名の無い聖騎士と想いの定義規則
●神の定義規則
「ラグーナ様ー!物見櫓の建設、終わりましたー!」
「ご苦労さまです。それでは次は矢の制作をお願いします。悪しき神・エギュレのパラディンを貫ける鋭い矢を作ってくださいね?」
「はいっ!」
ほのかに身体から光を放つ女性、ラグーナが村人を見送る。
「我が旧き信仰を悪しき神とは。随分な言いようではないかね?」
それに続けてラグーナに声をかけるのは、かつて『知識の神エギュレ』の初代大神官と呼ばれた老人ウィルオーグである。
「私、ラグーナの大神官が御冗談を。エギュレへの信仰などとうに棄てているでしょうに」
「棄ててはおらぬさ。神に与えられたすべてを解き明かし、やがて神をも作り出す。これこそ神学の究極と言えるだろう」
それを聞いたラグーナは頭に手をあてる。この男、合理主義者のようで時折このようなロマン主義を覗かせる。
有能ではあるが、付き合いにくい猟書家だ。
「それで?ここまで大層な対策をとって、件のパラディンは本当に戻ってくるのですか?」
「必ず戻る。彼らにはたとえ最後の一人となろうとも、立ち上がれるだけの意思があった。仲間の記憶が失われようともそれは変わらないだろう」
「不利な状況下で、死地に向かおうとする不合理な意思ですか……。私には理解できませんね」
「だが、その意志が力を生み、やがては強大な力となることもある。君に与えられた偽神の力と同じだ」
「だから今度こそ殺さねばならないのだ」と、教師が生徒を諭すように語りかける。
「人の想いや信仰の力は強い。だからこそ利用価値がある。違うかね?」
●背教者たち
「みんな、集まってくれてありがとう」
集まった猟兵たちに無表情で頭を下げるグリモア猟兵のクシナ・イリオム(元・イリオム教団9班第4暗殺妖精・f00920)。
「私の無表情はいつものことだから気にしないで」と前置きを入れながら、事件についての説明を始める。
「今回はアックス&ウィザーズに侵攻した猟書家の一人、異端神官ウィルオーグの起こした事件について対応してもらいたい」
アックス&ウィザーズの猟書家勢力は、すでに猟兵たちの活躍によって組織的活動が不可能になっている。
にもかかわらず、今回の敵『異端神官ウィルオーグ』は村一つを洗脳し、その信仰心を注ぎ込むことで「偽神」と呼ばれる強大なオブリビオンを作り出したらしい。
「これは個人的な感想なんだけど……多分あれは戦略とかそういうのじゃなくて趣味で事件を起こしてる気がする。……生前は『知識の神エギュレ』の初代大神官だったらしいからね」
その知識欲がオブリビオン化するときに歪んだ形で出たのだろう。今のウィルオーグは狂学者と言っても過言ではないかもしれない。
「ただ、どうにもエギュレはそれを許さなかったみたいだ。私の予知に先行してエギュレを信仰しているパラディンが神託を受けウィルオーグに襲撃を仕掛けている」
その襲撃は失敗したものの未だに彼は戦力としては健在だ。猟兵たちは彼の二回目の襲撃に合わせて攻撃を仕掛けることになる。
「彼は自分の守りを高めるユーベルコードを使用できるうえ、敵から強く警戒されている。きっと、彼の守りに入りながら攻撃をしていくことでうまく敵と戦えると思うよ」
●定義されていないもの
「それで、今回共闘するパラディンなんだけど……彼には名前がない。一回目の襲撃のとき、ウィルオーグのユーベルコードで存在痕跡を奪われているんだ」
ウィルオーグのユーベルコードには対象の存在痕跡を消し去るものがある。
名前、他者からの記憶、縁の品……個人を定義づけるものを消すことで『ある個人がいた』という事実を消し去る。
そうやって不都合な人物を社会的に消去し、その後に殺害することで、ウィルオーグは村一つの洗脳を可能としていたのだ。
「そして……彼のそれは決して戻ることはない。そう予知にも出てしまっている」
もしも、ユーベルコードを受けてから時間を開けずにウィルオーグを討伐できたのなら。もしかしたら彼の名前や痕跡を取り戻せたかもしれない。
しかし、それを取り戻すにはクシナの予知はいささか遅かった。
「おそらく、あの村では無数の生命が弔われることもなく消されている」
それは潜んだ悪に気がついた村人の青年かもしれないし、偶然村の違和感に気がついた旅の少女かもしれない。
だが、猟兵達にそれを知る手段はない。
名前のない彼、彼女の痕跡は既に世界に残っていないのだから。
「だから……確実にウィルオーグたちを殺して欲しい。お願いだ」
いつもの無表情の奥に何らかの感情を秘めながら、クシナは猟兵たちを送り出す。
今回の戦いは猟書家との戦いにおいて戦術的価値が高いとは言えない。
だが、それが悪を見逃す理由とはなりえないだろう。
岡崎三号
お久しぶりです。岡崎三号です。
本シナリオはアックス&ウィザーズの猟書家シナリオです。
シナリオ全体で以下のプレイングボーナスが設定されています。
プレイングボーナス(全章共通)……パラディンと共闘する。
以下、本シナリオ開始時の状況まとめです。
●パラディン
20代の男性。
今回のシナリオでは無敵城塞に近いユーベルコードを使用します。
名前はウィルオーグに奪われているため、ありません。プレイングには『彼』や『パラディン』など、お好きな書き方をしてもらえればと思います。
今回の予知より先にウィルオーグへの襲撃をしかけ、失敗しています。その為、手負いの状態で戦闘に参加します。
●村の状況
村人は敵対的です。ラグーナのユーベルコードに合わせて猟兵たちに襲いかかりますが、偽神たちの悪行を立証できれば味方する人も現れるでしょう。
村の入り口は半ば砦化されていますが、猟兵なら鎧袖一触です。
状況説明は以上です。
タイミングが遅くなってしまいましたが、このシナリオを出したかったので出してしまいました。
皆様の心のこもったプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ラグーナ』
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POW : 灼熱の魔法陣
【手の平に書かれた魔方陣から放つ炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【魔方陣の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 奴隷達よ働きなさい
自身の【血液】を代償に、【洗脳した生物】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【怪力】で戦う。
WIZ : 許さねえぞ!!!
【怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「カナ・リーアス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●悪と定義されたもの
「死ね!背教者め!!」
「この村はラグーナ様の村だ!悪魔の使徒が生きて帰れると思うな!!」
狂騒の中、矢や投石が村の正門前に立つパラディンへと向けられる。
その群衆の奥で狂騒を操るのは偽神と化したオブリビオン、ラグーナである。
「聖なる言葉は悪しきものを遠ざけます。このまま悪しきものに敵意を向け続けなさい。私も血を流し、皆の護りとなりましょう……!」
ラグーナがナイフで指先を切り、その血が地面に滴ると、村人達の狂騒はますますヒートアップしていく。
どうやら彼女の血が興奮剤のような作用をもたらしているようだ。
それに対して、エギュレのパラディンは何も言葉を返さない。
(私にはウィルオーグ達を糾弾出来る証拠がない。……この神託は私だけが受けたものなのだから)
村人の群れを乗り越え、敵の悪事を告発し、その上で堕ちた大神官と偽神を討つ。
一人で出来ることではないが、仲間がいない以上、一人で成すしかない。
……だが、彼と肩を並べる者、彼の代わりに真実を明かせる者が現れれば、きっとこの状況を覆すことができる。
この行き詰まった状況を変えられるのは猟兵達だけだ。
ニクロム・チタノ
自身の存在証明を消されても正しい思い、信仰は消えない!
アナタの思いはボクのチタノへの思いと同じだね
なら一緒に証明しよう!
反抗はここにある!
ボクの姉妹達も協力してくれるよ
まずは他の猟兵がやり易いように砦っぽくなってる村の柵や門を壊して回ろうかな?
村人達を姉妹達で足止めしてボクは壊した場所から村人を洗脳してるヤツを攻撃しよう
相手をひききづりだして悪行を吐かしてやる
「……アナタの思いはボクのチタノへの思いと同じだね」
村人とラグーナに対峙するパラディン。
いよいよ両者がぶつからんとする中、彼に語りかけんとする姿がある。それはニクロム・チタノ(反抗者・f32208)の姿だ。
「自身の存在証明を消されても正しい思い、信仰は消えない!」
彼女が反抗の御旗を大地に突き立てると同時に、ニクロムの姉妹たちが二人の後方から姿を表す。
人数でいうと、村人と同じかわずかに上回る程度。これなら村人への対応も問題ないだろう。
「さあ、始めよう。反抗はここにある!」
チタノが旗を振り下ろすのと同時に彼女の信仰の証明、すなわちニクロムの姉妹たちによる抑圧者への反抗が始まった。
ニクロムの姉妹たちが前線を築き上げ村人たちを抑える中、二人はラグーナたちのもとへ直行する。
「村人の屍を作り上げるに飽き足らず、更には自分の壁にまでするのか!」
「何を世迷い言を。村人たちは正義に目覚めただけです」
叫ぶパラディンと遠回しに「証拠がない」と一蹴するラグーナ。
その問答の裏でチタノはラグーナの周りの家屋を観察する。
(……妹達姉様が相手をしている人数に対して、家屋が多すぎる)
チタノが一つの家屋に視線を向けると、中から子供が視線を返す。
……親がいないのか、貧相な身なりをした子供は怯えたようにラグーナとチタノに視線を向けると、また家の中へ隠れていった。
いかにウィルオーグが人々の存在痕跡を消し去ろうとも、消し去った人の関係者まで消せるものではない。
反抗への糸口を頭にとどめながら、チタノも暴露の瞬間に備えラグーナとの戦闘に突入していった。
大成功
🔵🔵🔵
御剣・刀也
狂信か。すがるものが悪だと気づけないってのは、哀れだねぇ
まぁいい。女子供を斬るのは嫌いだが、お前に聞こう。絶対に襲いかからない猛獣ってのに、会ったことはあるか?俺はない
時間をかける気はない。一気にいかせてもらうぜ
灼熱の魔法陣の攻撃は第六感、見切り、残像で避けつつ、覇気を全開にして村人を威圧しつつユーベルコードで斬られたと錯覚させ、自分の前に立つということは斬られる覚悟があると見なすと脅す
敵までの道ができたら、パラディンに声をかけ、悠々と通って目前まで行き、グラップルで首をへし折る
「ふん。村人って盾がなくなればこの程度か。つまらん。お前ら、斬られなくてよかったな」
「狂信か。すがるものが悪だと気づけないってのは、哀れだねぇ」
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は暴走し歯止めの効かなくなった村人たちへ視線を向けながら、敵の首魁ラグーナの元へと歩いていく。
「まぁいい。女子供を斬るのは嫌いだが、お前に聞こう。絶対に襲いかからない猛獣ってのに、会ったことはあるか?」
「さあ?覚えはありませんね。……そもそも人に害為すような『獣』は手懐けるより先に殺すのが道理でしょう」
「……そうか」
彼女は自分たちが葬った人々のことを獣と呼び、その存在を否定した。……ならば、獣の意地を見せてやるのが猟兵の心意気というものだろう。
刀を構える刀也に対し、ラグーナは掌に魔法陣を広げ相対する。
先に動いたのはラグーナの放つ炎だった。
それに対して刀也はまっすぐ突っ込む形で駆け出しながらも、一発一発軌道を見切り、最小限の動作で躱していく。
だが、その戦闘軌道を遮る存在が刀也に迫る。……ラグーナによって洗脳された村人たちだ。
鍬、槍、棍棒。村人たちは各々の武器を大きく振りかぶり、刀也へと振り下ろそうとするが……その武器を振り下ろす直前に、村人たちは動きを止める。
「……自分の前に立つということは斬られる覚悟があるんだな?」
それは狂信をもねじ伏せる覇気。理性・信仰を通り越し、本能に痛烈な一撃を受けた村人たちはただ立ち尽くすことしかできない。
刀也に遅れ、エギュレのパラディンが村人たちの元へたどり着く。村人たちをパラディンに任せ、いよいよ刀也はラグーナの元へ肉薄した。
村人が離れたことで、ラグーナの放つ炎は勢いと数を増し刀也へと襲いかかる。だが、その炎は刀也に触れることもなく空中で消失した。
「ふん。村人って盾がなくなればこの程度か。つまらん。お前ら、斬られなくてよかったな」
片腕でラグーナの首を握りつぶし、その体を地面へしたたかに叩きつける。
そして放たれるのは狂信をも塗りつぶす圧倒的な殺気。
……修羅が戦場の空気を支配していく。
大成功
🔵🔵🔵
ティティス・フェイル
パラディンくんの事、本当は手伝ってあげたいけど離れた所から馬に乗って村人の元にいこう。
「戦いの中すみません!僕は敵じゃないです。この村に親を失った子がいると聞いてやって来ました!」
言葉と行動で敵じゃないことを、僕達の正義を伝えなきゃ!
こんな殺気立った戦場の近くに子供がいるのは危ないから、どれだけいるか分からないけど戦闘に参加してない人の保護を!少しでも落ち着く事ができたなら保護した人達と話したいな、その中で洗脳とかでおきた矛盾を指摘して村人を助けることが出来たらいいんだけど。
オブリビオンと戦うなら剣で応戦するけど、攻撃や自分の防御より村人をまきこまないことが最優先かな。
※アレンジ共闘お任せ
チタノと刀也がラグーナと刃を交える最中、村の後方では一人のガレオノイドが馬にまたがり駆け回っていた。
「戦いの中すみません!僕は敵じゃないです。この村に親を失った子がいると聞いてやって来ました!」
ティティス・フェイル(フェアリーガレオン・f33897)はどうにか村人たちをなだめようと叫び続け、一部の村人たちがそれに呼応する。
もし、ティティスが戦場を越えて村へと突入していたのなら、ティティスの行動はラグーナからの妨害を受けていただろう。
しかしながら、ティティスはユーベルコードによって戦場を無視し、味方(≒自分が守るべき対象)の元へとテレポートしている。
ラグーナが前線に釘付けになっている今、ティティスの行動を阻害するものは存在していない。
「助けて!家にラグーナ様の炎が飛び火して……!お兄ちゃんが中に取り残されているの!!」
「わかった!今助けるからね!」
年端も行かぬ少女の呼び声に応え、ティティスは炎上する家屋の中に馬で突入。
飛びかかる炎を剣で振り払いながら少年の元へたどり着き、壁を破って脱出する。
「お兄ちゃん!!良かった……意識はないけど無事みたい……!ありがとうお姉ちゃん!」
少女は泣きながら笑顔を向けるが、それに向き合うティティスの表情は暗い。
「……ねえ、お父さんお母さんはどこにいるのかな?」
「いないよ?私達は孤児だから、最初から二人きり」
少女の言葉に『嘘』はない。……だが、その言葉が真実ではないことをティティスは感じ取っていた。
「それなら、この家は誰が用意したのかな?」
「それは……家族みんなで協力して建てたの」
「キミとお兄ちゃんの二人で?」
ティティスが助けた兄妹は兄の方でもまだ12歳程度。二人だけで家が建てられるとは到底思えない。
「えっとー……それは……あれ、私達は二人のはず、なんで……!?」
少女が自分たちを取り巻く矛盾に気づく。やがて本当の家族の存在にも気づくだろう。
その後もティティスは後方の村人たちを救助・誘導しながら、村の矛盾を指摘していった。
真の悪が明らかになる時は近い。
大成功
🔵🔵🔵
小宮・あき
UDCアースで生まれ育った熱心なカトリック教徒。
物心ついた頃から、日曜ミサを欠かした事はありません。
猟兵に選ばれた際も、その信仰心から聖者に選ばれました。
「他宗教にとやかく言う気はありませんが、」
信仰は自由。でも、
「神は唯一だとご存知ないのね。お可哀想に。」
あえて怒らすような行動(WIZ行動)を誘発させるよう発言。
「今や、恵みの時、」
「――、今こそ、救いの日」
詠唱は短いけれど、連発すれば良い話。
怒りで身体サイズを増大するなんて、大きな的でありがとう。
杭に打たれて、悪しきものは滅びればいい!
彼に謝罪を。
誘導のためとはいえ、あなたの神も否定してしまった。
今は共闘し、共に死者の魂を開放しましょう。
「アナタのごっこ遊びをとやかく言う気はありませんが、」
急所の首を負傷し、息も絶え絶えのラグーナの前に立つ小宮・あき(人間の聖者・f03848)。
「神は唯一だとご存知ないのね。お可哀想に」
冷たく、普段の明るさを全く感じさせないあきの視線。
軽蔑と憐れみを込めたその視線がラグーナの自尊心を強かに傷つける。
「でしたら……貴方の神を殺せば、私が唯一の神だろうがよぉっ!」
もはや余裕のないラグーナは表層の穏やかを払い捨て、乱暴な口調をまといながらあきへと襲いかかる。
ユーベルコードで身体のサイズを増大させながら、殴りかかるラグーナ。
「今や、恵みの時、」
あきはすんでのところでそれを躱しながら、ラグーナの身体へ杭を打ち付けていく。
「――、今こそ、救いの日」
体が大きいのなら、こちらも巨大な杭で打ち付ければいい。
むしろ、相手が巨大であるほどこのユーベルコードを命中させやすくなる。
躱し、打ち付け、躱し、打ち付け……何度もそれを繰り返していくうちに、ラグーナは家屋の壁に打ち付けられ何もできない状態となっていった。
すでに大勢は決した。動けないラグーナを前に、あきは名のないパラディンへ語りかける。
「ごめんなさい……誘導のためとはいえ、あなたの神も否定してしまった」
だから、せめて決着ぐらいは譲ろうと、あきは動けない偽神の処遇を彼へ委ねる。
「エギュレは貴方の言動を否定しません。あなたがいなければ、こうして偽神に何かを問いただすことはできなかったのですから」
だが、そんな状況でも識ることを優先するのはさすが知識の神のパラディンといったところかもしれない。
「……答えろ偽神。お前達は私達から何を奪った?」
パラディンの問いにラグーナが口を開こうとした瞬間、あきは遠くから光る何かを視界に捉える。
「来るっ!!」
あきが指差し叫ぶと同時にパラディンは無敵城塞を構える。
次の瞬間、あき、パラディン……そしてラグーナのいる位置へ鋭い雷撃が飛びかかった。
「てめぇ……!私を囮にしやがっ……」
全てを言い切る前に息絶えるラグーナ。
「もはや君に偽神としての運用は期待できないのでね。……ふむ。どちらかでも斃せればよかったのだが……どうやら猟兵の君はなかなかに優れた早業を持っているようだ」
雷撃の根本に立つのは、偽神を崇める立場にあるはずの猟書家『異端神官ウィルオーグ』だった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『異端神官ウィルオーグ』
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POW : 第一実験・信仰に反する行動の規制
【論文】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 第二実験・神罰の具現化
【自身や偽神に敵意】を向けた対象に、【天から降る雷】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 第三実験・反教存在の社会的排除
【名前を奪う呪詛】を籠めた【蝶の形をした黒い精霊】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【縁の品や周囲からの記憶など、存在痕跡】のみを攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠クシナ・イリオム」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニクロム・チタノ
でたね猟書家、名前や記録を奪ってもそのヒトの思いや信仰までは奪えない、覚悟して!
ボクの真の名紅明日香の名を以てチタノヤタテを降臨させる
チタノヤタテは八つの重力槍と八つの蒼焔の盾を持つ、邪悪な術も反抗の加護を受けた蒼焔の盾には通用しないよ!
重力槍を展開八つの反抗の槍でどこに逃げて貫くよ
これより反抗を開始する歪んだ信仰に反抗の断罪を
ウィルオーグの奇襲を受け、あきとパラディンは態勢を立て直すために後退する。
「……でたね猟書家」
その間を補うために立つのはチタノヤタテを憑依させたニクロム。
「ああ。パラディンだけならラグーナでも対処できたのだが……君たち猟兵までが来るとそうは行かなくてね」
八対の槍と盾を構えるニクロムに対し、ウィルオーグは黒い精霊の群れを展開する。
「私は無駄な戦いというものを好まないのでね、先に言っておこう。……真名を起点とする君の術と私の術は相性が悪い。戦う前に引くことを推奨するよ。ニクロム……いや、紅・明日香君」
ウィルオーグの言うことに嘘はない。もし、ウィルオーグによってニクロムの……いや紅明日香の名を奪われた場合、ユーベルコードにどんな悪影響が生じるか、図りきれるものではないだろう。
……だが。それでもニクロムは全く臆さない。反抗の加護を受けた蒼焔の盾で精霊を弾きながらウィルオーグへと肉薄する。
「名前や記録を奪ってもそのヒトの思いや信仰までは奪えない、覚悟して!」
蒼焔の盾で弾ききれなかった精霊がチタノ■タテの何かを奪っていく。
それでも彼女の信念が進もうとする脚に力を与えていく!
精霊の群れが吹きすさぶ中、ついにニクロムは必中の間合いにまでたどり着く。
「これより反抗を開始する……歪んだ信仰に反抗の断罪を」
振り下ろされる超重力槍の連撃。そこに記憶や証拠などは関係ない。彼女は強い信念を持って敵へ信心を振り下ろしていく。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ(サポート)
アドリブ・連携〇
同伴者がいる場合は同伴者を支援するよう行動。
戦い方は遠近両用、接近戦では【破魔】を付与した破魔刀で、遠距離では精霊の護符の【乱れ撃ち】で対応。
同伴者が苦手な方を受け持つ動きを取ります。
単独で戦う場合は相手の苦手とする方での戦い方を主軸に。
護衛対象がいる場合は自分の身を挺して【かばう】事もします。
何より周りの誰かが傷付く事を嫌う為、仲間達に危害を加えるような行動はまず取りません。
誰かを傷付けるくらいならば自分が傷付く方を選ぶ性格です。
仲間を、任務に関わる人達の笑顔を取り戻す為に全力を尽くします。
敵の攻撃を掻い潜りながら護符を敵の周囲へ投擲、UCを発動させて一気に勝負に出ます
編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」
囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。
戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。
『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』
春夏秋冬・ちよ(サポート)
風景画が趣味のお節介な旅老猫
優しいお婆ちゃん猫で猟兵としての経験は浅いですが、アルダワの学生としてとても長い間戦い続けた歴戦の戦士です
口調はステシをベースに優しいお婆ちゃんをイメージ
動物と会話して道や情報等を得ます
UCは竜を疑似再現、その力を借りる物
何の竜の力かは状況、やりたい事によって指定を
(例:火竜・刃竜・筋肉竜等々 真面目からネタまで可)
戦闘は素早い身のこなしで回避重視、杖か閉じた傘(又はUC)による鋭い攻撃
所謂蝶のように舞い、蜂のように刺す
得意技はUCで騎乗か飛行してのランスチャージ
一人称追加・おばあちゃん
禁止事項
真の姿の解放(覚醒)
UC『凶夢の魔竜騎士』二種の併用
公序良俗に反する行動
藤堂・こずゑ(サポート)
あまり見た目妖狐っぽくないけど、妖狐なの
右目を何とか見せない、見ない様に生きてるわ
妖狐な部分は出したくないから…
依頼に拘りは無いわ
誰とでも連携し、どんなのでも遂行してみせるわよ
日常パートはアンニュイな感じでクールに過ごすわ
一応喜怒哀楽はあるつもり
戦闘パートは古流剣術で挑むけど…
流派は忘れちゃった
マイナーだから廃れちゃったみたい
振るう刀は宵桜(ヨイザクラ)ね
可愛いでしょ
大気の流れを読んで攻撃したり避けたり、後の先を得意とするわ
UCはどれでも使用し、攻撃するUCばかりだけど…
他の猟兵との連携などで避けて敵を引き付ける必要がある時は『流水の動き』を使ってね
後はマスター様にお任せするわ
宜しくね
「集落の人は忘れてしまっているのかもしれないけど……きっとこの集落には今より多くの笑顔があった。おまえはそれを奪ったんだな。ウィルオーグ……!」
鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)の怒りを受けようと、猟書家ウィルオーグは意に介する様子はない。
「ふむ……君の言う通り、私は偽神を作り出すために幾分かの定性的価値を損ねたことを認めよう。だが、君達がうこかざるを得ないほどの棄損を出した覚えは無いのだがね」
「命は効率ではないのですよウィルオーグ。あなた耄碌しすぎてそれすらも忘れてしまったのね」
春夏秋冬・ちよ(旅する老猫・f19400)は遠き日のウィルオーグを想像しながら語りかける。
彼もオブリビオンになる前は一角の人物だったのかもしれないが、今の彼の瞳には聖職者たる優しさは見られない。
「長々と話しても損するだけよ」
「……うん、私達と話している間に裏で魔法の準備を進めてる」
編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)と彼女が連れるオウガ、カイは言葉少なに始まりの瞬間へ向けて身体を構える。
「もはや対話は不要……いきます……!」
藤堂・こずゑ(一閃・f23510)の一閃を皮切りに猟兵は、パラディンは、ウィルオーグは己の敵へと向かって駆け出した。
こずゑの飛燕刃と同時にウィルオーグの手のひらから神威の雷が放たれる。こずゑの衝撃波はウィルオーグにダメージを与えるものの、こずゑもウィルオーグの雷を躱しきれない。
返す刀で雷を受け止め、しかし押し返されそうになるその瞬間、ひりょの護符が刀に力を与え、雷を押し返す。
「呼びかけに応じよ疑似精霊、かの者に大いなる鉄槌を……、エレメンタル・バースト!」
そのままひりょはこずゑを追い越し、疑似精霊に呼びかけ、攻撃を放って隙をもったウィルオーグへ強かな火力を叩きつける。
「危ない……反撃が来る……!」
だが、ウィルオーグもただ攻撃を受け止めるばかりではない。強火力により生じた土煙を盾に名を奪う黒き精霊を希亜へ放つ。
「……!!」
少女は黒い精霊の群れに飲まれる中、『■亜ッ!』とカイは叫ぼうとした。だが目の前にいる『希■』が誰なのか、目の前の少女が自分の何なのか、言葉にすることが出来ない。
「私は、私だよ」
……だが■■は記録が奪われることを意に介さない。自分とカイが共にある。今、■■にとって必要な事実はそれだけだ。
精霊によって互いの記憶を削られていく中、それでも二人は自分たちの中にある衝動のみを頼りに、連携しウィルオーグへと連打を加えていく。
「さあ、学徒の時間は終わり。私達はいずれ若人へ道を譲らないといけない立場なのよ」
二人の連撃で抑えられたウィルオーグに対しちよの召喚した竜があぎとを構える。
「だが、君はこの二人の若人を焼き払わねば私を倒すことは出来ない。……耄碌しすぎてそれすらも忘れてしまったかね?」
「……猟兵にしか目を向けられない老眼よりはずっとマシよ」
「!?」
そうつぶやくちよの視線の先には、ウィルオーグに忍び寄るエギュレのパラディンの姿が映る。
「さあ、放て!気高く若き魂を持つ猫の婦人よ!我らが妄執を焼き払ってくれ!!」
エギュレのパラディンがウィルオーグを取り押さえ、連撃を打つ二人が射線から離れる。
そして巨大な焔が二人を呑み込み……無敵城塞を発動していたパラディンのみがその場に残った。
「……あなた、この後はどうするの?」
こずゑが名のないパラディンへと語りかける。
術を受けてからウィルオーグを倒すまでに時間がかからなかったため、希亜とカイの名は、痕跡は、時間をかけてもとに戻っていった。
だが、エギュレのパラディンはそうではない。これから先、彼の名は永遠に失われたままとなる。
「そうだな……暫くはウィルオーグに消された人々の痕跡を取り戻せないか、この集落で頑張ってみるよ。まずは本来の人口調査から」
「気の長い話ね」
「そうとも限らないさ。自分の痕跡が消えてもきっと誰かがつないでくれる」
パラディンの言葉をうけてこずゑは空を見上げる。
……ふと、サムライエンパイアの誰かのことを深く知りたくなった気がした。
成功
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