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天高く実る恵み〜暴食の嵐〜

#アックス&ウィザーズ #『暴食』のフィーラ』

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#アックス&ウィザーズ
#『暴食』のフィーラ』


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 天気は晴天。南にあるこの地方はこの季節でも暖かく、ちょうど初夏を思わせる気候のなかで山は実りに恵まれていた。
 そんな中で山の近くの村に住む村人たちは額に汗をうかべ山の果物を収穫していく。豊かな野山の恵みで生きる彼らにはこの実りはとても喜ばしいことなのだが……しかし豊作とは裏腹に彼らの表情は何故か浮かなかった。
「なあ、聞いたか?」
「ああ……川向かいの先のさらに三つ向こうの山だろ。このまえ果物を買いに来た行商人が言うには、何かに根こそぎ食い荒らされてペンペン草も生えない状態らしい」
 黄色い果実をカゴに収めながら1人が聞くと1人が答え、会話は続いていく。
「しかもそのおかしなことが起こる場所が、少しずつこっちに近づいてるんだろ……?」
 そんな話をしていると、次第に大きくなる地響きに気づき全員の作業の手がとまる。地平の向こうから何かが土煙を上げて近づいてきていた。大きな、何かが。

●まずは巨木の巨人の群れを蹴散らそう
「集まってくれて、ありがとうございます!山と村がピンチです!」
 グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちにぺこりとお辞儀をし、両手をわっと頭上に広げた。
「おっきい木がいっぱい来ます!」
 もっと詳しく。
「あ、あの、えっと。場所はアックス&ウィザーズの世界です!巨木のオブリビオンの『荒ぶる山神』の群れが何かから逃げているみたいなの。そしてその進路の先には山と、その山の恵みで暮らしている村があるの!」
 ユーノは持ってきたノートへ、手にしたペンで周辺の地形をざっくり描いた。順番に山と、三角屋根の家と、四肢のある物体。
「果実を収穫していてた人が先に気付いて、村の人たちは避難しようと山へ登り始めてるけど足りないの。山ごとめちゃくちゃにされちゃうし、そうすると住む場所も食べるものも全部無くなっちゃいます!なので、できるだけ村の手前の荒野で食い止めて倒してもらいたいです……!転移先もこの村の手前の荒野になります」
 ユーノはノートへさらに絵を描いていく。描き上がったのは手足の生えた木。
「おっきな木から、手と、足が生えた感じ。おっきい手で握りつぶそうとしてきたり、おっきい足で踏み潰してきたり、おっきい拳で叩き潰してきたりするの。でも、この巨人さんたちすごく慌ててるみたいだから気をつけていれば倒すのは難しくないよ!」
 そして木の巨人の頭部にまるを一つ。
「そしてみんな頭をちょっとずつ齧られてるみたい」
 木の巨人を齧る存在という不穏なワード。
「大きさは人の口くらいの大きさだけど……たぶん巨人の群れをやっつけたら巨人たちを追いかけて全ての元凶もやって来ると思う。けれど、まずは巨人の群れへの対応です!」

●帰る場所
 それと、とユーノは情報を付け加える。
「山に避難した村の人たちは、自分たちの帰る場所を心配して山から村の様子を見ています。なのでみんな――『通りすがりの冒険者たち』――が村を守るために戦う様子も見守られています」
 アックス&ウィザーズの世界では一般人には猟兵の存在は認知されていない。つまりは冒険者として振る舞うことになるだろう。
「だから村を救うことで、その報酬として山での果物狩りをオッケーしてくれるかもです。村の人や山の動物たちも食べるから、捕り過ぎには注意だけど……木苺、ブドウ、モモ、夏の果物がちょうど実ってるから楽しめるよ」
 他に財産のない村だからこその、もてなしや報酬ということだろう。

「住む場所、食べる物、なにより帰る場所を失うことはとても悲しいことです……どうか不幸に巻き込まれた彼らを救うため、力を貸してください」
 ユーノは胸の前で手を組み無事の祈りを捧げながら猟兵たちを転移させる。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので、戦いには同行できません。みなさまに幸運がありますように……」


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 果物は梨が好き、ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。

●お得情報
 マスター紹介ページにもあるとおり執筆は主に土日になるので、【プレイングを安定して受け付けられるのが『毎週木曜』から『土曜の間』になります】ことをご了承ください。
 章がクリアにならず引き続き参加を募る場合も木曜から土曜にかけてが採用しやすいです。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。

●依頼について
 アックス&ウィザーズの依頼となります。
 一章は集団戦。二章はボス戦。三章が野山での果物狩りとなります。

 ボス戦はギャグ寄りになりそうです。けれどシリアスにもなりえそうです。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳥渡・璃瑠
フェイ・リバティベル(f13033)と行動

敵が見えましたわね!
えっ、お金とるのだわ!?
えぇぇ、ど、どうしましょう…お、終わってから話しましょうなのだわ?!

ドリルの【串刺し】で敵の足を主に狙っていくのだわ!機動力を削ぐのは基本ですものね
ついでに、火の【属性攻撃】もつけて追加ダメージを狙うのだわ!
ある程度削ったらディスドリルラクションで地形ごと破壊しましてよ!
…あっ、村まで破壊が及ばないように配慮は忘れないようにしなきゃなのだわっ
わたくしたちが壊したら元も子もないものね?

ふふんっ、褒められて悪い気はしないのだわっ!
フェイ様も素晴らしい働きだったのだわ!
……あぅ、て、敵はほら、まだいましてよー!?


フェイ・リバティベル
鳥渡・璃瑠(f00142)と参加

手足の生えた木、アレでございますね。
お嬢様、一体あたり幾らの報酬を頂けますか?
ええ、果物よりキラキラの硬貨が嬉しゅうございます。

璃瑠お嬢様に雇われたメイドとして、恨みはありませんが金のために山神の皆様にはとっとと薪になっていただきましょう。
UCを使用して自らを強化、お嬢様から借り入れた大金を惜しみなく"Big Spender"、コインを撃ち出す機関銃でばら撒き、二回攻撃、範囲攻撃で一気にダメージを与えます。
お嬢様が足を削った個体には傷口をえぐる追撃の射撃でトドメを。

流石でございますお嬢様、そのドリルに恥じぬ見事な戦いぶりにわたくし感服いたしました。
では報酬の話を



●ワイルドドリラー・Advance Money
 カラリとした突き抜ける青空の下で乾燥した風に吹かれ土埃がぶわっと舞う。水源を蓄える山から離れるとそこに広がるのは草もまばらな乾いた大地。
 村の手前の荒野で守る村を背に立ちふわりとたなびくドレスと金色の縦ロール髪の姿は威風堂々。自信と強気を漂わせる仁王立ちの腕組みで敵を待つ鳥渡・璃瑠(ドリ子おじょうさま・f00142)は、眼前に迫りつつある地響きの元を目視し高らかに声を上げた。
「敵が見えましたわね!」
 お嬢様に並び立つはエプロンドレス――メイド服に身を包む金髪の女性、フェイ・リバティベル(ライフ・イズ・マネー・f13033)。彼女も殲滅対象を確認すると電磁式の重機関銃『"Big Spender"』のセッティングを進めていく。
「手足の生えた木、アレでございますね」
 荒野に銃、そしてドリルお嬢様と従者。どことなく口笛が聞こえてきそうな雰囲気に空気を読んだ枯れ木の丸いやつ(タンブルウィード)が風に吹かれカサっと転がっていく。
「さあ、いきますわよ!」
 璃瑠が地面に突き刺しておいた巨大なドリルを両手で抜き、迫りくる群れへ攻撃を仕掛けようと踏み出しかけたそのときだ。
「お嬢様、一体あたり幾らの報酬を頂けますか?」
 フェイから璃瑠との契約の確認が行われる。なんかガチめの契約雇用の関係っぽい。
「えっ、お金とるのだわ!?」
 驚く璃瑠、善意でついてきくれたのだと思っていたのか、思わず足が止まる。そうしているうちにも地響きは近づいてくる。
「ええ、果物よりキラキラの硬貨が嬉しゅうございます」
「えぇぇ、ど、どうしましょう……お、終わってから話しましょうなのだわ?!」
 後払いの出来高制……フリーランスや技術者が客と揉めやすい形態だこれ!
「心に留めておきます」
 YesともNoともつかないビジネス的な承諾で返したフェイは重機関銃の三脚を地面に固定し、弾倉を取り付けて支援射撃の体勢に入る。これをひとまずのOKと受け取った璃瑠は改めてドリルを構え直した。

●神に挑む
 森や山々に出現すると言われる巨木の存在『山神』。地方によっては言い伝えとして存在が語られることのあったソレはいつの間にかその姿を消しオブリビオンとして復活していた。
 そんな彼らが何故、このようなところに集団で現れて暴れているのか。仮にも神を冠するその存在は、豊かな枝葉を揺らし根のような二本の足でズシ、ズシ、ズシと小走りに駆けてくる。
「とーりゃーっ!!」
 両手で構えたドリルを振りかぶりながら山神の群れの先頭の一体を目掛けて駆ける璃瑠。手にするドリルはその回転数を上げていき、風を捉え、塵を巻き込み、やがて炎を纏っていく。
 荒ぶる神の足元へつくとその螺旋の先端をぶつけ、押し込む。その貫く旋錐はガリガリと大きな音をたて纏う炎で山神の足を焦がしながら穿ちえぐった。
「ふふん、機動力を削ぐのは基本ですものね!」
 大きな顎が喰らいついたかのような半円の穴を空けられ、そこから自重で倒れ込んでいく山神。璃瑠はこの一撃の効果をどやどやぁっと見渡し次の一体へすぐさま駆けていった。残された山神へはフェイの追撃によってこのえぐられた足へ弾丸の雨が注がれていく。

●タイム・イズ・マネー
 フェイの重機関銃は硬貨を弾薬として射出する電磁式の銃だ。フェイは弾倉に追加の金をじゃらりと補充しさらに追撃を加えて一体の山神を沈黙させた。
「璃瑠お嬢様に雇われたメイドとして、恨みはありませんが金のために山神の皆様にはとっとと薪になっていただきましょう」
 今の射撃で一体を打ち倒すのに必要な金額はおよそ判明した。ここからが本番とばかりにユーベルコード『緊急借入(ブラックマネー)』を発動させる。
 明日までには絶対に返済いたしますのでと、いろいろ担保にして『返済可能な範囲での莫大な借金』を背負い強化を得るそれはこの重機関銃『"Big Spender"』との相性が良い。ユーベルコードのなんやかんやで正式な申込みと書類の手続きが裏で行われ、なんやかんやで重機関銃の弾倉へジャラジャラと補充されていく硬貨。
「お嬢様から借り入れた大金、惜しみなく"Big Spender"でばら撒きましょう」
 そう呟き強化された一撃をさらに広範囲へ連射しばらまいていくフェイ。
 いまさらりと璃瑠お嬢様のお金を借りたって言ったような気がする。ところで重機関銃って一分で600発ほどのペースで弾をばら撒くらしい。何円の価値の硬貨が放たれているかは不明だが戦闘が長引くほど璃瑠の財産が減っていく状況になっていると思われる。

 フェイが次々と山神を撃ち倒していくなか自らの貯蓄が湯水のように放たれていくのを知ってか知らずか璃瑠も山神たちの足を止め奮戦していた。
「喰らえー、いっぱーつっ!なのだわっ!」
 村から十分に離れた場所での『ディスドリルラクション』が炸裂し大地を抉る。その窪みでさらに何体かの山神が転び、続けてフェイが硬貨の弾丸でトドメを刺していく。
「流石でございますお嬢様、そのドリルに恥じぬ見事な戦いぶりにわたくし感服いたしました」
「ふふんっ、褒められて悪い気はしないのだわっ!フェイ様も素晴らしい働きだったのだわ!」
 山神に握りつぶされそうになったり叩き潰されそうになったりしながら前線で立ち回っていたため少々ボロボロだが、璃瑠はうれしそうにドヤる。
「では報酬の話を」
「……あぅ、て、敵はほら、まだいましてよー!? 」
 フェイの報酬の話をごまかしながらまだ残る群れを示す璃瑠。戦闘による地面の破壊で変化した地形が荒ぶる山神の進路を妨害しており、村への群れの直撃は避けられそうである。このまま順調に掃討していけば無事に目的は達成できるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ステラ・カガミ
力溜めと歌唱にサウンド・オブ・パワーを併用しながら攻撃します。
もちろん、誰か他の方がいたら積極的に協力します。
(ステラの能力はどちらかというと援護向きのようなので)
サウンドウェポン(扇)でパフォーマンスを使いながら踊るように攻撃できればと思います。(歌姫兼踊り子なので)
木を盾にして攻撃を防いだり、狭い所に誘い込んで動きを封じたりしながら戦います。
プレイングはですます調ですが、実際の口調は年相応の女性口調です。


村崎・ゆかり
&&&

山神ねぇ。自然の逆襲というわけでもあるまいに。
まあ荒魂の類なんでしょうけど、調伏が必要だわ。
一番前にいる個体に、「先制攻撃」で「破魔」を込めた七星七縛符を投げて足止めを。

符覡載霊の舞を使って、敵群の中に飛び込み「衝撃波」を伴う「なぎ払い」で「二回攻撃」。
不動明王火界咒。「高速詠唱」「全力魔法」「属性攻撃(火)」。
木生火。よく燃えるわね。
このまま押し切る。

巨人の手に捕まらないよう、自分の周囲は常に警戒して。
地面が揺れたら、薙刀を支えに体勢を保つわ。

大きいというのはそれだけで脅威。
数を減らさないとダメだから、集中攻撃を受けている個体にあたしも攻撃を集中させる。
ここがあなたたちの終着点よ、


ハロ・シエラ
木の巨人を齧ると言う事は……それとんでもない相手が控えてるのでは……?
ま、まぁどちらにせよすみかを奪われそうな方々を放ってはおけませんからね!

私も何かお手伝い出来れば……
私の武器で大きい敵を倒すにはユーベルコードを使うしかありません。
小ささを生かし、慌てる相手の死角を突いて足を切断してしまいましょう。
移動を封じれば対処しやすいはず、そのまま細かく斬ってもいいかも知れません。
いずれにせよ少しは他の猟兵の方々の助けになれると思います!
攻撃はこのサイズ差です、【見切り】でかわすしかないですが……
とにかく頑張ります!



●荒ぶる魂を鎮めて
 荒野に猟兵たちを高揚させる歌が響き渡る。ステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)の『サウンド・オブ・パワー』によるものだ。
 シンフォニックデバイスを通して戦場に響く歌は戦闘力を増強する助けとなる。その支援を受けながら他の猟兵たちも『荒ぶる山神』との戦いを始めていた。

「ていっ!」
 村崎・ゆかり(紫蘭・f01658)が放った七星七縛符により一体の山神が捕らえられる。その捕縛から逃れようと力を込める山神だが、その腕は一刀のもとに切断された。ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)のユーベルコード『剣刃一閃』による攻撃だった。
(私の武器で大きい敵を倒すにはユーベルコードを使うしかありません。いずれにせよ少しは他の猟兵の方々の助けになれると思います!)
 そう考え斬り込んでいくハロ。握りつぶそうと迫る山神の大きな掌を見切り、指の隙間をくぐり抜け方向転換のついでにすこしよろけながらも空いた手でダガーを抜き放って山神の指を『剣刃一閃』で切断、さらにダガーを仕舞いながら山神の足へ駆け寄りサムライブレイドの一撃を与えていく。
 これまでの実戦で生き残る中で身についた動きは、荒削りながらも確実に山神の体を刻む。さらに『符覡載霊の舞い』で神霊体へ変身したゆかりも戦列に加わり、なぎなたによるなぎ払いで山神はさらに斬り崩されていく。
「山神ねぇ、自然の逆襲というわけでもあるまいに。まあ荒魂の類なんでしょうけど、調伏が必要だわ――ノウマク サラバタタギャテイビャク――」
 高速で詠唱を行い投げつけるはトランプを模した霊符、山神に命中すると炎が噴出し絡みついて焼いていく。即ち『不動明王火界咒』。
「木生火、よく燃えるわね。よし、このまま押し切る!」
 なぎなたを構え直しさらに次の山神へと狙いを定め、駆ける。そして一節を歌い終えたステラは戦況が猟兵に有利とを見ると歌の曲調を変えて、続けて『サウンド・オブ・パワー』を発動した。そのメロディは次々と打ち倒されていく山神の魂を癒やすように鳴り響いていく。

●終焉を変える
 山神の一体が歌に誘われステラに近づき襲いかかろうとしたが、ステラはそれを踊りによるリズミカルな動きでヒラリと躱し時には扇で受け流し対処する。各地を旅しながら歌や踊りを続けてきたステラの歌と踊りは、この程度の妨害では止まらない。
 しかし山神は拳を大きく振り上げて地面を叩きつけた。この叩きつけにより大きく揺れた地面でよろけてしまうステラ、動きが止まったステラを山神がさらに踏みつけようとすると、そこへハロが救援に入った。
「いま、助けます!」
 ステラを踏みつけようとしていた山神の足首をサムライブレイドで切り落とし、返す刀でさらに山神の残る足にも切込みを入れる。
「助けてくれてありがとう」
 ステラはハロへ礼を言うと仲間への支援のために『サウンド・オブ・パワー』の発動を再開した。
(あたしの能力は援護向きなのよね)
 だから、と歌いそして踊る。その歌は空気を震わせ聞いた者の心を奮い立たせるだろう。その踊りや舞いは場を華やかにし見た者の心に癒しを与えるだろう。――これまでの旅と同じように。

 その支援を受けて山神へ止めを刺したハロは再び次の山神を目掛け斬り込んでいった。猟兵達の活躍で山神はその数を減らしている。
 全てを倒し村を滅びの終焉から救うまで、あと一息だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

御狐・稲見之守
おやま、この世界にも山神がおるんじゃなあ……って喰われて逃げとるのかい。山神の名が泣くのう。まあ良い、こんなんが大挙してはぺんぺん草ひとつ生えんくなるわな。

[WIZ]UC荒魂顕現、御狐稲見之守が此の場を五行の法に治めむ。「木の成長」――山神よ、その根を大地に張り動くことなかれ。来たれ「炎の竜巻」――木生火、山神を糧として燃え出よ。その灰は土を生み、金を、水を、そしていずれ木へと還るであろう。

ふふっ村人達が見ているんじゃったな。なぁに、ワシはただの通りすがりの神様じゃよ。



●神とは
 古来より規模の大きな災害は神の所業とされることがある。ならば今回の『荒ぶる山神』の暴走もまた災害であり神の所業と言えるのかもしれない。

「おやま、この世界にも山神がおるんじゃなあ……って喰われて逃げとるのかい」
 他の猟兵たちと共に戦う最中に『荒ぶる山神』の頭部にある歯型を見つけ御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は突っ込みを入れた。
 地元では神様としてそれなりに幅を利かせている稲見之守は同じ『神』を冠する山神の不甲斐なさに呆れを示す。
「山神の名が泣くのう。まあ良い、こんなんが大挙してはぺんぺん草ひとつ生えんくなるわな」
 昔はともかく今は民衆の味方である稲見之守、残りの山神たちやその残骸にまとめて引導を渡そうと大技の準備に入る。
「荒魂顕現、御狐稲見之守が此の場を五行の法に治めむ」
 ひと呼吸おいて稲見之守が詠唱の詞を唱えると一言ごとに周囲の空気がピンと張り詰めていった。
「『木の成長』――山神よ、その根を大地に張り動くことなかれ。来たれ『炎の竜巻』――木生火、山神を糧として燃え出よ」
 ヒュウ、と一筋の風が吹いたかと思うと山神の残りや残骸の中心に竜巻が現れ炎を纏っていく、異変に気付いた猟兵たちは急いでその場を離脱した。
「その灰は土を生み、金を、水を、そしていずれ木へと還るであろう」
 ユーベルコード『荒魂顕現』。自然現象を引き起こす、制御が難しく暴走しやすい技である。
 稲見之守が詠唱を追えると炎の竜巻は山神の残骸へと引火し、まだ動いている山神たちも巻き込み枝葉を燃やしていく。炎の竜巻は大きく成長し荒野の乾いた空気を巻き込み上昇気流――ハリケーンとなった。そう、制御が難しく暴走しやすい技である。

 山から猟兵――冒険者――たちの戦いを見守っていた村人たちは後に語る。荒れ狂う山神たちは冒険者たちにより鎮められ、最後は神の奇跡によって荒れ狂う魂は天に返ったのだと。

 火柱の発生主はこれを見て他人事のように感嘆の声を上げていた。
「ほー、よく燃えよるのう」
 どことなくやり遂げた顔である。そう、古来より規模の大きな災害は神の所業とされることがあるのだ。

 急激な上昇気流は雲を生み一時的な激しい通り雨を作った。雨は火を弱め、大地を穿ち、戦いで生まれた窪みをさらに削って池や川となり新たな地形となる。
 今はまだすぐに干上がる川だが今後の天候によっては水量も安定しやがて新たな生態系が構築されていくだろう。

 数分で火は鎮火し空には晴れ間が覗く。晴れ間からは輝かしい日が差し込み『荒ぶる山神』たちの荒れた魂は虹となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『暴食』のフィーラ』

POW   :    あらぁ〜、食べて良いんですかぁ〜?やったー!
自身の【何かを食べたい欲望】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    わたし〜、おなかが空きましたぁ〜
自身の身体部位ひとつを【口のみが存在する伸縮自在】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    いただきまぁ〜す♪
【隠し持つ調味料】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リサ・ムーンリッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●二章についてのお知らせ
 一章へのご参加ありがとうございました。
 引き続き、二章のプレイングの受付は予定通りに木曜の2月14日(木)からとなる見込みです。
 引き続きよろしくお願い致します。 

●神を喰らう者
 猟兵――通りすがりの冒険者――たちが迫りくる『荒ぶる山神』たちを打ち倒し村の危機は去った。遠くてよく聞こえないが村のそばの山から避難した村人たちによる喜びの歓声が聞こえてくる。彼らはじきに避難した山から降りて村に戻ってくるだろう。
 しかしまだ安心はできない。『荒ぶる山神』を暴れさせた今回の張本人、歯型の主がまだ残っている。

 1人の人物が空からふわりと舞い降りてきた。
「あらあら〜大きなお野菜たちが居なくなっちゃってます〜。……これ、あなたたちがやりました?」
 口に手を当てあらあらと驚きながらふわふわした口調で語りかけるのはかつて過去に存在したらしい『災害』認定された迷惑人のうちの1人、『暴食』を冠するフィーラ。
「あなたたち変わった格好ね〜?もしかして〜あなた達も、神隠しでこっちに〜?」
 生前に神隠しで別世界から来てオブリビオンになったのならば、確かに別世界の種族が居ても不思議ではない。
「まあ、そんなことはとうでもいいわ〜。わたし〜おなかぺこぺこで〜」
 ニコッと微笑みかけるフィーラ。
「あなた達、美味しそう。食べちゃっていいわよね〜?いいえ〜、いま、食べちゃいましょ〜」
 しかし目は獲物を狙う捕食者のそれだった。過去から蘇ったオブリビオンである彼女は、猟兵を一目見れば本能で猟兵という『敵』だと理解する。どうせ相手を消すなら食べてしまったほうがお得だ、そう考え舌なめずりをするフィーラ。
 品定めをするような目を向けながら一歩踏み出し――転んだ。
「きゃあ……!も〜だぁれ〜?こんなところに石を置いたの〜」
 頬を膨らませ不機嫌そうにぷーっと膨れて地面に抗議をするフィーラ。
「あう〜お腹空きすぎてフラフラしてきました〜」
 さあ、この腹ペコの災害を打ち倒して村を救おう。

●補足
1.この個体はあまり賢くありません。また、この個体は『身体能力が増大』しても圧倒するほどのパワーアップはありません。
2.この個体は例え飛んでも猟兵を狙うために必ず高度を落とします。飛行による有利や不利はありません、安心して近接攻撃を行ってください。
ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
むぅ、私達を見て美味しそうとは…。臭ったかな?私の持ってる芋煮。
ま、それはおいといて敵は敵。きっちりと始末させてもらうよ。

一先ずは距離をとっての狙撃かな。
見たところ素早さはそんなになさそうだし、遠距離の攻撃もあまりしてこなさそうだしね。
ただ、飛ばれるのはちょっと面倒だから、狙うならあの羽かな。
付け根あたりを重点的に【貫通する矢(アインス)】で撃ち抜かせてもらうよ。
飛べなくなれば味方がもっと戦いやすくなるだろうから、そうなってしまえば仲間がしっかり決めてくれるはず。
いけるかな?


御狐・稲見之守
&&&【同行:ハロ・シエラf13966】
ハロ殿は面白い剣を持っておるの。その剣の"力"、引き出してみたくばその手助けをしようか。ふふっ、少々手荒いが覚悟されよ。その力は天使を、吸血鬼を、そして神をも屠る力となろう。

【WIZ】UC憑依の術、憑り殺さんよう力は抑え、剣と自分そしてハロ殿を同調させる。――ハロ殿、気を確かに。さあ、剣に語り掛け主の名を教え刻んでやるがよい。さすれば剣は応えてくれるであろう。

戦闘中、ダメージ軽減効果でハロ殿を守りつつ妖術や剣刃一閃に狐火を付与するなどして支援。ふふっ天使よ、喰われるのはお前だ――ハロ殿の一撃に[生命力吸収]を重ねる。


ハロ・シエラ
【同行:御狐・稲見之守 f00307 】【POW】本当ですか御狐様!私もこの剣には薄々何か感じるものがありました……多少の事は覚悟しています。この天使のような敵を、そして吸血鬼を倒す力となるのなら!……くっ、憑依されただけで体中が軋む様です……でも、確かに感じます!御狐様を、そしてこの剣を!私はハロ・シエラ……リトルフォックス、あなたの中に力があると言うのなら、それを私に貸して下さい!ダガーは収め、御狐様と剣の助けを得て狐の耳と尻尾を生やした真の姿となり、食欲を満たそうと襲い来る敵にレイピアだけで斬りかかります。機があれば剣刃一閃で攻撃を行いたいと思います。ダークセイヴァーでは、暴食は罪なり!



●暴食
 確かに猟兵たち――冒険者たちを見て『美味しそう』と言った。『大きなお野菜』とは先程倒した『荒ぶる山神』たちのことだろう。間違いない、こいつが今回の元凶のオブリビオンだ。

 少々緊張感に欠けるなかで先に動いたのがフィーラだった。フィーラは自身の身体部位……片腕を、口のみが存在する伸縮自在の頭部に変形させてルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)へ向かい真っ直ぐ伸ばしていく。
「わたし〜、おなかが空きましたぁ〜」
 腕から伸びていった頭はルエリラに食らいつこうと大きく顎を開き――ルエリラがよっこいしょと地面に置いた芋煮に飛びついた。
「うわああああ、お料理だあああああ!!」
 グルッと向きが変わり芋煮を貪り食うフィーラの攻撃。美味しそうに味わっている。
 その様子をみてルエリラは思う。
(むぅ、やっぱり臭ったかな?私の持ってる芋煮)

 芋煮――それは主にサトイモを使った鍋料理であり地域や世界により様々な特徴がある。それぞれの土地で採れた食材をその地域の好みの味付けで煮たそれは実に奥が深い。そんな芋煮に魅了されたルエリラは世界最高の芋煮を探し求めているうちにこの芋煮をいつでも作り立てで取り出せる術を得ていた。
 これユーベルコードじゃなくてアイテムなんだ……作りたてでいつでも取り出せるのはきっと保存容器とか魔法のなんやかんやだと思う。

「おかわり!」
 すごく良い笑顔でおかわりを催促するフィーラ。
「腹ペコ……ってやつなのかな?仕方ないにゃあ……いいよ」
 二個目の芋煮を置くルエリラ。おとなしく食べ始めるフィーラ。ひとまずの足止めは成功している。
「ま、それはおいといて敵は敵。きっちりと始末させてもらうよ」
 そう小さくつぶやくと、フィーラをさらに足止めするために手持ちの芋煮を全て設置してから小走りに距離をとる。自身の得意な弓の距離まで。
「おかわり!!!!」
「えっ、もう食べ終わったの」
 まだ距離を取り切れていないルエリラが振り向くと数人分の芋煮を平らげ終わったフィーラの姿があった。
「美味しかったわぁ〜♪もっと、もっとちょうだ〜い♪」
 満面の笑顔のフィーラは、そう言うと片腕を口のみが存在する伸縮自在の頭部に変形させルエリラへと襲いかかっていく。
「……あなたごとでも良いわ♪お肉もたべたかったの」
「くっ……」
 弓を構えて反撃をしようとするルエリラ、しかし相手のほうがいくらか速い。ダメージを覚悟したルエリラたがしかし――ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)のユーベルコード『剣刃一閃』により、フィーラが腕から伸ばした頭部と口は切断されてその攻撃は防がれた。
「ダークセイヴァーでは、暴食は罪なり!」
 狐の耳と尻尾を生やした『真の姿』となっているハロ。御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)の『憑依の術』により稲見之守の能力も加わっているようで狐火もいくつか纏っている。

●モノノ怪神の誘い
 時間はすこし前、フィーラが芋煮に夢中になっている時に遡る。
 レイピアを抜刀して戦闘態勢に入るハロへ稲見之守が興味を示して語りかけた。
「ハロ殿は面白い剣を持っておるの。その剣の『力』、引き出してみたくばその手助けをしようか」
「本当ですか御狐様!私もこの剣には薄々何か感じるものがありました……」
 妖狐の霊力を宿すとされる、サムライエンパイアで鍛えられたレイピア『リトルフォックス』を見るハロ。いま対峙している敵や……さらにはヴァンパイアをも打ち倒せる力と出来るのなら。少しでも自身や武器を強化できるというのならば……。
 レイピアをじっと見つめて持つ手に力が入るハロを見やり、その思考をまるで読み取ったかのように囁く稲見之守。
「ふふっ、少々手荒いが覚悟されよ。その力は天使を、吸血鬼を、そして神をも屠る力となろう」
 ハロの過去を戦いと血に染めた元凶であるヴァンパイアたちを屠る力を得られるのならば――。
「多少の事は覚悟しています。この天使のような敵を、そして吸血鬼を倒す力となるのなら!」
 吸血鬼も屠る力――この言葉を聞いた今のハロに後戻りの選択はない。
「ふふっ、よい目をしておる。ならば相乗りといこうかの」

●攻勢
 真の姿を開放したハロにより攻撃を妨害されたフィーラは頬をふくらませた。
「もぉ〜あなた、邪魔をしないでくれる〜?」
 そんなフィーラへ駆け寄りレイピア『リトルフォックス』を振るうハロ。負担があるのか優勢ながらも表情は険しい。
(……くっ、憑依されただけで体中が軋む様です……)
「やだぁ、ちょっと、危ないでしょ〜!」
 その攻撃を逃げ回って回避していくフィーラ。ハロは得た力を制御しきれず、その剣戟は精度を落としていた。そんなハロへ稲見之守が語りかける。
(――ハロ殿、気を確かに。さあ、剣に語り掛け主の名を教え刻んでやるがよい。さすれば剣は応えてくれるであろう)
(……確かに感じます!御狐様を、そしてこの剣を!私はハロ・シエラ……リトルフォックス、あなたの中に力があると言うのなら、それを私に貸して下さい!)
 ハロの願いと意志に呼応したのか妖狐の霊力を宿すレイピアは、炎を纒っていく。
「熱いっ、熱いわ。わたし〜、それ、危ないと思うの〜!あっ、痛っ!熱いっ!」
 狐火を纒うハロのレイピアは、夢か現か心無しか時おり何重かに分裂するように見える。そしてついに逃げ回るフィーラを捉え始めた。
「いったぁ〜い!やったわね〜、え〜い!」
 突きと突きの攻撃の間の隙でフィーラが隠し持っていた塩コショウをハロへふりかけた。
「……目潰しですか!そんな手には……ハックション!……クシュン!」
 呼称が鼻を刺激しクシャミが出て動きが止まってしまうハロ、そこへ。
「いただきまぁ〜す♪」
 ハロの肩を手で掴み、首元へかぶりつくフィーラ。
「――ぐぁっ……!?」
 首への激痛に動揺するハロ、すぐさま憑依している稲見之守からの狐火でフィーラは焼かれハロから離れたが、その首には歯型が残った。
「熱っ……やだ〜もう、なんなのこの炎〜。それに噛み切れなかったわ、どうしてかしら」
 ダメージ軽減効果がなければすこし食い千切られていたかもしれない。言動はコミカルだが油断のならない相手でもある。
「あなたを食べるのは、やめておくわ〜、めんどくさそうだし〜」
 ハロを相手にするのは分が悪いと考えたフィーラは別の猟兵をターゲットに切り替え移動する。この意識する対象を切り替える隙に、フィーラの背の羽を横から一矢が貫く。
「――え?」
 その矢は細い付け根を正確に貫き、その背の羽の機能を喪失させた。ちゃっかり狙撃しやすいポイントをおさえ機会を狙っていたルエリラによる、ユーベルコード『貫通する矢』の一撃だった。
「飛ばれるのはちょっと面倒だから、狙うならあの羽かな。貫かせてもらったよ」

 移動手段を大幅に失ったフィーラへさらに猟兵たちが畳み掛ける。この災害に引導を――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

村崎・ゆかり
&&&

……やる気が削がれること甚だしいわね、これ。
ひっそり「オーラ防御」を展開して『暴食』の攻撃に備えるわ。

手を出してきたわね。じゃあここからは殺し合いよ。

火行の「属性攻撃」を乗せた「なぎ払い」で巫覡載霊の舞を披露してあげる。
直撃をかわしても「衝撃波」が襲うわよ。

距離を取られたら不動明王火界咒を「高速詠唱」して、「全力魔法」でぶっ放す。
逃がさないわよ。七星七縛符! 「二回攻撃」で「破魔」と「呪詛」の二重奏!

『暴食』の攻撃は薙刀で弾いて凌ぐ。
満腹になるまで食べられるなら死んでもいいって手合いかしらね、こいつ?
そんなに食べたいなら、炎でも食べてなさい!
不動明王火界咒!
跡形もなく燃え尽きるといいわ。


ステラ・カガミ
&&&(アドリブ大歓迎ですので、どんどんやってください)
引き続き、サウンド・オブ・パワーを使用し、皆の援護に当たります。
(力溜めと歌唱を併用してより魂のこもった歌を歌います)
踊り子らしく踊るように攻撃します。
(パフォーマンス、力溜め、属性攻撃を併用して魔力のこもった踊りで攻撃するようなイメージです)
攻撃は見切りで回避します。
他に戦っている方たちの力をより引き出せるように頑張ります。
『援護は任せて!』


フォー・トラン
&&&

こいつは人の姿をしているが捕食者(プレデター)だ。
アタシの野生の勘がそう告げている。

◆心情
見た目や鳴き声が人間っぽいだけの猛獣として対処する。
クマやサメと同じ扱い。

◆行動
【精霊召喚魔法】で風の精霊を呼び出して手伝ってもらう。

戦場には少し遅れて登場。
ライオンは群れからはぐれた個体を狙うらしいので、他の猟兵さんからある程度の距離をとることで『フィーラ』をおびき寄せて、猟兵さんや精霊が攻撃するチャンスを作る。

あと精霊に頼んで突風で『フィーナ』の体勢を崩してもらって、その間にロッドで殴りつけたり。

精霊を含めて助けてくれた人にはお礼を言う。



●コショウってけっこう凶悪だと思う
 先ほどの戦闘で分の悪い相手から離れて他の猟兵を狙おうとしたフィーラは、狙撃により羽の機能を失い地面に墜落した。
「あうっ、痛い、痛いわ〜!」
 起き上がろうとしたところでふと歌声が聞こえることに気付き顔を上げると、そこに居たのはステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)。『サウンド・オブ・パワー』で先程から仲間の猟兵たちの能力を上げて支援をしていたのだが、ちょうど目の前にフィーラが墜落してきたという形だ。
(敵が近くに落ちてくるなんて……ちょっとピンチって感じね)
 支援を途切れさせないため歌は継続してはいるが、ステラは手にした扇を広げ踊りのステップを変えて戦闘に備える。
「あらあら〜、あなたも美味しそうだわ〜」
 ニッコリと微笑みながら片腕を口のみが存在する伸縮自在の頭部に変形させてステラに喰らいつこうとするフィーラ。それを扇で払いまたは舞いの動きで避けていくステラ。さらに畳み掛けるようにフィーラは隠し持っていた小瓶からコショウ――ブラックペッパーを撒いた。
「そ〜れ」
 粉末の刺激物はまともに吸い込んでしまうと喉を痛める。歌えなくなるリスクからステラは思わず喉をかばって口や鼻をおさえ、歌と踊りを止めてしまった。
「え〜い」
 つづけてトマトソースをステラへかけるフィーラ。
(しまった……!)
 トマトソースを浴びるステラ。そんなステラへフィーラはよだれを垂らしながら口を開けて迫った。
「いただきまぁ〜す♪」
 ステラの腹へ歯を食い込ませようと無防備に飛びかかるフィーラだったが……、ゴォと突然の突風にバランスを崩し動きが止まった。フォー・トラン(精霊術士・f12608)による『精霊召喚魔法』で召喚した風の精霊が起こしたものだった。そこへすかさず村崎・ゆかり(紫蘭・f01658)によるなぎなたの上段からの振り下ろしが行われる。
「はぁーっ!」
「ぎゃふん!」
 ちょうど前傾姿勢で姿勢を崩したところに上から思いっきりなぎなたを振り下ろされたフィーラは顔面から地面に突っ込む。『何かを食べたい欲望』のための明らかな隙がある時はなかなか有効打を与えにくい。しかしユーベルコードでの一撃はそれなりに効いている様だった。

●仕切り直し
 地面にギャグ漫画のようなめり込み方をして沈黙しているフィーラから距離をとり、ステラとゆかりは体制を立て直す。そこへフォーも合流し、助けてくれた2人に礼を言うステラ。
「助かったわ、2人ともありがとう」
「どういたしまして、無事なら良かった。そしてさっきの突風はあなたね。いい援護だったわ」
 そう言うゆかりの言葉にフォーは頷いて。
「どうも、けどやったのはアタシじゃなくてこの子さ、サンキュー」
 フォーは周りをふわふわ飛ぶ風の精霊に礼を言う。

「それじゃあ、援護は任せて!」
 ステラは再び歌声を響かせ今度は『シンフォニック・キュア』の効果を発動。味方が回復したところで歌を替えて、再び『サウンド・オブ・パワー』を発動した。踊り子兼歌姫は歌と踊りで猟兵たちを癒やし鼓舞をする。

 地面に顔をめり込ませていたフィーラはスポンと顔を引き抜いて。
「痛いわ〜、お腹も空いたわ〜、なにか食べさせて〜」
 と嘆いていた。その様子を見たゆかりはため息と共に複雑な表情で言葉を漏らす。
「……やる気が削がれること甚だしいわね、これ」
 対するフォーは険しい顔で警戒を口にした。
「こいつは人の姿をしているが捕食者(プレデター)だ。 アタシの野生の勘がそう告げている」
 ステラの支援を受けたゆかりとフォーの2人は、武器を構え直し敵の攻撃に備える。

●膠着
 巫覡載霊の舞で神霊体に変身しているゆかりは、その刃に陰陽五行のうちの火行を宿して炎を纏わせフィーラへ攻勢をかける。
「せいっ!やあっ!」
 対するフィーラは抵抗をしつつも逃げ回る。しかし衝撃波を伴うそれは確実にフィーラの手を、足を傷つけていく。
「ひゃっ、危ないじゃないの〜、わたしは〜ご飯を食べたいだけ〜!」

 他の猟兵たちの攻撃も合間に入り猟兵達に有利に戦いは進んでおり、フィーラも傷が増えて確実に動きも悪くなっている。しかし空腹を訴え時おりふらつきながらも動き回るフィーラのタフさは流石というべきか。

 ここにきて息切れしてきたゆかりの動きが鈍くなったのをフィーラは見逃さなかった。
「あらぁ〜あらあら?」
 気付いたフィーラが片腕を口のみが存在する伸縮自在の頭部に変形させゆかりに噛み付こうとしたその時、フォーの召喚した風の精霊による突風がゴォと吹きフィーラを転ばせた。
「きゃあ!?もぉ〜なんなの〜、この風は〜!」
 風に抗議するフィーラを余所に肩で息をするゆかりに駆け寄るフォー。
「大丈夫かい?なんならアタシが変わってもいいけど」
 エレメンタルロッドでの格闘戦も出来なくはないことを伝えるフォー、しかしここで妙案が浮かぶ。
「――いや待てよ、良い案がある。あいつは見た目や鳴き声が人間っぽいだけの猛獣みたいなものだ、なら……」

●災害すら喰らう炎
 立ち上がったフィーラは目の前に果物や、脂のたっぷり乗った肉や魚の山があることに気がついた。
「わぁ〜、素敵だわ!これ全部たべてもいいのかしら、いいえ、たべちゃいましょ〜♪」
 先程まで戦闘中だったことも忘れ食べ物に夢中になるフィーラ。
 それらはフォーの『偽造魔法』によって作られた実物を模した偽物である。しかし食欲だけを満たしたいフィーラにはこれで十分、その場に釘付けで懸命に口に運んでいる。
「よし、かかったな……クマやサメと同じなら同じように罠にかけりゃいい。じゃあ仕上だ」
 フォーはフィーラの様子を確認すると仲間へ合図を送った。

 ステラは声を紡ぎ『サウンド・オブ・パワー』でフォーとゆかりの戦闘力を増強させる。その支援を受けたゆかりとフォーは一度呼吸を整え精神を集中。
「ノウマク サラバタタギャテイビャク――」
詠唱をしながらゆかりはトランプ状の霊符を投げつけた、そのトランプから噴出した炎は食事に夢中なフィーラへ絡みつきその身を焼く――則ち『不動明王火界咒』。
「熱っ、熱いわ、何なのこの炎〜」
 食べるのを中断し火を振り払おうとするフィーラ。そこへさらにフォーの『合成魔法』が加わりフィーラは食べ物ごと火に包まれる。炎は中の食べ物に含まれるたっぷりの脂を燃焼の糧として喰らい熱としていく。

「熱いわ!ここから離れなきゃ。ああでも〜、いい匂いがするの。焼けた果物、お肉、お魚……」
 一度は逃げようとしたが匂いにつられ炎の中に戻っていくフィーラ、しかし。
「やっぱり無理〜、熱い〜!」
 限界を感じ炎から逃げ出そうとするフィーラ。
「逃がさないわよ。七星七縛符!」
 ゆかりの七星七縛符が炎の中でフィーラを縛り付ける。炎の熱で苦しみだしたフィーラを見てあと一息とゆかりはさらに追撃を加える。
「ノウマク サラバタタ――」
 二回目の『不動明王火界咒』による重ねがけ。新たにうまれた炎は、この炎の中でさらにフィーラへと絡みつき燃やす。
「――――!」
 身を焼かれる苦痛に声にならない声を上げて『『暴食』のフィーラ』は炎によって喰らい尽くされた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『果物取りしましょう!』

POW   :    野山を力いっぱい駆け巡り、目につく果物を収穫する。

SPD   :    野山を軽やかに駆け巡り、目当ての果物を収穫する。

WIZ   :    野山を観察して果物の生る木を探し当て、収穫する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●三章についてのお知らせ
 ニ章へのご参加ありがとうございました。
 引き続き、三章のプレイングの受付は予定通りに木曜の2月21日(木)からとなる見込みです。
 引き続きよろしくお願い致します。  

●帰る場所と恵み
 村の危機がすべて去った頃、村には山へ避難していた人々が戻ってきていた。

 村から数名、村を代表する者がやってきて災害から村を救った猟兵――通りすがりの冒険者たちに礼を言う。
「冒険者のみなさま、ありがとうございました。おかげで我々は帰る場所を失わずに済みました」
 しかしこの村には特に資源がなく礼や報酬になるものはない。
「見ての通り何もない村ですので、代わりになるかはわかりませんが出来る限りのもてなしはさせていただきます。村の裏手の、あそこの山で果物狩りなどいかがでしょう」
 そう言い、村の代表者は先程まで避難していた山を指し示す。
「あの山の恵みはこの村の数少ない食料源です。しかしその実りは多く、時おりやってくる行商人と取り引きをすることもあります。よろしければいかがでしょうか」

 お言葉に甘え、野山の果物取りを楽しもう!もちろん、喰らい尽くさない程度に。
村崎・ゆかり
報酬目当てで戦ったわけではないけれど、くれるというならもらってあげるわ。

初夏みたいな天気だけど、登山服に着替えた方がいいかしらね?
それと、採った果実を入れるバスケットを忘れずにと。

それじゃトランプを一枚出して、黒鴉召喚。式神に先行して果樹のある場所を探して回らせる。
闇雲に山の中をうろつくのは、趣味じゃないのよ。

式神が送ってくる情報を頼りに、果樹の元に赴いては収穫していくわ。
無花果、葡萄、夏蜜柑。あ、桃もあるのね。
ブルーベリーは沢山採ってジャムにしましょうか。

しばらくは、おやつは果物ばっかりになりそうだわ。
とはいえ、この世界で品種改良が進んでいるはずもなく。
どれも原種だろうから、味は期待薄と。


御狐・稲見之守
&&&山の幸か、果物狩りのついでにひっさびさに山菜狩りにでも出かけようかのう。とは言うてもこの世界の山菜ワシにわかるんじゃろうか、腹下しても困るゆえ村の者に案内してもらおうかの。えーと汚れても良いカッコに帽子、籠、手袋、山刀……あとなにが必要じゃろ。

果物はともかく山菜は一晩アク抜きせんと食えんものも多いじゃろしお土産用かの。喰うにも味噌や醤油が欲しくなるしナ。

そうそう、この村の数少ない食料源なればこの通りすがりの神様が豊穣祈願でもしとこかの。舞の奉納とか侍帝以外の者が見てもつまらんじゃろうからサクッと。UC小さな奇跡、「掛巻も畏き山神よ、願わくは此の地が恵み豊かならんことを畏み畏み祈願奉る」 


ハロ・シエラ
ダークセイヴァーでは甘い果物なんて殆ど口に入りませんでした。
それがこの両手に収まりきらないくらい……
このリンゴの赤く瑞々しい事と言ったら……
丁度いいので、ともに戦った皆さんにダガーで皮を剥いて差し上げる……のはやめましょう。
何か変な毒でも付きそうです。
剥くならレイピアを使います。
色とりどりの果実の生る木を見ながら歩くのも楽しい物です。
気になった物を見つけては取って食べてみたり。
……桑の実と言う物はダークセイヴァーでも自生していました。
比較的良く実の生る場所を見つけて、秘密の場所にして季節になると食べていた物です。
ですが甘さも風味もこちらが数段上。
故郷にもこの様な豊かな土があったなら……


ステラ・カガミ
&&&(大歓迎です。どんどんやってください)
せっかくなので、果物を頂いていこうと思います。
ただ、村の貴重な食料を頂いていくのも気が引けるので、村の豊穣を願って、猟兵ではなく、踊り子兼歌姫のステラとして村の皆さんの前で歌や踊りを披露しようと思います。
愛用の露出度の高い踊り子の衣装を着て戦闘で乱れた髪や衣装も整え、より見た目が華やかになるようにします。
村の皆さんのために心を込めて真剣に歌い、踊ろうと思います。
(歌唱、パフォーマンス、鼓舞、誘惑も使用して、プロとして全力を尽くします)
『気に入ってくれたら、あたしも嬉しいわ』


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
果物好きだよ。
甘いのが沢山あるといいな。
でもこういうのは皆で楽しむのが一番だよね。

というわけで、果物狩りを楽しむよ。
途中行商人の人がいたら、なにかしら美味しい・珍しい芋煮の素材があれば購入したいね。
採った果物は、村の人達の所まで持って行って皆で一緒に食べるよ。
私は一角をもらって芋煮を作って村の人達に振舞いたいな。
果物に芋煮が合わさればとってもいい感じ。
みんなが笑顔。ぶい。



●収穫
 南にあるこの地方は冬だというのに初夏のような暖かな気候を保っている。夏はどうなるかは不明だが、少なくともこの日は過ごしやすい陽気だ。

 カラスに似た鳥形の式神が山を飛び回り、村崎・ゆかり(紫蘭・f01658)に山の情報を送っていく。
「闇雲に山の中をうろつくのは、趣味じゃないのよ」
 登山服に着替えて採った果実を入れるバスケットを持ったゆかりは、式神から得た地形をもとに果樹の元に赴いていく。
「報酬目当てで戦ったわけではないけれど、くれるというならもらってあげるわ」
 そう言いながらも格好や準備はしっかりしているあたり、楽しみにしていた様子ではある。
「無花果、葡萄、夏蜜柑。あ、桃もあるのね」
 途中で休憩を挟みながら式神からくる情報を元にバスケットに思い思いに果物をおさめていくゆかり。休憩中に果物の使い道をあれこれと考える。
「ブルーベリーは沢山採ってジャムにしましょうか。しばらくは、おやつは果物ばっかりになりそうだわ」
 加工してお土産として知り合いに配るのも良いかもしれない。村の方では祭りの準備もしている様だしそちらでこの地での食べ方を聞くのも良いかもしれない。
 品種改良が進んでいるUDCアースの果物と比べて味はどうだろう?原種のような味になるのだろうか?
 バスケットに収めた果物たちの味も気になっていた。

●山菜取り
「山の幸か、果物狩りのついでにひっさびさに山菜狩りにでも出かけようかのう」
 案内を申し出た村人に連れられて山道を登る御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)。
 もんぺを履いてカゴを背負い幅広の帽子をかぶって汗をぬぐう手拭いを首にかけるという別の世界での高齢の方を思わせる装いで、その小さな姿とのギャップと似合い方はわかる人にはわかる正にロリババァという装い。『猟兵は世界の加護を受けているためどんな姿形でどんな世界に行こうとも住民に違和感を与えない』という前提、いいよね……。
「とは言うてもこの世界の山菜ワシにわかるんじゃろうか、腹下しても困るしのう」
 案内をしてくれている村人に気になった木の実や草木について尋ねていく稲見之守。
「これは酢漬けにするんじゃな。これはアク抜きしてから炒める。なるほど……一晩アク抜きせんと食えんものはお土産用かの」

●山の恵み
 山菜に注意が向かっている稲見之守の近くでは同様に村人の案内の元に果物を収穫する各々。
「ダークセイヴァーでは甘い果物なんて殆ど口に入りませんでした。それがこの両手に収まりきらないくらい……」
 ひと抱えほどのカゴに満たされた果実を見て打ち震えるのはハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)。
「このリンゴの赤く瑞々しい事と言ったら……」
 と動揺をするハロの緊張をほぐすように、ステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)はハロに話しかける。
「村の人たち、今日は村が助かったお祝いだからちょっとしたお祭りにするって言ってたわ。みんなで食べるものだし、ちょっとくらいの贅沢は大丈夫だと思う」
 その言葉にルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)も親指をぐっと立てて頷く。
「こういうのは皆で楽しむのが一番。桑の実っぽいのもあったよ。案内の人が食べられるって言ってた」
 ルエリラが差し出したその木の実をハロは見つめて感慨にふける。
「……似たものはダークセイヴァーでも自生していました。比較的良く実の生る場所を見つけて、秘密の場所にして季節になると食べていたものです」
 ハロは木の実を受け取り、口に運ぶ。
「ですが甘さも風味もこちらが数段上……なんて豊かな土地なのでしょう。色とりどりの果実の生る木を見ながら歩くだけでも楽しいのに、その一つ一つも美味しいとは」
 そんなハロへ、ルエリラは変化の少ない表情を和らげ少しの微笑みを向けた。
「果物は私も好きだよ。甘いのが沢山あって、良かったね」
 三人の様子が耳に入った稲見之守。
「そうそう、この村の数少ない食料源なればこの通りすがりの神様が豊穣祈願でもしとこかの。またすぐ次の実りに繋れば多少は採りすぎても問題なかろ」
 三人が果物を取った木々へ、ユーベルコード『小さな奇跡』による光を与える稲見之守。その高速治療によって木の実を採った木々の傷口が塞がり新たな芽と花の蕾が伸びてくる。
「舞の奉納とか侍帝以外の者が見てもつまらんじゃろうからこう、サクッと。これでまずは安心じゃろ」
「これなら安心してお祭りも楽しめるわ。ありがとう御狐さん」
「サンキューかみさま」
 稲見之守による採取後のケアにステラとルエリラは礼を言う。
「いいってことよー。場所を変えたらまた採った草木に活力をやるゆえ、声をかけてくれまいか」
 稲見之守は軽く返すと再び山菜採りへと戻っていった。 

●収穫祭
 村の広場で鈴や太鼓のシンプルなリズムにのせて歌が響く。ちょっとした急ごしらえのステージでステラが、猟兵ではなく、踊り子兼歌姫のステラとして歌や踊りを披露していた。普段の戦闘用の衣服ではなくしっかりと華やかな衣装に着替え、身だしなみを整え、薄く化粧もする。
「気に入ってくれたら、あたしも嬉しいわ」
 そう挨拶をし踊り始めたステラ、内容は恵みと祈り感謝するものだ。稲見之守が山で行った実質的な加護ではなく、そこに住まう人々の心に届ける希望としての豊穣祈願。夕焼けと松明に照らされ陰影鮮やかに行われる舞いと衣装は艷やかで美しく、神秘さを醸し出す。村人たちはこの神秘的な美しさから発せられる願いを胸に、次の実りを信じて日々の節度を保ち山と共に生きていくことだろう。

 一方では料理の準備も進んでいた。ルエリラはちょうど訪れていた行商人から食材を購入しつつ鍋を作っていく。ここにはハロとゆかりも加わっていた。
 初めて見る食材に目を奪われてはルエリラから一口もらいながら野菜や果物の皮をむいていくハロ。ゆかりも皮のむけた具材を食べやすいサイズへ切っていく。
「ところで果物も鍋に入れようとしてる様に見えるのだけれど……?」
 ゆかりの疑問へ答えるルエリラ。
「甘みの少ない果物は料理にも使えるよ。果物に芋煮が合わさればとってもいい感じ」
「そういうものなのかしら?まあ美味しければ私は構わないわ」

 切られた食材は非常に大きな鍋へ入れられ煮込まれていく。ルエリラが村の外で使用したユーベルコード『芋煮ィッシュ作戦』により宇宙から飛来した大きな芋煮の鍋だ。これを村までなんやかんやで運んできたものをベースに果物入りの現地アレンジの巨大芋煮が出来上がっていく。
「そういえばユーベルコードがベースなのよねこれ、食べて大丈夫なの……?大丈夫そうではあるけれど……」
 若干不安そうなゆかりをよそに踊りの肴に村人や猟兵たちに振る舞われていく芋煮。ルエリラはそんな人々の様子を暖かく見つめて手でピースを作った。
「みんなが笑顔。ぶい」

 帰る場所がある。そこには住む場所があり、食べるものがあり、家族や仲間がいる。それは日々の糧を保つため、今日を明日へ繋げるための活力になる。猟兵たちの活躍によって一つの村とそこに住む人々の明日が救われたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月24日


挿絵イラスト