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大天使の願いの行方

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #大天使ブラキエル #オウガ・フォーミュラ #酒場アジュール

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 アックス&ウィザーズの空に浮かぶ月は、眩く輝いていた。
 ある時から『骸の月』に暗く侵食されていた部分は晴れ。
 何の陰りもなく、以前と変わらず、輝き浮かぶ。
 それは、猟書家による世界への侵略を猟兵達が防いだ証。
 オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』の目的であった『天上界への到達』が阻止されたことを表していた。
「我が友よ」
 その輝く月面で、大天使ブラキエルは虚空に向けて語りかける。
「我が友よ、君の願いは叶わなかった。君は『書架』へと帰るがよい」
 手にしていた剣に埋め込まれた青い宝石が応えるように煌めき。
 金色の翼を象った装飾で羽ばたくかのように、ふわりと浮かび上がった。
 大天使ブラキエルは、目の前の剣を見送るようにじっと見つめて。
「我は、天上界の扉を開く僅かな可能性を実行しよう」
 それを聞いた剣は、虚空へと姿を消す。
 何もなくなった空間を、だが大天使ブラキエルはしばし見つめたままで。
 ややあってから目を伏せると、口元に小さな笑みを浮かべた。
「……もっとも、ヴァルギリオスさえ見逃し、あまつさえ封印された愚か者共が、今更地上の危機に扉を開く事もあるまいが……」
 それは悲哀と悔恨と苦悩を滲ませたものだったけれども。
 見えたのはそのわずかな欠片。しかも刹那の間だけで。
 再び顔を上げた大天使ブラキエルは、尊大に眼下の大地を睥睨する。
 月面から降り、向かった先こそ。
 アックス&ウィザーズ。
 剣と魔法と竜の世界。

「オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』が現れたよ。
 狙いはもちろん、天上界への扉を開くこと、だが……」
 猟兵達の前に立った九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は、いつもと違う険しい表情で告げる。
「その方法は無差別大量虐殺だ」
 猟兵達の活躍により、骸の月は抑えられ。天上界への到達は阻止できたと思えた。
 だが、大天使ブラキエルには最後の手段があったのだという。
 天上界への扉を向こう側から開けさせる。
 そのために、扉の向こう側に居ると言われる神々に見せつけるためだけに、アックス&ウィザーズで悲劇を起こそうとしているのだ。
 不確かな計画。僅かな可能性。
 それでも、諦められない大天使ブラキエルには、その手段を取る道しか、ない。
「しかも、狙われているのが……私の馴染みの街でね」
 ヴェルニスのように都市と呼ばれる程大きくはないが、それなりに活気のある街。
 そこには、冒険者の集う酒場『アジュール』が、ある。
 私事で申し訳ない、と言う夏梅だが、幾度かの依頼で関わりのある酒場だ。
 無関係とは言い難い猟兵もいるだろう。
 それに、場所がどこであれ、無差別大量虐殺を見過ごすわけにはいかない。
 少し気まずそうにしていた夏梅も、猟兵達の様子を見て、ありがとうよ、と苦笑を見せてから説明を続けた。
「まず対処してもらうのは『ゴブリン』の群れだ。
 普段なら冒険者でも対応できる相手だが、強化されている上に、何しろ数が多い」
 大天使の光輪により岩石の腕を与えられたゴブリンは、攻撃の破壊力が大幅に強化されているという。
 そして、何より脅威なのが、街に押し寄せようとしている、その数。
 周辺地域を虐殺・根絶しようとするのだから当然だが、群れというより軍団という程になっているようだ。
 そうなると、猟兵達でも手が足りないというものだが。
「これにはちょいと援軍が来てくれる。街の冒険者とクレリックだ」
 それは、かつて猟書家の事件に巻き込まれ、猟兵達に助けられた者達。
 彼らが今度は自分達が力になる番だと、そして何より、自分達の街は自分達で守らなければと立ち上がり、共に戦ってくれるのだという。
 猟兵に比べればその力は劣るけれども、手数が増えるのはありがたい。
「そして、ゴブリンを倒して大天使ブラキエルの元へ向かおうとすると、『氷風の兎魔導士フロワール』が立ちはだかる。
 今度は相手は1人だが、その身に『絶対物質ブラキオン』と呼ばれる『未知の単一原子でできた鎧』を纏っていてね」
 その鎧は絶対に破壊できないため、倒すには鎧の僅かな隙間を狙うしかない。
 高精度の攻撃が求められることになるのだが。
「1つだけ、鎧を破壊できる方法があると予知できた。
 それは猟書家との戦いで得られたアイテムを使うこと、だ」
 財宝妖精のいた天空城で、冒険者の1人が手に入れていたという『輝石の欠片』。
 そして、流星龍のいたフェアリーランドで、猟兵の1人が得た『輝く鍵』。
 それが絶対物質ブラキオンを破壊する術になるという。
「どう使うのかは、その場になってみないと分からないがね」
 少なくとも『輝石の欠片』を持つ冒険者は援軍として来ているから、何とかなるだろうよと夏梅は肩を竦めて見せた。
 そしてその後は、と夏梅は表情を引き締める。
「兎魔導士を倒せば、いよいよ大天使ブラキエルとの戦いだ」
 予知で見た通り、その手に剣はないけれども。
 それでも強力なユーベルコードを操り、そして先制攻撃をしてくる。
 猟書家による多世界侵攻の首魁とされ。
 現時点で最強と思われる、オウガ・フォーミュラ。
「楽な戦いではないだろうが……最終決戦だ。思いっきりやってきな」
 夏梅はにっと笑って、猟兵達を送り出した。


佐和
 こんにちは。サワです。
 酒場アジュールで独り酒飲んで愚痴る大天使を想像してみたり。

 戦場は街の近くですが、劣勢にならない限り街に被害は出ません。
 また、戦い勝つ毎に街から遠ざかることになりますので、防衛はお気になさらず。
 障害物のない開けた場所で、主街道からも離れています。
 酒場アジュールを追いかけてくださっている方がいらしたら、な説明をすると、『緑』の森とは違う方向で、『青』のある『天』に登らず通り過ぎた先です。
 誰にでも分かりやすく説明すると、あまり人が来ない場所です。

 #酒場アジュール の #猟書家 シナリオに関連する者達が援軍となります。

●財宝妖精の黄金像
 3人組の優秀な冒険者。酒場アジュールによく集まっている。
 ヴァン:リーダー。大柄な力自慢。大剣を豪快に振るう。
 ニュアージュ:頭脳派。長身。細身の剣を持つ。風魔法もちょっと使える。
 エール:下っ端気質。小柄で素早いタガー使い。『輝石の欠片』を拾った。

●流星龍の闇夜の夢
 フュイユ:『緑』の森に住むフェアリーの冒険者。フェアリーランドが使える。

●7日目のクレリック
 グリーズ:言葉の神シャルムーンのクレリック。癒しの魔法が使える。33日目。
 グリフェール:街で神官長を努めるクレリックにしてグリーズの祖父。
        ジャッジメント・クルセイドが使えるが、肉弾戦の方が得意。

 第1章は『ゴブリン』との集団戦。
 援軍である前述の彼らと協力することがプレイングボーナスとなります。

 第2章は『『氷風の兎魔導士』フロワール』とのボス戦。
 絶対物質ブラキオンで造られた鎧の攻略がプレイングボーナスとなります。
 攻略方法は、鎧の隙間を狙う、もしくは、猟書家戦で得たアイテムを使う、です。
 アイテムは『輝石の欠片』があります。『輝く鍵』は入手された方次第です。

 第3章はオウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』とのボス戦。
 先制攻撃に対抗することがプレイングボーナスとなります。
 20回倒すこと(成功シナリオ数20)で完全に滅ぼすことができます。
 余剰成功分は、何かいいことが起こるかもしれません。

 それでは、アックス&ウィザーズの猟書家最終決戦を、どうぞ。
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第1章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「かなりの数のようだな」
 街に迫るようにこちらに向かって来るゴブリン軍団を遠目に見て、ヴァンが呟いた。
 大柄で筋肉質な体格と、装備した大剣から、容易くパワーファイターだと分かるけれども。力だけではない冷静さも、その落ち着きから感じられる。
「でもゴブリンなら俺らも何度も倒してるからな。そんな構えることねぇって」
 気楽に言うのは、両足にナイフを帯びた小柄なエール。
 どこか落ち着きなくとんとんっと弾ませるその足取りは、小柄ゆえの身軽さと素早さを見せて。調子の良い笑みを浮かべている。
 しかし、ヴァンと並んで立つニュアージュは目を細めて。
「いや、あれは普通のゴブリンではないようだ」
「へ?」
 素っ頓狂な声を上げて、エールはニュアージュに振り返った。
 背丈だけならヴァンと同じくらいだが、細い印象のニュアージュは、力よりも技に長けていそうなその手をすっと前に伸ばして。
「岩の腕を持つゴブリンは、今まで見たことがない」
 しっかりと相手の戦力を読み解き、告げる。
 言われたエールの表情が一気に不安なものに変わり。
 もう一度、迫り来る軍団を凝視して。
「なんじゃありゃー!」
「見た目通りなら、攻撃力が上がっているだろうな」
「力比べか。望むところだ」
「ニュアージュもヴァンも、なんでそんな落ち着いてんだよ!」
 街にある冒険者の酒場『アジュール』を拠点にする、3人組の冒険者。
 天空城の1つで、財宝妖精に襲われたところを猟兵達に助けられた者達は、その恩を返しに、そして冒険者として街を守りに、この場所に集っていた。
 加えて、もう1人。
「さすがに相手が悪いかな……私はあまり力になれないかも」
 フェアリーの冒険者・フュイユが苦笑を見せる。
 普段は街の近く、今いる場所とは別の方向にある森に住むフュイユだが。
 流星龍にフェアリーランドを侵されていたのを助けてくれたのは猟兵達だし。
 冒険者としてできる事はやっていきたいと思って。
 それに何より、街には大事な友達がいるから。
 この場にやっては来たものの。
 小さな自分では力比べなんてできるはずもないし、と肩を落とす。
 それに気づいたエールが、慰めるように話しかけ。
「いやいや。フュイユにもできる事はあるって。きっと」
「例えば?」
「ええと……オレの活躍っぷりをヴェルトに伝えるとか?」
「エールさん、活躍できるんですか?」
「うっ……」
 そんなやり取りをしていると。
「ならば、ワシの活躍を街の皆に伝えてもらおうか!」
 真っ白な髪と髭を揺らして立ち上がったのは、神官服を着た老爺。
 握った手にも顔にも、年齢を感じさせる皺が刻まれているけれども、その身体付きはがっしりしたもので。ぶんっと振るって見せた腕も、かなり力強く、鋭い。
「ゴブリンなどこの拳で一発よ!」
「じいさま、無茶しないでよ」
 慌ててそれを止めに入るのは、グリーズ。
 おつかいの途中で群竜大陸に連れ去られ、殺されかけたところを猟兵達が助けた、言葉の神シャルムーンのクレリックだ。
「腰の調子、良くないでしょう?」
「なんの! 可愛い孫娘を、我が神殿のクレリックを助けてくれた恩返しじゃ!
 今戦わんでいつ戦えというんじゃ!」
「恩返しなら、私が自分でするから……」
「癒しの魔法しか使えんひよっこだけに任せられんわい!」
「ううう……」
「グリーズさん、頑張って」
 いじけるグリーズの周囲をふわふわとフュイユが漂う。
「だからってじーさんが任されなくてもいいだろうがよ」
「はっ! どこぞのエールよりは役に立つぞい!」
「なんだとぅ!?」
「まあまあ、エール……」
「いやしかし、神官長。この前もぎっくり腰で大変だったと聞いたが……」
「黙っとれヴァン! まだまだ若いモンには負けんぞい!」
 街の神殿で神官長を務める老爺・グリフェールは、皆の心配を押し切って。
「さあ、ゆくぞ猟兵共! ゴブリンなぞ蹴散らしてくれるわ!」
 何か勝手に音頭を取って、ゴブリン軍団をびしいっと指差した。
セシル・バーナード
大天使様がゴブリンなんかを遣わせられるとはね。世も末だ。
問題は、質より量で来てること。押し切られる前に防がなきゃ。

「全力魔法」「範囲攻撃」切断の「属性攻撃」で裁断空間を広域に展開。
領域内にいるゴブリンをまとめて瞬殺する。
ゴブリンの攻撃は「見切り」かわす。

プラチナちゃん、ぼくが討ち漏らしちゃった分の討滅をお願いするよ。ぼくは大群を捌くので忙しい。
鉄塊剣はちゃんと持っていってね。

ああ、目を閉じてても当たりそうだなぁ。やらないけど。そこまで慢心はしてないよ。

やあ、冒険者さん。ゴブリンの相手は慣れてるんでしょ? 片付ける秘訣とかあれば教えてほしいな。

最後はあれだね。当たらなければどうという事もない。



「大天使様がゴブリンなんかを遣わせられるとはね。世も末だ」
 わざとらしく額に手をかざして、迫り来る軍団を眺めたセシル・バーナード(セイレーン・f01207)は、どこか呆れたようにひょいと肩を竦める。
「ぼくなら、プラチナちゃんみたいに可愛い女の子かドラゴンにするけどね」
「はいっ。私、めっちゃ頑張りますよ」
 ちらりと緑色の視線を傍らに向けると、銀髪の少女がやる気を見せるように、ぐっとその両手を握って見せていた。
「うん。頼もしいね」
 にっこりと笑いかけながら、少女に鉄塊剣を手渡して。
 セシルはもう一度、ゴブリン軍団を見やる。
 アックス&ウィザーズでは定番とも言える敵だけれども。その腕は岩に覆われ一回り以上に大きくなり。もしくは、その背中から岩の腕をもう一対生やして文字通り手数を増やし。見た事も無い特徴を備えていた。
 しかも、そんなゴブリンが数えきれない程の数で押し寄せて来ているから。
(「質より量、かな。押し切られる前に防がなきゃ」)
 そちらの方が脅威だと判断したセシルは。
 ふと、この場に集った猟兵ではない者達に視線を流した。
「やあ、冒険者さん。
 ゴブリンの相手は慣れてるんでしょ? 片付ける秘訣とかあれば教えてほしいな」
 見覚えのある中から、3人組の冒険者ににこっと笑いかければ。
 振り向いた中から1人、背の高いニュアージュが、じっとセシルを見る。
 貴族のように仕立てのいい服装に、装飾品でしかない腰の剣。体格も顔立ちも中性的な未だ幼さを感じる姿は、どう見ても荒事向きではないけれども。
 天空城で財宝竜をあっさりと返り撃ちにしていたのを、見ていたはずだと思えば。
「遠距離から倒す術があるなら、それが一番だろうな」
 接近しての力勝負は避けた方がいいと言わんばかりの。
 非力なセシルの戦法をしっかり判断したかのような回答が返って来た。
「力を増していても、ゴブリンの武器は粗雑な剣だ。間合いは広くない」
「ああ、確かにね。当たらなければどうという事もない」
 敵だけでなく自身をも的確に分析したニュアージュの観察力に、セシルは面白がるようにくすくすと笑いながら頷いて。
「それじゃあ、せっかくだしそれでいこうか」
 くるり、とどこか魅せるような大袈裟な仕草でゴブリン軍団に正対する。
「砕け散れ」
 そして笑みを含んだ声と共に、放たれるのは不可視無音の空間断裂。
 無数の見えない攻撃を広範囲に広げて、数多のゴブリンを切り刻む。
 密集させずに散らせた分、瞬殺とはいかなかったけれども。
 2度、3度と放ち、攻撃を重ねて、じわりとゴブリンを倒していった。
「プラチナちゃんは、ぼくが討ち漏らしちゃった分の討滅をお願いするよ」
「任せてくださいっ」
 念のために銀髪の少女を配置して。
 間合いにまで入られてしまった時の対処を備えながらも。
 セシルから離れた場所で、1体、また1体と、ゴブリンは倒れ消えていく。
「ああ、目を閉じてても当たりそうだなぁ」
 そんな軽口を叩きながら、無造作に見える攻撃を放ち続けて。
(「やらないけどね。そこまで慢心はしてないよ」)
 セシルは内心油断なく、着実にゴブリンの数を減らしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

備傘・剱
おいおい、大天使の先兵ってんだから、もうちょいこう、美味しそうなのを用意しろってんだ
ゴブリンなんて、美味しくなさそうだぜ

お、丁度、いい
そこの冒険者、手伝え!
白虎吼、発動!これで、多少は普段倒してるゴブリンと同じ感じに戦えるんじゃないか?

俺は、呪殺弾、斬撃波、衝撃波、ブレス攻撃で、どんどん倒していこう
そして、冒険者たちが危なくなったら、誘導弾で援護してやるぜ

数の多い雑魚は、それだけで一つの脅威だからな
蟻も、集まれば、ドラゴンを殺すって言葉もあるしよ

で、冒険者たち、美味そうな獲物がいたら、飯作ってやるから、手伝ってくれな

アドリブ、絡み、好きにしてくれ



「おいおい。
 大天使の先兵ってんだから、もうちょいこう、美味しそうなのを用意しろってんだ」
 ゴブリン軍団を眺めた備傘・剱(絶路・f01759)も、不満気な声を漏らす。
 しかし不満の方向が何だか違う気がしたのは、聞き間違いか気のせいか。
「ゴブリンなんて、美味しくなさそうだぜ」
 どちらでもありませんでした。
 聞き留めたヴァンが、何とも言えない顔をして剱を見ています。
「お、丁度、いい。そこの冒険者、手伝え!」
 しかし、その視線の意味に気付かずに。もしくは気にせずに。
 剱はヴァンを呼び寄せると、ユーベルコードを発動させた。
「吼えよ、敵に立ち向かいし輩共よ! 白虎の滾り、その身に宿らせ、敵を撃て!」
 剱の喉から迸った虎の如き咆哮が、その闘争心を猛り、共感させると共に、細胞を賦活させていく。
「これは……強化魔法か!」
「これで、多少は普段倒してるゴブリンと同じ感じに戦えるんじゃないか?」
 効果を感じ取ったヴァンに、剱は静かに微笑んで見せてから。
 さあどんどん行こう、とばかりにゴブリン軍団へ向かって行った。
 普通のゴブリンにはない岩の腕の攻撃力も脅威だが。
 白虎吼で彼我の差は大分埋められたはずと思いつつ。
 数の多い雑魚は、それだけで1つの脅威だから。
(「蟻も、集まれば、ドラゴンを殺すって言葉もあるしよ」)
 油断なく剱は攻撃を放つ。
 呪殺弾。誘導弾。斬撃波。衝撃波。ブレス攻撃と。
 出来得る限り、ゴブリンの間合いの外から。
 自身も強化しているとはいえ、岩の腕の脅威を真正面から受けないように立ち回り。
 また、ヴァンや他の冒険者達をいつでも援護できるように。
 剱は戦場を見据え、把握していく。
「で、美味そうな獲物がいたら、飯作ってやるから、手伝ってくれな」
「本当に食うのか……?」
 さらりと当然のように告げた言葉に、またヴァンが何とも言えない声を零すけれど。
 剱が遺跡酒場の店長兼妖怪肉おいてけであると、オブリビオンを本気で食材として見ているとは思わぬまま。というか、そう思えないのが普通ですが。
 ヴァンはそっと首を左右に振り、怖い想像を振り払って。
「変わった冗談だ……」
 そう結論付けた頬を、いやしかしまさか、と冷や汗が伝っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏑木・桜子
アックス&ウィザーズの『冒険者』と呼ばれる方々は日常的にこういったモンスターの退治に慣れているのですね。非常に頼もしいです。
ただ…岩の腕を持つゴブリンと対峙するのは流石に初めてのようでしょうか。
ではご助力をお願いするとともにわたしが『戦いやすく』してあげましょう。
岩の腕…どんなに強力であろうと重さとバランスの変化で動きが鈍くなればわたしにとっては戦いやすくなるというもの!
相手の群れに切り込み居合いと共に【剣刃一閃】で岩の腕を切り落とします。
こうなれば冒険者に方々には戦いなれたゴブリンそのものまで弱体化します。冒険者の方々と協力して腕を失ったゴブリンたちを駆逐すると共にそのお手並みを伺います



 こちらへと向かってくるゴブリンの群れも気になるけれども。
 それよりも、鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)は、援軍として集ってくれた人々へとその大きな瞳をキラキラと向けていた。
「アックス&ウィザーズの『冒険者』と呼ばれる方々は、日常的にこういったモンスターの退治に慣れているのですね。非常に頼もしいです」
「そ、そうか?」
 ふわふわくるくるの長い髪を揺らし、獣耳をぴこんと立てた、わんこのように可愛らしい姿に見つめられ、ちょっと頬を赤く染めたエールがにやつく。
「はい。是非、ご助力をお願いします」
 無邪気に頷く仕草も愛らしく、思わず目を奪われてしまうけれども。
 すぐに桜子の首がこくんと傾いだ。
 改めて相対するのは、ゴブリン軍団。
「ただ……こんなゴブリンのお相手は、流石に初めてでしょうか?」
 腕が岩に覆われ、もしくは背中からもう一対岩の腕を生やす、通常とは違うゴブリンの姿に尋ねれば、うっ、と呻いたエールが視線を反らす。
 気まずそうなその様子に、しかし桜子はふわりと笑いかけて。
「では、わたしが『戦いやすく』してあげましょう」
 大太刀『桜花絢爛』を、抱えるようにして身体の前で握りしめた。
 それは、随所に桜の意匠を施し、堅牢な黒鞘に花弁が舞うように金箔を散りばめた、美しき日本刀。刀工が最強の刀を目指して作ったと言われる一刀だが。
 桜子の身長より格段に長く、大きな一振りだった。
 一見、冗談かと思ってしまう程長大な大太刀に驚くエールの目の前で。
 しかし桜子は、その華奢な手で軽々と刀を携え、安定した動きでゴブリン軍団の中へと飛び込んでいく。
 迎撃せんとゴブリンが岩の腕を振り上げるけれども。
 いつもと違う重さに僅かにバランスを崩し、動きが鈍る。
 その隙に、桜子は斬り込んだ。
 長大な刀身を堅牢な鞘から引き抜く動きのまま走らせて。
 慣れた様子で軽々と、素早く大太刀を振るう。
 そして岩の腕を、その速度と重量とであっさりと斬り落とすと。
 抜いたのが嘘だったかのように、元通りに鞘へ収まった。
 太刀の大きさと桜子の小柄さからは、信じられない程美しい、居合抜き。
 強化されたゴブリンを、冒険者達が戦い慣れたいつもの強さかそれ以下へと弱体化させた桜子は、信じられないものを見たと言うように、ぽかんとしてしまっていたエールへ、少し照れたように笑いかけ。
「あとはお手並みを伺っていいでしょうか?」
「お、おう!」
 我に返って動き出したエールを見てから。
 桜子はまた桜花絢爛を一閃させ、共にゴブリンを駆逐していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

渡塚・源誠
ボクも協力させてもらうよ。
この世界も町も、旅先にはピッタリの良い雰囲気だからね。


先にゴブリン達の戦法、特に遠距離への対応を、協力者の人達から【情報収集】しておくね。

得た情報を元に攻撃が当たらない適切な距離を保って相手に応戦しながら、隙をみて金属札を岩石腕に向けて【一斉発射】(+【スナイパー】)するよ。

それだけで腕はどうにも出来ないって?
だったら、札中に込めた魔力を使って、岩石を脆い状態にしちゃうってのはどうかな?

攻撃で腕を振るっている内にボロボロ崩れていく程度の調整なら、相手の動揺を誘えそうだね。

そうして注意が逸れた所を追撃していくよ。協力者の人達にもそのタイミングで応戦してもらおうかな。



「これは見事だねぇ」
 ふらりとそこを通りかかっただけのように、飄々と立った渡塚・源誠(風の吹くまま世界を渡れ・f04955)は、桜花絢爛を眺めて口の端で微笑んだ。
 ぼさぼさの黒髪の上に乗せた、長く使われた感と古臭い雰囲気のある帽子を手で抑え、そのつばと手の下から戦いの様子を見つめ。
 ふと、気付いたように横を振り向いた。
「ボクも協力させてもらうよ。
 この世界も町も、旅先にはピッタリの良い雰囲気だからね」
「あ、ああ。よろしくお願いする」
 源誠を見ていたニュアージュが、不意に話しかけられて少し驚いたように答える。
 その様子に淡く笑いながら、そうそう、と源誠は思い出したように続け。
「ゴブリン達との戦いに関しての情報を……戦法とか、特に遠距離への対応具合かな。
 知ってる範囲で構わないから教えてくれないかい?」
 マイペースに問いかければ、ニュアージュアが快く頷き、説明を始めた。
 その情報は簡潔で的確。いい視点だと感心しながらも。
 敬語に近い、丁寧でかしこまったどこか固い感じの口調に、また大分年上に見られているなと、慣れた感覚に小さく苦笑して。
「……であれば、これかな」
 源誠は、魔力貯蔵機能付金属札を取り出す。
 聞いた情報と見回した戦場の様子から、ゴブリンの攻撃が当たらない、適切な距離が保てていることを確認して。
 放たれた札は、狙い違わず、振り回されている岩の腕を撃ち抜いた。
 不規則に動く腕を的確に捉えた、その狙いは見事なものだけれども。
 重力と速度を増幅させているとはいえ、札は札。
 その小ささでは、太く頑健な岩を小さく削る程度にしかならなかったから。
「これだけで岩の腕はどうにも出来ないって?」
 面と向かって指摘するのを遠慮しつつも、訝し気な顔をしていたニュアージュに、源誠は帽子で顔を隠すようにして、口元だけで笑みを見せる。
「だったら、こうしちゃうってのはどうかな?」
 ぱちん、と指を弾くと共に、札に込めていた魔力を解放。
 それは小さな傷から沁み込むように腕に広がっていき。
 棍棒を持って振り下ろそうとしていた岩腕が、ボロリと崩れ落ちた。
 急に脆くなった岩石に、ゴブリンが戸惑いを見せた、そこに。
 再び源誠は金属札を飛ばし、同じ小さな傷で、今度は腕をボロボロに撃ち砕く。
「さあ、どんどん脆くしていくよ」
 そして、さらに取り出した金属札を顔の前でひらりと揺らし、笑って見せれば。
 ふっと笑顔を返したニュアージュが、細い剣を引き抜いて走り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オーガスト・メルト
さて、義妹に頼まれて町の救援に来たが…あれが例の改造ゴブリンか。

【POW】連携・アドリブ歓迎
まずは【焔迅刀】を構え、徒歩で町側の援軍と敵の間に割り込んで、敵の強化を破壊しよう。
デイズ、ナイツ、【竜鱗飛甲】を召喚しろ。操作は任せる。
『うきゅー!』『うにゃー!』
敵の動きを【見切り】、竜鱗飛甲による【盾受け】も併用して回避。
グローム、雷属性の鋼糸で敵の足を狙って拘束しろ。
『チチッ』
岩石の腕を【切断】狙いで攻撃。UC【赤光一閃】ならなんとかなるだろう。
あの腕のバフさえなければ町の連中で充分に戦えるはずだ。鋼糸によるデバフもあるしな。

大天使の未練…俺たちでぶっ飛ばしてやるとするか。



「さて、義妹に頼まれて街の救援に来たが……」
 オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)は肩越しに街を見て苦笑する。
 件の酒場からの依頼を経て、様々な花を楽しんだのだと話していた義妹。赤に白に緑、紫と楽し気に体験を語る姿に、オーガストも楽しませてもらったから。
 その酒場の危機とあれば、義妹の頼みを断る選択肢などない。
 またいつか、義妹が色とりどりの花を楽しめるように。
 そしてまた新たな花に出会い、楽しい話を聞かせてくれるように。
 酒場を、それがある街を、助けてみせようと微笑んで。
「あれが例の改造ゴブリンか」
 オーガストは迫り来る軍団を見やる。
 顔つきや体格、武器などは、いつものゴブリンと変わらないけれども。
 そこから岩の腕が生えているだけで、大分違う印象になっていて。
 恐らく、その力も格段に上がっているのだろう。
 やれやれ、と肩を竦めたオーガストは、小太刀『焔迅刀』を手にふらりと前へ出る。
「デイズ。ナイツ。『竜鱗飛甲』を召喚しろ。操作は任せる」
「うきゅー!」
「うにゃー!」
 呼んだ名に、周囲をぱたぱた漂っていた白い饅頭と黒い大福が返事をした。
 いや、片手で掴める程の小さなヘンテコ生き物は、一応竜王と竜帝で。
 可愛い鳴き声を響かせると、ぷにぷに柔らかそうな姿の傍に、蝙蝠のような翼を生やした白と黒の盾を喚び出す。
 それは陰陽2枚の夫婦盾。竜王の眷属『七華』と竜帝の眷属『七晶』。
 単体なら勾玉を思わせる形の、2つ揃うと太極図に似たその盾は、ぱたぱたするデイズとナイツの動きに合わせるように羽ばたいて。強大な竜気の壁を展開する。
 それらは、岩の腕で振り下ろされた高威力の棍棒や大剣を、難なく受け止めて。
「グローム。雷属性の鋼糸で敵の足を狙って拘束しろ」
「チチッ」
 動きが止まったそこに、今度はオーガストの肩からカラフルな蜘蛛が飛び出した。
 8つの色と属性を操る手のひらサイズの蜘蛛型ロボットは、蜘蛛らしく糸を紡ぎ。
 見た目よりはるかに頑丈な、鋼でできたそれが、ゴブリンの脚に絡みつく。
 素早い動きを阻害され、そして雷属性にも邪魔をされ。
 動作が鈍ったところで。
「それで俺は、と」
 オーガストは無造作に見える動きで、焔迅刀を振るった。
 気のない風に見えたそれは赤光一閃。超高速かつ大威力の一撃となって。
 桜花絢爛や金属札と同様に、狙うは岩の腕の破壊。
「あの腕のバフさえなければ、街の連中で充分に戦えるはずだからな」
 止めを刺すよりもゴブリンの戦力を削ぐように、軍団の中をすたすたと歩いていく。
 その様子は、2体の竜とロボットと、辺りを散歩しているかのようだったけれど。
 油断することなく、しっかり役目は果たしていって。
「大天使の未練……俺たちでぶっ飛ばしてやるとするか」
「うきゅー!」
「うにゃー!」
「チチッ」
 この戦いの先、軍団の向こうにいる存在に、オーガストは遠い視線を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリル・モルガナイト
虐殺。ですか
そのような。蛮行を。許す。わけには。参りません
私は。盾の。騎士
世界を。民を。守る。者。なのですから

心強い。皆様が。居られる。のですね
なれば。私も。より。力を。発揮できる。というもの
あの。岩石の。腕は。確かに。脅威
ですが。それ以外は・そのまま
であれば。皆様は。私の。盾が。守ります。ですので。どうか。ゴブリンへの。攻撃へと。専念を
力は。あれど。悪しき。ために。振るわれる。腕など。後ろには。通しません
魔力で。強化した。体で。戦場を。駆け。援軍の。皆様を。ゴブリンの。攻撃から。盾で。庇い。続けます
隙が。生まれた。ゴブリンには。私も。レイピアの。突きで。連続。攻撃を。繰り出します



「虐殺。ですか」
 グリモア猟兵からの説明を反芻したベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)は、淡いピンク色の瞳でじっと、ゴブリン軍団の向こうを見つめて。
「そのような。蛮行を。許す。わけには。参りません。
 私は。盾の。騎士。
 世界を。民を。守る。者。なのですから」
 迫り来るゴブリン達を。そしてその先にいる許しがたき敵を。
 全てを阻止し、守ろうと、決意を口にする。
 キリッと佇むその姿は、陽の光に煌めき。瞳が、髪が、そしてその肌が、モルガナイトのように、ピンクベリルの名に相応しく、輝いていた。
「きれい……」
 そんなクリスタリアンの姿に、思わず見惚れたのはフェアリーのフュイユ。
 宝石などのお宝を探す冒険者として、そもそも美しいものが好きな少女として、ある種の美術品にも見えるベリルに、感嘆の息を零す。
 素直な賛辞にベリルはふわりと礼を返し。
 美しい動作で、フュイユからまた戦場へと視線を移した。
 ゴブリンと戦っているのは、猟兵達と、街の冒険者3人組。
「心強い。皆様が。居られる。のですね」
「はい。ヴァンさんもニュアージュさんも、すごい冒険者ですよ」
 その様子に微笑むと、先輩達を自慢するようにフュイユが頷く。
「……エールさんも」
 3人目はこそっとついでと言わんばかりに付け足されたけれども。
 どこか素直になれていないようなフュイユの様子に、実際はちゃんと認めているのだろうと感じ。ベリルは笑みを深くした。
「なれば。私も。より。力を。発揮できる。というもの」
 クリスタリアンとしての宝石の身体が、魔力の光で煌めく。
 脆く儚い煌宝を、魔力で強化し、輝かせて。
 ベリルは、ゴブリンと冒険者達との間に割り込むように飛び出した。
 太く堅牢に見える岩石の腕は、確かに脅威であろうと思う。
 けれども、その腕以外は。武器も胴体も足も、普通のゴブリンだから。
 振り下ろされた腕を、ベリルは防御力を上げた身体で受け、止める。
「皆様は。私の。盾が。守ります。
 ですので。どうか。ゴブリンへの。攻撃へと。専念を」
「おう!」
 岩の腕を押さえられ動きが止まったその隙に、ヴァンの大剣がゴブリンの腹を貫いた。
 崩れ落ち、消えゆくゴブリンを確認してから振り向いたヴァンに頷いて。
 ベリルはまた別のゴブリンの腕を受ける。
「力は。あれど。悪しき。ために。振るわれる。腕など。後ろには。通しません」
 強化した煌めく身体で戦場を駆け。
 冒険者達や他の猟兵を、ゴブリンの攻撃から庇い。
 ベリルは盾として輝き続ける。
 むろん、受けるだけでなく、そこに大きな隙を見出せば。
 美しき煌宝のレイピアでゴブリンを突き。連撃で自ら倒して。
「……きれい」
 再び呟かれたフュイユの声を背に、ベリルは、盾の騎士は、仲間を守り続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・レヴェリー
岩石の腕……腕かぁ
腕そのものが浮いて飛んできたりしたら厄介だけど、彼らの力が強くなってるってだけならまだやりやすそうね

ダイナに乗って、戦場を駆けながら【灰砂の鬣】を発動
流石に岩とはいえ、大天使の光輪が生み出した腕そのものの制御を奪うのは大変そうだけど、それ以外はそうじゃないわ
効果範囲に侵入したゴブリンの持つ武具や周辺の障害物を灰や砂に変えて、腕を振るおうとするゴブリンの肩や付け根とか、強化の範囲外の部分を重点的かつ強固に固めましょう

このままじゃ仕留めるには一手足りないけど……丁度頼りになる冒険者さんが三人もいるものね
……ね、細々とした戦いになっちゃうけど、固めたのを仕留めて貰ってもいいかしら?



 金色の毛並みの獅子が戦場を駆ける。
 小柄なゴブリンが見上げる程の大獣は、雄々しく、凛々しく、猛々しく。美しき金の軌跡を刻み付けていく。
 その背には、さらりと柔らかく靡く別の金色。
 長い金髪を風に吹かれたアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)は、勇猛な友の背に乗り、ぐるりと戦場を見渡していた。
「岩石の腕……腕かぁ」
 青い瞳が捉えるのは、普通のゴブリンにはない特徴。
 大天使ブラキエルの光輪により生み出された、頑強な岩の腕。
 それはゴブリンの力を強化し、絶大な破壊力を与えていたけれども。
(「腕そのものが浮いて飛んできたりするよりは、まだやりやすそうね」)
 アリスは、金獅子『ダイナ』の背からユーベルコードを紡ぐ。
「揺らぎて靡く、纏いて踊る」
 引き出されるのはダイナの、大地の力を自在に御す能力。
 アリスを中心に広がった力は、無機物を変換させていく。
 地に属す物は砂に。
 違う物は灰に。
 鉱物でできた剣や盾、周辺の大地にある岩石の障害物は、さらりと砂になり崩れ。
 動物の皮や古びた繊維でできた防具や、倒木などは、ぼろぼろと灰になり崩れる。
 しかし、大天使の力で与えられた岩石の腕は、地に属す岩とはいえ崩すことはできず。
 けれども、その腕を動かそうとするゴブリンの肩や、腕の付け根、足などに、変換された砂や灰が操られて集い、強固に固まった。
「これなら岩石の腕を振るえないでしょう?」
 太く大きく硬い腕で、アリスを殴り、潰すことはおろか。
 ゴブリン達は動くことすらままならなくなり。
 無防備な状態に困惑の気配が広がる。
 でもアリスにはそれ以上のことはできず。
「このままじゃ仕留めるには一手足りないけど……」
 わたしもここまで、と認めるけれども。
 アリスは、1人ではない。
 アリスとダイナには、まだ頼れる人達がいるから。
「……ね、固めたのを仕留めて貰ってもいいかしら?」
 ダイナの上から声をかけるのは、3人の冒険者達。
 細々とした戦いになっちゃうけど、と苦笑を見せるアリスに。
「ここまでお膳立てしてもらって出来ないとは言えまい」
「ああ、いつものゴブリン退治より楽だ」
 ヴァンの大剣が、ニュアージュの細剣が、次々とゴブリンを倒していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
グリーズさん。わたくしが来ました

そう言ってノインツェーンに乗り込んでキャバリア形態の大鎌を振るってゴブリンを薙ぎ払って行きます

彼岸と此岸の境界すら断つ大鎌の前に加速など無意味
更に帰天の加護を我が肉体に刻まれた因子に出力を増大
防壁の加護や聖光の加護を冒険者の皆さんに付与して共闘前線を強化していきます

更にサイキックキャバリアたる神機・ノインツェーンの聖蹟武装を展開してゴブリンを薙ぎ払っていきます

改めて、自己紹介といきましょう
わたくしはこの世界とは異なる異界の宗教国家、メリアグレース聖教皇国教皇、フレスベルク・メリアグレース
この『救われた世界』を救うべく、あなた方に尽力することを空に誓いましょう



 ぼうっと戦場を眺めてしまっていたグリーズの隣に、白地に金糸の聖別天衣が並ぶ。
 はっと気づいて振り向けば、琥珀色の長い髪を優雅に揺らし、柔らかく微笑む緑色の瞳が、神々しい空気を纏ってそこに在った。
「グリーズさん。わたくしが来ました」
「フレスベルクさん!」
 再会に、ぱあっとグリーズの表情が華やぐ。
「む? グリーズ、どなたかの?」
「あ、じいさま。この人は……」
 訝し気な顔をしたグリフェールへグリーズが説明しようとするのを制し。
 群竜大陸の龍脈火山帯で兎魔導士に命を狙われたグリーズを助けた猟兵の1人、フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、優雅な一礼を見せた。
「改めて、自己紹介といきましょう。
 わたくしは、この世界とは異なる異界の宗教国家、メリアグレース聖教皇国教皇。
 フレスベルク・メリアグレース」
 グリーズと年の頃も背格好も大して変わらない少女は。
 だが、グリーズにはない落ち着きと神聖なる覇気を纏って。
 国家と同じ名を、誇りを持って名乗る。
「この『救われた世界』を救うべく、あなた方に尽力することを空に誓いましょう」
 その凛々しい姿に、グリーズが憧れるように頬を染め。
 ほうほう、と感心したようにグリフェールが頷くと。
 フレスベルクの後ろに、サイキックキャバリアたる神機・ノインツェーンが現れた。
 聖教皇国に伝わる伝説は、コックピットにフレスベルクを迎え入れ。
 グリーズとグリフェールが見上げる前で、大鎌を構えて見せる。
「蒼穹を閉ざして砕く侵略者よ。汝の愚想が真と言うならば、この手に在る大鎌によってその真理を断ち切り、新たなる蒼穹を創り出そう」
 そして、宣言のような詠唱と共に、ゴブリンの群れに向けて大鎌が振るわれた。
 彼岸と此岸の境界すら断つ大鎌の前に、ゴブリンごときのダッシュなど無意味。
 避けるどころかその足を1歩動かすのが精一杯の間に、岩の腕ごと断ち切られていく。
 無間の異界を差し込むことによる回避不可能な一撃。
 そしてその巨体故の、当たれば強固な岩石すらも砕く威力。
 フレスベルクはゴブリン軍団を次々と薙ぎ払いながら。
(「1人でこの数を相手取るほど愚かではありませんから」)
 その肉体に刻まれた因子『帰天の円環』で、その加護の出力を増大させる。
 広がるのは、防壁、そして聖光の加護。
 それらを冒険者達にも付与して、共闘前線を支えんとしながら。
「さあ、参りましょう」
 フレスベルクは、宗教で衆生を救う同士を再び助けるべく、また大鎌を振り抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
やほー、おいちゃんたちー!
手伝いに来たよ!

数多いねー。どうやって減らそっか?(作戦会議)
ん、じゃあおいらはきゃばりあに乗って、攪乱だね!(元気&鼓舞)

敵の来る方向の地面を蹴り蹴りっと。(索敵&グラップル)
ん、穴いっぱい掘れたー♪(罠使い&拠点防御)

ゴブリン、数は多いケド、穴は跳び越えられないよね?

さあ、行くぞー♪(ダッシュ&切り込み&ダンス&パフォーマンス&存在感)
たまこの鬨の声をくらえー!(歌唱&なぎ払い&衝撃波)

あちこちへ移動して、敵を引き付けていくね!(蹂躙&悪路走破)
うまく引き付けたら、嘴から光芒炸裂ー!(コケー!)

あ、終わったら、穴はちゃんと埋めマス。
散らかしちゃって、ゴメンねー♪



「やほー、おいちゃんたちー!」
 戦場を弾む足取りで進んだ木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)は、ゴブリン相手に剣を振るう冒険者達に陽気な声をかけた。
「あーっ。犬っころの坊主!」
「よく『白鷺』のところに来てたな。確か……マツリ?」
「そーだよ。おいら、きもと・まつり! 手伝いに来たよ!」
 ヴァンに改めて名乗り、にぱっと笑って挨拶するその様子は、酒場『アジュール』に遊びに来ているいつもと変わらない気楽なもので。その元気な姿に、ニュアージュがどこかほっこりしたように微笑んだ。
 ちなみに、エールは犬と言っていますが、祭莉は人狼なので、変身姿はもちろん狼。
 髪色と同じ赤茶のふっさふさな毛並みは、長毛種に居そうな感じなので犬に見間違えてもおかしくはないけれど。先っぽだけ白い尻尾が犬にしては太いし。ピンっと立った耳もれっきとした狼耳。とはいえ、祭莉本人も『わんこ』言ってたり、わんっと鳴いたりしているので、エールの勘違いも仕方ないところ。
 そのためか、勘違いを訂正するつもりもないようで。
 気にせず祭莉は、ぐるりと周囲を見回した。
 迫り来るのは岩の腕を持つゴブリンの群れ。
「数多いねー。どうやって減らそっか?」
 酒場おススメの肉の山をどこから食べよっか? と聞いているかのような、本当にいつも通りで気負わない自然体に、ヴァンは苦笑を見せ。
「岩の腕を抑えてもらったり防いでもらったり、大分楽に戦わせてもらっているが……」
「まだまだ数が多い。一気に来られたら拙い状況には変わりないな」
「ふーん」
 続くニュアージュの意見にも、祭莉はこくんと首を傾げて考えて。
 すぐにまた、にぱっとおひさま笑顔を花咲かせる。
「じゃあおいらはきゃばりあに乗って、攪乱だね!
 いでよ、たまこ・きゃばりゃ!」
 呼び出すのは、別世界で主力を誇る体高5mの兵器『キャバリア』。
 その中でも、桁外れの火力と機動力を誇る最精鋭機クロムキャバリアだけれども。
 真っ白なカラーリングを施されたその姿は。
「……ニワトリ?」
 黄色く鋭いくちばしと、赤い鶏冠を見たエールが呆然と呟いた。
 木元家の守り鶏にして、村一番の乱暴者の姿を象ったそれのコクピットへ、祭莉はひょいと身軽に飛び乗って。
「さあ、行くぞー♪」
 村で雌鶏が走り回っている光景を再現するかのように動き出した。
 整備された街道から少し外れた場所だけれど、そんな悪路もなんのその。
 白い残像すら残して駆け回るその速さに、ゴブリン達は引っ掻き回され。
 羽ばたいても飛べない白い羽根に気を取られたそこへ、隙が生まれる。
 猟兵達の岩の腕対策も重なり、浮足立った群れへ冒険者達が斬りかかり。
「たまこの鬨の声をくらえー!」
 祭莉もたまこ・きゃばりゃで、こけー、と衝撃波を放っていった。
「あ、そうだ」
 そのうちに思い至って、地を蹴るキャバリアの脚に力を込めて。
 2足の脚を今まで以上に後ろに跳ね上げ続ければ。
「ん、穴いっぱい掘れたー♪」
 地面に幾つもの穴が生まれる。
 そこまで深くまでは掘れなかったけれど、大型機動兵器の脚ゆえにそれなりに大きく。
 ゴブリンの行動範囲を程よく狭めて。
 さらにまたキャバリアで走り回ることで、上手く相手を引き付け、纏めると。
「光芒炸裂ー!」
 おひさまのような輝ける白炎で覆われた白い身体から、くわっと開いたくちばしから、どんどんと光閃が放たれ、ゴブリン達を薙ぎ払った。
 どんなもんだい、と胸を張る祭莉だけれども。
「こりゃー! 小僧、大地を荒らすでないわ!」
 飛んでくるのは神官長のじいさまの怒声。
「散らかしちゃって、ゴメンねー♪」
 終わったらちゃんと埋めようと思いながら、祭莉はまたキャバリアで駆け出した。
 こけー!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
識を求める大天使が無差別大量虐殺なんて
また随分とストレートな手段に出たもんよね
でもアイツ、この町を狙うなんてよっぽど運が悪いのね
だってこの町は絶対に落とせない、落とさせない
そうでしょ?皆

フュイユもありがとね
元気そうで良かった
この鍵、持ってきたよ
でもどうやって使うんだろ
フュイユなら何かわかるかな?

戦闘では
ウサミミな海の仲間達を召喚
私も巨大アンコウの背に乗り空へ
自由に空を泳ぐ彼らに足払いは効かないよ
払う足が無いもんね
不意打ちだって低い位置からじゃ届かない

それに今回は
フュイユや冒険者の皆のお陰で地の利がある
皆と連携
上空からゴブリン達の動き読み
味方の攻撃の通り易い窪地へ追い込んで
一網打尽にしていくよ!



「識を求める大天使が無差別大量虐殺なんて。
 また随分とストレートな手段に出たもんよね」
 戦況を見守るフュイユは、息交じりの聞き覚えのある声に振り向いた。
 ツインテールにした灰色の髪を揺らし、ゆっくりと歩み寄ってきた鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は、フュイユに不敵な笑みを見せ。
「でもアイツ、この街を狙うなんてよっぽど運が悪いのね」
 紫色の瞳を少し悪戯っぽく輝かせながら、周囲を示すように腕を広げる。
「だって、この街は絶対に落とせない。落とさせない。
 そうでしょ? 皆!」
 張り上げた声に、いろいろなところから異口同音に応えが上がった。
 その頼もしい響きに身体を揺さぶられながら、顔を綻ばせるフュイユ。
 小太刀はそんな小さな姿をそっと見上げて。
「フュイユも、来てくれてありがとね。
 元気そうで良かった」
 今度は優し気に微笑んで見せる。
 それは、流星龍の悪夢にフェアリーランドを侵されて、死へと向かっていたフュイユを助けてくれた笑顔の1つ。
 弱っていく中で、確かに覚えている不器用なオカリナの音色と。
 フェアリーランドから投げかけられた数多の思いが蘇って。
 フュイユは、本当の意味では初めて会う小太刀にこくりと頷いた。
「私こそ、あの時は助けてくれてありがとう。
 ちゃんとお礼も言えなかったから……」
「気にしないで。ああ、ヴェルトにはあれから会った?」
「うん。大切な友達、だから」
 気遣う小太刀に、フュイユは少し照れたように笑う。1人前の冒険者になると気負いすぎて、友達に会いたいなんて甘えだと決めつけていた、あの時の自分を恥じるように。
 でも今は違うのだと、猟兵達のおかげで変われたのだと示すように。
「それに、力を合わせて共に戦ってくれる人達がいるから」
 フュイユは3人の冒険者達へと視線を流した。
 共に、と言いながらもゴブリンとの戦いで、今、フュイユは何もできていない。
 しかし、それを悲観することなく。
 何かできることはないかと常に探しながら戦況を追い、しっかりとその場に居る。
 その頼もしくなった様子に、小太刀は嬉しそうに微笑んで。
 そうだ、と1本の鍵を取り出した。
「この鍵、持ってきたよ。でもどうやって使うんだろ?」
 それは、フェアリーランドで流星龍を倒した時に、小太刀が手に入れたもの。
 流星龍が、猟書家幹部が探していたと思われるそれは、天上界へ至るために何らかの役に立つアイテムではないかと言われていたけれども、定かではなく。そもそも、本当に鍵として使うものなのか、どう使うべきなのか、何もかも分からないままだった。
「フュイユなら何かわかるかな?」
「いえ……私も初めて見たから……」
 手がかりを求めて出してみたものの、フュイユも首を傾げ、輝く鍵を見つめるのみ。
 でも、もしかして、とフュイユが振り向いた先にいたのは。
 神官長・グリフェール。
「なるほど。年の功」
「あと、一応街の偉い人、だから」
 小太刀とフュイユはうんうんと頷き合って。
「それじゃ、後で聞いてみよう。
 まずは……ゴブリン退治だね」
 今はこっち、と小太刀は迫り来るゴブリンの群れに向き直った。
「おいで! ウサミミな海の仲間達!」
 そして喚び出したのは海の生き物。大小の魚にサメやエイ、ウミガメ、イカ、タコ、エビに、ウナギにイルカにクラゲと、様々な姿を見せる。
 だがその姿には、海で見るものとは違い、全ての生き物にウサミミが生えていて。
 そのおかげで、海水ではなく空中を、自由自在に泳いでいた。
 小太刀も巨大ウサミミアンコウの背に乗って空へと舞い上がる。
 不意打ちも足払いも、ゴブリンの全ての攻撃が届かない場所から、小太刀は戦場を見下ろし、その動きを読んで。
「フュイユ、地形を教えて?」
「ええ」
 上空からの景色に地元のフェアリーの情報を交えて。
 ゴブリンを味方の攻撃が通りやすい場所へと追い込むべく、動き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
破れかぶれで虐殺なんてさせて堪るか
街を守り抜くぜ

冒険者&クレリック
一緒に戦えるとは心強いぜ
お互い頑張ろうな(ぐっ

爺さん、期待してるぜ
けど無理すんなよ

戦闘
炎翼を得て飛行しながらワイルドウィンドで演奏
旋律で皆を勇気づけるぜ

そして響き渡る音の波紋は煉獄のごとき熱を孕み
その熱は風を呼ぶ

ニュアージュの風魔法も乗せて
炎の嵐を為して
岩の腕も溶かしながらゴブリンを焼却

上空からみて手薄なところがあれば手を貸す

狙われていたら
旋律と共に炎の壁を生じさせて庇う
それでも足りないなら急降下してガードだ

事後
鎮魂曲を奏でる
ゴブリンとは言え
大天使の犠牲者かもな
安らかに

お疲れさん>冒険者&クレリック
爺さん、マジで凄いぜ(ぐっ



 駆け出した白いキャバリアを見送った3人の冒険者達に、よお、と声をかけたのは木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)。
「あっ! 天空城での……」
「また一緒に戦えるとは心強いぜ。お互い頑張ろうな」
 再会に驚くエールに、ぐっと右手の親指を突き出したウタは、頷くヴァンとニュアージュにも、にっと笑って見せた。
 その向こうに見えた、ツインテールの少女と話しているフェアリー・フュイユの姿に、ウタはそっと目を細め。流星龍にフェアリーランドを侵されていた、あの時の影響がもうなさそうなことに、ほっと息を吐く。
 また、フュイユの近くに並んでいる神官服も見て。兎魔導士に襲われたところを助けたなりたてクレリック・グリーズの笑顔に、つられるように笑みを浮かべた。
 様々な猟書家の事件で関わり合った者達。
 その彼らが住む街を遠目に見たウタは。
(「破れかぶれで虐殺なんてさせて堪るか」)
 いつも抱いている以上の決意をその胸に灯し。
(「街を守り抜くぜ」)
 手にしたワイルドウィンドをかき鳴らした。
 奏でる旋律は、皆を勇気づけ、鼓舞する勇ましい曲。
「ほほう。なかなか良い音じゃな」
 そのギターの音に惹かれるように、グリフェールが近寄ってきて。
「なかなか、やる気が湧いてくるというものじゃ」
 感心したように聞き惚れながら、胸の前で右の拳を左の掌にぱしんっと当てる。
 戦いに出る気満々、といったその様子に、ウタはにっと笑い。
「爺さん、期待してるぜ。けど無理すんなよ」
「はっ! お主もワシを年寄り扱いか! 見ておれ!」
 言うとグリフェールはゴブリンの群れへと飛び込んで行った。
 猟兵達によって岩の腕を抑えられ、またその動きを制限されたり追いやられたりと戦いやすくされているとはいえ。それにしても見事な快進撃を見せていく。
「爺さん、マジで凄いぜ」
 ははっと破顔するウタの横で、やれやれとヴァンが肩をすくめ。それとなく援護するように参戦していった。
 他の2人も戦いに向かおうとしたところで。
「ニュアージュ、ちょっといいか?」
 ウタはそのうちの1人を呼び止める。
 思いついた頼みごとを、そういえば天空城でも彼に頼んだことがあったな、と少し懐かしく思いながらも告げれば。
「……分かった。やってみよう」
「任せたぜ」
 あの時と同じように快諾して、ニュアージュは細身の剣を手に駆け出した。
 それを見送る間もなく、ウタの背に獄炎が噴き出して。
 翼を象ったそれでウタは空高く舞い上がる。
 そして、今度は上空からギターをかき鳴らし。響き渡る音の波紋に煉獄の如き熱を孕ませ、その熱で風を呼んだ。
「ニュアージュ!」
「ああ!」
 合図を送りながら撃ち放った炎の嵐は、ニュアージュの風魔法でさらにその勢いを増して、岩の腕すら溶かしながらゴブリンを焼き尽くす。
 その威力に、手を貸したニュアージュすら驚きの表情を見せていた。
 ウタは、炎の嵐の効果を冷静に確認すると、再びギターを奏で、上空から油断なく戦況を見下ろす。
(「ゴブリンとは言え、大天使の犠牲者かもな」)
 ふと、その胸中に、オブリビオンへの労りすら抱いて。
(「安らかに」)
 そっと鎮魂の祈りを捧げながらも、まだまだ数の多いゴブリンを見据えた。
 そのとき。
 ごきっ!
「あっ……またぎっくりじゃ……」
「神官長!」
 急に動きが鈍ったグリフェールに、慌ててヴァンが駆け寄る。
 だがそれよりも早く、近くのゴブリンが好機とばかりに岩の腕を振り上げて。
 そこに猛々しい旋律と、炎の壁が割り込んだ。
 怯んだゴブリンのその前を、急降下したウタがグリフェールを抱えて下がる。
「じいさま!」
 そのまま心配するグリーズの元へとグリフェールを運んだウタは。
「爺さん、ありがとうよ。後は任せてくれよな」
 ぐっと親指を立てて見せてから、再び炎の翼で舞い上がり、戦いへ戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
【最前線】アドリブ歓迎

数だけは立派に揃えたモンだ。分かってるよな、クロウ。倒した数は数えとけ。誤魔化すのは無しだぜ?

輝石の欠片を持つエールの護衛と共に戦場の前線で魔剣を振るう。
今回クロウとどっちが多くゴブリンを狩れるか勝負って事になってる。(結果はMS様にお任せ)
UCで黒銀の炎の【属性攻撃】で薙ぎ払いつつ、狩っていくぜ。
エールを囲んで互いに背後を守り合う形にすりゃ、互いに隙も消せるし、能無しのゴブリン連中は向こうから近付いてきてくれるで言う事無しだ。
ハッ、実力差も分からねぇ小鬼野郎に俺とクロウが負けるハズねぇだろ。腕だけじゃなく全身作り変えて出直して来な!
…んで。そっち今、何体目だ?


杜鬼・クロウ
【最前線】アドリブ歓迎

この街を守りたいという思い
しかと受け止めたぜ
俺達猟兵も最善を尽くすしカバーもする
臆せず行け
きっちり勝ち越して全員で帰ろうぜ

皆で拳当て気合入れ
輝石の欠片持つエールを中心に守護し前線で戦う

ふ、当然だぜ
これは俺とカイムの勝負
正々堂々ヤり合おうぜ!
誰にも邪魔させねェ

勝負は勝負だが足引っ張る事はせず
任務遂行が最優先
カイムと背合わせで死角減らす
玄夜叉に炎属性出力させ敵へ横一閃
同時にUC使用
鬼火で複数敵を一気に爆破
糸で敵の足を転ばせ態勢崩した所を斬る
敵の攻撃は剣で武器受け

随分、俺を買ってくれンじゃねェかカイム!
お前の仕事ぶりこそ見事だぜ(振り向かず剣振り下ろして裂く
俺は今30そこらか?



 1、2、3と冗談めかした口調でゴブリンを数えていたカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は、10にすら届かぬところであっさり止めると、不敵に笑った。
「数だけは立派に揃えたモンだ」
 とんっと肩に乗せるのは、赤黒い神殺しの魔剣。
 後ろで1つ結びにした長い銀髪を楽し気に揺らし、紫の瞳で戦場を眺める。
 その軽いノリに、大群を前にしてもいつもと変わらないその様子に、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は、夕赤と青浅葱の瞳を細めた。
 この程度で怯むなど、カイムも自身もあり得ないと思いながら。
 正にその通りの光景に口元が小さく緩む。
 身の丈程の漆黒の大剣『玄夜叉・伍輝』を、こちらも肩に担ぐようにして。
 クロウは散歩をするような軽い足取りで進む。
 そこにいるのは、先にゴブリンと交戦していた冒険者達。
「この街を守りたいという思い、しかと受け止めたぜ」
 戦う背中にクロウは声をかけ、剣を持たぬ方の手をぐっと握りしめて突き出すと。
「俺達猟兵も最善を尽くすしカバーもする。
 臆せず行け。きっちり勝ち越して全員で帰ろうぜ」
 ちらりと振り返ったヴァンとニュアージュが、一度ゴブリンから間を空けるように飛び退くと、クロウのすぐ近くへ駆け戻り。再びゴブリンへ挑みかかろうと走り出すその途中で、こつこつん、と軽く拳に拳を当てていった。
 言葉なき交流に、クロウの笑みが深くなる。
 そして、2人からワンテンポ遅れて、間を空けるというより逃げ帰ってきたかのようにクロウへ駆け寄ってきたのは、エール。
 仲間と同じように拳を重ねようとする小柄な姿を、そういえば、とカイムは呼び止め。
「エール。あんた、輝石の欠片、持ってるんだってな?」
「輝石……? ああ、これか?」
 尋ねれば、不思議そうな顔でエールは懐からそれを取り出した。
「天空城から持って帰った財宝の中に紛れててよ。売れそうにもねぇし、捨てようかとも思ったんだが、アルがとっとけって言うからそのまんまにしてたんだ」
 片手で握りしめるには少し大きい程度の、ちょっとキラキラした石っころ、といった感じのそれは、確かに価値あるものには見えないが。
 グリモア猟兵の予知にはその重要性が語られていたから。
 クロウも説明を思い出しながら、輝石を指差すと。
「俺達にはそれが必要なんだ。大事に持っといてくれよな」
「なら兄さんらにやるよ。いいように使ってくれ」
 告げた言葉に返ってきたのは、承諾の言葉ではなく輝石の欠片そのもの。
 思わぬ展開に少し慌てながらも、クロウは投げ渡されたそれを片手で受け止めて。
 そのままゴブリンとの戦いに戻って行くエールの後ろ姿を見送った。
 さあどうしたものか、と手にした石っころにクロウは戸惑い。
 でも今は悩んでいる場合ではないからとあっさり割り切って。
 輝石の欠片を仕舞うと、改めて漆黒の大剣を握りしめる。
「分かってるよな、クロウ」
 そこに楽し気に話しかけてきたのはカイム。
「倒した数は数えとけ。誤魔化すのは無しだぜ?」
 この後使うアイテムよりも、今襲い来るゴブリンを、と視線で伝えながら。
 どっちが多くゴブリンを狩れるか勝負、と言外ににじませた、挑戦。
「ふ、当然だぜ」
 クロウはにやりとその挑戦状を受け止めると。
「正々堂々ヤり合おうぜ! 誰にも邪魔させねェ!」
 冒険者達に続くように、ゴブリンの群れへと飛び込んだ。
 ゴブリンの腕は岩に覆われ、もしくは、岩の腕を増やして、強化されていたけれど。
 岩の腕を斬り落とされ、脆く崩され。盾に受け止められ、炎に溶かされ。
 もしくは、岩の腕以外を固められ。大型機動兵器に蹴散らされ。
 猟兵達によって次々と作られていく、好機。
 冒険者達はそれらを逃さず、着実に数を減らしていき。
 そこにクロウとカイムも混じっていく。
 流転し燦めく伍の輝きを見せる玄夜叉から、炎の属性を選び出力させると、横に一閃。
 ゴブリンを上下に断ち、その後ろのゴブリンにたたらを踏ませたクロウは。
「遊んでおいで」
 その隙にユーベルコードを紡いだ。
 生み出された鬼火は、ゴブリン達の熱に反応して追尾すると。
 鬼ごっこのようにそっとゴブリンに触れた、途端、爆破させる。
 それは一撃でゴブリンを仕留める程大きなものではなかったけれど。
 体勢を崩させるには充分だったし。
 さらに、爆破と共に生み出された糸が、ゴブリンの脚に絡みついて転倒を誘い。
 そこに再び、玄夜叉が振り抜かれた。
 次々とゴブリンを斬り伏せる漆黒の大剣。
 負けまいとカイムも魔剣を振るう。
 全ての神を滅ぼす終末の黄昏は、赤い文様を浮かび上がらせた黒い刀身でゴブリンを断つと共に、その斬撃から力の一部を解き放ち。
 黒銀の炎となったそれが、周囲のゴブリンへと飛び向かった。
「逃がすかよ!」
 カイムの声に応じるように燃え上がるった黒銀は、一気にゴブリンを包み込む。
 さらに黒銀の炎を放ちながら、カイムは魔剣を薙ぎ払い。
 こちらも次々とゴブリンを狩っていった。
「ハッ! 実力差も分からねぇ小鬼野郎に俺とクロウが負けるハズねぇだろ。
 腕だけじゃなく全身作り変えて出直して来な!」
 死角を消し、互いの隙を埋めるように、背を合わせたカイムに。
「随分、俺を買ってくれンじゃねェかカイム!
 お前の仕事ぶりこそ見事だぜ」
 振り向きすらもせず、クロウは玄夜叉を振り下ろす。
 戦いに興じているように見える中でも、油断なく互いを支え合う、慣れた連携。
 そして、鍔迫り合いをするヴァンの相手を背後から斬り倒し、横手からニュアージュへ向かおうとしていた1体を斬り裂いて、逃げ回るエールを追いかける者を断ち斬る。
 最初に告げた通り、周囲へのカバーもしっかりと入れながら。
 もちろん忘れちゃいない、2人の勝負。
「……んで、クロウ。そっち今、何体目だ?」
「俺は今、30そこらか?」
「ちゃんと数えとけよ!」
「1つ2つ違ったって圧勝すりゃ問題ねェだろ!」
 背中合わせでテンポよく声を交わしながら、また1体ずつ、ゴブリンを屠っていく。
 ちなみに、勝負はクロウの勝ちとなるのだが。1体差だったために、申告数にカイムの疑惑の目が向いたとか向かなかったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
何とも頼もしい援軍たちに口元が弛みます。
ここは一つ、彼等の力を借りましょう。

「エール、あなたにお願いしたいことがあります」
…何もそんなに警戒しなくても。

エールには敵の間を全力で走り回ってもらいます。
素早い相手を捉え切れないとなれば、
ゴブリン達は盾を捨てて加速するでしょう。

その脚を複製猟銃で一斉射撃。
守りを剥がし、脚を止めたところでヴァン達やグリフェールに任せます。
グリーズは彼等のサポートを。ファイユはエールが危なくなったら
壺にしまって退避して下さい。
私は彼等を援護しつつ、自らも狩ります。

敵の数が多くても大丈夫。こちらには力を合わせる仲間がいる。
「エール、頼みましたよ」
(ニッコリ笑って無茶ぶり)


フリル・インレアン
ふわあ、みなさん頑張ってください。
私は後ろで応援を・・・、やっぱりダメですか。
では、お菓子の魔法を使います。
ゴブリンさんのあの岩の腕なら細かい動きには不向きですから、お菓子を奪って食べられる心配はありませんね。
ゴブリンさんの数が多くても動きが遅ければ攻撃は当たりませんよ。
これなら楽に戦闘が進み・・・ませんでした。
ふええ、お菓子の魔法はお菓子を楽しんでいる間しか効果がないのに、なんですぐ食べきってしまうんですか。
おかわりを渡しに戦場を駆け回らないといけないじゃないですか。



 繰り広げられる戦いを目の前にして、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は赤い瞳を大きく見開き、感嘆の声を上げていた。
「ふわあ、みなさん頑張ってください。
 私は後ろで応援を……」
 途端、手元から上がる、があ、という抗議の声。
 ふええ、とアヒルちゃん型のガジェットを見下ろしたフリルは。
「やっぱりダメですか」
 大きな帽子の下の泣き出しそうな顔で俯いて、がくっとその肩を落とす。
 そんな姿に気付いたのは、エール。
「おっ。でっかい帽子の嬢ちゃんか」
 天空城で共に戦ったフリルを覚えていてくれたらしいその様子に、だが人見知りなフリルは、再会に戸惑いながら、帽子のつばを引き寄せて顔を隠した。
 相変わらずだと苦笑して、エールはふと、思い出す。
「炎の翼の兄ちゃんに、狐の坊ちゃんもいたな」
 この戦場に、あの時天空城に居た猟兵が他にもいることを。
 そして。
「とすると、もしかして……」
「こんにちは。エール」
「ぅをあっ!?」
 想像した通りの声を聞いて、エールは跳び上がった。
 慌てて振り向いた先にいたのは、短い銀髪を煌めかせ、緑色の瞳で微笑む美しきエルフの猟師、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)。
「シリンの姉さん!?」
「何とも頼もしい援軍ですね」
 エールに笑みを向けたシリンは、ふっと視線を流してヴァンとニュアージュも眺め。
 再び彼らと戦えることを喜ぶように、ゆっくり頷く。
 せっかくならば、またその力を借りようと、シリンは改めてエールに向き直り。
「エール、あなたにお願いしたいことがあります」
 切り出した言葉に、エールが露骨に表情を変えた。
「……何もそんなに警戒しなくても」
「だってよぉ……」
 内容を告げる前から渋い顔を見せるエールに、心外といった風にシリンは首を傾げ。
「ただ、ゴブリン達の間を全力で走って欲しいだけです。
 素早いエールを捉えきれないとゴブリン達が思えば、盾を捨てて加速してくるはず。
 防御を減らせれば、撃ち抜くのが容易くなりますから」
 精霊猟銃を見せながら、さらりと無茶ぶった。
「うえー……それ、囮って言わないっすか? 姉さん」
 正しく指摘するエールに答えずに、シリンはニッコリ笑って見せる。
(「今回はちゃんとお願いしていますからね」)
 天空城では、必死で逃げるエールを勝手に囮に使っていたシリンだが。
 そのことをおくびにも出さず。
「エール、頼みましたよ」
「ああ、もうヤケだ! 行くぞ嬢ちゃん!」
「ふええ!?」
 押し通すような笑顔に諦めたエールが、何故かフリルを連れて走り出した。
 そういえば、天空城でも2人揃って逃げ回っていたかと思い出しながら、ゴブリンの群れの中に飛び込んでいく2つの背中を見送ったシリンは。
 ふわり、と空飛ぶウサミミアンコウから降りてきたフェアリーを見止めて、そちらにも声をかける。
「フュイユ。貴女にも、お願いできますか?」
 その間にも、エールはフリルと共に戦場を逃げ走っていて。
「うおおぉぉ!」
「ふえぇぇ……」
 追いかけてくる岩の腕を着実に増やしていた。
 となれば、追いつかれた時の被害も着実に増えていることになるわけで。
「姉さん、早くー!」
 エールは必死にシリンに訴える。
 そこに、隣から差し出されたのは、手作りと思われる、形の不揃いなお菓子。
「ええと、あの。お菓子を作ってきたんです。おひとつどうぞ」
「お菓子って、それどころじゃ……」
 走りながら抗議するエールだけれど、があ、と促すようなガジェットの鳴き声が響き。
 何となく、その声に背を押されてお菓子を受け取ったエールは、半ば、もうどうにでもなれ、という気持ちで口に放り込んだ。
 広がる素朴な甘さに、ちょっとだけほっこりして。
 でもゆっくりはしていられないと、追いかけてくるゴブリンを振り返ると。
「あれ? ゴブリンの動きが遅くなった?」
「はい。時を盗むお菓子の魔法です」
 フリルもお菓子を食べながら、ユーベルコードを説明する。
 フリルが趣味で作ったお菓子を楽しんでいない者全ての行動速度を遅くする魔法によって、言い換えればエールとフリルだけが速く動けるようになっていて。
「ゴブリンさんの大きな岩の腕だと、小さなお菓子を奪うのは大変ですよね」
 だからゴブリンにお菓子を楽しむことはできないと、フリルは説明する。
 いくら数が多くても、動きが遅ければ攻撃は当たらないから。
「なるほど。これで楽に逃げられ……」
 ませんでした。
 解説しているうちに、ゴブリンの動きが元の速さに戻ったのです。
「何でだぁ!?」
「ふええ、お菓子の魔法は『お菓子を楽しんでいる間』しか効果がないのに、なんですぐ食べきってしまうんですか」
 慌ててまた逃げる脚に力を込めるエールに、半泣きで訴えるフリル。
「嬢ちゃん、おかわりくれ!」
「ふええ、これじゃ、おかわりを渡しに戦場を駆け回らないといけないじゃないですか」
 かくして。
 2人はいつまでも一緒に逃げ回ることになり。
 その様子を、シリンはしっかりと、猟銃の照準器越しに見つめていた。
 なんだかんだ言いながらも、文句を言う程には危ないこともなく、その素早い動きでしっかりと逃げ避けているエールに、称賛を送りながら。
「羽根妖精よ、私に続け」
 構えた精霊猟銃を周囲に幾つも複製する。
 百に迫る程創り上げたそれらを、念力で操作し、それぞれ狙いを定めて。
 文字通りの弾幕が、ゴブリン達を襲った。
 それはシリンが狙った通り、盾を捨て身軽となった、言い換えれば守りを剝がされたゴブリンを容易く撃ち抜き。特に脚に集中した攻撃で、その動きを鈍らせる。
 そうなれば、ヴァンやニュアージュ、そして剣を振るう猟兵達が仕留めてくれるから。
(「敵の数が多くても大丈夫。こちらには力を合わせる仲間がいる」)
 そちらの戦いも援護しながら、シリンは精霊猟銃を構え続け。時には自身で止めの一撃を放って、着実にゴブリンの数を減らしていった。
 もちろん、そんなシリンの戦果に最大限に貢献しているのは、エールとフリルで。
「うをを。嬢ちゃん、菓子!」
「ふええ。待ってくださいよ」
 走りながらフリルがまたお菓子を給仕していくけれども。
 走りながらゆえに、受け渡しをぽろりと失敗してしまい。
「しまっ……」
「はうう!?」
 速度が元に戻ったところに、ゴブリンの岩の腕が迫る。
 けれども。
 思わず身を縮ませていたエールは、いつまでも来ない攻撃に恐る恐る顔を上げ。
 殺伐とした戦場から、穏やかな森の中へ、周囲の景色が一変していることに気付いて、目を見開いた。
「ふえ?」
 隣でへたり込んでいたフリルも、戸惑いの声を漏らしてきょろきょろ辺りを見ている。
 どうなっているのか、とエールが尋ねる、その前に。
「ふう。危なかったですね」
 聞こえてきたのは覚えのある声。
「フュイユ!? てことは、フェアリーランドか!」
「はい。エールさん達が危ない時はここに助けるように、って頼まれていたんです」
 私もお役に立てました、と嬉しそうな声が森の中に、フェアリーのフュイユが創り上げた世界の中に響いていく。
「やるなぁ、姉さん……」
 いろいろ考えてくれていたシリンに、エールが感心してうんうん頷き。フリルがホッとしながら、ぱちぱちと両手を叩いていたけれども。
「それでは、もう一度です」
 響いた無慈悲な声と共に、再び景色が殺伐とした戦場に戻った。
「出すなよフュイユ! そこに逃がし続けてくれよ!」
「ふええ。私も、お菓子だけ出させてくれればいいと思うんです」
 抗議の声を上げるエールとフリルに、しかしフュイユはちらりとシリンを見て。
 ニッコリと笑っているその笑顔を確認すると。
 シリンと似た笑みを浮かべて、ぐっと両手を握りしめて見せた。
「応援してますよ、エールさん達」
「鬼か!」
「ふええ!?」
 そしてまた、必死の追いかけっこと狙撃が始まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷雫森・レイン
【星雨】
「ごめんなさいね、騎士様。また呼びつけてしまって」
大きな戦争を乗り越え、彼の故郷で戦火が上がれば今度は私が力になる
そう約束したのに
「夏梅にもお世話になってる」
だから退けなかった
名も顔も知らぬ、けれど私の同族たちが暮らすこの世界の為にも
「お願い、また力を貸して頂戴」
迫りくる敵を見据え、左手首のブレスレットから光の弓を展開
「魂に残る冬の世界、その断片よ来たれ。…降り注げ!」
敵群上へ一射打ち上げたのを起点に氷魔法の矢雨を降らす
強化済の敵なら絶対に死に損ないと雨を抜ける奴が出る
クレリックは視認さえできればよく当たる雷が撃てる筈
残党の多くは騎士様に、そこをも抜けてくる奴をクレリックに任せたいわね


アレクシス・ミラ
【星雨】
アドリブ◎

気にしないでくれ、レディ
…確かに僕はこの世界の出身ではないが
この世界に住む人々に再び脅威が降り注ぐのを黙って見過ごす訳にはいかない
僕で良ければ喜んで力を貸すよ、レディ
君の故郷を…顔も名も知らぬ、けれど此処で生き、未来を紡ぐ人々の明日を守る為に
共に戦わせてほしい

彼女の攻撃の後、どの敵が残るか、どう動くかを【蒼穹眼】で予測しよう
クレリックの方々には後方からの援護を頼むよ
矢雨が降り終わる瞬間、戦場へ駆ける
予測した敵へ
腕以外の場所を狙って光属性纏う剣で追撃だ
不意打ちも見切り、跳躍で回避
その勢いで盾でカウンターを
彼女と援軍の方へは向かわせないよ
僕達の手で、虐殺の未来を変えさせてもらう!



「じいさま!」
「大丈夫かい? 神官長」
 クレリックの少女グリーズの元へと炎の翼に送られてきたグリフェールに、アレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)も反射的に駆け寄っていた。
「ぐぬぬ……この腰め。こんな大事な時に……」
「もう。だから無茶しないでって言ったのに」
 忌々し気に呻く老爺へと、グリーズが支えるように手を向けて。紡ぐのは、彼女が唯一使えるのだという癒しの魔法。
 炎の翼を見送って、2人にゴブリンが近づいてこないように抜き放った剣を向け牽制しながら、アレクシスはその様子を見守る。
 とりあえず、グリフェールはぎっくり腰だけで他に外傷もなく。また、ゴブリンの群れも、猟兵や冒険者達の活躍でこちらに来るどころか逆に押し返す勢い。
 差し迫ったものはないことを確認したアレクシスはふっと微笑んだ。
 そこにふわりと飛んできたのは、雨を思わせる青いフェアリーの氷雫森・レイン(雨垂れ雫の氷王冠・f10073)。
 心配するような、いや、どこか申し訳なさそうな、憂いを帯びたその紫の瞳が見つめているのは、負傷者ではなくアレクシスで。
「ごめんなさいね、騎士様。また呼びつけてしまって」
 零れ落ちるような小さな声に、アレクシスは振り向いた。
 レインが気にしているのはかつて交わした約束。
 レインの故郷でもあるこの世界……アックス&ウィザーズで起きた大きな戦争『帝竜戦役』。それを乗り越える助力をしてくれたアレクシスに、今度は私が力になると、彼の故郷・ダークセイヴァーで戦火が上がれば駆けつけると、誓ったのに。
 再びの、アックス&ウィザーズでの戦い。
 彼の故郷の為にまだ何も、あの時のお返しすらできていないのに。
 また、付き合ってもらってしまった。
 でも。
「夏梅にもお世話になってる」
 レインは、案内してくれたグリモア猟兵を思い出し。
 そして、戦場を飛び回るフェアリー・フュイユの姿へも視線を向ける。
 名も顔も知らぬ、けれどレインの同族達が暮らす世界。
 ……退けなかった。
 我儘を言っていると自覚していても。
 アレクシスにばかり頼んでしまっていると分かっていても。
 レインは動かずにいられなかった。
「気にしないでくれ、レディ」
 その葛藤を感じ取ってか、アレクシスは青い瞳を優しく細めてレインを見る。
「確かに僕はこの世界の出身ではないが、この世界に住む人々に再び脅威が降り注ぐのを黙って見過ごす訳にはいかない」
 きらきらと輝く陽光のような金髪。迷いなく晴れた朝空のような瞳。
 そんな美しい容姿だけでなく。
 青いマントが映える白い騎士が、小さな少女の小さな手をそっと優しく取り、恭しく礼をする……その洗練された動きにすら見惚れるように。
 レインはアレクシスをじっと見つめ。
「君の故郷を……顔も名も知らぬ、けれど此処で生き、未来を紡ぐ人々の明日を守る為に
共に戦わせてほしい」
 告げられた言葉に、レインは、ありがとうとどこか泣き出しそうな顔で微笑んだ。
 でもすぐに、凛と顔を上げ。力強くアレクシスを見て。
「お願い。また力を貸して頂戴」
「僕で良ければ喜んで力を貸すよ、レディ」
 頼もしい笑顔が交わされる。
 そして、ゴブリンの群れに相対したレインは、迫り来る軍団を見据えると、ロザリオの付いたブレスレットが揺れる左手をそっと掲げる。
 途端、その繊手に光が生まれ、弓を象って展開すると。
「魂に残る冬の世界、その断片よ来たれ」
 光の矢を番え、きりりと弦を引き絞る。
「……降り注げ!」
 打ち上げられた一射は、ゴブリンの群れの上へ舞い上がり。
 それを起点として、氷魔法の矢雨が降り注いだ。
 雨のような無数の攻撃。だが、雷を伴ってはいるものの、それは小さな雹だから。岩の腕で強化されたゴブリンに致命的な傷は与えられず、また氷雨を抜けてこちらへ向かって来る相手もいる。
 けれどもそこに、アレクシスが駆けた。
 レインの攻撃をただ何もせず見ていたわけではなく。それによる相手の被害状況や反撃体勢を予測するべく蒼穹眼を向けていたアレクシスは。読み切ったゴブリンの動きに対応するべく、白銀の騎士剣・双星暁光『赤星』を携えて、群れへ飛び込む。
 矢雨に追撃するように、光属性を纏う白銀の刃を振るい。
 振り回される粗雑な武器の動きも見切って切り返し。
 不意打ちで放たれた足払いも、あっさり跳躍して回避。さらに、跳んだ勢いすら乗せて盾でカウンターを叩き込む。
 力強く、でもどこか踊るように美しく、次々とゴブリンを斬り伏せていくアレクシスをレインは見つめ。その援護のためにまた光の弓に矢を番えて。
 ふと、傍らのクレリック達を見やる。
「ぬぅ……こんな時に何もできんとは……」
「しかたないよ、じいさま。この腰じゃ動けないし」
 口惜し気に呻くグリフェール。
 その姿に、レインは、故郷を救いたくても1人では力が足りない、こうしてアレクシスに頼ってしまう……力不足の自分へのふがいなさを、少しだけ重ねて。
「クレリックの武器はその拳だけじゃないはず」
 それだけを告げると、再び氷雨を放った。
 降り注ぐ数多の光。
 そこを駆ける、騎士の剣。
 それを見ていたグリフェールの瞳にも、もう一度、力が籠って。
 支えるグリーズも、しっかりと頷いて。
「ゆくぞ! ジャッジメント・クルセイド!」
 放たれた天からの光が、ゴブリンを次々と撃ち抜いた。
 その様子にレインは小さく小さく口の端を緩め。
 笑みを深くしたアレクシスは、振るう赤星にさらに力を込める。
 降り注ぐ氷雨と光。その最中を美しく駆け抜ける騎士。
「僕達の手で、虐殺の未来を変えさせてもらう!」
 誰かの故郷を、此処で生きる人々の未来を、守るために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『氷風の兎魔導士』フロワール』

POW   :    グラセ・トゥールビヨン
命中した【つむじ風 】の【拘束】が【氷の枷】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    ラファール・グラソン
【戦場に散りばめた氷柱の先端 】を向けた対象に、【無数の氷の刃が含まれた突風】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    タンペット・ドゥ・ネージュ
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【氷・風 】属性の【氷漬けにし後方へ吹き飛ばす魔術砲】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「おーい。じいさん、大丈夫か?」
「うるさいわいエール。ワシの大活躍を見とらんかったったのか?」
「活躍ってなんだよぎっくり腰」
「お主は逃げ回っておっただけじゃろうが」
「なにおう!?」
「なんじゃとう!?」
「もう、エールさんもじいさまも……」
 ゴブリンの群れを一掃した冒険者と猟兵達に、和やかな雰囲気が訪れる。
 猟兵達の気配りもあり、負傷をした者もグリフェール以外にはおらず。
 互いをねぎらい、声を掛け合い、安堵の笑みが広がっていった。
 だがそこに。
「あれあれ? ゴブリン、いなくなっちゃったの?」
 気楽に現れたのは『氷風の兎魔導士』フロワール。
 その姿は、胸元のリボンと大きなフリルが特徴的なフード付きの白いマントを羽織り、大きな白いウサギ耳とふさふさの白いウサギ尻尾を揺らした獣人で。
 魔導具だろうか、緑色の丸い宝玉を抱いた銀色の杖を手にして。黒いフリルで飾りながらもタイトで身軽な赤い服の上から、これまたフリルのついた長いローブを思わせる白い服を重ね着て。緩やかな銀色の長い髪を2つに分けて束ねていた。
 それを見たグリーズが、びくっと身体を震わせる。
 群竜大陸で彼女を助けた者達も気付いただろう。フロワールは、グリーズの命を……言葉の神シャルムーンのクレリックが死の間際に放つという『破邪の言葉』を狙って現れた『炎雷の兎魔導士』ブリエレールと同じ、兎獣人の魔導士だということに。
 印象は違えど似た特徴を持つ相手にグリーズは怯え。
「魔導士か……ゴブリンとは格が違うな」
「オレ達では足手まといだな」
 ニュアージュとヴァンが、その実力を感じ取り後ずさる。
 エールもさすがに軽口を叩けず。フュイユも黙ったまま。
「仕方ないなぁ。それじゃ、ボクが頑張らないと」
 そんな中でもフロワールは、やはり気楽な様子で杖を掲げ。
 その姿が、あっという間に鎧に覆われた。
 絶対に壊せない『絶対物質ブラキオン』の鎧。
 魔導士用にか装甲は厚くないようだけれども、ふりふりのマントの下で、胴体も腕も脚も覆われて。被った兜から顔は見えるし、白い耳や長い髪も出ているけれども、首元や頭部はしっかりガードされている。
 ここまで防御を固められると、ほとんどの攻撃は通らないだろう。
 鎧への攻撃の定番といえば、動くために僅かに作られてしまう隙間を狙うことだが。
 魔導書を開き、杖に氷と風の魔力を集めているグロワールが、そんな精密な攻撃を容易く何度も許してくれるとは思い難い。
 それでもやるしかないか、と猟兵達が覚悟を決めかけたそこに。
「そういえば、これ」
 灰色のツインテールを揺らして、少女が『輝く鍵』を差し出した。
「何かに使えるってェコトだったな」
 黒髪の青年も『輝石の欠片』を取り出すと、夕赤と青浅葱の瞳の前に掲げるようにしてまじまじと見つめる。
 グリモア猟兵からは漠然としか聞いていなかった、役立つアイテム。
 さあ、これをどうしたらいいのかと猟兵達が考えていると。
「持っておればよい」
 声をかけたのはグリフェール。
「それらは持つ者に加護を与えてくれるじゃろう。
 そう何度もは無理のようじゃが……1人1回くらいは行けるだろうて」
 冒険者達や孫娘すら驚く前で、グリフェールはそれぐらい分かって当然、というように説明する。これは神官長だからなのか、伊達に長生きしていないということなのか。
 ともかく。鍵か輝石、どちらかを持って攻撃すれば鎧を破壊する力を与えてくれる、ということのようなので。
 鎧の隙間を狙う以外の手段を示された猟兵達に希望の光が灯る。
「俺達は邪魔にならないように下がっていよう」
「気にせず思うままに戦ってくれ」
「そうそう。じーさんが飛び出さないようにちゃんと抑えとくからよ」
「エールさんが余計なことをしないように見張っておきます」
「ほら、じいさま動ける?」
 そして、冒険者達は戦場を離れていき。
「鍵と石の2つしかないようじゃな。取り合って喧嘩するでないぞ?」
 最後にグリフェールが、子供に注意するような口調で、順番にの、と笑いながらひらりと手を振った。
 
オーガスト・メルト
そうか、切り札はふたつだけか…なら俺たちは遠慮しよう
グローム、いくぞ
『チチッ』
(蜘蛛ロボが背後に移動しUC【侵蛟の腕】発動、八色の属性ごとに分かれた八本の鋼糸触手へと姿を変える)
こいつなら鎧の隙間を充分に狙える

【POW】連携・アドリブ歓迎
デイズ、ナイツ、【竜鱗飛甲】に【オーラ防御】を乗せて敵のつむじ風を逸らせ
『うきゅー!』『うにゃー!』
敵の動きを【見切り】、触手で手足を【捕縛】するようにして動きを止める
そしたら鎧の隙間へ大量の【属性攻撃】を籠めて鋼糸を刺し込み、爆発させよう

お前なぁ、魔導士が鎧なんて着たら動きの悪い砲台でしかないだろ
猟兵相手にそれは悪手すぎる。骸の海で反省するといい


備傘・剱
違う、そうじゃない!
兎って言ったら、もっと、こう、美味しく調理できる感じのを思い浮かべるじゃないか…
…こうなったら、大天使に抗議してやる

接近戦を仕掛けるぞ
ダッシュで間合いを詰めつつ、衝撃波と誘導弾で、敵の動きをけん制
接近戦に持ち込んだら、二回攻撃でフェイントと、目つぶしを仕掛け、かかったら、思いっきり顎を蹴り上げて、空中に浮いた瞬間、結界術で動きを封じ、念動力で空中に固定して、破片の効果付きの麒麟閃を叩き込んでやるわ

くそぅ、今度こそ、美味しく料理してやろうと思ってたのに…
このやるせない思いは、大天使にぶつけてやるわぃ
という訳で、さっさと倒れやがれ、似非ジビエ!

アドリブ・絡み、好きにしてくれ



「そうか、切り札はふたつだけか」
 少女の持つ鍵と、青年が掲げる石。それをちらりと見つつ、グリフェールの言葉を聞いていたオーガスト・メルト(f03147)は1つ頷いて。
「なら俺たちは遠慮しよう」
「うきゅー!」
「うにゃー!」
 アイテムに背を向けたオーガストの周囲で、デイズとナイツ、翼の生えたずんぐりむっくりな2匹のヘンテコ竜が、賛同するように鳴いた。
 それじゃ早速行こうかと、周囲を飛ぶ供を引き連れ進み出ようとすると。
「違う、そうじゃない!」
 心底悔しそうで残念そうな備傘・剱(f01759)の声が響く。
「兎魔導士だと言ったな!? 兎って言ったら、もっと、こう……美味しく調理できる感じのを思い浮かべるじゃないか……」
 わなわなと震える腕が指し示すのは、倒したゴブリンの群れの代わりにというように現れた新たな敵『氷風の兎魔導士』フロワール。
 確かに、兎獣人とはいえ人型ベースで、ウサギ耳とウサギ尻尾を付けた少女、といった外見の相手だったから。これを食べると言ったらどう見てもカニバリズムです。
「くそぅ、今度こそ、美味しく料理してやろうと思ってたのに……」
 そのまま膝から崩れ落ちそうなほどにがっくり来ているらしい剱を、オーガストは何とも言えない表情で見た。
 ゴブリンも食べれるかどうかという視点で見ていたのか、とか、そもそもオブリビオンを食材にしようという発想からしてどうなのか、とか、思うところは様々あれど。個人の趣味趣向は、周囲に被害をもたらさなければ、自由であるべきものかと、黙ったままのオーガストの半ば呆れたような視線だけが剱に向かうが。
「……こうなったら、大天使に抗議してやる。
 このやるせない思いは、大天使にぶつけてやるわぃ!」
 そんなオーガストに気付きもせず、自身の中で何やら結論を出した剱は。
「という訳で、さっさと倒れやがれ! 似非ジビエ!」
 そのままダッシュで、きょとんとこちらを見ていたフロワールとの間合いを詰めた。
 仕掛けるのは接近戦。
 近づくまでの間を衝撃波と誘導弾で牽制し、一気に肉薄した剱は、フェイントを織り交ぜた攻撃で、まずは兎魔導士の目をつぶそうと狙う。
 だがフロワールは咄嗟に反応し、間一髪で攻撃を避けた。が、反射的に閉じてしまった瞳に、一瞬だけ、視界を奪われる。
 その隙を剱は逃さず、思いっきり蹴り上げた脚でフロワールの顎を捕え。空中に浮いた瞬間に、結界術と念動力とで捕縛。宙への固定を狙う。
「来たれ、麒麟! 我が身に宿りて、疾走せよ!」
 そしてそこに、空気摩擦で帯電した後ろ回し蹴りを高速で叩き込んだ。
 ふと気付けば、剱の片手が拳よりも僅かに大きく握られていて。その中には、先ほどちらりとオーガストが目にした『輝石の欠片』が、いつの間にか収まっていた。
 変な方向に絶望しながらも、戦いへの対応はちゃんとしていたらしい。
 ゆえに麒麟閃は、高速回し蹴りの一撃は、しっかりと鎧にダメージを与えていて。
 まだまだ鎧に守られているフロワールには、さほど届いてはいないようだけれども、その効果の程に、へぇ、とオーガストは興味深げな視線を向ける。
 でもやっぱり、アイテムよりも何よりも、剱のオブリビオン飯への執着がどうしても目を惹いてしまうから。
「……詫びに、大天使の翼を手羽先にさせろ、とか言い出しそうだな」
 苦笑しながら呟いて、オーガストは進み出た。
「グローム。アーム展開」
「チチッ」
 応えるように鳴いたのは、肩に乗った蜘蛛型のロボット。
 雪だるまのような白い身体から生えた八色の短い脚を蠢かせ、グロームはオーガストの背中に張り付くように移動して。そこから蜘蛛らしく糸を生み出す。
 それは脚と同じ八色の鋼糸。それぞれの色毎に束ねられ、寄り合った糸は太くなり、触手へと姿を変えて。炎・水・雷・土・毒・氷・光・闇。色毎に異なる属性を生み出した。
「義姉貴の神器の見様見真似だが……こいつなら鎧の隙間を充分に狙えるだろう?」
 擬態・侵蛟の腕を背中から生やしたような状態となったオーガストは、剱の回し蹴りを受けて地上に降り立っていたフロワールへと駆け寄って。
 その動きに反応したか、振るわれた魔法杖からつむじ風が放たれてくる。
「デイズ、ナイツ。逸らせ」
「うきゅー!」
「うにゃー!」
 だが、静かに告げたオーガストの命に、白饅頭のデイズが白い盾を、黒大福のナイツが黒い盾を伴い、竜気の壁を展開。
 拘束を弾いたことで切り開かれた道を駆け抜けたオーガストは、背の触手を伸ばしてフロワールを捕縛した。
「お前なぁ……」
 逃げようとはしていたけれども、軽装なオーガストに比べて鈍重となっていたその動きに、はあ、とあからさまなため息をついてみせて。
「魔導士が鎧なんて着たら動きの悪い砲台でしかないだろ。
 猟兵相手にそれは悪手すぎる」
 指摘しながら、さらに触手を操る。
 絶対物質ブラキオンの効果か、兎魔導士自身の魔力か、捕縛が解かれようとしていたけれども。オーガストはそれより早く、解いて触手から戻った鋼糸を、鎧の隙間に潜り込ませ。そこに八色それぞれの属性を籠める。
 爆発は、鎧の内部で起こった。
「骸の海で反省するといい」
 小さくも幾つもの場所で直接ダメージを与えたオーガストは、にっと笑いながら、触手を引き離してフロワールの傍から飛び退いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フレスベルク・メリアグレース
『輝石の欠片』と『輝く鍵』……それらを用いて攻撃すれば鎧を破壊できると。
了解しました。ならば策はあります。
敵手のUCを【帰天の円環】にて熱の籠もった加護を用いた放熱によって氷を融解させて対処し、こちらもUCを使用。
狙うはダメージではなく『鎧の損壊による攻撃が届く部位の拡大』。
アイテムを用いて鎧を破損させ、剥き出しになった場所ーー『鎧の隙間』を作り出すことでアイテムを用いない攻撃を当てやすくするのが先程の攻撃の目的です。

そうして広がった『鎧の隙間』に対界兵装の大鎌の異界の位相を差し込む攻撃を叩きつけて攻撃していきます。



「『輝石の欠片』と『輝く鍵』……それらを用いて攻撃すれば鎧を破壊できると」
 街の神官長グリフェールの説明を繰り返して確認したフレスベルク・メリアグレース(f32263)は、大きく1つ頷くと。
「了解しました。ならば策はあります」
 真白い聖別天衣と、琥珀色の長髪をふわりと翻すように振り向いて『氷風の兎魔導士』フロワールと相対した。
 ひらひらフリルが揺れる、魔導士にしては華やかなマントやローブの下に見えるのは、絶対に壊せないという『絶対物質ブラキオン』の鎧。
「先に使わせて頂きますね」
 文字通りの鎧攻略の『鍵』を灰色の髪の少女から受け取ったフレスベルクは、その輝きをしっかりと握りしめたまま、ユーベルコードを紡ぎ上げる。
「深化せし咎神の蒼き魔弾よ。
 汝が穿つは不名誉である。汝が穿つは混沌である。
 穿つ者の権能を用いて、この空に蒼を取り戻し給え」
 神に祈るような詠唱と共に、上空へと魔力が収束していき。
 深き蒼穹に無数の魔弾が生み出される。
 それはまるで星空のように、陽の光に負けないほど輝いて。
「参ります」
 接近戦を行っていた褐色の男と赤髪の男が、飛び退き間を空けたところへと、一斉に、咎神の魔弾が降り注いだ。
 空から放たれた魔法の雨に、咄嗟にフロワールは回避の動きを取るけれども。
 無数の魔弾の全てを避けられるはずもなく。
 鎧を掠め、また、幾つかは直撃した。
 それらは、鍵に与えられた力によって、絶対物質ブラキオンにダメージを与え。
 少しずつその装甲を削り、破損させていく。
 しかし、まだフロワール自身に攻撃は届かない。
 それでも、フレスベルクが狙ったのは、鎧の損壊、それによる攻撃が届く部位の拡大だったから。アイテムがなくても攻撃が当たるようにするのが目的だから。
 鎧からむき出しになる場所……すなわち、鎧の隙間が、少しだけれども増えたことに、魔弾の効果を認めて。
 次の猟兵へと『輝く鍵』を手渡してから。
 フレスベルクは、対界兵装の大鎌を手に戦況を見据える。
 自らの作り出した鎧の隙間を狙うように。
 また、その隙間を他の猟兵達が広げ、さらなる機会をがもたらされるのを待つように。
 フレスベルクの緑色の瞳は、じっとフロワールの様子を伺い。
 静かに大鎌を構えると、その時を待った。

成功 🔵​🔵​🔴​

木霊・ウタ
心情
命と
命が紡ぐ未来を守るぜ
兎を海へ還してやろう

爺さんたち>
俺達に任せてくれ
後ろは任せたからな(ぐっ

戦闘
んじゃ鍵を借りるぜ

UC発動
炎の矢と化し突撃

詠唱する暇なんて与えないぜ

更に空気を裂く化鳥の嘶き如き音で
詠唱そのものに干渉

まっしぐらに突っ込むけど
魔術砲が放たれたら
爆炎の反動で瞬時に軌道を変えて
射線から退避

勢いは殺さず
そのまま一気に間合いを詰める

もし避けられない時には
炎と炎が生む風とで
魔術砲の氷と風を溶かしいなしながら
力ずくで押し通る

剣の間合いに入ったら
炎を刀身に収束
大焔摩天で薙ぎ払う
紅蓮の光刃で絶対物質ごと兎を砕き焼却

紅蓮で送ってやる

事後
鎮魂曲を奏でる
安らかに

…さて、いよいよお出ましだな



「爺さんたち、後は俺達に任せてくれな」
 戦場を離れ、安全な場所へと下がっていく冒険者達にぐっと拳を握りしめて見せつつ、その姿を見送った木霊・ウタ(f03893)は。
 咎神の魔弾を放ち終えた白い姿に、にっと笑いかけ。
「んじゃ、次は俺が鍵を借りるぜ」
 その繊手から『輝く鍵』を受け取ると、その身体に地獄の炎を纏った。
「焔摩天、転生!」
 刃に焔摩天の梵字を刻んだ巨大剣も獄炎に炙られて、紅蓮の光刃の大剣と化し。炎の矢となったウタは、その爆炎の勢いも背に、『氷風の兎魔導士』フロワールへ突撃する。
「嵐のお通りだ。ちょいと荒っぽいぜ?」
 空を裂き、不死鳥の嘶きの如き音を轟かせてまっしぐらに突っ込むウタ。
「もう。何なんだよ次々と」
 迫り来るその姿に、魔弾の雨を何とか凌いだフロワールが、氷と風の魔術砲で吹き飛ばそうと撃ち放つけれども。
 ウタは爆炎を制御して、その反動を使って瞬時に軌道を変え、射線から退避。
 ギリギリの回避となったために幾らか掠めた氷と風は、纏った炎と、その炎が生む風とで溶かしいなし、何とか相殺する。
 それができたのは、フロワールが呪文の詠唱にさほど時間を割けなかったからで。
 詠唱時間に応じて無限に威力を上昇させられる魔術砲は、本来の威力であれば、掠めたウタを大きく吹き飛ばし、また氷漬けにしていただろう。
 矢継ぎ早な皆の攻撃が。そして詠唱そのものに干渉する、ウタの炎が生み出した空気を裂くような音が。フロワールの詠唱を阻害していたから。
 ウタは、半ば力づくで押し徹ことができ。
 保った勢いそのままに、砲撃を逆に辿るように、フロワールに迫る。
(「命と、命が紡ぐ未来を守るぜ」)
 剣の間合いに入ったウタは、決意と共に、炎を刀身に収束させ。
 爆炎の勢いも乗せた大焔摩天を振り抜いた。
「紅蓮で海へ送ってやる」
 地獄の炎で紅蓮に染まった光刃は、大切に握りしめた『鍵』の力を得て。
 本来の威力そのままに。
 絶対物質と呼ばれたブラキオンの鎧に食い込む。
 さらに、つけた傷から燃え上がる炎に、フロワールは慌てて鎧を叩き。
 反撃どころではない隙のある姿を見ながら、ウタはにやりと笑って飛び退いた。
 アイテムは2つだけだから『鍵』はまた次に託さなければと思いながら。
 この隙を狙う誰かが必ずいるはずだと仲間達を信頼して。
 自らで追撃することはなく。
「……安らかにな」
 フロワールの最期へ向けた言葉だけを残して、ウタは退いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベリル・モルガナイト
厄介ですね
ですが。悪しきために。振るわれる。力だと。言うのなら。決して。砕けぬ。わけは。ありません

皆様から。受け取った。この力。無駄には。致しません
詠唱の。隙に。周囲の。大地や。木々から。ありったけの。数の。宝石の。盾を。精製
私の。姿を。覆い。隠す。壁の。ように。展開。致します
如何な。破壊力が。あろうと。狙いを。付けられ。なければ
盾の。壁に。身を。隠し。魔術砲を。避けた。所で。健在な。盾を。操作
敵の。動きを。封じるように。重ね合わせ。叩きつけます
砕けぬ。だけ。ならば。拘束は。有効な。筈

動きを。封じた。隙に。輝石を。握りしめ。一気に。敵の。下へ。飛び込みます
そして。加護を。宿した。渾身の。一閃を



 気楽な様子で現れた『氷風の兎魔導士』フロワールの姿が、『絶対物質ブラキオン』の鎧に覆われていくのを見たベリル・モルガナイト(f09325)は。
「厄介ですね」
 その硬質な輝きに、そっと眉根を寄せた。
「ですが。悪しきために。振るわれる。力だと。言うのなら。
 決して。砕けぬ。わけは。ありません」
 でもすぐに、ゆるりと首を左右に振って、その万能性を否定する。
 その動きに、モルガナイトの髪が煌めき。諦めずに見据えた瞳も瞬いて。
 美しい繊手をそっと差し出せば、今し方攻撃を終えた褐色の探索者が、お次にどうぞと言うように『輝石の欠片』を渡してくれた。
 鎧を壊す力を与えてくれるというアイテムの1つを受け取ったベリルは。
 片手で握りしめられる程度の、どこにでも転がっていそうな石を。
 クリスタリアンである自身のような宝石ではなく。
 でも、少しだけキラキラして見える、不思議な輝きを見つめて。
(「皆様から。受け取った。この力。無駄には。致しません」)
 決意と共に、ベリルの周囲に宝石の盾が現れた。
「ここに。立つは。幾度。砕けようとも。立ち上がる。煌めきの。守護」
 それはベリルのユーベルコード『其れは誉れ堅き薄紅の城塞』。
 周囲の無機物……大地や木々から生み出された幾つもの盾は、ベリルの守る意思に応じるようにその姿を覆い隠し、壁のように展開される。
 どんなに破壊力がある攻撃であろうと、狙いをつけられなければ当てられることはないと、盾の壁に身を隠したままベリルはそっとフロワールとの距離を縮め。
 魔弾の雨が兎魔導士へ降り注ぐのを。
 反撃するように放たれた氷と風の砲撃が、誰もいない場所の盾を砕くのを。
 炎の矢が砲撃の一部を掠めながらもフロワールへ向かうのを。
 しっかりと見極めて。
 フロワールから炎が離れたタイミングで、無事な盾を操り、重ね合わせると、兎魔導士へと叩きつけるように向かわせた。
 普通の攻撃では絶対に壊せないと言われている物質ゆえ、宝石の盾ではフロワールにダメージは与えられないけれども。ひしめいて取り囲めばその動きは封じられるから。
(「砕けぬ。だけ。ならば。拘束は。有効な。筈」)
 狙い通りにその行動を狭められたフロワールへと、ベリルは一気に飛び込む。
 もう姿を隠す盾はなく、もう隠れる必要もない。
 その手に、受け取った輝石を握りしめ。
 宿った加護の力が自身に満ちるのを感じながら。
 輝くような渾身の一閃を、煌めかせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フリル・インレアン
ふええ、次は私の番ですね。
輝石をお借りしますね。
私には直接攻撃するユーベルコードがあまりないですから、この手で行きましょう。
ぬいぐるみの魔法です。
この子の攻撃でその鎧を破壊させていただきます。
まずは近づかないといけませんね。
思いきりダッシュして近づきましょう。
当然、あのユーベルコードでこの子を拘束しようとしますでしょうが、この子の呪いでその拘束は私に肩代わりされます。
動きがトレースされているので、それ以上走れませんがこの子は拘束されていないので、そのままの勢いであなたにぶつかります。

あと、アヒルさんも2倍の大きさになっているのでご注意ください。



 ピンクベリルのように煌めく美しい一閃に、思わず見惚れてしまっていたフリル・インレアン(f19557)だけれども。
 展開した盾で牽制しつつ下がってきたクリスタリアンが、フリルに気付いて。
「あなたの番。ですか」
「ふええ!?」
 話しかけてきたのに、思わず大きな帽子で顔を隠すように縮こまった。
 極度の人見知りゆえの反応に、相手は少し驚いていたようだったけれども。
 それでも、握っていた『輝石の欠片』をそっと差し出してくれたから。
 があ、と促すアヒルちゃん型のガジェットの声に背を押され、フリルはおずおずとアイテムに手を伸ばす。
「……お借りします」
 びくびくしたその動きは、半ば輝石を奪うようになってしまったが。
 フリルに向けられた笑みは優しいままだったから。
 少しほっとしながら、逆に申し訳なさを感じて、フリルはさっと目を反らした。
 逃げるように向き直ったのは『氷風の兎魔導士』フロワール。
 その姿を『絶対物質ブラキオン』の鎧に覆われ、守りを固めた相手。
「私には直接攻撃するユーベルコードがあまりないですけど……」
 ぎゅっとガジェットと輝石を握りしめながら、フリルは、自分の倍の身長を持つ、大きくて可愛いぬいぐるみを召喚する。
「この子の攻撃でその鎧を破壊させていただきます」
 頑張ってフロワールを睨むようにして見つめ。
 走り出したフリルの動作をトレースして、ぬいぐるみもダッシュする。
 迫る巨体に、咄嗟に魔法の杖を振るうフロワール。
 巻き起こったつむじ風が、ぬいぐるみを、その周囲を広く吹き荒れて。
 拘束しようとする力が、氷の枷となってぬいぐるみを捕えるけれども。
 ぬいぐるみには、肩代わりの呪いがあった。
 ゆえに、ぬいぐるみへ向かった氷の枷は、フリルに肩代わりされ。
 走っていたフリルが拘束され、その動きを止められる。
 もう走れなくなったフリル。
 そして、その動きをトレースしていたぬいぐるみも、走る動作を止められるが。
 それまでの勢い、というものが、ある。
 拘束されたフリルは、その勢いを押し止められてしまったけれども。
 ぬいぐるみの動きを止めるような力は、全てフリルに肩代わりされているから。
 車は急に止まれない。
 そんな標語を体現するかのように、ぬいぐるみは、そのままの勢いでフロワールへと激突していった。
「あっ。あと……」
 ころん、と。拘束された手から、零れ落ちたように飛び出したガジェットに、気付いたようにフリルは声を上げ。
「アヒルさんも2倍の大きさになっているので、ご注意ください」
 ぬいぐるみの手の中から、追撃のように、大きくて可愛いアヒルのぬいぐるみがフロワールへと飛び出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セシル・バーナード
ああ、こないだの猟書家がもう骸の海から戻ってきたの? 別人? まあ、その辺はどうでもいいか。

「全力魔法」「範囲攻撃」砂の「属性攻撃」「なぎ払い」の砂塵蹂躙。装甲五倍、移動力半減。
不壊の鎧にこびりつく砂鉄と圧倒的な砂鉄の暴嵐が、きみのつむじ風なんか吹き飛ばすよ。
味方は出来るだけエアポケットで守るけど、巻き込んだらごめんね。
目には目を、防御には防御を。最大の防御こそ最大の攻撃だって、借り物の鎧で満足してるきみに変わって証明してあげるから、安心して骸の海へ還ってね。

終始、ズボンのポケットに両手を入れて、靴の爪先でトントンと暴嵐に合わせてリズムを取り。
そろそろ前座には退場して欲しいね。目標は大天使だ。



「ああ、こないだの猟書家がもう骸の海から戻ってきたの?」
 揺れるウサギ耳に、広がるマントに、掲げられた杖に。
 群竜大陸で戦った相手を思い出したセシル・バーナード(f01207)は、相手がオブリビオンゆえに、そんなことを尋ねたけれども。
 ウサギ耳は黒ではなく白く。マントも赤ではなく白。しかもふりふりレースつき。
 掲げられた杖も、金色ではなく銀色で。抱く宝玉すら、赤ではなく緑だったから。
「別人?
 まあ、その辺はどうでもいいか」
 自分で言い出しておきながらも、さほど気のない様子でフリルは肩を竦め。
「ぼくらに害を成そうっていうのは、同じみたいだからね」
 にっこりと妖艶に、そして挑発するように笑って見せた。
 そこに吹き荒れるつむじ風。
 それは『氷風の兎魔導士』フロワールが、迫り来る巨大ぬいぐるみに向けて生み出したものだけれど。広範囲に撒き散らされたそれは、セシルへも向かってきたから。
 セシルは両手をズボンのポケットに入れたまま、緑色の瞳を細め。
「世界を閉ざす」
 ただそれだけを呟いた。
 途端、セシルの周囲の空間が、微細な粒子を含んで吹き荒れる砂鉄の暴嵐へ変わる。
 壁のように立ちはだかると、つむじ風を吹き飛ばし、むしろ飲み込んでいき。
 さらにそのまま、フロワールへと迫る。
「目には目を、防御には防御を」
 広範囲のユーベルコードに味方を巻き込まないように気を付けながら、セシルは砂嵐で辺りを蹂躙していって。
「最大の防御こそ最大の攻撃だって、証明してあげる」
 にっこりと笑いかけた。
 その様子は、戦いの緊迫感からは程遠く。
 靴の爪先でトントンと刻むリズムは暴嵐に合わせたもの。
 そんなセシルの余裕を支えるのは。
「借り物の鎧で満足してるきみに、この砂嵐はキツイんじゃないかな?」
 自らの能力への自信。
 そして、自らが能力を持っている、そのことへの自負。
 そんな自分に、即席の防御など通じはしないと微笑んでいると。
 荒れ狂う砂鉄が不壊の鎧にこびりつき、その隙間から入り込んでいく。
 壊せなくとも、動きは鈍らせられる。
 その効果に満足気に笑ったセシルは、そろそろか、と暴嵐を治めて。
「そろそろ前座は退場の時間だ。
 ぼくらの目標は大天使だから……安心して骸の海へ還ってね」
 続く皆の攻撃も見ながら、また妖艶に微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

渡塚・源誠
さて、大天使さんに会う為にはここも超えていかなきゃね


アイテムのどちらかを借りて、落としたり敵さんに取られたりしないよう基本はポケットかどこかに忍ばせて、必要なら敵さんにかざしたり握りしめたりして効果の増幅を試みようかな


敵さんの攻撃は風と氷の複合属性…
なら、魔法手の手を「大型かつ赤熱した鋼鉄」にして対処しようか
(装甲5倍、攻撃回数半分)

頑丈で重いから早々風で吹き飛ばないし、赤熱してるから氷の枷もすぐ溶けちゃって問題ないだろうからね

というわけでこの魔法手を、つむじ風を【武器受け】して防ぎながら伸ばして、アイテム効果と【重量攻撃】を乗せた手部分の一撃で敵さんを【吹き飛ばし】ていくよ



アドリブ連携歓迎



「さて、大天使さんに会う為にはここも超えていかなきゃね」
 慣れ親しんだ古臭い帽子の下で、後頭部に手を回した渡塚・源誠(f04955)は、ぼさぼさな黒髪をさらにくしゃくしゃにするかのようにしながら、ゆるく呟いた。
 立ち塞がる『氷風の兎魔導士』フロワール。
 その身を守る『絶対物質ブラキオン』の鎧。
 絶対に壊せないと言われた鎧が、回し蹴りに、魔弾の雨に、歪んで欠けてヒビ入って、その『絶対』を少しずつ着実に崩されていると源誠には見えたから。
 ふむ、と半ば気怠く頷くと。
「アイテムの力を借りるべきのようだねぇ」
 褐色の男から宝石の娘へ、白い聖衣から炎の矢へと猟兵達の間を渡っていく『輝石の欠片』と『輝く鍵』の行方を黒い瞳で追う。
「もう。何なんだよ次々と」
 そうして続けて迫る攻撃に、絶対のはずだった防御の揺らぎに、少し苛立った様子のフロワールは、氷と風の魔術砲を放ち。
 さらには半ば反射的に杖を振るい、広範囲につむじ風を巻き起こした。
 源誠は静かにその様子を眺め、魔術砲は反れたけれども、つむじ風がここまでやってくると見てとると。
「それなら、これか」
 取り出したのは、魔法手『マジックハンド』。
 手元部分をぐっと握ると、リンク機構を連ねたマジックハンド構造がぐいんと伸びて、白手袋をつけたような先端が飛び出す。
「一見ただのおもちゃだよねぇ?」
 いい年した大人が子供のように遊んでいる、そんな光景に自ら苦笑しつつ。
 源誠はユーベルコードを発動させて。
「でも実は……ほら、この通り!」
 おもちゃでしかなかった白い手が突然大きくなると、さらに、赤熱した鋼鉄へと、その素材が変化した。
 その大きさと重さ、そして鋼鉄という頑丈さは、吹き飛ばそうとするつむじ風に難なく耐え。赤熱したその熱量で、つむじ風が生み出そうとする氷の枷を、片っ端から溶かしていって、拘束されるのを防ぐ。
 しっかり効果を生み出し、フロワールの攻撃を防ぎつつも。
 やっぱり見た目は、子供のおもちゃで遊ぶ冴えないオジサン、だったから。
 炎を纏った少年が、少し驚いたような、面白がるような表情でこちらを見ているのに気付いて、源誠は気まずそうに苦笑した。
 でもちゃんと、その能力の有用性も見た少年は、にっと笑って『輝く鍵』を差し出してくれたから。
 源誠は手振りでお礼を伝えながら受け取り、落とさないようにとポケットに忍ばせ。
 何となく、その中でぎゅっと握り締めながら。
 マジックハンドをフロワールへと向けた。
 握りしめた手元に応じてまた伸びる手は、今度は何故かリンク機構がどんどん増えて。
 最初の見た目からは考えられない程に、際限がないのではと思える程に伸びると一気にフロワールへと迫り。
 真っ赤で熱い鋼鉄の手が、まさかおもちゃが届くと思ってもいなかった兎魔導士を、不意打ちに近い形で吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

シリン・カービン
マントを外し、チュニックを脱ぎ、水着の様な精霊護衣のみの姿に。
出来るだけ身軽になっておきます。
真の姿には及びませんが、少しでもUCの効果が上がるはず。
…エール、なにか?(必要とあれば躊躇なく脱ぐ)

目立たない様に戦場の最外縁に移動、地に伏せて狙撃体勢に。
時間をかけて兎魔導士を観察、動きの癖を見切ります。

【シャドウ・ステップ】で照準、射撃を加速。
動きが遅ければ、小さな的でも当てるのは難しくない。
鎧の隙間が大きくなる動きを読んで狙撃。
雷の精霊弾を撃ち込み、電撃で動きを止めます。

続けて他の隙間も次々狙撃。
動きを止めれば他の猟兵も攻撃しやすくなるでしょう。
「私の目からは逃れられない。あなたは私の獲物」



 鎧に覆われていく『氷風の兎魔導士』フロワールを見たシリン・カービン(f04146)が最初に取った行動は、その肩にかかるマントを外すことだった。
 防寒防水に優れ、野外の狩りでも戦闘でも様々に身を護ってくれる、森の緑を映したかのように綺麗な緑色のハンター・マントを、するりと足元に落とす。
 滑らかな曲線を描く肩から先、艶やかな白い腕が露わになり、繊手が皮の手袋に覆われたままであるから余計に、その美しさが目を惹いた。
 突然、戦場に現れた輝くような白。
 さらにシリンはチュニックにも手をかけて、身躱しの魔力が込められた、狩猟用の頑丈な衣装をも脱いでいく。
 その下には、精霊護衣を纏ってはいるけれども。それは水着を思わせる、必要最低限の部位のみを保護するデザインだから。精霊力での強化により、防御力自体には何の問題もないが。腕と同じ白色が、さらに広くその艶やかな輝きを魅せた。
 肩から鎖骨へのラインはもちろん、首すじや胸元が露わになり。胸の下からきゅっと引き締まった腰回、そして腹部も広く白さを見せつける。スカートもかなり丈が短いものだけれど、長いタイツで足の露出は抑えられ。しかし逆に見えている太腿の艶めかしい曲線を引き立てている。
 後ろに回れば、ほとんど隠されている部分のない背中の白が大きく広がり。その下の短いスカートが、豊かな膨らみを隠したいのか強調したいのか分からないくらい悩ましく揺れている。
 防御を固めた相手の一瞬の隙を狙うため、少しでも速度が欲しいと選択した、出来る限りの身軽な服装。なのだけれど。
「……エール、なにか?」
「うぇっ!? いや別に何も見てな……っ!」
 視線を感じて振り向くと、小柄な冒険者が酷く慌てた様子で目を反らし。戦闘に巻き込まれない位置まで下がり始めていた仲間達を、慌てて追いかけていった。
 必要とあれば躊躇うことのない、猟師としては合理的な思考を持つシリンは、その様子に少し首を傾げただけで。特に気にせず、移動を開始する。
 フロワールに気付かれぬよう、目立たず静かに、戦場の最外縁を素早く動き。
 見つけたポイントで地に伏せると、精霊猟銃を構えた狙撃体制を取り。
 そのまま、じっとフロワールの動きを見た。
 空中で回し蹴りを受けた直後に、八色の鋼糸が広がり。小さくも数多の爆発が起こったところへ、魔弾の雨が降り注ぐ。咄嗟に魔術砲で応戦するも、炎の矢が向かい、美しき一閃が追撃。そこへ突撃してきたのは、大きなぬいぐるみ。つむじ風では止められず、砂嵐で防がれ、逆に砂が隙間へ纏わりついて。激突するぬいぐるみに続いて、冗談のようなマジックハンドの一撃が伸びていく。
 そんな攻防の一部始終を、シリンは余すことなく観察し。その動きの癖を見切る。
 そして、身軽なその身に、ユーベルコードでさらに時の精霊の加護を得て。
 フロワールの動きの中で、鎧の隙間が大きくなる一瞬を狙って、引き金を引いた。
 動きが読めていれば。
 そして、自分の動きを速くすることで相対的にでも相手の動きが遅くなっていれば。
 小さな的でも当てるのは難しくない。
 猟師としての自信を胸に、命中を当然のように見届けて。
 シリンは次々と、他の隙間も狙っていく。
 猟銃に込められているのは、雷の精霊弾。
 電撃がフロワールの動きを鈍らせれば、それだけ他の猟兵が動きやすくなるから。
「私の目からは逃れられない」
 静かに、麗しい姿でシリンはまた隙を狙い、銃弾を放つ。
「あなたは私の獲物」

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
兎魔導士さん?
ウサ耳とウサ尾は、正義だもんね。強敵だね!(親の教育)
おいちゃんたちは、応援しててねー♪

よく見ると、がっちり鎧着てるんだね。
鎧の隙間を攻撃かー……うーん。
……嘴?(ぴこーん)

コダちゃん、鍵持ってきたって言ってたっけ。
あ、ウサ耳部隊も出てる。やほー♪
最後、ちょっとだけ鍵貸してね?

まずは上空に舞い上がり。
出でよ、メカたまこー!
ロボ102体を呼び出して、全方位攻撃ー!!

嘴、蹴爪、鳴き声で攪乱して、体勢を崩させて。
鎧の隙間に素早く嘴攻撃ー!
飛ばされそうになったら、合体して陽動してけー!

みんなの一撃が決まっていったら、おいらも!
鍵を握りしめて。
これが、おいちゃんたちのぶんだー!(正拳)



「おいちゃんたち、応援しててねー♪」
 ぶんぶんと手を振って冒険者達を見送った木元・祭莉(f16554)は、くるりと振り向くと『氷風の兎魔導士』フロワールの姿を改めてまじまじと見つめた。
「兎魔導士さん?」
 鎧に覆われてもまだちゃんと見える特徴に、こくんと首を傾げてから。
「ウサ耳とウサ尾は、正義だもんね。強敵だね!」
 ぐっと表情を引き締めて、油断ならないとフロワールを見据える。
 親御さんの教育の賜物ですね。ちょっと2人ともそこ正座しなさい。
 ウサギ耳が強敵の証かどうかは置いておくとしても、フロワールの姿はがっちりと全身鎧で覆われていて。しかもそれは絶対に壊せないと言われる『絶対物質ブラキオン』。
「鎧の隙間を攻撃かー……」
 事前に言われていた破壊の方法を思い出し。
 動く相手への高精度の攻撃、という難しさに、うーん、と悩むけれど。
「……嘴?」
 ぴこーんと何かに気が付いて、祭莉の顔が輝いた。
 その時、祭莉の周囲が急に陰り。見上げると巨大ウサミミアンコウが空を飛んでいる。
 周囲には他にも、ウサギ耳を生やした海の生き物が飛んでいて。
「コダちゃん! やほー♪」
 ウサミミアンコウの上に乗る灰色の髪の少女に手を振ると、祭莉の傍へと降りてきた。
 それは『輝く鍵』を持っていた猟兵の少女。
「コダちゃん、鍵持ってきたって言ってたよね」
「うん。今は貸してるけど……」
 尋ねる祭莉に、今は、と古びた帽子を被った男性を少女は示し。
「それじゃ、最後、おいらにもちょっとだけ貸してね?」
「もちろん」
 提案を断る理由などないと、笑顔で頷いてくれた。
「あと、カメ乗りたい! ウサミミカメ!」
 そして更なるお願いにも、くすりと笑いながら頷いて。
 巨大ウサミミカメの背中に乗せてもらった祭莉は、空へと舞い上がり。
「出でよ、メカたまこー!」
 再び、ニワトリ型ロボを呼び出した。
 木元家の守り鶏を模しているのは同じだけれども、先ほどのクロムキャバリアとは違いそのサイズは本物同等。
 小さくなった分を補うかのように、百をちょっと超える程の数で現れて。
「全方位攻撃ー!」
 祭莉の掛け声に応じて、こけー、と自ら走り出す。
 向かう先はもちろん『氷風の兎魔導士』フロワール。
 巨大ぬいぐるみという想像もしなかった相手の突撃に、おもちゃみたいなマジックハンドの思わぬ攻撃に、驚いていたところに迫り来る、ニワトリの群れ。
「ちょっ、これって何なのさ!?」
 そのくちばしに、蹴爪に、そして幾重にも重なる鳴き声に。フロワールは撹乱され、その体勢がぐらりと崩れる。
 そこへ遠くから飛んできた銃弾が、右手の肘関節を撃ち抜いた。
 次々と他の関節部位、すなわち、鎧の隙間へと銃弾が続いて。
「メカたまこも隙間にくちばし攻撃ー!」
 戦闘用ニワトリ型ロボも、わちゃわちゃしながらそこを狙い始める。
 それまでの皆の攻撃もあり、鎧には歪みやら欠けやらヒビ割れやら、様々な場所に様々なダメージが見て取れて。また、狙撃やくちばしのように、隙間を狙った攻撃で、フロワールの動き自体も鈍くなってきていたから。
 これはチャンス、と祭莉の銀瞳がキランとしたところに。
「祭莉ん!」
「ありがと、コダちゃん!」
 ちょうどよく投げ渡される小さな『輝く鍵』。
 受け取ったアイテムをぎゅっと握りしめた祭莉は、フロワールに接近してくれたウサミミカメの背中からぴょんと飛び降りて。
「これが、おいちゃんたちのぶんだー!」
 無造作に見える動きで繰り出された正拳は、ニワトリロボの群れの中からフロワールを思いっきり吹っ飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
【最前線】
持つ者に加護を与える輝石の欠片。正直なトコ、加護なんて信じる柄じゃないが。
ま、良いさ。早口で複雑な呪文とかが必要じゃなくて安心したぜ。

戦場の最前線。役割は鎧にヒビを入れて後続の猟兵に繋げやすくすること。
鎧の隙間を狙って二丁銃で【クイックドロウ】。軽口交じりで【挑発】の意味合いも込め、注目を集めてクロウの援護を。
一撃が入った後に、輝石を投げて渡して貰う。キャッチ後、魔剣に切り替えて、クロウの一撃をなぞるように黒銀の炎の【属性攻撃】を纏わせて【串刺し】。
『破壊出来ねぇ』なんざ言われると意地でも破壊してやる底意地の悪さが猟兵にはあるのさ。
返すぜ、クロウ!託しても良いって猟兵に渡してやりな。


杜鬼・クロウ
【最前線】
(輝石の欠片は1人一回程度なら使用可とのコト
なら…
繋げるか、他の仲間へ
思いは力となる
俺はよく知っている

この戦場にカイムを除き、俺の意図を最大限汲み取れる
信を置く騎士サマが一人いるンでなァ)

他の猟兵に気遣われちまうなんざ不覚だわ
鎧はやはり頑丈
カイム!俺がまず肚に一発ぶちかます
総ては無理だが、お前となら確実に届くハズだ

懐に石忍ばせ
手袋を代償にUC使用
螺旋剣に変形
玄夜叉に炎属性を出力

加護の力と共に
敵の氷の枷を灼熱の黒焔で融かす
腹部の鎧を剣で刺し罅入れる
カイムへ石を渡す
今度は自分が主に陽動
脆くなった箇所を一点集中(部位破壊
石が返ってきたら騎士へ

アレクシス、後はお前に託す(石を持つ拳を彼の胸へ



「持つ者に加護を与える輝石の欠片、か……」
 杜鬼・クロウ(f04599)が掲げた石を、本当にそんなモノなのかと隣から見上げたカイム・クローバー(f08018)は、すぐにひょいと肩を竦めて見せた。
 正直、加護なんて信じる柄でもないけれども。
「ま、良いさ。早口で複雑な呪文とかが必要じゃなくて安心したぜ」
 使えると言うなら使ってみようか、くらいの気楽さで笑う。
 そんなカイムの様子に、クロウは小さく苦笑して。
(「思いは力となる。俺はよく知っている」)
 掲げていた石を軽く放って握り直すと。
「なら……繋げるか」
 言って、無言のまま差し出された褐色の男性の手へと『輝石の欠片』を渡した。
 1人1回くらいなら使えるだろう、と神官長は言った。
 それなら皆で使って、皆の攻撃を重ねて行こうと。
 そして必ず自分の番には石が戻って来ると、他の猟兵達を信じて。
 クロウは、石を持たぬままに最前線へと飛び出す。
 身の丈程の漆黒の大魔剣『玄夜叉・伍輝』に炎属性を出力して携え、石をそして鍵を持つ猟兵の攻撃を助けるように、フロワールの意識を引き付けるように、動いていく。
 それはカイムも同じ。
 今は決定打がないのならと、できる事をと鎧の隙間を狙い。火を噴くのは、黒を基本に金色のラインを持ち、双頭の魔犬を象った二丁銃でのクイックドロウ。
 魔弾の雨の合間を縫い、紅蓮の光刃と煌めく一閃の間を繋ぎ。
 兎魔導士を覆う鎧に、『絶対物質ブラキオン』に、少しずつ歪みや欠け、ヒビが刻まれていくのを、『絶対』の文字が崩されていくのを見ながら。
 剣を、銃を、振るっていった。
 もちろんクロウの大魔剣では鎧に通らず、聞いた通りの頑丈さに辟易するけれども。
 今の役目は陽動だからと。
 繋いでいくそのためにと、クロウは動き続ける。
「俺達に構ってる間に、大分鎧が壊れてきたな」
 さらにカイムが、わざと余裕を見せた声をかけたりもして気を反らし。
 そこに、ぬいぐるみから始まるどこかファンシーな攻撃が連なっていった。
 その中で、ころん、と転がるように倒れた大きな帽子の少女にクロウは駆け寄り。
 後方に下がるまでの援護をと、フロワールとの間に立ちはだかれば。
「ええと、その……ありがとうございました」
 少女からおずおずと差し出されたのは『輝石の欠片』。
 繋がってきたのだと。
 今がその時だと。
 クロウは、石を受け取ると懐に忍ばせて。
「カイム!」
 その名を呼んで、改めてフロワールへと向かい駆け出した。
 ニワトリロボの群れから出てきたフロワールとの距離を詰める間に、その杖が振るわれようとするけれども。クロウを援護するように、カイムの双魔銃『オルトロス』の銃弾が降り注ぐ。
 魔法杖の周囲で氷の枷を形作ろうとしていた魔力は、大魔剣を覆う灼熱の黒焔で融かし防いで。さらに突き出した刀身が、その柄を握るクロウの手を覆っていた手袋を代償にして封印を解かれ、螺旋剣へと形状変化していく。
 輝石の加護の力と共に、黒魔剣は鎧を貫き。
 フロワールの腹部へと突き刺さった。
 それはブラキオンの『絶対』を壊すアイテムの効果であると共に。
 猟兵達が重ねた攻撃の成果、繋げた思いの結果だから。
「なん、で……!?」
 驚愕の表情を見せたフロワールに、クロウはにやりと笑うと、『輝石の欠片』を後ろに投げる。
 声をかけて合図するでもない、振り返りもしないその動作は、無造作で適当なものに見えたけれど。当然のようにそこに現れたカイムが難なくキャッチして。
 二丁銃を魔剣『Marchocias』に持ち替えると、クロウと入れ替わるようにして、黒銀の炎を纏わせた刀身を突き出した。
 それは狙い違わず、先ほどクロウが刺した腹部の同じ場所へと、さらに深く、串刺しするように突き刺されて。
 フロワールに深手を負わせると共に、鎧にも、これまで以上に大きなヒビを刻む。
「『破壊出来ねぇ』なんざ言われると」
 至近距離で歪むフロワールの顔を見ながら、カイムは笑い。
「意地でも破壊してやる底意地の悪さが猟兵にはあるのさ!」
 深く深く突き刺していた魔剣を引き抜きながら、大きく後ろへ飛び退くと。
「返すぜ、クロウ! 渡してやりな」
 渡された時と同じように『輝石の欠片』をクロウへ放る。
 再びその手に石を握りしめたクロウは。
 油断なく戦況を伺っていた金髪の騎士へと近づいて。
 拳をその胸に当てた。
 皆まで言葉にしなくとも、自分の意図を最大限汲み取ってくれる戦友。
 それは、今肩を並べていたカイムであり。
 そして、この騎士もそうだと、信を置くから。
「アレクシス、後はお前に託す」
 拳の中の『輝石の欠片』を。
 繋いできた思いの行方を。
 クロウは、運命を切り開く金色の夜明けへと、渡した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷雫森・レイン
【星雨】
「あら、いいもの貰ったみたいね」
弟子の手元を覗き込んだ後ふと思いついたと笑う
「ねぇ騎士様。石と一緒に私もその懐にお邪魔したいのだけど」
淑女が恋仲でもない男性の懐になんて本当は気が進まない
でも背に腹は代えられないわ
この石が虎の子だとして、受け渡しはリスクなの
私ならこの石をアレクと『同時に保持・使用できる』状態が作れる
「極力大人しくするけれど、擽ったくても許して頂戴ね」
石共々胸元の鎧の内側に潜り込んだ後頭と片手を出して敵を見据え
「魔力の塊(フェアリー)を軽んじた罰に、滝行でもなさい」(UC発動)
壊すより鎧全体に罅でも入れて半壊させてあげましょう
後は石を抱えたまま籠って事の終わりを待つだけよ


アレクシス・ミラ
【星雨】
アドリブ◎

任せて。クロウ殿
熱き仁義を宿す青年から石を思いと共に受け取り
拳を肩に軽く当てる
思いを力に
繋げてみせるよ

彼女の提案に驚く
信頼するフェアリーといえど…淑女を男性の懐にというのは本来なら宜しくないが
今はとやかく言ってる場合ではない
それに淑女の覚悟とは…守り抜くものだ
…こちらへ、レディ
石を彼女に渡し、鎧の内側へ招く
レディに窮屈な思いをさせてしまうご無礼、どうかお許しを
…石は任せたよ

脚鎧に光属性を充填
魔術砲で狙いを定められぬよう見切りながら走ろう
レインさんのUCが発動すれば距離を詰め
【天誓の守護者】
周囲を暁の光で覆い、力を高めた剣で
兜の脆くなった部位目掛け一点集中
兜ごと打ち砕き、断つ!



「アレクシス、後はお前に託す」
「任せて。クロウ殿」
 胸に当てられた拳に、アレクシス・ミラ(f14882)は包み込むように手を添え。
 その握りしめた中にあった『輝石の欠片』を受け取る。
 鎧攻略のアイテムというだけではない。
 託してくれた青年の宿す熱き仁義も一緒に渡されていると、感じて。
 アレクシスは石を握った拳を、青年の肩に軽く当てて、頷いた。
「思いを力に、繋げてみせるよ」
 互いに笑い合ってから、向き直るは『氷風の兎魔導士』フロワール。
 アレクシスは、白銀の騎士剣、双星暁光『赤星』を改めて握りしめながら。
 青い瞳に受け取ったものを宿す。
「あら、いいもの貰ったみたいね」
 その手元にふわりとやってきて、微笑んだのは氷雫森・レイン(f10073)。
 これがそう、と石を覗き込んで見てから。
 ふと、思い付いたと、フェアリーは少し悪戯っぽく笑った。
「ねぇ、騎士様。石と一緒に私もその懐にお邪魔したいのだけど」
 石を握ったまま両手で剣を握るのは難しそうだと思って。
 それならどこに持つだろうと考えた、そこからの提案。
(「淑女が恋仲でもない男性の懐になんて、本当は気が進まないのだけどね」)
 ちょっとはしたないかしら、とも思いながら。
 それでも、背に腹は代えられないと、聞いてみる。
 だって、この石が虎の子なら、受け渡しはリスクだから。
 猟兵達の間を渡ってきたこれを、次もフロワールが見逃してくれるとは限らないから。
 アレクシスとレインが同時に『輝石の欠片』を持ち、使用できる状態が作れるのならと小さなフェアリーだからこその対応を、示す。
(「信頼するフェアリーといえど……
 淑女を男性の懐に、というのは本来なら宜しくないが」)
 アレクシスも、レインと同じ部分に一瞬難色を示したけれども。
 今はとやかく言っている場合ではない、と自身を納得させて。
(「それに、淑女の覚悟とは……守り抜くものだ」)
 提案してくれたレインの気持ちを、しっかり受け止めようとこちらも覚悟して。
「……こちらへ、レディ」
 石をレインに渡すと、騎士の鎧の内側へと招き入れた。
「レディに窮屈な思いをさせてしまうご無礼、どうかお許しを」
「極力大人しくするけれど、擽ったくても許して頂戴ね」
 アレクシスの気苦労を減らそうと、レインは悪戯っぽく笑って答え。
 石を抱えたままその懐にそっと収まる。
「……石は任せたよ」
 そしてアレクシスは、脚鎧に光属性を重点すると、走り出した。
 フロワールの魔術砲を警戒し、狙いを定められないよう素早く動いて。
 銃弾の援護を受けながら、兎魔導士へ迫る。
 その様子を、潜り込んだ鎧の内側からレインは見つめ。
 そっと片手を出すと、ユーベルコードを紡いだ。
「魔力の塊を……フェアリーを軽んじた罰に、滝行でもなさい」
 フロワールの頭上に、突如渦巻く雨雲。
「楔の雨よ、来たれ!」
 そこから滝のように豪雨が放たれ、その水圧がフロワールを襲う。
 鎧に既に入っていたヒビが、先ほど欠けて壊れたばかりの部分が、耐えきれずに見る見る広がっていって。半壊といった状態になる。
(「後は、事の終わりを待つだけね」)
 手と頭を引っ込めたレインは、ぎゅっと『輝石の欠片』を抱いて。
 それをアレクシスの胸に少し押し付けるようにして。
 レインの思いも、託す。
「護るべき人がいるから強くなれる……!」
 アレクシスは、周囲を暁の光で覆い、手にした剣の力を高め。
 びしょ濡れになり、見るからに脆くなった鎧を、絶対の防御を崩されたブラキオンを、しっかりと見据えると。
 一番崩れている部分、先ほど黒剣で魔剣で貫かれていた腹部を目掛けて。
 騎士の剣を、振るう。
「天に誓おう、人々の盾となり護り続けることを!」
 天誓の守護者は、一点集中のその一撃で、絶対物質でできた鎧を打ち砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
持ってればいいんだ
じいさまのあの説得力
さすが亀の甲より年の功ね(ウサミミ亀なでつつ

加護を与えてくれる鍵
そうか、持つ人の願いを叶える事が
アストラムの願いでもあるのかな
じゃあいっぱい叶えよう

さっき呼んだウサミミ達の中からまだ動けそうな子がいれば
オーラ防御で護りを固めつつ
その背に乗って戦場を駆ける
鍵を使いたい人に渡しに行って皆で使うよ
勿論私も使わせて貰うね

街を護りたい
皆の力になりたい
託されたフュイユの願いは
私自身の願いでもあって
鍵から伝わるアストラムの願いも一緒に
破魔の力と祈りを込めて
白雨の矢を放つ

氷の刃を熱で溶かし
突風も突き抜けて
兎魔導士を射るよ

攻撃成功したら鍵にもお礼を
ありがとうね

※アドリブ歓迎



「そうか。持ってればいいんだ」
 神官長のじいさまの言葉に、鈍・小太刀(f12224)は、改めて手の中の『輝く鍵』を見つめ、頷いた。
(「さすが亀の甲より年の功ね」)
 その説得力に感心しながら、そっと近くにいたウサミミカメを撫でて微笑む。
 先ほど喚んだウサミミな海の仲間達は、いくらかはもう動けないからと帰したけれどもまだまだ空を飛べる子は残っていたから。
 再び巨大ウサミミアンコウの背に乗ろうとしたところで。
 こちらに近付いてくる、白い聖衣の少女に気付く。
 数限られたアイテムゆえに、皆で使わなければと小太刀はその意図に気付き。
 言われる前に、少女に『輝く鍵』を差し出した。
「先に使わせて頂きますね」
 恭しく礼をして受け取った少女が、『氷風の兎魔導士』フロワールへ向かって行く。
 それに続くように、小太刀も巨大ウサミミアンコウで空に舞い上がった。
 鍵を持つ少女の放った魔弾の雨が。
 次いで渡された少年の紅蓮の光刃が。
 壊せないはずの鎧に、小さくもしっかりと、ダメージを与えているのを見て。
 鍵が与えてくれる加護を目の当たりにして。
(「そうか」)
 ふと、小太刀は、フェアリーランドで倒した流星龍を思い出す。
(「鍵を持つ人の願いを叶える事が、アストラムの願いでもあるのかな」)
 人の願いを叶える、かつては吉兆の存在だったオブリビオン。
 骸の海を経て歪められ、悪夢を生み出すものとなってしまっていたけれども。
 その本来の願いが、あの時フェアリーランドで手に入れた『輝く鍵』に託されていたならばと考えて。
「じゃあ、いっぱい叶えなきゃね」
 小太刀はふわりと微笑み、決意を零した。
「おいらにもちょっとだけ貸してね?」
 頼んでくる狼な友人に、もちろんと頷いて。
「そろそろ返さないと、かな」
 ありがとうと古びた帽子の下で笑い、使い終えた鍵を返してくれたおじさんに笑って。
 戻ってきた『輝く鍵』を手に戦場を見下ろす。
「祭莉ん!」
 そして、約束通り、タイミングを見て投げ渡した鍵は。
 ぎゅっと握られた拳となって。フロワールが殴り飛ばされた。
「返すね。コダちゃん」
 そして、おひさま笑顔と共に再び投げられる『輝く鍵』。
 皆の手を渡ってきた、皆の思いを託されてきた、鍵。
 きっとそこには。
 フェアリーランドを創っていたフュイユの願いも託されている。
 街を護りたい。
 皆の力になりたい。
 それはきっと、小太刀自身の願いと同じ。
 だから小太刀は、大切に、祈るように『輝く鍵』を握りしめて。
 その加護を借り受ける。
 空の上から放つのは、真白に光る破魔の矢。
 小太刀の願いが、皆の想いが、具現化したかのように美しく輝いて。
 皆の攻撃が幾重にも刻まれ、歪み欠けヒビ入って脆くなっていた鎧を、青いマントを広げて飛び込んだ金髪の騎士が打ち砕いたところに。
「白き矢よ、射貫け!」
 真っ直ぐに、フロワールを撃ち抜いた。
 射抜かれた兎魔導士の身体が崩れ落ち、そのまま薄れて消えていく。
 皆の願いが叶ったのだと。
 皆の想いが勝ったのだと。
 小太刀はその様子を静かに見下ろして。
 手の中の鍵に、そっと囁く。
「ありがとうね」
 小さな鍵は、応えることなく。
 役目は終えたとばかりに、その輝きが消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『大天使ブラキエル』

POW   :    岩腕
単純で重い【岩石でできた巨大な腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    絶対物質ブラキオン
【「絶対物質ブラキオン」の鎧】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、「絶対物質ブラキオン」の鎧から何度でも発動できる。
WIZ   :    大天使の光輪
自身が装備する【大天使の光輪】から【破壊の光】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【徐々に石化】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 立ち塞がっていた兎魔導士を倒した猟兵達は、その向こうへと進み行く。
 姿を現したのは、オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』。
 ゴブリンを、フロワールを遣わし。近くにある街の、強いてはアックス&ウィザーズの危機を引き起こそうとしていた張本人だ。
 白い翼を広げ、鮮やかな花を纏い、光輪を輝かせるその姿を、予知で見た者も多いが。
 その手に、青い宝石が輝く、金の翼を広げたような剣は、ない。
 それでも尚。武装を減らした状態でも。
 圧倒的な実力を感じる、強敵。
 その姿を見上げた灰色の髪の少女は、ふと、手元に視線を落とした。
「鍵にはもう力がないみたい」
 それは、フロワールが纏っていた『絶対物質ブラキオン』の鎧を破壊するために、猟兵達へと加護をくれたアイテム『輝く鍵』。
 しかし今、鍵に先ほどまでの輝きは失われていて。
「石も同じね」
 雨雫のように青いフェアリーも『輝石の欠片』を抱えて告げる。
 そちらも煌めきが失われ、ただの石っころにしか見えなかった。
 それに、岩の腕で強化されたゴブリンの群れを倒した時、共に戦った冒険者達もここにはおらず。もう助力を得られる者はいない。
 純粋に猟兵達だけで大天使に立ち向かうことになった状況だけれども。
 助けがないからと退くわけにはいかないから。
 猟兵達は、大天使に挑むべく、各々に対峙する。
 それを睥睨したブラキエルは。
 だが、どこか疲れたように息を吐き。
「そうか……やはり、我が願いを妨げるか。『六番目の猟兵』達よ」
 青い瞳を伏せ、今は無き剣を握るかのように右手の指を折った。
「されど我が願いは変わらず、我が友の為に」
 そして再び開いた青瞳には、猟兵への敵意が籠り。
 岩石でできた巨大な腕を、絶対物質ブラキオンの鎧を生み出すと。
 大天使の光輪が輝きを増していく。
「最期まで求めよう。懐かしの天上界へ至る扉を」
 
 立ち塞がっていた兎魔導士を倒した猟兵達は、その向こうへと進み行く。
 姿を現したのは、オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』。
 ゴブリンを、フロワールを遣わし。近くにある街の、強いてはアックス&ウィザーズの危機を引き起こそうとしていた張本人だ。
 白い翼を広げ、鮮やかな花を纏い、光輪を輝かせるその姿を、予知で見た者も多いが。
 その手に、青い宝石が輝く、金の翼を広げたような剣は、ない。
 それでも尚。武装を減らした状態でも。
 圧倒的な実力を感じる、強敵。
 その姿を見上げた灰色の髪の少女は、ふと、手元に視線を落とした。
「鍵にはもう力がないみたい」
 それは、フロワールが纏っていた『絶対物質ブラキオン』の鎧を破壊するために、猟兵達へと加護をくれたアイテム『輝く鍵』。
 しかし今、鍵に先ほどまでの輝きは失われていて。
「石も同じね」
 雨雫のように青いフェアリーも『輝石の欠片』を抱えて告げる。
 そちらも煌めきが失われ、ただの石っころにしか見えなかった。
 それに、岩の腕で強化されたゴブリンの群れを倒した時、共に戦った冒険者達もここにはおらず。もう助力を得られる者はいない。
 純粋に猟兵達だけで大天使に立ち向かうことになった状況だけれども。
 助けがないからと退くわけにはいかないから。
 猟兵達は、大天使に挑むべく、各々に対峙する。
 それを睥睨したブラキエルは。
 だが、どこか疲れたように息を吐き。
「そうか……やはり、我が願いを妨げるか。『六番目の猟兵』達よ」
 青い瞳を伏せ、今は無き剣を握るかのように右手の指を折った。
「されど我が願いは変わらず、我が友の為に」
 そして再び開いた青瞳には、猟兵への敵意が籠り。
 岩石でできた巨大な腕を、絶対物質ブラキオンの鎧を生み出すと。
 大天使の光輪が輝きを増していく。
「最期まで求めよう。懐かしの天上界へ至る扉を」
 
セシル・バーナード
ようやくお出ましだね、大天使。きみに完全な終わりを与えよう。

「オーラ防御」を使った上で、大天使の視線の向きなどから破壊光線の射線を「見切り」、直撃を避ける。

ぼくが石になるのが先か、きみを討滅するのが先か。楽しいチキンレースを始めよう。

基本的に距離を取って、岩腕の攻撃が来ないようにして戦う。
「全力魔法」「範囲攻撃」雷の「属性攻撃」「鎧無視攻撃」を乗せた雷球乱舞で、全方位から雷霆珠を殺到させるよ。そのうちの幾つかでも、鎧の隙間を抜ければよし。
ご自慢の鎧でどれだけ防ぎきれるかな?

雷球乱舞をコピーするなら、手持ちの雷霆珠で相殺していこう。ものはコピー出来ても、その制御の勘所までは写し取れないよ。



「ようやくお出ましだね、大天使」
 白い翼を広げ、空から降りるように現れた『大天使ブラキエル』を見上げたセシル・バーナード(f01207)は、ポケットに入れていた両手を出し、招き入れるように広げた。
「きみに完全な終わりを与えよう」
 浮かべる笑みは美しくも自信に溢れたもので。
 さらりとした金髪の下で、緑色の瞳が艶やかに輝く。
 その恐れも敬いもない、挑むような視線に一瞥をくれたブラキエルは。
 周囲で輝く大天使の光輪を、さらに強く眩く光らせた。
 それは、石化の力を伴う破壊の光。
 誰彼構わず、全ての者に等しく降り注ぐ光にセシルは目を細め。
 纏ったオーラで防御を上げながら、何とかその直撃を避ける。
 とはいえ、じわりと石化の呪いはセシルを蝕んで。
 その左手からゆっくりと、石への変化が進んでいくけれども。
「ぼくが石になるのが先か、きみを討滅するのが先か。
 楽しいチキンレースを始めよう」
 むしろその窮地を楽しむように、セシルは妖艶に微笑んで。
 自身の周りに、指先程の大きさの金属球を無数に生み出した。
 数百どころか千に近いのではと思う程の密度で漂う球は、まるで星のようにきらきらと銀色に輝き。セシルを中心に銀河のように漂う。
 その小さな星々に、セシルは強い電撃を纏わせて。
 ふわり、と動きを操ると。
「雷の爪牙、我が敵を穿て」
 セシルとブラキエルの間に幾何学模様が描き出された。
 急激な速度を得た『雷霆珠』は、見極めにくい複雑な動きで一気に飛翔して。
 四方八方からブラキエルへと殺到する。
 その軌跡は美しいけれども。
 小さくも強い攻撃力を持つ雷球乱舞。
「そういえば『絶対物質ブラキオン』の鎧もあるんだっけ?」
 放った先での変化に、セシルは思い出したように呟き。
 他の猟兵達の攻撃も受けてその身に鎧を展開するブラキエルの姿を見て。
 先ほどの兎魔導士との戦いから、鎧の強固さを思い出す。
「でも、全方位からの流星を、ご自慢の鎧でどれだけ防ぎきれるかな?」
 しかしセシルの笑みは崩れない。
 数多の雷霆珠の幾つかだけでも、鎧の隙間を抜ければいいと。
 数に任せた攻撃を続ける。
 能力をコピーされても、雷霆珠で相殺すれば問題ないと気にもせず。
 むしろ、ただ写しただけの相手に、その制御能力で負けるはずもないと確信して。
「さあ、どんどん行くよ」
 セシルは雷霆珠の軌跡で美しい模様を描き続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
【教皇用帰天召喚器・タイプホワイト】を用い、未来を操作する召喚獣を以て【破壊の光によって石化する未来】を剪定
更に【ヴォーパルソード・ブルースカイ】から光を遮断する障壁を展開し、城壁として防いで行きます
更に帰天の加護で【浄化】【復元】等の状態回復に纏わる加護を用いて、石化しても即座に回復できるよう自身に付与します

そうして先制攻撃を凌いだ後はブルースカイから莫大な数のスナークを放ち、ブラキエルの五感・魔力・思考を喪失させていきます

その後、【伝心】の加護で伝えましょう
落ちたる大天使よ、貴方の願いは届かない
なぜなら、救いを齎そうとせず命を願いに捧げようとする今の貴方こそ憎む者と同じなのですから



 フレスベルク・メリアグレース(f32263)が見上げた空に、白い翼が広がる。
 鮮やかな花と眩い光輪を纏い、舞い降りるは『大天使ブラキエル』。
 神の使いとも称される『天使』の姿は、空への憧憬も教義とするメリアグレース聖教にとって崇めるものと成り得たかもしれないけれども。
 フレスベルクは静かにブラキエルを見据えると、その光輪の輝きが増すのを感じ、ヴォーパルソード・ブルースカイを掲げた。
 帰天で構成された剣は、天使を否定するかのように、光を妨げる障壁を生み出し。
 城壁と化したそれが広く破壊の光を遮断する。
 さらに、白き銃型のデバイスを用いれば。
 未来を操る権能を持つ召喚獣が、教皇用帰天召喚器・タイプホワイトの力で招来され。
 光が生み出す『石化する未来』を剪定していく。
 万が一の為に、石化に対抗する加護を自身に付与しながら。
 しっかりと大天使の光輪を防いだフレスベルクは。
 続けて、ヴォーパルソード・ブルースカイの切先をブラキエルへと真っ直ぐに向けた。
「蒼褪めた我が剣より将来されし虚構の邪神よ」
 聖典を読み上げるかのように厳かに。
 意志を込めて力強く。
 紡がれるのはユーベルコード『英雄星侵略記・現れざる虚構邪神』。
「汝らに真実は存在しない故に、遍く五感、魔力、思考を以ても捕らえる事は出来ぬ」
 生み出された、膨大な数の怪物スナークは、ブラキエルに認識されることなく静かに忍び寄り、その能力を解放する。
 付与するは状態異常。
 五感を、魔力を、思考を喪失させるスナークレギオン。
 すぐさま大天使の身を覆う『絶対物質ブラキオン』に、強固な守りを具現化した鎧に、スナークの影響はかなり減じられてしまったけれども。
 僅かにでも隙を、伝える道を作り出せればそれでいいと。
 フレスベルクは静かに語る。
「落ちたる大天使よ。貴方の願いは届かない」
 その心を伝えるように。
 胸の前で祈るように両の手を組み合わせながら。
「なぜなら、救いを齎そうとせず命を願いに捧げようとする今の貴方こそ憎む者と同じなのですから」
 伝えて、その行く手に立ちはだかる。
 メリアグレース第十六代教皇にして神子代理として。
 憧れた空を護る者として。
 フレスベルクは、迷いなき緑色の瞳でブラキエルを真っ直ぐに見据えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

木霊・ウタ
大天使
ようやくお出ましか

未来は命の重みだ
今を生きる命が未来を創りあげていく

だから命を蔑ろにする奴が
過去の化身が
望む未来なんて決して掴めるわけはないぜ

てめぇの行先は天上界じゃない
海へ還してやる

先制対策
爆炎の反動で回避行動をとりつつ
獄炎の輝きと熱とで
破壊の光を減弱しながら焔摩天でガード

もし当たっても
石化する側から炎で溶かす
地獄の炎を舐めるなよ

戦闘
先制を凌いだら
赤い矢と化し
破壊の光を同上で回避&防御しながら
宙を裂き大天使に迫るぜ

その速さを乗せて
更に刀身から爆炎を噴出させて剣速をブースト
横一閃
すれ違いざま光輪ごと大天使を両断

事後
鎮魂曲
海でのダチとの再会を祈るぜ
安らかに

冒険者ら>
お疲れさんっと(ぐっ



「ようやくお出ましか、大天使」
 その身に地獄の炎を纏った木霊・ウタ(f03893)は、焔摩天を構えて不敵に笑った。
 猛る心を表すように、紅蓮の炎が燃え上がり。
 その背に翼をまた形作っていく。
 それはこれまでに数多の命を助けてきた炎翼。
 天空城での冒険者達を。
 能力の制御を奪われたフェアリーを。
 群竜大陸に攫われたクレリックを。
 共にこのアックス&ウィザーズを守ってきた仲間達を。
 助け、そして肩を並べて戦ってきた、ウタだから。
 舞い降りた『大天使ブラキエル』の光輪が放つ破壊の光を、その炎翼を爆発させるようにして急激に回避し、また、獄炎の輝きと熱で減弱させていく。
 石化の呪いすら溶かすような、熱い炎をたぎらせて。
 ウタは回避の動きからそのままブラキエルへと突っ込んで行った。
「未来は命の重みだ。今を生きる命が未来を創りあげていく」
 周囲に次々と描かれていく複雑な幾何学模様をちらりと見ながら。
 焔摩天の梵字を刻んだ巨大剣の刃に、断罪の炎を燃え上がらせて。
「だから命を蔑ろにする奴が。過去の化身が。
 望む未来なんて決して掴めるわけはないぜ」
 炎翼が全身を包み、ウタ自身も炎の不死鳥のように燃え上がらせて。
 爆炎の勢いすらも速さに変えると。
 轟音と共に空を裂く火矢となり、大天使へ迫る。
「てめぇの行先は天上界じゃない。海へ還してやる」
 しかし、直撃の寸前で、回避行動を取ったブラキエルに躱されてしまったけれども。
 その勢いのまますれ違う刹那に、ウタは焔摩天を振り抜いた。
 横一閃に薙いだ刃は、光輪を断ち切って。
 その向こうのブラキエルへも、赤い一線が浅くだが刻まれる。
 両断とまでは叶わなかった一撃だけれども。
 微かな手応えをウタは感じ。
 そして、自分に続く猟兵達の攻撃に、先兵として満足そうに頷いて。
「海でのダチとの再会を祈るぜ」
 炎翼を広げ、空から天使の行方を見下ろしたウタはにやりと笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

備傘・剱
大地が砕かれようが、受け流し、浮いてよける!
コピーされ様が、戦闘技能じゃないからな、どう使うかわからんだろ?
石化だぁ?石になる前に捌いちまえば、問題なし!

って事で、調理開始、発動!
ダッシュで接近しつつ、調理と二回攻撃で羽から羽毛を綺麗に剃り落す
そして、誘導弾と、衝撃波で武器やらなにやらけん制して、結界術で動きを止め、串打ちの要領で斬撃波を関節に叩き込んで動きを阻害し、羽毛を集めるぞ

知ってるか?調理器具や店内清掃に羽箒が便利だという事実を!
体調を整える布団に丁度いいという事実を!
全ての行動は、料理に繋がっている事実を!
さぁ、大天使…
その羽毛、置いてけ!
あ、肉はいらん



「大天使の手羽先? そんなもの非常識だろう」
 空に広がる白い翼を。咲き誇る花と彫刻のような身体を。
 城壁の影から見上げた備傘・剱(f01759)は、真顔で言い放った。
 いや、元々剱は真剣で、最初のゴブリンとの戦いからずっと、その眼光を鋭く光らせ真面目な顔でいたけれども。ゴブリンを美味しくなさそうと評し、兎魔導士が思っていたより兎ではないと憤っていた姿を見ていた者からすると、驚けばいいのかツッコめばいいのか、とりあえず何かしらがもやもやするわけで。
「人型のオブリビオンを喰おうだなんて考えるはずもない」
 断言する姿が堂々としていればしているほど、言いたい言葉がある気がします。
「肉はいらん。肉は、な」
 しかし、その言葉を聞き続けているうちに少しずつ混ざってくる違和感。
 いや、違和感が次第に薄れていく、という方が正しいのか。
「知ってるか? 調理器具や店内清掃に羽箒が便利だという事実を!」
 言って走り出した剱は、両手のフォトンガントレットを鈍く煌めかせて『大天使ブラキエル』へと迫った。
 雷光が刻む幾何学模様の間を縫い、炎の不死鳥の後を追うように。
 誘導弾での牽制を交えながらも、その間合いを一気に詰める。
「羽毛布団は体調を整えるのに丁度いいという事実を!」
 炎の一閃に、迫る猟兵達に、ブラキエルの身体が『絶対物質ブラキオン』の鎧に包まれていくけれども。
 五感を一時的に封じられたかのように動きが鈍ったブラキエルに、剱はさらに結界術を重ねて。衝撃波を関節に……鎧の隙間へと叩き込む。
 それはまるで串打ちをするかのようで。
 調理の為の下拵えをしているかのようで。
「全ての行動は、料理に繋がっている事実を!」
 動きを阻害されたブラキエルの背後へと回り込んだ剱は、ユーベルコードで技能レベルを瞬間的にレベルアップさせた。
 その技能とは、キャンプ、早業、串刺し、そして料理。
 ユーベルコードをコピーして発動し返すことのできるブラキオンの鎧も、そんなの写してどう使うんだと困惑しそうなものばかりだが。
 剱は迷いなくブラキエルの白い翼へ手を伸ばすと。
 高めた技能を余すことなく使いこなして。
 その羽を綺麗に剃り落とした。
「さぁ、大天使……その羽毛、置いてけ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

氷雫森・レイン
【星雨】
「…来たわね」
正直首魁級なんて私の手に余ってる
普通の敵でさえ体格差に命の危機を感じるのに
それでも今、同族の少女と弟子でもある騎士様をおいて逃げ帰るなら、暖炉の薪になれる枯れ木の方が私よりも有能だわ
「ラル!」
呼び出した精霊の背に飛び乗り、騎士様の後ろを追従
私には鬼門の先制攻撃を心苦しくも任せてUC発動
後は単騎で遊撃と回避の繰り返し
弓と空中戦技術があっても、鎧の隙間を射抜くには絶対に日和れない
私だけなら此処で死んでもいいって気概でやらなきゃ獲れないものがある
邪魔な翼の処理は騎士様に任せ、遊撃でのけぞらせることを狙う
「…その首、貰うわ」
ラル、魔力、そして私の命の全て
蚊の一刺しじゃ済まないわよ


アレクシス・ミラ
【星雨】
アドリブ◎

最期まで友の為に、か
…悪いがその願いを叶えさせはしない
退くつもりもない
友と友の故郷の明日を守ると誓ったんだ

後ろのレディには絶対に通さない覚悟の元
盾にオーラ『閃壁』を展開
先制を見切って弾き逸らそう
長く受け止めれずとも…軌道を逸らす事なら!
彼女のUCが発動したら
僕に意識を向けさせ、【蒼穹眼】で奴の動きを…そこから生じる隙を見抜く為
光を回避しながら前へ駆け
雷属性魔法を上空から降らせて牽制しつつ
翼を狙って剣から衝撃波を放つ
…たとえ僕が傷つこうとも
必ずや友の矢を導く
その覚悟と共に一気に距離を詰め
雷を剣に集束
全力の雷を叩き込もう
一瞬でも隙が生じればレディの攻撃に合わせ
剣の『光刃』で穿つ!



 輝きを失くした石を、それでもアレクシス・ミラ(f14882)へ返した氷雫森・レイン(f10073)は、再び懐にしまわれたそれを見届けてから振り返った。
 ふわりと揺れた青髪の下で、紫瞳が見据えるのは『大天使ブラキエル』。
 猟書家の長たるオウガ・フォーミュラ。
「……来たわね」
 呟いた小さな声は、微かに震えていた。
 それもそのはず。小さなフェアリーであるレインにとって、普通の敵でさえ体格差に命の危険を感じるというのに。目の前に現れたのは首魁級。
(「正直、私の手に余る」)
 でも。それでも。
 今、戦いの場に居続けるのは。
(「同族の少女と弟子でもある騎士様をおいて逃げ帰るなら、暖炉の薪になれる枯れ木の方が私よりも有能だわ」)
 ゴブリンとの戦いに同道していた冒険者のフェアリー。
 そして、レインの願いに応じてこの場に来てくれたアレクシス。
 ちらりと視線だけ傍らへと向ければ、アレクシスも柔らかな金髪を風に揺らし、青い瞳で真っ直ぐにブラキエルを見ていた。
「最期まで友の為に、か。
 その願い自体には共感できるけれども……」
 そっと手を添えた鎧の下にあるのは、レインから返された石。
 もう輝きも加護もない、ただの石になってしまったけれども。
 それを託し、自分を信じてくれた友を思って、アレクシスは少し目を伏せる。
 それでも、再び顔を上げたその青瞳には、強い決意が込められていた。
「悪いがその願いを叶えさせはしない。退くつもりもない」
 ブラキエルが友の為にと行うのは、無差別大量虐殺。
 それは、アレクシスの友にとっては見過ごすことのできないことだから。
「友と友の故郷の明日を守ると誓ったんだ」
 互いの友の為に。
 譲れないと、アレクシスは暁光に閃く白銀の騎士剣を構える。
「レディ、僕の後ろに」
「ありがとう騎士様」
 アレクシスが前へ出ると同時に輝く天使の光輪。
 辺り一帯に放たれた破滅の光を、アレクシスは微かな燐光を纏う白銀の大盾・閃盾自在『蒼天』を翳すことで光の壁『閃壁』を生み出し、受け止めたものの。意志の堅固さに比例して硬度を上げていっても、それを上回る光が蝕んでくる。
 決してアレクシスの意志が弱いわけではない。
 相手はまかりなりにもオウガ・フォーミュラ。その力が膨大なのだ。
 それを感じたアレクシスは、ムキになって対抗し続ける愚かなことはせず。冷静に状況を見極めると、そっと蒼天の向きを傾け、光の軌道を逸らす。
 そうして開いた道へと、アレクシスは駆け出した。
「ラル!」
 その背にレインの呼び声が響く。
 その名で呼ばれる、淡い青緑の羽根を持つ鳥型精霊を思い出し、その背に乗ったレインが追従してきてくれているのを感じながら、アレクシスは蒼穹眼を発動させる。
 それは、対象の行動を予測し、そこから隙を看破する眼。
 ブラキエルの全ての行動を読み切り、そして味方の猟兵達の動きも見切って、幾何学模様を描き出す雷光と飛び行く炎の不死鳥にタイミングを合わせて飛び込めば。
 ちらりとこちらを警戒するようにブラキエルの瞳が向けられる。
 それこそがアレクシスの狙った動き。
「この私を、矮躯の命と侮らないことよ!」
 アレクシスへと注意が向けられた隙に、ブラキエルの死角へと飛び出したレインは、鳥型精霊の背でブレスレットから展開した光の弓を引き絞る。
 放たれた光の矢は、炎の一閃と共に、ブラキエルの腕を足を無数に貫いた。
 しかし、僅かに傷ついた身体はすぐさま『絶対物質ブラキオン』の鎧に覆われる。
 兎魔導士戦で体験したばかりの強固な守りに、だがレインは怯むことなく。
 風と共に飛ぶように、辺りを縫うように舞い、光の矢を放ち続けた。
 私だけなら此処で死んでもいい。
 それくらいの気概で、絶対に日和らずに、レインは諦めずに狙う。
(「絶対に、チャンスは来るから」)
 そこに、雷属性の魔法が上空から降り落ちた。
 攻撃そのものは鎧に防がれるだろうと予測しながらも。
 思わぬ方向から攻撃を受けた、ということがブラキエルへの牽制となることを狙って。
 魔法を放った傍から、アレクシスは双星暁光『赤星』を振り抜く。
 果たしてその一振りから放たれた衝撃波は、雷に一瞬動きを止めていたブラキエルの白い翼をかすめ。
 咄嗟に避けた、どこか動きが鈍くなっている気がする回避行動の先で、待ち構えていたかのように飛び込んだ猟兵が、ガントレットに覆われた両手を伸ばす。
 関節を、鎧の隙間を狙って衝撃波を叩き込んだその猟兵は、くるりとブラキエルの背へと回り込むと、鈍く輝く手を翼へ向け。真っ白い羽が辺りに舞った。
 その機を逃さず、アレクシスも一気に間合いを詰めて。
(「たとえ僕が傷つこうとも、必ずや友の矢を導く」)
 覚悟と共に雷を赤星に収束。
 今度は雷属性を加えた衝撃波でブラキエルの翼を狙った。
 度重なる翼への攻撃に、五月蠅そうにブラキエルがアレクシスを睨み。
 アレクシスを、そして共に翼を狙う猟兵を振り払うように、大きく翼を広げる。
 急激に動いた翼に跳ね飛ばされながらも、アレクシスは踏みとどまり。
 もう一度、剣を振り抜き羽を千切り飛ばした。
 ひらりふわりと舞う白。
 その中で仰け反るような体勢となったブラキエルをレインは見逃さず。
「……その首、貰うわ」
 鎧の隙間がある首元へと、光の矢を引き絞る。
 淡い青緑の魔石を額に輝かせるラルと、レイン自身の魔力を込め。
 そして、命の全ても乗せる気概で。
「蚊の一刺しじゃ済まないわよ」
 騎士が導いてくれたチャンスに放たれるのは、小さくも強力な矢。
「合わせるよ、レディ」
 さらにそこに、アレクシスの『光刃』も重なって。
 大天使の首に光が強く閃いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オーガスト・メルト
さあ、いくぞデイズ、ナイツ。決戦だ
『うきゅー!』『うにゃー!』

【SPD】連携・アドリブ歓迎
序盤はデイズをランスに、ナイツを飛行モードのバイクに変化させて戦う
敵の攻撃を【見切り】、【ランスチャージ】によるヒット&アウェイで【空中戦】を挑む

実のところな、ただこの街を守るだけ、お前を倒すだけなら義妹でも充分だったんだ
だがあいつは俺たちにこの戦いを譲った…どうしてだと思う?
いくぞ、グローム!(UC【帝竜復元】発動)
『ふむ…我、いや余と言うべきか?前世の記憶など転生の際にほとんど消えたのだがな
だが、これは我が始末すべき案件か…
今回は猟兵として、このヴァルギリオスが【蹂躙】させてもらうぞ、大天使』



「さあ、いくぞデイズ、ナイツ。決戦だ」
「うきゅー!」
「うにゃー!」
 金色の瞳で力強く『大天使ブラキエル』を見据えたオーガスト・メルト(f03147)は、傍らに浮かぶ小さな白竜と黒竜とに呼びかけた。
 丸っこい饅頭と大福のような見た目に違わぬ可愛い声で応えた2匹は。
 だがすぐに、ずんぐりむっくりしたその身体を変形させる。
 饅頭のような白竜デイズは、大きな翼を広げた純白の竜騎士の槍へ。
 大福のような黒竜ナイツは、大きな翼を広げた漆黒の二輪宇宙バイクへ。
 真の姿を見せた2匹に、オーガストはまたがり、そして構え。
 ブラキエルへと急激な加速を見せた。
 広範囲に放たれた破壊の光は、城壁を象った障壁の影へ走り込んでやり過ごし。
 途切れたと見るや否や、飛行モードとしたバイクで空へ駆け上り、炎の不死鳥に続くように飛び込む。
 白い軌跡を刻んで振るったドラゴンランスの鋭い穂先は、だがしかし、刹那の間に展開された『絶対物質ブラキオン』の鎧に阻まれた。
 先ほどの兎魔導士戦で嫌という程味わったその強固さの再来に、オーガストは小さく舌打ちして。それでもまた隙間を狙おうと、ヒットアンドアウェイを仕掛けようと、漆黒のハンドルを強く握りしめる。
 そこに、ふわりと舞い散る白き羽。
 枚数はさほど多くないけれども、確かに青い空に映えたその白に、オーガストは目を瞬かせて。でもすぐに、視界にその原因を捉えると、ふっと吹き出した。
 空を駆けていたバイクを地上へと戻し、ブラキエルと対峙する位置に停車したオーガストは。馴染みの酒場に羽毛布団が用意されている光景を幻視しながら、純白のランスをその傍らに下げて。
「実のところな、ただこの街を守るだけ、お前を倒すだけなら義妹でも充分だったんだ」
 静かにブラキエルへと語りかける。
「だがあいつは俺たちにこの戦いを譲った……どうしてだと思う?」
 問いかけにブラキエルは一瞥すらくれなかったけれども。
 構わずオーガストはユーベルコードを発動させた。
「いくぞ、グローム! 帝竜復元!」
「チチッ」
 肩に乗っていた八色鋼糸の蜘蛛竜が、応えてオーガストの前に飛び出すと。
「お前の力、世界を守る為に使わせてもらうぞ」
 ずんぐりむっくりした八色の脚の短い小さな蜘蛛の姿が、見る間に膨れ上がって。
『ふむ……』
 低く重々しい声が辺りに響く。
『我、いや余と言うべきか? 前世の記憶など転生の際にほとんど消えたのだがな。
 だが、これは我が始末すべき案件か……』
 声を発したのは中央の首だったが。その周囲には色形の異なる7つの首が悠然と頭を擡げ、それぞれにブラキエルを睨み据える。
 オーガストが見上げる程巨大になったその姿に見覚えのある猟兵も多いだろう。
 かつて帝竜戦役で倒したアックス&ウィザーズのオブリビオン・フォーミュラ。
 八属性の首を持つ、世界最強のドラゴン。
『今回は猟兵として、このヴァルギリオスが蹂躙させてもらうぞ、大天使』
 蜘蛛竜グロームに残されたカケラから一時的に復元された帝竜は、本物と寸分違わぬ姿で、驚きと困惑に僅かに顔を顰めたブラキエルへと襲い掛かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・レヴェリー
猟書家の長の一人であるあなたにとって、彼女に似たわたしは見覚えがあるのかもしれないわね?

接敵したらまずは『刻命の懐中時計』の結界を展開して、視線や光を遮るようにしながら距離をとるわ
そしてそのまま『駒鳥の箒』のロビンに跨って、空にて【真鍮の轍】を発動
かつてアリスラビリンスの戦争に存在した箒の国を想起して、無数の箒と攻撃を仕掛けるわ

あなたの鎧はあらゆるものを受け止めるのでしょうけど、これは鎧でなく世界へ向けたもの
これはあなた達が力を奪うために閉じ込めた彼女の世界
かつてわたしが確かに翔んだ世界

展開――箒の国

あの日の空をもう一度……ロビンと一緒のわたしは、彼女……オリジンにだって負けなかったんだから!



 唐突に現れた巨大な竜に微かに顔を顰めた『大天使ブラキエル』の視界へと、続くように飛び込んできたのは、箒に跨った金髪の少女。
「あなたは猟書家の長の1人……であれば、わたしに見覚えがあるかしら?」
 編み下げに薄青のリボンが控えめに結ばれた、駒鳥のように飛びロビンの名を冠する小ぶりな箒の上で、アリス・レヴェリー(f02153)はふわりと微笑んで見せる。
 長い金髪が輝く頭に青いリボンを結び。小柄で華奢な身体を包むのは、短いパフスリーブの袖と裾が広がったスカートの青いドレスと、フリルつきの白いエプロン。細い足には白タイツ。青い靴を揺らすその姿は『不思議の国のアリス』そのもの。 
 そしてその姿は、背格好も合わせて、猟書家達が力を奪ったアリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ、オウガ・オリジンによく似たものだったから。
 後任の猟書家とはいえ見知っているはずだろうと、問いかけてみれば。
 帝竜を目の当たりにしたばかりだからか、ブラキエルの驚きが色濃くなった。
 立て続けに現れたオブリビオン・フォーミュラ。
 その錯覚からブラキエルが立ち直るのを待つことなく。
 アリスは、念のためにと結界を展開していた刻命の懐中時計をぱちんと閉じると。
 差し出した繊手を起点に、周囲の空間に思い出を再現する世界を広げる。
 想起したのは、かつての迷宮災厄戦においてオウガ・オリジンが作り替えた不思議の国の1つ『魔法の箒の国』。
 周囲に現れた無数の箒は、あの時、オウガ・オリジンが命じたのと同じように、敵……今はブラキエルへ次々と攻撃をしかけていった。
 攻撃を終えた雷霆珠に変わるように、箒の軌跡が幾何学模様を描き出し。
 逃げ場を塞ぐようにブラキエルを囲んだ箒が、四方八方から絶え間なく降り注ぐ。
 しかし、箒のほとんどは、ブラキエルの纏う『絶対物質ブラキオン』の鎧に阻まれた。
「あなたの鎧はあらゆるものを受け止めるのでしょう。
 けれど、これは鎧でなく世界へ向けたもの」
 それでもアリスは迷いなく、空を写したように青い瞳を真っ直ぐに向けて。
「あなた達が力を奪うために閉じ込めた彼女の世界。
 かつてわたしが確かに翔んだ世界」
 ユーベルコードを写す鎧に、写せるものかと挑み行く。
 そっと手を添えるのは、跨いだロビンの柄。ブラキエルへ向かうどの箒よりも小さく、箒の群れの中で埋もれてしまいそうだった子。
 決して目立たぬその姿に何故か惹かれたあの時を。
 名を贈り、共にと願ったあの空を。
 しっかりとアリスは胸に抱いて。
「ロビンと一緒のわたしは、彼女……オリジンにだって負けなかったんだから!」
 箒と共にブラキエルへと迫り、かつて彼女にそうしたように、四天の結晶を放った。

成功 🔵​🔵​🔴​

渡塚・源誠
さてと、いよいよ正念場だね…(白と黒のナイフを両手に持つ)


その腕がボクを、ひいてはこの世界を傷つける訳なら、こっちのナイフの加護が黙ってなさそうだからね

岩石の腕は白ナイフで【武器受け】、加えて加護の力を乗せた【カウンター】で砕かせてもらうよ


そのまますかさず、もう1本の黒ナイフを【早業】で振るっていくよ

狙うは相手に確実に致命傷が与えられる場所…

シンプルに鎧の幸田が薄い部分や露出部、
或いは先に猟兵のコ達が与えたダメージへの上乗せ…
この辺りは戦況次第で見極めるね




※以下は余裕があれば

…こんな時だけど、まあまだ見ぬ地に興味津々な、
只の旅人の戯れと思ってくれれば

君自身は、天上界のこと、どう思ってるのかな?



「さてと、いよいよ正念場だね……」
 鎧に覆われた『大天使ブラキエル』を特に気負うことなく見つめ、飄々とした口調でつぶやいたのは渡塚・源誠(f04955)。
 翼を首を傷つけられ、巨大な帝竜と空舞う箒と困惑しながらも相対する、そんな大天使へと源誠は気楽な足取りで近づいていった。
 それこそ見知らぬ土地を物珍しそうに旅している時と変わらない様子で。
 その手に漆黒のナイフと純白のナイフを構えるでもなく弄びながら。
 古臭いロングコートを翻し、使い古した帽子の下で小さく微笑み、歩み寄る。
 接近に反応してか、竜や箒への応戦か、ブラキエルは巨大な岩腕を生み出して。
 そのうちの1本が源誠へと襲い掛かってきた。
 単純だが、それゆえに酷く重い一撃は、重いがゆえに速く源誠へと振り下ろされ。
「その腕がボクを、ひいてはこの世界を傷つける訳なら」
 対して源誠が掲げたのは、岩腕に比して小さすぎる純白のナイフ。
 大剣ですらも受け止め難いはずの打撃に、しかし源誠は変わらぬ様子で微笑み。
「こっちのナイフの加護が黙ってなさそうだからね」
 その言葉に応えるように、ナイフに……徹護の刃に込められた加護が、所有者を常に守らんとする力が発動する。
 そのユーベルコードで岩腕の一撃を相殺した小さな白の刃は、そのまま加護の力を増すと、逆に岩腕を砕き壊して。
「これはただの色違いのナイフって訳じゃなくてね」
 続けて源誠は、漆黒のナイフを振るう。
 こちらに込められた加護は、眼前の敵を確実に仕留める力。
 ゆえに完殺の刃は、瞬時にブラキエルの状態を見切った源誠の動きで、鎧の隙間へ……先刻、青色の妖精と金色の騎士が狙った首へと、強烈な一撃を放った。
 重なる攻撃にさすがにダメージも重くなったのか、顔を顰め、少し苦しそうに首元を押さえるブラキエル。
 その顔を見上げながら、源誠は、とんっと後ろへ飛び下がり。
「ああ、そうだ。
 こんな時だけど、聞いてみたかったんだ」
 変わらぬ気楽な口調でブラキエルへと話しかけた。
「君自身は、天上界のこと、どう思ってるのかな?」
 それは旅人の戯れ。
 数多の土地を回り見てきた源誠の、まだ見ぬ地への純粋なる興味から生まれた問い。
 友のため、とは聞いたけれども。
 ブラキエル自身の希望は聞けず、どこか落胆しているかのような節もあったから。
 聞けるなら聞いてみたいと思った程度の疑問。
 けれども、ブラキエルは。
 そんな問いなど聞かなかったと言うかのように、ふいっと源誠から視線を反らし。
 別の猟兵へと岩腕の攻撃を繰り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふ、ふえええ、と、とりあえず、まず何か着てください。
先制攻撃でも何でもいいので、とりあえず何か着てください。

ふええ、何もしてないはずなのにとんでもない攻撃でした。
とりあえず、ブラキオンの鎧を着てもらいましたが、あの鎧は絶対に破壊できないですし、受け止めたユーベルコードまでコピーされてしまうんですよね。
どうしましょうか?

そうです、お菓子の魔法なら受け止められないはずですし、仮に受け止めたとしても、あの大天使さんが趣味で作ったお菓子は持っていない筈です。だって、服ですら着てこないのですから。
あとは動きが遅くなったところをアヒルさんが鎧の隙間から攻撃すれば大丈夫ですね。



「ふ、ふえええ!?」
 現れた『大天使ブラキエル』の姿を見るなり、フリル・インレアン(f19557)がまず叫んだのは悲鳴だった。
「と、とりあえず、まず何か着てください。
 先制攻撃でも何でもいいので、とりあえず何か着てください」
 大きな帽子のつばをいつも以上に強く引き寄せて、顔を隠すというよりも視界を塞ぐように、真っ赤な顔を俯け、必死に訴える。
 確かに、彫刻のように美しい身体を上手い具合に鮮やかな花で飾り立ててはいるけれども、一糸纏わぬその姿は、一部から全裸天使と呼ばれちゃってる所以だから。純情で気弱でお年頃な乙女であるフリルとしては、恥ずかしいやら困るやら。
 アヒルちゃん型のガジェットが呆れたような鳴き声を上げても、それに反論する余裕もなく、フリルはしばらくそのまま帽子の下に顔を埋めていた。
 その間に、破壊の光が放たれ『絶対物質ブラキオン』と岩石でできた巨大な腕が生み出されていったから。
 ガジェットに促されてようやく顔を上げたフリルは。
 大天使の光輪を破壊され、花を幾つか散らされてはいたけれども、鎧を着たブラキエルの姿に、ようやくほっと息を吐いた。
「ふええ、何もしてないはずなのにとんでもない攻撃でした」
 もはや視覚情報そのものが先制攻撃だったと言わんばかりのフリルに、さすがのガジェットも呆れたように何も言わず。
「とりあえず、ブラキオンの鎧を着てもらえたようですが……
 確か、あの鎧は絶対に破壊できないですし、受け止めたユーベルコードまでコピーされてしまうんですよね」
 ようやく戦いに思考がシフトしたフリルは、どうしましょうか? と首を傾げた。
 兎魔導士との戦いの時にあった『輝石の欠片』の加護は今は無い。となれば鎧の隙間を狙うしかないが、ユーベルコードの攻撃はコピーされてしまい自分の身に返ってくる。
 フリルは必死に考えて。考えて。
「そうです、お菓子の魔法なら受け止められないはずですね」
 選んだのは、ゴブリン戦で使った『時を盗むお菓子の魔法』。趣味で作ったお菓子を給仕している間、それを楽しんでいない人の行動速度を遅くするユーベルコード。
 直接攻撃したり、ブラキエルへ放ったりすることのないこれならば、と思い至り。
「仮に受け止められたとしても、あの大天使さんが趣味で作ったお菓子を持っている筈がないですよね。だって、服ですら着てこなかったのですから」
 考えを説明するというより自分に言い聞かせるように口にして、うんうんと頷けば、ガジェットがフリルの手から手作りお菓子をぱくっと奪っていった。
 がつがつと、すごい勢いでお菓子を食べたガジェットは。
 お菓子をくちばしから零しながら、ブラキエルへと突撃する。
 その動きはもちろん、フリルのユーベルコードの効果で、相対的にブラキエルよりも速くなっていたから。
 ブラキエルがその動きに気付き、ゆっくりと回避行動を始めたところで。
 お菓子まみれのくちばしが、鎧の隙間へと突き刺さった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリル・モルガナイト
貴方の。願いが。どんなもので。あろうと。そのやり方は。決して。認められない。もの
故に。守ります
私は。盾の。騎士
世界を。守るために。立つ者。なのですから

与えられた。だけの。子鬼とは。比べものに。ならない。岩腕の。圧
ですが。一度は。見ているもの
一撃。防ぐ。くらい。ならば

子鬼たちが。振るった。岩腕を。思い出し。ながら。その。一撃を。真正面から。一度。防ぐことに。集中
最も。威力を。発揮する。瞬間。そこを。狙った。【ジャストガード】にて。直撃を。受け流す
踏み込む。力が。残れば。それでいい
防ぐと。同時に。懐へと。踏み込み。渾身の。【シールドバッシュ】を。叩き込みましょう

※アドリブ、連携歓迎



 破壊の光を城壁の陰でやり過ごしたベリル・モルガナイト(f09325)は。
 光輪が破壊された代わりと言うかのように『絶対物質ブラキオン』の鎧に身を包む『大天使ブラキエル』を、その美しきモルガナイトの瞳で見つめた。
 帝竜が聳え立ち、箒の群れが飛び交う中で、新たに生み出されたのは岩石でできた腕。
「子鬼たちが。振るっていた。岩腕。ですね」
 見覚えのあるそれに、確かめるように呟いて。
 振るわれるその巨腕を油断なく見据えていたベリルは。
 白と黒のナイフを振るう男性よりベリルにほど近いところに、大きな帽子のつばを引き寄せ怯えたような様子の少女がいることに。そして、その少女を狙って岩腕が振り上げられたことに気付いて。
「守ります。それが。私の誓い。なの。だから」
 咄嗟に走り出していた。
 ベリルは少女を守るように間に立ちはだかり、振り下ろされる岩石の腕を受け止める。
 それは、ゴブリン戦で一度は見ているもの。
 受け止め、防ぎ切ったことのある攻撃。
 けれど、ゴブリンが振るっていたのは、与えられただけの力。
 本家本元と言うべき大天使の岩腕は、子鬼とは比べ物にならない圧を持っていて。
 真正面から、防ぐことに集中したベリルだけれども。
 その美しき宝石の身体が、きしむ。
 でも。それでも。
(「一撃。防ぐ。くらい。ならば」)
 少女を護るために。己以外の者を守護するという誓いの為に。
 ベリルはかろうじて、地形を破壊しかねないほどの一撃に耐え、受け流し。
 その不利になる行動ゆえにユーベルコードで得た能力強化を感じ、踏み込む。
「貴方の。願いが。どんなもので。あろうと。
 そのやり方は。決して。認められない。もの」
 力強く、決意を口にしながら。
 残った力の全てを注ぐかのように、大地を踏みしめて。
「故に。守ります」
 誓いと共にブラキエルの懐へと入り込むと。
 渾身の一撃を煌めかせ、叩き込む。
 其れは脆くも儚き桜の城壁。
「私は。盾の。騎士。
 世界を。守るために。立つ者。なのですから」
 美しきモルガナイトの一撃は、ブラキオンの鎧の上からその衝撃を響かせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
「さて、本命ですね」
彼の事情の是非は問いません。
A&Wに災いをもたらすのなら、ただ狩るのみ。

ブラキオンの鎧が受けたUCをコピーするなら、
UC以外の手段で突破口を開けばよい。

先刻の戦いの様に精霊護衣のままで
遠距離から鎧の隙間を狙撃します。
先ほどの戦いは見られているでしょうが、
加速した照準から逃れるのは容易ではないはず。

しかし雷が易々と通じる相手ではないでしょう。
なので今回はとっておき、『古竜封弾』を使います。
UCを弱める古竜の骨で作った短時間UCを封じる弾丸です。

一時でも大天使のUCを封じることが出来れば、
攻撃は格段にしやすくなるはず。
天上界への路は開かせない。
「ブラキエル、あなたは私の獲物」



「さて、本命ですね」
 狙撃場所としていた地に身を潜めたまま、『大天使ブラキエル』の姿を遠目に認めたシリン・カービン(f04146)は、小さく呟いた。
 その服装は、兎魔導士を狙撃していた時から変わらぬ、身軽すぎる精霊護衣。
 極限まで速さを追求した麗しの姿のまま、シリンはそっと身を起こし。
 油断なくブラキエルの動向を見ながら、素早く移動していく。
 近づくことなく、狙撃可能範囲内で距離を保って。
 新たな狙撃位置を探っていく。
 狙う獲物はもちろん大天使ブラキエル。
(「彼の事情の是非は問いません」)
 友のためにと動くその心は解らなくはないけれども。
(「アックス&ウィザーズに災いをもたらすのなら、ただ狩るのみ」)
 シリンにも譲れないものはあるから。
 ここと決めたポイントに身を伏せ、シリンは迷いなく精霊猟銃の照準を合わせた。
 先ほどの兎魔導士との戦いを見られてはいただろうから、姿を見せないままのシリンの狙撃は警戒されてはいるかもしれない。
 けれども、時の精霊の加護で反応速度を上げているし。そもそも他の猟兵達を相手取る最中で、シリンだけを警戒し続けることなどできるはずがない。
 そうなれば、狙撃を回避することは難しいだろうと予測して。
 ゆえに、シリンが懸念を抱いたのは、銃弾の威力だった。
 兎魔導士に使った雷の精霊弾程度では、現時点でオウガ・フォーミュラ最強と謳われたブラキエルには通じないかもしれない。
(「となれば『古竜封弾』でしょう」)
 だからシリンは精霊猟銃にとっておきの弾丸を込める。
 古竜の骨で作られたその弾は、撃ち込んだ先で強力な結界を生み出し、ユーベルコードを封じる。その効果は短時間でしかないけれども、一時でもブラキエルの操る強力なユーベルコードを封じられたのならば。
 その隙を見逃す猟兵は、いない。
(「天上界への路は開かせない」)
 故郷を思いながら、じっとブラキエルの動きを追いかけ。
 羽が舞い、首への攻撃が続く中で。箒が飛び交い、美しき打撃が決まり。ガジェットが突撃していって。友人達も果敢に挑む姿を見つめて。
「ブラキエル、あなたは私の獲物」
 ここぞ、という待ちわびたその瞬間に、シリンは引き金を絞る。
 正確無比な射撃は、狙い違わず鎧の隙間を撃ち抜いて。
 それと同時に岩腕が、そして鎧が消える。
 成果を見たシリンは小さく口の端だけで微笑んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈍・小太刀
友の願いを叶えたい
その気持ちだけなら
分からなくもないんだけどね
願いと願いのぶつかり合い
だからこそ、全力で

仲間と連携して戦うよ
岩腕の攻撃は威力が凄まじいけど
その分動きは読み易い
岩腕の軌道を【見切り】
【残像】残して【早業・ダッシュ】で回避
大地を穿つ衝撃を【オーラ防御】で凌ぎつつ
【地形耐性・地形の利用・足場習熟・空中戦・空中浮遊】の技能もフル活用
舞い上がる大地の破片を足場と盾にして
死角に回り込んでの【カウンター】攻撃
狙うは翼の付根、鎧の隙間
剣刃一閃で斬り落とす

片時雨の刀に込めるのは【破魔】と【祈り】の力
そして、この世界を護りたいという
皆の願い、私の願い

彼の願いを押し返して
骸の海へ友の居る場所へ送るよ


木元・祭莉
大天使さま。オラトリオさんなのかな?

絶対に先制されるんだったよね。
岩の腕を振り回してくるみたいだから、コッチはきゃばりゃに乗って対抗しよかな!

たまこ・きゃばりゃ、発進!
そぉれ、じゃーんぷ♪
地形はぐじゃぐじゃになったケド、たまこはどんなトコでも走れるんだー♪
岩腕を避けて、ぐんぐん接近するぞー。

他の猟兵さんの攻撃に紛れ。
ヘイ、母ちゃんカモン!(指ぱちん)
大天使さまの足元、ヒマワリがゆらゆらしてる。

大天使さまが見惚れたら。
捕まえて、持ち上げて、びったんびったんして!
持ち上がらなくても、気は引いておいてね♪

気合が逸れたタイミングで、ぐいっと踏み込み。
『おいちゃんたちと、夏梅ばーちゃんのぶん!』(正拳)



「あれが、大天使……」
 鈍・小太刀(f12224)は『大天使ブラキエル』の姿に思わずそう呟いていた。
 白く大きな翼を広げ、鮮やかな花をその身に咲かせたオウガ・フォーミュラ。
「大天使さま。オラトリオさんなのかな?」
 その特徴から木元・祭莉(f16554)が首を傾げたのも当然か。
 銀瞳をぱちくりさせている素直な仕草に、小太刀は小さく微笑んで。
 改めて大天使を見やる。
 響くのはどこか疲れたような、でも諦めてはいない力のこもった声。
(「友の願いを叶えたい……
 その気持ちだけは、分からなくもないんだけどね」)
 小太刀も、友の為にここに在る。
 今は輝きを失ってしまった鍵を、ぎゅっと握りしめて。
 その鍵が繋いだ縁を守るために。
 小太刀はブラキエルの前に立っているのだから。
 街を壊そうとする者と街を護ろうとする者。
 相反する願いと願いのぶつかり合い。
(「だからこそ、全力で」)
 小太刀は古びた日本刀を、片時雨を構えた。
 天使の光輪を破壊されるも、その身を鎧で覆い。白き羽を、鮮やかな花々を散らしながらも、岩でできた巨大な腕を振るうブラキエル。
「わわっ。岩の腕、ぶん回してるよ」
 その様子を観察した祭莉は、んー、と少し考えて。
「それなら、たまこ・きゃばりゃ、発進!」
 にぱっとおひさま笑顔を輝かせると、ゴブリン戦で活躍したニワトリ型の最精鋭機クロムキャバリアに乗って、走り出した。
「そぉれ、じゃーんぷ♪」
 迫り来る岩腕を、ひょいと気軽に、モデルとなった木元家の守り鶏を思わせる素早い動きで避けるけれど。岩腕はそのまま地面へと叩きつけられ、地形を破壊していく。
 直撃を躱した祭莉の足元も、もちろん、ぐじゃぐじゃにされてしまった。
 しかし祭莉は怯まない。
「たまこはどんなトコでも走れるんだー♪」
 小石も溝も、柵すらも乗り越えて、村中を走り回っている雌鶏のように。
 たまこ・きゃばりゃも、悪くなった足場をものともせずに、祭莉を乗せて走り行く。
 そうしてブラキエルへと接近していくキャバリアの陰に隠れるようにして、小太刀も大天使との間合いを詰めていった。
 大きなキャバリアに岩腕のほとんどが向かうけれど、さすがに完全に見逃してはもらえなかったようで。小太刀にも振り下ろされる一撃。
 巨大ゆえに凄まじい威力のそれは、巨大だからこそ軌道が読み易い。
 落ち着いて見切った小太刀は、残像を残す程の早業で岩腕を躱し。大地を穿つ衝撃を、舞い上がる大地の破片を、オーラ防御で凌ぎつつ、地を蹴った。
 跳び上がった先にあったのは、打撃で宙へ飛ばされた大地の破片。いや、破片と言うにはかなり大きいそれを足場にして、また次の破片へと跳び移り。
 さらにブラキエルの周囲を飛び交う箒も利用し、今度は破片を盾にしたりもして。
 帝竜に背を向けられず正対し続けるブラキエルの死角、背後へと回り込んでいく。
 その間に、煌めく打撃が、ガジェットのくちばし突撃が放たれ。
「ヘイ、母ちゃんカモン!」
 攻撃に紛れて、祭莉の指がパチンと鳴った。
 途端、ブラキエルの足元に広がる向日葵畑。
 おひさまのように明るく黄色い大きな花を幾つも幾つも咲かせると。
「れっつ・だんしん?」
 祭莉の声を合図に踊り出す。
 ゆらゆら揺れるその花は、まるで楽しく笑っているかのようで。
 その楽しさに誘うかのように、元気に陽気にブラキエルを見上げる。
 いきなり広がったコミカル時空に、そのユーベルコードの効果もあって、ブラキエルは見惚れてしまい。
 その隙を逃さず、小太刀が斬りかかった。
 死角からの不意打ち。
 しかもしっかりと鎧の隙間を狙った剣撃に、五月蠅そうにブラキエルが顔を顰め。
 続いて、たまこ・きゃばりゃから飛び出した祭莉が手を伸ばす。
 無造作にぐいっとブラキエルの片足を掴むと、びったんびったんしようと持ち上げた。
「む……大天使さま、重いー」
 しかし、祭莉には地面に叩き付けるまではできず。
 それでも、ぶんっと振り回すことはできたから。
 ブラキエルが大きく体勢を崩した、そこに。
 飛来する、古竜封弾。
 遠距離からの狙撃は、狙い違わず鎧の隙間を撃ち抜いて。
 ユーベルコード無効化の能力を発現させた。
 消えゆくブラキオンの鎧と巨大な岩腕。
(「さすがシリン」)
 小太刀はすぐに、姿を隠している友に思い当たって。
 片時雨を切り返すように振るう。
 狙うは翼の付け根。
 元々鎧の隙間ではあったけれども、鎧の消失で狙える範囲が広がって。
 ならばと剣刃一閃、傷つける以上の鋭い一撃を放つ。
 破魔と祈りの力を込めて。
 そして何より、この世界を護りたいという願いを乗せて。
(「皆の願いを。私の願いを」)
 放たれた刃は、それを叶えるように大天使の翼を切断した。
 元々傷つけられていたから、他の猟兵達が攻撃を重ねていたからこその、大きな成果。
 そこにも皆の願いを感じながら。
 入れ替わるように飛び込んできた祭莉の姿を追うように振り返る。
「おいちゃんたちと、夏梅ばーちゃんのぶん!」
 ぐいっと踏み込む祭莉が放ったのは、真っ直ぐな正拳。
 小太刀の片時雨と同じ思いを乗せた一撃は、鎧も翼もなくしたブラキエルを見事に殴りつけていたから。
(「友を想う彼を骸の海へ」)
 独り傷ついていく大天使に、小太刀は紫色の瞳を細め。
 揃いの剣戟が続くのをじっと見つめていた。
(「私達が、友の待つ場所へと送り出すよ」)
 その願いの行方を、見守るかのように。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

杜鬼・クロウ
【最前線】怪我◎
テメェが亡き友の為にと願うように、俺も冒険者達の思いを背負ってるンだわ
テメェの願いと俺達の願い
叶うのは一つ
白黒はっきりさせようや

隣に並び立つ心強い友を見る

カイム、お前の途は俺が切り拓く
だから
俺に何が起ころうと振り返るな
前だけ見据えてろ

外套脱ぎ捨て玄夜叉構え
手袋代償に【無彩録の奔流】使用
螺旋剣へ変形
カイムの盾に
敵の腕は振り下ろす方向見て回避
地形破壊前に宙へジャンプ
敵の羽根を捥いで機動力落とす
剣先が螺旋の如くうねり、敵の戦力削る

カイムに見せ場用意してヤったのによ!

敵が怯んだら黒焔宿す
カイムの意図に気付き挟撃
弔いに相応しい全身全霊の力を込めた一撃を穿つ

あァ…悪くねェ気分だ
煙草吸いてェ


カイム・クローバー
【最前線】
肌を指す威圧感が厄介な相手だと告げやがる。
強敵を相手に高揚感を感じ、隣に立つ友に笑い掛けるぜ。
派手に魅せてやろうぜ、クロウ。

俺は正面から挑む。愚直なやり方なのは分かってる。
だが。それでも俺には勝算がある。──秘めた熱い思いを持つ友が俺の道を切り開いてくれる。
単純な岩腕の一撃を【見切り】で掻い潜って跳躍。──だからこそ、友に俺も道を切り開いてやりたいと思った。
UCで岩腕を消滅させる。狙いはクロウとの左右からの挟撃。同時に決めるぜ。
アンタも亡き友の為に戦った。友の為に道を開こうとした。
だから分かるだろ?俺達の力がアンタを上回るのが。悪くなかったぜ、大天使。

──よぉ。気分はどうだ?クロウ。



 翼を広げた白い姿から感じる威圧感が肌を刺す。
 誰に何を言われるよりも確実に、厄介な相手だと告げてくる自身の感覚に、カイム・クローバー(f08018)はふっと笑みを浮かべた。
 強敵と相対することで湧き上がる高揚感。
 そして何より、隣に立つ友の存在に、カイムの笑みは深くなる。
 それは友……杜鬼・クロウ(f04599)も同じようで。
「テメェが亡き友の為にと願うように、俺も冒険者達の思いを背負ってるンだわ」
 臆することなく『大天使ブラキエル』へ語りかけていく。
 預かった『輝石の欠片』を、それを託した騎士を、思い出しながら。
「テメェの願いと俺達の願い、叶うのは1つ……
 白黒はっきりさせようや」
 外套を脱ぎ捨てると、螺旋剣に形状変化したままの『玄夜叉・伍輝』を構えて見せる。
 オウガ・フォーミュラと呼ばれる強敵を前にしても変わらぬ様子に、カイムも神殺しの魔剣をすらりと抜いて、切先をブラキエルへ向けて見せ。
「派手に魅せてやろうぜ、クロウ」
 笑いかければ、クロウの夕赤と青浅葱の瞳がにっと笑い返してきた。
 さらに応えるようにカイムが頷くと。
 一気にブラキエルへ駆け出すクロウ。
「カイム、お前の途は俺が切り拓く」
 身の丈程の漆黒の大魔剣を携えて、幾何学模様が描かれていく戦場へ飛び込めば。
 それを待ち構えていたかのように振り下ろされる、岩でできた巨大な腕。
「だから、俺に何が起ころうと振り返るな。前だけ見据えてろ」
 その重量が生み出す落下の速さを最大限に利用して、襲い掛かって来る岩腕を。クロウはひらりと回避して、さらにその腕が大地を叩く前に跳び上がる。直後、叩きつけられた巨腕によって、大きく地形が破壊された。
 舞い上がる大小数多の大地の破片を、だがクロウは置き去りにして。
 狙うは白き羽舞うブラキエルの翼。
 炎の不死鳥により大天使の光輪が砕かれ、攻撃力が落ち。
 絶対物質であるブラキオンの鎧もその隙間を狙われ、防御力を落とし始めている。
 ゆえにクロウは、機動力を落とそうと。螺旋の如くうねる剣先を向け、羽根を捥がんと迫っていく。
 信を置く金色の騎士が舞い上げた白い羽の中を駆け抜け。
 岩腕を引き付けながらも、ブラキエルの戦力を削る機会を探りゆく。
 全ては後に続くカイムのため。
 カイムならブラキエルを倒せると、そのための盾として先槍として、クロウは螺旋剣を振るい続けた。
 その姿を追うように、カイムも正面から大天使へ挑む。
 愚直なやり方なのは分かっている。
 でも、カイムはそうして挑みたいと思ったのだし。
 勝算がそこにあると感じた。
 そして、その気持ちを汲んだ友が、秘めた熱い思いと共に、そのための道を切り開いてくれると確信していたから。
 クロウがかき乱してくれたおかげでさらに単純になった岩腕の一撃を易々と見切ると、搔い潜って跳躍し。
 神殺しの魔剣に黒銀の炎の魔力を籠めると岩腕を切りつけた。
 それはユーベルコードのみを攻撃するユーベルコード。
 ゆえに、巨大な岩腕に比して小さなカイムの斬撃は、だがそこから岩腕を消滅させて。
 クロウが引き付けていたそれも次々と消していく。
(「友が俺の道を切り開いてくれるなら」)
 導かれた道を駆けて。
(「共に俺も道を切り開いてやりたい」)
 さらに新たな導を刻んで。
「クロウ!」
 カイムはその名を呼びながらブラキエルへと迫った。
 その動きに、そして響いた声に、クロウもカイムの意図に気付き。
「見せ場用意してヤったのによ!」
 どこか嬉しそうに憎まれ口を叩きながら、カイムとは逆側から飛び込む。
 左右からの息の合った挟撃。
 その直前に飛び来た銃弾が、ブラキオンの鎧と残っていた岩腕を消し去った。
 銀色のツインテールを揺らした少女が、ほぼ同時に白い翼を斬り落とし。
 狼耳を元気に立てた少年の真っ直ぐな拳が、防御を削られたブラキエルを真正面から殴りつけると。
 迫るカイムとクロウに気付いたかのように、2人は飛び退き、間を空ける。
 大天使の光輪を砕かれ。
 白い羽が舞い。翼を切断され。
 鎧の隙間であった様々な関節に、特に首に深く傷を刻み。
 向日葵畑の中でぐらりとその身を揺らす、大天使ブラキエル。
 その弔いに相応しいようにと。
 カイムは。クロウは。それぞれの剣に全身全霊の力を込めて。
 連撃ではなく同じ一撃であるかのように、揃ってブラキエルを穿った。
 左右から同時に貫かれたブラキエルは、その瞳を大きく見開いて。
 ふっと、抱いていた願いが、微かな希望の輝きが、そこから消えていくのをカイムは静かに見下ろす。
「……アンタも亡き友の為に戦った。友の為に道を開こうとした」
 その姿に自身の想いを重ね見て。
 そして、自身とは違う結末に、少しだけ、紫の瞳を揺らして。
「だから分かるだろ? 俺達の力がアンタを上回ったのが」
 天上界を求めるかのように空へ掲げようと持ち上げられていく片腕を。
 だが、空に向けて伸ばしきる前に消えていくその姿を。
 ただじっと見届けて。
「悪くなかったぜ、大天使」
 呟いた声と共に、ブラキエルは消え去った。
 脅威の去ったその地に、さあっと風が吹き過ぎ行く。
 銀髪を揺らし褐色の頬を撫でる、穏やかで爽やかな風に、カイムはふっと力を抜いて。
 見回せば、他の猟兵達にも戦いの終わりが、安堵の空気が広がっていた。
 少しずつ声が交わされ始め、護れた街や共に戦った冒険者達の様子を気遣う様子が聞こえてくる中で。
 カイムは、大地に仰向けに寝転がっていた友へと歩み寄っていく。
「……よぉ。気分はどうだ? クロウ」
「あァ……悪くねェ気分だ」
 盾となり矛となり、カイムの道を切り開いてくれたクロウには細かな傷が幾つも見え、またさすがに疲労も感じられたけれども。
 横になった体勢から起き上がれないというわけではなさそうで。
 むしろ、護れたものを全身で感じ取っているかのようだったから。
 クロウの傍らで足を止めたカイムは、助け起こすでもなく、その寝姿を見下ろす。
「煙草吸いてェ」
 笑顔で紡がれたそんな言葉に、カイムの顔も自然と緩んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月07日


挿絵イラスト