8
テイクダウン・ザ・テイクオフ

#グリードオーシャン #シーシアス・アヴァリシア #猟書家の侵攻 #猟書家 #メガリスボーグ #戦艦島

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#シーシアス・アヴァリシア
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#メガリスボーグ
🔒
#戦艦島


0




「面倒なことになったわねぇ」
 グリモア猟兵、白鐘・耀はうんざりした顔で天を仰いだ。
「予兆を見たって人もいると思うけど、レディ・オーシャンが動き出したわ。
 しかもあいつ、猟書家の儀式魔術【Q】を奪い取って「骸の月」の偽物を喚んだのよ。
 おかげで、グリードオーシャンでは猟書家があちこちで活動を始めてるってわけ」
 そして耀が予知したのも、他ならぬ猟書家の暗躍であった。
「敵の名前は『シーシアス・アヴァリシア』っていう、メガリスの塊みたいなヤツね。
 こいつは色んなメガリスを集めて、自分がカルロスに成り代わろうとしてたみたい。
 で、シーシアスは今、『サブリン島』っていう島を制圧してしまっているわ」
 サブリン島はスペースシップワールド由来の、いわゆる「戦艦島」である。
 シーシアスは戦艦島の動力源であるメガリスを手に入れてしまったのだ。
「メガリスの名前は「ブリキ男の心臓」って呼ばれていたそうなんだけど……。
 シーシアスはこの力で、大量のキャバリアを作り出して部下に与えているわ。
 島にはもともとメガリスボーグの戦士団がいるんだけど、おかげで状況は最悪。
 このままだと、グリモアベースを侵略するための足がかりにされかねないわけよ」
 本来であれば、この世界に漂着した戦艦は動くことはないはずである。
 だがシーシアスが力を加えれば、メガリスを動力源に島そのものが動きかねない。
 敵はそうやって、グリモアベース侵略の攻撃艦を手に入れるのが狙いなのだ。

「……てなわけで、現地のメガリスボーグたちと協力して猟書家を倒してほしいの」
 耀は髪をかきあげた。
「シーシアスは「ブリキ男の心臓」の力で、キャバリアの部隊を戦力に加えてる。
 まともに闘うと厄介だけど……現地に詳しいメガリスボーグたちがいるから、
 うまく地形を利用して戦えば有利になるはずよ。問題はシーシアス本体ね。
「ブリキ男の心臓」は、機械を生み出したり強化するエンジンみたいなメガリスなの。
 だからもしかすると、一回二回倒しても仕留めきれるかわからないわね……」
 既存のユーベルコードに照らし合わせるなら、『ラスボス変身』に近い能力か。
 倒すたびに強化されるシーシアスとの戦いは、持久戦を余儀なくされるだろう。
 メガリスボーグ戦士団との協力が、勝利のためには不可欠と言えた。
「……平和にしたばっかりの世界でいきなり侵略なんて、まったく迷惑な話よ。
 さっさとレディ・オーシャンを仕留めるためにも、あんたたちの力を貸して頂戴」
 そう言って、耀は火打ち石を取り出した。
「ま、あんたたちならやれるわ。運命を変えてきなさい」
 カッカッという小気味いい音が、転移の合図となった。


唐揚げ
 桜えびです。猟書家シナリオ第14弾はグリードオーシャンから。
 メガリスボーグとともに戦い、猟書家の計画を叩き潰しましょう。

●プレイングボーナス
『メガリスボーグ戦士団と協力する(全章共通)』
 サブリン島の戦士団は自らを『ティナー(ブリキ屋)』と名乗っています。
 これは島が「ブリキ男の心臓」のエネルギーで維持されていることからで、
 戦士団のメガリスボーグはサイボーグじみた半機械の見た目が多いようです。

 一章の舞台は、島中央の戦艦に向かうための市街地での戦いとなります。
 どうやらこの島の原型となったスペースシップは相当に巨大だったらしく、
 落着の際に剥離したと思しきパーツがビル街めいて林立しているというものです。
(現地民はパーツ群を住処にする者もいれば、文明相応の家屋に暮らす者も居ます)
 かなり複雑でカオスな地形なので、戦士団と協力し敵を引き込めれば、
 第一章の敵であるキャバリア部隊との戦いは有利に進められるでしょう。

 二章の舞台は、戦艦島の「コアルーム」です。
 シーシアスは『ラスボス変身』に相当する追加のユーベルコードを使い、
 倒されてもそのたびに巨大化とパワーアップを続けて復活します。
 これらは能力値に対応したユーベルコードとは別に使用されます。
(メガリス由来のUCを封印しないと倒せない、というわけではありません)
 シーシアスを撃破すると、「ブリキ男の心臓」は無事に奪還できます。

●プレイング受付期間
 平行運営シナリオの合間合間に書いていくつもりです。
 今月の満月(27日)までに完結できるといいなあ、と思っています。
533




第1章 集団戦 『落ちてきたキャバリア乗り達』

POW   :    高速戦闘型キャバリア
【自身のキャバリアを呼び出し、搭乗する】事で【キャバリアによる高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    自動修復装甲搭載型キャバリア
対象の攻撃を軽減する【自動修復装甲搭載のキャバリアに搭乗した姿】に変身しつつ、【キャバリアに装備されている各種兵装】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    試験運用中だったキャバリア
【搭乗したキャバリアが暴走形態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。

イラスト:エンシロウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●追記
 今読み返してみるとプレイング受付期間についてちょっとわかりづらかった気がしてきました。
 合間合間に書いていくつもりなので受付期限は【特に設けません】。ご参加お待ちしております。
アルトリウス・セレスタイト
やることは変わりない
速やかに終えるか

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は乗機含む戦域のオブリビオン
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

『煌皇』を以て高速詠唱を無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、斉射
それを間断なく無限回実行
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

何をしようと問題ないだけの火力を叩き付ければ良い
速度。修復。暴走
尽くを捻じ伏せて殲滅するまで
火力と物量で全て圧殺する

※アドリブ歓迎



●暴走機獣
 アルトリウス・セレスタイトが相対するのは、非人型のいびつなキャバリアだ。
 おそらく元世界では、どこかの国が作り出した試験用の機体だったのだろう。
 悪意あるメガリスの力で歪まされたそれは、もはや機械じかけのバケモノである。
『オオオオオオオッ!!』
「……耳障りだ。もはやパイロットの正気はありもしないか」
 アルトリウスはノイズまみれの咆哮に、わずかに顔を顰めた。
 これ以上、あのような存在をこの世界に許すほど、彼は気が長くない。
「邪魔だ。速やかに消え去れ」
 アルトリウスは原理を無限循環させ、天を覆うほどの数の弾幕を生成した。
 蒼き燐光を集めた魔弾は、瀑布のように間断なき波濤となって機獣に降り注ぐ!
『オオオオオオ……!!』
 ひび割れたノイズの咆哮をあげ、機獣はアルトリウスに迫りかかろうとした。
 体躯差は圧倒的にキャバリアが上、単純な運動能力(出力)もあちらが上だ。
 だが、術式そのものを無限に循環させる魔弾の雨は、いかなる反撃も許さぬ。
 オブリビオンだけを滅殺する必殺のユーベルコードが、機獣を滅ぼす……!
「修復し、暴走しようと無駄だ。俺はお前たちの存在を一切許容しない。
 何も出来ぬまま、ただゴミのように蹂躙されて消え去れ。オブリビオン」
『オ、オオオオ――』
 名も知らぬ機獣は、咆哮を断末魔に変え、やがて蒼の中に沈んだ。
 一方的圧殺は、もはや処刑と呼ぶべき蹂躙であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
キャバリアに乗って出撃
AIは女性の声、敬語

またグリードオーシャンで事件か、同じメガリスボーグとしても絶対に止める
すみません、狙撃が出来そうな見晴らしが良い場所はありませんか?

SPDで判定
ティナ―の方々には敬語で話す
高所の狙撃に適したポイントを幾つか彼らに教えて貰い、そこを移動しつつ戦闘
AIと一緒に【視力】【暗視】【聞き耳】で【情報収集】
指定UCを使って義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】を付与した弾丸を【スナイパー】【全力魔法】で敵に放ち、攻撃までの【時間稼ぎ】
次に同じように赤の災い:炎熱【焼却】を付与した弾丸を放ち【継続ダメージ】を与える



●ペネトレイト・ショット
 BRATATA! BRATATATAT!!
『警告。敵キャバリアからの照準ロックを確認。誤差0.7秒。被弾確率30%以上です』
「なかなか狙いが正確だな……!」
 ルイス・グリッドはキャバリアのバーニアをさらに強く噴射させ、加速した。
「新手が来たぞ。これで3機目だ」
「我々が囮になるか?」
 ルイスのあとに続くメガリスボーグたちが、通信してきた。
「いえ、それには及びません。皆さんを危険に晒すわけにはいきませんよ」
 ルイスは彼らの言葉を丁寧に辞し、むしろ自機を晒して的になる。
 ディスプレイ上に浮かび上がる「被ターゲットロック」の警告文と赤い光点!
「来るか……!」
 間一髪のところを、ルイスはギリギリで回避する。チュイン! と弾丸が跳ねた。
 敵の装備は長距離に適しておらず、惹きつけてから躱せば猶予が十分にあった。
 もっともルイスほどの腕前の持ち主でなければ、こうはいくまい。
「そこだ! あそこなら敵を狙撃できるはずだ」
「感謝します!」
 ティナーの指示通り、ルイスは高層ビルめいた巨大な瓦礫を駆け上った。
 敵がこちらを察知するより先に、魔銃の照準を敵の潜伏ポイントに定める。
「銃を使わせてもらうぞ……」
『メガリス、アクティブ。エネルギーシンクロ開始。撃てます』
 ルイスの義眼が藍色に変じ、ターゲットサイト越しに敵の機影を捉えた。
「――貫く!」
 そして、トリガーを引く! 魔弾が空気を切り裂き、敵キャバリアに着弾!
 敵キャバリアは自動修復機能を発動して被弾を回復しようとするが……圧潰の呪いが作用すると、メキメキと音を立て、被弾箇所を中心とした異常重力によりキャバリアが粉砕破壊されてしまう!
「次!」
 続く2発目は赤の魔弾、すなわち炎熱の災厄を籠めた弾丸である。
 命中と同時に弾丸は山火事めいて燃え上がり、修復を延焼で阻害していく。
「なんという鷹の目めいた正確なスナイプだ」
「あれが、コンキスタドールを打ち破った猟兵の力!」
 ティナーたちは、ルイスの狙撃の腕と、恐るべきメガリスの力に唸った。
 同じメガリスボーグだからこそ、ルイスの技量を彼らは正確に理解したのである。
 そしてまた一機、キャバリアが災厄の弾丸を浴びて無へと帰した!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
抵抗している戦士団に協力しよう
敵に似た姿形ではないし
あれに搭乗するよりも自身が変身した方が早い

ワイヤーを通路に幾重にも張るなど
罠の設置を頼めるだろうか?
一瞬でいい……動きを僅かに止めさせる
もしくは、移動速度を落とせれば
それだけでも違う

戦士団の設置した罠への誘導は俺が行う
竜神飛翔使用
敵の攻撃は残像での回避と
全身に展開したオーラ防御で防ぐ
雷はキャバリアに通用するか分からないな
通用しても弱過ぎるだろうか……
精密機械は雷に弱いと聞くが

罠に掛かったら即座に反転して
弓矢に変化させた禮火と葬焔で搭乗者ごと胴を射抜こう
この時、矢には禮火を使用し氷結属性でキャバリアを氷漬けにしようか

凍ってしまえば砕けるだろう?



●竜は鋼を穿つ
 頭上を巨大な機体が高速で通過し、大気が割れんばかりに悲鳴をあげた。
 ……ここは、瓦礫がうず高く積み重なって生まれたひとつの「避難所」だ。
 ティナーたちは高速機動型のキャバリアに手を焼き、ここへ逃げ込んでいた。
 じきに、敵はここを発見するだろう。攻撃されれば一巻の終わりだ。
 その前に玉砕覚悟で打って出るか、あるいは息を潜めて震えているか。
 戦士たちにとっては、どちらも屈辱的な選択肢であった。

 ……と、そこへ。
「こんなところに、隠れ潜むスペースがあったとはな」
「「「!」」」
 ティナーたちは、聞き慣れない声に弾かれたように振り返った。
 いつのまにそこにいたのか――鈴久名・紡が、暗闇から歩み出る。
「待ってくれ、俺は敵じゃない。むしろ逆だ」
「……猟兵か。あのコンキスタドールを倒したという」
 紡はこくりと頷き、肯定した。
「あんたたちの力を借りたい。此処のように、地形に詳しいんだろう?」
「……それは、そうだが。あのデカブツ相手にどう戦うというのだ」
「問題ない。ああいったものを乗りこなすのには慣れてないが、他の手がある」
 紡の言葉は謎めいていたが、ティナーたちはそれを信じざるを得ない。
「だからあんたたちは、迎撃するのに最適な場所を俺に教えてほしい。それと」
「……それと?」
「罠の設置を頼めるだろうか。一瞬でいい、奴の動きを止めさせるために」
「……わかった」
 時間は残されていない。長々と話し合う余地はなかった。
 生き延びるために、ティナーたちは紡の力を頼るほかにないのである。

 ティナーたちが用意したのは、展開式のワイヤートラップである。
 敵が誘いこまれた瞬間、前後にワイヤーが飛び出して行き場をなくすというものだ。
 もっともキャバリアの出力ならば、ワイヤーを引き裂くのは簡単だろう。
 足止めは出来て数秒……それがティナーたちの予測だった。
「問題ない」
 紡はそれだけ言って、完全竜体に変身し敵の前に躍り出た。
 直後、キャバリアは全武装を展開し、竜体となった紡を迎撃する!
「そうだ、来い。俺を追ってくるんだ」
 紡は残像を生み出して砲撃を回避しつつ、高速移動で敵を袋小路に誘い込む。
 全身に纏った雷は弾幕を焼き払いこそすれ、敵を撃墜するには威力が足りない。
(やはり、搭乗者を仕留めるしかないか)
 驚くべきことに、竜体となった紡のスピードにすらキャバリアは追従した。
 過酷なデッドヒートはわずか数秒――敵はまんまと袋小路に誘い出される!
「今だ!」
 声と同時にワイヤーが展開され、キャバリアの前後を塞いだ。
 上に垂直飛行しようにも、丘のように突き出した瓦礫が頭上を塞いでいる。
 左右は言わずもがなである。もっとも破壊が容易いのはこのワイヤーだ。
 問題は前後どちらを破壊するべきか――そこに、思考の隙が生まれる。
 わずか0.5秒にも満たぬ隙だが、その間に紡はワイヤーをくぐり抜けていた。
 竜体を解除し、人間の状態に戻っていたのだ。その手には弓矢に変化した禮火と葬焔!
「凍って砕け散ってしまえ」
 放たれた矢は、反転したキャバリアのコクピットブロックを串刺しにした。
 一瞬にしてキャバリアの全身が霜を張り……そして、轟音を立てて砕け散る。
「……見事だ! これが、猟兵の力か!」
 物陰から見守っていたティナーたちの歓喜の声に、紡は片手を上げて応えた。
 砕け散った敵の残骸が、雪花のように彼らに降り注いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御門・白
市街戦は、厄介
守ることばかりを考えていては手が鈍る、敵は私の都合など考慮していないでしょう
だからこそ、そういうのを挫き甲斐がある
妖怪、魔。ええ、ひねくれ者
……露悪主義? 気のせいでしょう

ずいぶんな力技ですね
暴走しているように見える
まともな殴り合いは避けるべき……それが、妖怪の戦い方

戦士団からあらかじめ、特に開けた場所を聞いておいて
可能な限り市街地への被害を避けながらそちらへ誘い込む
致命打を受けないように【見切り】、ツクヨミの再生力を生かして(継戦能力)

……ここまでこれば。
夜を凝らした虎挟み
敵のキャバリアの足を止めて
……止まらずとも、ここはもう、私の領土

動くものも見えない闇にて朽ち果てよ



●妖怪の戦い方
 おそらくそれは、区分としてはジャイアントキャバリアに当たるのだろう。
 機械というよりは生物じみたバイオ装甲が、腫瘍のように膨らみ脈動している。
 明らかな暴走状態。御門・白は、その醜悪な見た目にわずかに顔を顰めた。
「……わざと、暴走させているのね」
 あれは"最初から"そうなるように仕向けられている。白は直感した。
 暴走した肉塊の中からは、囚われたキャバリア乗りの思念が伝わってきた。
 搭乗者もまた、オブリビオンではある――そこがクロムキャバリアとの違い。
 だが、だからといって……ここまでされる謂われはあるのだろうか?
「……ツクヨミ」
 白は考えるのをやめた。
 敵に情けをかけるなんていうのは、"妖怪"のやることではない。
 ヒトならざる魔は、ヒトのような感傷など見せず、無慈悲に振る舞うべし。
 彼女は己にそう課した。悲鳴のような思念を無視し、意識を集中させる。
 のたうつ肉塊を警戒して、ツクヨミの装甲が唸るように震えた。

 ――KRAAAAASH!!
「おお、また揺れが……!」
 暴走キャバリアの殴打が地面を殴りつけると、地響きが戦士団をどよめかせた。
 彼らは白に情報提供をした……が、彼らの仕事はそこまでだ。
『あとは私とツクヨミがやります』
 白の言葉は端的で、一方的で、そして頑なであった。
 だから、こうしてキャバリア同士のぶつかり合いを目の当たりにするほかなかった。
「あの機体、何か禍々しい力を感じる……」
「我らの身体に埋め込まれたメガリスが、たしかに反応している」
 彼らの言う「機体」とは、暴走キャバリア――ではない。
 開けた戦場へ暴走キャバリアを誘い出す、ツクヨミのほうだ。
「……だが、あれは味方だ。我々のために、島のために戦っている」
 ベテランの戦士がそう言うと、ティナーたちは押し黙った。
 今は信じるしかない。彼女自身がそうすると決めた以上は。

「……ここまで、来れば」
 そして白は、敵を目的の場所まで誘い出していた。
 暴走キャバリアがツクヨミに飛びかかろうした瞬間、がちゃんという音。
 肉塊じみた脚部に、夜を凝らしたトラバサミ型の罠が噛み付いている!
「ここはもう、私たちの領土――動くものも見えない闇にて朽ち果てよ」
 瞬間、さっと幕が下りるようにして空が暗く闇に染まった。
 何者も見通せぬ闇のなか、めきり、ごきりと恐ろしい音が響き渡る。
 巨大な魔物が、獣を頭から貪り食っているような音だ。
 戦士たちは畏れた――何を? 敵をか? あるいは……。
「……これが、妖怪(わたし)の戦い方」
 闇が晴れた時、そこに恐ろしい機体はもう何処にもなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイソラ・グランホエール
アドリブ歓迎

この間戦争終わったのに…
あ、だからその隙に動いたのか
なんにせよ、その思惑は阻止させてもらうよ(戦闘形態の機械鎧姿に変身)

【戦闘】
ティナーたちに協力してもらって地形について情報収集、障害物の多い場所に誘導しよう。地形の利用も出来そうだし。
敵の誘導はUCで呼び出したリトルフィッシュを伏せさせて適宜高速で動かして行う。
攻撃する時もリトルフィッシュで誘導しながら…狙うなら関節部分だろうな。耐久力が上がってても限度があるはず。
リトルフィッシュにエネルギー充填、敵の動きを見切り、レーザー射撃を一斉発射して貫通させる。
暴走形態なら同じ方法で残りも倒せるし、動けなくすれば後はどうとでもなるからね。



●キャバリア・ハント
「この間、戦争が終わったばっかりなのに……忙しいことだね」
 アイソラ・グランホエールは嘆息し、そこでぽんと手を叩いた。
「あ、だからその隙に動いたのか。イヤらしいタイミングを選んでくるな。
 なんにせよ、猟書家の好きにはさせない。ここで食い止めさせてもらおうか」
 アイソラは『強化機械鎧オルカ』を起動し、全身を戦闘用装備で鎧った。
 調子は上々。キャバリア相手に追いかけっこをするにも十分だ。
「さて……早速だが、手を貸してもらえるかな。ティナーの皆さん」
「猟兵よ、コンキスタドールを打倒したものよ。よく来てくださった」
 年配のメガリスボーグが、重々しい口調で言った。
「ご助力、感謝する。我らも出来る限りの方法で支援しよう」
「それは助かる。といっても、無理はしなくていい。俺には頼れる相棒たちがいる。
 代わりに、この島の地形についていくつか教えてほしいんだ。有利に戦えるように」
「それは構わぬが……本当に、我らは情報を提供するだけでよいのか?」
「ああ――この子たちに頑張ってもらうからね」
 アイソラの掌の上に、魚のようなカタチをした電子精霊がふわりと出現した。
 一匹、二匹、三匹……数はみるみるうちに増えていく!
「さあ、勇敢なる小さき群勢よ。仕事の時間だ」
 電子の魚、リトルフィッシュたちは揺らめくように泳ぎ始めた――。

 アイソラが手ずから育て上げた群体魚たちは、実によく働いた。
 暴走したキャバリアは搭乗者の意思を完全無視しており、獣めいて動く。
 より早く動くものを自動的に追いかけるだけの、いわば災害じみた怪物だ。
 その点、空間を泳ぐリトルフィッシュたちは、いい囮として働いた。
「さあ、こっちだ……!」
 ティナーたちから得た情報をもとに、アイソラは戦う場所を決めていた。
 大小様々な瓦礫がビル群めいて林立する、鋼鉄の迷路じみた複雑な空間だ。
 ここでは、暴走キャバリアの自慢のスピードも大きく制限されてしまう。
 瓦礫をなぎ倒したところで、むしろアイソラが隠れる場所が増えるだけである。
 暴走キャバリアがまんまと戦場に飛び込んでくると、アイソラは関節部を狙い、リトルフィッシュたちに集めたエネルギーをレーザー状にして放った!
「耐久力が上がっていたとしても、関節部を強化するのには限度があるだろう?
 なら、そこを破壊してしまえば……もう、暴れまわることは出来ないさ」
 アイソラの計算通り、暴走キャバリアの脚部はあっけなく破砕した。
 じわじわと破損箇所は修復しつつあるが、その速度はあまりに遅い。
 その間に、リトルフィッシュたちは暴走キャバリアを逃さぬように包囲。
 アイソラ自身も、ひときわ高い瓦礫の天頂で銃型武装を構えている!
「これで終わりだよ。……消し飛べ」
 無数の光芒が、暴走キャバリアのコアユニットを狙い全方位から放たれた。
 膨大な熱量を受けたキャバリアは、もはや耐えきれず……盛大に爆発!
「お疲れ様。よくやってくれたね」
 アイソラは群体魚たちを労った。彼と彼らの、作戦勝ちといったところか。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

クラリス・クレスト
やっとの思いで勝ち取った平和なんだよね
それを脅かすヒトがいるのを、放ってはおけない
ボクにできることをするよ

生身じゃ戦えないけど、キャバリア戦だっていうなら負けない
建造物が乱立する複雑な地形ならボクの得意な場所だ
建物を蹴っての加速も跳躍も自由自在
頭上を取るのも、回り込むのだってお手の物

あの状態なら敵は単純な判断や行動しかできない
ちらつく敵影はさぞかし鬱陶しいだろうな
どいつもこいつもボクを追って来ればいい
この地形だ、追いつかせやしないけど!

戦士団のヒトたちにはボクを追ってきた敵を横合いから叩いてくれるようにお願いしておく
不意を打ってくれればあとはこっちでも詰めるから
力を合わせて、戦おう



●蒼き鳥は海に舞う
 搭乗者を洗脳し操る……それがクロムキャバリアのオブリビオンマシンだ。
 "それ"ならば見慣れている。だが、この世界のキャバリアはいささか事情が違った。
「乗っているパイロットも、オブリビオンなんだね……でも、あれじゃもう」
 クラリス・クレストは背後に迫るマシンを振り返り、眉根を寄せた。
 オブリビオンマシンの多くは、搭乗者の命を保護しようとする。
 どれほど強力なキャバリアでも、パイロットなしには普通は動けないからだ。
 しかし、この世界のキャバリアは違う――なぜならパイロットもまたオブリビオン。
 正真正銘生体パーツのひとつでしかなく、事実暴走キャバリアは……!
「……けど、あの状態なら判断や行動は単純になるはず。そこを突く!」
 クラリスは思考を打ち切り、建造物を三角飛びすることで攻撃を躱した。
 暴走キャバリアの攻撃方法は、至極単純な白兵攻撃である。
 問題はそのスピード、そして暴走状態による異常な耐久能力だ。
 生半可な牽制や迎撃では攻撃を止められない、というクラリスの判断は正しい。
 KRAAAAAASH……背後で建造物が真っ二つに折れて崩落。なんたるパワーか!
「さあ、追いついてごらんよ。ボクのキャバリアに!」
 災禍焔剣がないこの世界ならば、ブルーバードの機動力は無敵だ。
 クラリスの思考は異常加速し、主観時間は通常よりもずっと遅く見えていた。
 自由だ。青い鳥は、暴走キャバリアをあざ笑うように自由に羽ばたく!
「なんという機動力……我らも続くぞ!」
「「「応!」」」
 事前に協力を申し込まれていたティナーたちが、配置についた。
 クラリスはレーダー上でそれを確認し、仕上げのために敵を誘導する。
「こっちだ、ついてこい……ボクに追いつきたいならね!」
 まっすぐ加速したブルーバードに、暴走キャバリアが襲いかかる――そこへ!
「「「うおおおおッ!!」」」
 ティナーたちが横合いから襲いかかる。近接メガリスによる白兵攻撃だ。
 完全に意識外からの不意打ちを受けた暴走キャバリアは、勢い地面に叩きつけられた。
 体勢を立て直すには数秒もあれば十分だろう。だがその数秒さえあれば、十分。
「ありがとう、戦士団のヒトたち! あとはボクにまかせて!」
 クラリスはサムズ・アップし、敵の直上を取った。
 そして、加速――ハイ・レーザーキャノン"クラウ・ソナス"起動!
「再起動はさせない。ここで、落とす!」
 不敗の神剣の名を持つレーザーが、コクピットであった場所を貫いた。
 光は亀裂じみた機体の全身を覆い、そして暴走キャバリアは爆散。
 爆炎が瓦礫を照らす――光の中から、青い鳥が無傷で現れた。
「なんと自由な羽ばたきだ……」
 ティナーのひとりが我知らずそう呟くほどに、光を背にした機体の姿は美しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
ブリキ男の、心臓。
(確か、おとぎ話の)
…本物がここにあるんだろうか。
(詐欺師がでっち上げた、おが屑を詰めた絹袋ではない方だ
だとしたらちょっとワクワクする)

ティナー。
森番が手伝う。
キミたちの心臓を、取り返しに行こう。

考えなしに速いものを追うなら、罠だ
(戦士団にはキャバリアの走行に向かない道を都度指示して貰い
己は暴走キャバリアを【ダッシュ、ジャンプ】で惹き付け、攻撃は【野生の勘】で躱しながら走る
攻撃力と耐久力が増しても、速さで負ける気はしない)

(「烙禍」
壁も床も脆くした場所に誘い込み
嘗ては宇宙の巨砲や流星と戦った外壁で
キャバリアを圧し潰し足止め、それごと【鎧を砕き】【焼却】しよう)



●善き魔女はここに無く、されど
「……ブリキ男の、心臓」
 ロク・ザイオンは、記憶の中の一冊の本を、思い出せる限り読み返した。
 おとぎ話に出てくる、奇妙な旅の一団のひとり。
 錆びついたブリキ男は、大冒険のはてに"こころ"を得た。そういう物語だ。
「……本物が、ここにあるんだろうか」
 メガリスの名は、はたして誰がつけたのだろうか。
 この世界にもおとぎ話が伝わっていて、それがもととなったのか。
 はたまた――この島にあるものこそが、おとぎ話の原型となったのか?
 ロクは少しだけワクワクする気持ちを抑えられず、微笑んだ。
 そして同時に思う……そんなものを、オブリビオンの手に渡すわけにはいかないと。

 リュウグウの一員として海を渡り歩いてきたロクにとって、ここは"森"のひとつ。
 ティナーたちに向けて、ロクはこう言った。
「森番が手伝う。キミたちの心臓(だいじなもの)を、取り返しにいこう」
 もとより戦士団は、猟兵たちに協力を渋るような連中ではない。
 しかし彼女の真摯な言葉は、常以上にメガリスボーグたちを突き動かしたようだ。
「ご助力痛み入る。我らも全力で戦おうぞ!」
 ベテランの戦士の言葉に、ロクは頼もしげに頷く。
 彼らは周辺区域に散開し、ロクをサポートする形で動くことになった。
「キャバリアは、地を走るものだ。元の世界がそうだったから」
 というロクの推測は正しく、暴走キャバリアは走行によって彼女を追跡した。
 ティナーたちの指示の下、ロクは悪路を選んで飛び跳ねるように駆け回る。
 キャバリアのスピードは、本来であればロクとは圧倒的な差があった。
 だが地形を利用した彼女の三次元的移動に、キャバリアは追いつけない!
 時折レーザー砲やミサイルによる攻撃がロクを襲うが、見切るのは容易い。
 どれだけ攻撃力が増そうとも、当たらなければそれでいい。
 地を走るものとしての総合的な"速さ"では、ロクに軍配が上がったのである。

 ――そして。
「来たな」
 ロクが敵を誘い込んだのは、すべてが焼印によって脆く炭化した場所であった。
 かつては宇宙の巨砲や流星と戦った外壁も、烙禍の熱の前には形無しだ。
 ……そう、この島に堕ちた船は、もう役目を終えたのだ。
 戦うことはない。その眠りを呼び覚ますような仕業は、ロクには看過出来ない。
 キャバリアは構わずロクに襲いかかる――踏みしめた地面が、砕けた。
 連鎖的に周囲の瓦礫が崩れ、折り重なるようにしてキャバリアに降り注ぐ。
「おまえも、役目を終えたのだろう。――ならば、眠れ」
 最後の一撃は、慈悲深く。
 炭化した瓦礫に突き刺さった刃の熱が、瓦礫もろともキャバリアを灼く。
 葬送の灯火めいて炎が巻き上がり、煌々と周囲を照らした。
「……戦い終えた道具だって、休んでいいはずだ」
 炎は、空の蒼を染め上げそうなほどに高く、長く、燃え続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
レディ・オーシャン……美人だと思うけど、話し方とか腹立つよな。やることも面倒だし、機会があったら一回殴りてぇ。

とりあえず目先のことをなんとかしますか。
あえて開けた、広く見通しのいい場所。相手のスピードが活きる場所とそこへ向かえる道筋をメガリスボーグに聞いておく。ついでにメガリスボーグが近づかないようにも言っておく。
道中で敵にあえて見つかって、ナイフとかで攻撃の嫌がらせしつつ、教えてもらった場所へ引き付ける。

そうして敵のスピードが乗ったところで竜巻を起こして、一網打尽にする。
バランスを崩したり、前後不覚になったところなら他のメガリスボーグでもなんとかなるだろ。俺もちまちまとどめをさしていくさ。



●T.O.R.N.A.D.O
「――一番広くて見通しのいい場所を教えてほしいんだが」
 ゼイル・パックルードの言葉に、ティナーたちは耳を疑った。
「今、なんと? 障害物のある場所ではなく、開けた場所を知りたいと?」
「ああ、そうさ。ついでに言うと、戦ってる間お前らは近づかないでくれ」
「「「…………」」」
 障害物を求めるならば、わかる。キャバリアの機動力を阻害するのに有効だからだ。
 しかし、ゼイルは逆を求めている。それが彼らには不可解だった。
「……わかった。そう仰られるならば、我々が言うことはあるまい」
「いいね、話が早くて助かる」
 ゼイルはそれだけ言って、高機動型のキャバリアを相手にひとりで挑んだ。
 男の背中を見送ったメガリスボーグたちは、彼の真意を伺おうとした。
「彼は、死にたいのだろうか?」
「……いや、それだけには思えぬ。おそらく相応の自信があるのだろう」
 戦士たちの疑問は、すぐあとに答えを見ることとなった。

 敵を惹き付ける間、ゼイルはわざと己の身体を晒し、かと思えば身を隠す。
 翻弄するように三次元的に島を駆けながら、ナイフや地獄の炎で牽制を仕掛ける。
 これは「勝負」ではない、「殺し合い」だ――すべてを利用し生き残るための。
 正面張った一対一の戦いよりも、ゼイルはこちらのほうがよほど「慣れて」いた。
 初めてやってきたこの島の地形も、すぐに飲み込んでしまうほどに。
「さて……ここだな。ついてきてんだろう?」
 挑発的なゼイルの言葉に応じるかのごとく、ゴウ――!! という衝撃波。
 亜音速に達したキャバリアが、ゼイルめがけ矢のようにまっすぐ飛翔する!

 ――そして、竜巻がすべてを吹き飛ばした。
「ああ、ここはいいな。見通しもいいし……風通しも最高だ」
 ゼイルの狙いはこれにあった。敵をおびき寄せて一網打尽にする奇策。
 敵のスピードが最高潮になった瞬間、熱を帯びた巨大な竜巻を起こすことで、
 ミキサーに放り込まれる哀れな畜獣の如く、敵のスピードを利用したのである。
 まんまと罠にはまったキャバリアの残骸が、竜巻に煽られて空に舞い上がる。
 残骸が地面に落ちると、それらは地獄の炎で燃え上がり、やがて融けていった。
「悪いね。試合ならともかく、殺し合い(こういうの)なら俺のほうが上だ」
 燃える炎の影に男の笑みが一瞬照らされ、そしてまた見えなくなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
せっかく戦争に勝利したというのに……忙しのない!

天来せよ、鋼の大英雄(ヘラクレス)!
ヘラクレスに【騎乗】し、【巨神射殺す星辰の強弓】を装備
敵は暴走するキャバリア……猛攻を掻い潜っての反撃は至難の業

メガリスボーグの方々に協力を願い出る
彼奴らは理性を失い、速く動く物に反応しています
装甲は分厚いですが、ヘラクレスの弓ならば撃破は可能です
無理は承知でお願いします、敵の目を惹き付けてくだされば――必ずや、打ち砕きます

見晴らしのいいビルの屋上にて待機
理性を失った直線的な動きは【見切り】易い
強化された【視力】で狙いを定め、星辰の強弓を引き絞り――解き放つ
穿て――!



●巨いなる力
「天来せよ、鋼の大英雄(ヘラクレス)!!」
 オリヴィア・ローゼンタールの背後に、スーパーロボットが降り立った。
 大いなる英雄の名を冠した、オリヴィアの手足となりし鋼の巨人。
 その手に担うは『巨神射殺す星辰の強弓』、キャバリアなど一撃で仕留められよう。
「……戦士団の皆さん、無理を承知で頼みたいことがあります」
 オリヴィアは、ヘラクレスの威容に息を呑む戦士たちに告げた。
「敵は理性を失い、疾く動くものに反応します。完全な暴走状態にあるのです。
 いかなヘラクレスといえど、猛攻をかいくぐっての反撃は……至難でしょう」
「……つまり、我らが彼奴らの目を引き付ければよいのだな?」
 意を汲んだ戦士の言葉にオリヴィアは瞠目し、こくりと頷いた。
 戦いに命を賭ける者同士、それ以上の言葉は不要だった。
「任されよ。あなたならば必ず、彼奴らを討ち滅ぼしてくれるはず」
「もちろんです――この生命に賭けて、必ず」
 オリヴィアは戦士たちの勇気に敬意を払い、戦士たちは彼女の力を信頼した。
 猟兵も何もない。ここにあるのは、心を結んだ戦士の絆である。

 そしてオリヴィアはヘラクレスに乗り、高い瓦礫の上に登った。
 高層ビルめいてそびえる瓦礫からは、周りの景色がよく見える。
 周囲の瓦礫を薙ぎ払いながら暴走するキャバリアの姿も。
 ……キャバリアを誘い込むために、全力で抗うティナーたちの姿も。
(理性を失った直線的な動き……あれなら、狙いをつけるには申し分ない)
 オリヴィアはヘラクレスの片膝を突き、ぎりぎりと強弓を引き絞った。
 相対距離が近づく。ティナーたちもまた猛攻に追い詰められる。
 5秒、4秒、3秒――射程距離に入った瞬間、オリヴィアはその目を見開いた!
「穿て、星辰の強弓――ッ!!」
 暴走キャバリアの魔手が、ティナーたちの眼前に迫った、刹那。
 引き絞られ解放された矢が、暴走キャバリアのコクピットであった核を貫く!
 暴走キャバリアは悶え苦しみ……膨れ上がり、そして爆ぜた!
 あとコンマ5秒射撃が遅れていれば、ティナーたちは無事では済まなかったろう。
 わずかなチャンスを逃さぬオリヴィアの慧眼が、彼らを救ったのだ。
「お見事です、戦士団の皆さん!」
 遠く響くオリヴィアの声に、一息ついた戦士たちは歓声で応えた。
 しかし、オリヴィアは表情を引き絞る。まだ、敵は片付いたわけではない。
「すべて射殺してみせましょう。このヘラクレスと、私の目で!」
 邪悪なる敵を滅殺するため、聖少女は新たな弓を番える!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】

どいつもこいつも、やる気だけはあるみてーだな
あのクソアバズレ、早いとこ殺しておくべきだったな…クソが
オーケーオーケー、いつも通りにやろう
コンディンションが悪かろうが、やれるだけやるのさ
そうだろ?野郎ども

全体の指揮は俺に任せろ 望みは叶えてやるから安心しな
まずは戦士団の連中と匡のキャバリアを【ハッキング】でブースト
『Perfect Control Operate』で戦術指揮を開始だ
ネグルの領域に入った奴を優先的に仕留めろ!火力を集中させて一体ずつだ!

おおっと、敵キャバリアに暴れられるのはナンセンスだ
武装のシステムに【ハッキング】 動作不良を起こしてやる
さぁさ、匡が盛大に暴れるぜェ!


鳴宮・匡
【アサルト】


手札が限られた戦いなんていくらでもあるだろ
たまには楽してな、気に病むようなこともねーよ

キャバリアを運用して前線維持と主攻撃役を兼ねる
機体を使えばいつもより知覚精度は落ちる――けど
こいつには生身の俺にない利点がある

うちの“魔術師”の恩恵をフルに受けられるってことだ

ハッキングによる機能向上である程度齟齬は埋まるだろう
加えて文字通り鋼の身体だ、継戦能力はいつもの比じゃないぜ
――武装なら幾らでも作れるしな

地形を利用して一度に当たる敵の数を調整しながら
“影”を利用して「キャバリア用の兵装」を形成
状況に応じて銃器の形状を変えて立ち回るよ

手段が違ったってやることは変わらないんだ
いつも通り行こうぜ


ネグル・ギュネス
【アサルト】
今の俺に出来ること、出来ないこと
それを踏まえてプランを遂行する他無い
と言うわけで、仕掛けたら即隠れて銃撃戦に回る

….あと、居住区の人がいるかもだから、護るのはやめたくない、から
(今の俺では、厳しい願いだと解っていても)

──ッそったらぁ!来いやブリキ共!猟兵は此処にいっぞ!

銃を構えて光線乱れ撃ち/当たる必要はない
ヘイトを稼ぎ此方に来い、来い、来──【電霊領域】起動!

噴射気味に飛び退きながら、領域に敵を沈め、精度を落とす
あとは二人に任せながら、迷彩で姿を消しながら、銃で応戦する

装甲もトリガーも無い、半分は人並みで擦っても死ぬかもだし
怖いし、めちゃくちゃ震えてる

でも、だけど、それでも。



●"いつもどおり"に
 きっかけは、アポカリプスヘルでのある事件だった。
 強大なるレイダーの作り上げた人間牧場を破壊し、奴隷を解放する。
 呉越同舟の作戦に参加したネグル・ギュネスは、狂的なまでの怒りに突き動かされた。
 ただ怒りのままに力を振るい、壊し壊し壊し――そして、ついには。
「……くそっ」
 ネグルは、戦う力(トリガー)を失った。
 今の彼は、ただ半身が機械化された程度の、それだけの男でしかない。
 鋼で己を鎧い、勇猛果敢に敵に挑むことなど、出来なくなってしまったのだ。
 それが、無理矢理に敵を破壊し続けた愚行の代償。
 仲間が戦っているというのに、前に出ることも出来ない。苦しみと痛みが。
「…………」
 銃を持つ手が震える。震えを殺すように、ぐっと手で手を握りしめる。
 強く強く――力を込めるネグルの脳裏に、相棒の言葉が蘇った。

『手札が限られた戦いなんて、いくらでもあるだろ』
 己を見つけたときと同じように、鳴宮・匡はそう言った。
 ぶっきらぼうで、何の感情も乗っていないように思える声音。
 けれども、ネグルにはわかる……匡なりの心遣いと、呆れと、様々な感情を。
『コンディションが悪かろうが、やれるだけやるのさ。そうだろ? 野郎ども』
 と、ヴィクティム・ウィンターミュートがおどけてみせた。
 頼もしいものだと思う。そして同時に、申し訳なくもある。
『……たまには楽してな。気に病むようなこともねーよ』
 相棒に肩を叩かれ、ネグルは何かを言おうとして、結局言えなかった。
 彼が言おうとしたことは、ふたりにはとっくにわかっているだろうから。
 その信頼に甘えてしまう自分が情けなくて、ネグルは歯がゆかった。

 ――BRATATATA! BRATATATATATAT!!
「数が多いな」
『なあに、把握できてる。問題はあの暴走キャバリアだ』
 ERT-0004、コードネーム"ディンゴ"のコクピット内。
 匡はヴィクティムと通信しながら、高速飛行するキャバリアを次々に撃ち落とす。
 機体を使う以上、知覚精度が落ちてしまうのはどうしようもない。
 だが今の彼には……"魔術師"の目と耳と、そして指先が味方していた。
 普段のニューロンリンクは、あくまで独立した三者をつなぐためのものである。
 キャバリアという機械は、アブソーバーであると同時にヴィクティムの手足だ。
 匡の目とヴィクティムの電脳魔術が、ディンゴという交差点で融合する!
『奴が暴れそうになったら武装をハッキングして、俺が動きを止める』
「ああ、わかった。そいつは戦士団がやってくれるだろ」
 匡の仕事は、上空アドバンテージを得ようとするキャバリアの撃墜である。
 クロムキャバリアと違い、この世界ではキャバリアは自在な飛行を可能とする。
 亜音速のスピードで頭上を飛び回られたら、鬱陶しいどころの話ではない。
 今のネグルでは、それほどのスピードの敵を捉えることは出来ないだろう。
「いつも通りだ。気楽に行こうぜ」
『俺は心得てるがね。アイツはどうだろうな?』
「……心配ないさ。あいつだって、素人じゃないんだ」
 匡は影によって巨大なキャノン砲を形成し、上空のキャバリアを撃墜した。
 自動修復機構を備えた機体でも、大火力でコクピットを貫かれれば終わりだ。
 大穴を穿たれたキャバリアは、空中で悶え苦しみ爆散した。

 キャバリア部隊が目指す先は、匡やヴィクティムの潜伏地点ではない。
 あちこちを駆けずり回り、牽制を仕掛けてくるネグルである。
「来いやブリキども! 猟兵は、此処にいっぞ!!」
 BRATATATA! BRATATATATAT!!
 ネグルを襲うガトリング砲。今の身体で受ければ間違いなく四散するだろう。
 ネグルは強化された反射神経でギリギリを見切り、哀れな羽虫めいて飛翔する。
 なんと無様で、醜く、そしてぎこちない戦い方だろうか。
 トリガーさえあれば。
 装甲さえあれば。
 申し訳無さ、不甲斐なさ、苛立ち、悲しみ――焦燥ばかりが募る、しかし。
(それでも相棒は、ふたりは俺に戦うことを許してくれた。なら……!)
 "いつもどおり"に。
「こっちだ! かかってこいポンコツども! 俺ひとり殺せないか!?」
 全力で敵のヘイトを稼ぎ、囮となり、恐怖を押し殺して攻撃を誘う。
 信頼がある――こちらに向けられた砲口が命を刈り取るより先に、相棒たちがやってくれるはずだと。
 匡もヴィクティムも、その信頼によく応えた。彼らはチームだからだ。
『一体ずつだ、火力を集中させろ! 戦士団、突撃だ!』
 ヴィクティムの指揮のもと、協力を約束したティナーたちがキャバリアを襲う。
 暴走キャバリアは、タフではあるが動きが単調であることが弱点だ。
 ヴィクティムの統率で強化されたメガリスボーグの力が集まれば、装甲は脆い。
 上空に集まるキャバリア部隊は、まるでハゲタカのようだった。
 匡の作り出したスナイパーライフルが、一機、また一機と敵を撃ち落とす。
 いつもどおりに。
 いくつもの強敵を討ち倒してきた三人だからこそできるコンビネーション。
『さぁさ、暴れる時間だぜ匡! 盛大にやってやりな!』
「ああ。――いつもどおりに、片付けるよ」
 弾丸が敵を穿ち、撃ち落とす。
「……そうだ、俺だって、負けていられない」
 震える拳を抑えながら、ネグルは強がって笑みを浮かべた。
 仲間が居る限り、たとえ震えながらでも、彼は戦場に立てる気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
SPD
アドリブ共闘歓迎

やあ、ティナー、いい戦艦(トコロ)だね
ボクにも協力させて?

彼らの協力を仰ぎつつ、
生きているカメラやセンサー、設備を掌握して
マッピングや妨害を仕掛けよう
(情報収集、偵察、ハッキング、ジャミング)

市街戦なら、『イルダーナ』の方が小回りが効く
死角から【独創・術式刻印弾・脆弱】を撃ち込み、
地形を縫うように接近し、弱点部位へ『セブンカラーズ』の銃弾を撃ち込む
(操縦、推力移動、地形の利用、スナイパー、零距離射撃)

制御系なり、動力系なり、核となる部分を一点集中すれば
思うように動けないでしょ

通らせてもらうよ
今を生きるティナー達の明日の為に!


カタリナ・エスペランサ
ま、オブリビオンを狩り尽くす事に変わりは無いんだ
レディ・オーシャン、特段面倒な個体を滅ぼす足掛かりだと思えば悪くはないね?

奇襲に適した地形も都合が良い
《空中戦》の三次元的な機動力で《地形の利用》。《目立たない》よう遮蔽に姿を隠す一方で《歌唱+誘惑+催眠術》の歌声を響かせ《存在感》を発揮、敵を《おびき寄せ》て隙を作るよ
《ブームの仕掛け人》技能で集団全体の動きを誘導して殲滅の効率を上げる。大事なステップだね

誘い出した敵には【架空神権】を発動して《暗殺+騙し討ち+先制攻撃》
事象の侵蝕・改竄に特化した《ハッキング+属性攻撃》の黒風に包み、分子間の結合力を弱める事でキャバリアごと崩壊させて仕留めようか


ルヴトー・シフトマン
ようやく平和にしたと思ったら、今度はこれか
イナゴじみた連中が居るようだな…ムカつくぜ
いいだろう、そこまで喧嘩を売りたいなら買ってやる
狼の怒りを買うことがどれだけ愚かか、思い知れ

よし、戦士団の連中は集まれッ!
この場の戦闘は俺が仕切らせてもらう!
我が物顔で侵略するカスどもを潰したいか!
連中の蛮行を許さねえという気概はあるか!
あるのなら怒りを燃やせ!連中に思い知らせろ!
ここは俺達の場所だッ!行くぞォッ!!

<烈震砕牙>の柄を伸ばして突撃だ
キャバリアの群れを薙ぎ払い、道を切り開く
戦士団への攻撃は、2秒先の未来視で【見切り】
<飛天揺光>で撃ち抜いてインターセプトし、カバーする
一機たりとも残すんじゃねえぞ!



●ブリキの山を越えて
「戦士団の連中は、俺のもとに集まれッ!」
 ルヴトー・シフトマンは愛機『天狼』の掌の上に立ち、叫んだ。
 有無を言わさぬそのカリスマが、ティナーたちを駆り立てる。
「この場の戦闘は俺が仕切らせてもらう……機狼衆頭目として、猟兵としてだ!
 今だけでいい、俺の声に、言葉に! お前らの力を貸してくれッ!!」
 もとより、ティナーたちが猟兵に協力をしない理由はなかった。
 だが覇気に溢れたルヴトーの言葉は、戦士たちをさらに強く鼓舞する。
「我が物顔で侵略するカスどもを潰したいか!
 連中の蛮行を許さねえという気概はあるか!!」
「当然だ! ここは我らの島だ、我らの手で取り戻さねば!」
「大いなるメガリスを簒奪せんとする輩に、鉄槌を食らわせねばならぬ!」
「ようし……あるのなら怒りを燃やせ! 連中に、その怒りを思い知らせろ!!
 ここはお前たちの場所であり、俺たちの場所だ。今から俺たちは一つになる!!」
「「「……!!」」」
「平和にかこつけて不埒をやらかすイナゴどもを、この手でぶちのめすときだ!
 狼の怒りを! お前らメガリスの戦士の怒りを!! 叩きつけてやろうじゃねえか!!」
 ルヴトーは大きく息を吸い、大気をビリビリと震わせるほどの声量で叫んだ。
「行くぞ、野郎どもォッ!!」
「「「――おおッ!!」」」
 ルヴトーの熱が戦士たちに伝わる。ルヴトーはにやりと笑い天狼に飛び乗った。
 住む世界も、暮らす場所も、育ってきた文化も何もかも違う狼と戦士たち。
 それがいま一心同体となって、我らの住処を占有する外道どもに戦いを挑む!

「はは、ずいぶん威勢のいいことだ。あれならチームワークは心配なさそうだね」
 空から彼らの出撃を見下ろしていたのは、カタリナ・エスペランサ。
「なら、アタシもアタシの仕事をするとしよう。風よ!」
 カタリナが虹色の翼を羽ばたかせれば、羽ばたきが黒き風を生む。
 それは物理法則を書き換え、敵を害し味方を助ける『架空神権』である。
 事象をも侵蝕・改竄する超常の黒風が、瓦礫の合間を吹き抜け島を包み込む!
「さあ、アタシはここだ! 敵はここだよ、ブリキ仕掛けのキャバリアども。
 アタシを落としたいなら、総出でかかってくることだ。もちろん全力でね!」
 島の端々まで続く不可思議な歌声が、挑発的に響き渡った。
 すると甘い香りに誘われるように、多種多様なキャバリアが戦艦から出現する。
 そして弾幕! BRATATATA! BRATATATATAT!!
「あっははは、遅い遅い! この程度の弾幕でアタシを撃ち落とすって!?」
 カタリナは敵の攻撃を三次元的な機動力で躱し、もっとよこせと嘲笑った。
 強がりではない……カタリナには、それだけの超特記戦力が秘められている。
 さらにその声は幻惑的な歌声となって、キャバリアの連携を乱すのだ。

「さっそく始まってるね……この風のおかげか、ハッキングの調子もいいや」
 同じ頃、リア・ファルも愛機『イルダーナ』を駆り、空を舞っていた。
 戦艦のAIである彼女は、沈黙した島の設備をハッキングするという手段で、様々な『目』すなわちカメラやセンサー類を支配し、状況を逐一把握している。
 もちろん、それらの情報を同じ戦う猟兵たちに送るのも忘れていない。
 こうした戦況の把握、そして連携のサポートこそ、リアの得意とするところ。
「っと、ボクのほうにも追手がついたか……!」
 リアの背後、高速機動型のキャバリアがぴったりとイルダーナに続く。
 照準が定められたことを、リアはセンサーから把握していた。そして、BLAM!
「おっと!」
 直撃すれば爆砕確実の強力なパルスライフルを、リアはギリギリで回避。
 瓦礫を利用して敵の射線を切りながら、振り返りざまに魔銃を抜き放つ!
「敵構造、解析完了――キミの弱点は、そこだ!」
 BLAMN!! 急所を撃ち抜かれたキャバリアは、大きく体勢を崩した。
 そのスピードゆえに瓦礫を回避できず……KRA-TOOOOM!! 盛大に爆発!
「クロムキャバリアのオブリビオンマシンと違って、こっちはパイロットもオブリビオンなのか……人名救助を考慮しなくていいのは、喜ぶべきなのかな……」
 妙な居心地の悪さに顔を顰めるリア。顔を振って、思考を切り替える。
「いや、そんなことを考えてたらボクが落とされるな。もっと集中しないと。
 それに、ティナーのみんなも支援しておきたいところだし。合流を急ごう!」
 リアは背後からの攻撃を躱しながら、猟兵たちのもとへと急ぐ。

 三人は、戦艦に突入するためのいわば「正面玄関」でかちあうことになった。
「牙を! 爪をッ! 研ぎ澄ませ!! 行くぞォオオオッ!!」
『烈震砕牙』を戟よろしく掲げた『天狼』が、戦士団の先頭を走る。
 強力な矛で立ちはだかるキャバリアを薙ぎ払い、狼が獲物の肉を食いちぎるように活路を拓くのだ。
 ルヴトーの視界に映るのは、現在から約2秒先の未来である。
 こうした鉄火場にある時、彼の視界は現在から未来へ"シフト"するのだ。
(左翼に敵伏兵か! 嘗めた真似しやがって!)
 ルヴトーは天狼を転回させ、不意打ちに対応しようとする。
 しかし彼の『飛天揺光』が瓦礫を撃ち貫くまえに、隠れていたキャバリアが爆砕!
「伏兵のことは任せておいて! こっちで検出すれば対処は可能だよ!」
 リアである。フォトンスナイパーライフルによる見事なスナイプ!
 ハッキングしたセンサーを通じて不意打ちを察知していた彼女が、敵キャバリアの動力部を狙撃して一足早く破壊したのである!
「……助かります!」
「どういたしまして。猟兵は助け合いだからね!」
 リアは礼儀正しいルヴトーの感謝の言葉に、ウィンクしてみせた。
 彼らと戦士団を守るように、カタリナの生み出す黒い風がごうごうと渦巻く。
 愚かにもそれに触れたキャバリアは、駆動系を破壊され自爆するのがオチである。
「オブリビオンを狩り尽くすことに変わりはないんだ。派手に掃除といこうか!」
「掃除か……いいですね、言い得て妙だ。全機! 叩き潰してやるッ!!」
 ルヴトーは発奮し、鬼神の如き勢いで自己修復キャバリアを叩き潰した。
 怒りに駆られた天狼の破壊力は、修復速度よりも早く敵機体を粉々にしてしまう。
 矢継ぎ早の爆炎が瓦礫を照らす。誘蛾灯に群がる羽虫めいて新手!
「4時方向から5機、それと7時方向から4機! どれも高速機動型だ!」
「アタシが翻弄してあげよう。その間に攻撃を!」
「「了解!」」
 カタリナが縦横無尽に空を飛び、集まってきたキャバリアを一点に集める。
 そこへ、リアとルヴトーの同時射撃! 戦士団のメガリス攻撃も重なる!
 KRA-TOOOOM……連鎖爆発が太陽のごとく戦場を照らす。趨勢は一目瞭然だ!
「猟兵たちが味方についている、臆するな!」
「我らは戦士だ! 進め進め進めぇ!!」
 戦士たちも鬨の声をあげ、地獄じみた戦場をまっすぐにひた走る。
「そうだ、止まるな! 敵はあそこだ! 必ずぶっ潰すぞォ!!」
 猛る天狼を旗印に、一団は怒涛となって戦艦へとなだれ込んだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『シーシアス・アヴァリシア』

POW   :    我が武器は勝利の剣、天之麻迦古弓、アスカロン
自身の【顔の仮面と体の宝石のメガリス】が輝く間、【剣と弓や換装した斧、盾、槍等のメガリス】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    我が光はファントム、ドラコナイト、スヤマンタカ
装備中のアイテム「【体を構成する全てのメガリス】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    我が衣はメロウの帽子、パランギーナ、イージスの盾
【今の相手には役に立たなさそうなメガリス】を脱ぎ、【相手に極めて有効なメガリスで構成された体】に変身する。武器「【新たなメガリス(形状、名称は毎回変わる)】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

イラスト:タヌギモ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シャイニー・デュールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●戦艦『ニアナイス』コアルーム
 かつてこの戦艦は、おそらく銀河帝国の擁する船だったのだろう。
 その証拠に、船内空間はウォーマシンを前提とした非常に広大な空間である。
 キャバリアでも自由に行動できるほどの……まさしく弩級戦艦だった。

 その戦艦の、忘れ去られたコアルーム。
 普段であれば、一年を通じて祭祀の時以外に立ち入りを許されぬ神聖な場だ。
 そこに、メガリスを人型に繋げ合わせたような怪人が立っていた。
「……惜しいところだった。戦艦起動まではあと少しだというのに」
 男か女か、そもそも生物なのか、あるいは無機物だったのか。
 いかなる存在にもカテゴライズ出来ぬもの、『シーシアス・アヴァリシア』。
 そいつ……いや、それ……は、微動だにしないままぐるりと反転する。
 超常的な力で浮かぶ銅像が回転したような、不気味な動きだ。
「私はなんとしてもこの船を手に入れる。お前たち猟兵の拠点を襲うために。
 グリモアベース侵略のための発進(テイクオフ)を、邪魔させるわけにはいかん」
 シーシアスはすさまじいエネルギーを放つ『ブリキ男の心臓』をその手に掴んだ。
 そして無造作に体内に取り込む……放出される七色の波動!
「宝が欲しくば私を滅ぼしてみせよ、猟兵。この『シーシアス・アヴァリシア』を!」
 メガリス収集の欲に取り憑かれた愚か者の末路が、猛烈な殺気を放った。
 意気軒昂の戦士団とともに、変化し続ける強敵を撃破せよ!
アルトリウス・セレスタイト
服の趣味は悪いようだな

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

魔眼・封絶で拘束
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
メガリスも選定と起動からやり直しだ

動き出すところを捉えて拘束しつつ近接して打撃で攻勢に
纏う原理を無限に回し、自身を無限加速
無限量の圧と破壊の原理を乗せて撃ち込む
万象一切を終わりを刻む破壊の原理に例外はない
メガリスも本体も関係なく砕く

せめて囀った分くらいの意地は見せてみろ

※アドリブ歓迎



●魔眼VSメガリス
 音もなく風もなく、滑るようにしてふたりは動いた。
 シーシアス・アヴァリシアと対峙するのは、アルトリウス・セレスタイトである。
 あちらはメガリスのなんらかの力で、こちらは謎めいた"原理"の力で。
 単なるエネルギーとは異なる推力を得て、空中を舞うように敵へ近づく。
「シャイアンの12の盾よ、私を守れ」
 シーシアスの身体から12個のメガリスが剥がれ落ち、周囲に展開した。
 これは12枚でひとつのメガリスであり、ひとつが欠けてもすぐに再生する。
 使用者の周囲を死角なく守り、攻撃に対して炸裂するという、いわば空中浮遊するリアクティブアーマーである。
 アルトリウスは小手調べがてら打撃を放った。一枚の盾が拳を受け止め破砕。
 他の盾は使用者を守りつつ、攻撃者を囲むことで死角を強制的に作り出す。
 シーシアスはその一瞬で、アルトリウスの側面を取っている!
「服の趣味は悪いようだな」
 アルトリウスは視覚に依らない感覚によって、敵の接近を察知していた。
 盾の隙間から突き出されたレイピア状メガリスの攻撃を、首を傾げるように躱す。
 蒼い視線がシーシアスを捉える――その眼差しに、敵は不穏を感じた。
 とっさに視線を盾が遮ると、再生した12枚の盾は輝きを失いごとりと落下した。
「これは?」
「終わりだ」
 アルトリウスはシーシアスの困惑を見逃さず、盾を踏み砕きながら接近。
 魔眼の力で敵の回避を妨害し、同時に核を狙った拳をまっすぐ繰り出す。
 シーシアスは片腕を犠牲に打撃を受けた。黄金のメガリスで構成された腕が砕け散る!
「封絶の魔眼か……なるほど」
 シーシアスは別のメガリスを装備(ロード)して対抗しようとした。
 しかし、そこで気づく。攻撃で叩き込まれた魔力により、メガリスの召喚が出来ない。
「私自身の変身も封じているのか……!」
「せめて囀ったぶんの意地は見せてみろ」
 続く拳を受けるのではなくいなす。その動きもやはりぎこちない。
 趨勢は圧倒的にアルトリウスが有利だ。メガリスをも封じる魔眼の力たるや。
「この程度で、私は斃れるわけにはいかん……!」
 シーシアスは使命感を燃やし、アルトリウスの攻撃に喰らいつく。
 衝撃で盾は完全に砕け散り、パーティクルのように戦場をきらきら舞い踊った!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
そもそもグリモアベースを襲おうとしたのが、純粋な戦闘じゃ猟兵の集団に敵わないと思ったからじゃないのかい?
なら、足止め失敗してこうなった時点で、もう詰みだと思わねぇ?。
なんて煽って感情的になれば楽なんだけど。表情とかわからねぇな。

手数が増えるってことは、連撃だろうが同時攻撃だろうが技の起こりは察しやすくなる。
ある程度のダメージは仕方ないが遠距離攻撃で致命傷を受けないように近づいて、UCで攻撃する。
持久戦って言うなら、ずっと燃やしつくしてやるさ。あぁ、着脱可能なんだっけ?脱げばいいじゃないか、理性を失うらしいけど?
理性を失おうが、そこで迷おうが、俺は更に攻撃も見切りもしやすくなるからね。



●炎のように揺らめいて
 ゼイル・パックルードは、シーシアス・アヴァリシアに皮肉の笑みを見せた。
「そもそもさ……グリモアベースを襲おうとしたのは直接戦闘を避けるためだろ?
 純粋な戦いじゃ猟兵の集団に敵わないって、認めてるようなものじゃねえか」
「…………」
「なら、足止め失敗してこうなった時点で、もう詰みだと思わねぇ?」
 ゼイルの言葉は、シーシアスを挑発し冷静さを失わせるための策だ。
 図星を突いた見事な皮肉だが、シーシアスの様子に変化はない。
「……グリモアベースが、お前たちの生命線であることに変わりはない」
 シーシアスは静かに言葉を返した。
「大局的な戦闘で勝ち目がないことは認めよう。だが我らには時間という利がある。
 お前たちは、対処療法的に動くしかない。それもまた事実ではないか、猟兵?」
「そうだな」
 ゼイルは端的に認めた。彼は問答そのものに興味はないのである。
(ま、表情もわからねぇんだ。そう簡単に感情的にゃならないか)
 心のなかであっさりと認めると、ゼイルは殺気を放出した。
「ならさっさと殺し合おうぜ。言葉は無駄だ」
「――いいだろう」
 彼らの本分は舌戦ではない。殺し合いだ……!

 先手を仕掛けたのはシーシアスだ。その手にはレイピアめいた形状のメガリス。
「唸れ、王殺しのベリサルダ!」
 仮面めいた頭部が輝く。ゼイルは四肢を切り落とされた己の姿を幻視した。
「そっちから近づいてきてくれるのは嬉しいね」
 ゼイルは防御を諦め、あえて間合いに踏み込むことで超高速斬撃を殺した。
 ベリサルダの鋒が肩肉を抉り、血が噴き出して燃え尽きる。
 ゼイルの身体に流れる血は、それ自体が地獄の炎を燃やすオイルだ。
「果てな」
 ダメージを意に介さぬゼイルの一撃が、シーシアスの胴体を串刺しにした。
 刃を伝い燃え移った地獄の炎が、シーシアスを苦しめる。筆舌に尽くしがたい苦痛。

 ――ただしそれは、シーシアスが人間あらば、の話である。
「己の傷をも恐れぬとは、それがお前たちの強さか……」
 シーシアスは己を燃やす炎纏う刃を握りしめ、ベリサルダを振り上げた。
 痛覚を持たないメガリスボーグだからこその無茶だ……しかし。
「どうせならもっと足掻いてくれよ。起こりが見え見えだぜ」
 振り上げた剣ごと、腕が身体を離れて宙に舞った。
 ゼイルの武器はひとつではない。彼は、手数で負けても正確さと向こう見ずさで敵の上を行く。
「その身体、生半可に攻撃しても再生する……いや、着脱出来るんだろ?
 ならいくらでも脱ぎ捨てればいい。持久戦も短期決戦も、どっちでも付き合うぜ」
「……!」
 ゼイルは串刺しにしたままの刃を横薙ぎに振るい、敵の胴体を両断した。
 シーシアスが次のメガリスを装着するより、彼の炎と斬撃のほうが疾い!
 まるでそれは、揺らめき燃え盛る炎のように、淀みなく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
グリモアベースを侵略などさせはしない!

ヘラクレスに【騎乗】したまま
鋼の脚で吶喊する(ダッシュ)
あれもこれもと無節操に求めた成れの果て
身の程を越えた欲望の行き着く先ですね

次々と繰り出される武器を強化された【視力】で【見切り】、【受け流す】
メガリスの専門家たるメガリスボーグ戦士団の方々に、敵メガリスの特徴を教えてもらい、より効率的に捌く
強い武器を求めるは戦士の性、しかし扱うに足り得る己の技量を磨きましたか?

拳の届く範囲に捉えれば、【怪力】の【極鋼爆裂拳】でメガリス装甲ごと粉砕する(鎧砕き)
打ち砕け、ヘラクレス!



●戦士のサガ
 猟兵の攻撃で真っ二つになったシーシアス・アヴァリシアの身体が、砕けた。
「これは……!?」
 砕けたメガリスの破片が浮かび上がり、オリヴィア・ローゼンタールは驚愕する。
 渦巻くメガリス群の中心にあるのは、脈動する『ブリキ男の心臓』だ。
 心臓は白熱してプラズマを放射し、枝葉めいた電光がメガリスと繋がる。
 すると電弧の繋がったメガリスもまた光り輝き、心臓に引き寄せられていく!
「なんたることか……奴は自らの身体を構成するメガリスを作り変えている!」
 ティナーのひとりが叫んだ。
「メガリスをメガリスで変性させるなど、我らの心臓にはこのような力が……!?」
「……いえ、おそらくはあれが、シーシアス・アヴァリシアの力なのでしょう」
 オリヴィアは戦士の言葉を否定し、顔を顰めた。
 引き寄せられたメガリスは変性しあるいは分裂し、その数を倍にしていく。
 身の丈もまた倍近くに膨れ上がり、感情なき瞳ヘラクレスを睨めつけた!
「この船は……必ず戴いていく……!!」
「グリモアベースを侵略など、させはしない! この船も奪わせない!!」
 ヘラクレスが駆ける! 変身を終えたシーシアスは大きく両手を広げた。
 するとそれぞれの五指が変形し、合計で十本のメガリスが生える。
「あれもこれもと無節操に求めた成れの果て、身の程を越えた欲望の行き着く先……なんと醜い」
 シーシアスはメガリス武器を生やした両腕で、ヘラクレスを叩き潰そうとする。
 サイズ差はまだこちらが上だ。ヘラクレスは両腕で掌を受け止めた!
「この鋼の大英雄の力に、対抗するとは……!」
 恐るべき力の激突により、両手指に生えたメガリス武器は耐えきれず崩壊した。
 オリヴィアはさらに一歩踏み込もうと操縦桿を押し込む……が、しかし!
「吼えよ、ゴグマゴグ……!」
「!!」
 シーシアスの胸部にいびつな巨人の顔らしきメガリスが生えた。
「『ゴグマゴグの死面』! 巨人の咆哮を光線として放つ自律型のメガリスですぞ!」
 その意味するところを即座に理解したオリヴィアは、接近を諦め垂直跳躍。
 直後、吼えたける巨人の口蓋から、分厚いレーザーが放たれ艦壁をぶち抜いた!
「直撃していれば危ないところでした……しかし!」
 ヘラクレスの背部バーニアが燃え上がり、機体を斜め下へと押し出した。
 水面の獲物を狙う猛禽めいた鋭い滑空! ヘラクレスは敵を射程内に捉える!
「強い武器を求めるのは戦士の性、しかし扱いに足る己の技量を磨きましたか?」
「猟兵……!」
 肘あたりまで崩壊したシーシアスの両腕が、巨人の顔面に変じた。
『ゴクマゴグの死面』は、このように身体のあらゆる部分を兵器に変えられる。
「我らを忘れるなよ、盗人め!」
 しかしそれを防いだのは、オリヴィアに鼓舞された戦士たちであった。
 急激な変形で脆くなったシーシアスの両肩が、戦士団の攻撃により爆砕!
 レーザーを放つはずだった両腕の死面は、断末魔をあげて本体から脱落する!
「何……!」
「お見事です、戦士団の方々!」
 オリヴィアは快哉めいて彼らを称賛する。
 強い武器、強い力を求めるのは戦士の性。どうしようもない本能だ。
 しかし戦士の本懐とは、ただ強くなることにあるのではない。
 己の譲れぬもののために、強大な敵に挑み、勝利を掴む。
 勇敢なる戦士の生き様こそ、戦詩(サガ)となって歴史に刻まれるのだから。
「打ち砕け、ヘラクレス! 戦士の意地にかけてッ!!」
 落下速度を乗せたヘラクレスの拳が、最後の加速を伴い叩き込まれた。
 極鋼爆裂拳(デトネーション・メタルフィスト)が、シーシアスに炸裂する!
「オオオオオ……ッ!!」
 龍すらも打ち倒す戦士の拳を喰らい、シーシアスの全身に亀裂が走る。
 ティナーたちは確信した――自分たちは、大いなるサガの中に身を置いているのだと。
 この戦いを見届け、猟兵たちの勇姿を語り継ぐことこそ、我らの役割なのだと!

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
宝、ね。未来をそれに準えるのも悪くはないか
此処で墜ちて貰うよ、オブリビオン!

使うUCは【神狩りし簒奪者】
必須でなくとも敵UCを潰せば流れを傾けられるのは間違いないし、それ抜きでもこの三種の《属性攻撃》は対応力に長ける
今回みたいな相手なら猶更ね!

まず《早業+先制攻撃+クイックドロウ》、最速の白雷槍による《属性攻撃+マヒ攻撃+貫通攻撃+串刺し+スナイパー》で撃ち抜き力を削ごう

敵がどんなメガリスでどう動くか《戦闘知識+第六感》併用で《見切り》先読み、《空中戦》の機動力と《破魔・怪力》の《受け流し》で攻撃に対処
異能封じの影鎖を本命に使いどころを見極めながら黒炎の嵐と白雷槍の《弾幕》で攻め立てていくよ



●炎雷の宴
「我が光はググマッツの宝玉……荒れよ、雷鳴!!」
 シーシアス・アヴァリシアの全身が、この世ならぬ輝きを迸らせる。
 瞬間、奴を中心に局所的な嵐が現出し、巨大なコアルームを暴風が襲った!
「な、なんという力! あのようなメガリスまで持っているのか……!」
「ググマッツ……創造神ククルカンの別名だね?」
 カタリナ・エスペランサの言葉に、戦士団のベテランが頷いた。
「伝説によれば、「ググマッツの宝玉」は風と雷を操る力を与えると言います。
 これこそまさにその証明……しかも奴はメガリスを共鳴させている!」
「なるほど、このアタシに風と雷で勝負とはね……面白いじゃないか!」
 カタリナはばさりと虹の翼を広げ、分厚い壁のような竜巻に戦いを挑んだ。
 鋼をも引き裂く烈風の牙がカタリナを襲う。だが、しかし!
「神の力はアタシの獲物! 魔神さえも降したこのアタシを浚えると思うな!!」
 カタリナの身体からも黒い炎の嵐が噴出し、無慈悲な暴風と喰いあった。
 風と風のぶつかり合いで、コアルームのあちこちに小規模の竜巻が複数生じる。
 もはやティナーたちでは踏み込めない領域……これは、神話の闘争だ!
「その力、神狩りの具現か。お前もまた「奪うもの」なのだな」
「キミと一緒にしてほしくはないね。なぜなら――アタシのほうが強い!」
 突き出したカタリナの片腕から、バチバチと電弧を迸らせる雷の槍が生まれた。
 白熱発光する槍は、ぶつかり合う風のヴェールを貫きシーシアスを串刺しにする。
 そして、爆裂! 耳を聾するすさまじい轟音が、大気を震わせる!
「ぬう……! カウストゥバの輝きよ!!」
 シーシアスの身体にまた新たな光が生まれ、爆砕によるダメージを再生する。
 猛烈なエネルギーは荒れ狂う風を吹き飛ばし、二人の間に真空を生み出した。
「もらった……!」
 カタリナは極限の真空に飛び込み、敵の影を異能封じの縛鎖に変じさせる。
 縛鎖がシーシアスの身体に絡みつくが、シーシアスは宝石の力で縛鎖の拘束に抵抗!
 カタリナもまた、真空がもたらすダメージと敵の放つ稲妻をその身で受け止める。
「簒奪者の縛鎖は、一度捉えれば獲物を絶対に離さないのさ……!」
「なんたる貪欲さ……この私を超える欲望の持ち主が居るとは」
「当然だろう? アタシたちはカルロス・グリードを討ち倒した猟兵だよ!」
 拮抗はカタリナの勝利に終わる。新たに生じた槍がシーシアスの身体を貫通!
 全身を余すところなく白雷の槍で貫かれたシーシアスは、黒炎に飲まれ今度こそ爆砕した……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

御門・白
……さて。
先ほどは私がやる、と白(もう)しましたが。
この状況で、止めても無駄
意気軒昂、血気盛ん。
……自分たちの世界で好き放題振る舞われているのだから、それも当然

牽制射撃で動きを抑えて
そう、告げながら霊的器官で接続していって

―――……手伝って、もらえますか。思念波を送り込んでいきます(道術)

ツクヨミで接近戦を仕掛ける
質量差は明白、牽制射があっては自由には動けないでしょう
私は、私に当たることを恐れずに前進

鬱陶しいでしょうね
大火力で、私も歩兵ももろとも吹き飛ばす、それが正解

……そして、間違い
囮は私です
泰山の主に祈り、騙し。死の因果を止めて

敵を砲撃が穿つ
ええ。囮は私
あの方々が主力です
油断、しましたね?



●誰が家を護るのか
 破壊されたシーシアス・アヴァリシアの身体が、変性を遂げる。
 メガリス同士の励起変異というありえない現象が、奴を巨大化させていく。
 もはやキャバリアの体躯を越えたシーシアスの眼光が、御門・白を見下ろした。
「……ツクヨミ」
 白は巨大なる敵に真っ向戦いを挑んだ。近づきながら牽制射撃で動きを抑える。
「鬱陶しい……!」
 シーシアスはマント型のメガリスを払い、射撃を遮った。
 もう一方の手に握りしめられているのは、ねじくれた樹のような杖だ。
「巨人杖グリダヴァルよ、我が敵を射抜け」
 杖の先端が激しく発光し、なんらかのエネルギー波が迸った。
 直後、ツクヨミの装甲が爆発する。光線? いや、攻撃予兆は一切なかった。
(攻撃と着弾に因果の存在しない概念兵器……なるほど)
 白は冷静に敵の攻撃を分析しながら、なおも無謀に前に出る。
 ツクヨミの装甲があちこち小爆発を起こす。それでも、彼女は止まらない。
「我らも続くぞ! この島は、我らの手で護るのだ!!」
 その背中に勢いを得た戦士団が、武器を掲げて彼女に続こうとした。
 白は考える――このままむやみに突っ込んでも、全滅するだけだ。
 止めるべきか、とも思案したが、それは二つの理由で却下する。
 ひとつは、彼らの勢いからして止めたところで無駄だろうということ。
 もうひとつは――己の住処を護ろうとする者たちに、無粋はすまいという配慮だ。

(――……自分たちの世界を、島を、護ろうという気持ちは理解できます)
 堰を切ったように突撃しようとした戦士団は、頭の中に流れる声に止まった。
 それは、霊的に接続した白からの、敵には聞こえぬテレパシーである。
(ですから――……手伝って、もらえますか)
「「「……!」」」
 ティナーたちは視線を交わし、頷きあった。答えはひとつきりしかない。
 思念波を受け取った白は、ほんの少しだけ笑みを浮かべ……さらに前進した!?
「愚かな。機体が破壊される前に私を叩くつもりなのだろうが……」
 巨人杖グリダヴァルの発光が強まる。エネルギーが明らかに増大している!
「ブリキ屋もろともに吹き飛べ。猟兵……!!」
 過程を飛ばして結果だけをもたらす死の光が、破滅という因果を結んだ。
 莫大なエネルギーが、コアルームの半分近くを一撃で消し飛ばした……!

 ――はず、だった。
「何?」
 シーシアスは訝しむ。今しがた見たはずの破滅の結果と現実の齟齬を。
 巨人杖の発光は不可解に衰滅し、もたらされるべき破壊は何も起きなかった。
「油断、しましたね。そしてあなたは、間違えた」
 即座に理解する。巨人杖の因果跳躍に、あちら側からの介入があったことを。
 ……然り、ツクヨミの本領は呪術戦にこそあり。
 因果に干渉する力を持つ白相手に、因果兵器を選んだ時点で間違っていたのだ!
「おのれ――」
 シーシアスは、ならば実弾兵器で攻撃してやろうとメガリスを取り替えた。
 一瞬の隙。そこに、戦士団の猛攻撃が雨のように襲いかかる!
「なん……だ、と……!?」
「囮は私。あの方々が主力です。この島は、あの方々の住処なのですから」
 シーシアスが万全を整えていれば、メガリスボーグの攻撃など歯牙にもかけまい。
 裏をかかれた驚愕と、白を抹殺しようと意識を集中させていたことによる間隙。
 そのふたつが、彼らの意地と怒りを貫き通す針の穴となったのだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
はいそうですか、と送り出してやる謂われもない
徹底して邪魔してやるさ

あんた達の大切なメガリスは必ず取り返す
取り返してもあんた達にダメージがあったら意味が無い
無茶な特攻なんてしてくれるなよ

ティナー達にコアルームの作りを事前に確認し戦闘

かりそめの記録を使用
弓矢に変化させた禮火と葬焔で先制攻撃
ダメージは軽微でもいい
一度当てればその先を多少有利に持って行けるはずだから

戦士団や船に
著しい被害がでないよう注意して立ち回りつつ
敵の攻撃は見切りと残像、UCで得た情報も利用して回避
回避する事で被害が出る場合は
その場にてオーラ防御で凌ぐ
以降は生命力吸収も攻撃に乗せていく

接近時には葬焔も禮火も本来の姿に戻して直接攻撃


アイソラ・グランホエール
倒すたびに復活して持久戦か…だけどティナーの皆さんもいるし、何とかなるんじゃないかな。(鎧姿のまま)
何回でも倒してやるさ。

【戦闘】
まずは敵の連続攻撃を見切り、剣での武器受け、鎧の厚い部分で盾受け、念動力を収束してオーラ防御などで凌ぐ。

ティナー達は周囲に散って遠距離攻撃をお願いしたい。あと、攻撃役は持ち回りにして間断なく。
連撃中に気が散るかティナー達を攻撃するなら、サイボーグの怪力でもって敵の武器を吹き飛ばしカウンターでUCを線形に圧縮した斬撃。
俺に攻撃を続けるならティナー達の攻撃が刺さる、と。

倒して復活するまでの間に…俺はサイボーグだからね。エネルギー充填して活動時間を延ばすくらいできるよ。


ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
AIは女性の声で敬語

これがメガリスボーグの成れの果てか。ここまでにはなりたくないものだ
グリモアベースには向かわせない、絶対にお前を倒す

SPDで判定
引き続キャバリアに搭乗して戦う
敵の攻撃は【ダッシュ】【早業】で回避したり、風の【結界術】で防御する
多少のダメージは【覚悟】して受ける
攻撃は指定UCを使用し、義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】を付与した弾丸を【スナイパー】【全力魔法】【鎧無視攻撃】で撃ちこんで行動を阻害、次の攻撃までの時間稼ぎ
それから橙の災い:爆破【爆撃】を付与した弾丸を同様に放ち攻撃する



●許されぬ旅立ち
 剣。槍。斧。槌……いずれも海では名の知れたメガリスなのだろう。
 それらを持つのは、すべてシーシアス・アヴァリシアの身体から生えた腕だ。
 すでに幾度もの復活を経たシーシアスは、そのたびに形態を変化させていた。
 いま猟兵たちの前に立ちはだかるのは、さながら千手観音めいた多臂の異形!
「ヘズワーク、ヴリグニルハの槌、ロアム、魔剣ディニ・ザ……」
 シーシアスの顔面と思しき部分が、メガリスと共鳴して強い光を放つ。
 瞬間、奴の巨体は霞んで消失し、メガリスボーグたちに襲いかかった!
「おっと。手を出すなら俺たちにしたらどうだい」
 眼前に割って入ったのは、鎧姿のアイソラ・グランホエール。
 掲げた腕で槌の柄を受け止めることで、速度が乗る前に勢いを殺す。
 残る腕の攻撃は、やや遠距離に立つ鈴久名・紡の放った矢が止めていた。
 突き刺さった矢はパキパキと凍りつき、メガリスを飲み込んで破砕する!
「す、すまない……!」
「あんたたちの大切なメガリスは必ず取り返す。
 ただ、取り返してもあんたたちにダメージがあったら意味がない。
 無茶な特攻なんてしてくれるなよ。奴の攻撃は、俺たちが必ず止める」
 紡は礼を言うティナーに言い、次の矢を番えてシーシアス本体めがけ放った。
 シーシアスは、気剣で接近戦を挑むアイソラの攻撃を弾き、わずかに後退。
 新たに身体から排出したメガリス武器で、紡の放った矢を切り落とす。
「これがメガリスボーグの成れの果てか……ここまではなりたくないものだ!」
 そこへ追い打ちをかけるのが、ルイス・グリッドのキャバリアである。
 紡とアイソラの反撃で怯んだところへ、加速を乗せたタックルが叩き込まれる!
「ぬ、う……!」
「銃を使わせてもらうぞ」
『メガリス、アクティブ。圧壊弾、リロード。撃てます』
 BLAMN!! ゼロ距離で撃ち込まれた弾丸が、義眼の災禍を発動した。
 被弾箇所を中心にブラックホールめいた局所的重力異常が発生し、そして崩壊。
 圧壊の呪いは空間そのものを押しつぶすことで、膨大なエネルギーを生み出す。
 カッ! と目を灼くほどの閃光がほとばしり、シーシアスは大きく吹き飛ばされた。

「奴は戦士団を危険視しているみたいだ。後方から援護をお願いしたい」
 アイソラは戦士団の面々に言うと、ルイスの機体と並ぶ形で前に出る。
「奴がそれでもティナーを攻撃するなら、そこを俺たちが攻撃すればいい。
 反対に俺たちを攻撃しにくるなら、後方からの攻撃が刺さる……ってとこかな」
 アイソラがちらりと視線を送ると、紡はこくりと頷く。
「さっきの立ち会いで、敵の攻撃タイミングと威力はだいたい分析できた。
 次はあんな真似は許さない。連撃などする暇もない勢いで妨害してやろう」
 紡のユーベルコード『かりそめの記憶』は、戦えば戦うだけ敵の動きを憶える。
 敵の回避を予測するのではなく、攻撃を知ることで間隙を突く変わった術式だ。
 シーシアスの連続攻撃はたしかに脅威だが、それゆえに隙が大きい。
 仮に奴がメガリスを新たなものに替えたとしても、効果は薄いだろう。
「……奴をグリモアベースに向かわせるわけにはいかない。絶対に止めないと」
 ルイスは新たな災いの弾丸……色によって効果を変えるそれは、「爆破」の効果を持つ橙を示していた……を装填しながら、静かに言った。
「はいそうですか、と送り出してやる謂われもない。徹底して邪魔してやるさ」
 紡はルイスの言葉に同意する。拠点の侵略など看過せざる事態である。
「自分たちの家を護ろうとするって意味じゃ、ティナーたちも俺たちも同じだよ。
 だからこそ、力を合わせて戦おう。奴は、決して斃せない相手じゃない」
 アイソラの言葉が、怯みかけていた戦士団に勇気をもたらした。
 噴煙の奥に、シーシアスの輝きが浮かび上がる……多腕にはやはり多数の武器!

「私は、必ずこの船を手に入れる。この心臓の力を我がものとして!」
 シーシアスの発光は顔面だけでなく全身に至り、コアルームを激しく照らした。
 どうやらこの光そのものが、なんらかの斥力を持つ力場であるらしい。
 先手を打って放たれた紡の矢は、光に遮られるようにして空中で静止した。
「新手のメガリスか。だが、それも覚えた――しばらくはな」
 紡は動揺することなく、新たな矢を次々に番えて光の中に撃ち込む。
 すると空中でせき止められた矢が互いに励起し、氷の線で結ばれた。
 いわば即席の監獄だ。シーシアスならば破壊は容易だろうが、一手止まらざるを得ない。
「小賢しい真似を……!」
 紡の狙い通り、シーシアスは無造作に氷の戒めを切り払った。
 一瞬を見切ったアイソラは、敵が武器を振り抜いた直後に肉薄!
「その動きは読んで――」
「だが、この攻撃までは読めていまい!」
 アイソラを迎撃しようとしたシーシアスに、ルイスと戦士団の援護射撃が命中!
 コンマ数秒早く着弾した爆破弾が起こしたクラックに、ティナーたちの火力が集中し亀裂を広げる。シーシアスの巨体が、一点集中砲火を受けて揺らいだ!
「何回でも蘇ればいい。何回でも、斃してやるさ」
 アイソラは破砕した亀裂にフォースセイバーを突き刺し、はらわたを抉るようにして刃をひねった。
 亀裂はシーシアスの全身に広がり、バキン! と甲高い音を立てて砕け散る。
 ダメ押しの念動力が、見えない刃となりシーシアスの破片をバラバラに斬り裂く!
「お……の、れ……!」
 粉々に砕かれたシーシアスの身体の一部は、再生に伴う融合に加わることが出来ない。
 あまりにも徹底した破壊によって、身体の一部としての特性を失ったためだ。
 敵が再生を続けるならば、それを超える破壊でもって旅立ちを叩き潰す。
 猟兵たちの本領は、即座の連携による波状攻撃にこそある……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
テメェがくだらねぇイナゴ野郎か
カルロスは敵ながら見事なモンだったが…テメェの企みも、行いも…まるで話になりゃしねぇ
格の違いってやつを教えてやる
行くぞ野郎ども!!ここが踏ん張りどころだぜェ!!

前線に出て奴を釘付けにしてやる
手数の多さは驚異的だが、2秒先の【見切り】がある
メガリスが動いた瞬間に<飛天揺光>で弾く
よし、いいぞ…怒りをもっと、俺にくれ──『憤激』
今までこいつらに、散々お痛をした分を返してやる
群れの長は何よりも強いと、思い知れ

オールウェポンフルスロットル!
武装を変え続けながら攻撃、攻撃、攻撃ッ!
真正面からテメェの手数を上回ってやるッ!
逃がしゃしねぇぞ!狼の牙は獲物を決して逃がさん!!


クラリス・クレスト
軽量にあかせた高速機動と、地形を利用した自在な三次元機動が可能なボクの身上は
容易く相手の死角を取れること
及び、その性質を利用した奇襲と遊撃

だけど―――「味方」がいるなら
ボクには別の役割が生まれるんだ

床を強く踏みしめて初速を得る
壁を、天井を、柱を……地形を利用して細かい切り返しで多重に加速
最高速を上げていくよ

あいつは多分すごく強い
どれだけ速く動こうが、ボクの動きなんて簡単に看破できる
看破「できてしまう」から

鬱陶しくて堪らないだろ
羽虫だとわかっていたって、反応せざるを得ない一瞬があるだろ

―――「味方」がいるなら
きっとその一瞬を見逃さない

ボクは囮だ
囮でいい
味方を活かす、そのための―――

戦場の、部品だ


リア・ファル
船にだって休息は必要さ
無理矢理起動するというのなら、止める

『ヌァザ』で斬り結び、メガリスの解析を進めていく
(情報収集、切り込み)

キミのメガリスが、どんなに優れていても
ほんの少しの間なら、ボクの全力が上回る

【この刹那に神域へと至らん】!
ヒトとモノの媒に立つモノとして、
周囲のメガリスを掌握し、眠るようにと説いていく
(ハッキング、時間稼ぎ、リミッター解除、全力魔法)

捨て鉢? いいや
ボク…、いや、ボクらには、

たとえ戦う理由がそれぞれ異なっても、
背を預けて戦える、後を任せられる仲間がいるからね!

それじゃあ、後のことは任せたよ!



●戦う理由
 再生のたびに、シーシアス・アヴァリシアの体躯は肥大化していく。
 最初は人間並のサイズだった奴は、もうキャバリア以上に成長していた。
 いくらコアルームが広大と言えど、これほどのサイズは窮屈なもの。
 事実シーシアスの下半身は、徐々にコアルームと融合しつつあった。
「うおおおッ!!」
 後方支援を行うメガリスボーグたちに代わり、前線を支えるのは3人の猟兵。
 キャバリア『天狼』を駆り、ポールウェポンを振り回すルヴトー・シフトマン。
(やっぱり、少しずつこちらの動きを読んでいる――奴は『読める』んだ)
 BoW-CC12『ブルーバード』の超高機動力で、三次元的に動くクラリス・クレスト

「船にだって休息は必要だろう? 無理やり起動するのはやめてほしいな!」
 多次元干渉魔剣『ヌァザ』を手に、愛機『イルダーナ』で飛翔するリア・ファル。

 3人は時に敵の死角に回り込み、時に互いにカバーしあいシーシアスを釘付けにする。
「邪魔を! するな!!」
 シーシアスはルヴトーのハンドキャノン『飛天揺光』で吹き飛ばされた腕に代わり、
 死刑執行人の斬首刀を思わせる不気味な巨大刃物を生やした。
「血をくれてやる、『グレゴリーの樹剣』よ……!!」
 斬首刀はキィイイイイ……! と、耳障りな高音を発して震動を始めた。
 耳障りな音波は、それ自体が敵を麻痺させる強力な精神汚染波動である!
「う、うう……!!」
「なんだあのメガリスは、恐ろしい!」
 意気軒昂たる戦士団の面々をして、本能的恐怖に足が竦むほどだ。
「野郎ども!! ビビってんじゃあねえッ!!」
 だがそこで、ルヴトーは大気が張り裂けんばかりの大音声で彼らを叱咤した。
「テメェらは征くと決めたはずだ! そして俺たちが此処に居るッ!!
 なら、あんなモンにビビってる場合じゃあねえだろう!! しゃんとしろ!!」
「「「……!」」」
 ルヴトーの異能は、彼自身が放つ威圧感や覇気という精神の力にこそある。
 その怒りが燃えるほど、群れを率いる者としての自負が強まるほど、
 こういった精神干渉に対しては絶大な効果を発揮するのだ。
「貴様が、旗印か……!!」
 ルヴトーを疎んだシーシアスは、巨大な処刑刀を天狼めがけ振り上げた。
 だが、振り下ろされることはない……死角に回り込んだクラリスの牽制射撃!
「貴様!」
「どうしたのさ、目障りならボクを落としてごらん。出来るんだろ?」
 クラリスはコクピットで不敵に笑い、ギリギリのバーニア噴射で反撃を回避。
 壁を、天井を、柱を、地形を滑るようになぞりながら縦横無尽に『跳ぶ』。
 ブルーバードの本懐は、その速度を生かした奇襲と遊撃にこそある。
 しかしもしもクラリスのことをよく知る者が、今の彼女の機体を見たなら、
 そこには別の『意図』が隠れていることを推察出来ただろう。
(鬱陶しくてたまらないだろ。あいつはボクの動きについてこれているんだから)
 ブルーバードは疾い――だがシーシアスならば知覚出来ないほどではない。
 今しがたの攻撃は、ルヴトーに注意を寄せられていたがゆえに避けられなかった。
 ならば、クラリスに意識を集中させたなら? 全力で落とそうとしたなら?
(――あいつは、ボクの動きなんて簡単に看破出来る……出来て『しまう』)
 そこにこそ、クラリスの狙いがある。

「キミのメガリスが、どんなに優れていても!!」
 再び金切り声をあげようとした処刑刀。その隙をリアは見逃さない。
 掲げられた処刑刀に魔剣ヌァザが切り結び、ハッキングによって精神汚染を妨げる。
 鳴りかけた超振動はヴ……ンと停止し、処刑刀は沈黙した。
「ほんの少しの間なら、ボクの全力が上回る……!」
「煩わしい電脳魔術士め……いいだろう、ならばやってみるがいい」
 シーシアスは、全身に無数のメガリスを表出させた。矢衾になった兵士の如く!
 身体の中から顔を覗かせたメガリスが共鳴し、さらに強力な波動を放つ!
「我が身はエギルの神兜、燃え盛るティゾーナ、サイフラウ……!!」
 敵を恐怖させる力を持つ数多のメガリスが、その力を励起させあう。
 おそらくはルヴトーですらも抵抗が難しいほどの、強烈な呪詛だ。
「――メガリスたちよ!」
 リアは……ヌァザを掲げ、"メガリスたちに"呼びかけた。
 彼女は人ならざるもの。超弩級戦艦の自我(AI)であり、電脳の海の申し子。
 ヒトとモノの媒に立ち、誰もにとっての明日を求めるモノ……!
「今一時だけでいい、どうか眠っていてくれ。ボクらの、彼らの明日のために。
 キミたちの力は、こんなふうに使われるために生み出されたものじゃない……!」
「……!?」
 するとどうだ。致命的なまでに高まりつつあった音叉が、ウソのように消えた。
「我がメガリスを掌握するなどと……貴様ッ!!」
 敵の前に無防備に立つリアは、捨て鉢な行動にしか見えなかっただろう。
 シーシアスの巨腕が、リアを吹き飛ばす……だが、死んではいない。
「……貴様ら……!!」
「させるかよ」
「ボクを放っておいたからさ、残念だったね」
 ルヴトーとクラリスが、攻撃に割り込み敵の勢いを削いでいたからだ。
 シーシアスは激昂する。どちらだ、どちらを叩く?
 メガリスによる全体攻撃が封印されたいま、叩き落とすべき羽虫は――。

「ちょこまかと目障りな虫め。死ね」
 体内から表出した銃型メガリスの砲口が、ルヴトーではなくクラリスを捉えた。
 BRATATATATAT!! ブルーバードは加速する。避ける避ける避ける避ける避ける!!
(そうだ、追いつけるだろう? ボクがどれだけ疾く加速したって!)
「堕ちろ、羽虫ィッ!!」
 避ける避ける避ける避ける――着弾。ブルーバードが火を噴いた。
「追いつけて「しまう」んだよね、お前は」
「――……」
「今のその身体じゃ、他のメガリスを起動することも出来ないでしょ?」
 ブルーバードは壁に背中を激突し、もはや噴射する力もなく落ちていく。
 そこを狙い撃つはずだった弾丸は、銃口から放たれることはなかった。
「ボクは囮だ。囮でいい。そのための、戦場の部品でいいのさ」
 リアが、ヒトとモノの媒に立つモノとして、メガリスを鎮めたように。
 ヒトであるはずのクラリスは、自らをモノと定義し、味方を活かす。

 ――すなわち。
「ここまで怒りを掻き立ててくれるとはな。クソ野郎」
 ルヴトーの声は底冷えするほどに冷たい。
「群れの長が何よりも強いことを、教えてやる」
 たとえ戦う理由が違っても。
 生まれ、力、在り方、何もかもが違うとしても。
 猟兵は肩を並べ、同じ目的のために戦い、力を合わせることが出来る。
 ――ならばルヴトーは、その群れの長として牙を剥く。それが、彼の仕事だ。
「逃しゃしねぇぞ! 狼の牙は、獲物を! 決して!! 逃さねェ!!!」
 仲間たちの受けた傷が、ルヴトーの怒りに火を付けた。
 『煌爆雷華』! 『霹靂剛拳』! 『崩砦一擲』!
 『烈震砕牙』! 『絶風爪牙』! 『黒鉄之雨』!
「オオオオオオオオッ!!」
 すべての武装を変幻自在に使いこなすルヴトーの猛攻が、牙が!
「わ、私が、一方的に蹂躙されるだと!? 無数のメガリスを宿した、私、が……!?!?」
 リアの力で一時的に武装を休眠させられたシーシアスを、破壊する、破壊する!
 ふたりの犠牲が拓いた活路を、チャンスを、ルヴトーは絶対に逃さない。
 狼の牙が、爪が、怒りが! シーシアスの身体をバラバラに引き裂いた……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
【アサルト】


怖いのは弱いからじゃない
相手の力量を正確に把握できる能力と経験があるからだ
それでも前に立つんだから
お前は、間違いなく強いんだよ

足りない反応速度の分はこっちが補うさ
安心しな、こういうのもそれなりに得意だ

銃弾の軌道をこちらの射撃で逸らす
足を狙って動作を一瞬遅らせる
叩きつけられる斧は、横からの衝撃に弱いだろう
点の攻撃は手元を狙撃して僅かに支点をずらすだけで狙いがぶれる

……なあ
言っとくけど、俺だって怖いんだぜ
死ぬわけにはいかない
何一つ取り零したくもない
だからこそ――いつだって自分にできる最高の仕事をする
ただ、それだけだよ

舞台は整ったな
なら、終わらせるのは俺の仕事だ
安心しな、絶対に外さないよ


ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】

おーおー、こりゃあ奇抜なファッションだ
メガリス界隈じゃそういうのがトレンドなのかい?ダッセェ
よーし、ネグル…やれそうか?オーケー
忘れるな、経験と技術は無くならない
自分が積み上げた物を信じろ

おうメガリス野郎…前に立ってるそいつが弱いと思うのなら、お前はダセェし、間抜けだな
さて…頃合いだな──『運命転換』
お得意のメガリスの力は三分の一になる
あぁ、それと倒すたびに強くなるんだっけ?それすらも『反転』してんだぜ
戦士団ども!今が好機だぜ!攻め時だ!
仕留めろよ匡!

ネグルが耐え、俺が整え、匡が終わらせる
いつもの形、お決まりの流れ
たとえ誰かが弱くなろうが、撓むことは無い
そうだよな、親愛なるチューマ


ネグル・ギュネス
【アサルト】
──ッハハ、怖くて仕方ない
手も脚も震えて仕方ないんだよクソッタレ、俺こんな弱かったか?
…大丈夫、時間目一杯稼ぐから、ぶっ潰してくれ

【勝利導く黄金の眼】、最大稼働
撃ち抜かれる未来を見た/残像で回避
真っ二つにされる未来が見えた/刀でギリギリ受け流す
斧で潰される未来/零距離射撃で柄を弾く
槍で/衝撃波で切っ尖をずらす


幾度の未来予測で死を垣間見て、冷や汗が滝みたいに、身体は寒くて仕方ない
掠めたり致命傷を避けるので手一杯だ、反撃も軽々流されるだろう

でも、時間は稼いだ
役目は果たし、距離を開き、あとはダチと相棒にたくす

どうだ、刮目しろ
力を喪っても、俺は2人の為に前を戦える
俺だって、アサルトだ──!



●けして、なくならないもの
 ――恐怖など、とうに克服したと思っていた。
 数多の戦いをくぐり抜け、仲間と友誼を交わし、大切な人と絆を育んで。
 悪意を叩き潰し、悲劇を破壊し、いくつもの世界を救ってきた。
 どんな敵にも負ける気がしなかった。
 どんな悪にも勝てる気がした。
 仲間がともにいて、そしてこの力があれば。

「……ッハハ。俺、こんなに弱かったか?」
 なんと情けなくて、馬鹿らしくて、哀れなものだと自嘲する。
 ネグル・ギュネスの手は震えていた。どうしようもないほどに。
 今までだって、恐るべき敵と相対した時、恐怖は彼の心に潜んでいた。
 それを自覚して立ち向かってきたからこそ、今の勝利があるのだ。
 だがネグルは――残念ながら、本当の意味で「克己」は出来ていなかった。
 どうしようもなく無意識の部分で、力に頼りすぎていた。
 否応もなく、まざまざと自分を直視させられる。……最悪の気分だ。
「……やれそうか?」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは、「大丈夫か」とは聞かなかった。
 やれるか、やれないか。戦場において重要なのは、そのどちらかだ。

 やれるなら、それでいい。プランをそのまま実況するだけ。
 やれないなら、それもそれで構わない。新たなプランを構築するだけだ。

 大丈夫か、だなんて……戦いを忘れた一般人みたいな言葉は、似合わない。
 自分にとっても、仲間にとっても。
 そんな平穏を捨てて此処へ来た、ならば、必要なのは「それ」じゃない。
「……行ける。時間は目一杯稼ぐ。だから――」
「お前は強いよ」
 出し抜けに、鳴宮・匡が言った。
「怖いのは、弱いからじゃない。相手の力量を正確に把握出来ているからだ。
 それだけの能力と経験が、お前にはある。その上でお前は前に立つんだろ。
 ……なら、お前は弱くないよ。間違いなく、お前は強いんだ」
「…………」
 ネグルは無言だ。ただ、彼の口元の震えは止まった。
 相棒でなければ気付けないぐらいの、小さな笑み。匡は静かに頷く。
「忘れるな。経験と技術はなくならない。自分が積み上げたものを、信じろ」
 ヴィクティムはそう言って、ネグルの背中をどやした。

 3人の前では、バラバラに粉砕されたメガリスの破片が集合しつつある。
 メガリスを引き寄せているのは、太陽じみて輝く球体――ブリキ男の心臓。
 テスラコイルめいて、電弧が破片と繋がり、そして心臓に引きずり込む。
 悪趣味なホラー映画に出てくるクリーチャーのようでもあった。
「おうメガリス野郎、ずいぶん奇抜なファッションじゃねえか、え?」
 組み上がりつつあるシーシアス・アヴァリシアに、ヴィクティムは言った。
「メガリス界隈じゃそういうのがトレンドなのかい? ダッセェ」
「なんだよ、メガリス界隈って」
 匡が呆れた顔でツッコミを入れる。
「そりゃお前……メガリスボーグの界隈っつーか、あるだろ? そういうの」
 急に水を向けられたティナーは、困惑した顔で首を傾げた。
「え、ねぇの? じゃああれ、アイツのセンスってことかよ。なおさらダセェ」
「……ダサいとかダサくないとか、そういう領域の話じゃないだろ、"これ"は」
 聳え立つ巨躯はキャバリアの二倍以上。表出するメガリスの数も相応だ。
「……やってやるさ」
 ネグルは言った。
「俺が絶対に時間を稼ぐ。だから、頼んだぞ、みんな!」
 それは相棒と、チーム仲間と、戦士団のメガリスボーグたちと。
 ……そして自分自身を鼓舞するための、鬨の声だ!

「……我が光は、バイドゥーリヤ、スファティカ、玫瑰……七宝の輝きなり!!」
 恐ろしい巨躯となったシーシアスの全身が、神々しい輝きに包まれた。
 敵だとわかっているのに、魅入られて戦意を喪失してしまいそうなほどの美。
 生物である以上捨てることの出来ぬ、畏れを喚起する天上の至宝光である。
「そんなもので、俺の瞳の黄金は消せやしない――!!」
 ネグルの黄金瞳がまばゆく輝き駆けるさまは、万色を斬り裂く迷光を思わせた。
 するとシーシアスの全身に、金剛杵を思わせる奇怪な突起が出現する。
「雷撃が来るぞ、散開しろ!」
 ヴィクティムの号令がかかった直後、KRAAAAACK!!
 突起が生体器官めいて発光し、コアルーム全体に霹靂を広げた。
 彼の声がなければ、メガリスボーグたちは一撃で消し炭となっていたはずだ。
 無論匡とネグルは、それぞれの目と耳と経験で攻撃を察知、回避している。
「あれは俺が潰す」
 匡は端的に言い、アサルトライフルで突起を次々に破壊していく。
 対するネグル――彼の目には、真っ二つにされた自分の惨姿が見えている。
(来る!)
 本能が警戒をどよもした。瞬間的に形成されたのは、稲妻型の剣である。
 先の広範囲攻撃は、二段構え……雷撃そのものが収束した、プラズマの刃!
「死ね」
 無慈悲な宣告。超高熱のプラズマ刃は、地上のあらゆる物質でも防げない。
 ならば、躱せばいい。ネグルは鋭角的軌道で地面を蹴り、射線を逃れている!
「……次、かッ!!」
 プラズマ刃がコアルームの床を溶解破断した瞬間、残存する突起が射出された。
 文字通り稲妻じみた速度で飛来するそれらは、高エネルギーを宿した炸裂弾である。
 半分は匡の弾丸が撃ち落とすが、残る弾丸はネグルが惹きつけねばならない。
 空中でみをよじり、剣を振るう。鋒で触れるのではなく衝撃波を身に纏うイメージ。
 速度と回転から生まれた剣戟のエネルギーが、ネグルの身体を包み込んだ。
 稲妻はネグルの周囲空間を撫でるに留まる。オゾンの灼けた匂い。
(まだだ、次が来る。その次も、その次の次の次も……!!)
 黄金瞳に映るのは、終わりのない死のイメージ。嵐のような猛撃。
 神経はとうに緊張を越えて麻痺し、冷や汗で身体がぬめっていた。
 がちがちと歯の根が合わず、冗談みたいに頭蓋に響く。お笑い草だ。
「……ッ、相手は、俺だ!!」
 ネグルはシーシアスの注意が匡に向くのを察知し、斬り込んだ。
 ……というと聞こえはいいが、実際はせいぜい剣先で表皮をなぞった程度。
 玉に瑕どころの話ではない。あんなものは反撃とすら呼べない。
 これが、今の限界だ。現在のネグルでは、快刀乱麻を断つとはいかない。

 ――だが。
「戯れるな、小虫」
 シーシアスはネグルを吹き飛ばした。無造作な薙ぎ払いは回避余地などない。
 かろうじて衝撃を殺し、直撃を避けたネグルは壁にしたたかに激突する。
「がは……ッ、ハ、はは……ハッ」
 笑っていた。
「時間は、稼いだぜ……ふたりとも……!」
「――!」
 シーシアスは気付いた。ネグルは、最初からこの一撃を誘っていたのだと。
 煩わしさから来る無造作な攻撃。いなしやすく、受けやすい雑な一撃。
 つまりそれは、シーシアスが胸を開けて敵を誘い込むも同然――!!

「今が好機だぜ、攻めどきだ!」
 ヴィクティムは叫んだ。メガリスボーグたちが武器を掲げ突撃する!
 巨大な鏃と化した彼らの刃・槍・斧・矢・杖が、シーシアスの強固な身体をぶち抜いた。
 どれだけ堅固な物質でも、一点を狙い圧力をかければ欠けを生む。
 シーシアスは迎え撃つつもり……だった。だが、メガリスが起動しない!
「悪いな。運命(そいつ)は、もう転換(かえ)たあとさ」
 悪童が笑う。
「ネグルが耐えた。なら、俺が状況を整える。いつだってそうさ。いつまでもな」
 死神は笑わない。ただ、獲物を見据え、狙うのみ。
「――見せつけてやれよ、チューマ。これが」
「俺たちの、強襲(アサルト)だ……!!」
 ネグルとヴィクティムの声が重なる。

「ああ。終わらせるのは、俺の仕事だ」
 メガリスボーグたちの攻撃でわずかに生まれた歪。
 それは、ネグルが鋒でなぞった場所。
 あれは傷にも満たないただのひっかきあとだ――しかし、そもそもが違う。
 どこを狙えば、最小限で最大の効率を生むことが出来るのか。
 どうすれば、敵は打倒出来るのか。
 匡の目が見抜くように、ネグルの黄金瞳もまたそれを見通す。
 つまりこのひっかきあとは、穿つべき傷を仲間に託すための道標!
「――そこだな」
 ちっぽけな弾丸が、一発。吸い込まれるようにして歪に飲み込まれた。
 まるでシーシアスが自ら迎え入れたかの如く、完璧な軌道で。
「オ――オオオオオオ……!?!?」
 それが、致命的なクラックを生む。
 歪から生まれた亀裂は、シーシアスの全身に走り……そして、巨躯を! 砕く!
 神を、
 悪魔を、
 龍を、
 悪意を、
 ありとあらゆる強敵を、そうやって屠ってきたように。
 彼らの強さは、たとえ運命にも奪うことは出来ない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
☆レグルス

……あれが心臓。
おとぎ話みたいには、いかないな。

ティナー。
心臓に生かされたキミたちなら
あれがどう生まれ変わるのか、わかるかい。

──聞こえた?
孵りたてを、狙う。
おーば。

(騎士団に援護して貰いながら最速最短【ダッシュ、ジャンプ】
メガリスの攻撃を掻い潜り肉薄
【野生の勘】【早業】でまずは【鎧砕き】の一撃を
己たちの牙が届いて、あれが造り変わる、その隙)

──ジャック!!!

(「RR Call: J.Jack」
相棒を喚んでおいたのは戦場からの視認外、9.2km地点)
おれの相棒の光は、そこからでもお前を殺すよ。

遠くのジャックと、おれたち。
何方かに注意を向ければ何方かが殺す。
……心臓まで、届かせるぞ。


ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(ザザッ)
「聞こえた」。

救援要請承認、聴覚良好。
此より速やかに戦闘態勢に入る、オーヴァ。(ザザッ)

"SIAM"伝いに凡その敵情報は把握した。
夥しい数の武装全てを9㎞超の距離と遮蔽物を隔て破壊し穿ち抜く必要があると言う訳か。

――得意分野だ、何も問題ない。

「C.C. 」>>"Thunderbolt".
容量95㎥を駆使し射程長を9.2kmに設定、残り容量を弾径へ。

敵位置情報確認。
雷弾軌道算定完了。
発射待機状態に移行と同時に
雷弾を95発複製。

射出準備完了――FIRE.
(スナイパー×誘導弾×一斉発射×砲撃)

お前の光より
レグルスの星光の方がより眩く
そして疾かった。
それがお前が穿たれた理由だ。



●テイクダウン・ザ・テイクオフ
 現実はままならない。おとぎ話のようにはいかないものだ。
 白く発光し脈動する球体は、魔女の作り上げた可愛らしいものとはわけが違う。
「……ティナー」
 ロク・ザイオンは、戦士たちに言った。
「心臓に生かされたキミたちなら、あれがどう生まれ変わるのか、わかるかい」
「……我らは知らぬ。あのような強い光を」
 年かさの戦士が答える。
「だが、あれは我らが「恵み」を受け取る時の儀式に、よく似ている」
 ――恵み。
 それはおそらく、戦士たちが戦士となるための儀式なのだろう。
「我らは一人前となった時、この儀式の間に集い、メガリスと一体化する。
 あの心臓の力によって、我らとメガリスはひとつになることが出来るのだ」
 曰く、ティナーとして一人前になるには、メガリスを自らの力で入手する必要がある。
 そうして手に入れたメガリスを自己の一部とするために、「心臓」を用いる。
 ティナーの中での強さとは、より多くのメガリスを一体化させた者のことだ。
 それは厳粛な儀式、侵されざる聖域であり、此処は禁足地であった。
 ……だが、今は。
「なら、取り戻さないといけないな」
 ロクはそう言って、閃煌の剣鉈を構えた。
「儀式と似た現象が起きるならば、その予測は可能だ。掠れた声の戦士よ」
 ティナーの言葉に、ロクは頷く。そして彼らではなく、誰かに言った。
「――聞こえた?」
 ロクの声が届く先は――。

《――「聞こえた」》
 決戦の地から、約9.2km地点。
 シーシアスの目をもってしても届かぬそこに、男は居た。
 ジャガーノート・ジャック。相棒の「救援要請」は、どこへだって届く。
 そして、狩人の牙もまた、どこまでも――これほどの距離だろうと、届く。
《――聴覚良好。敵情報は把握している、タイミングはそちらに》
 バチ、バチバチ……と、ジャックを中心に砂嵐が帯電を始める。
 射程9.2km、必滅の雷撃を敵に撃ち込むために。
 仕損じる、という可能性は考慮しない――これは一か八かの攻撃などではない。
 相棒は、必ずチャンスを作る。ならば、己も絶対に命中させ、敵を堕とす。
 もしも/ifなどありえない、レグルスはやると決めたら、やるのだから。
《――雷弾、軌道算定開始。発射待機状態へ移行、エネルギー充填……》
 バチバチ、バチバチバチバチ……ッ!!
 風が唸る。海が逆巻く。
 嵐を貫き喰らい尽くす"怪物"の牙が、その時を手ぐすね引いて待っている。
 人の目は星のすべてを見通すことは出来ない。
 ――だが星は、地上の砂粒ひとつまで見通すことが出来るだろう。

 ……同時刻、サブリン島コアルーム!
「――……う、ぅううおおおおおッ!!」
 剣・槍・斧・銃・弓・槌・鉄球鍼刃扇石鉄光水火雷牙尾爪!!
 ありとあらゆるメガリスが、ありとあらゆる方向からロクを襲う。
 剣が薙ぎ払えば飛んで躱し、そこをめがけた槍の鋒を剣鉈で弾き返す。
 返す刀の斧撃は踏み込むことで前に躱し、頭蓋を狙った銃撃は首を傾げ回避。
 神々の名を戴いた矢が歪曲してロクを襲い、燃えるたてがみが焼き殺した。
 コアルームの床を砕く槌と鉄球は、あの三つ目巨人に比べればずっと遅い。
 鍼を弾き刃を受け止め扇を斬り裂き石を砕き鉄を裂き光を呑み火を雷を乗り越える!
「なぜだ、なぜ! 私の集めたメガリスが通用しない!?」
 シーシアスは識らぬ。このような狩人を識らぬ。
 リュウグウの女を識らぬ。ならば、勝てる道理などない。
「――あぁああッ!!」
 牙のような半月の軌跡を描いた剣鉈が、燃える刃で宝石を砕いた。
 続く戦士たちの怒りが、波濤となって亀裂を突き刺し、割り開く!
 ガァン!! と盛大な音を立てて、シーシアスの全身は再び砕けた!
「おのれ……だが、だがこの心臓の力さえあれば!」
 再び心臓が白く発光する――ティナーの誰かが、叫んだ。
「始まるぞ。始まるぞ! あの見知った、しかし忌まわしい光が来る!」
「――なら」
 ロクは笑った。
「おれの相棒の光が、飲み込んでしまえばいい」

 雷弾、95発生成。
 敵位置情報伝達完了、確認……軌道修正、誤差0.00002。
 ユーベルコード活性――複製、複製、複製、複製、複製、複製。
 劣化しないコピーアンドペーストの悪夢が此処に生まれる。
《――射出準備、完了》
 そこに太陽が生まれた。あるいは、Jackという名の星が。
《――FIRE》

 閃光が、海原を貫いた。
「――……は?」
 シーシアスは我が目を疑った。
 雷の、波が。
 知覚しえぬ距離から、知覚し得ぬ速度で放たれた稲妻が、波となって訪れた。
 それらは心臓「だけ」を外し、心臓「以外」のすべてを射抜いた。
 秒速20万メートルの稲妻を超える、破滅(サンダーボルト)が。
 シーシアス・アヴァリシアは戦士を愚劣した――ゆえに何も許されない。
 誰が己を討ったのかを知ることも、
 その姿を見ることも、
 その存在を知覚することさえ。
「私は、私は――なんのために、ここまで、存在していたのだ」
 ひとりの戦闘者としてのアイデンティティを完膚なきなまでに粉砕される。
 己を捨ててメガリスを集めてきた意味も、力も、何もかもを。
 一陣、ぶち抜かれた壁から爽やかな潮風が吹き込んだ。
 稲妻に砕かれたメガリスの残滓は、砂のように溶け崩れてさらわれていく。
 残るのは心臓だけだ。猟書家だったモノの残滓は何も遺らぬ。
「お前の光より」
《――我々(レグルス)の星光のほうがより眩く、疾かった》
 ロク/ジャックは、踵を返して歩き出した。

「『それが、お前が穿たれた理由だ』」

 星の瞬きは死の輝き。終わりゆく星の最後の煌めきである。
 されどレグルスの名を戴くふたりのいのちは、終わることなく輝き続ける。
 世界を脅かそうとする者が居る限りはいつまでも、何度でも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月02日


挿絵イラスト