをUCで攻撃してくる可能性が大いにある。彼女らへの対処も忘れずに頼むぜ」
骸魂に取り込まれているのは操っている存在だけ、かぐや姫達はただの妖怪。できれば、手荒な真似はしないでほしい。だが、猟兵達の戦闘を邪魔するようなら無力化も視野に入れるべきだろう。
「地形を利用するのも一つの手段かもしれないな。まぁ、気を付けて行ってきてくれ」
明日葉がグリモアを起動させ、ゲートを開く。戦場へ向かう者達へ信頼の笑みを浮かべて見送った。
紫雨
お久しぶりです、紫雨です。今回も戦争シナリオとなっております。
遅筆ながら、お力添えをできればと考えております。
さて、今回のプレイングボーナスは以下の通りとなります。
皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
=============================
プレイングボーナス……かぐや姫の大群に対処する。
=============================
第1章 ボス戦
『石化の惑い手『メデュレーン』』
|
POW : 強靭な尻尾
【尻尾】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 土下座の歌
【呪われた歌】を披露した指定の全対象に【土下座したまま石化したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ : 石化の魔眼
【両目】から【石化の魔眼】を放ち、【石化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠テフラ・カルデラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィロメーラ・アステール
「おやまあ可哀そうに!」
ぜひパパっと助けてあげるしか!
そこで【地形の利用】とは、いいアイデアだな!
さっそく【下天あらたむ五行の星守】を発動!
これは自然物を動物にする技!
ちょうどそこに竹があるのでソイツを……長いし、ヘビとか龍なんか丁度いいんじゃない?
そんな感じの動物にしちゃうぞ!
さて、竹は地下で繋がった根っこ的なヤツを持ってるんだ!
多くの竹林もほぼ一本の竹から生まれてるとか何とか!
この竹も竹林の内情は把握できるはず!
そうして【動物と話す】形で【情報収集】するぞ!
これで敵の居所やかぐや姫の動きがわかれば、だいぶ安全に進めるんじゃないかな?
敵に遭遇したら【全力魔法】で竹を巨大化させて戦ってもらう!
蝶ヶ崎・羊
SPD
取り込まれているとは言え、目覚めたばかりの方々を操るのはいけません
迅速に終わらせましょう
まずはかぐや姫さん方はUCのイタチさんに攻撃を【なぎ払い】ながら集めてもらいます
そしてオレは集まった所を下から根っこで籠状に形成して捕えます(属性攻撃を使用)
『手荒な真似をしてすみません。自由になったらすぐ解放します。』
メデュレーンさんのUCは【狂気耐性】があるので多少は平気ですが、念のため【呪詛】の混ざった【歌唱】で呪詛返しを試みます
成功すればワタシの雷の【属性攻撃】とイタチさんの【鎧無視攻撃】で仕留めます
『安心してください。貴方から骸魂を剥がすだけです…』
アドリブ、協力歓迎
「取り込まれているとは言え、目覚めたばかりの方々を操るのはいけません。迅速に終わらせましょう」
「おやまあ可哀そうに! ぜひパパっと助けてあげる!」
険しい表情で蝶ヶ崎・羊(罪歌の歌箱・f01975)は呟く。同意を示したフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)はノリ良く応えた。
「いい竹林だね! 星を廻る命の形……」
フィロメーラが魔力を練り、立派に育った竹へと注ぐ。すると竹が縮みおおよそ60cm、背に羽が生え龍の姿へと変わった。
「すごいですね」
「ねぇ、龍ちゃん! 竹林での事ってわかる?」
「……今起きてることか? ある程度ならわかるぞ」
かぐや姫達はいくつかの群れになって移動している事、オブリビオンは竹林の奥に潜んでいる事の二つだ。
「ただ、あの子達がどう移動してるかってのはよくわからん。一方向だけに走ってない感じはするな」
「ありがとう! 十分な情報だよ!」
「えぇ、ありがとうございます。どこに敵がいるかわかるだけでも十分です」
フィロメーラと羊は礼を告げると奥へ向かっていく。龍がある程度の方向を示してくれるのでかぐや姫達と遭遇することは無かった。
「この先にいるはずだ、気をつけろよ」
先導している龍が立ち止まり二人に告げる。その言葉通り、少し先から禍々しい呪いの歌声が聞こえてきた。
「ワタシが引き付けますので、空からお願いできますか?」
「もっちろん! 龍ちゃんと一緒にやっちゃうよ!」
羊の申し出にフィロメーラは頷くと龍と一緒に空へと舞い上がる。小柄な二人ならば見つかりにくく、確実に一撃を与えられるだろう。
「ワタシも行きましょう。念には念を入れておかねばですね」
歌声に引き摺られないように気を強く持ち、呪詛返しになればと呪歌を口ずさみつつ進む。歌声に近づくほど周囲の竹が石になっているようだ。
「あら? あのチビ達はいないみたいだけど……新しい椅子が来たわねぇ」
品定めするように羊を見る『石化の惑い手『メデュレーン』』は歌を中断する。彼女のお眼鏡に叶ったようで、三日月のように口角をあげニンマリと笑った。
「ワタシはあなたを止めに来たものです。風の神よ……目の前の罪人に罰を与えたまえ!」
対する羊はそんな視線も思惑も関係ないとUCを発動。彼の周囲に1と刻まれた小刀を咥えたイタチの群れが現れ、主人を護るように警戒心をあらわにして。
「そんな小さい奴らにアタシが負けるとでも? あり得ないわね」
「イタチさん達もワタシ達も強いですよ」
再び歌おうとするメデュレーンへ牽制するようにイタチ達が駆け出し、小刀を振るう。中には他のイタチと手をつなぎ小刀を打刀へと変えて攻撃を繰り出していた。
「ちょこまかと鬱陶しいわ!」
「合図にもちょうどいいでしょう。雷よ」
イタチに翻弄されるメデュレーン。絶好の隙を彼が見逃すわけがない、牡牛が表紙に描かれている魔導書を手に記憶された文言を発した。
魔導書から雷が迸り、彼女へ炸裂する。眩い雷光は空で待機している二人の目にも飛び込んできた。
「いい感じっぽいね! 龍ちゃん、叩き潰しちゃえ!」
「おう」
フィロメーラが更に魔力を龍へ注ぐとその体躯はするすると伸びてゆき、数mを超える巨体に。竹のしなる性質を生かし、巨大な尾をメデュレーンがいる場所目掛け振り下ろした。
「急に暗く……って、なにこ」
今まで照らしていた月光が遮られたことに空を見たメデュレーンは落ちてくる竹に気付くも回避は間に合わず、零れた言葉も途切れる。
どんっという音と共に地に落ちた竹の後はクレーターとなり、その中央では沈み込んだメデュレーンがいるのみだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
泉・星流
小さいかぐや姫を傷つけずに敵に対処すればいいんだよね
行動
小さなかぐや姫に対してはUCで対応、乱射とはいえ相手をよく見て撃ち、かぐや姫を捕縛・無力化する【全力魔法・制圧射撃・属性攻撃・乱れ撃ち・視力・捕縛・弾幕】
ボスが現れたら
『BAR』と『BSG』にUCを使用して【弾幕】を張りつつ、粘着弾で相手の目を塞ぐことを考えつつも、別の案も進行させる
上記の行動で相手の目を引きつけつつも『GWB』を相手の死角に動かして『GBW』からUCを放つ(可能であれば頭や目を狙い…その後、UCで粘着液塗れにする)
…さてと…自由を奪われる気持ちはどうかな?
返答の有無に関わらず『BR』での【魔力溜め】からの【砲撃】
空亡・劔
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いてこんな大異変を起こすなんて生意気よ!
あんた達!このあたしを邪魔するなら…ってなんで涙目なのよ!?
え?椅子…?
……【属性攻撃】で氷細工のとっても大きな立派な玉座を作成
溶けないように【天候操作】で猛吹雪にしておくわ
皆で力を合わせてゆっくり運びなさい
唯風が強いからゆっくり気を付けて運ぶのよ
落して壊したら大変よ
一生懸命運んでる間に
時刻みを発動させて超速で敵に突撃
相手の攻撃は【戦闘知識】で【見切り】
【残像】を残して回避よ
あんなちびっ子を無理やり従えるとか恥ずかしくないの!?
後石化よりも凍らせる方がいいに決まってるでしょうが!
時空ごと刻む斬撃で【二回攻撃】!!
竹林を揺るがす衝撃が走ってからしばし、新たな人影が現れた。とんがり帽子を被った少女のような少年、泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)と高く結い上げた白髪を靡かせた女性、空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)の二人。
「この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いてこんな大異変を起こすなんて生意気よ!」
「張り合うのは違うと思うよ」
怒り心頭気味に歩く劔の後をBSSと名付けたスナイパーライフルを手に星流が追いかけるように歩いている。 二人の耳に可愛らしくも悲し気な囁きが届く。
「いすといわれてもわからないわ」
「あの人の言ういすなんて知らないのに」
「あら、あんた達! このあたしを邪魔するなら……ってなんで泣いてるのよ!?」
劔が啖呵を切る前から、かぐや姫の群れは泣いていた。オブリビオンの言う椅子がわからずに彷徨っている様子。星流は警戒しつつ、劔へと声をかける。
「無力化するなら僕がやるけど、どうする?」
「椅子が必要みたいだし、わたしが用意してあげるわ」
永久凍剣の冷気を利用し、巨大な氷の塊を作り出した。華麗な太刀捌きで塊から細かい装飾のある玉座を作り出す。更に天候を操作して気温を下げ吹雪へと変え、氷が溶けにくく、敵の動きを弱める状況になった。
「ほら、この椅子を皆で力を合わせてゆっくり運びなさい。唯風が強いからゆっくり気を付けて運ぶのよ」
「まぁ、ありがとう!」
「ありがとう、素敵なお姉さん」
口々にお礼を言うとかぐや姫達は氷の玉座を持ち上げてゆっくりと奥へと向かっていく。彼女達の進路から少し離れるように二人は駆けだした。
「わたしは先回りするわ。援護してね」
「わかったよ。気を付けて」
殺神魔剣へと持ち替えて劔は地を蹴り、飛び上がる。目にも止まらぬ速さで奥へと消えていった。そのあとを追うように星流も箒に跨る。
「自由を奪うのはよくないからね」
倒すべき敵を見据え、いつでも狙えるようにライフルを握りしめた。彼の意思に応じ、魔法の箒は全速力にて追いかける。
先行する劔はクレーターから這い出してきたメデュレーンを視界に捉えた。怒りをにじませ、魔剣を振るう。
「見えた。我が身、我が真体は時を統べし魔剣なり! 今こそその力を解放せん!!」
空間すら斬る斬撃にて彼女の半身に真っ赤な花が咲いた。その赤もすぐに粘着質な液体で覆われてしまう。後からも銃弾が降り注ぎ、彼女の頭から尾まで覆っていく。
「……自由を奪われる気持ちはどうかな? 喋れるようなら聞いてみたいな」
冷徹な声音で問いかけるが星流は答えを聞く気は無い。愛用の箒杖に持ち替えて、魔力を溜めた砲撃を解き放つ。
身動き一つ取れないメデュレーンはその半身を貫かれ、後ろへと倒れた。後に残されたのは取り込まれていた妖怪と氷の玉座を運びきったかぐや姫達だけ。
「あら、あの人はどこ?」
「もうあんた達は自由よ。好きにしなさい」
「そうだよ。嫌なことを強要される必要もないんだしさ」
二人の猟兵が笑いかければ彼女達は氷の玉座を下ろして喜んだ。この竹林にも平和が訪れ、小さな彼女達の新しい歩みが始まる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵