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家賃滞納ラビリンス

作者：唐傘

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「ねぇ、これで魔法が上達するのかな……？」
「わかんない……でも、デビルをたくさん貯めると、その分上達するはず、だよね。」
「目標は100万デビル……あと、99万9千デビル、だね……」
　目標に対して圧倒的に届いていないが……そこに気付く住民は、彼女たちの中には居ないらしい。

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「ちょっと手の開いてる人……特に、集金のためなら地獄の炎に焼かれようと絶対零度に凍えようと諦めない人、ちょっとデビキンに向かってもらえないかな？」
　グリモア猟兵、ティモシーが呼びかける。
「デビルキングワールドの一角……とあるマンションがオブリビオンに狙われて、家賃滞納をしてるんだ。」
　払うべき家賃を払わずに滞納、という悪行を推奨しているが……主導者はオブリビオン。通貨であるデビルが溜まった頃を狙って、カタストロフの儀式を起こすつもりだろう。
「まぁ元々、家賃滞納は悪事として広まってて、対処として取り立て屋が居たんだけど……ある時期から取り立て率が下がったんだ。」
　どうやら、そのタイミングでオブリビオンが入居し、住民の指導……あるいは、マンションを魔改造したらしい。
「だから取り立て屋の代わりにデビルを回収して欲しい……んだけど、下の数フロアが居住性を犠牲にしたダンジョンになってるんだよね……。」
　むしろダンジョン化するために居住性を廃棄した、と言うべきだろうか。
　グリモアで予知出来た範囲では、1階と2階の居室が通路化しており、それを通り抜けると上層に進めるらしいが……地下3階相当まで旧直下する落とし穴や、吹き矢や槍衾の串刺しトラップなど、ほとんどの部屋が迎撃仕様になっているらしい。
「罠まみれのマンションで、住民もダメージになりそうだけど……住民のほとんどが重力の悪魔だから、床とか壁に触れずにそのまま部屋をすり抜けちゃうんだよね。」
　下手に下層で出くわすと、居室もといトラップ部屋のセンサーに押し当てられ、大ダメージになりかねない。
「唯一、最上階のオブリビオン……姿は見えなかったけど、彼だか彼女だかはトラップ部屋に詳しくないせいで、戦いは力比べに持ち込めそうかな？」
　地の利がどちらにもないので、ただの力押しになってこそいるが……相手はオブリビオンなので、高火力でもなければダメージは難しいだろうか。

「ちょっと大変かも知れないけど、よろしくお願いするね？」
　片手を拝むように出しつつ、転送ゲートを開く――。

第1章 冒険 『立体迷宮』

POW   :    段差や奈落の向こう側まで味方をぶん投げる SPD   :    ジャンプ力もしくは何らかの飛行能力で段差や奈落を越える WIZ   :    マッピングを行い、迷路の構造を把握する 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　転送ゲートを通った先、マンションの正面玄関――エントランスまで見えており、外観も他の世界や、デビキンの一般住居と大して変わらないように見える。
　しかし、居室は罠まみれ――オブリビオンのもとに向かうためにも、何らかの方法で踏破する必要がある……。


「さーて、どう調べるっすかね～。」
　エントランスから一通り扉を開けて、1階フロアに鍵がかかっていない事を確認したリカルド・マスケラス（f12160）――引き返すのも面倒なので、最後に開けた扉から中を見ている。

「とりあえず……適当に石でも転がしてみるっすかね。」
　彼の現状は、装着者の居ないヒーローマスクなので、部屋のトラップに対して文字通り手は出せないが……念動力で室外から適当な石を放り込むことはできるので、それで様子を見る――と、床下から槍衾が突き出し、少しして何事もなかったかのように床が綺麗なフローリングに戻る。
「他の部屋……もこんな感じっすかねぇ。」
　全ての部屋を確認すれば、あるいはどれかが通り抜けられるかも知れないが……複数のトラップが入っている可能性もありうるので、戻る手間も考えるとこの部屋を攻略したほうが早いか。
「……そういえば、槍衾ってさすがに隙間があるっすよね？　さあ、行くっすよ！　影魔人！」
　ふと、何かを閃いたリカルド。ユーベルコードを発動し――石を投げ込み、影を室内に伸ばす。
　そうして、前回と同じ位置に槍が出現している事を確認しつつ、その隙間に影魔人を這わせる――これで少なくとも、影魔人に支えてもらい、その上を移動すれば刺される心配はないだろう。
「あとはセンサーがどこにあるか……と、槍の高さが問題っすかねー。まぁ、伸縮自在なんで普通に超えられるんすけど。」
　しれっと槍の高さを超えつつ、影魔人に運んでもらうリカルド。……非常用の解除スイッチを押してしまえば、1階は完全に無力化されてしまうだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

「さて、どうしようかな？」
　1階は解除済みらしく、難なく2階に進んだフィオリナ・ソルレスティア（f00964）――しかし、2階は扉も閉まっているあたり、未踏破なのだろう。
　近くの小鳥と疎通を試みたが、「みんな適当に入ってる」「日替わりで入る扉が変わる」との事なので、特定の扉だけ罠がない……という事でもないらしい。

　ひとまず適当な扉を開けて入るが、数歩で槍が湧き出し、慌てて引き返す。
「他の扉……は、安全だといいのですが。」
　別の扉を開けてみるが、今度は最初から鏃らしきものが見えている。
「――バラバラにしてあげるわ。切り裂け、風神の刃よ！」
　部屋に入ると同時にユーベルコードを発動し、降り注ぐ矢を切り裂く！
「こうなったら、このフロアを全部無力化しましょう……。」
　部屋のトラップの構造から破壊しようとするが、個々の部屋はセンサーと発射装置、あるいは落とし穴の開閉装置だけの単純な仕掛けらしく、非常用スイッチで電源を切る以外に無力化ができないらしい……。
「いちいち突破しないと無力化出来ない、というのは面倒ですね……。」
　とはいえ、2階は踏破されたので、1階に続いて2階も全居室が無力化された……。

成功 🔵​🔵​🔴​

「なるほど、ここに患者……じゃなかった、オブリビオンがいるのね！」
「まぁどんな困難があろうと、なんやかんやで解決させるけどね！」
　別々のタイミングでエントランスを通ったはずだが、同じタイミングで3階に立つ2人の猟兵――蒼月・暦（f27221）と赤星・緋色（f03675）。
「でも、通り過ぎた部屋からこのマンションのトラップは傾向を掴んだよ！　……この改造された肉体に、恐れ戦くが良いよ！！」
　ユーベルコードを発動し、背中にジェットエンジンを呼び出す蒼月。
「同じく……ジェットエンジンー！」
　別のユーベルコードだが、同じものを装備する赤星――なんだか、エンジンを持つ手が青い腕と白い団子に見えたのは気のせいか。

「……同じ装備、同じコース、2人の猟兵……まるで、レースのようだね！」
「なんとっ、なら出遅れるが良いっ！」
　ユーベルコードでエンジンからライトに換装し、赤星に向けて蒼月フラッシュ！
「うわっ、まぶしっ！！」
　光量はそこまで強くないはずだが――少なくとも、数秒で視界は戻るはずだが、不意打ちとなったために効果は抜群だ！
　そして赤星の視力が白く塗りつぶされている間に、再びエンジンに換装して蒼月ダッシュ！

「くっ、出遅れ……た……？」
　しかし目の前の扉に蒼月の姿はなく――代わりに、強烈な殺意を部屋から感じる。きっとひときわトラップが凶悪なのだろう。
　諦めて、別の部屋を目指すと――トラップの気配がするが、壁の少ない部屋を見つけた。
　これなら、とエンジンを起動する赤星――瞬く間に居室の反対側へゴール！
　……なんか道中、落とし穴が開いたり槍が降ったりした気もするが、作動したタイミングでは通り抜けたので問題ないだろう。

　少し時間を戻して、蒼月フラッシュが発動した頃。
　蒼月も赤星と同じく、目の前の部屋に入ろうとはしたが、凶悪な殺意に――つまりはトラップの気配を感じて、別の部屋を選んでいた。
　そして、ふと一つの扉に目が留まる――下の階で、ここに扉はなかったような。
　グリモア猟兵が警告していた、地下まで続く落とし穴では――ならば、一時的とはいえ滑空できる自分が有利では。
　そう考え、床のスイッチに気を付けつつも、身長かつ素早く移動し――現れた落とし穴を、背中のエンジン噴射で一気に飛び越える！
「ふっ、この程度では私は捕らえられませんよ！」
　入口の反対側で、高らかに勝利宣言する蒼月だった……。

　あ、3階のトラップは、赤星がたまたま解除スイッチを見つけたので無力化されました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

第2章 集団戦 『重力の悪魔』

POW   :    グラビティ・アドバンテージ 敵より【戦術的に有利な地形にいる】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。 SPD   :    グラビティ・スラッシュ 【大鎌】による素早い一撃を放つ。また、【自分の周囲の重力を弱める】等で身軽になれば、更に加速する。 WIZ   :    グラビティ・ダウン 【全身】から【重力波】を放ち、【対象の周囲の重力を強めること】により対象の動きを一時的に封じる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　4階に着くと、少女達が――恐らく悪魔が、玄関から出てきて猟兵と対面する。
「あら、私たちのトラップをかい潜ったの……？」
「そんなはずないわ、地に足が付くような存在が踏破できるわけないじゃない。」
　散々な言われようだが、しかし宙に浮く彼女たちであれば、壁や床のスイッチに触れずに罠まみれの居室を通り抜けることも可能だろう。
「私たちの目標のために、お帰り願えるかしら？　……ダメなら、力づくでも帰っていただくけれど。」
　上下逆さまな少女たちが、臨戦態勢を整える――。


「上下逆さまだと、食べ物を食べても逆流しませんか？」
　目線が同じ高さの、しかし上下逆さまな悪魔に向けて疑問をぶつける火土金水・明（f01561）。
「……それとも食事中は、地に足が付くような存在になるのですか？」
　あるいは、今が逆転しているだけで、普段は正立しているのだろうか……と考える火土金水だが。
「何を言ってるのか、わからないわ……？」
「重力なんて、一時的に変えればいいだけよ――こんな風に！」
「ちょっと、下に重力を増やしちゃダメじゃない……私たちみたいに、上向きの重力にしてあげなきゃ。」
　一時的な超重力を発生させ、火土金水の身動きを封じる悪魔たち――しかし、火土金水の行動は、重力で動きを止められても影響はしない！
「静けさと聖なる光に包まれて消えなさい！」
　光の矢を――実際は沈黙属性も乗ったものを、530本放出し、天井からぶら下がる悪魔たちを、玄関扉を、室内の悪魔を撃ち落としていく！
「思わず道が開きましたが……次の方が進む目印になるでしょう。」
　穴まみれになった扉は開け放ち、適当な瓦礫をドアストッパーにして。別の悪魔が潜んでいる可能性はあるが、少なくとも通路としては1つクリアになっただろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　続いてトラップフロアを通り抜けたのは、バン・クロスハート（f23853）。
「僕の前に立つのなら容赦はしません！」
「あら、貴方も家賃滞納を許さないとでも言うの？」
「デビルを溜め込んでカタストロフを招くなんて、見過ごせません！」
　言うが早いか、愛用武器の1つ――VW-ダブルクロッサーを振り回し、そのまま悪魔たちに斬りかかる！
「忘れてないかしら、ここは私たちの家よ？」
　魔改造されたとはいえ、悪魔たちが住む家――より高い天井や剣で入り込めない場所を熟知している、はずなのだが。
「僕のダブルクロッサーはその程度では止められません！」
　縦回転で狭い隙間に入り、そして重力の悪魔を斬りつける！

「ところで、最初にいたみんながどこに行ったか気にはならない？」
　斬った……というより殴って気絶した気がするが、それでも倒した数は最初に見た人数より少ないような気はする。
「そんな事で騙されません！」
　しかし、減った悪魔を気にせず、残ってる悪魔に斬りつけていくバン。
　悪魔の一部はこっそり他の部屋に逃げた……のだが、バンを足止めしようと残った悪魔は、残らずバンに斬られ……いや、頑丈なので殴られて気絶しているため、進行する上で邪魔にはならないだろう……。

成功 🔵​🔵​🔴​

「私以外の人間が不幸になるところを見過ごすことはできないんでね。」
　不幸を――家賃滞納を阻止するために戦場に立つ、曽我部・律（f11298）。
「あら。私たちの不幸は見過ごすの？」
「100万デビルを貯めて、より強い悪魔になる……っていう願いが邪魔されるなんて、不幸そのものよね？」
　口々に言いつつも、重力波を放ち――曽我部の動きを止めるが。
「誰かの不幸を回避するために、他を不幸にする……って選択肢は基本使わないんだけどな。――お前ら、餌の時間だ。」
　ユーベルコードにより、影法師と黒い獣を召喚し、重力の悪魔を次々と無力化していく……。

「強い悪魔になる事は止めないが、そのために他人を不幸にする事は推奨しないな……。たとえ美徳とされる悪行であっても……。」
　悪行が美徳だとしても、家賃滞納は大家の不幸を生む。不幸を生むので見逃さない――そう言い、曽我部は悪魔を蹴散らしていく……。真の理由の、「家賃滞納がカタストロフを招く」という理由は伏せたまま……。

成功 🔵​🔵​🔴​

「悪い奴らだな、ぶっ潰すぜ！」
　単純な、しかしそれ故にわかりやすい判断基準を口にする陽環・柳火（f28629）。
「そうだね、悪事は美徳としても、度を過ぎたものは許せないよね……。」
　そんな彼女に同意を示す、ミロ・バンドール（f10015）。
　一見は距離を置いているようだが、陽環に同意を示すあたり、距離を置いているのは演技だろうか。
　しかし、敵はそんな二人の猟兵の打ち合わせを待たず、攻撃を開始する――。

「エネルギーチャージといこうじゃねえか！」
　互いに先手を取ろうと、大鎌を構える重力の悪魔と、にゃんジュールを吸いつつマタタビ丸を構える陽環。
　戦術的には有利な地形のはずだが、まるで互いの動きを把握しているかのように――いや、それどころか、殺陣の台本として双方の動きが指定されているかのように、武器がかすりこそすれ陽環への致命打を与えることが出来ない悪魔たち。

「俺も負けてられないな……。我が地獄に吹き荒れるは新しき風、贄を求めし飢餓の炎なれば――」
　炎を纏った巨大剣を振り回し、重力の悪魔を次々と斬りつけていく……。
　しかし、建物という狭い条件で2人が――いや、敵味方を合わせるともっと多くの人数が戦う以上。即席の連携では、味方を誤って殴ってしまう事もありえる訳で……。
　ミロの振り抜いた直後の巨大剣が、陽環を殴って……いや、斬りつけてしまう。
「あっ、ごめんっ！」
「今の俺は機嫌も調子もいいからな。ちょっと殴られた程度では怒らないぜ！」
　……確かに刃が立った状態だったはずなのだが、出血の気配が見えないのは何故なのか。いや、悪魔も頑丈さのせいか、気絶や微量の出血こそすれ、大量出血はしていないようだが。
　再び重力を操作して襲ってくる悪魔をかわしたり、逆にこちらから斬りつけたりしてみるが……やはり、悪魔はことごとく気絶していき、事故とはいえ陽環を殴って無事なことが説明できない。

　ともあれ、残っていた重力の悪魔は二人が一掃し、残りは上フロアに待ち構えているであろう首謀者――つまりオブリビオンのみとなった。
「ふぅ……勝利の祝杯といこうか。てめぇも飲めや！」
　機嫌良さそうに、猫泣かせと書かれた酒瓶を出す陽環と。
「いや、あの、俺、まだ15歳なので……」
　同い年で未成年でしょ、と言いそうになったミロだが……酒を出して強制送還が無いということは、同い年ではなく20歳を超えているという事……。
　とはいえ、祝杯を無下にするのも憚れるので、悪魔の備蓄食料から少し拝借することにした……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

第3章 ボス戦 『シャンバラの魔女』

POW   :    その願いは祈りであり呪いである 自身が【他人の願いを叶えてあげている】いる間、レベルｍ半径内の対象全てに【その願いに対する対価】によるダメージか【対価によって得られる悪意】による治癒を与え続ける。 SPD   :    命の証明 対象の【身体】に【刻印と角】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の［身体］を自在に操作できる。 WIZ   :    辺獄の十字架 戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【十字架と磔の被害者たち】を召喚し、その【被害者たちの苦痛と苦悶の叫び】によって敵全員の戦闘力を減らす。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「あら、いやだ。せっかく悪魔をそそのかし……じゃなかった、悪魔に提案して、願いを叶えるついでにカタストロフを起こそうとしていたのに。」
　最上階の一部屋、猟兵を出迎えるオブリビオン――シャンバラの魔女。
「まぁいいわ。あなた達を倒せば、別のマンションでやり直せるでしょ？」
　その時にはちゃんと、猟兵に気付かれないようにしないとね――そう言いつつ、臨戦態勢を取る……。


「あら、可愛いお嬢さんね。……見逃してもらえないかしら？」
　彼我の力量差に自信があるのか、提案するシャンバラの魔女と。
「これより反抗を開始する――」
　敵対者を――いや、反抗する対象を見定める、ニクロム・チタノ（f32208）。
「見逃してくれないのね、まぁいいわ。出ておいで、辺獄の十字架！」
　戦闘力を減らすために十字架を出そうとする、シャンバラの魔女――だが。
「……あれ？」
「……何も出ないね。」
　そう、このユーベルコード……戦況ないし戦果に応じて威力が変動する、のだが。開戦した直後なので、威力もゼロなのだ……！
「例え力を発揮できないとしても、力加減はしないよ。私に反抗の祝印を――」
　ユーベルコードを発動し、反抗の竜チタノと、先代反抗者達を召喚するニクロム。
　それぞれはニクロムと同じ強さを持ち――要するに、先代反抗者の人数だけ、戦力が増えているわけで。
「ちょっと、待って、流石に数の暴力は！」
　――オブリビオンは抵抗虚しく、袋叩きにされていた……。

成功 🔵​🔵​🔴​

「悪い子はお仕置きっす！」
　扉があれば、壁にめり込む勢いで開けていたであろう源・ヨーコ（f13588）――大家にとっての救いは、道中の扉が全て開放されていたことだろうか。
「あら、可愛いお客さんね……何か叶えて欲しい願い事はあるかしら？」
　袋叩きから抜け出してきたらしいオブリビオン、髪の乱れを手櫛で整えつつ源に願いを確認するが。
「悪いヤツの鉄拳制裁っすかね！　我、神の名において正義を執行す。汝ら罪なし！」
　自身を強化して、オブリビオン――シャンバラの魔女の準備が整う前に殴りかかる源。
　シャンバラの魔女も、ユーベルコードを発動しようとした、が……発動条件の『他人の願いを叶える』は、今は『彼女が自分を殴る』事を意味しているので叶えるわけにはいかない。……いや、時々パンチがかすって、そのうち叶いそうだが。
　仮に願いを叶えて思う存分殴らせてもいいのだが、代償として与えられるダメージは、果たして自分が殴られたダメージを超えられるのだろうか……。

「悪いけど、その願いは売り切れよ！」
　――シャンバラの魔女は、源の打撃を何度か受けて。致命打を受ける前に逃げることにした……。

成功 🔵​🔵​🔴​

　シャンバラの魔女が逃げた先。
「私の剣はお前の血を欲しているようだ。」
「ならば、及ばずながら、手助けさせて貰おう。」
　キャロライン・メイ（f23360）と、ギャレット・ディマージオ（f02429）の2人――運命の悪戯か、2人とも人間の黒騎士。

「そっちのお嬢さん……は、願いを叶えようとすると私を倒すことになるわよね……。そちらのお兄さん、なにか叶えて欲しい願いはあるかしら？」
「なんだと、任意の対象の願いを叶えるというのか……。……いや、この魔力、願いによる代償でダメージを与えようというのか！」
　解説じみた発言だが、ギャレットの発言通りで――願いを聞く狙いは、代償でダメージを与えるため。そして副作用の、対価によって得られる悪意で自身を回復するため。
「ならば、最適解は――願いを言わずに攻撃するのみ！　我が黒剣の姿は一つではない！！」
　黒剣を鞭剣形態に変形させ、更に伸ばし――シャンバラの魔女に斬りつける！
「……これでもくらえ！！！」
　その隙を狙い、黒剣でシャンバラの魔女に斬りつけるキャロライン。その斬撃は、破壊と呼ぶには若干小規模な気もするが、だいぶ致命打に近い手応えを感じる。
「まだよ！　私の剣は、血を吸い足りないそうよ！！」
　返す刀で、シャンバラの魔女を再び斬りつけるキャロライン――今度は「剣に血を吸わせる」という願いも乗せてみる。
「だから、貴女の願いは叶えないって言ってるでしょう！？」
　今度は願いを乗せたせいか、あるいは一度攻撃して警戒されているのか――キャロラインの斬撃は、シャンバラの魔女にかする程度で触れるに留まり、あまりダメージを出せた感じはしない……いや、ただ相手が頑丈なだけだろうか。
「貴様の相手は、私も居るぞ！」
　シャンバラの魔女の死角から、不意を突くように鞭で――いや、未だ変形したままの黒剣で斬ってくるギャレット。

　――2人の黒騎士に交互に斬られ、しかし願いを叶えても不利しかならないため。シャンバラの魔女は、2人の隙を狙って逃げ出した……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「へぇ、見晴らしは良いんだね……どうしてオブリビオンが住み着いたんだろうね？」
　ベランダから外を見る、彩華・夜翔（f02015）――デビルキングワールドとしては高級住宅に該当するのだろうが、オブリビオンが目をつけた経緯は謎に包まれている。そして、その謎は究明される事はないだろう――。
「それは、カタストロフの気配を周囲に振りまいているから……じゃないかしら？」
　切り刻まれ、あるいは殴られ――しかし、満身創痍の見た目に反して、まだ倒れる様子を見せないシャンバラの魔女。少なくとも彼女は、カタストロフの気配を感じてこのマンションに来たらしいが……他の家賃滞納マンションは別の要因で来たのかもしれない。
「とりあえず、私を呼んだカタストロフを開放してあげるわ……いでよ、辺獄の十字架！」
　ユーベルコードで、十字架と磔の犠牲者を召喚しようとするシャンバラの魔女だが――。
「美しく……弔ってあげる。」
　シャンバラの魔女が行動を完了するより早く。彩華がユーベルコードにより、星の煌めきを――いや、煌めきのような花びらを舞わせ、シャンバラの魔女に斬りつける。

「こんな綺麗な世界、滅ぼすわけには行かないよ……」
　短期決戦を優先したためか、あるいは外の景色を優先したためか。シャンバラの魔女が、死んだふりでこっそり逃げ出したことに、彩華は気付いていない……。

成功 🔵​🔵​🔴​

「世界はどーせ壊れてる！　自分もマンションも壊しちゃえ！！」
　随分物騒な発言をするシアン・ナアン（f02464）――だが、少なくとも自分を壊すのは最後に回すようなので、オブリビオンへの攻撃宣言とも取れる。
「あ、貴女はなかなか強い願い事を持っているようね……。どうかしら、願い事を叶えてあげましょうか？」
　髪は乱れ、服は破れ――だいぶ『願い事を叶える』存在には見えないが、それでもシアンの願い事を聞こうとしている、シャンバラの魔女。
　あるいは、シアンの強い願望ではなく、自身を癒すためかも知れないが――シアンに願い事を聞いたことが、聞いてしまったことが、シャンバラの魔女の敗因となったのかも知れない。

「願いごと？　それはね……ぜーんぶぶっ壊しちゃえばいいんだよォ！！！！」
　叫び声とともに、増えるシアン――本体の一人を除いて、全て自爆する分身体を呼び出すユーベルコードを発動したのだ。
「ぜーんぶ……魔女も、悪魔も、壁も、マンションも！！」
　司令塔として本体は後回しになっているようだが、その他のシアンはシャンバラの魔女に抱きつき――あぶれたものは、あるいは壁にぶつかり、あるいは肩車で天井に張り付き。カウントダウンもろくにせず、自爆して周囲に爆煙を撒き散らす！

「……頑丈だな、オレに壊しきれないなんて……」
　シアンの分身が爆発で消滅し、爆風が晴れたあと。オブリビオンたるシャンバラの魔女は消滅しているが……それより、未だに健在なマンションにシアンは思考を巡らせる。
「力技で、行ってみるかね……」
　マンションを壊そうとしているようだが――その後のシアンの足取りは、あまり知られていない――。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2021年07月09日