6
大天使に贈る終止符

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #大天使ブラキエル #オウガ・フォーミュラ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#大天使ブラキエル
🔒
#オウガ・フォーミュラ


0




●月面
 オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』の目的、すなわち『天上界への到達』。それは、骸の月の沈黙と共に阻止された。
 ここ『月面』で、ブラキエルは深く息をつく。
「我が友よ」
 彼は、手にした剣へと話しかけた。
「君の願いは叶わなかった。君は『書架』へと帰るがよい。我は、天上界の扉を開く僅かな可能性を実行しよう……もっとも、ヴァルギリオスさえ見逃し、あまつさえ封印された愚か者共が、今更地上の危機に扉を開く事もあるまいが……」
 剣は、虚空へと消え去る。
「さあ、行くとしよう。わが懐かしの、天上界に至るために。地上に、至上の危機をもたらすとしよう。躊躇いはせぬ」
 ブラキエルは翼を大きく広げ、アックス&ウィザーズへ向けて、月面から飛び立った。

●グリモアベースにて
「オウガ・フォーミュラ、『大天使ブラキエル』が自ら動き出しました。彼はアックス&ウィザーズの街の噴水広場に降り立ち、周辺住民を無差別大量虐殺しようとしています。絶対に止めてください」
 アウグスト・アルトナー(悠久家族・f23918)は告げる。いつもどおりの無表情だが、話し方が心持ち早口だ。焦りがあるのかもしれない。
「大天使ブラキエルを『20回』倒したなら、完全に滅ぼすことができるでしょう。至急、街に転送致します。まずは、レッサーデーモンの軍団を。その後に、ブラキエルの最強の腹心、『孤独の錬金術師』アルキテクトゥスを倒してください。それから、ブラキエルと戦うことになるでしょう」
 深呼吸して気持ちを落ち着けてから、アウグストは説明を続ける。
「レッサーデーモンの軍団は、ブラキエルによって『岩石の腕』を移植されており、ユーベルコードの破壊力を大幅に強化されています。ですが、現地にはクレリックのサラサさんがおり、この戦いに駆けつけてくるという予知が出ました。彼女と協力すれば、戦いを有利に進められるでしょう」
 クレリックのサラサ。その名に聞き覚えのある猟兵もいるかもしれない。つい先日、群竜大陸に連れ去られて殺されるところを猟兵に救われた、言葉の神シャルムーンの信徒だ。
「それと、ブラキエルの腹心であるアルキテクトゥスについてですが、『絶対物質ブラキオン』と呼ばれる『未知の単一原子でできた鎧』を装備しており、これは絶対に破壊できません。なので、倒すには『鎧のわずかな隙間を狙う』しかないのですが……輝く鍵を抱えた、フェアリーのティキルさんの姿が予知で見えました。絶対物質ブラキオンを破壊する別の方法を、彼女は何かご存じかもしれません」
 ティキル。自らのフェアリーランドを猟書家に悪夢化されたが、サラサと同様に、猟兵たちに救われた、物腰丁寧なフェアリーの女性である。
「ブラキエルについては、皆さんだけの力で戦うことになるでしょう。ブラキエルは、必ず先制攻撃をしてきます。対抗手段を考えてください」
 全ての説明を終え、アウグストはグリモアを手のひらの上に浮かばせた。
「行ってらっしゃいませ。どうか、ご無事で」


地斬理々亜
 地斬です。
 オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』との初邂逅、そして最終決戦です。

●重要
 大天使ブラキエルは、『20回』倒せば完全に滅ぼすことができます。
 余剰成功分は、何か良いことがあるかもしれません。

●プレイングボーナス
 第1章のプレイングボーナス……援軍と共に戦う。
 第2章のプレイングボーナス……鎧の隙間を狙う/アイテムを使う。
 第3章のプレイングボーナス……先制攻撃に対抗する。

 となっております。
 第1章でのサラサの能力、および、第2章での『輝く鍵』の使い方は、断章で補足します。

●登場NPC
 第1章:『サラサ』。言葉の神シャルムーンの信徒であり、クレリックの女性。
 痛みを紛らわす程度のごく弱い回復魔法しか普段は使えませんが、このシナリオの第1章においてはしっかりと戦力になります。
 登場シナリオ:『砂時計が尽きる前に』( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=33265 )

 第2章:『ティキル』。フェアリーの冒険者である女性。
 物腰丁寧で礼儀正しく、アイテム『輝く鍵』を抱えてやって来ます。
 登場シナリオ:『歪曲ファンタジア』( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=31058 )

 第3章:なし。

●リプレイでのアドリブについて
 アドリブ多め希望の方は、お手数ですが、各章ごとに、プレイング冒頭に『◎』の記号をお入れください。
 何もなければ、可能な限り、プレイングに忠実なリプレイに仕上げます。

●プレイング受付について
 各章、断章投下と同時に受付開始します。
 受付締め切りの日時は、様子を見て決めさせていただきます。
 ツイッターと自己紹介ページ、シナリオタグでお知らせ致しますので、ご確認ください。

 参加人数などによっては、プレイング不採用が発生する場合もあり得ます。
 あらかじめご了承の上、ご参加ください。

 以上です。それでは、ご武運を。
49




第1章 集団戦 『レッサーデーモン』

POW   :    悪魔の三叉槍
【手にした三叉槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    金縛りの呪言
【手で複雑な印を結んで】から【呪いの言葉】を放ち、【相手を金縛り状態にさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    呪いの鎖
【投げつけた三叉槍】が命中した対象を爆破し、更に互いを【呪われた漆黒の鎖】で繋ぐ。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●援軍
 猟兵たちが転送されたのは、ブラキエルがいる噴水広場からは少し離れた、街中だ。
 宿屋に道具屋、武器屋に防具屋、酒場、住居などがある、ごく普通の街である。
 見れば、人々が逃げ惑う光景がそこにあった。彼らを追おうとしているのは、岩石の腕を移植された、レッサーデーモンの軍団である。

「――ご恩返しをする時が来たね!」
 猟兵たちを出迎えるようにして、クレリックが姿を現した。彼女が、言葉の神シャルムーンの信徒、サラサである。
「手短に言うよ。昨晩、シャルムーン様のお告げがあったの。私は今日、このレッサーデーモンとの戦いにおいてだけ、二種類の力が使えるって!」
 サラサが言うには、その力とは、こうだ。

 一つ目……ヒールビーム。命中した対象を高速治療する。
 二つ目……アンチカース。手で対象に触れることで、対象が10秒以内に受けた呪詛を解除する。

「いっぺんに両方使うことはできないみたいだから、私がどっちを使うか、各自、選んでね!」
 サラサは言い、猟兵たちの指示を待つ態勢に入った。
 彼女の助力を得れば、ブラキエルに強化されたレッサーデーモンとの戦いを、有利に進められるだろう。
===
●MSより追記
 複数名の猟兵による共同プレイング(ペア参加、グループ参加)の場合、サラサの使える能力は『1グループにつき1種』とさせていただきます。
 『猟兵1人につき1種』ではありません。よろしくお願いします。
===
緋月・透乃

おおー!いよいよブラキエルがやる気になったみたいだね!
オウガ・フォーミュラだけあって強そうだし、はやく戦いたいね!
そのためにも、まずは手下共で準備運動といこうか!

戦い方はシンプルに重透勢を使いRX推進戦鎚九六式の推進機を利用した高速移動で正面から敵中に突っ込み、強化された能力と怪力にまかせて武器を振るい敵を倒す!
敵の攻撃は強いらしいけれど、こっちの守りも強くなっているし、ダメージを受けても気合で耐えて攻撃の手を緩めない!
これだけだね!
サラサにはヒールビームを使ってもらって、更にゴリ押しを続けていくよ!



●好戦娘は今日もゆく
 オウガ・フォーミュラ、大天使ブラキエル。その最終決戦を前にして、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は――嬉しそうに笑っていた。
「はやく戦いたいね!」
 彼女にとって、強敵との戦いは、楽しみ以外の何物でもない。敵が強ければ強いほど、透乃は喜ぶ。
 ゆえに、ついにブラキエルが動き出したということは、彼女にとって『とても喜ばしいこと』なのだ。
「まずは手下共で準備運動といこうか! ごり押しでいっちゃうよ!」
 ポニーテールにまとめた、透乃の赤い髪。その頭頂部付近の一部が、ぴょんとアホ毛に変形した。ユーベルコード『重透勢』を発動した証である。
 これにより、透乃の攻撃力や防御力は高まるが、代償として敏捷性がなくなる。その失われた敏捷性を補うために、透乃は手にした戦鎚の推進機を起動した。
 柄以外はキャバリア用のままの、RXロケットハンマーだ。それを扱えるのは、透乃の怪力あってこそだろう。
 その『RX推進戦鎚九六式』に引っ張られるようにして、高速移動を行い、透乃は正面からレッサーデーモンの群れに突っ込んだ。
「いくよ!」
 ロケットハンマーは移動用だ。それを、透乃は主武装である『重戦斧【緋月】』に持ち替える。透乃は大斧を振りかざし、レッサーデーモンの首を薙いだ。頭部を失ったレッサーデーモンが崩れ落ちる。
 次の瞬間、別の個体が岩石の腕に持った三叉槍が、透乃の脇腹を貫いた。
 フォークを乱暴に刺されたゼリーのごとく、透乃の全身を破壊しかねない威力。そうならなかったのは、透乃がユーベルコードで防御力を高めていたおかげだろう。
「本当に強いんだね!」
 気合いで耐えながら、透乃は笑う。攻撃の手は、緩めない。振り向きざまの大斧の一撃が、敵の心臓を断ち割った。
「頑張って……!」
「言われなくても!」
 サラサが後方から放つ治癒の光線をその身に受けながら、透乃は次々にレッサーデーモンを薙ぎ倒してゆく。負傷も顧みずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム

オウガ・フォーミュラ。相手にとって不足なしです
挑むため、まずは確実に配下を屠りますね

前に出ますので、
サラサさんにはヒールビームで援護をいただけますでしょうか
【勇気】と【覚悟】。そして【気合い】を以て臨みます!

デーモン相手なら聖(もしくは火)の【属性攻撃】を宿す
武器で戦いますね

【なぎ払い】、もしくは聖なる【衝撃波】
より多くのデーモンに命中するように打ち込んでは
ヒットアンドアウェイ。【ダッシュ】で離れることも行います
囲まれないよう相手に捕まらないよう注意です

相手の強化されたUCには注意して
ぎりぎりで【見切り】、避けきれずとも【オーラ防御】で弾いて
【カウンター】の《麗掌破魂杭》の一撃を見舞います!



●邪を砕く暁光
「オウガ・フォーミュラ」
 その呼称を、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は口にする。
「相手にとって、不足なしです」
 その曇りなき空色の瞳に宿るのは、勇気と覚悟。
「サラサさん、ヒールビームで援護をいただけますでしょうか」
「任せて!」
「よろしくお願いします」
 ユーフィはサラサと言葉を交わすと、前方へ駆けた。気合いは、十分だ。
 ユーフィが構えたのは、大型武器『ディアボロス』。密林に住まう彼女の部族に伝わる創世の大剣を、叩き直して作り上げた武器である。
 聖なる光を帯びたそれを、ユーフィは横薙ぎに振るう。叩き割るようなその一撃を受けた、複数のレッサーデーモンが吹き飛ばされ、消滅した。
 ヒットアンドアウェイ。素早くユーフィは地を蹴り、後退する。彼女の瞳の数センチ前を、三叉槍が通り過ぎた。
 ユーフィの手で、再度ディアボロスが振るわれる。そこから放たれた聖なる衝撃波が、邪悪なレッサーデーモンたちに浴びせられ、彼らを焼き尽くしていった。
 ユーフィの攻撃を逃れたレッサーデーモンの一体が、烏の翼を広げて飛び、ユーフィ目がけて接近してくる。その岩腕に握られた三叉槍から、ユーフィは目を逸らさない。
 見切り、ぎりぎりのタイミングで身をかわす。急所への直撃は避けたものの、三叉槍はユーフィの脇腹に向かった。ユーフィはすかさず抗魔のオーラを展開し、弾く。これにより、刺し貫かれることは防がれた。
 それでも、痺れるような痛みがユーフィを襲ったが、すぐに消えた。サラサが治癒の力を行使したのだ。
 ユーフィは心の中で礼を言い、拳を固めてカウンターの構えを取る。
「我は掲げる、闇を貫く蛮勇の拳……」
 その拳を、目の前のレッサーデーモンの胸へ突き出す。
「――轟く!」
 ユーフィの一撃は、杭に変わった。悪しき魂すら打ち砕く、暁光の杭だ。
 魂ごとその身を砕かれ、レッサーデーモンは果てた。
 ユーフィは呼吸を整え、瞳を残敵へと向ける。強い信念を宿した、その瞳を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アパラ・ルッサタイン


此処はあなた達の住処ではないよ
疾く、お帰り頂こうか
サラサさんは初めましてだね
今日は宜しく頼むよ

火を扱って店や住居を燃やすような事があってはいけないな
この後も此処の方々は生活を続けねばならんもの
アプサラス、お越し頂けるかい

先ず人々を襲う者共を掃っていこう
振り上げる腕や足を中心に友の氷柱で貫き縫い止める
さ、今の内に
住民の方々には鼓舞して

三叉槍は極力見切り避けるが
避けられない時や、サラサさん、人々へ向くものはこの身で庇う
もしも鎖された時は
サラサさんのアンチカースで解呪をお願いしよう

黒は嫌いじゃァないけどね
あたしを繋ぐ黒は、之ではないの
開放されたら、さあてもうひと踏ん張り!
頑張ろうな、サラサさん



●繋ぐ黒
「此処はあなたたちの住処ではないよ。疾く、お帰り頂こうか」
 レッサーデーモンたちを軽く睨んだのは、アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)だ。
「サラサさんは初めましてだね。今日は宜しく頼むよ」
「こちらこそ」
 相好を崩し、アパラはサラサへ声を掛ける。つられるように、サラサは笑い返した。
 それからアパラは、周囲へと、遊色を宿す瞳を向ける。この街中で、己が得意とする火を扱うことは、彼女には好ましいと思えなかった。住民たちの生活は、これからもここで続くのだから。
「アプサラス、お越し頂けるかい」
 それゆえに、アパラは、水の術を操る悪魔を喚んだ。アパラが制作した鉱石ランプから、内緒の友人たる悪魔が姿を現す。
「人々を襲う者共を掃っておくれ」
 アパラが指さした先には、レッサーデーモンたちが、街の若者たちに向けて岩腕を振り上げ、あるいは足で踏み潰そうとしている姿。頷いたアプサラスは、氷柱でその手足を貫き、縫い止める。
「さ、今の内に」
 アパラが言えば、若者たちは何度も礼を言いながら逃げていった。
 レッサーデーモンたちが、ぎろりとアパラを見る。彼らは三叉槍を構え、彼女目がけて投擲した。
 それら一本一本をアパラは見切り、回避する。
 けれど、ある一本の槍が、自身ではなく街の住民の親子に向かったのを見て、彼女はとっさに手を伸ばした。

「……あは、やってしまったね」
 自分の胸のプレシャスオパールから、漆黒の鎖が生えているのを、アパラは見下ろす。
 アパラの手の中には、三叉槍。刺さったわけでも爆破されたわけでもないが、呪いは発動し、アパラはレッサーデーモンと鎖で繋がれていた。
「黒は嫌いじゃァないけどね」
 ――あたしを繋ぐ黒は、之ではないの。
「頼めるかい」
「ええ!」
 サラサがアパラに触れ、鎖は霧散した。
「ありがとう。さあて――もうひと踏ん張り!」
 頑張ろうな、とサラサに声を掛け、互いに頷き合う。
 それからアパラは、再びアプサラスへと頼み、レッサーデーモンたちへと氷を飛ばしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

古明地・利博


どうも初めまして、クレリックさん。
早速で悪いんだけど少し後で回復をお願いね。タイミングはコレを体から抜いた時だよ、それじゃ。

さて、頑張るか。
歩いて敵軍の前に行きながら喉の近くに魔力増幅装置を刺す。
場所が場所だから少しためらうけど、そんな事言ってられないよね。
敵の近くに来たら終極の慟哭を皆に聞かせよう。
怒りや悲しみ、憎悪なんかを込めたとっておきのモノをね。
敵の動きが止まったら、魔導書を媒体にして全力魔法と二回攻撃で魔力弾をぶち込む。
何体か敵を倒したら増幅装置を体から引き抜こう。

ある程度回復したら近くの武器屋から丈夫そうな剣とメリケンサックを借りるね。請求はグリモアベースにお願い!



●形振り構わず
「どうも初めまして、クレリックさん」
「ええ。初めまして」
 古明地・利博(曰く付きの蒐集家・f06682)は、サラサと短く挨拶を交わし合う。
「早速で悪いんだけど、少し後で回復をお願いね」
「OK、もちろ――」
 利博の頼みを快諾しようとしたサラサだが、利博はこう続けた。
「タイミングはコレを体から抜いた時だよ」
 言いながら見せたのは、ナイフの形をした物だ。
「……えっ?」
「それじゃ」
 戸惑うサラサをそのままに、利博はレッサーデーモンたちのいる方向へ歩き出す。
「さて、頑張るか」
 ナイフのような物を手の中で回転させ、自分に先端を向ける。
 わずかな間ためらってから、利博はそのナイフの形の物――すなわち『魔力増幅装置』を、自身の喉の近くに突き立てた。
「……っ!」
 ふらつきかける。それでも利博は、歩みを止めなかった。
「ia ia cgnaiih ep hai y'-gotha ifhayak hlirgh wfeqa」
 詠唱を行う利博に向けて、レッサーデーモンたちは三叉槍を投擲する体勢をとる。
 次の瞬間、利博は大きく口を開けた。放たれるのは、『終極の慟哭』。対象にだけ聞こえる、悍ましき断末魔である。
 憤怒、悲哀、憎しみ。様々な負の感情がこもるその絶叫を聞いたレッサーデーモンたちの岩腕から、三叉槍がこぼれ落ちる。
 奇妙な魔導書をすかさず開いた利博は、全身全霊での連続魔力弾によって、レッサーデーモンたちの額を射貫いた。

 レッサーデーモンは、全て倒れた。そのことを確認した利博は、魔力増幅装置を自分の体から引き抜く。
 傷口から、生温かい鮮血が溢れた。
「なんていう無茶を……!!」
 半ば悲鳴のように声を上げたサラサが、光線を浴びせ、傷を塞ぐ。
 咳払いして喉の調子を確かめた利博は、言う。
「助かったよ。だから、問題ないよね」

 その少し後、近くの武器屋から、丈夫な剣とメリケンサックが姿を消していた。
 店内には、『借りるね』というメモ。
 後で別の誰かに払ってもらうつもりの、利博の仕業であった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『孤独の錬金術師』アルキテクトゥス』

POW   :    BOOST AXE
【魔法で加速させた右腕の斧】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    SPIDER GOLEM
レベル×5体の、小型の戦闘用【クモ型のゴーレム】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    TARANTULA
【背嚢の中に格納した各種素材】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【クモ型の魔法生物】に変化させ、殺傷力を増す。

イラスト:del

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はクネウス・ウィギンシティです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●孤独の錬金術師
「私が戦えるのは、ここまでだね。健闘を祈るよ……!」
 サラサは言い、猟兵たちと別れて人々の保護に回った。
 猟兵たちは、大天使ブラキエルが待ち受ける噴水広場を目指す。
 その途中の道で、大きなリュックを背負った、一人の人物が立ち塞がった。
 その人物は、全身鎧を身に着けている。絶対物質ブラキオンでできた鎧――すなわち。この人物こそが、ブラキエルの最強の腹心、『孤独の錬金術師』アルキテクトゥスである。
「ここは通さないよ。ブラキエル様は、こんな僕のことも大切にしてくれた。ブラキエル様には傷一つつけさせない」
 鎧を纏った青年は、陰鬱な声音で言葉を漏らした。兜の奥から、彼は猟兵たちを上目遣いで見据える。
「君たちは僕を殺すんだろう? うん。分かってる。皆そうだ。僕の命なんてどうだっていいんだよね。僕を見捨てた冒険者と同じなんだ。君たちもあいつと同じなんだ。だったら――」
 俯いてぶつぶつと呟いていたアルキテクトゥスは、唐突に顔を上げた。
「僕には、君たちに復讐する権利がある! そうだよね! せいぜい苦しんで死んでよ! あっははははは!!」

●輝く鍵の使い方
「よいしょ、よいしょ……!」
 ふわふわと空中を飛んでこの場に現れたのは、輝く鍵を抱えたフェアリーだ。鍵は複数本、猟兵の人数分ある。
「皆さん、この鍵を『食べて』ください! そうすれば、皆さんの攻撃に、あの鎧を一時的に分解する効果が付与されます。物理攻撃でも魔法攻撃でも、召喚魔法などであっても、攻撃ならなんでも大丈夫です。鎧はすぐに元に戻るので、連続攻撃を叩き込んでください」
 言い、フェアリー……ティキルは、猟兵たちに鍵を配ってゆく。
 それなりに大きめの鍵で、見た目は硬そうだ。
 本当に食べられるのか、という疑問を猟兵の表情から察したらしく、ティキルは続けた。
「口に入れれば、雪みたいにスッと溶けますよ。ちなみに、ほんのりと甘いです」
 説明を終えたティキルは、戦闘の邪魔にならなそうな位置に下がり、応援を始めた。
「頑張ってください!」
アパラ・ルッサタイン
あたしはあなたのいう「あいつ」ではない、が……そうだね
あなたを断つ心算で此処に居る事に違いないな
故に、いらっしゃい
全力でお相手しよう

ティキルさんは久しぶりだね!
壮健そうで何より……と、そう、鍵?ありがとう

ひとつ摘んで口に含む
ん、結構おいしいぞコレ
さてティキルさんの頂いたチャンス、活かさねばな

鎧の綻びを確認したら、即詠唱
隙間に向けて炎の矢を降らせよう
一矢を追えたら高速詠唱
二の矢を放つ
厄介そうなクモも、
それを生み出す背嚢も共に貫けるか狙おう

ブラキエルが本当にあなたを信頼して此処に据えたのか
それとも……いや、余計な思考か
もし我々が先へ進めたのなら、ブラキエルに伝えよう
あなたは退かなかったって、ね



●赤色
「久しぶりだね! 壮健そうで何より」
「はい! お久しぶりです」
 アパラを見れば、フェアリーのティキルは嬉しそうに笑った。
「この鍵を食べればいいんだね? ありがとう」
 鍵を一本受け取り、摘まんで、口に含む。ほんのりと甘い味を残して、鍵は溶け消えた。
(「ん、結構おいしいぞコレ」)
 アパラの身体が、一瞬、淡く輝く。
「あなたに頂いたチャンスだ。必ず活かすよ」
「ええ、どうかご無事で!」
 下がったティキルを見送り、アパラは鎧の青年に向き直る。
「あたしはあなたの言う『あいつ』ではない、が……そうだね。あなたを断つつもりで此処に居ることに違いないな」
「だよね。……うん」
 アルキテクトゥスは、再び陰気な声を漏らした。
「故に、いらっしゃい。全力でお相手しよう」
「……なら僕は君に、全力を出し切った上で死なせてあげる!」
 青年はアパラへと声を上げ、右手に握った斧を掲げた。クモ型魔法生物へと変化させようとしているのだ。
 アパラは高速で詠唱を行うと、青年の兜、その目元にある隙間を見据えた。
 ウィザード・ミサイル――無数の炎の矢が、アルキテクトゥスへと降り注ぐ。
 隙間を狙った矢は、直撃。鎧に当たった矢は、一時的にその鎧を分解した。背嚢に命中した矢は中の素材を砕き、青年のユーベルコードの発動を阻害する。
「く……!」
 左目を押さえた、中性的な見た目の青年は、アパラを睨み付ける。その瞳に映ったのは、続けて放たれた灼熱の矢だった。
「うわあああ!!」
 降り注ぐ雨のごとき赤の炎が、青年の全身を貫く。それでも彼は、立ったまま踏みとどまった。
(「ブラキエルが本当にあなたを信頼して此処に据えたのか、それとも……いや」)
 これは余計な思考か、と、アパラは自身の考えを脇によける。
 それから、彼女は口にした。
「もし我々が先へ進めたのなら、ブラキエルに伝えよう。……あなたは退かなかったって、ね」
「……そう。そうか……あはは……」
 青年は左目から手をどける。涙のように、一筋、赤い血が流れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム

大天使が大切なのでしょうが
多くの人を殺していい理由になりません

ティキルさんの用意してくださった鍵は喜んで食べます
私は【大食い】です、
昔こういうのも食べたことがあるかも!
軽口を言いつつ口に入れると甘い味

【気合い】十分!《戦士の手》と共に参ります!

敵の繰り出すクモ型のゴーレムは
【衝撃波】【なぎ払い】を叩き込んで一瞬でかき分け、
アルキテクトゥスに接敵します

【力溜め】た【鎧砕き】の打撃を叩きこみ
敵の鎧を分解すると、【怪力】で捕まえ間合いを離さない
鎧が戻る前に倒す!

【暴力】【功夫】の打撃を近い距離から打ち込んでいき
動きを止め、投げを打って地面にめり込ませてから
追撃のオーラを込めた【踏みつけ】で倒します


緋月・透乃
ちょっと甘い口に入れると溶ける鍵……アメみたいなものなのかな?ま、ありがたく食べよう。
敵もなんか盛り上がっているのかな?復讐とかよくわからないけれど、やる気がありそうなのはいいことだね!ブラキエル前の景気付けに丁度よさそう!

鍵の効果で攻撃が通るみたいだし、遠慮なくこちらから仕掛けていくよ!
力任せの攻撃で鎧を分解したら、ユーベルコードの弱体化目的で右腕ばかり狙って攻撃を続けて、他への注意が逸れたところで急所狙いの緋迅滅錘衝を叩き込むよ!

力で振る斧対魔法で振る斧の戦いだからねっ、こいつは絶対負けられないね!



●力の振るい手
「アメみたいなものなのかな? ま、ありがたく食べよう」
 輝く鍵を透乃が口に入れれば、それは彼女が思っていたよりも早く溶け消えた。飴よりは、角砂糖、もしくは綿菓子に似ている、と思ったかもしれない。
「私は大食いです、昔こういうのも食べたことがあるかも!」
 ユーフィも、軽口を叩きつつ、嬉しそうに鍵を口へ運んだ。ふわりと甘い味が広がって、ユーフィと透乃の身体は一瞬輝く。
 それからユーフィは、アルキテクトゥスに視線を向けた。
「大天使が大切なのでしょうが、多くの人を殺していい理由になりません」
「理由にならない? 君にとってはそうだろうね」
 再び鎧に身を包まれた青年が、ユーフィと視線を合わせる。
「でも、僕にとっては、ブラキエル様の望みを叶えることこそが、至上の目的なんだよ。それに、復讐もしたいしね! あははっ」
(「……なんか盛り上がっているのかな?」)
 透乃には、青年の気持ちは分からない。
 復讐という相手の事情など、理解しない。
 透乃の心にある想いは、ただ、強者と戦いたいということ。それだけだ。
「やる気がありそうなのはいいことだね! ブラキエル前の景気づけにちょうど良さそう!」
 だから透乃は、喜んだ。
「……何もわかってないね。いいよ。うん」
 青年が透乃の様子を見て俯くと、彼の足元から、小さな何かの群れがわらわらと現れた。小型のクモ型ゴーレムである。
「道を切り開きます!」
 ディアボロスを構えたユーフィが、それを横薙ぎに振るうと、衝撃波によってたちまちクモ型ゴーレムたちは吹き飛び、消滅した。
「今のうちに」
「うん!」
 ユーフィと透乃は共に駆け、アルキテクトゥスへと接近する。
 魔法で右手の斧を加速させ、迎撃しようとする青年。だが、二人のバーバリアンによる超重量の一撃が、青年の鎧を捉える方が早かった。ディアボロスと重戦斧が、鎧を打ち砕き、分解する。
「力で振る斧対魔法で振る斧の戦いだからねっ、絶対負けられないよね!」
 得意げに笑った透乃は、青年の右腕へ集中攻撃を始める。
 一方のユーフィは、青年から見て左斜め前方に陣取り、彼の服の胸元を、強い力で掴んだ。
 ユーベルコードの域に達した、組み付き中心の、ユーフィの格闘戦。それは、『戦士の手』と名付けられている。
 功夫を応用した動きで、ユーフィは青年に、近距離から打撃を与えてゆく。容赦なき暴力に、アルキテクトゥスの動きが止まった。
 そこでユーフィは、投げの体勢に入る。青年の右腕を斬りつけ続けていた透乃は、一旦下がった。
 さながら、星を降らせるかのように。オブリビオンの青年を、ユーフィは地面に思い切り叩きつけた。地面が窪み、青年はめり込む。
 ユーフィは、脚にオーラを纏った。それから空中に高く跳ぶ。彼女は全力で、青年の胸を踏みつけた。
 肋骨が幾本も折れる感触が伝わる。
「――ぁ……げほっ」
 喀血するアルキテクトゥス。だが。
「私のことも忘れてないよね!」
 猟兵の追撃は終わらない。透乃が左手に持った重戦斧が、振り上げられる。
「いっぱつでぶっこわーす! 緋迅滅錘衝!!」
 それは、シンプルな破壊のユーベルコード。敵が地面にめり込み体勢を崩している今、それは致命的な一撃となる。
 振り下ろされた重戦斧【緋月】は、アルキテクトゥスの胸に深々と食い込んだ。
 まだ無事な右目を大きく見開き、びくりと身体を跳ねさせた青年の周囲に、みるみる血溜まりが広がる。
「……まだ……まだだよ……僕はまだ……」
 分解された鎧が、青年の体に再び纏われてゆく。彼は、ゆっくりと立ち上がった。
「これだけやっても、まだ倒れませんか」
「強いね! どんどんいこう!」
 ユーフィと透乃は、再びアルキテクトゥスへと立ち向かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・カガミ
◎ブラキエルが何を考えてるか知らないけど、身勝手な目的のために多くの人の命を奪おうとするのは許せないわ!
サラサさんから輝く鍵をもらって早速食べてみるわ。
鍵、なんていうから堅いのかと思ってたけど、食べやすいもので良かったわ。
天女の羽衣で飛び回ってクモ型のゴーレムの攻撃を躱しながら歌声に乗せた衝撃波で攻撃するわ。
衝撃波ならアルキテクトゥス本人とゴーレム両方まとめて対処できるから。
『あたしのコンサートにようこそ! 楽しんでいってね!!』



●歌い踊る大舞台
 ステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)の、扇を握る手が震えた。
「――ブラキエルが何を考えてるか知らないけど」
 菫色のその瞳に宿るのは、憤怒。彼女は今、大天使の所業に怒りを燃やしていた。
「身勝手な目的のために、多くの人の命を奪おうとするのは許せないわ!」
「そうか。許せないなら好きにしなよ……僕が君を殺すってだけだから……」
 彼女の前では、鎧を纏った青年がふらついている。そんなステラの元へも、フェアリーのティキルが輝く鍵を届けた。
「どうぞ、これを」
「ありがとう」
 早速、鍵を口に入れてみる。
(「鍵、なんて言うから硬いのかと思ってたけど」)
 さらりと鍵はステラの舌の上で溶け消え、甘い風味だけが残る。ステラの身体が、一瞬輝きを帯びた。
「食べやすいもので良かったわ。さて……行くわよ」
 ユーベルコード、『天女の羽衣』を発動。すると、ふわり、とステラの体が空中に浮いた。銀色のツインテールがなびく。
 ぞろぞろとアルキテクトゥスの足元から現れたクモ型ゴーレムたちが、彼女に飛びかかろうとする。だが、ステラは高速飛行を開始した。
 時速7400キロ。程々の強さしか持たない小蜘蛛には、ついていけない速度だ。
 視力の良い者ならば、舞い踊るような動きで、小蜘蛛の攻撃から逃れてゆくステラの姿を見ただろう。
『あたしのコンサートにようこそ! 楽しんでいってね!!』
 蒸気機関式拡声器――シンフォニックデバイス越しに、ステラの声が響く。
 それから、彼女は歌い始めた。
 歌声に乗せた衝撃波が、アルキテクトゥスと小蜘蛛を襲う。
 小蜘蛛はただちに消滅し、それから青年の全身鎧が分解された。
「……っ!!」
 衝撃波を浴びた青年が、吹き飛ばされて建物の壁に叩きつけられ、ずり落ちる。
「……これのどこが、楽しいコンサートだって言うんだ」
 血を大量に吐きながら、アルキテクトゥスはステラを睨む。ステラは、真っ向からその視線を受け止めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

古明地・利博


ねえねえ、そこの錬金術師さん。
ちょっと聞きたいことがあるんだど、[魂を現世に呼んで肉の器に入れる]っていうやり方って知ってる?
知ってたら教えて欲しいな〜。

うん、ありがとう。
それじゃあ……殺すね。

鍵を口に入れたら、忌まわしき神卸を詠唱して素早く相手に突撃するよ。
さっき借りたメリケンサックは拳につけるね。

あの斧に警戒しつつ鳩尾あたりに連続で拳を叩き込む。
鳩尾部位の鎧が分解されたら、丈夫そうな剣を心臓に突き刺して殺す。

場所と関係性が違えば、君とは仲良くなれそうな気がしたよ。
互いに、探求する者だからね。
お休み。来世があれば友達になろうよ。



●また来世
「ねえねえ、そこの錬金術師さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
 友好的にも見える態度で、利博は言う。
「『魂を現世に呼んで肉の器に入れる』、そのやり方って知ってる? 知ってたら教えて欲しいな~」
 アルキテクトゥスは、兜の奥から利博に視線を向けた。
「……知らない。仮に知ってても、君に教える義理はないよ」
「うん、ありがとう。それじゃあ……」
 利博は笑顔のまま、宣言する。
「殺すね」
 ぱくり、と輝く鍵を口に含み、溶かして飲み込んだ。身体が淡く輝く。
「y'-gotha wgah'li'hee y-f'ayak'-vulgtm ng-y'olcd hlirgh uaksh」
 詠唱したならば、人ならざるものが利博に宿る。『忌まわしき神卸』である。片耳から血が流れ落ちるのを感じたが、利博は意に介さない。
 利博は拳にメリケンサックを着けながら、素早く駆ける。その途中、青年によって、無数の小さなクモ型ゴーレムが、道を塞ぐようにして召喚された。だが、利博は足を止めず、小蜘蛛を踏み潰しながら進んだ。
 青年が右手に持った斧にちらりと視線を向け、警戒しながらも、利博は踏み込む。
 そのまま、メリケンサックを着けた拳を、青年の鎧のみぞおち部分に連続で叩き込んだ。人ならざるものを宿している今だからこそ発揮できる身体能力である。
 アルキテクトゥスの鎧、そのみぞおちの部分が分解された。
 直後。とすっ、と軽い音が鳴る。利博が、丈夫な剣を青年の心臓に突き立てた音だ。
「場所と関係性が違えば、君とは仲良くなれそうな気がしたよ。互いに、探求する者だからね」
 刃を抉り込み、完全に心臓を破壊しながら、利博は語りかける。
「お休み。来世があれば友達になろうよ」
「……っ」
 仰向けに倒れたアルキテクトゥスは、兜の奥でゆっくりと目を閉じながら、呟いた。
「僕は……仲間とか友達とか……死ぬほど嫌いだ。……けど、こんな今の僕じゃなくて……来世なら……、――」
 彼は事切れる。続けようとした言葉は、永遠に失われた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『大天使ブラキエル』

POW   :    岩腕
単純で重い【岩石でできた巨大な腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    絶対物質ブラキオン
【「絶対物質ブラキオン」の鎧】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、「絶対物質ブラキオン」の鎧から何度でも発動できる。
WIZ   :    大天使の光輪
自身が装備する【大天使の光輪】から【破壊の光】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【徐々に石化】の状態異常を与える。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大天使かく語りき
「どうか、ご武運を!」
 フェアリーのティキルに見送られながら、猟兵たちは、噴水広場に向かった。
 本来ならば、美しい噴水が動作しているであろう、街の大きな広場だ。
 今、その噴水は破壊され、停止している。美麗な彫刻が施されていた噴水の土台、その頂きに、大天使ブラキエルが腰を下ろしていた。
「ついにここまで来たか、猟兵たちよ」
 翼を羽ばたかせたブラキエルが、噴水の手前に降り立つ。
「我は理解している。我が行いが許されざるものであると。だが、構わぬ。天上界に至るためならば、我は、殺戮を躊躇わぬ」
 こきりと肩を鳴らしたブラキエルが、【猟兵よりも先にユーベルコードを発動する】。
「我を止めたいならば、止めてみせよ、猟兵。――行くぞ」
プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可

先制攻撃は○第六感○幸運○見切り、馬に○騎乗しての機動回避。命中する場合は○オーラ防御○激痛耐性で耐える。

竜神憑依にて変身するのは帝竜カダスフィア。
その特性は自身から一定距離内の無機物をチェス盤やチェスの駒を模した怪物に変換操作すること。
つまり岩石の腕は血肉が通っているものではないため無機物!
腕を全てチェス駒に変えてしまいましょう。そしてそのままブラキエルを襲わせます。
ついでにチェス型ゴーレムの大群も制作して数でもってブラキエルを押し切ります。
「我が祖は竜の加護を受けしもの。今は亡き帝竜よ、その力をここに!」



●初戦を制した者
 プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)は、その青い瞳に、迫り来る巨大な岩腕を映した。
「チェタック、右へ!」
 彼女は、騎乗した愛馬へ呼びかける。名馬チェタックは言われたとおりに右へ駆け、岩腕はプリンセラのこめかみの横を通過して、広場の石畳を砕いた。
 第六感を駆使し、ブラキエルの攻撃を見切った上での、ぎりぎりでの回避である。運が、プリンセラに味方したのも大きいだろう。
「避けましたよ、ブラキエル」
「……ふむ」
 言い放ったプリンセラを、ブラキエルは値踏みするような目で見つめる。
 直後、プリンセラは叫んだ。
「我が祖は竜の加護を受けしもの。今は亡き帝竜よ、その力をここに!」
 彼女の体が巨大に膨張し、色を変える。ユーベルコード『竜神憑依』――ほんの一瞬の後、プリンセラは竜に姿を変えていた。
 それは、帝竜カダスフィア。帝竜戦役において猟兵が立ち向かい、倒した帝竜たち。その中の一体である。
「……ほう」
 ブラキエルは、わずかに感心したような吐息を漏らす。それでも彼は、再度、岩石の腕を構えた。
 その岩腕が、ばらりと崩れ、白と黒の怪物たちに変わる。
 はっとした表情でそれを見やったブラキエルへと、チェスの駒を模したその怪物たちが襲いかかった。
 プリンセラは、ただ単に、帝竜カダスフィアの姿になっただけではない。その特性までも、得ている。
 よって、今のプリンセラは、一定距離内の無機物を、チェス盤やチェスの駒を模した怪物に変換操作できるのである。
 血肉の通わぬ岩腕は、無機物。よって、帝竜カダスフィアの力の対象になるのだ。
「これぞ、帝竜たる我が力。まずは、我が先に駒を取ったということ」
 帝竜カダスフィアの声で、プリンセラは重々しく言う。
「大天使よ、盤面は見えているか」
「……黙れ」
 低く呟いたブラキエルの顎を、歩兵の駒を模した怪物が下から強打した。
 腹へ、胸へ、頭へ。怪物たちはブラキエルに対し、連続攻撃で畳みかけてゆく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

古明地・利博


ああ、あれが首魁か。
彼がそこまで慕っていたのも分かるな。
こいつ、かなり強い。

っと、速い。躱せそうにないか……なら受ける努力だ。
さっき血に濡れた剣を構え、第六感で見切って程度の衝撃を受け流す。
まあ、完全にはいなせないから吹き飛ばされるだろうね。
だから、受ける前に先送り薬を飲んで痛みを抑えるよ。

吹き飛ばされても体が動くようなら、足に魔力増幅装置を刺し、特大の炎槍手元に一本召喚。手の皮膚を溶かして槍に手を貼り付ける。
その槍を上に射出して飛び上がったら、残り439本の槍を全身全霊の力で召喚。
地面を見下ろした状態で槍の雨を降らせる。

着地は……頑張って受け身。骨の2,3本で済めばいいな。



●いたくない
「ああ」
 利博は、大天使ブラキエルの姿を見て、声を漏らした。
(「あれが首魁か。彼がそこまで慕っていたのも分かるな」)
 孤独の錬金術師のことを思い返しながらも、利博が感じることは、ただ一つ。
(「こいつ、かなり強い」)
 それでも利博は、ブラキエルから視線を外さないまま、薬を一錠口に含み、飲み下す。
 ブラキエルの光輪が、輝きを帯び始めた。そう思った次の瞬間には、破壊の光が利博めがけて放たれている。
「っと、速い」
 かわせそうにない。そこで利博は、錬金術師の血に濡れた剣を、自身の胸の前に構えた。
 大天使の狙いは、利博の心臓。利博のその読みは当たり、剣は粉々に砕けて散った。同時に、破壊の衝撃で、利博は派手に吹き飛ばされる。
 利博の小さな体が石畳にバウンドし、硬い音を立てた。
 通常ならば、もう立てないだろう。だが、利博は立ち上がった。
「まだ立つか」
「……先送りにしただけだけどね」
 先刻飲んだ薬で、利博は激痛を抑えているのである。後に凄まじい激痛に襲われることもまた、利博は了承済みだ。
(「痛くないから、大丈夫」)
 自分に言い聞かせつつ、ナイフ型の魔力増幅装置を足に突き刺す。
 それから利博は、燃え盛る特大の赤黒いジャベリンを一本、手元に召喚した。
(「熱くないから、平気」)
 槍を強く握る。じゅっ、という音が鳴り、熱で溶けた手の皮膚が槍に貼り付いた。
 ユーベルコードで召喚した、その『不浄の炎槍』を、利博は上に向けて射出する。
 高く飛び上がった利博は、上からブラキエルを見下ろした。
「y'-gotha f'- ng-n'vivet -orhstm-llll -orCthugha-ugg uaaah」
 全身全霊の力で詠唱する。
 439本の炎槍を召喚した利博は、大天使に槍の雨を降らせた。
「くっ」
 ブラキエルは防ぎきれず、無数の炎槍に身を貫かれる。
 一方。受け身を取りながらも、地面に落下した利博は、石化を始めていた自分の足に、亀裂が入っているのに気づく。
「……あーあ」
 利博は、笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋月・透乃
いよいよブラキエルのおでましだね!
目的のためなら手段を選んでいられないみたいだけれど、そういう状況でこそ全力を発揮できると思うし、戦うのが楽しみだね!

美形ですらっとしていて神々しい見た目だけれど力で叩き潰す!みたいなユーベルコードを使うみたいだねぇ。
案外脳筋なのかな?気が合いそう!
対処方法は、敵に突っ込んでいき攻撃してきた岩石の腕にもぐもぐ欲張りスプーンを力いっぱい叩きつけて、その反動を利用して回避するよ!
いきなり回避を狙うよりはいいんじゃないかな?
上手くしのげたら重戦斧【緋月】に持ち替えて緋迅滅墜衝で反撃といきたいね!



●衝突
「いよいよおでましってわけだね、ブラキエル!」
 まるで、メインディッシュが運ばれてきたかのように、透乃は嬉しそうに笑う。
(「目的のためなら手段を選んでいられないみたいだけれど」)
 透乃は、ブラキエルの言動を振り返ってみる。
(「そういう状況でこそ全力を発揮できると思うし!」)
 けれど、彼女の感情は、やはり『強敵と戦えることの楽しさ』に行き着くのである。
「さあ、全力で来てね!」
 透乃が構えたのは、身の丈ほどもある巨大なスプーンだ。
 その『もぐもぐ欲張りスプーン』を構えた彼女に視線を向けたブラキエルは、岩石でできた巨大な腕を体に生やす。
(「美形ですらっとしていて神々しい見た目だけれど、力で叩き潰す! みたいなユーベルコードを使うみたいだねぇ」)
 そう思った透乃の口からは、こんな言葉が飛び出た。
「案外、脳筋なのかな? 気が合いそう!」
「合わぬ」
 即座に否定しながら、ブラキエルは透乃に向かって飛ぶ。透乃もまた、ブラキエルの方向へ駆け出した。
 ブラキエルの岩腕が大きく振るわれる。単純で重い一撃だ。それに対して透乃は、巨大なスプーンを思い切り叩きつけた。
 果たして、ブラキエルの岩腕が、透乃を遠くまで吹き飛ばす。
 だが。これは、透乃の作戦どおりであった。透乃は、反動でわざと弾き飛ばされることで、岩腕の直撃を回避したのだ。
「上手くいったね! 今度は私が行くよ!」
 スプーンを、重戦斧【緋月】に持ち替えた透乃が、再び駆ける。
「力の限りぶっ壊せー!」
 透乃は重戦斧を左手だけに持ち、構えた。ブラキエルが、透乃の目の前に迫る。
「必殺の左! 緋迅滅墜衝!!」
 左から右へ、大振りの右薙ぎを透乃は放つ。奇しくもそれは、大天使と同じ、単純で重い一撃のユーベルコードであった。
 重戦斧の刃は、ブラキエルの脇腹に埋まる。
「この程度」
 刃を岩腕でつかみ、引き抜く。大量の出血。甚大なダメージを与えたのは確かだが、それでも大天使は顔色を変えない。
「そうでなくっちゃね!」
 透乃は笑う。とても、楽しそうに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・カガミ
◎どこに行くつもりかは知らないけど、あなたの行き先は骸の海よ。
骸の海に行く前に一曲いかが?
先制攻撃は見切りとパフォーマンスを組み合わせて踊りの様な動きでかわしながら幻獣魔曲で攻撃するわ。
岩の腕で幻に勝てるかしら?
一発が重く、もらうとかなり痛いから、あたしと幻獣の動きで惑わせながら攻撃して狙いを絞らせないようにするわ。
あたしの歌と踊り、気に入ってくれたかしら?



●大天使が最後に見る芸術
「どこに行くつもりかは知らないけど、あなたの行き先は骸の海よ」
 ステラは言い切る。それから、にこりと笑ってみせた。
「骸の海に行く前に一曲いかが?」
「断る。と言ったらどうする、猟兵」
 真顔のまま、ブラキエルは返した。
「そうね、そのお断りをお断りするわ」
 ステラは言うなり、歌を歌いながら、ダンスのようなステップを踏み始める。そこに、ブラキエルの巨大な岩腕が迫った。
 岩腕の動きを見切り、リズムを合わせてサイドステップ。直撃をぎりぎりで回避した。ステラの頬が浅く裂ける。
 ステップ、またステップ。次々に繰り出される重い岩腕の一撃を、ステラは繰り返し避けてゆく。
 そして、このダンスのような動きは、ステラが歌っている歌に合わせている。これは、魔曲であった。すなわち、彼女のユーベルコード『幻獣魔曲』を発動させる鍵である。
 ステラが想像から創造した怪物が姿を現す。無敵の、幻の怪物だ。
(「岩の腕で幻に勝てるかしら?」)
 疑問系でこそあるが、ステラは怪物の能力に疑念を抱いているわけではない。
 むしろ、逆だ。ブラキエルの岩腕に、幻の怪物は絶対に負けないという確信が、ステラにはあった。
 それを裏付けるかのように、岩の腕の一撃は、幻の怪物の体をすり抜けてゆく。ブラキエルの岩腕は単純な物理攻撃のユーベルコードであり、幻に通じるものではない、と、ステラは考えている。これにより、幻の怪物の、『無敵』という性質は維持されていた。
 幻の怪物は、ブラキエルの体を食いちぎってゆく。それもまた幻覚だが、ブラキエルへのダメージは本物だ。
「ならば、本体を狙うのみ」
 ブラキエルはステラへ狙いを絞ろうとする。しかし、幻の怪物が視界を遮り、ステラはダンスのステップを踏んでいるため、狙いが定められない。そんなブラキエルに、また幻の怪物が食らいついた。
「あたしの歌と踊り、気に入ってくれたかしら?」
「悪くないと言っておこう。誇るがいい」
 幻の怪物から距離を取りながら、ブラキエルはステラへ告げたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アパラ・ルッサタイン


なるほど
ご自身の行いの代償を理解してなお覚悟がおありと

破滅の光が光輪から放たれるのならば、
多少は射線も予測できるだろうか
見切り躱し、
或いは周囲の瓦礫などがあれば遮蔽物替わりにして避けていこう
最後は第六感が頼りだ

もしそれでも被弾したならオーラ防御
石化は進行型であるのがせめてもの幸いって所だね
【退紅色】
動ける内に水晶馬を喚び騎乗
移動を任せ、氷矢の雨を放つ
たんと魔力を込めてね
例え翼で空へ飛ぼうとしても逃しはしない

ああ、そうだ
あなたにお伝えせねばならん事がある
アルキテクトゥスはな、
あなたが自分を大切にしてくれたと、退かず戦いぬいたよ
之にどの様な応えがあろうと気にはしないさ
するべき事は変わらぬもの



●約束
「なるほど。ご自身の行いの代償を理解してなお、覚悟がおありと」
「然り」
 アパラの呟きに肯定を返したブラキエルが、光輪を輝かせる。
(「攻撃はあの光輪からか、それなら」)
 見切ったアパラは、近くの大きな瓦礫の陰に飛び込んだ。
 大天使の光輪から、破壊の光が放たれる。
 全方位への攻撃だ。それゆえに、遮蔽物に隠れたアパラの判断は正しかったと言える。
 瓦礫は瞬時に砕け、衝撃でアパラの方向へ飛んでくる。アパラはそれらを、オーラを眼前に展開して防いだ。
 光輪からの光は、凌ぎきった。アパラは立ち上がり、手にしたランプを揺らす。
「さあ、描いておくれ」
 ランプから姿を現したのは、水晶馬だ。石化で動けなくなる可能性も踏まえ、移動手段を兼ねて召喚したのである。
 水晶馬に、アパラは騎乗した。水晶馬は駆け、氷の矢を無数に放つ。アパラの魔力がたっぷりと込められた氷矢の雨は、幾何学模様を描き、複雑に飛翔し、ブラキエルへと降り注いだ。
 とっさに飛行し、上へ避けようとしたブラキエルだが、一瞬早く、氷の矢がその翼を貫く。バランスを崩したブラキエルの腿を、肩を、腹を、氷矢が射貫いた。
 片膝を地に着けるブラキエル。
「ああ、そうだ」
 彼に、アパラが馬上から声を掛けた。
「あなたにお伝えせねばならんことがある」
 それが、言葉を介した攻撃の類でないということを、大天使は悟った。
「発言を許そう」
 言ったブラキエルに対し、アパラは口にする。
「アルキテクトゥスはな、あなたが自分を大切にしてくれたと、退かず戦い抜いたよ」
 これを聞いても、大天使の瞳は揺らがなかった。
「そのような些事、我に伝えたところで何になる」
「いいや、何にも。でもね……あたしは、伝えねばって、そう思ったんだ」
 一方的にとはいえ、約束したのだから。自らの言葉を、違えたくなかったから。
「さあ、続きといこうか!」
 ランプを介して、再びアパラは魔力を水晶馬に流し込む。
 大天使の応答は、意に介さない。するべきことは、変わらないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム

現れましたね
決着をつけましょう、大天使――!

敵の先制は風の【属性攻撃】を
纏う武器を地面に叩きつけ、自ら後方に飛ぶことで衝撃を緩和
オーラ防御】も併せて耐え抜きます
くあっ……!

ダメージはありますが、まだまだ!
オブリビオンに苦しむ人々の痛みに比べればっ
《蒼翼の闘魂》を発動し、
真の姿:蒼き鷹として【ダッシュ】で大天使へ迫りますわ

【功夫】を生かしプロレス風打撃と
【力溜め】た投げを打ちダメージを重ねていく
大天使からの反撃は、【激痛耐性】【で堪え
悲鳴は上げても【限界突破】してけして倒れません

なぜ立てるか――
私が人々の願いを背負って戦う猟兵の1人だからですわ
最後は【気合い】。必殺の投げで地面に叩き落します!



●死闘
 ユーフィの足が、広場の石畳を踏む。
「決着をつけましょう、大天使――!」
「我に勝たんとするその意気や良し。だが、我は倒れぬ」
 ユーフィとブラキエルの視線がかち合った。それから、ブラキエルが羽ばたき、岩腕を生やして、ユーフィに迫る。
 ユーフィは、風を纏わせた大型武器ディアボロスを、石畳に思い切り叩きつけた。自ら、後方に飛ぶ。
 これにより衝撃を和らげると同時に、彼女は防御用のオーラを全身に纏った。
 ユーフィは、岩腕で容赦なく殴り飛ばされる。
「くあっ……!」
 広場の端まで吹き飛び、転がるユーフィ。だが、彼女は立ち上がった。
「まだまだ! オブリビオンの行いに苦しむ人々の痛みに比べればっ」
 額に浮く脂汗を拭いもせず、ユーフィはユーベルコードの発動準備に入る。
 必要なのは、『悪しき攻撃全てを受け切り、人々を守り抜く』という誓いを立てることだ。ユーフィは、迷わない。
 二つに結い上げていた銀髪が青の短髪に変わり、日焼けした肌は白に変わる。空色の瞳で、彼女は敵を見据えた。
「お相手いたしますわ。この『蒼き鷹』が!」
 真の姿に変身するユーベルコード、『蒼翼の闘魂』。強化されたその真の姿、蒼き鷹が、自らの拳を打ち合わせた。
 飛ぶように駆け、大天使と距離を詰める。
 蒼き鷹は、功夫とプロレス、双方を活かした打撃を大天使に与えていく。時折、投げ技も挟み、大天使に負傷を重ねていった。
 だが、巨大な岩石の拳が彼女を捉える。
「きゃ!」
 悲鳴を上げた蒼き鷹は、それでも倒れることなく、踏みとどまった。
「問おう。何故、立てる」
 大天使が発した言葉に、蒼き鷹は答えた。
「私が人々の願いを背負って戦う猟兵の一人だからですわ」
 静かに、だが強く言い切る。それは、自らに気合いを入れ直す言葉でもあった。
「これで終わりですわ!」
 必殺の、投げ。再び星が降るように、大天使は石畳に叩きつけられた。
「――見事」
 一言呟いた大天使は、それきり永久に沈黙する。

 勝利の女神は猟兵に微笑んだ。
 アックス&ウィザーズの、街の人々の命は、守られたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月10日


挿絵イラスト