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氷の城に財宝妖精

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #財宝妖精ブラクテ #天空城 #冒険者

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●天空の城に冒険者
 アックス&ウィザーズの空に浮かぶ天空城。
 猟兵達が群竜大陸に至る過程で出現した空飛ぶ巨岩群に混じるそれらの一つに挑む四人の冒険者がいた。
 種族もジョブもバラバラだけれどもそれなりの冒険を積み重ねてきた彼らだったが――今回は挑んだ場所が悪かった。

 城は氷に覆われ調度品も財宝も全て厚い氷の下、そして城の中を我が物顔に飛び回る氷細工の如き鳥の群れ。
 寒さに震えながら冒険者はその鳥たちと交戦していた。
『もう駄目だ……神よ何故我々を見捨てたもう……』
『まーたはじまったバジリコの悲観癖! さっさと前向いて防いで! カンパネラはさっさと道を炎で溶かして!』
『やってるよぉ! でもこれ溶かせないし財宝引っ張り出す事もできないよ! ミチトラちゃん何か仕掛けとか見つからない?』
『無理! 壁も全部凍って怪しそうなとこも全部塞がれてる! おまけに固いし!』
 襲撃してくる氷鳥の突撃を防ぎながら絶望の言葉を呟き続けるドワーフのパラディン、その背後には炎で周囲の氷を溶かさんとするエルフの少女と周囲を飛び回りながら叫ぶ軽装のフェアリー。
『脱出する為の計画が作れない……? くそっ何でこんなことに』
『ほらほら! ザンザラも変な石ころ拾って考えてばかりでないで弓で撃ち落として!』
 私よりも強いんだからさと仲間達を鼓舞するフェアリーのジョブはシーフ、鍵開けや罠には強いが直接的な戦闘能力は残念気味。
 いつの間にか帰り道もすっかり氷に覆われて、天空城自体が氷の牢獄の様相を呈していた。
 抗う冒険者達の元へ更なる氷鳥の群れが押し寄せ、そして数刻後には全ては氷に閉ざされてしまうのであった。

「皆ちょっと力を貸してほしい。猟書家についての予知を拾っちゃったんだ」
 グリモアベース、集まった猟兵達にケットシーのクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)がそう切り出した。
「今回はアックス&ウィザーズの天空城での事件になる。群竜大陸発見までの過程でこの世界には幾つもの空飛ぶ巨岩群が発見されている。まるでおとぎ話みたいだけれども……その天空城に眠っている財宝を猟書家は狙っているみたいなんだ」
 もしかすると天上界に至る手がかりを探しているのかもしれないし、単に強欲なだけなのかもしれないとクーナは言う。
「ただ財宝の伝説があると聞けば当然冒険者達も狙いに来る、と言うより来ていてもう財宝の一部を入手しちゃってるみたいなんだ。猟書家はそれを狙って配下の力を使いその城を氷に閉ざしてしまった。冒険者達も天空城に辿り着けるくらいには優秀で、今の所は凍らされる事無くどうにか身を隠している。……だけど見つかって襲撃されるのも時間の問題だろうね」
 だから彼らを助けてあげてほしいと騎士猫は猟兵達を見上げて言う。
「彼らは天空城を先に探索しているから内部構造については詳しくなっている。仕掛け類の大半は氷で封じられているけどきっと情報は参考になるだろうね」
 それから襲撃をかけてきている配下については、とクーナは続ける。
「氷凝鳥という鳥だね。氷のような魔力を持っていて爪や飛行能力、そして鋭利な氷の結晶体で攻撃してくるようだ。結構数が多いけど城内の地形を活かせば苦戦はしないだろう。猟書家については……財宝の力を使う妖精だね。やつを倒さないと城の氷は溶けないようになっているから城の財宝を狙うには撃破は必須になる」
 強敵だけど頑張ってほしい、とクーナは言うと、グリモアを取り出して転送の準備を開始する。
「ああ、あと城の財宝なんだけど……金銀細工が多いみたいだね。城のあちこちの装飾が黄金で氷の中に透けて見えたりするようだよ」
 財宝に気を取られ過ぎないよう気を付けてね、とクーナは締め括り、猟兵達を氷の天空城へと転送したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 やや時期外れですが財宝争奪戦。

※このシナリオは猟書家幹部シナリオで二章構成です。
 アックス&ウィザーズの天空城の一つ、そこに訪れた冒険者に襲い掛かるオブリビオンを退治するシナリオとなります。
 冒険者達はそれなりに強く有能ですがオブリビオンと真っ向勝負すると押し負けてしまいます。

 第一章は『氷凝鳥』達との戦いになります。
 猟書家が従える鳥たちは他の探検者が財宝を回収するのを防ぐため、城全体を凍らせ氷の中に閉じ込めています。
 猟書家を倒すまでは氷は溶けません。

 第二章は幹部猟書家『財宝妖精ブラクテ』との戦いになります。
 こちらは冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス(全章共通)……冒険者達と協力する。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『氷凝鳥』

POW   :    爪の一撃
【非情に素早い突進からの爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    氷柱雨
レベル×5本の【氷】属性の【鋭利な結晶体】を放つ。
WIZ   :    大空を舞う
【空高く飛ぶことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニクロム・チタノ
まさかまだここの猟書家があきらめてないなんて
このままにはして置けないね!
冒険者のヒト達ちょっと高い所に登ってもらってもいい?
大丈夫ボクに任せて反抗の加護があるんだ
そう、こういう後ろに壁があって見晴らしのいい場所うん鳥さん飛んできたね?
じゃないと高い所攻撃できないもんねでも
チタノ私は明日が欲しい
重力でそのまま凍った地面に墜落してくれる!
後は蒼焔で焼き鳥にしてあげる、猟書家と戦う前の腹ごしらえにどう?
なんてね、冗談だよ半分はね?



●凍れる城に鳥と冒険者、そして猟兵
 天空城へと転移した猟兵達は即座に散開する。
 冒険者がどこにいるかはまだ分からない。一刻も早く捜索して合流しなければこの城の冷気やオブリビオン達に殺されてしまう結末を迎えてしまうだろう。
「まさかまだここの猟書家があきらめてないなんて……このままにはして置けないね!」
 レプリカントの少女、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は凍った城内を走りながら再び現れた猟書家への反抗の意志を固く抱く。
 暫く城内を駆けまわる彼女の耳に音が響く。只の物音ではなく人の声――これだ、とニクロムは急いで其方に向かい駆け出した。
『一旦退こうよ!』
『ミチトラさんの言う通りよ! ここじゃ押し切られちゃうもん!』
 そしてニクロムはフェアリーとエルフの少女が騎士と弓使いに向け進言している場面に遭遇する。
『何!? キミは誰?』
 戸惑うフェアリーの少女に端的にニクロムは自己紹介、救出に来たのだと説明する。
「とにかくここから場所を変えるなら……高い場所知らない?」
『ええっと……近くのホールが天井高いと思うよ』
 名前はミチトラというらしいフェアリーの少女の言葉を聞き、ニクロムは案内をお願いする。
 彼女の作戦にはその地形が必要なのだと、やや疑わしそうな視線を向けてミチトラは案内する、と先導して飛んでいく。

 フェアリーに導かれるまま辿り着いたのは天井の高い玄関ホール――と言っても玄関の先には何もない上空。
 そこに飛び込んだ冒険者たちとニクロムは、途中遭遇して追跡を仕掛けてきた氷凝鳥達を振り返る。何度か足止めしたため奴らがここに着くにはもう少しかかるだろう。
「ミチトラさん達はそこの階段からあの一番高いテラスまで登って! とにかく高い所の壁際に!」
『それじゃ逃げ場なくなっちゃうよ!?』
「大丈夫ボクに任せて! 反抗の加護があるんだ」
 戸惑うフェアリーにそう言いながらニクロムはホールの彫刻や装飾を足掛かりに蹴って、天井へと駆け上がる。
 僅かばかりの狭い足場を的確に選び、天井近くに辿り着いた頃に鳥達がホールに飛び込んでくる。
 冒険者たちを見れば指示通りに四人揃ってテラスまで登っていて、そして鳥たちはそちらを標的に定めたように飛翔する。
 ――計画通りだ。
「チタノ、私は明日が欲しい」
 その言葉は彼女に宿るチタノという名の霊を顕現させるためのユーベルコードの鍵。
 突如凍りの鳥達に重しが乗せられたかのように飛翔する速度がガクンと落ちる。
 羽ばたいても速度は上がらず――そしてそのまま真下に次々に墜落していく。
 超重力と蒼焔を操るチタノの霊、その重力は高所に登ろうとする鳥達では抗いきれぬほどに強烈。
 そして真上から降ってきた蒼焔が遅れて飛び込んできた氷凝鳥達を奇襲で焼き焦がす。
「猟書家と戦う前の腹ごしらえにどう? ……なんてね、冗談だよ」
 香ばしい香りについついニクロムが軽口をたたく。
 半分ぐらいは本音だけれどもまだまだ危険は去っていないようで、戦闘音を聞きつけた次なる氷凝鳥達の鳴き声がホールの扉の一つから聞こえてくる。
 ホールへと降りた冒険者達は戦闘態勢をとる。どうやらパニックからは脱したようだとニクロムも迎撃の為に妖刀を構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神楽火・天花
未夜子ちゃん(f27423)と一緒に戦闘

今回は「正義の味方」のアタシ。こういう場面ならやっぱりアタシの出番!
「さてさて未夜子ちゃん、アタシ達の得意技といえば火属性なわけだけど」
冒険者の人達が閉じこめられてるのはラッキーかもね。遠慮なく全力を出せるわ。
「っというわけで、思いっきりぶっ放すわよ!」
未夜子ちゃんが召喚した悪魔の攻撃に合わせて『ウィザード・ミサイル』乱れ撃ち! 多重詠唱でもう一回!
「アナタ達のユーベルコードにも、まっけないんだから!!」


神楽火・未夜子
天花(f03853)といっしょ

「……さむい」
寒いのは、あんまり好きじゃない。はやく猟書家、やっつけないと。
今の天花、声大きくて、元気。ちょっと寒くなくなる、かも?

「うん、狐火も悪魔も、どっちもできる」
悪魔が冒険者のひとたちを巻きこむのが心配だったけど、そうか。天花のいうとおり、閉じこめられてたら関係ないね。
「ん。了解。思いきり暴れてもらう。交渉するからちょっと待ってて」
ユーベルコードでアスモデウスを召喚、交渉開始。
「全力でやっていい。それから、このへんの財宝、好きにしていい」
みゃこちゃん、財宝にあんまり興味ないから。食べられないし。



 天空城の廊下を二人の少女が走っていく。
「……さむい」
 白く曇る息を吐きながら神楽火・未夜子(ちいさなフリーシューター・f27423)は呟く。
「寒いねー、だから冒険者の人達をさっさと助けて氷を溶かしちゃおうか!」
 未夜子に応える多重人格者の神楽火・天花(マジカルガールクインテット・f03853)、今この場では『正義の味方』としての人格が表出している。
 こんな気温でも声が大きく元気そうな今の天花とは違い、未夜子は寒いのはあまり得意ではない。
「はやく猟書家、やっつけないと」
 ぎゅっと黒のリボルビングライフル型召喚機を未夜子は握る。
 そして凍った廊下を走る二人はT字路に差し掛かり、天花の耳に羽音が届く。
 それらは一直線にこちらに向かってきているようで、その逆側の道の先では戦闘音が響いている。
 おそらくその戦闘音の方に冒険者がいて、そちらに氷凝鳥達が向かっているのだろう。
 幸いこの場所は十分幅もあり戦闘も可能、凍える寒さだけれどもこういう場ならば二人の出番だ。
「さてさて未夜子ちゃん、アタシ達の得意技といえば火属性なわけだけど」
 冒険者達がいるのはこの先のホール、少々派手な戦い方の彼女達には巻き込む可能性がないのは僥倖。
「うん、狐火も悪魔も、どっちもできる」
 天花の言葉に未夜子が応じ、ライフルを構える。
「っというわけで、思いっきりぶっ放すわよ!」
 正面から向かってくる氷凝鳥達に向け火と風の神気を込めて杖を向けて魔力で炎の矢を構築していき、それを放つ。
 廊下を曲がり最初に飛び込んできた氷凝鳥の一羽に命中し、炎と共に廊下に墜落する。
「ん。了解。思いきり暴れてもらう。交渉するからちょっと待ってて」
 そして未夜子は召喚魔銃ヴィルデ・ヘーアの引き金を引いてユーベルコードを起動、アスモデウスを召喚すると交渉を開始する。
 その間に鳥達は次々と飛び込んでくるが、天花はそれらに注意深く狙いを定め炎の矢を放って撃ち落していく。
 一部が天井付近まで急上昇し回避せんとするが、
「アナタ達のユーベルコードにも、まっけないんだから!!」
 多重詠唱により天花が追加で炎の矢を作り出しながら追いかけるように連続で矢を放ち撃ち落す。
「全力でやっていい。それから、このへんの財宝、好きにしていい」
 天花の牽制の間に交渉を整えた未夜子、悪魔への報酬はこの周囲に凍り付いた財宝の数々。
 当然猟書家を撃破し解凍してからでなければ持っていけないだろうが――だからこそ、悪魔はその力を存分に振るってくれるだろう。
 財宝を重要視する者が見れば速攻止めるだろうが、未夜子はそれほど食べられない財宝に興味がないから問題はない。
 アスモデウスの獄炎が廊下一面を舐めるように覆い鳥の群れを包み込んで焼き尽くすと、合わせて天花が魔法で炎の矢を一斉にぶっ放し強引な突破も阻止していく。
 炎が消えた後には溶けない氷の廊下、そして焼かれ焦げてしまった鳥達の亡骸。
 追撃がない事を確認した上で、二人の少女は冒険者たちのいるであろう方角に向かって再び駆けだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア(サポート)
集団戦ですか。良いでしょう、人手が要るのであれば、お任せください。

指定ユーベルコードの中から、極力一網打尽にできるようなものを優先して使用。
正面切っての戦いはそこまで得意でもないですが、こちとら射撃や罠が得意分野。ゲリラ戦はお手の物です。
待ち伏せ、誘い出し、相手の裏をかいて警戒の外から攻め立てていきますよ。
存分に敵陣を引っ掻き回してやりましょう。

戦いは試合じゃない。フェアプレイなどはする気はありません。
人道からは外れずとも、卑怯と言われそうな手も……まぁ、場の空気が許すのなら、躊躇なく。
最小の労力で最大の戦果を。スマートに進めていきましょう。


ヴィゼア・パズル
財宝。…金銀細工が多いと。…ほぅ?楽しみですね。
良い石もあると良いのですが。では、参戦させて頂きましょうか。
敵のあの姿……中々、美味しそうな方ですね?
戦闘面特化として参戦しましょう
【空中戦・空中浮遊】を常時展開、仲間との連携重視
氷に覆われているとは…嬉しい限り。材料がいくらでもあるじゃないですか。
【属性攻撃・範囲攻撃・全力魔法】の技能発揮し星脈精霊術。浮かぶ相手を的に竜巻を発生。【2回攻撃】で壁際に寄った敵に【鎧砕き・串刺し】を狙います。財宝は戦闘が終わり次第、ゆっくり見せて頂きますよ。



 そして同時刻、氷の城の廊下を大小二つの影が駆けていく。
 小柄な影――整った身なりと所作のケットシー、ヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)はふわふわと浮遊し足を着かぬようにしている。
 風の精霊を従える彼にとって空中浮遊は呼吸をするように容易い。この王城の雰囲気を懐かしくすら感じながら宮廷指南者であったヴィゼアは進んでいく。
 そんな彼に並び駆けるはシャルロット・クリスティア(弾痕・f00330)。
「財宝。……金銀細工が多いと聞きましたが」
「そうらしいですね。実際氷の中にそれらしきものが幾つも見えます」
 シャルロットが壁の氷を叩けば、その奥にはきらりと輝く金属が見える。氷に閉ざされていなければどれ程美しく輝いて見えるのだろう。
「ほぅ? 楽しみですね。良い石もあると良いのですが」
 感心した風に言うヴィゼア、けれどどちらかといえば財宝よりも鉱石の方がいい。真の姿の主食たる石であるならなお良いのだけれども。
 そんな二人が廊下を走っていると、轟音が聞こえてくる。
 この通路の先、顔を見合わせ二人はその音に向かい速度を上げた。

 二人が辿り着いたのは玄関ホールの三階。
 開いたまま凍り付いていた扉の陰から覗き込んだ二人、見える範囲でもかなりの数の氷凝鳥達が撃ち落とされ屍の山を築き上げている。
 しかしそれでもまだ氷の鳥達はホール内を飛び回っていて、壁際に陣取る冒険者たちを狙い氷の矢を放ち続けている。
 対抗してエルフが放つ炎の魔術と前面に立つパラディンの盾が結晶片の矢を防ぎ、そして矢鱈派手な服装のアーチャーの矢が反撃で正確に矢を放っていくけれども、氷の鳥のガードは固い。
「敵のあの姿……中々、美味しそうな方ですね?」
 舌なめずり、なんて品の無い事はしないヴィゼア。けれど鳥は猫に狩られるものである事実に変わりはない。
 大まかな状況は把握できた。ならば二人のすべき事はただ一つ。
「集団戦ですか。良いでしょう」
「では、参戦させて頂きましょうか」
 愛用の銃器を構えるシャルロット、そしてヴィゼアも風の精霊を指揮杖に変えて翠煌翼刀の柄と一体化させ、同時にホールへと飛び込んだ。
 ホールへと飛び込んだシャルロットは即座に周囲に視線を遣って影になって視認できなかった戦場の地形を把握する。
 天井のかなり高いホール、更に階段に凍った彫刻や装飾の数々。視線を下げれば棚や壁等で狭まった場所、或いは潜伏にも適している個所が幾つか見える。
 凍り付いて移動させる事は難しそうだがそれだけ分かれば十分。先程軽く遣り取りしたヴィゼアの戦法、それに合わせた作戦を組み上げつつ、彼女に向けて放たれた氷の結晶を回避しつつその身を隠す。
 元より彼女は正面対決は不向き、ゲリラ戦の方が得意なのだ。
 罠は相手が氷の鳥でかかり辛い、地形に身を隠しながら大型の機関銃を構えて掃射し鳥達に命中させていく。
「使えるものは何でも使う……!」
 反撃に放たれた鋭利な結晶体を躱しながら、シャルロットはこまめに移動しながら物陰より奇襲を仕掛けていく。
 手数は常よりも多い。周囲を利用しいけると思った作戦を実行する限りその威力と手数を三倍にするユーベルコードの効果を発揮している今、たった一人とは思えぬ程の弾丸の嵐が氷の翼を貫き撃ち落としていく。
 シャルロットが攪乱に徹する一方、ヴィゼアは優雅に魔術を紡いでいく。
 氷に覆われているこの場は普通に考えれば不利だろう。
 けれど精霊術士でもある彼には逆だ。精霊の術を行使する為の材料、それがここにはいくらでもあるこの立地は上善だと。
 氷凝鳥達がゲリラ戦を嫌いホールの天井まで一気に高度を上げる。
「おいで、狩りの始まりだ」
 それがヴィゼアの狙っていたタイミング、彼は指揮杖で巨大なホールの天井まで飛び上がった氷凝鳥を指し示し星脈精霊術を起動する。
 途端、鳥を中心に巨大な竜巻が発生する。
 全魔力で限界まで巨大化させた竜巻は、回避の為に飛び上がった鳥たちの予測すら無にする程に巨大。
 それは全てを巻き込み暴力的な風圧で引きちぎるか、あるいは弾き出し壁に叩き付けていく。
 更に鳥達が叩きつけられた瞬間、竜巻から建物の壁から削り取った氷塊が発射され、壁に挟み込むようにして氷凝鳥の氷の固さを物ともせず貫いていった。
 そしてその竜巻に注意を惹きつけられ高度を落とせば真下からシャルロットが気配を消し引き絞った弓から矢を嵐の如く氷凝鳥達に放っていく。
 彼女に奇襲を避けるようなフェアプレー精神はない。これは試合などではなく生きる為の戦いなのだから。
 悪霊の少女は最少労力で最大の戦果を狙い、スマートな支援に徹する。
 上下同時に攻め立てられ大混乱に陥った氷凝鳥達、その悲鳴が途絶えるまでさほど時間はかからなかった。

 そして氷凝鳥達の鳴き声と羽音がなくなり静まり返ったホール。
 けれど氷に溶ける様子はない。
「……財宝を見るのはもう少し先、ですか」
 少々残念に思いながら、ヴィゼアはすぐに切り替える。
 財宝は逃げも隠れもしない、この状況を作りし猟書家を打ち倒せばいいのだと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『財宝妖精ブラクテ』

POW   :    財宝の竜<グランツ>
自身からレベルm半径内の無機物を【合体させ、巨大な財宝竜】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    収集欲<ベギーアデ>
【財宝】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[財宝]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    竜の眼<アオゲ>
【【竜眼の宝珠】の呪詛】によって、自身の装備する【3秒以上視続けた財宝】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●財宝妖精は石を求め
『助かったよ! 有難う!』
 猟兵達に真っ先に礼を言ったのはフェアリーのミチトラ、そして彼女に続き三人が次々に礼を言う。
『お礼をしたいところだが……この石くらいしか収穫はないのでね』
 弓手のザンザラが奇妙な石を取り出す。なんとなく、不思議な力が宿っているように感じるがどう使うのかは分からない。
『とにかくここを出ましょう。一度体勢を立て直さねば……』
 聖騎士バジリコが不安げに呟きかけたその時、氷の世界に黄金の輝きが突如出現した。
『ようやく見つけた! さあその石をおとなしく渡してくれれば苦しませずに殺してあげるよ!』
 輝きの本体は奇妙な装飾を纏うフェアリー、だが猟兵達は即座に理解する。
 このフェアリーこそが城を氷に閉ざした氷凝鳥達の主、大天使ブラキエルの配下である猟書家の一体なのだと。
 けれどそこで火球が妖精に向かい放たれる。軽々妖精はその攻撃を躱すが、放ったエルフの少女のカンパネラは強い視線を向けている。
『あれあれ、苦しむ方をお望みかい? ならこの財宝の力をたっぷり刻み込んでやろう』
 そして死ね、そう冷徹に言い放つ妖精に、冒険者達は立ち上がり戦闘態勢をとる。
 優秀な冒険者――危機に対して即座に対応しようとできる彼らは、きっと真っ向勝負ではあっさりと負けてしまうだろう。
 しかしここには猟兵がいる。協力して討つか、はたまた単独で戦い討ち果たすか。
 いずれにせよ、戦いは避けて通れないだろう。
 ――氷の天空城の戦い、第二幕が開始された。
コノカ・ハギリガワ(サポート)
『やるわ。私に任せなさい!』
 サイボーグの鎧装騎兵×戦巫女、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
出身世界:スペースシップワールド

性格:勇敢
戦場では積極的に前線に切り込み、敵の注意や攻撃を引き受けます

・戦闘
勇翠の薙刀を主に使って戦います
また、エメラルドアームから発生させた障壁で仲間を庇います

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 真っ先に飛び出したのは黒地のボディースーツに翠光のライン輝く戦闘衣纏うサイボーグの女。
「やるわ。私に任せなさい!」
 翠色のフォース刃を備えた機械薙刀で財宝妖精を薙ぎ払わんとする彼女はコノカ・ハギリガワ(勇を示す翠・f06389)。
 翠刃の軌跡を財宝妖精は恐ろしく俊敏な動きで回避し、そして周囲の氷ごと財宝を合体させて巨大な財宝竜を作り出す。
 咆哮と共に財宝竜がコノカを薙ぎ払わんとする。
 回避――だが後方に冒険者のドワーフがいる。躱したなら彼に直撃してしまうだろう。
 そう即座に判断したコノカは左腕を翳し装着した長手袋から展開した翠の障壁でガードする。
 障壁は爪を阻むが純粋な質量と衝撃で彼女と後方にいたドワーフは大きく弾き飛ばされた。
 その二人と入れ替わりにシーフのフェアリーが飛びだして財宝妖精にダガーで接近戦を挑む。
 奇襲に思わず回避せんと後退する財宝妖精だがミチトラはそれに追い縋る。操っている財宝竜に対応させようにも主と同程度のサイズで至近距離まで迫り続けているため手を出させられない。
 その隙にコノカのユーベルコードの準備が整う。
「私の声に応えなさい。一気に敵を殲滅するわ!」
 言葉と共に召喚されたのは彼女の五倍はある翠の巨大ロボット。召喚している間は得意とする俊敏な動きを封じられてしまうが――その分火力は折り紙付き。
「下がって! 一気に撃ち抜くわ!」
 シーフのフェアリーに警告し、コノカはロボットに攻撃の指令を出す。
 放たれたミサイルは財宝竜に命中し爆破、その爆風で動きを阻害された財宝妖精の肩を翠のレーザーが撃ち抜く。
『やってくれるね……!』
 財宝の力でダメージは軽減されているようだが、初撃は成功。
 殺意を膨らせ財宝妖精は猟兵と冒険者を睨みつけていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベリザリオ・ルナセルウス(サポート)
人々を救う事や未来を蝕む者を倒す事は責務ですが、オブリビオンにも救いが訪れる事を願ってやみません
オブリビオンが救われる世になれば大切な織久も安らげるかもしれませんから

救助活動や傷の治療は得意です。体の傷を癒し、心の傷も音楽によって癒しましょう
失せ物探しや動物も対象にできる情報収集で探索・調査も行えます。鈴蘭の嵐で花弁の流れや光の屈折率を変えてのカモフラージュの見破りもお任せください

仲間と連携しての戦いこそ私の真価が発揮できます
味方を鼓舞し、援護する事で敵を挑発して引き付け、味方を守る
より強力、広範囲の攻撃なら無敵要塞で庇います
剣と盾で攻撃を防ぎ、敵の武器を払い、味方が攻撃できる隙を作りましょう



『ならこれでどうだい!』
 財宝妖精が装備する宝珠は妖しく輝かせれば、装着していた財宝、そして氷に閉じ込められた財宝の数々が氷から飛び出して猟兵と冒険者たちに襲い掛かる。
 一つ一つはそれ程重い攻撃ではないが数が多い。隙を見せれば集中攻撃を受け致命傷となる可能性が高いだろう。
 純白の盾と淡く刀身煌めく誓いの剣で財宝を退ける紫水晶の薔薇を金の髪に咲かせたオラトリオ、ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)。
 後方の冒険者達や猟兵に向かう攻撃を退ける彼は猟書家、オブリビオンを倒すという事を責務と捉えている。
 そして同時に彼は、眼前のオブリビオンにも救いが訪れる事を願っている。そんな世になればベリザリオが大切に想う人もきっと安らげるだろうから。
 後方の冒険者の弓手ザンザラが財宝妖精の動きを見切り矢を放つ。その一撃は翅を貫き僅かに動きに乱れを生じさせる。
 同時、ウィザードのカンパネラが業火の炎弾を放つために術を紡ぎ始め、妖精は自在に操る財宝でその妨害にかかる。
 しかし、ベルザリオが飛来する財宝を阻む。硬質な音を立てて財宝は氷の床に叩き落とされる。
『ああうっとおしい!』
 苛立つ財宝妖精だが連携こそベルザリオの真価。敵の注意を惹きつけその攻撃を全て防ぎきる騎士の戦い方だ。
 彼が守り稼いだ間に放たれた炎弾が妖精を包み視界を封じ込める。
 その炎を振り払おうとする今がチャンス――ベルザリオは見逃さずに盾を下ろし、慈悲の音楽の名を冠する竪琴を構える。
「我が旋律に祝福あれ!」
 祈り、竪琴の弦を爪弾けば、旋律は矢となり宙を舞う財宝をすり抜け妖精の肩を斬り裂き弾き飛ばす。
 致命傷にはまだ遠いが着実にダメージを重ねてきている。
 あくまで穏やかに、紫水晶の薔薇の騎士は後方の者達を守るべく再び盾を構えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

片桐・公明(サポート)
快活な女性ですが知的な一面もあり、依頼に参加する際事件の背景について思考を巡らせ考察します。感情的な行動は滅多にしません。

主に二挺拳銃『Mathem842』『臥龍炎』を使用した遠近問わない戦闘を行います。時折、または接近戦を重視する場合は妖刀『血吸』を使用します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します。ただし敵の攻撃に対しては回避を主体にして、なるべく負傷しないように立ち回ります。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ

知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね

防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー

そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです



 一方その頃。
 ホールの三階からこっそり顔を覗かせるスノードロップのオラトリオの少女、ミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)。
 見知らぬ人たち沢山な状況で気後れし、飛び出すタイミングを見失っていた。
 参戦するには少々怖い、もう少し推移を見守ってから――と考えつつ、彼女は手すりから身を低くし戦況を伺っていた。

(「この天空城の財宝以上にあの石に価値があるのかしら」)
 戦いの中、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は思案を巡らせる。
 これまでの戦いでこの妖精は財宝そのものを力としていた。天空城にある多くの財宝を氷で閉ざし他の誰にも奪えないようにしているが、そんな妖精があの弓手の石を求めるのは奇妙に思える。
 猟書家としての使命なのだろうか――と、炎を振り払った財宝妖精はその身に遠隔操作していた財宝を再び集め纏う。
 そして、一気に加速する。
 その身に財宝を多く集める程に自分自身と財宝の力を強化するユーベルコードと看破した公明は、挙動を見極めながら両手に【Mathem842】と【臥龍炎】の双銃を構える。
 反動の少なく扱い易い銃と、反動が大きく威力の高い癖の強い銃。二つの銃の癖を理解し的確に弾丸をばら撒いていく。
 しかし飛び切り小柄な妖精で的が小さく速い。弾丸の嵐を見事に回避して財宝の剣を構え飛び込んでくる。
 軽く舌打ちして横に転がるようにして回避行動、即座に反撃を試みるも射線上に冒険者を視認してしまう。
『ほらほら、さっさと攻撃してきなよ。全部避けてあげるけどもね!』
 同士討ち狙い――財宝妖精の小柄な体と強化された能力は捉え辛く、範囲攻撃でもなければ簡単には捉えられない。
 だがそれも同士討ちの危険があるなら躊躇ってしまう。
 少なくとも銃は分が悪いと血吸を抜き、その乱刃で財宝妖精を切り捨てんと刀を振るう。
 びゅんびゅんと強化された力で飛び回る財宝妖精は高速、冒険者達も翻弄され同士討ちを恐れて踏み込んだ攻撃ができない。

 そんな状況をはらはらしながらミスティは見下ろしていて、決意する。
 ――他の人が怪我するのは嫌だ。
 高さと距離、そして誰にも認識されていないこの状況であればミスティのユーベルコードの真価を発揮できる。
「トリさん、ゴーなのですっ」
 小声でびしっとミスティが指させば、デフォルメ調のにわとり姿の精霊が彼女の頭の上にぽん、と出現し、飛び跳ね妖精に向かって急降下攻撃を仕掛ける。
 全く想定だにしていない奇襲は高速で飛び回る妖精の頭を見事に捉え、そのまま氷の床へと墜落させる。
 そしてそこからの復帰――けれど公明はその挙動を見切っている。
(「忌々しい。忌々しいけど、美しい」)
 これまでの挙動から最適な殺戮経路を算出していた彼女は生じた隙に血の如く赤黒く濁った刃で一閃する。
 財宝に守られやや傷は浅いが即座に双銃へと持ち替え弾丸を近距離から一斉にぶっ放す。
 纏う財宝の守りをも砕き貫通し確かに財宝妖精を撃ち抜く。
 しかし猟書家であるためか、仕留めきるにはやや届かなかった。
『ナメるな……!』
 追撃にかかるフェアリーに向けカウンターで財宝の刃を振るう財宝妖精。
 しかしその反撃は魔力で構築された障壁に阻まれ、上方からオラトリオの少女が飛び降りてくる。
「ちょっと怖いですけど……皆を守るのですよー」
 そうミスティは自分に言い聞かせ、構えを取る。
 反撃はあるが財宝妖精がとっくに満身創痍である事には変わりはない。
 確実な撃破と天空城解放の為、猟兵達は一気に畳みかける。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニクロム・チタノ
出たね猟書家これ以上はやらせないよ!
巨大な財宝の竜か、なんか竜の力を悪用するヤツは許せないね
というか大事な財宝で戦うのっておかしくない?
まあいいや、反抗の加護あり
重力領域を展開する、そんなに巨大なら重力を掛けられたら自重で動けないでしょ?
冒険者のみんな今だよ護りの蒼焔で防御力を上げてるから一気に攻め立てよう、おっと冒険者に気をとられてると反抗の雷装で倒しちゃうよ!
反抗を開始するどうか反抗の竜チタノの加護と導きを



「出たね猟書家! これ以上はやらせないよ!」
 傷を重ねてなお闘志を燃やす財宝妖精ブラクテの前にニクロムが飛び出し妖刀を構える。
『この程度の傷! お前達なんかに財宝は渡さない!』
 財宝妖精はありったけの力を振り絞る華夏のような叫びと共に、周囲の無機物を再び合体させ巨大な一頭の財宝竜に変換。
 激しく振るわれたその尾は猟兵達と冒険者を一息に薙ぎ払い吹き飛ばす。
 財宝で形作られた竜、反抗の竜に選ばれ守護されているニクロムにとってこれは竜の力の悪用に当たる行為。
 許す事などできはしない。
「……というか大事な財宝で戦うのっておかしくない?」
『負けたら失うってのに出し惜しみなんてできないね!』
 ふと浮かんだニクロムの疑問に財宝妖精的にはきっと当然なのだろう答えが返ってくる。
「まあいいや……『反抗の加護あり』」
 それ以上ツッコまずニクロムはユーベルコードを起動。
 途端雷と蒼炎が彼女を守護するように広がり、更に彼女の周囲に重力領域が展開される。
 その領域は巨大な財宝竜も当然のように射程に捉えていて、財宝竜の巨大な頭が氷の床に叩き付けられる。
「そんなに巨大なら重力を掛けられたら自重で動けないでしょ?」
 大きな構造をしていればその分重力の影響は大きくなる。頭と手足、そして尾を床に縫い止められたような格好に財宝竜は押さえつけられて。
「反抗を開始する――どうか、反抗の竜チタノの加護と導きを。みんな今だよ。一気に攻め立てよう」
 冒険者達にそう促せば、ウィザードが財宝竜を包み込むような業火の魔術を紡ぎあげ、更に弓手が天に向けて矢を放ち、重力加速を乗せた一矢で竜の翼を真上から貫いた。
 そして聖騎士が一気に飛び込みその刃で財宝竜の首を半分切断するような斬撃を繰り出す。
『こんなバカな……』
 呆然とする財宝妖精、けれどそちらに完全に意識が向いている内にシーフが飛び込みダガーを鋭く振るう。
 間一髪で避けた財宝妖精は、手元に残していた財宝の剣で貫こうとした。しかしそこにニクロムが割込み、蒼焔を纏った腕で切先を止める。
 そして直後、反抗の雷装の力を解き放つ。紫電が奔り、財宝妖精の体を雷撃が貫いた。 その一撃を最後に財宝妖精は氷床へと力なく墜落する。
『おのれ……財宝……』
 最期の瞬間まで財宝に手を伸ばしながら、その身は周囲の氷と共に風に溶けるように消え失せた。

 猟書家の撃破と共に急速に天空城の氷は溶け、本来の王城の姿を冒険者達と猟兵達に晒していた。
 あちこちに見える財宝を回収しつつ、弓手のザンザラは思案していた。
 この奇妙な石が今回の不幸の原因なのだと。持っていてはまた不運に巻き込まれてしまう――なら、どうするか。
 彼は普段通りの調子で近くを通った猟兵に話を持ち掛ける。
 この石を引き取ってほしい、きっと何かの役に立つだろう、と。

 かくして天空城の財宝を回収した冒険者を見送って、猟兵達も財宝と謎の石と共にグリモアベースへと帰還したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月18日


挿絵イラスト