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大祓百鬼夜行⑲〜上ゲ上ゲ踏切フィーバー

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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●開かずの踏切
 ここは、UDCアース屈指の工業地帯を走る幹線道路。付近の自動車工場に部品を納品すべくトラックを走らせていたとある運転手は、なかなか開かない踏切に苛立っていた。この自動車工場は在庫をなるべく持たないで生産を行っているので、求められたらなるべく早いうちに部品を納品しないと生産が滞ってしまうのである。そうなったら、部品を作る下請け業者や納入業者にはペナルティが科せられてしまう。
「俺の生活がかかってるんだ。早く、踏切を開けてくれ……って、なんでこんなに線路が増えているんだ?」
 問題の踏切を横切る路線は、マイカー社会のこの地域とはいえ自動車工場への通勤などで乗客が増えており、ピーク時には列車の本数も単線でまかなえるぎりぎりの本数を走らせているほどである。それでも少し待てば踏切は開くはずなのだ。だが、今は様子が違った。線路は数百本に増えており、行き交う列車も昔に廃車された列車から普段この地方を走らない列車まで様々な列車が走っている。しかも、それらの電車は大音響でディスコミュージック調のミュージックホーンを鳴らして踏切を通過するのだ。そして、運転士は信じられない光景を目にする。なんとその踏切の中で今は昔になってしまったチャラいギャル男とガングロギャルらしき少女が踊っていたのである。しかも、よく見ると頭に角らしきものが見える。そう、彼らは山姥ギャルとギャル男鬼、つまりカクリヨファンタズムから現れた妖怪なのだ。彼らは電車のミュージックホーンをBGMに踏切をディスコにして好き勝手踊っていたのである。
「さあさあ踊り明かそうぜ! 運転士さん、もうちょっとほーんの音量あげてくんない?」
 ギャル男らしき鬼がDJブースでDJをはじめると、ギャルたちはリズムに合わせて楽しそうに踊っているのだ。
「なんてこった、これは……なにかの冗談だろう。でも、部品を届けないといけないし、こうなったら強行突破しかあるまいな!」
 業を煮やしたトラックの運転手はアクセル全開で踏切に突っ込んだのである。そんな彼の目には展望席のついた真っ赤な列車が猛烈な勢いで走ってきていることに気がつかなかったのだ。真っ赤な列車と部品を積んだトラックが衝突するや否や、真っ赤な列車はトラックを線路の外まで弾き出してしまったのだ。普通なら列車がはじき出されるところだが、この列車に積まれている強力なバンパーはいとも簡単にトラックを弾き飛ばしてしまったのである。トラックの運転士は、薄れ行く意識の中で安易な選択をしたことを後悔するしか無かったのである。

●グリモアベースにて
「鉄道か……ここ最近は乗り鉄も撮り鉄もできていないのが残念なところだが……」
 一眼レフのカメラと望遠レンズの手入れをしながら、アメリア・ツァオ(心はいつも十七歳・f09854)は今回の事件について説明をはじめていた。
「カクリヨファンタズムの異変のせいで、UDCアースのとある踏切が迷宮状態になってしまったんだ」
 普段単線の踏切のはずが、妖怪らのせいでディスコ化しており、様々な列車が音楽を鳴らしながらひっきりなしに通過している状態なのである。騒音問題もあるが、周辺は自動車工場などが建ち並ぶ工業地帯であり、物流への影響が著しくなっているのだ。
「こんな状態では電車も走れないし、自動車工場を中心として物流や工業生産にも影響が出てしまうだろう。しかし、踏切を渡ろうとすると真っ赤な妖怪列車に跳ね飛ばされてしまうんだ。これは敵も同じだとはいえ、うまく踏切を守りながら戦う必要があるだろうね」
 カクリヨファンタズムの妖怪たちは不本意とはいえ、骸魂に飲み込まれてオブリビオンになってしまっているのだ。彼らを救うにはオブリビオンを倒し、骸魂から解放してやるしかない。
「彼らを助けるために一肌脱いでほしい。くれぐれも、無事でな……」
 そういってアメリアは猟兵たちを送り出すのだった。


ヨーシャ
 みなさんこんにちは、ヨーシャです。

 今回の戦争はカクリヨファンタズムのみならずUDCアースの危機でもあるので、いろいろと心配な所です。そんな中に鉄道ネタが紛れ込んできたので、ティンと来た感じでシナリオを作ってしまいました。どこが舞台かは明言しませんが、地元民にはまあわかるでしょうね。

 さて、今回の戦いは踏切での戦いになります。渡ろうとすると真っ赤な妖怪列車にはねられてしまいます。うまいところ、踏切を守りながら戦うとプレイングボーナスが入る予定です。

 さて、プレイングの受付ですが、断章投下後ならいつ提出いただいても構いません。また、このシナリオは戦争シナリオですので、場合によっては最低人数で書ける順からになるかもしれません。キャパシティがオーバーしそうなときは流してしまうかもしれません。

 それでもよろしければ、みなさんの胸躍るプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『山姥ギャルとギャル男鬼』

POW   :    オヤジガリ・レイド
技能名「【略奪・恫喝・武器落とし・恐怖を与える】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    ガングロ・サンシャイン
【紫外線たっぷりの妖怪太陽光線】を降らせる事で、戦場全体が【日焼けサロン】と同じ環境に変化する。[日焼けサロン]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    波羅波羅・ダンス・ヘブン
【激しいユーロビートに合わせて踊るパラパラ】を披露した指定の全対象に【一緒に踊ってアゲアゲになりた~い!】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 大音響を響かせながら開かずの踏切で踊る鬼たち。彼らは思い思いに踊り、そして自由気ままに楽しんでいるようだ。その様子は昔のディスコホールのような感じだ。踊り疲れたら地べたに座る彼らの顔は日焼けした黒い顔にかなり濃い奇抜なメイク。髪を金髪に染め色とりどりのメッシュを入れた彼らは、元の鬼とはかなり違った格好をしている。しかも、山姥ギャルのその手には包丁が握られ、剣の舞ならぬ包丁の舞が繰り広げられているのだ。
 影響は物流のみにとどまらない。このままでは部品切れの自動車工場の生産はストップしてしまうだろう。この国の経済を支える主要産業なだけに、その打撃は国民生活に及ぶことが必至なのだ。だからこそ、オブリビオンを倒してこの踏切を通れるようにしなければいけないのだ。
ギージスレーヴ・メーベルナッハ
任務目的、踏切の防衛。
踏切に侵入した場合、列車による甚大な被害が予想される。
ならば、適する戦力はこれか。

黄昏大隊・制空部隊発動。
召喚したヘリを含め、踏切付近に布陣。
周辺の敵をそれぞれ包囲殲滅してゆく。

踏切の向こう側にいる敵は、ヘリ部隊を線路上空に滞空させた上で銃撃を行い、近づくには線路内に入らないといけない状況を作る。
もし列車を逃れ此方側に渡ってきたなら、余自ら対応。
魔導小銃による【制圧射撃】にて足止めの後、ヘリからのランチャーや魔導小銃での急所狙撃(【スナイパー】)で仕留めてくれよう。



●真夏の太陽はオーブンのごとく
 閉まったままの踏切に業を煮やしたトラックが真っ赤な列車に跳ね飛ばされてしまったのを見てしまった踏切待ちのドライバーは、皆諦めたような表情を浮かべながらハンドルを握っている。その中には跳ね飛ばされたトラック同様自動車工場に部品を納める人もいるのだ。生活がかかっているだけに、一刻も早くこの踏切を抜けたいところだ。だが、それが妖怪のしわざであることを知っていたとしても、何ができたであろうか。彼らに妖怪と戦うすべはないに等しいのだ。それゆえ、彼らは踏切が開くのを待つしかなかった。しかも、ご丁寧なことに昨今の環境保護の風潮をふまえてみなエンジンを切っている。
 そんな中、問題の踏切に軍服を纏った一人の銀髪の少女が現れたのだった。
「任務目的、踏切の防衛……」
 彼女の名は、ギジィことギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)。弱冠十三歳にして傭兵組織を率いるなかなかの猛者である。もっとも、その傭兵組織の構成員は彼女一人なのだが。
「踏切に侵入した場合、列車による甚大な被害が予想される……ならば、適する戦力は、これか……」
 そんなギジィは何かを思いついたのか、にやりと口を歪ませながら仁王立ちしている。その様子に気付いた一人の山姥ギャルがギジィに向かって悪態を吐いた。
「白い肌なんて、イケてなーい。ダサーイ!」
 それにつられて笑い出すマンバギャルたち。
「日焼けすれば、イケてるじゃん。日焼けサロンにすっから、浴びてきなよ!」
 たちまち周囲に紫外線たっぷりの妖怪太陽光線が降り注ぐ。ということは、辺りは夏のような暑さに包まれる。まだ外にいるギジィは暑さをしのげるが、エンジンまで止めてしまったトラックの運転手たちはあまりの暑さに耐えかねてドアを開ける有様。
「まぶしくて、暑い……だけど、持続可能な社会のためにエンジンだけはつけるわけにはいかん……ドアを開けて耐えよう……」
 このままではトラックの運転手たちが蒸し焼きになってしまうと考えたギジィは一計を案じる。彼女は無線機らしいものを手にどこかと通信しているようだ。
「目標、A県T市のμ鉄線の踏切。至急制空部隊、出撃せよ!」
 すぐに空を埋め尽くすような八十余機の攻撃ヘリが飛来する。その側面には、なぜか1の文字。そんなヘリの大群は踏切を越えてディスコ状態になっている鬼たちの元に飛来するのだが、そんなこともお構いなしに踊り続けるギャル鬼たち。そんな彼女らを威嚇するかのようにヘリは機関砲を打ち鳴らす。
「うっわ、マジで撃ってきた、恐っ!」
 ヘリ部隊の威嚇射撃に驚いた数人の山姥ギャルが踏切の中に逃げ込むがすぐさま赤い電車の餌食となってしまった。他のギャルたちは逃げ延びたのだが、目の前で人身事故を見せられたトラックの運転手たちはたまったものではない。中には気分を悪くしてしまった運転手もいるようだ。
「余としたことが……少々やり過ぎたか。だが、こうするしかなかったのだ……」
 ギジィは申し訳なさそうに謝罪の言葉を語るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

北・北斗
しょっぱなから、騒がしい連中だよなと、集まっている連中を見て思っているトドである。
『コイツラって、確か、妖怪だったっけ? 間違いなく骸玉が関わってると思うんだよね』
連中が来たら、【念動力】や【怪力】で妖怪連中を踏切に投げて電車に轢き逃げさせて頂く形を取る。
相手が技使ってきたら、今度は、こっちがアシカを12頭呼び出して人海戦術でガングロを踏切に投げてしまう。ついでに、北斗と南斗(ゾウアザラシ)も、相手にのしかかって圧殺する咆哮で動く(両者ともに体重が1t超える)【重量攻撃】を加える。

『おいらには、昔の流行なんて、分からないんだよ』



●トド、踏切に吠える
 ガングロ化太陽光線のおかげで暑くなっている踏切。あまりの暑さに積み荷がおかしくなっていないか点検するトラックの運転士たちを横目に一頭のトドが踏切に現れたのだった。
「こんな所まで来て暑いだろうに……動物園から脱走してきたのか?」
 運転士の一人が声をかける。だが、このトドこそ謎の踏切問題を何とかしようという猟兵、北・北斗(遠い海から来たトド・f20984)であった。
『まあトドだが、おいらも猟兵だ。騒がしい連中だが、この様子を放っておけなくて、な』
 突如北斗から伝えられるテレパシーに、運転士は皆きょとんとするのであった。その様子を見ているのは踏切の向こう側で踊り狂う山姥ギャルたちも一緒で、猟兵なのはわかるが何でこんな所に、という顔をするのであった。だけど、真夏の太陽を強くすることは忘れていないようだ。
『コイツラって、確か、妖怪だったっけ? 間違いなく骸玉が関わってると思うんだよね』
 妖怪だか何だかわからないヤツらを前に、北斗はきょとんとしていた。相変わらず続く真夏の太陽に北斗の体力はそがれ気味であったが、それも無理もない。何せ、北斗はマッドサイエンティストに捕らわれて謎の改造を受けたとはいえ、北海道の海にいるトドなのだ。暑さにどこまで耐えられるか、そうなると、これは短期決戦を挑むしかないと北斗は考えたのだった。
「ヴォウッ! ヴォオオオオオゥッ!!」
 北斗の鳴き声が辺り一面に響き渡る。山姥ギャルもギャル男鬼も、そしてトラックの運転手たちもきょとんと北斗を見つめている。
『さあ、投げ飛ばしてやらぁ!!』
 北斗は念動力を使い、山姥ギャルとギャル男鬼たちを踏切の中に投げ込んだのだった。さらには、彼の鳴き声を合図に十二頭のアシカたちが現れ、残った山姥ギャルとギャル男鬼たちを踏切の中に投げ込んでいった。
「ど〜け〜よ〜ひ〜く〜ぞ〜つ〜ぶ〜す〜ぞ〜!」
 直ちに真っ赤な妖怪列車が現れ、哀れギャルたちは跳ね飛ばされていくのであった。踏切の外に投げ飛ばされたギャルたちは、のしかかる北斗とゾウアザラシの南斗にのしかかられる始末。それも一トンの巨体だ。ギブアップ、ギブアップとばかりに地面を叩くギャルたち。難を逃れたギャルたちもまだ多いが、仲間が跳ね飛ばされるのを見たのか、真夏の太陽はなぜか弱まっていた。
『おいらには、昔の流行なんて、分からないんだよ』
 すべきことを成し遂げた北斗だが、ギャルたちが何をしていたのかだけは全くわからなかったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月守・咲凛(サポート)
対空戦闘機の咲凛です。
空戦用の武装ユニットを装備してます。
私はお姉ちゃんなので、自分が怪我をしてでも戦えない人を守らなければならないのです。
後方への注意はちょっと疎かになりがちで、攻撃を受ける事もあるのです。
オブリビオンにトドメを刺す事を躊躇いませんけど、戦えない相手に対して攻撃するのはかなり躊躇します。
状況次第で武装ユニットを外して囮行動を取る事もあるのです。囮捜査は得意なのです。

戦闘傾向
アジサイユニットを盾として飛ばして身を守りながら、空中での射撃戦を好みますけど、護衛対象がある時とかはアジサイには味方を守らせて自分は敵の攻撃を躱しながらムラサメユニットで接近戦するのです。


エドゥアルト・ルーデル(サポート)
『ヒャッハー!頭ねじ切ってオモチャにしてやるでござる!!』

口調:拙者、名字+氏、~でござる、~ですぞ
属性:混沌・悪

弱きを困惑させ強きを嫌がらせの果に弄り倒す正義なんてどこ吹く風なゴーイング・マイ・ヒャッハー系

シリアスな空気だと破壊するか自分が爆発する
可愛い女の子を見れば興奮する変態
エンジョイ&エキサイティングをモットーに好きなように生きて好きなように死ぬギャグキャラ
オタクらしく戦闘中でも状況に有ったセリフやパロ技を適当にぶっ込みながら戦う様はイカレポンチすぎて敵味方問わず困惑と驚愕させることに定評がある
公言しないが空軍のパイロット


パトリシア・パープル
こういう人達、回り回ってキマフューで再ブームとか来そうな感じだけどね

とりあえず、踏切挟んだ向こう側に立って相手を挑発しながらUC発動!
「悪いけど、そんなイケてないダンスより、わたしがもっとイケてるダンスを教えてあげるわ!

まずは召喚した神霊の力でギャル女に呪いをかけパラパラを封じる
「これでもう、あなたはお尻を左右に降ることしかできないわよ

続けて、ギャル男には御尻守様の腹痛光線!
「あはっ☆ 彼女の前で漏らしそうなんて、マジでダサ過ぎっしょ♪

ギャル男には「トイレはこっち」と踏切内に誘導
ギャル女はヨーヨーを投げて絡め、強引に踏切内に引き寄せ
それぞれ妖怪電車に跳ね飛ばさせて、お空に『アゲアゲ』してあげる



●踏切ヲ占拠シタ妖怪ニ吿グ
 いつまでも上がらない踏切に照りつける真夏のような妖怪太陽光線、そして大音響のユーロビートに、トラックの運転手たちの心は折れそうになっていた。ぶち切れて踏切に飛び込もうものなら真っ赤な妖怪列車に轢かれてしまう事はわかっているのだが、自動車工場への納品の事を考えるとうかうかしてはいられないものである。こんな仕事も自動運転が普及すれば無くなるとは思っているのだろうが、それを進めるためには目の前の仕事をこなさなければいけないジレンマにうんざりする運転手たちであった。
「踏切の大渋滞、お姉ちゃんがなんとかするのです!」
 そんなことを言いながら、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)が問題の踏切を目指して飛んでいた。対空戦闘機とみんなのお姉ちゃんを自称する彼女は武装ユニットを魔力で操っているのだが、まだ幼いエルフの女の子なのである。飛んできたルートとレーダーの情報を見るに、この渋滞の中に救急車などの緊急車両がいないのは幸いだった。だが、救急車がいたとしたら乗っている患者は助からなかっただろう。とにかく、すべきことは一刻も早く踏切を元の状態に戻すこと。この使命を胸に、咲凛は踏切へと急ぐのだった。
 そんな件の踏切に先にたどり着いていたのは、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)。本人曰く歴戦の傭兵らしいが、どう考えても不審者である。
「ナンジャコリャ……どう考えても昔のディスコじゃねーか……」
 その横で、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)も戦場を見るやあきれたような口調で一言語るのだった。
「こういう人達、回り回ってキマフューで再ブームとか来そうな感じだけどね……」
 まあ、遊び好きなキマイラフューチャーならともかく、ここはUDCアースである。しかも妖怪たちの行動により、周囲の物流が麻痺している状態なのだ。楽しいことが好きなパトリシアからしても、古今東西のオタクネタに通じるエドゥアルトにしても、楽しむ前に優先順位はこの踏切をなんとかすることだということで合意をとったのだった。そこに飛来した咲凛も合流し、三人の共同作戦が繰り広げられることになったのである。
「月守氏にはビラまきをお願いしたいでござる」
 そのビラには、以下のようなことが書かれていた。

    踏切ヲ占拠シタ妖怪ニ吿グ
 一、今カラデモ遲クナイカラカクリヨファンタズムヘ歸レ
 二、抵抗スル者ハ全部オブリビオンデアルカラ退治スル
 三、オ前達ハモレナク腹痛トナルノデ皆粗相スルゾ
     五月某日   エドゥアルト・ルーデル

「……これ、なんて書いてあるのです?」
 咲凛の問いに、説明するパトリシア。歴史上のクーデター兵士に向けて撒かれたビラをネタにしたのだろうが、とりわけ一番下には何か不穏なことが書いてある。
「どうしても聞かないようなら、わたしのユーベルコードで一気に、って訳!」
 そんなパトリシアが何をしようとしているのかが不穏であったが、咲凛はただ自分に課せられたことをするのみであった。
「では、行ってくるのです!」
 一目散に踏切の向こう側を目指す咲凛の姿を見送ると、エドゥアルトは拡声器を取り出しながら説得を始めるのであった。
「カクリヨファンタズムから来られた諸君、拙者はエドゥアルト・ルーデルでござる!」
 突然の音量と咲凛の撒くビラに何が起こったのかわからない山姥ギャルたちであった。
「ちょ、なに、このビラ。ウケるー!」
 時代錯誤感も甚だしいと無視を決め込む者多数である。そんな踏切を占拠した集団に向かって、エドゥアルトは言葉を続けた。
「漏らす! そのままではおなかが痛くなって漏らしますぞー! そんな貴様らよ聞くがいい。拙者にいい考えがある! それは、投降してカクリヨファンタズムに帰ることでござる!」
 当然のことながら、最初は冗談と受け取った妖怪たちであった。
「何それ、だっさー。やれるもんなら、やってみな!」
 そんなのは聞く耳持たず、ユーロビートの音量を上げて踊る山姥ギャルたち。そんなエドゥアルトには一緒に踊りたい感情が芽生えつつあった。
「……拙者も踊りたいでござるな。踏切を越えて行くでござるか……」
 と、踏切を越えて入ろうとしたちょうどその時、無事帰ってきた咲凛に止められるのであった。
「……踏切の中に、入ってはダメなのです!」
 こんな押し問答を横目で見ながら、パトリシアはエドゥアルトから拡声器を奪うとギャル男たちに挑発を始めるのだった。
「悪いけど、そんなイケてないダンスより、わたしがもっとイケてるダンスを教えてあげるわ!」
 そんなパトリシアは、戦場に召喚されるスカンク顔の神霊を呼びだしたのだ。その神霊の力で山姥ギャルたちのパラパラは封じられてしまった。
「何この踊り、ダッサー……」
 お尻を左右に振る謎の踊りしかできなくなった山姥ギャルたち。心ではダサいと感じていながらも、体がどうしても動いてしまうのだ。あまりの恥ずかしさにカクリヨファンタズムへ帰ると言い出す子までいたのだった。
「お、エッロ。って、なにか……おなかが痛ぇ! トイレ、トイレ!!」
 その様子を見ていたギャル男鬼たちも御尻守様の腹痛光線を浴びるや否や、突然の便意にいてもたってもいられなくなってしまったようだ。
「あはっ☆ 彼女の前で漏らしそうなんて、マジでダサ過ぎっしょ♪ トイレはこっち! 踏切を渡った先にあるわ!!」
 切羽詰まったギャル男鬼たちは踏切に我先にと駆け込んでいった。さらにパトリシアはお尻を振る山姥ギャルもヨーヨーで踏切内にたぐり寄せたのだった。そんな彼らに迫っていたのは真っ赤な妖怪電車だ。
「ど〜け〜よ〜ひ〜く〜ぞ〜つ〜ぶ〜す〜ぞ〜!」
 妖怪電車のミュージックホーンが高らかに鳴ると、跳ね飛ばされる山姥ギャルたち。咲凛はそんな彼女たちを確保すると、安全な場所で治療をするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

和田町・いずみ
骸玉の影響とはいえ…、このままでは、まさに本当の開かずの踏切です!!
電車には、電車ということで、私のUC【Fatality RushHour】で、対抗します!疲れている所に色んな、多くの電車を召喚、敵を踏切の中まで追い込みます!
そして!、電車の保安装置をハッキングして、時間稼ぎで電車をできる限り止めたり、敵の反撃には電脳魔術を使ったりして落ち着いて対応します!
それでも、敵を取り逃がしてしまうので、その時はお願いします!

※背後より
初めてのプレイングですが…、よろしくお願いします!
アドリブ歓迎です。



●目には目を、電車には電車を
「骸玉の影響とはいえ……、このままでは、まさに本当の開かずの踏切です!!」
 周辺道路の渋滞も激しく、これでは急病患者が出ても助かるかどうかは不安なところである。そんな踏切に急ぐ和田町・いずみ(人間の電脳魔術士・f07456)は、早く踏切を開けるためにこの妖怪たちをなんとかしなければと思っていた。妖怪たちは腹痛と戦いながらも真夏のような太陽を降らせている。
 かといって、このまま踏切に入ってしまったら真っ赤な妖怪列車の餌食になって跳ね飛ばされるのがお約束である。そんないずみにはひとつの作戦があった。「目には目を、電車には電車を」とばかり電脳魔術でいろいろな多くの電車を召喚し、線路上に配置しつつ妖怪たちにその電車に乗るよう誘導していた。しかも、その多くがトイレ付きである。もっとも、いずみのお気に入りの濃紺色の電車ではなかったが。
「この電車なら、お手洗いがありますよ!!」
 先ほどの猟兵のユーベルコードで腹痛を感じていたギャル男鬼たちが我先にと電車に乗り込んでいく。
「と、トイレ……済んだら変わってくれ! 俺、もう限界なんだよ!!」
 そんな電車に乗り込んでお手洗いの順番を待つ彼ら。そんな彼らを心配しつつも、お尻を左右に振りながら乗り込んできた。だが、ここでちょっと考えてほしい。電車に乗り込むと言うことは踏切に入ってしまうと言うことなのだ。そうすると、間違いなく「奴」が来るわけで……。
「ど〜け〜よ〜ど〜け〜よ〜そ〜こ〜ど〜け〜」
 やはりやってきた妖怪列車。それを目にしたいずみは正直カメラを抱えて写真を撮ってみたくなったが、そんな余裕はないのだ。手にしたネイビーブルーの高性能タブレットで妖怪列車にハッキングを試みるいずみ。
「で、ATSを書き換え……と、これで止まってくれますか?」
 なお、鉄道には保安装置というものがあり、過去に三つの列車が巻き込まれる衝突事故の教訓を活かしてほぼ全ての鉄道車両に搭載されているのだ。保安装置が正しく働いてくれさえすれば、電車は止まる、そういずみは踏んでいるのだ。念には念を入れて、ハッキングまで行っている。これで止まらなかったら、といずみは覚悟を決めていたが、問題の妖怪列車は彼女たちの乗る電車の目の前で止まったのだった。
「ほっと、しました……。さあ、後は……皆さんを元に戻す番です!」
 だが、その必要はもはや無いのだ。先ほどの腹痛を解消したおかげで、元の妖怪に戻っていた。
「助かったよ……これで、いい夢見られる……って、俺、何でこんな服着ているんだ?」
 妖怪たちは軒並みいずみに感謝すると、元のカクリヨファンタズムに帰って行くのだった。それと共に、踏切は元の単線のものに戻って、いつものように開いていた。
「皆さん、踏切が開きましたよ。順番を守って渡ってくださいね」
 いずみの合図と共に、一斉に自動車工場に向かうトラック。それを見送りながら、妖怪たちを無事助けられたという達成感にいずみは浸るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月26日


挿絵イラスト