銀河帝国攻略戦⑤~旗ヲ折レ
「俺、この戦いが終わったら、結婚するんだ……」
「おいバカやめろ! 死にたいのか!?」
「何言ってんだ! この宇宙ではフラグ立てた方が力が増すんだよ!」
「マジかよ……」
マジです。
●
「集合。そう、こっち」
星々の浮かぶ宇宙空間を映したグリモアベース内部。白衣を裾を翻し、アイシャ・ラザフォード(研究者・f01049)はあなたたちへと呼びかける。
彼女は、ある程度の人数が集ったのを見て取ると、一つ頷いて口を開いた。
「あなたたちには、敵の戦艦内へ転移してもらう」
敵の戦艦の中。それはつまり、敵地の中央、相手の腹の中に自ら飛び込むに等しい。
なぜそのような危険を犯す必要があるのか? そう問いかける一人の猟兵に、彼女は手元の端末を操作することで答えてみせた。全員の目の前に映し出されたのは、とあるスペースシップ。そして、それを襲おうとする敵戦艦の姿だ。
「これが答え」
完結にして、明快。襲われそうになっているスペースシップを救え、ということらしい。
「この宇宙船は、周辺宙域を漂っていたせいで、対応が遅れた船。“フラグシップ”という。この船を救出するのが役目」
敵となる芽は摘み取るに限る。解放軍へ合流され、組織に組み込まれる前に、少しでも数を減らしておくのは戦略上でも正しい行為だ。
「乗り込んで、殲滅する。単純でやりがいがあるでしょ。それだけ、簡単」
指先が画面の上を滑ると、照明があなたたちを明るく照らす。これから敵陣に斬り込む仲間たちなのだ。顔を覚えておくに越したことはないだろう。
「敵は大勢。その中心で暴れまわるだけの、簡単なお仕事。誰かと背中を守り合えば、とても簡単なこと。あなたたちなら出来るはず」
きっと、恐らく、めいびー? と首を傾げながら言う彼女に不満を感じないでもないが、どうやらやるしかないようだ。
「さあ、時間」
グリモアを手に浮かべると、彼女はあなたたちを無表情に急かした。もうあまり猶予はない。
「彼らを救って、彼等も私たちも、皆生きて帰ろう」
やられる時は一緒。縁起のないことをいう彼女にツッコミたいのは山々だが、決断の時間は、刻一刻と迫っているのだ――。
ねこです
敵の中心でフラグを立てよう! きっと全員生き残れる! 以上ッ!!
●説明書
フラグを立てると+補正が乗ります。気分で変動しますが、面白ければオモシロイほどねこですのテンションはアガって、めっちゃ補正のっけちゃうでしょう。よい旅を。
●注意
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
健闘を祈るっ。
第1章 集団戦
『バトルドロイド』
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POW : バトルスイッチオン
【超戦闘モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 精密射撃
【狙撃用プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【熱線銃(ブラスター)】で攻撃する。
WIZ : シュートダウン
対象のユーベルコードに対し【正確にタイミングを合わせた射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ロア・ネコンティ
【WIZ/共闘・アドリブOK】
・僕のフラグ
「僕、この戦争が終わったらお花見に行くんだ。旅団のみんなで……」
・心境
しかしカスタトロフは起き、春を待たずに僕の命は終わってしまった……?そんなバッドエンド方面のフラグをへし折るために、宇宙の皆様のために、花見酒のために、僕は戦おう。
・戦闘
[属性攻撃+誘導弾]で氷属性の弾丸を[精霊銃]で撃ち出し、敵の動きを鈍らせます。動きの鈍った敵は[鋼糸]を巻きつけ[敵を盾にする]で僕の盾にしつつ、また氷の属性の[精霊銃]を撃つ、の繰り返し。慎重に敵の機動力を削いで行きましょう。
可能なら、隙を見て[エレメンタル・ファンタジア]氷の津波を起こして敵達を一気に固めます。
庚・鞠緒
ハンッ、銀河帝国ご自慢の兵器だろうが所詮は雑魚さ
ウチら猟兵が負けるなんて1%もありえないぜ
そう、囲まれるくらいの数で迫って来でもしねェ限りな
【ブラッドガイスト】でウチの「鉤爪」を鮮血色に染めて強化
【2回攻撃】や【鎧無視攻撃】を仕掛けるのが基本戦法
敵がバトルスイッチオンしようと、ウチは絶対にバトルドロイドなんかに負けたりしない!
一網打尽にできるような器用な技もねェし、とにかく一体一体確実に仕留めていくぜ
なにしろメカの相手は初めてなんでな
仮に倒せても「やったか!?」と確認せずにはいられねェ
ここで無様にやられるわけにはいかねェんだ
帰ってまた、アイツに会うまではよォ…!
月鴉・湊
さて、おじさんは仕事をするだけだ。銀河帝国ややつらは恨みを買いすぎたな。
UCを使用し、身を隠し、他の猟兵達が気を惹き付けている間にバトルドロイド達を破壊していこう。
機械にはこの銃が有効だろう。音もなく、早業で暗殺技で奴等を葬ろう。
お前らには感情は無いと思うが恨むんだったら俺を恨みな。
●初戦。フラグ・プロローグ
――宙歴XXXX年。
敵戦艦へと乗り込む猟兵たちの中に、3人の集団があった。
ケットシーの少年、人間の少女、ダンピールの男。
彼らの背中を見守る者は、グリモア猟兵たった一人。
「僕、この戦争が終わったらお花見に行くんだ。旅団のみんなで……」
何気なく呟いた少年の綺麗な青い瞳を生涯忘れることはないだろう。
この後巻き起こるカタストロフで、彼等が春を迎えることなく散ってしまうなど――そしてこのプロローグのフラグが全て綺麗にへし折れるなど――この時には、誰も分からなかったのだから。
●生きてるよ
3人が転移した先は敵の戦艦内。既に敵の腹の中というわけだ。シーフであるロア・ネコンティ(泥棒ねこ・f05423)は、その目を油断なく周囲に走らせ状況を確認する。
「各個撃破で確実に仕留めていければいいんですが……」
戦略的には正しい彼のその言葉は、恐らく引き金だったのだろう。すぐ目の前の曲がり角から帝国の偵察用バトルドロイドがひょっこりと顔を出す。
即座に動こうとした月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)であったが、視界の隅で庚・鞠緒(喰らい尽くす供物・f12172)が鉤爪を振り上げたのを見て取り、そっと身を引いた。
バチィ、と金属と電気の音を鳴らし、ユーベルコードでもない鉤爪の攻撃でダウンする偵察用バトルドロイド。
「ハンッ、銀河帝国ご自慢の兵器だろうが所詮は雑魚さ」
崩れ落ちたその姿を見て鞠緒は鼻を鳴らす。軽く撫でただけで壊れたのだから、彼女のその台詞も仕方のないものだったのかもしれない。偵察用などと分かるはずもないのだし。
あまりにもといえばあまりにもなその惨状も問題だが、油断している様子の彼女に月鴉は目を細めた。
「どんな時でも、油断は禁物だよ」
「ケドこれだぜ。囲まれるくらいの数で迫って来でもしねェ限り、ウチら猟兵が負ける可能性なんて――」
ザッ、ザッ、ザッ。
彼女の言葉に呼応するように近づいてくる大量の足音。あまりにも統率され一定のリズムで聞こえてくるそれは、数多くのバトルドロイドが間近に迫っていることを意味していた。
●死んだよ(敵が)
ロアは熱戦銃の狙撃を小さな矮躯を生かして避けると、バトルドロイドへ向け精霊銃の引き金を引いた。微かに誘導するように弾道が曲がり、脚部に命中。弾の当たったバトルドロイドは、氷属性の弾丸によって凍った脚部を持て余したたらを踏む。
「今だ!」
「おらぁッ!!」
その手に鮮血色に染まった鉤爪を持ち、鞠緒は動きの鈍ったバトルドロイドに襲い掛かる。自身の血によって武器を強化するユーベルコード『ブラッド・ガイスト』。二度走った爪の軌跡が、バトルドロイドを綺麗に引き裂いていく。
「やったか!?」
バッ、と後ろを振り向き戦果を確認する鞠緒。機械と戦うなどこれが初めての経験、確認したくもなるというものだ。しかし、今回に限って言えば、それは軽率であったといえよう。
『ガガガッ、』
おったてたフラグを綺麗に回収するように突如起き上がったバトルドロイドが、目の前のケットシーへと襲い掛かる!
「おっと、危ないなぁ」
バトルドロイドが最後の力を振り絞り振り抜いたナイフは、綺麗に宙を切った。シーフであり、タガーの使い手でもあるロアにとって、直線的で素直な攻撃を避けることなど容易い。
そして、彼らが自身の立てたフラグを回収したりへし折ったりしている傍ら。誰もいない方向から攻撃を受けた数体のバトルドロイドが綺麗に床へと崩れ落ちた。
「銀河帝国のやつらは恨みを買いすぎたな」
冷静に思考し、また一体の敵を屠る月鴉。彼の姿を認知できるものはこの場にはいない。なぜなら、彼は自身のユーベルコードによってその身を透明と化しているからだ。
「ん?」
彼は視界の端、奥で熱戦銃を構えるバトルドロイドを見咎めた。その銃口が向く先は、ロアと鞠緒の背中。
「音がしないというのは便利だな」
自身の手の中にある特製の銃に想いを馳せ、彼は引き金を引く。
極限まで抑えられた銃声は誰の耳にも届くことは無く、発射された弾丸は確実に敵を穿つのだ。
「お前らに感情はないと思うが……恨むんだったら、俺を恨みな」
彼が2人を救ったのと同時。できた攻撃の隙に、ロアはユーベルコードを発動させる。その名は『エレメンタル・ファンタジア』。巻き起こった氷の津波が、バトルドロイドの集団を飲み込み機械の駆動部分を凍らせる。
「上手くいった、かな?」
制御が難しいこの技も、敵が集団であるなら気軽に使えようというものだ。
綺麗に動きを鈍らせられ、それでもなお敵を排除せんと銃口を向けてくるバトルドロイド。鞠緒は白い髪を靡かせ、鉤爪をまた血色に染める。
「ここで無様にやられるわけにはいかねェんだッ」
彼女の紫の瞳が星の光を反射し、きらりと光った。
その手の爪を振り上げ、猛烈な速さで敵へと突撃する!
「帰ってまた、アイツに会うまではよォ……!」
またもやフラグをぶち立てる彼女に、2人は氷ついた床に関係なく足を滑らせそうになったという。
●初戦。フラグ・エンディング
――宙歴XXXX年。これは、戦艦内部の一角で起きた戦闘の報告書である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ブラスター・ブレード
(昔の)帝国のバトルドロイドの性能は知り尽くしている。
万が一の事でも起こらない限り、負けることはあり得ないな。
フォトンブレードでの接近戦をしかける。
理性をなくした動きなど、見切るのは容易い!
……そういえば、戦闘解析プログラムの自動アップデート時刻は今ぐらいの時間だったような……まさかな。
仮に大群で押し寄せて来ようと焦る必要はない。
フッ、いくら数を揃えようと、この近距離からのブラストフォースを受ければひとたまりも……何!?
●古代帝国の騎士、推参
Q:自分の立てたフラグで補正が乗ったのに苦戦を強いられるって本当ですか?
A:本当です(ファンブったダイスのせいだけど)
「はぁッ!」
ブラスター・ブレード(ウォーマシンのフォースナイト・f14073)の気迫の籠った声と共に、1体のバトルドロイドが崩れ落ちる。
「理性を失った動きを見切るのは容易いものだな」
未だ数の減ることのない敵へとフォトンブレードを構え、彼はそう呟いた。
それもそのはず。ブラスター・ブレードは古代帝国の元騎士であり、バトルドロイドのプログラムを既に把握しているのだ。奔った翠玉色の剣閃は、1体また1体と敵を葬り去っていく。数に任せて押し寄せればいいものをそうしないのは、彼がプログラムにそうさせないよう立ち回っているからに他ならない。
「簡単なものだな。……ん?」
しかし、唐突に彼の剣は空を切った。バトルドロイドのプログラムから回避先を逆算し放たれた、計算し尽された一撃が、である。
(……そういえば、戦闘解析プログラムの自動アップデート時刻は今ぐらいの時間だったような……まさかな)
自身の顔に、出るはずのない汗が伝った気がした。だが、その『まさか』は彼の思考の中で既に確定事項であり、確信めいた何かがあったのだ。
その確信の通り銃器で対応することをやめ、熱戦銃を重量を活かした鈍器として殴り掛かってくるバトルドロイド。それを見咎めた彼はしかし、冷静だった。ヘルメットの下から見える口元はぴくりと動くこともなく、ただ敵の対処に有効な最善手を選択する。
『フォトンリアクターコア・オンライン――これより対象の撃滅に移行する』
バトルドロイドが学習するAIを搭載した機械であるのなら、ブラスター・ブレード自身も学習する機械なのだ。
放たれたのはサイキックエナジーを弾丸とした粒子砲。周囲へと加速度的に拡散する破壊の渦は、彼の半径15m以内の敵を全てその中へと取り込んでいく。
その暴威の終わり際。彼は宙空を映すバイザーの奥で独り言ちる。
「フッ、いくら数を揃えようと、この近距離からのブラストフォースを受ければひとたまりも――」
『ガガガッ!』
「何!?」
しかし――健在。彼の今までの戦闘データから解析、学習を行ったバトルドロイドは、その攻撃を完全でないにせよ凌いで見せたのだ。
「やるな。出し惜しみは無しだ……次の自動アップデートが来るまでに、殲滅させてもらう!」
ブラスター・ブレード――元古代帝国の騎士。自身の意思で手に取った刃に敗北の二文字は無く、これは彼にとって負けられない戦いとなるのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
杜鬼・クロウ
【合縁奇縁】
アドリブ◎
「この地へ降り立つのは初めてだからこそ”相棒”として共に戦ったお前なら…安心して背中預けて行けると確信してる。
俺に応えろ。それだけ見込んでンだ。お前の剣を見せてみろや」
フラグ「この戦争が終わったらスペースシップワールドの景色を堪能するぜ」
「ハッ、いいぜ。その願い、叶えてやンよ!
フラグはぶっ壊すモンだ。
約束、絶対忘れンなよ。相棒(拳同士当て」
前衛
リシェリアと背合わせ連携
敵に囲まれるも不敵な笑み
玄夜叉振り回す
【煉獄の魂呼び】使用
禍鬼は棍棒で敵を蹴散らす
霆で援護
敵の攻撃は剣で武器受け・カウンター
体捩じって回し蹴りからの剣乱舞
属性攻撃・2回攻撃・鎧無視攻撃で炎宿し業火の如き連撃
リシェリア・エスフィリア
「相棒の動き方は、心得ている。今度は隣に立つ。杜鬼の死角は任せて。私の死角は、任せるね」
(振るわれる為の魔剣ではなく、リシェリアとして認められている。……この感情、嬉しいという事?)
フラグ
「戦争が終わったら、世界の綺麗な場所を巡ろう。未知は、きっと楽しい。
美味しい物も食べる。甘いと尚いい。杜鬼の好みも、用意しないとね」
戦闘
【蒼水銀の魔剣】使用
クロウと補い合い戦う
鎧を砕き、生命力を奪い傷口を呪いが蝕む
魔剣の一撃は相手に隙を作るに適した攻撃
高い破壊力を持つが若干機動力に難のある自身の戦闘スタイルを、彼なら補ってくれる
何時もより戦意が高い。……負けるわけには、行かない、ね
上城・クロウ
【WIZ】
転移後は速やかに二刀を展開します。オーダーは極単純。とにかく目の前の敵を殲滅する。効率運用こそ私の真骨頂です。
「―分析、開始<トレース・オン>」
このエネミーの高度な技術について学習・吸収したいのは山々ですが...
「ええ、暴れまわるのは構いませんが―」
達成目標は窮地に陥った友軍の救出。
仕方ありません、達成目標は個人目的に優先されます
「別に、」
幸いにも艦内は閉鎖空間。ワイヤーを飛ばす壁は多く、二刀を振り回せば巻き込む敵も多い。相手のユーベルコードは目視し次第学習・対応です。
「―アレを倒してしまっても構わないのでしょう?」
殲滅戦を開始します。
アドリブ歓迎です
●
上城・クロウ(ミレナリィドールのフォースナイト・f01157)は二刀を手に、敵の真っただ中で佇んでいる。風は無く、物音もなく、そこにあるのは微かな機械の駆動音と、張り詰めるような緊張感のみ。
「――分析、開始<トレース・オン>」
ぽつりと小さく、上城は呟く。
自身を囲むバトルドロイドたち。その一挙手一投足を彼は見逃さず、観察し、分析し、解析する。モノアイの動きから攻撃箇所を予想し音もなく振るわれた刀は、一発の銃弾を綺麗に切り裂いた。
それに対しバトルドロイド側も処理を行っているのか、一時戦闘は停滞する。
閉鎖空間。
ワイヤーを飛ばせる箇所は無数に。
空間の広さから戦闘可能区域を算出。
敵の射線の数、視線の向き。
帝国の戦闘技術を学習、吸収したいのは山々ではあったが、友軍の救出が今は優先されるのだ。
「別に――」
彼の握る二振りの刀は、宇宙で反射する星々の光を跳ね返し、妖しくきらりと光る。
解析は完了した。殲滅する挙動もプランも組みあがっている。ならばあとは――
「アレを倒してしまっても構わないのでしょう?」
――戦い、敵を駆逐するのみ。
煌めくマズルフラッシュから放たれる銃弾は彼の刀により全て切り裂かれ、その戦場は阿鼻叫喚の渦に包まれるのだった。戦闘の結果がどうであったかは、言うまでもない。
●
転移した敵の戦艦内。リシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)は、冷たい剣を手にしている。しかし、彼女の心は不思議な感情に満たされていた。
(「この地へ降り立つのは初めてだからこそ”相棒”として共に戦ったお前なら…安心して背中預けて行けると確信してる。俺に応えろ。それだけ見込んでンだ。お前の剣を見せてみろや」)
目に浮かぶのはニヤリと笑みを浮かべた彼の顔。ストンと胸に落ちた台詞は、なぜか自然と心に馴染む。とても、暖かい。
(振るわれる為の魔剣ではなく“リシェリア”として認められている……この感情、嬉しいという事?)
その答えは、今の彼女には分からなかった。だがそれでも、心を満たす暖かい何かが自身へと力を与えてくれていることだけは理解できた。それはきっと彼のおかげなのだと、リシェリアは思う。
「戦争が終わったら、世界の綺麗な場所を巡ろう」
合わせた背中を通して感じる温もりに、彼女はそう声をかけた。
「……未知は、きっと楽しい。美味しい物も食べる。甘いと尚いい」
「ハッ、いいぜ」
温もりこと杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は、背中を預ける小さな彼女の言葉を聞くと、ニヤッと不敵な笑みを浮かべた。その表情は、彼女の思い浮かべたものと同じもの。
「その願い叶えてやンよ。立てたフラグは、ぶっ壊すモンだ」
「杜鬼の好みも、用意しないとね」
「おうよ。まァまずは、スペースワールドシップの景色を堪能しようぜ。その為には――」
「――目の前の敵を倒す」
「分かってるじゃねェか。約束、忘れんなよ――相棒ッ!」
クロウの気迫の籠った声を皮切りに、戦闘の幕は切って落とされた。
『――行くよ』
リシェリアの放ったユーベルコード『蒼水銀の魔剣(リシェリエイラ)』が、一方向にいたバトルドロイド数体を巻き込み炸裂する。切り裂かれたバトルドロイドが起き上がることはない。魔剣によってできた傷口からその運命を食い荒らされ、生命力を奪われているからだ。
「っと、させねェよ!」
彼女の技後の隙間を埋めるように、背中を守るクロウがバトルドロイドの武器を受け止める。
「甘ェな。これでも受け取りな」
受け止めた刀を身体を捩じることによって反転させ、体で隠した足で回し蹴りを放った。体勢が崩れた敵めがけて、クロウの大剣『玄夜叉』が振るわれる!
風切り音と共に乱打されるそれは、烈火の如くバトルドロイドを切り刻んだ。
「……ナイス」
「訳ねェよ。そっちもな」
彼が時間を稼いだ間に、ユーベルコード『煉獄の魂呼び(インフェルノ・リヴァイヴァル)』によって召喚された禍鬼の霧によって、彼女の姿は隠されている。それは息の合った連携であり、彼と彼女が背中を預ける互いを信じ戦っている証拠でもあった。
「さァ、次行くぞ」
「了解」
戦意は十分。それに見合う力もあり、横には背中を預ける相棒もいる。
2人に負ける理由などなく、この戦闘は圧倒的な「勝利」という名の元に集結するのだった――。
大成功
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