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荒野の町改め、温泉の町ロレース3~皆で建てる猟兵の砦~

#アックス&ウィザーズ

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●迫る悪意と猟兵の砦。
「大変じゃお前さんら! 温泉が湧いて発展目覚しいロレースにゴブリンの軍団が攻め入るのじゃー!」
 グリモアベースで大騒ぎするプリマステラ・リコールド。
 両手をわたわた動かすへっぽこグリモア猟兵は、ゴブリンの王が温泉町となったロレースと呼ばれる町の蹂躙計画を練っている事を予知したのだ。
 そのゴブリンの王は下級悪魔を大量に召喚、尖兵として使役する準備を行っているそうだ。
 しかも用心深いらしく姿を隠し、住処を移動する……スカウトを出しても発見するのは難しい状況だ。
 プリマステラでは居場所までは予知が出来ず、ただ攻めてくる事が分かっただけである。

「このまま放っておけばロレースはゴブリンどもにメチャクチャにされてしまうのじゃ! なんとか、手は無いか……精一杯考えた結果! じゃーん! ココを見てほしいのじゃ!」
 空中にホログラムを展開、ロレース周囲の地図を表示するとある一点を明滅させる。
 そこはロレースと温泉湖にほど近い廃村跡地であった。

「ロレースの町長殿には許可を得ておる! お前さんらになら自由にして貰って構わん、少ないが物資の支援もすると言ってくれておる! ココにゴブリン防衛拠点を造るのじゃ!」
 お前さんらは信頼されておるな! と笑顔で語るプリマステラ。
 キミ達が積み上げた絆と信頼が跡地ではあるが、村を一つ自由に使って良いと言わせたのだ。
 温泉も近い事だし、別荘にでも使えそうな立地のこの場所に【猟兵の手で猟兵の砦】を造るのだ!
 幸い近くには石切り場が存在し、石材は手に入るだろう。
 荒野らしく木材は少ないが、粘着性の高い液体を出すサボテンや乾燥に強い低木が存在する。
 また、付近には野良モンスターが見かけられるので彼らの素材を手に入れるのも良いだろう、もしストーンリザードの素材が手に入れば最高だ。
 水場は近くに存在しないが、温泉水脈が砦予定地の近くを通っている事が報告されている。
 少し掘ってやれば飲料にも使える温泉が湧きだすだろう。

「幸いオブリビオンが攻めてくるまでしばらくはかかるはずじゃ、それまでにヤツらが無視できない程の立派な砦を造ってやろうではないか!」
 頼んだぞー! やり過ぎ位すごい砦を造っても構わんのじゃぞ! と転送されるキミたちを見送るプリマステラ。
 さぁ、キミたちの別荘にも使える砦だ、最高の砦を造ろうでは無いか!


伊吹ノ樹
 拠点作成シナリオですよ猟兵さん!
 はい、伊吹ノ樹です!
 今回は皆さんの別荘にも使えるかもしれない砦を建設し、迫るレッサーデーモンとゴブリンキングを撃破、町を守るお話です。
 前回までのシナリオと場所が同じ程度な関係なので、今回からでもお気軽に建築に参加して頂けると思います。

 第一章は砦造り、素材を集め皆さんの砦を建てちゃいます!
 MSからのお願いですがプレイングに【戦】【生】【娯】のどれかを書いて頂きたいのです。
 これは、皆さんが【砦のどの部分を作成・強化】しかた分かりやすくし、集計する事で砦の外観とか施設を設定したいからです、
 【戦】が多ければ多い程、防壁やバリスタ等の戦闘設備が立派になります。
 【生】が多ければ多い程、お風呂や居住区、畑等の生活設備が立派になります。
 【娯】が多ければ多い程、図書館や劇場などの文化・娯楽施設が立派になります。
 地形破壊や作成系のUCがあれば面白いかもですね。
 もし文字数に余裕がありましたら、詳しくこういう施設を作るぞーとか、私の部屋はこんなのだ! とか明記して下されば反映してみたいと思います、限界はありますが!

 第二章は押し寄せるレッサーデーモン戦です!
 第三章は愚かにも砦に攻めるゴブリンキングとの戦いです!
 この二戦は砦が大きければ大きい程にボーナスとか発生します、是非皆さんらしい砦を造ってくださいね!

 では、皆さんの投稿、お待ちしております。
 よろしくお願いします!
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第1章 冒険 『砦の素材集め』

POW   :    洞窟から有用な岩や鉱石を大量に掘り出し、気合で運び出す。

SPD   :    敢えて危険なモンスターの跋扈する地に赴き、身を隠しながら落ちている竜鱗や竜骨を拾い集める。

WIZ   :    森や草原にて高い粘性を持った草や強度の優れた木材などを見定め、それらを集める。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ●砦をつくろう。
 猟兵達は建設予定地へと転送される。
 大地は荒れ、ボロボロの木の家屋が数件。
 村の中央には枯れた井戸、村を囲っていたであろう木の柵が数本残っているのが見えるだろう。
 普通であれば砦の建設等不可能、出来て簡易な防衛拠点だ。
 しかし様々な能力を持つ猟兵達ならば不可能を可能にするだろう!

 では、改めて説明しよう。
 石材や鉱石を入手するには近くの石切り場や洞窟があるだろう力持ちであればより沢山運べるはずだ。
 魔物の素材などを手に入れるには荒野を往くのが良いだろう、駄ピしたストーンリザードの皮や竜種の骨が手に入れば様々な用途に使えるはずだ。
 荒野なので木材は手に入りにくい、乾燥に強い低木や粘着性の高い液体を出すサボテンが見つかるだろう。
 現在、井戸は枯れているが知識があれば飲料にも使える温泉が湧き出す場所が特定できるだろう。
 勿論適当に掘っても出るはずである。
 また、地形を変える力があれば堀どころか、川や池も作れるだろう。

 ちなみに温泉町ロレースから食料等が提供されているので、食べる者は気にしないで良いだろう。
 さぁ、猟兵達は自分達で自分達デザインの砦を造るのだ!
レイチェル・ケイトリン
わたしの得意な「念動力」の技能でサイコキネシスをつかって地形をかえるね。

砦を守るように堀をつくり、のばし、ひろげていくの。
「情報収集」と「地形の利用」と「拠点防衛」の技能で場所をきめるよ。
道は「トンネル掘り」で必要なところだけを橋のようにしておいて、とおれる場所をきちんときめて守りやすくするの。
掘った土は砦の方に積み上げて高さを確保するね。

十分にできたら、つかいすぎないように気をつけて温泉もほるよ。
じゃまできるくらい水を溜められたらそれでいいから。
そして広げてくよ。おっきくしてため池にしてくの。

木がない荒野もうるおせるように。

プリマステラさんがくれた未来をゆたかな実りにつなげたいとおもうから。



●まずは基礎を。
「えっと……ここを、こう……だよね」
 荒野を小さな歩幅で可愛らしく歩く少女が一人、青い瞳と銀の髪が特徴的なヤドリガミの少女。レイチェル・ケイトリン。
 彼女は他の猟兵達と分担し《サイコキネシス》で地形を変化させているのだ。
 大きな見えない手で丁寧に荒れ地を掘り起こし、砦を囲うように堀を作っていく。
 時折出現する大きな岩も念動力を使えば楽々運び出せるのだ。

「あ、ここは橋に出来ますね」
 更にレイチェルは岩をかき集め橋を架ける、これで居住区との行き来が出来る場所が絞られるわけだ。
 攻められにくく守りやすい、最高の立地だろう。
 そんな作業は瞬く間に終わる、巨人が土遊びをするのと同じような物なのだ、重機を使うよりもエコで楽に出来上がってしまったのだ。
 掘られた事で出た土は砦造りにも役立ち、完璧と言って良い出来上がり。
 これでレイチェルの仕事は終わりなのだが。
 さて、そこでレイチェルは考える……堀以外にも必要な物があるのでは無いかと。

「そうだ、あれも作れれば……」
 少し汗ばんだ乳白色の肌を軽く拭い、良い事を思いついたと歩き始めたレイチェル。
 居住区の建設が始まった今ならまだ間に合うだろう。
 そう考えて再びイメージを作り、集中……現実世界にイメージ通りのモノを作り上げる。
 それは見えない念動力の手、巨人の手だ。
 荒れた大地に指を突き刺し、土を捲り、岩や石を取り除く。
 堀とは違い戦いには役に立たないかもしれない、でもこの荒れ地には必ず必要な物。

「ふふ、これで荒れ地が少しでも潤ってくれれば良いのですけど」
 ――それは池。
 堤で周りを囲い、僅かな水をも逃さない農業に必須な水を手に入れる場所だ。
 今は岩でせき止めているが、雨が少なければ温泉水脈から引き入れる事も可能。
 この池が荒野に恵みを齎してくれると、実りある未来を創ると信じて。
 レイチェルは優しい微笑みを浮かべるのであった。

 この後レイチェルは池作成の手腕を買われ、砦内に温泉が欲しい人達の手助けをする事になったり。
 堀ででた余分な土で砦側の土地を高くする手助けに駆り出されたり。
 重い物を持つのを手伝ったり、見えない足場を作ってあげたり。
 畑を作るのを手伝ったりと猟兵から町民から、頼られる事になるのだが……。
 それは別の話になるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キョウ・ヴァゼラード
【戦】
「野戦築城…やるならば完璧な砦を構築し、周囲一帯の防御を担うようなものにすべきだな」

●伯爵の砦設計
【戦闘知識】を用いて防御に最適な砦の設計を行う。
バリスタを複数設置し、物見の塔や弓兵を配置する城壁もあると良いな。
「魔物など容易く蹴散らす最強の砦にしてやろう!」
『閣下、あまり戦争仕様にすると他の皆様が…』

●材料集め
洞窟に赴いて資材となる岩や功績を採取して来よう。
【盾のアイギス】と2人で【怪力】を使ってどんどん運び、砦を建築していくぞ。
「さぁどんどん行くぞ!最強の砦の為に!」
『閣下は意外と戦好きですよね…』

※アドリブ大歓迎


トリガー・シックス
【戦】
砦の建造には材料が必要になるだろう。石切り場へと足を運ぶか。
防壁に必要な分を切り出して運ぼう。
「遠くを見るための見張り台用のも切り出しておくか」
岩をいくつか運んで、適当に配置する。あとで意味は分かる。
他に何がいるかは聞いてから行動しよう。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK



●敵意の監視。
「野戦築城……やるならば完璧な砦を構築し、周囲一帯の防御を担うようなものにすべきだな」
「となると、大事なのは塔だな」
 大まかな砦の構造を決める際、二人の男が図面を前に話し合う。
 砦を中心に防壁、城門を造るのだが地形を確認した二人。
 伯爵の位を持つ長い黒髪が特徴的な聖霊騎士団の団長、キョウ・ヴァゼラード
 もう一人は黒衣を身に纏い、切れ長の黒い瞳だけを覗かせる戦場傭兵、トリガー・シックス。
 二人は外敵監視の為の城壁塔の位置を地図を確認し、侵攻位置を想定。
 自分達が守りやすいように縄張を張るのだ。。

「魔物など容易く蹴散らす最強の砦にしてやろう!」
「閣下、あまり戦争仕様にすると他の皆様が……」
 キョウは部下のアイギスを連れて砦の設計から建築する城壁の規模、監視塔の形状を決めていく。
 盾を持つ守護騎士であるアイギスはやり過ぎないように……と言い含めるのであったが、キョウには届かなかったようで。

「城壁の配置からやはり」
「うむ、では高さは……む、少し消費石材量が多いか?」
 トリガーとキョウは想定よりも大きく石材を消費するも、防衛能力に特化した城壁塔を作り上げる事を決意する。
 ヒヤヒヤしながら見守るアイギスを尻目に二人は情報を共有、善は急げと石材の確保に移るのだ!

「さぁどんどん行くぞ! 最強の砦の為に!」
「閣下は意外と戦好きですよね……」
「……」
 三人は自慢の怪力を発揮、消費量を増やした分以上に石材を確保していく。
 その石材は硬く、加工するのに時間がかかるものだ。
 しかし猟兵であるキョウとトリガーにとってはただの石である。
 様々な器具で綺麗に裁断するのだが、特に効果を発揮したのはキョウの持つ聖剣だ。
 アイギスは閣下……と何処か悲しそうな瞳で見ていたがスケジュールを前倒しにする為には仕方のない事だ。
 と言い聞かされ、渋々引き下がった。
 だがグランネージュの一振りで大理石のように綺麗に成形出来てしまう上に、若干魔力が断面に残るらしく簡易的な防魔能力まで付与されてしまっているではないか。
 これは要所に使用できると二人の男は頷き合ったのだ。

「む、シックスよそこにも石材あるが」
「……あぁ、これは」
 予定量よりも余裕を持って切り出した石材、トリガーが塔に設置する石材以外に多めに切り出していたのだ。
 その事にふと気づいたキョウが質問すると、寡黙ながらもトリガーは答えた。
 おそらく、必要になるのだと。
 トリガーは見切りをつけ、余らせた岩を配置しておくのだった。

「うむ、完成したな」
「あぁ、完成だ」
「お二人とも……加減を……いえ、もう遅いです」
 キョウとトリガーが満足そうにうなずき、アイギスがその様子を若干呆れながら見守っている。
 それもそうだろう、出来上がった側防塔は常軌を逸している完成度だからだ。
 城壁に合わせた三角型の塔は10mの近く高さがあり、三階部分から上の階層には小さな窓が設置されている。
 射眼である、これにより一方的に弓で迎撃可能になる。
 これで砦に駐在する兵士が安全に弓で援護できるであろう、また塔の屋上部には大型の弩を設置。
 このバリスタは対地射撃にも対空射撃にも使用でき、設置板が回転する事により様々な角度に発射。
 迫りくる敵への攻撃が可能である。
 そして丁寧に作られた砦の壁は若干の魔力に対する防御能力を持っているのだ。
 まさしく完璧すぎると言って良い出来であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

二天堂・たま
【戦】【SPD】アドリブ等歓迎
猟兵というのは建物のビルドもするのか!面白そうだな!
色々な材料を前にすれば物作りのアイディアも浮かびそうだ!まずは技能(目立たない、迷彩)で身を隠しながら収集しよう!
それにしてもモンスターの材料というのは荒々しくてカッコいいものが多いのだな!

ここで迎撃戦をするのなら、戦いやすそうな広場に誘導するバリケードを立ててみたいところだ!
戦う場所が決まっていれば、戦支度もしやすかろう!


ティエル・ティエリエル
「ロレースの町のピンチなんだね!大丈夫、またまたボクが解決してあげるよ☆」

【ライオンライド】で体長40cm程度の子供の黄金のライオンくんを呼び出して騎乗したら、荒野に素材を探しにいくよ。
「動物と話す」技能を使って荒野にいる動物達に魔物の生息域とか分かる範囲で教えてもらうね♪
素材がいっぱい集まったら、「地形の利用」「物を隠す」技能を使った落とし穴の罠を作っていくよ!

砦の強化は【戦】をメインで行うよ☆
ふふーん、立派な砦が出来上がりそうだよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●どきどき☆砦の罠門作り!
「猟兵というのは建物のビルドもするのか! 面白そうだな!」
「ロレースの町のピンチなんだね! 大丈夫、またまたボクが解決してあげるよ☆」
 可愛らしい二人の猟兵はやる気満々で砦の作成に動き出す!
 二人の担当は魔物素材の回収と、防衛のための罠を設置する事だ。
 では魔物の素材回収班のメンバーを紹介しよう!
 一人目は身長38.6cm、自分の名前を良く忘れケットシーと自称する緑色の瞳の猫さん、二天堂・たまだ。
 二人目は身長18.7cm、妖精の国のおてんばプリンセス、風になびくオレンジ色の髪が可愛らしいフェアリー、ティエル・ティエリエル。
 甘いものが大好きな二人が荒野に素材を求めて走り出すのだ!

「出番だぞ! タイラント!」
「出てきて! ライオンくん☆」
 荒野を往くに辺り、二人は相棒を召喚するのだ。
 たまは自身の身長の二倍程の大きさのもっふもふのひよこちゃんの群れを。
 ティエルは自身の身長の二倍程の大きさの黄金のライオンくんを。
 中々にふぁんしーな集団の誕生に、地元住民もほっこり笑顔である。
 もっとも、容姿はファンシーだが戦闘力はかなりのもの、魔物が徘徊する荒野でも問題なく行動可能なのだ!

「うむ、ワタシが角を見つけたぞ!」
「ボクは絡み花のツタを見つけたよ☆」
 荒野に出て素材を順調に素材を集めていた二人。
 重獣の骨を中心に拾った中には、なんと竜種の鱗まで含まれているのだ!
 素材は十分に見つかった、砦に帰還して砦をビルド開始! ……な、はずだったのだが。
 たまの足元にごろごろと転がってくる生き物が居たのだ。

「うむ、どうしたのだ? ワタシはケットシーだぞ?」
「きゅきゅきゅー!」
 球体がもぞもぞと蠢き、四本の小さな手足が見える。
 挨拶は大事、と自分の名前を忘れたたまがケットシーと名乗ると、動物はきゅうきゅうと鳴いたのだ。
 何を言っているのか分からない……挨拶を返しているのだろうか?
 チリンと鈴を鳴らしどこか紳士的な仕草で首を傾げるたま、そんなケットシーの元に赤いリボンとひらりひらりと舞い踊らせながら救いの妖精がやって来た。

「もう! ケットシーじゃなくてたまでしょ? ってアルマジロ?」
「うむ、挨拶はしたのだが何を言っているのか分からないのだな」
「きゅっきゅっ!!」
 動物と会話が出来るティエルが通訳をしながら三人(?)で話し合う、その様子を黄金ライオンくんとタイラントちゃん達が見守っているのだ。
 さて、荒野に住む体長30mのコウヤアルマジロの話を要約すると、素の近くに空から大きな何かが降ってきたのだ。
 退かしてくれる人を探していたのだ。
 二人ならなんとかしてくれると信じているのだ! お礼もするのだ!
 とのことである。

「大きなもの、なんだろ……」
「うむ、とりあえず行ってみるのだ」
 二人は頷き合うと相棒たちに騎乗、転がるアルマジロを先導に大きなモノを回収しに行くのだ。
 そんな二人が巣で見たモノ……それは首を食いちぎられたワイバーンの死体であった。
 飛竜の死体、しかも骨まである完全なレア素材……しばし無言であった二人は、誰ともなくハイタッチ!
 大きなワイバーンの素材をティエルがフェアリーランドに収納し、後は帰還するだけ。
 アルマジロからお礼に砂糖サボテンのジュースを貰い、砦に帰還するのだった。

「なかなか甘かったのであるな」
「うん、トロっとして美味しかったよね♪」
 さて、砂糖サボテンのジュースを飲み終えた二人は砦に帰還。
 小さな体で建造を開始するのだ、二人の担当は城門!
 最も人と敵が通るであろう大事な場所だ!
 黄金ライオンくんやもふもふひよこちゃん達も手伝って、地道な作業を続けていく。
 が、二人とも柔軟で楽しいアイデアを連発した結果……敵にとって恐ろしく、素晴らしい城門が出来上がったのである。

「良い出来だな」
「いえーい☆ 完成だね!」
 二人は出来上がった城門を見上げながら可愛らしくハイタッチ!
 その自慢の城門を見てみよう。
 二人が作った城門は所謂“ゲートハウス”と呼ばれる様式であり、門の左右に守衛が詰める塔が建っているのだ。
 その塔に挟まれた形で飛竜の骨から作られた落とし格子と呼ばれる門が設置されている。
 緊急時にはこの格子門を落とし、外敵から砦を守るのだ。
 そしてさすが飛竜の骨、強度と軽さが両立しており、生半可な攻撃では傷つきもしないのだ。
 落とし格子にはティエルが錬金術を応用してスパイク機能を展開できるように改造、突撃してくる存在に反撃出来る便利な門となった。
 そんな門で足止めしている間に守衛塔から弓による射撃が可能であり、万が一突破されても次の策が存在するのだ。
 それが所謂“喰違虎口”に似た壁で囲った小空間だ。
 攻防の要所でる門をを突破した瞬間に、すぐに敵兵が散開しないように壁で囲っている。
 壁には一つだけ砦に進む門が存在し、攻める敵が展開と進撃し難い。
 勿論進むための門の隣には小さな櫓代わりの塔が建てられており、虎口に誘い込まれた敵は全周囲から弓や魔法を一方的に受けることになるのだ。

「しかし、ここは使われないのがベストだがな」
「だね! 表で守れれば一番だもん!」
 勿論ゲートキーパーより外にも仕掛けがある。
 一定以上の重量でのみ作動する落とし穴を妖精姫が設置した事で攻城兵器の接近を防ぎ、ゴーレムやオーガ等の力自慢からも城を守るのだ。
 たまは城門の前の橋より前に小さなアーチを作成、普段は訪れる者を歓迎するアーチだがボタン一つで橋を封じるバリケードになるのだ!
 落とし穴とバリケードによって砦に近づける者は限られた、守衛塔からの対空射撃もありやりすぎという程に防衛能力を強化した結果……。
 二人の小さな猟兵による防衛戦の準備は完璧であると言って良いだろう!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルイーグ・ソイル
おー…ここ、日当たりメッチャいいっす!あったかそう…なのにめちゃめちゃになってるっすね…こいつはションボリっす…勿体無いっす…!
へっ?ここ温泉出るっすか!?そうと聞いたら黙っていられないっす!オレ、手伝うっすよ!!
【生】露天風呂が出来たら超嬉しいっす!石を集めに行くっすよ~!
たくさん持てなかったら家屋掃除をして、誰か他に手伝ってくれそうな人が来るのを待つっすかね…
(連携アドリブ歓迎です)


エルーゼ・フーシェン
【生】
私は他の猟兵たちと生活設備のほうを整備するわ。
部屋もそうだけど、お風呂も欲しいわよね。
たしか少し掘るだけでも温泉が出るとか言ってたわね。
持ってきた石材や素材で大きい浴場を作るわ。
こっちが終われば、他の人の手伝いに回るとするわね。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK



●砦内に温もりを!
 温泉が欲しい。
 誰が言い出したか分からないが、温泉が湧き出ると分かっているのに放っておくのは勿体ないだろう!
 そう考えた猟兵達の中で二人が温泉と大きな浴場を作るべく立ち上がったのだ。
 一人目は寒さが大嫌い、あったかい場所が大好きな人狼のグールドライバー、ルイーグ・ソイル。
 オレンジの瞳にやる気を燃え上がらせている。
 二人目は銀髪に狐耳、蒼い翼が特徴的なキマイラのマジックナイト、エルーゼ・フーシェン。
 大きな胸に熱意を燃やし、巨大浴場作成に取り掛かるのだ!

「折角の温泉っす! 露天風呂を作るっす!」
「大浴場は女湯、男湯でいいわよね? 混浴……一応作っておきましょ!」
 えいえいおー! とやる気に溢れる二人はまずは素材集めに赴く。
 どちらも石材が必要だろうと石切り場で大量の石材を手に入れるのだ。
 手に入れた石材だが、全てを平らに切りそろえるエルーゼに対し、ルイーグはごろごろとした岩状態の物をいくつか残している。
 なお、何故かエルーゼは大半の石材を匿名の男から送られていた。
 おそらくエルーゼの行動を見越した人物からのプレゼントであろう。
 そんな状況で石材集めは終わり、二人は頷き合うと自分達の求める浴場を造り始めたのだ。

「やっぱり露天風呂は見晴らしも大事っすよね!」
 ルイーグは土で少し底上げし、砦の中で1.5階程の高さに建設を開始した。
 まずは綺麗に角取した石材をタイルの代わりに設置、そこから更に綺麗に研磨して素肌で歩いても痛く無いようにツルツルにするのだ。
 十分に削った後、待っているのは露天風呂のデザインだ。
 大きめの岩を残していたのは浴槽として設置するためである!
 ヒノキ等の木製浴槽もよいが、荒野の荒々しさには石や岩による自然浴槽が一番だろう!
 ルイーグは岩を置いた……置いては外し、また置いて。
 完成した浴槽の大きさは10人は余裕で入れる大きな露天風呂となったのだ!
 勿論覗き見対策に細長い木を板状に纏め、視線を塞いでいる。
 屋根も設置し、誰が見ても露天風呂だと言えるものが出来上がったのだ。

「まだまだーっす! これが欲しいっす!」
 温泉を引き入れ、排水する設備も完成。
 入浴だけならいつでも可能だ、しかしもう一つ……細く横に長い岩を見つけてから作りたい物があったのだ。
 そう、《滝湯》を作るのだ!
 ルイーグは程よい高さにまで細長岩を積み上げ、温泉をくみ上げた際に滝のように噴き出るようにセット。
 見事3本の温泉の滝が生まれたのだ!
 これで肩こりに悩む人々に使われるだろう、まさしくルイーグの渾身の一作である。
 ちなみに、露天風呂の浴槽に温泉を引き込む注ぎ口は、狼をデザインされている。
 狼の口からドバドバと温かなお湯が湧き出しているのだ!

「更衣室は大丈夫ね、あとは……」
 一方こちらは砦の中心となる生活拠点に隣接する形で作られた更衣室。
 エルーゼは丁寧に平らになった石を並べ、完璧な大浴場を作り上げていた。
 しかし何かが足りない……露天風呂と行き来が出来るし入浴するだけなら何も問題は無い……だが、何かが抜け落ちているとエルーゼ。
 しばらく思案を重ねていたエルーゼは鎖骨から胸元へと伝う汗に気づき……拭おうと手を伸ばした。
 刹那――エルーゼに電流走る、屋内大浴場に足りないものが分かったのだ!

「美肌にも健康にも良いアレを忘れてたわね」
 よ~し、と美しい乳白色の肌が露出する腕を軽く上げ、思い立ったが吉日と建造にはいるのだ!
 長方形に綺麗に斬られた石材を、隙間なく積み上げる。
 それでも出来る隙間は耐水性の高い樹液を混ぜた泥で塞ぎ、まさしく隙間を失くしていく。
 入り口は三つ、男湯と女湯、混浴風呂から直接出入りを可能にする引き戸。
 壁際には三段の石造りの椅子を設置、椅子の幅は広めにとって寝転ぶことも可能にした。
 中央には錬金術にて温泉を蒸気として吹き出す装置を入手済みだ!
 試しに温泉を通してみると、装置は正常に稼働し見事に高温の蒸気を吹き出してくれた。

「ふぅ……これで完成ね!」
 そう、エルーゼが作り上げたのは各浴場から直通の《温泉を利用したミストサウナ》だ。
 これで新陳代謝を促進、デトックス効果で美肌になるだろう!
 猟兵の中にはサウナで我慢大会なんて事をする人間が居るかもしれなが、それはそれで楽しいかもしれない。
 自分達の作り上げた施設なのだ、存分に楽しめると良いだろう。
 そんな充足感に包まれるエルーゼにある少女が声をかける、その内容に少し驚いたが大浴場が更に良くなりそうなので承諾したのであった。
 その内容とは浴場の壁に“絵”を描くこと。
 錬金術で作られた防水ペンキでその少女の描いた富士が浮かび上がった浴場は、見事と胸を張って言えるものだった。

「おおーこっちもすごいっす!」
「ふふ、ありがとうね。 でも露天風呂も凄かったわよ」
 こうしてルイーグとエルーゼは見事に砦内に憩いの湯を作り上げることに成功する。
 観光資源にもなる温泉がいつでも使えれば、この拠点を利用する猟兵達の志気も上昇するだろう。
 温泉の温もりは体力の回復を促進、結果戦力が増強されるのだ!
 温泉砦の完成である!
 ちなみに、一番風呂は勿論ルイーグとエルーゼの特権であることを此処に示しておく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茅原・紫九
【SPD】【娯】
集落を作るなんざ勝手が分からねえがやるしかねえか

錬成カミヤドリで煙管を大量に操って素材を集めるぜ
複数同時進行で素材が収集できる、しかもある程度離れていても可能だから魔物に見つかっても逃げやすい。

デメリットは念力での操作だから周囲への集中力散漫と、ふわふわ素材が移動する訳だから見つかるリスク自体は高まる点だな…
まあ多分未来の俺が何とかするだろ。具体的には周囲観測用の精霊召喚したり地形上手く使って逃げたり。頑張れその時の俺、ファイト!

施設作成は内部の壁や天井に絵を描くか
最悪防衛にだけ使われてそれっきりの可能性もあるだろ?
もしそうでも、ふらりと訪れた人が楽しめる様な残るものを作りてえ



●猟兵砦に色どりを。
「さて、やりますか」
 ぼさぼさの白髪を軽く掻き、やや不健康そうな顔の女性が1m程の大きさの大筆を肩に乗せて呟く。
 彼女こそ煙管のヤドリガミにしてゴッドペインターでもある茅原・紫九だ。
 折角猟兵達が作り上げる砦だ、飾り気の一つも無いと様にならないだろう。
 そう考えた紫九は腕を振るう事を決めたのだ、防衛が終わりそれっきりになったとしても、ふらりと旅人が訪れた時に楽しめるように……と。

「よし、色はこれだけありゃ足りるな」
 荒野の植物や鉱石から作り出したモノ、錬金術師の協力を得て手に入れたモノ。
 行商人から買い付けたモノ、様々な塗料を前にしみじみと感慨深く思い出す紫九。
 それは荒野に塗料の材料を探しに行ったときの話になる……。

「む……これは良い青が出そうだ。 こっちは不合格か……って!?」
 念力を使い、広い荒野から様々な原料を探す紫九。
 彼女は崩れやすい蒼い石を砕き、指の腹で色合いを確かめていた。
 その時、念力を使用する事で集中力がやや欠けていた彼女の足にコツンと硬い何かが転がって来たのだ。
 それをぶつかってからようやく気付く、それだけ塗料の材料探しに集中していた紫九が見たモノ……それは硬い甲殻を背負った四本足の獣であった。

「なんだこれ……アルマジロか?」
「きゅーきゅー!!」
 これがコウヤアルマジロと猟兵との出会いだった。
 何かを訴えるアルマジロ、しかし紫九には何かを伝えたい事しかわからないわけで……。
 わからない紫九の足を掴み、涙目で訴えるアルマジロは放っておけない、しかし分からないのに付いて行くわけにはいかない。
 幸い敵意を感じない紫九はふと思い出した事があった、彼女が荒野に向かう少し前……動物の群れを操る仲間が居たと思い出したのだ。
 猫とアルマジロとの差だが自分よりはよほど動物と通じ合えるだろうと判断した紫九はアルマジロのつぶらな瞳をジッ……と見つめ言い聞かせる。

「この荒野で骨とかを集めている猫と妖精が居る、そいつらならお前の言ってることがわかるはずだ」
「きゅー! きゅきゅー!!」
 どうやら伝わったらしく、両手をぶんぶんと振るアルマジロ。
 なんとかなったか……仲間たちよ頑張ってくれ。 そう思いながらほう、とため息を吐く紫九。
 そんな彼女にお礼とばかりに果実を二つ取り出し置いていくアルマジロ、その果実は太陽の様な色をした黄色い果実と墨のような黒い果実であった。

「なんだか悪い事をしたかもしれない」
 回想を終え、再び溜息をつくヤドリガミの絵師はアルマジロから渡された果実から作られた塗料を手に、大筆を構える。
 この色ならば、ここならば、アレだろう。
 錬成カミヤドリを応用し念動力で足場を作った紫九、墨色の塗料を大筆に纏わせ、広大なキャンバスに走らせていく!
 広さは十分、荒々しく力の象徴を描く!
 筆に乗った墨色の塗料が石造りのキャンバスに塗り込められる。
 戦意を高め、見る者の心に訴える最高の絵を!
 宙を舞うように描く紫九、彼女の作業は三日三晩続き渾身の一作が出来上がる!

「ふぅ……ひさしぶりに疲れたかな」
 床に大の字で寝転がり、自分が描いた作品を見上げる。
 描き上げた場所は砦で一番大きな部屋、会議をするのにつかわれる大ホール。
 その天井……銘を付けるなら“竜虎相搏図”だろう。
 墨色で描かれた荒々しい龍と猛々しい猛虎がお互いに顔を柄付けにらみ合う。
 生きているように感じる程の生命力が二匹から伝わり、見る者の感情を昂らせる効果がある。
 特に虎の大きく口を開き龍の喉元に食らいつかん構図は傑作と言って良いだろう。
 この大作の完成に解放感と満足感を得た紫九は、大浴場が解放された事を聞き、ひと風呂浴びようと赴いた、

「足りねえ……」
 そこで紫九は最高の温泉を肌で感じるのであった、が……お風呂に入っている最中に物足りなさを感じてしまう。
 そう、温泉で浴場と言えばあれが足りないだろう!
 ゴッドペインターの本能が刺激された紫九は大浴場建設者の女性の協力を得て結局男女風呂、混浴風呂と三つの壁に絵を書いてしまったのだ。 
 男風呂には三保の松原、その砂浜と鮮やかな富士の青が美しい“三保の松原富士山図”を。
 女風呂には西伊豆の海の蒼と富士山の青のコントラストが美しい“西伊豆富士山図”を。
 混浴風呂には富士五湖から望んだ、珍しい黄金色に色づいた富士山を望む“富士五湖来光図”を描き切ったのだ。
 休息の為の温泉が、新たな芸術を生み出した瞬間であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルナ・ステラ
【娯】図書館もいいですし、この世界は星や月が綺麗に見えるので天文台とかもいいですね♪ローレスの皆さんが楽しめる施設になるといいですね!

といったものの、砦作りは初めてです...お力になれるでしょうか?
わたしの力だけでは不安なので、星霊さんを召喚して力をかしてもらいましょう。

―あなたは?
アルゴ座の神話に出てくる腕のよい大工のアルゴスさんでしょうか?
力をかしていただけますか?

わたしはわたしでできることをしましょう。
できれば、アルゴスさんが必要としている素材を調達して運びましょう...
(力があまりなく重たいものは難しいので、魔物の素材かサボテンなどでしょうか?)
うまく砦作りできるかな?



●小さな魔女っ子と大きな巨人。
「はい、そこでーす! そこに設置してくださーい!」
 砦の屋上で何やら大きな建造物を造ろうと奮闘する可愛らしい少女が一人。
 蒼い瞳を輝かせ、熱心に図形と見比べるのは星と月の魔女っ子、ルナ・ステラだ。
 照れ屋な彼女が精いっぱいの大きな声で指示を出せば、協力してくれる巨人が石を積み、華麗なドームを創り出す。
 巨人と少女、二人で造っている物とは一体なんなのだろうか?
 始まりは少し前、ルナの作りたいものが決まった日の出来事である。

「伝説の星霊さんたち力をかしてください!」
 力のない魔女っ子には難し建造、であれば知っている人から力を借りるのが一番だ。
 ルナは自身の能力《夜空の仲間たちの力添え》を発動させ、星霊を召喚。
 その力を貸してもらえないかお願いするつもりなのだ。
 そんな魔女っ子に呼び出されたのはルナの数倍の身の丈がある巨人。
 名をアルゴス――神話に登場する100の目を持つと言われる巨人でありアルゴー船を造りし者であった。

「あ、あなたは……アルゴ座の神話に出てくる腕のよい大工のアルゴスさんでしょうか?」
 寡黙な巨人はこくりと頷き、必至に見上げるルナと視線を少しでも合わせるように屈む。
 見かけによらず紳士的なアルゴスにルナは自分の作りたい建造物の構想を話す。
 恥ずかしがり屋で、口数の少ない彼女の言葉に、紳士的な巨人はじっくりと耳を立て、頷き続けるのだ。
 そんな話し合いの末にアルゴスと仲良くなったルナは寡黙な巨人に力を課して頂けます? と問うと。
 アルゴスは大きく、ゆっくりと頷き……右手の小指を差し出した。
 それはサイズの違いから本来は出来ないが、ルナとの約束を守るための儀式……握手である。
 ルナは両手で、アルゴスは小指で、不格好だが童話的な握手によって二人の間に契りが生まれた瞬間であった。

「えっと、コレとコレを持ってくれば良いのですね?」
 アルゴスが足りない素材の中から、最優先で取ってきてほしいとお願いされたルナ。
 最優先でとお願いされたのは風詠鳥と呼ばれる渡り鳥の羽、そして満月水晶と呼ばれる鉱石であった。
 鉱石が必要なのはなんとなく、分かる……しかし羽が必要になるとは思えなかったルナだが、アルゴスが嘘を吐くとも悪戯をするとも思えない。
 で、あるならば自分に出来ることをするだけだ!
 重い石材等はアルゴスが運んでくれる、羽と水晶を手に入れるのは自分のお仕事なのだから!
 にっこりと微笑むアルゴスと分かれ、ルナは箒に跨り荒野を往く!

「み、みつかりましたぁ……」
 それは辛く険しい冒険譚であった……途中で飛竜に襲われ迎撃し、グリフォンに襲われ迎撃し……様々な困難を乗り越えてきた。
 文字数にすれば1000文字を軽く超える冒険の末、ルナは風詠鳥の群れに遭遇。
 リーダーを説得し、大きな羽を一枚だけ分けて貰えたのである。
 満月水晶は夜中に洞窟に突入、光を放つ水晶を見つけるまで暗闇のなか箒で飛行し続けたのだ。
 何度も頭をぶつけ、痛い思いをしてようやく水晶も手に入れた。
 そんな疲れ果てたルナを、アルゴスは温かいポテトスープを作り出迎えてくれたのだ。

「うぅ……温かいです……って、もうここまで出来てるのですか!?」
 スープに癒されたルナが、砦の屋上に大きな塔を発見。
 それがルナの求める建物であると直観で気づくと胸にふつふつと熱い物が湧き上がってくる。
 好奇心と喜び、わくわくと胸を昂らせるモノにルナの疲れは吹き飛ばされるのであった。
 その後ルナとアルゴスは様々な部品を作り上げる。
 ガラスを磨きレンズにし、真鍮製の輪っかを幾つも作り、大きな筒も作り上げる。
 そんな中、風詠鳥は錬金術の素材として使われたのだ。
 アルゴスが羽を特殊な製法で解し、元素を取り出し付与する……こうする事で一際高い塔を突風から守れるのだ。
 満月水晶はツルツルの球体になるまで磨かれ、大事な部品として設置される。
 こうして作り上げた物を二人で協力して塔の上に設置……出来上がったものこそが。

「天文台完成ですー!」
 わーい! と喜ぶルナの横で頷くアルゴス。
 二人の目の前には砦の屋上からさらに伸びる塔が屹立していた。
 その塔の最上部はドーム状になっており、中には巨大望遠鏡が鎮座している。
 そう……二人の月り上げた天文台が立派に存在して居るのだ。

「うわぁ! うわぁぁ!」
 ドームの中に入ったルナはそこで更に大きな喜びの声をあげることになる。
 大きなドームの中央には望遠鏡を覗くための椅子が、椅子の周囲には天球儀のように真鍮製の輪っかが浮いているのだ。
 そしてドームは錬金術を応用して開く様に作られており、望遠鏡の位置を調整すれば全周囲観察できるようになっている。
 今はドームが閉まっているので真っ暗な天文台ではあるが、中央の椅子に座り周囲を見渡した後、ランタンの火を消す。
 瞬間、空間が闇に包まれる……が、ルナはアルゴスの貰った水晶らしいペンダントに魔力を込め始めた。
 ドームはあくまで人間サイズ、大巨人であるアルゴスは入る事が出来ないので予め渡されていたのだ。
 魔力が込められ、光を放つペンダント……それを合図に真鍮製の輪っかが動き、ある位置で止まった瞬間……真っ暗なドームの中に夜空が現れた。

「綺麗……」
 プラネタリウムだ……どうやら満月水晶はこの為に造られたようだ。
 望遠鏡にはペンダントを嵌める窪みが存在し、観察した夜空の状況を記憶するようで、魔力に反応し記憶した夜空をドームに映し出している。
 思わぬプレゼントに惚けるルナ、わたわたと感情を押し殺せない彼女は急いで屋上に戻ると、待っていてくれた巨人に笑顔で告げるのだ。
 ありがとう、と。
 その言葉がなによりの報酬である、と言わんばかりに今までで一番大きく、ゆっくりと頷いたアルゴス。
 彼とルナは大巨人の送還が行われるまで、静かに夜空を眺めていたという。
 そんな出会いと別れが生んだものが、ロレース砦の天文台なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大河・回
せっかく発展している町を蹂躙させるわけにはいかないな、主に未来の私の為に。

【戦】
さて、砦なのだから防衛設備は重要だな
しっかりしていないと意味がない
という訳で私はそれらをなんとかするとしよう
人手は戦闘員共を使う
戦闘だと一撃でやられてしまうが今回は攻撃とかはなく戦闘用だから力仕事でも役に立つ
目標は木材だ
低木やサボテンを見つけたら戦闘員共に運ばせよう
私?私はか弱いからな、そういうの運ぶのには向いていないんだ
持って帰ったらそれで柵等の防衛設備を戦闘員共に作らせよう
私はどういう風に作ればいいかを知識を活かして指示出しする


※アドリブ、連携歓迎



●プロフェッサーTの建造教室。
「では防壁の強度不足問題を解消する!」
「「「ハッ!!」」」
 砦の建設が進む中、一人の美少女が屈強な戦闘員を前に一説打っている。
 彼女の正体は世界征服を企む悪の組織「デスペア」の幹部の一人“プロフェッサーT”(という設定のバーチャルキャラクター)である、大河・回だ。
 美しい白い髪に一房黒の髪が目立つ回は、積み上がった防壁の強度不足を解消するための作戦を部下に伝えていたのだ。
 勿論防壁は固い石材で作られ、生半可な兵の攻撃は無効同然だ。
 しかし(上級魔術師クラスの)魔法や(竜種のブレスによる)爆発には耐えられないと判断したのである。
 常識で考えればありあわせで作る砦に対しやり過ぎているのだが……なんとこの計画、突っ走っている猟兵達から反対意見は出なかったのである。

「A班は白い花を無数に咲かせる低木を、B班は背の低い丸いサボテンを、C班は……虫だ! 赤い甲殻を持つ小さな虫を捕まえてこい!」
 虫を集めろと言われたC班から悲鳴が上がる、しかしこれはプロフェッサーTの命令であり、彼らには逆らうことは出来ないのだ。
 A班とB班は命令にキリリと返事と敬礼を返し荒野に駆け出していく。
 C班は嫌そうな雰囲気を出しながらも、プロフェッサーの為なら……と小走りで駆けていく。
 なんだかんだ命令は全うするつもりなのである。

「ではこちらも準備をするか」
 回がこれから砦に施すのは《爆発耐性を付与》するコーティング剤の製作だ。
 いかな防壁であろうとも竜種のブレスや爆発関係の魔術、に弱いのは歴史が証明している。
 で、あれば……回の頭脳とオウロフェッサーとしての科学力で作ってやろうでは無いか!
 そうやって材料を製作している内に次々と戦闘員が帰還する。
 彼らの手には回が告げた材料を山ほど、良い笑顔(?)でプロフェッサーに報告してくるのだ。
 そんな彼らに対し回はありがたい言葉を紡いであげる。

「よくやった! ではもうワンセットだね」
「「「――!?」」」
 ガーン! とそんな音が聞こえてきそうな程落ち込む戦闘員たち、しかし彼らは負けない!
 プロフェッサーの命令の為なら何度でも荒野に突撃するのだ!
 素材を確保するために再び出かける戦闘員たち、そんな彼らの背中を見送ると再び作業に戻る回。
 毒を使い、医術を修め、自分の持てる知識をすべて使い、防壁に塗布する薬剤を創り出す。
 その塗料はすべての防壁に塗布する為に大量に、造られるのだ。
 その労力はなかなかのものだが、幹部たるもの自分が苦労している姿を部下には見せないもの……なのかもしれない。
 そんなこんなで戦闘員たちが何度も荒野に素材を集めに赴いた結果、全ての防壁に濡れるだけの量が完成したのだ!

「荒野への素材回収任務、ご苦労であった。 ではこれより防壁への塗装と返しを設置していく!」
 戦闘員たちはついにこの時が来たのか! と塗料を持ち、頭にねじり鉢巻きを付け、命綱を装備していた。
 手には大きな刷毛を持ち、手作業で塗料を防壁の外側に塗布していくのだ!
 その光景は圧巻であった……地上で両手を胸の前で組む回の指示に従い、何枚も存在する防壁の上からロープ一本で塗装していく様は熟練の職人を思わせる。
 言うなればナイアガラの塗装、そんな所か。
 時折足を滑らせ宙づりになる戦闘員も居たが、事故もなく完璧な仕事ぶりを発揮する。
 その様子を見て回は心中でにやりと笑うのだ。
 この砦が完成した暁には、薔薇色の未来が待っているのだと!

「ふっふっふ! はーはっはっは!」
 笑いが漏れてしまっている回を尻目に戦闘員たちは塗装と“返し”を設置して回る。
 防壁の前には堀があり、簡単に砦の壁に取り付けないようになっている。
 しかしそれでも堀を泳ぐものも出てくるだろう。
 そうならないように、砦の壁に昇られないようにスパイク状の柵を設置しているのだ。
 指示を出した回は満足そうに頷き、完成した壁を眺めていた。
 あぁ、ここまですれば簡単に攻略等されぬ砦となったであろう……そう思いながら。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『レッサーデーモン』

POW   :    悪魔の三叉槍
【手にした三叉槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    金縛りの呪言
【手で複雑な印を結んで】から【呪いの言葉】を放ち、【相手を金縛り状態にさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    呪いの鎖
【投げつけた三叉槍】が命中した対象を爆破し、更に互いを【呪われた漆黒の鎖】で繋ぐ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※プレイングの受付は諸事情により3月5日になりそうです。
ご迷惑おかけします。
●劇的砦あふたー
 やり過ぎてしまったのかもしれない……。
 ふと、猟兵の内の誰か……いや、全員が思ってしまう程の光景が目の前に広がっていた。
 なんという事だろう、荒れ果てた廃村は瞬く間に【星型城塞】へと変貌していたのです。
 城壁の高さは6m、壁の厚さは3mもあり特殊コーティングされ爆発にも耐性を得ている。
 星型の頂点には10mの高さを持つ城壁監視塔が高々とそびえたち、大型戦弩で射撃が可能だ。
 また、監視塔から城壁の上に移動可能であり、高所を利用した一方的な攻撃が出来る。
 城壁の外には深い堀が造られ、簡単に貼り付けず。
 堀の外側には一定の重さを感知すると発動する落とし穴が点在している、これのおかげで攻城武装が使いにくくなっているのだ。
 そんな鉄壁の堀を万が一泳ぎ切っても、返しの様な柵が並び、登るのを妨害してくる。

 この城塞都市となった砦の出入り口は一つだけ。
 二本の守衛塔に挟まれた堅牢な楼門……いわゆるゲートキーパーが砦を守っているのだ。
 この門は魔物の素材で作られた堅牢な落とし門であり、あるギミックにより攻め手への妨害となるスパイクが展開できる。
 そしてこの城門を万が一突破されたとしても喰違虎口が待ち構えているのだ。
 敵は四方から一方的に弓を射られながら、もう一つの落とし門を破壊するまで砦内に侵入出来ないのである。

 そんな城門へは自然を利用した橋が一本繋がるのみ、しかもこの橋も立派な防衛設備となっている。
 橋は美しい石材で作られたアーチで飾られている、しかしこのアーチを崩すことで簡易バリケードに出来るほか。
 現在は木製のバリケードも並べられ防衛体制は完璧だ。

 そんな【星型防壁や城門が二重になっている】のだから恐ろしい。
 空中からこの砦を見た場合、小さな星型防壁の周りを大きな星型防壁が囲っているのが良く分かるだろう。
 まさに無敵の城塞が作り上げられてしまったのだ。

 そんな防壁に囲まれた内部はと言うと……快適な生活によって住む者のストレスを減らし。
 万が一籠城戦となっても苦労する事は無いだろう。
 上下水道は整備され、砦内で畑による農業がおこなえる。
 ため池も作られ田舎町以上の生活力を確保しているのだ。
 更に特筆すべきは【富士の山が素晴らしい大浴場】と【打たせ湯ができる露天風呂】の存在だ。
 温泉を利用したこれらは戦いで疲れた心と身体を癒してくれる。

 勿論それだけではない。
 敷地内には近くにある温泉町から酒場が出店、お酒などで日々の生活が潤うようになったのだ。
 また、砦が無機質過ぎないようにゴッドペインターが描き上げた様々な絵画が砦中に描かれている。
 その中でも荘厳な作品が会議室天井に描かれた力強い竜と虎がにらみ合う【竜虎相搏図】だろう。
 見る者の戦意を掻き立てる名作は、砦を観光資源にする程の一作品であると言える。
 そんな砦には一際目立つ石塔がそそり立っている。
 その塔は天井がドーム状になっており、内部に大きな望遠鏡が設置されているのだ。
 そう、【天文台】である。
 この天文台、実はプラネタリウムとしても使用可能なのだ。
 壁画も天文台も猟兵達の戦闘による精神的疲労を癒してくれるだろう。

 さて、この【二重星型城塞】を見てもう一度告げよう。
 やり過ぎてしまったのかもしれない……と。

●猟兵達の知恵を借りたい人々。
「素晴らしい砦! さすが冒険者殿ですな!」
 猟兵達が砦の中で襲撃に対する準備をしていると、ロレースの町人が声をかけてきた。
 どうやら砦に小麦粉や酒類、蜂蜜等の食糧を補給として持ってやって来た商人である。
 そんな彼はあまりの砦の完成度に驚愕しつつ、猟兵達に聞きたい事があって来たようだ。

「そういえば町長さんが皆さんにお聞きしたい事があるとか。」
 そう言って猟兵達の目の前に【バレーボール大の大きさがある種子】を取り出した。
 なにやら不思議な魔力が込められた種だと猟兵達は分かるだろう。
 相談とは【この種を植えても良いのだろうか?】という内容であった。
 勿論キミ達はこの相談に答えても良いし、答えなくても良い。
 (※この答えで次回のシナリオが分岐します。 文字数に余裕があれましたら【植える】【植えない】のどちらかをプレイングに明記して頂けると嬉しいです。 投票が同数の場合はサイコロで決定されます。)

●オブリビオンの受難
 猟兵達が十全に準備を整えた後、温泉町に向けて進軍する魔物の軍団があった。
 そんな彼らが目的地である温泉町を視界に捉えた瞬間……あり得ぬ違和感を感じることになる。
 それは巨大な砦が目的地に進む道を遮っていたのだ。
 こんな砦が存在するとは聞いていない……ただ温泉町を攻めとる、簡単な進軍であった。
 十分に時間をかけ、じっくりと兵を揃えた。
 配下にはレッサーデーモン達を召喚し、簡単に自分の物に出来るはずであったのに……。
 何度見ても温泉町の近くに巨大な砦が出来上がっていたのだ。
 これを無視して温泉町に攻め入れば、背後を突かれ陣形を維持できなくなる。
 どうせ見掛け倒しだろう……そう思い先兵としてレッサーデーモンに達に進軍を命じたのだ。
 それが間違いだと気づかずに。

 城門の前に展開したレッサーデーモン達。
 しかしどう攻めればよいのか分からない……崩せる気配を感じないのだ。
 そんなおろおろとした彼らは、猟兵達から見れば無防備そのものだ!
 今ならば、あらゆる戦闘で有利に立てるだろう!
 さぁ、猟兵の戦い方を見せてやろうでは無いか!
キョウ・ヴァゼラード
【植える】
「ふむ、なかなか面白そうではないか…私は植えて良いと考えるぞ」

●防衛戦
「まさかここまでの城砦になるとは…我が領地にも欲しいくらいだな」
と、感想を漏らしながら監視塔にて【トリニティ・エンハンス】を唱えて攻撃力を強化。
『閣下の居城すら越える完成度かと思われます』
そして私は『盾のアイギス』や砦の有志らと共にバリスタによる敵の迎撃を行う、我が【戦闘知識】を用いた適切な指揮と射撃計画で次々と矢を発射して敵集団を【薙ぎ払う】のだ。
「バリスタ構え!撃てっー!」
仮に乗り込まれたらアイギスと共に聖剣を振るい迎撃するが…まずここまでは来れないだろうな、敵は。

●アドリブ、絡み、大歓迎


二天堂・たま
【種を植える】
こ、こんなデッカイ種は初めて見るぞ。
どのような木に育つかは芽吹いてみなければ分かるまい。
ゴブリンの王に勝利した記念に植えてみては?

【戦闘】
正直、敵と相まみえて戦うのは専門外なのでな。
「UC」の相棒達と防衛設備を活用させてもらおう。
相棒達と設備の使い方を確認した後は、相棒達に敵の様子を見てもらおう。
迎撃兵器の射程に入ったら戦闘開始、なのだ。
これでも一応「罠使い」なのでな。拠点防衛を得意とする者には及ばんだろうが、こちらの得意な場面に引き込むのは得意なつもりなのだ。


レイチェル・ケイトリン
【種:どちらでもいいけど、どんな植物のか町長さんにきいてみるの】

城壁の上のたかいところから念動力の技能でサイコエッジをつかって攻撃するね。
範囲攻撃と吹き飛ばしの技能で敵をまとめてふっとばすし、武器落としの技能でついでに敵の三叉槍もふっとばすよ。
呪いをつかおうとしてる敵がいたら空気を動かしてつくった真空をたたきつけるの。
音をつたえない真空で言葉をいわせないようにするね。
敵がつかう鎖もサイコエッジできりさくよ。

かばう技能もつかえるから他の猟兵さんへの攻撃もふっとばして、真空たたきつけて、きりさいてふせぐね。

わたしの力は心の力。

みんなでつくったここをみんなでまもりたい。

それがわたしのいまの心だから。


ティエル・ティエリエル
「何これ何これ!?すっごく大きい種だね♪」
【植える】のに賛成だよ!一体何が育つのかワクワクするね☆

■レッサーデーモン戦
「へへーんだ、こっちこっちー」

【ライオンライド】で呼び出した体長40cm程度の子供のライオンくんに【騎乗】して戦うよ♪
相手の足元をうろちょろしながらレイピアで足元を切って回るね!
敵の攻撃は【見切り】で回避したり、【敵を盾にする】で同士討ちを誘うね。

相手が怒ってこっちを追いかけてきたら落とし穴の位置まで誘導して罠に嵌めちゃうよ☆


六代目・松座衛門
「いや~。あのロレースが温泉町に発展して、郊外にこんな砦まで作ってしまうとは感慨深いねぇ。」
ロレースの発展と迎え撃つ砦の堅牢さに驚きつつ、【喰違虎口】を見下ろすように人形「暁闇」と陣取り、レッサーデーモンを迎え撃つ。

「良く城門を突破したな! でも、仕掛けはまだまだあるぞ!」
人形だけ敵の進路上に降ろし、迎撃する!狭い通路内なら、一度に複数の相手をしなくて済むだろう。

「吹き飛べ! ニノ型「手繰り討ち」!」
自分は上から大型銃「玲瓏」で【援護射撃】しつつ、人形で一番先頭のレッサーデーモンに目掛けてUC「手繰り討ち」を発動。
引き寄せた敵を後続に目掛けて殴り返し、足止めしよう!

アドリブ、連携歓迎


ルイーグ・ソイル
【バレーボール大の大きさがある種子】
なんか珍しい種っすね…?ていうか怖いくらいデカイっす…オレ、ちょっと嫌な予感がするっすよ…ブルブル。
【植えない】に挙手っす。

・レッサーデーモンをやっつける!
出たっすね、オブリビオン!
つよつよ砦を作り上げたオレたちにかかれば、あっという間に撲滅っすよ…!
鉄製とげとげ付きメイス的な鈍器で殴り、フルボッコにするっす!
(連携アドリブOKです宜しくお願いします!


エルーゼ・フーシェン
「さすがに相手も簡単には攻めてこないわね」
迂闊に攻め入れば最後だから、こっちから攻めよう!
トリガーから武器を借りて、それを使って攻撃するわ。
「これ使ってみたかったのよね♪」
吹雪の狼、いろんな弾があるから楽しそう。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


茅原・紫九
【植えない】
しかし敵が哀れになる戦力差だな……まあ事前準備も戦闘のうちだ
負けない戦いは十八番だし徹底的に冷たく立ち回らせてもらう

城壁の上に立って絵具や魔法で狙撃紛いの事をしていく。
槍の投擲が唯一の懸念事項だが、投げるモーションを見たら隠れて回避に専念すればいい。
獲物を手元から離せばそれこそ攻撃手段はないだろうから望むところだ。
敗走も面倒だから逃げようとしている敵がいれば優先的にたたくか


トリガー・シックス
「ここから狙撃する」
エルーゼと共に城壁監視塔から攻撃を行う。
「……大丈夫なのか?」
『吹雪の狼』を使うと言い出すエルーゼに使い方を説明しておく。
(まあ大丈夫だろう)
『偉大なる狩人』による狙撃で射撃を行う。
万が一に備えて『最後の願望』でリヴェンを呼び出しておく。
『黒死蝶』も用意しておく。使う者がいるかは知らんが。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


大河・回
ははは!完璧な砦じゃないか!温泉が湧き砦も付いている……ふふ、いずれロレースを支配した時が楽しみだな!

なに、種?今の私は気分がいい!好きな所に植えて構わないぞ!【植える】

さて、折角ある砦の武装を使わないのはもったいないな
大型戦弩を使用しての射撃を行おう
戦闘員共を召喚し矢の装填などの私のサポートを何人かに行わせる
他の者は大型戦弩が余っていれば同じように何人かでチームを組ませ射撃による攻撃を行わせる
大型戦弩が余っていなかった場合や残った戦闘員は他の猟兵のサポートにできることがあれば回らせよう

※アドリブ歓迎


ルナ・ステラ
「不思議な魔力が込められた種」気になりますね...
個人的には【植える】でしょうか?

天文台完成!やりました♪
アルゴスさんに感謝ですね!

それにしても、立派な砦ができましたね。
おろおろしたレッサーデーモンたちが少し気の毒です...
でも、ローレスをメチャクチャにしようとしている者たちです。倒してしまわないといけませんね。

他の猟兵さんたちが攻撃をうまくしてくださると思うので、今回わたしは補助にまわりましょうか...

「ソーン(トゲ、遅延)」のルーンカードで足止めをしようと思います。
もし、敵の攻撃で傷ついたり金縛りにあったりしている猟兵さんがいれば、癒しの獣奏器を奏でて回復しようと思います【楽器演奏】



●ロレース砦攻防戦。
 温泉により体調は万全。
 天文台や天井画によって士気は高まり。
 城塞によって相手の牙は届かない。
 そんな完璧な状況だ、戸惑う悪魔達を尻目に防衛戦に参加する猟兵達の士気は高い。
 黒髪の伯爵にして聖霊騎士団団長、キョウ・ヴァゼラード。
 緑の瞳がキラリと輝くケットシー、二天堂・たま。
 心をもった人形のヤドリガミ、レイチェル・ケイトリン。
 元気一杯おてんば妖精のプリンセス、ティエル・ティエリエル。
 鬼猟流人形操術を受継ぐヤドリガミ、六代目・松座衛門。
 寒い所は苦手な灰色髪の人狼、ルイーグ・ソイル。
 美しい蒼い翼を持つキマイラの女戦士、エルーゼ・フーシェン。
 漆黒の外套を纏う歴戦の傭兵、トリガー・シックス。
 ボサボサの白い髪が風に揺れる煙管のヤドリガミ、茅原・紫九。
 世界征服を企む悪の組織のプロフェッサー! の設定を持つバーチャルキャラクター、大河・回。
 流星と時々タライを呼ぶ優しい魔女っ子、ルナ・ステラ。
 視線を合わせ、ロレースを護る為の戦へと備える。
 準備は万端、さぁ目にもの見せてやろうでは無いか!

 快晴の荒野、巨大星形城塞にて戦端が開かれる!

●(矢の)雨に注意。
 わずかでも砦攻略の起点を見つけようと、砦の周囲に散会し始めるレッサーデーモン達。
 その中で強力な力を持つ事に矜持が存在する一定数の悪魔達は、槍を手に城壁に向かい力を溜め始めたのだ。
 人間如きが造りし壁程度、簡単に破壊してやろうと。
 そんな悪魔達の矜持は簡単に砕かれてしまう。

「射てっ!」
 凛とした黒髪の男の号令が響き渡る、と同時に弦が力を解き放つ独特の音が幾重にも鳴ったのだ。
 放たれるは大型戦孥専用の極大ボルト、投槍にも似た矢は魔力を練っていた悪魔の肉体を轟音と共にいとも簡単に貫いたのだ。

「閣下、初撃命中です」
「うむ、これで出鼻をくじいた、巻き上げを行わせすぐさま次弾を放つのだ」
 部下である黒髪の守護騎士、アイギスの報告を聞き頷くキョウ。
 変化した戦況を脳内に図に起こし、新たな指令を告げると再びバリスタを巻き上げさせる。
 狙いは戦況を理解させる前に、その手足と勢いを削ぎきる事だ。

「ナニガオコッタ……ガアア!?」
 巻き上げ作業が行わればすぐさま放たれる戦弩、突如城壁塔より放たれたバリスタは着弾の衝撃も込みで複数の悪魔を戦闘不能に追いやった。
 完全に無防備な軍勢への射撃は軍勢に混乱を招き、秩序だった進軍を妨げる。
 その隙に再び巻き上げられたバリスタはキョウの指示で放たれ、混乱する悪魔達に再び悪夢を見せたのだ。
 大型ボルトに一撃は完全に悪魔達の足を止めさせ、無防備な脇腹を晒させる。

「角度よし、各バリスタ一斉掃射始めっ!」
 進軍を止めた悪魔達へ、別角度からも悪魔達へバリスタが襲いかかろうとしていた。
 ピタリと足を止めた悪魔達に無慈悲な第二撃を放つのは無数の戦闘員達だ。
 指揮をするのはプロフェッサーTこと、戦闘員を召喚した回。
 回の号令に従い打ち出された大型矢は、轟音と共にレッサーデーモンの軍勢に着弾。
 激しく土煙を巻き上げ、悪魔であった肉片を荒野に撒き散らした。
 そして戦闘員達はすぐさま次のボルトの装填と、バリスタの巻き上げを行う。
 勿論、手持ち無沙汰な戦闘員等おらず、回の指示に従い長弓を城壁の上から射続けるのだ。

「ふふふ、順調ではないか! 装填しだい打ち続けたまえ」
「グオオオオオ!! 次ヲウタセルナァァー!!」
 いまだ困惑中ではあるが、悪魔達は自分達を狙う悪意にようやく気付き、弓を放つ戦闘員達に反撃を開始した。
 悪魔特有の強大な魔力を練り上げ、槍を投げる。
 そうすれば爆炎が城壁を破壊し、鎖が城壁へと繋がり壕を渡り城壁上に侵攻可能となる。
 ……はずであった、城壁に突き刺さるはずの槍はコツンと壁に投げつけられた玩具のような軽い音だけを生み出し、そのまま水がたまった堀へと落下したのだ。

「無駄だね、そのような攻撃で城壁の対魔コートを抜けると思わないことだよ!」
「バ、バカナ……グアアアアアアーー!?」
 自身が施した特殊塗料による強度強化。
 その効果が目の前で示され回のテンションは上がり続けるのであった。
 勿論戦闘員達も同じようにテンション上昇! 我先にと弓を構え、戸惑う悪魔達へと矢の雨を浴びせ続ける。
 無数の風切り音が戦場に響き、近寄る事すら出来ない悪魔達に突き刺さっていく。
 そんな絶望的な場面でも、悪魔達は逃げ出さない。

「城壁ハイイ! 射手ヲネラエ!!」
 城壁の強度を目の当たりにし、破壊不可能だと気が付いた悪魔達。
 城壁塔の上から撃ち続けるバリスタと城壁の上から矢を放つ戦闘員にのみ意識を向け、それらを無力化せんと動き始めたのだ。
 無力化する方法……それは悪魔に伝わる金縛りの呪い。
 複数の悪魔達が一斉に複雑な印を組み、呪詛が込められた言葉を謳いあげる。
 これで矮小な人間は無力化され、無様に這いつくばるのだ。
 邪魔が無くなれば、時間をかけて城壁を突破すればよい……それでよいのだ。

「させません」
「――!?」
 突如にして悪魔達の周囲に静寂が訪れる、同時に圧倒的な圧迫感……その正体はレイチェルの念動力により訳動かされ真空と同様に薄くなった空気と高密度に圧縮された空気の壁であった。
 静寂により呪いの言葉は最後まで紡がれる事無く、渦巻いた邪悪な魔力も霧散していく。
 ついにからめ手での無力化さえも不可能となった悪魔達、そんな邪悪な彼らに追撃が行われるのだ。

「えいやぁーー!!」
 レイチェルの可愛らしい声が城壁で響けば、その瞬間高密度に圧縮された空気の壁が念動力で動き出す。
 その壁はもはや質量を持った存在と同じだ、言葉を失った悪魔達は必至に抵抗しようと三又槍を突き出す。
 だが、無駄だ……いかな攻撃であろうともこの壁は突き崩すことは出来ない……城壁の如き硬さなのだから。

「ガアアアアアアアアアアアアア!?!?」
「グアアア!? クソドモガアアアア!!!」
 仲間である悪魔の身体を盾に、何匹化のレッサーデーモンが這う這うの体で空気の壁から脱出。
 その憎悪を城壁の上で弓を討つ戦闘員や、援護にだけ参加しているロレースの町の民へと注ぐのだ。
 圧倒的な力を持つものは諦めた、だが無力な存在であれば……せめて一矢報い、無残に命を散らせてやろう。
 悪魔は再び魔力を込めた槍を放つ、狙いは城壁――ではない。
 猟兵でない彼らの足元に放った《同族の槍》に向けてだ。
 槍を爆破し、その爆発で無力な人間に傷を与える算段なのである。
 悪魔の魔力にただの町人が耐えれる訳が無い、吹き飛ばされ命を散らしてしまうだろう……だがそうはならない。
 同じ城壁に優しい少女が居るのだから。

「だめ、ですっ! 《サイコエッジ》皆を守って!」
 レイチェルは飛来する魔力が籠った槍に対し、念動力を圧縮する事で生み出した刃を放つ。
 それは彼女の庇護の心を尊重するかのように、町人を襲った槍を真っ二つに切り裂いたのだ。
 そして念動力の刃は槍目掛けて放たれた第二の槍をも、巧みな操作技術によって空中で切断。
 弱者のみを狙った悪魔達の攻撃は完全に防がれたのであった。

「ふむ、では最後に時だ」
「ここで決めるぞ戦闘員の諸君! 行くんだ!」
「サイコエッジ……その力で未来も道も切り開いて」
 成す術がない……その言葉通り堅牢な砦と猟兵達に対し何もできなかった悪魔達はキョウの魔力によって強化されたバリスタと、回の計算によって回避できぬバリスタ、そしてレイチェルの放った念動力の刃によって荒野に散った。
 こうして城壁防衛用バリスタ部隊の活躍によって傲慢な悪魔達は全滅した。
 城壁の上で完璧に防衛線をこなした全員から、勝利を告げる勝鬨と歓声があがり、防衛線初戦は終わったのだ。

●足元注意なカプリッチオ。
 ――別の城壁でも防衛線が開かれていた。
 こちらは一進一退の攻防が続いている、もっとも砦側には被害が無く、弓とバリスタでじわじわと悪魔達を消耗させている状況だ。
 しかし悪魔達も負けじ城壁に何度も攻撃を加えている。
 安全とは言え戦慣れしていない一般人にはたまらない重圧となっているだろう。
 このままでは疲労が先に襲い掛かり、防衛は成功するがレッサーデーモンの殲滅は不可能……かと思われたていた。

「じゃーん! 足元注意だよー☆」
 小さな黄金の子ライオンに乗った妖精姫が現れるまでは。
 ティエルは呼び出した黄金のライオン跨り、愛用の風鳴りのレイピアを片手に戦場を駆けだしたのだ!
 上を向いていた悪魔達は完全に不意を突かれる形になり、次々と両足を斬りつけられ膝を付いて行く。
 そして無防備な悪魔達は城壁塔のバリスタの格好の的になったのだ。
 轟音と共に巨大なボルトが突き刺さり、悪魔が一匹現世から消える。

「ふあー!? 危なかったー……じゃない! ナイスコンビネーションだね♪」
「がうがう!!」
 ティエルと子ライオンは持ち前の俊敏さでバリスタを華麗に回避、すぐさま踊るように悪魔達の足元を駆けまわるのだ。
 こうなれば悪魔達は城壁塔のバリスタと弓だけに集中できない、足元を風のように踊るティエルにも注意しないといけないのだ。
 しかもティエルは猟兵である、緩急変幻自在の動きは生半可な腕では捕らえる事所か攻撃する事すら不可能なのであった。

「もうひとーつ!」
「がうっ!」
 レイピアが振るわれれば、悪魔が膝をつく。
 そして風が音色を奏で戦場に様々な音楽を響かせるのだ。
 アップテンポに、サイレントから徐々に早く……急静止からのハイリズム。
 まるで戦場がコンサートホールになったようだ。
 そんな戦場で、ついに悪魔達はティエルにのみ意識を向けることになる。
 バリスタ以外は直撃しても問題が無いと判断したのだ、故にもっとも邪魔になったティエルと子ライオンにのみ狙いを絞ったのである。

「へへーんだ、捕まらないよー! こっちこっちー!」
「がうがーうっ!!」
「マチヤガレ!」
 狙われたティエルは悪魔達を挑発しながら戦場を走り回る、時折空中を蹴っては反転し翻弄するのも忘れない。
 その態度が更に悪魔の頭に血を昇らせるのだ……ゆえに、彼らは気が付かない。
 ティエルの本当の狙いに。

「ここだ☆ だいじゃーんぷ!」
「がーうっ!!」
「ナ!? ウオオオオオオオ!?!?」
 ティエルを追いかけていた悪魔達は妖精姫と子ライオンの突然の跳躍に視線を上げてしまった。
 刹那、彼らの足元は崩れ去り奈落の穴へと落下していくのだ。
 その先に待っているのは魔獣の骨で造られたスパイク、結果は言わなくても良いだろう。
 意識の外からの攻撃に対応する事も出来ずに、ティエルを追っていた悪魔達はくし刺しとなったのだから。

「だいせいこー☆ よーし! 次に行くよライオンくん!」
「がう!」
 自らが仕掛けた罠の位置は完全に把握している、ティエルは戦場をかく乱しながら落とし穴に悪魔達を
 落とすべく、再び戦場を頼れる相棒と共に駆け回るのだ。
 そう、ティエルの奏でる奇想曲はまだまだ終わらない。

●飛竜の咢は悪魔を断つ。
 戦場は作戦通りに……いや、想定以上に有利に進んでいる。
 城門監視塔で戦場を見下ろす一匹の猫はそう考えながら頷いた。
 考える猫、たまは緑色の瞳を輝かせタイミングを見計らう。
 不自然さを排除し、いかにもチャンスだと思わせるように……。

「む、来たのだな!」
 ケットシー専用の双眼鏡を覗けば、あわただしい一団が城門部隊に合流しようとするのが見える。
 その一団は矢に射られ、落とし穴に嵌り人数を減らしながら城門を攻撃し続ける一団に合流するだろう。
 これは戦場で攪乱していた猟兵仲間との作戦、わざと隙を創り出すための演技なのだ。

「くるぞひよこ諸君! ぴよぴょぴーだ!」
「「「ぴよー!」」」
 監視塔の上層部に存在する城門操作室、そこでたまとたまの呼び出した相棒たちは居たのだ。
 それぞれが持ち場につき、城門を操作するタイミングを見計らっている。
 タイミングは合流した瞬間、いかにも仲間を助けるために……!

「今だ! 開門だよ!」
「ぴよっ!」
 攪乱していた傭兵を追いかけた悪魔の集団と、堅牢な城門を攻める集団が合流した直後。
 ヒビすら入らぬ城門が徐々に開かれる、攪乱していた猟兵を城内に招き入れる為に開かれたと錯覚させる高さ……にだけ。
 この高さが重要で、猟兵を助けつつ“悪魔達が無理にくぐれば通れる高さ”でなければいけない。
 そう、通れると思わせないといけないのだ。

「アイタゾ! ススメ!」
「ハヤクイケ! ノガスナ!!」
「オスナ! ガッ!?」
 案の定悪魔達は様々な思惑を抱え開きかけた城門を潜り始める。
 その動きは鈍重であり、苦悶の声が多くなってきている。
 それは当然である、悪魔の巨体をわずかな隙間に潜らせねばならないので速度が落ちる、しかし後続は勢いそのままで合流したのだ。
 半ば将棋倒し寸前なのだから、これが行き止まりならば合流組も速度を落とす。
 しかし彼らには見えているのだ……城門が上がっている“事実”が。
 で、あれば自分達をかく乱していた猟兵を狙う彼らにとって、早く進みたいと思うであろう。
 城門を潜る悪魔達の苦労も知らずにだ。

「作戦通りだな、よし……このタイミングだな! 落門開始! 同時に牙を生やすのだ!」
「ぴよぴー!!!」
 悪魔達の動きが完全に詰まる前、勢いに乗り停止する事が出来ないギリギリの瞬間を見極めたまは合図を出す。
 その合図に友人であるひよこたちは元気に応え、次々にレバーを落としていく。
 この作戦が悪魔達に絶望的な大打撃を与えるのだ!

「――!? トマレ!? ジョウモンガ!? ガアアアア!?」
「ナニ!? ウゴァァァァァァ!?」
「オ、オスナ!? すぱいくガ!? ギャアアアアア!?」
 たまの合図で再び魔物素材の堅牢な城門がドズン! と重い音をたてて落下する。
 それはまさしく竜のアギトの如く、城門を潜ろうとしていた悪魔達をの身体を両断していった。
 そして勢いに乗った悪魔達は閉まった城門に阻まれ、潰れていくのだ。
 それに加え城門のギミックが起動、罠使いにのみ分かる最適なタイミングで放たれたスパイクによって城門に押し付けられる悪魔達は刺し貫かれ、命を散らしていった。

「作戦成功だな!」
「ぴよっ!」
 悪魔は急に止まれない、城門注意だな。
 悪魔の軍勢を両断・分断し、多数を罠にかけ無力化したケットシーはひよこの群れたちとハイタッチ。
 作戦の成功をお互いに祝い合うのであった。

●かくして悪魔は命を散らす。
「うむ、見事に分断したな」
「みたいね、それじゃこっちもこっちのオシゴトしましょうか?」
 城門が視認できる城壁塔でエルーゼとトリガーが身を隠しながら作戦の成功を確認する。
 この作戦の為に援護射撃を控えめにしてきたのだ、あまり城壁を攻める悪魔を撃ち過ぎれば分断どころか散り散りになり、ロレースにはぐれ悪魔が向かう可能性もあったのだ。
 その可能性を排除した今、分断され狼狽える哀れな悪魔達に手向けの弾丸をプレゼントしてやろうではないか。

「ここは簡単に攻め込まれないし、前からこれ使ってみたかったのよね♪」
「……大丈夫なのか?」
 カチャリと対UDC用長距離狙撃銃《偉大なる狩人》を構え、悪魔の頭をスコープで捉えているトリガーに対し。
 彼から特殊弾頭仕様可能ロケットランチャー《吹雪の狼》を借り、わくわくとした表情で豊満な身体で抱きしめているエルーゼ。
 二人の仕事は分断され、城門の外に取り残された悪魔達の排除だ。
 スコープ越しに確認するだけで、彼らの中にも二通りの動きがある事が分かる。
 一つは城門を再び攻撃し、内部に侵入した悪魔達と合流しようとする軍勢。
 もう一つは城門から一度離れる軍勢だ。
 厄介なのは勿論後者だ、勢いだけで動く存在程簡単に刈り取れるのだから。

「それじゃ合わせてよね!」
「……任せろ」
 まずはエルーゼのロケットランチャーが城門に群がる悪魔達の頭上へと放たれる。
 撃ちだされたのは風の魔力で強化された特殊弾、その弾丸の迫る音に気付いた数匹の悪魔達がおや、と間抜けな表情で見上げた……瞬間。
 ――ドン! 轟音が響き渡り、城門と外とをつなぐ橋の上で炸裂したのだ。
 炸裂させたのはトリガーの狙撃、発射されたロケットランチャーの弾頭を見事に打ち抜いたのだ。
 そして悪魔達の頭上に放たれた特殊弾とは油脂焼夷弾、つまりナパームだ。
 一瞬にして業火が降り注ぎ、多数の悪魔達を焼き尽していく。
 更に炎は燃え続け、城門を叩いていた悪魔達は唯一の逃げ道を炎の壁で塞がれてしまったのだ。 
 勿論、風の魔力で強化されているため更に炎の勢いは増しており、尚且つ不用意に燃え広がらない。

「よし、それじゃ次にいくわよ」
「やれやれ、では落としていくか」
 完全に動きを止めた追い詰められた悪魔達、彼らはエルーゼとトリガーの魔弾から逃れる事は出来ず、命を散らしていくのだ。
 もっとも、反撃を試みる悪魔も居た……が、彼らの攻撃はトリガーが呼び出した“リヴェン”の霊のサイキック能力によって防がれて終わった。
 狙撃銃が吠えるごとに、悪魔が倒れる……もはや彼らはただの的となったのである。

「派手にやってるなぁ」、
 そんな大炎上狙撃舞台を城壁の上から眺めているのはぼさぼさの白髪を荒野の風に揺らす紫九だ。
 砦に見事な絵画を描いた彼女は、愛用の大筆を構え眺めていた。
 既に大勢は決した、あとはどれだけ民に被害を出さないかである。
 そう考えた彼女は燃え盛る炎の壁から逃れた、もしくは無理矢理に脱した悪魔達に狙いを絞るのだ。

「俺が、お前らを逃がすわけないだろ!」
 案の定敗走した悪魔達を発見、刹那大筆をくるりと回し、魔力を込めた塗料を打ち出した。
 その墨は紫九の魔力により、形を保ったまま飛翔。
 無防備な敗走する悪魔の背中に命中するとパンッ! と軽い破裂音と生み出すのだ。
 その音の後には墨と赤の大華が荒野に咲いていた、一撃で強大な悪魔の身体を貫いたのである。

「さて、とくと御覧じろってね!」
 紫九に気づいた悪魔達も居たが、彼らには反撃する手段も無かった。
 逃げる、ただ逃げるだけ……これが人間であれば見逃してやっても良いかもしれない。
 しかし彼らは下級とはいえ悪魔なのだ、温泉町の民にとっては一匹でも脅威となりかねない存在なのである。
 で、あれば荒れた大地に大きく苛烈な華を描いてやろうではないか!
 まるで踊るように筆を扱い、次々に魔力の籠った墨を狙撃銃で放たれた弾丸のように打ち出す紫九。
 直線、曲線、直角……無数の軌跡を描き、逃げようとする悪魔を滅していく。
 その度に破裂音と赤が飛び散り、荒れ果てた大地に花を咲かせていく。
 大輪、大輪、大輪咲。
 悪魔達が消え去り、紫九の大作が荒野に描き終わる。
 禍々しいが見事な花の図を持って悪魔達の命の終焉を告げようではないか。

●虎口で待つ者。
「良く城門を突破したな!  でも、仕掛けはまだまだあるぞ!」
「ようやく出番っすね、ここで終わりっすよオブリビオン!」
「皆さんを援護します、町の皆さんを守りましょう!」
 城門を潜り、後ろの悪魔達に押されるように砦内に侵入した悪魔達が見たモノ。
 それは喰違虎口と呼ばれる、もう一つの防壁であった。
 城門前よりは少し広い程度しかない広間に、再び見える堅牢な門。
 そして城壁に囲まれ、逃げも隠れも出来なくなったと自然と分からされる。
 そんな彼らの目の前にはこの砦を守っている猟兵達、松座衛門とルイーグ、そしてルナの姿があった。
 せめてヤツらだけでも殺してくれる!
 恨みと怒りに支配された精神でのみ動き出す軍勢……それが罠だとも知らずに。

「暁闇!」
 城門より糸を手繰り、戦場に配置された相棒の戦闘用人形「暁闇」を操るのは鬼猟流を受継いだ松座衛門だ。
 喰違虎口には既に糸の結界が出来上がっており、悪魔達の進軍等掌の出来事のように感知できる。
 で、あるならばこれは一種の演劇に近いだろう。
 もっとも、演者の相手を務める下級悪魔には荷が重いだろうが。
 松座衛門は自らも口径漸減式大型銃“玲瓏”を手に人形の援護を行う、狙いはもっともを頭に血を昇らせた先頭の悪魔だ。
 銃撃音と同時に暁闇が躍り出る、更に糸が躍り、悪魔の足を奪うのだ。

「ナッ!? ガアアア!?」
「捉えた!」
 銃撃により意識に穴を穿ち判断力を奪う、四肢に絡む糸により身体の自由を奪う。
 そして……自由を奪った相手はこちらの舞台で踊るのみ。
 ガチリと絡繰が起動する音同時に糸が巻き取られ、無防備な悪魔が一匹急速で暁闇へと引き寄せられる。
 防御も不能、回避も不能、待っているのは戦闘人形の溜めに溜めた一撃だ。

「吹き飛べ! ニノ型「手繰り討ち」!」
 松座衛門の両手の人差し指が折り曲げられる、刹那張り詰めた弦が解き放たれたように暁闇の両掌が悪魔の身体へと叩き込まれたのだ。
 それは渾身の力が込められた掌底打ち、二振りの腕から叩き込まれたエネルギーは螺旋となり悪魔の内臓を破壊、同時に引き寄せの解除が行われる。
 爆音、衝撃波、そして砲弾とかした悪魔の肉体が後続へと放たれたのだ。

「よーし! いくっすよ!」
 暁闇により出鼻をくじいた瞬間、城壁から飛び降りた人狼ルイーグ。
 その手にはトゲつきメイスを持ち、低姿勢で風のように戦場を駆けた。
 刹那、バン! と何かが弾ける音が響き渡る……そして衝撃波がビシリと戦場に放たれたのだ。
 音速の壁を突破したのである、ルイーグはその速度で松座衛門によって吹き飛ばされた悪魔の死体を足場に跳躍する。
 そして天高く跳ね飛んだ力全てをメイスに込め、悪魔砲弾が着弾し混乱する集団へと叩き込もうとするのだ。

「絶対に逃がしません」
 そんなルイーグや松座衛門の攻撃をサポートするのがルナだ。
 魔力が込められたカードをあらかじめ配置しており、回避しようとする悪魔達の妨害を行うのである。
 込められた力は“ソーン”の力、ルナの魔力に呼応して何もなかった場所に突如として巨大な茨の壁が生まれるのだ。

「ガアア!? ナ、ナンダコレハ!?」
「茨よ……」
「そこだ」
 左右を茨の壁に、背後を城門に、正面を人形に、頭上をルイーグに押さえられた悪魔の軍勢。
 彼らは必至に槍を投げ、呪いを放つとうとする。
 しかしその槍を放とうとすれば松座衛門の糸が手を切り裂き、ルナの魔力に呼応した茨に拘束される。
 呪いの言葉もルナの演奏する獣奏器が放つ癒しと浄化の音色によって消え去ってしまうのだ。
 反撃不能……回避不能……そんな悪魔達の頭上に迫るルイーグの一撃は……。

「とりゃーーーー!!」
 生み出されたのは爆発に近い轟音、そして衝撃である。
 棘付きメイスに音速を超える力を全て込め、位置エネルギーと重力をも味方につけた人狼の一撃は、まさしく一撃で悪魔の軍勢の大半を“消した”のである。
 圧倒的なエネルギーに消滅した仲間、そんな仲間を殺した猟兵は目の前に……しかし、すでにルイーグは戦場を低い姿勢で駆けていたのだ。

「糸の場所は知ってるっす! もうアンタらに逃げ場なんて無いっすよ!」
 空中に張られた糸をも足場に、人狼がメイスを持って駆け回る。
 地上を、空を、鋭く……ルイーグが一足かけるたびに悪魔の身体が砕け、はじけていく。
 メイスに殴られたと、痛みを感じてからようやくわかるような状況なのだ。
 で、あれば彼らに出来る事など何もなかった……左右には茨の壁がうねりながら迫り、せめて一矢報いようとする悪魔を絡めとる。
 人形に迫れば銃弾が飛来し、同時に無残に命を散らしてしまう。
 待っていれば人狼に翻弄されながら身を砕かれる……砦に入り込んだと高らかに歌い上げるつもりであった悪魔達はあっけなく滅せられてしまうのであった。

「ふぅ、これで全部っすか?」
「みたいだね」
「あ、お疲れではないですか?」
 城門におびき出した悪魔達を殲滅した猟兵達は、軽く一息つくとルナの癒しの音色に癒される。
 これで温泉があれば最高だろうが、まだ本命が残っているのだ。
 召喚した悪魔達を全て失い、野望を果たせなかった哀れなオブリビオンが。
 やつを倒せば、ロレースの町は守られるだろう。
 さぁ、一休みする時間はあるようだ。
 英気を養い敵の首魁を潰そうでは無いか!

●猟兵達の休息。
 敵の先陣は全て退けた、近くにある温泉町に被害はない。
 本隊であるゴブリンの軍勢は明日にでも到着するだろうと監視塔から報告が来ている。
 猟兵達は温泉で一休みし、ゆっくりと疲れを抜いた後で今日の出来事を思い出していただろう。
 それはロレースの町からの使いの商人だ。
 彼が持ってきた不思議な植物の種である。

 魔力を感じる大きな種子、それを植えていいかどうかの質問に植える派と植えない派で別れたりもした。
 若干植える派が有利だったが、別段種子自体に危険な要素は無かったと分かる。
 そして植物に詳しい者がいれば、林檎に近い植物が生えるのではないかと分かるであろう。
 もっとも、あの種子でリンゴと言えば相当巨大な物が生まれそうではあるが。
 この植物の少ない荒野で芽吹くことは難しいだろう、万が一芽吹いたら林檎祭でも生まれるかもしれない。
 そんな他愛もない話をしながら夜が更けて行ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ゴブリンキング』

POW   :    ゴブリン親衛隊の召喚
戦闘用の、自身と同じ強さの【杖を持ち、炎の魔法を放つ、ゴブリンメイジ】と【剣、盾、鎧で武装した、ゴブリンナイト】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    王の激励
【王による、配下を鼓舞する言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    ゴブリン戦奴の召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【奴隷ゴブリン】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ロレース防衛線、最終幕~ゴブリン王の悲劇~
 レッサーデーモン戦から一夜明け、ゴブリン王が率いる本隊が砦前に陣取った。
 彼らにとって町を攻めとるだけで終わる簡単な作戦であった。
 砦も見掛け倒しでレッサーデーモン達によって陥落するはずであった……。
 だが一夜明け、戦場に到達してみれば砦は健在。
 逆に悪魔達は全滅しているではないか。
 なんだこれは、こんな事が許されて良い訳が無い!!
 怒りと屈辱はゴブリン王の思考を歪める、故に彼は自分に言い聞かせたのだ。
 砦をまずは落とさなければならないと。
 砦を無視して、温泉町を襲えば多少は被害を出せただろう……しかし王は曇った思考で砦のみに注視している。

「なんとしても卑怯者たちを殲滅せしめるのだ! ゴブリンの力を見せてやれ!!」
 さあ、猟兵達よ……負け犬のように咆える、傲慢なゴブリン王が率いるゴブリンの軍団を殲滅するのだ!
ティエル・ティエリエル
昨夜は打たせ湯にチャレンジしたりしながら温泉に入ってリフレッシュ!昨日の疲れも取れて体調は万全だよ♪

「ふふーん、ボク達の砦に攻め込むなんて、無能な王様に率いられて大変だね」
無能な王の激励で砦に張り付いてくるゴブリン達に空中から無防備な背中へアタック☆
風を纏わせたレイピアによる【属性攻撃】、粗末な防具の隙間を狙った【鎧無視攻撃】や【妖精の一刺し】でぜーんぶ叩き落してやるんだから♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


大河・回
おやおや、なにか吠えている奴がいるなぁ!悪いがちゃんと言葉で話してくれないと何を言っているのか分からないな!

わざわざ砦から出る必要もない
砦からの目視だけでなくドローンを飛ばしてより敵の状況を詳細に把握する
マイクやカメラも付いているから他の猟兵との共闘も問題ない
その後召喚した【試作型衛星砲】(未完成なわけでなく量産される前に作戦が妨害されてしまったという設定、なので完成度は100%)による砲撃を行う
目的はキングの撃破だが場合によっては、まあ必要なさそうだがピンチになっている味方がいたらそちらへの援護も行おう

※アドリブ、絡み歓迎



●城塞攻防戦~妖精姫とプロフェッサー~
「突き進め! 何としても城壁にとりつくのだ!!」
 ゴブリン王の激昂と共に、奴隷階級であろうと思われるみすぼらしい恰好のゴブリン達が何匹も砦に向かって走り出す。
 命令を受け、鉄壁の砦に突撃する奴隷ゴブリンの手には錆びた鉄製のショートソ-ド、そしてみすぼらしい木製の板を盾にした物のみ。
 どう考えても悪魔達の二の舞になるだろう…しかし下級悪魔と違い、圧倒的な物量で無理やり攻略する作戦らしい。
 降りかかる矢とバリスタで何匹もの奴隷ゴブリンが吹き飛び、死んでいく……それでも数えることが困難な程の物量で堀を泳ぎ、壁に張り付いてきたのだ。
 この時点で奴隷ゴブリン達の数はおよそ半分にまで減っているのだが、戦友たちの死体をも盾にして、王の命令通りに身体を張って進軍を続ける。
 一匹が壁に貼りつき、二匹目がそれを足場に、三匹目が更に飛び乗り……こうやって自らの身体を足場に城壁攻略に乗り出したのだ。

「ふふーん、ボク達の砦に攻め込むなんて、無能な王様に率いられて大変だね」
 そんな奴隷ゴブリン達は耳元で可愛らしい声が響く、声の正体は太陽のように明るいオレンジの髪を靡かせた小さな妖精。
 若草色のレオタードに花びらのスカートで宙を舞うティエル・ティエリエルだ。
 彼女は風鳴りのレイピアを構えると、小さな翅を羽搏かせゴブリンの無防備な背中に鋭い一撃を繰り出す!
 風を纏い、鈴の様な音色を奏で放たれた突き一閃は性格に奴隷ゴブリンの心臓を貫く。
 レイピアが音色を奏でるのを止めるのと同時に、一匹のゴブリンがバタリと倒れた。

「隙だらけだよ☆ 次つぎー!!」
 ティエルが戦場で舞えば、レイピアが風を孕み音色を奏でる。
 鋭く突けば鋭い音を、フェイントを絡めれば軽快なリズムを刻み戦場でティエルが舞うに相応しい楽曲を歌い上げるのだ。
 その曲に乗って壁を這い上がろうとする奴隷ゴブリン達を迎撃する妖精に、なんとか反撃を試みるも彼らにティエルの動きを捉える事は不可能であった。
 空ぶる剣、転じて妖精の一突きは華麗にゴブリンの身体を貫いていく。
 半数を犠牲に城壁に辿り着いても、彼らにとって昇り切る事は絶対に出来ない。
 まさしく鉄壁の防衛であったのだ。

「まずはその妖精を殺せ!! あんな卑怯者にゴブリンは負けぬことを知らしめるのだ!」
 その様子を見ていた奴隷ゴブリン達は、堀を挟んで矢をでたらめに撃ち始める。
 勿論壁を昇る奴隷ゴブリン達にも命中するが、まずは妖精姫を倒そうと王に命令されたからだ。
 その多くが城壁に傷をつける事も無く当たっただけ、もしくは飛距離が足りずに堀に落ち、肝心のティエルにも当たりはしない。
 逆に壁に張り付くゴブリンや、堀を泳ぐゴブリンには当たってしまう始末である。
 しかし量が量である……当たらぬとはいえ物量に砦で弓を射るロレースの町の協力者たちは驚き戸惑ってしまうのだ。
 だが、そんな大集団で弓を構えるゴブリン達は、ある人物にとって非常に叩きやすい存在であったのだ。

「おやおや、なにか吠えている奴がいるなぁ! 悪いがちゃんと言葉で話してくれないと何を言っているのか分からないな!」
 城壁で腕を組み、自信に満ち溢れた笑顔で戦場を見下ろす存在。
 それこそが世界征服を企む悪の組織「デスペア」の幹部の一人……という設定でありプロフェッサーTと呼ばれるバーチャルキャラクター!
 美しい白髪に一房の黒いメッシュが目を引くスタイル抜群の美少女、情報戦を得意とする大河・回である。
 回はドローンを複数台戦場に飛翔させ、様々な角度から分析。
 現在の戦場であれば味方に被害が及ばないと確認していたのだ。
 味方に被害が出るかもしれない兵器……それは天高くから大地を見下ろす【試作型衛星砲】である。

「システムリンク、照準……固定、出力上昇……80%、90%、100%」
 実は天高くに衛星砲を召喚していた回、彼女は装着した電脳ゴーグル内に送信される情報を確認し、空中に仮装タッチキーボードを展開し高速で調整を繰り返している。
 火器管制システムも軌道修正も完璧にこなし、あとはタイミングを計るだけ。
 そして目標は、何も知らずに一塊になり弓を射るゴブリン達だ。

「試作型衛星砲……発射!!」
 回の言葉と共に天より閃光が走る。
 ――瞬間、轟音と共に熱風と衝撃波が走る抜ける。
 雲を蒸発させ、世界を白く染めた一撃は城壁と妖精姫に対し弓を討ち続けていた奴隷ゴブリン達を一瞬でこの世界から“消した”のだ。
 そう、まさしく消滅させた一撃に城壁を攻めていた軍勢の崩壊を一瞬で知ってしまうゴブリンキング。

「ふははは! 見よこの威力! 流石では無いか!!」
「うっわー……殆ど消えちゃったよ!?」
「な、なんと卑劣な!! し、しかしあのような攻撃は何度も来るはずがない! 今のうちに進むのだ!!」
 チクリと更に壁をよじ登るゴブリンの背中を突き刺したティエルは驚きの声を漏らす。
 衛星砲の威力に気持ちを昂らせる回は、悪役チックに笑みを浮かべながら戦場を見下ろした。
 そこには自分の事を棚に上げる咆えるゴブリンの王が居たのだ。
 常識が破壊される程の衝撃的な一撃であった……それでも、それでも彼は固執する。
 ここまで来て退いてはならぬ、奴隷ならばまだまだ居るのだ。
 そして人間の町を襲い、自分達のモノにすればお釣りがくるのだ!
 そんな邪な思考で動く王を前にして、猟兵達は着々と完璧な防衛を続けるのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

二天堂・たま
既に防衛設備の予行演習は完璧に済ませたのだ。
今回も「UC:ワーカーズ」の相棒達と「罠使い」による迎撃設備で迎え撃つぞ!
直接対峙しての戦闘は他の猟兵にオマカセだ。

確かゴブリンの親玉は用心深いヤツだったハズ。
まずは奴隷ゴブリンとやらを尖兵として向かわせるだろう。
ある程度こちらのふところに引き込んで、一気に叩くのだ。
あの親玉が城門から離れたまま、ゴブリンの群れが駆逐されたら冷静になって逃げるかもしれんからな。

尖兵を対峙し終わったら、あの親玉と親衛隊達の様子を相棒(ひよこ)に確認してもらおう。
…相棒よ、もしや“ぷぷっ”と笑っているのか?油断は禁物だぞ?(なでなで)


レイチェル・ケイトリン
また城壁のたかいところから念動力でこんどはパイロキネシスをつかって自由にバラバラにうごかせる28の炎をだしてたたかうよ。

視力と情報収集の技能で全体を把握して敵を逃がさないようにして範囲攻撃と吹き飛ばしの技能をつかって爆発する炎を叩きつけるよ。

ゴブリンキングにはフェイントもつかってあてやすくするしね。

敵からの攻撃もふっとばしてふせぐよ。


ゴブリンキングがわたしたちの砦を無視してたら温泉町はあぶないんだよね。

なら、温泉町のまもりをもっとつよくして、砦からの攻撃を無視できなくするとかかんがえてみないと。

さっさとこの敵をやっつけていくね。



●城塞攻防戦~誘い込むは虎の口と炎~
「次々と進め! 死体を足場にして攻め立てるのだ!」
 仲間の半数を失っても彼らは王の命令には逆らえない、虚ろな瞳でただひたすらに言われた事をこなすだけのまさしく“奴隷…いやただの人形”として砦に群がり始める。
 彼らの命の価値はそれほどまでに小さいのだ、しかし数というのは戦において大事な要素であることには変わらない。
 いかな堅牢な砦であろうと、防衛する人間の体力と精神力は無限ではないのだから。
 虚ろな瞳でただひたすらに城壁に突撃する奴隷ゴブリン達、彼らの姿は猟兵達に協力し、砦を一緒に守ろうとする現地人の精神力を大きく削っていく。
 しかし、砦に存在する温泉や絵画、天文台等の施設のおかげでかなり緩和されているようだ。

「砦は無事だが……精神的によろしくないようだ」
「心も何も感じない……本当に人形みたいだよ」
 奴隷ゴブリン達の攻城戦を見た猟兵防衛部隊の二人。
 紳士的にして尊大な態度のケットシー、二天堂・たまと、普段は可愛らしい表情を浮かべるも今は何処か悲しそうな表情を浮かべるヤドリガミの少女、レイチェル・ケイトリンは現状打破の作戦を立てていた。
 城壁の強度は問題ないが、出来る限り奴隷ゴブリン達の姿を協力者たちに見せないようにしなければならない。
 その上で砦を守る方法……それは美味しい餌で一か所に釣り上げそこを叩くしかないだろう。
 現状、もっとも美味しい餌は“砦”である。
 この【二重星型城塞】である砦は一層目の城壁を突破されても問題は生じない、それに【喰違虎口】も存在するのだ。
 奴隷ゴブリンの数が半分にまで減った今、虎口に誘い込み罠を使えば十分に殲滅可能であるとたまは考えた。
 そして殲滅に必要な火力と追い立て役にはレイチェルが適任であるだろう。
 その話をたまから聞いたレイチェルは強い意志が籠った瞳で頷くと、作戦が始まる。
 たまとレイチェルによる、二人で大勢の奴隷ゴブリン達を追い込み、叩く作戦が始まったのだ

「――!? 城門が軋んでいるのか……? おい奴隷ども! 全軍で城門を破壊しろ!!」
 遅々として進まない戦況にイラつきを隠そうともしないゴブリンの王、城壁に張り付く死体が徐々に多くなるが、まだ足場には足りない。
 そんな折、ビクともしなかった城門がギシミシと異音を立てていると部下であるゴブリンから報告が入ったのだ。
 好機到来! そう判断した王は奴隷たちに檄を飛ばし城門の一点突破に移らせたのだ。

「ダメです! 城門には近寄らせはしません!」
 凛とした声で丁寧な言葉が放たれる、声の主は銀髪の少女レイチェル。
 周囲に浮かべた炎を放ち、城門に近づく奴隷ゴブリンに浴びせかける少女、必死に城門に近寄らせまいとするも火の勢いは弱く城門へと殺到させてしまう。
 揺れる城門、迫る奴隷ゴブリン……レイチェルの小さな炎に身を焦がしながらも勢いはそのままに。
 更に奴隷ゴブリンの全てが城門に突撃を開始するのだ、前に立つ味方ゴブリンを押し潰すのも構わずに……まるで何かから逃げるように……。
 そう彼らは気づいていない、レイチェルが城門を攻撃する奴隷ゴブリンには小さな炎を、城門から離れた位置にいるゴブリンには大きな炎を放っている事に。
 これは戦場を俯瞰視点的に認識するレイチェルだからこそできる技、奴隷ゴブリンを一か所に追いやる為の追い込み漁なのだ。

「たまさん、今だよ!」
「うむ、開くぞぉー!!」
 全ての奴隷ゴブリンが城門前に殺到したのを認識したレイチェルがたまに合図を告げる。
 罠使いの本領発揮、態度の大きなケットシーは相棒のひよこ達と共に城門をゆっくりと上げていくのだ。
 そうなれば奴隷ゴブリン達は一斉に【喰違虎口】へと雪崩れ込む、前へ、前へと味方を押し倒し、踏みつぶし、乗り越えて。
 レイチェルの炎に追い立てられていた事も相まって、何匹もの奴隷ゴブリンを自ら押し潰しながら、なんと全てのゴブリンが城内に入り込んだのだ。
 この時点で作戦は成功したも同じである、たまはすぐさま城門横の守衛塔から全ての罠を起動させていく。
 城門は開けたまま、ゴブリンの王にわずかな喜びを与えてやろうではないか。

「虎口の罠を全て起動させるぞ! キミはそれで追い立ててくれたまえ!」
「はい!」
 喰違虎口で蠢く奴隷ゴブリンの群れ、新たな城門に再び迫るも、彼らは城門から突き出るスパイクに突き刺さり、命を散らし続けていた。
 他にも壁際から小型バリスタが発射され、左右からの矢の雨を受けるゴブリン兵達。
 落とし穴にはまり命を落とす者もあらわれ、見事誘い込まれた虎口で無残に兵を減らし続けていた。
 しかし城内での出来事にゴブリン王は気づいていない、つまり“新たな命令”が飛ばない状態なのだ。
 奴隷ゴブリン達は最新の命令を遵守し、ただひたすらに城門の突破を図る。
 それが無謀な突進だと気づかぬままに。

「これはわたしの心の炎!」
 城門の上に躍り出たレイチェルが30近い炎を形成し、自由自在に操り告げる。
 ジジジ……と浮かんでいるだけで小さな太陽のような熱量を持つソレを様々な形状に変化させ、堅固な守りをみせる城門へ追い立てるように解き放つのだ!
 念動力により初速から高速で放たれた炎は、それぞれが壁のように連結し、巨大な炎の壁を創り出す。
 その壁はレイチェルの思念を受け、まるで生きているように奴隷ゴブリンを焼き焦がしながら城門へと徐々に狭まっていく。
 更に炎の壁は触れた奴隷ゴブリンを爆発させ吹き飛ばし、絶対に外に逃さない。
 スパイク城門とパイロキネシスで創られた炎の壁。
 逃げ場のない奴隷ゴブリン達の末路は言わずとも分かるであろう。

「くくく、そろそろ砦も――っ!?」
 奴隷ゴブリン達が砦内に消えてしばらくの時間がたつ。
 そろそろ危険はないだろうと側近を伴って砦内へと進んだ王の足元に炎が飛び込んできたのだ。
 突然の攻撃に身構える側近たち、慌て声を失うゴブリンの王……彼らが見たものは攻略したはずの城門から飛び出してくる猟兵達の姿であった。
 そして炎を放った少女は遥か高い城壁の上で告げるのだ、次は王の番だと。
 こうしてゴブリン軍の尖兵である奴隷ゴブリンは壊滅した。
 残りはゴブリン王とその側近のみである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キョウ・ヴァゼラード
敵将のお出ましか…ゴブリンの王てもなればそれなりの力はあるようだ。

●指導
「先の感覚と同じようにやれば良い、ひたすらにバリスタを撃ち敵を屠る…出来るな?」
有志達に【戦闘知識】でバリスタの運用を指導し、援護を頼んでから『盾のアイギス』と共に出撃する。

●戦術
「王の首を獲る、来い!アイギス!」
『イエス、マイロード!』
【高速詠唱】で【聖剣解放】を行い、腹心の騎士『盾のアイギス』と共に行動。
アイギスを【戦闘知識】で指揮し私への攻撃を【盾受け】させ、私は【怪力】を発揮して聖剣を【二回攻撃】の連続斬りで振るい、敵集団を纏めて【薙ぎ払う】い道を拓き、キングを一刀両断にする。
「終わりだ!王よ!」

※アドリブ大歓迎


六代目・松座衛門
「大将が冷静を欠いてしまっちゃ、お終いだよ!」
引き続き、自分は大型銃「玲瓏」を手に、人形「暁闇」を前線に出して戦う!

今回は、砦の一番大外にある城壁塔に移動し、バリスタの射撃に合わせ、「玲瓏」の【援護射撃】を行い、【鎧砕き】と【吹き飛ばし】による体勢崩しを狙う。また、人形による【武器受け】で、バリスタの射手を【かばい】、こちらの損耗を防ぐ!

「さて、こちらの反撃だ!」
相手の勢いが弱まったり、他の猟兵が反撃に移ると同時に自分も「暁闇」をゴブリンキングへ向かわせる。
多少の取り巻きのゴブリンはUC「疾風」の連続攻撃で薙ぎ払いつつ、最後の一撃だけでも、大将へ目掛けて放とう!

アドリブ、連携歓迎


茅原・紫九
冷静に策を練り直せばいいと思うんだがな。
それが出来ねえ愚王なのか、それでもプライドを守る名君なのか

殲滅できるほどの大火力はねえし俺が狙うは大将近辺。
素早く自己強化をして敵陣に入り込む

敵の陣形、守備の薄い部分、部隊の向いている意識、地形に味方の動向と考えることは多い。
一対多の状況は避けられねえだろうが退路だけは常に確保しておく。
決して無理はせず、確実に近付き護衛や王を相手取るぜ



●城塞攻防戦~王へと迫る刃~
「じょ、城門は開いているえはないか! 攻めろ! 攻めるのだ!」
「「「オオオオオオオオオ!!!」」」
 ゴブリン王の言葉と主に、彼の親衛隊が戦場に響き渡る怒声を上げて城門から姿を現した猟兵達にむかって突撃開始。
 身の丈程の杖を持ち、火球を放つゴブリンメイジ。
 鍛えられた剣、盾、鎧で完全武装したゴブリンナイト。
 まさしく王を護る兵力の出現、これに対し猟兵達は部隊を分け王の首へと迫る!

「王の首を獲る、来い!アイギス!」
「イエス、マイロード!」
 現地人の協力者達に指導を終え、部下の黒髪美人である守護騎士アイギスを引き連れ駆け出すのは聖剣の担い手である伯爵位を持つ男、キョウ・ヴァゼラードだ。
 高速詠唱にて聖剣グランネージュに魔力を通わせ、ルーンに輝きを灯させる。
 同時に戦場を把握し、最適な進軍ルートを選定し風の如く攻め立てた。
 立ち塞がるゴブリンナイトを素早く袈裟に切り伏せ、黒髪の騎士伯に反撃を試みる刃には守護騎士であるアイギスが両手に構えた大盾を用い防いでいく。
 しかし迫るゴブリン護衛兵の数は多く、流石にすぐさま王へとは届かない。
 そんな猟兵達に轟音と共に砦からの援護が届く!

「これは……松座衛門とバリスタか!」
 それはキョウが砦防衛に協力する民に指導した通りに発射された戦弩。
 そして城壁塔で口径漸減式大型銃「玲瓏」を構える黒髪のヤドリガミ、六代目・松座衛門だ。
 松座衛門は特殊対物ライフルを用い、仲間に迫るゴブリンナイトを狙撃、迫りくる敵軍に見事に風穴を開けたのである。

「さて、ここからこちらの反撃だ!」
 松座衛門は再び玲瓏を構え、猟兵を包囲しようと動くゴブリンナイトを狙撃。
 的確なヘッドショットでゴブリンの息の根を止めると反撃ののろしをあげたのだ。
 キョウの指示を受け適切なタイミング、つまり松座衛門の狙撃に合わせて放たれる巨大戦弩のボルト。
 これにより猟兵を迎え撃つナイト達の動きが大きく制限されたのだ。

「暁闇!」
 狙撃だけでは終わらない、松座衛門は戦闘用人形を繰りだすと、遠隔操作によりゴブリン軍団へと嗾けるのだ。
 物量は確かに大事だろう、しかし相手の状況を見極めなければ意味がない。
 松座衛門は大将が冷静を欠いてしまっちゃ、お終いだよ。 と胸中でゴブリンの王に告げながら、人形の操作と同時に再び狙撃に入るのだ。

「冷静に策を練り直せばいいと思うんだがな」
 松座衛門の戦闘人形がゴブリンナイトの集団に突っ込むその影で、一人の美女が戦場を駆け抜ける。
 ぽつりと誰にも聞こえぬ呟きと共に、魔力にて身体を強化する白髪のヤドリガミこそ茅原・紫九。
 素早く、的確に、最小限のリスクで最大限の効率を戦場で求める猟兵は、未だに突撃に拘るゴブリン王に小さくため息を吐くと低い姿勢で戦闘人形の影に潜み戦場を行く。
 風の魔力により強化された紫九は松座衛門の操る戦闘人形が作りだした隙を突き、確実に敵戦力を削っていく。
 狙いはゴブリンメイジ、火球による遠距離支援は猟兵にとっても、砦にとっても放っておいて良い相手ではないからだ。

「よっ、また一匹」
 剣戟が巻き起こる戦場で、まさしく一陣の風となり“弱点”を突く。
 紫九の風の魔力に反応し、切れ味を増加させた魔法剣はまさに敵部隊の間隙を切り裂いていくのだ。
 一撃では仕留めれずとも弱らせればそれで良い、勿論隙があれば首を斬り数を減らすのも忘れない。
 一人だけで孤立はせず、常に戦場全体を見て動く紫九の暗殺者染みた動きに敵部隊はジリジリと固まり、後退を始めた。
 前衛をゴブリンナイトで固め、部隊の中心にメイジを配置したシンプルな部隊は数の有利を活かせないまま猟兵達に追いやられていく。

「何をしている! 囲め! 囲んで叩くんだ!!」
 後方にてゴブリンナイト達に指示を飛ばす王、しかし完全に猟兵達に支配された戦場では自由に動く事さえ出来ないのだ。
 不用意に包囲を試みようなら松座衛門の狙撃の対象になり、紫九の魔剣の餌食になる。
 孤立した者から命を落とす戦場でゴブリンナイト達が取れる手段は包囲ではなく、一塊になって各個撃破する事だけであった。
 もっともゴブリンナイトの攻勢を盾の騎士と共にキョウが聖剣にて真正面から抑え込んでしまっている。
 故に、ただ一つの勝機は猟兵達の疲労を待つだけなのだ。
 だが、密集陣形を取るという事は大規模破壊には脆弱になるに等しい。

「好機到来! アイギス!」
「イエス、マイロード!」
 正面からゴブリン部隊を抑え込んでいたキョウが一歩後ろに下がる、同時に急速に聖剣へと魔力を込める。
 同時に白光の如く輝きはじめるグランネージュ。
 ゴブリン達は獣の如き勘で危機を察知、自らの命の危機に対しその源を食い破らんと大攻勢をかけるのだった。
 しかしそれを封じ込めるのはキョウの部下である忠義の騎士、そして二人のヤドリガミ。

「させるか! その身に刻め! 演目「疾風」!」
「させるかよっと!」
 松座衛門は玲瓏による狙撃でキョウへと迫るゴブリンナイトの脚部を吹き飛ばし、同時に複雑な糸繰りにて戦場に暴風を生み出す。
 演目疾風、鬼猟流 演目其ノ一と呼ばれる絶技は戦闘人形“暁闇”のギミックをフル稼働させて放つ超高速連続攻撃である。
 ガシャン! と副腕である“双爪丸”を展開し、人間では不可能な角度、動きでゴブリンナイト達を一纏めにしその四肢を砕いていく。
 右腕――左足――肋骨――ガード不能の連撃に鎧の上から全身を砕かれたゴブリンナイト達は暴風に打ち上げられたかのように吹き飛ぶのだ。
 刹那、紫九がゴブリンメイジを踏み台にして宙を舞う、身体をひねりながら魔剣から愛用の大筆に持ち替える姿は何処かパフォーマーらしく、戦場を舞台と勘違いしてしまいそうな程の美しい跳躍であった。
 彼女の跳躍先、それは全身を砕かれたまま吹き飛ばされたゴブリンナイト達だ。
 紫九は彼らを大地に叩きつけるように蹴り落とすと、そのまま空中で大筆を踊らせる。
 大きく振り下ろされた筆から魔力を籠められ生み出された墨弾、それはゴブリンナイト達の塊に命中すると空中で爆ぜたのだ。
 五月雨の如くゴブリン部隊に降り注ぐ魔力弾、殲滅は不可能だが広範囲にわたり、ゴブリン達の足と詠唱を封じる。
 更に紫九は空中に描いた軌跡を足場としそのまま跳躍、部隊を完全に封じた後は華麗に退避してみせる。

「剣よ、光纏いてその真なる姿を現せ!」
 射程内に味方が居なくなったのと同時に、キョウの聖剣“グランネージュ”が最大の輝きを見せる。
 それは大地に顕現した白き太陽、浄化の光。
 光り輝く聖剣を青眼に構え、ゆっくりと振り上げるとそのまま力強く一歩踏み出す。
 ――そしてスローモーションのように振り下ろされた聖剣は光の軌跡を描き大地を切り裂きゴブリンナイトとメイジの群れを浄化せしめたのだ。

「後は王だな」
「こちらに被害は無しですよ」
「ちょっとやりすぎたかね?」
 キョウはポカンとこちらを見るゴブリンの王に対し、ゆっくりと歩を進めていく。
 松座衛門は人形を操りながら砦で援護射撃をしていた現地民たちの無事を確認。
 紫九は大筆をよいしょ、と担ぐと一匹も居なくなった戦場を見渡すのだ。
 ゴブリン王の護衛軍、全滅……残りは矮小な王のみである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリガー・シックス
「あれを倒せば終わるのか」
『アヴァランチ』を持ち、【援護射撃】を行う。
接近されたら『ストライカーハンド』で近接打撃や伸縮式ブレードで斬り裂く。
【ダッシュ】や『バーゲスト』による空中機動で絶えず高機動で動き回りながら『吹雪の狼』や『アヴァランチ』を【早業】で切り替えながら攻撃を仕掛ける。
『最後の願望』でリヴェンを呼び出し、他の猟兵たちの援護をさせる。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
「親玉倒して終わりにするわよ!」
『ゲンドゥル』を手にしたら『トリニティ・エンハンス』で焔刃を形成するわ。
形成したら【ダッシュ】で一気に間合いを詰めて、【二回攻撃】や【なぎ払い】で攻撃していくわ。
攻撃が来そうになったら【ジャンプ】して【空中戦】で飛行しながら武器を『摩利支天』に切り替えて、水の光刃槍を形成を行って降下しての一撃離脱に切り替えるわ。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK



●城塞攻防戦~戦場を駆ける~
 時を少し巻き戻し、部隊を分けた猟兵達の一組。
 寡黙な黒衣の傭兵、トリガー・シックスと蒼い翼を持つ戦士、エルーゼ・フーシェンのコンビもゴブリンナイトとメイジ、そして新たに呼び出された奴隷ゴブリン達の軍勢と対峙していた。
 小数対多数、一般的に数の差は覆せない。
 しかし、ゴブリンと対峙している二人は常識の埒外に存在する者なのだ。

「それじゃ暴れてくるわね!」
「あぁ、存分にな」
 エルーゼは魔力を刃として展開し、連結可能なテクニカルな魔器“ゲンドゥル”を手に笑顔で告げる。
 対するトリガーは多目的コンバットライフルを手に、何でもないように告げた。
 ちょっと散歩に行ってくる、遅くなる前に帰って来いよ。
 戦場に赴く前にしては軽すぎる言葉のやり取りであったが、二人にとってはその程度の事柄なのだ。

「親玉倒して終わりにするわよ!」
 魔力を走らせ、翼をはためかせるエルーゼ。
 彼女の手にしたゲンドゥルは炎を纏った紅色の刃を形成、まるで火の鳥の如く火炎の揺らぎを共にして敵陣へと突っ込んだのだ。
 迫りくる美しい翼人に、ゴブリンナイトは盾を構えると正面から迎え撃つ形を取る。
 魔力の刃と鉄の盾、無傷とは言わずとも軽減できるはずと考えたナイトの思惑は一瞬で崩れる事となった。

「私の炎はそんな盾じゃ止められないわよ!」
 刃は受けた、その衝撃で体勢を崩し、腕の骨が悲鳴を上げた……しかしなんとか防いだと反撃に移ろうとしたゴブリン。
 しかしエルーゼの生み出した炎の刃は、形をグニャリと変化させると盾を回避しナイトの顔面を焼いたのである。
 壮絶な悲鳴をあげて地面を転がるゴブリンナイト、その光景に驚愕していたゴブリン軍団は反撃を忘れ、次なる犠牲者を出したのだ。

「焔刃の舞い、止められるかしら?」
 次いで狙われたのはメイジだ、呪文の詠唱中という隙を突かれ、薙ぎ払うように迫り来る刃に対応できずに両断される。
 周囲には肉の焦げる匂いと、メイジの悲鳴が広がった。
 まさしくエルーゼは戦場で華麗に舞う踊り子、死の舞踏の舞手なのだ。
 そんな衝撃からようやく立ち直ったゴブリン達、なんとか踊り子を捕まえようと包囲陣をひこうと動き出す。
 特に奴隷ゴブリンはその背の低さを利用し、這うようにしてエルーゼに襲い掛かろうとしていたのだ。

「援護はするさ」
 だがその存在を許さない存在が居る、黒衣の狩人が地に伏し進む奴隷ゴブリンの頭部を一発の弾丸で吹き飛ばしたのだ。
 その精密な援護射撃をバーゲストによる高機動戦闘で行っているのだからゴブリンにしたら堪ったものではない。
 包囲するつもりが、逆に全周囲から弾丸に襲われる恐怖にさらされる事になったのだから。

「隠れても無駄だ」
 風のようにぶれるトリガーはライフルを構えると、一寸も無く発砲。
 火薬により放たれた弾丸はゴブリンナイトの盾に掠るように命中すると、勢いそのままに軌道を変化させたのだ。
 更に別のナイトの兜の端部分に掠り再び軌道を変える、そして次はグリーブに……甲高い音を立てて戦場を飛び交った。
 その弾丸は猟犬の如く死体を盾にエルーゼを襲う為に這いずり進んでいたゴブリンの額に直撃、その命を散らす。
 正確無比な射撃のみに許された“跳弾”による援護射撃。

「さすがね、それじゃそろそろ次のステップを踏むわね!」
「まったく」
 包囲されつつある事を肌で感じ取ったエルーゼはその美脚でゴブリンメイジの顎を砕き、その身体を踏み台に天高く飛び立つ。
 太陽が輝く大空でゲンドゥルをしまい、素早く新たな武器へと交換すると水の魔力を纏わせて急降下するのだ。
 その手にあるのは“摩利支天”一見すると刃のない柄に見えるが、使用者の願いに応じて槍・斧・大鎌と魔力の刃を形成する魔器である。
 今回は清らかな水の魔力刃を槍刃の形状を取らせ、高高度からの一撃離脱戦術を取るエルーゼ。
 それに合わせトリガーも援護武器を取り換えた。
 先程も活躍した特殊弾使用可能なロケットランチャー“吹雪の狼”である。
 バーゲストにより空中機動を一時的に開放し、エルーゼの離脱・突撃のタイミングで合わせて炸裂弾を打ち出したのだ。

「そ、そんな馬鹿な……軍団が、ゴブリン軍団が……」
 その光景を遠くから眺める事が出来たゴブリンキングは、愕然とした表情のまま呟きとして悲痛な声を漏らす。
 エルーゼがゴブリン部隊に突撃すれば、激流が生まれ何匹もの同胞がその胸を刺し貫かれていく。
 更に的確なタイミングで炸裂弾が横合いからゴブリンの身体を木っ端みじんに爆ぜさせていくのだ。
 たった二人にゴブリンナイトもゴブリンメイジも、無数の奴隷ゴブリンも何もできずに殺されていく。
 部隊人数は既に四分の一以下、壊滅状態だ……。
 自慢の部隊も必死に反撃を試みるが、そのすべてが躱される……もしくは見えないナニカに弾かれてしまう。
 死にゆくゴブリン達はそのナニカを見ただろう。
 それは何処かエルーゼに似た少女の霊……まるで二人を護る存在であったと。

「後はあれを倒せば終わるのか」
「みたいね、戦意はあまり残って無さそうだけど?」
 最後にエルーゼが摩利支天を突き刺し大地に亀裂を生み出し、完全にゴブリン軍団はその姿を消した。
 二人の視線にビクリと身を強張らせるゴブリンの王。
 もはや威厳は地に伏した王は必至に生きるための方法を思案していた。
 なんとかせねば……そう考える王の姿は砦に攻める前とは大違いであったとのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルイーグ・ソイル
ほぅほぅ、王様のおでましっすね…!?全力で行くっす!
ユーベルコード【ブラッド・ガイスト】を使い、持てる力を込めてゴブリン王を倒しにかかるっすよ!!
オレたちの超イケてる砦には、指一本触れさせないっす…!

綺麗に片付けて勝利の露天風呂を決めるのが楽しみっすね!
(連携アドリブ大歓迎です!


ルナ・ステラ
卑怯者って自分は手下に戦わせてばっかりじゃないですか...

ここは狼さんたちに頑張ってもらいましょうか...
わたしは手下のゴブリンを魔法で足止めして、狼さんたちのゴブリンキングまでの道を作りましょう!
炎の魔法を使ってくるなら、【属性攻撃】の水魔法で消火しようと思います。

〈もし、敵が一騎打ち希望なら〉
卑怯者と言うならわたしの銀色の狼さんと一対一で戦ってみますか?
強いですよ?
(卑怯な真似をしたら許しません!その時はわたしも容赦なくいきます...というより、月白の狼さんが黙ってないでしょうが...)


戦いが終わったら、温泉や天文台を狼さんたちと楽しめるといいな...



●城塞攻防戦~狼の咆哮~
 砦へと進軍するゴブリンナイトとゴブリンメイジの軍団を前に、悠然と迎え撃つ猟兵達が居た。
 一人は灰色の髪と狼の耳をバタバタと荒野の風に吹かせる人狼、ルイーグ・ソイル。
 もう一人は星と月をイメージさせる可愛らしい魔女っ子衣装に身を包んだ白髪の女の子、ルナ・ステラ。
 迫るゴブリン軍団の人数は少なめだが、相手は王の言葉に感銘を受けた志気の高い親衛隊。
 油断は出来る状態ではない、ゆえに全力で迎え撃つのみである。

「それじゃ全力で行ってくるっす!」
「は、はい! 援護します!」
 先程から使うメイスを肩に担ぎ、利き足をトントンと地面にたたきつけるルイーグ。
 普段通りに、にこりと愛嬌のある笑顔を浮かべると、低い姿勢で大地を蹴った。
 その行動を前にしてルナはやや緊張しながらも魔力を丁寧に収束、頼りになる親友を呼ぶ術式を展開する。
 その術式とは召喚術式、ルナと仲の良い二頭の狼を呼び出すためのものだ。

「誇り高き銀色の狼さん、美しき月白の狼さん、わたしに協力してください!」
 ルナの願いと魔力を受けて、荒野に星と月が象られた召喚陣が展開される。
 煌々と輝く陣より精悍な顔つきの銀狼と、月光のような輝きを持つ白狼が現れたのだ。
 二匹はルナに軽く頬擦りをすると目の前まで迫るゴブリンの軍に対し、低い唸り声を上げて威嚇する。

「銀色の狼さん、月白の狼よろしくお願いします!」
 ルナの声に軽く鳴いて答える狼。
 その声にルナも頷くと、自らも魔法の箒を握りしめ二匹の狼と一緒に戦場へと飛び出すのだ。
 風のように駆けだした仲間を援護するために。

「だぁぁ!! 次、来るっすよ!!」
 真っ先に戦場に突撃したルイーグは走り込んだ慣性を利用し、そのまま一本足打法の如くゴブリンナイトの横っ面を殴り飛ばす。
 その衝撃は生半可な防具では守り切れず、ナイトは螺旋を描き吹き飛んでしまったのだ。
 最初の一撃は決まった、であれば止まらずに次の相手を探すべく獣の如く大地を蹴るルイーグ。
 まさしく縦横無尽にゴブリン軍団をかき回すのである。
 そんなルイーグに炎の玉が降り注ぐ、ルイーグを押しとどめようと耐えるナイトを巻き込むであろうが、仕方なしとばかりに放ったのは後衛で杖を掲げるゴブリンメイジである。
 仲間を犠牲にしてでも、確実に猟兵を減らしに来たのだ。
 迫る火球、ゴブリンナイトは蹴り飛ばしたが、さすがに無傷はいられないだろう……そう考え咄嗟に防御態勢を取ったルイーグ。

「させません!!」
 ――数発の火球が放物線を描きルイーグに届く前にルナの放った水の壁が掻き消す。
 水と火球がぶつかり、蒸発と消化の音が戦場に響く……ルナがルイーグを援護するために作り出した水の壁。
 まるで砦の城壁のように堅固な水の壁がルイーグを護りきったのだ。

「助かったっす! このお礼は必ずっすよ!」
「は、はい! あ! 前来てます!!」
 OKっす! の声と共に再びメイスを手に戦場を駆ける人狼。
 メイスで次々とゴブリンを吹き飛ばすルイーグをサポートするように銀色の狼がゴブリン達の四肢をかみ砕いていく。
 その人狼と狼に飛来する炎はルナが水弾をぶつける事で完全に相殺し、ルナに迫る攻撃は月白の狼が防ぐ。
 王の命令に志気が高いナイトとメイジは自爆特攻覚悟で猟兵達へと猛進する。
 しかしルイーグと狼は戦場の一か所に止まらず、常に高速で動き続けるのだ。
 ルイーグが右から攻め入れば、銀狼が左でゴブリンを釘付けにする。
 高速機動にゴブリンナイトでは反応できず、後衛で呪文を唱えるメイジのみが戦場の流れを把握できた。
 しかしメイジの攻撃は全てがルナの魔法により妨害され援護にならない……完全に猟兵のペースで戦況は動いていく。
 徐々にゴブリンの軍勢は数を減らしていき……ついに荒野に立つのは猟兵だけとなったのだ。

「これで、最後っす!」
「後は……ゴブリンキングだけですね」
 最後のゴブリンメイジの身体をくの字に曲がる程に打ち据えたルイーグ、彼はオレンジの瞳で狼狽えるゴブリンの王を睨んだ。
 ルナも二匹の狼をお疲れ様と撫でると、キッと命令ばかりして自分では動かないオブリビオンを見やる。
 ついにたった一匹となってしまった王……逃げるにも逃げれない状況で部下任せで卑怯な王の取る手段……ただ一つ。
 もっとも弱そうな者を人質にとる事。

「う、あ……があああああああああ!!」
「ひゃ!? わ、私ですか!?」
 ゴブリンの王は“戦場に出てきた猟兵の中で最もか弱く見えるルナ”を標的に全力で駆けだしたのだ。
 王冠を落とし、なりふり構わぬ走りで杖を振りかぶる。
 その瞳は未だに自分の相手を認めず、自分が負けたのは部下が悪い。
 こんな目に合っているのは自分のせいではないと輝いていた。
 故に一騎打ちを望むでもなく、ただひたすらにか弱く見えるルナを盾に逃げる事だけを考えた愚王の瞳。
 振りかぶられる杖、しかしルナを二匹の狼が守っているために届きはしないだろう。
 だが、その前に一人の人狼に止められたのだが。

「アンタ、それでも王っすか? かっこ悪いっすよ!」
「――う、うるさい!! 貴様らさえ! 貴様らさえいなければ!!」
 杖を簡単に止められた事に動揺し、すぐさま手放す愚王。
 次は爪でルイーグの頬をひっかき、必死の抵抗をみせるも簡単に躱されてしまうのだ。
 ぺたりと尻餅を付くゴブリン、その姿は最後までその命を懸けて戦ったゴブリンナイトやメイジとは比べ物にならないほどに小さかった。
 本気で戦えば、本気で生きようともがけば、彼らほどの力があるはずなのに……だ。

「見てられないっすね、これがアンタへの手向けっす」
「やめっ!? やめぇおぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」
 ルイーグは自らの親指の腹を牙で噛み、一筋の血を流す。
 その血がメイスに触れた瞬間……周囲の空気を氷点下まで冷やすかのようなプレッシャーが生み出されたのだ。
 そして赤黒い影がメイスを多い、まるで咀嚼緒に近いような根源的恐怖を煽る音が響き渡る。
 《ブラッド・ガイスト》自身の血を代償とし、武器を禍々しい補食武装へと進化させる力。
 音が止んだ場に現れたのは、まるで命を喰らう大口を持つ影の棍であった。
 その口には無数の牙が並び、一撃で魂を削り切る禍々しい巨大なメイス。
 ルイーグは静かに振りかぶり、絶叫する愚王へと振り下ろす。
 牙が愚王の身体に触れた――刹那、一瞬にしてメイスに“喰われ”ゴブリンキングはこの世から姿を消したのであった。

「あ、あの……大丈夫ですか?」
「え、ああ! 大丈夫っすよ!!」
 癒しの獣奏器を胸に抱き、二匹の狼と共に駆け寄ったルナに笑顔で答えるルイーグ。
 何でもないと答える人狼の手には、禍々しい武器ではなく、普通のメイスが握られていた。
 まるで何でもなかったかのように、ルナは癒しの音色を奏で、ルイーグの指の傷をいやすとほうと一息ついて周囲を見渡す。
 ゴブリンの軍勢の姿は完全に無くなり、自分達が作った砦も無事だ。
 こうしてロレースを狙ったゴブリン王の野望は砕けて、消え去った。
 残った砦は有事の際に使われることもあれば、猟兵達が自由に使って良いことになっている。

「さ、戦闘も終わったっす! 温泉でゆっくりするっすよ!」
「ですね、天文台でゆっくりしたいです」
 この後、戦闘に参加した猟兵達は砦内の温泉でゆっくりと身体を休め、ロレースから運ばれた素材を使った料理に舌鼓を打つことになる。
 別荘というには少し物々しすぎるが、砦としては完璧と言える城塞にて存分に心と身体を癒すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月13日


挿絵イラスト