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いと愛らしき天軍

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #大天使ブラキエル #オウガ・フォーミュラ

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●遙かなる空の彼方で
 その日、大天使ブラキエルは、悲嘆にくれた。
 猟兵達によって、骸の月が沈黙。天上界への道が断たれた事を、知ったからである。
「我が友よ、君の願いは叶わなかった。君は『書架』へと帰るがよい」
 ブラキエルは、握った剣を天高く掲げ……そして、手放した。
「我は、天上界の扉を開く僅かな可能性を実行しよう……もっとも、ヴァルギリオスさえ見逃し、あまつさえ封印された愚か者共が、今更地上の危機に扉を開く事もあるまいが……」
 剣が虚空へと飲み込まれるさまを見届け、ブラキエルは飛び立った。
 己が拠点たる月面を離れ、無数の死をもたらす為に。

●グリモアベース
 ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、猟書家との決戦を報せた。
「天上界への到達を目論んでいたオウガ・フォーミュラ、大天使ブラキエル。ですが猟兵の皆様の活躍により、その道は断たれました。そのためブラキエルは、乾坤一擲の行動にうってでるつもりにございます」
 地上、アックス&ウィザーズにて大量虐殺を行う事により、天上界への扉を開こうとしているのだ。
「ブラキエルは、とある神秘の森に降り立ち、手始めにそこに住むエルフ達を殺戮するつもりのようでございます。ですがこの森……以前、猟兵が、猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』の侵攻から守った森でございまして」
 ブラキエルは、体にまとった『大天使の光輪』から、無数のオブリビオン軍団を召喚する。
 大天使の加護として、このオブリビオン達……『シマエナさま』 は、岩の腕を与えられている。
「この岩の腕により、オブリビオン達のユーベルコードの力は大幅に高まっております。愛らしいシマエナさまといえど、あなどってはなりません。ええ、断じて」
 断じて。
 しかし、猟兵にも助けはある。
 先ほどヴェルタールが説明した通り、この森には、猟兵が助けたエルフが住んでいる。
「猟兵の危機とあれば、エルフの弓手達が援護してくれるはずでございます」

 ロックアーム・シマエナさまを撃破した後には、ブラキエル最強の部下が行く手を阻む。
「『王兎』ウサギサマでございます」
 ヴェルタールが表示したのは、もふもふのウサギオブリビオンであった。
「……和んではいられません、元々ウサギサマは竜の血を浴び進化した存在。更に、ブラキエルより無敵の鎧をまとっているのでございます」
 鎧を構成する『絶対物質ブラキオン』は、未知の単一原子。ヴェルタールにも解析不可能な物質で構築された鎧は、ウサギサマに絶対の防御力を与える。何せ、この物質は破壊不可能なのだ。
「無敵の鎧の弱点とくれば、『隙間』。敵が簡単に弱点を突かせてくれるはずもありますまいが、皆様ならば可能かと」
 今回はエルフ達もいる。攻撃力こそ猟兵に劣るが、エルフ達の弓の腕なら、隙間を狙う事も可能だろう。
 また、この森には『世界樹イルミンスール』より株分けされた、聖なる木がある。
 その葉には神秘の力が宿っており、ブラキオンの特性を一時的に変質させ、破壊可能なレベルまで弱体化させられるというのだ。

 そして、数々の敵を突破した先、聖なる木の根元で、ブラキエルは待っている。
 ブラキエルは剣を失った状態だが、「大天使の光輪」、「岩の腕」、そして「絶対物質ブラキオン」を駆使し、先制攻撃を行うのだ。
「さしものエルフの力も、大天使には届きません。皆様方の対抗策を以てして、大天使の野望をガシャーンッと打ち砕いてくださいませ!」
 初となる猟書家との決戦だからであろう。ヴェルタールの言葉は、いつになくパワフルであった。


七尾マサムネ
 いよいよ大天使ブラキエルとの決戦です!

●第1章
 エルフの森に襲来したシマエナさまの群れと戦います。
 ブラキエルの加護により、岩の腕を与えられているため、通常より強いです。

●第2章
 ブラキエルを守る強力な腹心、『王兎』ウサギサマに挑みます。
 これまたブラキエルから『絶対物質ブラキオン』の鎧を授かっているため、もふもふは隠され、絶対の守りを誇ります。

●第3章
 聖なる木の下で、ブラキエルと決戦です。
 イラストの剣は持ちませんが、「大天使の光輪」「岩腕」「絶対物質ブラキオン」の力を全て使い、先制攻撃を行います。

 第1章のプレイングボーナス……エルフの援軍と共に戦う。
 第2章のプレイングボーナス……鎧の隙間を狙う/エルフからもらった聖なる木の葉を使う。
 第3章のプレイングボーナス……ブラキエルの先制攻撃に対抗する。

 ちなみに、今回舞台となるエルフの森は「燃えろにゃんこ、守れエルフの森」に登場した森です。(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=30931)

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『シマエナさま』

POW   :    ひえひえアロー
レベル×5本の【氷】属性の【魔法の矢】を放つ。
SPD   :    こおりガード
対象のユーベルコードに対し【氷の盾】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    シマエナガ・まきしまむ
【沢山のシマエナガ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 神秘の森を蹂躙せしオブリビオンの大群。それは、天使の眷属、翼あるもの達。
 すなわち、シマエナさまの群れであった。
「えんじぇりっく・ひえひえアロー!」
「でばいん・シマエナガまきしまむ!」
 妙にはりきり、荒ぶるシマエナさま。
 その理由は、『腕』にあった。いかめしい、岩の腕。大天使ブラキエルより賜りし、剛腕!
 ユーベルコードはもちろん、自分の身体の長さ以上の岩腕を駆使し、森の木々を薙ぎ払っていく。
 もはやシマエナさまとは呼べない。ロックアーム・シマエナさまだ。
 暴れ回る、愛らしき殺戮の天使。
 迎え撃つは、エルフの弓手達。
 勝敗のカギを握っているのは、もちろん、猟兵である。
イェフ・デルクス
SPD

なんか可愛いやつらだな。…いかつい腕生えとるが。
何にせよ、戦争するならやるまでさ。

さてそうだな、助けてくれるってェエルフさんたちにゃ、弓でシマエナさまとやらの気を引いてもらうか。俺の方でも浮遊自走砲で【陽動、遊撃、逃亡阻止】するぜ。【集団戦術】で他の猟兵とも連携取れるよういい感じに誘導してェな。

その間に俺はキャバリアで相手が気付かなさそうな場所に陣取るぜ。ま、森の中でも【悪路走破、環境耐性】でどうにかなンだろ。多分。住処荒らして悪ィな。
あとはロングレンジライフルで【瞬間思考力、スナイパー】+ヘッドショット。
そのまま自走砲と俺でひたすら撃ち続けるわ。たまに【援護射撃】もな。

アドリブ連携歓迎


月凪・ハルマ
うわキモ!おまけにバランス悪いなオイ!
実用性重視にしても、見た目はもう少し気にしとけよ!

◆SPD

……いかん、なんか微妙にやる気を削がれた
一旦気を取り直して、と

エルフさん達には後方からの援護を要請
こちらに接近してくる敵を優先的に狙って足止めしてもらいたい
とどめは狙えそうなら、くらいでOK

自身は【天津太刀風】で出来るだけ多くのシマエナさまを
視界に入れ、纏めて風の刃で薙ぎ払う

その後は援護射撃で足が止まったシマエナさまを
手裏剣の【投擲】で仕留めていこう

敵からの攻撃は【見切り】【残像】【武器受け】【第六感】で回避
空を飛ぶか地上を行くかはその都度の判断で

※アドリブ・連携歓迎




「じゅりり」
「じゅるり」
 不吉な鳴き声とともに、森の空を覆う天軍の群れ。
 大天使の加護を受けし、殺戮の天翼……。
「うわキモ!」
 それが、殺戮者を見た月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)の第一声だった。
 殺戮者の正体は、シマエナさま。むきっ、とマッシブな岩の腕を左右から生やしている。
「おまけにバランス悪いなオイ! 実用性重視にしても、見た目はもう少し気にしとけよ!」
「シマ?」
 ハルマのツッコミを聞きつけたのか、きゅるり、と小首をかしげるシマエナさま。
「……いかん、なんか微妙にやる気を削がれた」
 気を取り直そうとハルマが軽く頭を振っていると、イェフ・デルクス(役立たずの生き残り・f30366)が駆け付ける様子を、視界に捉えた。
 木々の間隙を縫って、イェフが視認した敵の姿は、やはり、異形。
「なんか可愛いやつらだな。……いかつい腕生えとるが。何にせよ、戦争するならやるまでさ」
「せっかくだ、共同戦線といこうぜ」
「こんなオッサンで良ければ、構わねェ」
 イェフの色よい返答に笑みをこぼしたハルマは、森へと声を投げた。
「エルフさん、いるんだろ? 力を貸してくれ!」
 森の事ならば全て把握している、と言っても過言ではないエルフ達だ。助けが得られれば百人力。
「お安い」
「御用さ」
 がさっ。
 ハルマの呼び掛けに応え、木々の間から、エルフ達が顔を出した。
 イェフ達が猟兵の援軍であると知ると、協力を快諾してくれた。
「猟兵には借りがあるからね」
「まあ今回も借りを作ることになるんだけど、少しでも力になるよ」
「頼もしいねェ。郷に入っては郷に従えとも言うし、1つ頼むわ」
 そしてイェフは、シマエナさま迎撃プランを、エルフ達に説明したのである。


 作戦を確認したハルマとイェフは、いよいよ反撃にうって出る。
「エルフさん達には、後方援護を頼む、こっちに接近して来る敵優先で! 無理にトドメは刺さなくても構わないから」
「うん。役目を果たすとするよ。キミ達の足を引っ張らないように」
 エルフ達がシマエナさまへの対空攻撃を開始すると同時、ハルマは、枝を足場に跳躍。そのまま風をまとって空へと舞い上がった。
 ハルマの視界を埋め尽くすほどのシマエナさま。それを確かめ、ハルマが手を振るった。
「――吹き祓え、風刃……!」
 生み出された刃が、シマエナさまを切り裂いた。そう、視界の中の、シマエナさま達だけを。
 薙ぎ払われた天軍は、一瞬で無数の羽根となって、空に散った。

「ぐれーとシマエナぱーんち!」
 ばきぃ!
 授かった岩腕の威力を確かめるように、木を粉砕していたシマエナさまは、突然こてん、と横になった。
 見れば丸っこい体に突きたつ矢。エルフ達の狙撃である。
 急襲に慌てて転身したものもいたが、イェフの浮遊自走砲が、その退路を阻んだ。
「恐れるなー!」
「今の僕らは大天使様パワーですごい強い!」
 木の上から矢を射かけるエルフ達へと、方向転換するシマエナさま達。しかし、その行動自体、イェフの策にはまっていることなど、知る由もない。
その頃、イェフの姿は、キャバリアの操縦席にあった。エルフの情報で森の地形を把 握したイェフは、敵に発見されにくい場所に陣取り、ロングレンジライフルを構える。
『住処荒らして悪ィな』
『気にしないで、戦いというのはそういうものだよ。勝っても負けても面倒さ』
『違いねェ』
 エルフとのそんなやりとりを思い出しながら。
 イェフは、射撃範囲内に入り込んできたシマエナさまを、撃ち抜いた。
「ぴゃっ!?」
 絶命と共に、たくさんの羽根に変わって、散るシマエナさま。
 エルフにばかり意識を集中していたシマエナさま達は、なすすべなくイェフにハントされていく。
 狙いは確かだ。確実に頭部を……と言っても『一頭身』と呼べるような姿形をしているが……貫き、仕留めていく。
 自走砲もエルフの援護からイェフの援護にシフトし、シマエナ狩りを加速。
「せっかく大天使様にもらった岩腕も、振るう暇が無きゃ、宝の持ち腐れだよな」

 イェフの活躍を、戦況から読み取るハルマ。その背後からも、シマエナ軍団が迫る。
 だが、エルフからの援護射撃が、侵攻を妨げる。岩の腕で弾いているため、矢が致命傷となる事はないが、防戦一方には違いない。
 その隙を、ハルマの手裏剣が狙う!
「こ、こおりガー……」
 とっさにユーベルコードの盾で身を護ろうとするシマエナさまだが、間に合わなかった。
 しゅとっ。
 見事手裏剣の的となったシマエナさまも、落下しながら羽根に変わって散華していく。
「つりりりり」
 刺々しい鳴き声。新たなシマエナ軍団の襲来だ。
 四方八方から飛んでくる敵を、ハルマは避け、受け、或いは残像によって回避すると、カウンターの手裏剣で仕留めていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルパート・ブラックスミス
エルフの弓兵たち、自分を覚えているか?
今回も手強い相手だ、頼らせてもらうぞ。

初手から全力でかかる。UC【神・黒風鎧装】での【空中戦】。
超音速【空中機動】に伴う【衝撃波】と旋風で敵UCを【吹き飛ばし】無力化しつつ【投擲】短剣【誘導弾】とエルフたちの弓矢、陸空両面からの【弾幕】で磨り潰す。
此方のUCの【呪詛】で敵の判断能力は低下しているし、過去に彼らと共闘した【戦闘知識】がある、それぐらいの【集団戦術】は可能の筈だ。

愛らしき鳥が天の使いならば、厳つい鋼身の我はさしずめ地獄の使いか。
いいだろう。一羽残らず地の底に墜としてくれようか。



 戦いは好まないが、森の安寧のため。
 強化シマエナ軍団に抗するエルフ達に、心強い援軍が現れた。ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)である。
「エルフの弓兵たち、自分を覚えているか? 今回も手強い相手だ、頼らせてもらうぞ」
「もちろんだよ鎧さん。こちらこそ大歓迎さ」
 旧交を温めるのも束の間、ルパートは、攻め来る敵群に全力であたった。
 蒼き天翼を解き放ち、黒き風と化したルパートが、飛空してくるシマエナ部隊に、突撃を敢行する!
「シマっ!?」
 丸々とした体が、吹き飛ばされる。
 音速超過の空中機動は、直撃せずとも、周囲にまき散らした衝撃波と旋風で、シマエナさま達を寄せ付けず、むしろ跳ね飛ばす。
 がしっ。
 飛ばされそうになる味方を、岩の腕でつかむシマエナさま。
 そして反撃。集団でルパートを包囲する。
「スーパーひえひえアロー!」
 岩腕から、同タイミングで解き放たれた魔法の矢が、全方位からルパートを狙う。
 だが、ルパートは臆せず、それどころか、自ら氷矢の雨に飛び込んだ。
 漆黒の風は、氷矢を一切寄せ付けず弾き散らすと、シマエナさまの陣形を大いに乱した。
 体勢を崩されては、狙いを付けることは難しい。
「エナっ!?」
 慌てふためく敵陣に向け、ルパートは短剣を投擲。
 そして木々の間からは、対空攻撃が来る。エルフの矢だ。
 両者の攻撃、その数は、もはや弾幕と言って差し支えない。敵の数も恐るべきものだったが、ルパート・エルフ連合軍の前に、すり潰されていく。
 圧倒的な反撃による動揺、何より、ルパートの風に秘められた呪詛が、シマエナさまから判断能力を奪っていた。
 加えて、以前の共闘経験で、ルパートとエルフ達は、連携の精度を高めている。
 ここまで条件がそろった以上、大天使の加護を受けたオブリビオンの軍勢といえど、恐れるに足らぬ相手であった。
「ちゅりり」
 だが、空に新たな影が現れる。敵の増援だ。
「愛らしき鳥が天の使いならば、厳つい鋼身の我はさしずめ地獄の使いか。いいだろう。一羽残らず地の底に墜としてくれようか」
 ルパートは樹上のエルフ達とアイコンタクトを交わすと、漆黒の風となり、空を翔ける。
 告死鳥と呼ぶにはいささか愛らしさが過ぎるシマエナさまから、森とエルフを守り通すために。

成功 🔵​🔵​🔴​

パルピ・ペルポル
せっかくのもふもふになんて無骨なものを…!
これはどうやってもふったものか…数も多いし悩ましいわね。
あ、エルフの皆さんはお久しぶり。今回もよろしくねー。

よさげなポイントで待ち伏せしましょう。
エルフたちにシマエナさまに攻撃を仕掛けてもらって、その隙にわたしが死角から雨紡ぎの風糸を絡めて火事場のなんとやらも使って一気に引ききるわ。
ユベコの威力が上がっても身体能力が同じように強化されるわけではないでしょうし。
氷の盾は古竜の骨のマン・ゴーシュで威力を削ぐわ。
あの腕を切り落とせば弱体化するのかしら…ちょっとエルフさんに協力してもらって試してみましょ。
今回はもふる余裕なさそうだし無理に狙う意味はないけど。



 エルフの森の危機に、パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は肩を震わせていた。
「せっかくのもふもふになんて無骨なものを……!」
「シマエナぱんち・グランデ!」
 ずどん!
 パルピの怒りの原因は、一撃で木を破壊するシマエナさま、その岩腕にある。
「これはどうやってもふったものか……数も多いし悩ましいわね。あ、エルフの皆さんはお久しぶり。今回もよろしくねー」
「こちらこそ感謝だよ、小さな妖精さん」
「また面倒に巻き込んじゃって、申し訳ないね」
 相変わらずの様子なエルフ達と協同して、パルピはシマエナ軍団の迎撃を始めた。
 敵の数は多い。そしてこの後には、腹心のオブリビオン、そして大天使が控えている。ならばここは確実に。
 パルピは、エルフお勧めの待ち伏せポイントに身をひそめた。
 そして、エルフ達の放った矢が、進軍してきたシマエナさま達の体に突き立った。
「シマっ!?」
「エナっ!?」
 飛ぶ鳥を落とす勢いの矢が、シマエナさま達を足止め(腕止め? 羽止め?)している間に、パルピも動いた。
 シマエナさまたちに、突然死角から、糸が絡みつく。パルピの放った雨紡ぎの風糸だ。
 そのまま超怪力を発動して、まとめてシマエナさま達を引ききった。
「ぴゃーっ」
 シマエナさまはバラバラになった。
 その身は無数の羽根になって、消えていく。
 矢の雨、そしてパルピの糸に恐れをなしたシマエナさま達が、ぷるぷるとその身を震わせる。
「す、スペシャルこおりガード!」
 岩の腕を使って、氷の盾を支えるシマエナさま達。一列に並べばバリケードの完成だ。
 これでパルピのユーベル怪力をしのいでいる間に、別のシマエナ隊が攻撃を仕掛けるという算段だろう。
 だが。
 氷の盾にヒビを入れたのは、古竜の骨のマン・ゴーシュ。パルピの怪力が通り、盾は木っ端みじん。
 シマエナさま達、落胆。腕があるので落とすべき肩があったのは、幸か不幸か。
「あの腕を切り落とせば弱体化するのかしら……エルフさんエルフさん」
 パルピの提案で、岩の腕の付け根を狙うエルフ達。
 弱ったその箇所をマン・ゴーシュで切り落とせば、元のまるまるボディが取り戻された。これなら、もふもふするにも困らない……!
 きらきらと欲望を宿したパルピの目に、シマエナさま達はふるえあがったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
エルフさん達お久しぶり
あの頃からほんのちょっと背伸びたよ、と近状報告
エルフさんに背比べの樹、しっかり守るので後方援護よろしく

シマエナさまについてるアレは…アーム、すなわち、腕
に、似合わない。愛らし度急下降
翼あるものに腕を生やすなど、鳥好きに喧嘩売る所業
ブラキ…ブラブラ許すまじ

UC発動
うさみん☆、ダンスで皆を鼓舞しよう
シマエナさん達は…盾を使う?
それは残念、盾の壁があればうさみん☆のダンスも楽しめない

ダンスに合わせ踊るように地を蹴り、盾をステップジャンプ
頭上から大剣にした灯る陽光を振り下ろし、剛腕を斬り落とす

うん、丸いフォームこそシマエナさま
もふっと抱きしめ(怪力)、骸の海にお帰り頂く



 木元・杏(メイド大戦・f16565)は、戦うエルフ達の中に見知った顔を見つけ、旧交を温めていた。
「エルフさん達お久しぶり。あの頃からほんのちょっと背伸びたよ」
「なんと、それは素敵じゃないか。でも僕らも成長したよ」
 得意げなエルフ。
「成長……」
 しかし、杏の目には、良くも悪くも変わりないように見えた。
「弓の腕が」
「なるほど」
 杏は納得した。それなら見えなくても仕方ない。
「エルフさんに背比べの樹、しっかり守るので後方援護よろしく」
「後ろにいるのは大得意さ。前に出るのは億劫だ」
 エルフさんたち、相変わらず面倒くさがりだ。

 そして、迫りくるシマエナさま軍団。
 今回のシマエナさまには、大きな腕が付いている。何せ無理矢理生えているので、
「に、似合わない」
 杏の中で、シマエナ愛らし度が、急下降した。
「翼あるものに腕を生やすなど、鳥好きに喧嘩売る所業。ブラキ……ブラブラ許すまじ」
「しまー」
「えなー」
 雑な鳴き声と共に、シマエナさま達が攻勢にうって出た。
 新しい武器を試してみたいのだろう。まずはユーベルコードではなく、マッシブな腕を杏に振り下ろす。
 させじとエルフ達が矢を射かけ、杏を援護した。全て命中。
 だが、大天使の岩腕は硬く、並みの攻撃を通さない。
「邪魔だなあ、あれ。……ん?」
 エルフがうんざりしていると、戦場に楽し気な雰囲気が流れ始めた。
 うさみん☆のダンスだ。エルフ達はシマエナさまの事も忘れ(てはいないけれど)、そちらに意識を向ける。
 それを見たシマエナさまは、今のうちにと、氷の盾の準備にかかる。
「それは残念」
「じゅりり?」
 シマエナさまが、首を傾げる。
「盾の壁があればうさみん☆のダンスも楽しめない」
 盾が遮蔽となり、ダンスの見えないシマエナさま達の動きが、鈍る。
 その間に、うさダンスのリズムに合わせて、地を蹴る杏。
 シマエナさまが構えた盾を踏み台に、ステップジャンプ。
 宙にてくるりと転身、がら空きな頭上から、大剣型の灯る陽光を一閃。返す刀でもう一丁すれば、岩腕が斬り落とされ、地面に落ちた。
 丸裸にされたとばかり、体を縮こまらせるシマエナさま・オリジンフォーム。
「うん、丸いフォームこそシマエナさま」
 もふっ。
 杏(の怪力)に抱きしめられたシマエナさまは、無数の羽根になって、骸の海に還るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メノン・メルヴォルド
この世界はワタシにとっても大切な場所、なの
自分にできる事は少なくて限られているけれど…それでも、お手伝いしたい

気合いを入れてきたのに
か…かわっ、かわいい!
愛らしい姿を見て心が挫けそうになっちゃうの

シマエナさまが、こんなにまんまるだなんて
…でも、翼じゃなくて腕、なのね?
素朴な疑問

なんともアンバランスに思えて
それが、加護?

ハッとして気を取り直す
《高速詠唱》《属性攻撃》で炎の竜巻を発動
全てを熱で巻き込むように《全力魔法》で威力を上げるね

これ以上は破壊しないで
森が悲しむから

壊すのは一瞬
育むには長い年月をかけなくてはいけないはずだから…

エルフさん達が援護してくれたら感謝を伝え
そして彼等もワタシが護るのよ



 静かな森を飲み込む騒乱。
 その光景を目の当たりにしたメノン・メルヴォルド(wander and wander・f12134)は、森に暮らすエルフ達へと、協力を申し出た。
「この世界はワタシにとっても大切な場所、なの。自分にできる事は少なくて限られているけれど……それでも、お手伝いしたい」
「大歓迎さ。私達の手には余ると思っていたところだからね」
 穏やかなエルフ達は、メノンを優しく迎え入れた。
 そしてメノンは、森の入り口に立ち、迫りくる敵と対峙する。
 そう、シマエナさまの大群と……。
「か……かわっ、かわいい!」
 せっかく気合いを入れてきたのに、愛らしい姿を見た途端、戦意が挫けそうになる。
「シマエナさまが、こんなにまんまるだなんて……でも、翼じゃなくて腕、なのね?」
「しまっ」
 得意げなシマエナさま。
 翼が腕に置き換わったり、別に生えたり。一羽一羽生えてる箇所が違って、意外と個性的。
「シマエナガ・まきしまむ・あるてぃめっと!」
 ハッと、メノンを我に返したのは、空と大地を埋め尽くさん勢いの、シマエナガの大群だった。
 もふもふの絶景。だが、油断してはいけない。
 これもブラキエルの作戦かもしれない。見た目の愛らしさで猟兵を油断させる、という……。
「これ以上は破壊しないで。森が悲しむから」
 メノンの対応は、素早かった。
 シマエナさまが森やエルフ達を『ついばむ』前に詠唱を完了させると、炎の竜巻を起こした。
「しまー」
「えなー」
 炎熱に焼かれる召喚エナガ。それと共に、シマエナさま達も巻き込まれていく。
 無惨な焼き鳥になる姿を想像して、メノンは心を痛めそうになったが、ふわっと多彩な羽根に分解して消えて行ったので安心した。むしろ幻想的な光景だった。
 羽や腕に引火しつつも、逃れようとするシマエナさまを、エルフの矢が仕留めた。
「ありがとう、森は焼かないよう気を付けるから安心して」
「心配なんてしてないよ。キミ達がそんなヘマをするはずがないからね」
 張り切るメノンに、エルフはさらっと爽やかな言葉で応えた。
 なおも迫りくる、愛らしさの権化。目的はただ、破壊と殺戮。それこそがブラキエルに与えられた使命。
「壊すのは一瞬。育むには長い年月をかけなくてはいけないはずだから……」
 メノンが、炎と風の精霊力を御する。
 エルフと森を護るために。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレクサンドル・バジル
【Ahnenerbe】で連携
おお、可愛らしいシマエナさまにゴツイ腕つけちゃって。
ブラキエルの美的センスは疑わざるを得ねーな。
まあ、いくら可愛らしくても虐殺を許すわけにもいかねーから、消えてもらうぜ。

『神魔審判』を発動。
範囲内のシマナエさまを消滅させながら、群れの多い方、多い方へと常に移動。範囲内の味方(勿論、エルフ含む)は同時に回復させていく。
(この際、敵WIZUCで増えた分も区別なく対象に)
一緒に来た絶奈とディスターブと連携して効率よく打ち漏らしなく、かつ味方に被害なしと欲張りセットで頑張りてーな。


ディスターブ・オフィディアン
【Ahnenerbe】で連携
第一人格で行動

【心情】
見た目がどうあれ、オブリビオンとあれば容赦はせん
一匹残らず叩き落す

【行動】
攻撃は霧島やバジルに任せられそうだし、こちらは撹乱と足止めを狙うか。
レプリカクラフトで霞網を作成し敵の進軍経路に合わせて設置だ、設置位置に関してはエルフたちにも伝え、逃走時の足止めや敵の絡め捕りに利用するように伝えておこう
飛行経路が制限される森の中、ロックアームという本来無い器官を付与されているのだ、いつものようには飛べぬはず、そこに罠を仕掛ける。(罠使い、地形の利用)

動きを止めてしまえばこちらのもの。高速詠唱による衝撃波で仕留めていこう
ま、手が回らん分は2人に任せよう


霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で連携

◆心情
さあ、存分に愉しみましょう

◆行動
バジルさんが殲滅と回復、オフィディアンさんが遊撃…
私は差し詰め固定砲台による火力支援と言った所でしょうか?
勿論エルフの皆様にもご協力頂きましょう

【範囲攻撃】する『DIABOLOS LANCER=Replica』で【二回攻撃】
一撃目は自身や味方の足元に打ち込み強化
続く二撃目に【マヒ攻撃】を追加し敵を攻撃

また強化領域内のエルフ達防衛の為【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置

ユーベルコード以外にも【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復




 【Ahnenerbe】が1人、アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は、樹の上から森の外を眺めた。
 視界には、天地より襲来する敵影。その数、大量。
「おお、可愛らしいシマエナさまにゴツイ腕つけちゃって」
 翼で空を飛ぶのを維持するためか、岩腕の生えた箇所は若干アンバランス。
 巨腕をぶら下げるようにして飛来するさまは、何処か悪魔を思わせた。
 が、即席の悪魔に、真なる魔神……アレクサンドルが怯む事は、ない。
「ブラキエルの美的センスは疑わざるを得ねーな。まあ、いくら可愛らしくても虐殺を許すわけにもいかねーから、消えてもらうぜ」
「当然。見た目がどうあれ、オブリビオンとあれば容赦はせん」
 アレクサンドルの結論に、ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)が異を唱える理由は存在しなかった。
 第一人格の不遜は健在。
 如何に数が多くとも、また、ブラキエルの加護を受けていようとも、一匹残らず落とす構えである。
「霧島も、と、確かめるまでもないか」
 ディスターブが意見を求めようとした霧島・絶奈(暗き獣・f20096)、その聖女然とした顔は、既に愉悦の笑みで満ちていた。
「さあ、存分に愉しみましょう」
 絶奈の言葉に、エルフの森がざわめいた。気がした。


「シマエナー!」
 アレクサンドル達を敵認定したシマエナさま達が、岩の腕を掲げた。
 が、アレクサンドルの力の発動の方が、一足早かった。
 森を、空を、魔力が駆け抜ける。
「シマっ!?」
 驚きの声が、そのままシマエナさまの断末魔となる。
 アレクサンドルの破壊消滅魔力を受けたそばから、消滅していくのだ。
 その影響範囲は、アレクサンドルの動きに追従する。よりシマエナさま密度の高い方へと移動する事で、敵の駆逐数を加速度的に増やしていく。
 悪魔的な魔力波動の展開。その一方で、アレクサンドルが味方と認めた者には、強大なる癒しの力となる。
「おや、これは」
「受けた傷が治っていくよ」
 シマエナ軍へ抗戦を続けていたエルフ達が、感嘆の声を漏らす。
 アレクサンドルの力の凄さと、味方とみなされた事の誇らしさをこめて。
「さあ、この調子でいくぜ」

「霧島やバジル、上手くやっているようじゃないか」
 アレクサンドルの再生復元魔力の恩恵を受けたディスターブが、両者を思う。
 シマエナさま達も、正面から攻撃を仕掛けるのは得策ではないと判断したのか、散開。侵攻を継続する。
 小柄に不釣り合いな岩腕も駆使して、エルフの矢をかわしつつ、進んでいく。だが。
「シマっ!?」
 シマエナさま達を、突然のトラップが襲った。ディスターブの仕掛けた罠、霞網だ。
「ふむ、やはりロックアームがあっては満足に飛べぬようだ」
 木の傍らに姿を現した黒衣は、ディスターブその人。
 『レプリカクラフト』にて精巧な霞網を作成、敵の進軍経路に合わせて設置したのだ。
 そのポイント情報を共有したエルフ達は、弓矢の攻撃によってシマエナ軍を誘導。ディスターブの罠の元へと追い込んでいった、という訳である。
「大天使の加護などと言えば聞こえは良いが、本来ない器官が仇となったようだな」
「ちゅりりりり!!」
 『離せー!』とばかり、じたばた暴れるシマエナさま。
 だが、ロックアームによる反撃も、ユーベルコードによるこおりガードも、間に合わなかった。
 ディスターブが、そんな隙は与えなかった。
「動きを止めてしまえばこちらのもの」
 高速詠唱を披露すると、生成した衝撃波で、捕らえたシマエナさま達をまとめて駆逐していく。
 とはいえ、何せ数が多い。倒しきれぬ分は、他の2人、そしてエルフ達に任せるとしよう。

 アレクサンドルの殲滅&回復、ディスターブの攪乱&足止め。
 2人がそれらを担うならばと、絶奈は、火力支援を選択していた。
「エルフさん、力をお貸しいただきます」
「もちろん、ここは、持ちつ持たれつ、だね。一緒に敵を追い払おう」
 エルフの射手らと共に、森に身をひそめた絶奈の視界に、敵影が映りこむ。
 新たなシマエナさまの大群。殺戮対象を求め、木々の間を飛び交っている。
 しかし、先手を取ったのは、絶奈達の方だった。
「シマっ!?」
 敵軍の頭上から、光の槍が降り注いだ。
 絶奈の祈りにより招来した、『DIABOLOS LANCER=Replica』。
 槍状の光輝に貫かれたシマエナさま達は、自分の羽の力を借りずに、宙を舞った。
 広範囲攻撃を受けたシマエナさまのうち、直撃に近いものは無数の羽根となって消滅。
 離れた場所にいたものも動きを止められ、反撃を封じられた。
 しかしそれは、絶奈の初撃ではなかった。
 身動きできぬシマエナさま達に、エルフの矢が降り注ぐ。その威力たるや、今までのものとは段違い。
 そう。絶奈の光輝、その一撃目は、自身やエルフ達の加護として発動し、その力を強化していたのである。すなわち、銀の雨の領域。
 森での乱戦にもかかわらず、エルフ達は誤射もなく、シマエナさまだけを射抜いていく。
 これもまた、絶奈の仕掛け。森の各所に設置された『魔法で敵を識別する指向性散弾』が機能している事の証明だった。


「じゅりりりり」
「ん??」
 突然の刺々しい鳴き声に、アレクサンドルが怪訝そうな表情を見せた。
 シマエナさまにも、意地やプライドがある。
 岩の腕を掲げたポーズで何やらさえずると、無数のシマエナガを召喚したのだ。
 空や森を埋め尽くすほどの、白きふわもこの大群。
 が。
「エナっ!?」
 所詮はシマエナガ。とてつもなく数が多かったとしても、アレクサンドルの魔力に呑みこまれ、片っ端から消えていく。
 シマエナさまとシマエナガによって制空権を奪われたのは、ごくごく短い間……一瞬に等しい時間に過ぎなかった。

 ディスターブの罠を警戒して、迂回するシマエナさま。折角の氷の盾も役立たず。
 しかしそれもまた、ディスターブの想定内であった。
 他の2人の攻撃から逃れてきた仲間と合流するシマエナさま。そこを、ディスターブの衝撃波とエルフの矢の雨が襲う。
 だが、岩腕すら絶奈達に通用しなくとも、シマエナさま達には、最大の武器……数の多さがある。
ユーベルコードでシマエナガの大群を追加召喚、戦場をかき乱す。
「ちゅるり」
 何と愛らしい殺戮の天使がいたものか。
 しかし、絶奈もまた、殺戮の聖女。
 どこまでも容赦がない。光槍同様、麻痺の効果をしのばせた衝撃波で迎撃。
 数的優位にあったはずのシマエナさま群も、絶奈達の奮戦により押し返されていく。

 かくして、エルフ達と連携した3人は、効率よく、かつ討ち漏らしなく敵を殲滅。
 何より、味方や森に、ほとんど損害も負傷も受けないと言う、大戦果と言うに相応しい結果に、アレクサンドルは勝ち鬨をあげた。
「岩腕の生えたシマエナガなんて、シマエナガじゃないからな」
「さあ、次は兎だったか。絶対防御の鎧とやら、興味深い」
「それを打ち砕かれた時、かのオブリビオンはどんな表情をみせてくれるのでしょう」
 一息つくディスターブ達の傍ら。
 絶奈は穏やかと物騒、矛盾をはらんだ笑みをこぼしていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『王兎』ウサギサマ』

POW   :    余に従えば至福の時を約束しよう
【竜の血を浴びた事で手に入れたモフモフさ】を籠めた【自分から命中したくなるモフモフな体当たり】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【闘争心と反抗心……ついでに日々のストレス】のみを攻撃する。
SPD   :    愚かにも余に挑むと言うのか
敵より【も自身のモフモフ度が上回っている】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    此処を余のモフモフ王国とするのだ
【レベルの三乗km内を満たすモフモフオーラ】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒玻璃・ミコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 果たして、エルフの森の空は晴れた。
 そしてエルフと猟兵達は、シマエナさまを率いていたブラキエルの元を目指す。
 かの大天使は、この森に存在する、世界樹の子……聖なる木の存在を感知した模様。既にそちらに向かっているようだ。
 森の奥へと取って返した一同を、巨大な邪気が襲った。
 ぬっ。
 木の陰から現れた数メートルの巨体は……兎。巨大な兎だった。
「余は、王兎ウサギサマ。兎の王である。今は大天使様の意に従い、世界を平定せんとするものである」
 果たしてその心は、
「大天使様の加護を利用し、モフモフでないものを全て排除。そして、余の望むモフモフ王国を創世するのである」
 そう告げるウサギサマの体は、なんと、モフモフしていなかった。
 『絶対物質ブラキオン』で作られた、白銀の鎧に覆われていたのだ。冠はちゃんと被ったまま。
「涙を呑んでもふもふを覆ったこの鎧は、如何なる武力によっても傷つくことはない。よって余は無敵である」
「ふうん……別にもふもふ王国は否定しないけど、よそでやってくれないかなあ」
 尊大なウサギサマに、こともなげに返すと、エルフ達は葉っぱを取り出した。
「聖なる木の葉。この力を使えば、どんなものでも不思議と力を失う」
 ブラキオンの特性、それすなわち、破壊不可。
 しかし、聖なる木の葉に秘められた力ならば、ブラキオンの特性を無効化できる、という。
「割と数はあるけど貴重な葉っぱだし、猟兵が使うといいよ。私達は得意の弓で鎧の隙間を狙うとするから」
「ええい、ごちゃごちゃと煩いのである。鎧でさえ抑えきれぬ余のモフモフ力(ちから)にひれ伏すが良い!」
 ずうん。
 ウサギサマが巨体を揺らし、森を震わせた。
 大天使への道を切り拓くには、この王を、絶対物質の鎧を、打ち破らねばならぬ。
ルパート・ブラックスミス
真の姿維持

貰った聖なる木の葉でブラキオンの特性無力化、黄金魔剣で【部位破壊】。
敵UCはそのまま受け止める。

これが、モフモフ。確かにモフモフ。
自然と剣を離し両手を広げて受け入れしまう。
うむ、これは…これは……

鎧から普段の制御を離したUC【燃ゆる貴き血鉛】垂れ流し。
振り落としにかかれようが【怪力】【グラップル】でしがみつく。
闘争心や反抗心ではない、モフモフへの執着。
離さん、離さんぞ。この鋼身故に遠慮してるだけで、モフモフに埋もれたいとかその辺の欲求は当方とてあるのだ。恨むならこの至福を教えた己を恨め!

さっきも…あーなんと言ったか。
そう、厳つい鋼身がこのモフモフを地の底に墜としてくれよう。(ぎゅぅぅ



 森の奥、大天使へと続く道にて、鎧同士が対峙する。
 両者には、決定的な違いがある。
 真の姿を現したルパート・ブラックスミスと、真なるモフモフを鎧の内に隠したウサギサマ。
 片や攻めの姿勢、片や守りの姿勢。
「早速使わせてもらうぞ」
 ルパートが手にしたのは、エルフ達に託された、聖なる木の葉。
「そんな葉っぱ、余が美味しく食べてやるのである」
 不遜なるウサギの王へと、蒼炎の翼が翔ける。突き出したのは、剣ではなく、葉。
 解放される神秘の輝き。葉の聖なる力を浴びた箇所が変性し、白銀色を失っていく。
「な、どういう仕掛けであるか!? ブラキオン様の鎧は何ものにも砕かれぬと、そう聞いたのである!?」
 狼狽する兎の王に、ルパートは、今度こそ黄金魔剣を繰り出した。
 金属質の音を立てて、鎧が破片と変わる。同時に露わになる、モフモフ。
「な……っ!」
 動揺と混乱、そしてそれを上回る危機感が、ウサギサマを突き動かした。
 ルパートへと体当たり。モフモフが露出しているので、モフモフ力は多少なりとも発揮された。
 クッションのような緩い衝撃の後。ルパートの胸で燃える闘志が、ふわりと霧散する。
「これが、モフモフ。確かにモフモフ」
 ルパートの手から、滑り落ちる魔剣。そのまま両手を広げ、ウサギサマのモフモフを受け入れてしまう。
「うむ、これは……これは……」
 間断なきモフモフに酔いしれるルパート。
 その鎧の間隙から、燃える鉛が伝い落ちる。制御を失ったそれは、容赦なく垂れ流し状態となる。
 その鉛に触れた途端、蒼い炎が燃え広がる。
「は、離れよ! 熱いのである!」
 身体の大半は依然として鎧に守られ、熱も鉛も遮断している。だが、モフモフな部分は別。
 ウサギサマも必死に振り払おうとするものの、ルパートはしがみついたまま。なぜならこれは戦闘行為ではない。
 闘争心や反抗心とは無縁の、ただモフモフへの執着。
「離さん、離さんぞ。この鋼身故に遠慮してるだけで、モフモフに埋もれたいとかその辺の欲求は当方とてあるのだ。恨むならこの至福を教えた己を恨め!」
「えええ!?」
 まさか、己のモフモフさが仇となるとは。
 最早為すすべのないウサギサマに、ルパートはこう告げた。
「さっきも……あーなんと言ったか。そう、厳つい鋼身がこのモフモフを地の底に墜としてくれよう」
「ぎゃあああ!!」
 ルパートの抱擁を受けたウサギサマの悲鳴が、森に木霊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パルピ・ペルポル
あああせっかくのもふもふが…。
フェアリーを地に落とすほど失望させるとか万死に値するわ。
もふもふを覆った時点であんたの勝ち目はなくなったのよっ。

モフモフオーラは古竜の骨のマン・ゴーシュで十分防げるわね。もふもふの視覚効果を抜きにして威力でるわけないでしょ。

とりあえず聖なる木の葉を数枚もらって。
雨紡ぎの風糸を周囲に張り巡らせてダメージいかなくても行動の阻害はいけるでしょ。
さらに穢れを知らぬ薔薇の蕾を投げつけて拘束して。
背中あたりに聖なる木の葉を貼り付けてそこを重点的に攻撃するわ。
いや別にもふりたいわけじゃないのよ、エルフの皆が狙いやすいようになわけで。
まぁもふれるならもふるけどっ。



 ウサギサマの完全防備は、パルピ・ペルポルをいたく落胆させた。
「あああせっかくのもふもふが……」
 へなへなと、地面に不時着するパルピ。
 しかし、心配するエルフ達をよそに、自力で復活。
 顔を上げると、きっ、とウサギサマを睨んだ。
「フェアリーを地に落とすほど失望させるとか万死に値するわ。もふもふを覆った時点であんたの勝ち目はなくなったのよっ」
「透明な鎧にすれば良かったか?」
「そういう問題じゃない」
 なら、これ以上の問答は無用と断じたか。
 ウサギサマは、全身からオーラを放った。
 このモフモフオーラを受けたものは、ウサギサマの規定したルールに従わねばならない。破った者は裁きを受けるのだ。
「この領域にいる者全て、モフモフを愛するものを傷付けてはならぬ!」
「!!」
 王の言霊の力に囚われたエルフ達は、つがえた矢を放てずにいた。撃てば、痛みが返って来る。
 だが……。
「効かないわよそんなもん」
「え」
 古竜の骨のマン・ゴーシュでオーラを防いだパルピは、平然としていた。
「もふもふの視覚効果を抜きにして威力でるわけないでしょ」
「ぐ、ぐぐ……絶対防御の加護のために、攻撃の力を代償とするとはなんたる不覚……!」
 貴重なモフモフ露出部分である顔に、悔しさをにじませるウサギサマ。
 その間に、パルピはエルフから聖なる木の葉を譲り受けていた。
「ええい、だが小妖精如き、余の体当たりだけでも潰せるわ!」
 巨体をシンプルな武器として、パルピにのしかからんとするウサギサマ。
 しかし、二次元フェアリーにプレスされる前に、ウサギサマは雨紡ぎの糸に引っ掛かり、攻撃を阻まれた。
 続けてパルピは、穢れを知らぬ薔薇の蕾を投げつけた。弾けるように伸びた茨が、鎧ごと、王兎の体を縛り上げてしまう。
「攻撃力も何とかして欲しかったのであるブラキエル様……!」
「そこは自分で何とかしなさいよ」
 ぺたり。
 ウサギサマの背中に聖なる木の葉を貼り付けると、波紋のようなものが広がった。白銀の鎧は、途端にくすんでいく。
 そして、防御力を失った箇所に、マン・ゴーシュを集中的に、何度も突き立てる!
「もしかして其方、余をモフるつもりではあるまいな?」
「いや別にもふりたいわけじゃないのよ、エルフの皆が狙いやすいようになわけで」
 言い訳めいたパルピの回答が、合図になったように。
 ぴきり。鎧が割れ、ウサギサマの背中の一部が露出する。
 それはそれはもふもふしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
まぁ、俺もモフモフは嫌いじゃないけどさ。
それ以外を排除だとか物騒なのはノーサンキュー

◆SPD

【見切り】【残像】【武器受け】【第六感】で敵の攻撃を躱しつつ
鎧の隙間がどの個所にあるかを【情報収集】

ある程度隙間の箇所を確認したら、爆裂煙幕弾を使用
ウサギサマを【おどろかす】ことで足を止め、その隙に
手裏剣を鎧の隙間に【投擲】。同時にエルフさん達にも
援護射撃を要請

とはいえ、ちまちまやってても埒があかない
ある程度ダメージを与えたら聖なる木の葉を使い鎧を無効化
そこに【破天剛砕錨】を叩き込む

……ところで、一つ気になってるんだけど

相手よりモフモフ度合いが上だと自身が強化されるUC、って
その鎧着てても効果あるの??



 ウサギサマの主張を一通り聞いた月凪・ハルマは、自分の見解を述べてみた。
「まぁ、俺もモフモフは嫌いじゃないけどさ。それ以外を排除だとか物騒なのはノーサンキュー」
「そのような考えこそ、モフモフ世界には不要。ただモフモフしておれば世は全て事も無いのである」
 巨体ながら、兎から連想されうる俊敏さで、ハルマに飛びかかるウサギサマ。
 アタックをかわしつつ、ハルマが見極めようとしているのは、鎧の隙間だ。
 人間の鎧とは構造が違うが、可動域を確保するため、四肢や首回りにゆとりがあるのは同じ。
「余と遊びに来たわけではあるまい。少しは抵抗してみたらどうだ」
 むすっ、としたウサギ口を披露するウサギサマに、ハルマは応えた。言葉以外のもので。
 どぉん!
「!?」
 ウサギサマの眼前で、爆発が生じた。ハルマの爆裂煙幕弾が炸裂したのだ。
 その目的は、煙幕により視界不良を起こす事以上に、音と光でウサギサマを驚かせる事。
 実際、ウサギサマの足が止まる。
 それこそが、ハルマの付け入る隙。投じた手裏剣は、狙いたがわず鎧の隙間に命中した。
「今だエルフさん」
 ハルマの号令を受け、エルフ達も、矢を浴びせかけた。一斉に。
 ハルマの煙幕がウサギサマの視界を遮っている間に、その周囲に布陣。弱点を狙って得意の矢を射かけたのである。
「小癪な! だが余のモフモフはドラゴンの血を受け進化しておる。この程度の攻撃ではへこたれぬわ」
 確かに、ちまちまダメージを与えていてもらちが明かないことくらい、ハルマも承知している。
 だからこそ、ここは『本命』の出番だ。
 エルフの攻撃が止んだ瞬間を狙い、ウサギサマに接近。ハルマが鎧に押し当てたのは、聖なる木の葉だった。
「なっ、それは……!」
 世界樹の力を受け継ぐ葉だ。その神秘の力は、大天使のもたらした物質にさえ干渉しうる。それを身を以て知ったウサギサマがおののくのも、無理からぬ事。
 白銀の鎧はみるみる、錆びたように色を変える、そこに、ハルマが渾身の一撃。
「大天使の鎧を砕くにはおあつらえむきかもな。【破砕錨・天墜】!」
 がしゃあっ!!
 無敵を誇る鎧が砕け、その威力は、ウサギサマ本体へと深く浸透した。
「……ところで、一つ気になってるんだけど」
 衝撃でずれた王冠を直すウサギサマに、ハルマは問うた。
「相手よりモフモフ度合いが上だと自身が強化される、って……その鎧着てても効果あるの??」
「……はっ!」
 今気づいたかのように、ウサギサマは赤い目を見開いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
はふ、もふもふ…、もふ?(もふがない
……もふぅっ…!!(地面にがくり

ブラブラ、シマエナさまの愛されボディに飽き足らず、もふにまでその魔の手を…、許すまじ
このお調子だと聖なる木も残念な姿に…(想像して戦慄く
ウサギサマを素早くもふもふに戻して先を急ごう

エルフさんから葉を受け取り、うさみん☆には妖怪メダルを持たせて、ん、行く
葉を回避する隙にうさみん☆、ウサギサマにメダルを貼り付けて?
【Come on together】
うさみん☆お尻ふりふりもふもふダンス
さ、その鎧はもふダには邪魔、脱ごう
(うさみん☆鎧脱ぐ仕草)

もふに戻ってもあなたはもふダの虜
はふ…(もふボディをむぎゅり堪能←怪力)
ん、骸の海に還ろう



「はふ、もふもふ……、もふ?」
 もふもふの、気配はすれども、形は見えず。
 木元・杏は、ウサギサマの矛盾した姿に混乱していた。
 もふもふは、ブラキエルの鎧にシャットアウトされている。
 つまりノーもふ。
「……もふぅっ……!!」
 がくーっ……!
 天上界への道を閉ざされたブラキエルが如く。杏は悲嘆にくれた。
「ブラブラ、シマエナさまの愛されボディに飽き足らず、もふにまでその魔の手を……許すまじ」
「不敬な! 余に鎧を下さった偉大な方であるぞ!」
 ウサギサマが憤慨しているが、杏の耳には届いていない。
「このお調子だと聖なる木も残念な姿に……」
 邪神像めいたり前衛芸術的に改造されたりした木を想像して、杏は戦慄いた。
 だとすれば、一刻の猶予もない。ウサギサマを素早くもふもふに戻して、先を急ぐしか。
「余を倒そうというのか? だがこの鎧は破れぬぞ」
「猟兵さん、これを使って」
 ウサギサマの言葉を遮って、エルフが投じたのは、聖なる木の葉。
 ぱしっ、と受け取った杏は、こくりと感謝のうなずき。
 葉を携え、うさみん☆と共に、封印されしもふもふに立ち向う。
「その葉が危険な事は、既に承知済みである」
 天敵である葉に触れまいと、割と俊敏な挙動を見せるウサギサマ。
 鎧の内に秘めたるもふもふが健在な限り、ウサギサマのパワーアップは発動される。ただし、それなりに。
 だが、杏にばかり集中しすぎるあまり、うさみん☆への対応がおろそかになっていた。
 ばしっ、とうさみん☆が張り付けたのは、妖怪メダル【絡繰人形】!
「小兎め。だが、葉でないのなら恐れるに足らず。今度は余の番であ……るっ?」
 ふりふり。
 ウサギサマが、ダンスを始めた。その意志とは無関係に。
 みれば、うさみん☆と全く同じ動き。お尻ふりふりもふもふダンス。
「い、一体どういう仕掛けであるか?」
 ガチャガチャ、と金属音を立てて、体を振るウサギサマ。
「さ、その鎧はもふダには邪魔、脱ごう」
「もふダ? えっ、あっ」
 うさみん☆の鎧を脱ぐ仕草につられて、ウサギサマも鎧を脱ぎ始める。
 身をよじって抗うウサギサマに、杏が葉を貼れば、鎧が脱ぎやすくなった。
「な、なぜだか裸が恥ずかしい……!」
「もふに戻ってもあなたはもふダの虜。はふ……」
「むふっ!?」
 むぎゅり。
 露わになったもふもふボディ(まだまだダンス中)を、全力で堪能する杏だった。
 そう、フルパワーで。
「むぎゃーっ!?」

成功 🔵​🔵​🔴​

アレクサンドル・バジル
【Ahnenerbe】で連携
お次の相手はウサギサマか。シマエナさまといいブラキエル、実は可愛いもん好きか?
だが、シマエナさまにはゴツイ腕つけるしウサギサマは全身鎧でモフモフ隠すし、何か残念な奴だな。
まあ、とりあえずはウサギサマ、倒させて貰うぜ。

聖なる木の葉を貰い受けて戦闘開始。
絶奈やディスターブと連携してまずは動きを見切ろう。
(見切り×学習能力)
その後は鎧の関節部、隙間に魔力を纏った抜き手でグサグサとダメージを入れる。
(部位破壊×貫通攻撃)
隙間狙いと確信させた頃に『聖なる木の葉』を使い無敵特性を消し去った瞬間に『紫微天尊』で鎧ごと爆破。モフモフをチリチリにすることで敵POWUCの効果も奪うぜ。


ディスターブ・オフィディアン
【Ahnenerbe】で連携
第一人格で行動

【心情】
自らの魅力をもって他者を操るのは脅威だが――、与えられた全身鎧が、その力を中和しているとは皮肉なものだ。
ブラキエルも捨て鉢になっているだけかもしれんな

【行動】
エレメンタルミサイルを火属性で発動。火の矢を小出しにしつつ、バジルや霧島と連携し誘導弾による援護射撃
あわせて敵の鎧を観察し、世界知識と照らし合わせて構造や隙間部分を把握
あとは隙間部分を火の矢で狙い撃ち、鎧内部を焼いていく
毛皮が焦げてしまえばモフモフオーラなど出せまい

2人の攻撃でチャンスが生まれれば敵に向けて聖なる木の葉を投擲、残りの火の矢を合成し巨大な火球として敵にたたきつける


霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で連携

◆心情
モフモフを覆い隠してはアイデンティティの喪失では無いでしょうか?
まあ言っても詮無き事ですが…

◆行動
攻撃の際は聖なる木の葉を活用

先ず【罠使い】の技能を活かし「粘着ネット」を複数設置
傷付かない無敵の存在に対する古典的な手…所謂足止めという奴です
其れを厭うて進路を変えた先に私が居ますので二重の罠ですね

罠に嵌り次第『獣ノ爪牙』にて呼出した軍勢と共に【集団戦術】を駆使
攻撃しつつバジルさんやオフィディアンさんの方へ誘導

私自身も【空中浮遊】で射角を調整しつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し追撃

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復




「お次の相手はウサギサマか」
 岩腕シマエナ軍団を退けたアレクサンドル・バジルは、新たに立ちはだかるオブリビオンに、この場にいない大天使を思った。
「シマエナさまといいブラキエル、実は可愛いもん好きか? だが、何か残念な奴だな」
 残念の理由は、自ら魅力を潰しにかかるスタイル。
 シマエナさまにはゴツイ腕つけるし、ウサギサマは全身鎧でモフモフ隠すし。
 見た目を犠牲に強くなるならば理解できるが、ウサギサマに関しては、一概に強化とも言えないところがネック。
「モフモフを覆い隠してはアイデンティティの喪失では無いでしょうか?」
「自らの魅力をもって他者を操るのは脅威だが――与えられた全身鎧が、その力を中和しているとは皮肉なものだ」
 霧島・絶奈とディスターブ・オフィディアンもまた、アレクサンドル同様、忌憚ない意見をウサギサマにぶつけた。
 絶対防御と引き換えに、攻撃力は低下している。モフモフにより力を高めるウサギサマにとっては、長所を封じられたに等しい。
 しかしながら、ウサギサマも、絶奈達の言い分は理解しているようだ。前足を胸に当て、
「確かに、余も心苦しい。だが全てはモフモフ王国の為、大事の前の小事である」
「なら、負けても言い訳すんなよ?」
 構えをとるアレクサンドル。
 このようなものを腹心に据えるとは、ブラキエルも捨て鉢になっているだけかもしれんな、とディスターブは思案した。
 もっとも、言っても詮無き事。防御力に全振りするのならばそれも一つの選択でしょうと、絶奈はそれ以上の思考を打ち切った。
 何より、ウサギサマが戦闘行動に移ったからである。


「さあ、キミ達で使ってくれ」
「サンキュー。大事に使わせてもらうぜ」
 エルフ達から託された聖なる木の葉を、2人にも手渡すアレクサンドル。
「よし、まずはアイツの動きを見切ってやる」
 アレクサンドルが前に出た。
 キレのある体さばきで、ウサギサマのアタックをかわす。先ほどのシマエナ軍団との戦いの疲労は、微塵も見えない。
 アレクサンドルがさすがの継戦能力を発揮し、相手の動きを引き出す様をうかがうディスターブ。
 同じく絶奈や、エルフ達も、機会を狙ってそれぞれの配置についている。
「余を狙う不敬者がいるようだが、無駄である。森ごと薙ぎ倒せばよいのであるからな!」
 アレクサンドルとの戦闘を続けながら、周囲を牽制するウサギサマを、突然の火矢が襲った。
 ディスターブのエレメンタル・ミサイルだ。散発的にウサギサマを射撃し、敵を牽制する。
 そこに加勢するエルフ達。鎧に跳ね返されようとも、行動を阻害する事は可能だ。
 攻防の間、ディスターブが注目していたのは、ウサギサマのまとう白銀の鎧。その構造を観察し、可動部分……すなわち隙間部分を確認。
「いつまでもつまらぬ攻撃をしているのなら、余がすぐに引導を渡してやるのである」
 不遜さを全開にするウサギサマは、ディスターブの火矢を払いのけ、進軍する。
 同じことの繰り返しだと、ウサギサマが油断した頃。
 火の矢は、狙いを変えた。鎧全面から、その間隙へと。
「うあっちち!?」
 足を止め、ばたばたとその場で悶えるウサギサマ。
 モフモフはよく燃える。それでなくとも、鎧の密閉性が仇となり、中は蒸し焼き状態。
「ああ、余の自慢の毛並みが!?」
 ウサギサマの悲鳴が、ディスターブに、自分の目的が果たされた事を確信させた。
 こうなっては、虎の子の……兎だが……モフモフオーラも出せはしない。
 じりり、と後退するウサギサマの目に、絶奈が映り込んだ。
「ええい、そちらから先に倒してくれよう……うぬぬ!?」
 ウサギサマの声に、狼狽の色が混じる。
 その足はなぜか上がらない。地面にくっつけられている。
 絶奈の設置していた、粘着ネットに足を取られたのだ。傷を受けない無敵存在ならば、搦め手を使うのは古典的とも言えた。
 そして、絶奈が、己の『武器』を披露する。
 槍兵、そして屍の軍勢が、木々の間から姿を現したのである。


 包囲されるウサギサマ。いよいよ決め時と、アレクサンドルが戦闘速度を上げた。
「お前の動きはもう見切ったぜ!」
 鎧の隙間、のぞくもふもふ目がけ、抜き手を放つ。ご丁寧に魔力をまとい、威力は万全。
「ふふん、鎧の隙間を狙うことなどお見通しである。肉を切らせて骨を断つ、である!」
 ウサギサマが、吼える。
 確かに懐に飛び込んだ状態なら、アレクサンドルにかわす余裕はあるまい。
「これならどうだ!」
「!?」
 アレクサンドルが見せたものに、ウサギサマは思わず動きを止めた。
「それはっ!」
 ウサギサマが垣間見せた隙に、聖なる木の葉を貼り付ける。白銀の鎧から絶対防御の特性が消失し、何の変哲もない鎧へと変える。
 その瞬間。アレクサンドルが突きこんだ手から、魔力が迸る。
 ウサギサマの全身を駆け巡ったその力は、鎧の内側から一気に溢れ、爆砕した。
 ドォン!
「……けふっ」
 ウサギサマが吐き出す煙。
 モフモフはチリチリになった。
「これでもうモフモフ攻撃は使えないだろ」
「おのれ……やはり其方らはモフモフの敵……!」
 ドヤ顔を披露するアレクサンドルを、ウサギサマの潤んだ瞳が睨んだ。
 攻撃から逃れたところで、その先には、絶奈のトラップが待ち受けている。
 足止めを何度も食らったウサギサマは、集中砲火を浴びるのを嫌い、転身。罠に注意しながら進路を変更した。
 だが、その行動まで含めて、絶奈のトラップ一式だ。
「!?」
 赤眼を見開くウサギサマ。行く手に、絶奈とその軍勢が立ちふさがったからだ。
 確実にこのルートに自分が現れると踏んでの行動に、ウサギサマも驚きは隠せない。もふもふは隠せても。
 狼狽する隙に、絶奈は、聖なる木の葉を鎧に押し当てた。二枚目の葉の力で、無効化箇所が更に増大した。
 次々罠にはまるウサギサマを、砲兵と屍兵が迎撃する。射撃に対し防御態勢をとったところに、槍撃の突進。
 二段構えの猛攻に、押し流されるようにして、後退するウサギサマ。
「建国の為、大天使様の為。ここで倒れるわけにはいかないのである!」
 モフモフ力をこめて、体当たり。兵団を押し返そうとするものの、威力は不十分。
「うぬぬ、鎧が万全ならばこの程度の攻撃、気にする必要もないと言うのに……!」
 既に二か所に聖なる木の葉を受けて、鎧は不完全。
 加えて空からは、絶奈の衝撃波が、続けざまに降り注ぐ。
 それを浴びた途端、ウサギサマは四肢を硬直させた。満足によろめくことさえできない。
「麻痺か、だが、まだまだ!」
 絶奈の軍勢に押し込まれた先、ウサギサマを待ち構えていたのは、別の攻撃であった。
「余がまんまと誘導されたというのであるか!?」
 皆の連携攻撃で弱体化したウサギサマに、ディスターブが聖なる木の葉を投じた。
「これで3枚目、もはやその鎧に防御力など残っていまい」
 残存していた火の矢を、一か所に集結させるディスターブ。
 魔力を凝集させ、火勢を増したそれは、もはや巨大な火球。
「まさか、余にそんなものをぶつける気ではあるまいな!?」
「まさかも何も、それ以外にあるまい?」
 ディスターブの無慈悲が、ウサギサマに叩きつけられた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

コスタバルツァ・オリヴェート
メノン(f12134)と

あーあ、折角のもふもふを鎧で覆っちまうなんてもったいねーな

これはもふもふ具合で勝つのはむずかしーな…おーっし、いっちょ一肌脱いでやるぜ!へへ、メノン頼んだぜ!

メノンが隙を作ってくれたところで、ゴーイングマイウェイを発動
猟兵の仕事で得た大事な金貨…いや、俺も男だ!ちまちま言ってねーで全財産捧げてやらぁ!いっくぜー!
聖なる木の葉を抱えて、鎧の隙間から中へ飛び込むぜ!鎧にこいつを貼ってっと…これで鎧の力は失われるか?
設置したら素早く逃げるまでが作戦だ!

うまく脱出できたら、エルフやメノンの攻撃に合わせて、バブルワンドで水属性の泡を出して攻撃だ!

ま、全財産なら間違いなしだろーな…


メノン・メルヴォルド
コスタくん(f29688)と

できるなら、もふもふしたかったの…
カッチカチに覆われたウサギサマを見て残念そうに呟き

もふもふで勝ちたかったね
コスタくんが脱ぐならワタシも応援するのよ(ぐっ
まず、突入する隙を作るの

《高速詠唱》を使ってエレメンタル・ファンタジアを発動
ウサギサマの周囲に水蒸気の熱い霧を発生させて
牽制しながら注意を引き付けるの
自慢のもふもふはこれでしんなりしてしまうでしょう?

ダメージを受ける覚悟もできているのよ…だから、コスタくんお願い!

無事に戻った彼を確認したら炎の竜巻を作り上げる
水と炎の協力攻撃なの
エルフさん達とも協力して、次に繋げるのよ

ところで…コスタくんの全財産はなくなっちゃった?



 コスタバルツァ・オリヴェート(駆け抜ける海の音・f29688)は、もふもふ王国樹立のため、心を鬼にした兎の王を見た。
「あーあ、折角のもふもふを鎧で覆っちまうなんてもったいねーな」
「むむ、余の悲願達成のため。窮屈だけど我慢するのである」
 やっぱ我慢してるのか。コスタバルツァは思った。
 そんなフェアリーを肩に乗せたメノン・メルヴォルドは、殊の外暗い表情であった。
「できるなら、もふもふしたかったの……」
 白銀の鎧で、カッチカチに覆われたウサギサマを見て、メノンはとても残念そう。
 そんなメノン達に、ウサギサマから覇気が吹き付けた。
「たとえ鎧に覆い隠されようとも、余の本質はモフモフ。それは変わらぬのである」
 確かに、ウサギサマからは、もふもふ特有のもふもふ感が伝わって来る。
「これはもふもふ具合で勝つのはむずかしーな……」
「せっかくなら、もふもふで勝ちたかったね」
「だな。おーっし、いっちょ一肌脱いでやる! へへ、メノン頼んだぜ!」
「コスタくんが脱ぐならワタシも応援するのよ」
 コスタバルツァの信頼に応えたい。ぐっ、と拳を固めて、やる気十分のメノン。
「ワタシが、突入する隙を作るの」
「む、これは……!」
 ウサギサマが、異変に気付いた。
 周囲の木々を、水蒸気が覆っていく。メノンの発生させた熱々の霧が、ウサギサマを視界不良に導く。
「ええい、厄介な。だが、其方を倒せばこの霧も消えるのであろう?」
 霧の発生源である、メノンに狙いを定め、突進するウサギサマ。
 しかし、敵の注意を惹きつける作戦だ。これでいい。
「内に秘めたるもふもふが、余の力を高みに導く!」
 体の大きさや鈍重さを感じさせない、素早い動き。メノンもかわすのがやっと、というくらい。
 だが、鎧には隙間がある。という事は、水蒸気にも付け入る隙が存在すると言う事。
「うぬっ、体が重い……」
 次第に、ウサギサマの速力が落ちていく。
 メノンの霧が、鎧の内なるもふもふをしんなりさせ、もふもふ力を低下させたのだ。
「これを狙っていたのであるか!」
「コスタくん、お願い!」
 メノンのお陰で、ウサギサマに隙が出来た。
 コスタバルツァは、チャンスをつかんで、全速前進! しかし、それには代償が伴う。
「猟兵の仕事で得た大事な金貨……」
 自らの糧となって消えていく財産を、惜しむコスタバルツァ。だが!
「いや、俺も男だ! ちまちま言ってねーで全財産捧げてやらぁ! いっくぜー!」
 金貨が昇華した金の輝きをその身に余さず取り込むと、コスタバルツァは、ウサギサマへと立ち向かった。
 とっさに退避するウサギサマ。その俊敏さはもふもふ力によって強化されていたが、やはり万全でないことは明らか。
 対するコスタバルツァは、全財産をなげうっている。
 失うもののない覚悟が、ウサギサマの守りの姿勢を上回るのは、当然だったかも知れない。
「もらったー!」
 聖なる木の葉を抱え、鎧の隙間から中へ飛び込む。
「なっ、余の内に……く、くすぐったいのである!」
 笑いに体を震わせるウサギサマ。コスタバルツァは、何とか潰されないようこらえると、ぺたり、鎧の裏側に葉を貼りつけた。
「どうだ、これで鎧の力は失われるか?」
 ぼうっ、と淡い輝き。
 葉が、白銀の鎧から、絶対なる守りの力を奪っていく証拠だ。
 これで任務完了。いや、素早く逃げるまでが作戦だ。
「お待たせしたなメノン!」
「コスタくん!」
 威勢のいい声と共に、鎧の外に飛び出すコスタバルツァ。
「俺の全財産つぎ込んだからな! 失敗なんてするもんか!」
 失敗してたらとても悲しい。
 コスタバルツァの無事を確かめたメノンが、炎の竜巻を呼び起こした。
 絶対防御さえ万全なら、いくら熱が強く、あらぶっていようとも防げたであろう。だが、今や鎧はその加護を失っている。
 メノンの激しい炎に呑みこまれ、ウサギサマもおののく。
 ここは、一気に押し込むチャンス!
「エルフさん達も、お願い」
「任せて、的に当てるのは得意だよ」
 メノンの合図で、それまで出番を待っていたエルフ達が、矢を浴びせかけた。
 メノンに示された鎧の弱体部分へと、狙いたがわず命中させていく。
「俺も行くぜ、バブルワンド!」
 エルフやメノンに合わせて、コスタバルツァが泡をぶつけた。
 火と水、2人の相反する力が、ウサギサマを左右から攻めたてる!
「ところで……コスタくんの全財産はなくなっちゃった?」
「…………」
 心配そうなメノンは、コスタバルツァの悟ったような表情を見て、全てを察したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イェフ・デルクス
SPD

あれ、これ俺まだ気付かれてねェんかな…もし気付かれてるんだったら【集団戦術、戦闘知識】でなんか気付かれなさそうなとこに移動。気付かれてなければ現状維持ってことで。

で、この葉っぱ、銃弾の速度とか破壊力に耐えられたりする?
もし耐えられるンなら、俺とあのウサちゃんを結ぶ射線上に落として欲しいんだが…そしたらオレが【瞬間思考力、スナイパー】+ヘッドショットで鎧ぶち抜くからよ。
もしそれが無理なら、まあ普通に鎧の隙間狙っていくわ。同じようにヘッドショットでな。

しっかしもふもふね。あんま興味ねェなァ。
俺もなんか飼ってみれば生活に張り合い出るかね? ヤ、動物が可哀想か…場所もねェしな…。

アドリブ連携歓迎



「どこへ隠れた、猟兵ども。余のモフモフに恐れをなしたか!」
(「あれ? これ俺まだ気付かれてねェ?」)
 イェフ・デルクスは、敵を求めて森を闊歩するウサギサマの言動から、その事実を悟った。
 元より敵の視界・感知の外に陣取るつもりだったが、これは幸いである。
 この機に乗じ、イェフは、同じく森に潜伏するエルフ達との接触を試みた。
「ウサギサマの鎧はもう限界だろう。キミがとどめを刺すといい」
 エルフが手渡そうとする聖なる木の葉を、イェフは一旦保留した。
「で、この葉っぱ、銃弾の速度とか破壊力に耐えられたりする?」
「それはわからないなあ。でも、ボク達が間違って矢を撃っちゃった時は大丈夫だったよ」
「撃ったのかよ」
 妖精の魔力を帯びた矢に耐えうるなら可能性は低くないと、イェフは判断した。
「なら、1つ頼まれてくれねェか? 俺とあのウサちゃんを結ぶ射線上に落として欲しいんだが……。そしたら、オレが葉ごとウサギサマの頭をぶち抜くからよ」
 イェフの提案に、面白い、とエルフはうなずいた。
「お安い御用だよ」
 頼んだ。
 イェフはそう言い残すと、絶好の狙撃ポイントへと移動するのだった。

「この森のエルフを皆殺しにしてもよいな? 後で邪魔をしに来ても遅いのであるぞ?」
 猟兵からの返答がないとわかると、ウサギサマはいよいよ進軍を再開した。
 鎧から微かに露出したモフモフは、これまでの戦いでふんわり感を失っている。もはや力を十全に発揮できる状態ではない。
 それでも最もモフモフを残した頭部に、イェフは照準を定めていた。
(「動きがのろくて助かるぜ」)
 巨体ゆえか、猟兵達との激戦でスタミナ切れか。あるいはその両方か。
 エルフに合図を送るイェフ。
 はらり、樹上から舞い落ちる聖なる木の葉。
 撃った。
「……ッ!!」
 ウサギサマの歩みが停止した。
 頭部を覆う兜には、小さな、しかし確かな弾痕。
 しばしの静寂を挟んで、巨体が横たわる。
「よもや、余の覇道を阻む者がいる、とは……」
 本来のモフモフを露わにしつつ、骸の海に還るウサギサマを見送り、イェフが呟く。
「しっかしもふもふね。俺もなんか飼ってみれば生活に張り合い出るかね?」
 硬質で、過去の象徴であるキャバリアとは違う何かが得られるか。
 しかしイェフは、すぐにその夢想を振り払う。
「ヤ、動物が可哀想か……場所もねェしな……」
 ともあれ、ミッション、成功。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『大天使ブラキエル』

POW   :    岩腕
単純で重い【岩石でできた巨大な腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    絶対物質ブラキオン
【「絶対物質ブラキオン」の鎧】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、「絶対物質ブラキオン」の鎧から何度でも発動できる。
WIZ   :    大天使の光輪
自身が装備する【大天使の光輪】から【破壊の光】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【徐々に石化】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「天軍を打ち破り、我が元に辿り付いたか」
 それが、猟兵達と会いまみえた、大天使ブラキエルの第一声である。
 この森では、『背比べの樹』と名付けられた聖なる木を背に。
 大天使の美しき容貌には、憂いの影が落ちていた。
「愛らしき眷属達。骸の海で安らぎを得るが良い」
 詩を紡ぐが如く。
 天軍への葬送を済ませたブラキエルの瞳は、猟兵達の勇姿を映す。
「地上に広がる殺戮こそ、我が行う聖事。何ものにも妨げる事あたわず」
 光輪の光輝と共に、天翼を広げるブラキエル。
 召喚せしは、シマエナさまに授与せし岩の腕。
 まといしは、ウサギサマに託せし絶対防御の鎧。
 それらから繰り出されるは、絶対先制の天罰。その発動は、何ものにも止められぬ。たとえ、猟兵であろうとも。
「我が手がどれ程血に塗れようと。せめて悲願は叶えよう。我が友の為に」
イェフ・デルクス
POW

はは、人が空ァ飛んでやがんぜ。まあいいや。
オーバーフレーム換装で装甲5倍、移動力半分。キャノンフレームに変形して、【瞬間思考力】で【逃亡阻止】できそうなとこや当たりそうなとこ探したら【スナイパー】。ガッチリ固定砲台スタイルで行ってやらァ。
単純な装甲で受け止めてやンよ。ぺしゃんこになったらそんときゃそん時さ。

絶対先制? 天罰だァ?
どこの世界の誰にモノ言ってんだ。こちとら人殺してナンボの世界で生きてんだ、てめぇも、殺して殺してそれでも成し遂げたいものがあるってんだろ、腐るほど見てきたぜそんなやつ。友の為になんてのも耳タコだ。

だったら今更天罰程度、ちっとも俺ァ、こわかねェやな。

アドリブ連携歓迎



 クロムキャバリアの視覚を介した向こう、イェフ・デルクスは乾いた笑いをこぼした。天に座す大天使を見上げて。
「はは、人が空ァ飛んでやがんぜ」
「機械仕掛けの器か。存在を補完せんとする儚きあがき」
 ブラキエルの手に、剣はもはや無い。しかし大天使には、それを補って余りある天力がある。
イェフを滅ぼすべく、ブラキエルが顕現させたのは、岩の腕であった。
「さすが、シマエナさまの比じゃねェ」
 ブラキエルの背後、虚空より出現した一対の腕は、そのサイズ、ディテール共に、シマエナさまにマウントされていたものとは全く異なっていた。
 とっさにキャバリアを走らせ、ブラキエルの背後に回り込むイェフ。
「我が道を阻む者に鉄槌を」
 無慈悲なる岩腕が、イェフを標的として振り下ろされる。
 轟音が、エルフの森じゅうを揺るがす。
 小隕石の落下にも等しい衝撃が、森の木々をなぎ倒し、地にクレーターを生じさせる。
 それでも、聖なる木が平然と立ち続けているのは、世界樹の末裔の面目躍如か。
「――さあ、破壊と殺戮を、この世界に」
「おい、どこ行くつもりだ大天使」
 身を翻そうとしたブラキエルを引きとめたのは、イェフの声だった。他ならぬ。
 岩の腕が持ち上げられる。その下から現れたのは、キャバリア。ただし外装が変化している。
 キャノンフレーム……換装されたキャバリアは、健在な姿をブラキエルと、エルフ達の前に現した。
「今のは絶対死んだと思ったけど」
「勝手に殺すなよ、エルフさん。5倍の装甲だ、大天使だろうと潰せはしねェ」
 絶対にかわせぬというのなら。
 イェフは、移動力を犠牲にして、あえて受け止める戦法を選んだのだ。
「我が天罰を拒絶するとは」
「絶対先制? 天罰だァ? どこの世界の誰にモノ言ってんだ」
 無表情に、わずかな心の揺らぎをのぞかせるブラキエルを、一笑するイェフ。
「こちとら人殺してナンボの世界で生きてんだ。てめぇも、殺して殺してそれでも成し遂げたいものがあるってんだろ、腐るほど見てきたぜそんなやつ。友の為になんてのも耳タコだ」
 固定砲台と化したキャバリアの照準が、ブラキエルを捕捉する。
「だったら今更天罰程度、ちっとも俺ァ、こわかねェやな」
 砲身を駆け抜けるは、イェフの意志乗せた砲弾。
 着弾の衝撃に、森が、軋む。
 一瞬遅れて響いた音は、撃墜されたブラキエルが、地に叩きつけられた時のものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月凪・ハルマ
色々と思う所はあるが、とりあえず

そっちのやろうとしてる事については
ふざけんな、とだけ言っておく

◆SPD

ここで手を抜く意味はない。真の姿を開放する

そして防御重視で立ち回り、【情報収集】
知りたいのは狙うべき鎧の隙間

【見切り】【残像】【武器受け】【第六感】で攻撃を回避しつつ
【武器改造】で爆破機能を付与した手裏剣の【投擲】で牽制

そして爆発に紛れ【迷彩】で姿を隠し、【忍び足】で敵の死角へ
隙を見て【潜刃・禍ッ牙】を乗せた手裏剣を鎧の隙間に撃ち込む
ぶっちゃけコレなら相手に使われてもそこまで問題無いし

上手くUCを封じられればそのまま【早業】で旋棍の打撃に繋げる
駄目なら再度死角からUCを狙おう(【2回攻撃】)



 エルフの森の空に君臨する、大天使。
「この世界に、殺戮の嵐を」
 ブラキエルの威容を見上げる月凪・ハルマの心には、様々な思いが浮かんでは消える。泡のように。
 そして、最終的に、こぼれた言葉は。
「とりあえず、そっちのやろうとしてる事についてはふざけんな、とだけ言っておく」
「認められる事など望まぬ。ただ我は殺戮にまい進するのみ」
 ブラキエルの体を、鎧が覆っていく。
 絶対物質ブラキオン。己の司る元素を防具としてまとうと、ハルマを迎え撃つ態勢を完了する。
 後に控える天軍は、もはやいない。ハルマは真の姿を解き放つと、ブラキエルへと決戦を挑んだ。
 天翼を用い、空をも足場とするブラキエル。その疾駆から身をかわしながら、ハルマは鎧を注視する。
 ユーベルコードを使わずとも、大天使の名は伊達ではない。光をまとわせた手刀が、ハルマを攻めたてる。
 体さばきなら、ハルマの方が冴えている。木々をバトルフィールドとし、自在の挙動で四肢はおろか、髪の毛一本たりとも持ってはいかせぬ。
 聖なる木の幹を蹴って転身、ブラキエルの背後から手裏剣を投じる。
 こともなげに、光の手刀で切り返すブラキエル。だが、刃が触れた瞬間、手裏剣が爆発した。
 それでも、大天使の表情が揺れることはない。翼を振い、爆煙を振り払う。
「……?」
 いない。ハルマの姿が、視界から消えている。
 当のハルマは、木々の間に。煙と音に紛れ、迷彩で景色に溶けこんだのだ。
 狙うは、ブラキエルの背後、鎧の弱点である翼の付け根。そして投じる手裏剣に乗せたるは、封印の力。
 ブラキエルがハルマを再度視界に収めたのは、手裏剣が突き立った後。
 だが、その鎧が、ハルマのユーベルコードをコピーする……事はなかった。
「鎧から聖なる力が失われて……」
 ハルマの攻撃を警戒するあまり、受け身に徹したのが仇となった。
 ハルマによってユーベルコードを封じられた鎧は、その複写能力を発揮する事はなかった。
 残るは、鎧の防御力。だが、その物理的な弱点は、既に見抜いている。
 翼の可動域を確保すべく、背面には隙間……クリアランスが出来る。
 ハルマは再び木を蹴り、ブラキエルの背後をとった。唸る旋棍。大地に叩きつけられる大天使。
 ハルマの優勢に、エルフ達から快哉が上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パルピ・ペルポル
友はもう帰ったのにそれでも…なのね。
ま、叶えてはあげられないから骸の海に帰って眷属と安らかにどうぞ。

大天使の光輪からの破壊の光は巨大折り鶴と古竜の骨のマン・ゴーシュを盾にしてかつオーラ防御も重ねて防ぐわ。

徳用折り紙を通常サイズに切って作った万羽鶴でかく乱しつつこっそり雨紡ぎの風糸を周囲に展開、敵の行動阻害をするわ。
僅かでも攻撃当てられたらどこでも井戸端会議を使い、うるささに気をとられてる間に翼の付け根に穢れを知らぬ薔薇の蕾を投げ込むわ。
あれだけもふもふな眷属を従える大天使の翼はどれほどのものなのか。
もふりすととして一度は試しておかないといけないでしょう?



 パルピ・ペルポルは、ブラキエルを見上げた。
 その細く白き手指が携えていた剣は、もはや、ない。
「友はもう帰ったのにそれでも……なのね。ま、叶えてはあげられないから骸の海に帰って眷属と安らかにどうぞ」
 ブラキエルの身に、光が宿る。その輝きは、神々しき輪となって、エルフの森を、パルピを照らす。
「天使の齎す殺戮と滅び。受けて塵芥に帰せ」
 破壊という概念そのものたる光が、森の木々を、石化させていく。
 ただ、聖なる木だけが健在。
 パルピもまた、大天使の裁きの前には、無事では済まないだろう……と、エルフ達は思っていた。
 パルピを護ったのは、巨大なる折り鶴、そして、自慢の古竜の骨のマン・ゴーシュ。渾身のオーラを張り巡らせたことで、ブラキエルの力をも何とか耐えきった。
「痛みなき消滅こそ幸いであるというのに」
「どんな消え方だろうと死ぬのはごめんよ」
 塵や石と化すのをしのいだパルピは、すぐさま反撃に取り掛かった。
 万羽鶴を空に放つ。徳用折り紙とはありがたいものだ。切り分けて使えば、こうして沢山の鶴が折れて、大天使をも翻弄する事ができるのだから。経済的。
 視界を覆い隠す折り鶴達によって、ブラキエルは、パルピを見失う。
 光輪に、再び力が満ちる。一気に折り鶴を飲み込んでしまおうというつもりであろう。
 だが、ブラキエルは、覚えた違和感に、行動を一旦停止した。
「……糸……?」
 パルピがこっそり仕掛けた、雨紡ぎの糸だ。
 動きが止まった瞬間、鶴の舞を突破して、パルピがマン・ゴーシュで切りかかった。
 与えた傷としてはわずかなもの。だがそれは、ユーベルコードの起動キィでもある。
 傷口に浮かぶ妖精の印。
 すると、ブラキエルの周囲に、沢山の小妖精達が現れた。それらは、武器を何一つ手にしていなかったが……とにかく騒がしかった。
 声、声、声。
 ブラキエルの全周を、言葉の行き来が埋め尽くす。
「我が光輪にて全て無に……」
 だが、ブラキエルの翼が動かない。茨によって、締め上げられていたのである。
 そこに、しがみつくパルピ。
「あれだけもふもふな眷属を従える大天使の翼はどれほどのものなのか。もふりすととして一度は試しておかないといけないでしょう?」
 もふっ……。
 パルピを包む天翼の感触は、何とも柔らかく。
 正に、天にも昇る至福体験であったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
真の姿、解放

ブラブラ…ブラキエル
エルフさん達の命に背比べの樹を狙い、あまつさえシマエナさまとウサギサマの双璧のわがままボディを弄んだ罪、償ってもらう

UCを受け止める鎧…ならば
【Shall we Dance?】
うさみん☆、ジャンプし背比べの樹をステップダンス
ブラキエルの鎧に降り舞う葉は、その物質の効果を無効化していく

貴方はUCをコピーし何を出す?
わたしが楽しめなくてもお互い様の行動鈍化
発動回数も1/5

うさみん☆、剣を掲げ、そのまま樹から落ちて
落下は自然発生、速度は変わらない
落ちる先はブラキエル
天からその身体を突き刺して
わたしも近接し、長槍にした灯る陽光を心の臓に突き刺す

…エルフさんを虐殺させない



 ブラキエルを映す木元・杏の瞳が、色を変える。
 金から青へ。それこそが、杏の真なる力、姿の解放だった。
「ブラブラ……ブラキエル。エルフさん達の命に背比べの樹を狙い、あまつさえシマエナさまとウサギサマの双璧のわがままボディを弄んだ罪、償ってもらう」
「我が天軍を打ち破った事、称賛に値する。しかしその進軍も、此処が終着」
 ブラキエルが、光を放つ。
 光は鎧を編み上げ、ウサギサマの時同様、絶対防御の形となった。
 防御力に秀でるだけではない。受けたユーベルコードを複製反射する、攻防一体の武具。『大』天使の名は伊達じゃない、と杏は思った。
「……ならば」
 うさみみメイドさんの出番だ。エルフの森のオンステージ。
 踊り、舞う、うさみん☆の可憐な姿にも、ブラキエルの表情筋は、ぴくりとも動かぬ。
 たとえ動いていたとしても、その速さは今や五分の一。
「うさみん☆、ジャンプ」
 杏に応えて、ダンスステージは、ブラキエルの背後……背比べの樹へと移り変わる。
 決戦を見守るエルフ達。うさみん☆のリズムに合わせて、動く体。つられて柔らかくなった思考は、杏の思惑に気づく。
「そうか、そうだね。その葉なら……!」
 背比べの樹は聖なる木。そしてその葉は、神秘のアイテム。
 メイドさんに揺さぶられ、ブラキエルの鎧へと舞い降りる葉は、ブラキオンの特性を無効化した。
 この鎧の異変に、さしものブラキエルも不動ではいられなかった。
「我が鎧には、まだ権能が残っている」
 権能……すなわち杏のユーベルコードを複写したブラキエルの胸元。純白のメイドさん人形が現れる。まさかの、うさみん☆コピーだ。
 うさみん☆とはまた違ったダンスで、杏の動きを鈍化させる。ついでに、エルフ達も。
 2種類のダンスによって、停滞した戦場。ただ、うさみん☆と白メイドさんだけが、マイペース。
 先に転調したのは、うさみん☆の方だった。ゆっくり剣を掲げた後、樹から落下する。
 自由落下は、行動の束縛という理の外。
 そのまま眼下のブラキエルへと一直線。うさみん☆の剣は、ただの枷となった鎧ごと、その体を貫いた。
 白メイドさんが、ダンスを早める。行動鈍化の重ね掛け。
 しかしその時には、杏が接近を終えていた。手には長槍、灯る陽光。
「……エルフさんを虐殺させない」
 決意に煌めく青眼。
 杏の一撃は、大天使の心の臓を貫いていた。白メイドさんごと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
真の姿維持

友に捧げるが為、か。その意気は嫌いではないがな。
此方とて手向けの花として摘まれる気は毛頭ない。
阻ませもらうぞ、大天使。

先制攻撃には黄金魔剣による【武器受け】。
自身に対して【生命力吸収】させ【限界突破】【武器改造】、身を覆い隠す程に肥大化した段平刀身で受ける。
まともに振り回せん代物になるが構わん、敵の先制攻撃さえ凌げればいい。

先制攻撃を受けた直後に黄金魔剣を放し、敵の懐に跳び込みUC【青炎模る濁竜の翼腕】、手甲と翼腕による四つの拳の【怪力】【乱れ撃ち】。反撃されようが意に介さず【捨て身の一撃】だ。

さぁ愛らしさの欠片もない、泥臭い殴り合いだ。
その手と言わず身も翼も血溜りに沈めてやる。



 シマエナさま群、そして腹心たる王兎。
 相次いで天軍を喪い、孤立するブラキエル。
 ルパート・ブラックスミスは、そんな大天使の横顔から、憂いを察していた。
「友に捧げるが為、か。その意気は嫌いではないがな」
 さりとて、ルパートの蒼翼の火勢が衰えることは、ない。
「此方とて手向けの花として摘まれる気は毛頭ない。阻ませてもらうぞ、大天使」
「抗う権利を簒奪するつもりはない。存分にもがきあがくが良い」
 そう告げたブラキエルの背後。虚空が揺らめき、巨大なる双腕が出現する。
 シマエナさまに与えた岩腕、そのオリジンともいえるものだ。
 その力を見極める間もなく、ルパートの全身を、衝撃が襲っていた。
 シマエナさまの扱っていたものの比ではない。正に天罰というに相応しい威力は、鎧の身にも堪える。
 すっ……と岩腕が引かれた後、それでもなお、ルパートは健在であった。
「成程、その黄金なる剣が、我が裁きを拒んだか」
「鎧は護るためにこそある。簡単に潰されはせん」
 ルパートの構えた魔剣を、ブラキエルの細めた眼差しが射抜く。
 平然と言葉を交わす両者。しかし戦いを見守っていたエルフ達は、驚愕していた。
「剣が……!」
 岩腕を防いだルパートの剣が、巨大化していた。
 ルパートの生命力を食らって、肥大化した刀身。盾、というよりもはや板の様相であったが、ブラキエルの破壊力を防ぐには十分であった。
 ルパートは、役目を果たした剣を手放すと、ブラキエルへと羽ばたいた。
 しばしの空中戦を繰り広げる二者。やがてルパートは、ブラキエルの飛空力を上回る速度を披露し、ブラキエルの懐に飛び込んだ。
 ルパートの背、飛翔の力を与えていた炎鉛の翼が、めきめきと形を変える。
 それは、腕。一対の巨腕だ。本来の手甲も加えた二対四拳が、ブラキエルへと振るわれる。
「さぁ愛らしさの欠片もない、泥臭い殴り合いだ。その手と言わず身も翼も血溜りに沈めてやる」
 強く、速い。
 シンプルな物理法則を味方につけた打撃が、ブラキエルへと叩きこまれる。
 対するブラキエルも、岩腕にて迎撃する。ぶつかり合うエレメントの拳と拳。
 だが、数もまた、力。岩腕を払いのけてなお、ルパートには、繰り出す拳がある。
 やがて二者の戦場は、空から地上へと移る。
 踏みしめる地面があるのなら、飛行能力の有無も関係ない。
 守りをかなぐり捨てた、ルパートの猛攻。一撃一撃に必殺の威力をこめた拳の乱打が、ブラキエルの全身を打ち据えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
【Ahnenerbe】で連携
愛らしき眷属達ね。まあ、確かに愛らしかったが……やっぱ、可愛いもの好きかよ。

先制POWUC対策:絶奈のキャバリアに抱えられて。
サンキュー、絶奈。楽をさせて貰ったぜ。

岩腕をやり過ごし、空中にいる状態で『魔神降臨』を発動。

ハハハ、神の力を見せてやるぜ。まあ、おめーが求める神じゃねーけどな。

上位魔神の姿となり増大した戦闘能力で空を翔けて接近。
神の鉄槌(鉄拳)で打ち砕きます!(貫通攻撃×怪力)

※長引いた場合、二撃目以降の岩腕は真正面から受け止めて、更に『魔神降臨』を発動。倍々でどんどん強くなります。

地に墜ちろ大天使。
オブリビオンと化した今のてめーに誰かを批判する資格はねえ。


霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で連携

◆心情
愉しみましょう
この『逢瀬』を…

◆行動
自身の視界は赤外線カメラで補い【聞き耳】を立てる事で索敵

先制攻撃対策として【罠使い】として持ち込んだ「白燐発煙弾」を【衝撃波】に乗せて周囲一帯に散布
更に【Evolution】に搭乗した上でバジルさんを抱え【オーラ防御】を展開
【空中浮遊】を活用し地形破壊も含めて攻撃を回避

先制攻撃対処後は<真の姿を開放>し『666』を使用

【空中浮遊】で射角を調整し<私達>其々が【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
オフィディアンさんの為、可能な限り此方に意識を向けさせます

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


ディスターブ・オフィディアン
【Ahnenerbe】で連携
第一人格で行動:POW
心情:貴様の言う天上界に興味はあるが、そこへ向かう術をもはや持つまい。貴様の殺戮は止めさせてもらうぞ、まだこの世界の神秘と未知の探究を済ませていないゆえな。

先制攻撃対策:
霧島の張った煙幕に乗じて早着替え、ローブを脱ぎ捨てて真の姿に。
ローブを着せたダミー人形をブラキエルの攻撃に巻き込ませ、死んだと思い込ませたうえでユーベルコードを使用
オレ自身は破壊された地形の凹凸を活用して身を隠し、ブラキエルの隙を狙う

2人が反撃に転じたタイミングで飛び出し、村雨小太刀で切りかかる
相手の反撃は見切りと武器受けでそらし、薙ぎ払いや二回攻撃



 シマエナさま達の奮戦を讃えるブラキエルと、遂に会いまみえたアレクサンドル・バジルは、言葉をこらえきれなかった。
「やっぱ、可愛いもの好きかよ」
 超然としたブラキエルの表情と口調の中。微かに、しかし確かに含まれた、愛の欠片に気づいてしまったがゆえに。
「まあ、確かに愛らしかったが……」
「であろう」
 応答と共にアレクサンドル達に吹きつけたのは、無慈悲なる波動だった。
 殺戮の大天使の力を実感しながら、霧島・絶奈は、それでもなお、口もとに笑みを浮かべていた。
「ふふ、愉しみましょう、この『逢瀬』を……」
 絶奈もブラキエルも、神に仕える身。しかしその目的は、まるで違う。
 ディスターブ・オフィディアンのローブの裾を、間断なく揺らすブラキエルの波動。
「貴様の言う天上界に興味はあるが、そこへ向かう術をもはや持つまい。貴様の殺戮は止めさせてもらうぞ、まだこの世界の神秘と未知の探究を済ませていないゆえな」
 ディスターブが見据える先、顕現したのは、岩の腕。アレクサンドル達を破壊するために選ばれた、天使の矛。
「冗談じゃねえ、シマエナさまのと全然違うじゃねーかよ」
 アレクサンドルが、笑みを引きつらせる。それもそのはず、サイズも外見も、先刻とはまるで違う。
 まあ、同じものだとシマエナさまには似合わないし、そもそも体が支えきれないとは思うが。
「バジルさん」
「おう!」
 絶奈の呼び掛け。アレクサンドルは迷わずためらうことなく、声の方へと身を躍らせる。
 ブラキエルが天使の力を振るうならば、絶奈は、機械仕掛けの力を用いる。クロムキャバリア【Evolution】に搭乗し、岩腕を迎え撃つ。
 そして、周囲を駆け抜ける煙。トラップ『白燐発煙弾』を一帯に散布したのだ。キャバリアの衝撃波により、またたく間に広範囲に拡散する。
 絶奈の視界も不明瞭となるが、敵の位置は、赤外線カメラが捉えている。
 ディスターブもまた、煙幕にその身を紛れさせる。『上手く』立ち回るために。
「このような児戯など」
 ブラキエルの岩腕が、煙のヴェールを破り、襲来する。
 絶奈は、アレクサンドルを鋼の腕で抱きかかえ、オーラを展開。
 地面を蹴り跳躍。そのまま空中へと場所を移した絶奈……正確にはEvolutionの装甲を、衝撃波が叩いた。岩腕が大地を叩き割った、その余波だ。
「サンキュー、絶奈。楽をさせて貰ったぜ」
 絶奈のキャバリアに抱えられながら、アレクサンドルが笑顔を見せた。衝撃波に短髪をかき乱されつつ。
 そして、キャバリアの庇護を離れ、空へ。その背から現出した翼からあふれ出した魔力が、エルフの森を翔け抜ける。
 魔力の核、アレクサンドルの姿は、人を越えたもの……魔人、否、魔神へと変貌を遂げていた。
 大天使と対を為すがごとき、アレクサンドルの上位魔神形態。
「ハハハ、神の力を見せてやるぜ。まあ、おめーが求める神じゃねーけどな」
 羽ばたき、ブラキエルに挑む魔神アレクサンドル。
 だがその一方で、岩腕は悲劇をもたらしていた。
「ああ、猟兵さん」
 エルフの女性が、悲嘆の声をもらした。
 岩腕に潰された、無惨なディスターブの姿を見つけたからだ。破壊された地面に半分以上身をうずめ、露出したのは、ぼろぼろのローブと天に伸ばす片腕のみ。
「仇は討たせてもらいましょう。私『達』の手で」
 Evolutionのコクピットから現れた絶奈の姿は、真なるそれへと解放を遂げていた。
「! 空が……」
 エルフ達が、顔を上げる。
 空の色が変わっている。真なる姿を解き放った、絶奈の力の影響だ。そして、変じた空を満たすのは、絶奈『達』。
 神……異端とされた神性の群が、ブラキエルを包囲する。
「神さえも我が進軍を阻む事は出来ない」
 天に徒なすブラキエルが、翼を広げる。
 その瞬間、『絶奈達』の波動が、ブラキエルを襲った。計算された射角が、標的を的確に打ち据えていく。
 この『絶奈達』の攻撃は、無慈悲。希望を一片まで奪い、絶望に叩き落とす猛攻。
「天への道を阻む者。遍く滅するまで」
 再び起動した岩腕が、『絶奈達』を薙ぎ払う。
 が、傷が生じたのも束の間、他ならぬブラキエルから簒奪した生命力を転化し、即座に回復されていく。
 そして、空中でぶつかり合う天使と魔神。
 アレクサンドルは、増大した戦闘能力を、拳に集中。繰り出す一撃は、まさに神の鉄槌!
 翼と腕を交差させ防御したブラキエルの体が、凄まじい速度で弾き飛ばされた。
「地に墜ちろ大天使。オブリビオンと化した今のてめーに誰かを批判する資格はねえ」
 が、翼にて虚空を打ったブラキエルは、アレクサンドル達との戦場にすぐさま復帰。
 再び繰り出された岩腕を、アレクサンドルは受け止めた。更なる変身を遂げ、即座に傷を塞ぐ。
 そこに、絶奈達の攻撃が加わり、エルフの森上空は、終末の様相であった。
 ゆえに、エルフはもちろん、ブラキエルさえも疑ってはいなかっただろう。これが絶奈達に意識を向けさせるための攻撃でもある事など。
 絶奈達の反撃により、ブラキエルの意識が完全に釘付けにされた、その時。
 破壊された木々が舞い上げられ、影が飛び出す。
 黒翼を広げた美形。否、それこそディスターブ。岩腕に倒れたはずの。
 絶奈の張った煙幕を、ディスターブは余さず利用した。
 先ほど岩腕が潰したのは、ローブを着せたダミー人形に過ぎない。ディスターブ自身はその機に乗じて『早着替え』を済ませ、真なる姿へ。
「死は虚偽であったか」
 ローブの下から現れたディスターブの姿にも、ブラキエルはまるで感情を動かす事はない。
 だが、戦いを見守っていたエルフ達は違う。驚きをもってディスターブの変化を受け止めていた。
 偽計によって、ディスターブの力は増大している。
 加えて、絶奈やアレクサンドルがブラキエルの意識をつなぎとめてくれていたお陰で、太刀筋を読まれることも無かった。
 村雨小太刀の一閃は、なにものにも阻まれる事なく、断つべきを断った。
 鮮やかに切り落とされたブラキエルの翼が、地に堕ちる。
「我が翼が……」
「余所見をしている暇などないぞ」
 傷口に触れるブラキエルに、ディスターブが再度、切りかかる。
 岩腕の反撃を見切ってかわすと、小太刀を浴びせかける。大天使に、それをかわす術はない。
「感謝するぞ、バジル、霧島」
 2人に告げた直後。
 ディスターブの斬撃は、大天使の胸に深い傷を刻んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メノン・メルヴォルド
コスタくん(f29688)と

いよいよ、なの…
緊張で鼓動が速い
コスタくんを窺えば
ワタシは今1人じゃないんだと思えて少し震えもおさまるの
ん、2人なら、大丈夫!

範囲攻撃だから分散されて威力はそこまで高くないはず
石化も『徐々に』ならば、猶予があると思うのよ
言葉がチカラをくれる
遮蔽物あるならそれも利用して《第六感》《フェイント》で極力避け
先制攻撃を受ける

その代わり、反撃は全力(ブラキエル見据え
《高速詠唱》《全力魔法》でエレメンタル・ファンタジア
精霊よ、ワタシにチカラをかして
水の竜巻を発動

タイミング合わせ
2人のUCと同時に放てば相乗効果を狙うね

ボロボロかもしれないけれど成功ならハイタッチ
高らかに音が響くの


コスタバルツァ・オリヴェート
メノン(f12134)と

やっと敵の大将のおでましだな!
カミサマみたいなやつなんだよな…
震え?これは武者震いってやつだぜ!
怖くねぇ訳じゃねえけど
ふたりでがんばろーぜ、メノン
ぜってー勝つぞ!

うおっ
先制攻撃は避けられる限りは飛んで避けるけど、無理なときは我慢だ、我慢!
一応海の妖精だから、水の膜でシールド張ってみるか。無いよりゃまし
メノン、無茶すんなよ!

浴びたとこから石化が始まるんなら…俺が固まる前に、いでよサメたち!
シャーク・トルネードでサメを大量召喚!
俺の代わりに大将ぶん殴ってこい!
メノンの技と合わせたら、サメの回転も倍増しそうだな!

へへっやったなメノン!
無事に終わったらハイタッチで祝砲だぜ!



 メノン・メルヴォルドは、決戦の緊張感に、その身を震わせていた。
「いよいよ、なの……」
「やっと敵の大将のおでましだな!」
 コスタバルツァ・オリヴェート達が対面を果たしたのは、天軍の首魁。もふもふなる獣達を従えし大天使・ブラキエル。
「小さき者よ。体が震えているぞ」
「へへっ、これは武者震いってやつだぜ!」
 ブラキエルの指摘に、コスタバルツァは、威勢よく答えて見せる。
 一方で、メノンの鼓動がいつになく速いのは、緊張感の表れ。
 無意識に視線が向いた先、そこにはコスタバルツァがいる。
(「そうだ、ワタシは今1人じゃないんだ」)
 そう思うだけで、メノンの震えは、わずかに収まっていく。
 そうして、メノンの目には頼もしく映るコスタバルツァだが、正直、怖くないと言えば嘘になる。
 それでも、強大な敵に立ち向かえる理由は、メノンと同じ。かたわらにメノンがいるからだ。
「ふたりでがんばろーぜ、メノン。ぜってー勝つぞ!」
「ん、2人なら、大丈夫!」
 覚悟と勇気を共有したコスタバルツァとメノンを、まばゆい輝きが襲った。
 ブラキエルのまとう、光輪の聖なる光だ。
「全ては塵に。全ては石に」
 破壊の光によって、エルフの森、木々の凹凸、そして大地の形が砕かれ、残ったものも、石へと固められていく。
 この場にはメノンもいるし、エルフ達もいる。自分だけ飛んでかわす事も出来たかもしれないが、コスタバルツァは、我慢する事にした。
 もちろん、精神力だけで、この強敵を何とかするつもりはない。水の膜をシールドとして張り巡らせて、壁とする。
「メノンも、無茶すんなよ!」
 猛威を振るう、浄化の波動。それを浴びたメノンもまた、必死に耐えていた。
 何より、メノンを護ってくれたのは、聖なる木であった。世界樹の末裔の加護が、光をやわらげてくれたらしい。
 それだけではない。
 静かだったはずの森はざわめき、舞った木の葉が、光を遮断してくれたのだ。
「森さえも我が裁きを拒むか」
「そう、なの。命は世界の一部。殺戮なんてさせないって、大地も言ってるの」
 ブラキエルを見据えるメノンの瞳には、強い意思が宿っていた。
 光輪のもたらした呪い、石化の進行は、さほど急激なものではなかった。メノンの読みは的中した。
「完全に石像にされるにはまだ猶予があるって事か。なら……」
 コスタバルツァは、まだ無事な両腕を掲げた。
「いでよサメたち!」
 ごうっ!
 コスタバルツァの手のひらから、水の魔力が解き放たれる。水飛沫とともに現れたのは、無数のサメ!
 これだけでもただのサメでないとわかるが、加えてその身には、回転ノコギリが生えていた。
「俺の代わりに大将ぶん殴ってこい!」
 シャーッ!!
 コスタバルツァの命に従い、ブラキエルへ突進する回転ノコギリサメの群れ。
 天使のような翼がなくとも、そもそも水があろうとなかろうと。サメは飛ぶ。それが鮫魔術の真骨頂なのだ。
 コスタバルツァの力にならなくては。メノンが、森のエレメントに呼び掛けた。
「精霊よ、ワタシにチカラをかして」
 メノンの言葉に、意志に、世界が応える。
 川のせせらぎ、風の声。
 それらが、メノンの元に集う。荒々しき水の竜巻となって。
「コスタくん!」
「やるかメノン!」
 メノンの竜巻が、コスタバルツァのサメを飲み込む。その体はバラバラになるどころか、回転の勢いを増していく。
 そして、タイミングを合わせ、同時に力をブラキエルにぶつける。
 対するブラキエルの光輪が、再び光を放射した。荒ぶるサメ竜巻の勢いを削ごうとする。
 だが、2人の合わさった力は、ブラキエルの想像を超えていた。
 光輪の力を押しのけると、そのまま、ブラキエルの体を飲み込んだ。
 メノンの竜巻が、天使の羽を引き裂き。
 コスタバルツァのサメ群が、光輪と体に食らいつく。
 そして、竜巻が弾ける。雨粒がメノン達を濡らし、サメがぴちぴちと森に転がる。
 全力で魔力を行使したメノンが、ひざを折る。それを支えるように寄り添ったコスタバルツァは、ブラキエルを指さした。
 翼や四肢、体の先端から、崩壊を始めた大天使を。
「信じられぬ。神に仇為す我が、この地で手折られようとは」
 やがてブラキエルは、全身を光の粒子に変えて、天に昇っていく。本人の望まぬ形で。
「へへっやったなメノン!」
「うん、コスタくんのおかげだよ!」
 高らかに響いたのは、滅びを告げる天使のラッパではない。
 メノンとコスタバルツァのハイタッチの音だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月18日


挿絵イラスト