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狂乱は、ただ一つの死のために

#ダークセイヴァー #地底都市 #第五の貴族 #マイ宿敵

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#第五の貴族
#マイ宿敵


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 ここはダークセイヴァーの地下世界。
 領民たちが住む小屋の1つが潰れ、煙が上がっていた。
「あっははは! またやってるよ、あいつら。」
 ケラケラと笑う少年の声が響くのは、一際大きな領主の館の一室。
 真紅の瞳で見下ろした先には、崩れた小屋を囲む領民たちの姿……そして、引きずり出される死体を、
「今度はどうするかなぁ、首は落とすくらいで終わるかな……お、紐かけたね。」
「……ぁ……。」
 少年は言葉を放ちながら、脇に控えていた人間の首を刎ねていた。
 吹き出る血を一口飲み、
「どうするんだろうねぇ……あぁ、手足全部に付けて引っ張るのか!
 あっははは! まったく、新しい方法をよく見つけてくれるよねぇ。」
 倒れた死体に目もくれず、楽しげに歩きだす少年についていく人間たち。
 彼らの額には、赤く脈動する紋章が刻まれていた。

 ところ変わってグリモアベース。
「さて、皆集まったな。
 今回皆に行ってもらうのは、ダークセイヴァーだ。」
 前置きもなく話し始める、辛うじてウサギと解るキグルミを着た外道の声が響いていた。
 壁に映し出されるのは……崩れた小屋の前に集まる、領民と思しき人々。
「この集落を統べるのが、第五の貴族と呼ばれている吸血鬼、ということがわかったのだ。
 で、その領主は奥の館にいるんだが、問題はこの集落の住民でな……。」
 壁に映るのは……引きずり出した人間を、文字通り引き裂く領民たち。
 彼らは一様に血走った目に紋章を浮かべ、まともな思考をしているとは思えなかった。
「彼らは相当追い詰められていてね……常に不満を吐き出す先を探している。
 困ったことに、君たちは恰好の獲物というわけだ。
 それに、瞳に刻まれているのは猟犬の紋章と呼ばれるものでね……嗅覚や視覚も強化されているから、姿を消して進むなら相当注意していかなければ見つかるだろう。
 一人一人は君たちからすれば大したことは無いが、とにかく数が多い。
 だから、あまり彼らを倒そうと考えずに、とっとと領主の館へ行った方が良いだろうね。」
 外道が大仰なポーズで壁の映像を消すと、村外れにゲートがつながった。
 掘っ建て小屋の立ち並ぶ先に、ひときわ大きい館が見える。
「あれが君たちが目指す領主の館だ、あそこに第五の貴族と呼ばれる吸血鬼がいる。
 見た目は小さな男の子だが、周りに侍らせた人間の配下を文字通り『使って』戦う、嫌な相手さ。
 一つだけ君らに助言するなら……周りにいる人間たちは、すでに魂を奪われて元に戻らない。
 彼らを救おうなどと考えなくていい、ということさ。
 で、そいつを倒せば終わるはずなのだが……他の第五の貴族と戦った者たちによると、倒した後に別の姿をとると言っていたな。
 残念だが、そいつについては予知できていない。
 だが、君たちなら出来ると信じているぞ! 頑張ってくれたまえ!」


ヨグ
 ヨグです、4本目の第五の貴族との戦いをお届けします。
 狂乱の住民と、それを楽しむ吸血鬼……そして、終わりたい者の物語。
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第1章 集団戦 『『シャーデンフロイデ』煽られた群衆』

POW   :    うるせー!黙れ!お前を処刑すれば円満解決なんだ!
【体を掴んで処刑台へ引連れ拘束する群衆の腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【酷い目に遭っている鬱憤を込めた処刑の刃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    抗う力のあるお主に!儂らの苦しみが分かるか!!!
【いつ戯れに殺されるか分からない死への恐怖】【吸血鬼に抗う力と勇気を持つ者への妬み嫉み】【自分達を死の危険に晒している対象への怒り】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    みんな、あなたの独善的な偽善に迷惑しているのよ!
【反抗する者のせいで虐げられる、という主張】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミニョン・サフィール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】
「うぅ……怖いですけど、皆さんの囮になれれば」

まずは【怪盗参上】を使って空を泳ぐ人魚になります
その状態でなるべく多くの群衆を引き付れて領主の館から遠ざけます

でも疲労でびっしょりと汗をかきながらついに捕まってしまい、リンチを受けながら処刑台に引連れていかれちゃいます
そして処刑の刃を受けてしまいます
でもデッドマンだからその程度は時間と共に治ると思うのであとは他の猟兵のみなさんの活躍を祈ります



「余所者が居るらしい……。」
「探すんだよ! そうしなきゃ、次に消されるのはあたしらなんだからね!」
 猟犬の紋章が浮かぶ血走った目で辺りを見ながら、農具などの簡素な武器を手にした領民たち。
「うぅ……近くで見ると、思ったより怖いですよぉ……。」
 ドタドタと駆けていく彼らを物陰から見送ったのは、ミニョン・サフィール(魔法怪盗サファイア・f32433)。
 幼いながらも怪盗として、悪徳貴族などを相手に盗みを働き、孤児たちに施しを与えるミニョンであったが、
「ここまで荒んでる人たちなんて……会ったことないかもしれない、です。」
 でも……と、震える手を自分の頬へパチリと当てる。
「……怖いですけど、皆さんの囮になれれば。」
「なんだい、あの音は!」
「あそこだ! ガキがいるぞ!」
 領民たちの声が向けられたときには、ミニョンの身体の震えは治まっていた。
 そのまま宙を駆け、瞬きの間に宙を泳ぐ人魚となって空中を進んでいく。
「魔法怪盗サファイア、参上です!」
「やろう、なめやがって!」

 わざと目立つように泳ぐミニョンを追いかけていた領民たちだが、途中から石や簡素な槍などを投げつけるようになってきた。
 最初はふわりと避けていたが、何度も続ける内にミニョンは身体から冷たい汗が流れるのを感じ、
「ひゃ!? も、もう……いっ!?」
 投げつけられた鎌を避けきれず、脇腹に突き刺さり……とさり、と砂利道に落ちてしまう。
 すぐに追いついた領民たちの手は、細いミニョンの身体を軽々と掴み上げていた。
「このガキ、手こずらせやがって!」
「ひっ! や、やめ」
「首を落としな! あたしらをコケにした罰だよ!」
「いや、やだ……やめて、」
 か細い声で懇願するミニョンの声には耳を貸さず、普段は薪を割るのであろう木の切り株に押さえつけられる。
 すぐ横で斧を振り上げる気配を感じ、
(これだけの人は引き付けました……後は、よろしくお願いします。)
 ドン……トサっ……。

成功 🔵​🔵​🔴​

シエナ・リーレイ
■アドリブ可
『お友達』を求め彷徨うシエナ、喧騒に惹かれて不満を募らせる人々の村に足を踏み入れてしまいます
殺意や悪意を向けながらシエナを捕えようとする村人達に鬼ごっこで遊びたいと認識するとシエナはそれに喜んで応じます

今度はわたしが鬼だね!とシエナは宣言します。

村人達の手を舞い踊るようにして躱すシエナに対し村人達は協力して捕らえます
ですが捕らえられたシエナは鬼役の交代を宣言すると共に自身を捕らえる村人を怪力を奮います

捕まえたよ!とシエナは全力で抱きしめます。

鬼役となったシエナは村人を捕らえる度に身の毛もよだつ凶行に及びます
そして、気分が高揚しきったシエナが村人の主張が正しく認識する事はないでしょう


ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘OK
今回は情け容赦なし
POW

うふふ♪ つい笑ってしまったわ。
貴方達、私の故郷の人間どもとそっくりなんだもの。
……私に滅ぼされるという点も、ね

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
『芳しき熱愛』で汚泥化。
嗅覚の強化された彼らに悪臭は効果抜群!

"泥水を啜ってでも生きる"なんて言葉があるけれど
お前達には肥溜めの方がお似合いよ

大地から【生命力吸収】する事で
地割れ【地形破壊・範囲攻撃】を起こし
毒の【属性攻撃】で汚泥のプールに沈める

お前達の心と同じように
醜く腐って死になさい

運よく助かった者が泣いて命乞いしてきたら
殺すのを躊躇してしまうけれど
騙し討ちなら 汚泥の体で無効化して【念動力】で汚泥に落とすわ



「ここに居やがったな!」
 通りを歩くドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)を見つけ、領民たちは罵声を上げながら向かってきた。
 しかし、そんな彼らに対してドゥルールが返すのは、
「……うふふ♪」
 思わずこぼれる笑みだった。
「何笑ってやがる!」
「何でって? 貴方達、私の故郷の人間どもとそっくりなんだもの。」
 かつて、吸血鬼とのハーフであるという理由でドゥルールを踏みにじった者たちと。
 だが、当時と違うのは、
「……私に滅ぼされるという点も、ね。」
 そう言葉を残し、ドゥルールの体がどろりと溶け広がっていく。
「ぐっ!?」
「臭え、なんだこれ……!」
 汚泥と化して広がるドゥルールの放つ強烈な異臭に、二の足を踏む領民たち。
 その時、領民の一人の袖をつかむ手があった。
「あ? なんだ?」
「ねぇ遊ぼう! とシエナは、あなたたちと鬼ごっこで遊びたいと認識します。」
 奇妙な物言いと共に微笑みを浮かべながら、相手をつかんだその手を振り上げる、シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)。
 小柄な身体に不釣り合いな力に、領民の腕がへし折られる音が響く。
「ぐあ!? な、なんだコイツ……!」
「このガキ、ふざけやがって!」
 引き剥がそうと他の領民がシエナの身体に手をかけようとするが、その小柄な身体を捕まえることは出来なかった。
「今度はわたしが鬼だね! とシエナは宣言します。」
「ちっ、クソガキが! ……ぐあっ!?」
「私のことを忘れてもらっちゃ困るわ。」
 するりとシエナが手を伸ばした領民の足下が突然崩れ落ち、どろりとした汚泥が足を掴む。
「ひっ!? た、たすけ……て……。」
「あら、溶けてしまいました。とシエナは遊び相手が居なくなって悲しみます。」
 その汚泥に捕らわれた身体が溶け落ち、骨へと化していく。
 汚泥が元のドゥルールの姿をとり、吐き捨てるように呟いていた。
「"泥水を啜ってでも生きる"なんて言葉があるけれど、お前達には肥溜めの方がお似合いよ。」

 悲鳴を聞きつけた領民たちが路地から現れ、すぐに目に付いたのは小綺麗なドレスを着たシエナの姿。
「居たぞ!」
「てめぇ、今度こそ引き裂いてやる!」
「あは、いっぱい来てくれたね! とシエナは遊び相手を見つけました。」
 無垢な笑みを浮かべたまま彼らの叩きつける棒を躱し、掴みかかる手をするりと避けるシエナだったが……すっかり取り囲まれ、その細い腕を捕まれてしまった。
「捕まっちゃったね! とシエナは分かりました。」
「このガキ、ちょこまかしやがって。」
 しかし、その腕はまるで木で出来たように固い。
 自身を掴む腕へと、シエナはそっと手を添え、
「今度こそ、わたしが鬼だね! とシエナは宣言します。」
「なんだとぐぎゃああああ!?」
 軽く掴んだとしかみえないが、領民の腕は柔らかなトマトのように握り潰されていた。
 返り血が跳ねるが、シエナの浮かべる笑みは変わらない。
「ひっ!? な、なんだコイツ!?」
「捕まえたよ! とシエナは全力で抱きしめます。」
 その隣に立っていた男の腰に抱きつき……そのままその細い腕で、男の胴を抱き潰す。
 ドレスが血と肉片で真っ赤に染まってしまうが、無垢な笑みは変わらない。
「次は誰かな? とシエナは遊び相手へ駆け出します。」
「ひぇ!」
「あ、悪魔だ……!」
 一人が捕まるごとに、ぐちゃりと潰れる音が響く。
 首、胴、足、頭……その場所は気まぐれで、
「もっと逃げなきゃだめだよ! とシエナは全力で足を掴みます。」
「……なかなか容赦ないわね。」
 その様を見ていたドゥルールも少し彼らに同情してしまうほど、その様は凄惨さを極めていた。
 と、そんなドゥルールを盾にするように、一人の男が背後に回り込んだ。
「た、助けてくれぇ!」
「まったく……逃げるなら追わないわよ、行きなさい。」
 ため息と共にシエナが見ていなさそうな路地を指さした時……ドスっと、ドゥルールの胸に槍が突き立てられる。
 振り向けば、狂気じみた笑いを浮かべた男が槍の柄を握っていた。
「ひ、ひひ……油断しやがったな! 俺の手柄だ!」
「本当……人間は救えないわね。」
「ぐあっ!?」
 呟きと共にどろりと溶けて汚泥となったドゥルールが、波となって男を呑み込む。
「お前達の心と同じように、醜く腐って死になさい。」
「ひっ、やめ……。」
 身が腐る痛みの悲鳴が続き、それも途中で止み……ずるりとドゥルールが起き上がった時には、骨だけが残されていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アディリシア・オールドマン
ふむ、わかった。そこの館に敵がいるのだな?
ならば潰すか。
隠密行動は苦手だ、正面から乗り込もう。
邪魔をする群衆は相手にするまでもない。
立ちふさがるなら押しのけて、掴まるなら構わず振りほどく。
しがみつくなら覚悟しろ、一顧だにせず引き摺って行くからな。
罵倒や嘲笑など知ったことか。私は敵を倒しに来たのだ。
退け。敵にならない連中に武器を抜くまでもない。

『……とか言って、思考放棄してズンズン進んでるけど、めちゃくちゃ怒ってるよね?』
知らん。
『貴族の義務、って奴だよね? 守るべき民を顧みずに、好き勝手してる領主に怒ってる』
知らん。
『大丈夫だよ、アディ。……わたしも怒ってるから』
わかっている。行くぞ。
『うん』


バレッタ・カノン
ヴァンパイアとかいう連中は余程人形遊びが好きなようだな
奴らは少し自分で裁縫をしたり地を舐めて這う感覚を覚えた方がいい

さて、人間に戻れないならばひと思いに絶ってやるのがいいだろう
用があるのはこの先にいる奴だ。退いてくれ

ヘッドショットなんて器用なことはできん
『重機関銃』を振り上げて全力の【怪力】で脳天を叩き割る
処刑台に連れ込もうとしているならば、力比べだ
【限界突破】した【怪力】で逆に処刑台にねじ伏せてやる

とはいえ消耗戦をしている暇はなさそうだ
UC【暗澹たる闇】ですり抜ける
小さくてよかったとこれほど思うこともないな

お前たちは悪くない。わかっている。必ず終わらせる。
だから今は眠れ。

アドリブ、共闘大歓迎



 村の中央通り、人影の先に見えるのは領主の館。
「あの館に敵がいるのだな?」
「ああ、そのようだな。」
 そんな目立つ通りを歩くのは、全身鎧で身を固めたアディリシア・オールドマン(バーサーカーinバーサーカー・f32190)と、その半分ほどの背丈ながら片手に重機関銃を持ったバレッタ・カノン(バレットガール・f11818)。
「ならば潰すか。」
 考える事無く即答していくアディリシア。
「……わたしが口を出すことじゃないとは思うが、道中の連中はどうする気だ?」
 ふと気になったバレッタが見上げながら問いかけるが、黒い鎧に包まれた表情は見えなかった。
「邪魔をする群衆など、武器を抜くまでもない。ただし、邪魔をするなら退けて進む。」
「そうか……。」
「おい、止まれ!」
 そんなやりとりに水を差すように、わらわらと寄ってくる領民たちの怒りの籠もる言葉が浴びせかけられる。
「貴様らを処刑すれば、俺たちはまだ生きられるんだ!」
「吊すんだよ! 処刑台へ送るんだ!」
 血走った目で口汚く罵る彼らを一瞥し、バレッタは重機関銃を握る手に力を込めていた。
「……わたしは、あいつらが人間に戻れないならばひと思いに絶ってやるのがいいだろう、と考えている。」
「そうか。」
 今までと変わらぬ、アディリシアの早い返答。
 しかし、それにはバレッタにやめろというニュアンスは含まれていなかった。
「すまないな。よし……、」
 改めて二人は領民たちへ向き、高らかに言い放つ。
「用があるのは、この先にいる奴だ。退いてくれ。」
「退け。私は敵を倒しに来たのだ。」
「うるせえ! てめえらは吊されるのがお似合いなんだよ!」
 しかし、領民たちは言葉を聞くこともなく、二人を処刑台に送ろうと掴みかかってきた。

「……お前たちは悪くない。わかっている。」
 ため息と共に呟きながら、バレッタは領民たちへと一気に駆け出す。
 その速度は小柄な身体も相まって、まるで弾丸のようで、
「必ず終わらせる。だから今は眠れ。」
「がっ!?」
 その勢いのまま、真っ正面にいた領民の頭に、手にした重機関銃を叩きつける。
 しかし、怪力で振るわれた重機関銃によって吹き飛んだ領民には目もくれずに、他の領民たちは口汚く罵りながらバレッタへと手を伸ばしてきた。
「このガキ!」
「小さいくせに生意気な!」
「……その程度で、」
 四方八方から伸ばされ、バレッタは自身を掴んだ腕を逆に掴みとり、
「私を止められると思うな。」
「いっ!? ぐがあああ!」
 掴んだ領民を持ち前の怪力で振り回して群がる民衆を薙ぎ払い、簡易な処刑台へと手にした領民を投げ捨てていた。
『あの子、見所あるわね。』
「ああ、力の使い方をよく知っているようだ。」
 すぐ後ろを進む全身鎧、それに宿るダフネの楽しげな声に応えるアディリシア。
 嵐のように暴れるバレッタと違い、武器を持たずに静かに進むアディリシアの方が与しやすそうと思ったか、領民たちが群がってきた。
「てめえも進ませるわけにはいかないんだよ!」
「止まりやがれ! ……おい、止まれって!」
 しかし、立ち塞がる者は押しのけられ、掴まる者は腕の一振りで振りほどかれる。
 その黒い全身鎧を掴まれても、そのまま引きずって……歩む速度は変わらない。
「改めて言おう……退け、お前たちでは私の敵にはならん。」
「くっそ……なんなんだコイツぐあっ!」
「……あ。」
 アディリシアにまとわりついていた領民たちへと、バレッタの投げ飛ばした領民がぶつかり、全身鎧から引き剥がされていった。
「すまない、そっちに行ってしまった。」
「気にしなくていい。」
『……ふふ。』
 元々言葉少なく、あまり感情を表に出さない二人の淡々としたやりとりに、思わず笑ってしまったダフネ。
『周りを見てみなさい、もうあなたたちを止める気は無いみたいよ?』
 その言葉の通り……あまりにも圧倒的な力を見せつけられた領民たちは、すっかり遠巻きに見ているだけになっていた。
「ひっ!?」
「ば、化け物!」
 視線を向けられれば本能的な恐怖に駆られて逃げだし……程なくして、周りの人影はなくなっていた。
「手間は省けた、か。」
「ああ、そうだな。」
 そのまま二人は館へ向けて歩みを進めていく。
 途中、ふと思いついたようにダフネが口を開いた。
『あなたたち、あまり語らないけどめちゃくちゃ怒ってるよね?』
「知らん。」
『あなたはそうでしょうけど、』
「……怒りを持つな、という方が難しいだろう。」
 相変わらず素っ気なく即答するアディリシアはひとまず置いておき、バレッタは館を見つめながら呟いていた。
「あいつらを見るに、ヴァンパイアとかいう連中は余程人形遊びが好きなようだな。前に会った奴も、そうだった。」
『なるほどね。』
「奴らは少し、自分で裁縫をしたり地を舐めて這う感覚を覚えた方がいい。」
『ふふ……同感ね。守るべき民を顧みずに、好き勝手してる領主は許せない。アディもそうでしょう?』
「知らん。」
 ……急に話を振られても即答する辺り、話は聞いていると感じたダフネは言葉を続けていた。
『大丈夫だよ、アディ……わたしもそんな奴に怒ってるから。』
「わかっている。行くぞ。」
『うん。』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

九重・白亜
なんと趣味の悪い。吸血鬼は、そういう醜い生き物ですか……だが、お前たちも醜い!例え人間という同族だろうとも!

処刑されればスッキリするのか。ならばお望み通り与えてくれてやる。
融合炉を開放。UCを使い、お前たちの攻撃を弾き返す。群衆に引き摺られ、されるとも思っていなかった処刑に遭うといい。

あなた方が受けた理不尽、不条理、不運……全てを理解できると思いません。鬱憤を晴らしたい気持ちは、特に理解できますとも。
ですが、あなた方は狂い過ぎた。そして救いが無いのならば……眠らせてあげましょう。骸だけのあなた方なら、躊躇いはない。

【アドリブ・絡み歓迎】



「なんと趣味の悪い……吸血鬼は、そういう醜い生き物ですが。」
「居たぞ!」
 ここへ転送したグリモア猟兵の言葉を思い出しながら、路地を進む九重・白亜(今を歩む魔術師・f27782)。
 なるべく見つからないように進んできたつもりだが、
「ちッ、見つかってしまいましたね。」
「なにが見つかっただ……てめぇのようなのが居るから、俺たちが迷惑するんだよ!」
「……迷惑? オレが何をしたって?」
 領民たちの言い分がひっかかる。
 思わず問い返した九重へと、堰を切ったように領民たちは言葉を叩きつけてきた。
「何をしたか、だと?」
「ここにてめぇが居るだけで、俺たちは静かに暮らせねえんだ!」
「あんたを吊せば、全部が丸く解決するんだよ!」
 血走った目で睨みながら、口々出るのは支離滅裂な憎悪。
 なぜ、余所者がいると困るのか……そんな理由はとうに忘れ、自身の怒りを晴らすために怒る人々がそこに居た。

「あなた方が受けた理不尽、不条理、不運……全てを理解できると思いません。鬱憤を晴らしたい気持ちは、特に理解できますとも。ですが、」
「うるせー! 黙れ!」
 静かに、冷たい怒りを込めて呟く九重へと、掴みかかってくる領民たち。
 しかし、その手は魔力融合炉から放たれた力場に弾かれていた。
「ちっ、抵抗するんじゃねぇ!」
「あなた方は狂い過ぎた。そして救いが無いのならば……眠らせてあげましょう。」
「あ? なんだ?」
 さらに九重を捕らえようとする領民たちの腕を、別の手が掴み上げた。
 誰かが間違えたかと、後ろを振り返れば……顔の見えぬ、知らぬ群衆の手。
「な、なんだてめぇ!?」
 群衆は領民一人一人を引きずり、九重から引き離していく。
 その首にするりと、まるで蛇が這い絡むようにロープが巻き付いた。
「え、おい……。」
「嘘だろ、やめろって!」
 近くの小屋の梁にロープがかけられ、少しずつ引き上げられていく。
 やがて、どんなにつま先を伸ばしても、床に付かないほどに。
「ぐ……がっ……。」
「……骸だけのあなた方なら、躊躇いはない。」
 藻掻く領民たちに背を向け、九重は領主の館を目指す。
 あとには、ただ揺れる人々の亡骸だけが残っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス
《華組》

シャーデンフロイデ…
私の真の宿敵にして
前世の私を死に至らしめた天敵…

人々の非難がトラウマを刺激
前世で最期を迎える直前の光景と重なって見え意識が混濁

…ごめんなさい…
私が裁きを受け…皆様が救われるなら…
この身はどうなっても…

燦の声に意識を取り戻す

!そうでした
私が処刑された事で人々と騎士団の確執は致命的になり…
町は滅んだのでした…

燦…私と手を繋いでくれる?
燦とならこの連鎖を断ち切れます!

強化された一般人とはいえ戦いは素人
なら
瞳の紋章を【終癒】による誘導弾でスナイパーし
光による目潰しと刺激臭で気絶攻撃
私は『聖瞳』で調光

感覚が強化された分
受ける刺激も相応に増すはず

包囲を崩しながら領主の館を目指す


四王天・燦
《華組》

力、勇気、慈悲…時にそれが招く失敗を赦せないんだろうね

シホ、流されるな
シホを殺して生き残った彼らは明日も誰かを殺すぞ
連鎖を断とう、天敵に勝とう、歪んだ群衆心理を育てる糧になっちゃいけねえ

何よりシホの死が辛い
手を繋ぐよ
この愛を独善と呼ぶのなら、愛より大切な大儀なぞないと言い切ってやる

素人相手に不意打ち意図を持って先制攻撃で神鳴抜刀
電撃属性攻撃でマヒ攻撃付きの弱電撃をなぎ払いで放つ

殺気で恐怖を与えるぜ
仲間を売るような真似されたら人間失格、吸血鬼の玩具だと叱るよ
人としての魂が戻るかは分からんが甦れと祈るぜ

でも吸血鬼ブチ殺しに行く邪魔なんで粘り蜘蛛糸で拘束しときます☆
しばらく己の心と向き合いな



「シホ、こっちだ!」
「は、はい!」
 路地裏を駆ける四王天・燦(月夜の翼・f04448)が手招きして見せ、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が続く。
 この集落に来てから浮かない顔をしているシホに、燦は辺りをうかがいながら問いかけていた。
「よし、近くには居ないな……なぁ、シホ。今日はどうしたんだ?」
「どう、とは?」
「いや、なんかいつもより表情硬いじゃん。」
「……大丈夫、です。気にしないでください。」
 浮かない顔は変わってないけど、そう言われちゃ言い返せないな……と燦が髪を掻きながら、改めて辺りを見渡していると、
「いたぞー!」
「こっちに2人組だ!」
「……ちっ、見つかっちまったか。」
 叫ぶ声にわらわらと集まってくる領民たち。
 彼らに浮かぶのは、憎しみや嫉妬……そして殺気。
「お前たち、領主様を狙っているな?」
「……だったら?」
 シホを護るように立ち、問い返した燦に向けて領民たちは口々に不満を吐き出し始めた。
「貴様……なんてことを。」
「お前たちのような者が居なければ、わしらは安心して暮らせるんじゃ!」
「あんたたちさえ来なければ!」
「ちっ、好き勝手言いやがって……シホ?」
 後ろで動く気配に燦が目を向ければ、ふらりと歩み出ようとしているシホの姿があった。
「……ごめんなさい……。」
「待てシホ、どうしたんだよ。」
 口を開くたび、謝罪の言葉が漏れ出していく。
 しかし、シホの瞳は今の領民たちの姿を映しておらず……。
「異端を排除すれば……皆様は救われるのですね……。」
「その通りじゃ!」
「あんたのようなのさえ来なければ、あたしらだって人を殺さないで済むんだよ!」
「……わかりました。」
 それは、シホの前世の記憶。
 圧政を強いる者たちへ自身を差しだし、その場を収めた時のもの。
「私が裁きを受け、皆様が救われるなら……この身はどうなっても……。」
「待ちなよ。」
 しかし、今はシホを押しとどめる人が居る。
「シホ、流されるな。」
「……ですが。」
 歩み出ようとするシホの腕を、燦はしっかりと掴み止めて言い放つ。
「あいつらは……シホを殺して生き残った彼らは、明日も誰かを殺すぞ。」
 その言葉に、足が止まった……前世のシホが身を捧げた後の顛末は、
「そう、でした……私が処刑された事で、人々と騎士団の確執は致命的になり……。」
「だろうな……シホ、連鎖を断とう、天敵に勝とう、歪んだ群衆心理を育てる糧になっちゃいけねえ。」
「……はい。」
 燦の言葉に頷いたシホは、いつものシホに戻っていた。
 しかし、その腕には少し震えが残っている。
「何よりあたしは、シホの死が辛いから。」
「ごめんなさい……すっかり、呑まれていましたね。」
 改めて、シホは燦へと手を差しだし、
「燦……私と、手を繋いでくれる?」
「ああ、もちろん。」
 燦がその手をとれば、すっかり震えは消えていた。
「シホのためなら何だってするさ。この愛を独善と呼ぶのなら、愛より大切な大儀なぞない。」
「ありがとう……燦となら、この連鎖を断ち切れます!」
 自身の気持ちを素直に言い切る燦に、笑顔で応じるシホ。
 そんな姿に領民たちはあっけにとられていたようだったが、
「……しゃらくせえ! 相手は娘っ子たった2人だ!」
「殺すんだよ!」
 叫び声と共に襲いかかってきた。

「そう簡単にやられるかよ!」
「止まるわけには、行かないんです!」
 燦が右手で刀、神鳴を抜いて薙ぎ払えば、放たれる雷撃に領民たちの足が麻痺して止まる。
 そのまま位置を入れ替えるようにくるりと回り、シホは右手に持った自動拳銃を撃ち放つ。
「領主を倒さなければ、いけないんです!」
「ぐあっ!?」
 自動拳銃から放たれたのは浄化の光。
 正確に領民たちの瞳に浮かぶ紋章を撃ち抜き、焼かれた空気の刺激臭に領民たちは倒れていった。
「仲間を売るような真似されたら人間失格、吸血鬼の玩具だぜ? まぁ……聞こえてるかわからんが。」
 そんな領民たちに対して燦が印を切ると、幾何学模様を描いて現れた蜘蛛の糸が領民たちを縛り上げる。
「少しは反省しろよ、己の心と向き合ってな。」
「燦、いきましょう。」
「ああ、そうだな。」
 領主の館へと歩み出した時、シホは一度だけ領民たちを振り返る。
「シャーデンフロイデ……人の幸せのためなら、私が不幸になるくらい何でもありません。ですが、」
 今は、その手を引いてくれる人がいる。
 燦と共に駆けるシホの足が止まることは、もうないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ブラミエ・トゥカーズ
吸血鬼であることは隠さない。
ここの領主は昔の己の様な所業をしているので興味大。

貴公等の主張はもっともであるが、生憎、余はこれっぽちも共感できぬな。
なにせ、余も与える側であったからな。

【WIZ】
病に冒され血に飢えた群衆の末路など、一つであろう。
ほうれ、いつもの様に力なき民を焼き払うが良い。

属性:対吸血鬼、対集落
魔女狩りの騎士団による一斉浄化。UDCアースの中世暗黒時代が如く。

騎士団は、対吸血鬼にて意思をとりもどし吸血鬼挑む勇気を取り戻した者を素通しする。
己達を使役する怨敵へのちょっとした反抗心。

ブラミエ
騎士団を越えた群衆の勇気を称え、恨み言と一太刀を受け、吸血の後に殺害。

アドアレ歓迎



 領主の館まであと少し……しかし、一部の領民たちが入り口を固めていた。
「来やがったな!」
「てめぇも領主様に逆らうか!」
「ふむ……貴公等の出迎え、感謝しよう。家主ではなさそうだがな。」
 口々に喚く領民たちを興味深げに見つつ一礼する、ブラミエ・トゥカーズ(”妖怪”ヴァンパイア・f27968)。
 明らかに人のものではない、犬歯の伸びた口を楽しげに歪めて問いかけていた。
「余が反逆を企てて、何故いけない?」
「お前のような、領主様に逆らう奴がいるから!」
「私たちが殺されるんだよ! ここを通したら、誰かが!」
「なるほどなるほど……貴公等の主張はもっともであるが。」
 喚く領民たちへと言葉を続けるブラミエの周りに、松明を掲げた騎士団が現れる。
 いつの間にか現れた彼らを見渡す、ブラミエの笑みが深くなっていった。
「な、あんたは……。」
「生憎、余はこれっぽちも共感できぬな。なにせ、余も与える側であったからな。」
 パチンと指を鳴らし、広げた手を領民たちへ向けて言い放つ。
「病に冒され血に飢えた群衆の末路など、一つであろう? ……ほうれ、いつもの様に力なき民を焼き払うが良い。」
「……うるせえ! てめぇを通すわけには行かないんだ……!」
 歩み出す騎士団へと、領民たちも簡素な武器を手に立ち向かう。

 しかし……その後の展開は、一方的な虐殺と呼ぶにふさわしいものだった。
 ただの棒や農具では騎士団の鎧を砕くことは出来ず、松明に焼かれていく。
「貴公等、この程度で余に逆らおうとしていたのかね?」
「くっ……こいつら!」
 その時、騎士団が進む中から一人の領民が抜け出してきた。
「ほう? くっくっく……そうかそうか、まだその意識が残っているか。」
 無我夢中に鎌を振り回していた領民は、楽しげに笑うブラミエへと武器を振り上げる。
「てめぇさえ……てめぇさえ来なければ!」
「……貴公の勇気を称えよう。」
 怒号と共に、鎌がブラミエの肩へ深々と食い込む。
 だが、ブラミエの笑いは止まらない。
「なんで……何でてめぇは死なねぇんだよ!」
「くっくっく……それは余が、貴公等の領主と同じものだからである。」
「ぐあっ!? や、やめ……ろぉ……。」
 領民は肩に食らいつかれ、その顔がみるみる青白く変わっていく。
 皮と骨だけに乾いていった頃、騎士団たちは領主の館の扉に手をかけていた。
「諸君等、ご苦労。さぁ同胞よ、その姿を余に見せてくれ。」
 高らかに言い放ち、ブラミエは館へと足を踏み入れた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『護られる少年吸血鬼』

POW   :    この血は僕のものさ
自身の【配下の血 】を代償に、1〜12体の【血で出来た人型の魔物】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD   :    彼らは僕のものさ
【ただの人間である配下 】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、ただの人間である配下 から何度でも発動できる。
WIZ   :    死んでも僕のものさ
【念力によって放たれる、配下の屍 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に配下の屍の欠片が飛び散り】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠影山・弘美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……へぇ、ここまで来れたんだ。」
 館に足を踏み入れた時、パチパチと手を叩く音と共に奥の暗がりから幼い声が響いた。
 そちらへ目を向けると、一人の少年と赤く輝く紋章を持つ複数の人間たちの姿。
「あいつら、数だけはいるから難しいかなと思ったんだけどね。でも、」
「あ、ぅ……。」
 少年が隣に立つ人間の一人の首に浮かびあがる紋章を撫でたと見るや、その首がポトリと落ちる。
 光を失った紋章から噴き出す血からは、人型の魔物が数体現れた。
「君たちは腕が立つみたいだし、僕も手を出させてもらうよ。ふふ、僕のは強いよ?」
 そう少年が言い放つと、魔物たちは猟兵たちへと襲いかかってきた。
バレッタ・カノン
どんな奥の手を隠しているか分かったものじゃない
残忍で狡猾で幼稚な殺戮者はこの場で処理する

【pow】
あれだけの魔物を永続的に召喚できるとは思えない。まず魔物の攻撃に対応。味方の射線と攻撃タイミング確保に努める

『マンホール』で【盾受け】して魔物へ『ハンドショット』を【怪力】で【投擲】。四肢の【部位破壊】を狙う
盾は傾斜させ衝撃を逃がすように立ち回るが、破損したら【投擲】破棄
とっておきだ、とっておけ 

魔物の進撃が緩んだタイミングを狙い首領へ【ダッシュ】し【ジャンプ】で飛びかかり、UCで圧し潰す。動けなくなるが味方を【かばう】盾にはなれる

猟兵を甘く見過ぎたな。お前のよりも私達は強いぞ

アドリブ&共闘大歓迎


シエナ・リーレイ
■アドリブ絡み可、真の姿開放
楽しく遊んでご機嫌なシエナ
自らのユーベルで『お友達』に迎えた村人達を引き連れて吸血鬼の少年とも遊び始めます

まだ遊び足りないよね?とシエナは『お友達』候補に問い掛けます。

『お友達』と共に次々と飛んでくる人々と楽しく遊ぶ事により周囲が欠片で埋め尽くされた凄惨な光景を作り上げてゆきます
ですが、シエナが欠片にお呪いと共に問い掛ければ欠片は紡ぎ合わされて新たな『お友達』となりシエナと人々の遊びに加わります

あなたに言いたい事があるみたいだよ!とシエナは『お友達』候補に迫ります。

そして、シエナは親愛と好意に満ちた笑顔を少年に向けると『お友達』と共に遊ぼうとします


ブラミエ・トゥカーズ
初めまして、異界のご同類。
出来れば茶会の一つ催したい所であるが、真面目に働かぬと餌がもらえぬ身でな。

敵の能力に親近感。
自身も人や動物を媒介に侵略し続けた生物故に。

貴公は昔の余を思い出すな。
老婆心ではあるが、
あまり人を軽んじぬ方が良いぞ。

【POW】
貴公も理解しておろうが、吸血鬼に血で攻撃するなど意味は無かろう?

魔物に対して吸血。
消耗戦を誘う。

貴公への届け物である。
勇敢なる余の敵よ。その本懐を遂げたまえよ。

UCにて1章で吸血した領民に変化。
吸血鬼を縛する封剣と浄剣を貸し与える。
彼が背負った同胞達の恨みが晴れるまでUCは発動し続ける。

彼は最後に自身に刃を突き立てる。
吸血鬼はそこにもいるのだ。



「解ってはいたが、いきなりだな。」
「そうだな。しかし、」
 襲い来る血で出来た魔物の手を受け止めたのは、バレッタの手にしたマンホール。
 魔物にはぶ厚い鉄を穿つほどの力はなく、飛び散った血はブラミエの手に集まっていた。
「家主の同意を得ずに足を踏み入れたのは、余等であるからして。」
「……まぁ、そうだな。」
 逆の手で突いてくる魔物の胴に、バレッタは手にした物を投げつける。
 その石礫はまるでショットガンのように突き刺さり、魔物は血の霧となって散っていった。
「あはは、やっぱり簡単にはいかなそうだね。」
 あっさりと初撃を止められ、魔物が消し飛ばされたのを笑って見ている少年へと目を向けながら、ブラミエは手にした血を一口啜り、
「初めまして、異界のご同胞。……なかなかの血だ、茶会に出せば貴公の名はご同胞に知れ渡るだろう。」
「ご丁寧にどうも。その同胞が、なんでそっちにいるんだい?」
「はっはっは、それを語るのは長くなるが、」
「……話は後にしろ、あいつはどんな奥の手を隠しているか分かったものじゃない。」
 改めてバレッタがマンホールを盾として構えた時、少年の横に転がっていた人間の死体がふわりと浮かび上がる。
「あはは、話に気をとられてくれれば良かったんだけど、ね!」
 少年の意思に合わせて浮ぶ首を断たれた死体が、勢いよく二人めがけて飛んできた。

「とっても楽しかった! とシエナは遊んでくれた『お友達』と館に来ました。」
 糸に吊られた絡繰り人形のように横からふらりと現れたのは、シエナと『お友達』と呼ぶ人形たち。
 元々は館の外にいた領民らしき『お友達』と共に、飛んできた死体を抱き留めて、
「でも、まだ遊び足りないよね? とシエナは『お友達』候補に問い掛けます。」
 捕まえた首へと語りかけ、シエナはその首を頷いたように動かすと……その笑みが深くなっていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ、いきなり来て何を……。」
「じゃあ、一緒に遊びましょう! とシエナは『お友達』候補と遊び始めます。」
 突然のことに困惑した少年を背に、シエナと『お友達』たちはくるくると回りながら死体を振り回し、その体を引き千切っていく。
 手足どころか関節ごとにバラバラに……死体の破片が床にまき散らされ、その影からバレッタが投擲したマンホールが少年を襲う。
「とっておきだ、とっておけ。」
「くっ……でも、当たらなければ。」
 少年を護るように、周囲にいた人間がふらりと倒れ込みながら弾き飛ばされていく。
 横に逸れていく鉄の円盤へと視線を送り、
「これくらいじゃ、僕はぐはっ!?」
「……猟兵を甘く見るなよ。」
 突如上からのしかかってきた黒い繭に、少年は押し潰されていた。
 少年の動きを封じるように腹に乗った繭から、バレッタの声が響く。
「おまえのよりも、私たちは強いぞ。」
「くっ、重い……! 離してよ!」
「その者の言う通りだ、使役されるだけの人などとは比べものにならんよ。」
 少年が視線を上げると、どこか懐かしいモノをみるようなブラミエの瞳と目が合った。
「……貴公は昔の余を思い出すな。老婆心ではあるが、あまり人を軽んじぬ方が良いぞ?」
「ふん、余計なお世話だよ。あんな奴ら、ただの血袋じゃないか。」
「ふふ、そうでもあるな。」
 見る間にブラミエの姿が変わっていく。
 先ほど、ブラミエへと鎌を振り下ろした領民へ……その手にあるのは、吸血鬼を縛る力を持つ封剣と浄剣で、
「貴公への届け物である。勇敢なる余の敵よ、その本懐を遂げたまえよ。」
「や、やめ……うあああ!」
 足を貫かれ、肩を貫き……さらに振り上げられた時、もう一人の人影が少年を覗き込む。
「新しいお友達は、あなたに言いたい事があるみたいだよ! とシエナは『お友達』候補に迫ります。」
 それは、シエナが捕まえた人間の死体。
 物言わぬ人形となったそれは、とびきりの笑顔でギクシャクと少年へと手を上げ……脇腹を貫いた。
「いっ……痛いよ!」
「一緒に遊んでくれて良かったね! とシエナは『お友達』候補を覗き込みます。」
「余の事も忘れてもらっては困るぞ?」
「ひっ!?」
 シエナの曇りのない親愛と好意に満ちた笑みと、ブラミエの化けた領民の憎しみに満ちた顔。
 その二つを映した目は同時に貫かれ、少年の身体は血溜まりへと溶けていった。
「はっはっは!」
 高笑いと共に、ブラミエの化けた領民は自身の胸へと刃を突き立てる。
「そうだとも……吸血鬼は、そこにもいるのだ。」
 しかし、その笑いは止まることはなかった。

「……本当、君たちは強いね。」
 少し離れたところから聞こえた少年の声に目を向ければ、流れ出した血溜まりから新たな姿を生み出していた。
「ちっ、押し潰しただけではだめか。」
「何で逃げちゃうの? とシエナは寂しく思っています。」
 不満げなバレッタとシエナとは反対に、ブラミエは一人笑っていた。
「くっくっく……。そうだとも、貴公は吸血鬼なのだからな。その程度の芸当は出来なくては困る。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
《華組》

あの時と…全く同じ…

目の前の人々が
依頼『罪は冷たく静かに降りしきる』で思い出した
瘴気に汚染されつくし救えず
殺めざるをえなかった人々と重なって見える

また人々を殺めないといけないのは辛いです…

燦…そうね
人々が囚われ続けるのを見過ごす事はできません!
燦!力を貸して!

燦とリンクし【巡環】で先制攻撃

破魔の祈りを籠めた落雷を花吹雪に紛れて落とし
敵の視覚を目潰しつつ燦の呪術解除を援護

奪った行動速度は祝福の光に還元され
屍を浄化する花を咲かす

解放して頂きます


その間私は
領主の紋章の場所を第六感と読心術で情報収集し
追跡誘導弾のスナイパーで部位破壊の貫通攻撃


貴方は悪辣ですが
私が痛めつけて良い理由にはなりません


四王天・燦
《華組》

人心を弄び、傀儡とし、破滅を糧とし、屍を冒涜する
悪意の体現者だ
警戒すべきは弱みにつけ込まれないよう、だね

シホ、為すことは殺しによる救済じゃない
彼らにしてあげられることを考え全うすれば良いのさ
今が後悔を越えて前に進むときだぜ

稲荷符撒いて式神使いをもって支配権を乱す
そこに破魔と浄化を叩き込んで従属の呪いを断つ
命を絶つことになった場合、彼らが人に戻って眠れるよう祈りの句を捧げるよ

シホも力を貸して
手を繋ぎ魂を共鳴させて巡環を発動
吸血鬼・従者・屍に花吹雪をぶつけるぜ
祝福光で更に加速し、シホの符術で花吹雪を強めるんだ
花に包まれて逝けますように―

吸血鬼は血の花咲かせておきな
花吹雪を抜けて一刀両断だ



「ちっ……人心を弄び、傀儡とし、破滅を糧とし、屍を冒涜するか。まさに悪意の体現者だね。」
「……また……。」
 懐から符を取り出しながら呟いた燦に答えは返ってこなかった。
 となりのシホを見れば、少年の周りの人々を見ながら小さく声を震わせている。
「シホ……?」
「あの時と……全く、同じ……。」
 吸血鬼である少年に意識を奪われ、彼に言われれば死すらも厭わぬ人間たち。
 それがシホには、かつて自らの手で殺めた人々に映る……悪魔の操る瘴気に当てられ、やがて悪魔と化した人々へと。
「あの人たちは……ただ、操られているだけの人、ですよね。」
「ああ……そうだよ、シホ。」
「私たちは……彼らと、その他の人を救うために……。」
 手にした黒いハンドガンが目に映る。
 かつて、人々を斬り捨てた剣と同じ、鈍く輝く色……。
「また人々を……殺めないと。」
「シホ……それは違うよ。為すことは、殺しによる救済じゃない。」
 銃を握る震える手をとったのは、優しく力強い言葉。
「アタシはその時を知らないけどさ……今は、彼らにしてあげられることを考えて、全うすれば良いのさ。」
「燦……。」
 その手は自信たっぷりで、いつも明るく手を引いてくれる友達……あの時には居なかった、大切な仲間のもの。
「今が、後悔を越えて前に進むときだぜ。」
 言い放つ燦の言葉に頷いた時には、曇っていたシホの顔はすっかりと晴れていた。
「……そうね、人々が囚われ続けるのを見過ごす事はできません!」
「その意気だぜ。」
 手にした稲荷符を燦が従者たちへと投げると、手を離れた符は式神へと変じて飛んでいく。
 従者たちの間を飛び交い、破魔と浄化の力が満ちていった。
「燦……私に、力を貸してくれる?」
「ああ、もちろん。シホも力を貸してくれよ?」
「……ふふ、もちろんです。」
 二人は手を取り合い、祝詞を捧げていく。
 その姿は、飛び交うエーデルワイスの花びらに包まれていった。

「なんだ……うわっ!?」
 少年が気がついた時には、白い花びらに視界が覆われていた。
 振払おうとした瞬間、降り注ぐのは破魔の落雷。
「ちっ、これはさっきの二人か……でも、」
 少年の念力に屍は応え、その身体を宙に浮かべていく。
 しかし、その動きは非常に鈍く……肉体に篭められた呪いは、浄化の光にかき消されていく。
「花に包まれて逝けますように。」
「解放して頂きます!」
「くっ……僕が、押されて!?」
 花びらが途切れた瞬間、目の前に居たのは雷を纏う刀を振るう燦の姿。
「くああああ!?」
「吸血鬼は血の花咲かせておきな。」
「……貴方は悪辣ですが、私が痛めつけて良い理由にはなりません。」
 シホの言葉と共に撃ち放たれた弾丸は、従者の額や首を貫いていく。
 それは正確に、従者に浮かぶ紋章をかき消していた。
「く……僕の、血が……!」
 手を伸ばす少年へと銃口を向けるシホだが、一つのことに気がついていた。
「それにしても……あなたには紋章がないんですね。」
「そういやそうだな……なんだかんだで、コイツも人間がいなきゃ生きていけないんだろうよ。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アディリシア・オールドマン
お前が敵だな?
返事は要らん、見ればわかる。
お前のような瓦落多は、これからすぐに廃棄してやる。

本気を見せるつもりはないか。ならばダフネの出番はこの後だな。
『うん。……せめて、あの人たちを楽にしてあげてね』
うむ。

真の姿を限定開放。黒風を装い、戦闘を開始する。
まずは、近づかれる前にツエリスカで数を減らそう。
接近されたならばアングルボザを抜こう。魔物の装備に適した刃に変化させて、斬り捨てる。
速く軽い攻撃は黒風で強化されたバシリッサで弾くが、避けられない重撃に対してはモロクを構えて受け止めよう。

どこにこれだけの装備を仕舞っているか、だと?
企業秘密だ。
油断している吸血鬼にホァン・フゥの光刃を刺すとしよう。


九重・白亜
強い?いいえ、オレにはそうは見えません。
見たところ、あなたはいくつもの人間と屍を従えているようですが、それだけでしかない。人間を使役する血と、たやすくそれを捨てられる傲慢さ。それだけです。
それだけの存在に、負けるはずがない。

天井へ向けてコイルグレネードを投擲し、爆破。大きく風穴を開けます。幸いこの世界は常に曇天だ。指定UCを使い、雷雨を降らせます。
雨が屍の欠片を清め流し、あなたには雷が降るでしょう。

人を弄び過ぎた罰だ。天からの鉄槌を喰らい、贖え!

【アドリブ・絡み歓迎】



 周囲にいた人々が撃たれ、少年は腹を斬られて……。
 それでも吸血鬼である少年は、腹の傷を押さえながら悪態をついていた。
「くそっ、なんでこんなことに!」
「……お前が敵だな?」
「っ!?」
 その声に慌てて身構えようとするのをアディリシアは手で制止し、
「返事は要らん、見ればわかる。お前のような瓦落多は、これからすぐに廃棄してやる。」
「なっ、ガラクタだって!」
 少年の怒りの声と共に、周囲にあった人々の死体が浮かび上がる。
 さらに床の血溜まりがまとまり、人の形を象った魔物となっていった。
「取り消せ、僕はガラクタなんかじゃない!」
「……いいえ、あなたはその程度です。」
 激高する少年に対し、かけられるのは九重の冷たい指摘だった。
「見たところ、あなたはいくつもの人間と屍を従えているようですが、それだけでしかない。」
「違う……。」
「人間を使役する血と、たやすくそれを捨てられる傲慢さ。それだけです。」
「違う! それだけな訳がないだろう!」
 少年の叫びと共に、投げつけられるように飛んでくる人々の死体。
 しかしそれも、九重はひらりと躱し、アディリシアの鎧から放たれた漆黒の旋風に吹き飛ばされて砕け散る。
「それだけの存在に、負けるはずがない。」
「うむ、当然だ。行くぞ。」
 九重が天井に投げたコイルグレネードの破裂音と共に、襲い来る血の魔物へとアディリシアは駆けていった。

「そんな……そんなはずはないんだ!」
 少年の操る血の魔物が、アディリシアの撃ち放つ重機関銃に貫かれていく。
 だが、液体は弾丸を呑み込み、吹き飛ばされたのは1体だけ。
「僕が……どこにでも居る吸血鬼と同じだなんて。」
 床にまき散らされた死体の欠片から血を受け、体積を増す魔物たち。
 アディリシアへと跳びかかる瞬間、天井に空いた大穴から雨が降り出した。
「そんな、こと……。」
 しかし、アディリシアが力尽くで振るう赤黒い刃に、魔物は切り裂かれていく。
 飛び散る血や死体の欠片は九重の操る雨に流され、少年の手駒の魔物たちは姿を失っていった。
「嘘……。」
「いいや、現実だ。」
「う、うわああああ!」
 目の前に迫ったアディリシアの呟きに、少年は悲鳴を上げて逃げていく。
「人を弄び過ぎた罰だ。天からの鉄槌を喰らい、贖え!」
「あぐっ!?」
 だがそれも、九重の言葉と共に天から降り注ぐ雷に貫かれて止まる。
 背後から迫る足音に少年が思わず振り向くと、目の前には黒い全身鎧。
「や、やめ……。」
「その言葉は聞けないな。」
「やだ、やめ」
 アディリシアが手にした筒を振るうと、唐突に少年の声が止まり……その首がコロリと床に転がる。
 持ち手の精神によって放たれるビームに焼き切られた首は、塵となって雨に流されて消えていった。

「ふむ。これで終わりか。」
「まだ姿が変わるらしいですけどね、一先ずはこれで終わりでしょう。……それにしても、」
 残った少年の身体を見下ろして呟くアディリシアの姿……黒の全身鎧を見上げ、九重は思わず問いかけていた。
「いろんな武器を取り出してましたが、どこにしまってるんです?」
「……企業秘密だ。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『狂月』カグヤ』

POW   :    落月屋梁
【視る者の狂気を呼び起こす、月光を纏いし獣】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    呉牛喘月
【周囲に存在する生物の正気】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【よりその相手に適した暗殺武装】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ   :    水月鏡花
自身が戦闘で瀕死になると【無傷な状態の、より狂気に堕ちた自身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は彼岸花・司狼です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 少年吸血鬼の体が崩れおち、その塵の下から現れたのは一人の女性。
「来てくれたようだね、猟兵たち。」
 淡々と、歓迎の意を示すが……その瞳に宿るのは、冷たい刃のような殺気。
「この少年の能力は、お気に召したかな? 人を弄び、人を殺すことに微塵の躊躇もない。……そのせいで、村の住人も皆狂ってしまった。」
 問いかけるうちに、女性の笑みが深くなっていく。
「そう仕向けたのが私だとしたら……君たちは、どうするかね?」
 ……やっと死ぬことができる、そう安堵するような笑みを浮かべて。
シエナ・リーレイ
■アドリブ絡み可
わたしと楽しく遊びましょ!とシエナは駆け出します。

シエナがこの場に赴いたのは『お友達』候補と仲良くなり『お友達』に迎える為、女性の所業は考慮に値しません
他の猟兵達の返答が終えれば女性と仲良くなる為にシエナは遊び始めます

女性と近距離で遊んでいたシエナは獣に変化した女性から放たれる月光を浴びてしまいます
ですが、シエナは特に動じる事も無く怪力混じりに獣を愛で始めます

可愛いよぅ!とシエナは獣を撫でまわします。

気分が高揚としたシエナは過去の所有者の怨念によりまともな対話が困難な程に狂い切っています
そもそも普段から戦闘行為や負の感情に対する認識が狂っているので月光の影響は誤差レベルでしょう



「私はどうともしないわ! とシエナは気にしません。」
「……へぇ。」
 一際元気な声で答えるシエナへと、女性は興味を引かれたようだ。
 そうして意識を向けられたのが嬉しいのか、シエナはとびっきりの笑顔で、
「わたしと楽しく遊びましょ! とシエナは駆け出します。」
「なるほどね。ふふ、君のような子ばかりであれば、」
 一気に近づき、掴みかかってくるシエナを女性はふわりと躱す。
「こんな小細工なんて要らないんだろうね。しかし、」
「鬼ごっこだね! とシエナは自分が鬼だと宣言します。」
「……私のやり方に、付き合ってもらおうか。」
 幾度目かの伸ばされた手から高く跳んで避けると、降り立ったときには女性の姿が獣のものに変わっていた。
 月光を纏いながら素早く跳びかかった獣に引っ掻かれるのも気にせず、シエナは獣を抱き留める。
「可愛いよぅ! とシエナは獣を撫でまわします。」
「グアゥッ!?」
 ミシっ……! と、抱きしめられて撫で回す手の中で、獣の身体から音が響く。
 操り人形であるシエナを動かす力は、元々の所有者の怨念で、
「グ、グギッ……!」
「あはは、あははは! とシエナは嬉しくて楽しくて、笑い続けます。」
 獣の纏う月の光は、狂っていた力をさらに狂わせてしまった。
「あはははは! とシエナはもふもふの毛皮を味わいながら笑っています。」
 そもそもシエナは、ただ遊びに来ていたのだ。
 女性の考えなど知ったものではなく、ただ『お友達』を増やしたいだけ。
「ガウッ!」
「いたっ!? とシエナは腕を噛まれて離してしまいました。」
 するりと操り人形の腕の中から抜け出した獣が女性の姿へと戻り、さらに距離をとる。
「ふぅ……思ったより力の強いお嬢ちゃんだね。さすがに、ぬいぐるみのように抱き潰されては名が廃る。」
「……あは、お人形遊びでもいいんだよ? とシエナは提案します。」
「首や手足をねじ切られそうだね……お断りしておくよ。」

成功 🔵​🔵​🔴​

ブラミエ・トゥカーズ
許せぬ。罪なき人々を虐げた罰を受けるべきである。
そう言えば良いのであろうか?
冗談であるが。

彼の少年はそういう存在であったのだから、
人の血を吸う存在など、掌でパチリと潰されるが道理であろう?

とはいえ、同胞以外の異形に蔑まれるのは不快であるが故に、
貴族らしく弔いとしようか。

【WIZ】
優雅に二刀を持って相対する。
力任せ、回避はしない。
自身の攻撃と返り血に含まれるウィルスをカグヤに付与。
病により瀕死になって召喚された対象に瀕死体から再感染を行う。

狂乱増加された攻撃されても優雅に受ける。

狂気を司る者よ。
狂気で余は滅ぼせぬ。

陽の光が用意できるのであれば余も怖いが、
月では無理であるな。

アドアレ絡み歓迎


バレッタ・カノン
【pow】

どうするかね、だと?私達が派遣されている時点でゲームオーバー。悪目立ちしすぎだ。

『PP-P1』を服用。身体能力を【限界突破】し【怪力】の脚で壁も使った高速跳躍でかく乱、釘付けにする。
『重機関銃』の【弾幕】を張り前進、接近戦に持ち込む。近距離では機関銃で攻撃を受けつつ殴打の【カウンター】と【零距離射撃】の機会を伺う

その光で私の殺し狂いも呼び起こすつもりか?いいだろう真の姿を見せてやる
起きろ悪魔、仕事の時間だ
召喚した腕と尾で獣化した奴に組み付き対抗
空いている脚で何回でも踏み抜く

その表情、死にたいだけなら下手な芝居も安い挑発もやめておけ
地獄より苦しい目を見ることになるぞ

アドリブ&共闘大歓迎



「どうするかね、だと?」
 バックパックから無骨な重機関銃を取り出し、片手で軽々と女性に向けながら呟くバレッタ。
 その隣では、ブラミエも腰に下げた二振りの剣を優雅に引き抜いていた。
「私達が派遣されている時点でゲームオーバー。お前は悪目立ちしすぎだ。」
「その通りだ。許せぬ、罪なき人々を虐げた罰を受けるべきである。……そう言えば良いのであろうか?」
「……ふふ、」
 表情を変えないバレッタはともかく、冗談めかして言い放ったブラミエの言葉に女性は思わず吹き出していた。
「私も、少しは演技を出来たほうが良いのだろうね。もっと君たちの敵愾心を煽れるような。」
「ははは、だったら少しは殺気を抑えたまえよ。」
「その表情……死にたいだけなら下手な芝居に安い挑発もやめておけ。」
 ドスっと自身の腿に注射を打ち込むバレッタに向ける女性の視線からは、相も変わらず冷たい殺気が籠もっている。
 暗殺者としての本能か、それとも……。
「お前自身も、狂っているのかもな。どちらにしろ、地獄より苦しい目を見ることになるぞ。」
「……かもしれないな。だが、それでいい。」
 女性は呟きながら狼のような獣の姿へと変わっていく。
「元より地獄へ堕ちた身。人でなくなった私に、ふさわしい。」
「だから足掻くのだな、殺されるために。納得しているのなら構わぬ、始めるとしようか。」
「……まったく、哀れだな。」
 月光を纏いつつ向かい来る獣に対し、ブラミエは貴族らしく一礼とともに剣を構えていた。

「グルゥアア!」
 伸ばされた爪がブラミエの身体を引き裂いていく。
 しかし、斬られた当人は全く意に介さず、まるで攻撃などされていないかのように優雅に剣を振り下ろす。
「グアゥ!?」
「どうした、狂気を司る者よ。」
 容赦なく振り下ろされる剣に斬られ、距離をとる獣。
 見れば、ブラミエの斬られた箇所は瞬間的に血液のような液体へと変わり、一部が飛び散るのみだった。
 肉体は存在するのに、ただ水を斬りつけたような手応えのなさ……その様なことを考えていた頭に、重い金属の塊が叩きつけられる。
「ギャン!?」
「残念だが、私もいるのでな。」
 殴られながらも前足で重機関銃を弾き飛ばすが、それを手にしたバレッタはそれに抗わない。
 そのまま空中でバランスをとり、獣に弾丸の雨を降らせていった。
「お前はここで終わりだ。」
「狂気で余は滅ぼせぬよ。ましてや、陽の光ではなく月のものではな。」
 獣が弾丸の雨に身動きとれなくなる中、それも気にせずに歩み寄ったブラミエの剣が獣の首を斬り落としていた。

「……大丈夫か?」
 獣の血、そしてブラミエの血も飛び散っている中、バレッタは思わず気遣うように問いかけていた。
 しかし、ブラミエから返ってきたのは余裕の笑み。
「気にする必要はない。余はこれくらいなら平気である。」
「それならいいが、」
「本当、吸血鬼というのはよく分からない存在だね。」
 その声に目を向ければ、血溜まりに立つ女性の姿。
 最初と変わらない傷一つ無い姿に、二人は改めて武器を向ける。
「あの少年も、君のような存在だったのなら……。」
「ははは、彼の少年は人の血を吸う存在としては弱いものであった。だからこそ、手下を従えていたのだろう……簡単に掌でパチリと潰されないためにな。」
「ふふ、それもそう、か。」
 ブラミエと軽口を交わしていた女性の顔色が青く変わっていく。
「何を、した……?」
「余の血には、人を汚染するウィルスが含まれておる。貴公はそれを、まともに浴びたのでな。」
「かはっ……くっ!?」
 見る間に吐血した女性の体を、巨大な百足が巻き取っていく。
 辿って見れば、バレッタの背へと繋がっていた。
「ほう、貴公はその様なモノを我が身に飼っているのか。」
「……一応聞くが、そのウィルスは私にも感染するのか?」
「はっはっは。安心したまえよ、余の意思によって自在に操れるものだからな。」
「それならいいが。……どちらにしろ、私は手を触れないからな。」
 虚空から現れた黒く巨大な手に掴まれ、女性が地面に伸ばされていく。
 上に浮かぶのは、巨大な悪魔の足……。
「くあっ……や、やめ……。」
「それは聞けないな。私は、最初に警告したぞ。」
 大きく踏みつけられる音が、しばらく響いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四王天・燦
《華組》

カグヤの望む死のために、少年吸血鬼は力に呑まれ暴君となり、群衆も暴力に怯え狂乱に走ったのか
みんな力に振り回されてやがる

どうするとの問いに返す
『生への冒涜連鎖を断つ』と
殺意はなく不死性に終焉を与えるよ

今のシホが自死を望むと思わねえ
死ぬまで支え合おう
二人ってのは心強い

錫杖をアークウィンド武器受けで弾き、呪詛の符を叩き込んで体力を奪う
自ら瀕死になる様子を見たら稲荷巫女のお説教
『狂うな。お前のまま終わらせたい』と
彼女のまま葬るのが慈悲だ

カグヤが鈍ってきたら鞘ごと神鳴を構えて力溜め開始
シホと呼吸を合わせ電刃居合い斬りで介錯仕る

業を負った生存者達には
理不尽に対して抗え、何より生きろと言い聞かせるぜ


シホ・エーデルワイス
《華組》

燦の推理に読心術と第六感で確信し共感

成程…
私も前世の記憶に触れた時
罪悪感に耐えかねて自殺を試みました
【贖罪】が自動発動して死ねませんでしたけどね

それに今は燦と結ばれて生きたいと思います

私と彼女の違いは他人と自分
どちらを犠牲にしたか
かしら


死が望みなら
同じ苦しみを知る者として逝かせます


狂気耐性のオーラ結界で燦を庇って防御しつつ
【終癒】の光で目潰ししながら狂気を浄化


戦後
生き残っている村人を【終癒】と『聖印』で正気に戻して『聖鞄』へ保護
人類砦に連れて行く

皆さんを苦しめていた領主はもういません
でもここに留まれば新しい領主が来て皆さんをまた苦しめるでしょう
吸血鬼に支配されていない地へ行きませんか?



 切り刻まれ、叩き潰されても……しばらくして、その場に立ち上がるのは無傷の女性。
「ふぅ……まったく、望み通りにはいかないね。」
「そのようだな。」
 語りかける声に意識を向ければ、真剣な表情で女性を見つめる燦の姿。
 その隣に控えるシホを守るように手を広げ、燦は言葉を続けていた。
「お前の望む死のために、少年吸血鬼は力に呑まれて暴君となり、群衆も暴力に怯えて狂乱に走ったのか。」
「ああ、そうさ。……結果的には、ね。」
 ほんの僅かだが、言い淀む女性。
 狂気を与えたのは間違いないが……何故、それを自らの恥のように言う?
「……みんな力に振り回されてやがる。」
「ふふ……その通り。」
 また、だ……とシホは女性の思考を読み取っていき、最後のピースをはめるために問いかける。
「あなたは……自らを悪人としたいのですか?」
「……人が人を殺すには、大義名分が必要なのだよ。」
 今度は淀むことがなかった……つまり、
「『罪を持つ者は、罪の名の下に罰を受けて死ぬべきだ。』それは、そうですね……人が共感し、その感情のまま流される、とても人らしい『あらすじ』です。」
 シホと女性の、二人が同時に浮かべるのは自嘲の笑み。
 かつての記憶の中で、罪悪感から死を選択した者の持つモノ。
「あなたと私の違いは……他人と自分の、どちらを犠牲にしたか、かしら。」
「ふふ……君は、自らを犠牲にしたのだろうね。言わなくとも、覚悟を持った目をしている。そして、」
 すぐ隣に立つ燦へと目を向け、
「いい仲間を持ったのだな。生きる目的となる程の。」
「はっ、人を見る目はあるようだね。」
「……一つだけ、訂正させてください。」
 軽口で返す燦の手を取りながら、シホは女性の目を見ながら言い放つ。
「燦は、私の大切な恋人です。」
 その言葉に、女性はふと気がつく。
 守られていたように見えたシホこそが、女性の放つ狂気から燦を守っていたのだと。
「……そうだぜ。あたしらはお互いを支え合う仲なのさ、死ぬまでな。」
「ふふ……そうだな、訂正しよう。さて、」
 シホとその肩を抱き寄せた燦へと、女性は錫杖を向ける。
「そろそろ、始めないかい?」
「ああ……そうしよう。」
「終わらせます。同じ苦しみを知る者として。」

 素早く跳びかかる燦へと鋭く振り下ろされる錫杖。
 燦が手にした短剣で受け流した時、シホの放つ強い癒やしの光に女性は目を焼かれていた。
「くっ……いい連携、だね。」
「そうだろう?」
 自ら刃を受けにいくかのように隙を晒した女性の胸元に、張り付けられたのは稲荷の符。
 符に篭められた呪詛は体力を奪うものだが、同時にシホの癒やしの光と相まって、女性の精神も落ち着いてきた。
「……何故だい?」
「何でって問いかけるかい。……お前は、お前のまま終わらせたいからだよ!」
 燦の手が腰の刀へと動き、辺りを暖かい光が包む。
「それなら、狂ったままでも良いだろう!」
 突如、叫びながら錫杖を振るうが……女性の目に見えた燦は光による幻惑だった。
「それでは、あなたの死となりません!」
「ああ、そういうことだ!」
「く、はっ……。」
 雷光と共に振られた刀に断ち切られ、女性の上半身がずるりと床に落ちる。
「見事、だ……。」
「……まだ終わらないだろうが、これがあたしらからの餞別だ。」
 事切れた女性へと手を合わせ、燦はシホへと笑みを向けた。
「よし。じゃあシホ、後は任せて外に行こうぜ。」
「え……よく、解りましたね。」
 燦の言葉に思わずキョトンと呟いてしまったシホ。
 狂乱に踊らされた領民の中にも、まだ救える人が居るはずで……その者たちを『今度こそ』説得し、人類砦へと保護するために。
「何言ってるんだよ。あたしは、シホの恋人だろ?」
「そう、でしたね。……すみません。」
「謝るなって。じゃあ行くぜ。」
「はい!」

 連れだって館の扉を開いた時、背後でまた女性が殺し合う音が微かに聞こえた。
「……じゃあな、しっかり殺してもらえよ。」
「今度は迷わず、最期を迎えてください。」
 二人は軽く振り向き、外へと出て行った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ

"自分さえ無事ならいい"という人間の本性が
追い詰められて露呈しただけよ。
貴女を責める気は無いわ

守護霊の【ドーピング】と『快楽の檻』で
今までに救済した直径105m分のオブリビオンと絡み合い
戦闘力525倍の群体淫魔に。
カグヤを【念動力・マヒ攻撃】で金縛りにし
群体に取り込み【怪力・捕縛】

貴女の眼、昔の私と似てる。
楽になれる日を待ち望む、死にたがりの眼……

無数の手と舌で彼女の全身を【慰め・生命力吸収】
より強い彼女が召喚される度に
私達も彼女の力を喰らい無限に強化。
【誘惑・催眠術】のフェロモンと媚毒【呪詛】を含む体液で
愛という名の狂気に染める

死だけが安息ではないわ。
永遠の愛を教えてあげる



 これで何度目だろうか……女性は再び無傷な姿で起き上がる。
 望み通りに戦いの中で殺されたのに、それでもまた……。
「ふふ……あれだけの思いをぶつけられたのに、ね。」
「……そうね。」
 疲れたような笑いを浮かべる女性へと、歩み寄るドゥルール。
 その女性の瞳が浮かべるモノに、思わず言葉が溢れてくる。
「貴女の眼、昔の私と似てる。楽になれる日を待ち望む、死にたがりの眼をしてるわ……。」
「ふふ……君はなかなか、分かっているじゃないか。」
 絞り出すような呟き……少しずつ精神が壊れ、狂気の領域へと進むのが見て取れる。
 それはただ、人として死ぬためだけに。
「だが、君も聞いただろう? 私は、君たちに殺されるための理由を作るためだけに、ここの領民を狂わせたのだ。」
「それは……『自分さえ無事ならいい』という人間の本性が、追い詰められて露呈しただけよ。貴女を責める気は無いわ。」
 言い終えるとともにパチリと指を鳴らすと、ドゥルールはその身に宿る守護霊たちを取り込み、その姿を変えていく。
 むくむくと膨れるように、いくつもの淫魔の姿が湧き出して行く様を女性が目で追っていると、群体と化した淫魔たちと一斉に目が合う。
「はは……麻痺の邪眼か。」
「……死だけが安息ではないわ。」
 身動きのとれない女性の身体を、無数の手が優しく掴み上げていく。
 群体と化した淫魔たちの中、その肉の牢獄へと連れ込まれていった。
「永遠の愛を、教えてあげる。」
「……お手柔らかに、お願いしようか。」

 後に響くのは、のたうつ肉の這いずる音と、淫魔の笑い声。
 そして、甘美な快楽に漏れる吐息と共に……事切れる声が響き渡る。
 何度も、何十度も……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アディリシア・オールドマン
アドリブ絡み歓迎

そうか。
別にどうということはない。
お前はただの敵だ。特別視する価値などない。
村人を狂わせ、苦しめ、殺したことへの怒りはある。
だが、それだけだ。それ故に、お前を叩き潰すだけだ。
行くぞ、ダフネ。『うん、アディ!』

私たちは元よりバーサーカー。理性など投げ捨てて戦える。
ダフネに任せて狂乱し、マクシモスを振り回してもよいのだがな。
私も貴様を殴りたい。故に二人がかり……いや。
総出で殴らせてもらおう。

「力を貸せ、狂戦士たち!」
想像するは狂乱の軍勢。現れるのはダフネだけでない。
貴様によって狂わされ、死した群衆を思い描く。
その刃の矛先を、眼前の敵へ向けて。
総員、その怒りを解き放て。元凶を潰すぞ!


九重・白亜
……そうですか。あなたは死を求めて、このようなことを。いささか回りくどいように思えますが、あなたの望みが叶ったのならいいでしょう。
では死ね。無慈悲に、無惨に、無意味に!

コイルグレネードを彼女の足元へ転がし、起爆後に奇襲をかけます。狂気に堕ちた半身に対してはトランジスタを使い迎撃、本体に接近して一撃だけ蹴りでも入れます。あとは指定UCを発動、両方に風化の呪いをかける。

お前は塵になって消えるんだ。細かいただの砂粒になって、あとは何も残らない。

これが別の姿か。願望を叶えるためだけに、他人を骨の髄まで利用する……あの吸血鬼と変わらなかったな。

【絡み・アドリブ歓迎】



「……ふ、ふっふふ……。」
 幾度目かの死からの復活……狂った笑いが女性の口から漏れ出している。
 よく見れば、女性の額に微かに浮かび上がる紋章が目に留まった。
「……そうですか。あなたは死を求めて、このようなことを。」
「ああ……そう、なのだよ。」
 淡々とした九重の言葉にも、まだ微かに残った理性で答えが返ってくる。
 女性の理性が擦り切れるほど、その額に刻まれた不死の紋章が姿を現すようだった。
「いささか回りくどいように思えますが、あなたの望みが叶ったのならいいでしょう。オレからすれば、殺す理由ならいくらでも存在します。」
「戦いの中での死を望むか、そこだけは理解する。だが、それだけだ。」
 九重の隣に歩み出たアディリシアにも、感情の揺らぎはない。
 その背後には、アディリシアの鎧に宿る蛮族の女王、ダフネの姿が浮かび上がる。
「お前はただの敵だ。特別視する価値などない。村人を狂わせ、苦しめ、殺したことへの怒りはあるが、それだけだ。」
『……それだけって言う割には饒舌じゃない、アディ。』
「……そうだな。」
「あっははは……それだけでも、構わないさ。」
 笑う女性の姿が狼のものへと変わっていく。
 月光を纏う獣の額には、赤い光を放つ紋章があった。
「グルルゥ……!」
「これが最後、ということだな。」
「ですね……では死ね。無慈悲に、無惨に、無意味に!」
 唸り声とともに襲い来る狼へと、九重が投げつけたコイルグレネードが炸裂した。

「力を貸せ、狂戦士たち!」
 爆風の中、アディリシアの叫びに呼び寄せられるように現れるのは、粗末な服に農具に過ぎない武器を持った群衆。
「私の声に応えたのは、貴様によって狂わされ、死した者たちだ。」
 煙幕の中に獣の姿を見つけ、アディリシアは拳を向けて叫んだ。
「さぁ、その刃の矛先を眼前の敵へ向けろ。総員、その怒りを解き放て。元凶を潰すぞ!」
 おおおおお!
 理性をかなぐり捨て、狂乱の鬨の声とともにアディリシアに続いて群衆が襲いかかる。
「ガアア!」
 しかし……獣も最後の力を振り絞り、襲い来る群衆を伸ばした爪で切り飛ばしていく。
 薙ぎ払うように群衆が吹き飛ぶと、そこに残るのは黒い全身鎧と蛮族の女王。
「行くぞ、ダフネ。」『うん、アディ!』
「ギャン!?」
 二人の拳が獣の頬を捉え、吹き飛んでいった。
 そして、床に落ちて転がる獣へと足を上げるメイドの姿。
「お前は、塵になって消えるんだ。」
「ガッ……ウゥ……!」
 九重のブーツが獣の額を捉え、紋章を蹴りつける。
 傷つきながらも前足で立ち上がろうとした獣の足が、ボロリと砂粒へと変わって床に飛び散った。
「グルルゥ……。」
「既に壊れたも同然のお前は、細かいただの砂粒になって、あとは何も残らない。」
 蹴りつけた足が叩き込んだのは、風化の魔術。
 そのまま獣の身体は崩れて砂へと変わっていき……最後に残った額の紋章も、崩れてただの塵へと変わって溶けていった。

 群衆も消え、館に静けさが戻っていた。
「終わったな。」
「ええ、そのはずです。」
 ふとアディリシアが目を向ければ、九重は獣だった塵を踏みつけていた。
 その勢いに舞い上がる塵の中、静かに怒りを込めた呟きが続く。
「これが別の姿か。願望を叶えるためだけに、他人を骨の髄まで利用する……あの吸血鬼と変わらなかったな。」
「……そうだな。」

 猟兵たちが出ていき、その塵も床に落ち着き……館に残るのは、窓から差し込む月の光だけ。
 狂乱に呑み込まれた館は静寂に包まれ、いつか朽ちていくだろう。
 それを見つめているのは、穏やかな月の光だけだった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月25日


挿絵イラスト