●朱殷
少女は地獄の底にいた。
射干玉色の髪をなびかせ、血染めの桜と共に歩を進めていく。
手にした大太刀の切っ先からぽたりぽたりと赤い滴がしたたり落ち、薄紅の花びらが敷き詰められた地面に足跡のように散っていた。
「ああ、待ち遠しい」
次はどんな人が来るのかしら、と。まるで恋い焦がれるように歌いながら、桜色の瞳に陶酔の色を浮かべ朱唇を綻ばせる。
足下に転がる物言わぬ屍の元へとたどり着くと、血だまりに沈んだ最期の表情――絶望と苦悶の入り交じったそれをみて満足げにため息を吐いた。
「あなたの痛みが、鮮やかで、世界を焦がすほどに――壊すほどのものでありますように」
そうして少女は、凄惨な祈りを捧げた。
みんなみんな、思い知ればいい。
●羅刹女
サムライエンパイアの山村で、立て続けに人が失踪する事件が起きているという。
ある日突然『桜が咲いている』と季節外れの幻でも見ているのかと思いきや、次の日には忽然と姿を消しているのだ。
「何かに『呼ばれた』人は皆、誰かに対して大きな悔恨を持つ人だと言われています」
白いダリアの花を掌にのせ、アシニクス・レーヴァ(剪定者・f21769)はそっと口を開いた。
「近隣の村々から少し離れた山間に、古い屋敷があるそうです。昔は桜がたいそう美しく咲き、花見をする人で賑わったそうですが……。今は面影もありませんね」
床は朽ち、庭は荒れ放題。桜の木も全て枯れ果て花を咲かすことは無い。かつてを知る人々は揃って「夜が霞むほどの花」を惜しむ程だった。
その屋敷に『桜が咲いている』といった時には、誰もが信じなかった。実際、屋敷の桜は『枯れたまま』だったのだ。
しかしその若者は失踪し、数日の後に屋敷前で事切れているところが発見された。
その身に桜の花びらを何枚も身に纏って。
「その後数人が同じように死に、今では『羅刹女が現れた』『桜鬼の仕業だ』と騒ぎになっています」
くるり、とダリアの花が回る。景色が変わり、朽ち果てた屋敷が映し出された。
「これが件の屋敷になります。私が『見た』ところ門に結界が張られ、中はかつての美しい、花盛りの屋敷の光景が広がっている様子。
そして奥には首魁である羅刹女が手ぐすね引いて獲物を待っているようです」
羅刹女は残忍で、遺体を検分すれば刃物で何度もいたぶった形跡があるという。
「羅刹女は慎重なようで、屋敷の結界を潜ったとしても姿を現しません。
そこで、皆様には彼女をおびき出すために、ひととき傷を開いてもらいたいのです」
悔恨、怒り、あるいは体に刻まれた傷を負った時の記憶など。痛みにまつわる記憶を呼び起こし、語って欲しいのだとアシニクスは言う。
「それが彼女が求めるものなのです」
――痛みとは忘却を妨げるもの。
「目を背けたくなるような事もあるでしょう。ですが、それを今一度、皆様の手で開いて欲しい」
辛い事をさせてしまうけど、と僅かに躊躇うもこれ以上犠牲者が増えるのを黙って見過ごすわけにも行かない。
「相手は手強い、だから気をつけて。その心が痛みで壊れないように」
そっと祈りを捧げ、アシニクスは門を開く。
祈りに背中を押され、猟兵達は門を潜っていった。
水平彼方
水平彼方と申します。今回はサムライエンパイアへと皆様をご案内致します。
痛みとはなんでしょう。体に刻まれた傷でしょうか、心に負ったトラウマでしょうか。
血腥い、負傷描写などがございますので、苦手な方はご注意ください。
●第1章
『しのぶれど、』
屋敷に近くに転移した皆様は、門を潜り結界の中に入り記憶を思い出して頂きます。
それは過去、あなたが感じた悔恨、怒り、「ああすればよかった」などといった「痛みを伴う記憶」です。
その記憶を自ら語ってください。
彼女はその記憶に魅せられて、皆様の前に姿を現すことでしょう。
屋敷は平作りで、美しい桜の咲く庭があります。武家屋敷のような造りになっています。
●2章以降について
章が進むごとに、随時ご案内いたします。
●プレイング受付について
第1章はOP公開後から受付ます。
今回はゆっくりペースでお届けします。再送などの予定についてはマスターページやタグをご確認下さい。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『しのぶれど、』
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POW : あえて隠さず「想い」を口にする
SPD : 誰にも見られぬように工夫して折り畳む
WIZ : 魔力を籠めて祈りの力を高める
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
門の外から見た屋敷は、床は抜け天井は落ち、風雨にさらされ見るも無惨な有様だった。
庭の木も枯れ、折れた枝が地面に落ち苔むしている。
人が去って長い時間が流れたのだと、それを見れば知ることが出来るだろう。
意を決して門を潜ると、視界を埋め尽くしたのは光り輝く薄紅のいろ。
季節外れの桜が咲いている。狂い咲いたのか、春を忘れたのか。
否。今咲くべきだと言わんばかりの満開であなたを出迎える。
月が霞むほどの景色に目を奪われていると、少女の声音で誰かが囁いた。
――あなたの痛みはなあに。
フランチェスカ・グレンディル
<POW>
ここが屋敷ですね。
(胸に手をあて、目を閉じて)
長い年月、信じていた大事な友人
…それらの時間が嘘で塗り固められたものだったら?
真実を知った時に行き場のない怒りが溢れました
全て、すべてを否定したかった!
こんな思いをするくらいなら出会った事を無かった事にしたい
正直に言えば、こうやって言葉にしてるとその怒りに身を焼かれそうな思いです
信じていたのに、どうしてうそを言ったのかという怒りと
言葉を、想いを…そのまま真に受けていた自分自身への怒りと
過ぎてしまった時間はもう取り戻せない…有限を無駄にしてしまった怒りが
…こんな感じで、どうでしょうか?
●
「ここが屋敷ですね」
静かに、しかし確りとした足取りで庭を歩くフランチェスカ・グレンディル(断罪の黒刃・f06390)。心を落ち着かせるように胸に手を当て、大きく息を吸い目を閉じる。
記憶の中に落ちて行くように、意識を深く潜り込み時を遡る。
長い年月、信じていた大事な友人がいた。
隣にいることが当たり前で、これからもずっとそうしているのだと思っていた。
しかしそう考えていたのはフランチェスカの方だけだった。輝かしい絆を互いに結んだ関係だと信じていた。
一転し、二人の関係が嘘で塗り固められたものだったと告げられた時、フランチェスカの心を激しい怒りの炎が焼いた。
心だけでなく、全身の血が沸騰した方に体が熱い。なぜ気づかなかったのかと愚かな自分を責め立てもした。
行き場のない怒りを何かに叩き付けて、全てを否定してしまったらどれほど清々しただろう。
こんな思いをするくらいなら出会ったことを無かった事にしたい。
正直に言えば、こうやって言葉似ているとあの時の怒りを思い出して身を焼かれそうな思いでいっぱいだ。
信じていたのに、どうしてうそを言ったのかという友人だった人への怒り。
言葉を、思いを……そのまま真に受けていた自分自身への怒り。
虚実に満ちた関係を喜んでいたのはフランチェスカ一人だけ。過ぎてしまった時間はもう取り戻せない。有限を無駄にしてしまった怒りがフランチェスカを苛む。
「……こんな感じで、どうでしょうか?」
あなたの審美眼に叶ったの、と問いかけるフランチェスカの問いに返答はない。
梢が風にざわめく音に混じって、楽しげに嗤う少女の声が聞こえた気がした。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
美しい桜…あの人が生きていれば、そんな景色を共に見る機会もあっただろうか
思い起こし語ってみせるのは、大切な人を失った過去の記憶
子供の俺を拾って、生きていく為に必要な知識や戦い方を教えてくれた男が居た
尊敬する師であり恩人でもあるその人は、魔獣に襲われた俺を庇ってあっけなく死んでしまった
俺を庇ったりしなければ、庇う必要が無いくらい俺が強ければあの人は死ななかったと当時は…いや、今でも悔いている
受け入れて、気持ちの整理はつけたつもりだった
だが改めて思い返せば浮かんでくるのは相変わらずの後悔と痛みなのだから、我ながらどうしようもないと呆れてしまう
…この後悔と痛みは、死ぬまで消えずに残るのかもしれないな
●
月すら霞む桜を見上げて、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は青ざめた夜色の瞳を静かに眇めた。
「美しい桜……あの人が生きていれば、そんな景色を共に見る機会もあっただろうか」
肩を並べて、同じ景色を見上げる。ささやかな幸福を共有する喜びを感じられただろう。 それが叶わないのは、彼の人が既に亡き人だから。
浮かんできた記憶に身を任せるように沈んでいく。花が霞み消えると、眼裏に見えるのは生に食らいついていた幼少の頃の記憶だ。
妹を失い仲間に裏切られたシキを拾い、生きていく為に必要な知識や戦い方を教えてくれた男がいた。
今のシキがあるのは、師が導き礎を築いたからだ。ふとした瞬間、何気ない動作の一つに、彼の人の姿が重なって見える。
それもそのはず。銃の構え方も、思考の癖もあの人を模倣して体に叩き込んだ。
何でも出来そうなくらい強い師を、羨望の生差しで見上げたものだ。
しかし尊敬する師であり恩人でもあるその人は、魔獣に襲われたシキを庇ってあっけなく死んでしまった。
シキを庇ったりしなければ、庇う必要が無いくらいシキが強ければあの人は死ななかった。幼いシキは……いや今でも悔いている。
死者に懺悔は届かず、ただ心を抉るのみ。
力を求め、時が流れるにつれ受け入れて、気持ちの整理はつけたつもりだった。
唇を開き、声にならない声で名前を呼ぶ。彼と歩んだ日々を改めて思い返せば、浮かんでくるのは相変わらずの後悔と痛みだった。
「どうしようもないな」
呆れ混じりの苦笑を漏らし、視線を掌に落とす。
「……この後悔と痛みは、死ぬまで消えずに残るのかもしれないな」
じくじくと痛み続ける傷は、気づかない振りをしていただけでシキの心の柔らかいところにずっと存在し続けていた。
ひらり、と落ちてきた花びらを痛みを味わえるように握りつぶした。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
苦痛の記憶、かぁ
(見事な桜のお屋敷を見ながら。主人の気持ちに敏感な相棒の鸚鵡は黙って肩に止まり独白を聞いてる様子)
大事な幼友達の、ミサキを殺めた事だろーか…
…?
あれ、思ったより…
そっか
あの時はもう仕事での殺害、てのに慣れさせられてたか?
確かに初めて殺したのがミサキじゃなかった
修業や訓練で耳や背を切られるのも痛かったが
それより見ず知らずの生きた人を初めて殺すのはやっぱ苦痛だった
鳥や動物は喰う為に捌くけど
人は食糧じゃねーもん
命乞いもするし痛いって泣いて
頭領に死なせてやるのが慈悲、なんて言われても
恨みも何も無い相手を子供の躊躇いがちな刃じゃ逆に…
でも上に歯向かえず
オレは殺しに慣れて
…そして
アドリブ可
●
軋む床板を音を立てないようにそうっと踏みながら、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は廊下を進む。
目についた部屋に上がり込んで腰を下ろし、廊下を挟んだ向こう側――庭の桜を見ながら記憶を探る。
「苦痛の記憶、かぁ」
主人の機微に敏感な白鸚鵡のユキエは黙りこくったまま、静かに耳を傾けているようだ。
相棒の行動に心が不思議と落ち着く。
「大事な幼友達の、ミサキを殺めた事だろーか……」
真っ先に思い浮かんだのは幼友達だった少女の事だった。まだ恋心に気づかなかった頃、トーゴは命じられるがままに少女の命を奪ったのだ。
二人に非はなく咎められる事も無かったが、ミサキの墓の前にした時に知れず淡く色づいていた想いに気づいてしまった。
「……? あれ、思ったより……」
痛みはある。だが、淡く鈍い感覚に眉をしかめた。
「そっか。あの時はもう仕事での殺害、てのに慣れさせられてたか?」
確かに初めて殺したのがミサキではなかった。
殺しの修業や訓練で耳や背を切られるのも痛かったが、トーゴにとってはそれよりも見ず知らずの生きた人を初めて殺した時に感じた苦痛の方が大きかった。
腹を満たすために喰う。その為に鳥を絞め動物の肉を捌きもした。
だが人は食料ではない。
命乞いもするし痛いと無き叫ぶ。同じように感情を有する存在なのだ。
頭領に「死なせてやるのが慈悲」と言われても、恨みも何も無い相手を子どもの躊躇いがちな刃では逆に苦しめるだけだった。
しかし幼いトーゴは上に刃向かえるはずもない。
そうして殺していく内にだんだん慣れて、そして……感情が死んだまま、ミサキを殺したのだった。
彼女は、動物と同じように殺したのだろうか。
人として、殺してやれなかったのだろうか。
身を守る為に心を押し殺したはずが、大切な幼友達の死に痛む心を持てないまま刃を振った。
「そっか……」
呟いた言葉に鸚鵡は応えない。
思い出した傷跡がじくりと痛んだ気がした。
大成功
🔵🔵🔵
夜鳥・藍
幻の桜を咲かせるために人を呼び赤に染めてるのかしら?
生まれてこの方大事にされて大怪我もせず生きてきたし、猟兵になってからも大怪我をしたことないのよね。……身体にはね。
心にはある。人間である両親とは違う種族、おそらく影朧の転生。
転生が一般的に知られてるとはいえ、それでもそれなりの旧家に数えられる実家にそんな子が生まれたら?
表向きは毒もない笑顔なのにその裏は。人の姿をした黒くて醜い塊。
だからヒトが私は嫌い。そんな人達なんて守れるはずないじゃない。
そうね。そうよね。
痛みを伴えば忘れにくい。だからきっと私の心の奥底に、私が知らない火傷のような痛みがあるんだわ。
その痛みの上に私の痛みが積みあがってる。
●
枯れ木の枝に花が咲く。灰を撒けば花が咲いたお伽噺のようだった。
サクラミラージュで生まれ育った夜鳥・藍(kyanos・f32891)にとって幻朧桜が身近な存在だったからか、季節外れだと言われる桜を見ても違和感は少ない。
「幻の桜を咲かせるために人を呼び寄せ赤に染めているのかしら?」
冴え冴えとした藍晶石に薄紅を写し、見上げれば満開の花がある。
幻朧桜と影朧、そして転生。魂の巡る世界サクラミラージュ。
藍はそんな世界に生まれ、それなりの旧家の子として誕生した。
両親は藍に愛情を注ぎ大切に育ててきた。そのお陰か大怪我もせずに生きてきたし、猟兵になってからもない――身体には。
人間の良心から生まれたクリスタリアンの子ども。それも旧家の筋となれば醜聞好きな人々の格好の餌食となった。
おそらく影朧の転生だろう。しかし転生が一般的に知られているとは言え、人はありもしないことを想像し面白おかしく吹聴する。
表向きは毒もない笑顔をして、その裏では異物を嘲笑い、笑いの種にして暇を慰める。人の形をした黒くて醜い塊――それが藍の知るヒトの本性だ。
だから藍はヒトが嫌い。そんな人達なんて守れるはずない。
彼らの悪意に炙られ続けた傷跡は、ケロイドのように醜く残り痛みが燻り続けている。
「そうね。そうよね」
ふと霧が晴れるように痛みにもつれた思考がクリアになる。
傷跡を直視して、痛みの形を認識した藍はその正体を捉えた。
「痛みを伴えば忘れにくい。だからきっと私の心の奥底に、私が知らない火傷のような痛みがあるんだわ。
その痛みの上に私の痛みが積みあがってる」
家族が注いだ愛も、他人からの誹謗中傷に晒された恐怖も。等しく痛みになってさながら埋み火のように、藍の心にずっと存在していた。
積み上げた痛みの塔はどこまで高くなるのだろう。
いつか崩れて、藍を押しつぶしてしまうのか。
そうなる前に、また逃げ出してしまうのか。
記憶の底から響く嗤い声を振り払うように、黒い三鈷剣が雷鳴のように乱舞する。
鋭い風切り音が耳元で鳴る。あの日浴びせられた声は、余韻だけ残して消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
清川・シャル
私のルーツは羅刹の父様と吸血鬼の母様です。それはもう仲睦まじい様子だったそうです。
金髪に赤目の吸血鬼が里で認められたのは、母様のお人柄でしょう。母様だったからこそ。
産まれた私は羅刹らしからぬ金髪に碧眼。遺伝子的に仕方なかったとはいえ異端といえば異端です。
里で疎まれもしたが、2人が私を守って亡くなったのは、私がまだ赤子だったから、守られた。私がもっと力を持っていれば。私が大きかったら。成長していたら父母は死なないで済んだでしょう。
2人の事は覚えていないけれど、鏡の中には確かに2人の面影らしきものが見えて。
私が力を持っていればといつも思いながら戦うのです。
2人を殺したあいつを私は生涯許さない。
●
風が吹く度にざわざわと枝が騒がしい。
不意に目の前に降りてきた薄紅色の花びらが地面に落ちるのを見送りながら、羅刹の少女が屋敷の中を歩く。
清川・シャル(夢探し鬼・f01440)のルーツは二人の鬼だ。
羅刹の父と、吸血鬼の母。異なる種族ながら惹かれあい恋に落ちた二人は、それはもう仲睦まじい夫婦だったという。
羅刹の里にあって金髪に赤目の吸血鬼は酷く浮いていた。しかし異端者で有りながら里で認められていたのは、偏に母の人柄故だ。
母だったからこそ例外的に認められた。
そんな夫婦の間に生まれたシャルは、両親の色を一つずつ受け継いでいた。
母親からは淡い白金色を。父親からは碧眼を。
遺伝子的に仕方が無かったとはいえ、シャルの容姿は異端だった。
里では疎まれもしたが、両親はシャルのことを大切にしてくれていたのだと思う。
根拠もなく確かな証拠はないが、二人がシャルを守って亡くなったのは、娘がまだ赤子だったから。親に守られるしかない、脆弱な存在だったから守られた。
「私がもっと力を持っていれば。私が大きかったら。私が今のように成長していたら、父母は死なないで済んだでしょう」
物心つくどころかシャルが産まれてすぐ亡くなった両親のことは覚えていない。人伝に聞いた話だけが、シャルのもつ父母の記憶だ。
通りかかった部屋に鏡台が置かれていて、何気なくのぞき込む。風で乱れた前髪をつまんで整えていると、鏡の中に写るシャルの他に確かに二人の面影らしきものが見えた。
思い出はない。だからこそ、たらればあのときのシャルに力があれば、親子三人で今も仲睦まじく暮らせていたのかも知れない。
私が力を持っていればといつも思いながら戦うのだ。
悔やんでも悔やみきれない。その先に見えるのは、父母を殺した宿敵の姿。
二人を殺したあいつを私は生涯許さない。
この身焼いた痛みの名は『憤怒』。
静かに怒りを漲らせるシャルの碧眼が、暗闇の中で爛々と輝いた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『蒐集者の手毬』
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POW : あなたと共に在るために
【自身がよく知る死者】の霊を召喚する。これは【生前掛けてくれた優しい言葉】や【死後自分に言うであろう厳しい言葉】で攻撃する能力を持つ。
SPD : 理想郷にはまだ遠い
【自身と同じ能力を持つ手毬】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ : いつか来る未来のために
小さな【手毬】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【全ての望みを再現した理想郷】で、いつでも外に出られる。
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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薄紅に色づく庭の中で、ぽおんと一つ手まりが跳ねた。
それを突く手は無いというのに、ひとりでに、楽しげにぽおんと跳ねる。
風が吹き梢がざわめく。
桜の花びらが舞い、渦を巻いたかと思うと徐々に人の形を取り始めた。
――ああ、その姿にあなたは見覚えがあるだろう。
現れたのはあなたが吐露した痛みを与えた、あるいはその感情の矛先を向ける人。
憤怒、哀惜、憎悪、嫉妬……。
改めて向き合うあなたに、この状況を楽しむような声が聞こえる。
「さあ、語り晒した傷口を開いて見せて。あなたの痛みをここで再生しましょう」
その痛みはあなただけのもの。
痛みから目を背け逃げ込んだ理想郷を自らの手で壊すか。
痛みを踏みつけて、血を流しながら前に進むか。
苦痛をもたらす脚本に、その全てに拍手喝采をと羅刹女は謳う。
「綺麗事なんて結構よ。建前を捨てて、痛みに噎ぶあなたを知りたいの。見せてくれると嬉しいわ」
手鞠が跳ねる。
そして、現れた「その人」があなたをはっきりと視た。
夜鳥・藍
もう今更の事なの。
私はもう諦めてる。だって私が生まれる前から人の醜さを知ってるから。他人が傷ついても何を言っても、人は自分だけがかわいいのよ。人には平気で手をあげるのに、自分があげられたら声高に叫ぶ。醜い。嫌い。ううん、もうどうでもいい。
痛みはあるけどそれだけ。大丈夫、私は人のなりそこない。人からの害意なんてなんともない。
鳴神を投擲しUC竜王を召喚。雷の音で言葉ごと人影をかき消して。
そもそも死者の知り合いなんていないから意味があるかわからないけど。……でも身近な死者というと、生まれ変わる前の自分ぐらいしか条件合いそうな人はいないわね。
でもその人はもう今は私なのだからやっぱりいないわ。
●
蔑み、嘲笑う表情と声が一斉に藍の方を向いた。
『見ました? あの娘の髪と目の色。髪なんてまるで老人のよう』
『いくら美しくても、あの色では……ねえ?』
声を潜めながらもはっきりと言葉が聞き取れるくらいの声量で、口元を隠しながら藍のことを視線だけで追い続ける。
一挙手一投足を観察され、何かあればすぐさま揚げ足を取る。
(もう今更の事なの)
諦めて、諦め続けて。頑なに心を閉ざす。何故なら、藍が産まれる前から人の見にくさを知っているから。
(他人が傷ついて何を言っても、人は自分だけがかわいいのよ)
人には平気で手をあげるのに、自分があげられたら声高に叫ぶ。
醜い。嫌い。ううん、もうどうでもいい。
彼らと私はちがう生き物だから、痛みはあるけれどそれだけ。大丈夫、私は人のなりそこない。人からの害意なんてなんともない。
繰り返し自らに言い聞かせ、石のように心を堅くする。
自分をなりそこないと蔑みながら、他人を獣と見下ろした。
藍の世界に人はいない。この世界は理性を無くし本能をさらけ出す、獣の檻の中なのだ。
ひとでなしと、ろくでなし。藍の世界に存在する、二つの存在は互いに潰し合いながら存在する。
けたたましい、煩わしい。何も感じたくないけれど、小鳥の囀りしては姦しい。
「竜王」
鳴神を空へと放ち、天に渦巻く竜王を喚ぶ。
「雷の音で言葉ごと人影をかき消して」
返事を待つ事なく、竜王は周囲に雷を落とし人影を光で焼き払う。
藍に死者になった知人はまだいない。思いつくとすれば、藍の前世とも呼べる影朧だろうか。
でもその人はもう『夜鳥・藍』となっている。
「さようなら」
こんなことも言いたくない誰とも知らない人。興味すら湧かない、ただすれ違っただけの誰か。
願わくばもう二度と、私の前に現れないで。
藍の願いに応えるように、人影は雷に撃たれ花びらとなって霧散した。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
勝手に跳ねる鞠…人の影…
あ、マズイな
十になる前のオレは
大人を中々殺せなかった
人の良さそうなおっさんの
事切れた姿は酷過ぎて思い出さねー様にしてた、のに
「…ひ(思わず出た悲鳴を腕を噛んで止め右手は無意識にクナイを構える
血が出過ぎて変な色になった肌
逃げないよう頭領に切断された片足
体中の無数の斬り傷はオレの所為
首を半分以上抉った傷もオレの所為
『何の恨みがあって
『子供でも羅刹ならもっと早く楽に出来たろう
ホント悪りィ…今度は
一撃で屠る
冷や汗と喉の渇きと憔悴を瞬きして押し殺し
UCの威力をクナイに乗せ【追跡/暗殺】
『手慣れたか業の深い人殺しの童め…
恨み言はもっともだよな
今は敵が消滅するまで無言で攻撃
アドリブ可
●
ぽおんと独りでに手鞠が跳ねる。
桜の花びらが集まって、人を形作り、そしてひとつ手鞠を突いた。
(あ、マズイな)
年を重ねたごつごつとした男の手。日に焼けた皮膚は硬く筋張って、働き盛りだということが分かる。
その手をトーゴは知っている。その手の持ち主を見上げた事があった。
十になる前のトーゴは大人を中々殺せなかった。
見上げれば人の良さそうな、柔和な顔立ちをした「おじさん」と呼べるくらいの年齢をした男性。
一度完全に人の姿を取ったかと思うと、桜吹雪に遮られて見えなくなる。嵐が去った後に見えたのは――。
「……ひっ」
傷口から大量に出血し赤黒く変色した肌。
這いずるように動いていた足は、簡単に逃げられないように棟梁の手によって片足が切断されていた。
それだけでは男はすぐに死ねなかった。
薄れゆく意識の中、トーゴは彼の体を傷つけ続けた。その先に死しか待っていなくとも、彼を殺すために。
体中に刻んだ無数の斬り傷はオレの所為。
首を半分以上抉った傷もオレの所為。
ごろりと捻れた首をこちらに向け、血走った眼球がトーゴを哀れむような目で見た。
「何の恨みがあってこんなことをするんだ」
ごめん。
「子供でも羅刹ならもっと早く楽に出来たろう」
責め立てる口の端から血の泡がこぼれて地面にしたたり落ちた。
「ホント悪ィ……」
今度は上手くやる、一撃でおっさんの命を――一撃で屠る。
冷や汗が顎の先からしたたり落ちる。体中が汗でぬめって気持ち悪い。
喉は渇ききって声も満足に出せやしない。
憔悴を瞬きで視界を一瞬遮ることで押し殺し、手にしたクナイに意識と力を収束させる。 視ずの鳥其の嘴は此の指す先に。
突き出したクナイの切っ先は男の首を刎ねた。
「手慣れたか、業の深い人殺しの童め……」
トーゴを呪い殺すような視線が突き刺さる。
「恨み言はもっともだよな」
上手く殺せなかった。いや、死にたくなかったはずなのに、練習台として無残に殺される未練、そして憎悪。
トーゴは男が消滅するまで、クナイを振り続けた。
「今度はちゃんと、苦しまないように殺せたかな」
応えはない。ただ、肉を断った感触だけが、いつまでも手に残り続けていた。
大成功
🔵🔵🔵
フランチェスカ・グレンディル
(WIZ)
ふと後ろに気配を感じれば、その姿がありました
懐かしい姿、それを目にすると自然に私は笑顔になっていたようです
嘘だったことはあったのかもしれない、
だけど真実だって混ざっていたはず
だから疑うより、信じることが大事で
「真実だったなら」という世界には心惹かれるものがありません
必ずまた出会う、どこかの世界の澄み渡る空の下で
その時は本人に直接色々いうんだって決めて旅をしていますから
理想郷の世界で、昔を懐かしみ、思い出すように過ごしながらも
改めて決意を胸に抱いてと元の世界へ戻ります
思うように苦悩する姿を見せられなくて申し訳ないですね
●
桜の花びらが舞い落ちる中、フランチェスカは背後に人の気配を感じて振り返った。
見えたのは懐かしい姿があった。朗らかな笑顔を向けるその人を目にすると、自然とフランチェスカは笑顔になっていた。
彼の人はフランチェスカに嘘を吐いていた。
ならば今このときフランチェスカに向ける笑顔も、嘘なのかも知れない。
だが不思議とフランチェスカは穏やかな心地で彼と対峙していた。
嘘だったことはあったのかも知れない、だけど真実だって混ざっていたはず。
この笑顔や言葉が嘘だったとしても、どこかで心から笑顔でいたことがあったはずなのだ。
全てが嘘だと告げられて、身を焼くような激しい怒りを向けていたというのに。
感情を吐き出してしまえば、なぜか心がすっと軽くなるのを感じていた。
「あなたが百の嘘を吐くのなら、私は一つの真実を求めましょう」
疑うよりも信じることが大事だと気づいてしまえば、『真実だったなら』というもしもの世界には心惹かれるものがなかった。
「私はあなたを信じます」
どこかの世界の澄み渡る空の下で、二人は必ずまた出会うだろう。
その時は本人に直接色々言うんだって決めて旅をしているのだから。
身を焼く激情の熱に絆されて、見失っていた心の形を取り戻したフランチェスカは、清々しい表情で彼の人を見た。
理想郷の世界で、昔を懐かしみ、思い出すように過ごしながらも。改めて手にした決意を胸に抱いて、幻惑を打ち払う。
「思うように苦悩する姿を見せられなくて申し訳ないですね」
ざあっ、と一陣の風が吹けば、人影は解けて元の花びらへと帰っていく。
頭上の枝がこすれ合う音に混じって、ため息が一つ。
「つまらないわね。でも、その胸に刺さった棘が疼くのを楽しみにしているわ」
その声と共に、幻想はたちまちかき消えた。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
◆POW
目の前にあの人が居る
戦いとは無縁のような柔らかい微笑を浮かべる、今の俺より少し年上の優男
警戒を続けたまま「ユリウス」とあの人の名前を呼ぶ
『大丈夫だ、シキ』『もう君は一人じゃない』『俺は君の味方だ』
記憶の中の彼と全く同じ言葉
懐かしさと、それを上回る強烈な罪悪感が蘇る
膨らむ罪悪感から彼の言葉を拒絶する
やめろと、意図せず怒鳴るように言ってしまって
再度やめてくれと重ねれば今度はひどく弱い語調、自身の精神が制御出来ていない
…そんな言葉は相応しくない
あの人は、俺のせいで死んだのだから
先に感じた痛みが増しても、この場から逃げるつもりはない
標的を討ち取るまでは、傷を晒して抉られようと、痛みに耐え続ける
●
薄紅の花びらがはらりと落ちる。
振り返ったシキの目の前に、昔日に見た師の姿があった。
戦いとは無縁のような人好きのする柔らかい笑顔を浮かべる、今のシキより少し年上の優男。
ここにいるはずのない、とうの昔に死んだはずの男を目の前にしてシキは一層警戒を強めた。
「ユリウス」
男の名前を呼ぶと、嬉しそうに柔らかく眇めた。
後ろに一歩下がるも、彼は表情を変えないままシキを見るばかり。
「大丈夫だ、シキ」
「何が……」
「もう君は一人じゃない」
記憶の中の彼と、全く同じ声で同じ言葉が投げかけられる度に懐かしさと、それを上回る強烈な罪悪感が蘇って息が詰まるようだ。
「俺は君の味方だ」
「やめろ!」
膨らみ続ける罪悪感からユリウスの言葉を拒絶してしまう。
意図せず怒鳴るように言ってしまって、こんなことを言いたくなかったのだと打ちひしがれた。
「やめてくれ……」
重ねた拒絶は、酷く弱々しい語調だった。心が千々に乱れて、自分の精神が上手く制御できない。
「……そんな言葉は相応しくない」
戸惑いながらもシキを気遣うような優しい声で、「それはどうしてだい?」と問いかける。
「あなたは、俺のせいで死んだんだ」
伸ばされた手を振り払うように、言葉で牽制した。
そんな優しい言葉を掛けて欲しいわけじゃない。いっそ「お前の所為で死んだんだ」と詰ってほしい。
そうすれば、心の中で産まれる痛みと後悔、遣る瀬なさを糧に何発分かの引き金を引く力になるというのに。
抱えた傷さえ労って、それを許容するような優しさが今のシキにはただただ痛い。
傷口を優しく撫でる手が暖かく心地よいはずなのに、それを拒むことしか出来ない自分がどうしようも無く愚かで、醜悪だ。
なぜそんなシキが生き残って、ユリウスが代わりに死ななければならなかったのだろう。
世界は残酷な命の取捨選択をしてしまったと、恨まざるを得ない。
感じた痛みが増したとて、シキはこの場から逃げるつもりはない。
標的である羅刹女を討ち取るまでは、この優しい檻の中でいくら傷を晒して抉られようと痛みに耐え続ける。
血が滴る傷が痛むのを耐え忍ぶ狼は、的の喉元に食らいつく瞬間をただ待ち続けた。
大成功
🔵🔵🔵
清川・シャル
私は宿敵の姿を知りません。産まれた土地の土地神が狂った姿だとは聞いています。アルビノの噂、喰らえば不老不死になるとか…それに惑わされて私の命を狙ったと聞きました。その為に両親は…。
あなたはとても強いのでしょう。両親が命を落としたくらいですから。
でも私だって無駄に過ごしてきたわけじゃありません。猟兵として日々を積み重ねてきたんです。
今の私ならあなたに負けない。
愛用のそーちゃんを握りしめてただ走ります。
敵攻撃には武器受けと激痛耐性で備えます。
両親の無念を晴らしたいから!
●
暗闇の中で、憤怒に燃える碧眼が爛々と輝いていた。
シャルは宿敵の姿を知らない。天翔る龍だとも、ただ影が凝ったようなおぼろげな姿だったとも聞く。
対峙すれば、激情のまま得物を振るうのだろうと思っていた。だが幻とはいえ実際目の前に現れた宿敵の姿を見て、冷静でいる自分に驚いている。
神々しい龍のように見えるが、山羊のような捻れた角を持ち、顔は猿面のように目がぎょろりと大きい。大きな頭がゆっくりと動き小柄なシャルを見下ろしてきた。
ああこれが、とシャルは値踏みするように龍神を見た。シャルが産まれた土地の土地神が狂った姿だと聞いていたが、これが。
「アルビノの噂、喰らえば不老不死になるとか……それに惑わされて私の命を狙ったと聞きました。その為に両親は……」
色の白いアルビノは、土地の中でも浮いていた。やがて流れてきたのはその血肉を喰らえば不老不死になるというもの。
かの土地神がどういう思惑で噂を流したのか分からない。今も理由を語るつもりは亡いのか、大きな金色の目でじっとシャルを見つめ、口元はうっすらと笑っている気すらする。
「あなたはとても強いのでしょう。両親が命を落としたくらいですから」
優しく強かった両親。二人の力を結集しても勝てなかった狂った神。
手鞠が生み出した幻だとしても、他を圧倒するような圧がある。
「でも私だって無駄に過ごしてきたわけじゃありません。猟兵として日々を積み重ねてきたんです。
今の私ならあなたに負けない」
愛用のそーちゃんを握りしめ、畳を蹴った。接近するシャルを、尾の一振りで弾き飛ばした。
桜色の鬼金棒で受け止めるも、衝撃は腕を伝って胴まで響く。庭に投げ出され体を打ち付けて二度三度跳ねて地面に転がった。
切れた額から滴る血を手の甲で拭い、痛みをこらえながら立ち上がる。
「両親の無念を晴らしたいから!」
そのためには、幻なんかに負けている場合じゃない。
ここで負けたら本物になんて勝てっこない。
「負けて、たまるものですか!」
飛び上がり大上段からそーちゃんを振り下ろす。単純だが重く破壊に特化した一撃は、龍の頭を砕いた。
地面まで振り抜くと、周囲の地面を抉り飛び散った。龍の姿が解け桜の花びらに戻り、むき出しの地面に重なるように降り積もった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『蝶囲う桜鬼』
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POW : ねえ、こんな痛みはどうかしら?
攻撃が命中した対象に【身も竦むような恐怖】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【鬼斬りの太刀による連撃】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : この世界は痛みで出来ている
【血染めの桜吹雪か太刀の斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を相手の愛しい人々の死体で埋め尽くし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : そんなものは忘れましょう
【対象の願う幸福を否定する呪詛】を籠めた【赤黒く染まった桜を纏う太刀】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【幸福な未来を願う心】のみを攻撃する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠水標・悠里」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
現れた幻は、桜の花びらとなって散っていった。
からんと下駄を鳴らし歩を進める彼女が歩いた跡には、血に染まった桜がべっとりと地面に張り付いていた。
「痛みとは感情を生む種。初めて触れた暖かさに触れ、怯え、泣きながら温もりを知っていく」
そうして負った傷を抱えながら人は歩いて行く。だがその道程で、人は様々なことを忘れてしまう。
忘れたくないと願ったことでさえ、いつかは光に溶けて白く染まり無になるように。
「なら、忘れられないようにいつまでもいつまでも、痛みとして心に留まりましょう。
癒えぬ傷となれば、忘れたくないことだっていつまでもあなたと共に生きていける」
陶然と語る羅刹女は、嗜虐的な笑みを浮かべて猟兵達を見る。
「そうね……でも一番の理由は、私が貴方たちを傷つけたらさらなる痛みを生めるでしょう。それは誰かの傷となって、誰かの心にいられるようになる――なんて素敵なんでしょう!」
とても楽しげなのに、明らかに侮蔑と嘲笑の入り交じった声で猟兵達を詰りながら羅刹女は大太刀を鞘から抜いた。
「それに一番の理由は、単に退屈だから。悲鳴の一つや二つを聞けばいくらか楽しそうだったから」
切っ先を猟兵達へと向けた羅刹女の周囲を、黒い蝶が飛び回る。
「名は何とでも良いでしょう。ここにいるのは一人の鬼――狂い咲いた桜鬼のみ。
さあ、あなたはどんな痛みを――地獄を見せてくれるのかしら」
開いた傷口を更に抉り、死体の上に立ちなお蹂躙する。
赤黒い桜が舞いあがり、視界を埋め尽くす。
再び見えた世界は、地獄よりも地獄めいたあなたの痛みの世界が広がっていた。
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この章では、キャラクターが負傷したり血を流したりといった描写がございます。
苦手な方はプレイングのどこかに『×』印を入れてくだされば、対応いたします。
それでは、良い地獄を。
フランチェスカ・グレンディル
さて今度は私と踊っていただきましょう
大鎌を覆っていた布を外し血染めの刀を手にする女性と対峙
大鎌で何合か結ぶ間に一つ問いかけを
「ところであなたは、どうしてここに在るのですか?
あなたの物語は終わったはず…何か未練でも?」
ある報告によればこの女性はさる猟兵さんの身近な人で
…その人物が『解決』したとか
其の後で現れたのは何かあるのだろうかと少し気にかかります
何かあれば聞きます、何もなく退屈なだけでも
ただ聞いた後はUC『No Mercy』の名の通り
私はあなたを終わらせる
だまし討ち、傷口をえぐるなど正攻法ではない戦い方
戦闘は苦手ですから、一瞬で終わらせたいんです
(アドリブ可)
●
対峙した少女を見て、フランチェスカは微かに眉根を寄せた。
「さて今度は私と踊っていただきましょう」
大鎌を覆う布を外し、血染めの刀を抜いた桜鬼と対峙する。
勢いよく地面を蹴って接近し振りかぶった一撃を、大鎌の柄で受け止めた。
「ところであなたは、どうしてここに在るのですか?
あなたの物語は終わったはず……何か未練でも?」
「それは、どうしても答えないと行けないことかしら」
艶然と微笑む彼女は――まだ少女といった年頃の桜鬼は愉快そうに表情を歪めた。
あなたは消えたはずだ、と突きつけられてもなお桜鬼の態度は揺るがない。
「未練は無いわよ。ただほんの少しの気まぐれと……そうね。遊び心とでも思って頂戴」
「何かあれば聞きます、何もなく退屈なだけでも」
「あら、さっきの事を気にしているの? ごめんなさいね遊び足りないからつい本音が出てしまったみたいで」
憮然とするフランチェスカの表情を見て、ため息を吐いて肩をすくめた。
「いいじゃない、もうちょっと摘まみ食いしたいのよ。美味しそうなお菓子が目の前にあるのに、我慢して手を拱いているなんて勿体ないもの。私、我慢とか嫌いだし。それと同じで、悲鳴の一つや二つ浴びたいわ」
これで良い? と涼やかな視線が問う。
返答が無い代わりに、目にもとまらぬ早さで翻る刃が幾重にも襲いかかった。
白いドレスが鮮血に染まる。傷口から滲むのは血だけではない、首筋に刃を這わせるようなひりつくような恐怖。
されどフランチェスカは振るう。『No mercy』――容赦なく、彼女を終わらせるために。
姑息な手を使ってでも、と踏み込んで一撃を浴びせた。
成功
🔵🔵🔴
清川・シャル
貴方も羅刹なんですね。私もですけど方向性が真逆のようで。
私は傷を付けられようとも、それを乗り越えていけるだけのチカラも身につけてきたと思っています。
傷つける事で記憶に留まろうなんて、愛を知らないんですね。
その程度の相手に私が負けるはずないです。
感情で左右されているようですね、なら…!
UCで攻撃力を増強しましょう
貴方の力の源になっている感情、頂きます
そーちゃんをチェーンソーモードにしてなぎ払い攻撃です
隙を作るためにそのまま投げつけて、袖の下のSoulVANISHで精神攻撃を仕掛けます
敵攻撃には武器受けと激痛耐性で備えます
●
眼前には艶然と笑う桜鬼。手にした抜き身の切っ先を向けられど、シャルは毅然と彼女を見据えた。
「貴方も羅刹なんですね」
「あらそうね。でもまあ、今の私にとって種族なんてどうでも良いことだけど」
くすくすと微笑む様は年相応の無邪気な少女であるのに、纏う空気は凶悪そのもの。
「私は傷を付けられようとも、それを乗り越えていけるだけのチカラも身につけてきたと思っています。
傷つける事で記憶に留まろうなんて、愛を知らないんですね。
その程度の相手に私が負けるはずないです」
「威勢の良い子。それじゃあ私から動こうかしら」
桜鬼は大太刀を構えると、地面を蹴り一足飛びにシャルへと斬りかかる。
咄嗟にそーちゃんで受け止めるが、刃を翻した二撃目が二の腕をざっくりと切り裂いた。 血が流れ痛みを訴える傷口から侵入した恐怖が、皮膚の下の神経を這い回る。
後悔と弱かった自分への怒りが、シャルの裡で再燃する。
食いしばった歯の合間からふうっと熱い吐息を吐き出して荒んだ感情を押しとどめたシャルは、息つく間もなく繰り出される連撃を去なしながらじりじりと後退する。
太刀筋の合間から敵の様子を観察し、反撃の糸口を探るために。
彼女の瞳にありありと浮かぶのは、狂気と愉悦、そして殺気。
「感情で左右されているようですね、なら……!」
闇よ、私の体の中へ。
「貴方の力の源になっている感情、頂きます」
ざらざらと貪欲に口の中へ。決して美味しいものでもない、毒を食らうような感覚にくらりと目眩さえする。
血流に乗って力が満ちる充足感、それを今から振るう高揚感。
桃色の鬼金棒をチェーンソーモードに切り替え、なぎ払った勢いでそのまま桜鬼目掛けて投げつける。
生半可な力では落とせまいと、桜鬼もまた大上段に構えたたき落とす。
懐に飛び込んだシャルが腕を突き出す。何でもしまってしまう袖の下から突き出たSoulVANISHの杭が腹を貫いた。
「あら、素敵ね」
桜鬼は痛みすら楽しむように、せせら笑う。だが先ほどまでの余裕の色は、すっかり消え失せていた。
成功
🔵🔵🔴
夜鳥・藍
そうね、心の傷は完全には消えない。でもいつかその痛みは癒える物だと思うわ。
癒えずともそれでもいつか過去になる。
それに痛みになってまで誰かの心にとどまりたくない。自分の事は忘れて過去にして。
神器鳴神の複製を念動力で操作し攻撃します。攻撃だけでなく相手の攻撃をいなすにも。
離れて暮らす家族や、猟兵になったからこそ見つけた綺麗景色を持つ人達。そんな彼らの死体で埋め尽くされた足元に思わずひるんでしまいそうだけど。
でも彼らはそんなに弱くない。
それに今の私は、私だった誰かの死の上に立っている。その誰かが何かを残して死んだから、私は幻朧桜によって転生したの。本当に傷も痛みも死も。今更の事なの。
●
血の滴る体を眺め、うっそりと微笑む桜鬼。
「あなたの痛みは面白かったわ。もっともっと味わってみたかったけど……」
ちらりと藍へと視線を向けると、彼女の表情に滲む光にくすりと笑みを零した。
「あなたの痛みは消えないわね、心に染みついて溶け合ってしまっている」
「そうね、心の傷は完全には消えない。でもいつかその痛みは癒える物だと思うわ」
たとえ癒えずとも、それでもいつか過去になる。
「それに痛みになってまで誰かの心にとどまりたくない。自分の事は忘れて過去にして」
「あなた……私と同じになりたいの?」
ぱちり、と瞬く桜の瞳は興味津々と藍へと注がれる。
問いには答えぬまま、藍は神器『鳴神』の複製を念動力で操る。空中を滑るように飛んだ切っ先を、血染めの桜吹雪が吹き荒れて地面に落としていく。
視界を覆うような暗い赤一色に、咄嗟に腕で目を庇う。ざっくりと切れた感触に続いて、神経が痛みを訴えてきて目が眩む。
目を開けると足もとに誰かが横たわっているのが見えた。
離れて暮らす家族や、猟兵になったからこそ見つけた綺麗景色を持つ人達。そんな彼らの死体で埋め尽くされた足元に、思わずひるんでしまいそうになる。
「でも彼らはそんなに弱くない」
恐れを飲み込んで藍は一歩を踏み出した。
「それに今の私は、私だった誰かの死の上に立っている。その誰かが何かを残して死んだから、私は幻朧桜によって転生したの。本当に傷も痛みも死も。今更の事なの」
血に染まった腕を振るい神器を操れば、桜吹雪の中を稲妻のように鋭く黒い三鈷剣が飛んでいく。
「今更なのよ」
足を切りつけ、体勢を崩した桜鬼は「そう」とだけ呟いた。
桜色の瞳に滲むのは、狂気でも愉悦でも無く。悔悟のいろだった。
成功
🔵🔵🔴
シキ・ジルモント
間合いの有利を活かすには離れて戦うのが定石だ
しかし敵の足元にある死体を見れば方針を転換
死体は先に見た師の姿だろうか、それとも死に別れた両親や妹か
…先の幻で熱をもった頭が、怒りによって冷やされていく気がする
踏みつけるその足を退かす為、接近して蹴撃を叩き込み後退させたい
一度退かした後は近距離を保ち、ユーベルコードで反撃する
幻を造る隙を与えない為、桜吹雪と太刀は全て回避せずに受け止める
太刀は銃床で敵の手元を叩き上げて狙いを逸らし、桜吹雪は急所を庇いつつ距離を離されないよう敵に喰らい付く
致命傷さえ負わなければどんな傷を受けても構わない
…この世に溢れる痛みのうちなら、心より体の痛みの方がずっと楽に思える
●
桜鬼がシキを視認し、一歩を踏み出した。
大太刀の間合いから外れるように飛び退きながら、血染めの桜吹雪を視界の端に捉えた。そのまま素早く身を翻し、距離を取るべく走り出そうとした。
黒塗りの下駄がからりとなる。
ちらりと振り返った彼女の足下に、誰かが横たわっているのを視認して――見覚えのある姿形に思わず足を止め踵を返す。
それは師か、妹か、それとも死に別れた両親か。
手鞠の幻を見て痛み熱をもった頭が、怒りによって逆にすっと冷えていく。
下駄の底が彼の人を踏みつける。
「これが、あなたの大切な人達なのね」
応える声はない。代わりにころころと笑う桜鬼の足下を回し蹴った。
「あら、怖ぁい」
揶揄う声に微塵も反応せず、シキはハンドガン・シロガネを構え反撃に出る。
胸元を裂かれ血染めの桜吹雪を身に浴びながら、銃床で太刀を握る手を叩き狙いをそらす。
桜鬼の攻撃の中で一番の脅威は、その大太刀の一撃だ。
心を弱らせたところを、大太刀で容赦なく斬りかかる。
「……この世に溢れる痛みのうちなら、心より体の痛みの方がずっと楽に思える」
致命傷さえ負わなければ、引き金を引くことが出来る。
いくら視界を逸らしても、そこかしこに倒れる死体たち。
彼らはもういない。シキを一人残して、みな無情にも旅立っていった。
いくら現れようともシキの心を満たすのは、彼らを無下に扱った怒りだけ。
死者を用いて生者を弄ぶ、その傲慢さに反抗すべく、一発の弾丸を放った。
大腿を貫かれ膝を突いた彼女を、シキは冷たい目線で見下ろした。
成功
🔵🔵🔴
鹿村・トーゴ
手鞠の幻が消えると息を吐き安堵
確かに忘れちゃならねえ記憶ではあるね
あのおっさんの死があってオレは今まで生き延びたよーなモンだし
色々講釈垂れてもアンタは血に飢えた女鬼でしかないか
いいぜ
羅刹としちゃ大義名分無視の戦いも悪くない
UCで強化
以降【激痛耐性】
代償の流血、手裏剣【念動力で投擲】血は【目潰し】に
それに追随クナイで斬り掛かる【忍び足/追跡/暗殺】
大技より慎重確実に
>敵UCの死体は親や双子の姉、初恋のミサキ、師匠…
一度は動揺し敵の太刀を受けるが以後クナイで弾き【武器受け】負傷軽減させる
悪いね姐さん
『取り乱さず冷静に』
オレ頭領の教え通りアンタを殺るよ
嘆くのは後で出来る、とさ
…冷たいもんだ
アドリブ可
●
手鞠を突く手が消えると共に、男の死体も消え失せていた。そのことにトーゴはほっと胸をなで下ろす。
いつまでも見ていたいものでは無かった。
「……つれないのね」
腹に、足に傷を負った桜鬼はそれでも楽しそうに笑ってトーゴの痛みに憂う表情を愛おしそうに眺めていた。
「確かに忘れちゃならねえ記憶ではあるね。
あのおっさんの死があってオレは今まで生き延びたよーなモンだし」
「彼が与えてくれた痛みが、あなたをここまで連れてきたのね。
でもそこから目をそらしたところで、その痛みの根は、種は、あなたの中にあるものよ」「色々講釈垂れてもアンタは血に飢えた女鬼でしかないか」
いいぜ、と手にしたクナイを構える。
「羅刹としちゃ大義名分無視の戦いも悪くない」
「確かにそうね。それも楽しいわ」
対峙する二人の羅刹は、互いに得物を構えた。
一陣の風が吹き抜け、桜吹雪がさらりと舞う。その最後の一枚が地面に落ちたとき、二人は地面を蹴った。
桜吹雪に触れる度、 親や双子の姉、初恋のミサキ、師匠など。見知った顔が死体となって転がっている。
「――ッ!」
動揺した隙を突いて、横に薙いだ大太刀が胸先を掠った。
その身に魔を降ろしたトーゴは血を流しながら、手裏剣を投擲する。流した血すら目潰しに利用して、音も無く接近するとクナイを急所目掛けて突き立てる。
確実に仕留められるよう、慎重かつ確実に。
無数の剣閃を受け、クナイで弾きながら隙をうかがう。
「悪いね姐さん」
――『取り乱さず冷静に』
低く厳格な、感情を抑えた声音がトーゴに囁く。
幼い頃叩き込まれた頭領の教え通りに、桜鬼の剣筋が鈍った瞬間を突いて腕を伸ばす。
「嘆くのは後で出来る、とさ。……冷たいもんだ」
胸を貫くクナイの一撃に、桜鬼は驚いた表情で目を見開く。
だがすぐに楽しそうに笑い、ため息を吐いた。
「まさか、同じ死に方なんて、ね」
自嘲めいた笑い声はかすれていて、肉体も彼女が纏った血染めの桜となりほろほろと崩れていく。
「あーあ、みんな痛みなんて抱えても前を向くんだもの。
でもね、痛みはいつか表に顔を出して、時折貴方たちの首を絞めて、苦しめる」
忘れない事ね、と言い残して桜鬼は骸の海へと還っていく。
やがて、主を無くし結界の解けた屋敷に夜明けが訪れる。
朽ちてなお咲いた満開の桜は、もう二度と咲くことは無い
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年05月26日
宿敵
『蝶囲う桜鬼』
を撃破!
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