大祓百鬼夜行⑲〜どすこい超常踏切頂上決戦!
●踏切迷宮が土俵だ!
UDCアースに現出したオブリビオン、『蝦蟇河童』は褌を締め直した。
彼等はねじり鉢巻を頭に巻いて、あらよっと強靭な足腰で持って軽快に跳ねながらUDCアースのとある地域の踏切へと降り立つ。
「げろっぱ! これより此処を土俵とするげろ!」
彼等は単線であった線路を数百本に増幅したのだ。それは無限に続く踏切であり、まるで土俵を組み上げるように展開される一種の迷宮のようであった。
踏切の外でUDCアースに住まう人々が中々上がらない遮断器を前に待ちぼうけを続けている。
「なんで、こんなに遮断機が上がらないんだ?」
カンカンと鳴り響き続ける踏切の音。
そう、彼等にはこの事態が異常と認識することもできない。時折、見たこともないような電車が通過するが、それでも遮断機は上がらない。
しかし、その踏切の中ではオブリビオン『蝦蟇河童』は楽しげに相撲を取り続けている。無駄に数が多いせいで、彼等の取り組みは終わらない。
「げろっぱ! 此処で永遠に相撲勝負げろ。名付けて無限番付聚合組み手げろ!」
やんややんやと彼等は相撲を取れるのが楽しくてしかたのないと言った風に取り組みを続ける。
押し出し、上手投げ、サバ折りに張り手。
もうなんでもありである。
どんちゃん騒ぎが踏切の向こうで行われているとも知れず、けれど、オブリビオン『蝦蟇河童』たちにとっては、楽園のような踏切迷宮で鍛え上げられた肉体と肉体がぶつかる快音が響き渡るのだった――。
●大祓百鬼夜行
「はっけよい、のこった――ですっ」
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを出迎えたのは、軍配を手にしたナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)の取組を配する声であった。
なんで?
誰もがそう思ったかも知れない。一丁前に軍配を手にして、得意そうな顔をしているのは彼女が形から入りたがる癖があるからだろう。
また俄仕込みの知識で試したくなったのだ。そういうとこやぞ。
「……お集まり頂きありがとうございますっ!『大祓百鬼夜行』によるUDCアースへのオブリビオン妖怪の出現が確認されました」
猟兵たちの反応の薄さにナイアルテは慌てて耳まで顔を赤くしながら、手にした軍配を背中に隠した。
彼女の恥ずかしがりようから察するに軍配というものを振るいたくて仕方なかったのだろう。テンションが上がったとも言う。
「とある地域の踏切がオブリビオンによって迷宮化されてしまったのです。UDCアースの人々は、これを異常と認識できず、電車も進行することもできないままに物流が崩壊してしまいます」
それはカクリヨファンタズムだけではないUDCアースにおいても深刻な問題を引き起こすことは想像に難くないだろう。
猟兵たちは、この無限に増殖した踏切の迷宮に挑み、問題を起こしているオブリビオンを打倒しなければなならない。
今回はどんな妖怪が骸魂に飲み込まれてしまったのかと、猟兵達は気になっただろう。
「はい、オブリビオン『蝦蟇河童』です。彼等は迷宮化した踏切の中で相撲大会に興じています。相撲大会です!」
……なるほど、と先刻のナイアルテの奇行に猟兵たちは納得が行ったことだろう。
そうなると話は簡単だと誰もが思う。踏切の中に入り込み、オブリビオンを排除すれば迷宮化は収まり、人々も物流も流れていくはずだ。
けれど、ナイアルテは首を横に振った。
「無理に踏切を渡ると謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされてしまうのです。踏切を破壊することも避けるべきです。当然この法則は外から踏切内に踏み込んでも、踏切内から外に踏み出しても適応されるようです」
つまり、猟兵達だけではなくオブリビオンもまた『妖怪電車』に跳ね飛ばされる危険性があるということである。
ならば、これをうまく活用することができれば、戦いを有利に進める事ができるであろう。
幸いにしてオブリビオン『蝦蟇河童』たちは相撲大好き骸魂『河童』の性質を色濃く持っている。
数は多いが、これらの情報から猟兵達各々の持つ力をもって対処すればオブリビオンを駆逐することは十分に可能である。
「ですが、数が多いことが問題です。彼等を全て打倒しなければ踏切の迷宮化は解かれません。ですので、見合って見合って……ですっ!」
どうしても行司の真似事がしたいのだろう。
さっきからナイアルテはちょいちょい軍配を振るって入ってくる。
「さあ、皆さん。張り切って参りましょう。踏切内で行われているオブリビオン『蝦蟇河童』たちによる相撲大会の千秋楽に! よろしくお願いいたしますっ」
ナイアルテはやっぱり少しはにかみながら軍配を振るって猟兵たちを見送るのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『大祓百鬼夜行』の戦争シナリオとなります。
無限に増殖した踏切内で繰り広げられるオブリビオン『蝦蟇河童』たちの相撲大会と謎の『妖怪電車』を活用して彼等を駆逐し、いつまで経っても開かずの踏切となっているUDCアースの踏切を解放しましょう。
みあってみあってはっけよーい! そんなシナリオになっております。
基本的に無理に踏切を渡ると、謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされます。
これはオブリビオンも猟兵も関係なく、いきなり突っ込んできます。基本的に踏切のルールを守りつつ、上手に戦う必要があります。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……踏切と妖怪電車を利用して戦う。
それでは、大祓百鬼夜行を阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『蝦蟇河童』
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POW : 跳躍浴びせ倒し
単純で重い【跳躍からのボディプレス】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 蝦蟇突っ張り
【張り手】が命中した対象に対し、高威力高命中の【舌の攻撃を交えた連続の張り手】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 蝦蟇ベロ攻撃
【口】から【鞭のような長い舌による巻き付けや投げ】を放ち、【痛みや拘束】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:柴一子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
董・白
※アドリブや他猟兵との連携OKです。
【心境】
「開かずの踏切…今度は相撲ですかぁ。格闘って結構苦手なんですけどね。うん。相手の土俵に入って戦う理由はないですね。相撲だけど…。」
ところであの軍配…どこで手に入れてきたのでしょうか?
微妙に気になりますね。
【行動】
うん。なので真向にぶつかるより絡め手というか、列車利用ですね。
線路なだけに
結界術で攻撃を受け止めた後、宝貝「太極符印」で炎の竜巻と風の津波を起こして河童たちを投げ飛ばしますね。
決まり手は押し出し。なんちゃって。
あ、ほら炎でお皿が乾燥してますよ。
河童ですからねーお皿の水は重要なのでは?
土俵にはお水がないので組みなおしに行くべきでは(ぇ)なんて…
妖怪である蝦蟇が飲み込んだ骸魂は『河童』である。
河童と言えば相撲に尻子玉。きゅうりと相撲さえあれば、エブリデイハッピー! であるかどうかはまあ、この際おいておくとして、彼等は無限に増殖する開かずの踏切の中で相撲大会に勤しんでいる。
無限の路線が増殖していく光景はあまりにも壮観であり、開かずの踏切の前でUDCアースの人々が何故遮断機が上がらないのかと首をひねっていた。
「はっけよい! げろっぱ、げろっぱ!」
のこったのこったと言いたいのだろうが、蝦蟇の妖怪と骸魂が融合したオブリビオン妖怪『蝦蟇河童』たちは、舌っ足らずな口でもって囃し立てる。
がっぷり四つに組み合った蛙もとい、『蝦蟇河童』たちは線路内で土俵を組み、相撲大会に勤しんでいるのだ。
「開かずの踏切……今度は相撲ですかぁ。格闘って苦手なんですけどね」
そんあオブリビオンたちの盛大な相撲大会を踏切の向こうから見ていた猟兵、董・白(尸解仙・f33242)はその僵尸であることを示す御札をひらひらさせながら、彼等の相撲の取り組みを見やる。
これが升席だったらお酒も食べ物もあって行楽日和といったところであろうが、今回は残念ながら物見遊山ではないのだ。
ところで、と白は気になっていた。
あのグリモア猟兵が持っていた軍配。あれはどこで手に入れてきたのだろうか。微妙に気になっていたのだ。
もしかしたのならば、白もまた形から入るタイプであったのだろうか。
けれど、今はそれよりも早くこの踏切迷宮を開放し、UDCアースの物流を復活させることが先決である。
「げろ!? 猟兵げろっぱ! ただで相撲見物なんて許さんげろ!」
白の姿に気がついた『蝦蟇河童』たちが、口からその長い舌を伸ばして白へと攻撃してくる。
彼もまたこの踏切迷宮の法則を理解しているのだ。
そう、踏切を無理に踏み越えると謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされていると。彼等とてオブリビオンである。
どれだけ相撲に熱中していようともそうそう我を忘れて踏切を飛び越えてくることはない。
「そういうのは無駄なの」
張り巡らせた結界術が『蝦蟇河童』たちの舌をはじき飛ばすが、それでも衝撃が身体を襲ってくる。
このまま踏切の向こうから攻撃を仕掛け続けられれば、白とてジリ貧である。
しかし、白は猟兵である。
その手にある宝貝とユーベルコードがある限り、彼女は搦手によってオブリビオンを打倒する術策があるのだ。
「これがこの宝貝の真価です!!」
思ったより制御が難しい宝貝であるが、宝貝「太極符印」(パオペエタイキョクフイン)によって生み出された炎の竜巻と風の津波が熱波となって『蝦蟇河童』たちを襲う。
「げろげろ! ただの熱風げろ! こんなものでやられるものかよげろ!」
そう、ただの熱波では『蝦蟇河童』を打倒しきれない。
けれど、白は知っていたのだ。
「うん。相手の土俵に入って戦う理由はないですね。相撲だけど……」
そう、その熱波は敵を傷つけるためのものではない。
河童である以上、その頭に乗っかった皿は乾くと大惨事である。力が抜けるどころではない。
だからこそ、彼等は慌てたのだ。
「げろっぱ!? 頭の皿が乾くっ! 乾いちゃうげろ!?」
「あ、ほら炎でお皿が感想してますよ? 河童ですからねーお皿の水は重要なのでは? 度業にはお水がないのでくみなおしに行くべきでは、なんて……」
流石にそこまでたんじゅんじゃないだろうと、宝貝『太極符印』によって突風を吹かせようとしたが、それは杞憂に終わる。
「やべーげろ!! 早くお水をくみに……!」
彼等はこぞって踏切を踏み越え、水を求めて飛び出そうとした。
次の瞬間、何処からともなく凄まじい速度でかっ飛んできた謎の『妖怪電車』が彼等を尽く弾き飛ばしてしまう。
見るも無残なこうけいであったけれど、げろー!? となんとも緊張感のない悲鳴が響いて、白は骸魂と妖怪が分離するのを見届ける。
汚い花火である。
「決まりては押し出し。なんちゃって」
白は見事に搦手でもって『蝦蟇河童』たちを踏切の外へ誘導し、土俵に上がらずして、相撲に勝つのであった。
ごっちゃんです――!
大成功
🔵🔵🔵
エィミー・ロストリンク
【POW】
河童さんといえば相撲! 定番だねー!
だからわたしもどすこいするよー、どすこい!
ボディプレスをまともに受けないようにセイレーンのソーダ水の身体になって華麗に回避
多方向から来るなら、ラクチェの要石の鉄水で受け止めてその間にカンフーの構えを取る
メガリス海嘯拳、はっけよーい、のこった!
UC「奥義・大海氾濫掌」の発動によって空から突然現れた大瀑布によって、河童を上からの圧力で圧し潰す
そして体勢が崩れている間に、横からの大津波を発生させて、一気に線路外まで押し出して、妖怪電車に轢いてもらう
決まり手はメガリス海嘯拳! しっかりとその身で覚えていってねー!
解放された妖怪さんはきちんと波に攫って確保
古来より河童と言えば、相撲である。
きゅうりか尻子玉か相撲か。河童にとって、それら三役が欠かせぬものであり、逆に言えば、それさえあればいいのである。
乱暴な言い方であるが、まあ、カクリヨファンタズムだからそういうものだよねって思っていたほうが気楽でいいじゃあ、ありませんか。
なんて、そんな悠長なことが行っていられるほど、カクリヨファンタズムとUDCアースはのんきな状況ではない。
オブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』による『大祓百鬼夜行』。
それらは猟兵たちにも感知されずに二つの世界を破壊せんとする恐るべき所業である。妖怪たちは決死の覚悟で骸魂を飲み込み、オブリビオン化することによって『大祓骸魂』の軍門に降って猟兵たちの予知に引っかかる策を生み出した。
猟兵はその覚悟に応えるために、今日もまたオブリビオン妖怪が起こす超常なる現象に立ち向かうのである。
「河童さんと言えば相撲! 定番だねー! だからわたしもどすこいするよー、どすこい!」
そんなふうにエィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)は張り切っていた。
しかし、踏切を無理に越えてしまえば、謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされてしまう。
だからこそ、エィミーは踏切の中に転移してもらって、塩を撒くようにオブリビオン『蝦蟇河童』たちを挑発するのだ。
「俺たちは『蝦蟇河童』げろっぱ! 河童と一緒にすんねい! げろっぱ!」
あ、げろげろとかっぱを掛けてるのね。
エィミーはそれに構うことなく、浴びせ倒しを敢行する凄まじき跳躍力を見せたオブリビオン『蝦蟇河童』の腹を見上げた。
「メガリス海嘯拳、はっけよーい、のこった!」
まったなし!
怪我しても自分持ちである!
しかし、幼き体躯であるエィミーを前に容赦のない浴びせ倒し。それはオブリビオンとして、妖怪として、それ以前にどうなのかと思わないでもないが、これが猟兵とオブリビオンの戦いなのである。
冗談みたいな光景であっても、これが真剣勝負なのだ。
オブリビオン『蝦蟇河童』の巨躯を受け止めたのは、セイレーンであるエィ井m-のソーダ水の身体であった。
普段であればぺしゃんこにされてしまうであろうが、彼女のメガリス『ラクチェの要石』の鉄水が巨躯を受け止めたのだ。
「げろー!? なんだこの幼女! 硬すぎるげろ!?」
ぷちっと潰すつもりであったエィミーが予想に反してめちゃくちゃに硬いものであるから『蝦蟇河童』は驚愕した。
だって、見るも無残な残虐な光景をお送りすることになるかもしれないと思っていたからだ。
「これがメガリス海嘯拳奥義だーー! うおりゃーー!」
「げろ! あれがまさか『メガリス海嘯拳』げろ……!」
「知っているのかげろ!?」
とかまあ、そんなやり取りがあったかもしれないが、今はおいておこう。おいてばっかりだな。
だって仕方ない。ツッコミが不在であるから!
エィミーの拳が何処からともなく大瀑布が出現し、『蝦蟇河童』たちを上からの圧力で押しつぶすのだ。
しかし、手を付かぬところが相撲一筋オブリビオンである所以であろう。
中々決まらない。
けれど、エィミーのメガリス海嘯拳は此処からである。
「メガリス海嘯拳奥義・大海氾濫掌(オーシャン・オブ・ダイダルウエイブ)――!」
そう、彼女のメガリス海嘯拳は大瀑布を呼び出すだけではない。
上から降りしきる大量の水を持って掌底で押し出す大津波の如き一撃が、『蝦蟇河童』たちを一気に踏切の外まで押し流すのだ。
「恐ろしい幼女げろ……! ってあれー!? なんで俺たちまで線路の外に……あ、これいかんげろ! このままじゃ――」
押し流された『蝦蟇河童』たちが顔面蒼白になる。
そう、遮断機が上がっていないのに踏切の外に出たのならば、この踏切迷宮ではどうなるのか。
ぷぁーと警笛の音が響き渡り、ガタンゴトンと線路を打ち鳴らす音が響き渡った。
「決まり手はメガリス海嘯拳! しっかりその身で覚えていってねー!」
「げろー!?」
悲鳴が響き渡り、どかんと謎の『妖怪電車』が『蝦蟇河童』たちを跳ね飛ばし、骸魂と妖怪が分裂して吹き飛んでいく。
エィミーは分裂して開放された妖怪の蝦蟇たちを波で攫って確保しつつ、手刀を切って勝利を宣言するのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
ミルフィ・クロノラヴィット
アドリブ等も歓迎
開かずの踏切で
スモウ・レスリングとは
今回の戦争は何とも…
ですわね☆
【SPD】
敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】【ダッシュ】【ジャンプ】に
【オーラ防御】等で
防御・回避しつつ
自身のアームドフォートで
炎熱の【属性攻撃】の
【誘導弾】を【一斉発射】
等し
距離を保ち攻撃
敵が焦れて
近づいて来ようものなら
【早業】でUC発動
『では「大」相撲と参りましょうかしら…!』
アームドフォートが
変形合体した
巨大ロボで
河童達を巨大張り手や
巨大けたぐりで
踏切の外まで吹き飛ばし
妖怪電車に轢いて頂きますわ
『決まり手は…ナイトオブホワイト・モードデュエル…ですかしら…?』
(ナイトオブホワイトに搭乗したまま四股踏み)
「開かずの踏切でスモウ・レスリングとは今回の戦争はなんとも……」
そう言葉を濁したのは、ミルフィ・クロノラヴィット(メイドオブホワイトラビット・f20031)であった。
オブリビオン妖怪『蝦蟇河童』によってUDCアースの線路は増殖し踏切迷宮と化していた。
それはオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』の軍門に敢えて下った妖怪たちが骸魂を飲み込みオブリビオン化した『蝦蟇河童』たちの仕業である。
彼等は増殖し、踏切迷宮と化した線路内で土俵を構え、相撲大会に興じているのである。
河童とくれば相撲である。
けれど、まあ、なんとも、アレである。筆舌に尽くしがたい。
「ですわね☆」
敢えて厳密に言葉にする必要もないだろうとミルフィは線路の中に転移し、降り立つ。
まさにニューチャレンジャー現るというやつである。
オブリビオン『蝦蟇河童』たちが色めきだだつ。なにせ、みんな同じ『蝦蟇河童』なのだ。
実力伯仲であり、互いの手の内を知り尽くしたからこそ、新たなる挑戦者の存在は良い刺激となるだろう。
「げろっぱ! メイド風情が生まれてこのかた相撲しか取ったことのない俺たちに叶うものかよ! どっせい! まったなし!」
おりゃー! と河童の相撲魂と蝦蟇の跳躍力、そして繰り出される張り手の一撃がミルフィを襲う。
けれど、時計ウサギのメイドであるミルフィにとって、その程度の攻撃を躱すことなど容易なのだ。
「その程度の張り手では、わたくしにふれることなどできませんわ!」
アームドフォート、時計仕掛けの兵装である『アームドクロックワークス』から放たれる炎をまとった誘導弾が『蝦蟇河童』たちに容赦なく降り注ぐのだ。
「げろげろ!? 遠距離攻撃とはしゃらくせーげろ! 飛び道具に頼っているうちはって、あっつ!」
炎の誘導弾は次々と土俵に落ち、炎を上げる。
そうすると当然、河童の骸魂と一体化した蝦蟇の妖怪である『蝦蟇河童』は頭の皿が乾いて力がでなくなってしまうのだ。
「相撲をとりねい! げろ!」
一斉にミルフィに飛びかかる『蝦蟇河童』たち。その張り手の威力は言うまでもない。一対一とかもうそんな次元ではないのだ。
繰り出される張り手は無数であり、ミルフィには躱す術などない。どれだけ跳躍し、見きったとしても、圧倒的な数なのだ。
だからこそ、ここに彼女のユーベルコードが輝くのだ。
「では『大』相撲と参りましょうかしら……!」
そう、彼女のユーベルコード、ナイトオブホワイト・モードデュエルによって、『アームドクロックワークス』が巨大なロボへと変形する。
え、あ、『大』相撲ってそういう?
「げろっぱー!? え、なんで急に大きくなったげろ!?」
彼等が驚愕するのも無理なからぬことである。
巨大ロボへと変形したアームドフォートの張り手が、『蝦蟇河童』たちの張り手を吹き飛ばし、その身体を踏切の外へと追いやる。
瞬間、警笛の音と共に謎の『妖怪電車』が疾走してきて、彼等を跳ね飛ばす。
さらにミルフィの『大』相撲は終わらない。
蹴手繰りやすくい上げ。もうなんでもアリである。デカイってことは強いってことだということを『蝦蟇河童』たちに知らしめるように巨大ロボへと変形したアームドフォートの力を見せつけるのだ。
「決まり手は……ナイトオブホワイト・モードデュエル……ですかしら?」
いや、そういう問題じゃないと誰かがツッコむことができたのならば、まだよかっただろう。
けれど、今は不在である。
謎の『妖怪電車』に次々と吹き飛ばされていく『蝦蟇河童』たちが舞う空にミルフィは巨大なロボに搭乗したまま、彼女の動きをトレースするナイトオブホワイトが四股を踏み、まるで迷宮化した踏切を清め払うように、凄まじい地鳴りを鳴り響かせ、勝利の咆哮とするのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
シャルロット・ゴッドハンド
んふぅ〜♪楽しそぉ〜!しゃぅも、おすもぉさんして遊ぶー!
【パワーフード】を《大食い》します。いつもは蜂蜜だけど今回はカクリヨで拾った駄菓子の水飴♪
武術の達人をも凌駕する、力持ちの力任せによるただの圧倒的な怪力を待つ幼精さんパワーを見せつけます!
土俵入りしたらゆっくりと脚を上げて、地面が大きく揺れるほど力一杯四股踏み!
八卦用意、残った!の合図でマワシヘ飛び付き、投げられても妖精の羽で飛んで空中で体勢を立て直します。UCで押し潰されても【極めて強靭な体】をした妖精さん。
【超怪力】《怪力》を発揮して、お腹の下からそのまま持ち上げて飛び、UCで電車の通り道へ投げ飛ばします!
勝ったらもう一度四股を踏み!
相撲とは神性な儀式であるが時として童の児戯としても行われるものである。
力ある者、そうでない者。
確かに体格の差は歴然であったとしても、柔よく剛を制すという言葉を耳にすることだってあるだろう。
それは何も幼き者たちだけに通用する慣用句ではない。
「んふぅ~♪楽しそぉ~! しゃぅも、おすもぉさんして遊ぶー!」
迷宮化した踏切の中に転移したシャルロット・ゴッドハンド(全裸幼精の力持ち×力任せによるただの拳伝承者・f32042)はフェアリーとしての、小さな体躯を輝かせながら、飛び込んでいく。
「げろっぱ! なんかちっこいのが来たげろ! そんな小さな身体で俺たちを止められるものげろ! おととい来やがれげろー!」
オブリビオン『蝦蟇河童』たちは口々に囃し立てる。
彼等はオブリビオンであるが、骸魂『河童』の要素が強く出ているのだろう。姿は妖怪『蝦蟇』であったが、気質は相撲好きで喧嘩っぱやい河童そのものであった。
そんな彼等がシャルロットの小さな身体を見て彼女を侮るのも無理なからぬことであった。
そう、相撲とはどうあっても物理の世界である。
確かにルールは存在すれど、圧倒的な質量、体格は如何ともし難い。それを覆す者もいるであろうが、それは稀なるものであり、大前提として同じ種族、サイズの範囲内に収まればの話である。
フェアリーであるシャルロットにはどうしたって越えられない壁があったのだ。
「もぐもぐ! いつも蜂蜜だけど、カクリヨファンタズムにある駄菓子の水飴♪」
おいしーなぁ、と舌足らずな言葉でシャルロットがぺろぺろしているのは、練りに練った水飴である。
舌触りが良くて、滑れば舐めるほどに蕩けるような甘さがシャルロットの喉を通っていく。
それだけであれば、ただのフェアリーである。
だが、彼女は大食いである。尋常じゃない量の水飴を補給し、その力は強大なものへと変わっていく。
「げろ!?」
オブリビオン『蝦蟇河童』たちは見ただろう。
シャルロットがパワーフードによって、凄まじい強化を得て、武術の達人すらも凌駕する力持ちのオーラを放つ姿を。
こいつはやべぇ! と彼等は本能で理解しただろう。
蛙の跳躍力で空へと一斉に飛び上がり、浴びせ倒しのようにシャルロットの小さな身体をぺちゃんこにしようと迫るのだ。
けれど、その浴びせ倒しを悠然と四股を踏むシャルロット。
「八卦用意――」
踏みしめる大地が大きく揺れる。
それはオブリビオン『蝦蟇河童』たちが飛びかかっているが故に理解できなかったことだろう。
空気を振動させるシャルロットの四股踏みは、地鎮そのものである。
「――残った!」
シャルロットが飛ぶ。
飛びかかった『蝦蟇河童』の回しを掴み、まさかの先制である。つかみあげた回しをシャルロットはユーベルコードに輝く瞳と共にびったんびったんと『蝦蟇河童』の巨躯を大地に叩きつけるのだ。
「げろー!? な、なにがおこったげろ!?」
そのまま叩きつけた勢いで、シャルロットが持ち上げる。それはまるで超常の如き光景であったことだろう。
いや、シャルロットから見れば、造作もないことであった。
極めて強靭な身体をした妖精である彼女は『蝦蟇河童』の回しを掴んだまま踏切の外へと投げつける。
警笛の音が響き渡り、投げ飛ばされた『蝦蟇河童』が謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされていく。
「げ、げろ……こ、こいつやばいげろ!」
「さー次はどの子かなぁ! しゃぅとおすもぅさんしようねぇー!」
ヒェッ。
オブリビオン『蝦蟇河童』たちは次々と逃げ出そうとする。
だが、そこにシャルロットの四股踏みの音が響き渡る。どうあっても逃げられないというように凄まじき音を響かせ、シャルロットは己とオブリビオンの体格差など物ともせずに一方的な相撲を取り、次々と『蝦蟇河童』たちを踏切の外へと投げ飛ばし、彼等を『妖怪電車』に跳ね飛ばさせながら、妖怪を解放し続けるのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
なるほど、河童に相撲は道理よな。…いや、陰海月、どこから持ってきたそれ?
さて、土俵に悪霊がいていいか悩むが。UC発動しつつ、正面からいこう。わしは今回、素手ぞ?
陰海月は…うん、行司だの。
ああ、張り手は見切って回避するぞ?避けた後、相手がどうなるかわからぬが。たぶん、その先に踏切あるだろうしの。
それでも難しそうなら、結界術で弾き押し出すが。
※
少年心溢れる陰海月、軍配もって行司する気満々である。ぷきゅぷきゅ(絵本で見た!)
土俵とは神聖な場所である。
相撲とは神事である。故に、力士の踏む四股とは即ち地鎮。荒ぶる魂を、不浄を踏みしめ、固めることによって人々の安寧を願うものである。
ならばこそ、人々は相撲に魅せられ、力士たる者たちを尊敬と畏敬でもって称えるのだ。
だが、迷宮化した踏切の中で相撲大会に興じるオブリビオン『蝦蟇河童』たちは違う。
彼等は相撲を愛しているだろうが、その本質までも理解しているわけではない。神事ではなく、児戯の延長として楽しんでいるだけに過ぎない。
ならば、この迷宮内の土俵に神は宿らないだろう。
「なるほど、河童に相撲とは道理よな……」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は複合型悪霊である。
四つの魂を一つに纏めた存在であり、悪霊である以上、神事司る土俵に踏み入れてよいのかという懸念はある。
けれど、そんな悩みも一柱である『侵す者』は吹き飛ばす。
今はUDCアースとカクリヨファンタズム、二つの世界の命運がかかっているのだ。ここでまごついていては、UDCアースもカクリヨファンタズムも救うことはできないだろう。
四悪霊が封じてきた呪詛が開放される。
戦場にありては、オブリビオン『蝦蟇河童』の運気、霊力、生命力を奪って不幸を与える。
それが四悪霊・『解』(シアクリョウ・ホドキ)であり、『侵す者』の瞳に輝くユーベルコードである。
そんな彼の隣にふわふわ浮かぶのは『陰海月』である。
その触腕が持っていたのは軍配である。どこから持ってきたのだそれは、と思うまもなく、まるで行司のように『陰海月』が軍配を振るう。
「なるほどの。まあ、良いだろう。今回わしは素手ぞ?」
どこからでもかかってくるが良い、と挑発するように『侵す者』がくいくいと手招きしたことが、オブリビオン『蝦蟇河童』たちの神経を逆撫でした。
「しゃらくせーげろ! げろっぱ! 俺たちの張り手でお陀仏にしてやるげろー!」
凄まじい瞬発力で『蝦蟇河童』たちが突進する。
その突進力から放たれる張り手の一撃は、一瞬で『侵す者』を捉える。だが、ここにあるのは『武の天才』である。
相撲が武としての神事、祭りであるというのならばこそ、その張り手を見切ることなど造作もないのだ。
「すでに見切っておるよ。ああ、多分もう聞こえてはおるまいが」
張り手の一撃をいなされ、『蝦蟇河童』がたららをふむように『侵す者』と交錯して、よろけていく。
普段ならば、そこで踏ん張ることもできたことだろう。
だが、今は『侵す者』のユーベルコードが輝いている。そう、戦場にありて、対峙する者の運気すら奪い取るユーベルコード。
それは運悪くたたらを踏んだ『蝦蟇河童』の足先を小石が引っ掛け、止まることなく踏切の外へと一歩を踏み出す結果を呼び込むのだ。
「あ、げろ――」
その言葉が最後となって『蝦蟇河童』の一匹が謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされ、骸魂と妖怪に分裂して開放される。
「な、なにぃーげろ!? なんでそうなるげろ!?」
『蝦蟇河童』たちは驚愕しただろう。
特に『侵す者』が何かをしたわけではない。ただ躱しただけ。だというのに、運悪くそこに小石があって、躓いて転けた先が踏切の外であったのだ。
「そう、これこそがわしのユーベルコードよ。おまえたちは全て自らの不幸で滅びる定め。悪霊の呪詛を恐れるのならばかかってくるがいい」
そのとなりで『陰海月』が軍配を持って『侵す者』に振るう。
そう、絵本で見たというように、ぷきゅぷきゅ鳴きながら、楽しそうに『侵す者』と『蝦蟇河童』たちの取組を次々とさばいていくのだ。
まあ、そのどれもが不幸の連続であり、『侵す者』が何をするまでもなく、次々と『妖怪電車』に跳ねられて終わっていくのだが。
それだけが僅かに思ってたのと違うとばかりに『陰海月』が不満そうであったのを『侵す者』は苦笑いするしかなかったのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
櫻場・レク
……こんなくだらない事に付き合っていられるか。サイキックでさっさとケリを着けてやる。
サイキックルーツの封印を解く。リミッター解除した事でサイキックエナジーが限界突破し、即終わらせたいと言う「心の衝動」を念動力に変換。
指輪型心器サイキックシューターで更に増幅。
サイコキネシスで掴んで線路へ投げ飛ばす。
心剣サイキックフォースを出すまでもない。……終わったなら帰るぞ。
迷宮化したUDCアースの踏切の中でオブリビオン『蝦蟇河童』たちの執り行う相撲大会はどんちゃん騒ぎの様相を呈していた。
彼等は好き勝手に相撲を取り、笑い、無限に増殖していく線路と踏切の中でUDCアースそのものを侵食しはじめていた。
踏切の外では、いつまであっても開かぬ踏切の前で人びとが、それを異常とも思えずに待ち続けている。
それこそが『大祓百鬼夜行』の力である。
「げろげろ! これでずーっと相撲ばっかり取っていられるげろっぱ! あ、それ、はっけよーいのこったげろー!」
そんなどんちゃん騒ぎに興じていた彼等を見下ろすように踏切内に転移してきたのは、櫻場・レク(〜Amazing this World〜・f33287)であった。
彼女は青い瞳を輝かせながら、オブリビオン『蝦蟇河童』たちを睥睨した。
「……こんなくだらない事に付き合っていられるか」
唾棄するように彼女は、『心の衝動』を膨大な念動力に変換する体内の何処かに存在する目に見えぬ超能力機関の封印を解く。
「げろ! なんかするつもりげろね! だが、それをさせんのが俺たちげろー!」
蛙の跳躍力で一斉に飛び立つ『蝦蟇河童』たち。
彼等は、その巨躯でもって飛び上がり、浴びせ倒しを敢行してレクを押しつぶそうとしているのだ。
無数の『蝦蟇河童』たちが飛び立ち、己の身体を質量兵器に変えながらレク目掛けて落ちてくる。
だが、レクの瞳は些かも恐怖も、不安もなかった。
あるのは『心の衝動』だけだ。
こんな茶番に付き合っていられない。早く終わらせたい。なんなら即座に終わらせたいという願いにも似た衝動が、超能力機関からサイキックエナジーを噴出させる。
「サイキックでさっさとケリを着けてやる――」
迸るサイキックエナジーが、彼女のtネイする指輪型の増幅器である『心器サイキックシューター』によって増幅され、指向性を伴って放たれるのだ。
「げろー!? なんでげろ!? 空中で俺たちの身体が止まって……! 違う、これは――!」
「ああ、そうだ。おまえたちを『掴んで』いる」
レクの瞳がユーベルコードに輝いていた。
それこそが彼女のユーベルコード。
サイコキネシス。言葉にすれば簡単な名前である。けれど、増幅されたサイキックエナジーは、目に見えることはない。
目に見えるものばかりを追うからこそ、オブリビオン『蝦蟇河童』たちは、そのサイコキネシスに対応できなかったのだ。
空中で見えない巨大な手に掴まれている『蝦蟇河童』たちがジタバタもがくが、その程度で振りほどけるほど、レクのサイキックエナジーはやわではないのだ。
「心剣サイキックフォースを出すまでもない……」
サイコキネシスでもって捕縛した『蝦蟇河童』たちを投げ遣りに線路の外へと投げ飛ばす。
瞬間、線路に警笛が響き渡り、謎の『妖怪電車』が凄まじい勢いで走り抜け、放り投げた『蝦蟇河童』たちを跳ね飛ばし、骸魂と妖怪に分かたれて開放されていく。
「げろっぱー!?」
そんな悲鳴が次々と響き渡り、レクはかぶりを振って、その場を足早に去るのだ。
「……終わったなら帰るぞ」
迸るサイキックエナジーを霧散させ、レクは背を向ける。
立ち止まっている時間はない。『大祓百鬼夜行』はまだ終わっていない。
二つの世界の命運がかかっているのならば、手早く。
そして、確実に。
レクはさっそうと迷宮化した踏切を乗り越え、次なる戦場へと急ぐのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
空亡・劔
この最強の大妖怪を差し置いてこんな大異変を起こすとは生意気よ!
早速ユベコ発動よ
相撲勝負ですって!
このあたし!空亡劔は相撲をやっても最強であることを見せてやる!
【戦闘知識】で蛙の戦い方を【見切り】
相撲は力だけじゃないってあたし知ってるわよ!
下手に掴ませず…更に周囲の踏切の位置を頭に入れて
蛙の突撃は【残像】を残して回避すると同時に
【二回攻撃】による押し出して踏切へと叩きだすわ
後は蛙の力を利用してそのまま足をかけて投げ飛ばしたり
踏切を後ろに突撃を受けて押し出されそうな所を寄り切るわ
是でもあたしもカクリョに住む者だからね
多いわね
纏めてきなさい
【天候操作】で猛吹雪
【属性攻撃】で氷属性付与して暴れる
無限に増殖した線路と踏切。
それはUDCアースにおいての大異変であり、決して上がることのない遮断機は、物流や人の流れを滞らせる。
そうなってしまえばUDCアースに大混乱が起こることは間違いない。
けれど、カクリヨファンタズムから降り立ったオブリビオン『蝦蟇河童』たちには、そんなこと関係ないのだ。
開かずの踏切の中で楽しげに相撲大会に興じている彼等は、相撲さえ取れればなんでもいいのだ。
「げろっぱ! あ、そーれ、のこったのこった! げろげーろ!」
『蝦蟇河童』たちはやんややんやと相撲の取組を土俵の上で行い、番付、格付け、もうやりたい放題である。
しかし、そんな彼等の元に降り立った一人の猟兵が裂帛の気合漲る声量でもって叫ぶのだ。
「この最強の大妖怪を差し置いてこんな大異変を起こすとは生意気よ!」
その姿は魔王そのものであった。
手にした時空を操るとされた遠い異世界の魔剣。そして地獄の其処の冷気を放つとされた氷の魔剣の二振りを持った空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)であった。
彼女はどうしても許せなかった。
そう、最強の大妖怪たる自負がある自分を差し置いて、こんな楽しそうな……じゃなくって、はた迷惑な行為をしている『蝦蟇河童』たちを許してはおけない。
若干邪念みたいなものが漏れ出ているような気がしないでもないが、人びとの恐怖や悪念を力とする妖怪であるわけだから、まあ、納得の感情であった。
だが、そんな彼女とて、一般人に対しては無力なのだ。
そう、魔王を滅ぼすのは人の勇者のみ(カミゴロシノマオウケンゲン)であるべきなのだ。
「げろ! しゃらくせーげろ!」
オブリビオン『蝦蟇河童』たちは劔の圧倒的な魔王オーラに恐れおののくどころか、相撲を取ってテンションが高くなっているのだ。
放たれた長く伸びる舌が劔を襲う。
もはや相撲でもなんでもないけれど、そんなこと関係ない。
「相撲勝負でしょう! このあたし 空亡劔は相撲をやっても最強であることを魅せてやる!」
すでに彼女は一瞬で『蝦蟇河童』たちの相撲のとり方を見切っていた。
そう、相撲とは力だけではないのだ。
「げろぉ!?」
『蝦蟇河童』のはなった舌の一撃をつかみ、引っ張り上げ引き寄せる。
次の瞬間、劔の姿は残像を残して『蝦蟇河童』の背後へと回り込んでいた。凄まじき速度、圧倒的な歩法。
それらをもって劔は『蝦蟇河童』の背後へと立つ。
その体から放たれるオーラは凄まじく、『蝦蟇河童』は冷や汗が止まらなかった。まさか魔剣でぶすーってやられるのかと思ったが、以外にも劔が放ったのは優しいソフトタッチであった。
「げろ?」
あれ、やさし――と思ったのは一瞬であった。
そう、押し出しである。
背中を押された『蝦蟇河童』は、そのまま踏切の外へ。次の瞬間、警笛が鳴り響き、ものすごいスピードで走ってきた謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされて『蝦蟇河童』の一匹が跳ね飛ばされ、骸魂と妖怪に分裂して吹き飛んでいく。
「是でもあたしもカクリヨに住む者だからね……多いわね、纏めてきなさい」
押し出しで勝利した劔が振り返った先にあったのは、仲間の仇とばかりに殺到する『蝦蟇河童』たちの姿であった。
しかし、彼女は余裕であった。
もはや手加減などいらないとばかりに天候操作で猛吹雪を呼び寄せ、手にした魔剣が振るう氷の刃が次々と『蝦蟇河童』たちを打ち据え、凍てつかせ、踏切の外へと蹴り飛ばしていく。
警笛がけたたましく鳴り響き、何度も何度も『妖怪電車』が氷漬けの『蝦蟇河童』たちを跳ね飛ばしていく。
「それにしても、あの『妖怪電車』、大忙しね……どういう理屈ではしっているのかしら……」
劔は少し疑問に思ったが、次々と跳ね飛ばされ、げろー!? と哀切籠もった叫びとともに骸魂と分裂していく妖怪たちの姿を見て、まあいいかと細かいことを考えるの止め、襲いくる『蝦蟇河童』の群れを尽く叩きのめしたのだった――!
大成功
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メンカル・プルモーサ
……相撲はもっと安全な場所でやった方が良いと思うのだけど……
それとも何時はねられるか判らないスリルが楽しいとかそう言う奴かしら…
…あれ、でも相撲と言っても確かUDCアースの相撲の土俵って女人禁制がどうとか…あ、カクリヨなのでその辺は無視して良いと…
…まあそれなら…はっけよーい……【支え能わぬ絆の手】…
…蝦蟇河童の経っている付近~踏切まで地面の摩擦を限りなく0に…そしてそのまま踏切まで滑って貰うとしよう…
…決まり手は……これも勇み足という事でいいかな…
…相撲に気を取られている隙に相撲を見てる蝦河童達の居る地面の摩擦も0にしたからね……じゃあ、滑って貰おうか……
相撲、それは異世界の神事であり祭であり、興行であることをメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は知っている。
力士と呼ばれる巨躯を持つ者同士が激突し、肌鳴り響く世界は、圧倒的な存在感と雰囲気を味あわせてくれる。
いつの時代も、どの世界も、形や概念は変わったとしても催しとして人びとを楽しませ、熱狂させるものは人間と人間がぶつかりあうことであったのかもしれない。
故に、メンカルは無限に増殖した線路、踏切の中でどんちゃん騒ぎを起こしているオブリビオン『蝦蟇河童』たちの相撲大会を見て、呆れたようにつぶやくのだ。
「……相撲はもっと安全な場所でやったほうが良いと思うのだけど……」
最もであった。
よりにもよってなんで踏切の中でやっているのだろう。
もっと土俵に適した場所があるであろうに、何故か『蝦蟇河童』たちは線路内に盛り土をして土俵を作って、やんややんやと相撲に明け暮れている。
「それともいつ跳ねられるかわからないスリルが楽しいとかそういう奴かしら……」
ロシアンルーレット的なイカれた発想なのかな、とメンカルは理解できずとも、まあオブリビオンだし、という納得をして転移してきたのだが、はたと気がつく。
そう、そもそもUDCアースの相撲の土俵は女人禁制であったような気がするのだ。
力士だって男性ばっかりだ。女人が取る相撲というのもないわけでないのだが、あれ、どうだったっけとメンカルはそういうところが気になってしまう。
けれど、オブリビオン『蝦蟇河童』たちはカクリヨファンタズムからやってきた者たちだ。
「ま、カクリヨファンタズムだし、その辺は無視して良いと」
「その通りげーろ! 女子供であろうと俺たち『蝦蟇河童』は容赦せんげろ! まったなし! 見合って、見合って、はっけよーいげろ!」
どっせい! と神速の勢いで『蝦蟇河童』が張り手を放つ。
これまで『蝦蟇河童』たちは、蛙の持つ脚部、その凄まじき跳躍力を突進力に変えて鉄砲のような威力の張り手を放ってきた。
いわば必殺。
この一撃で女性であるメンカルなど沈められるという自身があったのだ。
「……まあそれなら……はっけよーい」
「そんな気合の入っていない、はっけよーいがあるかげろー!」
しにさらせー! と張り手がメンカルの眼前に迫る。だが、『蝦蟇河童』は見た。メンカルの瞳がユーベルコードに輝いているのを。
「支え能わぬ絆の手(フリクション・ゼロ)」
「げろ!?」
瞬間、『蝦蟇河童』の張り手がメンカルの顔面を捉えた。と思った瞬間、つるんと滑っていく張り手。
はれ? と思ったがもう遅い。
そう、それこそがメンカルのユーベルコードである。物理情報を改ざんすることで自身の摩擦抵抗を極限まで減らしたのだ。
摩擦がゼロになるとどうなる?
知らんのか、つるんとすってんころりんよ。
「げろー! 足が滑って、あ――!」
その後は言うまでもない。ユーベルコードによって改ざんされたのはメンカルの弾のお肌だけではない。
『蝦蟇河童』の踏ん張っていた足元さえも滑って、後は踏切の外へと一直線である。
踏切の外へと無理に飛び出したらどうなるのか。そう、謎の『妖怪電車』に跳ね飛ばされてしまうのである。
「決まり手は……これも勇み足ということでいいかな……?」
「んな阿呆なげろー! ってあれー!?」
物言いをつけようとして立ち上がった見物していた全ての『蝦蟇河童』たちが立ち上がった瞬間につるんとすっ転ぶ。
なんで? と思ったかもしれないが、メンカルのユーベルコードである。相撲に夢中になっていた彼等は気が付かなかったのだ。
すでにメンカルのユーベルコードによって彼等の足元も摩擦抵抗がゼロになっていたことを。
「……じゃあ、滑って貰おうか……」
じゃあね、とメンカルが手を振ってつるんと踏切の外へと滑っていく『蝦蟇河童』たちを見送る。
げろげろと悲痛な叫び声と共に残っていた『蝦蟇河童』たちが『妖怪電車』に跳ね飛ばされていく。
無残である。
せめて相撲の取組の結果で散りたかったであろうけれど、そんなこと行っていられるほど、今の猟兵たちには余裕がないのだ。
二つの世界、UDCアースとカクリヨファンタズム。
それらを守るために妖怪たちが覚悟を決めたのだ。それに報いるためならば、猟兵たちは、どんな戦いにだって赴くのだ。
こうして、無限に増殖した踏切は元の単線に戻り、開かずの踏切は遮断機を上げる。
人びとはどうして自分たちが踏切の前で立ち止まっていたのかも理解せぬまま、日常へと戻っていく。
それをメンカルは見送り、次なる戦いへと足を進めるのだった――。
大成功
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