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報復は甘い毒のように

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●鬼雨に隠れるもの
 リュテス第五民主共和国西部。聖王国第三騎士団の攻撃を幾度となく跳ね除けたサント=アル・レアン森林は、観測史上最大級の豪雨に見舞われていた。
 尤も、それは共和国にとって恵みの雨である。元々湿地帯である西部の土はこの雨で泥濘と化し、聖王国騎士団のキャバリアや支援車両の足を容赦なく絡め取り引きずり込んでいく。木の根が確りと地盤を固めている森の中はただでさえキャバリアを大量投入した大規模進攻が困難な上、激しい争奪戦の末に共和国軍が制圧し、あちこちに仕掛けられたトラップや鬱蒼と茂る木々の間に潜む対キャバリア装備で固めた歩兵が踏み入ったものを容赦なく狩ってゆく。
 殺し間と化した森林に踏み入ればわけも分からぬままに討たれ、森を迂回すれば泥沼に足を取られマトモな行軍すらできぬ。
 しかし、自国の地勢を熟知する共和国防陸軍西部方面軍のキャバリアはこの劣悪な足回りに対応した装備を有しているのだ。これが今日の西部戦線優勢を齎したと言っても過言ではなかった。
 ホバークラフトによって泥を撒き散らしながら地表面を滑走する重キャバリア戦隊は、サント=アル・レアン南方より迂回機動を試みた聖王国軍を発見するなりこれを急襲、身動きを封じられた騎士たちは自慢の盾を掲げることすら出来ぬままに次々と討たれ、泥の中に骸を晒す。
 敵を――目撃者を撃滅した重キャバリア戦隊の各機は、転進し進路を南に向ける。峻厳なるベルコ山系を越え、憎き聖ガディル王国領へと突き進むのだ。
 禍々しいハザードシンボルの描かれたボンベを背負うその背中は、白く煙る豪雨に溶けて消えていった。

●泥濘を駆けるもの
「出撃。準備してもらう」
 いつもどおりの仏頂面で猟兵に告げるユーレアであるが、その口調には僅かに焦りのようなものが滲んでいた。
「リュテス共和国の反攻作戦が始まった。でも、これは正規の作戦ではない」
 これはごく一部の暴走に過ぎないが、そのごく一部というのがよりにもよって最悪の部類であった。共和国防陸軍第17機動防疫部隊"ヴェノムダガー"。キャバリア戦の技量もさることながら生化学兵器の扱いに長けた集団であり、その性質を防衛や除染ではなく攻撃と使用に特化した秘密部隊である。
 普段であれば対化学兵器テロ演習の仮想敵として活動している筈の部隊が、実戦装備で出撃している。それもおそらく何かしらの生化学兵器を持ち出した上で、である。
「流石に見逃せない。そんなものを使うのは条約違反だし、何よりも指揮官が正気の状態ではない」
 グリモアの予知に引っ掛かる共和国特殊部隊の暗躍。ならばその部隊にもオブリビオンマシンの存在が関与していると見るべきだろう。
「ひとつ。第17機動防疫部隊の行動は共和国軍の総意ではない」
 一部指揮官の暴走であることの証明に、すでに共和国軍は追撃部隊をスクランブルしている。完全に後手に回っているが、この対応を取るということは第17部隊を撃破しても共和国軍と猟兵の協力体制に罅は入らないだろう。
「ふたつ。現地の気象条件は最悪。観測史上最大規模の豪雨と、聖王国軍の超長距離レーザー兵器対策に散布された金属粒子雲が最悪のタイミングで重なった。重金属を含む雨が降ってるから、視界は狭くレーダーも万全には働かない」
 それこそ交戦可能距離にまで近づかねば敵に気づくことすらままならないほどだ。事実上のジャミング下で第17部隊を捜索せねばならない。
「みっつ。戦場は足場が悪い。同行する現地部隊から陸戦機用のホバーシューズを借りることを推奨する。それと――」
 おそらく最速でも第17部隊を捕捉出来るのは国境線になるだろう。最速でそうであるのだから、殆ど聖王国領内に侵入しての戦闘になるはずだ。
「聖王国騎士団の介入にも気を付けるべき。彼らから見れば第17部隊もおまえたちも全部敵。気づかれたら最後、三つ巴の乱戦になりかねない」
 派手な動きをすればその時点でアウトだ。今回の作戦は秘密裏に完了する必要がある。
「大変な任務だがおまえたちなら達成可能。健闘を祈る」


紅星ざーりゃ
 おはようございます。紅星ざーりゃです。
 今回もリュテス共和国戦争の一幕となります。
 ついに始まる共和国軍の反撃……!
 ですが人道的ではない上に一部将校の暴走なので猟兵の手でへし折って来てもらいます。

 第一章では金属粒子を含む豪雨が降る中で、山岳地帯を隠密行軍する敵部隊を探査していただきます。
 第二章で特殊部隊と接敵、第三章でボスクラスのオブリビオンマシンとの交戦となります。

 また、派手な行動を行えば聖王国軍の介入リスクが跳ね上がります。
 ユーレアがお伝えした通り、聖王国からすれば非道の特殊部隊もそれを阻止しようとする猟兵も同じく共和国軍とその協力者でしかありません。聖王国軍との共闘は不可能であるという認識で事に当たってください。
 それではご武運を。
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第1章 冒険 『ジャミング地帯を索敵せよ』

POW   :    突っ込んでいって自分の目で索敵する

SPD   :    敵が潜んでいそうな場所を推測して索敵する

WIZ   :    魔術や超能力など電子機器以外で索敵する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 現地に赴いた猟兵は地響きすら感じるほどの激しい雨に出迎えられた。十数メートル先の視野すら真っ白に霞む豪雨。それによって緩んだ地面は、一歩踏み込めばどこまでも沈んでしまいそうなほどに劣悪な状態だ。
 おまけに対レーザー金属粒子雲とやらを巻き込んだ雨はレーダー波を乱反射させ、電子的方法での探知すら正常に機能しない。
 視野を封じられ、ともすれば聴覚すら雨が生む轟音で信用ならぬ。殆ど盲目の状態で先行する敵を追跡せねばならぬとは、なんともやりにくい任務であろう。
「やあ、来たね猟兵の諸君。待っていたよ……という所だろうが、僕らも今到着したばかりだ。時間通りの到着はありがたいね、この状況では一刻も無駄にしたくはない」
 ホバーシューズを履いた細身のクロムキャバリアが二機、白く煙る雨の向こうから現れた。北からやってきたということは共和国軍の追撃部隊所属機だろう。彼らの運搬してきた汎用規格のホバーシューズを必要な機体に取り付けながら、猟兵と共和国のパイロットは自己紹介を交えつつ情報を共有する。
「今回は僕らの失態の始末に付き合わせて申し訳ないね。僕はクリスティアン・ド・アプローズ・ラ・ベルディエ、階級は陸軍大尉だ。気軽にクリスと呼んでくれて構わないよ」
 短距離通信で猟兵と顔を合わせたクリスは、中性的な顔をいたずらっぽくウインクの形にして猟兵に微笑む。男性用の士官服に身を包んで居るものの、豊かに膨らむ胸元は彼女が女性であることを主張している。
「こっちは臨時副官のロマリー・ウィゼット准尉。首都撤退戦にも参加していた期待のルーキーさ。君たちも首都の戦いには参加していたと聞くし、もしかして知り合いも居るかな?」
 クリスに促され通信をつないだ元訓練兵は――といっても首都での実戦を経て肩書だけの任官を果たしたばかりの若者は頭を下げる。
「お久しぶりです、それとはじめまして。901訓練中隊改め、第38機械化胸甲騎兵中隊臨時副官のロマリー・ウィゼットです。今回もよろしくお願いします!」
 さて、と。猟兵各機のホバーシューズ装着完了と同時に、クリスが機体を前進させながら表情を引き締める。我に続け、という短い信号を発しつつ、まずは捜索対象地域の入り口まで先導しようということだ。
「司令部では第17部隊の進路をベルコ山系を越えて聖王国領に侵入するものと想定しているようだよ。僕が彼らの立場でもそうするだろうから、信憑性は実に高いね」
 予想されるルートは険しい山を越えた最短距離での越境。このルートならばギリギリまで重金属を含む雨雲の影響下に留まることが出来、また狭く険しい地形故に聖王国軍の国境防衛駐留部隊の規模もさほど大きくないだろう。
「加えてこの雨雲のせいで上空の気流はひどく不安定です。空からの探査を試みれば、突風に煽られて殲禍炎剣の狙撃されかねません」
 ただでさえ飛行しての山越えは限界高度スレスレまでの上昇を要求されるのだ。その上で機体制御が至難となる乱気流に巻き込まれれば、回避機動も取れぬまま殲禍炎剣の餌食となろう。どういうわけかあれは重金属粒子雲の影響を受けずに空を封じ続ける能力を有しているようであった。
 ウィゼット准尉の補足に猟兵は頷きつつ、白い霞の向こうに黒々と輪郭だけを浮き上がらせる山脈に向けて疾駆する。
 何はともあれ生化学兵器による無差別攻撃を許してはならない。相手が何であろうと、それは人道に反する行いなのだ。


『全機集結。これよりベルコ山系オルビオ山に侵入する。敵の哨戒に遭遇した場合はやり過ごす。不可能ならば近接白兵戦でコックピットを潰して速やかにこれを排除、我々の存在に気づかせるな』
 次々に山道に突入していくキャバリア隊は、すぐに道を外れて姿を消す。
『目標は聖王国領サラグスタ市。卑劣な先制攻撃で我らの友を、家族を奪った聖王国に血を以て贖わせろ。奪われたものの悲しみを奴らに刻み返してやれ』
 報復に取り憑かれた彼らは止まらない。きっと聖王国の迎撃に遭っても、彼らはそれすら憎悪の炎に焚べる薪に変え、命と引換えにしてでも作戦の完遂を望むだろう。
 故に、彼らを阻止しうるのは同じ共和国の民と彼らの盟友たる猟兵だけだ。
 雨は止まず降り続ける。太陽は雲に隠れ空は昏く、憎しみの果て復讐に狂い涙が流せなくなった彼らの代わりに泣いているようでさえあった。
イザベラ・ラブレス
よりによってガスとはね…あれはマジで勘弁して欲しいわ

とにかくその部隊がパーティーをおっ始める前に追いつかないと

POW:進行方向に当たりを付けて追跡

今回は流石にマイティー・バリーは使えない…
ここは昔ながらの歩兵らしく徒歩で追跡するしかないわね
そしてガス対策に強襲装備で行くわよ

ホバーを使っていると言ってもキャバリアを動かしている以上草木の倒れ方が痕跡になってそうね

あともう少し確度を上げたいから…出番よジョージ、殺気を滾らせてる奴らの気配を探りなさい
『私は犬ではないのだがな主よ…まぁやってやるさ』
素直でよろしい

後は足元にトラップが無いかを罠使いの知識で調べつつ悪路走破で山道を先導しながら只管走るわよ


ティー・アラベリア
ヒトが憎悪のままに動く様も、それはそれで一つの尊いあり方とは存じますが、オブリオンマシンの影響を受けているとなれば興醒めでございます
見境なく生物兵器で片付けようとする手法も美しくありませんね

この地形と気象台条件ですと探信儀のノイズを取り除くより、数でしらみつぶしにした方が効率的ですね
他の猟兵の皆様もいらっしゃることですし、指揮通信機構で味方のデータリンクを補いながら、捜索線上に生じた穴を保管する形で斥候妖精と対人同化妖精を放ちます
対人同化妖精はソフトスキンを同化する以外にも、斥候妖精を補完する使い方もあるのです
ボク自身も遮蔽魔術で潜伏しながら移動し、妖精たちと共に敵を追いかけ回すとしましょう




 降りしきる大雨の下で、二つの人影がベルコの山々に踏み入ろうとしていた。
 共和国の展開した山狩り部隊は、しかし大規模な行動で不用意に聖王国を刺激するリスクを避けるために最小限だ。主力本隊たる猟兵に随行するベルディエ大尉とウィゼット准尉の分隊を除けば、小隊規模で散らばったキャバリア隊が山系を構成するそれぞれの山に入り、第17部隊の散開によるBC兵器拡散を阻止する構えだが、逆に一塊となって移動する第17部隊に接敵した場合これを撃破しうるのは猟兵の隊をおいて他にない。
 入る山を間違えればその時点で作戦が破綻する。ギリギリの綱渡りを成功させるには、まず猟兵たちのもつ異能が必須である。
 決戦戦力であるがゆえに投入するべき戦場を誤ってはならない――そんな重責を一身に背負うのは、レインコートに身を包んだイザベラと重金属を含む鉛色の雨を浴びてなお妖艶に微笑むティーであった。
「よりによってガスとはね……あれはマジで勘弁してほしいわ」
 BC兵器が齎す地獄を想起して、イザベラは防護マスクの裡で渋面を浮かべる。
 あれらは対象を区別しない。人も動物も、軍人も民間人も、男も女も、大人も――そして子供も、生きるものすべてを害する類の兵器だ。
 報復のために持ち出したとあれば殺傷力もあるだろう。まさか催涙ガスを撒いて嫌がらせをするために脱走めいた暴走劇を繰り広げる阿呆は居ないだろうから、確実に第17部隊の行く先には地獄が生まれる。
 吐瀉物と血と、死の匂いに塗れた廃墟で、彼らは何を思うのだろうか。
「何にせよ、とにかくその部隊がパーティーをおっ始める前に追いつかないと」
「パーティーとは言い得て妙でございますね。オブリビオンマシンの影響を受けてさえいなければボクも給仕のお手伝いに参じたところなのですが」
 くすくすと唇に指を当てて笑いながら、ティーは魔導探信儀のノイズキャンセリングが不可能である――否、可能ではあるが極端に非効率的である、という結果に予想通り、と頷く。
 見上げた空から降り注ぐ金属の雨は、どうやらレーザーを減衰させレーダー波を掻き乱す以外にも、サイキックや魔導の類をも撹乱する効果があるらしい。
「ヒトが憎悪のままに動くさまも、それはそれで一つの尊い在り方とは存じますが、見境なく生物兵器で……という手法は美しくありません」
 ボクであればもっとスマートに出来ましたのに、と水溜りを飛び越えて先行するティーの背中にイザベラは続く。
「彼らの報復を美醜で判断するのね。やっぱりあなた変わってるわ」
「それはお褒めの言葉と受け取っても?」
 解釈は任せるわ、と肩を竦めたイザベラの、レインコートでのっぺりとしたシルエットの影から黒い魔獣が顔を出す。
 泥沼から這い上がるような所作で地上に現れたそれは、重金属の雨を被って不快そうに身体を震わせる。
「出番よジョージ。この山の中で一番殺気でギラギラしてる奴らの気配を感じるのはどれ?」
 連峰の黒い影を見上げて、魔獣はフンと鼻を鳴らす。
「私は犬ではないのだがな。まあいいさ、主の願いならば聞いてやろう」
 変わり者の主従をティーが興味深そうに見ているのを、ジョージはぎろりと睨みつけ――ティーは一歩とてたじろぐことなく微笑み返した――イザベラの願い通り、ベルコ山系を進む報復者たちの気配を探す。
 果たして予測は当たっていた。ベルディエ大尉の先導でまっすぐに向かってきた眼前の山にこそ、名状し難き悲しみや苦しみに濁る殺意を感じたジョージはイザベラにそのまま前進するように促す。
「と、いうことらしいわ。後はキャバリアに踏み倒された草の痕跡なんかを探して前進ね。強行軍なら無いと思うけれど、罠にも十分警戒をして――」
「いえ、ここはもっと時間短縮を。人海戦術で参りましょう♪」
 山一つ分ならばカバーしうる。この気象条件だ、これから行使する魔導の規模ならば探知はされまい。仮に第17部隊にバレて反撃を受けたとて、
「捜索線上に穴が開いたそこに敵がいると分かるのであればそれでよし、でございますから」
 雨でじっとりと濡れ、布地に吸収されなかった重金属粒子でざらつくスカートの裾を摘み上げれば、中から飛び立った妖精たちが眼前のオルビオ山へと散らばってゆく。
「皆様とボクとをデータリンクで結びましょう。斥候妖精と対人同化妖精、探知性能に長けたものを放ちました。まずはおおよその方向を掴むところから始めますが、よろしいでしょうか?」
 ベルコ山系の山々の中からイザベラがオルビオ山こそ敵の進行ルートと絞り込み、さらにオルビオ山のどの辺りに敵が存在するのかをティーが観測、共有する。
 山一つとはいえ広大なフィールドは、これによって少人数でもある程度は追撃するに足る程度に縮小されたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・ひかる
生化学兵器……流石にそんなものの使用を見過ごしては置けません。
何としても止めなくては……!

ステラに搭乗して進軍
この子は重力制御で低空浮遊できますので装備は他の人に回してもらいます
(緩んだ地表スレスレをすいーっと滑るように無音移動)

確かに環境は劣悪……ですが、わたしたちにとってはむしろ好都合です
降り注ぐ雨は水であるが故に、水の精霊さんの耳目であり
広がる大地は全て、大地の精霊さんの肌
山野に広がる樹木たちも、草木の精霊さんの分身
つまり……彼らの声に耳を傾ければ、おおよその位置はまるわかり、です!

とはいえ、その情報を元に狙撃できたりするような精度ではありませんので……兎に角、急いで向かいましょう!


四季乃・瑠璃
緋瑪「民間人まで巻き込むような聖王国だけど…」
瑠璃「一般人への無差別攻撃は許されないからね。早急に止めないと」

出発前に地形データと判明している限りの第17部隊のキャバリア及び持ち出した生化学兵器含む部隊装備の情報を依頼。
持ち出された装備ならデータがあると思うし、特に生化学兵器は撃破時の配慮とかもあるから、事前情報があれば対処もしやすいかな。
私達、毒とかにも強いしね。

緋瑪が周辺の警戒と探知中は防備が薄くなる瑠璃の護衛。
瑠璃が探知術式【情報収集、高速詠唱】と地脈への魔術【ハッキング】で意思や生体エネルギー等を探知して第17部隊を捜索。
発見次第、クリスさん達や他の猟兵にも知らせるよ。




 第17機動防疫部隊。
 リュテス第五民主共和国における、攻性の生化学兵器運用に特化した部隊である彼らは、その任務性質上「迅速にBC兵器を展開し」かつ「偶発的な戦闘が発生しても、そのBC兵器運用能力を損なわない」ことを重視した装備で固めている。
「つまり彼らは速くて硬い。聖王国騎士とは別のベクトルで敵に回すと厄介なタイプだよ」
 彼らを相手に演習をしたことがあるのだろう。実感の籠もったクリスの評価に、瑠璃はふぅんと相槌を打って続きを促す。
「というわけで彼らの主力機は更新がなければドランギム型のはずさ。西部の湿地ではあれが一番強いからね」
「機種はわかったけど、肝心の生化学兵器とかいうのの詳細は? それが一番重要だよ」
 最悪に備えるならば、事前に知識を得ておくに越したことはない。第17部隊が破れかぶれに猟兵を道連れにすべく件の兵器を使用するだとか、撃破された機体からそれが漏出するだとか、故意にせよ事故にせよ持ち出された生化学兵器に追撃隊が晒されるリスクは決して低くはないのだから。
「残念ながらそこは僕らにも降りてきていない情報だ。ま、特別な防護装備を推奨されたわけではないからキャバリアの標準的なNBC防御性能で対抗出来るレベルだとは思うよ」
 今の共和国軍に、味方の毒ガスで兵力をすり減らす余裕はないからね。自嘲気味に笑うクリスに、思っていたほどの情報が得られなかった不満をぶつけようかと口を開きかけた緋瑪。瑠璃が先んじて視線で制したことで言葉にはならなかったが、それでもクリスは苦笑する。
「済まないね、君たちにも何もわからないまま危険に付き合ってもらう羽目になってしまった。お詫びじゃないが、無事に帰還できたら基地で何かご馳走するよ」
「楽しみにするね。さ、緋瑪。行こうか」
「そうだね瑠璃。民間人まで巻き込むような聖王国だけど……」
「一般人への無差別攻撃は許されないからね」
 共和国首都でのテロ。ブイレスト市での難民への攻撃。聖王国騎士団の行いは決して許されるものではないが、その罪は聖王国市民が命で贖うべきものではない。軍の過ちは軍が償うべきで、それを民間人への報復に求めてしまえば報復の連鎖はきっと終わることがないのだ。
「私達は毒にも強いから、いざってときは……ね」
「うん、そのつもりで動こう、緋瑪」
 目を閉じ、意識を研ぎ澄ます。探知術式を展開し――重金属粒子を含む雨の魔導ジャミングがそれを掻き乱す――ならば雨に含まれる金属が染み込まぬ地下だ。地脈への接続。山そのものの神経に等しいそれは、表皮を汚染する金属雨の影響下にあって他よりいくらかはマトモに機能している。
「うん、繋がった。このまま地脈を励起させて、目標の生体エネルギーを探査するよ」
 周辺警戒を緋瑪にすべて委ねることで、全神経を地脈へのアクセスに集中したからこそ行えた芸当。瑠璃のこの行動が、ある猟兵にも波及する。

「生化学兵器、流石にそんなものの使用を見過ごしてはおけません……!」
 なんとしても第17部隊の暴走は止めねばならない。その強すぎる決意故か、或いはこの豪雨によって思うように探索が進まないことへの焦り故か、ひかるの得意とする精霊術による周辺探査は普段ほどの成果を挙げられていなかった。
 愛機ステラ自体のこの環境に対する相性は悪くない。重力制御による浮遊能力は、緩んだ地面に足を着くことなく、しかし飛行と呼べるほどの高度を得ることもなく地表を静かに滑走せしめていた。これでホバーシューズより静音性に優れているのだ。仮に第17部隊の斥候が息を潜めて耳を欹てていても、ひかるの接近に気づくことは至難であろう。
 が、肝心要の精霊が――
「精霊さんが、いない……?」
 この豪雨だ。小川のように山肌を流れ落ちる雨水には水の精霊が居て然るべきであり、岩肌には大地の精霊が、まばらに茂る草木にもその精霊が宿っていて当然であるはず。だが、彼らは呼びかけに応えない。
 考えうる要因としては、おそらく。
「この雨……」
 ステラの鋼鉄の膚を流れ落ちる鉛色の雨粒。雨に含まれる重金属粒子が、その毒性が精霊を追い立ててしまったのか。
「これがなければ共和国の兵隊さんたちの命が危険に晒されていた、んですよね。でも……」
 緒戦で東部方面軍を一撃のもとに半壊させ、続く第二撃で文字通り全滅へと追い込んだ聖王国の超兵器。あれを多少なりとも減衰させるための策とはいえ、戦後この西部地域一帯に及ぶ悪影響は計り知れない。
「精霊さんが居なくなるレベルの環境汚染に、毒ガス兵器……」
 決して共和国軍クリーンな正義の軍隊ではいられないのだ。勝つために切れるカードは隠し持つし、使わねばならないならそれを切る。それは分かるし、そうしなければ多くの将兵の命が失われていたかもしれない。
「でも、やるせないですね……あれ?」
 小さくため息を吐き、もう一度だけと一縷の望みを懸けた呼びかけ。それにか弱くも応えるものがある。
 地中深く、重金属の雨が厚い地面に濾し取られた先に、精霊は逃れていたのだ。
 それが瑠璃による地脈の励起によって目覚め、ひかるの呼びかけに応え彼女の願いを叶えるべく、その身を顧みず地表近くまで浮上する。
 大地の精霊が他を護り、水の精霊が毒水と化した雨を弾き、草木の精霊が冒された精霊を癒やして、各々のあるべき場所に戻り司るべきを司る為に来てくれた。
「精霊さん達……! ありがとう、だったら私も!」
 彼らが力尽きる前に目標を探し出すのだ。耳を澄ませ、精霊の小さな囁きすら聞き逃さぬと意識を集中して、彼らの示す侵入者の居場所を目指してひかるは駆け出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルイン・トゥーガン
アドリブ歓迎

生化学兵器、ねぇ
ハッ、劣勢になるとNBC兵器使いたがるのは何処も一緒かい
まぁ上が命じたんじゃないだけ古巣よりマシかねぇ?
いや、オブリビオンマシンの影響とはいえ現場の独断ってのは余計に始末に悪いか

ホバーシューズは有難く借りるよ
スラスターでホバー移動も可能だけど推進剤が馬鹿にならないんでね。むしろ状況的に加速にスラスター回したいしねぇ
カモフラージュコートを纏っていくが、この悪条件じゃ不要だったかね?
さて、向こうみたいに専門家じゃないがNBC兵器の使用経験はアタシにもあるさ
その経験上、向こうはボンベというお荷物もあって……敵の哨戒を避けて行こうとすると、ある程度ルートは絞れるかねぇ?


トリテレイア・ゼロナイン
突入した宇宙船の空調システムを掌握、ガスを流し設備を丸ごと確保するという故郷の戦史上の戦術を思い出します

…大抵、非戦闘員が一番に犠牲となるのです
何としても阻止せねば

ホバー装着ロシナンテⅣは遠隔操縦で追従させつつ後方待機
偵察は●防具改造で野外迷彩外套羽織った己が担当

ワイヤーアンカーを地面に突き刺しマルチセンサーで情報収集
探知対象は敵の発する音…キャバリアの重量を移動させるホバーは独特の振動…音紋が生じます
自己ハッキングで雨音をフィルタリングすれば『アンダーグラウンドソナー』と呼称すべき索敵装置の完成です

ワイヤーでのロープワークで木々の幹を踏みつけ移動し密かに追跡

付近に水源など無ければ良いのですが




「銀河帝国の特殊部隊を思い出しますね……」
 ホバーシューズの排気音がコックピットを震わせる中でトリテレイアがつぶやく。
 彼の故郷であるスペースシップワールドは、その名の通り宇宙船だけが残された人類の生存圏だ。すなわち人類は例外なく閉鎖空間に居住している。
 故に、これを効率的に殺傷することを目的とするならば空気を循環させる空調システムを掌握し、毒性のガスなりを流し込めばいい。
 そうして人類だけを殲滅し、残された艦艇や設備を奪取する。そういう特殊作戦を専門とする部隊があった――あるいは帝国継承軍に合流し、今も存続しているやもしれないが――という史実を彼は知っている。
「はン、劣勢になるとNBC兵器に頼るのは何処も一緒かい」
 ロシナンテⅣに並走するアマランサスの操縦桿を握りしめたルインは、漏れ聞こえたトリテレイアの呟きに反応して吐き捨てる。
 彼女の祖国もまた、末期的な戦局に至ってそういった兵器の運用を決断した国家であった。負ければ滅ぼされる。ならば、どれだけ非道、外道の誹りを受けようとも勝利せねばならぬ。そんな妄執のもとで多くの非人道的な兵器が投入され――それを扱う側として、彼女は戦場に立ったことがある。
 いいや、あれは戦場ですらなかったかもしれない。脳裏に蘇る地獄絵図。とても兵士には見えない人間がのたうち苦しむ姿は、今も彼女の心に影を落としている。
「ま、国ぐるみでやってるんじゃないだけウチよりマシかねぇ」
 正規作戦としてこういうものに頼るようになった国には先がない。たとえ勝ったとしてもその過程で敵を作りすぎて戦争を終われなくなるし、良心が麻痺した人々はその兵器の引き金にかかる指が軽くなる。
 殺して、殺して、殺すことでしか身動きができなくなった先に待つのは世界の敵としての死だ。
「そうじゃないだけ救いがある……現場の独断ってのは始末に悪いけどね」
 第五共和国はまだ引き返せるところにいる。だが、最初の一回が既に理性の制御を離れている事実だけはいただけない。
「ええ、このまま第17機動防疫部隊を行かせればきっと非戦闘員が犠牲となるでしょう」
 その数は軍人より少ないということはないはずだ。彼らが大義として無差別テロへの報復を掲げているならばなおのこと、狙われるのは軍事拠点だけに留まらないだろう。
「なんとしても阻止せねばなりません」
「当たり前さね。そこであんたはアタシのアマランサスより耳が利く。アタシはああいう連中の動き方に心得がある」
 協力といかないか、というルインの提案に、トリテレイアは一も二もなく頷いた。
 ルインの経験則を元にした誘導。敵は装甲の厚い重キャバリアとはいえ、BC兵器を充填したボンベはそう頑丈というわけではないだろう。その上少数での潜入に近い状況ならば、なるべく戦闘を避けたいはず。
 だが、だからといって険しすぎる道は駄目だ。BC兵器のボンベは嵩張るだろうから、機体の機動性に大きな制限が掛かると見るべきである。不十分な機動性でこの荒天の中悪路を走れば、予想外のトラブルで行動不能になる可能性もある――
「全部経験と勘だけどね。きっと連中こっちの道を選んだはずさ」
 ならば、と。並んで駆ける二機のうち、騎士の一機からトリテレイアが飛び出した。
「先行して偵察に行って参ります。ロシナンテを介して随時連絡を」
 キャバリアより背の低い低木の幹を蹴飛ばし、緩んで滑る土をなるべく踏まないように飛び跳ねながら騎士は駆ける。
 跳躍で及ばぬ距離ならばワイヤーアンカーを駆使して宙を駆け、時折地面にそれを打ち込み耳を澄ます。
 ワイヤーを通じて聞こえる音紋を、友軍のホバーシューズに似ていて、しかしそのものではない響きに絞ってみれば、追うべき相手の音であろうそれを辛うじてだが聞き取れた。
 方向は間違っていない。速度も多少落ちているようで、このまま進めばじきに追いつくだろう。
 だが――
「この音、近くに川か地下水道か……水源がありますね。仕掛けるタイミングは慎重に勘案しませんと」
 急ぐべきだが、事を急きすぎれば帝国軍が空気に毒を混ぜたように、第17部隊も水に毒を流し込むかもしれない。
 水源から十分な距離を取るまではこちらの存在に気づかれるべきではない。通信で述べたその意見にルインも頷いた。
 目標に倣うように速度を落とし、しかし追跡の精度は少しずつ高めて。猟兵たちはじわじわと猛毒の短剣を追い立ててゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎

よう、候補生。殻はとれたかい?
今度も厄介なかくれんぼだ、力を貸してくれ

■方針
情報収集で山内の情報を集め、瞬間思考力と戦闘知識でまとめる

ひとつ、レーダー/通信の類は使えない
-状況的にも散開はない、となればある程度集団で移動が可能な道

ふたつ、共和国軍には発見されたくない
-同胞との戦闘は極力避けたい、監視の目が薄いルート

みっつ、トラップは熟知済み
-仕掛けも配置も理解している

中隊や他の猟兵にも協力を仰ぎ、トラップの反応が少ないルートを中心に探索

トラップは殺し間足りえるが、仕掛けがばれてるならただの道だ
それにこの雨の中なら騒ぎがあっても、トラップゾーン内なら誰も気にもかけんだろうさ


支倉・燐華
ドランギムRCで出撃です
ホバーシューズは不要です、ドランギムは自前でのホバー機動が売りですので

金属粒子雲の雨ですか、気象状況は酷いものですね
重金属混じりの雨は身体に悪そうですし、動植物にも影響が出そうです
それに、この豪雨で土砂崩れなど起きなければいいですが
いえ、最悪追手があると知ればヴェノムダガーが土砂崩れを起こして追撃を逃れる可能性も無くはないですか
向こうが最短ルートを取ると、後発で移動速度がほぼ同じならば見つける見つけない以前に追いつけません
聖王国の哨戒部隊との戦闘や遭遇を避けて待機するなどで向こうが遅延しているのに賭けねばなりませんかね
哨戒部隊の残骸などがあれば向こうのルートを絞れますが




「よう候補生……いや、元候補生かね。任官おめでとう、殻は取れたかい?」
「ホリディ大尉……! はい、いいえまだベルディエ大尉の指導に付いていくのがやっとです」
 ウィゼット准尉の機体に並走するヴィクターは、顔見知りの新人士官が生きて戦場を共にすることに安心を覚えた。
 首都をめぐる戦いでは候補生をよく纏めていた、優秀とまでは行かずとも素養のある隊長候補が無事に生き延びていた。このまま成長していけば、きっとよい指揮官になるだろう。
 どこか親の目線にも似た感情を秘めた視線を、音声通信に切り替えて隠しながら彼は意識を任務に向ける。
「前回のステルス機とはちと違うが、今回も厄介なかくれんぼだ。力を貸してくれ」
「了解です、ホリディ大尉。密集陣形で……ですね?」
 よくわかってるじゃないか。ヴィクターの称賛にウィゼット准尉の機体が気持ち背筋を伸ばしたように見えた。
「さて、状況を再確認しようか」
 ――ひとつ。電磁的、あるいはそれ以外の手段においても、レーダーや通信の類は著しくその有効距離、精度が劣化している。
 重金属を含む記録的豪雨が原因だ。自分とウィゼット候補生がそうしているように、傍受対策も敢えて無視して音声通信のみに絞ったごく単純な双方向通信であれば多少は距離を稼げるが、相手は極秘任務を遂行しようとしている特殊部隊だ。状況から見ても敵は散開せず、一塊となって進軍しているだろう。
 ――ふたつ。相手の目的が聖王国への報復攻撃であるならば、積極的にこちらから仕掛けない限り共和国軍同士での戦闘行為は避けてくれる……はずだ。
 心情的にも同胞との交戦を望むたちではないだろうし、共和国軍の同士討ちが原因で聖王国の警戒に引っかかりでもすれば彼らの本懐を遂げる道も遠ざかる。
 よって共和国軍の追撃隊が敷いた監視網――まだ完成したとは言えないが――を、可能な限り迂回するルートを選択するのではないか。
 ――みっつ。この強行軍で敷設できるトラップはたかが知れている。悪天候の中、敵の歩哨に味方の追撃を警戒しながら悠長に罠を仕掛けられる余裕はないものだ。
 あったとしても極シンプルな簡易トラップがせいぜいだろう。そういうものに関しては、
「俺の知識でなんとか対処できるだろうな。仕掛けのバレたトラップなんぞ無いも同然、踏み越えていけば時間も短縮できて敵の虚も突ける」
 無理にトラップのある方向ばかりへ突き進めば、ヴィクターはともかく他の面々が"うっかり"するリスクも跳ね上がる。丁度いい塩梅を見極め誘導するのが彼の腕の見せどころだろう。
「それに加えて足回りも気を付けなければいけませんね」
 ヴィクターのプレケスに追随するのは、ウィゼット准尉のクロムキャバリアだけではない。同じ結論に至った燐華のドランギムが僅かに加速して前に出る。
「この山、木があまり多くありませんから。下手な刺激を加えれば土砂崩れの可能性があります」
 それだけ言えばヴィクターとウィゼット准尉にも伝わったようだ。――第17部隊がこちらの接近に気付き、意図して土砂崩れを引き起こす可能性がある。
 いくらキャバリアと言えど災害には無力、斜面を流れ落ちてくる泥と岩の濁流に飲まれれば無事では済まない。
「厄介なこって。なら山頂を越えたあたりで仕掛けられるのがベストかね」
 それができるかはひとまず置いても、上を取る形になれば土砂崩れで一掃されるリスクはかなり軽減できるだろう。
 戦術的にはそれで問題ない。が、それが実現できるか……という点を、声にこそ出さずとも燐華は懸念する。
 敵と此方の戦力が拮抗していると仮定して、彼らが最短ルートを選び此方もそれをなぞるように追撃するならば、後発部隊である猟兵たちは追跡こそできても追いつき、彼らを無力化するのは至難の技となりうる。
 選ぶ道が同じなら、余程速度に差がなければその距離を詰めることは困難だからだ。そのうえ無理に加速すればそれこそ土砂崩れを起こしかねない。
「せめて聖王国の哨戒部隊との戦闘で足止めされるか、接敵を避けて待機でもしていてくれれば良いんですが……賭けですね」
 そう都合よくことが運んでくれるかどうか。しかし、そうであると信じてひた走るしかない。
「状況は変わらず最悪です。ホリディ様の経験と、共和国軍の皆様の土地勘……最大限に頼らせていただきますね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

何ともやりにくいねぇ……
ああ、足場や天気の話じゃないよ。
個人的な感傷みたいなもんさ。
気持ちは分からなくもないけれど、暴走して良いもんでもなし。
止めてやるのも人情、なんだろうね。

Overedに『迷彩』を施し『騎乗』して、索敵の先陣を切るよ。
こういった斜面を走り抜ける為にも、このローラーダッシュ機構は付いているんだろうね。
峰の頂上近辺を目掛けてクローを射出し、そいつを喰い込ませることでアイゼン代わりにしてウィンチで駆け上り、奴らが想定しない角度にルートを取って侵入するよ。
そうして自分の目で『情報収集』して、豪雨の『闇に紛れる』。
次の攻勢に備え、とにかく隠密を心掛けるよ。


羽堤・夏
…わりぃ、あたしには難しいことは正直よくわからねぇ。
とにかく、目立つなってことだな…?
POWで挑戦

憎しみを持つのは人間なら当然だ
でも、それに委ねて動くのはきっと間違ってる
それが…誘導されたものなら、なおさら!

あたしは小さいし、山野は歩き慣れてる
速度に特化した吹雪の姿で森林を突っ切る
空を飛べないから森の木々を蹴って方向転換し、低空飛行で移動
吹雪の姿なら、力をセーブできる
揺らしすぎないようにソフトに蹴って…先行して道を開いておくよ
あたしの足跡が道標になればいいけど…
どうしても突破できないトラップには猛火の姿にチェンジして正面突破
大きな音が出る前に焼却だ


無差別な報復なんて、絶対間違ってるんだよ…!




「なんともやりにくいねぇ……」
「ん、わりぃ、進みにくかったかな」
 先行する夏――吹雪と彼女が呼ぶ青い装備の上から防護服めいたレインコートを纏う少女が多喜のぼやきに反応して振り返る。
「いや、そうじゃないさ。夏さんの選んでくれた道はおかげさまで進みやすいけどね」
 事実、夏が先導してくれたおかげで多喜の分隊は友軍に一歩先んじている。
 その分索敵の正確さはいくらか犠牲にしているが、先陣で敵部隊に喰らいつけば友軍が追いつく時間も稼げるだろう。
 兵は拙速を尊ぶという。今回は敵の抱えているモノがモノだけに巧遅も重要であるが、拙速を軽んじても事を為すことは難しかろう。
 さておき、多喜の感傷はそこにはない。
「第17部隊、だっけか。思うことはわかるのさ。理不尽に家族を奪われて、行き場の無い悲しみだとか苦しみをやり返すことで慰めようとする……」
 人らしい心の動きだ、と多喜は思う。悪意によって耐え難い苦痛を与えられたとき、相手にも同じ思いをさせてやりたいと、報復したいと願わずにいられる人間は決して多くはない。
「だからって暴走して良いもんでもないけどね」
「……おう、憎しみを持つのは人間なら当然だ。アタシもそう思うよ」
 多喜の感傷に、夏もレインコートのフードを引っ張り、より目深に被り直す。非情では彼らの心を救うことは出来ず、しかし情に心を揺らせばオブリビオンマシンが増大させた憎しみに呑まれるかもしれない。
「アタシらに言えるのは、その憎しみにすべてを委ねて動くのは間違ってるって叩きつけてやることだけさ」
 それがオブリビオンマシンに誘導されたものならば、なおさらに。
 再び鉛色の水溜りを蹴飛ばし駆け出した夏の小さな背中を、多喜の駆るOveredの紅い機影が追う。
 泥を跳ね飛ばして回転する脚部のローラーホイールは整地と比べれば空転することも多い。ホバーシューズほど安定はしないが、しかしその分地形に噛み合った時の加速力は目を瞠るものがある。
 山野を庭のように過ごし、地形への理解ある夏の導きによってそれを最大限に利用できる道を選ぶならば、その限りに於いて地形に最適化してカスタマイズを施した仲間たちの機体にも劣らぬ速度で駆け抜ける。
「とはいえ神経を使うんだけど、ね……夏さん様々ってとこかねぇ」
 いくら走りやすい道でも、ちょっとした障害物を避けようとしたばかりに泥濘に落ちかけることもある。タイヤが滑り地面を噛めなくなれば、重力に引きずられて落ちるだけだ。
 そうならないよう、夏は障害物を焼き払い、砕き、或いは流れる泥濘を凍らせて道を舗装してくれる。
 夏は知っている。己の力では、巨大なキャバリアを相手取る時相応の犠牲を払わねばならぬだろうと。
 それでも第17部隊は止めねばならない。悲しみ、憎み、復讐を願う人らしい心の発露が無差別な報復であるならば、それは人の過ちだ。
 過ちは正さねばならない。なぜならそれが、
「アタシの信じるヒーローってやつだからな……! 多喜さん、スピード上げてくぜ。もうすぐこの山の頂上だ。そっからなら見通しも利くはずだ」
「はいよ。そんじゃ、少しばかりズルをするかね」
 Overedのマニピュレーターが掬い上げるように夏を捉えて機体の肩に乗せる。
 そのまま左腕を掲げ、山頂付近の岩の出っ張りを指し示し――前腕にマウントされた鉤爪状のクローがワイヤーの尾を曳いて勢いよく空を裂く。
鋼鉄の刃が岩に突き刺さり、それを一度、二度引いて容易に抜けないことを確認して、腕部のワイヤーを巻き上げるウィンチと脚部のローラーを駆使して勢いよく疾駆。
 一気に山頂に駆け上がると、豪雨に紛れるように機体を低く、今まで稜線の向こうだった下りの斜面を見下ろす。
 視界は通らず、不鮮明だ。だが、味方が共有してくれる観測データが指し示す、第17部隊の通ったであろう道だけを注視すれば。
「おっ、居た……っぽいぜ。見間違えじゃなきゃ、だけどな」
「だねぇ。さて、アタシらだけで仕掛けるか……それとも味方の合流を待つか」
 拙速は果たしてその意味を為しはしなかった。第17機動防疫部隊はその足を止めていたからだ。
 だが、結果論で彼女らの努力を無為だったと断じることは出来まい。
 先駆けた彼女らの目を以て、猟兵は状況を正しく把握できたのだから。
 ――第17機動防疫部隊、接敵。敵は聖王国軍の哨戒部隊。
 戦況は第17部隊の優位に推移している。奇襲だったのだろう、隊長機を初撃で撃破され浮足立つ聖王国軍は防戦一方で、数の上でも第17部隊に劣る。
 だが――足止めの役には立つ。彼らが壊滅するまでの数十秒、あるいは奇跡的に持ち直したとして数分――その時間があれば、猟兵たちは斜面を駆け下り戦場に乱入することができるのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ドランギム』

POW   :    バレット・ストリーム・アタック
【ジャイアントバズーカ】と【マシンガン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    アックス・ストリーム・チャージ
【ヒートアックスで斬りかかるホバー機動の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【同型機】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ   :    ホバー・ストリーム・アタック
【敵を惑わす複数機での連携機動による幻惑】が命中した対象に対し、高威力高命中の【複数機の連携による連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「わ、我所属不明機より攻撃を受く! 状況は劣勢、至急応援を――駄目です隊長、どの回線も繋がりません!!」
「もう一度だ! 呼びかけ続ければどこかの部隊が必ず気づいてくれる! 全機密集防御隊形にて後退! 通信妨害の影響下より離脱する!」
聖王国の国章を描いた盾を掲げ、脆く崩れる斜面を降りてゆくセレナイトの小隊。
 それを猛追するは青い重キャバリアの群れだ。セレナイトが足元の劣悪さに苦戦しているのを嘲笑うかのように、ホバー機動で斜面を滑走し容易く彼らを包囲せしめたその機体には、どこにも国籍や所属を示すマーキングが存在しない。
 だが、この状況下で、この場所で聖王国軍と一戦交える部隊など一つしかありはしない。
 リュテス第五民主共和国陸軍、第17機動防疫部隊。部隊の数機が背負った禍々しいハザードシンボルを描く大型ボンベが、それを知る猟兵たちに彼らの正体を示している。
『――助けなど来ない。お前たちは此処で死ね』
『守るべきものたちを守れなかった苦しみを! 貴様らも味わうが良い!』
 ボンベを背負う機体を先行させつつ、護衛機が進路を幾度も交差させながら敵機を取り囲み連続で斧を叩きつける。
「がああァッ! 賊如きに、我ら第七騎士団が……ッ!!」
 一機また一機と聖王国軍機がコックピットを叩き潰されて泥に倒れ込み、斜面を転げ落ちてゆく。
 猟兵の救援は間に合うまい。それほど迅速に第17部隊の連携攻撃は聖王国部隊を殲滅してゆく。
「あの機体、まさか貴様ら……! 共和国軍め、やはり血に塗れたギロチンの子が――」
 指揮官機だったのだろうか、味方に守られながら抵抗を続けていた最後の一機が怨嗟の声を吐き出しながら斧に断ち斬られて崩れ落ちる。
 斯くて第17部隊の進路を阻むものはなく。
 だが聖王国の哨戒部隊が稼いだ数十秒は、幾万市民の命を救っただろう。
 ――猟兵が斜面を駆け下りる。報復の甘さに取り憑かれた、憎悪に駆られる兵士たちを阻止するために。
「こちらは共和国軍第38機械化胸甲騎兵中隊、ベルディエ大尉だ。第17機動防疫部隊は直ちに停止し武装解除せよ! 従わない場合武力でもって貴官らを拘束する!」
『追撃か……護衛機は反転、これを迎撃する! ……私達の報復を、たとえ友軍だろうと邪魔はさせない……!』
『キャリアー隊は振り返らず進め! お前たちが事を成し遂げれば我らの勝利だ! たとえ裁かれ断頭台の露に消えても、我らの行いは死んでいった家族の慰めになろう!』
『ああ……もはやあれは友軍ではない! 私達の邪魔をするならば敵だ!』
『『死せる者に手向けの花を!』』
 クリスの降伏勧告にも応じず武器を抜く第17部隊の重キャバリア、ドランギム。ボンベを背負う機体を逃がすために護衛機が反転し、猟兵を迎え撃つ構えを見せる。
『敵はあのベルディエと……猟兵だ! 油断すれば喰われるぞ! 隠密を考えるな、全火力を投じて撃退する!』
「やれやれ……彼ら、毒ガス部隊だけを先に行かせようって魂胆みたいだね。猟兵、護衛機を頼めるかい? ウィゼット准尉続きたまえ、僕と君で毒ガスを足止めするよ!」
「りょ、了解! 皆さんもできるだけ早く合流してください!」
 斜面を駆け下りる勢いのまま、クリスとウィゼット准尉の機体が敵の防衛ラインを突破する。すぐさま追撃しようとした護衛機を猟兵の攻撃が阻み、戦闘が開始された。
『ちィ、猟兵……苦しみを知らないエトランゼどもめ……!!』
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

アイツら!?
何をどうしようってのか分かってやろうとしてるのか!?
こうしちゃいられねぇ、一気に抑えにかかるしかないか……!
斜面をローラー『ダッシュ』で駆け下りつつ、
ブラスターと"英霊"で『弾幕』を張って『制圧射撃』するよ。
そうして迎撃態勢を取るまでの時間を遅らせつつ、
手近なドランギムの一機をクローで串刺しにして『敵を盾にする』。
そうして牽制しつつ、逃げていくボンベ搭載機の方角を狙い、
【多層重砲展開】を開始する!
正直この重金属雨の中じゃ威力は減衰するだろうけど、それでも十分さ。
立ち塞がる護衛機もろとも複合『属性攻撃』の『貫通攻撃』で吹っ飛ばし、
追撃隊が進む道を開けるよ!


ルイン・トゥーガン
アドリブ歓迎

毒ガス部隊が先行して残りは足止めか、まぁそうくるだろうねぇ
あの二人だけで大丈夫かね?
まぁ言われたお仕事をこなすとしますか
……最悪、阻止に失敗したらアタシが泥を被って全部吹き飛ばすかね
使いたくはないがね(ウェポンセレクト画面に一発の放射能ハザードシンボル

この雨だからビームアサルトライフルではなくバズーカ装備してるよ

アンタら戦犯として処罰される覚悟はあるのかい?
毒ガスだなんて死刑も覚悟の上かい?
仮に生き残っても戦犯は惨めなもんさね

チッ、この雨じゃロックオンも厳しいね
こっちの方がマシかい
ビームソードを取り出して、ホバーシューズとスラスターを活かして、突進を躱してカウンター気味に切り裂くよ




「アイツら……! 何をどうしようってのか分かっててやろうとしてるのか!?」
 斜面を滑走するOveredのコックピットで、シートに跨る多喜が吐き捨てる。
 自身の行いが祖国への裏切りであると理解してなお報復を望む復讐心。短期間でそれだけの憎悪を育んでしまったこの戦争は、彼らの望む結果を得て加速するだろう。もはや猟兵でも止められない程に。
「バカ野郎どもを止めるよ、多喜! とっととこいつらを突破してあの二人に合流する!」
 ホバーシューズの揚力にスラスターの加速を載せ、Overedに並走するアマランサス。ルインは火器管制システムを実体弾バズーカに最適化して、その大型無反動砲を構える。此方を迎え撃つように前進し斜面を駆け上がるドランギムの装備がそうであるように、この重金属雨の下では実弾兵器だけが信用に足る火器兵装であろう。
「アンタらこんなマネして、戦犯として処罰される覚悟はあるのかい?」
 アマランサスがバズーカから榴弾を吐き出しながら問いかける。着弾により生じた爆発は泥濘と石塊を撒き散らすが、しかし直撃弾はなく爆風を躱して第17部隊のドランギムはなおも接近する。
『もとより罰など恐れてはいない! 家族はみな聖王国に殺された……!』
『ただ独り残されたものの悲しみを! もはや報復することでしか癒やすことはできないんだ……!』
「っ……気持ちはわかる、分かるけど……! そりゃ認めちゃいけない理屈だろうよ!」
「そうさね多喜。アイツらここでアタシらと刺し違えて死ぬつもりだよ。生きて帰れても戦犯扱い、死刑になるかもしれないってのを分かってやってる。攻撃が成功しちまえばどう転んでもマトモな末路は待っちゃいないってのをさ……!」
 覚悟している、だなんて。
 ――ふざけるな、とルインは奥歯を噛みしめる。それを、その立場を経験したことの無いものが覚悟している、だと。
「腹が立つったらないね……何をしてでもその作戦、ぶち壊してやるよ……!」
 バズーカの最後の砲弾が空を裂き、敵機のはるか後方で火焔を散らす。腐っても特殊部隊、この悪天候で照準精度の下がった砲撃などあたってはくれないということか。
『綺麗事で万人が救われる世界など幻想なんだよ……! 俺たちの苦しみは、意趣返しでもしなけりゃ一生癒えることはないんだ!』
『息子はまだ8歳だった! あの子は銃なんて触ったこともない、人殺しに巻き込まれる謂れなどなかったのに! それを殺したのは聖王国だ! だから報復して何がいけない! 言ってくれ猟兵! なあ、復讐の何がいけないんだ!!』
 二重螺旋を描くように交錯しながら接近するドランギムが斧を抜き、その刃が赤熱して豪雨をじゅうと蒸発させる。
 靄を帯のように引き連れて肉薄した二機が、交差のタイミングで同時に先行するアマランサスに斧を叩きつけ――
「アンタたちの苦しみはアタシにゃ分かんないよ。アタシは子供どころか旦那も居ないし、両親だって故郷に健在だ。でもさ……アンタたちと同じ苦しみを持つ人を増やす行いだけは絶対に間違ってんだろうよ!」
 ドランギムのヒートアックスが、Overedの念動力で操られる浮遊シールドに受け止められて火花を散らす。
「助けられちまったかね。多喜、ついでに一機は任せるよ!」
 盾に守られたアマランサスがすかさずビームソードを抜き放ち、ドランギムの片割れを腰から下で斬り落とす。
「はいよ! 悪いけどアンタには毒ガスを止める切符になってもらう。仲間を殺してでも復讐したいってまで堕ちちゃいないって信じるよ……!」
 シールドビットがガッチリと刃を噛み、生半可な膂力では斧を取り戻せぬと判断したドランギムが得物から手を離すやOveredが割り込み、クローで引っ掛けるようにその装甲の隙間を貫いた。
『離せ! くそっ、止めるんならせめて息子のところに送ってくれ! 殺してくれよ、畜生……!』
「ちょっと黙ってな! 殺すだの殺さないだのはアタシたちの決めることじゃ無いんでね! ……さて、ついでに足止めもぶっ放しておこうか。――ルインさん、アンタの持ってるドでかいのは流石に足止めには使えないだろうしね」
 護衛隊を置き去りに進む毒ガス攻撃隊が居るであろう方角に向け、Overedが大型ブラスターの砲撃を放つ。
 雨を蒸発させ、重金属にその威力をいくらか減衰させつつも巻き込まれることを避け回避機動を取った護衛隊の壁に道を拓き、二機はそこを捕らえた敵機を盾に突き進む。
「……そうさね、こいつは最後の手段さ。いざとなればアタシが泥を引っ被って全部なかったことにするつもりだって、どこでバレたかね……?」
 これだからサイキック使いは、とため息を吐くルイン。昔から汚れ役は慣れている。いざとなれば――その覚悟とともにちら、と視線を向けたコンソールには、毒ガスとはまた別の禍々しいシンボルが灯っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・ひかる
自然環境に根差した精霊さん達では、この汚染された戦場は厳しいですね……
今この場でも力を振るえる精霊さんは……この子だけ、ですか。
お願い、力を貸して。今はあなただけが頼りです……!

【本気の闇の精霊さん】発動
半径105m以内に接近してきた敵機の四肢と武装にかかる重力を一万倍化
その場に超重力で縫い付け四肢を圧壊させ、戦闘力を奪い、必要に応じて二丁拳銃(通常弾)で追撃
闇の精霊さんの司る能力は暗闇と重力
汚染環境下でも彼なら問題無く力を振るえるはずです

「苦しみを知らないエトランゼ」ですか。
……この子達(精霊さん達)の苦しみも知らない癖に、知った口を聞かないで頂けます?
(あまりの自分本位さに静かに激怒中)


ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎

そうだな、俺達はただのエトランゼだ
お前達の苦しみを知らぬ顔で踏みにじり、ここで止める
それだけのエトランゼだ

■方針
ホバーを使った高速移動による集団戦闘
状況も伴って最悪の相手だ
だがその高速移動にだって穴はある

UCを発動、味方に作戦を伝え
援護射撃で味方を援護しつつ情報収集
敵が移動する方向の足元を狙ってミサイルで弾幕をはる
足に当たって擱座するなら良し、当たらなくても動きは一瞬止められる
そこを狙ってショットガンで重量/貫通攻撃/部位破壊を叩き込む
行動不能にできればそれでいい

「そこで雨に打たれて頭を冷やせ。
 冷えた頭で考えて、それでも虐殺を望むなら…その時は俺がお前を家族の許に送ってやる」




「苦しみを知らないエトランゼ、ですか……」
 確かに、彼らの味わった苦しみは自分には分からないものだ。理由もわからなければ宣戦布告もない先制攻撃で家族を失った。ある日突然愛する人と二度と会えなくなった、その悲しみを分かるとは言えない。
 だが。ひかるはその物言いを許せない。自分たちの悲しみだけが世界に存在する苦痛であるかのように、自分たちだけが悲劇の存在であるかのように嘆くそれは、あまりにも自分本位に過ぎる。
「今この場所だけでも、苦しむ精霊さんたちがこんなにも多く居るのに……それを知らない癖に、知ろうとも思わない癖に、知った口を……!」
 重金属雨を第17部隊が降らせているわけではない。この雨がなければ人がもっと死んでいたかもしれない。理屈では分かる。だが、ひかるの目の前で、声が届く場所で、いま精霊たちは苦しみ嘆いているのだ。精霊だけではない。彼ら以外の共和国人も、辛さを耐え戦っている。もしかしたら聖王国の人々でさえも。だというのに、自身の苦痛だけを声高らかに謳い報復に走るのは自身の行いに酔いすぎている。
「ま、そうカッカしなさんなよ。あいつらの言うことも間違っちゃいないさ。俺たちはただのエトランゼ、連中の苦しみを知らぬ顔で踏みにじり、ここで止める。そのためだけに来たエトランゼ、だろう?」
 今にも敵機に飛びかかりそうなひかるのステラを制し、ヴィクターは皮肉に嗤う。そうとも、彼らの苦しみ、嘆きを理解する必要はない。同情も無用、怒りも無用。ただ任務として、化学兵器による無差別テロを阻止する。
 感情がそこに介在した時、彼らの復讐に自分たちの存在も飲み込まれるとヴィクターは知っているのだ。
 だから歴戦の兵士は自らを一歩外に置いて、冷めた目でドランギム隊の機動だけを見据えるのだ。
「いや、しかし最悪だなこりゃ。連中ホバー機の扱いの上手いこと」
 ホバー機体というのは地形の良し悪しに影響されない代わりに地面を踏みしめることによるグリップが効かないという特徴がある。
 つまるところ、急制動が苦手なのだ。ある程度は慣性に引っ張られる形で機動に余計な部分が出る――はずなのだが、第17部隊の機体はその慣性による移動すらも制御し極限までそれを余剰にしない機体制動を繰り出してくる。
「だが、やりようはある。ひかる嬢ちゃん、俺に作戦があるんだが丁度いい手札は持ってないか?」
「……なら、草木の――いえ、闇の精霊さんなら……!」
 この重金属雨の下に再び精霊を呼び出すことを躊躇うひかるは、唯一この場においても汚染の影響を受けない存在に思い至る。
 この暗雲の下、自然環境が破壊されていようと変わらずそこにあるもの。闇、そして重力だ。それを司る闇の精霊ならば、ひかるの呼びかけにも応えてくれる。
「お願い、闇の精霊さん。今はあなただけが頼りです……!」
 果たしてそれは少女の願いを聞き届けてくれた。
『戦争に勝ったとして、私達に何が残る! もう家で待っていてくれる両親は居ないのよ!』
『せめて結婚式を一月早めておけばよかったと、毎夜自分を責める気持ちが分かるか!? その苦しみを一生抱えて生きるくらいならば、それが大罪だろうと復讐を望んで誰が俺を責められる! 何の権利があってお前たちは俺たちを裁く!?』
 悲痛な叫びとともにバズーカの砲弾が、マシンガンの弾幕が二機を襲う。ステラの前に展開された重力場シールドがそれらをクシャクシャに握りつぶして防ぎ止めるが、連携で互いの隙を補いながら回り込む敵機に精霊の護りが対処しきれなくなってゆく。
「それだけの力があるなら戦争を終らせる助けにもなれるでしょう!?」
『国が勝って何になるというの! 少しばかりの遺族年金を貰って、それで愛する人に二度と会えないことを納得しろと!?』
「そうは言わんさ。そうは、誰も言わんよ。――だが、報復攻撃をやっちまえばお前たちはいつか自分の心に折り合いをつけることもできなくなっちまうぜ」
『そのいつかはいつ来るんだ! いつ来るかもわからないその時まで苦しみ続けろと、そんな傲慢をお前たちは押し付けるのか!!』
 ついにステラの防御の死角に敵機が回り込み、バズーカの砲口がその背を狙う。標準型のキャバリアであるヴィクターのプレケスよりも、精霊を使役し想像の外から攻防を展開するステラを先に潰す。戦術の判断は憎しみを被ってもなお曇りきってはいないらしい。
 だが、同時に彼らは間合いに踏み込んだ。
「今だ、やってくれ! ――くっ!」
 バズーカの砲弾の前に飛び出したプレケス。装甲表面で榴弾が爆ぜ、爆炎に黒い機体が飲み込まれる。
 ――振り返らない。ひかるはただ、闇の精霊に全力での攻勢転換を願うのみ。
「貴方たちを裁くのはわたしたちじゃありません。そのつもりも、その価値もない!」
 凄まじい重力が、この悪天候下で命中率の上昇を狙い接近したドランギムの脚部を襲う。
 膝下まで泥に沈むように機体が沈下し、さらに脚部が圧潰して地中の岩や木の根の隙間に挟み込まれる。
『ああっ、うっ……機体が、動かない――あ、っ』
 そうして動きを封じられたドランギムに頭上から降り注ぐ小型ミサイルの雨。
 カメラアイが爆発に焼き潰され、武装もまた被弾の衝撃で弾け飛ぶ。
「――じきに迎えが来る。そこで雨に打たれてしばらく頭を冷やせ、脱走兵」
 ミサイルポッドから白煙を噴出し、装甲にいくらかの損壊を受けながらも、自身が健在であることを示すように蒼いカメラアイを雨に輝かせるプレケスが抵抗する術を失ったドランギムの前に立つ。
「それでもまだ虐殺を望むなら、その時は俺がお前を家族の許に送ってやる」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

支倉・燐華
第17機動防疫部隊のキャバリアもドランギムでしたか
此方は私用のカスタム機とはいえ、向こうはオブリビオンマシンとして性能向上をしていたら機体性能は良くて互角か此方の負けでしょうか?

死刑すら恐れない狂気、オブリビオンマシンの影響もあるでしょうがそれだけでなく元からあった復讐心、ですか
私の言葉では止まりそうもないですね。ならば力尽くで止めてみせましょう

ドランギムの典型的なコンビネーションですね
突進してくる先頭機の下半身にパトローネファウストを放ちます
同型機に乗っているのです、機体構造は知り尽くしていますし、行動パターンも予測できますよ
ヒートアックスの内側に潜り込んでヒートダガーで動力ラインを狙います


イザベラ・ラブレス
傭兵の私が言うのもアレだけどね、奇襲だろうが報復だろうが、戦争のルールすら守れない奴が格好つけてんじゃないわよ!

…って言ってみたは良いけど、今回は生身だから慎重に事を進めないとね

擱座した聖王国機に隠れつつ移動し、第17部隊の背後まで移動
狙撃位置についたらフェイルノートによる砲撃で注意を引く
重キャバリアにとって25mmなんて豆鉄砲同然だろうけど、これはいわゆる前菜ってやつよ

メインディッシュは焼夷徹甲弾フルパック……敵キャバリアの脚関節めがけてスチールバスターを連射し、行動不能に陥れる!

一人ずつコックピットから引き摺り下ろして拳骨の一つ入れてやりたい所だけど後回し!
さっさとガス部隊の後を追うわよ!




「同じドランギム……此方は私用にカスタムされているとはいえ、あちらはオブリビオンマシンの影響下にある正規軍の特務仕様ですか」
 同じシルエットの機体が入り乱れて攻防を繰り広げるさまは異様ですらあった。この世界では鹵獲機やライセンス生産機、果ては骸の海から蘇り軍勢に紛れ込むオブリビオンマシンまで、あらゆる理由で両軍が同じ機体を用いて争う場面は珍しいわけではないが、それでもその場を目撃したものはまるで苛烈な同士討ちの如き違和感を感じずには居られないだろう。
『俺の弟は南部軍にいた! 奴らの奇襲で戦うことすら許されずに殺された!!』
 猛然と突撃してきた一機が斧を振り回し、燐華のドランギムに白兵攻撃を敢行する。
『連中は南部を奇襲して、市民ごと街を焼いたんだぞ! それを許して、私達に報復をするななんて理屈が!』
「――機体性能は互角。数の差で彼方が有利といったところでしょうか」
 敵機のパイロットが上げる悲嘆の叫びを聞き流し、燐華は冷静に操縦桿とペダルを繰り機体を滑らせる。
『だから聖王国にも血を流させる! 自分たちの愚かさを理解させ、我々の苦しみを知らしめる為に! そのためならばいくらでも死んでやるさ……!』
「加えて死すらも恐れない狂気ですか。復讐心の火に狂気で油を注がれた以上は」
 部外者である燐華がいくら言葉を重ねたところで、それは彼らを止め得るだけの力を持つことはないだろう。或いは言葉自体をユーベルコードとする者ならば、そうして彼らを立ち止まらせることも出来たかもしれないが。
 いま此処に無いものを思っても解決策にはならないと、燐華は現実と現在だけを見据えて理解している。
「力尽くで止めてみせる……これしかないでしょう」
 機体を掠めたヒートアックス。間一髪回避に成功した……などと安堵すれば、次の瞬間には
「二機目による追撃。そして三機目からの本命」
 前後から挟み込むように迫る二つの斧刃。ドランギムは強力な重キャバリアだが、所詮は量産機。その戦術は集団による連携を基本としていることは燐華も承知のことである。まして教導部隊にも等しい特殊部隊が、その基本を知らぬ訳がない。
 高い練度に裏打ちされ、もう一つ上の位階に昇華されているとはいえど第17部隊の戦術機動は燐華も知るドランギムの運用のセオリーに準じている。
 故に、前から迫る斧刃を蹴飛ばした反動で旋回、背中に振り下ろされた刃をヒートダガーで受け止めるなどという芸当もやってのけることができる。
「なんとか読めはしますが……三対一ですか。反撃の隙を見出すのは少々手間ですね」
 防戦に徹すれば捌ききれぬ相手ではない。特殊部隊の技量と燐華の機体特性への理解は互いの差を等しく埋めている。完全なる拮抗を維持し続けるだけならば、体力が尽き果てるまで続けることができるだろう。
 が、それは第17機動防疫部隊の勝利を意味する。彼らはここで燐華を討てなくとも、先行させた仲間が毒ガステロを実行すればその本懐を遂げたと言えるのだから。

「見事な連携でまぁ格好いいこと」
 三機がかりで燐華のドランギムを釘付けにする第17部隊機の練度に、イザベラは皮肉を送る。
 そうまでして報復をしたいのか、と。正規軍の人間が、戦争のルールを無視してまで個人の復讐心を満たすことを望むのか、と。
「傭兵の私が言うのもアレだけどね、そういうザマで格好つけてんじゃないわよ……!」
 破壊された聖王国のセレナイトの残骸に身を隠し、その亡骸の上に25mm対物狙撃砲"フェイルノート"の銃身を横たえて、強烈なマズルフラッシュに備えてサングラスを掛ける。チャンスは一度きり。狙うべき相手を、引き金を引くタイミングを間違えれば、その時点でアウトだ。
 呼吸を抑え、心拍を制御し、分厚い雨の幕とサングラスによって悪化した視界の向こう、ドランギムの姿勢制御スラスターが微かに明滅させる噴射炎の光を見逃すまいと目を凝らし――
「一発で仕留めるならコックピットハッチにブルズアイをキメるのが手っ取り早いんでしょうけど」
 殺すことが目的ではないのだ、と。馬鹿をしでかしたパイロットにくれてやるのは徹甲弾ではなく拳骨で十分だと、照準の中央に捉えたドランギムのコックピットハッチから銃口をずらす。
『だからこれは、この報復は我々に与えられた正当な権利なんだ……ッ!』
「戦争のルールすら守れないやつに権利なんてありはしないのよ」
 燐華のドランギムへ、幾度目かの三機波状攻撃が仕掛けられる。その先頭の機体のマニピュレーターへ、轟音と爆炎を伴い射出された25mm徹甲弾が飛翔する。ドランギムの指が爆ぜ、支えを失った斧が勢いのままにその手をすり抜けイザベラが身を隠す残骸の至近に墜落した。
 斧の直撃を受けセレナイトの残骸が砕け散り、小石や装甲片の混じった熱い泥が飛び散った。
 その中にあってイザベラは怯まず、次弾装填に時間のかかるフェイルノートを退かして13mm重機関銃を構える。
 その視線の先で、武器を失ったドランギムに燐華機からの対キャバリア榴弾が直撃し、機体の下半身が爆炎に煽られバランスを崩した機体が派手に転倒、滑落していった。
 ――一機撃破。続く二機目に飛び込んだ燐華は、ヒートダガーをその動力伝達ラインに突き刺しこれを無力化。
 ――二機撃破。だが、深く突き刺さったヒートダガーは容易く抜けはしない。装甲を引き裂くように刃を動かせば、最悪ドランギムの誘爆を招きかねない。そして両手に一つずつ構えた武器を使い果たした燐華に、背後から迫る三機目の対処能力は無い。
「ええ、私には対処出来ないでしょう。ですが」
「こっちは現場の即席連携プレーも慣れっこなのよね」
 イザベラの指がトリガーを引き絞り、セレナイトの装甲を上から殴りつけながら暴れ狂う銃身が猛烈な勢いで焼夷徹甲弾を吐き出した。
 秒間数百発にも至る凄まじいフルオート射撃が、狙撃などという達人技無くしても成立しうる物量でもって装甲の薄い関節機構を粉々に粉砕し、三機目のドランギムの脚をもぎ取った。
「さて、これから一発ずつ拳骨を……」
「ラブレス様、今は」
 肩をぐるぐると回して気合を入れるイザベラに、燐華はそっと声を掛ける。
 熟練の戦闘メイドの制止に令嬢は少しだけバツの悪い顔をして、
「冗談よ。バカの仕置きは後回し! さっさとガス部隊の後を追うわよ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四季乃・瑠璃
緋瑪「憎んでる相手に報復したいって気持ちは解るケドね。罪の無い市民まで犠牲にしたら、貴方達は憎んでる聖王国と同じだよ!」
瑠璃「自分達の悲劇を繰り返すのはダメだよ」

緋瑪機が前でミサイルとソードライフルの連射で敵を牽制し、瑠璃機がスナイパーライフルで敵のカメラと腕、足を狙って射撃(同時にヴェスバーのエネルギーチャージ)。
敵が牽制と狙撃に耐えて抜けて来たら、瑠璃がヴェスバーのビーム放出からなぎ払って敵の脚部を破壊。
同時に緋瑪が借りてきたホバー装備で接近し、浮足立つ敵を近接モードのソードライフルと大鎌で戦闘不能に。

緋瑪「悪いけど、連携には絶対の自信があるんだよね!」
瑠璃「これでも一心同体だからね」




「二対二、あっちもなかなかいい連携だね!」
「そうだね、思った以上に手強いかも」
 前衛の緋瑪が放つ牽制射撃を掻い潜り、時に厚い装甲で受け止め弾き返しながらじわじわと距離を詰める敵機。
 どちらか片方が被弾すれば、もう片方がすかさずカバーに入り追撃を許さない連携は、瑠璃の狙撃をも有効打にはさせなかった。
『猟兵! この先には行かせん! 先に条約を無視して、より多くを殺したのは聖王国の連中だと君らも知っているはずだろう! それを連中に自覚させるための報復攻撃だと分かってくれ!』
『この報復で以て私達がこそ抑止力となる! 蛮行には蛮行を、痛みを理解すれば奴らも愚行を省みる筈! 私達の苦しみがそのきっかけとなるなら、家族の死に意義が見いだせる! 何の意味もなくただ死んだのだと、無造作に生涯を奪われたのだという空虚から抜け出せる!』
 他のパイロットと違い、いくらか冷静なようで。それでもやはりどこか思考が壊れてしまっている言葉に、操縦桿を操りトリガーを引きながら緋瑪は困ったように眉根を寄せる。
「憎んでいる相手に報復したいって、奪われた命にせめて意味が欲しいって気持ちは解るケドね。そのために罪のない市民を犠牲にしたんじゃ、貴方たちのしようとしてるコトは聖王国と同じだよ!」
「どんな理由があっても、誰が相手でも、耐えられないほどの悲劇だったんなら繰り返すのはダメだよ」
『聖王国と同じ畜生に堕することは承知の上だ!』
『子供の理屈で私達の願いを否定するならッ!!』
 ミサイルの直撃弾を斧で斬り伏せ、爆炎を突破して肉薄する二機のドランギム。もはや理屈の通る相手ではない。自分たちの信じたいものに依存することでしか、大切なものを敵に奪われた悲しみから目を背ける術を持たないのだ。
 至近距離で浴びせ撃たれるソードライフルの速射砲弾が装甲を打つが、重装甲がそれを弾いて散らす。
 瑠璃のスナイパーライフルに至っては、もはやその間合いより大きく内側に飛び込まれマトモな照準と射撃は不可能であろう。
 ――が、それほどの近距離に飛び込んだということは。
 ――この重金属雨が阻む、熱光学兵器の威力が十全に機能する間合いであるということだ。
「緋瑪、陽動ありがとね」
「いいって瑠璃。――やるよ!」
 瑠璃機が背に隠していた高出力ビームライフルから焦熱を帯びた閃光が奔る。
 点での射撃ではなく、迸るビームの帯を剣のように見立てて薙ぎ払う動き。至近まで飛び込み、この距離での戦闘能力を保つ緋瑪機を警戒していた二機のドランギムは、緻密な連携がゆえの距離の近さが仇となる。
 纏めてビームに呑まれたドランギムの二対四本の脚は、いずれも焼けただれことホバー機構に至っては完全に崩壊していた。
『……ッ、この重金属雨の降る中でビーム兵器を……!』
『ぬかった、な。子供と侮ったか……或いは憎しみで目が曇っていたのかもしれないが』
 砲撃後の緊急冷却に入った瑠璃機に代わり、緋瑪機が行動停止した機体のうち片方の頭部にソードライフルの刀身を突き刺し、もう一方は大鎌で引き倒して腕を斬り落とす。
「悪いけど、連携には絶対の自信があるんだよね!」
「これでも一心同体だからね。あなた達に負けるわけにはいかないんだ」
 二人で一人の殺人姫は、しかして倒された兵士を殺めることなく置き去りにする。
 美学など存在し得ない、呪詛に支配された虐殺を止めるために。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
※Ⅳ搭乗

(狂気に増幅された上に人の憎悪を論理で納得させる等不可能。ですが…言わねばなりません、騎士として)

剣を、銃を持つ者はそれを収める責任があります
…例え貴方達の子が、未来を奪われていたとしても…
その行いを絶対に認める訳にはいかないのです!

豪雨で視界不良…ならば…

センサーの優れた情報収集能力でバズの射線見切り、機関銃は盾で防御
ホバー推力移動で間合い詰め

背部コンテナ(物資収納S)からナイフ射出し右腕とサブアームで保持
湾曲するような軌道で●投擲、ノーロック超精密攻撃でバズ破壊
(モーションは自機●ハッキング操縦で実現)

腰から抜き放った剣で撃破

…遣り切れませんね
ガス持ちを追う二人と合流しなくては


羽堤・夏
アドリブ連携歓迎

憎しみを持って命を奪う
それは悪だ…だからあたしが焼き尽くす

猛火の姿で突入、スピードで張り合うのはきついから…力と炎特化の猛火の姿で一撃に重点を置く
砲火の雨は慣れてんだ、必要なら味方のカバーにだって入る
一体に狙いを定めてそいつに怪力のカウンターをぶちこむ

後は敵がこっちを取り囲むまでそれを繰り返すだけだ

あんたらの気持ち、わからないとは言わないよ
それでも今のあんたらは死人に恥ずかしい悪党だ
だから……こいつを使わせてもらう!!

あたしの自爆でキャバリアのみを焼き尽くす
悪も力もあたしが焼き尽くす

守れなかった、みんな死んだ…それでも守り続けるんだ
……いい年した大人が!何やってやがる!!




『私達が最後の砦、か……』
『絶対に死守しよう。死せる者に手向けの花をと誓った同志のためにも』
『ああ、たとえ友軍が相手でも、猟兵が相手だろうともその邪魔はさせやしない……!』
 猟兵の進路を阻むように、最後に残った機体が真っ向から相対する。
 突き進むはセレナイトに似た、しかしより工業機械的なシルエットの白騎士、ロシナンテⅣ。
 そしてその肩より飛び出したのは、紅の装束に身を包む夏である。
 彼我の距離が消費されていく中で射出された物体に、半ば反射のように跳ね上げられたマシンガンの銃口が追随し砲弾を吐き散らす。
 キャバリアにすらダメージを与える機関砲だ。生身の人間が浴びてはひとたまりもない。
 ロシナンテがカバーリングに入るべきかと僅かに加速の姿勢に入ったのを、振り向きざまの視線で制して夏はそのまま弾幕に突っ込んでいった。
「きっかけは確かに聖王国が悪かったのかもしれねぇ」
 肉体のスレスレを砲弾が飛び去ってゆく。掠めただけで五体が四散しそうな衝撃が夏の肌を切りつける。
 知ったことか、と。夏は実際にその身が粉々になるまで止まるつもりはない。そして彼女が纏う凄まじい熱量が、周辺の大気を歪め砲弾を僅かに逸らすのだ。
『あれは……人間なのか!? くそっ、絶対にヤツを通すな……ッ!』
「でもな、憎しみで命を奪うのは悪だ……だからあたしが焼き尽くす!」
 空気中の酸素が発火する。紅蓮の炎が夏の小さな握りこぶしに纏わりつき、そのまま振り抜かれたそれがドランギムの頭部を強かに殴りつけた。
『ぐ……っ、パワーでこの機体が競り負ける……!?』
『だが装甲までは抜かれやしない! そいつの足止めを頼む、我々はあの騎士モドキから仕留める!』
 夏と激突した一機をすり抜けるように、残るドランギムがロシナンテに殺到する。バズーカとマシンガンを手に、雨霞に隠れるように前後の距離を空け撹乱を交えて接近する復讐者の群れ。
「……狂気と憎悪、歪められ増幅された人の感情を論理で説き伏せる……その機能は私にはありません」
 護衛機。儀典機。戦闘用、防衛用。トリテレイアに与えられた役割は多々あれど、弁論でもって人間の剥き出しの感情を制御することはできない。その力を彼は持たない。
 だが、それでも言葉を紡ぐのだ。自身の矜持を貫くために。彼らを止められぬという諦観で見捨ててしまわないために。
「銃を、剣を持つものはそれを振るう権利と収める責任があります」
 バズーカから射出され、煙を曳いて飛来したロケット砲弾をステップで回避――着地の隙を狙ったマシンガンの掃射を盾で受け止め――防御で脚を止め、盾を構えた死角から次のロケット砲弾が飛来――剣で切り払い、爆炎が機体表面を舐める。
「たとえ貴方達の子が、その輝かしい未来を理不尽によって奪われていたとしても……」
 反撃のライフルは滑らかな機動で回避される――残弾ゼロ、ウェポンラッチにライフルを収め――視線は夏の方へ。炎を帯びた拳打でドランギムと渡り合っているが、ダメージは思うように通っていない。彼女が力尽きる前に合流を――一瞬意識をそちらに割かれた、その僅かな間を狙って敵機が肉薄。
 眼前にドランギムの無機質な――だが憎悪にぎらぎらと輝くようにも見えるモノアイが大映しになり、次いでバズーカの砲口が飛び込んでくる。
『死ぬべきでなかった人々の嘆きを、せめて聖王国の人間には理解させねばならないのだ!!』
 トリガーが引かれ、砲弾がバズーカの砲身をなぞって高速で前進を開始――同時、ロシナンテの背部コンテナから射出されたナイフを騎士の右腕が掴み、砲口をナイフの背がかち上げる。振り上げた姿勢、無防備な機体――否。主腕が防御のための斬撃を放った直後、副腕がその刃を受取り投擲――二撃目を放とうとしていたもう一機のドランギムは、砲口に飛び込んだナイフによってバズーカが暴発し擱座した。
「私は貴方達のその行いを、絶対に認めるわけにはいかないのです!!」
 二機目が撃破されたことで生じた猶予。一機目がバズーカを引き戻すより早く、ロシナンテが長剣を抜いて一閃、これを撃破。
『くっ……聖王国の騎士モドキとは違うぞ、距離を取れ! この重金属雲下での戦闘は不慣れなようだ、射撃戦で――』
 蜘蛛の子を散らすようにロシナンテの間合いから離脱するドランギムたちは、しかし彼らの得意とする連携――集合と分散を繰り返すことによる有機的な機動を展開するべく、夏と戦闘を繰り広げあまり大きく動き回っていない機体に向けて集結する。
 そこは既に、致命の罠が張り巡らされていると知らず。
「来たかよ、遅かったじゃんか」
 もう少し集合が遅れていれば、或いは目の前の機体に敗れていたかもしれない。それほどまでの執念、見事である。
 だが、夏は拮抗を保ち続け、そして彼女の最大にして最後の一撃の間合いに敵部隊がすっぽりと収まった。
 賭けに勝ったのだ。
「あんたらの気持ち、わからないとは言わないよ」
 分かるって言えば、それは嘘になるけれど。でも、きっと彼らの悲しみは本物で、この最悪のテロ攻撃もはじめから悪意に塗りつぶされていたわけでは無いはずなのだ。
 でなければ第17部隊のパイロットたちの、通信から漏れ聞こえる声がこんなにも痛々しくて、涙の果てに掠れたような声色をしているものか。
「でも、それでも今のあんたらは死人に恥ずかしい悪党だ」
 だから――夏は、"悪"だけを焼き払う。自らの肉体から噴出する炎を、少女の身体を蝕み焦がす炎をまるで自爆のように瞬時に放出して――
 第17部隊のキャバリアは、黒ずんだ鉛色の空の下に顕現した太陽に飲み込まれて消えてゆく。
 しかし。
「悪党になるなど、はじめから分かっていた! 自己満足に過ぎないかもしれないなど、考えないわけがないだろう! それでもやると、やらねば収まらぬと! だから起った! 私達にしか出来ぬから! 出来ぬ身でそう望む者たちの思いをも預かって!」
 装甲が溶け落ちるほどの高温の中、火器はとうに暴発し粉々になったというのに、僚機の殆どが行動不能に陥り膝から崩れ落ちていくというのに、一機のドランギムが拳を握りしめる。
 マニピュレーターが癒着し、二度とその機体は武器を握れぬだろう。
 構うものか。夏の眼前で立ち止まったその機体は、もはや形すらあやふやな拳を高く振り翳す。
「守れなかった、みんな死んだ……それでも残ったものを守り続けるのが軍人だろうが! いい歳した大人が、何やってやがる……!」
『語るほど生きてもいない子供が知ったような事を言う……! 失えば綺麗事を垂れ流す滑稽さを知る! 人はそれに耐えられるように出来てはおらんのだ……ッ!』
 拳が振り下ろされる。夏は目を固く瞑り、死ぬかもしれぬ一撃の、せめてその衝撃に耐えようと歯を食いしばり――
 だが、横合いからの殴打にドランギムの方が弾き飛ばされ赤熱した機体が雨に冷やし固められ真っ白な蒸気を辺りに吐き出した。
「ご無事ですか、羽堤様。……彼らの叫びもまた、心からのものなのでしょう。……遣りきれませんね」
 だが、感傷に浸る暇はないのだ。進路を塞ぐ護衛隊は排除したが、攻撃隊の先行を許してしまった。足止めに徹する共和国軍の二人も腕利きではあろうが多勢に無勢。悠長にしている暇はない。
「先の一撃、だいぶ無理をされたようですね。もう一度ロシナンテで前線までお連れしますよ」
「はは……悪ィね、すっげぇ助かるよ。こっから走って合流は、ちょっとキツかったんだ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 第17機動防疫部隊の迎撃を突破した猟兵たちは、化学兵器を抱えて戦場を離脱した攻撃部隊を追って斜面を一気に駆け下りる。
 足止めを引き受けたクリスたちの分隊が二度と第17部隊を見失わぬよう一定の間隔で地面に跡を付けていってくれているのを追えば、先程ほどには苦労せず猟兵は彼らの姿を捉えることに成功した。
 ――聖ガディル王国領、サラグスタ市北方二十キロ。
 第17部隊の妄執は、共和国きってのエースパイロットによる阻止攻撃を受けてなお人口密集地までこの距離に至る接近を成し遂げ――そして彼らは失敗した。
 猟兵たちがその姿を捉えたときには、攻撃隊は僅かに数機を残すのみ。
 殆どの機体が荒涼とした岩の荒野を流れる雨水にその骸を晒し、そのいずれもが多方向からの執拗な攻撃で破壊されていた。
 そしてそれを為したものは、猟兵にも牙を剥く。
「来てくれて早々だが、回避しろ諸君!」
 通信が成立する距離に近づくや発されたクリス機からの警告を受け回避機動を取る猟兵を狙い、蒼く輝くビット兵器がミサイルのように飛来する。
『ふゥム。先程の惰弱な連中と多少は違うようであるな……』
 初撃を躱した猟兵を称賛しながら姿を現したのは、セラフィム・リッパータイプのサイキックキャバリア――だが、細身の鳥人めいた機体シルエットは偏執的に施された追加装甲によってより剛健な騎士らしい形状に変化していた。
 飛翔能力と引き換えに防御力を高め、装甲の隙間から無数のビットが出入りするところを見るに攻撃力すらも強化されている。そんなセラフィム・リッパー改とでも言うべき機体は猟兵に向け剣を突きつける。
『貴公らの正体が何であろうと、我が聖王国の土を無断で踏み荒らした以上生かして帰すは騎士の恥である』
『やれやれ熱いものだねマゴーニ卿。ようこそ聖王国へ、この感じは君たち猟兵だろう。てことはさっきマゴーニ卿が蹴散らした連中の機体はオブリビオンマシンというヤツかな?』
 一方でクリスとウィゼット准尉の二人は背に第17部隊の生き残りを庇い、、こちらも騎士の意匠を施したスーパーロボットと睨み合っていた。
 熟練のエースであるクリスがウィゼット准尉の補助を受けてなお攻めるは困難と判断し、膠着状態の維持に全力を割かねばならぬほど追い詰められていながらその機体のパイロットは余裕すら感じられる声音で猟兵たちに第17部隊の正体を問うた。
『そうなら私達と君達に戦う理由は無いわけだ。此方の共和国軍のお嬢さんたちはさておき、君達は共和国兵ではないのだろうし』
『断じて否であるぞカステリオ卿! 聖王陛下のお赦しを得ず国境を跨ぐそれ自体が大罪である! 教義と法の守護者たる我ら正騎士長がその場に居合わせみすみす見逃すわけには行かぬのである!』
 カステリオ卿と呼ばれたスーパーロボットを駆る騎士はどうやら膠着を維持し侵入者を追い返すのが目的なのか、クリスらを倒し切るつもりも無ければ猟兵に手を出すほどの戦意すらも感じないが、セラフィム・リッパー改の方はそうも行かないらしい。
『まずは無法の侵入者たる貴公らを殲滅し、然る後に女の背に守られる惰弱な侵入者も首を斬る。何やら毒ガスなど持ち込んでいたようであるしな』
 ――セラフィム・リッパー改がちら、と視線を向けた先に禍々しいボンベが転がっている。
『あのような野蛮な兵器を使おうとした共和主義者など尊き聖王国の教えに教化する価値も無し! この聖王国第七騎士団長ジョセフィン・ペトロ・マゴーニ自ら、貴公らを処刑した後共和国人を一人とて残さず浄化してくれるのである!』
 膨れ上がる殺気。そして猟兵は気づくだろう。第17部隊の報復は阻止されたが、その憎悪の灯火が眼前の騎士に燃え移ったことに。そして彼の駆る異形の騎士人形もまた、オブリビオンマシンであるという事実に。
 故に、戦闘はもはや避けられない。
支倉・燐華
状況は最悪ではないですが拙いですね
毒ガスを見られたのが痛いですね。此処を切り抜けられてもこれを口実にどんな報復があるのか考えると頭が痛くなりそうですね
いえ先のことより、今をどう切り抜けるのかが大事ですか

ホバー機動で出来るだけ距離を保って、半ば逃げ回るようにしながらマシンガンで牽制しつつバズーカで攻撃します
相変わらずの天候でビットの視認が難しいですねっ
殆ど感で回避とマシンガンでの迎撃をしますが、何処まで持つか
それにあの剣は、ヒートダガーでは受けきれないでしょうし、ドランギムの装甲でも耐えられそうにないですね
せめて、ボンベの回収だけでもっ
後々のことを思えば物証を確保されるのだけは避けたいですしね


ルイン・トゥーガン
アドリブ歓迎

毒ガス攻撃が成功しちまうのよりはマシだが状況はよくないね
敵によって毒ガスを見られたうえで阻止されたのは始末が悪いね

サブアームのサブマシンガンで牽制しつつ肩部ミサイルポッドから4発の中型ミサイルを放つよ
更に一発の放射能マーク付きのミサイルを放って、敵が動揺した瞬間に自分で撃ち落とすよ
ハッ、それは核じゃなくて閃光弾さ。閃光に紛れて両手にビームソード2本持って接近戦を挑むよ
バズーカもライフルもなしにビット相手に射撃戦なんてできないからね
さて、これで敵はあのボンベが本当に毒ガスかどうか判断できなくなったはず、後はこっちでボンベを回収さえできれば……
……残りのミサイル一発は最終手段さねっ




 地にぶつかり弾けた雨粒が霧のように立ち込める、地表スレスレの超低空を蛇のように這って飛来したビットを燐華のドランギムがマシンガンで薙ぎ払う。
 半ば直感頼りの迎撃を浴びて散開したビットの間を切り開き、巨剣を携えた有翼の騎士が疾駆した。――激突。
 肉厚の大剣がドランギムから放たれたロケット砲弾を真っ向正面から叩き切り、爆炎が騎士甲冑めいた増加装甲を舐めて橙色に輝かせる。
『逃げ腰で吾輩の相手をしようとは無礼千万である!』
「――拙いですね。状況は最悪ではないですが……」
 引き剥がせない。ドランギムは重キャバリアとはいえ機動性に優れた機体だというのに、セラフィム・リッパー改はしつこく食い下がる。聖王国における将軍位、騎士の長たる正騎士長ともなれば機体特性の優劣を理解し、それを戦術で埋めることなど容易いと言うことか。
 燐華に減速を強いるように襲撃を繰り返すビットは、辛うじて被弾こそ避けているものの着実に疲労を蓄積させ、迎撃や回避のためにかの騎士との距離を犠牲にすることを強制される。
 そして万に一つも追いつかれれば――ドランギム標準装備のヒートアックス以上に破壊力を有するであろう、あの大剣を短剣一本で捌き切るのは如何に燐華といえども至難を極める。そこにビットで横槍など入れられようものならその時点でおしまいだ。
「これほど厄介な相手に毒ガスを見られてしまったのが本当に痛いですね。此処をなんとか切り抜けられても――」
『機動に乱れが見えるのである! 我輩を思索の片手間で相手できると思うておるのか!』
 振り落とされた大剣がバズーカの砲口を掠め、拉げたそれは砲弾の射出能力を喪失する。無理に撃てば自爆必至のそれを放り捨て、マシンガンの弾幕を浴びせれば残り僅かな残弾が誘爆し、爆風が追撃せんと迫りつつあったビットを吹き飛ばして攻撃を阻止する。
 が、そこまでだ。ドランギムのマシンガンではあの異常な重装甲を貫徹するには残弾が心許ない。ヒートダガーであれば或いは装甲の隙間を狙い有効打を与えうるやもしれないが、それが届く距離まで詰めるならば燐華も命のひとつふたつを捨てるくらいの覚悟が必要だとすら思う。
「ならばせめて物証を残さないことを重視しましょうか」
 故に、燐華は選択する。この場での戦闘における勝利ではなく、共和国と聖王国の戦争における共和国の勝利――すなわち一部将校の独断による毒ガス攻撃という事実そのものを無かった事にする、という道を。
 幸いにも毒ガスを見たのはオルビオ山中に展開していた聖王国哨戒部隊――こちらは第17部隊との交戦で全員が戦死。
 そして眼前の騎士団長たち二名だけだ。立場ある上級将校とはいえたった二人。共和国製の毒ガスボンベそのものを聖王国が自国領内で確保した、という事実さえなければ彼らがどれだけ訴えようと聖王国内部はともかく国際的には信憑性の乏しい言い掛かりとして処理もできる。
「これを口実にどんな報復攻撃があるのかと思うと頭が痛くなりそうですが、諸外国からの袋叩きを避けられるのならば……いえ、今はこの場をどう切り抜けるかが大事ですか」
 逃げながら、バズーカを失い空いた手でボンベの一つを回収したドランギム。
 そのすぐ後ろにセラフィム・リッパーが迫る。
『そのようなものを抱えたまま、神聖不可侵なる我らが父祖の地を歩むことなど許されぬのである!!』
 振りかぶられた大剣。数秒後には燐華の機体を叩き潰す事ができる間合いに踏み込んだその機体は、しかし刃を引き下ろし盾とする。
「そのまま北へ、共和国領まで逃げっちまいな! 見られたモンはしょうがないが、渡してやる義理はないさね!」
 ビットの迎撃を切り抜けた僚機の援護が間に合ったのだ。サブマシンガンを乱射しながら突進するアマランサスが、肩部の六連装ランチャーからミサイルを斉射する。
 四発の誘導弾は空中でうねりながら時間差で着弾し、騎士の一刀両断で全滅することを避けて火焔を叩きつける。
『新手であるか! 一騎討ちに水を差そうとはなんたる無粋!』
「アンタの国では女のケツを追い回すのを一騎討ちって言うのかい! 面白い言い回しじゃないさ!」
『何という愚弄をッ!』
 更に相手を罵ることで、爆炎を切り裂き現れた、頭に血が上った狂騎士の注意を完全にひきつけたルイン。
 これでいい。燐華の機はマシンガンも投棄してさらにもうひとつボンベを回収し、共和国領に向け撤退してゆく。あれをマトモな共和国軍部隊に引き渡せば、こんなバカげた戦闘が二度起こることはあるまい。
「あの子の分はひとまず安心かねぇ……」
 他の連中も騎士様との殴り合いもそうだが、毒ガスを置いて行かないという事に気づけばよいのだけれど、とルインは独り言つ。
 ともあれ振り下ろされる大剣をホバー機動で回避し、ミサイルで多少は焼け焦げた装甲にサブマシンガンの弾幕を浴びせるアマランサス。が、やはりというべきか貫通力よりも弾丸をバラ撒く事を重視した火器では装甲の表面で弾け、或いは多少カドを欠けさせる程度が限界か。
「至近距離からヤワいところに撃ちまくるくらいでなきゃロクに通じないか。面倒な改造をしてくれるもんさね!」
『小石のような銃撃をチマチマと! 共和主義者に与する軟弱者らしく人を苛立たせることばかりは一人前であるな!』
 斬撃が繰り出される――寸前、ルインはアマランサスの残る二発のミサイルのうち右肩側の一発を発射する。狙いはセラフィム・リッパー改ではなく直上。かの騎士に見せつけるように打ち上げたそれは、
『反応兵器! 貴様らどこまでも卑劣な……ッ!』
 生物、化学兵器と並ぶ三大禁忌がひとつ。その証左である禍々しいマークをペイントされたミサイルは高く打ち上がり、マゴーニ正騎士長の視線がそちらに向いた瞬間にルインは機体を兼の間合いから抜け出させて銃を高く掲げる。
「装甲は抜けないが飛翔体を撃ち落とすならこれが一番さね! しっかり目に焼き付けたかい!」
 サブマシンガンが吐き出した弾丸の渦がミサイルを打ち抜き起爆する。
 果たして生じたのは周囲一帯を、それこそ聖王国軍が守ろうとしたサラグスタの街すらも飲み込む原初の火――ならず。
 曇天の下に生じたのは太陽ではなく一瞬の星灯り。目を焼き潰すほどの閃光だ。
『くゥ…………ッ。目がッ! おのれェィ!』
「はっ、そいつはタダの閃光弾さ!」
 弾薬を吐き尽くしたサブマシンガンをマウントに戻し、ビームソードを抜刀したアマランサスが駆ける。
 目を焼かれ狼狽えたセラフィム・リッパー改目掛けて振り抜かれた二刀は、装甲の一部を確かに溶断し無力化せしめる。
 すかさず離脱するアマランサス。欲を掻いて追撃しようものなら、被弾の衝撃で此方の位置を予測した盲剣がアマランサスのコックピットに叩きつけられていただろう。
「引き際が肝心ってね。最後の一発、使わないに越したことはないのさ」
 ブラフではない正真正銘の禁忌を抱えたまま、アマランサスはセラフィム・リッパー改の間合いから抜け出してゆく。
 それに先の一撃はただのブラフ、目くらましに留まらない。
 禁忌に偽装した小細工――褒められた戦術ではないが、それでもアレを見せたことでボンベの中身が必ずしも毒ガスであると主張できなくなるだろう。
 現物さえ聖王国の手元に残さなければ、毒ガスのボンベに封入した色付きスモークで恫喝しようとした、などと言い訳も立つ。
「だから一個もボンベを置いて帰るんじゃないよ……!」
 自身も手近なガスボンベを回収し、共和国領へと撤退するルイン。
 まだ歯止めが効く戦いなのだ。双方なりふり構わない殺し合いとなるか、戦争のカタチを保てるか。
 その分水嶺こそここにあると、歴戦の海兵はそれを知っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
言わんこっちゃない……!
アイツら、憎しみを連鎖させやがって!
オブリビオンマシンの影響だけじゃ、
あの状況にもならなかっただろうに、ってもたらればか!
こうなりゃ物理的に説得と行くか!

einherjarを展開して『弾幕』と『盾受け』でビットの動きを抑えつつ、
『ダッシュ』でマゴーニ卿の懐まで潜り込み、
『グラップル』で抑え込みながら
接触通信回線を開いて問い質すよ!

騎士様の誇りが聞いて呆れるね、それじゃ獣と一緒じゃないか!
相手は獣からヒトに戻った、アンタは獣のままでいいのか!?
思い出せよ!騎士の誓いを立てた『あの時』を!

そう『鼓舞』しつつ【時縛る糸】で動きを止める!
後は任せた!


羽堤・夏
…人の命に価値付けるやつはあたしの敵だ
悲しさの連鎖も理不尽の押し付け合いも、皆あたしが焼却してやる!!

あっちのスーパーロボットさんを巻き込むわけにもいかないので自爆はできる限り限定的に。
猛火から太陽の姿にチェンジしビットに空中戦を仕掛ける
オブリビオンマシン相手に助けるべき人を背にして、出し惜しみはしない
最初から強化形態で殴りこむ
ビットが光学兵器ならあたしの熱で反らせるし、実態兵器なら余計に好都合
耐熱限界は何度だおい、太陽の熱量甘く見るなよ…!
ビットというビットを焼き尽くして狙うは装甲の隙間、ビットの出入り口
光球で溶かしきってやる!
毒ガスがでちまったら…広がる前に飛び込んで最大出力で消滅させる




「うっ、うわぁぁぁぁッ!!」
 また一機、孤立した第17部隊の残存機が墜ちる。聖王国のスーパーロボットと対峙する第38胸甲騎兵中隊の二機はあれの牽制で手一杯なのだ。セラフィム・リッパー改ほどの憎悪も殺意も見せないたった一機のために、共和国軍のトップエースの一角が完全に身動きを封じられている。
 それが故に庇護を零れ落ちた機体は、剥き出しの殺意が半ば自動制御のように使役するビット兵器に追われて狩られるのを待つしかない。
 ボンベを排除し身軽になってなお、都市攻撃装備のドランギムでビットに対抗する術は十分ではない。ビットから放たれたレーザーが雨に乱反射して煌めく頃には、ドランギムの四肢は赤熱し弾け飛んでいた。
 瞬く間に戦闘能力を完全に喪失し泥に転がるドランギムの胴。そのコックピットを狙い、さらにビットが殺到する。
「ひっ……!」
 憎き侵入者を、愛する祖国に毒を撒かんとした悪しき敵を撃つべく聖王国の掲げる"正義"の光が今まさに放たれようと――
「やらせねぇ! もうそいつは戦えないだろ!!」
 その横合いから炎が割り込んだ。山吹色のそれは、手にした盾でビットを横合いから強かに打撃し吹き飛ばす。
 ――夏だ。その目に怒りを宿し、憎しみの連鎖を此処で断ち切るために少女は再び生身で機械の巨人に立ち向かう。
「こんな悲しみの連鎖も、理不尽の押し付け合いも此処で終わらせなきゃならねぇ!」
 更に迫るビット。放たれたレーザーを盾で防ぎ――機動兵器の装甲すら灼き貫く高熱に、夏もまた身の内から湧き上がる炎の熱さで対抗し――照射が中断した隙に肉薄してそれを蹴り落とす。
「そこのパイロット! 機体を捨てて逃げな! それまでアタシが護ってやる!」
「ほ、本当に大丈夫なのか!? この中に居たほうが……」
「身動き取れねぇままそこで焼き殺されたいってんじゃなきゃアタシの言うことを聞いてくれ! もう誰も死なせたくないんだよ!」
 夏の真摯な叫びを受け、擱座した第17部隊機のパイロットは暫しの逡巡の末機体を放棄して脱出する。
 それでいい、と夏は彼を背に守り飛来するビットを叩き落としながら頷いた。どうやらあのマゴーニとか言う騎士は、彼らを扇動し報復に駆り立てたオブリビオンマシンを破壊していたらしい。そうでなければ双方一歩も譲らず互いに殺意を塗り付け合う泥沼の戦いになっていただろうから、そこだけはあの騎士の手腕に感謝せねばなるまい。
 尤も、撃破された機体の傷の具合……執拗な攻撃で無力化した上でコックピットを潰すやり口には、まったく賛同できかねるのだけれど。
「あのビットがある限り、また誰かが落とされちまう……だけど、下手に範囲攻撃を出すわけにもいかねぇ」
 脱出した共和国軍パイロットは生身だ。それに、彼が無事に範囲外まで逃げ延びたとして。クリスと対峙するあのスーパーロボット、オブリビオンマシンではないらしいあの機体を巻き込む気にはなれない。
「どうしたもんか……行かせねぇよ!」
 夏をすり抜け脱出したパイロットを狙うビットに拳を叩きつける。――数が多い。自身を狙う分にはその身の熱で大気を歪め、或いは蒸発させた重金属雨が発生させるレーザー撹乱幕がその照射を無力化するが、他者を狙うそれは一基ずつ丁寧に落とす必要がある。
 それはたった一人の少女にとって、あまりにも重い負担となってのしかかる。
 如何に夏がビットに対して相性がよかろうと、一人で処理できる数には限界があるのだ。
 その処理限界を飽和する寸前の物量、それに対処する間に母機そのものが夏をすり抜け、脱出したパイロットの背に迫る。
 すれ違いざまに夏を睨めつけ、嘲笑うような機械人形の視線。騎士を模したサイキックキャバリアの成れの果ては、抵抗する力を持たない生身の人間にその暴虐を振るわんと迫る。
『逃がすものか! 罪人は死して地獄に送られるべきである!』
 夏は間に合わない。キャバリアの駆動音に振り返ったパイロットの顔が恐怖に歪む――その表情が、少女の心に絶望とともに刻みつけられ――しかし紅がそこに割り込んだ。
 金属同士の激突音。シールドビットがクリスタルビットのレーザーを防ぎ、振り下ろされた大剣を左腕の大型クローで受け止めたOveredのコックピットで、シートに跨る多喜は間一髪救援が間に合ったことに安堵の吐息を零し、すぐさま眼前の騎士機を睨みつける。
「生身で逃げる相手にキャバリアで追撃たぁ、騎士様の誇りが聞いて呆れるね! それじゃ獣と一緒じゃないか!」
『下郎が騎士のなんたるを語るであるか!』
 弾かれるように距離を取る二機。そして両者同時に再び前進し、大剣と鋼爪が火花を散らす。
「憎しみに駆られて手当たりしだいに武器を突き立てて、それがヒトの戦い方かよ! アンタの言う騎士ってのはそんなヤツの事を言うのかい!?」
『非道で以て守るべき民を脅かさんとする者、生かして帰さば繰り返さぬ保証が何処にある! 我輩は騎士として悲劇の芽を摘まねばならぬのである!』
「だったらやり方を考えろってんだよ! 思い出せよ、アンタのなりたかった騎士ってのはそんなもんかよ! 騎士の誓いを立てた『あの時』のアンタはどうだったのか振り返ってやがれ!」
『問答は無用ッ! 邪悪誅すべし、それは過去も今も変わっておらぬのである!』
 流石の騎士団長格、マゴーニ操るセラフィム・リッパー改の刃はぶつかる度に鋭さと重さを増し、多喜のOveredを追い込んでゆく。
 対して多喜は言葉で揺さぶりをかけようとするが、騎士はそれに聞く耳を持たない。
 ――アイツら、憎しみを連鎖させるからこうなっちまう……!
 第17部隊の行いが悪である。マゴーニ卿の理屈も一面では正しい。その正しさが、オブリビオンマシンに増幅されたエゴを頑強に固めてしまったのだ。
「ただのオブリビオンマシンとの戦いならこうはならなかっただろうに、ってもたらればか……!」
 ついに防御姿勢が崩される。振り払われた剣に爪が弾かれ、Overedの護りが失われる。――が、時間稼ぎは成った。
「長くて一分半! どこまでやれるよ!?」
「そんだけありゃ、どこまでも!」
 防御を崩されたOveredから、思念の糸がセラフィム・リッパー改に絡みつく。
 騎士を絡め取る紅い蜘蛛の罠。それはマゴーニ卿の、セラフィム・リッパー改の主観時間を極限まで減速させる疑似時間兵器だ。
 そしてその蜘蛛の巣を駆け上がり、ビット群を処理した小太陽が騎士の甲冑、その隙間に内蔵されたビットコンテナを目掛けて閃光と化した炎の球を叩きつける。
 停止した騎士は、彼にとって一瞬にも満たぬ間に主要なビットコンテナの幾つかを失う大きなダメージを受けたのである。
 再び時間が動き出す前に、それを為した多喜は毒ガスのボンベを、夏は逃げるパイロットを抱えて撤退する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・ひかる
正直、領土を侵犯した相手を斬って捨てるというのは正しい判断だと思います。
「あんなもの」を持ち込んだ上に、非戦闘員虐殺の意思ありの輩をみすみす逃がしたとあれば、近隣国家から舐められかねません。
戦争中とあれば尚更ですよね。
ですが……ごめんなさい。
わたしはここで死ぬ訳にいきませんし、なによりたった今新しい仕事が増えましたので。
……貴方のオブリビオンマシン、壊させていただきます。

ビームを撃つのに翼を向ける事前動作が必要な上、狙いが正確なら射線の推測は可能
なので【闇の精霊さん】発動
二丁拳銃で牽制しつつ、射線上にマイクロブラックホールを盾のように置いてビーム吸収
そのまま吐き出してカウンター攻撃を仕掛けます


ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎・M~L

今回についてはそちらが正しい
事が事だ、何なら外交筋から非難すればいい
その連中はこちらで…共和国側で然るべき罰を受けさせる
それは約束する
だから、今すぐその剣を下げて退いちゃくれないか?

■方針
UCを発動、敵の情報収集を開始

停戦の呼びかけ
無理だろうが呼びかけを行ったという事実だけは残す

戦闘が続くのであれば情報収集を継続、瞬間思考力でまとめ続ける
完了までは継戦能力で耐える

完了後は制圧射撃/弾幕を張り、厄介なビットを圧し止め
覚悟/限界突破/推進移動で吶喊
斬撃をダインスレイフので受け流し、零距離でショットガンの重量/貫通攻撃を叩き込む

「警告はした、後は俺の仕事をするだけだ」




 破損した装甲を強制排除し、溜め込んだ熱量を膨大な蒸気として噴出するセラフィム・リッパー改。
 豪雨の中に霧を生み出し、その中で揺らめくように見え隠れする騎士の姿は幽鬼のようにおぞましい。
「今回についてはあちらさんが正しい、んだがな」
「領土を侵犯したのも、"あんなもの"を持ち込んだのも共和国ですからね……」
 やるせなさを滲ませ、ヴィクターとひかるが呟く。戦争状態にある隣国に武装したキャバリアを侵入させた。それを迎撃するのは聖王国の騎士にとって当然の義務であり、ましてその侵入者が非戦闘員虐殺すら掲げていたのだ。
「共和国側で然るべき罰を受けさせることを約束する。だから退いてくれ、ってのは――」
「聞いてくれないでしょう。はいそうですかと見逃せば舐められます。でも……」
 だからって、機体を放棄した生身のパイロットすら執拗に攻撃するかの騎士の行いを見過ごす訳にはいかない。それがオブリビオンマシンによって為されると言うならば、なおさらに。
「ダメ元だが停戦の呼びかけは続ける。あくまでこれは自衛戦闘だ、いいな?」
「わたし達が聖王国領を進撃する意図はない、と示す必要があるんですね」
 自身の思惑に理解を示したひかるに、上出来だと教え子を見るような優しい視線を向け、ヴィクターは操縦桿を握る指に力を込める。
「俺たちの仕事は毒ガス攻撃の阻止と、第17部隊の連中をふん縛って共和国の法廷に連れ帰ることだ」
「加えて猟兵として眼前のオブリビオンマシンを破壊する……ですね。本体の抑えはわたしが行きます! 援護、お願いしますっ!」
 ステラが煙幕めいた蒸気の中に突入する。ステラの機動性ならば剣の間合いに拘束される心配は薄い。そして近距離ならば銃撃戦ならば小回りの効くハンドガンのほうが、おそらくセラフィム・リッパー改も装備しているであろう背部ビームカノンより有利だ。
 尤も、装甲を排除してなお増加装甲の尽きる様子のないセラフィム・リッパー改にハンドガンの弾丸では致命傷を与えることはできない、それもまた事実。
 それでも行くひかるの狙いは、ヴィクターが停戦を要求した記録を残す時間稼ぎだ。
『新手であるか! 小煩い攻撃、だが通じぬのである!』
「それは承知の上です! その上でわたしはここで死ぬつもりはありません!」
 ぶん、と振り払われた大剣の下を潜り打ち上げるように二丁拳銃で銃撃。装甲表面で弾丸が砕け、火花となって霧を光らせる。
『鼠のようにチョロチョロと不快であるな! ならば――』
 通じぬとは言え発射炎の閃光と着弾による微細な衝撃はマゴーニ卿の精神を苛立たせ、その注意力を疲弊させる。それが剣捌きにほんの僅かにでも影響すれば、ひかるの生存確率は比例して上がってゆくのだ。
 が、それは相手が通常の兵器しか持たないならばの話である。
 視界が極端に劣悪な霧の中、伏せられていたビットが猟犬のようにひかるの背を食い破らんと忍び寄る。
「――この戦闘に関しては外交筋で非難すればいい。俺たちが侵入してそちらと交戦した事実までは否定しない。だが」
 ハンドガンとは比較にならぬ轟音。プレケスのショットガンから撒き散らされた散弾がビットを打ち据え、空中にいくつかの爆発を生み出した。
「殺し合いは本意じゃない。こっちはそこらで転がってる馬鹿野郎どもを共和国の軍法裁判に連れていけりゃいいんだ。それ以上のことを望んじゃいない。この戦闘は無意味だ、停戦を要求する」
『共和主義者の物言いを信用できるものか! 条約を無視してこのようなものを持ち込む野蛮な民族のことなど! 我等が敬虔な信徒を虐殺せしめんとする罪人はこの手で処断せねばならぬ!』
「っ……これが、憎しみを焚べた戦争なんですね……!」
 理屈は通っているようで、その根底にあるのは憎しみだ。過去の歴史がどうだったのか。そこからどういう教育があって、こうなったのか。それはひかるの知るところではない。が、この騎士が抱く共和国への憎悪は本物だ。
 オブリビオンによる本能的な生命への憎しみではない。ヒトの感情から来る生の憎悪を至近距離で浴びて、ひかるは一瞬たじろいだ。
 その隙を見過ごす正騎士長ではない。僅かに挙動が遅れたステラを、肩越しに前を向いたビームカノンの砲口が捉えた。
『戦場で迷いを抱くとは愚か! 共和主義者に与する者よ、死ね!』
「――っ! 闇の精霊さん!」
 回避機動は間に合わない。既に発射されつつある光速のビームを、何の精霊の加護もないまま至近距離で回避しうる機体ではない。
 故にひかるの選択は防御だ。間に合うかはわからない。だが、やらぬ訳にはいかない。
 果たして放たれた閃光は、ステラの装甲を灼き貫く寸前で押しつぶされるように捩じ曲がり、空中で歪みながらぐるりと渦を巻いてセラフィム・リッパー改へと打ち返される。
『面妖であるな! 悪魔の機体めが!』
 それを防御された時点で反撃を予期して大剣を構えていたセラフィム・リッパーが、反射されたビームに左肩部装甲を焦がしながらもすかさず斬撃を放つ。
「――殺し合いは本意じゃないと言ったろ」
 反射攻撃を終えたステラとセラフィム・リッパー改の間に割り込んだプレケス。ヴィクターは自身の命すら投げ出す覚悟で、まだ若いひかるを庇うために飛び込んだのだ。
 左腕部に圧縮展開された防御フィールドが刃と激突し、その重量に肩関節が悲鳴を上げて基部から脱落する。
 直撃を避けてこれだ。ぶつけられた衝撃だけで片腕を失ったことに冷や汗を流しながら、ヴィクターは右腕のショットガンを焼き焦げた敵機の左の肩に押し当てる。
「殺すつもりはないが、殺させるのも御免なんでね。俺は自分の仕事をさせてもらうぜ」
 砲声。プレケスの銃口から吐き出されたのは散弾ではなく大口径の一粒弾。
 それがビームの照射を受け劣化した装甲を食い破り、セラフィム・リッパーの左腕を自身と同じように破砕する。
『ぐっ……この機体の装甲を貫くとはッ!』
「これでイーブン、だが……流石にこれ以上は無茶がすぎるな。ひかる嬢ちゃん、すまんが今のうちに撤退する。手を貸してくれ」
「は、はいっ。……ありがとうございました」
 自身を危険に晒しても庇ってくれたヴィクターに頭を下げるひかるに、歴戦兵は苦笑する。
「若者を守るのが年長者の役目ってやつだ。あまり気にするこたぁない。死んだわけじゃないしな」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イザベラ・ラブレス
ハハハ…はぁ
毒ガス部隊を追ってたら騎士団長とかち合うとかツイてないわー
おまけに向こうさんも殺る気マンマンだし
ツイて無さすぎて涙が出るわ…

だけど…ここは持ち札で何とかするしかないわね、うん

あの言動からして根は絵に描いたような騎士だろうから決闘を提案してみる。
下手に動き回られたくないしね

猟兵と言え私は生身、貴方にも十分勝機はある。
来いよマゴーニ。手加減とかせずかかって来なさい!

斬撃は戦闘知識と見切りで剣筋を読んで回避、懐に駆け込めば自慢の斬撃も届かなくなるでしょ!

さぁ、ここからはショータイムよ!
脚をへし折る勢いで2回攻撃で右左と叩き込む!
覚えておきなさい、荒野世界の令嬢は拳闘も嗜んでるって事を!




『強化歩兵が! 従士の分際で出過ぎた真似をしたこと、後悔しても遅いのである!』
 左腕を戦闘で破損し、だらりと胴からぶら下げたセラフィム・リッパー改が大剣を振るう。
 地面を剣先が撫ぜたことで、重金属混じりの泥が飛び散りイザベラの頬にへばり付いた。
「こんなトコで騎士団長とかち合うとかツイてないわー」
 機械の巨人が振るう質量という殺意を秘めた刃を跳躍で回避しつつ、歩兵としては重装の、しかし対キャバリアを考慮すればあまりにも心許ない装備に身を包んだ令嬢はマスクの裡で苦笑する。
「おまけに向こうさんは殺る気マンマンだし。ホント涙が出そうな状況ね」
 ホルスターから引き抜いた大口径拳銃が、常人であれば肉体を引き千切ってしまうほどの破壊力を秘めた弾丸を射出する。
 反動で跳ね上がろうとする銃口を腕力――装備のパワーアシスト機構も含む――で抑え込み、二射、三射。狙うはセンサーの集中する頭部。対キャバリア専用の火器を持たない歩兵の火力でキャバリアを攻略するには、目を潰すのはほぼ唯一の手段だ。
『狙いやよし! だが我が信仰の具現たるこの機体に不信心者の弾丸が通用する道理はない!』
 しかしイザベラの撃ち込んだ弾丸は、センサーを覆い隠す装甲バイザーに阻まれてしまう。全弾撃ちきって硝煙をくゆらせる拳銃からシリンダーを外し、次を込めようと――だがその前に大振りの大上段が地面を叩き、間一髪飛び退ったイザベラの身体に砕けて飛んだ石塊が次々に襲いかかった。
「っつぅ……! 持ち札でなんとかするしか無いって言っても、銃が効かないんじゃどうしたものかしらね……」
 あるいはその身に宿る魔獣を繰り出せば、とも思うがガチガチの宗教戦士が相手だ。万が一彼をしてあの騎士を無力化しきれなかった時、自身がどうなるか……少し考えたくない末路が脳裏に浮かぶ。
「はぁ…………結局最後に頼れるのは自分の力だけ、ってことか。やるならせめてあいつが印象通りの騎士って祈るばかりね」
 拳銃をホルスターに収め、無手でセラフィム・リッパー改の前に立つイザベラ。拳を握りしめ、拳闘の構えで巨人騎士を睨みつける。
「私はラブレス家が長女イザベラ・ラブレス! 聖王国騎士に一騎打ちを申し込む!」
『ほう……知らぬ家だが貴族の作法はわきまえておるようであるな。従士と侮った点は詫びようぞ。だが強化歩兵が騎士に一騎打ちの申込みとは正気であるか?』
 覆しようのない体格とパワーの差。まして人類の持ちうる最も強力な武器――少なくとも一般人類にとっては――である銃火器が通用しない相手に一騎打ちを挑むとは。セラフィム・リッパー改のコックピットでフルプレートに身を包んだ騎士はイザベラを憐れんだ。勝てぬことを悟り、せめて貴き血の誇りを汚さぬ形で敗死しようというのだろう。見事であるが哀れな女だ、と。
「……返答は如何? レディからのダンスのお誘い、まさか蹴ったりはしないでしょう。此方は生身でそっちはキャバリア、勝機はそちらにあるのだもの」
『いいだろう、貴公には他の者より尊厳と名誉ある死を約束するのである。我輩らの教えに則ったやり方で良ければ弔いもあげると誓おう』
「そいつは無用よ。いざ!」
『――参る!!』
 セラフィム・リッパー改の剣が大気を引き裂き、真空が空気を引き戻す際に生じる突風がイザベラの濡れた髪を暴れさせる。
 大振りではあるがその刃は先程までとは明確に違う鋭さがある。殺意に振り回される刃に誇りが加わったような。
 ――厄介になったものだ、とイザベラは呼吸すら忘れそうな紙一重の攻防の中でマゴーニ卿の練度に舌を巻く。これほどの使い手ならば一騎打ちは失策だったか。だがいまさら逃げられはしない。
 泥で滑る大地を確りと踏みしめ、駆け抜け、転がり、跳躍して剣を躱し――好機。胴をすり潰す高さで薙いだ刃に跳び乗り、硬いその上を力いっぱいに踏みつけ疾駆。
「ひとつ教えておいてあげるわ!」
『なんとッ……!』
 拳を握りしめ、剣から腕に、腕から肩に。脚部が狙えればそれが最良だったが、マゴーニ相手では反撃で蹴り殺される可能性もある。だから――
「荒野世界の令嬢はね、拳闘も"人並み"に嗜んでるのよ!」
 セラフィム・リッパー改の側頭部にイザベラの拳が突き刺さる。
 右。左。カメラアイを守る装甲バイザーの基部に叩き込まれた強烈な打撃が、それを固定するボルトをみしりとへし折った。
 ――そして反復の右。バイザーが弾け飛び、セラフィム・リッパー本来の頭部が露わになる。
 その片目に左の拳を叩きつけ、ついでに頭部に収まる何かの機械を適当に掴んで引き抜きながらイザベラは機体から飛び降りる。
 視界の半分と某かの機能を喪失したセラフィム・リッパー改は、よろめくように後退し――バランサーを破損したのだろう、剣を杖のようにしてなんとか転倒を阻止する。
 そうなればもはや、重い機体を維持するは困難。
 必要最低限のものを残し重厚な増加装甲を脱ぎ捨ててゆく騎士を背に、イザベラは勝利を誇示するように拳を突き上げる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「へぇ、その教義と法には民間人の殺戮推奨とでも書いてあるのかな?それとも、他国の人間は幾ら殺しても構わないとか?随分と勝手で都合の良い騎士サマだね」
瑠璃「彼らの毒ガスはやり過ぎだけど、聖王国の民間人をも巻き込む侵略・蛮行、私達だって許してるわけじゃないからね」

UCで二機を合体。
統合した武装により、ソードライフル二丁とミサイルの弾幕を張って敵の剣の間合いから離脱。
敵がビットで迎撃を掛けた瞬間、ジェノサイドボムによる広域爆破とヴェスバーのビームによるなぎ払いで敵ビットを撃墜。
解放した切り札「オメガ・ノヴァ」で消し飛ばすよ

緋瑪「飛翔能力の喪失が仇になったね!」
瑠璃「その機動性じゃ逃がさないよ」


トリテレイア・ゼロナイン
※Ⅳ搭乗

ボンベ回収狙う為正騎士長達の動向情報収集
刀の軌跡見切りその腹を剣盾で打ち払い

同じ騎士として、使命の重さは理解いたします
されど…!

切り結ぶ際中二機の正騎士へナイフ投擲
柄に潜ませた妖精を敵機内部侵入
「戦闘記録機能」破壊
ここまで全ての機体の残骸に施したように

これで第三国が旗色変える口実足り得る動かぬ証拠は消失
条約違反の証拠はお二方の証言のみ

罵って頂いて結構
聖王国哨戒部隊の名誉を愚弄する行いです

ですが騎士として許容出来ぬのです
人を煽り狂わす機械の為に流る血と災いが更に増える等

私は聖王国市民だけでは満足出来ぬ愚か者ですので

煙幕手榴弾投擲し妖精自爆
軽微損傷させ追撃妨害
ボンベ回収
共和国機かばい離脱




『聖王国騎士として、我輩は侵略者に屈するわけにはいかぬ。この頸斬り落とされようと、その時まで戦い続けねばならぬ! 全ては敬虔なる信徒と尊き教えを守るために!』
 騎士甲冑を脱ぎ捨て、本来の姿に近いカタチを取り戻したセラフィム・リッパー改。中破してもなお不退転を示すその騎士の前に、二機のキャバリアが立ち塞がった。
 毒ガスを封入したボンベを回収し撤退していく猟兵たちを追わせまいと、トリテレイア操るロシナンテが、そして四季乃の双姫が駆るジェミニオンが武器を構える。
「仰ぐ旗は違えど、同じ騎士。貴方の使命の重さは理解いたします」
『ならば其処を道を空けるがよい。我輩は罪人を逃がすわけにはいかぬ』
 トリテレイアが理解を示す。マゴーニは拒絶を以て応じる。
 罪なき敬虔な信徒を殺めようとした毒ガス攻撃、その証拠を得て共和国を断罪する。さもなくばあれらはこのような大罪を繰り返すだろうという論理は、マゴーニが抱く、いいや聖王国という国家そのものが抱く共和国への不信の現れだ。
「敬虔な信徒だって。その敬虔な信徒さん達が信じる教義と法には、異教徒なら民間人はいくら殺してもいいとか書いてあるのかな?」
 くすくすと嘲るように、しかし確かな怒りを込めて緋瑪がマゴーニの信じる聖王国の正義を糾弾する。
「そんなのが罷り通るんなら、随分勝手で都合のいい騎士サマなんだね」
 瑠璃と緋瑪は知る。共和国東部の戦いで、逃げる避難民を踏み潰しながら軽装備の共和国軍を蹂躙した聖王国騎士団の所業を。
 そして第17部隊の血を吐くような恨み言を通じて、開戦の折には首都市街地でのテロに乗じて被害を拡大させ、その進行ルート上の南部では都市を焼き払うような強引な侵攻を行ったこともまた、猟兵らの知るところとなった。
 それを良しとして共和国の報復攻撃の手段をあげつらい悪と謗るのはあまりにも身勝手が過ぎる。比較的感情を表に出す緋瑪だけでなく、瑠璃も怒りを滲ませてマゴーニのセラフィム・リッパーを睨みつけた。
「彼らの毒ガスはやりすぎだけど、それを使うほど憎まれた聖王国のやり口は私達だって許しはしないから」
『――もはや語るに及ばぬであるな! 我輩は共和国の蛮行を許す気はなく!』
「私達はあなた達の凶行を許さない」
 最初に動いたのはジェミニオンだ。ロシナンテを置き去りに前進した複座の一機は、ライフルとミサイルの分厚い弾幕を展開しながら揺さぶりをかける。
 重装甲をパージしたセラフィム・リッパー改にとって、ライフルはともかくミサイルは一撃で致命傷になりうる。無理に肉薄して回避が疎かになれば危険と判断し、まずは回避と迎撃に専念する判断は誤りではない。
 小出しにしたビットがミサイルを撃ち落とし、そのビットをジェミニオンの狙撃が貫き双方の武器が散らす爆発の炎が雨粒を照らす。
「瑠璃、どうする!?」
「まだだよ。あの騎士、まだビットを隠してる」
 隠し玉でビットを一網打尽に。そう画策する殺人姫たちは、壮絶な撃ち合いを繰り広げながら虎視眈々とその時を狙う。
 そこに遅れて切り込んだのはロシナンテだ。位置取りを慎重に、セラフィム・リッパー改と交戦中のもう一機――聖王国のスーパーロボットとの間に自機を挟み込むように割り込ませたトリテレイアは、機体を旋回する勢いで横薙ぎの回転斬りを放つ。
 衝撃と轟音、火花が散り、ロシナンテの長剣がセラフィム・リッパーの大剣に弾かれる。
 一方でバランサーを損傷したセラフィム・リッパーもよろめき、後退して剣をロシナンテに向ける。
『不意打ちとは騎士の所業にあらず! 貴様も所詮は共和主義者に与する下郎であるか!』
「罵っていただいて結構! ですが――」
 続けざまに投擲された短剣が破壊されたセラフィム・リッパーのカメラアイに突き刺さる。制御中枢たる頭部に突き立った刃。それに取り付いていた微小な工作ロボットが、敵機のメモリーにアクセスしてここ数時間の戦闘記録を抹消する。
『貴様何を…………ッ!!』
「これは騎士の誇りに泥を塗る行いです。この戦いを阻止するべく散った聖王国哨戒部隊の名誉を愚弄する行為に他なりません」
『チィッ、共和国の賊徒どもとの交戦記録が消えておるか! これでは……』
「そのとおり、この場での戦闘で投じられた兵器は、もはやあなた方の証言にしか存在しないでしょう」
 現物は猟兵が回収し、そして機体から記録も抹消されれば完全に毒ガスの痕跡は証言の中だけのもの。
 証拠なき糾弾は第三国にまで影響を及ぼすことはない。国際社会は条約違反を責める"言い掛かり"で利用価値のある友好国を見捨てることをしないだろう。
 オルビオ山中で散った第七騎士団隷下の哨戒部隊は、祖国を脅かす毒ガス攻撃を決死で阻止した英雄から、国境での小競り合いで壊滅したただの犠牲者に貶められてしまった。その事を申し訳なく思う気持ちはある。
 が、この情報を持ち帰らせてしまえばサラグスタ市の聖王国市民の命を救うのと引き換えに、報復への報復でより多くの共和国市民の命が失われてしまうだろう。
『貴様……罪を隠して共和主義者を庇うか! それは許されぬことであるぞ!』
 その行為にマゴーニの矛先は完全にトリテレイアに向いた。厄介な小娘どもなどビットで抑え込み、然る後に処理すればいい。あれは所詮、弾丸をバラ撒くことしかできぬ惰弱なもの。そんな決めつけで、マゴーニは脅威を放置しロシナンテへ突進する。
 重い大剣の一撃。バランサーが破損してなお、パイロットの技量だけでこの武器をこうまで使いこなすかと盾で刃を阻んだトリテレイアは瞠目する。
 ――だから、潮時だ。このまま斬り合っていれば聖王国の増援部隊に捕捉されるやもしれない。それまでにマゴーニを倒し切ることができるかと言われれば、トリテレイアには「わからない」と答えるほか無いのだ。
「……卑怯、卑劣と言われるのは承知の上です。ですが私の勝利条件は貴方をここで討つことではありません。――四季乃様、ご準備は!」
 そうだ。トリテレイアの勝利条件は、毒ガス攻撃の記録を抹消し、そして時間を稼ぐこと。その任を果たし、彼は本命にして必殺の一撃を持つ少女たちに舞台を明け渡す。
「…………うん、逃さないよ」
「飛翔能力の喪失が仇になったね!」
 セラフィム・リッパーがロシナンテに注力するため、ビットを全力展開したその瞬間を殺人姫たちは待ち構えていた。
 爆撃とビームの掃射による強力な面制圧がビットを壊滅せしめ、次なる大技を妨害しうる脅威を排除する。それはトリテレイアの協力もあり、スムーズに、完璧に成し遂げられた。
 セラフィム・リッパーが危機を察知しジェミニオンの排除に向かおうとするのを、行かせはしないとロシナンテのシールドバッシュが押し留める。
『貴様ら……! 馬鹿な、聖王国の正義が、我輩の信仰がこのような者どもに……ッ』
 そして、二機にして一機のジェミニオンが放つ光がセラフィム・リッパーを飲み込み四肢を分解してゆく。
 間一髪飛び退ったトリテレイアの眼前で、盲信に取り憑かれた騎士を抱いたコックピットが光に呑み込まれ――
『悪いね、マゴーニ卿を今殺される訳にはいかない』
 クリスたちとの膠着した睨み合いから抜け出し、閃光の中に飛び込んだスーパーロボットがそのコックピットブロックを抱えて庇う。
「瑠璃、この際あいつも纏めて消しちゃおう!」
「……駄目だよ緋瑪、もうエネルギーが保たない」
 そしてスーパーロボットはジェミニオン必殺の一撃、オメガ・ノヴァの閃光を耐え抜いた。
『中々、強烈な一撃だが二度は撃てないだろう。撃てないと言ってほしいがどうかな――よし、猟兵諸君は今のうちに撤退するといい。流石に大破した友軍機を放り出して追撃はしないよ。ああ、ついでにそこの騎士君。私も戦闘記録は消しておこう』
 黒く焦げた装甲の中からトリテレイアに向けて君の心配事はこれで解決かな、と朗らかに笑いかけるスーパーロボットのパイロット。その行いに異を唱えないところを見るに、マゴーニは気を失ったか、或いはそれに類する状態であるようだ。
『マゴーニ卿は聞いていないし、聞こえていても私が彼に文句を言わせない。故にこれは私と諸君のオフレコというやつだよ。何故って? そうだな、君達とは然るべき時に備えて仲良くしておきたいということにしておこう。君達は共和国の軍属じゃないんだろう?』
「それは、その通りですが」
 エネルギーを使い果たし、合体を解除したジェミニオンがトリテレイアに促されて共和国軍機を――クリスたちを庇い、第17部隊機を拘束して退いてゆく。ロシナンテは彼女らを守るように殿軍に立ち、スーパーロボットと対峙してその真意を伺う。
『聖王国第一騎士団長、"聖剣"ウィルフレド・カステリオが剣に誓おう、君達がマゴーニ卿の命を見逃してくれるならば、私も共和国の蛮行を見逃すと。これもオブリビオンマシンがやったことなのだろうし、様子を見るに共和国の総意による攻撃ではないみたいだからね。これを責め立てて共和国滅ぶべし、というのは些か格好悪いだろう』
 見るに機体はオブリビオンマシンではなく、猟兵たちにとって都合がいい――交渉が成立する――相手だ。加えてトリテレイアは強行軍の追撃戦で疲弊した部隊で、クリスとの交戦を経て殆ど消耗の見られないウィルフレドの機体を相手取るのは得策でないと判断しその要求に対して首を縦に振る。
「ですが一つ約束を。その方がオブリビオンマシンに憑かれていたことは、もしかすると貴方もお気づきでしょう。そして共和国に攻め込んだ遠征軍にもオブリビオンマシンが多々潜み、共和国の人々にこんな愚行を選択させるほど憎まれる行いを為しています。第一騎士団長殿、貴国の正義もオブリビオンに侵食されているやもしれないということは、忘れないで頂きたいのです」
『ああ、約束しよう。過去の遺物が我が国を蝕んでいる、か……いや、うん。そうだな、その通りだ』
 物憂げに振り向き自国の土地を見つめるスーパーロボットが、もう行け、というように首を動かした。
「――では、我々は撤退します」
 友軍が安全圏まで後退したことを見届け、踵を返し去っていくロシナンテ。その背を見送って、聖王国騎士の象徴たる男はぽつりと呟く。
『猟兵、か……彼らこそ我が国の救い主であってくれればいいのだけどな』


 斯くて聖王国の蛮行に対する最悪の凶行による報復は、猟兵らの尽力もあり阻止された。
 共和国政府は特殊部隊による聖王国領内への強行偵察が実施され、迎撃に遭い作戦が断念されたことを公式に発表。
 毒ガスに関する言及はなかったが、聖王国側もこれに対し反論を展開することはなく、事実は当事者たちの記憶にのみ葬られた。
 また、これに前後して聖王国第七騎士団長ジョセフィン・ペトロ・マゴーニ正騎士長が負傷により療養のため前線を離れ、指揮官を欠いた第七騎士団は共和国西部攻略を延期。共和国西部方面軍は増援を断たれた第三騎士団西部派遣軍を駆逐すると、サント・アル=レアン森林からベルコ山系に至るラインに堅固な防衛線を展開し共和国軍の難攻不落の補給廠として確固たる役割を担う事となった。

 そして猟兵たちが知られざる戦いに身を投じている間に、共和国海軍と多国籍軍による東部の制海権奪還作戦"マリーゴールド作戦"が発動しようとしていた。
 共和国反撃の狼煙は上がり、聖王国有利であった戦局は多国籍軍の介入で大きく動き始める。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月16日


挿絵イラスト