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猟書家の侵略~二狐競食之秋

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #『刀狩』 #妖剣士 #きのたけ藩 #夕狩こあら #妖狐・クズノハ #宗教家・ニェポス

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 空を仰ぐ度に「鳥になりたい」と思っていた。
 多分、あの時から何か分かりかけていたのだと思う。

「ね、ここをでよう。もうわるいことしたくないもの」

 道端で泣いていただけの私達を、兄貴達が見つけて、親分が拾ってくれた。
 皆は私達に食べ物をくれたり、着物を着せてくれたりしたけど、それは全て盗んだもので、私達にも盗むように、盗んだもので生きるように教えたのも皆だった。
 生きる為に必要なものは、着物もお金も盗っていい――。
 躰が小さい上に姿を現したり隠したりできる私達は、湯屋に忍び込んで物を盗んだり、湯治客を驚かして金品を掏ったりして、仲間の為にめいっぱい働いたけど、塒に帰って、首を縄で繋がれる時、ずっと不思議に思っていた。

「わたしたち、わるいことしているんだよ」

 何が悪い事かは、物を盗む時の胸騒ぎと、縄に結ばれる時の悲しみが教えてくれた。
 もう何も盗みたくないと思ったら、此処には居られないような気がして、でも生まれた時からずっと一緒だったクーコとは離れたくなくて、私達を柱に繋いでいた縄を切った。
 数カ月前に湯治客から盗んで、親分にも兄貴達にも隠しておいた刀が、あれだけ頑丈な縄をふつりと――まるで私達を救い出してくれるように、簡単に切ってくれた。

「はしろう、めいっぱい! アニキたちがおいかけてくる!!」

 馬なら直ぐに追いつかれる。嗚呼、やっぱり鳥になりたい。
 胸が裂けそうになるくらい走って、繋いだ手が千切れそうになるけど、血だらけの足が「戻りたくない」と泣き叫ぶから、走って、走って……どれだけ走ったろう。
 視界の脇に映し続けたクーコの首に、まだ縄が巻き付いていて、あまりに苦しそうなそれを「もういらない」って切ったのが先刻の記憶。

「ねぇ、くーこ。なんでうごかないの?」

 気付けばクーコは首から血を流して倒れていて。
 気付けば私達の周囲には、追って来た筈の親分と兄貴達が倒れていて。
 馬だけがやたら昂奮して鳴いている。

 何があったか誰も答えてくれない。
 唯、温かい血を被った刀が小刻みに震えながら、真っ赤に染まる私を映していた――。


「――親しき者を殺めさせ、絶望に堕ちた者を闇へと引きずり込むのは、その者を殺して骸の海より掬い上げるのと、どう違うのか。私には理解らない」
 効率が良いのか。より強い力を得られるのか。
 いずれにしても許されぬと、緋瞳を鋭くする枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
 またも猟書家の幹部が一体『刀狩』の意志を継ぐオブリビオンの気配を捉えた彼女は、漸う集まる猟兵達に、九州はきのたけ藩に向かって欲しいと告げる。
「九州は温泉に恵まれた土地で、きのたけ藩にも数多くの名泉があるのだが、其処で人を集めている者が居る。ニェポスという宗教家だ」
 この男は、温泉から析出される湯の花を薬として人々に渡し、癒えた者に教えを説いて信者を集めていたのだが、余りに病める者の多さに徳川の世を否定するようになったか、クルセイダーの目論む「江戸幕府の転覆」に惹かれ、行動を起こしたらしい。
「ニェポスは信者を集める一方、より強力な戦力を欲するようになり、温泉街で服を盗んだりして悪さを働いていた妖狐を、倒幕の戦力として取り込む事に決めたようだ」
 名をテンコ。
 ニェポスは少女が数カ月前に湯治客より盗んだ匕首に神力を使って“憑依”し、彼女の手によって親友クーコを殺させた。
 ひととき正気に返ったものの、クーコの亡骸を見て絶望に堕ちたテンコは、纏う妖気を闇黒色に染めて、千年も生きたかのような鬼狐となってしまった。
「彼女は呪われた匕首を握り、目に視える命を何もかも葬ってしまおうとしているから、君達には彼女の洗脳を解くべく、刀を落として貰いたい」
 彼女を少女と侮る勿れ。
 テンコは幼少時にクーコと共に夜盗に拾われてから、戦乱を生き抜く術を徹底的に教え込まれた身にて、振るう刀は流派も型もないが、それだけに先が読めず強い。
 そして此方が嫌がるような攻撃を躊躇いなく仕掛けてくるので、十分に注意するよう帷が言を足す。
「彼女の手から匕首を離すと、テンコは正気に戻る。同時にニェポスも正体を現すから、君達は仇討ちを願い出るテンコと共に、彼奴に決戦を挑んで欲しい」
 テンコを操ったように、洗脳を得意とする相手だ。
 ニェポスは温泉地に満ちる湯気を巧みに利用し、また自身の優れたイケボを活かして、猟兵に温泉を勧めたり、服を脱いで浸かっているよう洗脳したりするので気を付けよう。
 この時、共闘する事となるテンコは、元々持ち合わせていた神出鬼没の術や、一時的にだが闇に傾いた時の術を使えるので、十分な戦力となるだろう。
 決して猟兵の足手纏いにはなるまいと科白を添えた帷は、ぱちんと弾指して光を喚び、
「――もし、良ければ。善であろうとしたテンコに、希望の光を与えてはくれないか」
 棲む家も友も失った彼女に、生きる意味を。
 君達の姿を見せるだけで良いからと、結びの言は光の波濤に掻き消えた。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、猟書家の幹部の一人『刀狩』の意志を引き継いだオブリビオンの侵攻を食い止める「妖刀残酷伝」シナリオ(難易度:普通)です。

●戦場の情報
 サムライエンパイアの九州地方のどこかにある「きのたけ藩」の静かな山の湯治場。第一章で竹林が生い茂る山道、第二章で湯の花採取場(湯畑)へと戦場が変わります。

●シナリオ情報(二章構成です)
 第一章『妖狐・クズノハ』(ボス戦)
 神出鬼没の霊気を帯びた妖狐。突然現れては人間を驚かせ、意地悪をして少々の精を喰らう能力を買われ、夜盗と共に行動をしていました。
 今は匕首サイズの妖刀を握っており、猟兵に対しても嫌がらせをしては、隙を見て姿をくらまします。
 妖刀を妖狐の手から落とすと正気に返ります。

 第二章『宗教家・ニェポス』(ボス戦)
 自作品(宗教)で民草を染めるべく活動するオブリビオン。すごいイケボ。
 己が主張する「教義」に従う事で、来世は幸せになれると民衆を洗脳して従えており、その能力は猟兵をも洗脳し、同士討ちを狙える程です。
 今回は「裸はココロを結ぶ」と説き、其を実現させる温泉へ入る事を強く勧めてきます。彼の教義を聞いていると、何故か服を脱いで温泉に浸かりたくなるので、注意して下さい。

●プレイングボーナス『正気に返った妖剣士と共に戦う(第2章)』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 正気を取り戻した妖狐は、凄まじい怒りと恨みの力を纏って首魁に襲いかかります。その力は千年の霊気を浴びた仙狐に比肩し、決して猟兵に後れは取らないでしょう。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。
 また、このシナリオに導入の文章はございません。オープニング公開後、すぐにプレイングを募集致します。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『妖狐・クズノハ』

POW   :    あなたへの嫌がらせはとっても楽しい
【殺傷力のない嫌がらせを行いながら】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    へぇ、あなたはこういうのが苦手なんだ
自身からレベルm半径内の無機物を【相手の苦手なもの、もしくは苦手な生き物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    猟兵をやっているといつかは本当に起きるかもね
対象のユーベルコードに対し【相手にとって最愛の人物の幻影】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:亜鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は葛乃葉・やすなです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月舘・夜彦
【華禱】
全ての者が正しく生きられる訳ではありません
生まれながらにして善や悪を定めるのではなく
生きる環境によって定められるものだと思っております

私達の子供達も、生まれや出会いが異なれば違っていたのかもしれません
ですが、遅過ぎるということはありません
手を伸ばせばまだ救えるのならば手を伸ばすのみ
倫太郎も、そうですよね?

初手で早業の抜刀術『神嵐』
その後、距離を詰めながら刃に破魔と浄化を宿して攻撃
2回攻撃で抜刀術も併せながら仕掛ける
邪を祓えるか否か、気休めであろうと活かすのみ

見せられるものは炎
本体を身に着けているからこそ避けるべきもの
恐れ以上に抱くは覚悟
私達猟兵が助けずして、誰が助けられましょうか


篝・倫太郎
【華禱】
夜盗に生かされたとしても
善悪を誰かに諭された訳でなくても
それを識れる、聡い子だ

多分、ウチの子供達と大して変わらない年の頃
そんな子供を戦力になんぞさせられるかよ……
そうだろ?夜彦

天地繋鎖を使用して先制攻撃
攻撃指定をしているのが
指先か刃先か判らないようにしてクズノハを指定

出てくる幻影は判り切ってる
夜彦だ――

判ってれば対処も出来るし
何より、本物は俺の隣に居るから
動揺はしない、痛みもしない
そんな揺さぶり、初めてでもねぇし?

UC発動と同時に
破魔と吹き飛ばしを乗せた華焔刀で2回攻撃

夜彦への炎は吹き飛ばしで近付けさせねぇし
それでも近付こうってンなら確実に庇う

間合いを詰められたら破魔を乗せた暁想で対処



 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が竹林の細徑に至った時、しとど紅血を浴びた妖狐が、匕首を握って立っていた。
 べったりと張り付く前髪の奥より烱々と耀う黒眸が冷たかろう。
 二人の姿影に視線を結ぶや、血に滑る柄を握り直す妖狐に對し、まだ十歳(ととせ)も行かぬ仔狐ではないかと脣を噛んだ二人は、悲哀と義憤の入り混じる感情を飲み下す。
 夜彦も倫太郎も親なれば、少女の幼さに否應にも我が子等を重ねよう。
「ウチの子供達と大して變わらない年の頃か……いくら戰力として秀でているからって、こんな子供をクルセイダーの麾下になんかさせられるかよ……そうだろ? 夜彦」
 あの小さな手で人を殺させるのかと、琥珀色の麗瞳に冱々と光を湛えゆく倫太郎の隣、小さく頷いた夜彦は腰を落として拇指球を踏み込め、
「私達の子供達も、生まれや出会いが異なれば、違っていたのかもしれません」
 生まれ落ちた場所が泥黎であれば、もしか彼女の樣に闇へ――終焉なき絶望の螺旋へと招かれていたかも知れぬと、双眸を湖水の如く澄ませていく。
 蓋し玲瓏を揃えた眼睛(ひとみ)は未来を視ていよう。
「――ですが、遅過ぎるということはありません。倫太郎も、そうですよね?」
 まだ救えるのならば、この手を伸ばすのみ。
 伸ばした手が傷付こうと血濡れようと構わない、と決意の星眸(まなざし)を目尻の際へ注げば、其を受け止めた倫太郎も美し精彩を返す。
「まだ間に合います」
「ああ、間に合わせる」
 雄渾に満ちたテノール・バリトンを重ねる、盾と刃。
 己等が視る未来へ、少女を嚮導(みちび)こうと意気相投じた二人が、間もなく爪先を蹴った。

  †

『――……わたしをころせないなら、ころさせて』
 くーこが居る所に連れてって、と――テンコは幾分にも今の状況を理解している。
 眞ッ黒に塗り込められた冷眸で二人の瞳の色を覗き込んだ彼女は、先ずは夜彦の苦手とするものを具現化して見せた。
 而して夜彦は月白の肌膚に触れる焦熱に「是」を云い渡そう。
「……ええ、炎でしょう。身に着けているからこそ、いま最も避けるべきものです」
 彼の“本体”は竜胆の簪。約束の証でもある其に火が移れば自身の命も危ぶまれるが、恐れる以上に抱くは覚悟――その命より澎湃と溢るる闘志が足を蹴り出させる。
 迫り来る匕首には抜刀術【神嵐】が閃いて、
「全ての者が正しく生きられる訳ではありません」
『ッ、ッ――』
「生まれながらにして善や悪を定めるのではなく、生きる環境によって定められるものだと思っております」
 テンコ自身が炎を纏わぬなら、彼女に肉薄した方が得策。
 夜天の月と輝ける『夜禱』に破魔の氣を満たした竜胆の侍は、赫く染まる短刀を幾度と閃爍に彈きながら、彼女を取り巻く邪氣を祓わんと刃を重ねる。
 一方、倫太郎はゆうらと迫る怪火を華焔刀 [ 凪 ]に蹴散らし、
「狐火か何か知らねぇが、夜彦には近付くんじゃねぇ」
 隠現(チラチラ)と躍って散る火華を頬に掠めながら前進した彼は、【天地繋鎖】――天地より伸ばした不可視の鎖をテンコの手元で繋ぎ合わせ、夜彦へと振り下ろされる匕首を寸前で止めた!
 その瞳は夜彦と同じく、慈しみの色を湛えていたろう。
「夜盗に生かされたとしても、誰かに諭された訳でなくても善悪を識れる、聡い子だ」
『くっ……動か、ない……!』
 テンコは猶も膨れ上がる狂氣を、倫太郎が迷うものへ――“夜彦”の幻影を現わすが、忌むものを模れるなら愛する者も映せるだろうと、冷靜と沈着が次手を見極めさせる。
「縛められた匕首の代わり、“夜彦”に刃を任せるか」
『!! 読ん、……でッッ――!!』
 判ってれば対処も出来る。何より、本物は己の隣に居る。
 故に動揺はしない、痛みもしないと、テンコとの間に割り込んだ夜彦の幻影に肉薄した倫太郎は、彼が“夜禱”を振り被った瞬間に小刀『暁想』を差し入れたッ!
「――そんな揺さぶり、初めてでもねぇし?」
 夜天に移す偽りの銀の月に、暁天に残す金の月が刃を結び合わせる、一瞬。
 刀光が煌く刹那に脇へと蹴撃を入れて突き飛ばした倫太郎は、生々しくも質量まである幻影を炎に灼かせると、半身を譲って道を作り、テンコへと結ばれる射線に本物の夜彦を導いた――!
 擦れ違い樣、早瀬を遡上る魚鱗の如く閃く刀鋩に科白を預ける。
「夜彦に任せる。“本物”の太刀で闇を切り裂いてくれ」
 然れば最愛の刃は、烱光を帯と引く麗瞳に「應」と答えよう。
 邪を祓えるか否か――気休めであろうと活かすのみだと、さやかに輝いた『夜禱』が、不可視の鎖に繋がれた妖狐の手元で破魔の刀光を放ッた!
「私達猟兵が助けずして、誰が助けられましょうか」
 颯ッと風鳴る竹林に刃鳴一閃。
 救済(すくい)の刃が鈞ッと鏘鏘の音を彈き、テンコの鼓膜を震わせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジュウラ・ガイロストール
ふうん…厄介ね
でも一つ良いかしら、その殺気……隠れるのに適してないわ

正気で闇を扱えなきゃ、身を滅ぼすの
滅ぼされる前に刃を離すべきね

滲む影『デモン』を足音を鳴らす事で活性化させて、地獄からナイフの群を喚ぶ
それでも間合いに入られるなら、多少の傷みは我慢するわね
私のナイフは投擲するためのもの
近距離で競り合うものではないの

白い自前の翼にデモンの力を移すわ?
レーザー射撃の腕は生憎自信はないのだけど
ナイフで実証済みよね?
力の制御は私だけど、放つのは……地獄からの使者(デモン)よ

必要なら空を飛んでの、空中戦からのUC発動も良いかも知れないわね
だって貴方の嫌がらせも、空までじゃ神出鬼没に現れられないでしょう?



 鏘鏘たる破魔の音にきつく眉を顰め、背を反らすテンコ。
 而して竹林を仰げば、絶望に塗り潰された黒眸には、玲瓏と解ける光を帯を引いて翔る――神鳥の如き純白の翼に強烈に引き付けられたろう。
『……とり……』
 空より來たるは、ジュウラ・ガイロストール(旋律の駆け手・f30194)。
 眼下に禍々しい邪氣を捉えた二股尾の白狐は、厚みある前髪の奥、赫緋の麗瞳を密かに細めると、鴇色の佳脣に涼し気なコントラルトを零した。
「ふうん……厄介ね」
 相手は十歳(ととせ)も過ぎぬ少女。
 神出鬼没を得意とする妖狐なれば、多少の創痍は覚悟すべきかと、竹林をザッと揺して着地したジュウラは、刻下、眞砂を敷く細徑にトンッと跫を鳴らす。
 靜かに紡がれた佳聲がやけに染みよう、
「でも一つ良いかしら、その殺氣……隠れるのに適してないわ」
『な、に……ッ……』
「正気で闇を扱えなきゃ、身を滅ぼすの。――滅ぼされる前に刃を離すべきね」
 劔呑を察したテンコが咄嗟に姿を隠すも、匕首より横溢する妖氣を追ったジュウラは、滲む影『デモン』を活性化させ、地獄からナイフの群れを喚んで放つ。
「私のナイフは投擲するためのもの。あなたと競り合うつもりは無いわ」
 無数かつ不断に射掛けられる刃撃が接近戰を拒絶もうか。
 数本の刃鋩が虚空で手折られた、正に瞬刻、冷たく凍える殺氣が我が白皙に触れるのを感知した佳人は、匕首が鼻梁を掠めるより速疾く白翼を羽搏かせると、風を摑んで上空へ――テンコの“嫌がらせ”が届かぬ宙で、デモンの力を翼へと移した。
(『――噫、やっぱり――』)
 時にして須臾。
 竹林に覆われる蒼穹へと翔る双翼を仰いだ妖狐は、嘗ての渇望を過らせたろうか。
 寸毫にも時を止めた少女の眼路には、殺意に應えて威力を増強した【デモンウイング】――閃爍の光条が降り注ぎ、我が身に纏える邪氣を切り裂かんとする!!
『ッ、眩し――!!』
 レーザー射撃の腕には自信は無かったが、精度はナイフが證左して呉れたろう。
 月白の髪に翳影を差した緋瞳は烱々と、破壊思念に満ちた光芒の注ぐ先を見詰め、
「力の制御は私だけど、放つのは……地獄からの使者(デモン)よ」
『――痛、ッッ!!』
 またも姿を隠さんとする瞬間を灼く。神出鬼没を制する。
 而して裂かれた邪氣の合間に、痛撃に楔打たれたテンコが素顔を覗かせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エル・クーゴー
●POW



躯体番号L-95
当機は攻撃対象の非致死性制圧に高い適性を発揮します


・L95式機関砲を携えエントリー
・弾体は非致死性のやつに換装済(メカニック+武器改造)

・周囲を扇状に薙ぐように【弾幕+範囲攻撃】
・平行して、電脳ゴーグルの中で【狩猟の魔眼】を発動、超予測を展開
・巧みに回避されることも織り込み、むしろクズノハの移動先を絞り込む目的で(それと悟られぬように)撃ち続ける

・ここぞの所で、周辺風景を取り込み生成する電磁迷彩(撮影+情報収集+学習力+迷彩)を施し潜ませていた伏兵『ウイングキャット・マネギ』を飛び掛からせ、匕首奪取を狙う
・コードの状態異常力パワーでブースト掛けてグネグネまとわりつかせる



『――痛、ッッ!!』
 神出鬼没を痛撃に制された幼狐が、切り裂かれた邪氣の合間から外景を視る。
 光を追った黒眸が空を仰げば、今度は翼なき麗人が、飛行用バーニアから噴出する気流に竹林を騒めかせながら、烱々と燐光を燿わせて己を見下ろしていた。
 その碧落に浮かぶ姿影こそ、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)。
 眼下に標的を捕捉した彼女は、柳腰の両脇に展開した黒鐵の砲身を揃え、
「躯体番号L-95_当機は攻撃対象の非致死性制圧に高い適性を発揮します」
『ッッ!!』
 一斉発射――ッ!!
 須臾に中距離広域殲滅用兵装『L95式機関砲』が扇状に薙ぎ払うように掃射されるが、激しい閃光火華を伴って撃ち出されるは非致死性の彈体にて、咄嗟に身構えたテンコは、我が身を覆う妖氣を蹴散らされると同時、代わりに広がる彈幕に眼路を塞がれていく。
『ッ、見えな、……い……ッッ!!』
 殺傷力の無い嫌がらせで翻弄するのは己の筈なのに、如何した事だろう。
 匕首を握る手を盾に、翳影でギリと齒嚙みした妖狐は、先ずは隠れようと姿を消すが、エルは電脳ゴーグルの光を繁く往復させると、【狩猟の魔眼】(ザミエルシステム)起動――電脳魔術による超高次情報分析及び状況予測を以て、回避進路と移動先を算出した。
「解析完了_連続射撃を継続します」
 斉射を止めぬのは、面制圧を維持する爲か。或は反撃を封じる爲か判然らない。
 目的を悟らせぬよう、不断の閃爍に白皙を白ませたエルは、密かに竹林へ潜ませていたウイングキャット『マネギ』へ合図を送った。
「・- -・・- ・-- ・-・-- ・・ 」
 トンツー、ツートントンツー、トンツーツー……可變長符号が示すは「いまやで」!
 非致死性の彈体は宛ら鏑矢の如く音を變え、リズムを變えて撃ち出され、そうして信号を受信したマネギは、ぷにっとフォルムを包む電磁迷彩を揺らして出撃――ッ!
 妖狐と僚機の座標の接近を認めたエルは、怜悧に犀利に告げよう。
「僚機マネギは高度な学習力と外景適応力によって神出鬼没を達成します」
 然う、姿が隠せるのは何も妖狐だけではない。
 竹林の景色を波打たせながら双翼を羽搏かせたポチャ猫は、此度の首魁が潜める匕首へ突貫すると、両者の剥離に、即ち狂刃の奪取に掛かった――!
『くッッ……まとわりついて……はなれない……!!』
 目下、血濡れた刃も妖氣を迸發(ほとばし)らせてマネギを拒むが、其は先に発動したザミエルシステムが既に予測した展開にて、耐性を付されたマネギには何ら影響せず。
 而して肉薄を維持した伏兵は、猫らしくグネグネと液体化・軟体化しつつ、じわじわ、じわじわとモチモチの手を隙間に差し挿んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)と。
注意はされていましたがこれほど戦い難いとは…。
型はなくとも剣戟ならばある程度の太刀筋があるのに。
それを全く無視し無邪気で勝手気ままな思い付きの太刀筋。
達人並みですね。ならばこちらは視力に頼らずに戦います。
厚い長布で目を覆い狐面をしっかり被り視界を塞ぎます。
頼るのは音と気配。そして勘。ロベルタさんには補佐を。

相手に視力を奪われたわけではありませんが…。
【常闇払い『音無』】を早業と2回攻撃で繰り出します。
第六感と野生の勘を用いて妖狐さんや周囲を把握します。
音と気配だけで捉える。ん…。流石に…これは…難しい…。
可能ならば合口を弾き飛ばすつもりでしたが…できないかも…。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)と。
やっぱり剣同士の戦いだと僕は間に割って入れないねぃ。
墨ねーが自分から目に頼らない方法で戦ってるから余計に。
サポートをする。墨ねーの邪魔にもならない。妖狐倒さない。
全部しないとならないのは僕の辛いところだねぃ~♪
…覚悟はできてる?僕はできてるッ!うぇーい!!

墨ねーが妖狐さんと距離をとったらすかさず割って入るよ。
僕の蹴りの狙いは妖狐さんがもってる武器(合口)!
…と見せかけて実は武器を持ってる妖狐さんの手首~♪
フェイントかけて打ち込んだ蹴りに重量攻撃と武器落としを。
回避されたら零距離射撃とクイックドロー加えて再度UC♪
妖狐さんを斬りそうになったら大声で墨ねーの名前を呼ぶよ。



 続々と冱撃を衝き入れては次手を託す、仲間の猟兵の妙々たる連携を見ていた浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は、蓋し稀有しく踏み止まっていた。
「……注意は……されていましたが……豈夫(まさか)これほど……戰い難いとは……」
 抜刀を躊躇うのは、相手が年端も往かぬ妖狐だからか。
 否、それ以上に少女が生きる爲の術を骨身に染ませているからだろう。
『……ころしてくれないなら、ころさせて……ッ!』
 幼狐は匕首を順手に持って切り掛かり、これに墨が颯と半身を退いて睫の先に逃せば、彼女は素早く逆手に握って顳顬に、赫刃を巧みに操って急所を攻める。
 目尻の際に邪刃を受け流した墨は、粗削りな太刀筋にこそ鬼氣を感じよう。
(「……型はなくとも……劔戟ならば、ある程度の……太刀筋があるのに……それを全く無視した……無邪気で、勝手気儘な……思い付きの、刃撃……」)
 少女は劔士では無いが、その腕は實に玄人染みている。
 これだけの手練を相手にするなら、己も相應の覚悟を――懸崖に立つべきと櫻脣を引き結んだ佳人は、刀の柄に手を掛けるより先、繊麗の指に厚い長布を取った。
「う? 墨ねー? ハチマキっておでこで結ぶんじゃなかったっけ?」
 ことり、小首を傾げるロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)を傍に、しゅる――と布擦れの音を立てた墨が、靜かに瞼を閉じて布を宛てる。
「これは“目隠し”……此の戰い……視力に頼らず……戰います……」
 ロベルタがぱちくりと青瞳を瞬く中、墨は更に古めかしい『狐面』にて花顔を覆うと、完全に視界を塞いで光を絶つ代わり、音と気配を手繰らんと神経を研ぎ澄ませた。
「……ロベルタさんには……補佐を、お願いします……」
「墨ねーのサポート? もっちろん、僕に任せて!!」
 とん、と胸を叩く音と、金絲雀の聲、そして零れる笑顔の温かさを感じる。
 正常な視認を失う程に勘を鋭くさせた墨は、ここに二尺三寸三分の大刀『真柄斬兼元』を抜くや、常闇払い【音無】――煌々たる刀光を連れて駆け走ッた!
「……ん……。流石に……これは……難しい……かも、しれませんが……」
『ッ――!!』
 ザッと吹き抜ける疾風が竹林を揺るがし、鋭鋩が邪氣の塊めがけて閃爍を彈く。
 テンコもその凄まじきは本能で感じよう。
『このひと……たぶん親分より強い……ッッ』
「……いきます……!」
 ひやうと風を切る銀の刃の玲瓏たる!
 閃く劔戟の灼輝すること赫々たる!
 肌膚を搏つ劔圧の澎湃たる波濤の如く!
 邪氣を帯びた合口が、劔呑に呼應して『兼元』の刀鋩を往なすが、そのヒリつくような闘志の渦動には、ロベルタも瞳を凝らして見守るしかなかろう。
「……うーん、やっぱり劔同士の戰いだと、僕は間に割って入れないねぃ」
 墨が自ら目に頼らない方法で戰っている今は余計に介入は難しく、むむむーんと柳眉を寄せて暫し思案した少女は、幾許の後に合点(こっくり)と首肯を置いた。
「たくさんの役割を、ぜんぶする」
 ひとつ、視覚を絶った墨を補佐する。
 ふたつ、それでいて彼女の戰いは邪魔しない。
 みっつ、洗脳された妖狐は倒さない。
 よっつ、少女の武器だけを落とさせる。
 自身に任された役儀を指折り数えたロベルタは、最後に小指を折り畳んでぎゅっと拳を握り込めると、スッと持ち上げた花顔を輝かせた。
「全部しないとならないのは、僕の辛いところだねぃ~♪」
 莞爾と頬笑み、透徹の色を揺らした青瞳をキリッと真直ぐ、刃の相剋に注ぐ。
 緊張をも楽しめるのはロベルタの長所のひとつだろう。
「……覚悟はできてる? 僕はできてるッ! うぇーい!!」
 云うや、眞砂路をタンッと輕やかに蹴った彼女は、妖狐と墨が鈞ッと鏗鏘の音を彈いて離れた瞬間にすかさず割り入ると、【魔女の一撃】(コルポ・デッラ・ストレーガ)――身体のバネを活かした一点集中の鋭い蹴りを放ッた!!
 繊細ながら秀でた彈性と剛性を備える躯より繰り出た蹴撃は閃雷の如く、
「Un duro colpo! これは避けられないじょー♪」
『――させな……いッ!!』
 刹那、翠緑のリボンを揺らした革靴が眼路に侵襲し、妖氣を迸る合口が「己を守れ」と幼狐の腕を動かすが、其こそ正にロベルタの狙い通り。
 豊かに波打ったスカートの裾より伸び出た右脚は、更に加速してポイントを變えると、テンコの“手首”に目掛けて蹴撃を炸裂させた――ッ!
『――――ッッ!!』
 ロベルタのフェイントに喫驚した妖狐が、咄嗟に回避を図るも間に合わない。
 手首に強烈な痺れを受け取った少女は、ロベルタが飜然(ひらり)と繊麗の躯を翻した瞬間に間合いを詰めた墨には對應できず、黒眸を見開くのみ。
「できるか、わかりませんが……合口を……彈き飛ばします……!」
「いっけー、墨ねー!!」
 花の如く咲むロベルタの佳顔に代わって肉薄するは、目尻に紅を引いた狐面。
 切れ長に吊り上がる目元を思わず凝視したテンコは、雷電の如く鋭く駆け疾った激痛に身体を強張らせると、破魔の氣を流し込まれた邪刃に代わって悲鳴を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
物を盗んだり、ちょいと言葉巧みに騙したり。俺も経験あるから分かるぜ。なぁ、嬢ちゃん。

苦手な物?(考え)騎士とか?盗賊だった頃は逃げるのに必死だったぜ。ま、その内、楽しくなってくるんだが。
操作してくる騎士は二丁銃のUCで破壊。元が無機物だから、遠慮なく壊せる。だが、テンコには銃口を向けるつもりはない。こう見えて人殺しは極力しない主義だ。
匕首の妖刀は――直接受けてやる。急所は避け、【オーラ防御】で被害を少しでも抑え。肌が触れる程近くなら、きっと言葉も届くだろう。
友達の為に、仲間の為に。今日までよく頑張った。(頭ポン)

刺された痛み以上に子供の涙が記憶に残りやがる。損な性格だって?知ってるよ、んな事。



 隙を窺って物を竊んだり、ちょいと言葉巧みに騙したり。
 人を欺くには優れた観察と判断が要るとは、テンコと似た樣な経験を積んで生きて来たカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)こそ理解を示そう。
「好きなものも、苦手なものも、相手を出し抜く佳い道具だ。――なぁ、嬢ちゃん?」
 實に巧く相手の好悪愛憎を探る、と烱眼が感歎に細むか。
 正に須臾、カイムの瞳に宿るアメシストの耀きをまじまじと見たテンコは、身に帯びる妖氣を揺らすや、彼が苦手とするものの影を象り、其に我が躯を遮らせた。
 これにはカイムも「成程」と苦笑したろう。
 目の前に立ち開った男は、背筋を伸ばして胸を張り、肘を折り曲げて長劔を構える――嘗て己を追い立てた騎士に酷似(そっくり)で、
「ああ、慥かに盗賊だった頃は、連中が掲げる正義とやらから逃げるのに必死だったぜ。――ま、その内、楽しくなってきたんだが」
 嚴格なる姿を見るだけで爪先が浮くのは当時の名残。
 カイムは騎士に對し左回りに蹴り出すと同時、腰部のダブルホルスターより双頭の魔犬『オルトロス』を引き抜いて、【銃撃の協奏曲】(ガンズ・コンチェルト)――!
 騎士が長劔を振り被るより速く銀の銃彈を連射し、マシンガンすら凌駕する速度で撃ち出された銀彈全ての的を一つに、騎士の誇りたるプレートアーマーを蜂の巣にした!
 無機物で生成された幻影なれば、カイムも遠慮なく壊せるというもの。
 靄と解ける騎士と別れた彼は、銃口を空に向けると、彈の代わりに微笑を届ける。
「嬢ちゃん達も、岡っ引を撒いたりしていたんだろ」
『――ッッ』
 噫、然うだ。昨日まで然うだった。
 生きるか死ぬかの淵を潜り、巧く逃げ遂せた時には、クーコと二人で笑い合ったと――胸に広がる熱さと冷たさに彈かれたテンコが、妖氣に満ちた匕首を突き出す。
 カイムなら躱せたであろう粗削りな太刀筋は、然し十分な手應えを少女の手掌に與え、眞砂路にほたほたと赫い斑を落とした。
 肌膚が触れる程近くなら、きっと言葉も届くだろう。
 裂傷を代償に距離を縮めたカイムは、穩やかなテノール・バリトンに慰めて、
「友達の爲に、仲間の爲に。今日までよく頑張った」
 もう十分だと、硬質で広い掌をテンコの頭にポンと置き、少女の肩の震えを、返り血に染まった頬に一筋の涙が流れていくのを伏し目に見る。
 咄嗟に急所を避け、オーラで防禦したものの、カイムは柳葉の眉を顰めて、
「……子供の涙ってのは、刺された以上に染みやがる」
 己も随分と損な性格をしている、と滴る鮮血を見れば、「知ってるよ、んな事」と――痛痒を噛み砕いた咽喉から自嘲が込み上がるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
昨日の今日で、またこの刀狩案件。
しかもきのたけ藩で立て続けにとはね。
ともあれ、まずはあの子を止めますか。

嫌がらせをしてくると判っているなら、堂々と受けて立ちましょう
彼女の前へ仁王立ちし、睨みつけながら無言で威圧しながらゆっくりと接近
並行して密かに【妖術・九十九髪】発動、周辺の地面に不可視状態の髪を這わせて網を張っておく
何してくるかはわからないけれど、殺傷力が無いのならひたすら我慢して網の範囲に捉えるのを待つ
捉えたなら一気に縛り上げ、「怪力」で以て匕首を奪い取る
なお髪は切られても操作可能なので、その場合は服の中へ侵入させ擽りで戦闘どころじゃなくして捕える

化かし合いはこちらの勝ちかしら?



「……前回は劔士で、今回は妖狐と」
 昨日の今日で、また件の刀狩案件。然も立て続けにきのたけ藩。
 スギノコ城を飛び発って直ぐとんぼ返りをした荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)は、実家より繁く足を運んでいると溜息をひとつ、而して僅かに鼻梁を掠める硫黄の匂いに、此度は温泉が近いのかと竹林の細徑を見渡す。
 優れた嗅覚は間もなく血の匂いに結ばれよう。
 つかさはスッと通った鼻梁を眞直ぐ小路の奥へ、深紅に染まれる眞砂路に匕首を持って立つ妖狐を捉えるや、少女に纏わりつく禍々しい邪氣に瞳を鋭く細めた。
「――ともあれ、先ずはあの子を止めますか」
 見れば十歳(ととせ)の祝いも未だと思しき幼狐。
 凍える程に冷え切った黒眸に少女の絶望を推し量ったつかさは、然し悲哀も憐憫も注ぐことなく、嚴然と、堂々と、彷徨う狂氣に立ち塞がった。
「この先には行かせない」
 温泉街へ、数多の命へと繋がる細徑に仁王立ちする。
 妖狐なるもの、神出鬼没の術を弄して人を化かすとは、つかさも心得ていよう。
 如何な悪戯(わるさ)を仕掛けて來るか、いや、如何な遊戯(いたずら)もさせぬと、心眼明鏡にして冱え冱えと五感を研ぎ澄ませた佳人は、ここに凄まじい圧を放った。
「――――」
 赫緋の麗瞳を烱々と、無言で睨めつけつつ漸う接近した彼女は、矮躯ながら幾許も――其こそ道を塞がんばかり大きく見える。
『……ッ、ッッ……!!』
 付け入る隙があろうかと、姿影を隠して接近を図ったテンコは、然し須臾、駆け出した数歩でグンッと何か力強いものに捕われた。
『!? こ、これは……動けない……ッッ』
「ええ、我が手たる九十九の髪々に囚われたようね」
 ひたすら待った甲斐があったと、一気に手繰られるは【妖術・九十九髪】(スピリット・オブ・ヘアー)――密かに這い広がった不可視の髪は、網となって張り巡らせてあり、テンコが近付いた瞬間、つかさの怪力に縛り上げられた!
『く……、切っても切っても……これじゃ余計に絡み付いて……!!』
 闇雲に振り払われる匕首が髪毛を切るも、細かく刻まれた其は更に服の中へと侵入し、スササ……ゾゾゾ……ッと柔肌を大いに擽って、脱力を幇助するから敵わない。
『あははははっ! んひゃひゃひゃひゃひゃイひひひひひっ!!』
「――さぁ、手放して貰うわよ」
 目下、無表情で威風を漲らせたつかさが、手をワキワキさせて近付いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ
【GOATia】
悪いけどアタシの苦手なモノは碌でもないわよ
ドッキリ仕掛けるキマイラとか、熱湯風呂とか、アタシの服よりも売れる別メーカーの服とか…あぁ、もう、やーめーてー!

キマフュ出身だし見た目系は大丈夫なのよね
虫…意外とこういうの美味しいのよね

刀自体はヤバいし
葉巻片手に速度を上げ妖刀を避けるのに全力を尽くすわ
ナオくん、しょこりん、捕まっ…おもっ

見せる幻覚は…相手の技のアレンジ
アナタにも見えるでしょ、目の前にアナタが好きな人がいるのを
見えるでしょ今まで一緒に暮らした景色と光景が

刀に飲まれずに、今度は…斬らないであげて?

その妖刀だって、無機物
アタシの嫌いな…お涙頂戴の結末にだって化けてくれるでしょ


神崎・ナオ
【GOATia】

こういうコソコソ悪いことするのはダメだよね!
仁義? ってやつもないし!

苦手なものかぁ、あれかな?
饅頭怖いっていえば饅頭が襲ってくるあのお話みたいな!
(本人は虫が苦手です)

傷付けずに武器だけ攻撃する!
私の攻撃は武器ピンポイントって難しいんだよね~
なんせ魔王だからね! 攻撃力強すぎちゃってね!
だ~か~ら~、メインは任せた!
私はなんか一杯来るアレとあの娘の動きを制限するように周りをドーン!
(なんて本人の仕草に合わせて隠れ潜む魔王軍が迎撃したり攻撃したりします)

え、嘘っ、重い!? いやきっとこの杖とか服とかが重いだけで! あとさっき食べた大福とか!
私は重くない……はず! きっと多分!


ショコラ・リング
【GOATia】の皆様と参加します

大切な方を手に掛けさせる悪の所業、許せるものではございませんね!

苦手な物……お化けとかでございましょうか
い、いえ、全然怖くなんてないですが……

わわっ!? お、重いでございますか? せ、成長期でございますから……
回避と迎撃に意識を裂かない分、ボクは攻撃に集中いたしますね
担がれながら、ナオさん達の起こす爆発とリダンさんの幻惑により出来そうな相手の隙を第六感で先読みしつつ、狙うのはあの怪しげな雰囲気を放つ妖刀でございます!
夢虚ろよりも現実の方が貴女にとって厳しいかもしれません
ですが、貴女のお友達はきっと今の貴女を望んでいないはずなのです
覚めるべきは今でございます!



 間隙を置かず次撃を継いでいく猟兵の連携により、泣いたり笑ったりするテンコ。
 斯くも感情が搖り動かされれば、絶望に塗り込められた漆黒の眸にも、漸う彼女の色が戻ろうか――「センチュリーGOATia」の住民が来た時分は、手に握られる匕首も焦燥を露わに、愈々邪氣を膨れ上がらせていた。
 而して蒼紫の靄を漲らせる狂刃を、タンザナイトと煌く佳瞳に映したショコラ・リング(キマイラのアーチャー・f00670)は、玲瓏の彩を義憤に煌めかせる。
「大切な方を手に掛けさせる悪の所業、許せるものではございませんね!」
 少年に次いで邪に正對した神崎・ナオ(魔王と勇者のハーフな悪魔・f32386)は、悪事を働くにも遣り方があると、誇り高き魔王としてNOを突き付ける。
「こうやってコソコソ悪いことするのはダメだよね! 仁義? ってやつもないし!」
 そして二人の跫を追ってゆっくりと、眞砂路に蹄音を置いて現れたリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は、少し伏せた睫の間から烱瞳を注いで、
「相手は化かすのが得意な妖狐。アタシ達のトレンドを――好き嫌いを読むようだから、しょこりんもナオくんも、惑わされないように気を付けましょ」
 宿主を十歳(ととせ)も往かぬ幼狐と侮る勿れ。
 優れた観察力で人を欺いてきた少女にて、更に幻影を結ぶ術を得た今は、猟兵をも翻弄し得ると、スッと通った鼻梁をテンコに結んだ。

 暗示使いより警戒を受け取ったナオとショコラは、奇遇にも劈頭の言を揃えて、
「苦手なものかぁ、あれかな? 饅頭怖いっていえば饅頭が襲ってくるお話みたいな!」
「苦手なもの……お化けとかでございましょうか」
「えっ、オバケ? ひゅ~どろろ~ん、の?」
「い、いえ、全然怖くなんてないですが……」
 ことりと小首を傾げてナオが問えば、ついと瞳を逸らすショコラ。
 二人の会話を聡い狐耳に聽き拾った妖狐は、『ふぅん』と聲を漏らして靄を揺らすと、傍らの昏き叢林からシーツを被ったふわふわオバケと、巨大まんじゅう虫(カブトムシの幼虫)を出現させた!
 洞察に優れたテンコは、二人の苦手なものを巧みに像に結ぼう。
「ひゃっっ、お……お……おば……――!」
「えっえっ!? “饅頭怖い”ってそういう意味じゃなくって……!!」
 ぞわっと尻尾を蹴立てるショコラと、サッと蒼褪めるナオ。
 テンコは口元に嗤笑を浮かべながら、『違ったかしら』と更には本当の饅頭を、大福やおはぎと一緒に絡繰り人形を使って運ばせるが、二人は口に出来よう筈も無い。
 代わりに甘味を口にしたのは、未だ眠そうな瞳をしたリダンで、
「あら、このオバケはブギーモンスターより可愛げがあるフォルムだし、幼虫も食用虫としては栄養があって、意外と美味しいのよね」
 と、のんびり眺めつつ茶まで啜る、流石はキマイラフューチャーを故郷にする者。
 ショコラとナオが「無理無理ムリムリ!」と激しく首を左右に振る最中、リダンは更にもう一つ、今度は三色団子へ手を伸ばすと、刹那、その手は絡繰人形の腹からニュルッと伸び出たゴリラの大きな手に摑まれた!!
「ぎゃっ!」
 喫驚の聲と同時、強張った身体を受け止めるに滑り出たのが熱湯風呂。
 拘束を拒んで後退ったリダンは、尻尾からザブンとダイブし、また悲鳴を上げた。
「ああぁぁぁっつい!!!」

 \テッテレー♪/

 ここに妙な音樂が流れ、熱湯の中で「やられたー」と脱力するのも無理は無い。
 何故なら、絡繰人形から出てきたゴリラのキマイラが「ドッキリ☆大成功」なる看板を掲げており、これぞ己が苦手なロクでもないものだったと気付かされる。
 そして――噫、矢張り。
「リダンさん、大丈夫!? いま、派手にジャンピングダイブしたよ……?」
「尻もちをつかれたようですが、お怪我は、火傷などございませんか……?」
 ナオとショコラは心配そうに引き上げて呉れるが、肩をプルプルと震わせているのは、熱湯風呂に入る瞬間が面白かったのだろうと、翠瞳が吃ッとゴリラのキマイラを睨める。
 而して仕掛け人は『おつかれサマー』とばかりバスタオルを寄越すが、広げて見れば、其處には“とあるロゴ”が刺繍してあり――、
「……今期、アタシの服より売れた別メーカーの……あぁ、もう、やーめーてー!」
 普通に辛い。精神にくる。
 何よりふわふわオバケとまんじゅう虫が、ドッキリの瞬間まで(空気を読んで)待っていたのが居た堪れない、とドライヤーを終えたリダンは、頼れる仲間を交互に見て言った。

「ナオくん、しょこりん、捕まって!」
 苦手を攻略するに、得手と不得手によって防禦と攻撃を分担する!
 回避は任せろと二人に手を差し出したリダンは、先ずはナオをおんぶし、更にショコラを担ぐという背負子スタイル……いやトーテムポール戰法を打ち出した!
「…………おもっ」
 下から聲が苦しげに絞り出れば、上からは弁明の聲が降り、
「わわっ!? お、重いでございますか?」
「え、嘘っ、重い!? いやきっとこの杖とか服とかが重いだけで!」
「ボクはちょうど伸び盛りというか、せ、成長期でございますから……」
「えっと、さっき待ち時間に食べた大福かな! 私は重くない……筈! きっと多分!」
 と云いつつ、リダンに長く負担は掛けられまいと、ショコラとナオは直ぐに戰闘態勢を取った。

「オバケとアレの始末は任せて!」
 繊麗の指に禍々しき幻影を示しつつ、青瞳に烱光を湛えるはナオ。
 魔族の王たる威風を堂々、冷儼なる気魄に周囲の竹林をザワッと揺り動かした佳人は、胸元から掌を突き出すと同時、水平に薙ぎ払って【爆破魔法】――厖大なる魔力の波濤をドーンッ! と叩き付けた!!
「相手を傷付けず、武器だけをピンポイントで狙うのは難しいんだよね~」
 故に小柄なテンコでなく、図体の大きい邪魔者を引き受ける。
 フワフワと浮遊するオバケも、うねうね蠕動する巨虫も、悉く蹴散らしてしまおうと、ナオは美し金髪を爆風に揺らしながら聲を張り、
「なんせ魔王だからね! 強すぎちゃってね! だ~か~ら~、メインは任せた!」
 だが實は、竹林に潜伏した御守役の魔王軍が、「若」の仕草に合わせて竹を揺らしたり風を吹かせたり、戦闘力がほぼ0に等しい彼女に代わって攻撃しているのだが、そうとは知らぬナオは意氣揚々と、爆炎に呑まれて霧散する幻影に口角を持ち上げる。
「さぁ、どいたどいた!」
 此處にはもっと必要な幻影がある、と――櫻脣は語ったろうか。
 爆風が蒼紫の靄を晴らした時、喫驚した妖狐の眼前にひとつの影が揺らいだ。

『!? ッッ……くーこ……!!』

 大親友の名を呼び、時を止めるテンコに、そっと佳聲が添えられる。
 その音吐は随分と穩やかであったろう、
「ええ、アナタにも見えるでしょ。目の前にアナタが好きな人がいるのが……今まで一緒に暮らした景色と光景が」
 靜かなコントラルトに解を示すはリダン。
 其はテンコの幻術をアレンジした【ゴートリック・フォース】――彼女は刃撃の回避に専念する一方、火を点けた『冥底/酩酊の葉巻』の毒煙を爆風に混ぜ、優れた嗅覚を持つテンコに暗示を仕掛けていたのだ。
 其がテンコが見せた幻影よりロクでもないとは、リダン自身が肩を竦めて言おう。
「アナタが握るその妖刀だって、無機物……アタシの嫌いな“お涙頂戴の結末”にだって化けてくれるでしょ」
 ふと鼻頭を向こうへ遣り、目尻へ流した翠瞳が見る光景は――斬新さもない、王道の、掛け替えのない親友に対する万斛の涕涙。
 返り血で真っ赤に染まった花顔を洗い流す滂沱に、リダンはそっと睫を伏せて、
「刀に飲まれずに、今度は……斬らないであげて?」
『……ッ、ッッ……』
 噫、嗚呼、吁とテンコは喊んだろうか。
 今にも嗚咽せんとする、まるで子どものような泣き顔が、妖刀に漂う邪氣を窄めた。

「――夢虚ろよりも、現実の方が貴女にとって厳しいかもしれません」
 時に、ほつりと佳聲を置いたのはショコラ。
 迎撃をナオに、回避をリダンに任せていた彼は、この瞬間こそ捉えるべく神経集中――諸有る感覚を研ぎ澄ませていたろう。
 攻撃を預ったショコラは、ナオ(と魔王軍)が起こす爆発の中に紫瞳を鋭く絞りつつ、且つリダンの幻惑によって必ず隙が生じると未来を見越し、而して訪れた機に――出る。
 少年は(リダンとナオの協力によって得た)高みから、長弓『時の破壊者(ロストメモリ)』を構えると、心眼明鏡の如くして幾許、矢を番える代わりにそっと言ちた。
「……貴女のお友達は、きっと今の貴女を望んでいないはずなのです」
 而して、弦を引き、放つ――。
 矢は無くとも弦打ちは虎落笛の如く、鋭く弓返りもしよう。
「覚めるべきは今でございます!」
 柔かなブロンズの頬に風を置いて疾った一射――【其ノ弓ニ矢射ラズ】(メナス)は、鋭鏃が放物線を描いて飛ぶという「過程」の時間を飛ばし、テンコが握れる妖刀を強かに彈くという「結果」だけを置いたッ!!

『ッッ――!!』
 果して妖刀が激痛を喊んだか、ぎゃあんっと歪な音が響き、血濡れた刃が宙を舞う。
 目下、彈かれた樣に細顎を持ち上げたテンコは、その軌跡を追う裡に正気を取り戻し、がくりと膝を折って打ち萎れるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『宗教家・ニェポス』

POW   :    ニューレリジョンメーカー
技能名「【洗脳式勧誘・調略術】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    ゴートリック・パースエイジョン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【対象の脳内に教義を語り意識を混濁させる声】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    アフターライフガチャコンダクター 37
【サムライエンパイアの民草の現世への未練】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【洗脳を強化し、信者を自決すら厭わぬ殉教者】に変化させ、殺傷力を増す。

イラスト:いぬひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリダン・ムグルエギです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ぎゃぁんっと歪な音が響いた時。
 妖刀は慥かに激痛を喊んでいた。
『ぎゃぁん!! これは痛烈な一撃!!』
 喋った。
 がくり膝を折って打ち萎れていたテンコが、喫驚に宙を仰げば、晴朗の空で円を描いた妖刀から蒼紫の靄が噴き出し、影を――にゅるんと尻尾を現した。
 其がクーコとテンコを貶めた首魁とは、次なる言で判明ろう。
『……泥黎で塞き合っていた妖狐らに刀を授け、刀を取った方に友を殺させる。そうしてより強い妖狐を生み、くるせいだぁ樣に届ける筈が……台無しになってしまいました』
「……おまえは……!!」
『私はニェポス。悩める者を生み続ける徳川の世を嘆く者』
 語る内容は邪悪に満ちているのに、何と心地好い聲(イケボ)で喋る男か。
 導師の樣な装束に、ふっくりとした矮躯を包んだニェポスは、怒りと恨みに打ち震えるテンコを眼下に敷くと、ついと目を反らし――近くの温泉街を見遣った。
『……いやはや、此處で出来損ないの妖狐と、貴方たち猟兵を始末しても構いませんが、この数では聊か分が悪い……ですので、私の信者から応援を貰いましょう』
 彼等は力になり道具になると、ニッコリ嗤笑うニェポス。
 邪は狐のように目を細めると、己が邪気を――蒼紫の靄を捻り寄せて紙撚りの如くし、間もなく温泉街へと飛び立った。
「ッッ、まて……まてー!!」
 聲を荒げながら、颯爽と駆け出すテンコ。
 彼女は憑依を解かれて落ちてきた匕首を手に取ると、急いで温泉街へと掛けて行く。

 然し温泉街こそ、ニェポスの城だ。
 湯気の立ち込める温泉街には、彼奴が“商売道具”とする湯の花が採れる湯畑があり、また彼奴が信者として獲得した湯治客も大勢居る。
 それだけではない。
 先に聽いたニェポスの聲は、一種の洗脳効果があるのか――彼奴に「温泉に浸かれ」と言われたなら、直ぐに服を脱いで「んばば・んばんば・ばんばんばん♪」と、戰闘そっちのけでハダカの付き合いを樂しみたくなるから恐ろしい。
 故に猟兵は覚悟して、
「……テンコ独りでは危うい。行こう」
 と、竹林の細徑を駆け走るのだった――!!
月舘・夜彦
【夜禱】
アポストロスも人を洗脳しておりましたが
彼とは異なり人の命を奪わず信者として従えているようです
いずれにしても洗脳は解かねばなりません

先に行ったテンコ殿も心配です
早急に向かいましょう

先ずは接近し、2回攻撃やなぎ払い、刀を振った際の衝撃波
時折納刀して居合を繰り出すといった様々な攻撃を仕掛け
攻撃の弱点を指摘されないように惑わす

指摘されるとなれば抜刀術は一瞬であれ納刀して攻撃を中断する為
そこに隙が生じましょうが、あくまで過程
抜刀術『神嵐』の目視する範囲内まで攻撃が届くことまで相手が読むか

脳内で妨害されることがあろうとも
戦への覚悟は変わることはない

動きを封じれば、テンコ殿でも刃が届きましょう


篝・倫太郎
【夜禱】
微妙に今までの刀狩とは方向性違ってないか?
いや、下衆なのは変わんねぇけどよ

追走してテンコの安全を確保しつつ戦闘
念の為に追走時に自身に催眠術を施しとく

『敵が倒れるまで夜彦の声以外、聞こえない』

災禍を狩るもの使用
代償は耐性で対応

衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀でなぎ払いの先制攻撃
刃先返して2回攻撃

弱点の指摘はさておき、実証はどうやってしてみせてくれるって?
実証出来なきゃ意味ないぜ?

夜彦やテンコの動きを気取らせないように挑発
万が一、実証された場合は催眠術で意識の混濁回避

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避する事で夜彦やテンコに被害が出る場合は
その場でオーラ防御で防いで凌ぐ

テンコ、一撃決めてきな!



「私達より土地勘があるとは云え、テンコ殿が心配です。早急に向かいましょう」
「……ああ、嫌な予感がする。急ごう」
 遠くに立ち昇る湯気を目指し、竹林の細徑を駛走る。
 血の匂いに動揺していた馬を宥め、その鞍に跨った月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、飛ぶように流れる景色を眦に送りつつ、温泉街へと向かった。
 道中、夜彦は夜帳の艶髪を疾風に流しながら言ちて、
「ブラザー・アポストロスも人々を洗脳しておりましたが、此度の首魁は彼とは異なり、人の命を奪わず信者として従えているようです」
「慥かに、今までの連中とは方向性が微妙に違っている気がする。クルセイダーの手下というより、幕府の打倒を主張する奴に同調している感じだ」
 と、倫太郎も首肯を添えつつ、先刻に見たニェポスに強い警戒を示す。
 自ずと脚は馬の腹へ、先に彼奴を追い掛けたテンコを追走すべく駈足となり、
「いずれにしても、倒幕に加担するというなら、信者達の洗脳は解かねばなりません」
「だよな。コイツも下衆なのは他の連中と變わんねぇ。俺達が止めるべきだ」
 湯治客を従順なる殉教者になどさせない。
 テンコを「出来損ない」と切り捨てさせはしない。
 侍の國の人々は駒では無いと、沸々と湧き上がる闘志を瞳に光と湛えた二人は、秀でた鼻梁を眞直ぐ湯けむりに向けた儘、硫黄の匂いを辿った。

  †

『――扨て、生き残っただけの妖狐の幻術が、私の教義に敵いますやら』
「くっ、っっ……!!」
 テンコは相手の瞳の色から好悪愛憎を探り、幻影として具現化する。
 ならばと幻術の攻略に「ニェポスの瞳が見えなくなる」よう暗示を掛けられた幼狐は、闇雲に振り払う刃撃を躱され、瞋恚と怨嗟の募る儘に踊らされていた。
 其處に割り入ったのが夜彦と倫太郎である。
 爽涼の風を連れて翻った二人は、颯然と湯気を裂いて現れよう。
「テンコ殿、助太刀いたします」
 片や夜彦は右翼から抜刀術【神嵐】――滴るほど破魔の神氣を帯びた霞瑞刀 [ 嵐 ]を狂濤の如く叩き付け、
「コイツは俺達猟兵の敵でもあるんだ。共闘しようぜ」
 片や左翼を預った倫太郎は、我が身にカミを降ろして【災禍を狩るもの】(ワザワイヲカエスモノ)と成り、災魔を狩らんと華焔刀 [ 凪 ]に薙ぎ払う――!!
『!! ぬっ、くっ……おぉおおっ!!』
 これには不敵な嗤笑を浮かべていたニェポスも顔を引き攣らせ、大事な経典を代わりに断たせて難を逃れるしかない。
 手にした巻物を紙吹雪と散らし、更に我が身にも幾つか裂傷を受け取ったニェポスは、冷や汗を搔きながら催眠術をひとつ――“仲良く温泉に浸かりなさい”と暗示を掛ける。
『はは、随分と血腥い御方で。ひと風呂浴びられたら如何です?』
 尋常なら忽ち踵を返して温泉へ向かってしまう1/fゆらぎボイス。
 だが然し、二人は振り下ろしたばかりの鋩を返して二連撃! 刀と薙刀の斬撃を十字に結び、回避の叶わぬ圧倒的衝撃波を返答とばかり叩き付けた!!
『ん、な――ッッ!? 洗脳が……利かな……アチャチャチャチャーッ!!』
 小太りな矮躯に放物線を描き、湯畑へとダイブするニェポス。
 邪は「何故だッ」と目を白黒させるが、これには倫太郎が吃々と竊笑して答えよう。
「そういうのはお前を倒した後で愉しませて貰うぜ」
 唯だ無策に追い掛けて来たのでは無い。
 馬に乗る間、自身に催眠術を施しておいた倫太郎は、『敵が倒れるまで夜彦の聲以外、聽こえない』身にて、ニェポスがどれだけ勧誘しようとも從わないのだ。
 而して揺るがぬ「盾」を得た夜彦も、巧みな話術で翻弄するニェポスを喋らせまいと、爪先を蹴って最接近、息を付かせぬ神速の居合術で吹き飛ばす。
 故に邪は湯中で弁明するしかあるまい。
『ぬっ、くっ……凄まじい劔圧ゴブゴブ!! ですが抜刀術は一瞬であれ納刀して攻撃を中断する必要があるでしょうゴバッ! そこに隙が生じましょうゲホゲホ!!』
 ザブンッと熱湯を被ったニェポスは、手だけ出して二人を指差し、
『そしてカミを降ろした貴方はガブガブ……大いなる力を得た代償が今も身を蝕んでいる事でしょう。器として限界を超えれば、その身に降り懸かる痛みは数倍にゴパァッ!』
 と、饒舌に弱点を指摘するものの、果して今の彼に其が實証出来ようか。
 實際に行動を以て示さないとユーベルコードは封じられまいと、正に其處に欠点を視た二人は、精悍の躯にテンコを隠しながら連携を密に、常に前進して邪を攻め続ける。
 畢竟、両者の覚悟が違っただけの事。
「夜彦、俺は耐性があるから未だ凌げる。切り開いて呉れ」
「神嵐の目視する範囲内まで攻撃が届くことまで読むか……予測を超えて抜き払います」
 幾許の科白を交した後、倫太郎に送り出されるように湯畑を疾った夜彦は刃鳴一閃ッ、破魔の神嵐にニェポスの動きを封じると、刹那、肩越しに流瞥(ながしめ)を注ぐ。
「今ならテンコ殿の刃も届きましょう」
「――テンコ、一撃決めてきな!」
 而して二人に首魁までの道を開かれたテンコは、意を決して駆け走ると、力強く握った匕首を刺突――ッ!! ニェポスが憑代にしていた刃を突き付け、瞋恚も怨嗟も寂寥も、全てを込めるように振り抜くのだった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジュウラ・ガイロストール
妖狐の子を止めたりしない
ただ、あまり離れないように翼を広げてついていくわ

私のナイフは、何処にでもあるの
適当なリズム……ああ、今は歌いたくなるメロディに合わせても良いわ
遠隔で増やしたこれらは、偽物ではないの
分かる?私の爪はどこへでも届く
幾つか掴んで一撃でも良いから、隙を盗み遊撃を試みるわ
彼女の猛攻の、隙を打てればいいのよ

敵に指摘されても興味ない感じで聞き流す
イケボがとても耳障り
意識混濁を受けるかも知れないわね……
自傷することで躱すのもいいけれど

ああでも貴方、ご自分が入らないだなんて馬鹿な事、言わないわよね?
いやねぇ、妖狐の恨みは千年祟るのよ?
彼女の恨み節に火を着けた分、その身で払わないとだわ?



 瞋恚と怨嗟を混ぜて駆け出す妖狐の子を止めはしない。
 少女の粗削りの感情を制しもしない。
 眼路を過ぎる剥き出しの殺意を流眄に見遣ったジュウラ・ガイロストール(旋律の駆け手・f30194)は、テンコが見惚れた翼を広げると、あまり離れぬよう空から追走した。
 漸う湿気帯びる双翼が温泉街に来た事を實感させよう。
 灰櫻に色付く前髪の奥、美し緋瞳を烱々と、湯煙を纏って隠れた首魁を探った麗人は、真白の世界に慥かに蠢く邪氣を捉えると、焦燥する妖狐を隣に佳聲を紡いだ。
「あいつ……どこいったんだ……!!」
「あそこ。見せてあげる」
 而して鴇色の花脣は適当な律調(リズム)を――嗚呼、今は澱と沈める情緒の欠片が、知らず歌いたくなる旋律(メロディ)を合わせようか。
 スモーキーな佳聲に喚ばれて踊るは【レギオスブレイド】――ジュウラに憑くデモンを介して顕現れた邪劔の群れは、翡翠色の身に羽根のような模様を瀲灔と燿わせながら、その鋭鋩に湯気を裂き、靄を断ち、湯畑を逃げ回るニェポスの姿を顕かにした。
『なっ、んと……!! これだけの刃が何處から現れたというのです!!』
「何處からでも、何處にでもあるの」
 其は夢幻の術で無し、偽りない殺傷力は更に創痍を刻んで、舞い、踊る。
 己を中心に136m圏内の白煙を掃ったジュウラは、双翼に風を叩いて翔け、
「分かる? 私の爪はどこへでも届く」
『ッ、ッッ……然しこれだけの数、御仁の翼の障害にもなりましょう!! 地獄と結べる悪魔は力を與える代わり、御仁を殺伐たる闘争へ、深い闇へと招き入れるのです!!』
「…………興味ない」
『え!!』
 心地好い筈の1/fゆらぎボイスも、ジュウラにとっては唯のノイズか、白磁の繊手は翡翠色の短劔のひとつを握って我が身に、痛撃に楔して意識の混濁を繋ぎ止める。
 而して自傷の痛みを受け取った彼女は、スッと花顔を持ち上げて邪を見据え、
「ああでも貴方、ご自分が入らないだなんて馬鹿な事、言わないわよね?」
『な、な……何を、馬鹿な事とは……――グゥッ!!』
 颯然と翼を駆り、擦れ違い樣に囁(つつや)く。
 科白と共に擦り抜けた刃が大いに隙を作ったろう。白翼が血華を躍らせて過ぎた刹那、ジュウラに嚮導(みちび)かれるように疾ったテンコが匕首を振り被り、
「いやねぇ、妖狐の恨みは千年祟るのよ? 彼女の恨み節に火を着けた分、聢とその身で払わないとだわ?」
『――……ッッ!!』
 時にして須臾。
 激情の刃を受け取った矮躯が、ザブンッと湯畑に飛び込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
他人を道具扱い。これだから宗教家ってのは嫌なんだ。
来世?次の人生の準備を始めるには少し早過ぎるぜ。

俺は【挑発】の意味を込めて、正面から魔剣でニェポスに挑む。弱点の指摘、是非ご教授願いたいモンだ。
テンコは死角からだ。刺されて分かったのは子供の膂力。凄惨な絶望を経験した少女はまだ年端も行かない。
――だからよ。ほんの少し。笑わせてやろうかって。
魔剣で挑みつつ、ニェポスの衣服を【盗む】。…下着は要らねぇ。
風呂に入って裸の付き合い。裸はココロを結ぶ。露出の気があるのか?脱衣所でもねぇのに気が早いモンだ。
UCでタオルと風呂桶は作ってやるよ。

……経験ある、って言ったろ?俺も手癖は悪いんだ(テンコに笑う)



『ゴブゴブゴブ……ッ、大事な商売道具に私と突き落とすとはガブガブガブ……!!』
 樋に落ちた躯を何とか持ち上げ、態勢を立て直すニェポス。
 多くの湯治客を集める温泉も、湯の花を採取する湯畑も、彼奴にとっては道具なのかと慨歎を聽き拾ったカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)が片眉を吊上げる。
「己以外は全て道具ってか……これだから宗教家ってのは嫌なんだ」
 激情を突き付けたテンコを背に隠し、『神殺しの魔剣』に黒銀の炎を迸る。
 腹底に煮える心火を押し込めたカイムは、狂邪が熱り立つほど冷靜に、美しブロンズを燿わせる麗顔に艶笑を湛えた儘、顎をしゃくって見せた。
『私の教義に從えば来世に幸福を摑めるものを、斯くも抗うとは不埒千万!』
「来世? 次の人生の準備を始めるには少し早過ぎるぜ」
 お前こそ準備は良いのかと、脣を滑るテノール・バリトンは巧みにニェポスを煽るが、正對した躯はどっしりと、我が影に遮った妖狐には肩越しに眴(めくばせ)をひとつ。
(「テンコは死角からだ。隙なら幾らでも作って遣るよ」)
(「…………うん!」)
 先刻、刺されて判然った。其は全き子供の膂力であった。
 凄惨な絶望を経験したテンコは年端も行かぬ少女であったと、正しく創痍を受け取ったカイムは、爪先を蹴るや魔劔の鋩を眞直ぐニェポス目掛けて振り被った――ッ!

 ――だからよ。
 ほんの少し。笑わせてやろうかって。

『……ファッ!? ふぁぁぁああっ!?』
 時は須臾、ニェポスが瞬く間にハダカとなる。
 擦れ違いざま服を「盗まれた」とは、脇を過ぎたカイムがストンと落とす布の重みが、肌膚を冷やす爽風の冷たさが気付かせて呉れよう。
『ああ!! あっ、ちょっ、えぇえっ……うわぁぁあああ!!!』
「風呂に入って裸の付き合い。裸はココロを結ぶって……大層な教義を説いてる樣だが、教主サマは露出の気があるのか? 脱衣所でもねぇのに気が早いモンだ」
『ちょっ、いやっ、そんな目で視ないで下さい!! これは、貴方の所爲で……!!』
 文句を言うにも素ッ裸ではロクに聲も出ぬ。
 不覚えず及び腰になる邪の變容には、テンコが喫驚を零して、
「……す、すごい……!」
 己も脱衣所から湯治客の服を竊んだ事があったが、着ている服を奪うなど、相当の技量が無ければ出来まいと、鳶色の瞳がみるみると丸くなっていく。
 其處に掛かる科白が小気味佳かろう、
「……経験ある、って言ったろ? 俺も手癖は悪いんだ」
 少女に悪戯な微咲(えみ)を注ぐ傍ら、繊麗の指からスルリと滑り落ちる最後の一枚に「要らねぇな」と訣別を置いたカイムは、奇聲を上げる邪に【創作の真理】(クラフト・マスター)を――タオルと風呂桶を作って投げてやる。
「さて、俺のユーベルコードの弱点の指摘して貰おうか」
 カイムが生成した物は目下のニェポスにとって非常に価値がある物で、之を封じたならどんな事が起きるか――最早この場に居る誰もが理解ろう。
「是非ご教授願いたいモンだぜ」
 飄然と言うカイムの隣、テンコは餘りに可笑しくて、小さな肩を慄わせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)。
『兼元』の一振りで【地擦り一閃『伏雷』】を使用します。
その前にリミッター解除後に限界突破し限界突破します。
多重詠唱を行うのはその後。速度維持に継戦能力を。
備えが完了するまで宗教家とは距離を置きます。

もし。もしこの技に弱点があるなら寧ろ指摘してほしいですね。
ダッシュで間合いを詰め早業と2回攻撃で極力迅速に攻めます。
刃に破魔の力と鎧砕きと鎧防御無視の効力を付与しておきます。
私単体で攻めるのもいいですがロベルタさんと共に連携をします。
状況に応じて単体や連携と協力を使い分けたいと考えます。

あ。妖狐さんは速度維持をしたままで抱きしめ一緒に移動します。
距離を置いた方がいいと。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)。
今度は全力でいくじぇ!
封印を解いた後にパフォーマンス上昇して身体強化。
で。限界突破して多重詠唱を詠唱するじょ。うぇい♪
「おっちゃん、覚悟ッ!」
笑顔のおっちゃん(ニェポス)に向かってダッシュ!
蹴りには鎧砕きと鎧防御無視と破魔に重量攻撃を籠めるよ。
二の太刀ならぬ二の蹴りを繰り出せるようにしておくじぇ。
早業とクイックドローに零距離射撃と2回攻撃を付与付与。
あ。速度と威力維持に継戦能力を使っておくねぃ。
攻撃回避とおっちゃんの挙動警戒は見切りと第六感で。

墨ねーの行動を確認しながら協力と連携をするねぃ。
…あ。妖狐のねーちゃんはおっちゃんから離すようにする。



 時に首魁のあられもない姿に危機を察した信者の一人が、咄嗟に服を投げ入れる。
「僧正さま! 自分はまだ教義を……来世を信じておりまする!!」
『おぉ、道服!! これを着て再び連中を懲らしめてやりましょう!!』
 而してせっせと道服を着込むニェポス。
 信奉者より支援を得られる点では、首魁が温泉街に移動したのは得策と言えたろうが、猟兵が決戰に備える余裕を與えたのは下策だったに違いない。

「……行きましょう……ロベルタさん……!」
 復讐に燃えるテンコを追い掛ける道中、八雷の名の元に猛き「伏雷」の神力を降ろした浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は、丹花の脣に祝詞を唱う毎に疾風の如く、霹靂の如く、竹林の細徑を翔ける。
 同道したロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)も後れは取らず、
「うぇい♪ 今度は全力でいくじぇ!」
 トン、と輕やかな靴音を眞砂路に置いたのも一瞬の事、少女も墨を見失わぬよう超加速して疾走し、ザッと身を搖らす竹林を眦へと流しつつ、一気に温泉街へ向かった。
 ロベルタの云う通り、妖刀を離れた首魁を倒すに遠慮は要るまい。
 可憐は湯けむりの立ち込める樋を伝いながら、初手から雷鳴を轟かせる【雷神の大槌】(ミョルニル・ハンマァー)を一閃ッ!
「おっちゃん、覚悟ッ!」
『えっ、んっ、おっちゃ……――のわーっ!!』
 超高速で懐に踏み込むや、赫灼と紫電を帯びるキックを左脇に沈ませ、凄まじい痛撃に目を白黒させるニェポスをザブンッと湯畑に落とす!!
 その間、絶影の機動で疾った墨はテンコを抱えて逆方向へ、
「!! なんで……今ならアイツに切り掛かれたかもしれないのに……!!」
「……相手は優れた暗示遣い……聲の届かない、距離まで……離れた方が良いかと……」
 心惑わすニェポスの1/fゆらぎボイスは謂わば「音撃」だ。
 最大で約340m/sで届く聲の暗示に對し、尋常の足の速疾さでは間に合わないと判断した墨はテンコを抱き締め一緒に移動し、ロベルタは“おっちゃん”が少女に近付かぬよう、常に両者を結ぶ射線に立って牽制を仕掛けた。

『――ぶはっ、んぷっ! 着替えて3秒でずぶ濡れに……やってくれましたね!!』
 躯は重くなったが、一面に立ち昇る湯気が身を隠して呉れようか。
 樋より這い出たニェポスは、これぞ我が城、己が庭といった足取りで湯畑を逃げ回り、墨とロベルタの二連撃、そして折に差し入るテンコの匕首を広げた巻物に代わらせつつ、鋭く細めた瞳に弱点を探り始めていた。
『ふふふ……何やら詠唱している樣ですが、私の教義に上書きして封じて見せましょう』
 時にして180秒。
 3分あれば十分に勝てるとニェポスは嗤笑を深めるが、稲妻の閃く如く疾走する二人は、その猶予も與えまい。
 墨は幼狐を抱えて猶も速度を上げながら、冱刀『真柄斬兼元』を一振り、
「もし。もしこの技に……弱点があるなら……寧ろ、指摘してほしいですね……」
「うん、それに見つけられたとしても、おっちゃんに“実証”できるかなー?」
 ねー、と相槌を添えたロベルタも雷槌の蹴撃を疾らせるが、射線の方向には影も無し、金糸雀の聲だけが首魁の鼓膜を震わせる。
 自信の程は眼路いっぱいに侵襲する閃爍が證左(あかし)しよう。
「……今こそ……『伏雷』は音速を……超えます……」
「うぇーい♪ おっちゃんが止まったように見えるー♪」
 弱点を見出すにも、埒外のスピードに追う影を失ったニェポスは、左右より湯けむりを吹き払って來たる斬撃と蹴撃、其の同時挟撃に成す術もなく、激痛を受け取るのみ。
『あああぁぁぁぁあああ嗚呼嗚呼!!!』
 全身に雷が駆け走る樣な――凄まじい激痛に打たれるのも已む無い。
 墨とロベルタに強化の時間を與えたのはニェポス自身であり、また加速に要する距離を許したのも己であり、少女らに凛然を萌させたのも……矢張り己だったろう。

「……見届けて……下さいますか……」
 胸元に抱えたテンコに、墨がそう云ったのは何時だったか――懸崖まで時間を圧縮した中では最早判明らぬが、然し慥かにテンコは合点(こっくり)と「是」を返す。
 ニェポスをやっつけて欲しい。
 クーコの仇を討ち、泥梨に沈みゆく魂を引き上げて欲しい。
 小さな手がキュッと握り返すのに雄渾を得た墨は、己と同じく超速の世界に身を置いたロベルタに眴(めくばせ)をひとつ――而して後に、出る。
 湯畑の樋を何足かで飛び渡った墨は、地擦り一閃【伏雷】(フスイカヅチ)――!
 湯気の中を逃げ回るニェポスに向かって眞直ぐ、互の目乱の刀文を疾らせた!!
「私達の姿に……希望の光が……見えますように……」
「う! 眩しいくらい、光っちゃうじぇー♪」
 科白を告ぐ佳聲は上から。
 水平に疾る墨に合せて眞上から現れたロベルタが、雷光を帯びた踵を垂直に振り落し、ニェポスを交点に燦然たる光の十字を結んだ――!!
『ぎゃあああぁぁああああ嗚呼嗚呼っっっ!!』
 温泉街中に響き渡る絶叫に、信者の目は醒めようか。
 湯気すら一掃する衝撃波が、テンコの涙をも吹き払う樣だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
●POW



勘違いすんじゃニャーですよ
俺めは今、自分の意思で湯治に来たんスよ(バーン)


・先んじて入浴することで術に掛かってない感を出す頭脳プレー
・すごい野性味(野生の勘666)とワルの貫禄(悪のカリスマ)を醸して、温泉に浸かってる間の邪魔を許さじ(殺気+精神攻撃)

・たっぷり休養したら、温泉の地熱パワーをふんだんに取り込み『ヒート・ビースト(化術)』発動
・音速超で温泉街上空を旋回飛行、鬼火のつるべ撃ち(威嚇射撃)でニェポスを追い詰めネコパンチ(暴力+なぎ払い)をブチかましに行く


おう、そこの狐のガキ
自分の手でケジメ取りてえなら着いて来なさいや

最大戦速音速超
俺に乗って捕まってりゃ、アイツの声は届かねえ



 1/fゆらぎボイスの絶叫が温泉街中に響き渡る頃。
 白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は墨色に濁る「黒湯」に入っていた。
「はー、コレがサムエン随一の黒さを誇る温泉ですかよ」
「左樣に御座いまシ。そしてワッシがえむぱいあ随一の按摩屋で御座いまシ」
「随分大きく出ましたわな。俺めにその腕、見せてみなさいや」
 ザブリ黒湯より上がって寝椅子に寝そべる彼は、すっかり温泉を堪能している樣だが、ニェポスの術中に嵌ったか――既にミネラル質の白泥湯も炭酸湯も堪能済み。
 目下、仕上げにロウリュウ的な熱風を浴びて發汗を促す彼の樣子は、右眼をチカチカと🔴REC中の『茶斑の三毛』が生配信しており、コメントが掛け湯の如く流れている。

 ――猟団長がひと風呂もふた風呂も浴びててニェポス勝利確実🌿🌿🌿
 ――温泉地に入るなり暗示に掛かるとか斬新ストロング展開🌿🌿🌿

 視聴者の反應を気取ったか、物九郎はすっくと立つや、湯気に曇るカメラを拭き拭き、撮影を続ける茶斑に烱々たる金瞳を結んだ。
「者共、勘違いすんじゃニャーですよ。俺めは今、自分の意思で湯治に来たんスよ」
 然う、此れこそ物九郎の戰術!(バァァァァアアアンッ!:効果音)
 先んじて入浴する事で「洗脳? 知らんがな」感を出す頭脳プレーなのだと、虎縞模様をビキビキに励起させた彼は、【ヒート・ビースト】――たっぷり休養した精悍の躯に、温泉の地熱パワーをふんだんに取り込み、炎を操る化け猫「火車」に變身したッ!!
 シュウッと噴き上がる炎熱の澎湃たるや、相当名湯を堪能したのだろう。
 斯くも彼を充實させたのは、滾滾と漲る野生味と、妖氣の如く醸したワルの貫禄にて、温泉堪能中、一切の介入を許さなかったのだー!(デデーンッ!:効果音2)
「――中々の腕でしたわ。猟団長御用達の看板を出しても許しまさ」
 按摩屋に對価を払った前脚はその儘、後脚はカリと爪を立てるや跳躍ッ!
 最高速度10,100km/h、マッハ8を超す超速で湯気の果てる上空まで旋回飛行したなら、烱眼に捉えたニェポス目掛けて鬼火の連るべ撃ち――!! 煓々熾々と然あがる焦熱に首魁を追い立て、テンコとの距離を引き剥がしたッ!
『あわわわ空から炎が飛箭の如く……えっあっネコチャン? ……大きいブバーッ!!』
 而して間隙を許そう筈も無し。
 湯気を裂いて降り注ぐ鬼火と共に、火球の如く滑空した物九郎は、そのままネコパンチをブチかまし、少々小太りな矮躯をザブンッと湯畑に潜らせると、我が背に隠したテンコへ肩越しに鋭眼を投げた。
「おう、そこの狐のガキ。自分の手でケジメ取りてえなら着いて来なさいや」
「、ッ……ねこさん……」
「俺めに乗って捕まってりゃ、アイツの声は届かねえ」
 心惑わすニェポスのイケボは謂わば「音撃」。
 最大で約340m/sで届く聲の暗示に對し、音速の8倍で飛ぶ彼なら優にチギれようか。
 凝乎(ジッ)と金の精彩を注ぐ化け猫を見て幾許、テンコは合点(こっくり)と頷き、
「――うん!」
 而して持ち上げた花顔は、義氣凛然と耀いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
なるほど、洗脳。
ええ、全く問題無いわ。
何故ならば……

私の筋肉は最強だからよ!!!(どーん!)

【超★筋肉黙示録】発動
鍛錬の末に獲得した、己の肉体……筋肉へ対する絶対的な信仰が形となったのがこの本(コード)
これで私自身に脳筋自己暗示を予めかけておけば、洗脳の類は軒並み弾いてしまえるわね!
(元々脳筋では?というツッコミがグリモアの向こうから聞こえてくるかもしれないが気にしない、何故なら脳筋だから)

という訳で筋肉の赴くがままに突撃してひたすら殴り倒す
テンコにはどういう洗脳かけてくるか知らないけど、妖狐なら鼻は利くでしょうから
敢えて視聴覚を封じて「血の臭い」へ仕掛けるようアドバイスし、御膳立てしておくわ



 目下、化け猫の背に乗るテンコを、大瑠璃の佳聲が送り出す。
 巨猫に跨るのを手伝ってやった荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)だ。
 彼女はテンコが雪辱の刃を届けられるようアドバイスして、
「追い込まれたニェポスが如何なる洗脳を使ってくるか分からない。貴女も妖狐なら鼻は利くでしょうから、視聴覚を封じた後は、“血の臭い”を辿って仕掛けなさい」
「……目や耳でなく、鼻を利かせる……」
 怒りや恨みから首魁の聲や姿を追わぬように。
 而して妖狐が嗅ぎ取る“血の臭い”は己が付けて遣ろうと、鼻緒を踏み締めて前進したつかさは、氣勢雄大、闘志磅礴としてニェポスの前に立ち塞(はだ)かった。
 辰砂と熾ゆる麗瞳は、間もなく湯畑から這い出たニェポスを鋭く睨め、
「成る程、洗脳……その術が強いのは知っているけど、こと私には全く問題無いわ」
『なにッガブガブ……それはゴブゴブ如何云う……エヘッエヘッ……!』
「ええ、何故ならば……――!」
 目下、ゴゴゴゴゴ……と空気が震えたのは気の所爲では無い。

 ――私の筋肉は最強だからよ!!!(ドォォォオオオオンッ!:効果音)

 佳人が云い放つや、昇り立つ湯気を圧殺する勢いで天より降臨する【超★筋肉黙示録】(ハイパー・マッスル・アポカリプス)――想像から創造した、最強無敵究極無双超弩級ごんぶと巻物が、大地に降り立つなりズオォッと湯畑を揺らした。
 肌膚を搏つ気魄が凄まじかろう。ニェポスは気圧される儘、続く言を聽いて、
「鍛錬の末に獲得した、己の肉体……筋肉へ対する絶対的信仰が形となったのがこの本」
『なんっ……何を云って……なにをおっしゃっていらっしゃるのでしょうか……!!』
「端的に言えば、これは脳筋自己暗示……これで洗脳の類は軒並み彈いてしまえるわ!」
『脳が筋肉!? 私も他人の事は云えないが、そんな信仰ってあるんでしょうか!?』
 つかさは元々脳筋ではなかったかと、グリモアの向こうから聞こえてくるかもしれないが気にしない。だって脳筋だもの。
 華奢ながら白妙の高嶺の如く雄壮と、我が闘氣に湯気を吹き払いつつ接近した彼女は、筋肉の赴くが儘に手刀を振り下ろし、拳を振るって只管に只更に殴り倒した。
「筋肉さえあれば、大体どうにかなる!」
『嗚呼嗚呼嗚呼!! 嗚呼嗚呼嗚呼!!』
「筋肉が! 諸有る総てを解決する!!」
「嗚乎嗚乎嗚乎!! 嗚乎嗚乎嗚乎!!」
 ドスドスドス!! ドスドスドス!!
 鬼氣迫る拳打がぴゅうと朱い飛沫を噴かせるや、ここに血の臭いを嗅ぎ取ったテンコが急降下し、強く握り込めた匕首を突き立てるのだった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

神崎・ナオ
【GOATia】

何あれー? 角とか尻尾とかリダンさんに似てるねー? カラー戦隊ってやつ? あ、なるほど、同族!

配下っていうのは操って手に入れるものじゃなくて、その器であれば自然と付き従ってきてくれるものだよ!
やっぱ無理やりはダメだよねー

リダンさんの力で洗脳を抑えている間に私は詠唱を完了させて攻撃だー!
もう次の攻撃なんてさせないよ~! そーら逃げてみろ~!
(なんて本人の仕草に合わせて魔王軍が相手が逃げ惑い隙を晒す様に攻撃したりします)
ふっふっふ、これこそ信頼関係のなせる連携技って感じ!

お、いいね! なんかそれファッションモデルっぽくない?
よーし、私もショコラ君と一緒に浴衣着てお手伝いするぞー!


ショコラ・リング
【GOATia】の皆様と参加します

宇宙山羊さんの一族でございますか
確かにどことなくリダンさんに似ているような気もいたしますが……思想もなにもリダンさんの方が素敵でございますよ

任されましたのです!
リダンさんが作り出した時間を無駄にはいたしません
頼っていただいたこと、その信頼を行動で返さねばなりませんね!
ボクはナオさんの攻撃でできた隙に、相手の逃げるその先を第六感で予測して、神樹の矢を放ちます
今ままで積み重ねてきた悪事の対価を支払う時がきたのですよ
ですが、その沙汰を下すのはボクではございません
(テンコさんに道を譲るようにしながら)

終りましたらボクも浴衣を一着買ってブームのお手伝いでございますね


リダン・ムグルエギ
【GOATia】
同族の匂いを感じて来たけど…
アナタは温泉をというブームを作ろうとした人なのね
人を集め、集めた人を力に変え、更なる流行を起こす
そのデザイン、素晴らしいわ

けど残念ね
惜しむらくは洗脳以外で手駒を用意しなかった事
本場宇宙山羊の前ではもろいわよ、その絆
「今の流行はこの浴衣!
湯船につかる前に袖を通して通りを一遍歩き通すのが通ってものよ!
今なら無料で奉仕よ」
コードで洗脳を少しの間押留めるわ

私もアナタと同じ
洗脳と似た催眠を用いて流行を作る者
けど、アタシには催眠と関係なく共に戦い、浴衣も着てくれる友がいる
貴方には洗脳が解けた時牙を剥く敵がいる

…貴方の浴衣姿も他の写真と一緒に残しておくわ
良い聲の人



 匕首から滲出した蒼紫の靄が影を成した時、其を仰いだリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は、当初に抱いていた懸念を確信へと變えていた。
 而して先行するテンコを追って温泉街に至った彼女は、愈々相對する事となった首魁の姿に瞳を丸くする友らに、靜かに口を開く。
「何あれー? 角とか尻尾とかリダンさんに似てるねー?」
「……ええ、アタシの同族よ」
「あ、なるほど、同族!」
 サンストーンの如く耀く角と蹄に、大きな魚の尻尾。
 温かな橙色の道服はカラー戰隊の一端でも担っているのかと、神崎・ナオ(魔王と勇者のハーフな悪魔・f32386)がまじまじと見る傍ら、ショコラ・リング(キマイラのアーチャー・f00670)は湯気に混じる邪氣に触れて警戒を示す。
「同族……成る程、宇宙山羊さんの一族でございますか。確かにどことなくリダンさんに似ているような気もいたしますが……」
 似ている樣で、何處とない違和感が戒心を訴える。
 其も然り、白煙に姿影を見え隠れさせる宇宙山羊は、テンコとクーコの絆を引き裂き、絶望に堕ちた妖狐をクルセイダーの下へ送ろうとしていた張本人なのだ。
 リダンは湯畑に集まる多くの信者を見ながら口を開き、
「――アナタは温泉の力で悩める人を救済するブームを興そうとしたのね」
『ええ、そうですとも。きのたけ温泉と湯の花には、それだけの力があるのです』
「人を集め、集めた人を力に変え、更なる流行を起こす。そのデザイン、素晴らしいわ」
『ええ、ええ! そうでしょう、そうでしょう!!』
 己がムーブメントを的確に分析した彼女に気をよくしたニェポスが、瞳を細めて頷く。
 然し続く言は怜悧に、犀利に、
「……けど残念ね」
『んん?』
「惜しむらくは、洗脳以外で手駒を用意しなかった事……自身のパ-ソナリティーやオリジナリティーで支持を得られないようじゃ、本場宇宙山羊の前では脆いわよ、その絆」
 云うや、スッと取り出されるは数枚の浴衣――。
 其は白木綿の浴衣しか知らぬ湯治客には随分と目新しい、伝統的な和柄をプリントした色彩豊かな浴衣で、円満を祈る七宝繋ぎや、永遠に続く柄に引き寄せられよう。
 衆目が集まった頃合いに、リダンは聲高らかに宣伝を始めた。
「今の流行はこの浴衣! 湯船につかる前に袖を通して、情緒豊かな温泉街通りをぶらり一遍歩き通すのが通ってものよ! 今なら特別に無料で奉仕するわ!!」
 凄まじい勢いで席捲していくは、【トレンドブレイカー・GOATia】(セカイハヤギノテノヒラノウエ)――種族も世界も次元も超えてトレンドを創るデザイナーの新作発表に、ニェポスの信者も一般の温泉客もグイグイ引き寄せられていく。
「まぁ素敵! ツウには持って来いの浴衣ねぇ!」
「私と妻、そして子供達に一着ずつ頂けないか!」
 僅か90秒の宣伝で、殉教すら厭わぬ信者は「GOATia」ブランドの虜となり、悪しき洗脳から解かれていくが、無論、其をニェポスが許す筈も無い。
『そ、そんな浴衣はマヤカシです! 苦悩窮愁を生み続ける徳川の世は變わりませんし、来世の幸せもなぁんにも約束してくれやしませんから!! ねっ!?』
 心安らぐ1/fゆらぎボイスが呼び掛けるが、彼等の心は取り戻せようか。
 否、断じて否。
 何故なら目下、最大340m/sで届く音撃に約88万倍も勝る「光」が、華やかな色彩が、湯治客に楽しい光景を魅せているからで――。

「お、いいね! なんかそれファッションモデルっぽくない?」
 麻の葉模様に櫻の花片を散らした浴衣を見るなり、パッと笑顔を咲かせたナオは、つとショコラに小気味良い眴(めくばせ)をひとつ。
 然れば意図を汲み取ったショコラも、莞爾と頬笑んで一着を手に取り、
「紋様に祈りや願いが籠められているのでございますね。長寿を祈念する亀甲に、十字の刺繍で花をあしらったこちらの浴衣は、シックな黒地ながら温かみが感じられるのです」
 と、感歎を添えて袖を通す。帯はリダンに締めて貰う(きゅっ)。
 斯くしてナオとショコラが格好良く浴衣を着こなせば、極上のモデルに映えた浴衣には陶然たる羨望の視線が集まろう。
「はー、あの二人が歩いていたら、確実に足を留めて振り向いちゃうなぁ……」
「活き活きした姿を見ていると、来世の幸せより今生の幸せを大切にしたくなるよ」
 彼等の心が悉皆離れてしまったとは、洗脳術の遣い手たるニェポス自身が痛感するか、彼は子供の樣に地団太を踏んで悔しがった。
『ばっ、ばっ……莫迦な……!! 私の素晴らしい教義が負けるなんて……!』
 可怪しい、詐欺だと憤懣を零しつつ、新作の浴衣を選ぶニェポス。
 着痩せする浴衣はどれだろうと試着に掛かるあたり、彼も新しい流行に乗り始めたか、とにかく時間は得られたと、二人のモデルは猟兵として動き出した。

「よーし、しまっていこー! 信者さん達の洗脳が抑えられている今がチャンス!」
 決して好機を見逃さぬと、ナオの佳瞳は透徹と耀こう。
 澄み渡る青藍の精彩に邪影を映した少女は、櫻脣に秘呪を詠唱して魔力を漲らせると、繊手を手に翳すや【隕石魔法】(マオウグンニヨルバクゲキ)――ッ! 晴朗の空の雲を掃うや、火球の如き爆熱を続々墜下させた!!
「たっくさん降り注げ~、ミーティアライト!」
『――ぉぉぉおおおおおっっ!!』
「もう次の攻撃なんてさせないよ~! そーら逃げてみろ~!」
 湯畑に立ち昇る白煙を吹き飛ばす勢いで降り注ぐ爆轟は、これまた魔王軍による攻撃。
 大事な若樣をお守りすべく、極秘に温泉街に潜伏した部下達が、ナオの挙措に合わせて一斉攻撃を仕掛けたのだ。
 ナオ自身は御守りの存在に気付くまいが、彼女の科白は彼等に聢と届いていよう。
「配下っていうのは操って手に入れるものじゃなくて、彼等を率いるに十分な器があれば自然と付き従ってきてくれるものだよ! 上に立つ者なら器を研かないと!」
 やっぱ無理やりはダメだよねー、と花脣を滑る科白はニェポスに向けられたものだが、魔王軍の皆さんは密かに感動に打ち震えながら、あらん限りの魔力を振り絞る。
 故に隕石は驟雨の如く降って邪を追い立て、
「ふっふっふ、これこそ信頼関係のなせる連携技って感じ!」
『はわわわわわ!! はわわわわわわ!!』
 選んだ浴衣に袖を通しつつ、猛烈な爆撃に逃げ惑うニェポスを鋭い瞳に追ったナオは、而して生まれる隙を幼き射手に託した。

「後は頼んだよ~!」
「しょこりんに任せたわ」
「任されましたのです!」
 ナオとリダンが佳聲を投げた先、ショコラが凛乎と「應」を答える。
 紫苑と花やぐ麗瞳を煌々と、繊麗の指に長弓『時の破壊者(ロストメモリ)』を構えた少年は、烱々と耀ける鋭鏃を邪に結んだ。
「――リダンさんが作り出した時間を、ナオさんが見出した隙を無駄にはいたしません。今こそ頼っていただいたこと、その信頼を行動で返さねばなりませんね!」
 守る爲に傷付ける事を選んだ覚悟は變わらない。
 弦を引き絞るほど心を澄ませたショコラは、樋を伝って逃げるニェポスの進路を見極めながら、彼が至るその先に鹵掠の鏃を置く。
「リダンさんの面影のある方……ですが思想も何もリダンさんの方が素敵でございます」
 訣別の科白の後に閃くは、【神樹の矢(ミストルティン)】――!
 飄ッと湯気を裂いて飛んだ矢は、ちょうど帯を締め終えたニェポスの頭部に迫るや片角を折り、激痛を付すと同時に彼の視覚を奪ったッ!
『ぬっああ!? みえ……見えない……ッ!!』
 我が城にして我が庭とばかり、輕妙に湯畑を逃げ回っていたニェポスは、忽ち踏み止まって足を泳がせるが、最早、彼に逃げ場は無い。
 視界を塞がれた代わり、ショコラの佳聲が生々しく耳に迫って、
「今まで積み重ねてきた悪事の対価を支払う時がきたのですよ。――ですが、その沙汰を下すのはボクではございません」
『ぬっくっ……では私を殺めようとしているのは、私と同じ角を持った猟兵ですね!? かの者が私の計画を塗り替えたのですから!!』
「――いいえ、アタシでも無いわ」
 時に小さく首を振ったリダンが踏み出る。
 彼女は電子端末『万魔電』を手に、ナオとショコラに手招きしつつ邪へと肉薄すると、インカメラ用のライトを最大に――腕を伸ばす。
「私もアナタと同じ、洗脳と似た催眠を用いて流行を作る者……」
『えっ、ああ!? 何が起きて……なにをしているのですか!?』
「けれど、アタシには催眠と関係なく共に戦い、浴衣も着てくれる頼もしい友がいる……そして貴方には、洗脳が解けた時に牙を剥く敵がいる」
『ちょ、本当、一体なにが起きているのか……!!』
 パシャ、と渇いた音を鳴らしたフラッシュがお別れの合図。
 ここに【GOATia】の三人が作る隙に備えていたテンコが、ショコラに導かれ、ナオに背中を押されて駆け走る。
 次の瞬間、ニェポスは雪辱の刃が我が身に埋まる瞬間を聢と味わったろう。

「……クーコの仇……!!」
『……ずぁ……っ……!!』

 妖狐の小さな手に握られる匕首に死の中心点を穿たれた邪は、ズル……と矮躯を傾けて湯畑に、ザブンッと音を立てて影を解いていく。
 同族の今際を見届けたリダンは、立ち昇る湯気に視線を落として、
「……貴方の浴衣姿も他の写真と一緒に残しておくわ。良い聲の人」
 と、長い睫を伏せるのだった。

「……みんな……ありがと……」
 斯くして親友の仇を討ったテンコは、憑き物が落ちた樣にその場にへたり込む。
 帰る家も無し、最愛の友も失った今は立ち上がれまいか――いや、巨邪に抗う猟兵の姿を見てきた彼女に絶望は無く、蒼穹を見上げる双眸は明鏡の如く澄んでいる。
 返り血に染まる頬を洗い流した後は、もう、涙は無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月03日
宿敵 『宗教家・ニェポス』 を撃破!


挿絵イラスト