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大祓百鬼夜行⑨~永遠の冬でお眠りなさい

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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●東方妖怪・かぐや姫
 大祓百鬼夜行の今、永遠の冬・ルインフロストというものありけり。
 竹林へ入って光るかぐや姫の群れを操り、万のことに使いけり。

「これだけの妖怪がいるんだから、きっと楽しいことができるわ、ふふふ……」
 万のこととは大げさな。
 とどのつまり、世界をぶっ壊そうとか企んでいるオブリビオンなのである。

●カクリヨファンタズム・大祓百鬼夜行
「かぐや姫は一人相手にするだけでも大変だと思うんですけど!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は竹取物語を思えばこそ、そんな風に感じるのである。事実はさておき。
「大祓百鬼夜行の影響は色んなところに出ているみたいで、今回の事件は竹林で起こったみたいです! なんと、竹林で光るかぐや姫の群れが出現するんです! なんなんでしょうこれは!?」
 グリモア猟兵にわからないのなら、グリモアの予知能力を持たない普通の猟兵には分かりようもない気がするが。
「ともかく変な事態ですが、かぐや姫の群れに目を付けたオブリビオンがいるんですね。それで、かぐや姫の群れを操って何か大変なことをしでかそうとしているようです! ですから今回は皆さんに竹林に向かってもらって、オブリビオン『永遠の冬・ルインフロスト』を倒して頂きたいんです!」
 今回は強力なオブリビオン一体との戦いだが、注意点もある。
「ただし、かぐや姫の群れは彼女に操られているらしく皆さんを攻撃してきますので、対処しつつオブリビオンを倒す形になるかと思います! かぐや姫の群れはオブリビオンではなくて生まれたばかりの小さな東方妖怪ですから、攻撃し過ぎて殺してしまうということがないようにお願いしたいです! 行動封じ系とかがいいのではないでしょうか! やり方は皆さんにお任せします! 宜しくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 戦争シナリオです。戦争の概要は専用ページをよろしくです!

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『永遠の冬・ルインフロスト』
 竹林でボスオブリビオンとバトルです。
 小さなかぐや姫の群れは彼女に操られていますので、OPにも書いていますがあまり攻撃しないであげてください。
 でもボスに直行すると小さなかぐや姫が庇いに来るかもしれません。動き止められればなーそれなー。

●MSのキャパシティ
 戦争シナリオってことで青丸足りたら即完結の可能性が高いです。ご了承ください。
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第1章 ボス戦 『永遠の冬・ルインフロスト』

POW   :    破滅の吹雪
【数秒間の間、冷気を溜める事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【絶対零度の猛吹雪】で攻撃する。
SPD   :    永遠の冬
【ゆっくりと開かれる口】から【凍てつく吐息】を放ち、【永遠の凍結】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    包み込む氷河
【全てを呑み込むような氷の津波】が命中した対象に対し、高威力高命中の【冷凍光線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠チリー・スティーリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

了解! 「骸式兵装展開! 朱の番!」
今回のような洗脳タイプには、メリー殿の力がよく効きマスネー!
いざ、っと、ストップストップ!
今回の骸魂は氷結タイプ、迂闊に津波を放ったら氷漬けにされてしまうところデシタ!
ふーむ……ならば、二分して同時に対処しマショー!

変形したまま、滑走靴の空中機動で駆け抜けマース!
かぐや姫の攻撃はファルシオンで受け流し、怪我させないよう注意して、ルインフロストの眼前へ!
挟み撃ちされた状況になり、左手に内蔵式火炎放射器を、右手にファルシオンを構えマース!
「骸式と六式の、連結展開でありますなっ!」
オブリビオンを燃やし、かぐや姫を大津波で洗い流しマース!



●タイダル・クリムゾン
「了解! 『骸式兵装展開! 朱の番!』」
 グリモア猟兵の声を聞き届けたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が変形するのはメリー・バーミリオンを模した姿。その力、敵を傷つけることなく精神力のみ削いでいく。
 かぐや姫達にはあまり攻撃しないように。仰せつかった命を迅速に実行できる力だが。
「いざ――っと、ストップストップ!」
「あら、やめてしまうの? もったいない……折角あなたも氷漬けになれるところだったのに」
 雪と氷と人の形を溜め込んだルインフロストは、べろりと爬虫類のように長い舌をくねらせる。
(今回の骸魂は氷結タイプ、迂闊に津波を放ったら氷漬けにされてしまうところデシタ!)
 それは虫の知らせとでも言うべきか。永遠の冬を身に纏うルインフロストに水は厳禁。落とし穴に危うく嵌まりそうになり、バルタンは頭を悩ませる。
(ふーむ……ならば、二分して同時に対処しマショー!)
 かぐや姫達とルインフロスト。同じ場所に居て大津波が使えないのなら、彼女達を引き離してしまえばいいと。辿り着いた結論から逆算し、バルタンは行動方針を修正した。
 変形したまま滑走靴で空駆ける。かぐや姫、そしてルインフロストへ真正面から挑むつもりだ。かぐや姫達は妖力でふわりと浮き上がり、黒髪靡かせながらミサイルの如き頭突きを見舞ってきた。
 それを叩き落としでもすれば大変なことになる。バルタンは怪我の危険性を最小限に抑えるべく、ファルシオンの刃をかぐや姫の直進ベクトルと可能な限り平行になるように寝かせ、刃面を滑らせるように受け流していく。バルタンからわずかに逸れてぴゅんと後方へ飛んでいくかぐや姫達は、減速、停止するとくるりと振り返りバルタンの背中を狙っていた。
「あら、頑張るのね。じゃあ、破滅の吹雪でも、お見舞いしようかしら」
 かぐや姫の群れを突き抜けてこようとするバルタンを前に、ルインフロストは体に冷気を溜める。ほんの数秒あれば生成する破滅の吹雪。バルタンに時間は残されているか――。
「辿り……着きマシタヨー!」
「――ご苦労サマ。ご褒美は……絶対零度の猛吹雪」
「ワタシもいいお土産がありマース! 冥土の土産ですケドネ! メイドだけニ! HAHAHA!」
 ルインフロストが体から放出する吹雪は瞬く間に地上を氷河で侵食し、生きとし生けるもの全てを止めていく。絶対零度が迫り来る中、バルタンはニヤリ笑みながら左手に内蔵式火炎放射器を取っていた。
 火炎放射器は吹雪へ突きつけ、右手のファルシオンは背後に飛来していたかぐや姫達へ。大の字の形で右手に水を、左手に炎を。
「骸式と六式の、連結展開でありますなっ!」
 放射口から噴き出す紅蓮の炎が死の世界に命の熱を齎す。対岸ではかぐや姫達が大津波に攫われ、攻撃の意志、積極性が削がれて波間を漂っていた。
「私の吹雪は、あらゆるモノを凍てつかせる――それがたとえ炎だとしても」
 炎柱の先では外縁に散る炎が氷に包まれ輝いていた。炎を核とした氷晶はやがて崩れ行くか。しかし不死鳥が如く、炎が息を吹き返す。
 パン、と弾けた氷晶から蘇った炎の欠片が吹雪の壁を溶かし、炎柱はついに絶対零度の根源まで。
「なんでっ、凍っていかな――いやああぁぁ!!」
 紅蓮に呑まれたルインフロストは、熱さと痛みによって生あることを知るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
かぐや姫達を傷つけないようにか
そういうのは割りと得意だよ

かぐや姫達を躱しつつ
ガトリングガンで攻撃

氷の津波が来たら
避け損ねたように見せかけ
敢えて受けて冷凍光線で凍ろう
氷結耐性があるから
耐えれると思うよ

終わったと見せかけ神域顕現を使用
氷の津波で氷片が舞っているから
見分けがつきにくいんじゃないかな

かぐや姫やルインフロストの時間が停まったら
こちらは動き出そうか

遠慮なく凍らせてくれたから体中カチカチだけど
邪神の体は人間と違って
凍った程度なら神力で無理矢理動かせるんだ

動きの停まったかぐや姫達を避けて
ルインフロストをガトリングガンで撃とう
まるで凍ってるみたいだね

その後神域顕現を解除
時間が動き出せば蜂の巣かな



●時は人と神を渡り行く
 かぐや姫を避け、ルインフロストのみを叩け。それはスナイパー的要素を滲ませるが。
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は携行型ガトリングガンを両手に提げてかぐや姫の群れへと突っ込んでいた。
 飛翔するかぐや姫達は妖力の剣を取り斬りかかってくるが、やる気が削がれていて刃が冴えない。晶はくるりとターンを決めながら突き込まれる刃を逃れ、すとんと体を落とすと地上スレスレの位置からルインフロスト目掛けてガトリングガンを撃ち上げた。
 遡上する弾丸の雨に、ルインフロストは跳び退くも追われ、左腕を抜かれる。血飛沫の代わりに花開く氷。ルインフロストは憎々しそうに顔を歪ませる。
「何もかも……飲み込まれてしまえばいいわ」
 地を食い破る氷の津波がバリバリと晶に寄せてくる。射撃の隙を突かれたか、晶は立ち上がろうとするも津波に足から呑まれていく。
「はい……氷漬け」
 ルインフロストは晶を津波で足止めしたところに真白の閃光、冷凍光線を放っていった。照準定まれば精度は高く、力も凝集し高威力となる。
「ぐぅっ――!」
 胸元に冷凍光線を受けた晶の体は氷河に包まれて凍ってしまった。ガトリングガンまで巻き込んで、贅沢は氷像の完成だ。
「あら、あっけない」
 攻撃は少しばかり厄介だったが、防御はなおざり。急転直下の結末には、ルインフロストも目を丸くする。
 かぐや姫達の挙動にはまだ難が残るが、猟兵を討ち取れたならそれはそれで、と。
 ルインフロストは晶に背く。もうここに用はない、と言わんばかりに。
 だが彼女は気づいていない。舞う氷片の中に、邪神の神気の結晶が混じっていることを。
 かぐや姫の群れを連れる、時が止まる。そこは神域。即ち邪神のみが自由を得る地。
 晶はまだ終わっていない。ガトリングガンを左右に振るように腰を捩じって表面の氷を割り、神域にて息を吹き返す。
「ふー、体中カチカチだ……けどまあ、そこはなんとかなるし」
 ロボットのようなぎこちない動きながら、晶はかぐや姫の群れの隙間を抜けていく。飛翔中のかぐや姫達が入り組む道はさながらアスレチックのようで、体が固まりかけの晶には少々ハードだったが。
 ルインフロストに射線が通るところまでやってくると、満を持してガトリングガンに火を噴かせた。発射された弾丸はその瞬間にぴたりと固まり宙に浮く。それらもまた、時と共に凍り付いたかのように。
「さぁ、世界は戻るよ……人の手に」
 時は清流となって流れ落ち、刹那、弾丸が一直線にルインフロストの背へ降った。
「な――あああぁぁぁ……」
 走る激痛に頭が混乱し声も出ず。ルインフロストはぐらりとのめって倒れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
貴人の歓待も騎士の務めではありますが、こうも多いと時間を取られる訳には参りません
ご容赦を

UCを●投擲し竹林へ突き刺し、かぐや姫達に放電開始
本来は大出力の放電ですが、事前に●ハッキングして微調整
●優しさを重視し、多少痺れる程度でしょう

その隙に脚部スラスターの●推力移動で一気にルインフロストへ接敵
UCを再度放ち周辺に防御障壁を展開
かぐや姫達の横槍を防止する決闘場を構築します

多少の無礼はご容赦を
骸魂より解放いたします

絶対零度の猛吹雪には自身の動力炉を●限界突破
高温を発することで●環境耐性を取得

恒星の光差さぬ宇宙空間…冷気は故郷で慣れておりますので

UCを投擲し今度は最大出力放電
動きを止めて剣を一閃



●輝く夜のホノイカヅチ
「月の姫よ……時間を、稼ぎなさい……っ!」
 足元の覚束ない体からは雫がぽたぽたと。ルインフロストが永遠の冬を維持できなくなってきた証だった。
 ルインフロストはかぐや姫の群れを送り出す。小さな体躯を盾代わりに冷気の力を取り戻そうという算段だ。
「貴人の歓待も騎士の務めではありますが、こうも多いと時間を取られる訳には参りません。ご容赦を」
 時間を与えては雪解けが遠のく。トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は杭状発振器を指に挟んで掴み取ると、周囲の竹林目掛けて投擲した。
 飛翔する杭状発振器は竹を貫通して突き刺さる。刃物を叩き入れればさっぱりと割れてしまう竹も、今は耐えて土台となっていた。
 杭状発振器が放電を始める。それは光の筋のように細く穏やかな雷。妖力の剣を手にするかぐや姫達を優しく打ち、ぴりぴりと痺れさせる。
 かぐや姫達の飛翔能力が鈍る。その瞬間を狙ってトリテレイアは脚部スラスターを起動させ、水平方向の推進力を一気に爆発させるとかぐや姫の群れを突っ切ってルインフロストへ迫った。
「――魔法の杖のように万能ではありませんが」
 ルインフロストの周囲に突き刺さった何本かの杭状発振器を再起動させ、トリテレイアは遮断の防御障壁を展開した。仄かに赤みがかった半透明の障壁に隔離されたそこはかぐや姫達の立ち入れぬ決闘場。かぐや姫達はギャラリーのように集まってくるが、障壁はその手にある妖力の剣を弾いていた。
「役に、立たないわね……」
 ルインフロストは苦虫を噛み潰したように表情を険しく歪ませ吐き捨てる。永遠の冬を再構築するにはもう少し時間が欲しかったが。
「多少の無礼はご容赦を。骸魂より解放いたします」
 狂わされた意識。その罪は、骸魂の消滅を以って贖われる。
 トリテレイアは長剣を向ける。その相手は、トリテレイアがこの場に辿り着くまでに要した時間で溜めた冷気を放出しようとしていた。
「あなたは、自らの逃げ道も封鎖した……後悔しなさい」
 ルインフロストが全身から放つ吹雪は障壁で反射し、折り重なって絶対零度へと変貌した。結界内を隅々まで満たす猛吹雪から逃げる術は確かにないが。
 もとよりトリテレイアが作り出した障壁の決闘場だ。逃げるつもりはさらさらない。動力炉の力を限界超えて引き出して、熱を全身に爆発させた。
 白銀が灼熱を帯び、太陽の如き存在感を放つ。氷雪が蒸発して熱を奪っていくが、トリテレイアの魂たる動力炉は滾りを続け、熱を絶やさない。
「恒星の光差さぬ宇宙空間……冷気は故郷で慣れておりますので」
「凍り、なさいよ……凍りなさい! 凍りつけ!」
「無駄な足掻きは似合いませんよ」
 杭状発振器を再び取ると、ルインフロスト目掛け投擲。多大な熱量を得た杭状発振器が猛吹雪の中を切り裂きながらルインフロストへ到達すると、
「ぎゃああああぁぁぁ!!」
 最大出力の放電がルインフロストの全身を貫いた。筋肉を痙攣させて立ち尽くすルインフロストの前へトリテレイアは躍り出て、長剣を袈裟に一閃。纏う氷雪を砕き散らし、刃は肉体を斬りつける。
「あ――ぁがぁ……」
 感電に阻まれ出遅れた痛みには呻きもわずか。ルインフロストは嵩高いドレスをぐしゃりと潰してうずくまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スティーナ・フキハル
口調スティーナ ★より後はミエリに

念動力で笹の葉を集めて炎の属性攻撃の誘導弾で焼却。
でっかい焚き火作っとくね。
何のつもりかって?さぁねえ!

かぐや姫達を見切りで避けながら接近……ダメか、しがみつかれる!
へっなーんてね、交代だミエリ!


任せてお姉ちゃん!
お姉ちゃんが窮地に立たされたのでUC発動、真の姿になって辺りを冷気で包みます。飛行して的を私から外して。
ほら寒さで戦いどころじゃないでしょう?
あそこに炎がありますよ?
炎の傍にかぐやさん達が集まった所で結界術で壁を作ります。

これで邪魔もされないでしょう、氷結耐性を纏い爪でボスに切断攻撃です。
私の名の由来……氷の世界の狩りの女神の力、見せてあげます!



●季節の移り
 他の猟兵がルインフロストと交戦する間に進めていた下準備。スティーナ・フキハル(羅刹の正義の味方・f30415)は念動力で笹の葉を集めてくると、手に浮かべた炎の誘導弾を飛ばして着火した。
 燃え立ち上がる焚き火は竹林の中でも煌々と光を発し、存在を示す。熱気が炎に煽られて顔に降りかかるので、スティーナは慌てたようにその場を離れる。
「……まあしばらくは燃え尽きないでしょ。じゃあ早速、可哀想なお姫様の元へ!」

 まだ永遠の冬は残っているか。まだかぐや姫は残っているか。
 操る力とは開けっ放しにした蛇口のように垂れ流されている。己の回復力と均衡が取れていればよいが、ルインフロストは猟兵達の攻撃を受けて消耗し過ぎた。
「敵を……猟兵を、羽交い絞めに……!」
 高度な命令は出せない。その身一つで襲い掛かり、纏わりつく――それが今のルインフロストの均衡だった。
「傷つけないように、躱してっ……ダメか、しがみつかれる!」
 スティーナはかぐや姫の動きを見切りその間を抜けていこうとしたが、迫る物量に圧迫される。腕やら足やら肩やら腰やら。ぺたぺたぺた、としがみついてくるかぐや姫相手に身動きが取れなくなった。
 しかしそれも考えの内。スティーナの口元にはニヤリと笑みが浮かぶ。
「へっ、なーんてね、交代だミエリ!」
 姉の窮地に駆けつける――ではなく、裏返って表に出てくるのは、スティーナの一面を映し出した妹、ミエリ。
『お姉ちゃんを傷付けるなら、もう容赦しませんよ!』
 変貌する真の姿は羅刹の二本角を生やし、蒼氷の爪を持つ。ミエリは周辺温度を急激に下げるオーロラを放出しながら、かぐや姫達を振り切って飛翔した。
 オーロラの輝きは美しくもかぐや姫達を芯から震わせる。上空へ逃げるミエリを追おうとするも、体が動かず飛び立てない。
「寒さで戦いどころじゃないでしょう? あそこに炎がありますよ?」
 ミエリは反転してかぐや姫に近づきながら、竹林に燃え上がる焚き火を指差す。それは見ているだけで暖かく、かぐや姫達は誘引される羽虫の如くふらふらと焚き火の元へ。
「ちょっ……と、待ち、なさ、い……」
 ルインフロストが伸ばす魔力の糸は、もうぷっつりと切れてしまっていた。焚き火を取り囲んで暖を取るかぐや姫達にほっこりしつつ、ミエリは結界を張って焚き火ごとかぐや姫達を取り囲む。
 これでかぐや姫達は出てくることなく、また彼女達にルインフロストの魔の手が向くこともない。
「では……私の名の由来……氷の世界の狩りの女神の力、見せてあげます!」
 ミエリはルインフロストへ向き直ると、オーロラの尾を引きながら弾丸の如く突っ込んでいく。鋭い爪を立て切断せんとするのを、迎え撃つルインフロストは魔力の全リソースを氷河に回して。
「呑み込まれ――なさいっ!!」
 ルインフロストの眼前に隆起した氷山が波となってミエリの前に立ちはだかる。前進する波に真っ向から前進するミエリ。このままでは衝突を免れない。
 だが氷結を退け、打ち破る力はミエリの手にある。左手を掬い上げて爪を突き出し、氷山を抉り取って氷の津波を突き抜けた。晒される冷気に息が白む中、右の爪がルインフロストへ向く。
 自棄気味に放たれた冷凍光線はミエリの左耳の横を飛んでいった。ミエリが振り出した爪は真冬のドレスごと、骸魂ごと、ルインフロストの体を斜に切断。ずり落ちる体はミエリを見ようとしていたが、重力には抗えず。
 永遠の冬潰えて、竹林は暖かな春を迎えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月13日
宿敵 『永遠の冬・ルインフロスト』 を撃破!


挿絵イラスト