猟書家の侵略~オウガは鮮やかなあかを渇望して
●アリスラビリンス・???――ある少年の独白
目を覚ました時、ボクは……あかの牢獄にいた。
牢獄に漂う、濃い血の臭い。
牢獄にぶちまけられた、鮮やかなあか。
そして、時々思考を真っ赤に塗りつぶすあか。
さらに、時折脳裏をよぎる……狂気の囁き。
――コロセ、コロセ。
――オマエのテで、もっとあかく塗りつぶせ。
――あかを思いっきり浴びて、飲み干してしまえ。
囁きに耳を傾け、血の臭いを嗅いでしまうと、「コイツ」が――ボクに憑りつくオウガが、出せと言わんばかりに激しく頭を叩く。
「いや……だ……」
弱々しく首を振り、頭の中に響く声を振り払いつつ。
ボクは無理やり「コイツ」を抑えつけながら、耳を塞ぎ縮こまる。
――狂気に侵され、「コイツ」に身体を乗っ取られる恐怖に、怯えながら。
●グリモアベース
「これはまた……悪辣だな」
グリモアベースの片隅で、グリモア猟兵館野・敬輔が言の葉を零すとともに、彼の傍らに浮かぶ蒼の丸盾のグリモアが陰湿な灰と鮮烈な紅に染まる。
紅灰に染まった丸盾のグリモアと敬輔の言の葉に興味を惹かれたか、猟兵達が三々五々と集まって来た。
「ああ、集まってくれたか。実はアリスラビリンスで新たな猟書家が発見された」
集まった猟兵達に敬輔が告げた、新たな幹部猟書家の名は『リュカ・トワル』。
執拗な程にオウガブラッドに拘り、ヒトとしての意識を弱らせた上で憑依しているオウガを覚醒させようとする、悪辣な幹部猟書家だ。
「リュカ・トワルの目論見を挫くために、皆にはオウガブラッドを救い、猟書家を討ってほしい。頼めるだろうか」
頭を下げる敬輔に、猟兵達は其々の想いを胸に頷いた。
「リュカ・トワルは、オウガブラッドを憑依しているオウガの本能を刺激するような場所に閉じ込め、肉体的、精神的に飢餓状態に追い込み、ヒトとしての意識を弱らせようとしている」
今宵、リュカ・トワルに浚われ幽閉されるのは、『切り裂き魔』が憑依している、金髪金眼のオウガブラッドの少年『エルド』。
咽る程濃い血の臭いが漂う、鮮烈な血塗れの牢獄に閉じ込められたエルドは、沸き上がる濃厚な血の渇望に必死に抗っているが、。
「今なら直接、血塗れの牢獄に転送できる。急ぎ向かい、エルドを救ってくれ」
もっとも、猟兵の姿を見て安心したエルドは、その直後にオウガに意識と身体を奪われ『切り裂き魔』に変身し、猟兵達の肉を喰らうべく暴れ出してしまう。
ゆえに、まずはエルドに声をかけつつ意識を取り戻してもらいながら『切り裂き魔』を撃破し、救出。
その後、騒ぎを聞きつけ様子見にやってきた猟書家を、オウガブラッドに戻ったエルドと協力し返り討ちにしてほしい。
「とはいえ、リュカ・トワルはオウガブラッドに、そしてオウガに拘る猟書家だ。再度エルドに憑りつくオウガを覚醒させるために、あれこれ狂気に誘うような言動を取りながら襲ってくるだろうな」
本質が蜘蛛たる猟書家は、過去に狩った『アリス』の血肉を猟兵達に給仕したり、自ら食して蜘蛛に変身したり、蜘蛛糸を張り巡らせ絡め取りつつ羽根で追撃をしてくるはず。
「だが、皆ならきっと、エルドを守り抜いた上で猟書家を倒してくれると信じている」
それこそが猟書家の侵攻を食い止める道だから……と、真摯な声で猟兵達に訴えかける敬輔に、異論を唱える者はいなかった。
幽世で不穏な気配が漂い、大天使を引きずり出す機会を得た今、グリモアベースは慌ただしさを増している。
だが……。
「こんな状況でも、猟書家は待ってくれないから、ひとつひとつ解決するしかない」
――だから、今は。
「エルドを救い、猟書家の勢力を削ぐために全力を尽くしてほしい……頼んだ」
敬輔が頭を下げるとともに、紅灰混じる丸盾のグリモアが大きく展開し、転送ゲートとなり猟兵達を呑み込んで。
――鮮烈な紅に染まった牢獄へと、猟兵達を誘った。
●アリスラビリンス・血塗れの牢獄――エルドの独白
――目の前に突然広がった紅灰の光の中に、人影が見える。
目を細め手をかざしながら、ボクは突然広がった光を、人の姿を見つめる。
紅灰の奥から現れた人影はおそらく……猟兵さんだろうか。
――ドクン。
猟兵さんに反応したのか、暴れたがるオウガの気配が急激に強まる。
ボクだけで抗うのは、もう限界。
彼らなら、ボクをこの地獄から救い出してくれるかもしれない。
「りょうへいさん。た、す……け……」
喉から助けの声を絞り出した後、ボクの視界と思考は一瞬で紅に塗りつぶされ。
――ボクの身体は、血まみれの切り裂き魔へと変化していた。
北瀬沙希
北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
よろしくお願い致します。
アリスラビリンスにて、オウガブラッドを捕らえ幽閉し、狂気に陥らせてオウガに乗っ取らせようとする幹部猟書家が現れました。
猟兵の皆様、新たな幹部猟書家『リュカ・トワル』の撃破をお願いします。
●【重要】本シナリオの運営について
本シナリオは、「サポートを呼ぶ」でお呼びしたサポートプレイングを優先的に採用し、早期完結を重視して運営致します。
通常プレイングはごく少数のみの採用となり、全採用は確約できません。
また、本シナリオのリプレイは、字数少な目、あっさり目の描写でお返しさせていただく予定です。
以上、予めご了承いただいた上でのご参加をお願い致します。
●プレイング受付開始、締め切りについて
第1章は、オープニング公開直後から受付開始。
第2章は、冒頭の断章執筆後から受付開始。
いずれも受付締切は、マスターページとTwitterで告知致します。
送信前に、今一度マスターページをご確認いただけますと、幸いです。
●本シナリオの構造
ボス戦→ボス戦の【2章構造】です。
第1章は、オウガブラッドに憑依しているオウガ『切り裂き魔』とのボス戦です。
オウガはエルドの意識を取り戻すことができれば弱体化しますが、真っ向から戦って撃破しても救出は可能です。
第2章は「猟書家『リュカ・トワル』」とのボス戦です。
エルドを再度狂気に陥れようとする言動を遮りつつ、討ち取って下さい。
●オウガブラッドの少年(エルド)
金髪金眼の、10代前半くらいの小柄な少年。
使用ユーベルコードは「オウガ・ゴースト」のみ。
弱気な性格で、己に憑依しているオウガに常に怯えています。
1章で救出に成功すると猟兵達に協力してくれるようになりますが、かなり弱っていますので、回復ユーベルコードがあると良いかもしれません。
●本シナリオにおけるプレイングボーナス
1章は【オウガブラッドに意識と正気を取り戻させる】ような行動を行う。
2章は【オウガブラッドと共に戦う】。
――それでは、良き邂逅を。
第1章 ボス戦
『切り裂き魔』
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POW : マッドリッパー
無敵の【殺人道具】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : インビジブルアサシン
自身が装備する【血塗られた刃】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 殺人衝動
自身が【殺人衝動】を感じると、レベル×1体の【無数の血塗られた刃】が召喚される。無数の血塗られた刃は殺人衝動を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:芋園缶
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マルコ・ガブリエル(サポート)
『初めまして、わたくしはマルコと申します』
『皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!』
『まあ、なんて美味しそう……! 宜しければ、一緒にいかがですか?』
笑顔が魅力的で朗らかな女の子です。実は故郷を滅ぼされて天涯孤独の身ですが、そうした悲壮感を仲間に感じさせることはなく、いつも明るく振る舞っています。
誰に対しても優しく、敵にさえ「できれば戦わず、穏便に事件を解決したい」と考えるような優しい性格ですが、無辜の人々を苦しめる悪い奴には心を鬼にして全力で攻撃をお見舞いします。
美味しいもの、特に焼肉をみんなで食べるのが大好きで、無事に事件解決した後はよく他の猟兵をご飯に誘おうとします。
シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
純・ハイト(サポート)
勝つ事を考えて、自身を含めて全てを駒として考えて手段を択ばずに、使える物全て使って任務に参加して戦う。
エレメンタル・ファンタジアはトラウマはあるが、トラウマよりも敵は全て殲滅と考えているために問題無しに使える。
主にユーベルコードの力で軍隊を操り戦闘を指揮して戦うが、他のユーベルコードが有利に動くならそっちを優先して使う。
●優しさの中に狂気を、恐怖の中に殺戮を
「あああああアアアアアアァァ……!!」
マルコ・ガブリエル(焼肉天使・f09505)の琥珀色の瞳に映る風景は、苦しみ抗っていた金髪の少年が、安堵の息をついた一瞬でオウガに乗っ取られ、切り裂き魔に変貌する一部始終。
乗っ取られるのは阻止できなかったが、それでもマルコは諦めるわけにはいかないと、得物のメイスを構えた。
「このオウガが少年を……エルドさんを苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!」
「はい、オウガはともかく、エルドさんは敵ではありませんから」
シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)もまた、周囲の環境の凄惨さに息を呑みながらオウガに変貌する一部始終を見届けつつ、懐にしまっていある瓶をそっと取り出す。
しかし、マルコは胸中で一戦交えるか否か、少し迷っていた。
切り裂き魔の正体が、一時的にオウガに乗っ取られたオウガブラッドの少年である以上、得物を交えず説得で正気を引き戻し、穏便に事を済ませたい。
だが、鋭い刃物と化した爪をカチカチと打ち鳴らす切り裂き魔の瞳に宿る澱んだ光を目にすると、戦闘は避けられぬと判断せざるを得なかった。
なぜなら……。
「コロス……コロスコロスコロス……!」
虚無が広がる口から吐き出される殺戮の呪詛が、まるでどこかに言い聞かせているように聞こえたから。
――それは、今の今まで己に身体を明け渡さなかったエルドに対する呪詛か。
――あるいは、エルドを救いに来たマルコたちに対する殺意か。
マルコとシフォンから少し下がり、戦場全体を俯瞰していた純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)もまた、戦闘を避けられぬと判断したひとりだった。
血塗られた牢獄の広さは、精々5m四方程度。
天井までの高さはある程度余裕があるとはいえ、ハイトに従う億を超えるフェアリーの軍隊を全て召喚すると、すし詰め状態と化して全員が攻撃どころか身動きすらままならないのは想像に難くない。
フェアリーの小柄さを考慮に入れても、牢獄内には精兵が1軍(5万人)全て入ることすら、難しいだろう。
だが、ハイトの思考にあるのは『切り裂き魔に勝つ事』……ただ1点。
そのためなら手段を選ばぬハイトの選択は、軍の中でも選りすぐりのフェアリーの精兵のみ、1000人召喚した上での、他猟兵との共闘だった。
●血塗れの中にも安らぎを、刃の雨には弾幕を
先に切り裂き魔の眼前に身を晒したのは、シフォン。
「影よ、私を包み込み、敵から身を守ってね!」
祈りと共にシフォンの全身が影に覆われ、漆黒に染まると同時に、切り裂き魔もまた200を超える血塗られた刃を召喚し、シフォンの周囲を飛び回らせる。
おそらく、3人の中で最も切り裂きやすいと見たのだろう。
「ウオオオオオオオ!!」
血塗られた刃は、切り裂き魔の意に従い、シフォンを切り裂かんと機を伺うが、シフォンの意識は切り裂き魔に――身体を乗っ取られなお耐えているであろうエルドに向けられている。
「エルドさん、今までよく頑張りました」
漆黒のシフォンは、エルドに呼びかけながらも、攻撃の意思を見せぬために小銃もトライデントも手にしていない。
唯一、両手で抱えるように持っているのは「桜姫の夢誘い」の名を持つ香水の瓶。
「今、私たちが助けてあげますからね」
「ウゥ……ジャマダ、バラバラニナレェ!!」
シフォンの呼びかけは、切り裂き魔の裡にて抗うエルドまで届いているのだろうか。
裡から揺さぶられ苛立ち始めた切り裂き魔は、シフォンの周囲を飛び回る刃の全てをシフォンに集中させ、ズタズタに斬り裂こうとする。
だが、シフォンは避ける素振りすら見せない。
血塗られた刃が、漆黒のシフォンの頭を、胴を、四肢を、その尊厳を全てズタズタに切り刻み、血塗れの海に沈めようと牙をむく。
だが。
――キィンッ!!
シフォンを血祭りにあげるはずの刃は、漆黒の影を切り裂くどころかかすり傷すらつけられず、次々と床へと落下した。
――シフォンが非戦闘行為に没頭する限り、漆黒の影はシフォンに対するすべての攻撃を阻む。
切り裂き魔に対して一切の敵意を向けず、のんびりおっとりとエルドに語り掛けるシフォンの影は、血塗れの刃ではかすり傷ひとつつけることはできない。
無敵の盾にも等しい漆黒の影に身を守られたシフォンは、香水の瓶の蓋をそっと開けた。
――ふわっ……。
シフォンと切り裂き魔の周囲に、優しい桜の香りが広がる。
「桜の香りで、少し落ち着きませんか?」
「グ、アァァァ……」
安眠効果を持つ桜の香りが、血の臭いに慣れた切り裂き魔の鼻腔をくすぐり、殺意に満ちた意識を揺らがせ、眠りに誘う。
それでも、切り裂き魔は想像から殺人道具たる大振りの鉈を創造し、シフォンに向け振り上げるが。
「エルドさんを苦しめるのであれば、わたくしが全力で相手しますよ!」
シフォンに代わり、振り下ろされた鉈を手にしたメイスで受け止めたのは、マルコ。
「ジャマ、ダァ……!!」
切り裂き魔も殺人道具たる鉈を力まかせに押し込むが、マルコのメイスはビクともしない。
転送前に肉を口にし、全身の細胞を活性化させ戦闘力を向上させたおかげで、マルコは殺人道具を受け止めながらも尚、切り裂き魔の裡で抗っているであろうエルドに呼びかけることができる。
「エルドさん! 気を確かに! 強く持って下さい!」
「ドケェェェェ!!」
殺人武器たる鉈が乱暴に振り上げられ、勢いよくマルコに振り下ろされる。
マルコは再度メイスで受け止めようとするが、タイミングが僅かにずれ、力まかせにメイスがはね飛ばされた。
丸腰になったマルコに三度鉈が振り下ろされかけた、その時。
「我に付き従うフェアリーたちよ、今だ!!」
戦況を見守っていたハイトが、後方に控えるフェアリーの精鋭たちに号令をかけた。
フェアリーの精鋭たちは、一斉にフェアリーサイズの対物スナイパーライフルや迫撃砲を構え、切り裂き魔に狙いを定める。
「撃てーっ!!」
――ドドドドドド!!
フェアリーの精鋭1000人が奏でる弾丸や砲弾のオーケストラは、切り裂き魔の念力で操られていた全ての刃を撃ち落とし、切り裂き魔本体の全身をも撃ち抜きながら、マルコやシフォンとの間に弾幕を張り追撃を阻止する。
「イタイイタイイタイ……!!」
無数の銃弾に撃ち抜かれ、血だまりに倒れ伏し痛みにもがく切り裂き魔の瞳に宿る殺戮衝動が、目に見えて弱まり始めていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。
基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。
シリアス以外ならいたずら好きの面も。
チヒローズ・イッシー(サポート)
自由都市を故郷に持ち、本人も自由を愛する女性です。
戦闘では指定したユーベルコードを状況に応じて使い、人々の自由を取り戻す為に皆さんと力を合わせて戦います。
オラトリオの聖者×プリンセスということで、もしよければキラキラっとした華やかな戦闘演出を描写していただけると嬉しいです。
口調はステータスシートの通り、「なの、よ、なのね、なのよね?」という感じの優しく人当たりのいい女の子といった感じの喋り方です。
一人称は「私」、二人称は基本的に年齢や男女を問わず「さん」付けの呼び方です。
あとはマスターさんにお任せします。よろしくお願いします!
カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」
神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!
●狂気の中に慈愛を、苦悶からの救済を
「僕の神様は言ったよ。――オウガに乗っ取られた少年を助けよって」
紫の瞳で切り裂き魔を見つめ、自信に満ちた表情とともに堂々と断言するカツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)。
神から賜ったミレナリィドールの肉体の特徴たる関節球体を偽装皮膚で覆い隠し、人間と寸分たがわぬ容姿を切り裂き魔に晒しているカツミだが、その心はカツミを造った「神」同様、人が清濁併せ持つものだと知っている。
――だからこそ、己が身体が傷つくことも厭わず、全力で対峙する決意を固めている。
そして医師たる春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)もまた、カツミと同じ想いを胸に抱いていた。
「このオウガは、明らかに人に害をなす存在ですが……」
一方、憑依しているオウガに肉体を乗っ取られているエルドは、おそらく困っているはず。
困っている人がいれば助けたい……それもまた、遙の願いのひとつ。
そうですね、と遙に頷き同意するチヒローズ・イッシー(オラトリオの聖者・f20852)の周囲には、無数の光の粒が燦然と輝いていた。
「エルドさんの自由を取り戻すために、皆さん、力を合わせましょう!」
――本来、エルドさんはここにいるべき人ではないのだから!
猟書家に浚われ、地獄の果てに存在してもおかしくない血塗れの牢獄に閉じ込められ。
肉体的にも精神的にも追いつめられた少年は……オウガに乗っ取られ絶望の淵にいる。
それは、チヒローズが知る華やかで若々しく、瑞々しい世界とは真逆だから。
――エルドを一刻も早く、光あふれる世界に連れ出すために。
プリンセスハートを手に、チヒローズは祈る。
「クワセロ……コロス……ガアアアアアア!!」
新たな獲物を見定めた切り裂き魔の殺人衝動が大きく高まる中、1度は全て床に落とされたはずの血塗られた刃が再び召喚され、チヒローズに狙いを定めた。
「エルドさんを返して!」
チヒローズが一喝するとともに、プリンセスハートが鈴蘭の花びらに変換され、ざあ……っと吹き込んだ風に乗って切り裂き魔と血塗られた刃に殺到。切り裂き魔の目を眩ませ、血塗られた刃に張り付いた。
切り裂き魔も血塗られた刃を解き放ち、チヒローズを切り刻もうとするが、鈴蘭の花びらが張り付いた刃は、切るべき目標を見失ったかのように右往左往し始め、なんびとをも切り裂けない。
「グゥゥ……」
切り裂き魔が胸を押さえ、呻く。
先の猟兵が穿った無数の銃創が、切り裂き魔の動きを鈍らせているのか。
それとも、エルドの意識が引き戻されつつあるのか。
――ならば今は、空間を、場を、気を整えるべきか。
遙は4本のハシバミの枝を取り出し、先端に火をつけ、祈りの言の葉を呟きながら牢獄の四隅に投げる。
「夏至の夜を汚す悪しきものを追い払え、聖なる炎を消す水の流れを探し出せ」
祈りが込められたハシバミの枝は、狙い通り四隅の床に深々と突き刺さり、松明のように高らかに炎を上げた。
四隅の炎に照らし出され、牢獄にぶちまけられている血の紅が、一際鮮やかに浮かび上がった。
「クワセロオオオオオ!!」
鮮やかな血を目にし高揚した切り裂き魔が、長き刃の爪をカチカチと打ち鳴らし、カツミを喰らわんと飛び掛かった。
カツミは軽いステップで後退しながら波濤王笏を取り出すが……その表情はなぜか困惑。
「僕の神様は言ったよ、これを使えって……でもどうやって使えばいいんだ?」
波濤王笏はカツミの「神」が新しい力を付与したと言って渡してきた武器ゆえ、カツミ自身も如何なる権能が宿っているかはわからない。
「えーと、こうして、こう!」
とりあえず波濤王笏を切り裂き魔に突き付けてみると、王笏の先端が突然銃口に変化し、海水が勢いよく発射される。
――さながら、引鉄のない水鉄砲のように。
「いきなりだね!?」
驚いたカツミは発射の反動で後方に軽く飛ばされかけるが、かろうじて踏みとどまる。
だが、驚いたのは、王笏を向けられた瞬間、海水を浴びせかけられた切り裂き魔も同じ。
――まさか、王笏が突然水鉄砲の銃身と化し、海水を発射するなど、誰が考えただろうか?
ゆえに避けようがなかった切り裂き魔は、海水を真正面から浴びてしまい、水も滴るいい男(?)へと変貌してしまう。
「ウガァァァァァァ……!!」
怒りと戸惑い、痛みが綯い交ぜになった叫び声をあげる切り裂き魔。
顔面に直接水をかけられたことで怒ったか。
それとも、海水が刃に付着した血を全て洗い流してしまったことに戸惑っているか。
あるいは……無数の銃創に海水が触れ、全身激痛に苛まれているのか。
いずれにせよ、床や壁、刃に付着した血は海水を浴びた際に全て洗い流されたため、切り裂き魔の戦意は半ば削がれている。
さらに遙がハシバミの枝で結界を張り力の流れを読み取っている以上、牢獄内に少しずつ清浄な気が流れ始め、エルドを苦しめる檻としての役割を少しずつ失わせていた。
「エルドさん、今明るい世界に戻してあげます!」
チヒローズの両手から、無数の鈴蘭の花びらが風に乗って舞い上がる。
それはチヒローズの周囲を舞う光粒をも巻き込みながら徐々に渦を巻き、やがて鈴蘭と光の嵐となって切り裂き魔を覆い尽くした。
「ギャアアアアア!!」
嵐に巻き込まれた切り裂き魔が、戦意と生命力を奪われ、断末魔の叫びをあげた。
叫びと嵐が止んだ後、切り裂き魔の姿はなく。
――オウガブラッドたる金髪の少年が、気を失って頽れていた。
●狂気に絡め取りし、蜘蛛の糸
気絶したエルドをカツミが介抱し、チヒローズが見守る中、小児科医である遙が手早く処置を施す。
遙の迅速かつ的確な手当ての甲斐あって、エルドはすぐに意識を取り戻した。
「お姉さん、ありがとう……ございます」
「いえいえ、医者として当然のことをしたまでですから」
にこりと微笑みかける遙に支えられ、身を起こすエルドの目が――凍り付いた。
「どうかしました?」
「あ、あなた、は……」
エルドの視線は、牢獄の隅に佇む、ひとりの男に向けられていた。
――いつの間にか、牢獄の中に四対八枚の羽根を生やした男が、冷ややかな目つきで佇んでいた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『リュカ・トワル』
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POW : アレニエの罠
【予め戦場に張り巡らせた透明な蜘蛛糸】が命中した対象に対し、高威力高命中の【伸縮可能な円網状の羽による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : アリス・デセジェを憐れみて
戦闘中に食べた【猟兵やアリスの血と肉】の量と質に応じて【脚が巨大蜘蛛の八本脚に変化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : ヴェクサシオン
【自身が葬ったアリスの血肉】を給仕している間、戦場にいる自身が葬ったアリスの血肉を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
イラスト:クニ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「スキアファール・イリャルギ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●蜘蛛は狂気の道へと手招きして
「ふぅん、狂気を抑え込んじゃったか」
憑依したオウガを再び抑え込んだエルドを、冷ややかな緑の瞳でつまらなさそうに見つめながら。
いつの間にか姿を見せていた四対八枚の漆黒の翼を宿す猟書家『リュカ・トワル』は、猟兵たちを無視し、エルドを毒を含む言の葉で抉る。
「恐怖や狂気に抗って何処行くんだ? 逃げんのも疲れるでしょ?」
「どっ、何処に行こうが……!!」
強がるエルドの肩口が突然抉られたかと思うと、背後に青白き炎が噴出し。
それは徐々にかたちを変え、青白い炎を纏った切り裂き魔へと変化する。
「そうやって強がってオウガに抗っても、また乗っ取られるだけだぞ?」
「ボクは、もう……!」
オウガにこの身体を乗っ取らせやしない、との言の葉は声にはならないが、猟兵達には確かにそう聞こえた。
少なくとも、直ぐに心を狂気に食われ、乗っ取られる心配はなさそうだ。
――一方。
いつの間にか、部屋全体に透明な蜘蛛の糸が張り巡らされていることに、猟兵達は気づいてしまう。
おそらく、糸に触れてしまえば、即座に察したリュカ・トワルが羽根で絡め取って来るだろう。
オウガブラッドに拘る猟書家の本質は……ヒトではなく蜘蛛。
――狂気という名の糸でオウガブラッドの心を絡め取り、堕とす毒蜘蛛だ。
「じゃあ、抗えるだけ抗って見な」
つまらなそうに嘯くリュカ・トワルに、エルドは己に憑依する切り裂き魔と共に対峙する。
「ボクだって……怖がってばかりはいられないから!」
強がるエルドに向けられるリュカ・トワルの視線に含まれるのは、冷ややかなそれと歪んだ希望。
リュカ・トワルは明らかにもう1度、エルドを狂気に堕とそうとしている。
……それだけは、断じて避けねばならない。
蜘蛛の如く陰湿な罠を張り巡らせ、オウガブラッドを再度狂気に堕とそうとする猟書家に対し。
――猟兵たちは、エルドを狂気から守るべく対峙した。
※マスターより補足
第2章は、救出されたオウガブラッドの少年・エルドと共闘可能です。
エルドとの共闘はプレイングボーナスの条件となっておりますが、共闘するか否かは任意です。
エルドの使用ユーベルコードは【オウガ・ゴースト】のみ。
憑依させるオウガは、1章で戦った切り裂き魔となります。
何か、特段取ってほしい行動がございましたら、プレイングで指定お願いします。
ただし、猟書家『リュカ・トワル』は、あの手この手を尽くしてエルドを再度オウガに堕とそうとします。
エルドに何らかの声かけを行ったり、リュカ・トワルの言動を邪魔したりして、エルドが再度オウガ化せぬよう働きかける必要もあるでしょう。
――それでは、良き結末を目指して。
轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、18歳の女です。
普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
イネス・オルティス(サポート)
『この鎧は一族伝統のもの、恥ずかしくなんて……』
アックス&ウィザーズ辺境のどこかにある隠れ里に住む一族の女戦士
〔一族伝統の鎧〕のビキニアーマーを愛用し主に〔巨獣槍〕という槍を使う
”ダッシュ”で近づき”なぎ払い”、”串刺し”等をよく行う
ボン・キュ・ボンのナイススタイルで、ビキニアーマーを普段使いしているため
無意識に周りを”誘惑”している事があるが本人は気づいていない
また”恥ずかしさ耐性”があるためか自分の格好より任務の達成を優先する傾向がある
アドリブ・絡み・可 ””内技能
描写はセクシーレベルまで
キャバリアには乗りません
ナイツ・ディン(サポート)
「ディロ、行くぞ!」
『竜たる我が力を見るがいい!』
ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者
小柄な妖精種を生かして飛びながら(空中戦)ヒットアンドアウェイ、回避(見切り、第六感、盾受け、武器受け)してから弱点(鎧無視攻撃)を竜槍で突いたり薙ぎ払ったりカウンターが基本。場合によっては弓の援護射撃も有り。
UCは適宜使っていくぞ。
「暴れ倒してやるぞ、ディロ!」
援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。
●黒白紅の三色は、毒蜘蛛をも圧倒し
牢獄の四隅に穿たれたハシバミの枝と、意図せず使われた海水の水鉄砲のおかげで、オウガブラッドを追いつめる匣と化していた血塗れの牢獄は、もはやただの牢獄に過ぎない。
それでも、オウガブラッドを狂気に誘うことを諦めない、猟書家『リュカ・トワル』の瞳は、どこまでも冷ややかだった。
「牢獄を綺麗にしても、そこのオウガブラッドに逃げ場はないのにな?」
執拗にまでオウガブラッドに拘り、狂気から逃れた挙句憑依したオウガの力を借りようとしているオウガブラッドの少年・エルドの前に、3人の猟兵が転送されてきた。
「助けにきました!」
真っ先に駆けつけたイネス・オルティス(隠れ里の女戦士・f06902)が身につけているのは、一族伝統のビキニアーマー姿。
イネスの一族にとって、ビキニアーマー姿は正装、なのだが。
「え、あ、お、おねえさん……」
その露出高い鎧姿を見たエルドが思わず赤面し、リュカ・トワルはふんと鼻を鳴らしながら毒を吐く。
「その恥ずかしい格好でオウガブラッドを誘惑するつもり? 雑じゃない?」
「そ、そんなつもりは……! それにこの鎧は一族伝統のものですから!」
誘惑していないと否定するイネスだが、美しいスタイルと普段使いの一族伝統の鎧の組み合わせは、イネスの意に関係なくエルドを誘惑してしまっている。
「ちょ、ちょっと、俺も恥ずかしい……」
普段は冷静なフェアリーのナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)も、その刺激の強さに思わず両手で目を塞ぎつつ、好奇心に負けて指の隙間からチラチラッとイネスの肢体を眺めていた。
一方、ナイツの冷静な部分は、イネスの無意識の誘惑はエルドにとっては都合がいい、と判断していた。
(「エルドの意識がイネスの容姿に向いているなら、あのいけ好かない猟書家の言動からは気を逸らせそうだ」)
事実、エルドも年相応の男の子としての好奇心を持ち合わせているのか、恥ずかしがりながらも時々横目でチラッとイネスに視線を向けている。
少なくとも、イネスに向けられた毒をエルドが気にしている様子がない以上、エルドが狂気の言の葉に耳を傾ける可能性はかなり落ちたはず。
当のイネスが自分の格好と周囲の反応より猟書家を倒すという任務を優先させているため、ナイツやエルドの視線には気づいていないのもまた、好都合と言えよう。
「挑発にしては雑すぎない?」
一方、リュカ・トワルの毒をクールに一蹴しつつ、両手にナックルウェポンを装着する轟木・黒夢(モノクローム・f18038)を、リュカ・トワルは一瞥しただけで無視し、エルドに呼びかける。
「今のうちにしっかり目の保養をしておいたら? 先にそこの女戦士を血祭りにしてやるから」
リュカ・トワルの敵意は、明らかにエルドの視線を独り占めしているイネスに向いている。
エルドが気にかけているイネスを血塗れにすることで、再びエルドを狂気に堕とすつもりなのだろう。
そうはさせじ、とイネスが巨獣槍を構えた、その時。
「それなら、私が全力で相手してやるわよ?」
イネスより先に黒夢が動き、懐に飛び込んだ。
リュカ・トワルは新たな蜘蛛の糸を張り巡らせ、黒夢を狭い蜘蛛の檻に閉じ込めるが、黒夢は気にせず、リュカ・トワルに正面から殴りかかる。
一打、二打、三打、四打。
ナックルウェポンを嵌めた拳が、蜘蛛の本質を持つ猟書家を穿つ。
時折、腕を引いた際に透明な糸に触れ、伸縮可能な円網状の羽に肘を穿たれるが、それでも黒夢は気にせず殴り続けた。
「私だって!」
そこへイネスが巨獣槍を構え、背後から突撃。
槍に引っかけた蜘蛛の糸に反応し、伸縮可能な円網状の羽が四肢に突き刺さるが、イネスは構わず巨獣槍を突き出す。
「獣の一撃、喰らいなさいっ!」
裂帛の気合と共に突き出された、濃密な巨獣のオーラを纏った巨獣槍が、リュカ・トワルの翼から羽を散らし、背に突き刺さった。
「ぐっ、ぐぅぅぅぅぅぅ!!」
背骨すら砕く巨獣の一撃は、リュカ・トワルの背から腹を貫通。
巨獣槍を包む巨獣のオーラは、リュカ・トワルの四対八枚の翼を威嚇するかのように蠢き、羽を撃ち出させない。
痛みにもがくリュカ・トワルの頭上を、巨大な獣の気配が覆い尽くす。
「む?」
「竜を愚弄したこと、後悔させてやろうぞ!」
イネスから視線を逸らしつつこっそりリュカ・トワルの頭上に回り込んでいたナイツが、炎を纏った巨大な紅竜に変身、その巨体でボディプレスを敢行。
黒夢とイネスは、ボディプレスに巻き込まれぬ様得物を引き、素早く部屋の隅に後退した。
「この狭い空間で、愚かすぎない?」
リュカ・トワルも紅竜を嘲るが、狭い空間故、逃げ場はない。
紅竜化には理性を失う欠点があり、その巨体にこの牢獄は狭すぎるが、自由落下するだけならば何ら問題はない。
――ズシーン!!
リュカ・トワルはなす術なく紅竜の巨体に押し潰され、炎に巻かれる。
直後、ナイツはユーベルコードを解除して紅竜からフェアリー姿に戻りつつ上空へと逃れ、フェアリーボウで牽制を始めた。
潰された痛みに顔を顰めつつ起き上がったリュカ・トワルは、蜘蛛の糸を再度張り巡らせつつも、黒夢の格闘とイネスの巨獣槍にも注意を払いつつ、頭上からの矢も警戒している。
それでも、黒夢は愚直な程にまで格闘に拘り、再度リュカ・トワルに殴りかかろうとするが。
「もうあきらめたら? この蜘蛛の糸が、君の拳を邪魔するだけ」
蜘蛛の糸を放つ十指を見せつけながら、リュカ・トワルは黒夢を挑発するが、黒夢は意に介さない。
――モノクロームが言の葉の毒に染まることは、ないのだから。
「私は、魔法もお手の物よ」
黒夢が魔法の言の葉を口にすると。
――ブオンッ!!
漆黒の魔力に包まれた拳が急加速し、リュカ・トワルの胸に吸い込まれる。
リュカ・トワルも咄嗟に身を退こうとするが、魔法少女化した黒夢が飛び込む方が、早い。
――ゴガァッ!!
――ベキベキベキ……。
「……っ!!」
漆黒の魔力で破壊力を増した黒夢の拳は、リュカ・トワルの呼吸を一時止めつつ、ろっ骨を粉々に砕いていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
源・ヨーコ(サポート)
『悪い子はお仕置きっすよー!』
人間のブレイズキャリバー × ビーストマスター
年齢 16歳 女
外見 158.4cm 金の瞳 ピンクの髪 色白の肌
特徴 胸が大きい 八重歯 ギャル ハイテンション! 運動が好き
口調 体育会系(自分、~先輩、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)
悪いヤツは鉄拳制裁!
あまり難しいことは考えず、敵に向かって猪突猛進するタイプ。全ては拳で解決できると信じていて、とりあえず接近して殴るが基本戦術。
硬そうな相手にはカウンターでの一撃必殺を狙い、素早そうな相手には連撃と使い分けぐらいはする。
単独行動を好み、調査などは苦手。
基本は戦闘オンリーな感じですが、よろしくお願いします。
カシム・ディーン(サポート)
口調
基本丁寧なですます口調
一人称
僕
二人称
呼び捨て、君、あなた、お前(敵には
女好きの盗賊少年だが
サポート参加の場合では基本戦闘やそれ以外の補助をメインとした立ち回りに従事する
本当はもう少し楽しい事をしたいんですけどね
【情報収集】
戦う場所や敵について
その他有用な情報を集め仲間に伝え
戦闘
【属性攻撃・迷彩】で光属性を全身に纏い消
基本攻撃は【盗み攻撃】で敵の武装の強奪による無力化
敵集団には一度【溜め攻撃】で魔力を収束させウィザードミサイル
単体相手にはシーブズギャンビットで服を脱ぎつつ猛攻を仕掛ける
一人で行動はせずにメイン参加者と息を合わせて攻撃を行う
今日の僕は盗賊として少し頑張ってみるとしますよ
隣・人(サポート)
『隣人ちゃんは隣人ちゃんですよ隣人ちゃんと呼んでくd』
バーチャルキャラクターの殺人鬼 × 四天王
年齢 22歳 女
外見 158.4cm 赤い瞳 茶色の髪 色白の肌
特徴 囚われていた 実は奴隷だった ハイテンション! いつも笑顔 刺激に敏感
口調 ビハインド(自分の名前+ちゃん、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)
恋人には 収容違反(私、アンタ、ね、よ、なの、かしら?)
人型のオブリビオンが相手だと三半規管を狙います
それはもう執拗に狙います
相手が『見せられなく』なるまで
真の姿の際は『殺人』特化
普段とは違い、シリアスな感じでお願い致します
●遊具の暴力は、致命的な隙をも生じさせ
今、思えば。
――『其れ』が大惨事を引き起こすのは、必然だったのかもしれない。
紅竜の下敷きになり、ろっ骨を拳で砕かれた幹部猟書家『リュカ・トワル』は、いつの間にかピンク色を基調としたファンシーな回転椅子とコーヒーカップに乗せられていた。
もっとも、乗せられたのはリュカ・トワルだけでなく、援軍として駆けつけた源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)とカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)、そしてエルドもなのだが。
「いつの間に乗せられたっすか?」
意識せぬままコーヒーカップに乗せられたからか、ヨーコが首を傾げ。
「突然全員でお友達になろうとでも言うの?」
リュカ・トワルは相変わらず毒を吐きながらも、隙あらばアリスの血肉を供してやろうと企み。
「今日の僕は盗賊として少し頑張ってみるつもりだったのですが……」
これは何か違う、と首を傾げたカシムは、一方で麗しき女性がいるためか口端にわずかな笑みを浮かべ。
「これ、何なの……?」
エルドは青白き炎の切り裂き魔に己が肉を与えつつ、やはり首を傾げていた。
四者四様の反応の後、新たに姿を現したのは――目隠しメイドのオブジェクト。
「はいはい皆さんお揃いですねー! 隣人ちゃんですよー!!」
――キラリ。
目隠しの下のぐるぐる目を輝かせながら、コーヒーカップの『外側』から縁に手をかけたのは、目隠しメイドのオブジェクトこと隣・人(🌈・f13161)。
彼女の満面の笑顔を見た瞬間、カシムの背に冷や汗がだらだらとつたい落ちる。
……この女性(ひと)、僕たちごとコーヒーカップを回転させるつもりだ、と。
「あー。ごめんなさい。味方を巻き込まないと寿命が減っちゃいますので。ほら。えれえれしてくださいね!!!」
隣・人、コーヒーカップに手をかけ、ニコォとカシムに笑いかけるが。
「いや待って、僕たちまでえれえれさせるな!! 猟書家だけにしろよ!!」
丁寧な口調をかなぐり捨てたカシムのツッコミが隣・人に炸裂。
だが、そもそも不可視の力で全員コーヒーカップに乗せられてしまっている時点で、時すでに遅し。
「あ、そーれ!!」
隣・人の掛け声とともに、コーヒーカップが回り始めた。
――ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる……。
隣・人の手でコーヒーカップは徐々に回転速度を上げてゆき、やがて通常の9倍の速度で高速回転を始める。
コーヒーカップに乗せられているリュカ・トワルやヨーコたちは、徐々に回転速度を上げるコーヒーカップの中で、ただひたすら踏ん張るしかできなかった。
「こ、こんな……!」
リュカ・トワルは投げ出されぬ様に必死にしがみつき。
「わあああああああああ!!」
経験したことがない高速回転に、エルドは怯えを隠さず絶叫する。
「こ、これはきっついっす~……」
ヨーコも必死に踏ん張るも、既にその目は渦を巻き始めていた。
「おっと、さすがに美しい女性と可愛い男の子に吐かせるわけにはいきませんね」
カシムは咄嗟にヨーコとエルドの手を繋ぎ、念動力で3人纏めて浮きあがらせ、高速回転によるダメージを軽減する。
「エルドくん、耳を塞いで目を閉じるっす!」
「あ、はいっ」
さらに目を閉じ耳を塞いだヨーコに倣い、エルドとカシムも念動力で浮遊したまま、目を閉じ耳を塞いだ。
その甲斐あってか、3人とも多少の吐き気は覚えたものの、三半規管に致命的なダメージは受けていない。
一方……。
「…………うっぷ」
高速回転から逃れる術を持たなかったリュカ・トワルは、洗濯槽で攪拌された洗濯物のようにコーヒーカップ内でもみくちゃにされ、必死に嘔吐感をこらえている。
暴力的とも言えるコーヒーカップの演舞は、猟書家に計り知れないダメージを与え、プライドと三半規管を粉々に砕いていた。
コーヒーカップの回転が止まり、リュカ・トワルが外に投げ出される。
「ぐ、うぅ……」
リュカ・トワルは壁に手をつけながらも必死に立ち上がろうとするが、平衡感覚はほぼ失われ、視界すらぐるぐる歪んでいる状況では、真っ直ぐ立ち上がることすら難しい。
「ヨーコさん、エルドさん!」
自身も高速回転した影響でえれえれと吐いている隣・人を無視し、カシムがヨーコとエルドを床に下ろし、合図を出す。
「相手がふらついているなら、チャンスっす!」
待ってました! とヨーコは拳をブンブン振り回しながらリュカ・トワルに吶喊した。
一見、目の前の四対八枚の翼をもつ男性は、悪い奴には見えないけど。
聞くところによると、目の前の男性はエルドを苦しめ、狂気に堕としオウガに乗っ取らせようとした猟書家だという。
――ならば、力の限りぶん殴っても問題なし!
「我、神の名において正義を執行す。汝ら罪なし!」
ヨーコは日々の努力と他猟兵たちへの友情、そして目の前の猟書家に勝利する決意を胸に己が拳を強化し、既に一撃受けてろっ骨が砕かれた胸を狙い、ただ真っ直ぐに拳を突き出した。
――バキバキッ!!
――グシャアッ!!
「が、こ、こんな……こんなことが……!!」
ヨーコの拳で胸に大穴を開けられたリュカ・トワルは、それでも蜘蛛の糸を再度張り巡らせようとするも、その糸は透明な手に悉く奪われた。
「なっ!?」
「ようやく、盗賊らしいことができました」
見れば、いつの間にかカシムの手に蜘蛛の糸の束が握られている。
光の屈折で透明化したカシムが、ナイフで蜘蛛の糸を切り、片っ端から奪っているのだ。
これでは、ヨーコやエルドを蜘蛛の檻に閉じ込めることは、できない。
「エルドくん!」
「ボク、だって……!」
茫然とするリュカ・トワルに、エルドに憑依する青白き炎の切り裂き魔が迫り、ナイフの九連撃でリュカ・トワルの身体をズタズタに斬り裂き。
「悪い奴は骸の海に還るっす!!」
ふらついたリュカ・トワルの顔面に、ヨーコの拳が迫った。
――ドゴォッ!!
ヨーコの拳が、リュカ・トワルを吹き飛ばし、牢獄の壁に叩きつける。
リュカ・トワルは無言のまま床に頽れ、そのまま消滅した。
「エルド、大丈夫ですか?」
気が抜けたのかその場にへたり込むエルドに、カシムが優しく手を差し伸べる。
「ありがとう……ございました」
憑依を解いたエルドは、カシムの手を取り立ち上がり、その場にいる猟兵たちに丁寧に頭を下げていた。
かくして、猟兵達はオウガブラッドを狂気に堕とさんとする猟書家の目論見を砕き、オウガブラッドの少年をあるべき場所へと還すことに成功した。
――幹部猟書家『リュカ・トワル』撃破。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
最終結果:成功
完成日:2021年05月08日
宿敵
『リュカ・トワル』
を撃破!
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