大祓百鬼夜行⑯~今夜もドッキリカクリヨTV☆落とし穴編
●出落ち芸ばっかじゃいつかは飽きる
打ち捨てられたブラウン管のテレビに、妙なテレビ番組が映りこむ。
画面にまず映るのは、ムカデ王の力を得た西洋妖怪、ヴァンパイアの少年。
「さあ! やってきました今夜もドッキリカクリヨTVショー! まず最初の企画はこちら、落とし穴ドッキリ大作戦!」
司会から画面が切り替わり、画面いっぱいにオンボロの屋敷が映りこむ。
カメラに映し出される猫娘は、たいそう自信がある様子。
しゃなり、しゃなり。ととととと。
軽やかな足さばきで、あきらか~に崩れ落ちそうな廊下の端を歩く!
「ふ。こんな見え透いた落とし穴引っかからないにゃー!」
なおこの後秒で落ちた。
●耐えに耐え ドッキリ演出 大作戦
グリモア猟兵のリグ・アシュリーズは、今日も皆を送り届ける準備万端。
集まってくれた皆を見渡して、早速依頼の説明に入る。
「UDCアースのゴミ捨て場でね、ありもしないテレビ番組が流れてるみたいなの」
これは勿論、百鬼夜行の影響によるもの。
骸魂に乗っ取られた妖怪がオブリビオンとなり、通りがかる人を番組の参加者として吸い込んでいるらしい。
このまま放置すれば、現実世界が番組内の世界に置き換わってしまう。
そうなる前に、うまい事番組を終わらせようというのが今回の作戦だった。
ただ、元々驚かすのが大好きな妖怪のこと。
しっかり企画に乗れば、戦って倒さずとも満足して支配から逃れられるようで。
「だから、ね。番組企画に乗っかって、骸魂を退散させてあげてほしいの!」
そういうとリグは、早速番組企画のあらましを語る。
今回流れているのはドッキリ企画。
参加者を落とし穴にはめてリアクションを楽しむ、よくあるタイプの番組だ。
「開幕から皆の足元には罠が仕掛けられてるんだけど、すぐに引っかかっちゃうと妖怪さんの心もガッカリしちゃうみたいなの」
見え透いた罠にかかるだけでは予想を裏切る展開とならず、面白くならないのだろう。
一度耐える、斜め上の方向で乗り切るなど、一旦予想を裏切った上で引っかかるのがポイントだとリグは語る。
「あ、最後はきちんと罠にかかってあげてね! そこは番組の肝だから!」
何やらそこは譲れないらしい……が、落とし穴は怪我をするような深さではなく、親切設計なので安心してほしい。
番組を主催しているオブリビオンは、皆の前には姿を現さない。
どうしても直接戦って倒したい場合は探し出す必要があるが、番組企画に全力で乗っかれば勝手に骸魂と分離していくので、特に心配はいらないとの事だった。
「それじゃ、皆を早速現地へ送るわ! 今宵は皆がドッキリショーの仕掛け人であり参加者よ、せっかくだから楽しんできてね!」
明るい声と共に、キミ達は番組企画の待つ地へと送られた。
晴海悠
楽しいドッキリ企画のプロデュース、あなたならどうする!
番組企画に乗っかり骸魂を成仏させましょ大作戦、です。
サクサク遊べる「ライト版」感覚でお越し下さい!
『シナリオについて』
1章のみで完結する戦争シナリオです。
また、下記のプレイングボーナスに沿って行動すると、戦いが有利になります。
プレイングボーナス……番組の企画に全力で乗っかる(戦わずともダメージを与えられます)。
『プレイングの受付』
オープニング公開と共に受付開始し、基本的にお越し頂いた順に採用します(断章はありません)。
またリプレイは、成功に必要なだけ採用した時点で完結といたします。
『1章:ボス戦』
ムカデヴァンパイア。
番組の司会ですが基本的に会う事はありません。
どうしても見つけ出して倒したい場合を除き、気にしなくてオッケーです。
『番組主旨』
TVに吸い込まれた人を次々と落とし穴にはめて笑いをとるドッキリ企画です。
ただし、すぐ引っかかっては面白くありません。
踏ん張ったり、罠を看破したり、推理や考察を披露したり……なんやかんやして引っ張った挙句に落ちるとウケる企画となり、妖怪の心が満たされる事により『骸魂にダメージが入ります』。
あっさり落ちたり最後まで引っかからないのはNG(苦戦扱い)という事で、イイ感じにオチまで考えてみて下さいねっ。
なお、舞台セットにはオンボロ屋敷のほか野外などバリエーションがあるとの事。
罠の位置など含め、やりたい演出があれば自由にご指定下さいねっ。
『その他』
番組上の演出でも、お色気系のハプニングなど安心して見れないものはプレイングの採用を見送ります。
おまかせやアドリブをご希望の場合は、希望する演出の大まかな方向性と、NGな描写があればプレイングに書いて頂けるとご希望に沿いやすいです。
それでは、リプレイでお会いしましょう! どうぞ楽しいドッキリを!
第1章 ボス戦
『ムカデヴァンパイア』
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POW : ネバーエンドヴァンパイア
無敵の【大人になった自分】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : ミカミヤマセンチピード
自身の身長の2倍の【堅固な外皮を持つ大ムカデ】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 毒百足旋風
【嫌悪感】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【絡み合うムカデの群れ】から、高命中力の【猛毒大ムカデ】を飛ばす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アイン・セラフィナイト
これあれだよね。押せよ押せよみたいなやつだ。…猟兵の仕事って種類豊富だよね。(趣旨をおそらく完全に理解したドラゴニアン)
ここは知的な子供役を粛々と演じてみせるよ。うん。…最終的に引っかかればいいんだよね。よし。
なるほど。落とし穴。なるほどね。つまりあれだよね。
床の色がちょっと違ってたりあからさまにヒビが入ってたり天井から紐が降りてたりするところはあからさまに怪しいよね。
ボクは天才だからね。このぐらいどうってことないよ。(探偵ドラゴニアン)
ふふん。解けた!謎は全部解けた!落とし穴がないのはそう!ここだよ!!(ボッシュート)
……企画が完全に芸人寄りなんだけど!?(穴の中から)
(アドリブ等歓迎)
ああぁ~、と。開幕出オチを決める妖怪の背中をそっと見送り。
鹿撃ち帽を目深にかぶり、アイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)はこっそり顔を出す。
「これ、あれだよね。押せよ押せよみたいなやつだ」
猟兵の仕事って種類豊富だよね、としみじみ頷くアインだったが、その言い方だとかえって押してくれない気もする。
わかったわー、完全に理解したわーとでも言いそうな神妙な顔で深く頷き、ここはひとつ、知的な子ども役を演じて見せようと心に決め。
「……要は最終的に引っかかればいいんだよね。よし」
かくして探偵術士の捜査は幕を開けたのだった。
あらためて、アインは妖怪の消えた落とし穴をしげしげチェック。
「なるほど、落とし穴。つまりあれだよね」
よく見れば床の色がちょっと違っていたり、これ見よがしなヒビがあったり、天井から紐が垂らされた所も怪しい。
危険をことごとく避けて通るアインは、君子危うきに近寄らずの言葉を体現するかのよう。
「ボクは天才だからね。このぐらいどうってことないよ」
帽子のつばをくいと下げ、お得意の推理モードに入り。
「ふふん。解けた、謎は全部解けた!」
ビシッと指差したのは、恐らく構造的に落とし穴を仕掛けるのが無理であろう、建物の構造部の継ぎ目部分。
「落とし穴がないのはそう! ここだよ!」
大きく足を踏み出せば、足元がウィーン☆ と自動ドアよろしく開いて吸い込まれてガッシャンコ。アイン、ボッシュートです!
「なんでさ!? ……あと企画が完全に芸人寄りなんだけど!?」
ごめんよアイン君。
きっと妖怪たち、キミの驚く顔が見たくて張り切っちゃったんだ。
大成功
🔵🔵🔵
アスカ・ユークレース
アドリブ絡み歓迎
ふっ……この私がそんな見え見えな落とし穴にかかると思って?
視力をこらして華麗に回避
万一かかっても穴の壁を蹴ってジャンプしたりクロスボウを武器改造したワイヤーでのロープワークで対処
そのまま何事もなかったかのように用事を済ませるわ
さ、そろそろ十分な尺は録れたんじゃない?
私この後も用事が沢山あって忙しいからそろそろ行かなきゃ行けないの。じゃあバイバイ、またね?
とフェードアウトしようとしたら……
ほぎゃーー?!(最初の方に回避した筈の落とし穴にボッシュート)
二色に分かれた青の瞳は、色合いの変化に富む宝石のよう。
澄んだ色の瞳を爛々と輝かせ、電子精霊の少女はドッキリ企画にも臆せず挑む。
「ふっ……この私がそんな見え見えな落とし穴にかかると思って?」
アスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)。バーチャル技術の結晶である彼女の身体は、視覚聴覚の五感はおろか、身体能力すらも常人以上で。
引き締まり、均整のとれた肉体は、どこか中華風武術の格闘少女を思わせる。
類稀なる視力をもって、落とし穴の位置を見抜き。よく鍛えられた太ももパワーでとうっ、と床を蹴れば、出番を逃した落とし穴の蓋が足元でガコッと外れる。
万一罠にかかっても、そこで終わるアスカではない。
「ふふ、甘いっ。このくらいで罠にかけた気?」
機械の弩、フェイルノートで天井からワイヤーを張り、穴の壁を三角に蹴って地上へ舞い戻る。
華麗な脱出劇と乙女のおみ足に、きっとカメラの向こうは大喝采!
「さ、そろそろ十分な尺は録れたんじゃない?」
私この後も用事が沢山あって忙しいの、と何事もなかったように来た道を戻る。
「そろそろ行かなきゃ。じゃあ……バイバイ、またね?」
可愛らしくウインクを決めて――そして忽然とアスカの姿は消えた。
いやちょっと待て。今何が起きたのか整理してみよう。カメラ、リプレイ!
アスカが姿を消したのは、館の入り口近くの部分。
さっきあなた、颯爽と落とし穴回避してましたよね? まさかかかるわけ……あ。
「ほぎゃー……た、たすけて……」
はじめの方に躱したと思って、油断していた落とし穴の奥底。
さすがに不意打ちは防げなかったのか、頭から変にはまりこんだアスカはやむなく他の猟兵に助けを求めたのでした。
大成功
🔵🔵🔵
ヒューバード・リップル
……落とし穴とはまた古典的なネタだね。安定して面白いからよく使われるのかな?
庭や畑がある感じの場所に行ってみるよ
(地面を見て)……ここのところの地面の色が少し違うね。これは多分落とし穴がありそう。穴を掘ると掘り返した跡を埋めるために掘った土で被せたりするけど、表面と中の土の色は違っていたりするからわかることもあるんだよね
綺麗な土で覆われているところも危ないかな。一帯を掘り返してから落とし穴を目立たせないようにしているかもしれないし
だから草が覆い繁っているところなら大丈夫なはず。あからさまにわかるか……(言っている途中で落とし穴に落下)
……この落とし穴、作った人すごいね。自分もまだまだだなあ
長い、青の髪が月を背になびけば、憂いを帯びた少年の風貌は精霊が水面に揺蕩うよう。
ヒューバード・リップル(深海に微睡む二藍・f26770)は、ありふれた番組企画が逆に意外だった様子。
「……落とし穴とはまた古典的なネタだね」
安定して面白いからよく使われるのかなと、思慮深き少年は不思議そうに首を傾げる。
未知と謎を愛し、片時も本を手放さない彼は、どうやら落とし穴や番組企画の裏側にも興味津々なご様子。
半分好奇心まじりの取材めいた気分で、すとすとと屋敷裏へ回っていく。
ヒューバードがやって来たのは、撮影に使われる屋敷の裏庭。
手入れも行き届かず草木の生い茂る中、ほかとは違う地面をさっそく発見。
「……ここのところ、地面の色が少し違うね」
これは多分落とし穴がありそうだと踏んで、よく周囲を観察する。
穴を掘り仕掛けをした後には埋め戻しの土を被せたりもするのだが、何せ土は乾きやすい。表面のさら土に深部の粘土、色の違う土を無理に戻せばあっさり見た目でバレるのだ。
「綺麗な土で覆われているところも危ないかな」
ならばバレないようにと周辺を同じ色の土で整えるのも、よくある手口。目立たせないようにと張り切るほど、自然にはない作為的な景色が生まれるもの。
だったら、歩いて平気なのは――繁る草木に覆われた、手入れもされてないこちらのルート。
「ここなら大丈夫、落とし穴があればあからさまにわかるか……」
話す途中で消えたヒューバードの姿を追えば、半身埋まるぐらいの穴の底には尻もちをつき、ぼんやりする彼の姿。
「……この落とし穴、作った人すごいね。気付かなかったや」
この世にはまだ、自分の知らないやり方が沢山あるのだと、ヒューバードは穴から脱け出るのも忘れてしみじみ月を眺めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
カクリヨを救う為に騎士として全力を尽くすのみ
番組の企画も大いに盛り上げましょう
御伽噺で主役が活躍する前に竜に敗れ去る雑多な騎士のように
オンボロ屋敷に踏み込みマルチセンサーで情報収集
歩く際の地面の振動の検知結果から落とし穴の位置を●見切ります
穴の位置などお見通し (ビシッと指差し)
そして落とし穴なら、床を歩かなければ良いのです!
(自信満々の演技)
天井にUCを射出しロープワークで宙吊りとなって移動
…そう、ミシミシと自身の重量で天井に負荷を掛けるように
天井が崩れ建物が崩落、落とし穴へ落下
「こ、こんな筈ではぁぁああ…!」
瓦礫の中の落とし穴内部で脚を空に、がに股で静止
…良い画が撮れていると良いのですが
心優しきウォーマシンの鎧は、かつての銀河帝国による特別製。
「カクリヨを救う為なら、騎士として全力を尽くすのみ。番組の企画も大いに盛り上げましょう」
相手に合わせるのも騎士の流儀と、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は意気込みを見せる。
彼にインプットされた理想の自己像は、おとぎ話に出てくる騎士そのもの。清廉潔白、強く在り、時にいくらかの自己犠牲も厭わない。
「今回は、そう――御伽噺で主役が活躍する前に竜に敗れ去る、雑多な騎士のように」
おとぎ話の人物になぞらえ、彼は演じるべき役割を導き出す。
足を踏み入れた屋敷は既にオンボロ、ニスの剥げた床も劣化していていつ踏み抜くか分からない。
和風の屋敷は狭い事も多いが、どうやらここは梁や屋根組むき出しの化粧屋根裏。体長の高いトリテレイアでも天井を突き崩す心配はなさそうだ。
足元に集中して、廊下を歩く。振動をセンサーで感知して穴の位置を見抜き、トリテレイアは衝撃を与えぬよう踏み越える。
「穴の位置など、お見通し」
自信満々にビシッと指差す先で、かこんと外れ落ちる穴のフタ。
「そして落とし穴なら、床を歩かなければ良いのです!」
続いて天井に向けばすん、と撃ち出したのはワイヤー制御のサブアーム。
そのまま梁にひっかけ、ロープのように宙づりに!
……だが、忘れていないだろうか。
ここはオンボロ屋敷。たとえ家屋を支える梁でも、荷重に耐えるとは限らないのである!
ばきり、と何かの砕ける音。梁に絡ませたはずのロープはあっさり外れ、トリテレイアは深い縦穴に真っ逆さまに落ちていく。
「こ、こんな筈ではぁぁああ……!」
がらがらと破片の降る中、宙をつかむ手も空しく騎士の姿は消えていき。
がりがり、と。
がに股に足を突っ張って滑り止めにしたトリテレイアは、穴の途中で静かに呟く。
「……良い画が撮れていると良いのですが」
ええ、そりゃもう。迫真の演技でした!
大成功
🔵🔵🔵
アリルティリア・アリルアノン
おや?一本道の真ん中に、木の葉で覆われたあからさまな落とし穴っぽい場所がありますね?
しかもご丁寧に両脇は安全に通り抜けられるように見えます。
…ふっふっふ、かしこいアリルちゃんは知ってますよ!
これはいかにもな落とし穴を避けた先に本命の落とし穴があるパターン!
つまり一見危なそうなど真ん中を進むのが正解という事です!
どこの誰だか知りませんが、このバーチャル魔法少女アリルちゃんをあざむけるとは思わないことでぎゃーっ!?(結局露骨な方が普通に落とし穴だった)
たんたんと続く、森の小路。
月明かりに照らされた一本道のど真ん中、あからさまに木の葉で覆われた地面を見て、少女は首を傾げ。
「おや? おやあ……?」
ははーん、とにんまり笑顔を決めるのはアリルティリア・アリルアノン(バーチャル魔法少女アリルちゃん・f00639)。
グリモア浮かべた何たらって人の話は正直右から左へ聞き流していたけれど、これはもしかしなくても落とし穴。
しかもご丁寧に、両脇は安全に抜けられるよう普通の地面を残してる様子。
「……ふっふっふ、かしこいアリルちゃんは知ってますよ!」
きゃるりーん☆ 魔法のステッキを振りかざし、星くず散らしてバーチャル魔法少女ポーズ。
「これは、いかにもな落とし穴を避けた先に本命の落とし穴があるパ・ティーン!」
アリルティリアの電子頭脳が導き出したのは、見え透いたオブジェクトで本命の罠へと誘導する仕掛け。
もし本当にそうなら、避けて通る方が危ないという事になるのだが。
「つまり一見危なそうなど真ん中を進むのが正解という事です! どこの誰だか知りませんが、このバーチャル魔法少女アリルちゃんをあざむけるとは」
見切ったとばかり早口で述べつつ、アリルティリアは葉っぱの上をずんずかずんずん、ズズーン!!
「思わないことでぎゃーっ!?」
見え透いた罠にかかった少女に、追い打ちとばかり覆い被さる枯草の山。
マンホールよろしくフタは反転、葉っぱの代わりに出てきたのは……あっ、網とバナナ!
妖怪さんたちの張り切りすぎた罠で丁寧に閉じこめられたアリルティリアは、数分後。同じ罠にかかったお猿さんと居合わせ、しばし仲良く過ごすのでした。
「ぎゃーっ!!」
べりべり。あ、引っかかれた。
大成功
🔵🔵🔵
ミリィ・ライジング
いつもはお兄ちゃんと一緒だけど、一人でできる事も頑張らないとね。
まずお屋敷に入る前にUCを発動させて、
化身に【偵察】させる事で落とし穴の位置を把握する。
私は【ダッシュ・ジャンプ】で落とし穴を跳び越えたり、
落とし穴に落ちる前に、落とし穴の上を駆け抜ける事で回避する。
身体能力をフル活用したから、ちょっと疲れちゃったかな……。
ちょうどいい所にイスがあるから、これに座って休憩しよう……。
「よいしょおおおおーっ!?」
(実はミリィの座ったイスは座ると脚が壊れる仕様。
そして背後には落とし穴。ミリィは背中から落ちていく……)
「……え? 天晴、何で教えてくれなかったの!?
『面白そうだったから』!? 怒るよ!?」
臙脂色の装束をなびかせ、屋敷前の庭園に降り立つ金の髪の少女。
ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)のすぐ傍らには、烏帽子姿の貴族の霊が透けて見える。
「いつもはお兄ちゃんと一緒だけど、一人でできる事も頑張らないとね」
屋敷に入る前に、意識を研ぎ澄ませ。五行の護符で霊魂を呼べば、控えていた天才陰陽師・安倍天晴の霊が実体を帯びる。
「天晴、出番よ! 先に行って落とし穴がないか、見てきてちょうだい!」
形をとって現れた天晴に、ミリィは偵察の役を任命した。
使役の形をとってはいるが、ミリィと天晴の間柄はなかば友達のようなもの。落とし穴の位置に札を貼りつけ、天晴は主を安全なルートへと導いていく。
化身忍者としてのミリィ自身も、実力は目を見張るものがあり。
先祖譲りの体術で穴を飛び越え、ときに水走りのように真上を駆け抜け回避してみせる。
息ぴったりのコンビネーションに、落とし穴はどれも不発に終わった。
けれど、これだけ一気に駆け抜ければ、猟兵といえど疲れは感じる。
「ちょっと疲れちゃったかな……あ、ちょうどいいところにイスがある」
無造作に置かれたイスの意味を、考える余裕はミリィにはなく。
まずは座って一息つこうと、おもむろに腰を下ろし――。
「よいしょおおおおーっ!?」
ガッ、と。前後逆さのジェットコースターよろしく、後ろにガコンと倒れるイスの背もたれ。
実はこのイス、脚のところが朽ちていて、倒れ込む後ろ側には案の定落とし穴。
背中から落ちていくミリィ、最後の一人も出荷完了――!
ずぼん、と。
枯草のマットに身を沈めたミリィは、守ってくれるはずだった陰陽師に猛抗議。
「ちょっと天晴、何で教えてくれなかったの!?」
烏帽子姿の天晴、これにはにっこり口元を隠して平安スマイルを決めてみせ。
「……え、『面白そうだったから』!? 怒るよ……!?」
ぷー、と頬膨らませるミリィを、天才陰陽師はさも愛おしそうに眺めるのでした。
◇ ◇ ◇
さてさて、こちら舞台裏。
一通りドッキリを仕掛け終え、満足したヴァンパイアの身体からふぅ……と骸魂が抜けていく。
どうやら作戦は成功、猟兵たちの大勝利!
これなら妖怪も信じて身を委ねた甲斐があるというもの。
「ふふ、うまくやってくれたみたいだ。さあ、この後も戦いに赴くキミ達につかの間のねぎらいと行こう!」
ヴァンパイアの少年の駆ける先には、役目を終えた猟兵たちの姿。
屋敷を抜けたところで落ち合う一同の――。
「あ」
――足元が、土砂崩れみたくどずんと崩れた。
そういやまだ特大のタネ、残ってましたね! ずずーん。
大成功
🔵🔵🔵