死者を冒涜せしめる黄泉還り
●逢いたいと願って已まないのは
あの人に逢いたいとそう願うことは悪いことなのでしょうか?
彼女はそう言って涙を流した。
だから僕はその存在を彼女に教えた。
逢いたい人の名前をそれに入れるだけで、逢いたい人に逢えるのだ、という噂があるアレの存在を。
ソレは只の噂でしかなかったけれど、彼女は一縷の望みに賭けたようで。
その後、彼女はソレを使ったかどうかは定かではない。
何故ならば、僕が彼女にソレを教えた後、彼女を視たものが誰もいなかったのだからーー。
●願いは時として
「UDC関連の行方不明事件の発生だ」
グリモアベースのブリーフィングルームに集まる猟兵達を認めるなり、黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)はそう切り出した。
「古き神の残滓とも言える邪神が呼び出されようとしている」
朔良が言うには、それが今回の行方不明事件に関わりがあるらしい。
「被害者達は20歳前後の女性で、全員が「大切な人」を亡くしたか、何らかの理由で会えなくなった者たちだ」
その「大切な人」に一貫性はなく、唯一の共通点は男ということだけだ。
恋人や夫、兄弟、恩師など被害者との関係性は様々だが、一様に被害者は強く「逢いたい」と願っていた。
「それと、ここ最近で急速に広まったとある噂も今回の件に関わりがあるかもしれない」
言いつつ朔良は自身のスマートフォンを操作して、とあるアプリを猟兵達に見せる。
「『黄泉還りの屋形』……開発元も提供元も不明なアプリだが、いずれの被害者もこのアプリを使っている形跡がみられた」
それは一見、ただの占いアプリにしか見えないものだが、これに会いたい人の名前を入れると必ず会えるという。
だが、これはおそらく意図的に広められた噂だろう。
そうでなければこんな短期間にこんな都市伝説的な噂が広がるはずがないのだから。
「このアプリをUDC組織が解析しているが、思うように進まないらしい」
様々な術式が複雑に噛み合いひとつの術式を構成しているらしく、その解析に時間がかかっているのだとか。
「それと、これを配っている男がいるとの報告もある。
何の為にこれを広めているのかはわからないが、おそらく噂の元凶はその男だろうな」
彼は呼び出されようとしている邪神とも関わりがあるのだろうか。
何にせよ現時点では不明な点が多いため、朔良も曖昧なことしか伝えることが出来ないでいる。
「しかし何よりもまずは行方不明となっている彼女たちの捜索を優先してほしい。
恐らくは『視えない』だけだと思うが、その要因となっているものも探して出してくれ。
……くれぐれもミイラ取りがミイラにならないように、気をつけろ」
そう警告する朔良の手のグリモアが輝き、猟兵達を転移させた。
綺朔
予告しておきながら出さないという選択肢はありませんでした。
どうも、綺朔(キサク)です。
さて、今回はUDCアースで多発している女性の行方不明事件を追っていただきます。
被害者達は行方不明となる直前まで『黄泉還りの屋形』という占い?アプリを使用していたことがわかっています。
このアプリについては不可解な点が多くあり、誰が何のために作成し広めたのかは現時点ではわかっていません。
もし何らかの儀式のために広めたのであるならば、必ず阻止しなければなりません。
●第1章 冒険『死者は蘇らない』
アプリ『黄泉還りの屋形』に関する調査と行方不明者の捜索です。
アプリを広めているという謎の男とも接触が可能ですが、話し合いができるかどうか(相手に話が通じるかどうかを含む)は不明です。
●第2章 集団戦『???』
行方不明者達が何らかの理由により変質してしまったものと推測されますが、現時点におけるその詳細は不明です。
●第3章 ボス戦『禍罪・擬結』
呼び出されてしまった古き神の残滓とも言える邪神との戦いです。
アプリを広めた謎の男が関わっているようですが……?
●プレイング受付について
各章断章追加後のプレイング受付となります。
断章追加及びプレイング受付についてはタグをご確認ください。
受付前のプレイング送信については採用をお約束できかねますので、ご了承ください。
●その他
本シナリオは全章通してシリアス、救いのない話となる可能性があります。
その他注意事項等は綺朔マスターページをご参照ください。
以上、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『死者は蘇らない』
|
POW : 実力行使で儀式の妨害
SPD : 儀式の現場にコッソリ潜入
WIZ : 説得する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●黄泉還りの屋形へ
行方不明となった女性達はどこへ行ったのか。
ひとつの「噂」としてあるのが、『黄泉還りの屋形』を使用した彼女たちは、「神隠し」にあったというものだ。
そこにいるはずなのに、どこにもいない「彼女達」を探すのは至難の業だろう。
行方を知っていると考えられるのは、彼女達に彼のアプリを勧めていたという男だけだ。
もっとも、彼がすべてを知っているかどうかは定かではないのだが、男が唯一の手がかりでもある。
猟兵達はUDC組織のエージェントたちと協力しながら、行方不明となった女性達を探すために行動を始めるのだった。
ココ・エネコ
こちらココ・エネコ!これより行方不明者の捜索とアプリ「黄泉還りの屋形」の調査を行います!
…さて!まずは周りの女の人たちを中心にアプリをインストールしてるか聞いて、どこからそのアプリをインストールしたかを聞き出すのかだねぇ~
それと…リストに載ってる行方不明者たちの関係者との事情聴取も必要だよね…
まずは行方不明者たちの関係者とお話するか!
あ、そうそう…一応念の為に音声記録機を忘れずに着けておいて…っと
さぁ〜て!調査開始だ!
行方不明者の捜索とアプリ「黄泉還りの屋形」の調査のためには、まず何をすべきか。
UDC組織より預かった行方不明者のリストを片手に、ココ・エネコ(夢と希望の執行猫・f32999)が向かったのは、行方不明者が一番多く出ている地域だった。
「こちらココ・エネコ!
これより行方不明者の捜索とアプリ「黄泉還りの屋形」の調査を行います!」
UDC組織から貸し出されたボイスレコーダーをつけて、テストがてら調査の宣言を行うココのことを、同行した女性エージェントは微笑ましそうに眺めていた。
「……そういえば、お姉さんはあのアプリをインストールしてるの?」
「ええ、一応持ってはいるけれど、使ってはないかなぁ。
でも今から向かう行方不明者達の関係者に彼女達と同じようにアプリを使った人がいるみたい」
ほら、と女性エージェントに見せられたスマートフォンの画面には、「黄泉還りの屋形」が開かれていた。
このアプリは口コミでしか広がっておらず、インストール方法も通常とは異なるものらしい。
つまりは、表には出ていない特別な方法でしか手に入らないもので、手に入れるのにとても苦労したのだとか。
ちなみに女性エージェントがアプリ「黄泉還りの屋形」をインストールしながらも使用していないのは、「逢いたい人というものが思いつかなかったから」なのだとか。
「そっかぁ。
じゃあ、まずはその人達に話を聞きに行こう」
被害者達からその関係者へ。
まるで感染するかのごとくそのアプリが広がっているというならば、その関係者の中にも行方不明となるものが現れる可能性がある。
「さぁ〜て!調査開始だ!」
これ以上被害を広げないためにも、まずは関係者に話を聞きに行く必要があると判断して、ココは女性エージェントを伴って関係者達に会いに行くために動き始めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
愛野・黒子
アプリをダウンロードし、昔から探している女の子の名前を入力します。(もちろん結果は任せます。)
「……男女間だけかー。私が使っても見つからないだろうなー……一応聞いてみるかー」
謎の男をUDC職員に探してもらい、自身は人型になって接触します。
私が会いたい人には会えるのかという話を中心に、
なぜ女性が男性と会おうとすると消えるのか、女性が女性に会おうとしても消えないのか。等を聞いてみます。
アプリ「黄泉還りの屋形」は、使用者の紹介でしかダウンロードのページを見つけることは出来ない。
だが、それは一般人の話であって、UDC組織に協力している猟兵である愛野・黒子(ブラックタールらしきもの・f13343)には関係がないことだった。
「「逢いたい人に逢える」か……。
これを使えば、私が昔から探してる『彼女』にも会えるのかな?」
効果が出るのは即時、というわけではないだろう。
その確率がたとえ低いものであったとしても、実際に体験した者の話があればそれは「そういうものだ」として広まる。
そしていつしか「噂」として広まったものは誇張し、脚色されることもしばしばあり――
「……これって、男女間だけなのかな?
私が使っても見つかる可能性って、あるのかな?」
黒子が探しているのは、彼女を拾ってくれた女の子だ。
男ではないが、たとえ可能性が低くても、逢えるのだとしたら……。
その鍵を握っているのは、おそらく件のアプリを広めているという男だろう。
人型となってそんなことを考えていた黒子のもとに、UDC組織のエージェントが男の居場所を掴んだという情報が入った。
そのエージェントは、男とこれから近くのカフェで合う約束を取り付けたようだ。
その席に黒子も、と申し出たところ、意外にも快く受け入れてくれたらしい。
エージェントと共に男を待つ間に黒子は例のアプリに黒子が逢いたいと願う彼女の名を入れてみる。
と、その直後。
「待たせてしまったようですね、すみません」
現れた男はどこにでもいそうな会社員、という印象だが、どこか憔悴しているようにも見えた。
「いえ、我々も今来たところですよ」
「それならばよかった。
それで、あのアプリについて僕に話を聞きたいというのは?」
「私ではなく彼女が……。
探している人がいるのだけれどどうしても見つけられないから、と」
今回の調査をするに当たり、黒子の境遇はUDC組織のエージェントに話してある。
そして、そのことを利用しようと提案したのは他でもない黒子だった。
「キミも、「逢いたい人」がいるのか」
「私が探しているのは女の子なのだけれど、それでも逢えるのかしら?」
「逢えるかどうかは、わからないな」
黒子の問いかけに男は静かに答える。
「……「必ず逢える」、と聞いたのですが?」
「それは噂が独り歩きした結果ですね。
僕は「逢いたい人に逢える」としか言っていないですから」
訝しげなエージェントの問に男が事もなげに答える。
現にあのアプリを使っても逢えなかったという人はいるらしい。
「必ず、なんて言葉が付く噂なんて、信憑性はないと思いますよ。
……世の中には「絶対」なんて言葉はないんですから」
一瞬、男から冷え切ったような声がしたのは気の所為だろうか。
「とにかく、試して見る価値はあるんじゃないでしょうか。
僕が言えるのはこれだけです」
あの噂がただの噂であるのか。
アレを使った結果がどうなるか。
そこまで男は関与しているわけではないらしい。
「ということは、何故女性達が行方不明となったかは……」
「ええ、僕にもわからない、ということです」
にこり、と笑みを浮かべる男の言葉が真実かどうか。
それを判断する術を、エージェントはもちろん黒子も持っていなかった。
成功
🔵🔵🔴
ジョウ・デッドマン
死者は蘇らない。
……蘇ってもロクなことになんねーんだよ。
そーゆー、もんだろ。
そーゆーもんなんだよ。
捜査は足で稼ぐ、とか言うじゃん。
そのへんの廃品盗んで「大逃走」
……バイクの形だとこの世界じゃ目立ちそうだし、キックボードみたいなやつで行動範囲を広げとく。
……その男を、絶対逃がさねーように。
他の猟兵やUDCの連中と連絡取りながら男の足取りを追う。
僕は聞き込みなんてまどろっこしいの、苦手だからな。
見つけたら即轢いてでも足止めして、アポカリプスヘル流の尋問だ。
アンタ、そのアプリを……「何故広めてる?」
記憶の隅に引っ掛かってる。
ずっと前に死んだ僕も……そのアプリを、識ってる気がするんだ。
死者は蘇らない。
万にひとつ、蘇ったとしてもロクなことにはならない。
それは、一度死んで蘇った経験を持つジョウ・デッドマン(異世界蘇生・f27582)が誰よりもよく知ることだった。
男が何をしようとしているかなどは、ジョウの知ったことではない。
問題はそのアプリが「死者を蘇らせる事ができる可能性がある」ということだった。
「あのアプリを広めてるっていう男は今どこにいる?」
「確か……今は他の猟兵の方とお会いになっているようですね」
ユーベルコード【大逃走(グレイト・エスケープ)】を使用するための下準備として、どこかから盗んできたらしい廃品を使って即席のキックボードを作りながら、ジョウは男の行方をUDC組織のエージェントに聞く。
男の居場所はジョウが作業をしている場所からそう遠くはないカフェだ。
「操作は足で稼ぐ、とか言うじゃん。
でも僕は聞き込みなんてまどろっこしいの、苦手だからな」
「……あまり手荒な真似はしないようにお願いしますね」
嫌な予感を感じたらしいエージェントがジョウにそう釘を刺す。
その言葉に意味深な笑みを返して、ジョウは再び作業に戻るのだった。
それからしばらくして、完成したキックボードを使いジョウはエージェントから聞き出したカフェへと向かう。
ジョウがカフェにたどり着いたのと、男がエージェントとともにカフェから出てくるのはほぼ同時だった。
「ようやく見つけた……」
「……はい?」
「アンタに聞きたいことがあって探していた」
なんでしょう、というように首を傾げる男は、妙に素直で。
普段から騙し合いのような世界にいるジョウは、その様子に拍子抜けする。
「「黄泉還りの屋形」、広めてるのはアンタだろ?」
「広めてる、だなんて。
僕はただ、彼女達がそう願ったからアレを教えただけですよ」
「そうだとしても、結果的にそれを広めてることになってるだろう。
一体どれだけの人間にあのアプリを教えたんだ」
男にそのつもりがなかったとしても、男があのアプリを多くの人間に教えたことが今回のことの発端となっていることは確かだろう。
「アンタ、そのアプリを……何故広めてる?」
「……僕は、彼女達のネガイをただ叶えているだけです。
彼女達はみな、何をしてでも逢いたい人がいた。
だからこそ、僕はアレを教えただけです」
あくまでも「広めている」というつもりはないのだ、と。
「もしかして、キミも誰か「逢いたい人」がいるのですか?」
「……そんなことはない」
顔を隠すように帽子を押さえて下を向くジョウは、男に出会う前から――正確にはグリモア猟兵からアプリ「黄泉還りの屋形」の話を聞いてから記憶の隅にずっと引っかかっている事を考えていた。
ずっと前に死んだ『僕』も、そのアプリを識っている気がする、と。
――やっぱ、蘇ってもロクなことにはならない。
どの世界でも、それは変わらない。
そーゆーもんなんだよ。
成功
🔵🔵🔴
叢雲・雨幻(サポート)
【目立たない】事を利用して内部に紛れ溶け込んで、
お酒や煙草を嗜みながら何気なく情報を集めたり、
目当ての物を探したりするよ。
暗い場所なら【闇に紛れる】【忍び足】あたりで、こっそりと現状を把握したりするのも得意だね。
危険や警戒度が上がってきたと感じたらさっさと一時撤退。
物事起こす前に勘付かれちゃいかんからねぇ。
あとは、極力人が傷つかないような選択を無意識に取るかな。
罠を攻略する際は仕掛けを興味津々によく見ながら仕様を把握して、慎重かつ迅速に抜ける手段を取ろうとする。
よりスマートに、ってね。
高吉・政斗
【SPD】
戦車乗りがこう言う依頼でやる事ってなんだと思う?
(タイヤで職員と一緒に走行中)
いやいや、手当たり次第主砲でドーンって訳じゃないんだよ。
こいつぁ(FECT)物理戦しか出来ないって、訳じゃないんだ…そんで…ん?
あぁ仕事ねハイハイ、やりましょやりましょ?
■職員の
このダウンロード(DL)ページ見たけど確かに古い、だがプログラムだけで動かしてる感じがしないんだよなっ…と、よし出来た!特注品の弾丸(オス用コネクタ付き)、コイツで動かして逆探知やってみるk……落ち着けってあんたのスマフォに撃ち込ま無いから…壊さないから安心しなさいって……
(逆逆探知されたらゴメンヨ)ボソ
男のネガイ、それは何なのか。
彼のことを知る幾人かの人物に話を聞きに行っていた叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)が得たのは、恋人が死んだとある男のよくある悲劇だった。
「……あの男、止めないとやばいかもねぇ」
「そんなわかりきってること、今更だろ」
局地対応可変走歩行戦闘車(タイヤ)を操縦する高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)に冷静に指摘されて、雨幻は小さく苦笑する。
「まあ、それもそうか」
雨幻が火のついた煙草を深く吸うと、ジリリと赤い火種が見えた。
先程までの、男の知り合い達の話を雨幻は反芻するように、政斗とUDC職員に対して語る。
男は数年前に恋人を、目の前で喪った。
原因は、交通事故だったという。
赤信号に猛スピードで侵入してきた車に轢かれたのだとか。
その事故はあまりにも凄惨で、男は深く愛した女性を一瞬で喪った――
「つまり、男はその女性を蘇らせたいと願っていると、そういうことですか」
「そういうことだね。
そして、そのために必要なものがこのアプリなのかもしれない」
雨幻が知ることが出来たのは男の身辺のことだけだ。
だからこのアプリと彼のネガイに対する関連性はただの想像でしかない。
「ところで、高吉さんは先程から何をなさっているのですか?」
「あー、それオジサンも気になってたんだよねぇ」
黙々と作業を続けている政斗が何をしているのか、気にするなという方が無理だろう。
一旦手を止めて顔を上げた政斗は、自身を覗き込んでいる2対の瞳を交互に見遣り、
「戦車乗りがこう言う依頼でやる事ってなんだと思う?」
「……まさか!」
「いやいや、手当たり次第主砲でドーンって訳じゃないんだよ」
想像していたのか、明らかにホッとした様子のUDC職員だが、それと同時に、では何をするつもりなのだという新たな疑問がわきあがってくる。
「こいつぁ物理戦しか出来ないって、訳じゃないんだ。そんで…」
つらつらと専門用語を交えたその話は非常に難解で、おそらく1割も理解することは出来ないだろう。
そんな政斗は、自身のユーベルコード【精神・電子操作機械装置弾生成機能(セイシンオヨビデンシソウサキカイソウチダンセイセ)】を使用して作り出した、コネクタが付いた特注の弾丸を、職員のスマートフォンに差し込もうとしていた。
「え、ちょっと!本当に何をするつもりなんですか!」
「落ち着けって。こいつのプログラムをアンタのスマホに打ち込むつもりはないから。
ただちょっと機器を借りるだけなんだって」
「壊すつもりなさそうだし、ちょっとだけ見ててやろうぜ」
ゆるりと煙草を吹かしている雨幻にも言われて、不服そうではあるが協力者の猟兵のやることに間違いはないだろうと自身を納得させたUDC職員はようやくスマホを政斗に貸すことを決めたようだ。
「あんたのスマホ例のアプリ、入ってるんだろ?」
「え、ええ。
基本、この件を担当する職員全員のスマートフォンに入っていますよ」
それならば、ダウンロードのページに行くのも簡単だ。
慣れた手付きで政斗は職員のスマートフォンを操作して、アプリ「黄泉還りの屋形」のダウンロードページへとたどり着く。
「確かに古い、だがプログラムだけで動かしてる感じがしないんだよな」
それはUDC組織に協力している猟兵としての勘だった。
これは思った以上に慎重に行かなければ、と特注の弾丸での逆探知をしようとした、その時。
――縺ゅ↑縺溘?騾「縺?◆縺?ココ縺ッ隱ー縺ァ縺吶°?
UDC職員のスマートフォンに突如現れた文字化けした文字の羅列。
――騾「縺?◆縺?→鬘倥≧縺薙→縺ッ謔ェ縺?%縺ィ縺ァ縺吶°?
――蝟ェ縺??縺ッ縺薙o縺
――騾「縺医↑縺??縺ッ蟇ゅ@縺
――騾「縺?◆縺?≠縺?◆縺?い繧、繧ソ繧、
それは時間にして一瞬のことだった。
「今のは、一体……」
「もしかして、地雷踏んじまった感じか?」
沈黙したスマートフォンは既に正常に動作していて、先程までの一瞬がまるでなかったかのようにも感じられた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『喪失否定アプリケーション』
|
POW : 「やっとここまで取り戻せたんだ」
戦闘力のない【執着対象を模倣するモザイクの塊 】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【周りの人を代償に現状を都合よく変えること】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD : 「あんたも協力してくれるよな?」
攻撃が命中した対象に【因縁 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象の未来を奪い不幸を招くこと】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : 「この手は二度と離さない」
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【未来 】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●其の願いは許されざるもので
酷い事故だった、と男はあの日の出来事を思い出していた。
見通しのいい交差点、赤信号で突っ込んできた車にはねられて、彼女は即死だったらしい。
男の目の前で彼女が死んだのは数年前のこと。
だが男は未だ彼女が死んだことを受け入れていない。
彼女に逢いたい、男の願いはただそれだけだ。
しかし、それは死者を蘇生させるという禁忌……決して許されない行為。
それでも――否、それだからこそ、男は願う。
「キミの逢いたいと願うヒトは、誰?」
男と同じ境遇であろう彼女らは、男の狂気に知らずと巻き込まれ、そして――
自らの『未来』を捧げる。
●アイタイ人はすぐそこに
UDC職員のスマートフォンに文字化けの羅列が見えたのはほんの一瞬だった。
それは、アプリ「黄泉還りの屋形」に発生した些細なバグのようなものは、広がり、やがて全てを飲み込んでいく。
その小さな切っ掛けを以て展開された術式により、ソレの本来の姿が暴かれていく。
『騾「縺?◆縺?ココ縺ッ縺ゥ縺薙〒縺吶°?』
アプリ「黄泉還りの屋形」から天使のようなナニカが顕れ、それは意味を為さない言葉とも呻きとも取れる声を発しながら浮遊する。
『菴募?縺ォ陦後¢縺ー騾「縺医∪縺吶°?』
否、意味は確かにあるのだろう。
『菴墓腐縲??「縺医↑縺???』
それはひどく淋しげな言葉で。
『菴墓腐縲??「縺」縺ヲ縺ッ縺?¢縺ェ縺???』
それはひどく切なげな科白で。
『菴墓凾縺セ縺ァ蠕?※縺ー騾「縺医k縺ョ?』
聞くものの心をひどく締め付ける。
ふと、猟兵達が周りを見渡すと、そこは真っ白い空間だった。
霧の中とも違う、どこか真っ白い部屋のような、只々、広い広い空間。
『騾「縺?◆縺』
何処からともなく響く声が頭の中で反響する。
淋しげで、切なげで、知らずのうちに涙がこぼれてしまうような、そんな感情が湧き上がる。
その感情を振り切って、声の主を探そうと視線を巡らせると、行方不明になっていた女性達を見つけた。
彼女達は皆寂しそうな、それでいてどこか幸せそうな様子で、涙を浮かべている者もいる。
そして、その手には何かを象った人形を愛おしそうに抱いていた。
『騾「縺?◆縺』
声が、頭の中で再度反響する。
何度も何度も、繰り返し繰り返し、反響する。
――嗚呼、私は何をしにきていたんだっけ?
そうだ、わたしは――
※現在の状況※
UDC職員のスマートフォンに文字化けの文字の羅列が広がったと同時に、いつの間にか景色が真っ白い空間へと変化しています。
この場にはUDC職員はいませんが、代わりに行方不明となっていた女性達が猟兵達の目の前に現れます。
彼女達は一様に同じようでいて細部が異なる人形のようなものを大切そうに抱いていますが、その人形の顔はなぜかはっきりと認識することが出来ません。
その人形を取り上げようとすると半狂乱になって人形を取り戻そうとするのでご注意ください。
なお、女性達は質問等には答えられますが、どこか上の空なようにも見えるため、正気に戻すことは現段階では出来ません。
また、この空間の中では絶えず『声』が聞こえます。
その『声』を聞いていると目の前に自身が逢いたいと願う人が目の前に現れるような幻覚に陥る猟兵もいるかもしれません。(逢いたいと願う人の男女は問いません。)
『声』に囚われると女性達と同じようにいつの間にか人形を抱いてしまっていることに気付きます。(自分では気付いていなくてもいいです。)
しかしその人形を手放す気など起きるはずもなく、むしろ大切で愛おしい感情が湧き上がり、逆にこの人形を手放してはいけない、とても大切なものだと思い込んでしまいます。
※これらの現象は必ずしも全ての猟兵に起こるわけではありませんが、いずれの猟兵にも『声』だけは絶えず聞こえている状況となります。
ちなみにですが、アプリ「黄泉還りの屋形」を広めていた男もこの空間のどこかにいるようです。
探すことは可能ですが、見つかるかどうかは今のところ不明です。
亞東・霧亥
この場で俺が相対(あいたい)者など貴様以外に居るものか。
オブリビオンは殺す。
【UC】
過去の激闘からベルセルクドラゴンに変身。
オブリビオンに対する殺意を爆発させて戦闘力とサイズを増大させる。
耳障りな『声』は奴への『殺意』で相殺。
活躍も苦戦もさせない。
煩い蚊を潰すが如く、巨大な質量を伴う掌を叩き付ける。
耳障りな『声』がずっと響いている。
この場で、亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)がアイタイと思うものは、一つしかないというのに。
「俺が相対(あいたい)ものなど、貴様以外に居るものか」
ユーベルコード【屍山血河(シザンケツガ)】により、過去の激闘から思い起こすベルセルクドラゴンへと、霧亥は姿を変える。
『騾「縺?◆縺?ココ縺ッ縺?繧鯉シ』
だが、耳鳴りのように頭に響くその声は、霧亥のことを確実に蝕んでいて。
「うるさい」
オブリビオン、猟兵の敵、殺さなければならない相手――
それらに対する圧倒的なまでの殺意―狂気―が、耳鳴りのように響く『声』をかき消していく。
「貴様らのことも潰してしまえば、これ以上鳴くことはできまい」
巨大なドラゴンへと転じた霧亥からみれば、『声』を生み出している主たるオブリビオンは蚊ほどの大きさにしか感じない。
ゆえに、それらを壊すことは容易だろう。
『遘√?騾「縺?◆縺?ココ縺ッ』
喪うことを否定する者が、その執着の対象を模倣する前に、と。
霧亥(ドラゴン)が振り下ろすのは、巨大な質量を伴う掌。
「消えろ」
それを叩き付けると、耳障りな声が一瞬小さくなったような。
そんな気がした――
成功
🔵🔵🔴
高吉・政斗
地雷を踏んでしまった…)
(◟'×')◟
モウシワケナイ…
よし!気を取り直して…地雷を更に踏みなおすよ。
作成作成っと…(生成機、ON!)
一応は「行方不明者」分は作ってっと…結構多いね彼女ら。
ん~…なんか危なそうだね?ちょい消えよっか。
(自身&FECTの迷彩機能、ON)
よし!生成完了……そして全員に撃つ!、序にこのモザイク掛かったヘンな物にも撃つ!っと。
■設定機能。
1:動かない・俺の事気付かない
2:物体モザイクが見えない、感じない、暴れない。
後あの職員さん、この場所の外側に入るんだろうな。
あの弾、通信機になるって言ってあるからな…なので自分にも撃つ!
3:聞こえる内容を声で送る
気付いてくれるといいな。
地雷を踏んでしまった、と高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)は周りの様子を見て反省した。
それというのも、この状況を作ったのは元はと言えば政斗の生成した弾丸が原因だと自覚しているからだった。
否、あのサイトの術式はかなり不安定なものだったため、政斗が手を下さなくとも同様の現象はいずれ起こっていただろう。
しかし、実際にあの弾丸に仕込んだプログラムによってあの現象が引き起こされたきっかけとなったのもまた事実なわけで。
「うーん、どうしたものかなぁ」
目の前には行方不明となっていた女性達がいる。
それも、一人や二人ではない数だ。
『騾「縺?◆縺?ココ縺ッ縺?繧鯉シ』
その周囲に居る天使のようなナニカは、意味のわからない言葉を吐き続けている。
「……よし、こうなればとことん行くところまで行ってみようか」
反省はしている様子の政斗だが、先程の行動に後悔はなかったようで。
地雷を踏み直すようにユーベルコード【精神・電子操作機械装置弾生成機能(セイシンオヨビデンシソウサキカイソウチダンセイセ)】で行方不明者と浮遊する天使の数分の精神制御用の弾丸を生成し始める。
目で見た限りではあるが、行方不明者は結構多いというのが政斗の印象だった。
別の猟兵により共有された行方不明者のリストは確かに政斗も目を通していた。
しかし、実際はそれよりも多くの女性が行方不明となっていたようで。
『繧医≧繧?¥騾「縺医◆』
女性達はうっとりとした様子で人形を大切そうに抱いている。
時折、意味がわからない言葉を呟きながら愛おしそうな視線を人形に向けている。
「ん~…なんか危なそうだね?」
その様子に何となく身の危険を感じた政人は、自身とFECTの迷彩機能を起動させて姿を隠すことにした。
それからしばらく、生成が完了した特殊弾は彼女たちの精神を操作するものだ。
彼女たちが動かないように、政斗に気づかないように。
これ以上、彼女たちがあの天使に見つからないように。
「ついでに自分にも撃っておかないと」
この特殊弾は通信機にもなっている。
この空間の外にいるであろうUDC職員のスマートフォンにも、機能は違えども同じFECTから生成した特殊弾を打ち込んである。
『縺ゥ縺?@縺ヲ騾「縺医↑縺???』
先程から頭の中で響いている「声」をどう表現すればいいかわからない。
この「声」そのものを届けられればこれ以上に簡単なことではないのだろうが、おそらくそれは不可能だろう。
『菴募?縺ォ陦後¢縺ー騾「縺医k縺ョ?』
この「声」もまた、精神に強く作用するものだ。
たとえ届けられたとしても、一般人に近いUDC職員にどう影響するかわからない。
「気付いてくれるといいな」
この空間のことや聞こえ続ける「声」のことを、言葉にできる範囲で「外」へと届ける。
それに対する返事はなかったが、それでも彼らが気付いてくれると信じて――
成功
🔵🔵🔴
ジョウ・デッドマン
……その天使のマーク、僕は、知ってる。
僕がこの世界で、死際に目に焼き付いたものだ。
そうだ
大事なものだった、はず……
……父さんと母さんの声がする
生きてた頃のぼくが大切にしてたものって、なんだっけ
ロボット。プログラム。
……あの子と作ったアプリケーション。
それはこんな形を、してなかった!!
幻には幻でお返ししてやるよ
「黙示の刻」
実弾は抜き、声を掻き消す戦場の閃光と轟音だけ再現してどいつもこいつも叩き潰す
ついでにアプリバラ撒いてたヤツも炙り出してやる
奪われる未来なんて、死体(ぼく)にはもう残ってねーんだよ!
……その天使のマーク、僕は、知ってる。
それはジョウ・デッドマン(異世界蘇生・f27582)が、かつてこの世界で死際に目に焼き付けたものだ。
そう、大事なものだった、はずで……
『縺ゅ↑縺溘?菴募?縺ォ螻?k?』
「……父さん?母さん?」
頭の中でずっと聞こえている「声」はいつの間にかジョウのよく知る「声」となっていた。
解らない言葉のはずなのに、意味は「理解」できた。
応えてはいけない。
そう理解ってはいるはずなのに、「ぼくはここにいる」と応えたくなってしまう。
それと同時に起こる疑問。
生きていた頃の僕が大切にしていたものって、なんだっけ?
それは、ロボット?
それは、プログラム?
確かにそれらも大切なものだ。
だけど、それ以上に大切なものは、「あの子」と作った――
「それはこんな形を、してなかった!!」
次々に思い起こされる記憶の中で確かだったこと。
それが深く堕ちていく精神を寸前で引き止めてくれた。
「こんな映画知ってる? ――地獄へようこそ」
目には目を、歯には歯を、では幻には……?
実弾を抜いたユーベルコード【黙示の刻(アポカリプス・ナウ)】により再現されるのは、「声」を掻き消さんばかりの戦場の閃光と、それに付随する轟音だ。
『菴墓凾縺ォ縺ェ繧後?縺ゅ↑縺溘↓』
「奪われる未来なんて、死体(ぼく)にはもう残ってねーんだよ!」
それでも「声」はジョウの「未来」を奪おうと響き続ける。
死体(デッドマン)となっても、「未来」はジョウが動き続ける限り在り続けるのだと言わんばかりに。
流れる血はなくても、流れる涙はなくても、身体の痛みはなくても。
あの天使のようなナニカを見た時から、響き続ける「声」を聞いた時から、ずっとジョウの心は痛み続けていた。
「これ以上、僕の大切なものを穢すな!」
自分が正気なのか、それとも狂ってしまっているのか。
ジョウにはもう既に判らない。
だけど大切なものを、「あの子」と作った大切なアプリケーションを利用されるのは許せないということだけは、はっきりと理解った。
成功
🔵🔵🔴
愛野・黒子
理性では、猟兵してこの事態を解決しないといけないと知っている。
本能は、この声は、この人形は自分の探し人ではないと叫んでいる。
でも、愛おしくて、手放したくなくて、彼女がここにいて……いつもと変わらない明るい声で話しかけて来て……
「んー、どっちにしろわたしがやること変わらないよねー『未来』をつれてー……一緒に帰ること。じゃあ、行こうかー」
人形を抱きつつ、UC 【わたしの半身】を使用
スライムを作り、出口、及びこの件に関して知ってそうなあの男を分担して探します。
もし男を発見したらスライムで体を覆って拘束しようとします。
理性では、猟兵としてこの事態を解決しないと知っている。
本能は、この「声」は、この人形は自分の、愛野・黒子(ブラックタールらしきもの・f13343)の探し人ではないと叫んでいる。
『縺ゅ↑縺溘?蜈カ蜃ヲ縺ォ縺?k縺ョ?』
それでも、愛おしくて、手放したくなくて、「彼女」がここにいて。
いつもと変わらない明るい「声」で話しかけて来て――
『菴墓腐縲√≠縺ェ縺溘↓騾「縺医↑縺???』
響き続ける「声」が黒子の探している「彼女」の声と重なる。
「んー、どっちにしろわたしがやること変わらないよねー。
『未来』をつれてー……一緒に帰ること。じゃあ、行こうかー」
人形をその手に抱きつつ、ユーベルコード【わたしの半身(スライムレンキンジュツ)】によって自身の半身となるスライムを分離させる。
「ここの出口とー、それからあの男をさがしてー」
男がどこにいるかわからないし、見つかるかさえもわからない。
だけど、あの男がこの件に関与していることは確かなわけで。
「……だいじょうぶだよー
ちゃあんと、見つけるからねー」
誰に言うでもなく、何に言うでもなく。
どろりと溶ける黒い不定形が、ナニカを探すように蠢き出した。
成功
🔵🔵🔴
ジード・フラミア
『人形遣い』は、もう一人の自分が産まれるよりも前に亡くなってしまった……顔すらもあやふやな、自分の両親を重ねてしまって……
『イヤー、イイもの見せてもらってマスヨ……エエホント』
「あれ?いつの間に人形を…?とりあえず、被害者の人たちを避難させないと」
『……出口も見つかってないデスケドネ。マァ、守りやすい位置に移動するヨウ、呼びかけマスカ。』
UC【共に寝るぬいぐるみ】を使用
効くかは分かりませんが被害者達に催眠術も使いつつ、守りやすそうな位置に誘導します。
『人形遣い』のジードは両親の面影を見て人形を手にしてますが、会えない事も分かっているので『メリア』としていつも通り事件解決に向けて行動します。
『人形遣い』は、もう一人の自分が産まれるよりも前に亡くなってしまった――顔すらもあやふやな、自分の両親を重ねてしまい。
いや、あやふやだからこそ……そして強く『逢いたい』と願っていたからこそ、彼らはジード・フラミア(人形遣いで人間遣いなスクラップビルダー・f09933)の目の前に現れたのだ。
『イヤー、イイもの見せてもらってマスヨ……エエホント』
「あれ?いつの間に人形を…?」
吐き捨てるようなもうひとりの自分、メリアの声はこらえるような何かを孕んでいて。
それに気づくことなく、いやむしろ常に一緒にいたであろう人形のことすら忘れかけていたらしいジードは一瞬困惑した声を上げた。
『ほラ、ジード。
何をしているんデスカ?』
「あ、ああうん。
とりあえず、被害者の人たちを避難させないと」
被害者たちはあいも変わらず先程から動かず、しかしその人形を愛おしそうに、そして誰もが幸せそうに抱いていて。
『蜈カ蜃ヲ縺ォ陦後¥縺ォ縺ッ縺ゥ縺?☆繧後?縺?>?』
『……出口も見つかってないデスケドネ。
マァ、守りやすい位置に移動するヨウ、呼びかけマスカ。』
ジードの様子にやや呆れた様子のメリアだったが、それでも彼女もまた被害者たちを救いたいという思いはジードと同じだった。
ゆえに、ユーベルコード【共に寝るぬいぐるみ(スリーピング・フレンズ)】で90体近くのぬいぐるみを召喚する。
ぬいぐるみたちは被害者たちが手にしているぬいぐるみに変わり、催眠術によって彼女らを誘導していく。
「ああよかった。
ちゃんと動くことはできるみたいだね」
自らの意思ではないものの、ゆっくりと動き出した彼女達に、ジードは安堵の声を漏らす。
しかし、その瞬間――
『隕九▽縺代◆』
彼女達の動きが止まり一斉にジードをいや、猟兵達を見つめる。
「っ、なに?」
『移動させようとシタのがいけなかったのデショウカ?』
「わからない、何が起こっているのか……」
虚ろなその目に彼女たちが何を写しているのか、あるいは何も写してはいないのか。
それを知る術は、果たして――
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『禍罪・擬結』
|
POW : 藍
【悲痛な叫びと共に大量の水】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 愛
【血のように赤い糸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 哀
【悲哀に満ちた歌】を披露した指定の全対象に【戦意を喪失する程の寂しさや悲しみの】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「榛・琴莉」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●いつもアナタのそばに
女性達は、表情なくただただ虚ろな様子で猟兵達を見つめる。
そんな彼女たちの表情が苦悶に歪んだ瞬間――
「嗚呼、漸く……!」
どこから現れたのか、猟兵達が探していた男がいつの間にか其処にいた。
そのことに猟兵達が気付くと同時に、場の空気が変わった。
「ああ、嗚呼!ようやく君に会えた!」
突如、声を上げた男の視線の先には白無垢に身を包み、真っ白な雑面で顔を覆う女性がいた。
だがその女性には本来あるはずの足ではなく魚の骨がついており、白無垢にはいくつかの札が釘のようなもので打ち付けられているようだった。
「さあ、早くこちらへおいで。僕と一緒にかえろう」
男が白無垢の女性――『禍罪・擬結』へと手を伸ばす。
明らかに人間ではないその姿ではあるが、男はそれに気付いていない……いや、狂気に陥っているゆえにソレがどのような姿かは理解ってはいないのだろう。
「嗚呼、でもそのためには彼らが邪魔なのか」
ゆっくりと、だが明らかな敵意を持って男は猟兵達に向き直った。
「彼女との逢瀬の邪魔をするな」
『禍罪・擬結』を守るかのように男は猟兵達の前に立ちはだかる。
その後ろから『禍罪・擬結』は声にならない悲痛にも聞こえる叫びをあげていたのに、男が気付くことはなかった。
※現在の状況※
召喚されてしまった『禍罪・擬結』との戦いです。
元凶となった男は近くにいて、『禍罪・擬結』の元へと向かおうとしており、『禍罪・擬結』のことは死んだ恋人に見えている様子です。
また、男は『禍罪・擬結』を守るように猟兵達の前に立ちはだかっているため、どうにかして彼を正気に戻すか『禍罪・擬結』の前から引き離す必要がありそうですが、男を正気に戻すことは容易ではありません。
なお、被害者の女性達については苦悶の表情を浮かべた後は全員気を失っているようで、しばらく目を覚ますことはないと思われます。
ちなみにこの空間は古の神の残滓である『禍罪・擬結』が作り出した空間のため、ただの人間である男や被害者の女性達にとって狂気に満ちた非常に危険な場所です。
あまり時間をかけすぎると彼らが命を落とす恐れがありますが、猟兵達にはその効果が効いていないようですので動きに制限等はありません。
また、この空間に入ってから絶えず聞こえ続けていた『声』もいつの間にか消えており、その代わりに『禍罪・擬結』が声にならない悲痛な叫びが断続的に聞こえるようになります。(敵UC【藍】や【哀】)
しかしその叫びが聞こえるのは猟兵だけで、男には届いていない様子です。
向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
荒事以外のことならめいっぱい楽しんじゃいますよぉ~。折角なら美味しそうなものとかあると嬉しいですよねぇ~。
情報収集なら【道術】や【呪詛】関連ならお役に立てますよぉ~。
※アドリブ・連携歓迎
声にならない悲痛な叫びを上げ続ける『禍罪・擬結』を守るように、男が猟兵の前に立ちはだかる。
「何故邪魔をする?僕はただ彼女に逢いたかっただけなのに」
「死んだ人間にぃ、本当に逢えるとでもぉ?」
男に吐き捨てるような言葉をかける向・存(葭萌の幽鬼・f34837)は、自身が死んだ人間の魂がそのまま宿った存在であることを自覚している。
しかしそれは存が生きていた世界に心残りがあったからであり、誰かに請われたからではない。
そも、彼が呼び出したアレは本当に男の恋人と同じモノなのだろうか。
大勢の人間を犠牲にして呼び出されたソレは、本当に男の恋人だったのだろうか。
答えは――おそらく『否』だ。
「それが本当にあなたの恋人だって思ってるんですかぁ?」
「彼女は彼女だ、ソレ以外になんだというんだ」
男は『禍罪・擬結』が本当に恋人に見えるようで、存の言葉を理解しようとしない。
「そっかぁ、だったら仕方ないですねぇ~」
自身に貼られている封魂符を剥がした存は、ユーベルコード【屍身超越】で半オブリビオンとなる。
そして男を無視して『禍罪・擬結』へと向かっていった。
「な……なにをするんだ!」
咄嗟に存と『禍罪・擬結』の間に男が入ろうとする。
しかしそれよりも早く『禍罪・擬結』へと接近した存が一撃を加えると、一際大きく叫びを上げた『禍罪・擬結』から大量の水が存だけを狙うように放たれる。
その水による攻撃は防御力の上がった存に有効なダメージを与えることは出来なかったが、存を遠ざけることには成功するのだった。
成功
🔵🔵🔴
愛野・黒子
「んー『未来』の声が聞こえない……まぁ、仕方ないんだけどねー…代わりに聞こえてくる声はうるさいばかりだなー…塞いじゃおうかー」
UC【黒色塗料】を使用
男の足元、そして『禍罪・擬結』の顔全体に塗料を塗りつけ攻撃します。
人形は残っているでしょうか?残っているのなら、未来の代わりにはなりませんが、大切に持ち続けたいです。
猟兵達の頭に鳴り響いていたはずの声はすでに消え、代わりに聞こえるのは耳障りな『禍罪・擬結』の悲痛なほどの叫び声。
それを人一倍感じていた愛野・黒子(ブラックタールらしきもの・f13343)は、自身の大切な人の「声」が聞こえなくなったことにほんの少しの苛立ちを感じていた。
「んー『未来』の声が聞こえない……。
まぁ、仕方ないんだけどねー…」
諦めにも似たその呟きを男が聞こえていたかはわからない。
男にとっては恋人(?)に危害を加えなければ関係がないというかのように、『禍罪・擬結』の悲哀に満ちた、歌のようなナニカに聞き入っている。
「嗚呼、やはり君も寂しかったのか」
いつの間にか、男は猟兵ではなく『禍罪・擬結』の方を向いていて。
そんな様子に黒子が気付くのに時間はかからなかった。
「代わりに聞こえてくる声はうるさいばかりだなー…
塞いじゃおうかー」
どろり、と黒子の身体の一部が溶けて、それが男の足元に広がっていく。
そしてユーベルコード【黒色塗料(ネバネバスライム)】で作られた塗料を、ペイント武器にもなる自身の身体を使って『禍罪・擬結』の顔に纏わり付き、男ともどもその動きを拘束する。
「わたし色に染まれー」
ようやく逢えると思った『未来』は偽物だったけど。
それでも黒子の中に怒りはなかった。
いつの間にか手の中の人形は消えていたのは残念だったけど、それでも。
「あれは未来の代わりにはならないからねー」
代わりにならないのならば持ち帰っても仕方がない、と。
自身に言い聞かせるように呟く黒子は、ほんの少しだけ残念そうな様子だったのはここだけの話なのかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
高吉・政斗
連携・アドリブ歓迎)
あれだ!やっと出て来やがったか!って感じの
直接的な攻撃をしてくるって事だから問題無しだな。
(行くぞゴラァ!WRF起動!大きさは5m強の「大」)
んあ?この男が召喚したのか…先にコイツをどかさないとな。
よし!一気に凝結?に急接近!男を速攻で掻っ攫…いながら
俺との融合状態のFECTの背後(凝結側からは死角になる様な立ち回りで)
からの全装備中の火器兵装CUBUによる緊急強襲。
そのままから男を離して……否、この空間じゃ逃げるだけじゃなく離す事もままならなさそうだ、しょうがない、抱えながら落さない様に…撃ちまくるぜ!
(攻撃は凝結に向けての全機銃火器系と榴弾・主砲による爆破系で攻撃)
亞東・霧亥
あの莫迦が死んでも困るなら、無理矢理にでも生かすしかないな。
【UC】
俺と莫迦が繋がる事で、同時に死なない限りは奴も命を落とす事はない。
ならば、禍罪諸共に貫いてしまっても構わんだろう?
莫迦と禍罪が直線で重なるよう意識しながら移動。
心臓でも頭でも致命傷になる箇所を積極的に『部位破壊』していく。
時折、『殺気』を纏う『残像』で敵の意識を逸しつつ、本体は『忍び足』と『目立たない』動きで『暗殺』を試みる。
襤褸雑巾の莫迦に向けて
「とんでもねぇ女に囚われた哀れな男には似合いの姿だぜ。」
水を使ってくるとはいえ、『禍罪・擬結』は直接的な攻撃をしてくる。
それは亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)と、すでに自身のユーベルコード【兵装融合形態機構(ヘイソウユウゴウケイタイキコウ)】により自身の乗機と融合状態にある高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)のふたりとってはさほどの問題にもならないことだった。
「んあ?この男が召喚したのか」
黒いスライム状の塗料により拘束されている男は未だに『禍罪・擬結』しか眼中にないようだった。
悲痛な叫びは聞こえていないようだったが、至近距離で拘束されているせいで余計にその嫌いが強い状態にある。
「先にコイツをどかさないとな」
「その前に、あの莫迦が死んでも困るなら、無理矢理にでも生かすしかないだろう」
霧亥のユーベルコード【今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね(ダイファーストオブオール)】で、男と自身を悪意に満ちた冥い糸で繋ぎ、男の死を回避する。
その上で政斗が『禍罪・擬結』へと急接近、そのまま男と『禍罪・擬結』を引き離すように男を掻っ攫う。
「は、離してくれ!彼女は……!」
「あのままあそこにいたら死ぬよりもヤバい目に逢うと思うけど?」
正確には「何度も死ぬ思い」だ。
それは比喩なんかではなく、実際にそうなのだろう。
先程から霧亥は『禍罪・擬結』の頭部や心臓部など、人間だと確実に致命傷となるだろう場所を狙っている。
さらに男を抱えている政斗自身も、『禍罪・擬結』の死角になるようなタイミングを狙って「火器兵装CUBU」による緊急強襲をしかけていた。
すでに戦意を喪失している男は、それでも恋人に見えている『禍罪・擬結』を守ろうとしているようで。
健気といえば聞こえがいいだろうが、あまりにも盲目的にも感じられる。
そんな男を正気に戻すのは非常に難しいだろう。
しかし、少なくとも男を『禍罪・擬結』と離したことで彼の狂気は段々と薄れていくことになっているのは確かなのかもしれない。
そして、男は自身の恋人と思い込んでいる邪神『禍罪・擬結』が猟兵達によって倒されていくのとただただ見ていることしか出来ないのだった。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
結論から言うと、『禍罪・擬結』を倒し、現実の世界に戻ったあとになっても男が正気に戻ることはなかった。
もとより彼は恋人を事故でなくしたときから狂っていた。
そんな男に古の神の残滓ともいえる邪神『禍罪・擬結』の悲痛な叫びが届き、その声が恋人のものだと思い込み彼女に逢うためだけにアプリ『黄泉還りの屋形』を作成して、彼と同じ立場の女性達の想いを利用した、と。
今回の彼の凶行ともいえる一連の事件は、「恋人に逢いたい」という、ただそれだけの理由であった。
ちなみに、行方不明となった女性達はあの後夜の公園で全員気を失った状態で発見、無事に保護された。
彼女達は異空間に囚われていた間のことは何も覚えておらず、ただとてつもなく幸せだったという思いだけが残っていたのだとか。
唯一の救いとなるのは、その後の彼女たちに精神的な後遺症が何も残らなかったことだけだろう。
しかしこれをきっかけとして、アプリ『黄泉還りの屋形』の噂が終息へと向かい、数多くの都市伝説のひとつとして語られていくことになるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵