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大祓百鬼夜行⑯〜オペレーション・トリビア

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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●明日使えるムダ知識を貴方に
「『ムダ知識の湖』へようこそー! 司会のアンネローゼよ!」

 テレビ番組のスタジオセットで、観客の拍手の中、正装に身を包んだ吸血鬼の妖怪がぺこりとお辞儀をする。

「この番組では、『明日使えるムダ知識を貴方に』をテーマに、知っていても特に日常生活の役には立たないけれど思わず誰かに話したくなる雑学をゲストのプレゼンターの皆様に紹介していただくことになってるわ。それでは最初のゲストはこの方~」

 呼び込みに応じて現れたのはブギーマン。クローゼットの中に潜んで脅かす能力を持つ西洋妖怪だ。

「はい、僕が紹介するムダ知識はこちらです」

 ブギーマンが手を軽く挙げると、どこからともなくナレーションが流れる。

「スペースシップワールドの銀河皇帝、リスアット・スターゲイザーは、靴を履いていない」

 スタジオセットの横に並んで座る審査員の妖怪たちが揃って驚きの声を上げ、座席に据え付けられたボタンを連打した。ボタンが押される度に「へー」という音声が流れる。ボタンを押した回数は座席前方の液晶画面に記録されており、先程のムダ知識にどれだけ感銘を受けたかが表示される。

「えっ靴履いてないんですか!?」
「靴履いてると勝手に思ってた! え、嘘ォ!?」

 どよめく審査員の妖怪たちの様子を見て吸血鬼の妖怪がクスリと笑うと、カメラに向き直る。

「本当にそうなのかしらね。それでは、確認のVTRをどうぞ!」

●ムダ知識品評会、開催
「UDCアースおよびヒーローズアースにおけるギリシアの哲学者、アリストテレスはこう言いました。『全ての人間は生まれながらにして知ることを欲する』と」

 グリモア猟兵のジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は厳かに語った後、咳払いして本題に入る。

「えー、ということで、UDCアースでかつて放送されていたムダ知識を紹介する番組があったんですが、似たようなコンセプトの番組をやろう、という者がカクリヨファンタズムの妖怪にいたようでして」

 ムダ知識、言い換えればトリビア。特に知っているだけで何か益があるわけではなく、生活上役に立つわけでもないが、話の種にはなる雑学知識を指す。ちなみに、こうした人間の雑学に対する欲を説明する言葉として、SF作家アイザック・アシモフが残したとされる「人間は無用な知識の数が増えることで快感を得る事が出来る唯一の動物である」というものがあるが、実際のところアシモフが本当に言ったかどうかの真偽は定かではない。

「ただ、この番組を復活させようと企図した妖怪が骸魂を飲み込んでおりまして。自覚が無いようなのですが、UDCアースにこの番組の出来事が具現化してしまったのです……とは言ってもただのバラエティなのでそれ自体は然程問題にはならないのですが」

 問題はここからだ、とジェイミィは1本の動画を再生する。そこに映っていた光景に猟兵達は目をむいた。なんと、映像にはインタビューに答えるスペースシップワールドのオブリビオン・フォーミュラ、銀河皇帝リスアット・スターゲイザーその人が映っていたのだ。

 ──Q.靴を履いていないのは本当ですか?
「うむ、確かに余は靴を履いていない」
 ──Q.素足なんですか?
「YESとも言えるし、NOとも言えるな。見よ、足の甲あたりを覆っているこの布を。余はファッションに疎い故正式名称は知らぬが、厳密な意味での素足では無いだろう。しかしこれが靴下の機能を果たしているとも言えず、その意味では素足も同然ということだ」

 ここで動画を止めると、ジェイミィは向き直る。

「……とまぁ、この番組は事実検証のVTRでインタビューが入るんですよね。現状、インタビューに答えるだけの存在なので特に危険はないのですが、放置していると本格的に倒したはずのオブリビオン・フォーミュラやその腹心が復活しかねませんし、止めなければいけませんね」

 そこでジェイミィは、自分たちも番組に出演してトリビアを披露し、番組をつつがなく進行させることが重要である、と語る。

「当然、司会者への攻撃はご法度です。番組の正常な進行が出来なくなった場合の影響が未知数ですからね。番組をつつがなく進行して終わらせることができれば、骸魂も自動消滅して番組内で具現化した事象ももとに戻るでしょう。あ、ちなみに別にオブリビオン・フォーミュラなどに関するトリビアでなくても大丈夫です。トリビアであれば何でもOKですよ」

 一応検証が入るので、ガセ情報や事実確認の取れない情報はトリビアとして紹介できないようです、とジェイミィは釘を刺す。トリビアを紹介する際には、事前に裏が取れているものを紹介するべきだろう。

「まぁ、そこまで身構えるものでもないでしょう。雑学に自信があるならば挑戦してみては如何でしょうか」

 どんなムダ知識が私達をへぇー、と言わせてくれるのでしょうね、とジェイミィは声を弾ませると、グリモアを起動してポータルを開くのであった。


バートレット
 どうも、バートレットです。
 今回はムダ知識紹介バラエティに出演して、自分の持つトリビアを披露するシナリオとなります。
 プレイングボーナスは以下のとおりです。

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 プレイングボーナス……番組の企画に全力で乗っかる(戦わずともダメージを与えられます)。
 =============================

 では、以下に今回のシナリオについて補足説明します。
 ・攻撃はご法度です。番組の正常な進行ができなくなります。
 ・披露するトリビアは第六猟兵に関することでも、それ以外でも構いません。ただし、「何らかのルール・規則に抵触する恐れのある情報」は不採用とします。
 ・明らかにガセだと判明した場合、もしくは事実確認が取れない場合も不採用になる可能性があります。

 ひとつアドバイスをするならば、戦争幹部などの公式NPCの画像やサバイバルで貰える背景画像を観察してみると、パッと見ただけでは気づかないような何かがあるかもしれません。それをトリビアとして紹介してみるのが良いでしょう。

 その他注意事項はMSページをご確認ください。
 また、募集状況はタグにてご確認ください。

 それでは、皆さんからの自慢のトリビアをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『吸血夢魔姫『アンネローズ』』

POW   :    アンネのお願い
【可愛らしいポーズからの「お願い」】を披露した指定の全対象に【この子の言う事を何でも聞きたいと言う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    変幻自在どろんチェンジ
【吸血夢魔姫『アンネローズ』の姿】【狼の群れ】【吸血蝙蝠の群れ】【魔性の霧】【これらに自在に変身する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    紅薔薇の嵐
自身の装備武器を無数の【真紅の薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

川谷・茉莉
金のメロンパン入れを貰いに来たわ。

さて、私が紹介するトリビアはこれよ。
(UC発動、ベートーベンの肖像画を召喚)

『ベートーベンは演奏に銃火器を使う曲を作ったことがある』。
私も最近知った話なのだけど『ウェリントンの勝利』っていう曲がそれね。
大砲二門以上、マスケット銃をできるだけ沢山、勿論普通の楽器も色々使う、規模だけならあの第九よりも大規模な編成で演奏する交響曲よ。
今のUDCアースだと、軍楽隊でもないと正式な楽譜で演奏するコトができない曲になるわね。一応銃火器を別の楽器で代用する手もあるようだけど。

というわけでベートーベンさん、折角なので演奏よろしく。



●川谷・茉莉さん(n番目の花子さん・f32951)からのトリビア
「さぁ、次のゲストは川谷茉莉さんね!」

 続々とトリビアが紹介される中、ついに猟兵がトリビアを紹介し始める。そのトップバッターとなったのは茉莉であった。

「金のメロンパン入れを貰いに来たわ」
「おぉ、これは凄い自信! 最優秀トリビアをかっさらう覚悟ありってところね!」

 この番組では、最も多くボタンを押されたトリビアを紹介したゲストに対して、金色の脳味噌を模したデザインのメロンパン入れが貰える。即ち、茉莉は優勝宣言を行ったも同然ということだ。司会もその意気込みを聞いて観客の期待を煽る。

「では、紹介してもらいましょう! 茉莉さんが披露するトリビアはこちらです!」

『ベートーベンは演奏に銃火器を使う曲を作ったことがある』

 このトリビアには驚くものも少なくなかった。中でも音に関する妖怪であるバンシーの食いつきはとても良かった。

「バンシーさん一気にボタン押しましたね!」

 アンネローズも話を振る。

「え、ベートーベンなんだ、って。チャイコフスキーが大砲撃つ曲作ってたのは知ってたけど」
「大序曲『1812年』のこと?」
「そうそれ!」

 どういうことなのか説明する、ということで茉莉はベートーベンの肖像画をユーベルコードで召喚する。

「確かに、私は演奏に銃火器を使う曲を作ったことがある。1813年に発表した『ウェリントンの勝利』という曲だ」

 ベートーベンの肖像画は楽曲について解説を行った。「ウェリントンの勝利」はナポレオン戦争における一局地戦として1813年6月に起きた「ビトリアの戦い」においてイギリスがフランスに勝利したことを記念して作曲されたもので、前半パートではイギリス愛国歌「ルール・ブリタニア」の旋律とフランス民謡「マールボロ将軍は戦争に行く」の旋律が用いられ、両者が激しくぶつかり合いながら、やがてフランスが敗退していく様を描いているのが特徴だ。銃火器が使われるのはこの前半パートであり、大砲二門以上、マスケット銃をできるだけ多数、加えて管弦楽編成に各種ドラムと、かの「第九」を凌ぐ大規模編成で演奏する。

「ちなみに、作曲を依頼したのはメトロノームを発明したヨハン・ネポムク・メルツェルだ。初演の際に火砲パートの指揮を担当したのはアントニオ・サリエリ。後世から見れば非常に豪華な面々が関わっていたと言えよう」

 もっとも、楽曲自体はあまりにもキャッチーに過ぎたためか、後世における演奏機会は数えるほどしか無いが、とベートーベンは自嘲的に語り終える。

「そう言えば、UDCアースの日本でも2007年10月に陸上自衛隊の軍楽隊が演奏していたわね。音が一番近いということで、儀仗隊が保有していたM1ガーランドを使用したとか。さて、せっかくなので実際に聴いてみましょう。初演当時の編成を再現して演奏してくださるかしら、ベートーベンさん」

 茉莉は補足情報を一つ入れた後、ベートーベンに演奏を依頼する。ベートーベンは頷くと、肖像画の額縁の中でタクトを取った。次の瞬間、厳かなドラムが鳴り響き、トランペットが高らかに導入を奏で始める。やがて2つの旋律が重なる中で、マスケット銃や大砲の音が応酬を始め、激しい銃撃戦を表現した。

 見事な生演奏を終えて、スタジオからは拍手が巻き起こる。そして、このトリビアの総獲得点数は90点。80点を超えたため、パネラー代表の天狗から粗品が贈られる。

「ベートーベンにちなんで……弁当箱で」

 こうして、茉莉は暫定1位の座と粗品である弁当箱を手に、次の猟兵をスタジオの脇で待つのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

事象が具現化するのか、厄介だな
この話ならメンダコとかダイオウイカが具現化されるだけだろうから大丈夫と思いたい

SPDで判定
深海にすむ生物でメンダコというタコの仲間がいるんだが、それは墨を吐かない
理由はメンダコが生息している深海は元々暗いから目くらまし用の墨は必要ない、進化の過程でその器官は失われてしまったようだな
ちなみに同じく深海にいるダイオウイカには墨袋はあるが、それは深海に来たのが比較的最近だから進化が追い付いていないらしい

深海に連れて行かれたら【深海適応】【素潜り】【息止め】で耐える



●ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)さんからのトリビア
「続いてのゲストはルイス・グリッドさんです!」
「どうも」

 やや緊張した面持ちで呼び込みを受けるルイス。テレビ番組への出演に慣れていないのもあるが、それ以上に番組内の事象が現実世界に具現化するという状況が厄介と感じていたため、やや表情が強張っている。とはいえ、今回自分が紹介するムダ知識は周囲への影響が少ないと判断できる内容だった。

「それでは、ルイスさんのトリビア、早速行ってみましょうか!」

 アンネローズが告げると、ナレーションが流れる。

『墨を吐かないタコがいる』

 このトリビアに対して首を傾げたのはパネラーの一人である河童だった。

「あら、河童さんなんか納得行ってない表情ね」
「うむ……まぁ、ひとまず解説を聞きたい」

 河童に促されて、ルイスは解説を始めた。

「深海にすむ生物でメンダコというタコの仲間がいるんだが、それは墨を吐かない。理由はメンダコが生息している深海は元々暗いから目くらまし用の墨は必要ない、進化の過程でその器官は失われてしまったようだな」

 メンダコとは、ルイスが説明したように深海に棲息するタコである。体長は20センチほどの小型のタコで、独特な刺激臭と海水のような味のため食用には適さない。吸盤は通常のタコが2列なのに対して1列で、脚自体も放射状に広がっている。

 ルイスの説明が終わった所で、河童が手を挙げる。

「その点でおかしいと思ったことがあるんだ。同じく深海で生きている軟体生物のダイオウイカの解剖が2014年に行われたニュースを見たんだが、その時には墨袋が確認できた。この違いは何だろうか?」
「その疑問は私から補足するわね」

 アンネローズが河童の疑問に対してパネルを出して解説する。

「これについては諸説あってね」

 1つ目は、ダイオウイカが進化の途上であるという説。ダイオウイカは深海の環境に完全に適応しておらず、水温によっては浅い海でも確認、水揚げされることがある。このことから、捕食者から逃れるための墨を未だに必要としている、ということらしい。

 2つ目は、墨の機能に関する説だ。そもそも、軟体生物の墨は目くらまし目的ではなく、墨が発する匂いによって捕食者の嗅覚を封じる目的で放出されるらしい。メンダコは自身がシンナーに似た刺激臭を発しているため、墨が不要であるということらしい。

「今回は特別に、メンダコとダイオウイカの標本を用意したわよー」

 メンダコとダイオウイカ、大きさが対象的な標本を見た観客やパネラーはその深海生物の神秘に嘆息する。一方ルイスは、番組セット自体が深海と同様の環境になることを懸念していたが、結果的に杞憂であったため胸を撫で下ろした。

 品評の結果、このトリビアは総得点として89点を稼ぎ出す。暫定トップには迫ったものの、惜しくもトップ奪取は成らなかった。80点以上を獲得した記念の粗品については、軟体生物の吸盤にちなんで洗濯物をかける時等に使用できる吸盤式フックのセットが贈られた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
ふん、下らぬ番組だ。だがあんな内容で何クールも続いたというから驚きだ。
まあいい、とっておきのやつを披露するか(【世界知識】から引っ張り出し)。

「強大な魔神として知られるバエルは――実は神の一柱だった」

――実際古代の中東地域で広く信仰されてきたのだが、当時台頭してきたユダヤ民族に占領されたのを切欠に悪魔へと貶められたのだ。
ちなみに――(ここでUCを使い変身)この姿も当時の伝承や後世の魔導書の記述に基づき創作された代物だ。実際のところは我々にもわからん。

――しかしこんなのでフォーミュラ復活とかやられたらたまったものではないな…まぁ無理かもしれんが(ボソ)。

※アドリブ・連携歓迎



●シャムロック・ダンタリオンさん(図書館の悪魔・f28206)からのトリビア
 あらゆる知識を司るシャムロックにとっては、この手の雑学系の番組は下らないものという認識だった。しかし、その内容で何クールも続いたという点については驚くべきことだ、とも考えていた。

 そんなシャムロックはひとつ、世界知識から引っ張り出してきたネタを披露しようと考えて番組に臨む。

「シャムロックさんが用意したのはどんなトリビアかしらねー? 図書館の悪魔の実力や如何に」
「ふっ、とっておきを一つ披露してやろう」

 シャムロックが促すと、ナレーションが流れる。

『強大な魔神として知られるバエルは――実は神の一柱だった』

 自身が悪魔であることにちなんだトリビアに、なるほど、とパネラー達がうなりながらボタンを連打する。

 バエルとは、悪魔や精霊などの性質や、それらを使役する方法を記した魔術書として名高い「レメゲトン」の第一書、「ゴエティア」に掲載された72の悪魔の筆頭として有名である。

 これについては悪魔であるシャムロック本人が解説を買って出た。

「元々は古代の中東地域で広く信仰されてきたセム族の神であったのだが、紀元前5世紀ごろに台頭してきたユダヤ民族に占領されたのを切欠に悪魔へと貶められたのだ」

 当時はバアルという神だったが、ユダヤ教では偶像崇拝を禁じており、偶像崇拝を行わせる異教の神として槍玉に上がったのがバアルということだったようだ。「列王記」では、ユダヤの預言者とバアルを信仰する預言者が雨乞いの儀式をもって争い、ユダヤ側が勝利したことが描かれていることからも、バアルは貶められるポジションとして位置づけられていたようだ。

 ちなみに、と前置きしてシャムロックはユーベルコードによりバエルの姿に変ずる。ネコ、王冠を被った人間、ヒキガエルの頭をもった蜘蛛の姿だ。

「この姿も当時の伝承や後世の魔導書の記述に基づき創作された代物だ。他にもバエルの姿とされるものは様々な説が存在するが……実際のところは我々にもわからん」

 シャムロックの実演を交えた解説に、さらにパネラーはボタンを押していく。

 このトリビアが最終的に獲得した得点は92点。暫定トップの奪取に成功する。80点を超えたことで粗品の贈呈が行われた。

「グリモワールということで、甘栗もあーるよ……はい、甘栗です」

 パネラー代表の天狗から甘栗を受け取ったシャムロックは複雑な表情だ。とは言え、確かな手応えにどこか満足気でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
さぁ!戦争の時間だぜッ!

え?無駄知識のテレビ番組。あ、はい。失礼しました。
気を取り直して…

あ、生なんですか?これ?ええ…。気を取り直して。

さぁ!ムダ知識の時間だァッ!
俺のムダ知識は…これだァッ!

はいどん!

っ『アメリカの首都は「ワシントンDC」…DCの意味は「District of Columbia」、和訳するとコロンビア特別地区である。』

アメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスと、合衆国の初代大統領のジョージ・ワシントンを称えてつけられた名称だぜ

合衆国のほかの都市とは別、首都としてどの州にも所属してない

ちなみに当時はDCが名前でした「ワシントン市」としての法人格がもらえたから合わせた



●雪・兼光さん(ブラスターガンナー・f14765)からのトリビア
「さぁ! 戦争の時間だぜッ!」

 威勢よく宣言する兼光だが、他の出演者は全員頭に「?」マークを浮かべている。その空気に思わずあれっ、と首をかしげるが、直後自分が置かれた状況を理解した。

「え? 無駄知識のテレビ番組。あ、はい。失礼しました。……あ、生なんですか? これ? ええ…。気を取り直して」

 ADからのカンペが飛んで軌道修正。そんなわけでTake2である。生放送だが。

「さぁ! ムダ知識の時間だァッ! 俺のムダ知識は……これだァッ!」

 宣言とともに腕を広げれば、ナレーションが響く。

『アメリカの首都「ワシントンDC」のDCの意味は「District of Columbia」、和訳するとコロンビア特別地区である』

 早速ボタンの連打が飛ぶ。

「あー、ワシントンDCのDCってそういう意味だったのか」
「意外と意識しないよな」

 パネラーの河童とグレムリンがしきりに感心する中、兼光は早速補足説明に入る。

「アメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスと、合衆国の初代大統領のジョージ・ワシントンを称えてつけられた名称だぜ。日本じゃ単に『ワシントン』って呼ぶことが多いから、あんまり意識されないんだよな」

 ちなみにコロンブス由来の地名はもう一つあり、それが南アメリカのコロンビア共和国である。もっとも、両者の関連性は名前以外には無い。

 さらに、アンネローズからは補足として、首都ができた当初はDC、すなわち「コロンビア特別区」が名前であること、首都としてどの州にも所属してない特殊な位置づけであることなどが説明された。

 兼光のトリビアは88点、粗品ラインの80点こそ超えたが惜しくもトップの座を塗り替えるのは至らなかった。しかし、それでもかなりの人が感心できただろう。

 粗品として、天狗からは「アメ」リカということでスナック飴菓子詰め合わせセットが贈られるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
心情)メロンパン入れって発想の時点でアレだが、そのカタチを脳みそにするって発想がもう常人のソレじゃなかったよなァ。
行動)深海にいる、コウモリダコってタコは、学名上ではイカなンだと。吸血イカって意味らしいが、吸血するってェ証拠はないらしい。もっというと、実際にゃイカでもタコでもないとか。なァんもわからんねェ。実際に深海行きンなっても、俺ァ人外。死にゃアせんでな。
(リプレイに合わせ文章アレンジOK)



●朱酉・逢真さん(朱ノ鳥・f16930)からのトリビア
「メロンパン入れって発想の時点でアレだが、そのカタチを脳みそにするって発想がもう常人のソレじゃなかったよなァ」

 逢真はかつてその番組を見た時を述懐していた。加えて粗品が贈呈されたり、何故かチョコレート菓子の景品交換システムが採用されていたり、検証や再現に本気を出したりといった「凝り」具合が凄かったな、と懐かしい気持ちに浸る。

「……っと、ノスタルジーに浸ってる場合じゃなかったなァ、本番か」

 呼び込みに応えて逢真が現れる。

「さぁ、逢真さんはどんなトリビアを披露してくださるのかしら?」
「ンじゃご紹介しようかねェ。さっきのデッドマンの彼と同様に海産物ネタさ」

 アンネローズの振りに言葉を返しながら、逢真はキューを出す。するとナレーションが流れた。

『コウモリダコは、学名上ではイカである上、実はタコでもイカでもない』

「えええーっ!?」

 パネラーから驚きの声が上がる。

「いやいや待ってくれ……流石に頭足類には入るだろう?」
「まァ、頭足類なのは確かだねェ」

 混乱する様子の河童に、逢真は苦笑して答えた。

 コウモリダコの学名はVampyroteuthis。「吸血鬼のイカ」を意味する。しかし、コウモリダコの主食はなんとプランクトンの死骸であるマリンスノーなのだ。

「コウモリだの吸血イカだの言われちゃアいるが、吸血するってェ証拠はないらしい。生きた獲物を積極的に追うことがそもそも無いらしいンだと」

 そもそも、と逢真は続ける。

「学者の先生方の間でも分類どうするか揉めてるみたいでねェ。果ては『コウモリイカ目コウモリイカ科』なんてェ独自の分類だなんて説まで飛び出す始末さァ」

 アンネローズもうなずき、手元の資料に目を落とす。

「なんか一説によればイカとタコが生物として別個に進化する前の状態をそのまま継承した原生種、らしいわね。言うなれば生きた化石ってポジションかしら」
「さっきのメンダコといい、深海生物は神秘の宝庫だな……」

 逢真の解説とアンネローズの補足説明を聞いた河童はただただため息をつくばかりであった。

 スタジオにはコウモリイカの標本が持ち込まれ、簡単な解説が行われる。コウモリイカは熱帯・温帯地域の深海に生息する体長およそ30cmの頭足類で、ヒレには青白く発光する発光器官が存在する。毛が並んだ2本の長い触糸を持ち、これを使ってマリンスノーを集めて食べるようだ。胃袋から魚の鱗やイカの身体の一部が見つかったこともあるが、生きた獲物を捕食するという明確な証拠は未だに見つかっていない。

 逢真が披露したムダ知識は97点を獲得。文句なしの最高得点であり、金色のメロンパン入れは逢真に贈呈された。また、粗品としてはイカにちなんでレトルトのイカスミソース1週間分が贈呈された。

 こうして、明日使えるムダ知識の品評会は幕を閉じた。猟兵達が披露したムダ知識の数々はカクリヨファンタズムの妖怪たちの間で広く語り継がれることだろう。猟兵たちもまた、話の種になる雑学知識をいくつか手に入れ、酒の肴や日々の会話のちょっとしたスパイスに活かされていくことになるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月17日


挿絵イラスト