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筋肉、時々猟兵

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●筋肉……
 ムキムキの怪人とキマイラ──対面した二人が向かい合い、何かを持って立っていた。よく見るとそれがバーベルであることがわかる。
「フンッ!こんなものか!」
 鼻で笑った怪人は、バーベルに重りを追加していく。重さはおおよそ2t。
「クソッ、こんな所で終わるわけには……!」
 キマイラも負けじと重りを追加するも、ぐらりとふらつきを隠せない。
「ぐ、うわっ!?」
 バランスが取れずに倒れこんでしまったキマイラに対し、ムキムキの怪人はほくそ笑む。
「フンッ!お前が負けだ!」
 そう言い、キマイラを持ち上げるとぶん投げる。殴る蹴るを繰り返す怪人は、正気の沙汰じゃない。
「お前たちもこうなりたくなければ、大人しくしているんだな、貧弱で脆弱なもやしども!」

●ここから勝負だ!
「ってのが、動画サイトにアップロードされた動画の内容だよ♪」
 そう言い、画面に映し出された動画を止めると、猟兵たちの方を向く。彼は宮前・紅(絡繰り仕掛けの人形遣い・f04970)、依頼を持ってきた張本人だ。
「事件が発生したのは見ての通り、キマイラフューチャーだよ」
 やれやれといった風に、首を横に振り事件の内容を話す。
「キマイラたちに無差別に勝負を仕掛けて、負けたらその相手に暴力を振るったり、お金を強奪したり……取り敢えずやりたい放題なんだよね。これ以上被害を増やす訳にはいかない!だから皆の力を貸して欲しいんだ」
 紅は、地図を出すと徐に猟兵たちの目の前に広げた。地図は中心街の広い広場を示しており、地図には赤いマーカーで一ヶ所マークされていた。紅はその赤いマークを指差す。
「ここに、あのムキムキの怪人が来るって予知したんだ!先ずは、ここに向かって欲しいんだ♪」
 きっと無差別に勝負を仕掛けて来るはずだからと言い、彼は言葉を続ける。
「先ずは、勝負に挑んで欲しい。パワー系の競技で圧倒するも、スピード勝負で打ち負かすのも、頭脳系で知恵と策略を巡らせ、打ち負かすのもアリだからね♪」
 そして手を合わせるようにお願いすると、改まって頭を下げる。
「きっと君たちなら、もやしどもとか何とか言ってたあのデカブツを、ぼっこぼこの血みどろフルコンボにしてくれるって信じてるよ♪」
 ニコニコと笑顔で、えげつない事を言う紅に引きつつも、猟兵たちはキマイラフューチャーを救うべく足を進めるのだった。

「筋肉を制するものは筋肉を制す!皆頑張ってね!」


LichT
 はじめまして。LichTと申します。
 初シナリオはキマイラフューチャーが舞台となります。

 一章は主に、ムキムキの怪人と競い会う形になります。パワー系、スピード系、そして頭脳系それらの中から選択し、競争に挑んで頂きます。
 二章はアジト攻略戦、三章はボス戦となります。

 アドリブ多め&複数名纏めての執筆になるかと思います、ご了承下さい。また、個人でのプレイングをご希望の場合にはお手数お掛け致しますが、表記をお願い致します。

 皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
 どうか、皆様の活躍でキマイラたちをお守りください。
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第1章 冒険 『フンッ!ハァッ!フンハッハッァ!』

POW   :    重量挙げなどパワー系で競う

SPD   :    100m走などスピード系で競う

WIZ   :    eスポーツもスポーツだ、知恵や戦略を競う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴木・志乃
……慣れたアレ持ってくかあ

【WIZ】

じゃ、eスポーツで勝負してよ
逃げるとか言わないよね?

(取り出したるはキャラ物のカートゲーム)

車種もキャラもお先に選んで
私はその後選ぶから(ふわあ、と欠伸で挑発)
最難関コースでいいでしょ
ガードレール無いしカーブ多いし
チョコ爆弾とかトラップかなり落ちてるけど
ま さ か 勝負から逃げないよね

挑発してプレイを雑にさせるよ

あーあーあー
大丈夫ー? もう何回落ちたか分かんないよ?
どーしてアクセルも最高時速も遅い私のキャラがそんな速いんだって?
スキルの差じゃないの?
(ハンドリング及びドリフト力において指三本に入るキャラで
コーナリングでターボ連発
他キャラを場外に弾き飛ばす)



●怜悧な頭と猪頭
 中心街の広い広場を見つめたまま、柑子色の瞳を少し細め、思案していた彼女──鈴木・志乃(ブラック・f12101)は思い付く。怪人に技量を見せるための、手段を。
「(……慣れたアレ持ってくかあ)」
 そして、志乃はアレと呼んでいたものを持ち、怪人の方へ歩み寄っていく。怪人はすぐさまに気付くとほくそ笑む。
「フンッ!お前が新しい挑戦者か。女など取るに足ら「じゃ、eスポーツで勝負してよ。逃げるとか言わないよね?」
 怪人の言葉を遮り、尚も言葉を続ける志乃。怪人は少しカチンと来たのか即答した。
「上等だ!受けてたってやる!」
 志乃は、その言葉を聞くとアレと呼んでいたものを、目の前に出す。……どうやら、キャラもののカードゲームのようだ。
「車種もキャラもお先に選んで、私はその後選ぶから」
 ふわあと欠伸をして、志乃は挑発にのせる。そして続けざまに、彼女は言うのだ。
「最難関コースでいいでしょ。ガードレール無いしカーブ多いし。チョコ爆弾とかトラップかなり落ちてるけど。
 ま さ か 勝負から逃げないよね」
 欠伸で挑発に、そして言葉で焚き付ける2連続コンボ。まさか、こんな風に言われることは想像していなかったであろう。怪人は、肩を僅かに震わせて、顔を真っ赤にして志乃を見ていた。
「五月蝿い五月蝿い五月蝿い!私は勝負から逃げるなんてことはしない!このもやしどもがぁ!」

 二人の使用するキャラクターがスタート地点に止まり、合図を待っていた。怪人が使用するのはスピードも早い重量級の車種でキャラクターもそれに合わせたもの。一方、志乃が使用するのは、怪人が使用しているものよりも劣る、アクセルも最高時速も遅いキャラクターと車種だった。
「フンッ!そんな弱い雑魚で勝てるとでも思ったか?」
 嘲笑うように言う怪人に志乃は反応も示さない。何かまた言おうとした瞬間。スタートの合図が鳴る。
 少し反応が遅れた怪人は、すぐさまに立て直す。流石、最高時速が早いキャラクターだ。直ぐに志乃に追い付いた!──ように見えたが、何故か志乃に追い付けない怪人。それどころか、何度も落ちる落ちる。
「クソッ、どうなってる!?」
 元々挑発のせいで頭が回らず、プレイは雑になっていた。のだが、益々雑になって来ているのは、強キャラクターを使用しているにも関わらず、志乃に勝てないからだった。
「あーあーあー。
大丈夫ー? もう何回落ちたか分かんないよ?
どーしてアクセルも最高時速も遅い私のキャラがそんな速いんだって?
スキルの差じゃないの?」
 そう言うと、コーナリングでターボ連発。華麗に他のキャラクターを場外に追い出した。
「この、車種とキャラはハンドリング及びドリフト力において、指三本に入るキャラなんだ」

「つまり、アクセルも最高時速も考えてない。数値に頼らない、自分のスキルで戦ったんだよ」
 志乃がそう言うと同時に、ゴールする。そして怪人に向けて志乃は止めの一言を。
「あなたは、キャラの力に頼りきって自分自身の力で戦ってないんだよ。その時点で、あなたは負けてる」

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅杜守・虚露
【POW判定】
[怪力][恫喝][グラップル][気合い]を使用。
ラムチョップを骨ごと噛み砕きながらUCを発動、諸肌脱ぎで上半身をさらしその筋肉を怪人に見せつける。

「その身体付きじゃ、力にゃ自身あるんじゃろ?だったら、腕相撲なんてどうじゃ?」

鳩尾くらいの高さのある樽を中央に向かい合っての腕相撲じゃ。ただ勝つではいかん。相手の力を受けつつも力でねじ伏せる。最初の重圧は気合いで受けきって力で潰す横綱相撲をみせて怪人に心身共に負けを突きつけてやろうかのう。



●第2ROUND!
 キマイラフューチャーの中心街の広場に、ラムチョップを骨ごと噛み砕く筋骨隆々の大男の姿があった。彼は浅杜守・虚露(浅間雲山居士・f06081)。
 虚露は広場中央にいた怪人の目の前まで来ると、徐に1つ、ラムチョップを取り出しかぶりついて見せた
 ───なんてワイルドなんだ!
 虚露の筋肉が活性化し始め、筋繊維を刺激し全身の筋肉がフル稼働した。
 これは、彼のユーベルコード『フードファイト・ワイルドモード』によるものだった。食す肉の量と質に応じて全身の細胞が活性化し、戦闘力が増加する。"本気"で挑戦を挑むべく、ユーベルコードを使用したのだ。
 虚露は諸肌脱ぎで上半身をさらし、その筋肉を怪人に見せつける。
「フンッ!少し筋肉があるからといって、勝てると思っているのならお門違いだな!」
 虚露の筋肉を一瞥すると、生意気な奴めとなめた口を利く。──どう筋肉量と体型を比較しても、虚露の方が上なのだが、どうしても認めたくないのだろう。別段苛立ちもしなかった虚露は触らぬ神に祟りなし、怪人の言葉をスルーしようとも考えたが、怪人へ心身共に負けを突きつけるために一手を打つ。
「人を愚弄することは、感心せんのう。
 もしやお前は、勝手に弱者を攻撃し、抑圧されたものを発散する小心者じゃったか!
 そうであったのならお前に勝ち目は無いのう?」
 虚露の言葉には"恫喝"の意味合いも兼ねていた。語気を強めて言う虚露からは、恐怖さえ感じ取れる。
「フ、フンッ!た、た、戦ってやろうじゃないか!」
 怖いんだな。吃音が激しくなってるぞ。
「その身体付きじゃ、力にゃ自信あるんじゃろ?だったら、腕相撲なんてどうじゃ?」
 虚露は怪人が怖がっている内に勝敗を着けるべく、すぐさま提案をすると怪人はすぐに承諾。
 虚露との腕相撲対決が今。始まりを告げようとしていた!

 中央には虚露の鳩尾位の高さの樽が佇んでいた。そして樽を挟み対面する2人。一方はムキムキの怪人、そしてもう一方は虚露。2人が構えの姿勢を取ると、試合開始の合図は突如鳴り響く。
 レディ……………ファイッ!!
 勢いよく力を内側に入れ始める怪人。怪人の力が圧倒的にあったためか、虚露の腕は押され気味になり、いきなりのピンチ!
「フンッ!息巻いていた癖に、大したこと無いじゃないか!ハハハッ!」
 気分がいいとでも言わんばかりに嗤う怪人。虚露の手の甲が地面に着くかと思いきや、刹那。
「はぁっ!」
 虚露の腕にぐんと力が入った。怪人の力の重圧を押し切り、力で潰しにかかると苦悶の表情を浮かべる怪人の姿が。
「フンッ!な、何故だ!!何故私の力を押し切れたのだ!?」
 虚露は元々、怪人が加えるであろう最初の重圧を、ギリギリまで受けるパフォーマンスをする予定だった。当然、簡単に圧に押され負けそうになっている挑戦者を見れば、怪人は絶対に勝てる!と勝利を確信し天狗になり悦に入る。怪人がそうなったところで、一気に叩き潰し心身共に打ち負かす。
 ダァンッ!
 樽上の2人の腕は、叩きつける音を立てる。勝敗はいかに!──勝ったのはムキムキの怪人か、それとも虚露か!

 虚露が怪人を叩き潰す形になり、この腕相撲の勝者は虚露となった。

 ムキムキの怪人VS挑戦者─────勝者。挑戦者虚露!

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
<WIZ>
アルパカさんって、勝負から逃げないんだよねっ?
だったらeスポーツであたいに勝ってみせてよっ!
他のスポーツで勝っても、eスポーツで負けたって事実はずっと残っちゃうもんねっ?

ふっふ~んっ♪
eスポーツといえばFPS(ファーストパーソンシューター)だよねっ!
他のプレイヤーも混じったマルチ対戦で勝負だよっ!

あたいはスナイパーライフルを主兵装の狙撃手になるよ!
副兵装はアサルトライフルだから、中距離も戦える仕様だね
周囲を警戒して、物陰に隠れながら移動するよ
そして標的を見付けたら、冷静に狙いを定めて……ヘッドショット!
撃ったら車を奪って逃げるよ

※使えそうな技能はフルに使用するよっ!
※アドリブ歓迎っ!



●第3ROUND!
「アルパカさんって、勝負から逃げないんだよねっ?」
 そう声を掛けたのは蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)だ。あれほど立て続けに負けたのだ、少しはしおらしくなっているかも知れない。
「フンッ!当然だ!逃げるわけが無いだろう!
 だが、小娘の勝ち目はない!!」
 訂正。全然心が折れてない。これでも、これまで全敗してるんだよね??精神が強靭すぎるよ!
「だったらeスポーツであたいに勝ってみせてよっ!
 他のスポーツで勝っても、eスポーツで負けたって 事実はずっと残っちゃうもんねっ?」
 レモンの口にした"負けた"という言葉にピクリと反応を示す。
「フンッ!私が負ける?何を馬鹿なことを!
 秒殺されて泣きべそをかく事になっても知らないぞ?」
 造作ないと言わんばかりに威張りまくる、ムキムキの怪人。これでも、これまで全敗している(二回目)。
「ふっふ~んっ♪
 eスポーツといえばFPSだよねっ!
 他のプレイヤーも混じったマルチ対戦で勝負だよっ!」
 レモンはニコニコとしながら、ソフトを取り出しセットすると、ゲームを起動。
「アルパカさんも好きな武器を選んでね!」
 レモンは楽しげにそう言うと、ムキムキの怪人との対決に思いを巡らせ、対戦を心待ちにしていた。

 レモンが選んだゲームはどちらかというとリアル系FPSに分類されるものだ。開始直後、なかなか怪人を見つけることができずにいたレモンは、スナイパーライフル──SRを構えスコープを覗き込み、怪人の操作するアバターが物陰に隠れていないか捜索。
「(あっ、いたいたっ!
 でもSRで撃つには、距離が近いかも?)」
 案外あっさりと見つかった怪人のアバターを一瞥すると、スコープを覗き込んだレモンは、副兵装のアサルトライフル、通称ARに持ちかえた。レモンは怪人のアバターの胴体めがけフルオート!
 バンッバンッ!
 2~5発撃っては止めを繰り返し、戦場を移動。

 ダダダダダダダン!

「(っ!)」
 レモンのアバターを銃弾が掠めた!ムキムキの怪人がレモンに向け撃ったようだ。怪人が使用するのはサブマシンガン──SMGだ。近距離戦においてレモンの使用するARと比べると、SMGが優れている場合が多く不利になってしまう。
「(物陰に隠れながら移動をして、距離を計らせてもらおうかなっ!)」
 そう判断したレモンはその場を離れ、ちょうど良さそうな場所を見つけるべく奔走する。離れた場所に来るとSRを構え、スコープを覗き冷静に正確にAIMを行うと移動しながらスナイプ!
「うん。今だねっ!」
 正確に放たれた弾道は、一点のズレなく頭に命中!華麗なヘッドショットを決めると、周辺にあった車を奪い、すかさず逃げるレモン。

「フンッ!認めないぞ!私は認めん!!!」
 どこまでも悔しがる怪人を横に、勝利を納めたレモンは笑うのであった!

「今度はもっと技術を磨いてから遊ぼうね!」

 誰よりもこのゲームを楽しんだレモンは、友達の家に遊びに来た子供のようにアルパカさんに挨拶をすると、この場を離れるのだった。

 ムキムキの怪人VS挑戦者─────勝者。挑戦者レモン!

大成功 🔵​🔵​🔵​

バッカンボー・パディストロー
HAHAHA!ユーはパワーに自信があるのですネ?なら、ワタシとちょっとした力比べデ遊びませんカ?【POW】

ルールは簡単!キャッチボールをして、先にキャッチ出来なかった方の負けというルールデス!タダシ、使うのはボールではなくこの麦稈ロールデース!ですかラ、正確にはキャッチロールですネー!(【破城麦】の麦稈ロールを呼び出す)

フフフ、ちゃんと受け止めてくださいネー?貧弱で、脆弱な、もやしサン?それではゲームスタートデース!……ワタシ、結構怒ってるんですヨ?(「怪力」+「力溜め」も使って、レベル×1トンの麦稈ロールをアルパカ目掛けて全力投球します)

アドリブ歓迎デース!



●第4ROUND!
「HAHAHA!
 ユーはパワーに自信があるのですネ?なら、ワタシとちょっとした力比べデ遊びませんカ?」
 豪快に笑うその男はバッカンボー・パディストロー(麦わらおじさん・f03764)だ。パディストローは、言葉を投げかけると、怪人のもとへ近付いていく。
「フンッ!受けて立ってやろう!
 農業なんぞやってる人間なぞに負けるつもりもないがな!」
 ムキムキの怪人は完全にパディストローを蔑視したまま言葉を続ける。
「フンッ!ただの人間ごときが対決を申し込んでくるとはな!その勇気だけは認めてやろう。」
 いかにも高慢な態度に、いつもは柔和で温厚なパディストローの表情も固まってしまうだろう。パディストローは気を取り直して、あくまで柔和な表情を崩さず口を開く。
「力比べを行うのは、キャッチボールデス!」
 にこやかに笑うパディストローに、怪人は怪訝そうな視線を向ける。パディストローは気にせずルールを説明し始める。
「ルールは簡単!
 キャッチボールをして、先にキャッチ出来なかった方の負けというルールデス!
 タダシ、使うのはボールではなくこの麦稈ロールデース!」
 そう言い、パディストローは麦稈ロールを呼び出す。
「ですかラ、正確にはキャッチロールですネー!」
 怪人はパディストローの話を聞くと、フンッ!と鼻で嗤い、麦稈ロールを足で踏んづけ蹴り倒す。
「実に貧弱で脆弱な人間らしい発想だ!ハハハハハ!麦稈ロールなぞ取るに足らん!」
 麦稈ロールがこんなにも、こんなにも……。
 パディストローの呼び出した、この麦稈ロールが特殊であることを、この時の怪人はまだ知るよしもない。

「フフフ、ちゃんと受け止めてくださいネー?貧弱で、脆弱な、もやしサン?それではゲームスタートデース!」
 パディストローの呼び声で始まったキャッチボール。パディストローはいとも簡単に麦稈ロールを持ち上げると、先ずは軽く怪人の方へ投げやり、様子を見る。
「フンッ!くだらんっ……!」
 怪人は何とかキャッチ。思ったよりも重かったのだろうか?少し足元がふらついているような……?
 それはそうだ、この麦稈ロールはパディストローのユーベルコード『破城麦』に使用される麦稈ロールなのだから。
「……ワタシ、結構怒ってるんですヨ?」
 そうパディストローは言うと、麦稈ロールを持ち上げる。これからパディストローが行動するは全力投球。
 『破城麦』──それは単純で重い、20tもの麦稈ロールによる全力の一撃を叩きつけるユーベルコード。
 パディストローはすぐ投げることをせずに溜めに溜める。そして、重い麦稈ロールをパディストローは相手に向け投球。綺麗な放物線を描き怪人の元へ一直線!

「フンッ!こんなもの受け止めt……」

 ドスン!と重い音が響く。顔面から直撃を食らった怪人は、麦稈ロールと一緒に倒れこむと完全ノックアウト!
 麦稈ロールがこんなにも、こんなにも──重いなんて。

 こうして完全に力負けした、ムキムキの怪人はどうしようもない悔しさに打ちひしがれるのであった。

ムキムキの怪人VS挑戦者─────勝者。挑戦者パディストロー!

大成功 🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
■POW重視

ほぅ、力比べか!面白い、この花盛乙女も混ぜてくれ!
なに?ひ弱そうな女など話にならん、だと?
…分かった。貴様らには直接分からせねばならんらしいな。

先の御仁の樽を借りよう。私とも腕相撲勝負をしようじゃないか。
手の平はいらん。小指一本で相手してやろう。
貴様らは両手でもなんでも使うがいい。
デカいだけの肉には遅れをとらんさ。
さて…ここまで言われてよもや受けんとは言うまいな?

私の『怪力』を持ってして、何されようと腕を微動だにさせず、圧倒的に勝つ。
相手が男なら、指を握られるだけでユーベルコードが疼いて力が増すだろう。

そこまで鍛えるのには眠れない夜もあっただろうに、御苦労な事だな。

【アドリブ歓迎】



●最終ROUND!
 中心街の広場に居る怪人を、興味津々に見つめる姿があった。彼女は、花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)。力比べと聞きつけやって来た乙女は、怪人の前に立ちはだかった。
「力比べとは……面白い!この花盛・乙女も混ぜてくれ!」
 乙女はそう怪人に告げる……だが。
「なに?ひ弱そうな女は話にならん、だと?」
 そう、怪人は強い相手との対戦を望んでいるのであって、脆弱な奴との対戦は望んでいないのだった。怪人にとって、女子供は貧弱で脆弱な奴だという認識だ。詰まる所、乙女のことなど挑戦者おろか、眼中になかったのだ。
「……分かった。貴様らには直接分からなせねばならんらしいな」
 乙女は沸々と湧きあがる怒りを言葉に滲ませていた。随分女性を軽視しているものだと、呆れさえしてくる。
「フンッ!やれるものならやってみろ、貧弱で脆弱な小娘よ!」
 乙女の怒りなど露知らず、怪人は不敵に笑い勝負へ誘う。

 中央には他の猟兵が置いていった樽があった。その樽の前へ乙女が立つと、怪人に向け言う。
「私とも腕相撲勝負をしようじゃないか」
 ふっと乙女は不敵に笑い返すと、掌を態とらしくひらひらと見せる。
「掌はいらん。小指1本で相手してやろう」
 そう言った乙女に怪人も何かを言い返そうと口を開きかけた時、彼女は口を挟む隙をも与えず言葉を続けた。
「貴様らは両手でもなんでも使うがいい。
 なに、私はこんなデカいだけの肉には遅れをとらんさ。
さて……ここまで言われてよもや受けんとは言うまいな?」
 怪人を畳み掛ける乙女は、勝負を受けるのか否かを念押しに聞く。こんな風にされてしまっては断れまい。勿論、これも乙女の策略であり挑発だ。態々挑発に乗せるようなことをしたのは、彼女の経験上こういう──言わば筋肉馬鹿は挑発に乗せられれば乗せられる程、考えなしに行動すると相場が決まっているからだった。
「フンッ!当然だ!受けてやろう、この小娘が!」
 挑発に簡単に乗せられた怪人に乙女は小指を出す。小指を握られた、乙女はぴくりと体が反応する。彼女は、女性のみの刀剣衆の隠れ里の出身のためか、それと里の教育もあったのだろうが、そのせいで異性に対して抜群に警戒心が高かったのだ。

「くっ…剣士として生きるこの私に、女であるというだけで、辱めを与えようというのか!このデカいだけの肉塊が!」

 乙女はそう悪態をつくと、ユーベルコードを発動。乙女のユーベルコード『折れず曲がらず散らぬ誇りは花より強く』は男性に対しての強烈な苦手意識のために、敢えて不利な行動をすることによって、身体強化を促すものだった。
 身体強化された乙女は、怪人の重圧を受けるも微動だにせず、勢いよく押し返す。

「ぐああああああ!」

 怪人の力を押し返し、見事なまでに圧勝した乙女は怪人を一瞥すると、この場を離れるのだった。

「そこまで鍛えるには眠れない夜もあったろうに、御苦労な事だな」

 負けて放心しきっていた、怪人には彼女の同情の声も届かない。こうして、圧倒的な勝利を怪人にお見舞いしたのだった。

 ムキムキの怪人VS挑戦者────勝者。挑戦者乙女!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『敵アジト攻略戦』

POW   :    正面から殴り込み、戦闘員を力技で叩き伏せて制圧する。

SPD   :    密かにアジトへ潜入し、重要個所の爆破や敵の分断といった内部からの撹乱を行う。

WIZ   :    外部からアジトのコンピュータをハッキングし、施設の制御を奪ったり、偽の指令を出して自滅させたりする。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アルパカなのにヒィヒィ泣くの?フェェェェじゃないの?どっちなの?
 果敢に勝負した猟兵たちの活躍もあってか、ムキムキの怪人は心身共にボロボロの満身創痍だった。全戦全敗、惨敗した怪人は、頭を垂れて泣いていた。

「何なんだよぉ、あいつら、ぞん"な"の"あ"り"え"な"い"ぢゃ"ん"」

 ヒィヒィ泣きながら弱音を吐くムキムキの怪人は、どうにもシュールだ。暫くして、怪人は泣き止んだかと思うと、すっくと立ち上がり猛ダッシュ。

「私聞いてないもん。逃げるわ」

 なんだそれふざけんな逃がすかよ、そう思いつつ猟兵たちは怪人を追うだろう。
 そんな情けない怪人が逃げていった先は、中心街郊外にある廃工場だ。怪人はそこをアジトとして拠点にしていたようだ。
 あの情けない怪人を倒すのはもう少し先になりそうだ。先ずはこのアジトを攻略しなければ。そう易々とアジトの居場所を教えるような行動をとった怪人に対し、疑問視しつつ警戒しつつ猟兵たちは進んでいくことになるのだった。
エウトティア・ナトゥア
依頼掲示板前広場で参加

レモン殿(f05152)の行動に紛れて、潜入するのじゃ

「ダッシュ」「騎乗」「迷彩」「忍び足」「地形の利用」「ロープワーク」使用

上手くアジトに潜入できたら内部のかく乱を行うかの
騎乗し透明状態のまま、パニックホラーの怪物ムーブで戦闘員を一人一人仕留めて回るのじゃ
くっくっく…仲間がひとりまたひとりといなくなっていき、ふと気がついたら全裸であられもない姿で逆さづりにされていく恐怖を味わうのじゃ(♂限定)

むむ、何やら物資(プロテイン)を集積している部屋があったのじゃ。重要そうな場所じゃし、ついでに破壊していこうかのう
爆風の術を封入した矢をあるだけ撃ち込んで、離脱後に爆破するのじゃ


蛇塚・レモン
チーム【依頼掲示板前広場】

<WIZ>
嘘の情報を流して、見張りを混乱させるよっ!
エウトティアさんの実力行使と相乗効果を狙えば、見張りはアジトから逃げてゆくかも?
内部の撹乱は、レニーさん、よろしくねっ!

まず、あたいは慌てたフリをしながらアジトの門番に話しかけるよ(コミュ力)
大変だよっ! この建物は既に爆薬が仕掛けられているらしいよっ!
早く避難して~っ!?

反応してあたいの顔を見た門番に、アイテム白き蛇神の眼力の催眠術で爆弾騒ぎを信じ込ませちゃえっ!
(催眠術+恐怖を与える)
ほらほら、早くしないと此処はどかぁ~んっと吹っ飛んじゃうよ!
みんな逃げて!
あ、犯人はアルパカ怪人だよ
ゲームに負けた腹いせだって……


琥珀川・れに
チーム【依頼掲示板前広場】
レモン、エウトティアと一緒

SPD
ほかに敵がいるか分からないが
【聞き耳】で相手側の罠を警戒だ。
もし何かあれば【カウンター】でスパッと切るか【気絶攻撃】かで静かにしてしまおう。

エウトティアと同じく敵と出あわないように【目立たない】で侵入。
適度に潜ったら【罠使い】僕も爆破作業だな。

ははは。よく燃える。
こうやって周りは撹乱させて見張りを機能させないようにすればいい。

どさくさに色々叫んでやろう
「あのアルパカ心中するって泣いてたぞー!」
これは【言いくるめ】…なのか?

※アドリブ大好き・楽しみ。省略・追加アレンジご自由に。



●阿鼻叫喚パラダイス!!!
 アジトを攻略すべく、やってきたエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)、蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)、琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)の3人。
「えぇと……門番ってあの全身タイツの人か?」
 変態っぽいんだが、と思いつつ遠目から確認した琥珀川は、少々引き気味に蛇塚とナトゥアへ訊ねる。
「う~ん……た、多分?」
「……なんというか、気持ち悪い門番じゃ」
 2人も引き気味に様子を伺う。3人の視線の先にはムキムキの筋肉がプリントされた全身タイツの男が。このアジトに居る戦闘員って全員あんな感じなのかな、と疑問に思いながらレモンは琥珀川とナトゥアに作戦を伝える。
「とりあえず、あたいが嘘の情報を流して、見張りを混乱させるよ!」
「レモン殿が見張りを混乱させている内に、わしとれに殿が潜入かのう?」
「後は各々って感じだな。内部の攪乱なら僕に任せてくれ」
 各々が策謀した内容を確認したナトゥア、蛇塚、琥珀川の3人は作戦遂行に取り掛かる。

「大変だよっ!」
 少女は門番の前に来ると、慌てた様子で話し掛ける。
「そんなに慌てて……何が大変なんだ?」
「この建物は既に爆薬が仕掛けられているらしいよっ!
早く避難して~っ!?」
 門番は少女の言葉に驚き、その少女、蛇塚の顔を凝視した。蛇塚の瞳──白き蛇神の眼力の催眠術は、爆弾騒ぎを真実の物事として刷り込んでいく。
「何ぃ!どうしてそんなことにぃ!?」
 サーっと顔の色を変えた門番は、アジト内部の戦闘員に伝えなければと狼狽え始める。
「おいっ!大変なことになってるぞ!」
 そんな所にやってきたのはムキムキの筋肉がプリントされた全身タイツを身に付けた……うん。同じ格好だしきっと戦闘員だ。
「どうしたんだ!?」
「実は、カクカクシカジカで……になってるんだ!!!」
「何ぃ!どうして全裸で逆さづりなんかに!!」
 アジト内部では、次々と戦闘員があられもない姿で宙吊りになっているらしい。恐怖と驚きが綯い交ぜになった感情が襲い、またもや狼狽え始めた門番と戦闘員。
 蛇塚はこれが誰の仕業か分かっていた。
「(うんうんっ!好調だね!エウトティアさん!)」

 数分前、蛇塚が丁度門番の前に来た頃合いだろうか。ナトゥアはアジトに侵入すべく、作戦に着手していた。
『風の精霊よ…隠秘のベールで覆い隠しておくれ。』
 ナトゥアのユーベルコード【風精霊のベール】は、自身と自身の装備、一緒に狼に騎乗している対象1体を透明にするもの。
 巨狼マニトゥと彼女自身を透明に、ナトゥアはそれを確認すると侵入を決行する。門番共々、蛇塚に気を取られ此方に気付けていなかったらしく、呆気なく侵入出来た。
「(さてと……それじゃあかく乱を行うかの)」
 ナトゥアは巨狼マニトゥと共に戦闘員を蹂躙していく。
「うわっ……ぐええええ!!!」
「おいっ!お前どうしたんだ!?何もない所で急にぶっ倒れt………ぐええええええ!」
「「ぎぃやあああああああ!」」
 戦闘員は透明なナトゥアたちに、次々と仕留められていく。
「お、お前等、何で全裸で逆さづりに……!?」
「分からねぇ……どうしてこんなになっちゃったんだ……う、っう」
 逆さづりになって号泣する戦闘員(男)と困惑する戦闘員(男)たちは、ホラー映画とかそんなものでしか見たことがない展開に恐怖を覚える。
「こんなとこ逃げだs…………ぎゃあああああ!」
 恐怖にうち震え逃げだそうとする戦闘員にも容赦はしない。アジト内は阿鼻叫喚していた。
「くっくっく…仲間がひとりまたひとりといなくなっていき、ふと気がついたら全裸であられもない姿で逆さづりにされていく恐怖を味わうのじゃ」
 ナトゥアのかく乱行動は戦闘員たちを阿鼻叫喚にさせ、恐怖を与えた。
「(むむ、これは………物資(プロテイン)かの?
 ほほう、ここは物資(プロテイン)の集積部屋ということかの。」
 かく乱していく内にかなり奥の部屋にまで来ていたナトゥアは、ある部屋を見つけた。どうやら物資倉庫のようで、色とりどりのプロテインとプロテインとプロテインが積まれている。
「(重要そうな場所じゃし、ついでに破壊していこうかのう)」
 ナトゥアは爆風の術を封入した矢を、あるだけ撃ち込んでいく。あっという間にも、撃ち込まれた弓矢は部屋中を覆いつくした。
「(離脱するのじゃ!)」
 爆風の術の発動をするのは、自分が巻き込まれることがないようその場を離脱してから、そう考えたナトゥアは疾走しその場を離れた。

 さて、時間は戻りアジト門番前。
 アジト内部での全裸で逆さづり事件の話題で戦々恐々としている戦闘員の様子を眺めていた、蛇塚はすうっと息を吸い込むと口を開く。
「ほらほら、早くしないと此処はどかぁ~んっと吹っ飛んじゃうよ!
 みんな逃げて!」
 蛇塚のその言葉に戦闘員は、ますます狼狽える。情けない戦闘員である。
「おい!お前らこんなとこで何やってる!」
 そんな所にやって来たのはまた別の戦闘員である。
「アジトの中が燃えて、それに真っ暗なんだぞ!」
「次から次へと……なんなんだ!誰の仕業なんだ!?」
 頭を抱える戦闘員たちは不測の事態に対応出来ずに尻込みしていた。
「あ、犯人はアルパカ怪人だよ
 ゲームに負けた腹いせだって……」
「「「何ぃ!!!!!!」」」
 蛇塚の言葉に衝撃を受けフリーズ。
「と、いうことは……アルパカさんは腹いせと心中を同時にやろうとしてるってことなのか……?」
「え……どういう事だよそれ!」
 "心中"という言葉に反応を示した戦闘員は今にも泣きそうだ、アルパカさんが心中を決意してしまったのが悲しかったのか、ただ単に怖いからなのか。それは知るよしもない。
 撹乱は上手く成功しているようだ。"心中"騒動を起こしたのが誰かも蛇塚には、分かっていたのだった。
「(レニーさんも順調みたいだねっ!)」

 またまた数分前、蛇塚が丁度門番の前で門番と話し、ナトゥアがアジト内部へ侵入した頃。琥珀川はアジト内部の主に制御装置が置かれている場所へ侵入をしていた。
「(案外、簡単だったな……)」
 アジト内部の制御装置や精密機械がある場所なら、もっとセキュリティを強化した方がいいんじゃないのか、琥珀川は杜撰なセキュリティに疑問を抱きつつ、歩を進める。
「誰か居るのか!」
「………っ!」
 戦闘員の声に、エペ ド ルーンを素早く足元を狙い突き、くるりと身をかわすと背後に回って延髄を狙う。戦闘員は首から強い衝撃が加わったことにより気絶。
「(本当に、戦闘員全員がムキムキの筋肉がプリントされた全身タイツを着ているんだな……)」
 やはり引き気味に琥珀川は戦闘員を次々とあしらっていく。暫く進むと、アジト内の制御装置パネルがある部屋へ辿り着いた。
「よし」
 琥珀川は即席爆破装置を使って、制御パネルを盛大に爆破。ドゴーン、ズゥゥゥゥンという重い音が鳴り、爆破されたパネルから炎が燃え広がっていく。
 バツン────!
 爆破されたことによって、監視カメラや電気などの電源が落ちた。真っ暗になったアジト内は更に混乱を極める。
「何だ、何だ、何だ!!!」
「どうなってる!?」
 琥珀川は混乱に乗じて、あることないことを叫ぶ。
「あのアルパカ心中するって泣いてたぞー!」
「え、心中だと……!?」
「いくらボスだって、俺……俺は死にたくなぁーい!嫌だあああああ」
「俺だって……心中するなら美人の女の子がいい!」
 こっちはこっちで地獄絵図である。琥珀川の言葉に上手く惑わされてくれたようだ。
「って、ぎゃああああ!なんで制御パネルが燃えてるんだ!あち!あちちち!」
 煌々と燃える炎をどうにかしようとするが、暗がりのせいで何がどこにあるのか、全く分からなくなっていた。
「(ははは。よく燃える。こっちの撹乱は成功だな)」
 作戦を遂行した琥珀川は、次なる衝撃の為にアジト内部から離脱。

 また時間は戻り、アジト門番前。
 戦闘員たちは、避難を始めようとしていた。
 ───その瞬間。
 ドッゴォォォォォォオン!!!
 内臓が気持ち悪くなる位重苦しい音が聞こえ、戦闘員たちは咄嗟にその方向へ視線を向けた。
「あ、あそこは!」
「「「俺たちの物資(プロテイン)!!!!」」」
 物資(プロテイン)を集積していた倉庫が爆発したのだ。あわてふためく戦闘員たちは倉庫へと一目散に向かっていったのであった。

 こうして、3人の猟兵たちによって撹乱に撹乱を重ね、ムキムキの筋肉がプリントされた全身タイツたちを、混乱させることによって攻略したのである。
 アジトの完全攻略まであともう少し!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
アドリブ◎
無駄に厨二状態

2G(グラサン)かける
ヤクザ度が増す(恫喝

「レモン含め先行した猟兵達がドンパチやらかしたみてェだなァ。
ンじゃ、後始末は任せろや(指鳴らし)テメェら、俺と力比べとイこうぜ(ニヤリ」

爆発した倉庫に先回りし煙の中から登場
外套を風で揺らし剣を肩に置く
正面から迎え撃つ
名を聞かれたらグラサン外す
「最後までお前らが立っていられたら教えてやンよ」と告げ戦闘開始

先制攻撃・2回攻撃で敵の腹に剣の柄で峰打ち
【トリニティ・エンハンス】使用。防御力up
気絶させる方向で戦闘員を薙ぎ倒す
敵の攻撃は武器受けで剣で受け流すか第六感で躱す

「一仕事終えたヤニは美味ェ」

アジト攻略出来たら一本葉巻を取り出し吸う



●寡をもって衆を制せ!
 他の猟兵たちの内部工作による倉庫爆発。それに乗じて爆煙の中颯爽と姿を現したのは杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)だ。
「レモン含め先行した猟兵達がドンパチやらかしたみてェだなァ」
 ニィと口の端を上げ不敵に笑う杜鬼は2Gを取り出し、かける。2G──とは杜鬼のグラサンの名前だ。グラサンをかけた杜鬼は迫力というか凄味すら感じる。
「ンじゃ、後始末は任せろや」
 パチンと指を鳴らしながら悠揚と言う杜鬼。そんな長身で凄味のある男が正面切って堂々と現れたのだ、その姿はまるでカチコミに来たヤクザのよ………いや何も言うまい。
 ……ともあれ、堂々と入ってきた男を見過ごす程、戦闘員たちも白痴ではない。
「おい、お前………侵入者か!」
 杜鬼と距離を置きつつ、戦闘員たちは言葉を掛けた。外套を風に揺らし剣を肩に置いた杜鬼の姿は、俺が侵入者ですと言わんばかり。
「おいおい……こんなに分かりやすくしてンだ。普通は気付くンじゃねェの?」
 その言葉を聞いた杜鬼は、呆れたように笑いながら戦闘員たちの元へ、一歩一歩近付いていく。
「さっさと、片すかァ。テメェら、俺と力比べとイこうぜ」
「はっ、何を馬鹿なことを死にたいのか?」
 杜鬼の言葉を一蹴して、嘲笑いながら挑発をする。彼は気付けば敵に囲まれていた。そう──忘れてはならない、ここは敵地なのだ。侵入してきた者が1人でも、アジトであるこの場所にはいくらでも戦闘員がいる。
「残念だったな。お仲間でも連れてきたら良かったんじゃないか?
 ああ、じゃあ名前くらいは聞いてやるよ。そしたらお仲間にも伝えてやるからさ?」
 戦闘員の安い挑発に乗ることもなく、依然として従容自若のままグラサンを外す。
「最後までお前らが立っていられたら教えてやンよ」
 それは杜鬼の戦闘開始の合図。その言葉と同時に躰に纏うは炎、水、風の魔力。力は全身を循環して防禦を固めていく。──これはユーベルコード【トリニティ・エンハンス】による力だった。
「なっ……!ぐぁ………っ」
「クソっ……は、ぁっ」
 次々と向かってくる相手を一薙ぎ二薙ぎ、剣の柄で峰打ちしていく。バタバタとドミノ倒しのように、戦闘員たちは倒れ、薙ぎ払われていった。戦闘員は果敢に向かっていくも虚しく簡単に蹂躙され、完全に杜鬼の無双状態だ。
「残念だったのは、ソッチの方だったなァ?
 寡をもって衆を制す。ソレが出来たのも実力差を理解してるか、してないかだろ」
 剣先を降ろした杜鬼は、そう言い捨てると閑静なアジトを見渡す。戦闘員たちは気絶したままそこかしこに転がっている。
 アジト内部は壊滅状態、機能不全を起こし、アジトの意味を成さなくなった。

「一仕事終えたヤニは美味ェ」

 葉巻をふかして一息つくと、杜鬼はこの場から離れ去っていく。
 こうして猟兵たちによる活躍によって、無事アジト攻略戦を見事に完全攻略したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●フェェェェ!
 アジトが破壊されていく様子を見ていたのはムキムキの怪人だ。
「ふんっ。私が下手に出てるからといって、侮辱するだなんて小癪な奴等め」
 猟兵たちにますます怒りが角ってくる。そんな怪人には手があった。
「ふんっ。はははははっ!アジトなど、私が全快するまでの時間稼ぎ道具でしかない!
 ふんっ!私がお前たちを蹂躙してやろう!」
 最低最悪な奴である。つまり怪人の言うことには、アジト攻略戦はただの時間稼ぎだったということだ。全快した状態で怪人は猟兵たちを、迎え撃とうというのか。
「お前たちが後悔するのも時間の問題だ」
 一度、メソメソ情けなく泣いた怪人に言われても、まるで説得力がない。高らかに笑って、怪人は壊滅状態のアジトに現れたのだった。
 
 今ならムキムキの怪人をフルボッコに出来る。こうして猟兵たちは、怪人との戦闘を開始するのだった。
 勝つのは猟兵か、それともムキムキの怪人か。
 負けられない戦いが始まる───。
鈴木・志乃
私有効打になりそうなUC持ってないんだよなあ
(コンコンコンコンコンコンコンコン)
困ったなあ
(コンコンコンコンコンコン)
(砂、砂利、粉的な物を集めながら)
(そーいや瓦礫にもなんか良いものありそうだなあ)

目潰しするしかないじゃん!

【目立たない】死角からUC発動
砂的サムシングを巻き上げながら怪人にぶつけたいです
花に毒も混ぜておくか【毒使い】

とにかく目線から逃げるぞ
筋肉だるまの動きを良く見て【見切り】【第六感】【オーラ防御】【スライディング】でかわすしかないな
……私の鎖で【武器受け】からの【カウンター】って出来るのか?

なりふり構わなくなってきたら
【歌唱】の【衝撃波】で鼓膜潰したい


エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加

往生際が悪いのう。またヒィヒィ泣くかの?フェェェェじゃったかの?
まあ、どちらでもよい、レニー殿f00693と一緒にくすぐり攻撃で泣かせてやるのじゃ

「属性攻撃」「誘導弾」「援護射撃」使用。
まずはレニー殿が行動しやすいように牽制を行うかの
風の刃を纏わせた矢を射かけて《鋼の筋肉》を誘うとするかの
その後、矢に気を取られている敵の背後からマニトゥに急襲させ脇腹をペロペロしてやるのじゃ
硬度を増してもペロペロには意味がないのじゃ

くすぐり攻撃を外そうと《鋼の筋肉》を解除したらガブリ!と脇腹に噛み付いてやるのじゃ
マニトゥ、あまり変な物を拾い食いしたら駄目じゃよ


琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】エウトティアと。
アルパカってそんな幼女のような泣き方…というかメンタル?だったんだな。

「クィニティ・エンハンス」で風属性のそよ風のような攻撃力に調整。
なんだかいじめがいのある声を出すアルパカをくすぐり攻撃で泣かせてみたいと思う。
僕は近所の子に混じっていたずらをしたものさ、遠いあの日のような少年心がうずくよ。あははは。

民を治める貴族としてはここだけは許せない。
「リーダーともあろう者がアジトを見捨てるなんて、最低だな!」
って、僕が壊したんだけどね。

色々やってみて反省の色が見られないのを確認してトドメの「貫通攻撃」
マニトゥに「筋は消化に悪いから吐き出したほうがいい」

※アドリブ歓迎


花盛・乙女
……なんなのだこの怪人は。
悪い悪くない関係なく腹が立つな。
刀で斬るにも少々気が悪い…やれやれ。
強い言葉を吐いた以上は相応の相手をしてやるか。

刀を納め上着をはだき腕力勝負としてやろう(真の姿)
いちいちと変な構えをしおって、馬鹿にしているのか!?
だがあれをすると奴の力が増しているのは事実。
…むぅ、厄介かつなにかと目にやかましい奴め。

敵の攻撃は受け、かわし、殴られれば殴り返そう。
至近距離まで近付けば両手を掴み、手四つの構えをとる。
単純な「怪力」比べだ。この花盛乙女の豪力、甘く見るなよ。

…ん?
あまりにも呆けていたから忘れていたが…こいつ、男では?
私は今男と手を…?
~~~~ッッ!!は、破廉恥だぞ!!!



●変態露出狂VS猟兵
「(私有効打になりそうなユーベルコード持ってないんだよなぁ)」
 壊滅状態のアジトで様子を伺っていた鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、アルパカ怪人の方を一瞥する。
(コンコンコンコンコンコンコンコン)
 それにしたってどうするべきか、瓦礫の陰に隠れて最善策を練る。
「(困ったなぁ)」
 溜め息を落としながら状況を確認する。アルパカ怪人は敵味方関係なく暴れ始めているようだった。好き勝手な事をして、戦闘員たちにとってもいい迷惑である。
(コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン)
 アルパカ怪人はきっと力業で来る、単純な戦闘力は高い筈だ。一筋縄では行かないだろう。
(コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン)
 建物が崩壊し瓦礫の山になった此処には、沢山の砂や砂利、粉塵等が散らばっていた。
「(そーいや瓦礫にもなんか良いものありそうだなぁ)」
 鈴木は、散らばった瓦礫をかき集めて、また手を動かす。
 先程からずっと鳴っていた音の正体、それは彼女が地面や石をを細かく砕いていた音だったのだ。あの筋肉だるまの動きを崩すのであれば、何が良いのだろうか?
「(よし!)」
 暴れ回るアルパカ怪人へ向かって疾走して近付いていく鈴木。当然それに気が付く訳だが……。

「フンッ!安直に突っ込もうとするs───ンがぁっ!」

 鈴木が怪人に触れるまでも行かず、離れた何十m前ぐらいの所で、白いマーガレットの花弁と共に粉塵が怪人を襲う。
「目が………!目がぁ!」
 顔面直撃を喰らったアルパカ怪人は、両手で目を塞ぎ呻き声を上げる。この台詞、何処かで聞いたことがあったような……まあ、そんなことはどうでもいいか。
 これは彼女のユーベルコード【真実の愛(サガシモノ)】だ。自身の装備武器を無数の白いマーガレットの花弁に変え、自身の限られた周辺の、指定した対象全てを攻撃するものだ。
「おのれェ………!!」
 鈴木のユーベルコードを喰らったアルパカ怪人は、怒りのまま拳を振り上げ始める。怪人は彼女が居るであろう場所へひたすらタコ殴りをする。
「(とにかく目線から逃げる!)」
 乱雑になった筋肉だるまの動きを読むことなど、容易い。鈴木はアルパカ怪人の動きを見切り、瞬時に対処する。敏捷な身のこなしで、軽々と回避をしていく。簡単にも思えるだろうが、五感からの膨大な情報量を捌きながらこれをこなすのは至難の技だ。これをやってのけられるのも、頭脳明晰な彼女だからかもしれない。
 ブンっ!
 振り上げられた大きな腕が彼女の脳天目掛け、降り下げられた!
 ガキィッ!
 だが、彼女の脳天に届く前に何かにそれを阻まれる!
「……残念でした」
 冷静にそう言い捨てた鈴木が構えていたのは、光の鎖。降り下げられた腕を受け止めたのは、彼女の鎖だったのだ。またしても、回避されたアルパカ怪人は顔を真っ赤にして、今にも噴火しそうな勢いだ。
「クソッ!」
 するとアルパカ怪人は鈴木に背中を向け走り出したではないか!
「!……逃げるなんてみっともない!」
 鈴木も逃がす気はない、筋肉だるまの後ろから追いかけようとしたその時。

「往生際が悪いのう」

 ヒュンと風切り音がアルパカ怪人の耳を通り抜ける。放たれた弓矢は足元ギリギリに突き刺さる。エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は呆れたように溜め息を落とす。
「また、ヒィヒィ泣くかの?フェェェェじゃったかの?」
「あはは。アルパカってそんな幼女のような泣き方…というかメンタル?だったんだな」
 ナトゥアの言葉に苦笑しながらそう言ったのは琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)だった。

 そのやり取りを見ていた鈴木は、筋肉だるまを後はナトゥアと琥珀川に任せ、そっと身を隠すことにした。

「どいつもこいつも!フンッ!私は泣いてなどいない!」
 ナトゥアと琥珀川にイジられたのが気に食わなかったのか、アルパカ怪人はますます鼻息を荒くし、猛攻を始める。
「そうは行かせぬ」
 だが、ナトゥアの風の刃を纏った矢がアルパカ怪人を襲う。四方八方からふり注ぐ矢を防ぐためにアルパカ怪人も一手を打つ。
「フンッ!こんな矢など屁でもない!」
 全身を力ませ筋肉を鋼の如き硬度へ変え、あらゆる攻撃を全て防ぐ。【鋼の筋肉】で頑丈になった躰は、矢を1つも通さず全く受け付けない。
「(待っていたぞ!)」
 対抗する術を講じていないとでも?そう言いたげにナトゥアはふっと不敵に笑う。アルパカ怪人が弓に気を取られ、防衛策として【鋼の筋肉】を発動する……そう成ることを仮定し誘導していた。【鋼の筋肉】は全て防ぐ最強の防御策、だが、動けなくなってしまう欠点があるのだ。ナトゥアはそれを利用した。
「………ん、ふ、あはははははは!やめっ、やめろあははは!
 フェェェェっ!」
 唐突にアルパカ怪人が笑いだすも、ナトゥアは動揺しない。何故ならこれこそが、2人の策であったからだ。後半は笑いすぎて泣き始めているが気にしないことにしよう。

「(なんだかいじめがいがあるなぁ……。
 懐かしい……僕は近所の子に混じっていたずらをしたものさ。遠いあの日のような少年心が疼くよ。
 あははは)」
 琥珀川は、疼く少年心を押さえつつ攻撃の手を止めることなく続ける。
 そう、アルパカ怪人が動けないことを良いことに、くすぐり攻撃を仕掛けたのはナトゥアの使役するマニトゥと、琥珀川だったのだ。背後に回ったマニトゥがアルパカ怪人をペロペロ舐め、琥珀川は【クィニティ・エンハンス】を使用し、自身の攻撃を風属性のそよ風のような攻撃力に調節し、くすぐり攻撃を仕掛けたのだった。
「ヒィーーっ!ヒィーーーっ!ふはははは」
 尚も笑い泣きし続けるアルパカ怪人。だが、やられっぱなしでもいられない怪人は唐突に【鋼の筋肉】を解除する。
「舐めるな!脆弱なお前たちと一緒にするな!」

「全く……それがリーダーの言葉かい?」

 琥珀川は呆れてそう言うと、調節していた風属性の攻撃を出力最大にしてアルパカ怪人を突き刺す。
「それにリーダーともあろう者がアジトを見捨てるだなんて、最低だな!」
 言葉と共に細剣で追い討ちをかけていく。
「(まあ、僕がアジトを壊したんだけどね)」
 急所を的確に突いていく琥珀川の攻撃と共に、黒い影が1つ。その黒い影───マニトゥはアルパカ怪人が【鋼の筋肉】を解除するのを待っていた。解除されれば、攻撃を受け付けるようにもなる。マニトゥは鋼を解除したアルパカ怪人の脇腹に噛みつき攻撃!
「うっ……痛い痛い痛い痛い痛い!」
 噛みついたマニトゥはアルパカ怪人を一切離す様子もなく、寧ろ引きちぎる位の勢いで襲いかかっていく。
「マニトゥ、あまり変な物を拾い食いしたら駄目じゃよ?」
「そうだな、筋は消化に悪いから吐き出したほうがいい」
 ナトゥアと琥珀川の言葉に、マニトゥは引きちぎらんばかりに咥えていたアルパカ怪人をペイと一投げ。いや、拾い食いとか消化に悪いとか、ケロっと普通に言う2人の方がすごいぞ。気にしたら負けだ。
「クソクソクソっ!!」
 2人にギタギタにされ、またもや逃げようとするアルパカ怪人。
 だが、それを許さない行く手を阻む者の姿があった。

「……なんなのだこの怪人は。悪い悪くない関係なく腹が立つな」

 その人物は花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)だった。彼女は刀を横一線に薙ぎ、切っ先をアルパカ怪人の寸前で止める。
「(刀で切るにも少々気が悪い……やれやれ。
 強い言葉を吐いた以上は相応の相手をしてやるか)」
 仕方がないといった感じで、花盛は刀を納める。彼女が行おうとするのは単純明快な腕力勝負。上着をはだき、彼女の姿はおどろおどろしいオーラを放つ真の姿に。態々相手の土俵で闘ってくれるというのだ、アルパカ怪人はまたとないチャンスにほくそ笑む。
「フンッ───!ハァッ!フンハッハッァ!」
 アルパカ怪人は、次々と【ポージング】し肉体美の誇示を示していく。
「(いちいちと変な構えをしおって、馬鹿にしているのか!?
 だがあれをすると奴の力が増しているのは事実。
 ……むぅ、厄介かつなにかと目にやかましい奴め)」
 怪人は目に余る行動をしてきたのだ、此方も黙って見て居られない。花盛はアルパカ怪人のジャブを受け止め、軽く流していく。ひらりと花弁のように軽々と避け、彼女も反撃をする。完全なる肉弾戦。それならアルパカ怪人の方に勝算はありそうなものだが、彼女も負けてはいない。至近距離のアルパカ怪人の両手を掴み手四つの構えをとった彼女は、攻撃の機を伺う。
「単純な『怪力』比べだ。
 この花盛乙女の豪力、甘く見るなよ!」
 力を一点集中させ、腕をねじ上げるようにしていく。が、しかし。
「………ん?」
 何かに気が付いた花盛、そして瞬時に頭が理解をすると花盛はキッとアルパカ怪人を睨み付ける。
「あまりにも呆けていたから忘れていたが…こいつ、男では?私は今男と手を…?
~~~~ッッ!!は、破廉恥だぞ!!!」
 カーーっと顔を赤らめて、ぶん殴っていく花盛。
『くっ…剣士として生きるこの私に、女であるというだけで、辱めを与えようというのか!
 この変態露出狂が!』
 花盛が感情のまま発動したのは【折れず曲がらず散らぬ誇りは花より強く(ワタシニランボウスルキダロウエロドウジンミタイニ)】だ。男性に対する強烈な苦手意識の為に、敢えて不利な行動をすることによって、身体能力が増大するものだ。
 彼女の悪態と共に襲いかかる連撃は強く重く、アルパカ怪人にダメージを与えていく。怪人は首を狙い撃ちにされ、サンドバッグ状態になっていった。

「────乙─さん。──乙女さん!」
 鈴木の呼び掛けにハッとして、正気を取り戻した花盛。
「すまないな。少々取り乱してしまったな。……奴は?」
「ああ、それならそこに転がっておるじゃろう?」
 ナトゥアが指を指した方へ花盛は視線を向けると、そこにはノックアウトされたアルパカ怪人が倒れていた。
「強烈な苦手意識が功を奏して、かな?」
 あははと笑いかけて琥珀川がそう言うと、何はともあれお疲れ様と肩をポンと軽く叩く。
 そうだ、終わったのだ。これからはあのふざけた変態露出狂を見ずに済むのだ。

 何故か女の子たちに蹂躙され、倒されてしまったアルパカ怪人。脳筋故か、POWだけにステータス全振りした故か、その結果、怪人にとっては屈辱的な終わり方になった。

 おめでとう、うら若き猟兵たちよ。
 君たちのお陰でキマイラたちの尊厳は守られただろう。
 キマイラたちの平和を守った戦勝を称えあい、猟兵たちはこの場を去っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月02日


挿絵イラスト