宝島のレプタイル
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「匂う、匂うぜ、お宝の匂いがぷんぷんするぜ」
広大なるグリードオーシャンの何処かに浮かぶ、人住まぬ孤島。鬱蒼とした密林の緑に覆われた陸地に上がって、メリー・バーミリオンはにやりと鮫のような笑みを浮かべた。
海賊の象徴ともいえる帽子と外套とサーベルに、麗しい容姿に似合わぬ男勝りな態度。人が思い浮かべる「女海賊」を絵に描いたような印象を、その女からは感じるだろう。
「伝説の『宝島』……ここなら、あの猟兵共に一泡吹かせるお宝が眠っているはずだ!」
長い航海と探索を経て目的地に辿り着いた彼女の目は、獣のように爛々と輝いていた。
宝島。それもまた海賊にとっては定番ともいえるロマン。だが彼女が財宝を追い求める理由には、単なる欲望以上に邪悪な目的があった。
「ヤツらの拠点、グリモアベース。そいつを暴くための手がかりが、ここにある!」
特段の根拠があるわけではない。だが彼女はそれを確信し、事実その可能性はゼロではなかった。多世界侵略船団コンキスタドールの略奪の証と思しき様々な財宝が、この世界ではあちこちに散りばめられているのだから。
「行くぞ野郎共、仕事の時間だ!」
海賊団の下っ端どもを引き連れて、意気揚々と宝島の探索を始める『緋色のメリー』。
――それとほぼ同時刻にて。別の海岸線からこの島に上陸する、1人の人影があった。
「うっわ。スゴいヤバそうなのがうじゃうじゃしてる……ここが伝説の宝島かあ」
その娘はまだ少女と呼ばれる年頃に見え、小柄な体に大きなリュックを背負っている。
古ぼけた地図を広げ、眼前に生い茂る密林を――その中を闊歩する巨大な怪生物を観察する様子は、一端の冒険家らしい雰囲気を醸し出していた。
「これはあたしだけじゃキツいかも。一緒に宝探ししてくれる人を探そーっと」
純粋な冒険心と憧れでキラキラと輝いた彼女の瞳は、メリーの瞳の色とはまるで違う。
コンキスタドールと冒険商人。今だ当人達も気付かぬまま、宝島の財宝を巡る争奪戦の幕が開けたのだった。
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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「グリードオーシャンに帰還したレディ・オーシャンの配下『メリー・バーミリオン』が、宝島の財宝を略奪しようとしています」
かねてから猟兵との因縁も長いオブリビオン『レディ・オーシャン』。彼女は猟書家から奪った力で「偽物の骸の月」をグリードオーシャンに浮かべ、グリモアベースの侵略を企てている。この動きを放置すれば猟兵はグリモアの力を脅かされ、窮地に陥るだろう。
「メリー・バーミリオンは先の羅針盤戦争にも現れたコンキスタドールですが、どうやらレディ・オーシャンの配下に加わったようです。彼女はグリードオーシャンの伝説にある『宝島』のひとつを発見し、島にある財宝を根こそぎ奪い去ろうとしています」
グリードオーシャンで財宝と言えば、手にした者にユーベルコードの力を与える呪いの秘宝「メガリス」を始め、貴重で特殊な品々が数多い。メリー・バーミリオンはその中にグリモアベース侵略の手掛かりになりうるアイテムも含まれていると考えているらしい。
「その予想が正しいかどうかはさておき、みすみすオブリビオンに財宝を渡す理由もありません。こちらも宝島に上陸し、敵に先んじてお宝を手に入れてしまいましょう」
猟兵とオブリビオンによる財宝争奪戦。だが警戒すべきは敵だけではない。宝探しには危険がつきもの――島内には財宝を狙う侵入者を阻むための脅威が待ち受けているのだ。
「この島の自然は大部分を密林が占め、巨大なヘビ、トカゲ、カメ、イグアナ等の爬虫類が大量に生息しています。おそらくは島に隠された財宝の影響で巨大化したのでしょう」
これら巨大爬虫類の体長は、小さいものでも2メートル以上。大きいものになれば10メートルを超え、もはや恐竜にしか見えないものまでいる。凶暴だったり温厚だったりと生態は様々だが、いずれも宝探しにおいては厄介な障害になるだろう。
「安全を期すなら彼らのナワバリを避けて通るのが一番ですが、慎重になりすぎると敵に先を越されてしまいます。なんとか攻略して進むしかないでしょう」
立ちはだかる巨大爬虫類を倒して進むもよし、避けて進むもよし。ビーストテイマーのように動物を心を通わせるのが得意な者なら、爬虫類達をなだめて仲良くなるという手も取れるかもしれない。対処法はそれぞれの得意分野に応じて考えるといいだろう。
「とはいえオブリビオンとの戦いとは勝手の違う冒険になることは確かでしょう。そこで宝島のウワサを聞きつけた冒険商人の方が、協力に名乗りを上げてくださっています」
その冒険商人の名前はアン。そこにカネやお宝があるのなら、万里の波濤も乗り越えてみせると豪語する、命知らずの女冒険家だ。年は若いが経験は豊富で、どんなピンチでもビビらない根性強さには眼を見張るものがある。
「アンさんは直接戦闘でこそオブリビオンには勝てませんが、あらゆる危険を越えて財を得るお宝探しのプロです。島内の冒険においてはきっと力になってくれるでしょう」
彼女と共にお宝の元に辿り着き、それを狙う幹部を迎え撃つのが今回のプランとなる。
スピーディな攻略のためには猟兵と冒険商人、それぞれの技能と知識を活用することが重要になってくるだろう。
「宝探しの後で戦うことになるメリー・バーミリオンも強敵ですが、羅針盤戦争で戦った相手です。油断なく挑めば勝てない相手ではありません」
戦争中は猟兵達にかけられた賞金を狙って襲撃を繰り返し、今度は宝島の財宝を狙う。なんとも強欲で分かりやすいコンキスタドールである。とっちめるのに遠慮はいらない。
依頼の説明を終えたところで、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、宝島までの道を開く。グリモアベース侵略を目論む新たなる侵略者との、財宝争奪戦の幕が開ける。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
グリードオーシャンに新たな脅威。今回の依頼は宝島のお宝を狙う幹部猟書家(偽)メリー・バーミリオンとの財宝争奪戦になります。
一章はお宝を求めて宝島を冒険するパートです。
島のほぼ全域が樹木の生い茂る密林となっており、その中は隠された財宝の影響で巨大化した爬虫類のナワバリとなっています。
巨大ヘビや巨大トカゲや巨大リクガメや巨大イグアナなど、色んな種類の爬虫類があっちこっちにいるので、うまく攻略して先に進んでください。
二章はお宝を発見後、それを狙う『メリー・バーミリオン』とのボス戦です。
彼女はこの島の財宝の中にグリモアベース侵略の手がかりがあると考えています。それが事実かは分かりませんが、お宝を譲る理由もないので撃破してください。
本シナリオは二章構成となり、全章共通で下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……冒険商人と協力する。
今回のシナリオでは、宝島の噂を聞きつけた冒険商人のアンが探索に協力してくれます。冒険に関する豊富な知識と経験で猟兵をサポートしてくれるでしょう。
戦闘能力は高くないので、オブリビオンとの戦いでは基本的に応援に回ります。自衛くらいならなんとかなるので、護衛に気を遣う必要はありません。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『巨大爬虫類のナワバリ』
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POW : 巨大爬虫類を倒しながら進む。
SPD : 巨大爬虫類を避けて進む。
WIZ : 巨大爬虫類達と仲良くなれるように頑張る。
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒影・兵庫
巨大生物が跋扈する島で宝探しとはワクワクしますね!
(「そう?安全な宝探しの方が私は好きかな」と頭の中の教導虫が返事する)
あ、アンさん!俺は敵に宝が渡らなければOKなので
見つけた宝はお譲りしますね!
(「えぇ!?もったいない!」)
まぁまぁ
絆こそ一番の宝って言うじゃないですか
(「じゃあそれに見合う協力を得なさいよ!?」)
はい!せんせー!
あ、すみません、アンさん
巨大生物たちはUC【誘煌の蝶々】で召喚した支援兵さん達に惹きつけてもらい
俺たちは『オーラ防御』で展開した『迷彩』効果のオーラバリアで身を護ることで『目立たない』ように移動します!
宝探しはアンさんの方がお上手だと思いますので
宝まで導いてください!
「巨大生物が跋扈する島で宝探しとはワクワクしますね!」
未知なる驚異に満ちた宝島というシチュエーションに冒険心をくすぐられたか、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は無邪気に笑う。危険があるのは百も承知だが、だからこそ燃え上がる少年心というものがあるのだ。
(そう? 安全な宝探しの方が私は好きかな)
一方で彼の頭の中に寄生する教導虫「スクイリア」には、このロマンが今ひとつピンとこないらしい――が、その返事を遮るように「だよね!!」と大きな声が聞こえてきた。
「あ、アンさん!」
「ハロー! あなたが宝探しに協力してくれる人だね!」
元気一杯な笑顔で現れたのはアン。宝の噂を聞きつけて島までやって来た冒険商人だ。上陸は猟兵達よりも早かったが、単独での探索は困難だと判断して協力者を募っていた。
その判断は懸命と言えるだろう。現在この島には巨大爬虫類だけでなく、同じ宝を狙う凶悪なコンキスタドールもいるのだから。
「俺は敵に宝が渡らなければOKなので、見つけた宝はお譲りしますね!」
「ホント?! ありがとうっ!」
(えぇ!? もったいない!)
挨拶を終えた兵庫がそう提案すると、アンは嬉しそうに目を輝かせ、同時にスクイリアが抗議の叫びを上げる。もっとも脳内にいる教導虫の声は兵庫にしか聞こえないのだが。
「まぁまぁ。絆こそ一番の宝って言うじゃないですか」
ここは円滑な協力関係を築くことが最重要だと宥める兵庫。スクイリアもその意見には一理あると認めてはいるようだが、せっかくのお宝を諦めるのは少々不満があるようだ。
(じゃあそれに見合う協力を得なさいよ!?)
「はい! せんせー!」
それでも基本的に教え子に甘い"せんせー"は、最終的には兵庫の判断を受け入れる。
そんな二人のやり取りをアンは見ていたが、彼女の視点からでは兵庫が独り言を喋っているようにしか思えず、きょとんと首を傾げていた。
「あのー……誰とお話してるの?」
「あ、すみません、アンさん」
怪訝そうにしているアンに謝ってから、兵庫は改めて島の探索について相談を始める。
目下最大の障害となるのは島内に原生する巨大爬虫類。倒すことも不可能ではないが、時間と体力の消耗を抑えようと思うなら、なるべく見つからず進むほうがいいだろう。
「巨大生物たちは支援兵さん達に惹きつけてもらい、俺たちは迷彩効果のオーラバリアで身を護ることで目立たないように移動します!」
実際に【誘煌の蝶々】を発動して、蝶の姿をした支援兵の群れを召喚してみせながら、計画を説明する兵庫。囮と迷彩を活用した隠密作戦には、アンも依存はないよと頷いた。
(支援兵の皆さん! よろしくおねがいします!)
作戦が決まれば兵庫はすぐさま支援兵を飛ばす。発光する鱗粉を撒きながら、ひらひらと可憐で儚げに舞う蝶々の群れは、島に生息する生き物の注目を集めるのに十分だった。
恐竜のようなサイズの巨大トカゲや、何十メートルあるかも分からない巨大ヘビ等が、のそのそと蝶々の下に集まっていく。その隙に兵庫は自分とアンをオーラバリアで包み、足音を立てないようにひっそりと歩きだした。
(宝探しはアンさんの方がお上手だと思いますので、宝まで導いてください!)
(まかせて! こっちだよ!)
巨大爬虫類の横をひっそりとすり抜けながら、兵庫達を先導するアン。事前に収集した情報や経験に基づく知識、そして冒険者としてのカンを頼りに彼女は宝の在り処を探る。
確証は無いのだろうが、お宝と冒険を求めてここまでやって来た足取りに迷いはない。兵庫も彼女の冒険商人としての実力を信頼して、ともに密林の奥地へと進むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
巨大爬虫類……ふーむ、魔力のないドラゴンのようなもの、と思えばいいでしょうか?
アンさんにお宝のありそうな場所を教わりながら進む
密林なら大きな河もありそうなので、水着に着替えて(水中戦・水上歩行)
遭遇するのは巨大なイグアナ
海賊が島を荒らそうとしていること、私たちはそれを追ってきたことを伝え、協力をお願いする(動物と話す・動物使い)
協力を取り付ければその背に跨り(騎乗)、最短経路で進む
狂暴化した爬虫類が襲ってくれば【絶対不可侵なる大聖堂】
展開中に動けないという弱点は、イグアナさんに運んでもらうことにより克服
アンさんの知識、イグアナさんの【運搬】力、私の防御力で、安全に踏破する
「巨大爬虫類……ふーむ、魔力のないドラゴンのようなもの、と思えばいいでしょうか?」
「いや、流石にそこまでヤバいものじゃないと思うけど……ドラゴン見たことないし」
過去に戦ったことのあるものを比較にして、島の脅威を推し量ろうとするオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。当然のように竜が引き合いに出されているが、冒険商人のアンは苦笑交じりに首を振る。
「英雄さんって聞いてたけどホントなんだね。ドラゴンと戦うなんてあたしじゃ無理」
冒険の経験こそ豊富なものの、彼女は猟兵のような高い戦闘能力は持っていない。コンキスタドールは勿論のこと、ただデカいだけのトカゲやヘビにも歯がたたないだろう――しかし今回の依頼では、その冒険の経験こそが最も重要なのだ。
「んー、このへんにはお宝は無さそうかな。あっちの地形のほうが怪しいかも」
「なるほど。勉強になります」
アンからお宝のありそうな場所を教わりながら探索を行うオリヴィア。こういった密林なら大きな河もありそうだと考えて、服装は泳ぎやすい水着に着替えている。あまり肌を露出すると今度は虫に刺されそうだが、頑丈な彼女なら問題はないだろう。
「水の音……近くに河があるよ。経験上、水場の上流とかは何かあったりするんだよね」
「では、行ってみましょう。アンさんの安全は私がお守りしますので」
せせらぎを聞きつけたアンが水辺まで案内し、オリヴィアが彼女を担いで水上を歩く。出会って間もないが互いの能力を信頼している二人は、暫くは何事もなく探索を進めた。
「あ……静かに」
ふいにアンが囁き声で警告を発する。視線の先をオリヴィアが追えば、そこには怪獣と見紛うような巨大なイグアナが、水辺でのっそりと陽の光を浴びていた。どうやら向こうも此方には気付いている様子――だが襲ってはこない様子からして温厚な性質らしい。
「お初にお目にかかります、イグアナさん」
「え、ちょっと、オリヴィアさん?」
オリヴィアが急に挨拶を始めたのを見てアンは慌てるが、ここは任せてほしいと目配せを受けて黙る。たとえ爬虫類でも穏やかな者であれば、協力を取り付ける余地はあるかもしれないと彼女は考えていた。
「お騒がせして申し訳ありません。実は今、この島に危機が迫っています」
既に上陸した海賊が島を荒らそうとしていること、自分たちはそれを追ってきたことを伝え、協力をお願いするオリヴィア。巨大イグアナはそれを聞いているのかいないのか、暫くはピクリとも動かなかったが――やがて、のそりと背中を彼女達に向けた。
「乗れ、ということでしょうか?」
「すごい、ほんとに味方にしちゃった」
交渉の成立にオリヴィアは微笑みを浮かべ、アンはびっくりした様子で目を丸くする。
ともあれ、この密林は人の足で歩くよりも巨大爬虫類の足を借りたほうがずっと効率的なのは確か。二人はさっそくイグアナの背に跨り、最短経路で密林を進みはじめた。
「すごいすごい! これは快適だね!」
「ええ。ですが油断はできません」
巨大爬虫類に乗って移動していれば、他の爬虫類からの注意を引くのは避けられない。中にはイグアナと違って凶暴な爬虫類もいるだろう。彼らの襲撃に備えて、オリヴィアは【絶対不可侵なる大聖堂】を発動する。
「顕現せよ、絶対不可侵なる大聖堂。穢れなき白亜の壁よ、一切の害意を跳ね返せ!」
詠唱と共に展開された聖なる魔力障壁は、あらゆる攻撃を防ぐ無敵の防御領域となる。
展開中は動けないという弱点こそあるものの、別の者に運んでもっている今なら問題にならない。イグアナの歩行に合わせて、純白に輝く障壁も移動する。
「こんなに安全に冒険できるのって初めてかも」
アンが感嘆を込めて呟くのも無理はないほどに、彼女達の探索は順調そのものだった。
彼女の知識と、巨大イグアナの運搬力、そしてオリヴィアの防御力が、危険な密林地帯を安全に踏破することを可能にしていた。
「この調子なら、敵より先にお宝を発見できそうですね」
祈るように両手を組んで、絶対不可侵なる大聖堂を維持しながらオリヴィアは微笑む。
何者も彼女達の歩みを阻むことはできず、財宝の在り処には着実に近づきつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
ミラ達と参加…。
アンさんと合流し、【影竜進化】でミラ達を影竜に進化させ、影の中に入って島の中を進んで行くよ…。
凶暴な子を倒して進んでも良いけど…。
本来無関係だし、なるべく影に潜みながら進んで戦闘は避けるよ…。
この島に住んでるなら島内の様子とか詳しそうだし、道中、温厚な子とか話しの解かる子(?)は手懐けて進めると良いな…。
ミラ達用のお肉とかお魚とかあげたり…。
後は聞き出した(?)情報とアンさんの知識と経験、勘とかを頼りにお宝の場所を目指して進むよ…。
ゾロゾロと森を歩いてるとミラ達と会った時の事を思い出すね…(気づけば手懐けたトカゲやらヘビやら爬虫類達が一緒にゾロゾロ)
「貴女がアンさんだね……わたしは璃奈。この子達はミラ、クリュウ、アイ……」
「はじめまして、今回はよろしく……って、ホンモノのドラゴンだ! すごい!」
家族として暮らす3匹の仔竜を連れて、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)はアンと合流を果たす。好奇心旺盛な冒険商人の眼は、始めて見た仔竜達に釘付けとなっていた。
「かっわいいなぁ! ね、ね、ちょっと触ってもいい?」
「きゅ~?」
きょとんとした顔で小首をかしげ、かわいい声で鳴く仔竜達。そんな仕草も愛らしい。
だが璃奈がこの仔達を島まで連れてきたのは、別に癒やしが欲しかったからではなく、竜が持つ進化の力を必要としたからである。
「我が家族たる竜達……闇の衣を纏いて仮初の進化を得よ……。お願いみんな、わたしに力を貸して……」
璃奈が【呪法・影竜進化】の呪文を唱えると、3匹の仔竜は影竜として一時的な進化を遂げる。体格も成竜として大きくなり、全身を覆う鱗は影そのもののような黒に染まる。
「凶暴な子を倒して進んでも良いけど……。本来無関係だし、戦闘は避けるよ……」
「へぇー、すっごい! この子達、影を操れるんだ!」
とぷんと沼に沈むように、少女達を連れて影の中に潜航する竜達。璃奈が物静かな口調で計画を伝えると、アンは初めて見る竜の力に感心しながら「わかったよ!」と頷いた。もともと戦闘能力の低い彼女に、なるべく戦いを避ける方針を拒む理由はない。
「この島に住んでるなら島内の様子とか詳しそうだし、温厚な子とか話しの解かる子は手懐けて進めると良いな……」
璃奈はミラ達の力で影の中に入ったまま島内を進んで行きつつ、時折顔を出して周囲の様子を伺う。この島の支配者とも言える爬虫類は、総じて巨大ではあるが生態は様々で、見境なく襲ってくるような凶暴な生物だけでは無いことも分かっていた。
「ならあのカメは? あたしが見たヤツよりも大きいけど、大人しい種類だったはず」
「いいかも……これ、食べるかな……」
ミラ達用のご飯として持ってきた肉や魚をそっと置いて様子を見ていると、巨大カメがやって来てそれを口にする。どうやらお気に召したようで、もっと頂戴よと言うように、璃奈達が移動するとのそのそと後を付いてくる。
「アンさん、お宝の場所はわかる……?」
「任せて、ばっちりナビゲートするから」
そんな具合に巨大爬虫類を懐柔して戦いを避けながら、璃奈とアンは順調に先に進む。
鬱蒼と生い茂る密林の中では、宝の在り処はおろか自分達の現在地さえ見失ってしまいそうだが、手懐けた爬虫類から聞き出した(正確には仕草等から察した)情報と、知識と経験、そして冒険者としてのカンを持つアンは迷いなく進むべき道を指し示す。
「ゾロゾロと森を歩いてるとミラ達と会った時の事を思い出すね……」
そんな探索行の道中でも餌やりを繰り返した結果、気付けば璃奈達の後ろには手懐けたカメやらトカゲやらヘビやらの巨大爬虫類達が一緒にゾロゾロと列をなして歩いていた。
これだけ大勢集まると目立ちすぎて隠密も何もないが、凶暴な爬虫類も近寄っては来れないだろう。この島を移動する上で、ある意味最強のボディーガードと言えなくもない。
それはそれとして、どこまで付いてくるんだろう――そんな事をふと考えつつ、少女達は爬虫類達を引き連れて探索を続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
「私は猟書家カビパン。メリー・バーミリオンだな。私が貴様らをガイドしてやろう、ついてこい」
幹部猟書家(偽)歴が彼女よりベテランのカビパンは面倒見が良かった。
今までの猟書家職務経歴と悪のカリスマでコンキスタドールと仲良くなる。
「アポストロスは先輩だが、センス(ギャグ)がないから私が教化したこともある。ターリアには協力したこともあるし、ディガンマは音楽性を理解しあった仲だ。ウィルオーグは師でもあったが、私が指導したこともあったくらいだ」
名立たる幹部猟書家達をまるで仲の良い友達かのように思い出を語り始める。
勢いとノリでガイドしていたカビパンがキチンと密林攻略できるはずなく、皆仲良く迷ったのであった。
――猟兵達と冒険商人が財宝の在り処を求めて宝島の探索を進めている、その最中。
「あん? なんだテメーは」
「私は猟書家カビパン」
カビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)は持ち前の幸運と偶然の導きにより、同じく宝島探索中の偽猟書家、メリー・バーミリオンとの遭遇を果たしていた。
事情は異なるものの、猟書家を僭称する者としてはカビパンもまた幹部猟書家(偽)と言える。それ故にメリーに親近感を抱いているのか、彼女は友好的に接触を試みていた。
「メリー・バーミリオンだな。私が貴様らをガイドしてやろう、ついてこい」
「お……おう? あんた猟兵じゃねーの? 猟書家?」
やけに偉そうだが敵意は感じられないカビパンの態度に、当初メリーは困惑していた。
だが、ここが未知の島なのは彼女にとっても同じ。もしもガイドという話が本当なら、これはお宝を探している他の連中を出し抜くチャンスになるかもしれない。
「あんた、本当にお宝の場所を知ってるんだな? 適当言ってたらブッ殺すぞ?」
「任せるがいい。さあ、こっちだ」
幹部猟書家(偽)歴が彼女よりベテランのカビパンは、やたら先輩風を吹かせはするが面倒見は良かった。よく分からない自信に満ち溢れた態度と、奇妙に引きつけられる謎のカリスマ性は、用心深いコンキスタドールの警戒を徐々にほぐしていく。
「アポストロスは先輩だが、センス(ギャグ)がないから私が教化したこともある」
「へー、そりゃすごい! よその猟書家のことはあんまり知らねーけど!」
そして気がつけば、カビパンとメリーはすっかり仲良く肩を並べて密林を歩いていた。
カビパンの持つ今までの猟書家職務経歴と悪のカリスマが、良い方向に働いたらしい。二人はすっかり打ち解けた様子で他愛のない雑談に話を咲かせている。
「ターリアには協力したこともあるし、ディガンマは音楽性を理解しあった仲だ。ウィルオーグは師でもあったが、私が指導したこともあったくらいだ」
「ははっ、やるねえ! アンタも大概メチャクチャだな!」
名立たる幹部猟書家達をまるで仲の良い友達かのように思い出を語りだすカビパンに、メリーが愉快そうに笑って相槌を打つ。その内容はかなりの誇張が含まれているが、所詮本当の猟書家ではない者に真偽はわかるまい。彼女の武勇伝はどこまでも膨らんでいく。
「ところで、お宝まであとどのくらいだ? もう結構歩いたよな?」
しばらく夢中になって話に聞き入っていたが、ふとメリーは当初の目的を思い出した。
ここまでジャマな巨大爬虫類とは幸運にも一度も遭遇していないが、お宝がありそうな場所はない。四方を見渡しても視界に入るのは鬱蒼としたジャングルの木々だけだ。
「……つーか、さっきから同じ様な景色の所ばかりグルグル回ってるような……」
ようやく彼女も、自分が【ハリセンで叩かずにはいられない女】の術中に嵌まっていた事に気付きだした。最初から勢いとノリでガイドしていたカビパンがキチンと密林を攻略できるはずもなく、二人仲良く道に迷うのは当然の結果であった。
「おっと、すまない。カレーうどんの仕込みの時間なので、そろそろ失礼する」
「待ちやがれテメェッ!!!?」
キリッとした顔のままそそくさと退散しようとするカビパンに、メリーの怒号が飛ぶ。
こんなヤツ信じた自分がバカだったと後悔してももう遅い。自称ベテラン猟書家(偽)のメチャクチャなガイドにより、彼女の宝探しは振り出しどころかマイナスに戻された。
「このアマ、ブッ殺してやるッ!!」
怒りのままにサーベルを振り回しても、逃げ足の速いカビパンはもう遥か彼方にいる。
それを追いかけ回すうちに、メリーはさらに貴重な時間を浪費し、猟兵と冒険商人から一歩も二歩も遅れを取る羽目になるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
(この世界は予想以上に猟兵とオブリビオンの戦いに重要な役割を果たすやもしれませんね。さながら骸の海に浮かぶ多世界へ渡る船…かの女神に舵を握らせぬ為にも)
冒険商人のアン様ですね、宜しくお願い致します
道中の護衛はお任せください
UCで周囲を情報収集
爬虫類を避け、時に操縦する妖精を囮として移動させつつ彼女の古い地図と照らし合わせ探索
(アンの指示で怪力で障害物を除けたりロープワークで命綱を渡しつつ戦わないのかの質問に)
(爬虫類を撒いた妖精回収し)
最上の護衛とは危険から遠ざけること…というのもありますが
こうした自然は故郷では貴重で、ある意味『宝』のようなもの
壊すのは最小限で済ませたいのです(照れたように)
(この世界は予想以上に猟兵とオブリビオンの戦いに重要な役割を果たすやもしれませんね)
再び騒乱の種が落とされたグリードオーシャンを訪れたのはトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。彼はこれまでに多くのオブリビオンと戦ってきたが、直接的に猟兵の拠点である『グリモアベース襲撃』を目的に掲げる敵は殆どいなかった。
多世界侵略船団・コンキスタドールの拠点という、この世界が持つ特異性を鑑みれば、それも実現不可能な望みでは無いのだろう。他ならぬレディ・オーシャンが言うならば。
(さながら骸の海に浮かぶ多世界へ渡る船……かの女神に舵を握らせぬ為にも)
望みに到達しうる手がかりは、万に一つだろうと確実に潰していく。機械仕掛けの騎士は決意を新たにして、コンキスタドールが求める財宝の眠る島に上陸を果たした。
「冒険商人のアン様ですね、宜しくお願い致します」
「こちらこそ、よろしく!」
宝島上陸後、トリテレイアは先に進んでいたアンとの合流し、共同での探索にあたる。
要人警護用ウォーマシンとして開発されたトリテレイアの強靭なボディと戦闘技術は、戦闘能力の低いアンにとっては非常に頼もしい。
「道中の護衛はお任せください」
「うん、頼りにしてるよ!」
礼儀正しい騎士の言葉に、冒険家の少女は笑顔を見せ、どこまでも広がる密林を進む。
古地図とコンパス、経験と知識、そして勘。それらを頼りにして彼女はお宝の在り処を探るプロだ。しかし機械騎士も彼女のガイドにただ護衛として付いていくだけではない。
「わぁ、それなに? フェアリー? にしてはなんかメタリックだけど」
「御伽噺の騎士に導き手の妖精はつきものです……これは偽物なのですが」
トリテレイアは肩の【自律式妖精型ロボ 格納・コントロールユニット】から偵察用の妖精ロボを発進させ、周囲の情報収集を行う。近隣の地形や生息する巨大爬虫類の痕跡、その他諸々の情報はリアルタイムで彼に伝達され、お宝探しの手がかりとなる。
「伝説と呼ばれるほどの島なら、当時の記録と地形も変化しているかもしれません」
「そうだね。助かるよ……ってかそれ便利だねー。一匹ほしい」
妖精達の集めた情報とアンの古地図を照らし合わせることで、怪しい場所を絞り込む。
彼らの探索は順調かに思われた――だが、そういう時に限って邪魔者は現れるものだ。
(しっ、静かに)
ふいに口元に指を当てて物陰に身を潜めるアン。それに倣いながらトリテレイアが目にしたのは、我が物顔で密林をのし歩く巨大なトカゲ。体高は10メートルをゆうに超え、爬虫類というよりもはや恐竜である。島に眠る宝の存在が、彼らを異常進化させたのだ。
(ここはお任せを)
トリテレイアは再び妖精型ロボを発進させ、相手の気を引く囮にする。ひらひらと鼻先を舞う妖精に気付いた巨大トカゲは、その軌跡を追ってのそりとねぐらから動き始めた。
その機を逃さず、騎士と冒険家は抜き足差し足忍び足。トカゲの視界に入らないようにルートを計算し、無事にその場を通り抜けることに成功したのだった。
「ねえ、なんで戦わなかったの?」
その後、トリテレイアが進路上にある障害物をどかしたり、ワイヤーアンカーで命綱を渡したりしていると、ふとアンから質問が投げかけられる。先程の巨大爬虫類との遭遇、彼の実力なら戦って退けることも難しくは無かったはずだと。
「騎士ってなんというか戦いが本分っていうか、血の気の多いイメージだったんだけど」
「そうですね。最上の護衛とは危険から遠ざけること……というのもありますが」
巨大トカゲを撒いて戻ってきた妖精を回収しつつ、騎士はどう答えたものかと考える。
見渡せば広がるのは一面の樹海。厳しく荒々しい、野生の生命力に満ち溢れた大自然。それは星々の海を渡る日々では再現映像でしか見ることのできなかったものだ。
「こうした自然は故郷では貴重で、ある意味『宝』のようなもの。壊すのは最小限で済ませたいのです」
「そっか……なるほどね」
機械の表情に変化はない。だが照れたようにそう語るトリテレイアに、アンは納得したようにひとつ頷くと、彼の装甲をこつんと叩き、笑った。冒険者らしい快活な笑顔で。
「堅物そうな人だなーって思ったけど、なかなかロマンが分かってるじゃん」
嫌いじゃないよと笑う少女に、そうかもしれませんね、と騎士はまた照れくさそうに。
作戦はオブリビオンに宝を奪わせない事が第一だ。だが、未知なる大自然の中を歩き、自分のお宝を見つけだす『冒険』は、なかなか悪いものではなかった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
海賊共と財宝の奪い合いか…
フッ、正に大海原の冒険譚だな
自分の後から付いてくるようアンに頼み、財宝の場所を提供してもらおう
私はナガクニを装備し、木々や蔦を切り開き爬虫類達の縄張りや住処もお構いなしに財宝までの道を最短ルートで進んで行く
フン、財宝の番人と言えばドラゴンだが…
惜しいな、こいつらは恐竜か
恐竜のような大型爬虫類が襲って来たらUCを発動
襲ってきた敵だけに届くよう毒霧を操作する
毒の種類は昏睡や麻痺と言った非致死性の毒だ
無駄に殺す事も無いだろう
その間、アンには自分の近くにいるよう指示して毒霧の影響を受けないように気遣う
これ以上来られても面倒だ
さっさと奴らの縄張りを抜けて進もうか
「海賊共と財宝の奪い合いか……フッ、正に大海原の冒険譚だな」
これぞロマンと言うべきシチュエーションに、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は心躍るものを感じていた。伝説の宝島に隠された財宝を探し出す――言葉にするだけでも夢に満ちた話だ。もちろん、コンキスタドールに遅れを取るつもりはない。
「君は私の後から付いてきてくれ。財宝の場所を見つけるのは任せた」
「オッケー! 頼りにしてるよ傭兵さん!」
彼女は協力者である冒険商人のアンを守るように、力強い足取りで未踏の密林を行く。
片手に持った短刀「ナガクニ」で邪魔な木々や蔦を切り開き、財宝までの最短ルートを突き進む。その姿は一端のトレジャーハンターと言っても通用する勇ましさであった。
「このまま東に進んで……あっ、待って。この先ちょっとヤバいかも……」
アンはキリカが開いた道をついて行きながらお宝の在りそうな所をガイドしていたが、ふと慌てたように声を上げる。しかし時既に遅く、彼女達はこの島に生息する巨大爬虫類の縄張りに足を踏み入れてしまっていた。
「フン、財宝の番人と言えばドラゴンだが……惜しいな、こいつらは恐竜か」
迂回を考えず最短距離を往こうとすれば、どこかで彼らと鉢合わせるのは必然だった。
想定内の状況であるが故に、キリカの態度に動揺はない。はるかな古代から迷い込んできたような巨大すぎるトカゲやヘビやワニに見下されても、平然と笑みを浮かべている。
「アンは私の近くにいてくれ」
「わ、わかった……!」
落ち着いたキリカの指示に、アンは巨大爬虫類達の圧に怯えながらも言う通りにする。単独での戦闘能力がさほど高くない彼女には、この状況においては猟兵達だけが頼りだ。
縮こまる冒険商人とそれを庇うように立つ戦場傭兵。二人の小さな「エサ」を見つけた巨大爬虫類の群れは、ぐわっと洞穴のような大口を開けて襲い掛かってくる。
「随分腹を空かせているようだな」
恐竜の如き顎に丸呑みにされる前に、キリカは【プワゾン】を発動。自身の肉体の一部を毒の霧に変え、襲ってきた敵だけに届くように散布する。彼女の使用する毒は発動するたびに種類も効果も違うが、今回は昏睡や麻痺といった非致死性の毒だ。
「グォ……!?」
甘い香りの漂う毒を吸い込んだ巨大爬虫類群は、たちまちその場に倒れて意識を失う。
ズシンと地震のように辺りが揺れ、驚いた鳥達が木々から飛び立つ。キリカの背中から様子を窺っていたアンは、こぼれ落ちそうなくらいに目を丸くしていた。
「し、死んじゃったの?」
「いや。無駄に殺す事も無いだろう」
使用した毒は即効性だが、あくまで眠って動けないだけだ。少しすればまた動きだすだろう。図体のでかい生き物は総じて毒にも耐性がある。あまり悠長にはしていられない。
「これ以上来られても面倒だ。さっさと奴らの縄張りを抜けて進もうか」
「りょーかいっ!」
眠っている巨大トカゲの尻尾をまたいで進むキリカに、敬礼しつつその後に続くアン。
恐れ知らずの強行軍は止まることなく、宝の在り処を目指してまっすぐに進んでいく。密林を切り開く彼女たちの表情は、どこか生き生きと楽しげであった。
大成功
🔵🔵🔵
卜一・アンリ
(『』発言は【指定UC】で召喚したカイムの発言)
冒険商人さん、爬虫類がお気に召すような餌とかはあるかしら?
交渉をお願い、カイム。
『ヤッホー!ヘビちゃんイグアナちゃんトカゲちゃんご機嫌いかが?』
『ウェイトウェイト!乱暴はよくないぜ坊や。アレやコレとか欲しくない?僕ちゃんたちを通してくれればあげちゃうぜ?』
【動物と話す】カイムの【言いくるめ】に任せて進みましょう。
なんとなく気に入らないとか物足りないとか言い出して交渉決裂したら【手をつなぐ】アンさんを連れて【逃げ足】で強行突破よ。
『ヘーイ!ご主人様、包囲された俺たちは!?』
分身なんだから食べられても平気でしょう、囮になってて頂戴。
『オーマイゴッド』
「冒険商人さん、爬虫類がお気に召すような餌とかはあるかしら?」
「え、エサ? そうだなあ……」
宝島にやって来た卜一・アンリ(今も帰らぬ大正桜のアリス・f23623)がまず最初に尋ねたのは、この島の原生生物達との交渉を行う糸口だった。質問された冒険商人のアンは首を傾げつつも、これまでの冒険で得てきた豊富な知識から答えを出す。
「一口に爬虫類って言っても食性はいろいろだけど、あっちに見えるイグアナは草食性で花や果物なんかを食べて、向こうのヘビならネズミなんかの小動物を捕食して……」
「そう。じゃあ交渉をお願い、カイム」
『アイアイサー!』
説明を聞いて飛び出したのは、【悪魔召喚「カイム」】により召喚された悪魔の群れ。
道化師の姿をした彼らは姿に違わぬひょうきんな仕草で召喚主に敬礼すると、踊るように巨大爬虫類のもとに駆けていった。
『ヤッホー!ヘビちゃんイグアナちゃんトカゲちゃんご機嫌いかが?』
密林に響く大きな声に、辺りにいた爬虫類達が振り向く。彼らにそんな知性があるのかは不明だが、奇妙な格好をした悪魔に「何だコイツは」と戸惑っているようにも見えた。
彼らは基本的に縄張りを荒らす者を好まない。特に肉食性のものは率先して牙を剥き、ちっぽけな獲物を丸呑みにしようとするが――その前に慌てたようにカイム達が叫ぶ。
『ウェイトウェイト! 乱暴はよくないぜ坊や。アレやコレとか欲しくない?』
弁舌に長けた悪魔の話術は、ヒト以外の動物に対しても通用する。くるくるとよく回る舌で喋り倒しながら、取り出すのは果物やネズミ、それに魚。一体いつの間に集めてきたのだろうか、アンから聞いた爬虫類の好むエサの数々を、彼らはもう用意していた。
『僕ちゃんたちを通してくれればあげちゃうぜ?』
ずらっと好物を目の前に並べられると、爬虫類達の反応が明らかに変わるのが分かる。
一度はわらわらと群がってきたヘビやイグアナやトカゲ達は、自分の好きな物を咥えて散っていく。どうやら通っても良いということらしい。
『うまくいったぜご主人様! いやあ、物分かりの良い奴らで助かった!』
「じゃあ、その調子で交渉を続けて」
いい働きをした悪魔に対し、アンリの対応はそっけない。道化らしくおどけていても、自身が使役するモノが隙あらば召喚主さえ欺く危険な存在である事をよく理解している。
指示は常に具体的に。それからもアンリはカイムの言いくるめに爬虫類の対応を任せ、財宝までの道をアンに尋ねつつ密林を進んでいく。
――が。常に悪魔の言葉に耳を傾けてくれる、素直な爬虫類ばかりとは限らない訳で。
『あ、ヤベェ。コイツら聞く耳持ってねーわ』
なんとなく気に入らないとか、出されたエサの量が物足りないとか。一度交渉が決裂すれば、たちまち一行はキネマの怪獣さながらの巨大爬虫類の群れに囲まれる羽目になる。
「ど、どーするの、これ?」
「仕方ないわね。強行突破よ」
慌てるアンと手をつなぎ、アンリは包囲の隙間に向かって走り出す。逃げ足にはそこそこ自信があるし、この島の生き物は別にオブリビオンではない。倒す理由がないのなら、さっさと通り抜けるのが一番だ。
『ヘーイ! ご主人様、包囲された俺たちは!?』
「分身なんだから食べられても平気でしょう、囮になってて頂戴」
出だしで遅れることになったカイム達が慌てたように叫ぶが、アンリの返答はやはりと言うべきか辛辣だった。彼らを交渉役として召喚したのは、最終手段として生き餌にする可能性も織り込み済みだったのだろうか? そう思わずにはいられない即答だった。
『オーマイゴッド』
無慈悲な召喚主の言葉に天を仰ぐ悪魔達。彼らに祈る神など最初からいないだろうに。
だが契約には従わねばならない。巨大爬虫類の包囲に取り残された彼らは『グエー!』『ギャース!』と芝居がかった悲鳴を上げつつ、囮役をまっとうしたのだった。
「だ、大丈夫なのアレ?」
「問題ないわ。それより先を急ぎましょう」
悪魔のさほど尊くもない犠牲を支払って、アンリはアンを連れて密林の中をひた走る。
騒ぎを聞きつけてまた別の爬虫類がやって来ないとも限らない。周囲の物音に耳を澄ませつつも、彼女の視線はまっすぐに前だけを向いていた。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
巨大生物っていうのは厄介ね
「でっかい蛇とか嫌なのー」
蛇とか爬虫類は寒さに弱いから、雪花は寧ろ天敵になりそうだと思うのだけどね。
【ブラッディ・フォール】で「黒竜を駆る者」の「ドラゴンテイマー」の姿(テイマーの黒衣と剣を装備し、翼が生えた姿)へ変化。
【ギガンティックダイウルゴス】を召喚し、全て合体させてその上に【騎乗】。
合体ダイウルゴスの背中にアンさんと雪花を乗せてお宝の下へ向かうわ。
巨大爬虫類に対して、こちらは全合体の巨大ギガンティックダイウルゴスよ。
これだけ威容を見せつければ、余程好戦的な相手じゃない限り襲ってこないでしょう。
襲って来たら死なない程度に追い払うけど。
巨体だけに見晴らしも良いしね
「巨大生物っていうのは厄介ね」
「でっかい蛇とか嫌なのー」
密林に覆われた宝島を前にして、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)とその眷属、雪女見習いの雪花が呟く。鬱蒼と生い茂る木々が時折ガサガサと揺れ、ズシンと地響きが伝わってくるのは、此の地に生息する巨大爬虫類の躍動だろう。
「蛇とか爬虫類は寒さに弱いから、雪花は寧ろ天敵になりそうだと思うのだけどね」
「この島は暑いからあいつらも活発なんだろうねー。だからデカくなったのかな?」
同行する冒険商人のアンも、首を伝う汗をシャツで拭いながら話に加わる。彼らはただ自然に生きているだけなのだろうが、財宝を見つけ出す上では超えねばならない障害だ。とはいえ余計な殺生は控えるに越したことはないと、フレミアは一計を案じた。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
まずは【ブラッディ・フォール】で、かつて戦ったオブリビオン「ドラゴンテイマー」の能力を己に宿す。赤いドレスと槍は黒衣と剣に変わり、背中には幾対もの翼が生える。
その姿でフレミアが発動するのは【ギガンティックダイウルゴス】。かつて帝竜としても猛威を奮った巨大な漆黒竜の群れを呼び寄せ、さらに合体を行わせる。
「さあ、乗って」
「うひゃぁ……ドラゴンに乗るなんてあたし初めて……」
完成したのは雲を突くほどのスケールを誇る、一体の超巨大ドラゴン。あまりの大きさに目がくらんでいるアンと雪花の手を引いて、フレミアはその上に騎乗する。一同を背中に乗せた合体ダイウルゴスは翼を広げ、悠々と空に飛び上がった。
「巨大爬虫類に対して、こちらは全合体の巨大ギガンティックダイウルゴスよ」
その巨体が上空を飛ぶだけで、密林には大きな影が落ちる。いかに財宝の影響を受けたとはいえ、この島に生息するどんな生物よりもダイウルゴスが巨大なのは明らかだった。
「これだけ威容を見せつければ、余程好戦的な相手じゃない限り襲ってこないでしょう」
「なるほどねー。それに飛んでたら、そもそも近づけるヤツも少なそうだし」
ダイウルゴスの上で自信たっぷりに胸を張るフレミアに、感心したようにアンが頷く。事実、密林の中から時折姿を見せる巨大爬虫類のほとんどは、ダイウルゴスと目が合うと勝ち目はないと悟ってそそくさと退散していくのだった。
「でも、その"余程"が出てきたらどうするの?」
「襲って来たら死なない程度に追い払うけど」
仮に恐れ知らずなヘビやらワニやらがいたとしても、巨大ダイウルゴスの敵ではない。
この黒竜には合体を重ねるごとに戦闘力が強化される特性がある。たかが野生の獣の牙程度では鱗に傷一つ付けることもできず、指先や尾先ひとつで軽々と蹴散らせるだろう。
お宝の下へ向かう道中では、そうした血気盛んな爬虫類とも何度か遭遇はしたものの。その全てが木っ端を払うように撃退され、フレミア達に被害が及ぶことは一切なかった。
「巨体だけに見晴らしも良いしね」
「とっても奇麗なのー」
巨竜による快適な空の旅を楽しみながら、宝島の景色を見渡すフレミア。同乗する雪花も緑の生命力に満ちた大自然の風景に、大いに喜んでいる様子だった。これも依頼の最中とはいえ、たまにはこんな心休まるひとときがあっていいはずだ。
「ほんとに、すっごくキレイ……!」
冒険商人のアンもまた、宝島の地図を広げながら、目の前の光景に胸を躍らせていた。
見たことのない景色を楽しむこともまた冒険の醍醐味。巨大ダイウルゴスの背で揺られながら、一同は悠々と宝の在り処を目指すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アルデルク・イドルド
ディル(f27280)と
メリーとは戦争で何度か戦ったがまさかこんなことに手を出すなんてな。
しかしディルと宝探しだなんて久しぶりなような気がするなこれが本業の筈なんだが…。
商人の嬢ちゃんも商魂逞しい感じだからあまり心配は必要なさそうだが。敵の攻撃が自分に向くように【おびき寄せ】るか。
まずはキルケに【偵察】で安全なルートを探してもらってそこを進むぜキルケの【宝探し】の腕もなかなかのモンだからな。
爬虫類の相手はディルに任せるぜ。
存分に語り合ってくれ。
拳で語り合うこ事になった場合は【援護射撃】
怪我をしたらUC【母なる海の恵み】で回復。
いいお宝が見つかるといいな。
(目を輝かせて)
ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
アルと久々の宝探しだ~っ
オブリビオンより先にオレたちがお宝見つけてやろうぜっ!
アルのキルケに上から偵察してもらいつつ
アインと【野生の勘】で警戒しながら進むぞ
オレとアインが前に行くからアルは後ろ頼むなっ!
巨大爬虫類に遭遇したら【動物と話す】で会話するぜっ
「悪いけどちょっとだけ通らせてなっ
お前のナワバリは荒らしたりしないぞっ!」
仲良く出来たら通らせてもらうぞ
問答無用で攻撃してくるやつが居たら
そいつとは拳で語り合うけどな!
【覇気】【殺気】で逃げるなら追わないけど
向かってくるなら【怪力】【吹き飛ばし】でUC使用して殴り飛ばすぞ
「メリーとは戦争で何度か戦ったがまさかこんなことに手を出すなんてな」
アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)が振り返るのは、羅針盤戦争での記憶。当時の「メリー・バーミリオン」は猟兵達の首にかけられた賞金を狙って事件を起こす、厄介なコンキスタドールの1人だった。放置しておくにはいささか危険過ぎる女海賊だ。
「アルと久々の宝探しだ~っ」
一方で、彼と一緒に宝島を訪れたディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)は、どちらかと言えば宝への興味と冒険心のほうが勝る様子だった。やはり海賊としては宝島と聞いて放ってはおけない、それが相棒との冒険とあらばワクワクするのも尚更だ。
「確かにディルと宝探しだなんて久しぶりなような気がするな。これが本業の筈なんだが……」
最近は猟兵としての依頼のほうが忙しかったのもあるかもしれない。だがあくまで自分は海賊にして商人。ここらで一つ本業に立ち返ってみるかと、アルデルクは静かに笑う。そんな彼に呼応するように、ディルクも楽しそうな笑顔で拳を空に突き上げた。
「オブリビオンより先にオレたちがお宝見つけてやろうぜっ!」
「おーっ! あたしもがんばってお手伝いするよっ!」
同行する冒険商人のアンも気合いは十分。戦闘能力ではこの二人には劣ってはいるが、独力でこの宝島を発見した冒険家としての実力は確か。彼女の豊富な知識と経験、そしてお宝にかけるチャレンジ精神は、コンキスタドールを出し抜く大きな武器になるだろう。
「商人の嬢ちゃんも商魂逞しい感じだからあまり心配は必要なさそうだが」
それでも危機は避けるに越したことはないと、アルデルクは敵の攻撃が自分に向くように誘き寄せる事にする。まずは使役するオウムの「キルケ」を偵察に出し、安全なルートを探してもらうところからだ。
「キルケの宝探しの腕もなかなかのモンだからな」
という飼い主の期待に背かずに、蒼羽のオウムは巨大爬虫類の居所からなるべく離れたルートを見つけ出して戻ってくる。『コッチコッチ』と片言ながらも器用に喋り、空から一同を先導する様は、実に優秀なナビゲーターだ。
「オレとアインが前に行くからアルは後ろ頼むなっ!」
「分かった。嬢ちゃんは真ん中にいてくれ。そこが一番安全だからな」
「はーいっ」
一行の中で先行して警戒に当たるのは、ディルクとその仲間である銀狼の「アイン」。彼らの優れた野生の勘があれば、密林を闊歩する脅威を未然に察知することができる。
キルケにルートを選定してもらっても、100%の安全が保証されている訳ではない。油断なく感覚を研ぎ澄ませる羅刹の青年は、ふと足元に微かな揺れを感じた。
「全員ストップ!」
彼が警告を発してからほどなくして、木々をかき分けるように一匹の巨大なイグアナが姿を現す。頭から尾までの全長は20メートル近くあるだろうか、感情の窺えないその瞳は猟兵達をじいっと見下ろしていた。
「爬虫類の相手はディルに任せるぜ。存分に語り合ってくれ」
アルデルクは腰から下げた銃に手をかけつつも、すぐに火蓋を切らずに様子を見守る。
任せてくれとディルクは小さく頷くと、立ちはだかる巨大イグアナとの対話を試みる。
「悪いけどちょっとだけ通らせてなっ。お前のナワバリは荒らしたりしないぞっ!」
動物との会話能力を持つ彼は、子どもっぽい純真でまっすぐな口ぶりで仲良くしようと訴えかける。その真心に嘘がないことは爬虫類にも伝わるのか、巨大イグアナは目の前の小さきモノ達に襲いかかることなく、しばしじっと話に耳を傾けていた。
「分かってくれたみたいだぞっ!」
やがて巨大イグアナはズシンズシンと地面を揺らしながら去っていく。通ってもいい、という事だろう。遠ざかる背中に「ありがとなっ!」と感謝を告げて、ディルク達は探索を再開する。
「全部この調子でいけばいいんだけどな」
彼の後を追いながらアルデルクはそう呟くが、そう毎回上手くいくとは思っていない。
今のイグアナはたまたま温厚な種だっただけ。密林に生息する多種多様な巨大爬虫類の中には、問答無用で攻撃してくるような気性の荒い種もいるだろう――。
「こ、こういう時はどうするのっ?!」
「当然、拳で語り合うのさ。俺は銃だけどな」
果たして危惧したような凶暴な巨大ワニと遭遇した時、海賊達の判断は迅速であった。
アルデルクの抜き放ったブランダーバスが火を噴き、ラッパ状に広がった銃口から散弾がばらまかれる。銃声と弾幕で敵が怯めば、すかさずディルクが拳を握って飛び込んだ。
「逃げるなら追わないけど、向かってくるなら殴り飛ばすぞ」
いざ戦いとなれば平時の陽気さは鳴りを潜め、羅刹らしい覇気と殺気が全身から迸る。
それでも圧倒的なサイズの差ゆえか、巨大ワニは逃げ出さない。ぐわっと大口を開けて襲い掛かってくる"敵"に、ディルクは【鬼神の咆哮】で応じた。
「吹っ飛ばす!」
地面に叩きつけられた拳から衝撃波が放たれ、地震のように木々がグラグラと揺れる。
至近距離からディルクの攻撃を受けた巨大ワニは衝撃でひっくり返り、動かなくなる。死んではいないようだが、どうやら失神したらしい。
「悪いなっ! 先を急いでるんだ!」
「お宝が俺達を待ってるんでな」
「ごめんねー」
気絶した巨大ワニの身体を乗り越えて、先に進むディルクとアルデルク、そしてアン。怪我に備えてアルデルクは回復手段も準備していたのだが、その必要もなかったようだ。
それはさておき、ここまで相当の距離を歩いてきたが、目的地はもうそろそろのはず。島の大きさから考えても、宝を隠せるような場所はおのずと絞られていき――。
「あそこ! きっとお宝はあの中だよ!」
そう言ってアンが指差した先には、大きな洞窟があった。密林の木々に隠されたその入り口は、何十年、あるいは何百年も誰かが入った痕跡がなく、一同の期待を高まらせる。
「いいお宝が見つかるといいな」
財宝の予感に目を輝かせながら、まずアルデルクが洞窟に入り、仲間がその後に続く。
伝説との邂逅を目前にしながらも、彼らに浮足立った様子はない。同じ宝を狙っているコンキスタドールとの遭遇が近いであろうことも、彼らは同時に感じ取っていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『メリー・バーミリオン』
|
POW : 野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : 大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「十六夜・巴」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「わあ……すっっごい!!!」
巨大爬虫類の生息する密林での冒険を経て、猟兵達はとある大きな洞窟にたどり着く。
その一番奥で待っていた光景に、同行していた冒険商人のアンが思わず歓声を上げた。
無理もないだろう。そこにあったのは眩いほどの金銀財宝の輝き。宝石や宝剣、宝飾品なども含め、どれひとつ取っても途方も無い価値があろう宝の山だったのだから。
「伝説の宝島の財宝……本当にあったんだ! すごいすごいっ!」
だが宝そのものの価値よりも、自分の目で伝説を発見できたことをアンは喜んでいる。
欲が無いわけではないが、根っからの冒険家気質なのだろう。財宝を手に入れるよりもそれまでの過程を楽しむ、そんな彼女の気質はこれまでの冒険からも感じられた。
「――チッ。なんだよ、先越されちまってたか」
だが。お宝発見の余韻に浸る間もなく、ぶっきらぼうな声と舌打ちが洞窟に木霊する。
入り口の方を振り返ってみれば、そこに立っていたのは1人の女海賊。羅針盤戦争の折に見たことのある猟兵もいるだろう――コンキスタドール、メリー・バーミリオンだ。
「せっかくテメエらを出し抜く計画、逆に出し抜かれるなんてダセェことこの上ないな。けど、まだギリギリ逆転の目はあるらしい」
宝島の財宝に隠された『グリモアベース侵略の手がかり』を手に入れる。それがメリーの目的だった。宝を先に発見されてしまった時点で、半ば計画は頓挫しているようなものだが、それなら海賊らしく力ずくで奪うまでのこと。
「そいつは全て私んモンだ、命が惜しけりゃとっとと失せな」
「イヤ! あんたみたいなヤな奴に、お宝を渡してたまるもんか!」
サーベルを抜いた女海賊の脅迫を、真っ先に拒否したのはアンだった。ここまで彼女と共に冒険してきた猟兵も同じ考えだろう。コンキスタドールの野望を阻止するためにも、ここで宝を渡すわけにはいかない。
「そうかい、じゃあ死にな。戦争での借りをここで返してやるよ!」
獰悪な笑みを口元に浮かべながら、高らかに戦線を布告するメリー・バーミリオン。
伝説の財宝を巡るコンキスタドールとの戦いの火蓋は、ここに切って落とされた。
トリテレイア・ゼロナイン
相変わらずの強欲ぶり
しかしこの数を相手にするのは手間ですね
(UCで密かにアンに『裏切られた振りして』と走り書き)
私の勝利条件は侵略への手掛かりを敵に渡さぬこと
天秤に人命を載せれば、この宝の山を残らず処分するのも手でしょう
(妖精の小規模な破壊工作を起動)
更に強力な爆弾を仕掛ける予定です
では私は設置作業に向かいますので…
アン様、これまでのご協力に感謝を
(妖精の指示受けたアンの誘導で捜索作業行う部下とメリー分断
隠れていた金貨の山から姿見せ)
部下は悪戯で崩れた金貨の山の中…
私は真っ当な騎士ではありませんので、海賊流で一騎打ちのお誘いをさせて頂きました
いざ!
怪力武器落としでサーベル弾き大盾殴打
「野郎共、仕事の時間だ!」
女海賊メリー・バーミリオンが号令すると、おうと雄叫びを上げて配下の海賊船団員が現れる。船長に似て荒っぽく、強欲で、そして悪辣な下っ端ども。彼らが目的は言うまでもない、この洞窟にある財宝を金貨一枚に至るまで猟兵の手から奪い尽くすことだ。
「相変わらずの強欲ぶり。しかしこの数を相手にするのは手間ですね」
「あン? テメエ……その兜のツラ、見覚えがあんぞ……!」
羅針盤戦争と変わらぬ海の蛮族ぶりに、肩をすくめたのはトリテレイア。戦中は相当額の賞金首として名を馳せ、直接の交戦経験もある彼の顔を、メリーも覚えていたようだ。
「もう賞金を出すヤツはいねえが、関係ねえな。テメエの首は私がもらう!」
「報復という訳ですか。この状況ではお受けせざるを得ないでしょうね」
荒々しい敵意を剥き出しにするメリー海賊団に、落ち着き払って応じるトリテレイア。
この戦いに加われる力を持たない冒険商人のアンは、後方で様子を見守っていたのだが――ふと、奇妙なものに気付く。
(ん? あれって……)
トリテレイアの背後、メリー達からは死角となる角度。そこに小さな機械仕掛けの妖精が一匹いる。宝島の探索中に見たものと似ているが、ようく観れば細部や装備が異なる。
(『裏切られた振りして』……どゆこと?)
宙を舞う機械妖精の走り書きを読み取り、それがトリテレイアからの指示だと理解するアン。だが、それがどういう意図までかは分からない。彼女が困惑を顔に出すより先に、機械仕掛けの騎士は次のプロセスに移っていた。
「ですが宜しいのですかメリー様。私の勝利条件は侵略への手掛かりを敵に渡さぬこと」
「あン……? 何が言いたいんだよテメェ」
「天秤に人命を載せれば、この宝の山を残らず処分するのも手でしょう」
彼がそう宣うなり、訝しむメリーの視界で、ドカンと轟音と共に小さな爆発が起こる。機械騎士が密やかに発進させていた【自律・遠隔制御選択式破壊工作用妖精型ロボ】が、装備していた小型爆弾を起動させたのだ。
「更に強力な爆弾を仕掛ける予定です」
「なッ、テメェ……正気か!?」
爆発の余波が洞窟を揺らす中、涼しげな態度のトリテレイアに、慌てふためくメリー。
猟兵だってお宝は欲しいハズという前提の元で動いていた彼女にとっては、自らそれを放棄するような作戦は予想外だった。まさか本気でやるはずが――と甘い考えが過るが、騎士は妖精を連れてくるりと踵を返す。
「では私は設置作業に向かいますので……アン様、これまでのご協力に感謝を」
「そっ、そんなぁーっ!!?」
「お、おいテメェ、止めろッ?!」
今まで冒険を共にした仲間まで、あっさり切り捨てる鬼の所業。素っ頓狂な声を上げるアンを見て、いよいよメリーも相手がマジなんだと認めざるを得なくなる。このままでは宝島の財宝丸ごと、洞窟の中で処分されてしまう――!
「ちょっ、あなたたち手伝って! 早くお宝をここから持ち出さないと!」
機械騎士の突然の破壊工作宣言に、真っ先に動いたのはアンだった。今だけは敵も味方も関係ないと、メリー海賊団にも協力を求める。メリー達からしても、ここで宝を失えば猟兵に勝っても意味がなくなる。揉めている暇は無いことは間違いなかった。
「チッ、仕方ねえ。お前らはあのガキと一緒にお宝を集めろ!」
「「へいっ!」」
海賊団の下っ端連中は「こっちだよ!」と叫ぶアンに連れられて財宝の回収に向かう。
そしてメリーは財宝の爆破を行おうとしている張本人――トリテレイアを止めに行く。やむを得ない采配とはいえ、結果的にこれで彼女と配下は別行動を取ることになった。
「あの野郎どこへ行きやがった!?」
少し目を離した隙に姿を隠した騎士を、飢えた猛獣のような目つきで探し回るメリー。お宝が全部パアになってしまうかもしれない瀬戸際なのだから、彼女も必死にもなろう。
だが時既に遅し。遠隔操作された妖精ロボによる爆弾設置作業は既に完了しており――彼女はもう騎士の計略に掛かっていたのだ。
「ご協力感謝します、アン様」
敵が二手に別れたのを確認後、トリテレイアは再び爆弾を起動させる。その目的は財宝の破壊ではなく、メリーとその部下を分断すること。洞窟の一角が壊され、近くにあった金貨の山が雪崩をうって崩れだし、捜索作業を行っていた下っ端共に襲い掛かった。
「「ギャーーーっ?!」」
「ッ?! おいお前ら、どうした?!」
洞窟に木霊した下っ端の悲鳴に、今度は何があったのかと振り返るアン。しかし彼女が部下共の安否を確認するより前に、隠れていたトリテレイアが金貨の山から姿を見せる。
「部下は悪戯で崩れた金貨の山の中……私は真っ当な騎士ではありませんので、海賊流で一騎打ちのお誘いをさせて頂きました」
「上手くいったね! 思ったよりハデだったけど!」
ちょうど生き埋めになる場所まで敵を誘導したアンの行動も、全て彼が指示した通り。
大きく手を振る冒険家の少女に、感謝をこめて軽く手を振り返してから。機械仕掛けの騎士は改めてメリー・バーミリオンと対峙する。
「いざ!」
「こん畜生が!」
嵌められた屈辱と怒りに身を震わせながら斬りかかるメリー。だが一対一の白兵戦では技術でも体格でもトリテレイアに分があった。彼はその怪力で易々と女海賊のサーベルを弾き落とし、重質量大型シールドで反撃する。
「ぐっはぁーーーッ?!!!」
鈍器としても十分な重さと強度を持った大盾の殴打を喰らい、ふっ飛ばされるメリー。
戦争当時と比較しても、騎士はさらに技量と経験を深めている。状況判断と作戦計画、そして実力全てでトリテレイアが一枚上手であった。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(「ち、退路を断たれたか...戦うしかないわね黒影」と頭の中の教導虫が話しかける)
ポジティブに考えましょう!せんせー!
宝を手に入れ猟書家も倒す!
一石二鳥です!
(「リスクが抜けてるわよ。あとアンさんは?」)
心配無用とのことです!
(「いや助太刀してほしいんだけど…」)
人には得意不得意がありますからね!
(「はぁ...で、どうする?」)
こうします!
(UC【煉獄蛍】を発動し財宝を燃やす)
あ、アンさん!落ち着いて!温度調節可能な炎です!
(「なるほど、こいつを敵に触らせて敵に燃え移らせた後、温度を上げる作戦ね」)
そういうことです!
やい!猟書家!燃えカスでよけりゃくれてやるよ!
(炎に包まれた財宝を投げつける)
(ち、退路を断たれたか……戦うしかないわね黒影)
頭の中の教導虫が、舌打ち混じりに話しかける。ここは洞窟の一番奥で逃げ場は皆無。だがそれを受けた兵庫は笑みを崩さずに、緑の誘導灯型警棒を構えながら力強く言った。
「ポジティブに考えましょう! せんせー! 宝を手に入れ猟書家も倒す! 一石二鳥です!」
確かに前向きに考えればそういう事になる。勝てれば、という大前提込みのお話だが。
どこまでもポジティブで迷いのない教え子に、スクイリアは(リスクが抜けてるわよ)と呆れ気味に。だが確かに、この状況でできることは戦う他にないのも事実だった。
(あとアンさんは?)
「心配無用とのことです!」
(いや助太刀してほしいんだけど……)
戦線の後方に耳を傾ければ、「がんばれー!」と応援するアンの声援が聞こえてくる。
猟兵とオブリビオンの真剣勝負に加われるほど、彼女の戦闘能力は高くない。せいぜい自分の身を守るだけで精一杯だ。護衛に気を遣う手間がないのは悪い事ではないのだが。
「人には得意不得意がありますからね!」
(はぁ……で、どうする?)
「こうします!」
援護は期待できないと把握したうえで、ため息まじりに問いかけるスクイリア。対する兵庫の回答はシンプルだった――火計兵【煉獄蛍】を召喚し、宝の山に火を放ったのだ。
「「あーーーーーっ!!!!!?」」
それを見たアンとメリー、冒険家とコンキスタドールの悲鳴が陣営を超えて重なった。
ここまで苦労してようやく発見したお宝が、いきなり炎上させられたのだ。確かに宝がなければ敵の目的は果たされなくなるが、それにしても思い切った戦法であろう。
「は、ははは、はやく消さないと―――っ」
(あ、アンさん! 落ち着いて! 温度調節可能な炎です!)
慌てて消火しようとするアンを押さえて、兵庫は彼女だけに聞こえるように説明する。
落ち着いてよく見れば煉獄蛍の群れが点けた火は翠玉色に激しく燃え盛ってはいるが、近くにいても熱を感じない。財宝が炎に包まれたのもただの見せかけであった。
(なるほど、こいつを敵に触らせて敵に燃え移らせた後、温度を上げる作戦ね)
(そういうことです!)
いち早く作戦を理解した教導虫の言葉に、兵庫は大きく頷く。味方さえ驚かせるほどのインパクトのある方法だからこそ、強欲なコンキスタドールも落ち着いてはいられまい。
「やい! 猟書家! 燃えカスでよけりゃくれてやるよ!」
「て、ててててテメェッ、なんて事をしやが―――……ッ!!!」
兵庫が炎に包まれた財宝を投げつけると、メリーは慌てふためきながらキャッチする。
突然の事で半ばパニックに陥ったのか、怒りと驚きのゲージが限界を振り切ったのか。燃えているお宝を素手で受け止めようとした様子からも、明らかに冷静ではなかった。
「引っかかったな! 火計兵さん! 燃やし尽くしてください!」
「あ? 何だこりゃ、燃えてネェ……熱ッ! あつつッ!!!?」
すかさず兵庫は煉獄蛍の炎を操作し、コンキスタドールの体に燃え移らせた炎"だけ"を高温にする。ホログラムに手を突っ込んだように熱のなかった火は、たちまち本来の熱を取り戻し、強欲なる者の身を焼いた。
「は、嵌めやがったなテメェ……あっぢいいいッ!!!」
翠玉色の炎で火達磨になるのは、宝ではなく海賊の方だった。洞窟の中で滑稽なダンスを踊りながら、メリー・バーミリオンは兵庫に向けて恨み節と悲鳴を叫ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
卜一・アンリ
UC【悪魔召喚「フォカロル」】。
魔術を施すのは私とアンさん、そして悪魔憑きの拳銃が発射した弾丸。
アンさん、翼をあげるから財宝のことはお願いするわね。
使い方はその悪魔に聞いて頂戴、紳士だから素直に答えてくれるわ。
風と水を支配する翼を生やした弾丸の【弾幕】で敵UCの津波を【吹き飛ばし】、私自身も大【ジャンプ】からの【滑空】で接敵。
敵の懐まで飛び込んだら津波を操る敵のサーベルを退魔刀の抜き打ち(【クイックドロウ】)で【武器落とし】、後は【零距離射撃】【乱れ撃ち】よ。
死ぬのは貴女の方よ、コンキスタドール。
穴あきチーズにしてさしあげるわ。
「アンさん、翼をあげるから財宝のことはお願いするわね」
「え、翼? それってどういう……」
きょとんと首を傾げるアンをよそに、アンリは悪魔憑きの拳銃を片手に呪文を唱える。
発動するのは【悪魔召喚「フォカロル」】。風と海を支配する翼持つ大悪魔、その分身を群れで喚び出し、自分とアン、そして拳銃の銃弾に魔術を施させる。
「使い方はその悪魔に聞いて頂戴、紳士だから素直に答えてくれるわ」
『然り。契約に基き、我々は汝等の運び手となろう』
「あ、よ、よろしくおねがいしますっ」
グリフォンに似た一対の翼が、アンリとアンそれぞれの背中に生える。洞窟内では高度に制限がかかるものの、この魔獣の翼はあらゆる環境における飛翔能力を授けてくれる。こと飛べないコンキスタドール相手には大きなアドバンテージとなるだろう。
「クソッ、この私を舐めやがって……吠え面かかせてやらあ!!」
一方、立て続けに猟兵達の策略に引っ掛けられたメリーは、胸の中で煮えたぎる屈辱と怒りを力に変えて【大逆転! 元の木阿弥大津波】を発動。突きつけたサーベルの切っ先に導かれるように、怒涛の大津波が猟兵達を押し流さんと襲い掛かった。
「こっちは私が!」
「ええ、任せたわ」
財宝が津波に巻き込まれないように、先程頼まれていたアンが翼を羽ばたかせて飛んでいく。アンリはそれを横目に見つつ、津波に銃口を向けてぐっとトリガーを引き絞った。
「大した能力だけど、相性が悪かったわね」
乾いた発砲音とともに銃口から飛び出すのは、魔獣の翼を生やした弾丸。フォカロルの魔術が施されたそれは物理の法則に従わぬ弾道を描き、迫りくる大津波に風穴を開ける。
かの悪魔は風と海に対する支配権を持つ者。であればそれに"津波"という海洋の災害で攻めるのは悪手と言うより他にない。機関銃並の速度で撃ち出される翼の弾幕が、巨大な津波を吹き飛ばした。
「ンなぁッ!?」
逆転の必殺技を無効化され、驚いたメリーの口から間抜けな叫びが上がる。その直後、アンリはたんと地面を蹴って跳び上がると、魔獣の翼で風を受けて敵の懐まで滑空する。
「死ぬのは貴女の方よ、コンキスタドール」
「ッ―――!」
もう一度津波を出されるよりも速く、抜き打ちで放たれた退魔刀の一撃が、女海賊の手からサーベルを弾き飛ばす。丸腰となった敵に怜悧な視線を向けて、アンリは悪魔憑きの拳銃を突きつける。
『我々は運ぶだけ。他を傷つけるとすれば』
(それは私の罪。承知していてよ)
その刹那、脳裏に響くフォカロルの声。たとえ悪魔の力を借りようと、トリガーを引くのは自らの意思。自身の裡にあるオブリビオンへの怨みと憎しみこそが銃弾を放つのだ。言われるまでもなく理解しているからこそ、彼女は決して躊躇わないし、容赦しない。
「穴あきチーズにしてさしあげるわ」
零距離から放たれる翼の弾丸。避けようのない間合いで乱射を撃ち込まれたメリーは、全身に弾痕を刻まれながら無様に踊り狂う。それは彼女自身に捧げられる死の舞踏だ。
「がっ、ぐっ、やめ、ぎゃぁッ!!?」
断続的に響く銃声に紛れ、悲鳴が洞窟に木霊する。そこに大海賊としての威厳はない。
敵が止まるか弾丸が尽きるその時まで、アンリは休むこと無く銃撃を続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
先の戦争では取り逃がしたが、わざわざ戻ってくるとはな
今度こそ、お前に引導を渡してやろう
装備銃器で海賊船団員を攻撃
したっぱと言えど油断は禁物だ
弾幕を貼った制圧射撃で団員達を牽制する
デゼス・ポアはアンの元へと移動
自衛は出来るだろうが、手伝ってやれ
さて、冒険譚もいよいよクライマックスだ
ここで一つ、派手に花火を上げさせてもらうとしよう
UCを発動
敵の集団に向けて無数のナガクニを放つ
同時に、速やかに装備をエギーユ・アメティストに切り替え
ナガクニの雨を縫うように鞭を振るい、メリーに水晶の一撃を喰らわせる
そんなに帆を上げたければ、骸の海で存分に走らせるがいい
したっぱもいれば寂しくは無いだろう?
「先の戦争では取り逃がしたが、わざわざ戻ってくるとはな」
数ヶ月前にも見覚えのあるコンキスタドールと相まみえ、キリカはすうと眼を細める。
いかにも海賊らしい強欲さと悪辣さを併せ持った彼女が、生きている限り改心する事はないだろう。この宝探しがより厄介な事態を引き起こす前に、元を断たねばならない。
「今度こそ、お前に引導を渡してやろう」
「フザけろ。こんな所で終わってたまるかよ!」
まだまだ殺し足りない、奪い足りない、暴れ足りないとばかりに、獰悪にキリカを睨むメリー・バーミリオン。その迸る悪意に呼応するかのように、彼女の海賊船の団員が再び召喚された。
「死ぬのはテメェのほうだ! 行け野郎共!」
「「おおおおおおぉぉぉぉっ!!!!」」
獣のような雄叫びを洞窟に響かせて、一斉に突撃する海賊団員。迎え撃つキリカは左右の手に自動小銃"シルコン・シジョン"と機関拳銃"シガールQ1210"を構えて弾幕を張る。
「したっぱと言えど油断は禁物だ」
ここで弾を惜しむような事はせず、聖句と秘術で強化された制圧射撃で敵を牽制する。
洞窟という限られたスペースの中では、迂回して近付くのも困難だろう。海賊団が攻めあぐねている内に、キリカは呪いの人形「デゼス・ポア」をアンの元へと移動させる。
「自衛は出来るだろうが、手伝ってやれ」
「ヒヒヒッ」
人形は不気味に笑いながら宙を舞い、戦闘力の低いアンの護衛につく。見方を変えるとそれは、この場は自分だけでも問題はないとキリカが判断したということ。慢心ではなく戦場傭兵として培った経験に導かれた状況判断だった。
「さて、冒険譚もいよいよクライマックスだ。ここで一つ、派手に花火を上げさせてもらうとしよう」
彼女はシガールの銃口を下げて片手を開けると、ナガクニを抜いて【ヴィヨレ・ドゥ・エクレール】を発動する。ひょいと空中に放り投げられた短刀が、くるくる回転しながら二本、四本、八本と増えていき――最終的には数百を超える刃の大群となった。
「紫電の牙に貫かれ、そのまま朽ち果て消え去るがいい」
キリカが告げるや否や、無数のナガクニが豪雨のように一斉に敵陣目掛けて降り注ぐ。
それは慌てふためく海賊団員に命中すると同時に爆発を起こし、さらに紫電の鎖を発生させて縛り上げる。憐れな下っ端どもは身動きもできぬまま、力と生命を蝕まれていく。
「お、お前らッ?!」
一瞬で壊滅的な被害を負った部下にメリーが慌てふためく中、キリカは速やかに装備を白い革鞭「エギーユ・アメティスト」に替えて、ナガクニの雨を縫うように一振りした。
「そんなに帆を上げたければ、骸の海で存分に走らせるがいい。したっぱもいれば寂しくは無いだろう?」
皮肉と共に叩きつけられる白鞭の一撃。その先端に取り付けられた紫水晶が、鋭い針となって敵を切り裂く。途端にメリーの顔色が変わったのは、激痛に加えて針が持つ毒性のためだろう。時に「蠍の尾」とも称されるその威力は伊達ではない。
「ぐ……くそ、テメェ……!!」
憎々しげな視線をキリカに向けながらも、ダメージには逆らえずに片膝を付くメリー。
現状の戦況が維持できれば、この悪辣なる女海賊が骸の海に還る時も遠くないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
メガリスの類だけじゃなく、普通の財宝としても魅力的ね♪
みんなで分けたとしても城の財宝がまた増えるわ♪
「ぴかぴか凄いのー」
まぁ、アナタ(メリー)に分けてあげるお宝は無いけどね。
尻尾巻いて帰るなら見逃してあげても良いけど…まぁ、聞かないわよね
【ブラッディ・フォール】で「侵略の氷皇竜」の「氷皇竜メルゼギオス」の力を使用(氷皇竜の翼や尻尾等が付いた姿に変化)。
【アイシクル・ミサイル】の連射で敵本体及び海賊船団員をまとめて攻撃して団員を殲滅。
敵が逆転に賭けて大津波を放って来たら、【アブソリュート・ゼロ】で津波ごと全て凍結させてあげる!
「わたしもおねぇさまのお手伝いするのー」(【とにかくふぶいてみる】)
「メガリスの類だけじゃなく、普通の財宝としても魅力的ね♪」
洞窟の奥に隠されていた財宝の山を見て、フレミアは目を輝かせながら声を弾ませる。
単純な資産的価値と美術的価値だけ見ても、鑑定家がひっくり返るほどの額になろう。その中にメガリスに相当する品もあるとなれば、もはや金銭で換算するのも馬鹿らしい。
「みんなで分けたとしても城の財宝がまた増えるわ♪」
「ぴかぴか凄いのー」
「何言ってやがる、そいつは全部私のモノだ!」
とても楽しそうに山分けの算段を立てる彼女の隣で、雪花も瞳をきらきらさせている。
そんな彼女らに待ったをかけるのはメリー・バーミリオン。強欲なるコンキスタドールは猟兵達に先を越された今でもなお、財宝の略奪を諦めてはいなかった。
「まぁ、アナタに分けてあげるお宝は無いけどね」
ギラギラと欲望でぎらつくメリーの目を見て、フレミアはふんと素っ気なく冷笑する。
こんな輩の手に渡ってしまっては、宝の値打ちも下がるというもの。真の宝とはそれを正しく活用できる者や、価値を理解する者の手にあってこそ輝くものだろう。
「尻尾巻いて帰るなら見逃してあげても良いけど……まぁ、聞かないわよね」
「当然だッ! その舐め腐った口を今から利けないようにしてやらあ!」
明らかに相手を下に見た吸血姫の態度に、メリーは火が燃え上がるような屈辱を覚え。激情のままにサーベルを突き出し、配下の下っ端どもを「行けッ!」と襲いかからせる。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
対するフレミアが【ブラッディ・フォール】を発動すると、氷の結晶のような翼や尾が彼女の身体から生えてくる。それはアックス&ウィザーズで交戦したドラゴンのひとり、「氷皇竜メルゼギオス」の能力を顕現させた姿だった。
「何人でもかかって来なさい。まとめて相手してあげるわ」
彼女がすうっと指先で虚空をなぞると、鋭く尖った【アイシクル・ミサイル】の氷棘が無数に放たれ、メリーと海賊団員に襲いかかる。下っ端連中は慌てて逃げようとするが、高速追尾性能を持つ氷棘にたちまち追いつかれ、全身を串刺しにされて氷の像と化した。
「「お、お助けくださいメリー様……ギャーッ!!!?」」
「クソッタレが……!」
次々と配下が殲滅されていくのを見て、メリーの怒りはさらに増す。積もりに積もった屈辱感は彼女のパワーとなり、【大逆転! 元の木阿弥大津波】として戦場に具現する。
「海の藻屑となりやがれッ!」
これまでの鬱憤をまとめて押し流さんとするような、巨大な津波が洞窟に押し寄せる。
こんなものを放てば財宝まで流されてしまいそうだが、彼女もなりふり構う余裕は無いのだろう。逆転に賭けた大技が、怒涛の勢いで猟兵達を呑み尽くす――。
「なら、津波ごと全て凍結させてあげる!」
その刹那にフレミアが放ったのは【アブソリュート・ゼロ】。氷皇竜のユーベルコードの中でも最大規模を誇る、絶対零度の冷気の放出。それは物体を一瞬で分子レベルにまで氷結させ、静謐なる極寒地獄を地上に現出させる。
「わたしもおねぇさまのお手伝いするのー」
同時に雪花も【とにかくふぶいてみる】を使って、冷たい雪風を大津波に吹きかける。
冷気を操る主従の共演は、果たして女海賊の執念を上回り。大津波は彼女らを飲み込む寸前で巨大な氷の塊に変わった。
「ウソだろ……ッ?!」
信じられないものを見たように目を見開いて、愕然と叫ぶメリー。津波を凍り付かせたフレミア達の吹雪は彼女の元にも及び、波飛沫で濡れたその半身を氷の帳で覆っていた。
絶対零度の冷気が女海賊の身体から体温を、そして生命の熱を奪う。逆転の大技すらも跳ね返されたメリーの顔には、隠しきれない焦燥が宿っていた。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
みんな、ありがとね…(ゾロゾロついて来たカメやトカゲやヘビ達にご飯をあげてなでなで)
わたしは財宝自体にはあまり興味は無いけど…グリモアベースや他世界の侵略を許すわけにはいかないからね…。
ここで貴女を止めるよ…。
【九尾化・魔剣の巫女媛】封印解放…。
無限の魔剣を顕現し【呪詛】で強化…。
魔剣の一斉斉射で敵船団員ごとまとめて殲滅させて貰うよ…。
…あれ?敵の数が少ないような…。
…あ、敵の団員がついて来てたトカゲ達に吹き飛ばされてる…。
「きゅ~!」(ミラ達もブレスで応戦中)
敵の津波や攻撃はアンサラーの反射【呪詛、カウンター、武器受け、オーラ防御】で跳ね返し、逆に凶太刀で一気に斬り捨てさせて貰うよ…
「クソッ……まだだ、まだ私は諦めねえぞ……!」
宝を守る猟兵の返り討ちにあい、傷を増やしていくメリー・バーミリオン。しかし強欲なる彼女は受けた屈辱の数だけ闘志を燃やすのか、サーベルを支えになおも立ち上がる。
「さあ、仕切り直しだ……って、なんだそいつらはッ?!」
だが、そんな彼女の視界に飛び込んできたのは、巨大なカメやトカゲやヘビ等の群れ。
いずれも洞窟の天井に頭がつきそうなほどデカい彼らは、密林の探索中に璃奈に手懐けられた爬虫類達だった。
「みんな、ありがとね……」
ゾロゾロとここまでついて来た巨大爬虫類に、璃奈はご飯をあげてなでなで。すっかり餌付けされた彼らは大人しくご飯をむしゃむしゃと咀嚼し、ぱたぱた尻尾を振っている。
璃奈はその様子を見て満足そうに頷くと、妖刀と魔剣を手に改めてメリーと対峙する。
「わたしは財宝自体にはあまり興味は無いけど…グリモアベースや他世界の侵略を許すわけにはいかないからね……。ここで貴女を止めるよ……」
その静かなる宣言には、決して退かない強い意志が宿っている。万が一この島の財宝がコンキスタドールの手に渡れば、どんな悪用をされるか分かったものではないのだから。
「我らに仇成す全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
決意を呪力に変えて璃奈は【九尾化・魔剣の巫女媛】の封印を解く。莫大な呪力を纏う九尾の妖狐に変身した彼女の周りに、巫女の一族に祀られた魔剣・妖刀が次々と現れた。
「ッ……怯むな! やっちまえお前ら!」
「「お、オオオォォォォーーーッ!!」」
幾百幾千を超える無数の魔剣に切っ先を突きつけられ、メリーは微かに怯んだものの、すぐに気を取り直して配下に号令する。船長には逆らえない下っ端の群れは、虚勢を張る雄叫びを上げて魔剣の巫女媛に襲い掛かった。
「まとめて殲滅させて貰うよ……」
この数に加えてこの狭さなら、いちいち狙いをつける必要もない。璃奈がすっと妖刀を前に突き出すと、それに導かれるように無限の魔剣が一斉に放たれる。いずれも凄まじい呪いと切れ味を誇る刃の豪雨に晒されて、海賊船の団員達は為す術もなく倒れていった。
「……あれ? 敵の数が少ないような……」
と、そこでふと彼女は不思議なことに気付く。敵が当初召喚した下っ端共の数はもっと多かった気がするが、今目の前に倒れている屍の数は明らかにそれよりも少ない。理由を求めて辺りを見回してみると――。
「……あ、トカゲ達に吹き飛ばされてる……」
ここまでついて来た巨大爬虫類の群れに襲われ、逃げ惑う海賊団の姿がそこにあった。
彼らからしてもコンキスタドールは、密林の平穏をかき乱す外部からの侵略者である。それに璃奈に懐いていることもあって、メリーの海賊団を「敵」と認識したのだろう。
「きゅ~!」
一緒について来たミラ達も、一生懸命ブレスを吐いて応戦している。まだ幼体とはいえれっきとした竜の仔だ、しょせん下っ端の海賊相手には十分過ぎるほどの火力はあった。
「この、使えねえヤツらしかいねえ……もういい、全部洗い流してやる!」
一矢報いることもできない部下の不甲斐なさに怒り散らしながら、メリーはサーベルを猟兵達に向ける。すると【大逆転! 元の木阿弥大津波】が発動、逆転を狙った大津波がまだ戦っている下っ端もろとも猟兵も仔竜も爬虫類も押し流そうとするが――。
「この子達に手は出させない……」
「わぶーーーっ?!!」
璃奈の持つ魔剣「アンサラー」の魔力で攻撃を跳ね返され、逆に津波を被ってしまう。膨大な水の奔流に呑み込まれ、がぼがぼともがく女海賊。その無防備な隙を見逃すほど、猟兵は甘くはない。
「一気に斬り捨てさせて貰うよ……」
妖刀・九尾乃凶太刀の呪力を借りて、音速を超えるスピードまで一気に加速する璃奈。
なんとか津波から脱出したマリーが見たものは、稲妻のように駆ける魔剣の巫女媛と、閃光のごとく煌く刃の軌跡だった。
「ぐぎゃぁッ!!?」
血飛沫が津波の水を赤く染めて、品の欠片もない野獣のような悲鳴が洞窟に木霊する。
がくりと膝を突いた女海賊の腹には、臓腑に達する刀傷が深々と刻みつけられていた。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
メリーに視線を向けると、すぐに彼女を護るように背を向けて、猟兵達と向かい合う。
「先ほどはすまなかった。こいつらは私も引き受けよう。敢えて猟兵達に宝を探し当てさせて、メリーがその直後に邂逅できるように調整したのだ。雑魚の集まりとはいえ、遅かれ早かれ戦う事となる猟兵がこれだけいては、一人ずつ潰すのは効率的ではないと判断した。我等で纏めて始末するぞ」
そう言って、カビパンは猟兵達に向かっていく。
メリーはこの展開にどうするべきかと考えた。
その隙にサッと身を翻して疾駆しハリセンの音を響かせる。
そのまま横を駆け抜けていったカビパンは急ブレーキをかけると、バッと後ろを振り向いた。
「そこは面白く返答しなさい!」
「ぐぅ……ち、畜生、まだだ……ッ」
度重なる猟兵の反撃を受け、財宝を目前にして地に膝を突いたメリー・バーミリオン。
その目には今だ執念の炎が燃えているものの、受けたダメージは相当らしく、すぐには立ち上がれないでいる。猟兵達からすれば追撃を仕掛ける絶好のチャンスだが――。
「先ほどはすまなかった。こいつらは私も引き受けよう」
「……ッ?! て、テメエはあの時のッ!」
その時、窮地の女海賊に声をかけたのは、島の探索中に出会った偽猟書家のカビパン。
彼女はメリーに視線を向けるとすぐに護るように背を向けて、猟兵達と向かい合った。
「テメェ、どのツラ下げて私の前に……ってか、何のつもりだ?!」
メリーの脳内にはカビパンの怪しい武勇伝に付き合わされ、密林の中を散々迷わされた苦い記憶がはっきりと残っている。それを思えば今すぐに八つ裂きにしてやりたい気持ちで一杯だが、カビパンは「全て計画通りだ」と言わんばかりの真面目な態度で答える。
「敢えて猟兵達に宝を探し当てさせて、メリーがその直後に邂逅できるように調整したのだ」
「なん……だって?!」
ここに来て明かされる衝撃の真実。なんとカビパンはコンキスタドールだけではなく、猟兵すら欺いて手のひらの上で踊らせてきたというのだ――もちろんそんな事実はない。だが若干ノリに騙されやすいきらいがあるのか、メリーは大真面目に衝撃を受けていた。
「雑魚の集まりとはいえ、遅かれ早かれ戦う事となる猟兵がこれだけいては、一人ずつ潰すのは効率的ではないと判断した」
「お……おお、そうだったのか!?」
キリッとした表情でいかにもそれらしい理由を並べ立てる。やっている事は詐欺の手口に近いのだが、カビパンがやると妙に説得力が出てしまう。彼女の持つ謎のカリスマ性と女神の加護がなければ「何言ってるんだコイツ」で終わりなのだが。
「我等で纏めて始末するぞ」
そう言ってカビパンは猟兵達に向かっていく。まさか本気でやるつもりなのだろうか。
メリーはこの展開に理解が追いつかず、どうすべきかと考える。普通ならノータイムで背中からたたっ斬ってもいい筈だが、そこに「迷い」を抱いてしまっている時点で、彼女はまたカビパンの術中に嵌まってしまっていた。
「アイツの事、信じてもいいのか……? いやでも……?」
メリーが悶々と頭を悩ませていると、駆けていった筈のカビパンがふいに立ち止まり、サッと身を翻して戻ってくる。ダダダダとえらい勢いで疾駆する彼女の手には、愛用する「女神のハリセン」が握りしめられていて――。
「え? ちょ、何す……はぐぁッ?!!」
スパーン! と洞窟に木霊する【HARI☆SEN】の怪音。あらゆる奇跡を霧散霧消させるそのツッコミは、邪念や邪心などを抱く対象にはクリティカルな効果を発揮する。見事脳天にその一撃を食らったメリーは、もんどり打ってその場に倒れ込んだ。
「そこは面白く返答しなさい!」
そのまま横を駆け抜けていったカビパンは急ブレーキをかけると、バッと後ろを振り向いて一喝。ギャグの世界に生き、絶え間なきツッコミとボケを繰り広げる彼女にとって、ノーリアクションは何よりも勝る大罪だったのだ。
「や……やっぱ敵だったんじゃねえか、テメエ……」
地べたにばたりと這いつくばらされ、怒りの籠もった目で偽猟書家を見上げるメリー。
もう二度と胡散臭いヤツの言葉には騙されねえ――自分が海賊という至極胡散臭い職業であることは棚に上げて、そう強く心に誓ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
遺産は過去から未来へと受け継がれるもの
未来を塞き止めるオブリビオンに渡しはしません
聖槍を振るってサーベルと斬り結ぶ
リーチの差を活かして財宝へ近付けさせない
海賊船団員はしたっぱ属性、軽く【なぎ払う】だけで【吹き飛ばせる】
女に一方的にしてやられる屈辱は、メリーのサーベルに宿る力を増してしまうが……
どうか、ここは矛を収めていただけないでしょうか?
と、団員相手に【誘惑】の視線や仕草を投げかけながら【傾城傾国の艶美】
友好的な感情を起こさせ、屈辱感を霧散させる
威力増大の根幹を打ち消し、津波を不発或いは最小化させる
惚けている団員が正気に戻る前に聖槍で【なぎ払い】、【衝撃波】で【吹き飛ばす】
隙あり!
「遺産は過去から未来へと受け継がれるもの。未来を塞き止めるオブリビオンに渡しはしません」
島の財宝を狙う邪悪なコンキスタドールに、オリヴィアは毅然とした態度で言い放つ。
連中がこの宝を使ってやる事など、およそ人の幸福には結びつかない事ばかりだろう。断固阻止の構えを取る聖槍の担い手に、メリー・バーミリオンは不快げに顔をしかめる。
「ケッ、堅物そうな女だ。こっちはハナからテメェらの許可なんて求めてねえよ!」
望むのは力による略奪。いかにもコンキスタドールらしい暴力的な論理を振りかざし、部下と共に前進する。目障りな猟兵共をブチのめして鬱憤を晴らし、財宝を奪うために。
「どきやがれ!」
「お断りします」
オリヴィアは破邪の聖槍を振るいメリーのサーベルと斬り結ぶ。リーチの差を活かして財宝へ近づけさせないよう立ち回りながら、その他の海賊団員に対する注意も怠らない。
「「今のうちにお宝を……ぐぎゃーーーっ?!」」
しょせんは下っ端、彼女が軽く聖槍をなぎ払うだけで、団員達はふっ飛ばされていく。
女相手に一方的にしてやられる屈辱は相当なものだろう。問題は、それがメリーの使うユーベルコードを強化してしまうこと。斬り結ぶ敵のサーベルに宿る力が増している事に彼女は気付いていた。
「どうか、ここは矛を収めていただけないでしょうか?」
【大逆転! 元の木阿弥大津波】の威力を弱めるために、オリヴィアは一計を案じる。
メリーとは一歩も譲らぬ戦いを繰り広げながら、下っ端の団員相手には誘惑するような視線や仕草を投げかけ【傾城傾国の艶美】を発動する。
「うっ……この女、よく見たらすっげえ美人……」
「そんな目で見んなよ……ドキドキしちまう……!」
まともな女性と接した経験の少ない下っ端達は、オリヴィアの艶めかしい仕草と美しさにたちまちハートを射抜かれてしまう。さっきまで感じていた屈辱感もどこへやら、惚けたように突っ立って、友好的な笑顔を見せるばかり。
「このバカ共が! 女の演技にコロッと騙されやがって……!」
あっさり骨抜きにされた不甲斐ない部下に、メリーは怒りを露わにする。連中の屈辱感が霧散した事でサーベルに溜まりつつあった力も失われ、逆転の大津波は不発に終わる。
「隙あり!」
この機を逃すオリヴィアではなく、惚けている下っ端が正気に戻る前に、メリー1人に的を絞った渾身の一撃を見舞う。魅惑の仕草から戦士の表情に戻った聖槍使いの一閃が、洞窟の中に衝撃波を巻き起こした。
「ぐあぁぁッ!!!?」
強烈な一撃が直撃したメリーは、血飛沫と悲鳴を上げて洞窟の壁まで吹き飛ばされる。
壁面にめりこみ、苦しげに呻く彼女の有り様に、当初ほどの覇気はなく――その命脈が尽きかけていることを、オリヴィアは槍の手応えから感じ取っていた。
大成功
🔵🔵🔵
アルデルク・イドルド
ディル(f27280)と
あぁ、なかなかいいお宝が見つかったな俺も嬉しいぜ。
さてメリー。先の戦争であんなに負けたってのに懲りねぇやつだな。そのしぶとさは認めてやるが負けてやるわけにはいかないからな。
海賊らしくやり合おうじゃないか。
今日は相棒も居るからな心強い限りだぜ。
UC【眠れる力を呼び起こせ!】で味方の戦闘力を上げる。
召喚された海賊船団員を【援護射撃】と【制圧射撃】で攻撃。
メリーへの道が開けたところでメリーへの攻撃をディルクに任せて
任せたぜ、相棒!
ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
はははっ、海賊対決だなっ!
オレらが見つけたお宝を横取りなんてさせるわけないだろっ
ま、力づくで奪いに来んならこっちも迎え撃つまでだしな
敵からの攻撃は【見切り】で避けながら
まずはオレを倒してみろよ!
【恫喝】【殺気】で敵を怯ませながら前に出る
アルやアンに攻撃しようってんなら攻撃を【かばう】ぞ
どんだけ雑魚呼び出してもオレが纏めてぶっ飛ばす!
【怪力】【なぎ払い】【吹き飛ばし】でUC使用
アルからの支援も受けてアイツの部下ごと攻撃するぞ
戦争で負けてんだから潔く退場しとけよっ
「はははっ、海賊対決だなっ!」
宝島の財宝を巡って対峙する猟兵とオブリビオン。楽しそうに笑うディルクの表情は、絶対に譲らないという対抗心と闘争心に彩られていた。海賊を名乗るなら当然のことだ。
「オレらが見つけたお宝を横取りなんてさせるわけないだろっ」
「あぁ、なかなかいいお宝が見つかったな俺も嬉しいぜ」
相棒にして用心棒の言葉に、アルデルクもにやりと笑みを浮かべながら同意を見せる。
これだけの金銀財宝を前にして引き下がるようなヤツは海賊とは呼べない。どうしても譲れない者同士が出会ったなら、力に訴えてでも勝ち取るのが海賊流だ。
「さてメリー。先の戦争であんなに負けたってのに懲りねぇやつだな。そのしぶとさは認めてやるが負けてやるわけにはいかないからな」
海賊らしくやり合おうじゃないか。そう言ってアルデルクはブランダーバスを構える。
同時にディルクも拳を握りしめ、彼をかばうように一歩前に。対するメリーはサーベルを構え直し、傷ついた身体をおして立ち上がった。
「ま、力づくで奪いに来んならこっちも迎え撃つまでだしな」
「面白え……ならとことんまでやろうぜ! 野郎共、仕事の時間だ!」
メリーの号令が上がると、再召喚を受けた海賊船の下っ端達がお宝目掛けて殺到する。
それを通すまいと立ちはだかるのはディルク。宝島を舞台とした戦いに決着をつける、海賊同士の総力戦の幕が上がった。
「まずはオレを倒してみろよ!」
島の爬虫類を怯ませた時以上の迫力と殺気を以て、下っ端海賊共を恫喝するディルク。
その全身から湧き上がるオーラは、長身な彼の体格をより一層大きく見せ。無視する事のできない存在感に、敵集団の攻撃は自然と集中することになる。
「「う、うおりゃあああっ!!」」
気圧されながらも逃げ出さなかったのは、背後にいるメリーの怒りを恐れた故だろう。サーベルをがむしゃらに振り回す下っ端どもの攻撃を、ディルクは的確に見切って躱す。人から琥珀の鬼神と畏れられた、その体術と戦闘技術は伊達ではない。
「今日は相棒も居るからな。心強い限りだぜ」
前線で立ち回るディルクの様子を見つつ、アルデルクは【眠れる力を呼び起こせ!】で相棒の戦闘力を高めながら援護射撃を行う。ブランダーバスのトリガーを引く度に発砲音が洞窟内に反響し、散弾の雨が敵の海賊団員に降り掛かった。
「いでぇっ?!」
「ぎゃぁっ!!」
どんなに虚勢を張ろうがしょせんは下っ端。弾幕に怯んで列を乱し、負傷に泣き喚く。
後ろからメリーが「お前ら、しゃんとしやがれ!」と怒鳴りつけても、士気の回復には繋がらない。何百人もの団員達の中で、お宝に触れられた者はまだ1人もいなかった。
「どんだけ雑魚呼び出してもオレが纏めてぶっ飛ばす!」
怖気づく敵とは対照的に勢いづくディルクは、アルデルクの支援も受けて闘気を増し、バトルオーラを纏った拳を全力で地面に叩きつける。その衝撃は洞窟全体を地震のようにグラグラと揺らし、砕け散った岩石の破片が衝撃波に乗って辺りに撒き散らされる。
「「ギャーーーッ!!!!?」」
【鬼神の咆哮】がもたらす圧倒的な破壊に巻き込まれた下っ端達は、悲鳴を上げながら吹っ飛んでいき。運良く被害を免れた者も恐れをなし、それ以上一歩も前に出られない。
「どきな、下っ端共」
恐怖で棒立ちになった連中に追討ちをかけるのはアルデルク。ブランダーバスの連射で敵陣を制圧し、散弾の嵐で突破口をこじ開ける。なぎ倒された海賊団員の屍の向こう側、苦虫を噛み潰したような顔をしているメリーの姿が見えた瞬間、彼は大きな声で叫んだ。
「任せたぜ、相棒!」
「おうっ!」
気心の知れた同士、たった一言あれば十分だった。屍の道を踏み越えて、一目散に敵の親玉に駆け寄るディルク。その両拳に漲るオーラは、まるで黄金の炎のように煌めいて。
「クソが……この『緋色のメリー』が、テメエらみてえな雑魚海賊に……!」
破れかぶれでサーベルを振るい、最後の抵抗を試みるメリー。ディルクはそれを難なく躱し、残っている下っ端共とメリー本人を巻き込む位置で、再び【鬼神の咆哮】を放つ。
「戦争で負けてんだから潔く退場しとけよっ」
轟と唸りを上げて打ちつけられる羅刹の拳。そこから放たれる衝撃波が、完膚無きまでにコンキスタドール達を打ちのめし――一人残らず、骸の海の底まで叩き返していった。
「チックショオオォォォォォォォォォォォーーーーッ!!!!!」
怒りと屈辱に満ちた断末魔の絶叫。それがメリー・バーミリオンの最後の言葉だった。
衝撃波が収まった後に残されたのは、折れたサーベルだけ。決着を確認したディルクとアルデルク、そして猟兵達が構えを解くのを見て、冒険商人のアンが笑顔で声をかける。
「みんな……ありがとうっ!!」
彼らの活躍なくして宝を発見することも、悪しき者から宝を守ることもできなかった。
自分ひとりでは為し得なかった最高の冒険をさせてくれたことに、少女は心からの感謝を伝えるのだった。
かくして、宝島の財宝を巡ったコンキスタドールとの戦いは、猟兵の勝利に終わった。
島に眠っていた宝については、希望する猟兵と冒険商人の間で山分けする事になった。その価値は単純な金銭に換算すれば、山分けしてなお1人あたりの金額は相当のものだ。
敵の計画を阻止し、大きな報酬を手に入れ、猟兵達は洋々と帰路につくのだった――。
大成功
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