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銀河帝国攻略戦⑧~ウォーシップ・クラッシャー

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●鋼鉄の反抗
「お集まり頂きありがとうございます」
 ユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)は恭しく礼をする。背面のモニターには現状の戦況が刻一刻と映し出され、今も続く戦闘の緊張感を伝えていた。
「先の戦いは開戦から3時間も経たずに、全戦場の1/5が瞬く間に制圧されました。続いて敵防衛艦隊への突破口まで開かれ、正に埒外の戦果……解放軍に参戦する有志も多数集まりつつあります」
 ワープドライブの根絶を狙う銀河皇帝を倒さない限りこの世界は終わる。そして世界の危機へ反抗するのは猟兵だけではない。この世界に生きる人々、有志の集まりが解放軍として立ち上がったのだ。
「現在敵の大要塞『エンペラーズマインド』への攻略準備が整いましたが、解放軍は艦隊決戦の経験が余りにも足りません。そこで我々猟兵が、敵の前衛を崩し、解放軍の主力艦隊の作戦を支援するのです」

●前衛突破作戦
「敵はディクタトル級巡洋戦艦『ガッドズィラ』、強固な装甲と圧倒的な火砲を装備し、前衛からの各個撃破を得意とする歴戦の猛者です」
 量産型といえど、ディクタトル級は銀河帝国の繁栄を支えた傑作艦艇だ。ガッドズィラはその中でも最初期に製造された戦艦、運用方針が極端な所為で滅多に連携は取らなかったと言われているが、この戦いでは前衛で番を張っている。
「この敵は1対1の戦いで負けた事は無いと記録にはあります。なので可能な限り、チームワークで対抗して下さい」
 ユーノは提案する。孤艦最強であれど戦いは数だ。綿密な連携ならばそれすら凌駕出来るのは、先の戦いで猟兵達が自ら証明している。チームはあらかじめ組まれても良いですし、その場で組まれても勿論、問題ありませんと付け加える。
「戦場はワープや転移が使えない為、今回は内側からの攻撃は出来ません。正面から直接対決となります。敵の火砲や艦載機を潜り抜け、直接ガッドズィラへ攻撃を加えるのです」
 ならば敵艦へ侵入して内側から破壊するのは? 一人の猟兵が尋ねた。
「それも不可能ではありませんが、展開の時間を考えると外側から力尽くが最適と判断出来ます。今回ばかりは悠長に潜入していると、回収もままなりませんので」
 要するに外から思いっきりブン殴ればいいんだな? 荒っぽい質問が続けざまに。
「その通りです。そしてここで敵の前線を崩せれば、解放軍が足並みを揃える時間を稼げます。何としてもガッドズィラをここで葬って下さい」
 よろしくお願いしますと、ユーノは深く頭を下げた。


ブラツ
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 こんにちは、ブラツです。
 待ちに待った艦隊決戦、
 死力を尽くして戦う舞台。

 プレイングの受付は毎晩23時頃までに頂いた分から、
 その日の深夜に書けるだけ書きたいと思います。

 それでは戦争を開始します。
 皆様にご武運を。
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第1章 ボス戦 『ディクタトル級巡洋戦艦』

POW   :    主砲発射用意!
予め【主砲にエネルギーを充填しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    航空各隊、邀撃に移れ!
【両舷カタパルト】から【直掩艦載機】を放ち、【対宙迎撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    オール・ウェポンズ・フリー
【兵装使用無制限状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ベモリゼ・テモワンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

春日・釉乃
【連携・アドリブ改変OK】
巨大な戦艦が相手なら、こっちも奥の手を使うしか!

鎧装騎兵姿で出撃して、背部に接続した『ヴァリアブル・エクシード・ブースター』の[ダッシュ]の力で一気に踊り出るよ

味方に後退指示を出してから、一撃離脱の戦法でユーベルコードの【蒼き清浄なるセカイのために】を使用
機械鎧用の核バズーカを発射して、[鎧無視攻撃]の破壊力で敵を一網打尽に追い込む!

「ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為に…! 銀河帝国攻略戦、成就の為に…! エンペラーズマインドよ!私は帰って来た!」

ある程度の損害を与えられたら、救済の炎を沈下させ…後続の友軍に残存戦力の掃討を任せて、この宙域から離脱するね


ガーネット・グレイローズ
まさか、戦艦と生身で殴り合う日が 来るとはな! いいだろう、我々猟兵の真の力を見せてやる!
〈空中戦〉の技術を発揮して宇宙空間を自在に動き回ろう。三次元的な戦闘は不慣れだが、何事もまずは経験を積むことだ! 【念動武闘法】で熱線銃を複製し、ガッドズィラの周囲を飛び回る。〈メカニック〉の知識を活用し、敵の挙動の特徴や構造上脆い部分を調査。〈念動力〉で武器を操って弱点にピンポイント攻撃を仕掛ける。相手がカタパルトから艦載機を出してきたら、二十一丁のブラスターから熱線を〈一斉発射〉、タイミングをずらしたり、光と音の〈フェイント〉を交えながら集中攻撃し、速やかに破壊して味方を支援しよう。


夜乃・瞳
作戦に参加した他の猟兵の皆さんと協力して戦うのです

私はまず、天使の棺を使って機動兵器(大型の宇宙戦闘機)を身にまとって戦うのです

そして、初手は装備であるバリア弾をばら撒いて障害物とし、敵の攻撃から仲間を【かばう】ことで味方をサポートするのです
多分対空砲の何発かぐらいなら耐えられると思うのです
「副砲、弾種変更。バリア弾装填なのです」

後は【騎乗】【操縦】【空中戦】の技能を生かして機動戦闘を行うのです
戦艦の砲撃をかいくぐりながら砲座や姿勢制御用のスラスターなどを【スナイパー】や【一斉発射】を活かして潰していくのです
「力場構築、エネルギー充填完了。ベクトル固定、エネルギー開放!波動砲、発射なのです」



●神の威を借る鋼鉄の獣

 薄暗く殺風景な艦橋で、艦長らしき薄汚い男が欠伸を欠いている。
『レーダーに感? とりあえず飛蝗を出しとけ。あと主砲チャージ、照準は任せる』
 その報告を雑に返し、シートに深く腰掛けた。やる気は無さそうだが、その双眸には、ぎらついた光が。
『……楽しませてくれよ。七面鳥撃ちをしに、時間の澱から出て来たわけじゃねえんだ』
 巡洋戦艦ガッドズィラ、歴戦の猛者は悠然と猟兵を待ち構えていた。

『管制よりエンジェル1。カタパルトセット、進路クリア。発進どうぞ!』
「了解なのです。エンジェル1、行きます」
 シグナル青、解放軍艦艇のフライトデッキから1機の戦闘機が飛び立った。
 夜乃・瞳(ミレナリィドールのスターライダー・f01213)の【天使の棺】、黄昏すら凌駕する異相次元機動兵器だ。流面形の機体の外には、二人の猟兵がステーに掴まって同道している。
「まさか、戦艦と生身で殴り合う日が来るとはな!」
「ドラゴンやら邪神やらよりよっぽど分かりやすい相手よ。きっと大丈夫」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)と春日・釉乃(”CHIPIE”・f00006)は先の戦いで得た“高性能宇宙服”の効果で、当たり前の様に会話をしていた。その上から漆黒の外套を纏ったガーネットは、宇宙の闇に紛れてしまいそうだ。反対に釉乃は鎧装を身に着け、正に宇宙の戦士といった出で立ち。
「その意気や良し! いいだろう、我々猟兵の真の力を見せてやる!」
「お二人とも、敵影多数なのです。恐らくデルタ・ファイター型。会敵予想はあと15秒」
 盛り上がる二人に瞳が告げる。戦いの時間だ。
「そうですか。では手筈通りに」
「応。何事もまずは経験を積むことだ!」
 頷く二人はそれぞれステーから手を放し、天使の棺から無の空間へ飛び降りる。
「会敵まで3、2……エンゲージなのです」
 瞳が呟くと同時に、天使の棺から無数の火線が放たれた。

「では行くか……空中戦の要領で!」
 交差する無数の火線に紛れ、黒い影が宇宙を駆ける。天使の棺から放たれた勢いを使って、ガーネットは辺りに散らばる障害物を足場に跳躍。尋常ではない速さで敵編隊へ肉薄していった。
「丁度いい位置だ。続けて神殺しの力の一端をお見せしようか!」
 猟兵ならば空間に響く音が聞こえただろう。辺りの景色を歪ませ、現れたるは21丁のクロスグレイブ――熱線銃だった。
「さあ、その道を開けろ!」
 瞬間、凄まじき量の光条が敵編隊を動かぬ鉄塊へと変えていく。突然現れた正体不明の暴力に編隊は乱れ、その隙を天使の棺が確実に潰していった。
「副砲、弾種変更。バリア弾装填なのです」
 装填、発射。飛び出した弾頭が距離を取ると、壁状のエネルギーフィールドをそこかしこに形成する。残機を編成し直して返す刃を整える敵に対し、バリア弾で被弾を逸らして敵艦へ浸透するのだ。
「突破は既に春日さんが。回り込んでわたし達も行くのです」
「了解だ娘、また乗り合わさせてもらうぞ」
 ガーネットは器用に破片を躱して天使の棺に再び掴まり、遠隔操作の熱線銃を時間差で放つ。読み切れない射撃は追手を遮り、反撃は瞳のバリア弾が封じ込めた。
「距離は取りました。加速するのですよ」
 がくん、と衝撃が二人を襲う。横目に流れる星の軌跡が、その速さを物語った。
 敵航宙隊は熱線銃とバリアに阻まれ二人には追い付けない。ガッドズィラは緒戦の防衛網を猟兵達に突破されたのだ。

●驕れる炎の輪舞曲
『フン、どいつもこいつも……っと、揺れたぞ』
 ガッドズィラの艦橋、艦長らしき男が気怠そうに呟いた。戦闘が始まった。にしては、攻撃が既に近く感じる。
『どうした、懐に入り込まれたか?』
 敵襲に対し男が嬉しそうに尋ねた。衝撃は敵戦闘機の攻撃、それに紛れて敵の接近も感知され、正面モニターには外を撮影した映像……接近した猟兵の姿が映し出される。
『随分と可愛らしい嬢ちゃんだ……ん?』
 その猟兵が担いだ武装に、キャプテンは目を剥いた。急ぎ指示を飛ばす。
『面舵30! 右ロール、カタパルトシャッター閉じろ! ヌカが来る、対ショック!』
 直後、着弾。NUCleAr―Fire、いつ見ても美しい人類救済の炎は、ガッドズィラの左半身を舐める様に焼き尽くした。

 釉乃は天使の棺から飛び降りると同時に、背部のヴァリアブル・エクシード・ブースターを点火。瞳が放つ火線に紛れて、そのままガッドズィラへ一直線に向かう。
 前線に躍り出て、一撃必殺のユーベルコード【蒼き清浄なるセカイのために】を放つ為だ。あらかじめ仲間達にはそれを伝え、あえて距離を取ってもらう。
 ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為、再びエンペラーズ・マインドへ。本作戦成就へ掛ける釉乃の意気込みは凄まじく、既に幾つかの戦線でこの炎を放ち、勝利していた。
 そして敵艦を視認。ブースターをパージして探知されない様に素早く、周辺の残骸に紛れつつ近付いていく。今頃囮として放たれた瞳の攻撃が敵艦を揺らしている頃か。
「この距離なら外さない……正面から、奥の手をぶつける!」
 幸いにしてまだ気づかれていない様子だった。この機を逃さず敵艦正面へと躍り出る。その手には召喚された、禁断の戦略級兵器が。
 照準調整、目標敵艦橋。鎧袖一触とは正にこの事! 強い意志と共に放たれた全てを飲み込む炎は、しかし着弾の瞬間に傾いたガッドズィラの左舷前方に直撃した。
 そして返す刃で、ガッドズィラの主砲が釉乃を目掛けて放たれる。炎には炎、暴力の輪舞が戦場を包み込む。

『左の1番から6番は折れたか、修理を急がせろ。左舷主砲1番から17番は動かせるな? あの小煩いのを仕留めろ』
 発砲遅延プラスコンマ03、方位弾幕を敷け。キャプテンが静かに檄を飛ばす。
 それに呼応する様に、ガッドズィラはゆっくりとその咢を開く。およそ艦の中央側面に配備された、両舷17連装集束荷電粒子砲。その生涯で障害の悉くを撃ち砕いてきた魔獣の牙が釉乃を狙う。
『行くぞ反乱軍、パーティーしようぜ!』
 撃ち方始め。キャプテンの号令一下、光条が戦域を埋め尽くす。わずかな時間差で発砲された粒子砲は五線譜の様に並び、釉乃を囲む様に縦横を無尽に駆け抜けた。
 天地側面を包囲された釉乃は逃げ道を確保すべく、光条のすれすれを滑る様にスラスターを吹かし、一直線に宙を翔ぶ。少しでも集中が途切れれば真下真上は荷電粒子の灼熱地獄、ダメージは目視で確認している……止むを得ずユーベルコードを解除して、今は急ぎ宙域を離脱しようと反転した。
 追いすがる荷電粒子の光条はまるでスポットライトの様。釉乃は集中してそれらを避けつつ離脱を目指すが、徐々にその光条は狭まってくる。
「このままじゃ……光に潰されてしまうね」
 万が一などあってはならない、だがその覚悟は決めなければ。ちりちりと肌を焦がしつつある光の檻の中、釉乃が不敵に笑む。その時だった。
「力場構築、エネルギー充填完了。ベクトル固定、エネルギー開放! 波動砲、発射なのです」
 突如アウトレンジからの加勢。瞳の天使の棺から、次元を穿つ暴力の渦が放たれたのだ。その渦に呑みこまれ、釉乃を狙った光条が姿を消してゆく。
「っと、大丈夫か? お前さんのお陰でアイツのカタパルトは半分、使い物にならんみたいだ」
 ふらりと漆黒が舞い降りる。ガーネットが敵艦の方より、いつの間にか近付いて来ていた。
「帰投する敵機に掴まったのさ。奴さんは途中で落としたがね。まあ大分削れたかと思ったが……中々どうして、戦艦てのは頑丈だな」

 敵の情報はある程度取れた。尚も健在、されど制空能力の要たる飛行甲板が半分やられている。
 近付いて叩くにはもう一工夫必要だが、第一波の戦果としては上々だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

セリエルフィナ・メルフォワーゼ
うわぁ、でっかい船だなぁ。
機会があれば一回乗ってみたいものだけど、今はそんなこと言ってる場合じゃないよね。

まず【オーラ防御】でオーラを全開にして、【オーラナイトダンサー】(以下AKD)を発動!
【AKD】21体に【存在感】【パフォーマンス】を使わせて、戦艦付近で高速でバラバラに動かして、【兵装使用無制限状態】になった戦艦の攻撃を【おびき寄せ】る。
敵が【AKD】を無差別に攻撃してる隙に、ボクは遠距離から【ブラスター】で戦艦を攻撃するよ。

とは言えブラスターの熱線なんて焼け石に水だろうから、戦艦に致命傷を与えるのは他の猟兵に任せるね。
あくまでボクは戦艦の攻撃を引き付けて翻弄する役割に専念するよ。


レナ・ヴァレンタイン
※他猟兵との絡み、アドリブ歓迎

いやはや。正面から力押しで叩き潰せとはグリモア猟兵も無理難題を言う
――そこまで高く買ってくれているというなら、やってやれんことはないか

宇宙バイクを駆って全力侵攻
アクセル踏みっぱなしで突撃ののち、敵船表面に着地してユーベルコード起動
全長21mまでフォースセイバーを突き立て、表面を切り裂きながらカタパルトを目指す
手近に迎撃武装があればそちらも丁寧に斬り落として武装を減らしていく

艦載機を無駄に増やされても困るのでな
出撃間際の艦載機を叩き斬り、カタパルトを残骸で埋め尽くして使用不能にしてやろう
迷う時間も躊躇う意味もあるまい
斬って斬って斬りまくるだけだ



「うわぁ、でっかい船だなぁ」
 セリエルフィナ・メルフォワーゼ(天翔ける一輪の君影草・f08589)が眼前の威容に感嘆の声を上げる。
 先発隊の攻撃を受け、左舷より火の手が上がっているものの、圧倒的な存在感を放つガッドズィラ。
「機会があれば一回乗ってみたいものだけど、今はそんなこと言ってる場合じゃないよね」
「そのデカブツを、正面から力押しで叩き潰せとはな。グリモア猟兵も無理難題を言う」
 対してレナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)はその姿に対し、不敵な笑みを浮かべた。
「――そこまで高く買ってくれているというなら、やってやれんことはないか」
 二人は『ハンティング・ホラー』――レナの宇宙バイクに跨り、ガッドズィラに向かっていた。幸い先の攻撃で防空網に穴が生じた。叩くなら今が好機、すれ違い様に母艦へ戻る友軍機を見やり、レナは更にアクセルを吹かした。聞こえない筈の鋼鉄の鼓動が二人の耳に響く。接敵まで、あと20秒。

『被害状況は……左舷カタパルトが全損か。攻撃隊の準備は』
 右舷より第一次攻撃隊と入れ替わりで発艦準備中との報が入る。戦略級兵器の一撃を受け、むしろそれだけの被害で押さえられたのは幸運だったろう。
『さて……どう戦い抜くかな』
 キャプテンはニヤリと笑みを浮かべる。戦いは始まったばかりだ、取られた分はここから取り返せばいい。
『パーティーは始まったばかりだ。次はしくじるなよ?』
 暗い艦内で独り言ちる。その為に俺達は還って来たのだから、と。

「見えたぞ……私はあそこに乗り込む。君はどうする?」
「敵を引き付けるよ。その間に痛いのかましてきちゃって」
 セリエルフィナはそう笑って答えると己の気を高める。あくまで囮、本命はキミだよと念を押し。
「そうか……気を付けてな」
「そっちこそ。ご武運を!」
 セリエルフィナは『ハンティング・ホラー』からふわりと離れる。それを見やり、レナは更にアクセルを絞り込む。
「さあ……賑やかにいくよ!」
 叫ぶと同時に、セリエルフィナの周囲に21体の気功人形が。【オーラナイトダンサー】――その優雅な存在感にガッドズィラの火砲が集中するのに時間はかからなかった。

『今度は随分と大所帯だな……海兵隊か?』
 モニタに映る総勢22名の敵影を見やり、キャプテンは嬉しそうに声を上げる。
『いや違う、騎兵隊か。対空砲火! 近寄らせるなよ。攻撃隊発艦急げ!』
 更に己に向かう影をも目聡く見つけ、感嘆の声を上げると共に新たな指示を飛ばす。
『さあ第二幕だ……楽しもうぜ、反乱軍!』

 セリエルフィナはガッドズィラの盛大な歓迎を迎え入れ、空間を舞う。鮮やかな火砲を潜り抜け炎の様に燃え上がるそれらは、肉薄し、あるいは遠ざかり、敵の攻撃を一手に引き受けていた。
「先発から聞いた通りだ……航宙隊が発艦に手間取ってる今なら、もっと寄れるはずだね!」
 手にした熱線銃を放ちつつ、更にガッドズィラに近付く。今は好機、そのチャンスを逃すまいと、ダメージを受けている左舷側を集中して攻撃する。
「もっと早く、もっと強く! 敵の目を引き付けるんだよ!」
 しなやかに舞う気功人形にエールを送りながら、自身も舞い踊る。それに合わせて増えた火線は、さながら宇宙のステージの様でもあった。
「大丈夫、これだけ引き付けてるんだ。カーテンコールまでお付き合いさせるよ!」
 舞姫の気勢が空を彩る。その声に応える様に、燃え盛る踊り手達は更にテンポを上げて舞い踊るのであった。

「やってくれてるな……こちらもそろそろか」
 全速力の『ハンティング・ホラー』を敵艦右舷に向け、全速力で戦域を駆け抜ける。幸い敵は宇宙の踊り手達に夢中の様だ。その隙に着艦し仕事を始めよう。レナは自動操縦の航路を設定すると、背負った“夜中の夜明け”――フォースブレードの身の丈ほどある長大な柄を抜いた。
 ガッドズィラに近付くにつれて増えていく対空砲火。しかしその殆どはセリエルフィナを狙う。対してレナには、主砲の熱い歓迎が待っていた。
「この距離で、しかも拡散するのかアレは!」
 上ずった声を上げ、急に火を噴き始めた主砲の火線をすれすれで回避。先程までとは違う、拡がる攻撃に驚愕するも、直ぐに冷静さを取り戻す。もう少し離れて入れば分からなかったが……この距離ではなぁ!  進路正面、目標右舷カタパルト。突撃する『ハンティング・ホラー』が強制着艦するのと合わせ、レナは強引にフライトデッキへ降り立った。
「行くぞ、全能力“暴走解放”。――薙ぎ払うッ!」
 金色の瞳が輝き、手にした柄から21m長の巨大なフォースセイバーが姿を現す。【黄金の地平線】――それは目の前の、どの艦上構造物よりも大きく、美しかった。
「騎兵隊(キャバリア―)かと思ったか? 残念だったな、復讐者(アヴェンジャー)だ!」
 叫ぶと同時に雷光の様な大剣をフライトデッキに突立てる。がりがりと長大な甲板を抉りながら、カタパルトデッキ目指して駆け抜けるレナ、格納庫からは発艦間近だったデルタ・ファイターが慌てて機関砲をレナに向けて放つが、甲板を自在に駆ける目標には当たらず、不注意を晒した結果、フォースセイバーの一太刀で無残にも薙ぎ払われた。
「流石に長いな、だが!」
 正面の戦闘機を断ち切り、逆袈裟の要領で水平に薙ぎ払う。横に連なるカタパルトデッキを巻き込み、輝く刃がその威力を燦然と見せつけた。

 ガッドズィラもこの段に至りようやく気が付く。敵の本命は踊り手ではない、眼下の復讐者だったと。
 そこから対空砲火の火線がレナを捉えるのにさして時間は掛からなかった。爆発的に増大する火線を叩き切ろうか逡巡したが、このままでは分が悪い。
 レナは止まった『ハンディング・ホラー』へ駆け寄り、急ぎその場から撤退した。
 その戦果は敵艦右舷カタパルト全損。第1、第2フライトデッキ大破。敵の制空能力は、残り僅か。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メタ・フレン
戦艦が相手とは…
怖くないと言えばウソになりますけど、それ以上に何だかワクワクしてしまいますね。

【レプリカクラフト】で宇宙機雷を合計21㎥分まで複数作り、それらを【両舷カタパルト】付近に設置して、【直掩艦載機】が出てくるのを妨害します。
【仕掛け罠】なら精密に作れますから、宇宙機雷の威力や精度も結構なものになってますよ。

わたし自身は【ハッキング】で戦艦のメインコンピューターに潜入してエラーを起こしまくり、敵が次の行動に移るまでの【時間稼ぎ】をします。
ついでに【暗号作成】で仕込んだマルウェアと、【地縛鎖】による【情報収集】で、戦艦の情報を読み取って、次の攻撃を予測し、それを他の猟兵達と共有します。


空雷・闘真
「若気の至りで戦車に突撃したことはあるが…流石に戦艦相手は初めてだな」

口元に笑みを浮かべ、【宇宙バイク】に【騎乗】した闘真。
そのまま全速力で戦艦の主砲へと突っ込んでいく。

【宇宙バイク】を武器とし、【捨て身の一撃】【鎧砕き】を使用しての【グラウンドクラッシャー】。
そしてその標的は戦艦の主砲そのもの。
つまり闘真は主砲が発射される前に、【宇宙バイク】ごと主砲に体当たりして破壊するつもりなのだ。

「主砲の発射が先か、俺が突っ込むのが先か、勝負といこうか」

端から見ればそれは正しく特攻。
しかし闘真は死ぬつもりなど毛頭ない。
数多の戦場を生き抜いてきた己のタフネスと不屈の精神力に、闘真は絶対の信頼を寄せていた。



●宇宙に輝く戦神

「若気の至りで戦車に突撃したことはあるが……流石に戦艦相手は初めてだな」
 宇宙バイクに跨り、空雷・闘真(伝説の古武術、空雷流の継承者・f06727)は改めて眼前の敵に思いを馳せる。世界中の戦場を巡ってきたとはいえ、ほぼ建物同然の大きさを誇る艦艇相手に素手喧嘩を挑む事になろうとは。
「怖くないと言えばウソになりますけど、それ以上に何だかワクワクしてしまいますね」
 同道するメタ・フレン(面白いこと探索者・f03345)は素直に、これから始まる戦いに期待を寄せた。
「ま、狂気じみた家族を相手するよか幾分マシな相手だろうよ」
「そうですね、今回は至ってシンプル。手段はどうあれ倒せばいいだけですから」
 違い無ぇな、フレンの意気込みに闘真が返す。会敵まであと僅か。流れる星々を背後に、フルスロットルで宇宙を駆け抜けた。

『両舷フライトデッキが損壊、ねぇ』
 薄ら笑いを浮かべてキャプテンが独り言ちる。
『至急、被害が少ない右舷3番から6番の復旧を。奴等はまだ来るぞ!』
 アイ、サー。続いて迎撃はどうしますか、と。
『主砲のチャージ、弾種拡散。併せて対空警戒を厳としろ』
 最速で航空隊を無力化された。どう考えても素人集団のいつもの反乱軍が相手じゃあない。
 敵は手練れだ、ならばこちらも相応の準備をしなければ。

「主砲の発射が先か、俺が突っ込むのが先か、勝負といこうか」
「私は敵の直掩を妨害しましょう。とは言っても大分やられているみたいですが」
 フレンは共有している情報から、既に敵の航宙隊がほぼ無力化されている事を知っていた。
 だが、念には念を。止めるべき威力は他にもある。
「そうか、では敵の右側から回り込む。ここから先は悠長に喋ってられないぞ」
「まるでテーマパークみたいですね。テンションが上がります」
 流れる景色を見ながら、淡々とフレンが述べる。大したタマだと闘真は感心し、大きく左ロール。
 宇宙バイクの推進器がやかましく火を噴き、トップスピードで戦域に突入した。

 最初に届いたのは通常の対空砲火だった。装甲の継ぎ目に規則的に配置されたパルスレーザー群、打上式ミサイル、速射砲、無数の火線が二人に迫り、その度に小刻みなマニューバでそれらを躱していく。
「……実は楽しんでませんか?」
「聞こえねえなあ!」
 迫る死線を掻い潜り、闘真は更にそのスピードを上げていく。天地が無いとはいえ、その手を誤れば火の海に即ダイブ。
 端から見ればそれは正しく特攻。しかし闘真は死ぬつもりなど毛頭なかった。数多の戦場を生き抜いてきた己のタフネスと不屈の精神力に、闘真は絶対の信頼を寄せている。こんな所で終わるわけが無いと。
「……仕方ありません、少し手伝いますか」
 フレンは流石にテーマパークで落命事故を起こす気はさらさらない。己が身を守る為、電脳ゴーグルでハッキングを試みる。ヒット、長距離通信用の細長いネットワークをかろうじで拾う。ホスト、ポートは帝国軍一般艦艇用、ヒット。パスワードはadmin……ヒット、この艦のネットワーク担当は更迭された方がいい。アカウントに管理者権限を付与……完了。さあ、遊ぼうか。

 最初に異常に気付いたのは闘真だった。先ほどより明らかに対空砲火が減っている。最初はミサイルが、続いて速射砲、最後にはパルスレーザーが沈黙した。この機に乗じて最大加速、ガッドズィラへ最接近を試みる。
 遅れて状況に気が付いたのはキャプテン。だがその顔に焦りは見られない。レーダーも主砲も機関部もまだ健在。目と手足が無事であれば、何を恐れる必要があるか。
「嬢ちゃん、何か仕込んだか?」
「とりあえず見つけた所から、片っ端に」
 無為なコマンドをループさせる処理を。突っ込む為に必要な時間は稼げたでしょう、とフレン。
「そうだな。これで十分……っと!」
 突如、光条が宇宙バイクを襲う。主砲、拡散荷電粒子砲が突如二人に牙を剥いた。チャージが完了したのだろうか、続けざまに斉射される光の奔流に減速を余儀なくされる。
「嬢ちゃん! こいつはどうにかならねえのか!?」
「やられました……メインの制御系は別の端末でしたか」
 現在地を踏み台にすれば何とかアクセス出来るかも……しかし、悠長に探している時間は無い。
「闘真さん、ファイトです」
 無茶を言う……だが、上等だ! 俺は主砲を壊しに来た、ならばようやく御対面といった所だ。幸い集束されていない分威力は減衰している。多少の無茶は捨て身で乗り切ろう。
「そういうわけで嬢ちゃん、そろそろお別れだ」
 敵艦右舷、相対距離は凡そ500mといった所か。
「ここに居ちゃあ寝覚めが悪いかもしれん。先に行ってくれ」
 え、ちょっと待ってと言う間もなく、宇宙空間へ放り出されるフレン。その先は沈黙を守る右舷フライトデッキ。
「さあ準備は出来た……殺り合おうぜ!」
 飛翔、高く高く昇る宇宙バイクに広がる光の奔流が殺到した。

「全く……乱暴な」
 放り投げられたフレンは無事にフライトデッキへ到達した。ここからは自分の仕事、【レプリカクラフト】で自身の周囲に精巧な宇宙機雷を構築する。仕掛け罠なら精度が高い、今は復旧中とはいえ、再び出てきてもこれで確実に封じ込められる。フライトデッキが無事な3番から6番のデッキへそれらをばら撒き、自身は完全に破壊された2番のデッキから管制へのアクセスを試みる。遠隔ではなく直結ならば本体のターミナルへアクセス出来る筈。多数ヒットする接続先候補へデコーダーから同時にアタックを試みるが、矢張り重たいし、開けられない。ならば、と。己が手にした地縛鎖を端末へ直接つなげる。科学が駄目なら魔術だ。片っ端からガッドズィラの情報を吸い上げ、同時にフレンはデコーダーからマルウェアを流し込んだ。対象は主砲。どこかしらのルートで感染させられれば、多少は相手の手の内が分かる。電子と物理の罠を張り巡らせたフレンは、しばし脱出の機会を伺った。

「さあ来いよ臆病者、図体の割にはろくな攻撃が出来ないな、え?」
 闘真は引き続き敵の主砲を掻い潜り接近を試みる。光条が肌を掠め、宇宙バイクも想定外の高温にさらされた為か、そこかしこで悲鳴の様にアラートが鳴り響いていた。
「ったく喧しい奴だな、少しは根性見せろ!」
 拳でマシンに喝を入れる。それを察したか、不意にマシンから全てのアラートが消えた。こうなれば後は己の感覚を頼るのみ。殺到する殺意を躱して、光の奔流へ向かっていく。
 敵の主砲は拡散、接近さえ出来れば隙間が生じる。自ら自身を傷つける事は流石にしないだろう、そこに勝機を見出した。広がる光条の間隔、発砲のタイミング、度重なる攻撃に晒され、遂にそれらが途切れる刹那を見切った。
「そこ、だ……捻じ込むッ!」
 フルスロットル、最早減速は考えない【グラウンドクラッシャー】。幾ら重厚な金属の塊とはいえ、最高速度に到達した宇宙バイクの突撃を受けて無傷では済む筈がない。結果、右舷第1番から3番の砲塔は渾身の突撃を受けてその機能を停止した。
「っと……後は14門、こいつは骨が折れるな」
 幸い宇宙バイクは真っ直ぐ走れない事を除けば未だ健在だ。敵の増援が、対空砲火が迫るまで破壊し尽くしてやろう。闘真は己の拳を強く握り締め、横並びの巨砲を見据えた。

『フッハハ……まさか、ここまでやられるとはな』
 キャプテンが狂った様に笑い声を上げる。右舷の機能は壊滅状態、復旧させた3番以降のフライトデッキも機雷に封鎖されている。
 きらりと、その右舷から一つの光が放たれた。機能停止した対空砲火と痛めつけられた主砲のせいで、それの追撃は打ち切られる。
『いいんだよ……こうでなくちゃな』
 巨獣の牙はまだ抜かれてはいない。続けざまに迫るだろう反乱軍に思いを馳せ、キャプテンはシートから立ち上がった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

響・夜姫
連携。連携かー。
「……ちょっと困った」
あんまり集団戦闘の経験が。
流れに身を任せて即興であわせる、くらいはできるけど。
綿密な連携となると……援護射撃。
それと、味方の攻撃の隙間を埋めるタイミングの攻撃。
合わせての集中攻撃。
それらの逆パターン。
他には、直掩艦載機の対宙迎撃を迎撃して味方の攻撃を通りやすくするとか。
「そういう方向で、ごー」
射撃・砲撃を防御に使う、そんな方向性。
単独行動向き、火力特化型の自覚はある。

……まぁ。何もしないよりは、撃つほうがいいかも?
普段より他人との距離・タイミングを意識しながら攻撃。
「では、ふぁいやー」
一斉発射。ズドン。


テン・オクトー
戦艦!?ダメージ通るの?え?本当にやるの?やれるの?ちょっと怖いね。でもやらなければ。ボク頑張る。
WIS
メインは砲から攻撃してくるんだよね?ならばそこを注意。 砲の旋回速度が秒何度か分からないけど、離れてる程当たりやすそう。先ずは接近する事に専念。ボクは的としては小さいし【火炎耐性で】【激痛耐性】で多少かする位なら耐えられないかな?
艦に張り付けれたらUCで攻撃!仲間の事もあるしまずは砲からかな。ギッタギタに攻撃するよ〜。
もし壊すのに効果的な箇所等の情報持っている仲間等がいたら情報を共有させていただいてそこを攻撃。

連携アドリブ歓迎。むしろお願いします。1人は死ねそうです。



●小さな攻略戦

「戦艦!? ダメージ通るの? え? 本当にやるの? やれるの? ちょっと怖いね」
 テン・オクトー(気弱な小さき猛獣・f03824)は眼前の巨大な敵に慌てふためく。これまで戦ってきた邪神や巨大魚、それらを軽く凌駕する威容。両舷から上がる火の手がダメージの深刻さを語っているが、時折放たれる猛烈な閃光がギラついた闘志を滲み出す。されど牙は未だ折れず、と。
「連携。連携かー」
 響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)がアンニュイな表情を覗かせる。はぁ。
「ねえ、聞いてる?」
「……ちょっと困った」
 何が? と尋ねるオクトーに、夜姫は集団戦闘は慣れないと語る。流れに身を任せ即興で合わせるくらいなら兎も角、綿密な連携となると……不安。
「大丈夫だよ、あの時のマグロもどうにかなったし。それに」
 二人は既に共闘した事がある。そしてオクトーは古い戦友から、この戦いの秘策を授けられていた。
「……たった今、仲間から貰ったとっておきがあるんだ。そこを狙えばボクたちだけでも何とかなるよ!」
 いつの間にか投下されたカプセルを拾い、開封。そこにはBlue Bombと書かれたファイルが。勝利の鍵はここにある。

 夜姫は鎧装を、オクトーは召喚した【サモニング・ガイスト】――偉大なる祖先、古き魔導師の霊の竜巻に乗って、星の世界を突き進む。時折巨大な光の塊が真横を通り抜けるが、まだ慌てる時間じゃあない。でもちょっとだけ恐怖を覚えながら、眼前の威容へと突き進む。
「では、ふぁいやー」
「ちょっとまって、早い、早いよ!」
 えー、と不満げな顔をする夜姫にオクトーは作戦を伝える。先ずオクトーが戦艦に取り付き破壊活動を。敵艦の目が完全にオクトーの方へ向いた所を、夜姫の砲撃で秘策にある場所を狙い撃つ。
「これまでの攻撃で大分あの戦艦はダメージを受けてるんだ。その弱っている所を徹底的に、狙う!」
「んー、わかった」
 共有したファイルには現在の敵艦の状況が詳細に書かれていた。左舷フライトデッキ全損、右舷フライトデッキも封鎖されたまま。対空火器も今の所は沈黙を守っているし、主砲も右舷は半数以上が既に破壊されている。唯一健在な左舷の主砲にさえ気を付ければ、少ない戦力でも立ち回れると、オクトーは読んでいた。
「もうすぐ敵艦に上陸するから、準備はいい?」
「了解。それじゃ、そういう方向で、ごー」
 オクトーは英霊と共に竜巻を更に伸ばし、ガッドズィラの右舷主砲へ取り付かんとする。それを追い払う様に拡散する光条がその毛並をチリチリと掠めるが、ここに至るまでに得た耐える力が、オクトーを前へと押し出す。多少掠る程度、負けるものかと。

 ガッドズィラの右舷主砲は戦闘1番から中程の8番まで、先の強襲で完膚無きまでに破壊されていた。その後方に控える残り9門の主砲だけでは、十全な迎撃が出来ないのも明白。オクトーは既に破壊された砲架へと取り付き、じわじわと艦尾に向けて進んでいった。この距離では全力の砲撃は撃てまい。対空火器が沈黙している今の内に、続けて残りの主砲を破壊せんとする。
「ギッタギタに……壊す!」
 無重力に足を取られない様慎重に、愛用のフレイルを振り回して大胆に砲塔を一つずつ破壊していく。続いて英霊もその手の鉤爪や竜巻を放ち、オクトーの破壊活動を援護する。眼前で爆ぜる砲塔、紫電と爆風が辺りを埋め尽くした。先ず一つ。
 しかし、それをいつまでも黙って見ているガッドズィラではなかった。先の戦いで蹂躙された対空監視システムがようやく復旧、ピンポイントで動き回る小物を仕留めんと、オクトーの眼下から無数のパルスレーザーがその身を焼き尽くさんと迫りくる。
「動いた……ここまでは想定通り!」
 慌てる事無くオクトーは英霊の放つ竜巻に隠れて雨の様に降り注ぐ光線をやり過ごした。ガッドズィラにとって不幸だったのは、オクトーが普通のスペースノイドより幾分以上に小さかった事。避けられたパルスレーザーはその威力を己が主砲へと向けざるを得なかった事。これで全てとまではいかないが、右舷の主砲は殆どが使い物にはならなくなった筈だ。ここまでやれば、後は夜姫の一撃を待つだけ。オクトーはそのタイミングを待ち、作戦の成功を祈る他なかった。

「んー……なんとか、届く」
 距離400m、決して近くは無いターゲットの位置。それでも尚、夜姫には一撃を当てる秘策があった。
「まさか、こっちが本命とは」
 ちょっと予想外。でも、元々使うつもりだったし。
 敵の射程外ではないにせよ、完全な奇襲を決行する為には【千里眼射ち】――超長射程の必中の矢が必要だった。視認している対象全てを一斉に攻撃し、仕掛けられた罠を発動する。
「それじゃ、今度こそ」
 小さな柄から光が迸り、妖精の翅の如き光翅弓を展開する。煌々と輝く魔法の弓は、全自動で敵を殲滅する分隊支援火器めいた必殺の武器。10秒の集中を以って、あとはターゲットを全て破壊するだけ。
「見えたよ……ズドン」
 発声と共に無数の光の矢が、右舷フライトデッキに残された宇宙機雷を次々に射抜き、凄まじき暴力を起爆させる。その尋常ならざる総火力は、フライトデッキを起点に右舷下方を焼き尽くす。最小の戦力で上げられる最大の戦果が遂に、結実したのだった。

『あーあ……航宙隊は全滅か』
 被害報告を聞きながら、相変わらず気怠そうに返事をする。
『ま、しゃーねえか』
 立ち上がったままのキャプテンは懐からボロボロの写真を取り出し、独り言ちた。
『悪ぃな、お前達がいればまあ、こんな事も無かったんだろうが』
 そこには若かりし、精悍な顔つきのキャプテンとクルーらしき面々が。
『……艦底部、第三艦体構造物を切り離せ』
 フッとその顔つきから笑みが消え、狩人の様な冷酷な表情を覗かせる。
『主機関最大、両舷増速装置起動、切り札を切るぞ』
 アイ、サーと返事が聞こえる。キャプテンは腕を組み、艦橋中央で正面を睨む。その先には、解放軍艦隊が。
『全艦旋風吶喊形態へ移行、正面の敵を蹂躙する』
 淡々と、あくまで事務的に作戦を伝達するキャプテン。その声色には先程までの余裕は無い。
『往くぞ反乱軍、クライマックスと洒落込もうじゃないか』
 しかし、焦りも無い。ただ己の愉しみに忠実な、獣の姿がそこにはあった。

「やったね夜姫さん、これでもう艦載機は飛ばないし、対空火器も大分片付いたよ!」
 潰した主砲の影で喜ぶオクトー。これまでの積み重ねがあったとはいえ、敵艦の右舷をほぼ無力化したのだ。
「うーん、対空砲、大体収まった……んん?」
 接近し機動浮遊砲盾で残る対空兵器を虱潰しに回る夜姫は、不意に違和感を覚えた。
「……そこ、危ない」
「え?」
 夜姫の突然の警告に面食らったオクトー、同時にガッドズィラの船体が激しく傾き始めた。

 否、艦首を中心に回転しているのだ。その勢いで艦底部――両舷フライトデッキがあった第三艦体構造物を分離。
 更に勢いを増し、回転する船体。第三艦体構造物を繋いでいた箇所からは、船体を増速し回転させるスラスターが。
 その勢いに巻き込まれる寸前、即座に鎧装を纏った夜姫に回収され、オクトーは間一髪危機を脱した。

「あれは、一体……」
 さながら巨大な削岩機の様に回り続けるガッドズィラ。そして遂にメインスラスターに火が灯る。
 その勢いの先には、解放軍艦隊が。
 ガッドズィラは、未だ全てを蹂躙する事を諦めてはいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

烏丸・都留
「相手も手強いみたいだし後方支援に回ったほうがよさそうね」
全ての武装を活性化、メンテナンスユニットは後方に展開。

行動指針:
・味方がダメージを受けたらメンテナンスユニットを拠点防御で守りながら内部で修理治療し、前線へ再度投入。

・アクティブデコイで相手の攻撃や直掩艦載機の陽動撹乱を行う。

 アクティブデコイ45機召喚。メンテナンスユニットを9機で変装により偽装、流れ弾はカウンターで処理、12機で主砲発射を撹乱、射線を自分/味方/メンテナンスユニット外に誘導。24機は直掩艦載機への対応、自身の戦術アサルトユニットからの2回攻撃・鎧砕き・スナイプが当たりやすいように陽動又は迎撃。

・相手UCにはUC対抗


シュトフテア・ラルカ
生身で航宙戦ですか…いえ、弱音は吐いてられないのです。
くろうくん、巡航モードに変形。今回は分離装着は無しです。
そのまま載って行くですよ!

左手は牽引役のガジェットを掴み、右手で熱線銃を扱うです。
UCを発動し、熱戦銃と精霊銃を分裂、【念動力】でオプションとして随行させるです。
360度リアルSTGと洒落込むのです。

推進力はガジェットに任せ、補助翼で制御。【空中戦】と行くですよ。
艦載機は任せて下さいなのです。【おびき寄せ】つつ【スナイパー】で狙い撃つです。
相手の攻撃は【第六感】で避け【学習力】パターン構築するです。
そちらの数が多くとも、こちとら22WAYショットで対抗なのです!
※絡みアドリブ歓迎


神薙・焔
なんとなく巨大で不明な生物を思わせる艦名…それともこの世界の住人にとっては神話の怪物かしら?

対空砲と航空隊を掻い潜って懐に入るには…なるべく大型のスラスターを用意、推進剤は行きだけでいい。身のこなしとウィングド・ビートの噴射で姿勢制御、回避機動をとりつつ突撃! 運動エネルギーはそのまま【対戦車猟兵戦術】で破壊力に変換、大穴あけてあげる。

甲板上では目に付く構造物をブレイズバルディッシュで刈り取る、他の猟兵を助けるために対空砲を重点的に潰すわ。

敵艦は兵装使用無制限へ移行、多くの居住惑星をガスと塵に変えたという反物質弾頭ミサイルを発射、これが狙いよ! 取り付いて軌道を捻じ曲げ、艦自身にぶつけてやる!



●咆哮ぶ獣

 戦況は解放軍有利だった。敵艦の両舷飛行甲板と対空火器は完全に破壊され、右舷の主砲も全損に近い。残る左舷のみの火砲だけならば、反対に回り込むだけで確実に仕留められる。
 誰もがそう、思っていた。
 だが敵は、ガッドズィラは、残された左舷の火砲だけで全てを蹂躙する為、最後の手段に出た。
 旋風吶喊形態、艦首を中心に艦隊を高速回転、最大戦速で接近し、片舷の火砲を無尽にばら撒き、全方位を攻撃する切り札たる戦術。
 それでも、火砲の無い右舷を狙えば戦える。並の船ならばそれでよかった。だが相手は孤艦最強、たった一人だからこそ出来る戦い方がある。

「回転が速すぎて懐に入れないって?」
 神薙・焔(ガトリングガンスリンガー・f01122)はその報告に眉をしかめる。そんな暴力的な速度で動いていれば、艦内の乗員もただでは済まないはず。
「その様です。もし入れたとしても取り付く前にその質量に激突し、ただでは済みません」
 シュトフテア・ラルカ(伽藍洞の機械人形・f02512)も呆れた様に回答した。正気の沙汰ではない、そんな攻撃方法だと。
「しかもこのまま直進されたら本陣に突撃されるんでしょ? その前に何とかしないと……」
 もし撃沈が間に合わなければ、凄まじい勢いで放たれた主砲に巻き込まれ、幾つかの艦艇を失いかねない。
「お待たせ、アイツをやっつけるプランがようやく出来たよ」
 悩む二人の前に烏丸・都留(ヤドリガミの戦艦傭兵ナース・f12904)がブンブンと片手を振りやって来た。もう片方の手には、その作戦要綱らしき書類の束が。
「とりあえずこれ見て覚えてね。私達だけで、アイツをやっつけるんだから」
 はい、と書類の束を渡され、焔とシュトフテアが顔を見合わせる。一読し驚愕、これを私達だけで……正気かこの女。
「至って正常、大丈夫よ。私を誰だと思って?」
 烏丸型強襲揚陸艦二番艦、鶴丸。過去の戦争の記憶は誰よりも識っているんだから、と。

 回転するガッドズィラは行く手を遮る障害物を、残る左舷の主砲をばら撒き破砕する。敵も、味方も最早関係ない。
 何時も通り生き延びて、蹂躙し、戦果を挙げる。これまでも、これからも。
『宇宙の海はぁ~っと。レーダーに感……ハッ、今更直衛艦隊のお出ましか』
 レーダーには艦影が36隻、艦種は戦艦3、空母5、巡洋艦10、駆逐艦18。ちょっとした規模の艦隊だ。正面の本隊を救援すべく、押取り刀で駆け付けたといった所か。
『このまま進みゃ挟撃されるか。面白れぇ、先に喰らってやるよ』
 進路変更、取り舵45。会敵予想15分。機関快調、左舷エネルギー充分。まあ右舷に回す分が丸々残っているからな。
 ガッドズィラはその牙を新たに出現した艦隊に向けて、突き進む。

「はい進路変更確認したよー」
 都留は自らのデコイに掛かったガッドズィラの動きを確認し、二人に報告する。艦隊は全て都留が作ったアクティブデコイ。近寄られるまでそうそう気付かれはしない。
「悔しいかな、今の私は後方支援で手一杯。後はみんなに任せるわ」
 それにあの戦術の弱点もしっかり共有した。歴戦の幸運艦は伊達ではないのだ。
「充分よ、こっちに目を向けさせれば後は何とかする……そうでしょ?」
 進路さえ変えられれば、懐に飛び込み致命の一撃を与えられる。双眸に闘志を滾らせ、焔が強く頷く。
「ええ。この戦いは猟兵の領分、骸は海へ返さねばなりません」
 シュトフテアは静かに闘志を燃やす。難しい戦いだが、ここまでお膳立てされたのだ。早々諦める訳にはいかない。
 三人の猟兵は各々がやるべき事を為さんと手を重ねる。そして必ず、生きて戻ると。

「しかし生身で航宙戦ですか……いえ、弱音は吐いてられないのです」
 シュトフテアはガジェッティア。やりようは幾らでもあるが、今回は最大火力を重視した。
「くろうくん、巡航モードに変形。今回は分離装着は無しです」
 片手にはふくろう型のガジェット、くろう君が変形した巡航ユニットを、もう片方の手には愛用の熱線銃――ふぉこんくんを。
「そのまま載って行くですよ! GO!」
 勇ましい鋼の猛禽に掴まり、シュトフテアは宇宙を駆けた。装備は万全、これより暴れまわる鋼鉄の獣を屠ってやるのだ。

「しかし、なんとなく巨大で不明な生物を思わせる艦名ね……」
 その名前に思う所があるのか、焔は頭を捻る。あるいはこの世界では、神話の怪物なのかも。
 フライトデッキでは強襲用のブースターが準備され、燃料が注入される。
「あ、推進剤は行きだけでいいわ。大丈夫よ、死にに行くんじゃない」
 その代わり出来るだけ大きな奴を、もっと速く辿り着く為に。そう言う焔の要望を整備員は快く受け入れ、ありったけのブースターを可能な限り接合する。
「ありがとう、必ず終わらせて戻るわ。神薙・焔、行きます!」
 ハリネズミめいたブースターを背負い、焔は流星となる。その先には悪意を具現化した鋼鉄の猛獣が。だが、その脅威もこれで終わりだ。

『そろそろ会敵時刻か……しかし、妙に静か――』
 謀られた、キャプテンはまず考えた。だが今から進路を変えればまだ間に合う。そう思った矢先の、警報音と衝撃。
『ック! 何だ、何だぁ!?』
 全身を揺さ振る強振にわずかに倒れ掛かる。確かに警報は鳴ったが、攻撃が速すぎる。しかもそれだけじゃない。
 ガッドズィラは、艦隊中央から真っ二つに、巨大な亀裂が走っていた。
『この、回転止め! 撃ち方始め! 弾種、奇数が集束偶数が拡散、いや違う……』
 既に肉薄されている、今からでは遅い。そして更に、追加の衝撃。
『左舷主砲が沈黙!? この短時間でか、敵はどれだけ……』
 改めてレーダーを見る。光点が二つ、それも極小の。
『そうか、本命って訳か……いや、これまでのどれもが本命か』
 反乱軍、いや解放軍。かつて刃を交えた仇敵達。まだこの時代に残っていたのか。
『これじゃあ手も足も出んな……だが』
 そう思案した刹那、艦橋が轟音と共に叩き割られ、外の空間と繋がった。
『……初めましてだな』
 眼前には学生服を着た少女が二人、キャプテンを見下ろしている。
『……して、これで終わりと思うかい?』

 増速した焔は眼前のガッドズィラの正面、中央を目指して飛ぶ。都留が教えてくれた敵の戦術の弱点。それは回転の中心。そこだけは一切の力も加わらない。敵の火砲より早く、そこを叩く事さえ出来れば、この暴力的な回転を止める事が出来る。もう瞬きする間も無く、目標地点には到達する。最強の一撃を確実に喰らわせるべく、ウィングド・ビートで小刻みに進路を調整。拳を握り、体を軽く捻ると、既に対象は半歩先に。打つなら今だ。
「世界を救えるなら……私は喜んでその魂を、狩ろう!」
 【対戦車猟兵戦術】――全ての運動エネルギーをぶつけた質量弾、その威力を刹那の寸勁で浸透させる。無防備な艦首を起点に、ガッドズィラの船体は真っ二つに亀裂が入った。

 動きを止めたガッドズィラの左側面、主砲はまだその牙を絶やしていない。だがシュトフテアにとって、止まった大砲など【数撃ちゃ当たる】――己の手のものと合わせて総勢22丁の熱線銃と精霊銃が、一斉に火を噴いた。艦側面を蹂躙する様に炸裂する火砲が、ガッドズィラの最後の牙を丁寧に手折ってゆく。悠然と宇宙を羽ばたく鋼の猛禽に掴まり、シュトフテアは打ち漏らしが無い様、止まった船体を舐めるように精査した。飛び出る物があるならば瞬時に叩き落してくれよう。だがそれも無い様子……踵を返し、シュトフテアは焔と合流した。

 残るはこの艦の主のみ。背後はシュトフテアがカバーし、焔はブレイズバルディッシュを思い切り艦橋に叩きつける。二度、三度、武骨な質量は遂にそのヴェールを引き剥がした。
 その中には小汚い男が一人、たった一人で待ち構えていた。総員退艦したのだろうか、いや、脱出艇の姿はこの戦いで一度も見えていない。
「解放軍よ。ガッドズィラ艦長と見受けるわ。もう、降伏しなさい」
 しかし焔の勧告に対して、その男の返答は余りにも意外な内容だった。
「――これで終わりじゃないとでも、まさか」
 男が手を上げ、指先を伸ばして拳銃を形作る。その狙う先は、焔とシュトフテア。
『じゃあな反乱軍、道連れにしちゃあ若すぎるが、両手に花とはね』
 捨てたもんじゃないな、この世界も。ふざけた捨て台詞を放ち、その手を跳ね上げる。
 瞬間、二人の眼前に極大の閃光が広がった――



「……あ、気が付いたかしら?」
 目を開くと、目の前には都留がいた。ここはどこかの艦艇の医務室だろうか。
「焔のブースターの接合に私のメンテナンスユニットを使ってたからね。で、敵の自爆に気付いたから、急いで二人をブースターの残り火で突き飛ばしたわけよ」
 成程、道理で体中が痛い訳だ。焔とシュトフテアは改めてお互いの顔を見やり、お互いの無事に安堵した。
「無理して喋らなくていいわ。ガッドズィラはもう沈んだ、皆の奮闘のお陰よ。誰か一人でも欠けていたら、きっと斃せなかったわ」
 都留がこれまでの作戦経緯を説明しようかと言い始めたので、二人掛かりで止めた。もう十分、知っているから。
「あの艦は……きっとキャプテンと艦だけが骸の海から呼ばれたんでしょうね。最初から最後まで変わらなかったのは、それだけだったから」
 遠くを見やり、都留が静かに語ろうとする。その表情はどこか切なげだった。
「艦ってのは……いや、何でもないわ。今はゆっくり休んで。お疲れ様、二人とも」
 皆まで言わずに、都留は手を振ってその場を後にした。

 言われた通り今は暫し休もうと、二人は微睡の中へ。
 少なくともこの戦いは終わり、解放軍は救われたのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト