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o†o and the ∀pỏcalypsё

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●No!!!
 とある場所にて、様々な人々から沢山の応募が寄せられているコンテストが行われていた。
 テーマに添った、見て聞いて楽しめる作品……そんな多種多様な作品にひかれる住民たち。だが、そこには密やかに内包された悪が有った。
 それは一つの作品。
 それは一つの啓示。
 途端、その作品を見た住民たちは人が変わったかのように、且つ怒り狂ったような目つきに豹変する。
 そして思いのこもった、想いを込めた作品を次々と壊し、滅茶苦茶にして叫ぶのだ。

「No!…And everything is denied again!And do not admit others!」

●約束された雨
 ところ変わって、ここはグリモアベース。そこには集まった猟兵達に語りかける戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)の姿があった。
「わざわざ集まってくれてありがとう。……実は新たな情報が入ったんだ」
 彼はそう言うと事の経緯を話し始めた。
 事件が予知された場所は、キマイラフューチャーという世界のとある街。そこでは、なんとオブリビオンによるコンテストが開かれているという。
「コンテストを開くことはさして問題ではないんだけど……それが支持者を強制的に増やす事を目的としてるみたいで」
 それは自分の支持者にするため、自らの作品を使い(曰く催眠術のようなもので)強引に住民たちを支配しているらしい。…加えて、そのオブリビオンは思い込みが激しいらしく、他の作品が自身を侮辱するために創られたものだと信じて疑わない。それ故、他の作品が彼の者やその支持者によって破壊されてしまうのだという。
 ……なんとも被害妄想の激しいオブリビオンである。
「これを止める為に、まず皆には作品を創ってほしい」
 冷静なままの彼はそう言い、続ける。
「テーマは"虹"。……成程、虹に関係するものだったら何でもOKらしいね?歌でもダンスでも…絵画でも。取り敢えず作品になるんだったら良いみたいだ」
 そのコンテストのチラシを見ながら彼は話す。どうやら怪人と接触するため、自らコンテストに出展しなければならないようだ。
「オブリビオンは、自分の脅威になるような作品をみつけると襲ってくる。そこが狙い目、ってとこだね。けど、周囲には操られて支持者となったものもいるから十分に注意しておくこと」
 蒼はそう言うと、持っていたチラシを丁寧に折り畳み、君達へ向き直る。
「雨降って地固まる……きっとそうなるよ、君達なら解決出来ると信じてるから。それと、作品も楽しみにしてるよ」
 ────そうして猟兵達は、くだんの場所へ転移する事となるのであった。


Parmigiano
 はじめまして、もしくはお世話になっております。Parmigianoです。皆様にとって良いリプレイを御送り出来るよう、精進して参ります。
 このシナリオでは、オブリビオンのブームという名の支配を終わらせる為に、皆様に頑張って頂きます。

 第一章は、怪人の興味を引いて頂きます。
 第二章で怪人の支持者となってしまった者と戦い、第三章では、いよいよ事の発端となった怪人と対決、という流れになっております。

 皆様の素敵なプレイング、お待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 冒険 『怪人のコンテスト!』

POW   :    雄々しく力強い作品を!

SPD   :    技術を生かした精密な作品を!

WIZ   :    今までにない斬新な作品を!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴木・志乃
(写真を撮っている)
……まあ、元々手元に素材はあるんだけどね
やっぱり、この世界は良いところだって、怪人に言いたいから
あ、ご協力ありがとうございます【コミュ力】【礼儀作法】

【SPD?】
【ギャザリングアート】
【パフォーマンス】

このハチャメチャで、楽しくて、美しい世界の一瞬を切り取りたい
『広場の日常』がいいな
虹の下、色とりどりのキマイラ達が駆け回るんだ
ライブパフォーマンス、子供の鬼ごっこ
その壁はコンコンしたら何が出てくるんだろう
屋台もやってる 煙の匂いが今にも伝わってきそう
あの子達はショッピング帰りかな……

背景部分は風景写真
キマイラ達はキマイラの笑顔の写真で作る

これが私の精一杯!



●Smile ᵃⁿᵈ Rainboẅ
 開催されたコンテストには家族や友人、恋人までもが集まり、大きな賑わいを見せていた。
 その中で、一人黙々と写真を撮っている者がいる。……鈴木・志乃(ブラック・f12101)であった。
 そう、彼女はキマイラフューチャー出身の猟兵である。加えて配信者『ブラック』としても活動しており、言わば彼女の本拠地(ホーム)とも言えるだろう。
「……まぁ、元々手元に素材はあるんだけどね」
 レンズを覗き込みながらそう写真を撮り続ける彼女の手には、あるデバイスが握られていた。それは、これまで撮影した…いやもしくはそれ以前の物もあるかもしれない。数多くの写真データが入っていた。───加えて、内蔵メモリに入っている写真も結構な量である。
 ………これだけあればもう十分なのでは?
 そう思う者もいるだろうが、それに関しては彼女なりの考えと目的によるものだった。
「(………やっぱり、この世界はいい所だって…怪人に言いたい)」
 志乃は第二の故郷と言うほどこの世界を愛している。でも、だからこそ、怪人の思考には納得のいかない所があった。
 ───個々を否定するという事は、キマイラの世界そのものの有り体を拒絶しているに等しい。そう考えてしまったからだ。なぜ他を受け入れられないのか、何故関係のない人々の作品を壊してしまうのか……そればかり考えて首をかしげてしまう。
「あの、少し写真を撮らせてくれませんか?」
「?はい、構いませんが……どうしてでしょうか?」
「実は私もコンテストに参加しようかと思いまして!皆の写真で虹の作品を、と」
「まぁ!写真が虹のアートに?」
 思案しつつも、そうやって彼女はコンテスト会場を練り歩く住民達に声をかけ写真を撮っていく。人当たりの良い彼女の頼みならば、と住民達もその頼みを快諾することだろう。
 折角アートにするんだから、この世界の素晴らしさを体現させる為、このハチャメチャで楽しくて美しい世界の一瞬を、切り取りたい。
 ───そう願い出来た作品は、『広場の日常』を切り取ったものだった。

 虹の下、色とりどりのキマイラ達が駆け回る。
 ライブパフォーマンスに子供の鬼ごっこ。
 その壁はコンコンさせると何が出てくるんだろう?
 屋台もやってる。
 煙の匂いが今にも伝わってきそう。
 あの子達はショッピング帰りかな…………。

 ありふれた日常。だけどそれはとても綺麗な世界。普段、皆が考え感じもしなかった感性により作成されたそれは、戦いと隣り合わせのこの世界で、本当に新鮮さを感じさせた。
 そんな様々な情景を表現し、見るものを飽きさせない作品は、一般的にこう呼ばれるものだ。

 【ギャザリングアート】

 それは幾数もの写真で1枚絵(もしくは写真)を構成する、別称モザイクアートとも呼ばれるものである。これを作るに当たっての必要写真枚数は、少なくとも2000以上。そんな、結構な気力を浪費せねばならない現代アートは今、彼女によって創造された。
 しかも驚く事はそれだけではない。
 なんと背景部分は風景写真に限定され、キマイラ達はキマイラの笑顔の写真によって作られているのだ。
 これには、コンテスト会場にきていた参加者や見物客も驚きを隠せない。近づいて見てみても、綺麗に現像された写真が見る事が出来る。それは綺麗な風景だったり、人々の笑顔だったり………彼女の手にかかれば、なんてことはない場所もさながらフォトジェニックのよう。

「これが私の精一杯!」

 そう言い屈託なく笑う志乃。写真を眺める、キマイラ達の嬉しそうなそれでいて興味津々といった様子に、嬉しさを滲ませた。
 ───そんな彼女をしかし、ギャラリーに紛れて密かに見つめる双眸があったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アメリア・イアハッター
虹、虹かぁ
あれは、いつだったかな
確か、素敵な虹を、見たことがあるような…

・行動
UC【いつかどこかの記憶の空】使用
いつか見た記憶にある空を大きく、大きく描く

私が描くのは青空と夕焼けと夜空が混ざり合う黄昏の空
そこに虹が架かり、青空の虹、夕焼けの虹、夜の虹
全てが一つの空のキャンバスに描かれた、あの日の光景
そうそう、雲は少しで鳥が飛んでて
7色じゃ足りない、沢山の色に溢れた虹!

絵は描けたけどこれで終わりじゃないんだ
この空にかかる光の橋をいつか私も渡ってみたい
そういう思いを込め、これをすることで私の作品は完成よ

絵の端に立ち、スカイステッパーで空中を踏みしめ、描かれた虹の橋を渡る
きっと笑顔で渡ってるね、私!



●RaЧ tỏ thё Яain
「虹、虹かぁ。あれは、いつだったかな?確か、素敵な虹を、見たことがあるような………」
 一方では、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)がうーんと頭を悩ませ思案させていた。
 ざわざわと騒がしい人々をよそに、古びた赤い帽子のヤドリガミは考える。…彼女は純粋に、コンテスト自体に興味があるようだ。そんなアメリアは元々好奇心旺盛であるが為に、空の事も知りたがった。それ故、虹についても様々な場所の虹を見聞きした事があるのだ。
「うん、よし!決まった!」
 パッと顔を上げたアメリアは、自身が見た一等綺麗な虹を思い浮かべ始める。そうして思い浮かべながら彼女はポツリと呟く。
「………あの日あの時の空は、確かこんな感じだったかな」
 するとどうだろう。24m³程の大きさに、空間がふわりと広がり始める。本物の風景に見えるけれど、実際は偽物である──それも極めて精巧に作られた。
 それは彼女のユーベルコード【いつかどこかの記憶の空】による効果であった。
 そこに描かれたのは────。

 青空と夕焼けと夜空が混ざり合う黄昏の空。
 そこに虹が架かった。
     青空の虹、
        夕焼けの虹、
            夜の虹──。
 全てが一つの空のキャンバスに描かれた、あの日の光景。

 光景を思い出す度にどんどんと描かれていくそれは、夢物語のようにも思える程に美しい情景だ。加えて思い出す。
「そうそう、雲は少ししか無くて、鳥が飛んでて…」
 彼女が思い浮かべつつ言えば、雲はすっかりなくなり、鳥の羽ばたく音が頭上で鳴った。
「7色じゃ足りない、沢山の色に溢れた虹!」
 そう告げた途端に、見たこともないくらいのプリズムの輝きを纏う虹。すると周囲からも感嘆の声が上がる。初めて見る特異な虹は、猟兵であるアメリアによってもたらされ、旅に出たことのないキマイラなどに興味を抱かせた。………世界にはこんな素敵な場所があるなんて!
 そんなキマイラ達の様子に、ふふと笑って見せるとでもね、と続けた。
「絵は描けたけどこれで終わりじゃないんだ」
 その言葉に、多くの者が首をかしげることだろう。
「この空に架かる光の橋をいつか私も渡ってみたいの!」
 にっこりと笑う彼女は、絵の端に立つとスカイステッパーで空中を踏みしめる。
 すると、驚く事に描かれた虹の橋を渡り始めたのだった。それは本当にキラキラとした、心からの笑顔であった。
 …………そんな美しい情景に心打たれぬ者などいないであろう。

 ───だが彼女は気付かない。満面の笑みを浮かべるアメリアを、観察している者がいた事に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アマータ・プリムス
テーマは虹ですか。であれば当機は得意の歌とギターで勝負しましょう
奇しくも当機のギターも虹の名を冠すモノ
テンションあげていきましょう

【世界知識】で今の流行歌を把握して【学習力】で流行のコードを模倣、【楽器演奏】でイーリスを弾き、当機の【歌唱】で歌い上げます
曲調はノリやすく歌いやすいPOPなものに致しましょう

題名は『pluvius arcus』
雨上がりの一時 現れる天にかかる七色の橋
それは雨の中も進むあなたを出迎えるアーチ
くぐればそこにはあなたと私の明日がある

「いかがでしたか?当機の歌は」
この歌であればコンテストで怪人の気を引けるでしょう
結構自信作です

※アドリブ、絡み歓迎です



●Ridё бn a sФuпds
 ここにもコンテストの参加に望む者がいた。
「テーマは虹ですか。であれば当機は得意の歌とギターで勝負しましょう」
 そう淡々と述べるのはアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)だった。彼女はなんと、人形を操る人形という特異な猟兵である。アマータが扱うギターは、イーリス・カントゥスという変形機能を搭載した蒸気機関式ギター型マイクものだ。
「奇しくも当機のギターも虹の名を冠するモノ」
 そのギターの名前、カントゥスは歌を意味する。………そしてイーリスは、ギリシア神話における虹の女神の名前だ。
「テンションあげていきましょう」
 なにはともあれ今一度ギターを握り直す彼女は、静かにそう言った。

 そうと決まれば先ずは敵情視察ならぬ、情報取得にかからねば。アマータはそう思い至った。知識人でもあるアマータは世界知識についても知り得ている。それ故、今の流行歌も特に苦労せずに入手する事が出来た。そうして学習することで、流行のコードを模倣する。
 ─────ここまで出来れば準備完了。
 ギターを構えて演奏するのはBPMの高い、POPな曲。そうであるにも関わらず、ギターの良い所をフィンガー・ピッキングによって表現し、非常に妙妙たる曲に仕上げている。ハーモニクスの明るい、弦の弾く音……その流れで重厚感のあるパワーコードをブリッジミュートしながら演奏すれば、感嘆の声が上がる。
 そうして、彼女もその音に重ねるように声を載せる。その彼女の透き通った美しい声は誰もを魅了した。
 題名は『pluvius arcus』。彼女自身が作ったその曲は、研究の成果あって、見事にキマイラ達の心を掴んだのだ。

 雨上がりの一時。
 現れる天にかかる七色の橋。
 それは雨の中も進むあなたを出迎えるアーチ。
 くぐればそこにはあなたと私の明日がある。

 イントロ、AメロからBメロ。そしてサビに入ると、そのまさに芸術作品ともいえる曲は盛り上がりを増し、Ⅵm, Ⅳ, Ⅴ, Ⅰのコード進行を高らかに鳴らしたのだ。

「いかがでしたか?当機の歌は」

 アウトロに入り、演奏が終わったかと思えば、わっと歓声が上がる。そこはすでに沢山のオーディエンスに囲まれていた。彼女も、この歌であればコンテストで怪人の気を引けるだろう、と考える。……彼女にとっても、結構自信作であったようだ。
 そうして彼女の持ち合わせた“芸術作品”は、確かに多くの見物客やキマイラ達を魅了したのだった。
 ──────しかしそれは、オブリビオンも例外ではなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神羅・アマミ
なるほど…ここは至高の現代アーティストたる妾の出番というわけだにゃー(雑に今自称した)。

オーディエンス参加型アートを仕掛けるぞい。
屋外にブースを設け、指定した地面の土をスコップを使い観客に掘ってもらう。
出てくるのは薄汚れたブリキの菓子箱…そう、よく言うじゃろ、「虹の根本には宝が埋まっている」と。
そして箱を開けると幼稚な落描きや粘土細工、ままごとセットやお人形がお出迎えじゃ…これはタイムカプセル、「幼少の頃の変わらない虹色の記憶」が人々の心に去来するというわけじゃな。

オォ…なんということじゃ、これは世紀に残る大傑作を発表してしまったかもしれん…(俗物)。
あ、次の人のために埋め直しておいてくれな。



●Aгt of MёmмФriёs
「なるほど………ここは至高の現代アーティストたる妾の出番というわけだにゃー」
 ………雑に自称している。
 そんな、大の字になってドンと待ち構える格好になったままの小さな羅刹は、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)だった。
 見物客で溢れかえるコンテスト会場を見渡す。周囲に飾られた作品の数々。それに見とれる者達は物珍しげに会場を闊歩している。
「ふむ、この物見遊山に来ている客も巻き込めないかのぅ………」
 そうして考えついたのが、オーディエンス参加型のアートを仕掛けることだったのである。

 思い立ったが吉日、早速彼女はオーディエンス参加型アートを展開するため準備を始めた。

 数十分後──あれやこれやとしているうちに、ようやく作品が完成したようだった。
 しかしそれらしきものは視認出来ない。………一体どこがアートだというのか。
 訳が分からないだろうが、アマミは野外にブースを設けており、そこで作品を出展するつもりらしい。
「のう、そこな客よ。ちとそこの地面を掘ってみてくれんか?」
 すると唐突に観客に声をかけるアマミ。
「え、地面を?まぁ………構いませんけど………」
 先程まで掲示作品を楽しんでいた観客が、訝しげにしつつ承諾した。……少し気分を害してしまったようだ。しかしアマミは笑顔のまま。
 そうしてスコップでザクザク掘り始める。─それにしても、展示会場で穴掘り……いや、土弄りとは異様な光景だ。客も不思議に思いながら掘り進める事だろう。するとカチとなにかにスコップの先が当たった。性急に掘って、土を払い取り出してみるとなにか箱型のようなものが表れる。
 そう、掘って出てきたのは薄汚れたブリキの菓子箱だったのだ。
「よく言うじゃろ、『虹の根本には宝が埋まっている』と」
 アマミは依然としてにこりと笑みを浮かべながら、ささ、開けてみるとよい、と客に薦める。
 客が恐る恐る箱を開けてみると、そこには────幼稚な落書きや粘土細工、ままごとセットやお人形が入っていた。

「これはタイムカプセル、『幼少の頃の変わらない虹色の記憶』じゃ」

 その虹色の記憶が客の心に去来すれば、懐かしむような…それでいて嬉しそうな表情に変貌する。輝かしく、美しい思い出達はまさに虹色。これは今までにない斬新なアートと言えるだろう。
「オォ…なんということじゃ、これは世紀に残る大傑作を発表してしまったかもしれん…」
 そんな事を言う彼女をよそに、斬新なオーディエンス参加型アートに参加したそれを見て、観客達が次は自分が!と殺到しはじめる。

「あ、次の人のために埋め直しておいてくれな」

 勿論、次の人への配慮を忘れないアマミであった。
 こうしてまた一人、“リスト”に記載がされる事になる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・マドック
【音楽の魅惑】で怪人さんの作品の方に行かないようにするよ。洗脳される人を増やさないようにね。


サウンドウェポンをピアノに展開して『月虹』って曲名で

雨降る夜の街で俺じゃないあの人を好きだと話した君をこんな夜は思い出すよ
濡れた道は銀色に輝き星明かりに木々が飾られて
こんな夢のような世界の中ですら俺を好きになる君はいないんだね
夜空の白い橋よ
俺を幸せな夢へ誘って
目が覚めたら一人でも
今だけはあの子が俺に笑いかけてくれるのを見たいんだ

という感じの曲を弾き歌いしよう。


正直創作に集中して追い詰められて精神不安定になるのは分かるからね。でもだからこそ自分の作品に感心させる以外で勝とうとしちゃ駄目だと思うよ。



●Årti∫act тhaт Ёlegч
 行き交う人々に紛れて、ジェラルド・マドック(しがない演奏家・f01674)もまたコンテストに参加しようかと思案していた。彼はイギリス人であり平凡な街の出身の者であるが、どんな巡り会わせか猟兵になった。そんな彼の武器は、自身の最も得意とするもの───音楽だ。
「虹に関係するものならなんでもいいんだね?なら僕は、音楽で魅了するとしよう」
 どうやら彼は、怪人の目に止まるかどうかは兎も角として、怪人の作品の方に人が流れるのを阻止する事を最優先するようだ。
「洗脳される人を増やさないようにね」
 誰に言うでもないその言葉は、密やかに人の群れへと融けていった。

 そうして彼は、演奏が出来そうな場所を探す。ついでにオブリビオンの作品がある場所の目処を立たせ、その丁度通り道になっている所でサウンドウェポンを展開した。
 展開されたデータはグランドピアノ。黒く、丁寧に鏡面磨きが施されたそれは、本物そのものに近しい。
 いきなり出現した楽器に、周囲にいた見物客やキマイラ達も驚きを隠せない。(……ちなみに彼は、非常に努力家な音楽家であり、ある程度の楽器は弾きこなすことが出来たりもするとか。)
 …余談はともかく、演奏する楽器としてピアノを選択したのは正解であるかもしれないと彼は考える。かつては楽器の王様とも言われたピアノは自由度が高く、小さなオーケストラなどと讃えられたこともあるからだ。さらには歴史の産物である、ある種の通過点“チェンバロ”においても、ピアノの方が(この場合)優っているといえるだろう。
 それは何故か?彼が優っていると判断した理由はその造りにあった。
 弦を爪で“弾く”チェンバロに対し、
 弦をハンマーで“叩く”ピアノ。
 こう言ってみれば自ずと分かる事だろうが、チェンバロはその構造故、強弱を出すのが苦手だった。一方ピアノは強弱を出すのが得意などころか、表現が多彩に出来、バリエーションは多種多様、───如何様にも出来た。その為、グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテとも呼ばれているのだ(※pもfも出せるチェンバロ、の意)。その総合的な判断により、彼はピアノを選んだのだった。

 ───兎にも角にも、だ。注意を引かなければまた犠牲者が増えてしまう事になる。それは芳しくない。
 そんな風に考えつつも彼は、そっと鍵盤に指をのせていよいよ演奏を開始した。………それと同じくして彼のユーベルコード、音楽の魅惑(ファシネーション・オブ・ミュージック)が発動される。勿論、怪人の所へ行かせない為の手段として。

 演奏した曲の曲名は『月虹』。それは別離を思わせる曲。……形容するなら宛のない手紙にも似た、哀歌(エレジー)だ。

 雨降る夜の街で俺じゃないあの人を好きだと話した君をこんな夜は思い出すよ
 濡れた道は銀色に輝き星明かりに木々が飾られて
 こんな夢のような世界の中ですら俺を好きになる君はいないんだね
 夜空の白い橋よ
 俺を幸せな夢へ誘って
 目が覚めたら一人でも
 今だけはあの子が俺に笑いかけてくれるのを見たいんだ

 ……その弾き語りがされると、忙しなく作品を見ていた人も足を止めてしまう。それくらい美しく、人を引き込んでしまう演奏だったのだ。彼の澄んだ声が、ピアノと共に奏でられ会場に響き渡る。うっとりとした人々は尚も感嘆の声を上げる。
 そうした曲の合間に、彼は静かに言った。

「正直創作に集中して追い詰められて精神不安定になるのは分かるからね。でもだからこそ自分の作品に感心させる以外で勝とうとしちゃ駄目だと思うよ」

 今度こそある誰かに限定され向けられたその言葉は、確実に此方を観察するオブリビオンに向けられたものだった。
 それは、目的に成功した事を現すのと同時に、標的にされた瞬間でもあるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『大頭頭ズ』

POW   :    x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●2章幕間
 思う存分に彼らの実力が発揮された展示に、密かに監視していたオブリビオンは、危機感を覚え益々怒り嫌悪する。そんな彼の者を指示する操られた人々は、より一層軽蔑の声を顕にし始めた。

「No!No!No!No!No!No!No!!!!!!!」

 そうして、自らを指示する者しか信じず、他を……そして個を認めないオブリビオンは、操る人々を猟兵達の元へ向かわせる事だろう。

「Everything is denied again!!!!!!!!!!!!!!!!」

「Do not admit others!!!!!!!!!!!!!!!!」

 狂気としか言い様のない支配により、狂ったように叫ぶ人々。これでは確実に正気度は0である。だがそれは彼らの知った事ではない────否、判らないのだから。
 そう。
 全ては、作品を壊す為、支持者を増やす為……………そして猟兵達を始末する為の行進曲(マーチ)。

 こうして、支持者軍勢との戦いという名の演目──その幕が上がったのだった。
アマータ・プリムス
ここは言葉を重ねるより歌を聞かせましょう
歌というのは心を動かすものですから

トランクを【武器改造】でアンプに変形
イーリスを接続して音を増幅

そのまま『pluvius arcus』を【楽器演奏】し【歌唱】を続ける
周囲に見える支持者軍に対してUCを使用

「真の音楽というものを聴かせてさしあげます」

響き渡るギターの音と歌声を直接頭に届け支持者軍の目を覚まさせます
行進曲には即興曲で対応させていただきましょう

可能なら当機の歌で勝機に戻り共感してくださる支持者軍の方がいれば【Ars longa, vīta brevis】で治療します

「理解者を産み出すために支配するなど愚の骨頂。全力で邪魔をさせていただきますよ」



●ImprФmptÜ-即興曲-
 芸術作品とも呼べる、歌唱とギター演奏を行っていたアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)。その元に、唐突に支持者の軍勢が押し寄せてきたのだ。
 それを見て、周りの見物客やキマイラ達も驚き、逃げだしてしまう者も出る事態になった。だが、詰め寄ってくる支持者達を静かに見据えた彼女は、何を思ったのかもう一度ギターを構え直す。

「ここは言葉を重ねるより歌を聴かせましょう……歌というものは心を動かすものですから」

 ─────彼女の考えた事とは、“このまま演奏を続ける事”であった。
 言うや否や、彼女は傍らに携えていた銀色のトランクのような物、アルジェントム・エクス・アールカを武器改造にてアンプ&スピーカーに変形させた。……アンプというのは、名前の通り音を増幅させる機器である。ギターがそのままでは音があまり鳴らないように、こう言った弦楽器(エレクトーン等も含む)にはスピーカーから大きな音を出すほどの力はない。そこでアンプの登場と言う訳だ。アンプによって信号を増幅してスピーカーへと送り、スピーカーを鳴らす。そうする事で増幅された音がスピーカーから鳴らされる。そんなサイクルで成り立っているからである。
 そうしてギターからアンプへ、アンプからスピーカーへと伝導した信号という名の音。それは先程から聴いていた人々だけでなく、オブリビオン達にも伝わるよう、引き続き『pluvius arcus』を楽器演奏し歌唱を続けた音だった。それでも見向きもしない者には、キュイーン!!と高らかにピッキングハーモニクスを鳴らして注目を集める。
「真の音楽というものを聴かせて差し上げます」
 ここからが彼女の本領発揮である。早弾きのオスティナートで、興味を惹き付けさせ、ユーベルコードを発動。

「───聴くだけではなくその身体に。この歌を届けましょう」

 それは、Fama crescit eundo(ファーマ・クレスキト・エウンドー)。視認する限りの対象を、歌声の音波で攻撃するユーベルコードだ。
 そのユーベルコードにより、響き渡る歌とギターの音が直接支持者達の頭に訴えかける。目を覚ませ、目を覚ませ、と。そしてさらに勢いを増す軍勢にたいしては、アマータがボルテージを上げて対応するのだ。

「行進曲には即興曲で対応させて頂きます」

 正しくその通り、譜面も何もない中次々とオリジナルの音符が創られていく。そうして転調も思うがまま、総譜(フルスコア)が出来るのだった。
 ─────それ即ち即興曲(アンプロンプチュ)。

「………あ、あれ?俺たち何して…………?」

 攻撃を受けたその中には、正気に戻った者もいた。そんな彼らへの気遣いも決して忘れる事のないアマータは、ユーベルコードであるArs longa, vīta brevisでの治療も行う。
「理解者を産み出すために支配するなど愚の骨頂。全力で邪魔をさせていただきますよ」

 ───まだまだ彼女のステージは終わらない。とどのつまり、終わるところを知らない。

 こうして、ギターがかき鳴らされる音と、彼女の透き通った澄んだ声が響くステージの周囲のオブリビオンは、ほぼほぼ殲滅され、彼女の公演に魅了されてしまったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神羅・アマミ
ヘ…ヘーイ!アイムノースピークイングリッシュ!チーズバーガープリーズ!
なにやら謎の奇声を発しながら暴徒が押しかけてきたのじゃ…
アンチがつく人気者はつらいのー、ヘ、ヘヘー

しかし怪人の支持者とは言うが、あの被り物見るからに怪しかせんか?
自分の作品を用いた催眠術って…まさか、まさかな…?

何にせよ住民本体へ危害を加えるわけにはいかんので、回避行動に専念しつつ被り物を取っ払っていくことを試みてみよう。
集団の攻撃方法を考慮するにコード『見切』を発動すればそれほど驚異ではないじゃろ。

目論見が成功し無事催眠が解けたら「悪いのは怪人!今度はあいつを攻撃してやれ!ネットとかで!」と吹き込んでおくのも忘れずに。



FцgÅ-遁走曲-
 襲い掛かろうと詰め寄ってくる支持者達に神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)もまた困惑していた。…………そう、困惑していたのだが。
「ヘ…ヘーイ!アイムノースピークイングリッシュ!チーズバーガープリーズ!」
 ………予想の斜め上を行く解答である。彼女は、彼等が襲い掛かろうと詰め寄ってきた事に困惑したのではなく、英語を話すという所に困惑しているのだった(しかもさり気無くチーズバーガーを要求してくるあたり大物である)。そうして再び支持者達を見てみる。
「なにやら謎の奇声を発しながら暴徒が押しかけてきたのじゃ………」
 困惑(もとい引き気味)に話すアマミ。やはり彼女でもこれは、相当色んな意味で堪えるらしい。ポジティブに行こうにも、彼女曰く「アンチがつく人気者はつらいのー、ヘ、ヘヘー」くらいにしかならなかった。
 そんなこんなで取り敢えず、次々と降り掛かる相手の攻撃を避けに避けていたアマミだったが、ふとした違和感に気付く。
「しかし怪人の支持者とは言うが、あの被り物見るからに怪しかせんか?」
 件の支持者達、つまり大頭頭ズは同じような被り物を被っている。
「自分の作品を用いた催眠術って…まさか、まさかな…?」
 この被り物が作品だというのだろうか………?いや、もしくはアノニマスのように、同じ仮面を被った人々で起こすクーデター、及び全体掌握不可的な何かに近しいものなのだろうか?
 ……理由は何にせよ、この支持者達を止めなければ、見物客やキマイラ達まで被害が及んでしまうのは確実である。
「ならその忌々しい被り物を取っ払っていくかのぅ」
 うぅむ、と悩ましげに言いつつも、彼女は攻撃らしい攻撃をせずに被り物だけを取り払うという。果たして、この集団戦においてそれは可能なのだろうか?
 だが、それは愚問である。

「クハハハ…見える!見えるぞ!其方の攻撃が手に取るようにわかるのじゃ!最早妾には一切が通じると思うな!死ねーッッ!!」

 彼女のユーベルコード、見切は対象の攻撃を予測し回避する技であったのだ。悠々と攻撃を躱していくアマミに、よもや敵無し。
 そうして次々と被り物を取り除いいけば、彼女の目論見通りに、彼らの洗脳が解けていく。

「俺は………何をしてたんだ……?」
「おお!無事催眠が解けたのじゃな?ならばもう分かっておろう!────悪いのは怪人!今度はあいつを攻撃してやれ!ネットとかで!」

 住民達も助けた上で、更には最後までよく手が回るアマミなのであった。
 こうして一角の支持者達は沈静化される事となったのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェラルド・マドック
こういう展示行う場所って大概動線決まってるから、怪人さんの作品に繋がる通り道ってことは大頭頭ズもれなくここを通るよね?
取り敢えず一般人のお客さんには逃げるよう指示するよ。前の音楽の魅惑の効果が続いてたらそれも使って、落ち着いてけれど早めに移動してもらおう。

あくまで大頭頭ズは作品の洗脳にかかってしまっただけ。なるべく攻撃しないで済ませたいな。
シンフォニック・キュアを使って洗脳を解けるか試してみるよ。

もし洗脳が解けないなら仕方ない。頭のお面を狙って音の波で攻撃しよう。

n卦掌対策に、嵐の合間に虹は見えるけれどまた次の雷雨の雲が迫ってくるのが見えるような、思わず身構えてしまうような音楽を奏でるよ。



●Hyмп-賛美歌-
 周囲に沢山の展示物が飾られる中、一人静かに演奏をする者がいた。────それは猟兵であり演奏家である、ジェラルド・マドック(しがない演奏家・f01674)その人だった。
 行き交う道中、怪人の支持者である大頭頭ズが人々を襲い掛からんと、ジェラルドの元へと駆けつけてくる。これに対し、ジェラルドは一等静かに対応していた。
「(大概動線が決まっているとは踏んでいたけど、やっぱりここを通っていたのか)」
 元より、怪人の興味を惹くために人通りの多い場所を選んで演奏していた為か、彼は支持者達が襲って来るのでは?というのは想定内であったようだ。
「皆、落ち着いて移動しましょう。大丈夫ですから」
「でも………っ!」
「俺はしがない演奏家ではありますが、猟兵でもあるので」
 支持者達に襲われる前にと、彼が声がけをするが不安そうな声が聞こえる。だが、彼は自分は猟兵だから大丈夫だと言い聞かせて安心させるように努めた。
 そうして一時避難の為、どうにか見物客やキマイラ達を移動させると、彼は支持者達と対峙する。
「(あくまで大頭頭ズは作品の洗脳にかかっているだけ。なるだけ攻撃しないで済ませたいな)」
 ジェラルドは、これが被り物のせいであると分かっていた。……そうであるなら攻撃を加える事は悪手である。ならば、と思いついたのが………、
「────シンフォニック・キュア」
 彼等を癒すことで助ける、という事だった。彼の歌声を聴いていた、否聞いてしまった者達が……次から次へと癒されていく。浄化とも言えよう力が彼等に語りかけるのだ。目を覚まさせるように。
 しかし、それに対抗しようと大頭頭ズも動き始める。彼等も技を繰り出してきたのである。その名もn卦掌。それはユーベルコードを無効化して、相手に攻撃を繰り出す技である。
 だが、その対策を彼がしていない訳がなかった。

「•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♪︎」

 ある音楽がジェラルドによって紡ぎ出される。
 ────まるで、嵐の合間に虹は見えるけれどまた次の雷雨の雲が迫ってくるのが見えるような、思わず身構えてしまうような音楽を………彼は奏でていたのである。
 それは彼等のついづいを決して許さない、音楽。そして攻撃。
 けれども浄化の力のようにも思えるそれは、等しく賛美歌(ヒム)と言えるのではないのだろうか。

 こうして、誰一人として傷付ける事のなかったジェラルドは、洗脳を解き、見物客やキマイラ達を音楽によって救ったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
他の作品を認めるな、か
うーん、オブリビオンの作った虹はどんなのなんだろう
気になるなぁ
まぁ、まずはこの人達を落ち着かせてからね!

・方針
どうやら被り物を外せば洗脳が解けるらしい
相手の動きを奪い被り物を外していく

・行動
まずは自身にUC【氷上妖精】使用
地面を滑り、時にジャンプして(あんな大きな頭をしてれば即座に上を向くことは困難で、上に逃げればこちらを見失う筈)敵の攻撃を避けつつ敵にもUCを使用していく

敵や地面が滑りやすくなったら後は小突いて転ばせちゃおう
あんな被り物してたら早々立ち上がることはできないでしょ
転んだ人達から被り物を外して洗脳を解いていこう
もし抵抗するようなら…めっちゃ回転させちゃおう!



●ЯoйdФ-輪舞曲-
 支持者達のその叫ぶような声を聞いたのは、なにも住民達だけではなかった。
 同じように、その彼等の声を聞いて驚いていたのは、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)であった。彼女も引き続きパフォーマンスを行っていたのだが、支持者達が同様に述べる文言に疑問を浮かべていた。
「他の作品を認めるな、か」
 彼らはしきりに、他の作品を認めない!などと、まるで排すべきもののように、他人の作品を扱う。
「うーん、オブリビオンのつくった虹はどんなものなんだろう……。気になるなぁ」
 言うだけの作品であるのだろうか?
 無論、彼女がそんな事を考えるはずはなく、アメリアはただ単に興味本意で気になっていたのであるが。
「まぁ、まずはこの人達を落ち着かせてからね!」
 よし!と意気込んだ彼女の目先には、群れを成して集まる支持者達。まずはこの者達の対処をしなければならない。
 見れば、支持者達はヘンテコな被り物をしている。それが原因で操られていることに気づいたアメリアは、被り物を外せれば洗脳を解くことが出来るのではないか?と思い至った。それなら相手の動きを封じ、被り物を外すまでである。

 ────そうして大体の方針が決まれば、行動を開始する。
 まず、アメリアは先んじて自身にユーベルコードを発動。
 すると、彼女がトンと足音を鳴らしたその足元から、氷魔法によって美しい氷のスクリーンが広がっていく。
 ……氷上妖精(フィギュアスケート)、それが彼女のユーベルコードだった。摩擦力が極限まで減らされた氷上では、そのステージを味方にした者だけが妖精のように羽ばたくことが出来る。それに、並大抵のコントロール能力では、止まることはおろか曲がる事さえできないだろう。だが彼女はそれら全てを会得し味方につけていた。
 なめらかな滑り出しからのアクセル、ルッツなどのコンビネーションジャンプを軽くしてみせた後、イーグルやシークエンスといったステップを踏んでいく。暫くそれで魅了させれば、支持者達も呆然と見つめる事だろう。……それが分かればこのまま惹き付けるだけである。
 そう考えたアメリアは、突如として大きなジャンプをしてみせる。
 ──それはまるでバレエのグランパドゥシャのよう。
 それを見ようと、支持者達も大きな頭を上に向けようとするものの、即座に向くことは困難この上なく、ついには見失ってしまう。当然それでは攻撃は当たらない。そうやって敵の攻撃を次々と避けていけば、今度はアメリアが支持者達に向き直った。
「氷上ダンス、試してみる?」
 彼女はにっこりと笑いながらそう言ったかと思うと、敵にもユーベルコードを使用し始めた。途端、支持者達もよろよろとよろめき始め、お得意の超高速攻撃が封じられてしまったのである。地面も敵も滑りやすくなってしまったのを狙い目に、アメリアはちょん、と小突く。
「えい!」
 そんな事をしてしまえば、支持者達は1人転べばまた1人……とドミノ倒しのように連鎖して転んでいったのだった。しかも被り物の重さもあって中々、立ち上がれない。そんな人達の頭から被り物をとって、次々と洗脳を解いていく。
 それでも抵抗する者がいたのなら、
「めっちゃ回転させちゃおう!」
 と、めっちゃいい笑顔で言い、彼女はぐーるぐると回して回しまくるのだった。

 終わりにシャッセ、ウィスク、ナチュラルターンからの止め、と氷上を舞い、彼女のステージは大盛況の後に終演を迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
オラトリオの羽を展開し
飛行しながら戦いたいな【UC】
【歌唱】の【衝撃波】でどんどん頭を震わしていくよ

七色の橋の下 皆で集まろう
笑って 歌って 飛んで 跳ねて
一緒に騒ごう 僕も君も
それだけで気分は 最高潮!
(BGMはプレイヤーから流れる。青春系のポップス)
誰の曲かって?
さあ、誰のでしょうね!

敵の動きが健康体操のように見えるなら、必ず【見切る】タイミングはあるはず
【第六感】【スライディング】と合わせて避けていかなきゃね
(対抗して自分も【パフォーマンス】的動きで避けようとする)
かすりそうなら【オーラ防御】と鎖の【武器受け】で【カウンター】狙う

上手く行くと良いんだけど!



●IйтerlÜdё-間奏曲-
 一方、ギャザリングアートの展示を行っているその場所にも、支持者の軍勢が迫り来ていた。
 鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、それらが見物客やキマイラ達を襲うのを止める為、オラトリオの羽を羽ばたかせる。限りなく真っ白な、純白のその翼は彼女を包み込むくらいに大きい。………それで飛行するというのだから壮観である。
「私の歌(パフォーマンス)を聴いて!」
 そう言うやいなや、発動されるのは彼女のユーベルコード、天使の叫び(エンジェルシャウト)。音波による攻撃を放つ事が出来、オラトリオの羽根を展開することで更に加速を可能にする事の出来る技である。
 その音波にのせるのは、彼女の歌唱。それを衝撃波として変容させる事により頭まで震わせるつもりのようだ。
 •*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♪︎
    七色の橋の下 皆で集まろう
      笑って 歌って 飛んで 跳ねて
   一緒に騒ごう 僕も君も
       それだけで気分は 最高潮!
               •*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♪︎
 そのBGMはプレイヤーから絶え間なく流れる、青春系のポップス。
「わぁ、素敵な歌…………!」
 攻撃の影響のない見物客が、そう感嘆の声を上げれば、志乃も満足そうに笑いかける。
 しかし、見物客やキマイラ達が誰の曲かと聞いても、彼女は決して口を割らなかった。

 誰の曲かって?
 さあ、誰のでしょうね!

 …………こんな風に。
 兎にも角にも、その音の衝撃波の渦に巻き込まれれば、大頭頭ズ達も苦しみ藻掻く。何せ“音”という広範囲の攻撃だ。避けようにも、見えないのであるのなら避けようがない。
 そうであるなら。
 そうであるなら本体を攻撃するしかない。そう判断したらしい支持者達は、重ねて志乃へと攻撃を加える。だがそれは健康体操の様相を呈しているため、彼女にとって避けることは容易であった。
 敵の攻撃を見切り、第六感による勘で感じ取り、時にはスライディングで避けていく。だが、彼女はオラトリオのパフォーマーである。そんな彼女が、ただ単に避けるというのも面白くない。
「上手く行くと良いんだけど!」
 そうすると、フットワークを軽くさせダンスを踊るようにポップスに合わせながら、攻撃を躱し始めた。それのなんと見事な事か。かすりそうになった敵の攻撃も、見えないシールドのようなもので塞ぎ、且つ鎖でも同じように簡単に防いでしまう。そうしてカウンター攻撃を行うのだ。
 そういった攻撃の連鎖により、彼らを操る大きな被り物が壊れ、それらの人々は正気を取り戻し始める。なにをしていたんだろう?と不思議に思うものもいただろうが、それは志乃のパフォーマンスに魅入ってすぐ頭の中から忘れさられてしまう事だろう。

 こうして怪人の支持者達との集団戦という一幕は、閉じられることになったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機関車怪人』

POW   :    トレイン・フリーク
【時刻表】【鉄道模型】【鉄道写真】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    出発進行!
自身の身長の2倍の【蒸気機関車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    アクシデントクラッシュ
対象の攻撃を軽減する【高速走行モード】に変身しつつ、【煙を噴き上げながらの体当たり】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「全テヲ、否定シテヤル……………!」
 そう彼の者は言った。
 彼等の作品を、彼等のパフォーマンスを…………羨望からくる醜悪な欲望で何度も壊そうとしたオブリビオン。
 そう。それは何度も、である。何度も、何度も、何度も何度も何度も──。
 ………幾回にも及ぶそれは、執着と呼ぶにはすっきりし過ぎていて、嫉妬と呼ぶにもそれだけではないような内情によるものだ。それは何とも自分勝手であり、且つおぞましさを帯びている。

 こうなって尚も、怪人は自身の作品しか認めなかった。
 ……否、認めたくはないのだろう。

 それだけ、他人からの評価や他人の作品の優劣を気にしている、という事だろうか。

 ──なんにせよ、猟兵達はオブリビオンの出過ぎた行為を止めるべく、彼の者と闘うことになる。
アマータ・プリムス
競う相手がいるから切磋琢磨しいい作品ができるのです
一人だけで作った作品などたかが知れていますよ

【楽器演奏】と【歌唱】をそのまま続け【属性攻撃:歌】のUCを発動
歌声と演奏の音波による【衝撃波】で相手を攻撃

「これが当機の『虹』です。どうぞお聞きください」
『pluvius arcus』を歌い続けこちらの作品を相手に聞かせます

「評価や優劣は確かに大事です。ですが何かを作る上で最も大切なのは自分自身が楽しむと言うこと。それを見失った相手に当機は負けません」

その言葉の通り楽しみながらこの詩を奏で歌いましょう
曲を一から作ったのは久しぶりですから

何かを作る楽しさと喜びを思い出して欲しいですね

※アドリブ連携歓迎


神羅・アマミ
「成る程、これは見苦しい。流石は過去から蘇りし妄執の怪物といったところかのー」

真の姿に覚醒したとは言え、怪人を一刀の下に切り伏せることは難しい。
ならば可能な限りダメージを与えると同時に、敵を逆上させ冷静さを失わせるまで!
コード『封切』を発動、部位とその大小に関わらず切り飛ばし、傷を刻み込む。

「ハッ!これはどうしたことじゃろう。今や貴様は妾のアート同然!あれだけ嫌悪していた他人の作品に自分自身がなろうとは、皮肉なもんじゃのー!」

二律背反を押し付けることにより、自我を発狂寸前に追い詰めたりあわよくば自傷に持ち込むこともできるかもしれない。
少なくとも猪突猛進ぶりを助長してやればより御し易くなるはず!



●第1楽章にて終曲の調
 ようやくお出ましのオブリビオンの前に立ちはだかるのは、アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)と神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)の2人だ。それぞれ作品を展示し、各個撃破に努めていたのだが、追い詰めた先で鉢合わせたようである。
 そんな2人を目の前にしても尚、オブリビオンは“否定”する事をやめない。
「成る程、これは見苦しい。流石は過去から蘇りし妄執の怪物といったところかのー」
「競う相手がいるから切磋琢磨し、いい作品ができるのです。一人だけで作った作品などたかが知れていますよ」
 半ば呆れさえ出てきてしまうような、それほどに傲慢な怪人。アマミは本当に見苦しい、と言ったように相手を見据え、アマータは何でもかんでも否定するような怪人を、決して許しはしなかった。………双方、淡々と見つめるのみである。

 そんな、説教じみた事を言われた事も癪に障ったらしい怪人は益々怒りを顕にする。であるにも関わらず、アマータは演奏を続けていた。

 キィィィーン!!!!!

 甲高く、再びピッキングハーモニクスを鳴らす。
 それは何かの警告のサイレンのよう。
 そうして8分音符のストロークを細かく刻み始めたのだ。開放弦を響かせアップ、ダウンの繰り返し……そしてそれに続く歌。そのどれもが作品たらしめる素晴らしいもの。
 ───アクセントをつけてそのままのペースでいったかと思えば転調し、シンコペーションが鋭く突き刺さる。早業と思わせているのは何もそれだけに限らず、三拍子で刻まれているということもあるだろう。不規則に入り乱れる三連符と16分音符がその難解さをも現している。
「これが当機の『虹』です。どうぞお聞きください」
 それは正に作品であった。楽器演奏と歌唱を続け、ユーベルコード、Fama crescit eundo(ファーマ・クレスキト・エウンドー)に属性攻撃を付与し発動させる。歌声、演奏のどちらの音波も衝撃波へと変容していき、それが攻撃となっていく。唄う歌は『pluvius arcus』。それが彼女の1st movementである。

「評価や優劣は確かに大事です。ですが何かを作る上で最も大切なのは自分自身が楽しむと言うこと。それを見失った相手に当機は負けません」

 堅い意思でそう述べれば、その言葉通りに楽しげに音楽を奏で始める。…………なにせ曲を作ったのは久しぶりであったからだ。加えて彼女は、“創作をする”という事の楽しさをオブリビオンに思い出して欲しかった。

 だが、思い出させるどころか相手はますます、といった感じに怒り狂った。……それはそうだ。実力の差をまざまざと見せつけられたのだから。

 一度こうなってしまえば、怪人の暴走も止まらなくなってしまう。それを見ながらアマミはまた考えていた。
 ……真の姿に覚醒した彼女は、今や敵なし!と言いたい所であるが、怪人を一刀の下に切り伏せることは難しいだろう。であるならば、彼女のやる事は一つだ。
 やはりダメージを与えて撃破を試みる事、である。
 ………そうと決まれば、彼女は小柄な身体を巧みに利用して攻撃を躱し、できる限りのダメージを与えていく。相手がユーベルコードで自身を強化したとしても、その皮を剥がす勢いで攻撃を加える。その脅威とも呼べる力の前では、渾身の防御も肩無しであった。黒い着物を悠々とたなびかせながらも繰り出すその一刀は、敵を逆上させ冷静さを失わさせる為のもの。
 そうして続け様に彼女はユーベルコードを発動させる。それはユーベルコード、封切(フウギリ)。真の姿に覚醒した時にのみ使用出来る特殊な技だ。

「ハッ!これはどうしたことじゃろう。今や貴様は妾のアート同然!あれだけ嫌悪していた他人の作品に自分自身がなろうとは、皮肉なもんじゃのー!」

 それは、彼女のもつ大太刀のような長さの長刀が、一閃を描いてオブリビオンを切り裂いた瞬間だった。怪人はあろう事か、彼女の作品と化してしまっていた。大小関係なく刻まれた数多くの傷がそれをより鮮明に物語っている。
 これには、流石のオブリビオンも発狂レベルの怒りをぶちまけてくる。しかも怒りに任せた攻撃は、より単調化され分かり易いものとなってしまっている。
「ふふん、妾の思惑通りじゃな!」
 彼女の目論見通り、猪突猛進ぶりを助長する事に成功し、一層倒しやすくなった怪人に、アマミも満足する。
 近接はアマミ、遠距離はアマータの範囲攻撃で補い合い、どんどんとオブリビオンを追い詰めていく。陣羽織を着た彼女もまた、攻撃の間合いを詰めつつ、一つ二つと攻撃をクリーンヒットさせていった。

 こうして、彼女達の策と攻撃の連携が幸をそうしたのだった。───追い詰められたオブリビオンの悪足掻きは、彼女達に届いたかは分からない。だが、確実に力を失わせた、アマミとアマータなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
タイトルはない
私の記憶の歌だから

私が一番、『ひどい』ことしようとしてるかもな


空で【UC発動】【地形の利用?】
指定、怪人のみ
他の人には聞かせたくない

これは【祈り】の歌
命の儚さや切なさ
頑張っても報われないやるせなさ
それでもひたむきに生きようとする
全ての命と全ての意志を肯定し応援するバラード
極力透き通るようなアルトボイスで【歌唱】【衝撃波】
歌詞で敵の意識を【誘惑】

多分怒るでしょうね
うん、認めなくていいよ
認めなくていいから
……聞いてくれてありがとう

相手を良く見て【見切って】
感情の波を【第六感】で悟り
必要最低限の動きで攻撃をかわしたい
鎖で【武器受け】【カウンター】
【オーラ防御】常時発動


アメリア・イアハッター
褒めるも貶すも肯定も否定も、私は自由だと思うわ
価値観なんて人それぞれだもの
その押しつけはできない

でもね、壊すことだけは、許せないな
ソレだけは、作者本人だけの権利よ

・方針
最早敵が冷静な判断を下せるとは思えない
駆け引き等無い大ぶりな攻撃を振るってくるものと考え、敵の攻撃を避けてその隙に攻撃を与える

・行動
UC【風の友】使用
敵が大きく動くときに発生する風の流れを読み攻撃を回避
敵にはなるべく接近し、攻撃を回避したことをしっかりと確認してから殴りや蹴りで反撃

敵が機関車に乗ればこちらも宇宙バイクに乗る
縁石等を利用してバイクのままジャンプし、空中からバイクで踏みつけを狙ったり

貴方の作品も、見せてほしかったなぁ


ジェラルド・マドック
君は羨望から来る感情で他の人の作品を壊しているんだって?
羨望ということは少なからず作品に感心してるってことだ。
つまり俺がここで曲を演奏して君が目を付けてくれた時点でもう俺は君に先手を打っていたことになる。

引き続いての演奏・歌による音楽の魅惑で怪人さんを攻撃、そして「猟兵含む他の人やその人の作品に攻撃してはいけない」と洗脳するよ。今まで長時間聞いていた分効果も強く出てくれればありがたいけど。

そういえば怪人さん、君の作品はどんなものなんだい?
批評とかそういうんじゃない、俺は互いの作品の自信があるところをただ語り合いたいだけなんだ。



●協奏曲から始まるCadenza
 2人の猟兵達が怪人に攻撃を与えて、多大なダメージを与えた。それを追い風にし、戦いに臨む鈴木・志乃(ブラック・f12101)、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)、ジェラルド・マドック(しがない演奏家・f01674)の3人は、自身の展示会場から一転して集まり、共にオブリビオンに対峙していた。
「褒めるも貶すも肯定も否定も、私は自由だと思うわ。価値観なんて人それぞれだもの。その押しつけはできない」
 アメリアは見つめながら諭すように述べる。
「でもね、壊すことだけは、許せないな。ソレだけは、作者本人だけの権利よ」
 そう、それは製作者本人にのみ許された行為。だのにオブリビオンはそれを許可なく破壊していた。これにはアメリアも黙ってはいられなかったのである。
「…………私も、そう思うよ」
 静かに見据える志乃も、その意見に同意を示す。……彼女も何かしら思う所があるのだろうか?
 だが残念ながら、言葉少なに話す彼女からそれ以上の意図を感じとる事は出来ない。
 そして、それを聞いていたジェラルドは、同意し頷きながらもオブリビオンに疑問を投げかけた。
「作者本人だけの権利か……そうだね、俺もそう思う。………破壊理由についてだけど、君は羨望から来る感情で他の人の作品を壊しているんだって?」
「何ガ言いたイ!ただ貴様等ごときノ作品なド、排斥サレルべきだト判断したまでダ!!!」
「いや、羨望ということは少なからず作品に感心してるってことだと思ってね」
「違ウ!!!!!」
「違わないさ。俺がここで曲を演奏して……君が目を付けてくれた時点で、もう俺は君に先手を打っていたことになる」
「……………!!!!」

 ───それは合図のない戦いの幕開けであった。ジェラルドの言葉がトリガーになり、怒りを沸き上がらせてしまったのである。

 だが彼等も猟兵、こんな事は想定済みだ。

「俺の音楽を、まずは引き続き聴いてもらおうか」
 ジェラルドはそう言うと、演奏を再開する。グリッサンドの響きが鳴らされた後本格的に奏でられる音楽は、彼の者を心身共に疲労させる。それは、ユーベルコード音楽の魅惑(ファシネーション・オブ・ミュージック)の効果。
『猟兵含む他の人やその人の作品に攻撃してはいけない………そんな事をしても無意味だって、君も分かっているだろう?』
 加えてユーベルコードの精神支配付与攻撃で、そう訴えかける。長時間聴かせた分効果が出ているのか、それを聴いた途端オブリビオンも苦しみ始める事だろう。
「グゥア"ァァ………………ッ」
「────そういえば怪人さん、君の作品はどんなものなんだい?」
「黙レ!どうせ批判するツモリだろウ!」
「………批評とかそういうんじゃない、俺は互いの作品の自信があるところをただ語り合いたいだけなんだ」
 ジェラルドは訴えかけ続ける。が、その努力も虚しくオブリビオンは再び拒否反応を示す。
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!」
 恨み骨髄に徹す。そのくらいには、オブリビオンの表情がみるみる変わっていった───憎悪に満ちたものに。そうして高速走行モードに変形したかと思えば、煙を荒々しく噴き上げ体当たりをしてくる。ジェラルドもそれに対応しようとしたが、オブリビオンのスピードが幾分勝る。そうして攻撃を食らったかと感じたその時
「危ない!!!!」
 ドゴォンッッッ!!!
 凄まじい爆音が鳴り、ジェラルドへの攻撃が食い止められた。──────疾風の如く速さで駆けつけたのは、アメリアであった。彼女は宇宙バイクに騎乗し、空中からの踏みつけ攻撃でジェラルドへの攻撃を止めたのだ。
「もう敵は冷静ではないし、聞く耳を持っているとは思えないわ。早くここから離れましょう!」
「!その方がいいみたいだね………!」
 アメリアからの忠告を受けたジェラルドは、サウンドウエポンの展開を一旦止め、相手からの攻撃を避ける。その中でも相手は容赦なく攻撃の集中砲火を行う。そうして2倍の蒸気機関車を召喚し、志乃やジェラルド、アメリアといった、猟兵達全員のもとへと突っ込んできたのだ。

「そうはさせないわ!」

 一瞬、金糸の風が視えたかと思えば、怪人が気付いた時にはその攻撃が避けられていた。

 それは彼女のユーベルコード、風の友(カゼノトモ)によるものであった。相手の動作時に生じる風を読み、予測した上で回避を行う……それが可能なのがこの技なのである。しかもオブリビオンは冷静さを欠いた攻撃を奮っている。これ程読みやすい風もないだろう。
 だが、オブリビオンもこれだけでは収まる様子はなかった。むしろ乱雑に攻撃を展開させ、視認がし難くなる。
「く…………これじゃあ、音が届く範囲に近づけないな」
「こほっ……煙が厄介ね、視認もしづらい……」
 宇宙バイクで走行したりして煙を撒き散らす作戦に出てみても、行けども行けども煙ばかり。これでは攻撃が出来ない。
 万事休すか………?
 そう考えてしまっていたその時、頭一つ抜け出て、充満する煙のステージから抜け出した者がいた。

 ──それが志乃であった。
 彼女はオラトリオであるので、持ち前の翼で真上に飛んだのだろう。……攻撃を避け、すぐ反撃をするのだろうか?そう考えたがしかし、彼女がとった行動は少し違っていた。

「歌を聴かせるよ。………でもこの歌にタイトルはない。私の、記憶の歌だから」
 ポツリ、そう零した言葉は、蒸気機関からなる五月蝿い騒音に掻き消され、アメリアやジェラルドには届かない。
「…………私が一番、『ひどい』ことしようとしてるかもな」
 続けてそう言葉を発する。それは怪人のみに聞こえる声。そうして開かれた口からは、美しい歌声……透き通るようなアルトボイスが奏でられる。

『(これは【祈り】の歌………。
 命の儚さや切なさ。
 頑張っても報われないやるせなさ。
 それでもひたむきに生きようとする、全ての命と全ての意志を肯定し応援するバラード───。)』

 歌いながら、志乃は思う。
「(多分怒るでしょうね)」
 志乃がそう考えた通り、オブリビオンは怒りを顕著にする。
「知った様ナ口で語るナ!オマエに何が解ル!!ソんな物……認メる訳ガなイだろウ!!!!!」
「──うん、認めなくていいよ。認めなくていいから…………聞いてくれてありがとう」
 そう言葉を続けると再び歌を歌い始める。
「歌………かな…?」
「ううん………よく聴こえないわ」
 アメリアとジェラルドも耳をすませるが、聴こえない……と言うよりは全く音漏れさえもしてこない。だが聴こえなくて当然だ。彼女は怪人のみに聴かせているのだから。否、他の人に聴かせたくないと彼女は考えていたのだから。──それは志乃のユーベルコード、女神の歌(メガミノウタ)。
「グ………………ッ…ガッ……ァ」
 歌が再開されれば、オブリビオンはその襲い来る音波の衝撃波で動きを止める。
「今よ!」
「あぁ、これからが終曲だね」
 その一瞬の隙を猟兵達は見逃さなかった。ジェラルドによる精神支配の音波、志乃の音の衝撃波による攻撃、そしてアメリア宇宙バイクによる空中ジャンプでの最終攻撃が炸裂する。

 ドゴォォォッォォォッッッッン!!!

 凄まじい砂嵐が巻き起こり、爆音が鳴り響く。それは、確かにオブリビオンを滅す事になる最後の攻撃であった。こうして、オブリビオンによる騒動は終結を迎えたのだった。
 そして戦いを終えた猟兵達は、この地を去ることとなるのだろう。

「貴方の作品も、見せてほしかったなぁ」

 ────そんな、とある少女の呟きを残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月21日


挿絵イラスト