大祓百鬼夜行⑨〜月の流星群
●真面目なジャック・お盆・デュラハン
カクリヨファンタズムの夜はにぎやかなものである。鬼火が空を飛び交い、狐火が舞う。ウィル・オ・ウィスプもまた同じである。
けれど、それ以上に煌々と光り輝くのは竹林である。
赤や青、白や黄色、緑や紫、赤にと大忙しである。1680万色かそれ以上に好き勝手輝き続ける竹林は最早お約束であった。
だが、今宵の竹林はひと味違う。
それは『大祓百鬼夜行』の影響からか、本来であれば生まれるはずのない存在が生まれ始めていたのだ。
竹、光る、とくれば察しが良い者は気がつく。
そう、今は昔竹取の翁といふもの、から始まる物語の主人公の生い立ちを思い浮かべることだろう。
「ああ、ちょっと待っておくれ! そっちじゃない、こっちだこっち!」
ゲーミング1680万色に輝く竹林には今や『光るかぐや姫の群れ』が縦横無尽に飛び交っ散る。
生まれたばかりの小さな東方妖怪である『光るかぐや姫の群れ』は好き勝手に飛び回り、骸魂を飲み込んだ妖怪、いやオブリビオン『ジャック・お盆・デュラハン』が困ったように、指示を出している。
彼はオブリビオン化しているが、生来の生真面目さまでは失うことはなかったのだ。
「よしよし、そうそう。みんな一列に並んで、あっ、そこ! 喧嘩しないの!」
綺麗に整列させたかと思えば、自分が前だ後ろだと喧嘩している『光るかぐや姫』の仲裁に入ったりと大忙しである。
保育園の保育士さんかな? ご苦労さまです。
そんなオブリビオン『ジャック・お盆・デュラハン』の苦労を知ってか知らずか、『光るかぐや姫の群れ』は、やっぱり好き勝手に飛び回る。
そんな彼女たちをユーベルコードで操り……いや、なだめすかしながら保育士さんよろしく『ジャック・お盆・ランタン』は号令を懸けるのだ。
「では、みんないいかな? 一列に並んで、元気よく行こう! いざ『大祓百鬼夜行』! 帰るまでが百鬼夜行ですからね!」
そんな遠足行くみたいに、と誰もが思う様相でオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』は『光るかぐや姫の群れ』を率いて、ゲーミング色に輝く竹林から出撃するのだった――。
●大祓百鬼夜行
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。『大祓百鬼夜行』、その新たなる予知を皆さんにお伝えします」
『大祓百鬼夜行』――それはUDCアース、カクリヨファンタズムの破壊を目論むオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』に敢えて軍門へと下った妖怪たちの総称である。
誰からも忘れ去られた『大祓骸魂』の姿は、誰にも見ることもできない。
無論、グリモアの予知にも引っかかることはないのだ。予知ができないのであれば、猟兵たちも戦いようがない。
けれど、妖怪たちの策という決死の覚悟によって、彼等が敢えてオブリビオン化し、『大祓百鬼夜行』に連なることによって『大祓骸魂』の存在を感知しようと言うのだ。
その一つであるオブリビオンの事件をナイアルテは感知したのだ。
「はい、今回オブリビオンが飛びしてきたのは光る竹林です。普段は、でたらめに光るだけの竹林なのですが、『大祓百鬼夜行』の影響からか、光る竹の節から『光るかぐや姫の群れ』が飛び出してしまっているのです」
え、どういう? と猟兵たちは首を傾げたことだろう。
『小さいかぐや姫の群れ』? その単語だけでも不可思議な言葉である。ナイアルテは小さく、『1680万色』です、と呟いた。
「いえ、ですから『1680万色』に輝いているのです、『かぐや姫』さんたちが」
なんて?
猟兵たちは戸惑ったことだろう。2の8乗。256。さらに参上した数字。いや、まあ正確には16,777,216だけど、省略して1680万。
それは今どうでもいい。
「『かぐや姫』さんたちは生まれたばかりの小さな東方妖怪ですが、戦闘力が高い上にオブリビオンであるデュラハンとジャック・オ・ランタンと精霊馬が合わさった『ジャック・お盆・ランタン』に操られています」
まって。
待って。情報が多い。なんて? ゲーミングかぐや姫に、えっ、多い。情報が多い。
「……ええと、その、オブリビオン化するためには骸魂に取り込まれなければなりません。生来生真面目な妖怪であったデュラハンさんは、ジャック・オ・ランタンの骸魂を取り込んでオブリビオン化します。ですが、何故かデュラハンさんの駆る首なし馬が精霊馬となってしまっているのです」
……想像しづらい。
一体どんなオブリビオンなんだ。え、首なし騎士で、ジャック・オ・ランタンのかぼちゃ頭を抱えて、精霊馬のチャリオットに乗って、1680万色に『光るかぐや姫の群れ』を従えている?
とっ散らかり過ぎである。
あーもー、めちゃくちゃだよー! となるのもわかる。だが、それでもやらねばならぬ。
「『光るかぐや姫の群れ』はオブリビオンに操られているだけです。故に、これらを凌ぎつつ、オブリビオンを立つし、全部纏めて助けなくてはなりません」
あまりの情報の多さにクラクラくる。
ともあれ、現地に転移すれば否応なく対処しなければならないだろう。
ナイアルテは自分が予知した事件であるが、目がチカチカしているように曖昧に微笑み、猟兵たちを送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『大祓百鬼夜行』の戦争シナリオとなります。
でたらめに光る竹林から飛び出す『1680万色』に『光るかぐや姫』を従えたオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』を打倒し、操られた生まれたばかりの東方妖怪『かぐや姫』とオブリビオン化した妖怪をまるっと全部助け出すシナリオになっております。
『光るかぐや姫の群れ』は生まれたばかりでありますが、戦闘力が高く数もまた多数です。彼女たちは操られているだけですので、なんとか傷つけずに凌ぎ、オブリビオンを打倒し妖怪を助けださなければなりません。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……かぐや姫の大群に対処する。
それでは、大祓百鬼夜行を阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『ジャック・お盆・デュラハン』
|
POW : ハロウィーン・お盆・チャージ
【周囲の霊体を纏った戦車の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【霊体やお祭り好きの妖怪、骸魂】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : ランタン・精霊馬・フレイム
【南瓜頭や精霊馬が放つ炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【魂のみを燃やす】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : デュラハンズ・パレード
【南瓜頭デュラハン】の霊を召喚する。これは【精霊馬の突撃】や【霊体を燃やす炎】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:黒丹
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ペイン・フィン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夜鳥・藍
げーみんぐ???
ええとすごくカラフルに光ると言う事かな?それがたくさん。飛び回る。
それって逆に潜んでいれば見つかりにくい気がするわ。
繁華街の華やかなネオンサインの真下がより一層暗いように。
クリスタライズで姿を消し、そっと音を出さないよう気配を頑張って消して近づきます。
様子をうかがうために観察は続けますが……保育園のようで微笑ましくなりますね。
実際は、先生方はそれどころではないのは重々承知してるけど、それでも小さい子がわちゃわちゃ楽しんでる様子は良い物だから。
えっとなるべく死角になるような場所から近づいて、機動力を奪うために精霊馬の足を狙って青月で斬りつけます。
斬った後はすみやかに退避します。
『1680万色』――それは言葉にすれば陳腐な響きであったし、どこかおかしみがあった。
途方も無い色の組み合わせによって輝く『光るかぐや姫の群れ』は圧倒的な存在感を放っていた。
目が無駄にチカチカする。
けれど、猟兵たちはやらねばならぬのだ。
カクリヨファンタズムとUDCアース、此度の戦いは二つの世界の存亡がかかっているのだ。
「ああ、もう、どうしてそんなにあちこちかってに飛び回るんだ! そっちじゃなくてこっちだ!『大祓百鬼夜行』はこっち!」
そん中、オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』は散らばるように飛ぶ『光るかぐや姫の群れ』をなんとか統率し、『大祓百鬼夜行』へと合流しようとがんばっていた。
保育士さんの大変さが身にしみる。
まるで制御が聞いていないようだが、けれど猟兵たちを迎え撃つには十分であった。
「げーみんぐ???」
そんな『1680万色』に輝く『かぐや姫の群れ』を見上げながら、夜鳥・藍(kyanos・f32891)はユーベルコード、クリスタライズによって己のみを透明化し、光の中に紛れ込んでいた。
藍は正直、『ゲーミングカラー』というものを完全に理解していたわけではない。すごくカラフルに光る、くらいの認識であったことだろう。
カクリヨファンタズムの夜はマジで運動会かと思うほどに、シッチャカメッチャカである。
だからこそ、激しい光の明滅の中に紛れるの簡単だった。
「逆に潜んでいれば見つかりにくいもの……繁華街の華やかなネオンサインの真下がより一層暗いように」
今や彼女の姿を捉えることのできる者はいなかった。
オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』もまた同様であったことだろう。カボチャ頭を首なし騎士の抱えた頭部のように『大祓百鬼夜行』へと合流しようとしている姿が藍からははっきりと見える。
「そっちじゃないってば! なんで言うこと聞かないのだ! あーもー! 喧嘩をしない!」
まるで保育園だ。
藍は言葉をはっしなかったけれど、オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』と『光るかぐや姫の群れ』が織りなす子供と保育士の関係のように見えるやり取りに微笑ましい気分になってしまっていた。
いやまあ、実際には保育士の先生方は微笑ましいとかそんなどころではないことは承知しているのだけれど、それでも小さなかぐや姫たちが好き勝手に元気に光っては飛び回る姿を見るのはなんとも言えず、良いものであると彼女は感じるのだ。
「でも、それでも倒さなければならないんですよね」
少しばかり良心の呵責のようなものがあったかもしれないが、『光るかぐや姫』に翻弄されて、まともに行動できない『ジャック・お盆・ランタン』が駆る胡瓜の精霊馬の足をほのかに青白い光を放つ打刀で斬りつける。
姿が見えない、むしろ、それどころではないオブリビオンにとって何が起こったのかわからなかったことだろう。
「えっ、なんで? なんでいきなり精霊馬の足が折れてる!?」
ぐらりと体勢を崩す『ジャック・お盆・ランタン』。
保育士さんよろしく、飛び交うかぐや姫の統率に目一杯であった彼は、精霊馬が急に無軌道に走り出すのを止められなかった。
蛇行運転するように精霊馬が引くチャリオットが竹林に頭から突っ込んでいくのを藍は速やかに退避しながら見送る。
これで『大祓百鬼夜行』に合流することは難しいだろう。
けれど、藍はなんとも言えない気持ちになっていた。
「……かぐや姫さんたちのお世話だけでも大変なのに、猟兵の相手もしないといけない……保育士さん……じゃない、オブリビオンも大変なんですね」
未だ『1680万色』に輝き飛び交うかぐや姫と暴れ馬のように蛇行運転を続ける精霊馬を顔があれば涙目になりながら制御している『ジャック・お盆・ランタン』に藍は哀愁を覚えずにはいられないのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
やべーぞ!
ゲーミングかぐや姫だ!
あの無駄にぴかぴか光るゲーミング色だ!
夜中に電気を消してても存在感を出しまくるゲーミングが群れなしてやって来るぞ!
こっちも頑張って光らないと…
畜生神器
光れ!光るんだよ!
あと敵も名前長い!
ジ盆ハンで十分だ!
●
先ずはかぐや姫…うおっまぶしっ!
サングラスセット
ゲーミングかぐや姫は生まれたばかりの妖怪です
応援してくださいね…じゃあないんだよ
とりあえず《RE》IncarnationとBlue Birdでやさしーく『斬撃波』を発生させて『なぎ払い』『吹き飛ばし』て道を確保
【Code:C.S】起動
一気にジ盆ハンに接敵
時間加速して切り刻む!
ツッコミが…ツッコミが追いつかない!
竹林がデタラメに輝いている。
まるで法則性の見受けられない明滅。いや、けれどサブカルチャーに詳しい者であれば、それがまったくのデタラメに輝いているわけではないことを知っていただろう。
アレに見るは『1680万色』に輝くゲーミングPC。ならぬゲーミング竹林。
「やべーぞ! ゲーミングかぐや姫だ!」
知っているのか、月夜・玲(頂の探究者・f01605)――!
どっかの書房から引用してきそうな雰囲気の玲は、しかして、生唾を飲み込んで冷や汗を垂らした。
いや別に何も慌てる必要なんてないのだけれど、なんとなく冷や汗と生唾はセットのような気がして、無駄に劇画調の顔になった玲は誰に言うでもなくつぶやくのだ。
「あの無駄にぴかぴか光るゲーミング色だ! 夜中に電気を消してても存在感を出しまくるゲーミングが群れを為してやって来るぞ!」
そう、電源落とさないとずっとぴかぴかしているのだ。
若い頃はアレに憧れるものであった。カッコいい。無駄にカッコいいデザインでラインの走ったデザインは、誰しもにあるであろう少年の心をくすぐりまくるのだ。だから、しかたないのである。
だがしかし。
今は生まれたばかりの東方妖怪とは言え、無駄に戦闘力が高いのである。これをどうにか凌ぎ、オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』を倒さなければならないのだ。
「こっちも頑張って光らないと……」
え、なんで?
光る必要あったかな? と誰かがいたのなら、そう突っ込んだが、誰も居ない。むしろ、玲はノリノリであった。別に全然焦っても居なかった。
お約束である。
「畜生、神器。光れ! 光るんだよ!」
気合であった。模造神器を抜き払うが残念ながら蒼光に輝くだけである。ちくしょう、こういう時に玲さんならなんとかしてくれるのに!
「あと名前も長い! 『ジャック・お盆・ランタン』! 長い!『ジ盆ハタン』で十分だ!」
「えぇ……」
オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』は困惑していた。
先程まで精霊馬の足が何故か折れて蛇行運転していたのだが、竹林で今、その割り箸の足を修理していたのだ。
周囲に飛ぶ『かぐや姫』たちは、もう縦横無尽に駆け回って、まるで言うこと聞いてくれないし、そうかと思えば、玲に絡まれているのだ。
もう厄日というほか無い。
「まずはかぐや姫……うおっまぶしっ!」
すちゃっとサングラスをセットしながら、玲は模造神器を振るう。だが、かぐや姫は生まれたばかりの東方妖怪である。
単純に操られ……操られているかなぁ、あれ。そんな雰囲気であるが、玲は事前にグリモア猟兵からちゃんと説明を聞いていたのだ。えらい。
「応援してくださいね……じゃあないんだよ! もうやさしーくっていうのが一番むずかしいんだ!」
けれど、なんやかんやいいながらちゃんと加減して斬撃波を放ってくれる玲さん優しい。
縦横無尽に飛んでいたかぐや姫たちが、まるでジェットコースターを楽しむ子供のように衝撃波に飛ばされてキャッキャ言いながら飛んでいく。
そうすれば、もう『ジャック・お盆・ランタン』へと至る道を塞ぐ者はないのだ。
「ふぅ……これで精霊馬の折れた足は治った――」
汗を拭い……いや、頭ないかわりにカボチャ頭のランタンヘッドを拭って『ジャック・お盆・ランタン』は振り返った。
そこにあったのは、玲の振るう模造神器の蒼光を放つ刀身であった。
――え。
「Code:C.S(コード・クロノシール)、封印解除、時間加速開始っていうか、もう接敵してるから、こんにちはと同時にさようなら!」
ずんばらりんと放たれる蒼光の斬撃が『ジャック・お盆・ランタン』――略して『ジ盆タン』に放たれる。
「え、猟兵なんで!? なんで猟兵!? まって、まって、まだこっちのユーベルコード使ってな――」
「問答無用! 勝負はいつだって非常に非常事態! というわけで、切り刻む!」
時間加速した玲の放つ斬撃を『ジャック・お盆・ランタン』が躱せるわけもなく。
むしろ、かぐや姫たちのお世話と折れた精霊馬の足の修理に疲弊した彼は、あえなく玲の放つ斬撃の前に切り伏せられる。
「ツッコミが……ツッコミが追いつかない!」
「それ、貴方が言うんです、か……ガクッ」
『ジャック・お盆・ランタン』、略して『ジ盆タン』は怨嗟とも、ツッコミとも取れぬ声と共に玲にくだされるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
久瀬・了介
オブリビオンは殺す。手段を選ばず必ず殺す。
纏めて電撃で焼き払おうとする衝動を抑え込む。あの子達は保護対象…云わば民間人だ。巻き込む訳にはいかない。
祭じみた煌びやかな輝きを眺めながら深呼吸。肩の力を抜く。殺伐が似合う夜じゃない。衝動を乗りこなせ。
【雷人】発動。少し痺れるが我慢してくれ。微弱な放電を放ち【範囲攻撃】【マヒ攻撃】。姫達の動きを止める。
電磁力場で加速し【ダッシュ】、姫達の間を潜り抜けデュラハンに接近。遠距離攻撃は彼女達を巻き込みかねない。
突進されたら自身への負担を【激痛耐性】で無視した急加速による【早業】で回避。
フルオート射撃を零距離から撃ち込む。貴様の覚悟に敬意を表する。後は任せろ。
どんな状況でも、どんな思惑が絡もうとも変わらぬ意志を保つ者にとって、でたらめに輝くカクリヨファンタズムの竹林は考慮に値しないものであっただろうか。
オブリビオンに操られた『光るかぐや姫の群れ』。
それは即ち、オブリビオンを殺すと決めた存在にとって障害物でしかないのかもしれない。
「オブリビオンは殺す。手段を選ばず必ず殺す」
迸るヴォルテックエンジンの黒い雷は、荒れ狂う久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)の魂の衝動が形になったものであった。
どんな理由があれ、どんな意味があれ、目の前にオブリビオンがいるかぎり、了介は殺す。
オブリビオンを殺す。
それが悪霊でありデッドマンである己の矜持であると。
しかし、心の奥底の原点とも言うべきものがそれを否定する。
己の矜持は民間人を守る軍人である。
目の前に飛ぶ『光るかぐや姫』は確かに妖怪であり、オブリビオンに操られた手駒であろう。
けれど、保護対象である。
守らなければならない。己が己であるために、必ずや彼女たちを守らなければならない。
「巻き込むわけにはいかない」
己の衝動を抑え込む。
まとめて電撃で払ってしまえば、簡単な話だ。けれど、それをしない。それをしてしまっては、己を己たらしめる何かが喪われてしまう。
そうなってしまえば、己は。
オブリビオンと変わらない。薄氷を踏むように了介は祭りじみたきらびやかな輝きを見つめ、息をゆっくりと吸い込み、吐き出していく。
漲る衝動は形の力を抜いて息を整える。
「殺伐が似合う夜じゃない。衝動を――」
乗りこなせ、と自分に言い聞かせ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
自分が討つべき相手はたった一人である。
そう、オブリビオン。だが、そのオブリビオンでさえ、『大祓骸魂』を討つために自分のみを犠牲にしてでもオブリビオン化した妖怪である。
その生来の生真面目さ故に、『光るかぐや姫』たちも無理矢理従えることのできない『ジャック・お盆・ランタン』。
だからこそ、了介は殺すのではなく。
救うと決めたのだ。
「発雷」
その言葉と共に雷人(ライジン)と化した了介は黒い雷を纏った姿のまま、お祭りの会場のような竹林を駆け抜ける。
常に放電によって彼に近づく者たちはしびれる程度の麻痺効果で次々と失墜していく。
「少し痺れるが我慢してくれ」
かぐや姫たちの動きを止めながら、了介は疾駆する。
すでに『ジャック・お盆・ランタン』は猟兵達によって、『大祓百鬼夜行』への合流を阻止されているが、いまだ打倒はなっていない。
ならばこそ、了介ははしるのだ。
遠距離攻撃では、かぐや姫たちを巻き込みかねない。
それは了介にとっても、猟兵にとっても臨むものではない。ならばこそ、『ジャック・お盆・ランタン』に急接近するのだ。
「わっ!? なんだ、君はって、猟兵!?」
『ジャック・お盆・ランタン』は驚愕しただろう。切り伏せられて、立ち上がったと思ったら、もうすぐに別の猟兵が迫っているのだ。
精霊馬による突撃が了介を襲うがもう無駄な距離であった。
雷撃がほとばしり、了介の身を焼く。けれど、かまわなかった。目の前のオブリビオンを急加速でもって躱し、『ジャック・お盆・ランタン』の真横に踊り出る。
その手にあったのはハンドキャノン。
銃口はぴたりと『ジャック・お盆・ランタン』、そのデュラハンの肉体へと突きつけられていた。
「貴様の覚悟に敬意を表する」
引き金を躊躇うことなく引いた。
轟音が響き渡り、フルオートの弾丸がすれ違いざまに『ジャック・お盆・ランタン』の肉体へと叩き込まれていく。
悲鳴をあげるようにオブリビオンが吹き飛んでいく最中、了介は己の軍人としての矜持を持って、オブリビオン化した妖怪へと告げるのだ。
「後は任せろ」
それこそが、己の為すべきことであると、その瞳には憎悪ではなく、己の誇りが輝いているのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
(眩しいので、スチャっとサングラスをかけて現場へ)
フッ……どうしマスカネー。
かぐや姫たちを傷つけず、オブリビオンを倒し、デュラハンさんも救出する。
全部こなさないといけないのが猟兵の辛いところデスネー!
HAHAHA、では初手から全力ぶっぱで片づけマショー!
「骸式兵装展開、朱の番!」
羅針盤戦争で戦い、最近猟書家したことで戦闘データを集積できたメリーさんの力を借りて、いざ!
「一列に並んでくれるとは好都合! 薙ぎ払え、模倣様式・木阿弥大津波ー!」
やる気を洗い流す朱色の大津波をぶつけて、殲滅デース!
濡れはすれど傷は負わないスマートな技であります!
さー、お帰りの時間デスヨー!
生まれたばかりとは言え、強力な東方妖怪である『光るかぐや姫の群れ』の脅威は未だ払拭されたとは言い難い。
というよりも、現状では彼女たちの戦闘力よりも単純に眩しい、ということに対する弊害のほうが大きいと言えるだろう。
オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』は先行した猟兵達によって消耗させられてはいるが、それでもなお彼を倒しきれていない。
オブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』を打倒するために敢えて、オブリビオン化して軍門に下った妖怪たちの決意を無駄にしないため猟兵たちはデタラメに……そう『1680万色』に輝くゲーミングかぐや姫が乱舞する竹林へと飛び込まなければならない。
「フッ……どうしマスカネー」
そんなことを言いながら、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はサングラスを装着し、竹林へと足を踏み位入れる。
光る竹の節々から次々と『光るかぐや姫』が生まれ続けている。
「かぐや姫たちを傷つけず、オブリビオンを倒し、デュラハンさんも救出する……」
言葉にすれば簡単なことかもしれない。
けれど、それを全て完璧にこなすこととはまったく別の意味を持つ。
「全部こなさないといけないのが猟兵の辛いところデスネー! HAHAHA、では初手から全力ぶっぱで片付けマショー!」
バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
その色彩は『1680万色』にも負けないくらい煌めいていた。
『光るかぐや姫の群れ』は宙を乱舞し、オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』の呼びかけにもあまり応えない。
少し不憫だなと思うこともないでもないが、むしろ今が好機である。
一気に打倒すれば、それだけ被害は少なく全てを丸く納めることができるのだ。
「骸式兵装展開、朱の番!」
ユーベルコード、模倣様式・木阿弥大津波(イミテーションスタイル・バーミリオン)。
それは羅針盤戦争でも戦い、猟書家となったオブリビオン『メリー・バーミリオン』の持つユーベルコードの力であった。
彼女の姿を模したバルタンの手にはファルシオンが握られている。
その振りかぶった一撃から放たれるのは大津波である。その一撃の凄まじさに感づいたのだろう、『ジャック・お盆・ランタン』が注意を呼びかけるが、もう遅い。
「わー!? なんだあの津波、朱い……!?」
精霊馬のチャリオットで逃げようと思えば逃げられただろう。
けれど、そこはオブリビオン化する前からの生真面目さが災いした。保育士……じゃなくって、オブリビオンとして操っていた『光るかぐや姫』の群れを見捨てられず、『ジャック・お盆・ランタン』は彼女たちを助けようと立ちふさがってしまったのだ。
「一列に並んでくれるとは好都合!薙ぎ払え、模倣様式・木阿弥大津波ー!」
その大津波の一撃は、肉体を傷つけるものではなかった。
今回の戦いに限って言えば、これほど友好的なユーベルコードもなかったことだろう。大津波に飲み込まれた『ジャック・お盆・ランタン』と『光るかぐや姫の群れ』は押し流されるように竹林の外へと吹き飛ばされていく。
だが、肉体を傷つけないということは、彼等を打倒することとは違う。
そう、肉体の代わりに傷つけるものがあるのだ。
「……う? なんでこんなにやる気が出ない……?」
先程まで保育士として……じゃないオブリビオンとして『大祓百鬼夜行』に合流しようとしていた『ジャック・お盆・ランタン』は自分の心がどうにも奮い立たないことに気がつく。
何故、と思う彼の前にバルタンはファルシオンを掲げ笑うのだ。
「やる気を洗い流す朱色の大津波! 濡れはすれど傷は負わないスマートな技えあります! さー、おかえりの時間デスヨー!」
そう、バルタンのユーベルコードは元の木阿弥へと戻す大津波。
その朱き津波に飲み込まれてしまえば、どれだけ意気揚々としていた者とて、やるきと欲望を削がれてしまうのだ。
そうなってしまえば、彼等とて自由には行動できない。
肉体を傷つけずに彼等を救う最善策を、バルタンは一撃で繰り出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林
借りた武器:漆黒風
ゲーミング…というのは、今住んでる所(UDCアース)で聞いたことはありますが…。あまり馴染みはないですね。
彼女たちを極力傷つけずにいこうとすれば…私ですか。
早業で制圧射撃の【四天境地・『雪』】を発動。その数だけ矢が増えますからね。時間凍結している間に、ダッシュで駆け抜けます。
その後、地形を利用し、だまし討ちの要領で漆黒風を投擲。
相手の攻撃は、結界術でいなしますね。
覚悟に報いるためにも、私たちは戦いますからね。
ゲーミングカラー。
その言葉に聞き覚えがあっても、馴染みがない者のほうが圧倒的に多いであろう。馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、4つの悪霊で構成される複合型悪霊である彼等にとっても、それはある意味当然のことであった。
むしろ、UDCアースを拠点としている彼等にとっては、若干の馴染みはあったかもしれないが、触れることがなければ意識することもなかったことだろう。
「ゲーミング……というのは、今住んでる所で聞いたことはありますが……あまり馴染みはないですね」
四柱の一柱である『静かなる者』が、でたらめに明滅する竹林から朱い津波と共に押し流されてくるオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』と『光るかぐや姫の群れ』をみやりつぶやく。
『1680万色』にも及ぶ光の軌跡。
ただそれだけを見れば、なんとも面白い光景であろう。生まれたての小さな東方妖怪であるかぐや姫が徐々に色を変えていく姿は、どこかおかしみがあるような気さえしたのだ。
むしろ、その輝きはカクリヨファンタズムにおいては日常的な光景のように思えたかも知れない。鬼火や狐火といった火球はいつだって、そこかしこに飛んでいるのだから、日常といえば日常であったのだ。
「ああーもう、本当にやる気がでなーい……」
どうやらオブリビオンである『ジャック・お盆・ランタン』は度重なる猟兵たちの攻撃に寄って傷を負い、そして同時にやる気まで損失しているようだった。
それでも保育士よろしく『光るかぐや姫の群れ』のお世話ならぬ統率を忘れない辺り、生真面目すぎるのだろう。
徐々にやる気を取り戻しているように思えるが、今が好機である。
「彼女たちを極力傷つけうにいこうとすれば……私ですか」
これは立ち直られる前に手早く済ませることが重要であろうと、『疾き者』は駆け出す。
その瞳が輝くのはユーベルコードである。
四天境地・『雪』(シテンキョウチ・ユキ)。
それは白い雪のような長弓から放たれ、分裂する霊力に寄る氷雪の矢である。一射であっても分裂し、『疾き者』が認識している『光るかぐや姫の群れ』へと一斉に飛び、その一撃は時間凍結によりかぐや姫たちの動きを一時的に止めるのだ。
「凍れ、そのままに――そして、その隙に手早く済ませてしまいましょう」
迫るのはオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』。
精霊馬のチャリオットと霊体を燃やす炎が『疾き者』へと飛ぶが、その一撃はどこかふわふわとしており、気迫に満ち溢れたものではなかった。
そう、先に仕掛けた猟兵たちの攻撃が地味に今『ジャック・お盆・ランタン』の動きを悪くしているのだ。
「あ~……も~……ほんとに力がでない~……!」
放たれる炎は霊体を傷つける。
けれど、精彩を欠く動きで仕留められるほど、『疾き者』は遅くはない。手にした棒手裏剣が『ジャック・お盆・ランタン』に放たれ、デュラハンの鎧の体に突き刺さる。
「敢えて『大祓骸魂』の軍門に降った貴方方の覚悟に報いるためにも、私達は戦いますからね……」
ですからどうか、後は任せておいてくださいと言うように『疾き者』は棒手裏剣の一撃を『ジャック・お盆・ランタン』へと叩き込み、その責務を全うするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
ゲーミングかぐや姫とは……。
あのぴかぴか見ると欲しくなるのはゲーマーの性かな。
まぁその前にかぐや姫さんなら光らなくても欲しいけど!
あとでげっとの可能性のためにも、まずは安全確保。
【迷宮回路】にかぐや姫さんたちを閉じ込めて、
出口を塞いで中にいてもらおう。
こ、これは!
ゲーミング回路(可愛い娘つき)とか、
このまま持って帰りt(げふんげふん)
じゅるりしてる場合じゃなかった。
次は保護者さんにしっかり注意しないと!
【バゼラード】で馬の足を切って行動不能にして、
ちょっとだけお説教したら、骸魂には還ってもらうね。
「ちゃんと見てないと危ないでしょ!」
妖怪さんが正気に戻ったらご相談。
ひとり養子にもらえない、かな?
「ゲーミングかぐや姫とは……」
そう呆然と呟いたのは、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
彼女の瞳に映るのは、猟兵たちの攻撃を受けて竹林から飛び出してきた無数の『光るかぐや姫の群れ』であった。
彼女たちは常に光り輝いている。
その色合いは『1680万色』。まさにゲーミングカラーと呼ぶにふさわしい姿であったが、理緒の心は非常に揺れ動いていた。
「あのぴかぴか見ると欲しくなるのはゲーマーの性かな。まぁ、その前にかぐや姫さんなら光らなくても欲しいけど!」
理緒の欲望ただ漏れである。
あとでげっとの可能性のためにもまずは安全確保をしなければと動くあたり、忠実である。
いやむしろ、この戦いにおいては欲望ただ漏れのほうが強かったのかも知れない。理緒のユーベルコードが輝き、戦場となった竹林に迷宮回路(メイキュウカイロ)が生み出される。
それは電子回路基板を模した、絶縁体でできた迷路を生みだす。
『光るかぐや姫の群れ』を一斉に迷宮の中に閉じ込め、出口を理緒は背中で塞ぐ。生まれたばかりの東方妖怪と言えど、戦闘力は高いのだ。
ならばこそ、迷宮の中で一端オブリビオンと引き離したほうが、好都合である。
だが、今は欲望ただ漏れ理緒さんである。
「こ、これは! ゲーミング回路(可愛い娘付き)とか、このまま持って帰りげふんげふん」
いいのかなー。
もうオブリビオンとの戦いとか、そういうのが大義名分になっているような気がしないでもないのだが、じゅるりとよだれを拭う理緒の姿は、ちょっとヤバかった。
「……ヤバイ人だ……」
オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』も察したのだ。
鎧兜の代わりにジャックランタンのカボチャランタンを、ひしと抱きしめて震える。
「お、オブリビオンには言われたくないんですけど!」
理緒は風竜の加護を受けた短剣を振るい、真空波を飛ばし、精霊馬の割り箸の足を斬り飛ばす。
ああー! せっかく修理したのに! と『ジャック・お盆・ランタン』が叫ぶ。そう、すでに二度目である。
これでチャリオットの機動力は削がれたも同然だ。
「ちゃんと見てないと危ないでしょ!」
まさかの説教タイムである。
いや、違うんですよお母さん。
『ジャック・お盆・ランタン』先生はちゃんとやってるんすよ! 悪いのはワンオペ育児になってしまった環境のせいなんですよ! と擁護したくなるが、今の理緒には通用しないだろう。
理不尽過ぎるお説教であるが、ひとしきりいい終えて理緒は満足したのだろう、深々と息を吐きだして、『ジャック・お盆・ランタン』に詰め寄る。
「――ヒッ」
そらそういう悲鳴も出るよ。
理緒はにっこりと微笑んで言う。
まるで、このセリフを吐き出すために、今まで色々やってきたのだと言わんばかりであった。
「ひとり養子にもらえない、かな?」
えぇ……。
確かにワンオペ育児は大変である。保育士の先生方の苦労は押して測るべしであろう。
けれど、まさかここに来て理緒の狙いは、そっちではなかったのだ。
そう、可愛い娘さんを欲しくなるのはゲーマーの性。理緒の性である。だからこそがんばったのだと胸を張られても仕方のないことである。
「ええっと……かぐや姫を待っているおじいさんおばあさんもいるわけですしぃ……そのぉ……」
無理です、と呟いた瞬間、理緒のバゼラードの一撃が『ジャック・お盆・ランタン』のカボチャ頭のランタンの上に振り下ろされ、鈍い音と悲鳴が竹林に響き渡るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
あやー、1680万色でっすかー!
まるでオーロラみたいなのでっす!
ですがでっすが、二色と言えど藍ちゃんくんの存在感と輝きっぷりも負けてないでっすよー?
藍ちゃんくんでっすよー!
大声でご挨拶&楽しげな歌と演奏で誘き寄せ&誘惑なのでっす!
お姫様方! 藍ちゃんくんと踊りましょうなのでっす!
光る竹林をステージとして地形利用しつつ、お姫様たちをダンスで引き連れジャックさんズに突撃なのでっす!
南瓜頭デュラハンの皆様もご一緒しましょうなのでっす!
楽しくはちゃめちゃに踊らせちゃうのでっす!
目指せ、保護者のジャックさんへの心労アタックなのでっす!
骸魂には藍ちゃんくんの歌をお届けしちゃうのでっす!
カクリヨファンタズムの夜はいつだってでたらめに輝くものであるが、今宵の竹林はさらに輪をかけてエキセントリックでサイケデリックであった。
何を言っているのかさっぱりわからないと思うが、そう表現する他無かったのである。
そう、今や竹林は『1680万色』に輝くきらびやかな祭りのような世界へと早変わりし、光る竹の節からは次々と『光るかぐや姫』が飛び出して、乱舞しているのだ。
けれど、彼女たちを操り、『大祓百鬼夜行』へと合流しようとしていたオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』はワンオペ育児ならぬ保育士さながらに『光るかぐや姫の群れ』と猟兵達に体力、気力共々削がれ続けていた。
「あやー、1680万色でっすかー! まるでオーロラみたいなのでっす!」
さらに追加の猟兵のお時間である。
見事にひしゃげたカボチャ頭のランタンを大事そうに抱えた『ジャック・お盆・デュラハン』は、紫と藍色に輝く謎の光と共に出現した猟兵、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の姿にビクついていた。
もう『光るかぐや姫の群れ』をコントロールすることも忘れ、それはもう盛大に攻め込まれて這々の体で逃げ出してきたのに、さらに降臨する藍の姿に絶望すら覚えたことだろう。
「ですがでっすが、二色と言えど藍ちゃんくんの存在感と輝きっぷりも負けてないですよー? せーのっ」
何処からともなくマイクを取り出した藍が天からマイクを『ジャック・お盆・ランタン』に突きつける。
それは攻撃でもなんでも無かった。
そう、ただのマイクパフォーマンスである。『ジャック・お盆・ランタン』はもはや理解が追いつかなかった。
え、どゆことなの? と疑問符が頭の上に浮かびまくっている。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
あ、もしかしてこれコールの時間!? と『ジャック・お盆・ランタン』は乗り遅れたことに生真面目に反応しながら、いえーい! と若干のノリの良さと真面目さを混合させた気分になってしまう。
まあ、それ以前に『光るかぐや姫』たちはノリノリである。いえいいえい! と自分の体を輝かせながら、藍の言葉に乗っているのだ。
「お姫様方! 藍ちゃんくんと踊りましょうなのでっす!」
光る竹林をステージとして利用しながら、かぐや姫たちをダンスで引き連れ、『ジャック・お盆・ランタン』に突撃するのだ。
そう、これこそが藍のユーベルコードである。
藍ちゃんくんと愉快な観客達!(リー・アー・アイチャンクーンッ)という一塊の存在になった藍と『光るかぐや姫の群れ』が最高パフォーマンスと見事なダンスと共に一斉に躍りかかるのだ。
いや、これは攻撃ではない。
踊るなんちゃらに見るなんちゃら! なんなら踊らにゃ損であると言わんばかりに『ジャック・お盆・ランタン』の手をとって踊りだすのだ。
「お、おお……!?」
これまで猟兵に攻撃されたり、詰め寄られたり、ワンオペ育児で大変だった『ジャック・お盆・ランタン』にとっては、まさに降って湧いたオアシスである。
「さあ、ご一緒しましょうなのでっす!」
藍は楽しげに微笑みながら、まさにアイドルそのもの笑顔と共に『ジャック・お盆・ランタン』と『光るかぐや姫の群れ』を踊らせるのだ。
それが例えユーベルコードの効果だったのだとしても、今この瞬間において藍は、たった一人のアイドルのように、『1680万色』以上に光り輝いて、踊りまくるのだ。
まあ、どちらかというと生まれたばかりのかぐや姫たちを踊りまくらせているという事実が、『ジャック・お盆・ランタン』の生真面目な心に心労ダイレクトアタックなのだが。
「藍ちゃんくんの歌をお届けしちゃうのでっす!」
さあ、謳おう、踊ろう! そういうように藍の歌声とステージは、竹林ナイトフィーバーを旋風として撒き散らすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
……物足りませんね
人の認識能力では16,777,216色…8bitで十分でしょうが、私のマルチセンサーの色彩認識力は1,073,741,824…10億7000万色は朝飯前
これでもSSWの軍事用ですので
それはさておき、かぐや姫達を傷つけず骸魂から妖怪を解放しなくては
力振るう相手を間違えぬからこその騎士ですので
UC纏い10億7000万色を余裕で越える色彩隠蔽能力で竹林の景色に融け込みかぐや姫やり過ごし接近
密かに触手を放ち騙し討ち
少々、哲学的な問題に派生しそうですので炎など放つ暇も与えません
南瓜をはたき落とし、戦車から引き摺り落とし
引き寄せ素早く剣を一閃
…これは騎士でなく暗殺者の所業のような
2の8乗。256。さらに3乗して、16,777,216。それがゲーミングカラー、即ち『1680万色』である。
それは通常の生物であれば十分過ぎる輝きであったことだろう。
だが。
「……物足りませんね」
そう呟いたのは、ウォーマシンであるトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)であった。
彼にとって『1680万色』は物足りないのだ。
いや、物足りないっていう言い方は語弊ありまくりであるが、しかし、彼のマルチセンサーの色彩認識力は――。
「人の認識能力では16,777,216色……8bitで十分でしょうが、私のマルチセンサーの色彩認識力は1,073,741,824…10億7000万色は朝飯前」
うっ、数字の羅列を聞いただけで頭痛がする。
10bitのマルチセンサーであればこその数字であるが、初めてではないだろうか、トリテレイアがまさかのbit数で物足りないと感じたのは。
「これでもスペースシップワールドの軍事用ですので」
しかし、だからこそ彼のマルチセンサーにおいては『光るかぐや姫の群れ』が放つゲーミングカラーの輝きは眩しいというより、単純に光っている程度にしか感じないのだ。
ここに来てトリテレイアがウォーマシンであるという特性が、この竹林における戦いに優位に働く。
「かぐや姫たちを傷つけず、骸魂から妖怪を解放しなくては……力振るう相手を間違えぬからこその騎士ですので」
彼の姿が特殊潜入工作用試作型隠蔽外套(エクステンションパーツ・スキッドコート)を羽織り、色彩隠蔽能力によって竹林の景色に溶け込んでいく。
それは海の生物『イカ』が持つ静粛性と擬態のみならず吸盤と触手、墨と水中適正すらも手に入れることができる破格の装備であった。
しかし、装備したトリテレイアは微妙な気分であった。騎士らしくないのはまあ、仕方ないとは言え、どうにも生っぽさ、生物としての印象が拭えないのだ。
これでかぐや姫たちをやり過ごすことができるのはかまわないのだが、どうにも落ち着かない。
「ああ~……もう本当にどうしてこんなことに……」
そんなトリテレイアが人知れず接近したのはオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』である。
彼はオブリビオン化する前の生真面目な性格故か、猟兵との戦いとワンオペ育児による心労で疲弊していた。
その周囲には青白い炎が鬼火のように飛ぶ。それこそが彼のユーベルコードである。魂のみを焼く炎。
それはトリテレイアにとっては些か電脳がエラーをはじき出しそうな問題に発展しそうである。
「少々哲学的な問題に派生しそうですので、その炎は放つ暇も与えません」
伸ばした外套の触手が『ジャック・お盆・ランタン』の手にしていたカボチャ頭のランタンを弾き落とす。
「――ッ!? あれー!? 頭! 頭がー!?」
ぐったり心労で疲弊していた『ジャック・お盆・ランタン』であるが、カボチャ頭がゴロゴロと転がり落ちるのをチャリオットで追いかけようとして、その足を掴むものがあった。
ぬるっとぬめっとした感触。え、なに? と見下ろした先にあったのは、触手であった。イカの。
「イカ!? なんで!? なんでイカ? なんで!?」
混乱極まれりな『ジャック・お盆・ランタン』の叫び声と共に引きずり下ろしたトリテレイアは引き寄せ剣で、その体を一閃させる。
その一撃は躱すことなどできず、『ジャック・お盆・ランタン』の鎧を貫く。
しかし、トリテレイアはなんとも言い難いデータが電脳よりあふれるのを感じていた。
そう、彼の炉心に燃えるのは騎士道精神である。
今の行いは言う成れば。
「……これは騎士ではなく暗殺者の所業のような」
気がついてしまった。
トリテレイアはイカの擬態能力で再び景色に同化しつつ、魂を焼く炎以上に己の中の至上命題と矜持の間で揺れ動き続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…この世界はこんなのばっかりなの?
…だけど私とて何時までも異世界の文化に泡を食ってばかりじゃないわ
…要するに視界に入るから気になるのよ。だったら見なければ良い
そうすればランタンだろうがデュラハンだろうが、
1680万色に光る小さなお姫様の群れだろうが気にならない……はず!
両眼を閉じ"光の精霊結晶"を投擲して戦場を閃光で包み、
敵集団の視界を一時的に潰して闇に紛れてUCを発動
反響定位による第六感を頼りに敵の位置を補足して見切り、
全身を音を遮断する超音波のオーラで防御して気配を絶って切り込み、
デュラハンを超音波振動で切断力を強化した大鎌でなぎ払う
…いや、やっぱりおかしくない?何なの、この世界?
「……この世界はこんなのばっかりなの?」
カクリヨファンタズムの夜は、夜の帳が降りてもなお、騒々しく煌々と輝いている。具体的には『1680万色』に。もっと具体的に言うと8bitで色彩を表現している。
何を言っているのかわからないと思うかも知れない。
なにせ、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はカクリヨファンタズムの世界に慣れていないからだ。
目が回りそうなほどに明滅する竹林の竹。そこから次々と『光るかぐや姫の群れ』が生まれては、宙を好き勝手に飛び回るのだ。
以前の彼女であったのならば、めまいと共に膝をついたかもしれない。
けれど、彼女とて狩人である。膝をつくことなど許されない。
「……だけど私とて何時までも異世界の文化に泡を食ってばかりじゃないわ」
その瞳が意志に輝く。
そう、彼女は負けない。そう決めた生き方をするのならば、こんな……こんな……『光るかぐや姫の群れ』だけではなく、デュランでお盆で精霊馬でジャック・オ・ランタンなオブリビオンを前にしたってうろたえないのだ。
「……要するに視界に入るから気になるのよ。だったら見なければいい」
両目を閉じたリーヴァルディは、光の精霊結晶を空に投擲し、炸裂する閃光で竹林を包み込む。
どれだけゲーミングカラーに竹林が明滅していたのだとしても、真白なる光で染め上げてしまえば問題ない。
ただ、強烈な光故に、オブリビオンも猟兵も視界が効かなくなってしまう問題があった。
けれど、リーヴァルディには、吸血鬼狩りの業・天響の型(カーライル)がある。 海の生物『イルカ』が持つ反響定位によって、音が跳ね返ってくる法則を利用して、一瞬で空を舞うかぐや姫とオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』の位置を把握する。
「……狩人からは逃れられない」
一瞬で走り抜ける。
彼女の全身は音を遮断する超音波のオーラで気配を立ち、『ジャック・お盆・ランタン』へと切り込むのだ。
彼女の瞳はふせられているからわからないかもしれないが、『ジャック・お盆・ランタン』の姿は彼女をしても奇怪であった。
体はデュラハン。けれど、抱える頭はカボチャ頭のランタン。そして駆るチャリオットはきゅうりとなすびの精霊馬。車輪はれんこんである。
もう意味がわからん。
情報が多すぎて、リーヴァルディは目を閉じていて正解であった。
「なに!? なんか真っ白に光ったんですけど!? かぐや姫のみんなは大丈夫かな!?」
こんなときでも『ジャック・お盆・ランタン』は生来の生真面目さ故に、引率じゃなくってえっと、操っていたかぐや姫たちの身を案じていた。
オブリビオンと言えば、これまで殺伐した敵と戦うことが多かったリーヴァルディにとっては、あまりにも平和ボケしたような敵。
だが、それは骸魂を飲み込んだ妖怪の持つ決死の覚悟故に表層に現れた性格であったのだろう。
それがリーヴァルディたち猟兵の勝利への道を導き出す。
たった一瞬の交錯であったが、切り込んだ大鎌の一撃が確かに掌に手応えを伝える。
薙ぎ払った一撃の手応えと共にリーヴァルディは閉じていた瞳を開ける。
そこにはリーヴァルディの一撃を受けて吹き飛んだ、きゅうりと茄子、そしてれんこんでできたチャリオットの無残な姿であった。
確かに。
確かに、オブリビオンに打撃を加えることができたのだが。
「……いや、やっぱりおかしくない? 何なの、この世界?」
リーヴァルディは釈然としないものを、かつてのチャリオットであったであろう残骸の前に吐き出さざるを得ないのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
何だろう、この目に悪そうな光景
あと季節感が迷子になってない?
あらまあ、かわいらしいお姫様達ですこと
傷つけずに保護するのでしたら大得意ですの
是非任せて欲しいですの
なんか無駄にやる気出してるけど
こいつの権能がこの状況にむいてる事は事実だし
かぐや姫達を傷つける事はしないだろうから
任せるとしようか
…ついでに魂のみ燃やす炎で
邪神だけ綺麗に焼いてくれないかなぁ
本体が焼ける様な状況になれば
晶は既に消し炭ですの
さあ、お姫様方を石像に変えて保存しますの
とっても愛らしいですの
邪魔する無粋なデュラハン様は
凍らせて固定してしまいますの
霊体を燃やす炎も突撃も固定してしまえば大丈夫ですの
…まあ、戦力にはなってるからいいか
ゲーミングカラーに好き勝手光り輝く『光るかぐや姫の群れ』。
彼女たちが飛び交う竹林は、正直な話目が痛いほどであった。けれど、彼女たちはオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』によって操られている。
いや、操られているように見えないのは、これだけ大量のかぐや姫をワンオペ育児のように一人で統率しているからである。
さらに猟兵たちの攻撃に寄ってチャリオットは破壊され、がっくりうなだれて……あ、首なし騎士なので項垂れる首もないわけであるが、その代わりにカボチャ頭のランタンがめそめそしている。
「……なんだろう、この目に悪そうな光景。あと季節感が迷子になってない?」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は目の前で繰り広げられている竹林の光景に軽い頭痛を覚えたようだった。
『1680万色』に輝く『光るかぐや姫の群れ』にジャック・オ・ランタンとデュラハンと精霊馬のセットである。
正直な所、今の季節にふさわしい存在かと言われれば、それは違うと殆どの者が答えたことだろう。
「あらまあ、かわいらしいお姫様ですこと」
晶の中の邪神がにゅっと出てくる。
こういうときにばっかりさっさと出てくるものだから始末に負えない。『光るかぐや姫』はオブリビオンによってこちらを攻撃してくるが、傷つけてはならない。
そう、未だ生まれたばかりである東方妖怪なのだ。
彼女たちを凌ぎ、オブリビオンに攻撃を届かせないといけないのだが、内なる邪神はなんか無駄にやる気を出しているなと晶は感じたことだろう。
「傷つけずに保護するのでしたら大得意ですの。是非負かせてほしいですの」
「……任せるとしようか」
確かに邪神の権能である固定と停滞の力は、かぐや姫を傷つけずに保護するという意味ではぴったりの力である。
けれど、無駄にやる気を出している状況が気になって仕方がないのだ。
「皆様に優しい静寂を差し上げますの」
そんな晶の懸念はいざしらず、邪神の恩寵(ガッデス・グレイス)によって晶は邪神の力を解き放つ代償により石化していく。
その代わりに邪神の分霊が行使する固定の権能により、かぐや姫たちは次々と石化し、地に落ちていくのだ。
「落ち込んでいる間に何が!? え、石化!?」
オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』は、はたと気がついた瞬間、周囲を飛び回っていたかぐや姫たちが急に静かになったことに気が付き、見回す。
噴出していた魂のみを焼く炎がしおしおしているのを見て、晶は邪神だけ綺麗に焼いてくれないかなぁと思わないでもなかったが、邪神の一言で押し黙るほかなかった。
「本体が焼けるような状況になれば、晶は既に消し炭ですの」
一蓮托生というやつである。
はぁ、とため息をつく晶は固定の権能で炎すらも突撃すらも固定した状態で『ジャック・お盆・ランタン』を防ぎ、かぐや姫たちを石像に変えて保存していく。
保護しているという名目があれど、邪神にとって可愛らしいかぐや姫を石化してホクホクしている。
正直な所、どうかしているなと思わないでもなかったが、晶としては戦力としてオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』を止めている現状を受け入れるしかないのだ。
「……まあ、戦力になってるからいいか……でも、ホント大変だね……」
晶はまるで他人事のように駆け出そうとしていたポーズの儘固定されている『ジャック・お盆・ランタン』の不憫な姿に僅かであったけれど、同情の念を送るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
小さくて戦闘力の高い1680万色に光るかぐや姫……?
一体どういう経緯で誕生したのでしょうか……?
1680万人とは言いませんが、一人一人対処していては埒があきませんね。
鳥の形に作成した「氷晶ゴーレム」に乗り、【ブリザード・マニューバ・ブースト】を使用。
最高で10000km/hを越える飛翔能力でかぐや姫の大群を振り切ります。
ジャック・お盆・デュラハンが放つ炎を『見切り』、氷晶ゴーレムの空中機動で避けながら両手のデリンジャーからの『威嚇射撃』で隙を作り、ジャック・お盆・デュラハンに接近、氷の弾丸の連射を零距離から撃ち込みます。
あなたたちの覚悟は無駄にはしません、ご安心を。
竹林は未だナイトフィーバーのように好き勝手に輝く『光るかぐや姫の群れ』で埋め尽くされていた。
多くの猟兵達が生まれたばかりの東方妖怪であるかぐや姫に配慮して戦っていたおかげで被害はゼロである。
正直な所オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』のワンオペではもうどうにもできないところまでかぐや姫たちは増えすぎていたのだ。
もう保育士さん……じゃなくって『ジャック・お盆・ランタン』は限界であった。心がぽっきり折れそうになっていた。
ついでにきゅうりとなすの精霊馬もばっさり切り捨てられていた。
項垂れる頭がないのはデュラハンであるがゆえであるが、頭の変わりのカボチャ頭のランタンがめそめそしているのが哀愁漂う。
これがワンオペ育児の闇である。
「小さくて戦闘力の高い『1680万色』に光るかぐや姫……? 一体どういう経緯で誕生したのでしょうか……?」
セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は未だ乱舞しつづけるかぐや姫の群れをみやり、眩しいと目を細めた。
1680万人とは言わないが、相当の数が未だ竹林で元気に飛び回っている。
統率しているはずの『ジャック・お盆・ランタン』はがっくりうなだれて、ワンオペ育児の凄絶さを物語る象徴としてモニュメントみたいに固まっていた。
しかし、これは好機である。
セルマはこれを逃す猟兵ではない。
鳥の形に生成した『氷晶ゴーレム』に乗り、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「どれだけ多くのかぐや姫がいようとも、追い付かせはしません」
ユーベルコード、ブリザード・マニューバ・ブーストによって凄まじい速度で飛翔するセルマに戦闘力が高いとは言え、生まれたばかりのかぐや姫が追いつけるわけもない。
かぐや姫の大群を振り切ってセルマはめそめそしているカボチャ頭のランタンから噴出する炎を躱し、両手にしたデリンジャーの銃口を空から打ち込む。
「あいたたたた!? え、何、今度は氷の弾丸!?」
生来の生真面目さであろう。
この熾烈な育児現場を放り出すこともできずにフリーズしていた『ジャック・お盆・ランタン』はセルマのデリンジャーによる威嚇射撃にリブートするみたいに慌てて周囲をきょろきょろする。
さっきから、どうも調子が狂う。
むしろ、骸魂は此の真面目なデュラハンを飲み込んだことこそがそもそもの間違いであったと気がつくべきであった。
オブリビオン化する妖怪であっても、融合することによって両者の性質が混ざり合うことはあるだろう。
デュラハンでジャック・オ・ランタンで、お盆である。
もうとっ散らかりすぎて、セルマですら突っ込む気力はない。むしろ、気にしたら負けさえ有り得そうな雰囲気である。
「あなたたちの覚悟は無駄にはしません、ご安心を」
セルマは氷晶ゴーレムから飛び降り、一気に『ジャック・お盆・ランタン』の背後に回り込む。
突きつけたデリンジャーの銃口がデュラハンの鎧に突きつけられる。
そう、妖怪たちは『大祓百鬼夜行』を阻止するために決死の覚悟で敢えてオブリビオン化したのだ。
その覚悟は、確かにまあ、その、ワンオペ育児にまで及ぶとは思っていなかったが、二つの世界を守らんとする彼等の覚悟こそをセルマは受け取って戦う。
誰も殺さない。
誰も犠牲にはしない。それが途方も無い難題であることをセルマは知っている。だからこそ、言うのだ。
安心してくれと。
それを代弁するようにデリンジャーの銃声が響き渡り、『ジャック・お盆・ランタン』の鎧を貫くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
目がチカチカするが耐えるしかないか
かぐや姫はここまで来られない、タイマンと行こうか
SPDで判定
孔雀輪で【空中浮遊】【空中機動】【滑空】で敵の元まで移動
途中で攻撃されないように大きく跳び上がり【迷彩】【忍び足】で気づかれないように行動
かぐや姫からの攻撃は【見切り】【ダッシュ】【早業】で避ける
敵の傍まで行けたら俺と敵の周囲に指輪の力で風の【結界術】を張って、かぐや姫が入れないようにする
それから敵に義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】を掛けて行動を制限
懐まで入り、銀腕を【武器改造】で剣にし【怪力】【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】を使用しつつ敵を【切断】する
ゲーミングカラーに輝く竹林は人の瞳には、少々まばゆいものであったことだろう。
それは義眼のメガリスを持つ、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)であっても同様であった。
「目がチカチカするが耐えるしかないか……」
メガリス『孔雀輪』によって夜空から竹林を見下ろす彼の瞳には、無数の乱舞する『光るかぐや姫の群れ』があった。
彼女たちは生まれたばかりの東方妖怪である。
オブリビオン化しているわけでもないのだが、戦闘力が高く、同時に数が凄まじいのだ。
誰が言ったか、ゲーミングかぐや姫。
『1680万色』に輝く彼女たちの数は、数えたわけではないが、本当にそれだけいるのではないかと思うほどに大量に発生しており、オブリビオンではない故に猟兵たちは傷つけることができない。
彼女たちをかいくぐって、この騒動の主であるオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』にたどり着かねばならないのだ。
「……この高さまではかぐや姫は飛べないのか……ならば」
竹林よりも上へはかぐや姫は飛べないようであった。
それを見つけたルイスは『孔雀輪』の力でもって気が付かれぬように空を飛び、早業、軽業の要領で竹林を一気に駆け抜ける。
下手なシューティングゲームよりも難易度が高い、かぐや姫の群れを躱す飛び方をしなければならない。
弾幕を張ることもできないし、何よりもゲーミングカラーにかがやくかぐや姫の明滅が目に痛い。
「――……結界術で!」
当たり判定が大きくなるが、結界術を張り巡らせれば、かぐや姫は入っては来れないだろう。
そこでルイスは初めて眼帯を取り払い、義眼のメガリスを輝かせる。
ユーベルコードの輝きによって、メガリス・アクティブの力が発現する。藍色にかがやく義眼が圧壊の災いを『ジャック・お盆・ランタン』へと輝かせる。
「って、身体が重い……ッ! ワンオペ育児の疲れがここに出てきたのか……!?」
生来の生真面目さを持つデュラハンの性質であろう、『ジャック・お盆・ランタン』はルイスのメガリスの力を疲労だと勘違いしたようだった。
そこまで追い込まれているのは見るに忍びない。ルイスは一瞬で『ジャック・お盆・ランタン』の懐に入り込むと、メガリスである銀の腕を剣に変え、一瞬でデュラハンの鎧を切り裂く。
その一撃は『ジャック・お盆・ランタン』に癒えぬ傷を与えるだろうが、それでもまだ倒れないのはオブリビオン化したデュラハンの仕事に対する意気込み故であった。
そう、可愛いかぐや姫たちのために、彼女たちを絶世の美女にするために、その名に恥じぬレディにするために!
「負けられない……!」
抱えたカボチャ頭のランタンから噴出する炎が、一気にルイスを襲うが圧壊の災いで沈下される。
「いや、そうじゃないだろう……」
ルイスは確かに妖怪デュラハンの覚悟を見た。
けれど、それは些か間違っているような気がしたのだ。だって、今は『大祓百鬼夜行』である。
オブリビオン化した『ジャック・お盆・ランタン』の最大の目的は『大祓骸魂』の軍門に下り、合流することだ。
断じて育児ではないのだ。
けれど、その真面目さが猟兵達に『大祓百鬼夜行』につけ入る隙を与えてくれた。
その覚悟を無駄にしないために、ルイスは返す刃で『ジャック・お盆・ランタン』に痛撃を見舞うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
※アドリブや他猟兵との連携はご自由にOKです。
【心境】
「えーっと、ごめんなさい。どこから何をツッコめばいいのか判断に迷います…。」
とりあえず一言…。
ご苦労様です。いろんな意味で…。
【行動】
生れたばかりの『光るかぐや姫の群れ』ですか…お爺さんとお婆さんも求婚者も困惑ですね。
えーっと、威力を抑て、ちょこっと雷光天絶陣で感電させます。
びりびりどっかーん。
ちょっと痛かったかもしれませんねごめんなさい。
さて、ジャック・お盆・デュラハンさん。
今は五月です。お盆でもハロウィンでもありませんよ(注:そこじゃない。)
破魔の霊符を南瓜頭に張り付けたり、精霊馬の突進を躱した拍子に電撃を纏った雷公鞭でべしべしします。
ゲーミング竹林。
それはカクリヨファンタズムにおいて、ある種いつもの夜であったことだろう。デタラメに輝く竹林、ウィル・オ・ウィスプや鬼火に狐火、そんな火の玉が飛び交うなんて日常茶飯事である。
けれど、今宵は違う。
ナイトフィーバーよろしく『1680万色』に光り輝く『光るかぐや姫の群れ』が所狭しと飛び交い、オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』と共に『大祓百鬼夜行』に合流しようとしていたのだ。
かぐや姫は生まれたばかりの東方妖怪と言えど、高い戦闘力を持っている。しかもオブリビオンではないので傷つけることはできない。
さらにオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』はきゅうりとなすの精霊馬を駆り、れんこんの車輪をガタガタ言わせながら疾駆する。
……いやまあ、ワンオペ育児に疲弊して、猟兵にチャリオットを破壊されて、めためたにやられているので、もう疲労と生来の生真面目さの板挟みでフリーズしているだけであるが。
「えーっと、ごめんなさい。どこから何をツッコめばいいのか判断に迷います……」
董・白(尸解仙・f33242)は僵尸である。
故に顔色は常人のそれではないが、彼女もさらに青ざめるほどにびっくりなワンオペ育児の闇を垣間見て、ちょっと震えた。
これでも仙人の元で厳しい修行を乗り越えてきたのだ。未だ自分が未熟であるという自覚はあれど、目の前の『ジャック・お盆・ランタン』の凄まじ疲弊っぷりを見ていると、ワンオペ育児がどれだけ大変なのかを思い知らされたようであった。
そんな彼女はぽつりととりあえず一言漏らすのが精一杯であった。
「ご苦労さまです。色んな意味で……」
しかし、そんな同情をしている暇はない。
生まれたばかりとは言え、『光るかぐや姫の群れ』の数は凄まじい。
これにはおじいさんおばあさんも求婚者も困惑するのも無理なからぬ光景であると白はうなずく。
しかし、彼女たちを傷つけることはできない。
どうしよう、どうしようと、色々悩むが、そんな時間は残されていないのだ。傷つけないようにと自身の宝貝『雷公鞭』をかるーく振るい、威力を抑えた稲妻をびりびりどっかーんと竹林に落とすのだ。
若干ゆるい気がするのは威力を抑えた結果である。
かぐや姫たちはきゃーきゃー言いながら散り散りになって道が開く。白は、ちょっと痛かったかも知れないなと思い、ごめんなさいと、飛び散っていったかぐや姫たちに謝る。
「ああっ! かぐや姫たちが……! そんなに驚かせなくたっていいじゃないですか! 彼女たちは生まれたばかりですよ!」
そんな白の気遣いもなんのそのである。
さっきまでワンオペ育児で疲れ果てていた『ジャック・お盆・ランタン』が白の突然の雷撃にぷんすこしている。
なんだかんだで生真面目故に、彼はしっかりと育児放棄することなくがんばっていたのだ。今もぷりぷり怒っているのは、かぐや姫たちを怖がらせたことであろう。
だが、オブリビオンである。
「さて、『ジャック・お盆・ランタン』さん。今は5月です。お盆でもハロウィンでもありませんよ」
論点はそこじゃないとツッコミする人が居たらツッコんでいたであろうが、残念ながら不在である。
宝貝「雷公天絶陣」の一撃が、びしゃりと『ジャック・お盆・ランタン』に落ちる。
「ぴぎゃ!? いや、だってカクリヨファンタズムは今『大祓百鬼夜行』でしょう! はかばでうんどうかいしたっていいでしょう!?」
それを言うなら、貴方だって! と言おうとした瞬間、破魔の霊符がカボチャ頭にぴしゃりと貼り付けられ、破魔の力が『ジャック・お盆・ランタン』に走り抜ける。
「そういうのは人の迷惑にならない範囲でしてね」
精霊馬はすでに猟兵によって切り裂かれていて、無残であるが、さらに雷公鞭でべしべし叩いて、電流マッサージのように白は『ジャック・お盆・ランタン』のワンオペ育児の疲れを癒やし……もとい、オブリビオン化した彼の覚悟に報いるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【勇者パーティ】
師匠のお腹が鳴いています!
わっかりました師匠!
野菜は天ぷらにしますね!
あ、そだ、師匠。
お野菜はチルドでお願いしますね。
完全に冷凍しちゃうと、解凍まで時間かかっちゃうんで!
【師匠の専属料理人】が発動して、
そうめんや寸胴、油の準備はできましたが……。
竹はでてこないですね。まわりにあるからでしょうか?
サージェさん、竹、お願いします!
あ、ちゃんと節抜いてくださいね。
具体的には、そうめんが伸びないうちに!
いや、ナンパとかしてないで、お願いしますよぅ
そのちっちゃいのは、
虫かごかなにかに入れておけばいいじゃないですか。
かなりぴかぴかしてますし、
入れておけば夜の照明としてムード満点かもですよ?
フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ほほう、死霊術師たる我が知るデュラハンとは、なんか、こう、色々違うようだな。
……うまそうだ」(じゅるり
カボチャにキュウリ、ナスにレンコンと野菜づくしではないか!
ルクスよ、今晩のメニューは決まったな!
竹もあるし、野菜たっぷり流しそうめんだ!
「流しそうめん用の竹は乳忍者のサージェに任せて、我は食材を手に入れるとしようか!」
【極寒地獄】で極大の氷魔法を発動!
野菜を氷に閉じ込め、鮮度が良い状態で保存してくれよう!
野菜は獲れたての鮮度ピチピチが美味いゆえに!
「さあ、ルクスよ、料理は任せたぞ!」
む、乳忍者は何を虫などと戯れておるのだ?
竹はどうした、竹は!
さあ、流しそうめんパーティだ!
サージェ・ライト
【勇者パーティー】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…というか眩しい!?チカチカしてる!?
私がバーチャルキャラクターでなければ
何とかショックでやられているところでした!
えーと…とりあえずどうします?(振り返る
ってもう既にルクスさんとフィアさんの視線がお野菜に釘付け!?
もーしかたないなー
かぐや姫のお相手は私ですね
【かげぶんしんの術】で増えると約500人
1人でかぐや姫を1人誘拐、げふんげふん
相手すれば問題ないですね!
まずは鬼ごっこで捕まえます!
さーおねーさんと遊びましょう!
何でも好きな遊びを言ってくださいね
で、向こうはあの二人にお任せしま……何食べてんのあの親子、じゃなかった師弟?
オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』。
それは誰からも忘れ去られたオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』を猟兵に感知させるために、敢えてオブリビオン化し軍門に下ることによって『大祓百鬼夜行』に連なり、その姿を認識させるという決死の覚悟によって生まれたオブリビオンである。
だからこそ、猟兵は彼の覚悟を無駄にせぬために戦うことを決意して、この『1680万色』に輝く竹林へと飛び込んだのだ。
しかし、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)はちょっと違った。
「ほほう、死霊術師たる我が知るデュラハンとは、なんか、こう色々違うようだな……うまそうだ」
じゅるりと唾液をすする音がして、誰もが、えっ、と思った。
だが、その弟子であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)は慣れたものである。
「師匠のお腹が鳴いています!」
いや、毒されていると言ってもいいのかもしれないし、最初からこんな娘でしたと言われても納得することができたかも知れない。
胃袋をがっしり掴んでいるからこその発言であったが、そんな彼女たちを尻目に前口上を上げるしっかりクノイチの姿があった。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……というか眩しい!? チカチカしてる!?」
そう、この竹林は今や『1680万色』に輝く『光るかぐや姫』の乱舞によって凄まじい光に包まれているのだ。
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)がバーチャルキャラクター、クノイチでなければ、なんとかショックでやられているどころではなかった。きっと映せない。
「えーと……とりあえず、どうします?」
振り返ったサージェが見たのは、師弟の献立相談であった。
「カボチャにキュウリ、ナスにレンコンと野菜づくしではないか! ルクスよ、今晩のメニューは決まったな! 竹もあるし、野菜たっぷり流しそうめんだ!」
「わっかりました師匠! 野菜は天ぷらにしますね!」
二人が見ていたのは、猟兵に寄って両断された精霊馬のチャリオットである。
無残に破壊されているが、そこは腹の虫の言う通りであるフィアにとって食材そのものである。
早速とばかりにユーベルコード、極寒地獄(コキュートス)でもって野菜をチルドにする。
完全に冷凍しちゃうと、解凍までの時間がかかるので! とルクスがアドバイスをしていたおかげであろう。
いや、マジでどういうことなの?
さらにルクスは師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)としての矜持を見せるように寸胴やそうめん、油をテキパキと準備していく。
いやまって、まだ戦い終わってないし、オブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』は、ワンオペ育児の疲労と猟兵からの攻撃で困憊し、ぽつねんとしている。
むしろ、自分のカボチャ頭のランタンが狙われていることを危惧したほうがいい。いや、割とマジで。奴らはマジで食う。
「……もーしかたないなーかぐや姫のお相手は私ですね」
サージェはいつもことだし、と食いしん坊師弟を放っておいて、にんにんとユーベルコードを発動させる。
知っているか、クノイチはにんにんと鳴く。嘘である。
「しゃどーふぉーむっ! しゅばばばっ!」
かげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)によってサージェは500人にも増え、一人ひとり光るかぐや姫を捕獲していく。
そう、これはワンオペ育児に疲弊した『ジャック・お盆・ランタン』を助けるようなものである。
鬼ごっこの要領で小さなかぐや姫たちと戯れるサージェ。
その瞳に合ったのは邪念であった。何がどうとは言わないが、わりとガチ目であるから目にしなかったことにしたい。
「さーおねーさんと遊びましょう! 何でも好きな遊びを言ってくださいね!」
もうノリノリである。
「サージェさん、竹、お願いします! あ、ちゃんと節抜いてくださいね。具体的にはそうめんが伸びない内に!」
ルクスが料理の準備をしていた間、サージェがかぐや姫たちと戯れていたのに気がついてナンパとかしてないでお願いしますよぅ! と叫ぶ。
「む、乳忍者は何を虫などと戯れておるのだ? 竹はどうした、竹は! 流しそうめんパーティだぞ!」
フィアは激おこである。
腹の虫が収まらないのだ。いや、そういう意味で使う言葉ではないけれど、まじですごい音してるのだ。
「さらっと酷いこと言いましたね、今。っていうか、何食べてんのあの親子じゃないかった師弟!?」
サージェは見た。
既に解体……じゃなく調理を終えたルクスが油で精霊馬であったかつての残骸をさっくりホクホクに上げ終えているのを。
『ジャック・お盆・ランタン』は、もう何も言えないのか、かつての精霊馬が調理されていく姿を涙目で見るしかないのだ。
「そのちっちゃいのは虫かごか何かにいれておけばいいじゃないですか。かなりぴかぴかしてますし、入れておけば夜の照明としてムード満点かもですよ?」
ルクスの言葉はもうまるっきり興味なしである。
早い所師匠のお腹を満たして上げなければと言うプライドだけでものを言っているのだ。
「はよ、はよ!」
カンカンと竹を叩いてサージェを急かすフィア。
もうなんていうか、やりたい放題である。そんな彼女たちを遠巻きに『ジャック・お盆・ランタン』は見ていたが、関わるとろくなことにならんだろうなと判断して、粗さくさと逃げようとした瞬間、サージェの切り倒した竹の直撃を受けて、いつのまにか痛烈な打撃を被ってしまったことを此処にご報告いたします。
ゲーミング竹林に流しそうめんパーティのどんちゃん騒ぎが繰り広げられ、カクリヨファンタズムの夜に負けぬでたらめさで三人は勇者パーティとしてのあくみょ……勇名を馳せたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
荒覇・蛟鬼
濡姫、あれは何色だと思う?本当は何色だ?
『若、それは私めに対する嫌がらせでございますか』
……なんだよ、ただ聞いただけじゃねえか。
■闘
まあいいですや、仕事ですな仕事。
あのかぐや姫に何かあると大目玉を食らいそうですな。
ここは異様な【殺気】を放ちつつ【恐怖を与え】、
死にたくなければ道を開けなさいと【恫喝】しますか。
それでもどかない者がいれば、周囲に【衝撃波】を放ち
吹き飛ばします。
切り抜けたら軽く足を浮かせて【空中浮遊】し、炎の軌道を
【見切り】つつ敵の懐まで【大首が迫る】かの如く急接近。
完全に接近できたら拳に【怪力】を込め、強力な一撃を
与えてやるのです。
※アドリブ歓迎不採用可・濡姫は色の識別が苦手です
荒覇・蛟鬼(無可有を目指す・f28005)は己に仕える従者である濡姫に目の前に光り輝くゲーミング竹林を指差して問いかけた。
「濡姫、あれは何色だと思う? 本当は何色だ?」
明々と輝き続ける竹林の色は『1680万色』である。
その竹の節から次々と『光るかぐや姫の群れ』が飛び出して、今や『大祓百鬼夜行』の影響は計り知れないものとなっている。
その光を指さされて色の識別が苦手な従者『濡姫』は、己の主に対してチクリとした物言いをするのだ。
『若、それは私めに対する嫌がらせでございますか』
意地の悪い質問をされても、濡姫は凛とした態度を崩さなかった。
ともすれば、それは主である蛟鬼に対するツンケンした態度であったかもしれない。取り付く島もない様子に蛟鬼はため息を突く。
「……なんだよ、ただ聞いただけじゃねえか」
ぶすーとしてしまうのは、年相応であったが、濡姫はそれ以上取り合わなかった。これは戦いが終わった後のご機嫌取りが大変である。
「まあいいですや、仕事ですな仕事」
彼の瞳に映るのは狂乱の如き宴の様相を呈するゲーミング竹林。
この乱痴気騒ぎのような原因は、オブリビオンと『大祓百鬼夜行』の主であるオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』である。
しかし、乱舞する『光るかぐや姫』はそうではない。
彼女たちは生まれたばかりの東方妖怪である。未だ何の罪もない生まれたての汚れなき者たちである。
「そんな者たちを傷つけると大目玉を喰らいそうですな」
だからこそ、蛟鬼は己の殺気を解き放つ。
それは相対する者に恐怖を与えるには十分なものであった。生まれたての妖怪であればなおのことで在っただろう。
その暗き殺気に『光るかぐや姫』たちは散り散りになって道を開ける。
その先に居たのはオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』である。彼はワンオペ育児と猟兵たちの攻撃で疲労困憊であった。
「げっそり……」
いや、マジでげっそりしている。
精霊馬のチャリオットは刻まれた上に、天ぷらにされてしまったし、カボチャ頭のランタンが未だ残っているのは、ちょっとした軌跡であったが、噴出する炎が蛟鬼を襲う。
恐らく無意識であろう。
オートで敵対者に攻撃する炎とかなにそれずるいと思わなくもないが、蛟鬼には関係のないことである。
「そう、軽くつつくだけですので」
蛟鬼は突然の急接近で『ジャック・お盆・ランタン』の懐に踏み込む。
まさに一瞬の踏み込み。
見ることなどできやしない歩法でもって、蛟鬼はその拳を、そっと『ジャック・お盆・ランタン』の胴に触れさせる。
彼は空中浮遊からの一瞬の踏み込みでもって、この間合を詰めたのだ。
炎が彼を捉えたと思った瞬間には、すでに彼はそこには居ないのである。凄まじい怪力をたゆまない練磨の果てに体得した寸勁の一撃を解き放つ。
それこそが彼のユーベルコードであり、あらゆる罪過を持つものを喰らう、大首が迫る(オオクビガセマル)のだ。
「えっ……いつのま、に……!?」
「いえ、貴方方の覚悟は関係ありませんが、ちっぽけな塵になるのはもったいないと思っただけでございます故」
故にいまここで打倒するのだと蛟鬼が呟いた瞬間、開放された怪力の一撃が『ジャック・お盆・ランタン』の首なし騎士の身体を駆け巡り、その肉体の隅々まで勁を流し込み、破壊する。
それは決死の覚悟に応える蛟鬼の答えであったように、拳が唸りをあげるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
1680万色か……や、多い多い。ついでにかなり目に悪い……
…ネオン街でももうちょっと慎ましい…
……彼女らをどうにか抑えてお盆を倒してデュラハンを救出しないと…
…わんぱく盛りならこれが良いな…『かぐや姫』を視界に収めて【世界鎮める妙なる調べ】を発動…まとめて眠らせてしまおう…
…これで大人しくなった……と、あれがお盆デュラハンか…
…眠ってるから戦うにも静かに…静かにね…
…炎を回避しながら骸魂の位置を解析…浄化復元術式【ハラエド】を付与した術式装填銃【アヌエヌエ】(消音機能付)で骸魂を破壊してデュラハンを救出しよう…
…そういえば…正気に戻ったかぐや姫は…デュラハンに押しつ…任せれば良いのだろうか…
精霊馬のチャリオットは刻まれ、天ぷらに。
首なし騎士は猟兵たちの攻撃をすべて受け止め、鎧はひび割れはじめた。さらにカボチャ頭のランタンはワンオペ育児からか、疲労困憊のようにしょぼしょぼとした炎しか噴出することができなくなっていた。
「げふ……これでは、『大祓百鬼夜行』に合流できない……嗚呼、それ以前にかぐや姫さんたちをしっかりお世話しないと……」
今やオブリビオン『ジャック・お盆・ランタン』を支えていたのは、オブリビオン化するまえの妖怪の持つ生真面目さだけであった。
いや、むしろ『大祓百鬼夜行』に合流しなくてはという思いよりも、かぐや姫たちをお世話しないといけないという義務感と使命感にかられているところは、もうなんていうか保育士の鏡である。
もう隠しようがないほどにデュラハンは首なし騎士としての威厳よりも生真面目さを発露させていた。
しかし、未だゲーミング竹林の輝きは喪われていない。
オブリビオンである『ジャック・お盆・ランタン』を打倒しなければ、この『1680万色』の『光るかぐや姫の群れ』が発生することは止められないのだ。
「1680万色か……や、多い多い。ついでにかなり目に悪い……」
ネオン街でももうこっと慎ましい、とメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はチカチカする瞳をどうにかしなければと目元をつまんでマッサージする。
すでに多くの猟兵が駆けつけてくれていた。
それ故に事態を沈静化するためには、もうひと押しという所まで来ていたのだ。
しかし、未だ元気いっぱいに飛び交う『光るかぐや姫の群れ』はオブリビオンであっても制御できない。
そんな彼女たちをどうにか抑えてしまわなければ、骸魂と一体化した妖怪デュラハンを救出することは難しいだろう。
「わんぱく盛りならこれが良いな……」
メンカルの瞳が『光るかぐや姫』の大群を見据える。
「誘う旋律よ、響け、唄え。汝は安息、汝は静穏。魔女が望むは夢路に導く忘我の音」
彼女の詠唱の言葉は眠りへといざなう。
それはユーベルコード、世界鎮める妙なる調べ(ロクス・アモエヌス)である。いっぱい遊んだ後はおねんねの時間である。
これは保育所の常識である!
いや、ないかも、そんな常識。
しかし、メンカルの視界を埋め尽くしたかぐや姫たちには有効も有効であった。彼女が視線を向けるだけで、ばたばた地面に落ちて、安らかな寝息を立てるのだ。
起きていると悪魔かなって思うほどのわんぱくぶりも、眠っていると天使である。
「……これでおとなしくなった……と、あれがお盆デュラハンか……」
「ありがとうございますっ!!!」
いきなりのお礼である。
なんで敵であるオブリビオンにお礼を言われてるのだろうと思ったが、なるほどである。あのかぐや姫たちを一人でお世話していたのだ。
疲労困憊の色が濃い顔……いや、顔じゃなくてカボチャ頭のランタンであるが、そのしょぼしょぼした炎を見ればわかる。
「……眠ってるから戦うにも静かに……静かにね……」
メンカルがしぃーと指を立てて、『ジャック・お盆・ランタン』とうなずきあう。
確かにと生真面目『ジャック・お盆・ランタン』はうなずいた。
ここに世界一でたらめな煌々とした竹林で、世界一静かな戦いが幕を開けたのだが、勝負は一瞬だった。
仕切り直そうと後ろを向いた『ジャック・お盆・デュラハン』に消音機能付きの術式装填銃『アヌエヌエ』の弾丸が普通に放たれ、え、と思うまもなく『ジャック・お盆・ランタン』は消滅していく。
それはワンオペ育児という現代社会の闇……いや、カクリヨファンタズムの育児現場の凄絶さを終わらせる一撃であり、救出されたデュラハンの新たなる戦いの幕開けとなるのだった。
まあ、つまりはそういうことである。
正気に戻ったかぐや姫のお世話をメンカルはデュラハンに押しつ……任せて、さらなる『大祓百鬼夜行』、そしてオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』の世界を破壊しようとする目論見を打破するために、新たなる戦いへと一歩を進めるのであった――!!
大成功
🔵🔵🔵