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大祓百鬼夜行⑩〜麻花兒屋台の死闘

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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●美味しい麻花兒(まふぁーる)寄っといで。
 夜のカクリヨファンタズム。
 妖怪達が活発になり始める時間帯、噂ではとある屋台が現れるという。

 その屋台は『麻花兒』という、UDCアースの一部地方の銘菓が売られているという。
 1本から購入できたり、5本、10本入りパックで用意されていたりと、その場で食べるか帰ってからたくさん食べるかを選ぶことが出来る。
 ちょっとした食べ歩きにもよくて、お土産にもOKなのだという。

 だがその屋台。少々問題があるようで。
 屋台の主人である魔女らしき女性と目が合うと、見えない力でグイグイと引き寄せて来るという。
 彼女はただただ屋台の営業を続けているだけで迷惑をかけていないつもりらしいが、見えない力は彼女の意に反して客を無理矢理引きずり込んでいる。
 終いには客が満腹になるまでバリボリバリボリと食べ続ける必要があるらしい。なんとも恐ろしい屋台なのだ。

「お、美味しいよりより、よっといで! ほんのり甘いお菓子だよ~!」

 そんな話が広がっていることはつゆ知らず、魔女は麻花兒を揚げ続ける。
 目の前にいるお客に麻花兒をドンドン食べさせたいと、小麦粉を練ってよじって揚げて。
 1回で作られる麻花兒の量は恐ろしく、すぐに屋台を半分を埋め尽くしていた。

 このままでは魔女が作る無限の麻花兒によってカクリヨファンタズムが埋め尽くされてしまう!

●別名はよりよりとも言う。
「麻花兒(まふぁーる)……ですか……。そう……あの食べる凶器が……」

 なんとも神妙な顔をしている金宮・燦斗(《奈落を好む医者》[Dr.アビス]・f29268)。頬を擦っては、何かを思い出しているようだ。

 気を取り直して、集まった猟兵達に彼は今回の事件についての説明を開始する。
 と言っても、麻花兒(まふぁーる)というお菓子を取り扱う屋台で、客を無理矢理引きずり込んでは大量に作ったお菓子を食べさせているだけの事件、なのだが。
 しかし屋台の主人はいつの間にか『もてなし衝動』が大暴走しているようで、主人の意志とは関係なくお客を無理矢理に引きずり込む状態が発生している。
 そしてその引きずり込んだお客に麻花兒(まふぁーる)を食べさせたいが故に、ドンドン山盛りで作り出しては屋台の一部を埋めるという状況を作っていると。

「このまま店主に作らせ続ければ、麻花兒によって口の中は傷だらけ、歯は下手すると砕ける事態に発展してしまいます。カクリヨファンタズムの未来が麻花兒によって砕かれてしまうのです」

 麻花兒まみれになってしまっては、カクリヨファンタズムではなくよりよりファンタズムに変貌してしまう。それだけは絶対に阻止しなければと、燦斗は言う。
 なにせ彼には麻花兒にいい思い出はないようなので、根絶やしにしろとまでは言わないが絶対に止めてほしいと。

「あ、食べたい方は食べてみてください。美味しいんですよ、麻花兒。ほんのり甘くて、素朴な味がします。……めちゃくちゃ、硬いですけど」

 食べ続けることもまた有効手段であることを伝えると、彼は猟兵達を送り出す。

 ―――よりよりファンタズム(?)、開催!!


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 今一番食べたいものが浮かんだので今回のシナリオに使いました。

 『麻花兒』とは、長崎銘菓の1つで中国起源のお菓子です。
 小麦粉をこねて油で揚げているお菓子なのですが、形が糸を撚り合わせる形に見えることから『よりより』とも言われています。
 食べるとほんのり甘いのですが、めっちゃくちゃ硬いです。せんべいとか比じゃない。
 下手すると歯が砕けるレベル。MSは給食で出たの食って歯が砕けました。
 気になる方はぜひとも調べてみてください。

 初めての方はMSページを読んで頂ければと思います。

●受付日:5/11 8:31~
 体調面を考慮しての受付日です。期限前は一度お返しします。
 採用は「シナリオの成功数に到達する🔵の確保が確定した時点」で締め切ります。
 また回転を早めるため、採用人数は最低数にしぼります。
 採用が難しいと判断したプレイングはお返し致しますのでご了承ください。

●プレイングボーナス:屋台グルメを食べまくる。
 こちらのプレイングボーナス、食べまくるだけでボスにダメージが入ります。
 つまり今回は麻花兒をバリボリと食べまくることになります。
 一応屋台にはお水も完備してますのでご安心(?)ください。

 皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『憑かれた魔女』

POW   :    吸精魔術(ドレインマジック)
【捕縛魔術】が命中した対象に対し、高威力高命中の【生命力吸収魔術】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    迷宮魔術(ラビリンスマジック)
戦場全体に、【周りにある材料】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    予約魔術(リザーブマジック)
【予め準備しておいた攻撃用魔術】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は豊原・フィリスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御園・桜花
「食べ物が凶器…いえでも食べなくては!」

茶葉と食材持参
横浜中華街の麻花兒より遥かに堅いことに驚きつつ麻花兒素材にUC「花見御膳」使用
桜鋼扇で麻花兒をバキバキに砕きつつ薄粥の具材に
つける効果は過食の状態異常回復
満腹になった人に更に麻花兒を食べさせて胃腸の状態を正常に戻しまた麻花兒を食べさせるという鬼畜の所業をする

因みに自分は作業中に砕いた麻花兒をチャイ風ミルクティー(煮出さずシナモンや香辛料振りかけただけ)でモグモグ
勿論自分も満腹になったら花見御膳で作った薄粥食べて更に食べる

「店長さんとのフードバトルですもの。そう簡単に負けるわけには」
「お茶請けで1袋、くらいが本来の適正量だった気がします…」



●御膳囲えば、硬さも……。
「食べ物が凶器……いえ、でも食べなくては!」
 何やら麻花兒の恐ろしさを感じ取った御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、茶器と食材を持参して屋台の近くまで赴いた。

 魔女が今もなお宣伝を続けつつ、目を合わせた客をズルズルと引き寄せては麻花兒を食べさせるという、なんとも地獄な光景が繰り広げられている。
 桜花もまた魔女と目を合わせてはズルズルと引き寄せられた客の一人。1本だけまずはそのまま食べてみよう、と麻花兒を手に取り……噛む。
「……まあ……」
 ―――硬い。
 小麦粉で練られて揚げられたそれは、とてつもなく硬い。せんべいとはまた違ったその硬いおやつは、噛み方を間違えれば歯を砕いてしまうだろう。
「どうですか! うちの麻花兒!」
 店主の魔女がニコニコと問いかけてくる。ここでは軽く返答をしておいて店主の機嫌を損なわないようにして、桜花はこっそりとユーベルコード『花見御膳』を発動させる。
 このユーベルコードは手持ちの食材用いて新たな料理を作る……すなわち、今なら麻花兒を使って別の料理を作ることさえも可能。周囲の客に紛れながら、桜花は桜鋼扇でべしべしと麻花兒を叩いては砕く。
 そうして砕けた麻花兒を薄粥の具材に変貌させ、過食という状態異常を回復させる効果を付与。これで、周囲の人々が満腹になってもなお麻花兒の薄粥を食べさせることで過食状態を和らげることが出来るようになった。麻花兒を食べ続けることに変わりはないのだが、味が変わることで、まあ、多少は和らぐことだろう。多分。
「店長さんとのフードバトルですもの。そう簡単に負けるわけには」
 そう呟いた桜花は薄粥に混ぜる前の砕かれた麻花兒をちまちまと食べつつ、チャイ風ミルクティーと共に食べる。ほんのりとした甘さがミルクティーによく合うが、やはり小麦粉で作られたものなだけあって腹の中で膨れるのが早い……。
「うぅん、たくさん。本来ならお茶請けで1袋、が適正量だったような気が……」
 こんなに山盛り食べるようなものだったものじゃなかったはず……というか、大量に食べるということは相応のカロリーもあるのだったと、ちょっとだけ困った様子の桜花。翌日に胃もたれしないかが心配である。
 満腹になったらちまちまと薄粥を食べ、過食状態を和らげてまた麻花兒を食べる。この繰り返しで、桜花は麻花兒屋台を切り抜けてゆく……。

成功 🔵​🔵​🔴​

星河・成海
麻花兒って初めて聞いたけど、何だか美味しそうなお菓子ね。でも埋め尽くされたりしたら大変だから、ちゃんと食べないとね(わくわく)

事前にお腹は空かせてから行くよ。できるだけたくさん味わいたいしね

とっても香ばしい匂いがするわね。(手を合わせて)いただきます。……確かに話に聞いていた通り硬いね。でもよく噛むと甘みが口の中に広がって美味しい。これならいくらでもいけちゃうかも
水は必需品だけど、私が大食いといっても飲み過ぎるとお腹が膨れちゃうから気をつけないと

【バトルキャラクターズ】で呼び出したキャラ達にも食べてもらおうかな。美味しい物はみんなで食べたいし



●ばりぼりばりぼり。
「麻花兒……って、初めて聞いたけど、なんだか美味しそうなお菓子ね」
 香ばしい匂いが漂う屋台の前で佇む星河・成海(風にそよぐ深緑の樹・f03570)。麻花兒ってどんなものなのだろう? と覗き込んだところで、店主である魔女と目が合って屋台まで引き寄せられてしまう。
 既に呼び寄せられていた客はもう限界なのか、腹を擦っては満腹状態をどうにかしようとしている。成海はそんなお客達に囲まれつつ、麻花兒を1本手にとった。
「とっても香ばしい匂いがするわね。……それじゃ、いただきます」
 手を合わせ、手にとった麻花兒を口にすると……硬い。噛み方を一歩でも間違えると、逆に歯が砕けそうな硬さだ。丁寧に噛みどころを見つけては、麻花兒をゆっくり味わう。
「確かに……話に聞いていたとおり、硬いね。でもよく噛むと……香ばしい匂いの中にほんのりとした甘さが広がって美味しい……」
「でしょう!? うちの麻花兒は手作りだから、そこまでの甘さが出るんですよ!」
 店主が成海の声に反応し、嬉しそうに声を上げた。それと同時に喜びの勢いで麻花兒が追加され、更に客の胃袋を痛めつける事態に発展してしまう。この行いには周りの客がじっと成海を見つめ、どうしてくれるんだ、という雰囲気を醸し出していた。
 流石にこうなってしまっては自分もしっかり食べていくしか無い。……だが、普通に食べ進めれば1人では食べきれないだろう。そこで、成海はユーベルコード『バトルキャラクターズ』を使用して、額に数字が書かれた戦闘用のゲームキャラクターを82人ほど呼び寄せる。
 バトルキャラクターズで呼び寄せたゲームキャラクター達に対し、これは早食いゲームだよ、と伝えて席に座らせて一緒に食べてもらう。美味しいものは皆で食べたいという成海の心遣いが、彼らの空腹をも満たしていた。
「……水は必需品だけど……飲みすぎるとお腹が膨れちゃうから、気をつけないと」
 数本食べては喉を潤すために水を少々口に含むだけに留め、なるべく水分を麻花兒に吸わせないようにして食べる。そうすることで満腹感を抑え込みつつも多くの麻花兒を食べることが出来るのだ。
 だがゲームキャラクター達はその辺りをあまり理解しておらず、水を飲んですぐに満腹になる者が多かった。そういう子が現れたときは、ユーベルコードの力で2人を合体させて、新たな1人として作り出して空腹にさせる荒業を用いた。
「お水は最小限に、でもちゃんと噛んで食べるの。焦ったら駄目よ?」
 しっかりゲームキャラクター達を見張りつつ、成海は麻花兒を食べ続ける。
 ぱりぽりと良い音が響く屋台の中で、ひたすら、カロリーを気にせずに……。

成功 🔵​🔵​🔴​

神楽火・鐵希
食べれば食べるほどオブリビオンの力が弱まる……? 理屈はよくわかりませんが、一種の魔術儀式と考えればいいのでしょうか。
ともあれ、食べるのが最も勝利への近道というなら、やるしかありません。

魔女の服装に目のやり場に困りつつ……しばらく食べますが数本で限界が……。
硬いのは問題ありませんが、甘味を大量に食べるというのには慣れません。

こうなれば、最後の手段です。
「店主殿、連れを呼んでもかまいませんか?」
と断って、ジャイアントキャバリア「セリオンカイ」を呼び出し搭乗します。
ユーベルコードでさえも食らう彼の食欲は俺の比ではありません。きっと麻花兒を食べ尽くしてくれるでしょう。



●最強の助っ人。
「食べれば食べるほどオブリビオンの力が弱まる……??」
 謎の理論をもちだされて首を傾げている神楽火・鐵希(アイワスシュタットの亡霊・f29914)。不思議なことに、この屋台では麻花兒を食べ続けることでオブリビオンへダメージを与えることが出来、その力を弱めることが出来る。なんとも不思議。
 謎理論は置いておくとして、食べることが勝利に近いというのであればと鐵希は屋台に近づき、麻花兒を1つ手に取って食べる。
「……む」
 店主である魔女の服装の目のやり場に困りつつも、鐵希は麻花兒を1本口へ。せんべいなんて比じゃないその硬さは、集中しなければ歯を砕かれてしまう……そんな予感がしていた。
 しかし慣れればどのように噛めばいいか理解を得た鐵希は、さくさく食べ進める。食べ進めるのだが……。
「……うぐ……」
 甘味を大量に食べるということにあまり慣れてないせいか、麻花兒数本で限界が来てしまった。それでも食べ進めなければならないということはわかっている。故に、どうしたものかと悩み始めた。
 ぽり、と鐵希の口の中でいい音を奏でたところで、彼はひらめく。これはもはや、全猟兵ならば使える奥の手だ。
「店主殿、すみませんが連れを呼んできても……?」
「ん? ああ、構いませんよー。食べていってくれるなら誰でもどうぞー」
「そうですか。では……」
 そう言って鐵希は少し席を離れ、ユーベルコード『グリード・イーター』を発動。召喚を終わらせたらあとは待つだけなので、もう少しだけ席について麻花兒を食べる。
 やがて、数分もすればカクリヨファンタズムの空が少し淀み、稲妻を発する。何事かと屋台の客や店主がそれぞれ上空を見上げれば……降りて来たるは、漆黒色に輝くボディを持ったジャイアントキャバリア。その名も、セリオンカイ。
「あ、来ましたね。すみません店主殿、彼が食べやすいように分けてほしいのですが」
「はっ、はい!? た、ただいまー!」
 魔女はわっせ、わっせと揚げ続け、魔術でセリオンカイに向けて麻花兒を飛ばす。攻撃魔術を併用したお届け方法だったため、セリオンカイは大きく口を開けて攻撃魔術と麻花兒を吸い込んだ。
 この力で呼び寄せたセリオンカイはそもそも捕食したユーベルコードをコピーする力を保有する。そのため、大量に作られる麻花兒を食べるなんてことはお茶の子さいさいだし、なんなら魔女に向けて先程の魔術をお返しすることだって出来る。万能なキャバリアだ。
「あ、店主殿。お水ください」
「はい、ただいまー!」
 魔術でセリオンカイに麻花兒を送り届け、水を渡したり追加の麻花兒を準備したりと大忙しな店主。こころなしかその表情は骸魂に乗っ取られてもなお、楽しそうなものだったという……。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・怜悧(サポート)
詠唱:改変・省略可
人格:アノン
NG:エロ・恋愛
「楽しめそうだ」「美味そうだな」「ヒャハハハハ」
行動優先順は1.NPC含む他者の救助、2.攻撃。ホントは敵を喰う方を優先してェんだけど、ロキが煩せェからな。
UDCを纏って獣人風の格好で戦うぜ。速度と勘を生かして攻撃を避けつつ、接近して爪で切り裂くか噛みついて喰うのが得意だ。UC使った遠距離攻撃もするが、銃はちょっと苦手だ。牽制に使ったりはするけどな。
技術的なヤツとか、善悪論とかは苦手だし、興味もねェ。楽しく殺して喰えれば満足だ。喜怒哀楽は激しい方だが人として生きた経験は短けェからな。価値観とか常識は知らねェよ。まァヤバイときはロキが止めるだろ。



●狂気の果ての道のりで。
「麻花兒……ってなんだ?」
 話を聞いて屋台までやってきた水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)……の中に有する人格、アノン。生きる物は食べる物の判断が付いている様子の彼だが、麻花兒という言葉は食べ物なのかと判断しかねていた。
 まあとりあえずどんな屋台なのかと中身を覗き込むと、ぱっと目に入ったのが揚げられたねじねじしてる揚げ物。店主である魔女が一生懸命作っては揚げているようで、ドンドン積まれている。
「……なんだこれ??」
 アノンが首を傾げていると、怜悧の中に潜む別人格・ロキが興味津々にアノンと入れ替わりを繰り返す。店主からこれが麻花兒だと聞くまで、双方気になってしょうがなかったようで。
 そんなやり取りを続ける中でも店主はドンドン麻花兒を揚げてゆく。流石に放っておくとまずいと判断したアノンは、1本手にとって一口。
「なっ……! か、硬ぇ……!!」
 揚げ物だからさっさと食えるだろ、と思って噛みしめるものの、ばりぼりといい音を立てるほどの硬さだ。下手をすると、歯が砕けてしまうかもしれないほどに。
 しかしそんな硬さにもほんのりと甘みがあって、いくつか食べ進める内にアノンは少しだけ楽しそうに食べていた。何の変哲もない小麦粉で練って揚げられたものなのに、次から次へと手を伸ばしたくなる。
「美味ぇ! すげぇ美味ぇ! ロキ、お前も食べてみろよ! すげーぞ、この硬さ!」
 ばりぼりばりぼり、アノンは食べ進めながら別の人格達に声をかけて麻花兒の美味さと硬さを宣伝する。そんなアノンの様子に店主も嬉しくなったのか、追加の麻花兒をどんどん揚げていた。

 やがて、アノンの手が止まる。
 そう、美味しいと言ってもそれは小麦粉を使った揚げ物だ。水と併用すれば、徐々に膨れて満腹になる。
 そこを計算できていなかったのか! とロキが怒って表に出ては、ユーベルコード『機械仕掛けの妖精』を発動させ、ロキの操る妖精を呼び出して一緒に食べ進めてもらうことに。
「流石に1人では難しいですからね……ここから、少しずつ食べさせてもらいますよ……」
 そう言ってロキは、今度は配分を間違えないようにと麻花兒を食べ続ける。
 ばりぼりばりぼり。屋台の中で、ある種狂気とも言える量の麻花兒を食べ続ける……。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



●屋台の不思議な食べ物。
「まふぁーる。初めて聞いたな……?」
 水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は屋台の近くに送り届けられ、首を傾げていた。
 というのも彼女は外来語が苦手で、今回始めて『麻花兒』という名前を聞いた。グリモア猟兵曰く食べ物だそうだが、名前からしてもどんな食べ物なのか全く想像出来ないままでいた。

 さて、件の屋台はどんな屋台なのだろうと見てみれば。
 山盛りに積まれた茶色のねじねじしたもの。それらがいくつもの皿に並んでおり、引き寄せられてしまった客が必死こいてゆっくりと食べているのが見えた。既に店主は何人もの客を引き寄せているようで、囚われた客が逃げ出せない状況が出来ている。
「なるほど、あの屋台か。……しかし、なんだろう、あれは……?」
 麻花兒屋台と書かれた屋台に一歩近づけば、ぐん、と引き寄せられる。無理に逃げようとしても引き寄せの力が強いということは店主はまだまだもてなし衝動を抑えきれてないようだ。
「いらっしゃいませぇ~! 1名様ご案内です~!」
 店主の高らかな声が響き渡る。じゅうじゅうと揚がる音に混じってからからと客が山盛りのねじねじしたものを手に取る音が聞こえ、更には周囲からばりぼりと噛み砕く音が聞こえ、真峰は今からこれを食べるのだという理解を得る。
「では、さっそく。いただきます」
 手を合わせ、1本だけ手にとって茶色のねじねじ……麻花兒を口にする。
 バキッ、と。折れる音が小気味よく響く。それが麻花兒というものなのか、噛みしめるとめちゃくちゃ硬い。噛み方を間違えれば、歯を砕きかねないほどに。
 しかし食べれば食べるほど、ほんのりとした甘さが口の中に広がる。小麦粉の香ばしい匂いと合わさって、ふんわりとした甘みと香りが鼻の奥を通り抜けてゆく。
 なるほどこれは良いお茶菓子だ、と真峰はゆっくり噛み締めつつ食べ進める。だがその間にも、店主はどんどん小麦粉をこねてはねじって、麻花兒を揚げてゆく。
「むむ……これは、少し早めに食べないと間に合わないだろうか……?」
 自分のペースで食べ進めていたが、このままでは麻花兒の海に溺れてしまうのではないかと危惧した真峰。少しずつ口に含む量を調整しながら、彼女なりの食べ方で麻花兒を食べてゆく……。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイ・キャスケット(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒であり謎解きや冒険となると首を突っ込まずには居られない

性格は明るくポジティブ
性善説的な考え方が強く非オビリビオン相手であれば甘すぎる慈悲を与えることも
楽しければ悪ノリする部分もあり、またその場のノリに流されやすいことも


一人称はボク
二人称はキミ
三人称は年上は~さん、年下は~くん、~ちゃん

戦闘では『ブランクソード』と高速詠唱を軸にした七色の属性攻撃で敵を翻弄するオールレンジラウンダー
得意な戦法は挑発やフェイントを多用したイヤガラセからの主導権奪取
状況に応じ回復も使い分ける万能型だが、体力は並程度を魔力ブーストで補う

明確な弱点は水中、水上行動を極端に嫌うことである



●美味しく、そして楽しく!
「ほうほうほう……麻花兒……ほうほうほう……!」
 グリモア猟兵から話を聞いて、何やら興味を持ったのはレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)。聞いたことの無い食べ物を作る妖怪がもてなし衝動を暴走させている、という時点で助けに行かない理由が思い浮かばなかった。
「あ、その麻花兒っていうのは、食べるときって何か注意あるかい?」
 念の為、食べる時の注意点を聞いておく。固くて歯が砕けやすい、水で膨れやすい、という点を聞いたレイはすぐに対策を考え、使える力を考えてから戦場へ赴くことに。

「麻花兒、如何ですか~!」
 店主である魔女の声が聞こえる。もう少しで押さえることが出来るのだろうか、魔女にも疲労が見えていた。
 そんな中、レイは魔女の声を聞きつけて素早く屋台へ入り、麻花兒とやらを教えてもらう。目の前に積まれている、ねじねじした茶色のものがそうだよ、と教わると1本手にとって観察。
 まるでロープをそのまま揚げたような形をしているそれは、手で持ってみると崩れることがなく、叩いても硬い。事前情報通りだったので、食べ方に気をつけつつ手にとったものをぱくり。
「……んむっ、美味しい!」
 ばりっ、といい音がレイの口の中で響き渡ると同時に、ほんのりした甘さが舌に残り、香ばしい匂いが鼻を抜けてゆく。見た目通りの香ばしさに舌鼓を打ちながらも、レイはもう1つの腹が膨れやすい、の情報を思い出す。
(そういえば、小麦粉で出来てるから水を飲むと膨れやすい、だっけ……。じゃあ、周囲のお客さん達は……)
 ちらりと周囲の客を見てみれば、既に満腹で限界を迎えている者達が多かった。それでも勘定を払って出ていこうとしても、店主のもてなし衝動がまた引き寄せてしまう。まさに生き地獄に等しかった。
 このままでは自分も下手すりゃ倒れてしまう……と計算に計算を重ねたレイはユーベルコード『純白の輝きは生命を運ぶ』によって呼び寄せられた淡い光を放つタンポポの綿毛を飛ばし、数人の客の満腹状態を治療した。
 ―――なお、この綿毛。出しすぎると瀕死になるため、本当に数人に当てる程度に留めている……。
「こんなにつらいおやつタイムなんて嫌だよね。ささっ、ここは少し綺麗な景色を見て胃腸を落ち着けよう!」
 そう言ってレイは治療した客を慰めつつ、自分の疲労状態と客の状態を見ながら治療を続け、山盛りの麻花兒を食べ進める……。



●ごちそうさまでした!
「ふああ~~! 今日はこれでおしまいです~~!!」

 魔女の声が響き渡る。猟兵達の活躍により大量の麻花兒は食い尽くされ、同時にもてなし衝動の暴走が止まったようだ。
 顎も痛けりゃ、腹も痛い。しかし麻花兒の味は美味しかったと呼べるだろう。

 だがこんな事件、二度と起きないことを祈るだけだ……。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月15日


挿絵イラスト