シャーク・オン・サンダーストーム!
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「すっきゅりん、すっきゅりん♪ この島は私がいただいたよ!」
沢山の触手をクネクネとうねらせて、ひとりの少女が自身たっぷりな笑顔で胸を張る。
彼女の名は『すきゅりん』。腰から下がタコのようになっている以外は可愛らしい外見をしているが、その実態は先の羅針盤戦争でも活躍したコンキスタドールの一人である。
――猟兵にワンパンで倒されまくっていたとか、そんな事実はない。ないったらない。
「お前達は今日から私のドレイ! 私とレディ・オーシャン様のために死ぬまで働いて、死んでも働くの! 光栄に思うことだね、すっきゅりん♪」
彼女は今、部下達を連れてとある島を占領し、島民に無慈悲な支配を突きつけていた。
逆らえば死、逆らわなくとも死。さらなる戦力拡大のための拠点として、この島の全ては彼女とその上司――偉大なるレディ・オーシャンのために消費し尽くされるのだ。
「逃げようとしたって無駄だよ! この『電光の羽衣』がある限りね!」
すきゅりんの自信の源は、身に纏うメガリスの力にあった。島の沖合に目を向ければ、稲妻と雷雲が空を覆い尽くし、荒れ狂う暴風雨で波が逆立っている。まさに「嵐の壁」と呼ぶべきこの異常気象によって、島は外界から完全に隔離された状態にあった。
「この嵐があればどんな船も即転覆! あの厄介な猟兵達だって入ってこられないよ♪」
誰も逃げられず、邪魔者もやってこない。この島はもはや彼女の手中にあるも同然。
天候すら支配する恐るべきメガリスとコンキスタドールに、島民は震え上がるばかり。
「まさか、この嵐の壁を超えられる生物がいたり、そんな生物を召喚できる魔法があったりしたら話は別だけど……そんなのあるわけないもんね!」
すっきゅりん♪ と自信満々で笑いながら、これからの侵略計画を考えるすきゅりん。
だが彼女はまだ知らない。何の気なしに自分が口にした言葉が、壮大なフラグとなっている事を――。
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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「かねてから消息不明となっていた『レディ・オーシャン』が突如グリードオーシャンに現れ、猟書家の力を略奪して世界侵略を開始しました」
このオブリビオンと猟兵との因縁はヒーローズアースでの戦争まで遡る。当時は本体の所在を発見することができず取り逃したものの、次はなぜかサムライエンパイアに出現。彼女が起こす事件を阻止したことが、猟兵がグリードオーシャンに至る遠因にもなった。
「これまでの言動から推測して、レディ・オーシャンの故郷はグリードオーシャンだったようです。帰還を果たした彼女は猟書家から奪い取った力で『偽物の骸』の月を浮かべ、儀式魔術【Q】による『グリモアベースの侵略』を企んでいます」
既に彼女はグリードオーシャンにいた猟書家を説得し、独自の勢力を築きだしている。万に一つもこの企みが成功すれば、グリモアの力に頼っている猟兵は窮地に陥るだろう。他世界での猟書家の侵攻も止まらない中、また厄介の種がひとつ増えたことになる。
「ともあれ嘆いていても始まりません。皆様には今回、レディ・オーシャンの配下である猟書家(偽)幹部の一人『すきゅりん』の撃破を依頼します」
もしかすると羅針盤戦争で交戦した猟兵もいるかもしれない。このコンキスタドールはその身に纏ったメガリス『電光の羽衣』の力でとある島を「嵐の壁」で覆ってしまった。この嵐は鉄甲船すら吹き飛ばすほど激しく、グリモアのテレポートでさえ中に入り込むことができない。
「すきゅりんは『嵐の壁』によって猟兵の介入を防ぎ、ゆっくりと島民を支配、もしくは虐殺して、己の戦力を蓄える前線基地にするつもりのようです」
ここで整えられた戦力は、いずれグリモアベースを侵略する為の尖兵となるのだろう。将来的な脅威もさることながら、逃げ場のない島内で無慈悲に殺されそうになっている人々を見捨てる訳にはいかない――だが、グリモアの力すら及ばぬ嵐をどう越えるのか。
「幸いにして手段はあります。それはこのグリードオーシャンを守る最古の魔法の使い手――すなわち、鮫魔術士です」
彼らが召喚する「改造サメ軍団」ならば、空を飛び、嵐の壁をサーフィンして突き抜けることなど造作もない。既に島の危機を聞きつけた鮫魔術士の一団が協力を申し出てきてくれており、今回の依頼は彼らとの共同作戦が前提となる。
「どうやら敵も鮫魔術の存在は失念していたようです。皆様は鮫魔術団が召喚したサメに乗って嵐の壁に突入、レディ・オーシャンに与するオブリビオンを撃破してください」
島内にいるオブリビオンはすきゅりんだけではなく、『スカイドルフィン』と呼ばれる羽の生えた凶暴なイルカのオブリビオンの群れも確認されている。こちらも嵐の壁の中を自在に飛び回れる飛翔能力を持つため、サメに乗っての激しい空中戦が想定される。
「スカイドルフィンの群れを撃破し、さらに『電光の羽衣』の所有者であるすきゅりんも倒せば、嵐の壁は消えて島は解放されるはずです」
サメの助けがあるとはいえ、岩や家まで吹き飛ぶほどの激しい嵐の中での戦闘になる。うまくサメと息を合わせて戦場の環境に適応する事が、今回の勝利のカギになるだろう。
「グリードオーシャンの平和を守るために、グリモアベースへの侵略を阻止するために、どうかよろしくお願いします」
説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、グリードオーシャンへの道を開く。またも現れたレディ・オーシャンの策謀、恐るべき侵略を阻止する戦いが始まる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
ついにグリードオーシャンにも猟書家の魔の手が……と思いきやちょっと違う様子。
今回の依頼は嵐の壁で島を封鎖し、戦力を蓄えようとしている幹部猟書家(偽)すきゅりんの撃破が目的です。
1章はすきゅりんの配下である『スカイドルフィン』との集団戦です。
戦場は『電光の羽衣』の力で発生した嵐の壁の中になります。常に激しい風と雷雨が吹き荒れ、通常の飛行手段や船舶での移動はできません。ですが鮫魔術士が召喚する「改造サメ軍団」なら、この環境にも適応して自由に飛び回れます。
スカイドルフィンも同様に飛行しながら島に近付く者に襲い掛かってくるので、サメに乗りながらの空中戦で敵を撃退してください。
2章は島を支配する『すきゅりん』との決戦です。
戦場は変わらず嵐の壁の中になります。『電光の羽衣』を纏う彼女はもちろん嵐の影響を受けずに戦えるので、こちらも上手くサメを乗りこなす必要があるでしょう。
ちなみに一撃では倒せません。なんか戦争の時より強くなってるようです。
本シナリオは二章構成となり、全章共通で下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……サメに乗って飛ぶ。
事件を聞きつけてやってきた鮫魔術士の皆さん(特に必要がなければリプレイ中描写はされません)が、猟兵のために改造サメ軍団を召喚してくれます。
皆様はこのサメに乗って敵との激しい空中鮫バトルを繰り広げることになります。ジョブが鮫魔術士の方や、ご自分でサメをお持ちの方はそちらでもOKです。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『スカイドルフィン』
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POW : ドルフィンアタック
【泳ぐか羽ばたく事により発生する高速の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【仲間】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : 超音衝撃波
【口】を向けた対象に、【超音波によっておこる衝撃波】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 超音波呼び寄せ
【超音波で呼び寄せたスカイドルフィン】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:塒ひぷの
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒影・兵庫
(鮫の背中に乗ってサメ肌を撫でながら『動物と話す』スキルで鮫に話しかける)
えっと鮫さん、重くないです?大丈夫ですか?
(「ナイス黒影!この戦いは連携が大事だから相互理解を深めるのがベストよ!」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい!せんせー!
えっと鮫さん!
俺は『オーラ防御』でオーラバリアを展開するので『衝撃波』を使って嵐を最短距離で突っ切ってください!
せんせーは俺が鮫さんから落ちないよう『念動力』で{皇糸虫}を操作し命綱を結んでください!
(「オッケー!」)
道中の邪魔な敵は...強襲兵さん!お願いします!
(UC【蠢く霊】発動)
幽霊の皆さんなら嵐でも問題ないはず!
敵を噛み千切って血路を開いてください!
「えっと鮫さん、重くないです? 大丈夫ですか?」
吹きすさぶ暴風雨の音にかき消されないように、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)はいつもより声を張る。話しかけた相手は翼の代わりに回転ノコギリの生えた改造サメ。彼を背中に乗せて、大丈夫だと言わんばかりにスイスイと嵐の空を飛んでいく。
(ナイス黒影! この戦いは連携が大事だから相互理解を深めるのがベストよ!)
「はい! せんせー!」
兵庫の頭の中から話しかけるのは教導虫「スクイリア」。せんせーと呼び慕われる彼女の言う通り、敵が生み出した『嵐の壁』の中を移動できるのは鮫魔術で召喚されたサメ達だけ。如何に彼らをうまく乗りこなせるかが、今回の作戦の成否を担うと言ってもいい。
「えっと鮫さん! 俺はオーラバリアを展開するので、衝撃波を使って嵐を最短距離で突っ切ってください!」
ざらざらとしたサメ肌を撫でながら、騎乗するサメに話しかける兵庫。言葉がきちんと伝わっている証だろうか、サメはぎゅんぎゅんと小気味いい音を立ててノコギリを回す。
意図は伝わったはずだと信じて、少年は誘導灯型の合金破砕警棒を振るう。すると警棒から後方に向けて衝撃波が放たれ、改造サメの飛翔を後押しする。
「せんせーは俺が鮫さんから落ちないよう、皇糸虫を操作し命綱を結んでください!」
(オッケー!)
ぎゅんっとサメが加速するのに合わせ、スクイリアが念動力で糸状の細長い虫を編む。体長10メートルにもなる「皇糸虫」は兵庫の身体とサメをしっかりと結びつけ、万が一振り落とされても海に落ちないよう繋いでくれる。
『キュィィ!』
そんな風にして嵐の壁を進んでいくと、前方から甲高い鳴き声を上げる敵影が見えた。
スカイドルフィン。翼の生えたイルカとしか言いようのない外見のオブリビオンだが、この嵐の中でも動ける飛行能力と、縄張りに入り込んだ外敵への凶暴性は折り紙付きだ。
「道中の邪魔な敵は……強襲兵さん! お願いします!」
敵が超音波で仲間を呼び寄せているのを見て、兵庫は【蠢く霊】を発動。戦いで散っていった羽虫達の亡霊を召喚し、敵の群れに対抗する軍を形作る。たとえ命尽きてもなお、彼らは兵庫の命令に従い、彼にとって最適な行動を行う忠実な兵隊であった。
「幽霊の皆さんなら嵐でも問題ないはず! 敵を噛み千切って血路を開いてください!」
兵庫の指示通り、強襲兵の亡霊達は嵐に吹き飛ばされずに空を舞い、スカイドルフィンの群れに襲いかかる。ただでさえ目視しづらい彼らの霊体は、風雨や雷光に紛れることで余計に発見困難になり――敵はほぼ不意打ちに近い状態で攻撃を受けることになった。
『ギュイィッ!!?』
鋼鉄をも砕く虫の牙が、イルカの肉と骨を噛み千切る。嵐の音に紛れてイルカの断末魔が木霊し、血飛沫は風雨に呑まれて消える。虫vs海獣の熾烈な空中戦は、どうやら虫側に分があるらしかった。
「今です!」
強襲兵達が道を切り開いた瞬間、兵庫を乗せた改造ザメが一気に加速する。ロケットのような勢いで向かい風を切り裂き、敵の群れの中に空いた隙間をこじ開けて進んでいく。
虫達もその後に続いて、追跡や進路妨害をしようとするスカイドルフィンを迎え撃つ。彼らの侵攻は止まることを知らず、快調に嵐の海を攻略していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鏑木・桜子
刀一本で戦ってきたので空中戦は苦手ですが…だからといって避けてはブシドーが廃るというもの!
一所懸命頑張らせていただきます!
飛行能力はないのでここは改造サメをお借りして飛翔能力を得ようと思います。
我が剣はユーベルコードの域まで高められた剣。切れぬものなど無いのです。
それは嵐であっても同様です。
イルカさんの接近を察知したらまず【剣刃一閃】の居合抜きで「嵐」を切り裂いてサメさんの道を文字通り切り開きます。
後は翼があろうと陸にあげられたイルカも同然。
一気に接近しハネイルカさんを返す刃で切り裂き納刀します。
これこそ剣心一禅、禅を持って剣と心を一つにして初めて成せるブシドーです。
「刀一本で戦ってきたので空中戦は苦手ですが……だからといって避けてはブシドーが廃るというもの!」
困難に挑んでこそブシドーの誉れだと、鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)はむんと気合いをいれて嵐の壁に対峙する。あの嵐の中に強敵が待ち構えていると聞いても「一所懸命頑張らせていただきます!」と意気込みは十分だ。
「今回はよろしくお願いいたします!」
「ええ、我らが鮫魔術にお任せあれ!」
飛行能力を持たない彼女は、鮫魔術士達からサメを借りて飛翔能力を得ることにする。
召喚された改造サメは桜子を背中に乗せ、回転ノコギリをぎゅんぎゅんと痛ましく回しながら嵐の壁に飛び込んでいった。
『キュイ、キュキュイ!』
突入からほどなくして桜子の前に現れたのは、島を防衛するスカイドルフィンの群れ。ここから先には行かせないぞとばかりに、翼を羽ばたかせつつ甲高い鳴き声で威嚇する。
「現れましたね」
桜子はイルカの接近を察知すると、サメに騎乗したまま大太刀「桜花絢爛」を構える。
とある刀工が最強の刀を目指して鍛え上げたそれは、小柄な少女の背丈よりも長大で、鞘から抜けるのかどうかさえ不安に思える。だが彼女は体躯に見合わぬ怪力でしっかりと大太刀を保持し、堂に入った居合抜きの構えを取っていた。
「我が剣はユーベルコードの域まで高められた剣。切れぬものなど無いのです」
それは嵐であっても同様です――と、桜子が放つは【剣刃一閃】。剛速で抜き放たれた大太刀が風を、雨を、「嵐」そのものを切り裂き、サメの進む道を文字通りに切り開く。
台風の目の中に入ったように、荒れ狂う暴風雨が局所的に消える。改造サメはその道を加速しながらまっすぐに突き進み、一気にスカイドルフィンの群れとの距離を詰める。
『キュイ?!』
これには敵も驚いたようで、見るからに狼狽しつつ一部の者が【ドルフィンアタック】を仕掛けてくる。だが仲間との連携が取れていない突撃など、まるで恐るるに足りない。
「後は翼があろうと陸にあげられたイルカも同然」
間合いに入った瞬間、桜花は返す刀で敵を斬り捨てる。凪いだ空間に刃が閃いた直後、切り裂かれたイルカの群れからぱっと血飛沫が上がり、重力に引かれて海に落ちていく。
それを見下ろす彼女の手元で、大太刀はいつの間にか鞘に納められており。お気に入りの着物にも外套にも返り血ひとつ受けておらず、その佇まいは剣舞のように美しかった。
「これこそ剣心一禅、禅を持って剣と心を一つにして初めて成せるブシドーです」
きりりとした表情でそう言って、キマイラの剣豪はサメに乗って嵐を翔ける。卓越した剣技の前で障害となる者はもはやなく、その進撃はまさに無人の野を往くが如くだった。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
改造サメ軍団に騎乗して島内へ出発。
随分と目つきの悪い悪役顔のイルカね…。
この子には島内まで頑張って貰わないといけないし、仕方ないわ。
【ブラッディ・フォール】で「イェーガーVSゾンビシャーク!」の「ルル・クラドセラキー」の力を使用(ルルの髪型とスク水、杖装備へ変化)
【深淵より来たれ……混沌の使徒……】で大量のゾンビ鮫を召喚し、借りた改造サメ軍団を守る様に前線に布陣。
敵一体に対して複数匹で向かわせ、イルカ達を触手で絡め取り、一斉に喰らいついて仕留めるわ。
実はわたしも鮫は呼べるのよね。ゾンビなので乗りたくなかったから改造サメを借りたのだけど…。
まぁ、戦力としては十分よね。血の雨を降らしてあげるわ
「随分と目つきの悪い悪役顔のイルカね……」
改造サメ軍団に騎乗してすきゅりんに支配された島へ出発したフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は嵐の中で空飛ぶイルカの群れに絡まれていた。
『ギュイ、ギュイッ!』
甲高い鳴き声を上げて侵入者を威嚇する「スカイドルフィン」。獣にしては表情豊かないかつい面構えと鋭い目つきは、彼らが悪意あるオブリビオンにしてコンキスタドールであることを如実に示すものだった。
「この子には島内まで頑張って貰わないといけないし、仕方ないわ」
嵐の壁を越える手段である改造サメ軍団になるべく無理をさせないために、フレミアは【ブラッディ・フォール】を発動。かつて戦ったコンキスタドールにして暗黒鮫魔術師、「ルル・クラドセラキー」の力を我が身に顕現させる。
「深淵より来たれ……混沌の使徒……」
髪型や服装をルルと同じツインテールとスク水に変え、禍々しい杖を装備した彼女は、囁くような詠唱で大量のゾンビ鮫を召喚する。鮫魔術と死霊魔術の複合によって生まれた悍ましき不死の鮫の群れは、禍々しき触手をうねらせながら咆哮を上げた。
「実はわたしも鮫は呼べるのよね。ゾンビなので乗りたくなかったから改造サメを借りたのだけど……」
『ギュイッ?!!』
サメの数がいきなり100体以上も増えたことで、スカイドルフィンの群れが狼狽える。
その間にフレミアはゾンビ鮫に指示を出し、鮫魔術士に借りた改造サメ軍団を守る様に前線に布陣させる。協力してもらった手前、まさかゾンビにして返すわけにもいくまい。
見た目はスプラッタホラーに出てくるような異形だが、ゾンビ鮫は主の命令に忠実で、この嵐の中でも飛行できる環境適応力は、生きた改造サメにも劣ってはいない。
「まぁ、戦力としては十分よね。血の雨を降らしてあげるわ」
サメの背中から号令するフレミアに応じて、ゾンビ鮫の群れは一斉に敵に襲いかかる。
数の上ではこちらが優位。単純な力では負けるかもしれないが、ゾンビには死者ゆえの不屈の耐久力があった。
「敵一体に対して複数匹で向かいなさい。さっさと仕留めるわよ」
フレミアの言った通りにゾンビ鮫は数匹で一匹のスカイドルフィンを触手で絡め取り、動きを封じてから一斉に食らいつく。慌てて仲間を呼ぼうとするイルカの喉笛を千切り、溢れる血潮で喉を潤しながら、また次の獲物を求めて嵐の中を飛び回る。
『ギュ、ギュイィィィィィ……!!』
知性が高いことは不幸でもある。なまじ賢いがゆえにイルカ達はゾンビ鮫の振る舞いに"恐怖"を覚えパニックに陥る。逃げようとするイルカや逆上して襲いかかるイルカ、反応は様々だったがいずれも統制は取れておらず、フレミア達の脅威にはなり得ない。
「案外あっけなかったわね」
烏合の衆と化した敵をゾンビ鮫に駆逐させながら、フレミアはサメに乗って先に進む。
彼女達が移動した後の海上は、食い散らかされたイルカの血で真っ赤に染まっていた。どんな嵐も、海獣の群れも、吸血姫とサメ軍団の道を阻むことはできなかったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
「電光の羽衣」…放っておくわけにもいかないし、回収したいところだね…。
サメを借りて出発するよ…。
改造サメ…空が飛べるって凄いね…。
お魚、食べる…?
この依頼が終わるまでだけど、よろしくね…。
敵が出てくるまではサメに話しかけたりしながらのんびり…。
敵のイルカ達が出て来たら、サメの背から黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】を放って吹き飛ばし、生き残りは呪力で侵食…。
【狐九屠雛】を周囲に展開し、サメを守る様に配置したり、敵へ追撃を行って完全に凍結させたりして迎撃…。
敵の超音波や突進攻撃はアンサラーの反射【呪詛、カウンター、オーラ防御、武器受け、早業】で跳ね返してサメを守って進むよ…。
「改造サメ……空が飛べるって凄いね……」
コンキスタドールの企みを阻止するため、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)はサメを借りて出発する。鮫魔術によって召喚された改造サメ軍団は、メガリスの力で発生した嵐の壁をものともせず、彼女を乗せたまま風雨の中を泳ぐように飛んでいた。
「お魚、食べる……?」
試しに自分が乗っている子に話しかけてみると、改造サメは彼女が差し出した魚にばくんと食らいつき、ぎゅんぎゅんと回転ノコギリを唸らせる。どうやら喜んでいるようだ。
「この依頼が終わるまでだけど、よろしくね……」
そんなふうにサメと交流しながらのんびりしていた璃奈だが、島に近付くにつれて不穏な気配を感じる。分厚い嵐の壁の向こうから、此方の侵入に気付いた敵が近付いていた。
『キュイッ! キュキュイッ!』
現れたのは獰悪な面構えをしたスカイドルフィンの群れ。甲高い鳴き声で璃奈とサメを威嚇しながら、ここから先は通さないと言わんばかりに行く手に立ち塞がる。どうやら、一戦交えるより他に手は無さそうだ。
「出て来たね……いくよ、サメのみんな……」
璃奈はサメの背で呪槍・黒桜を振るい、籠められた呪力を解放する。嵐の中に舞い散る桜の花びらのように、拡散した呪いは周囲を侵食しながらスカイドルフィン達を襲った。
『ギュイィッ!?』
直撃を受けたイルカ達は吹き飛ばされ、なんとか踏みとどまった者も呪力に侵される。敵の足並みが乱れた隙に璃奈は呪文を唱え、九尾炎・最終地獄【狐九屠雛】を発動した。
「魂をも凍てつかせる地獄の霊火……」
ぼうっと現れたのは100を超える狐火の群れ。この暴風雨の中でも消えず、熱ではなく冷気を発し、触れるモノ全てを凍てつかせる絶対零度の炎。璃奈はそれを周囲に展開し、サメを守るように配置する。
『キュ……!!!』
迂闊にも炎に触れてしまったスカイドルフィンは、瞬時に凍結して海に落下していく。
これでは近付く事さえ困難だろう。敵が攻めあぐねるのをよそに璃奈は呪槍を振るい、より激しく呪力の嵐を巻き起こしながら、サメに乗って前進を再開する。
「ここは通らせてもらうよ……」
黒桜で吹き飛ばし、狐九屠雛で追撃。呪力と冷火を操る璃奈の攻撃にスカイドルフィンは次々と倒れ、海上に凍りついた屍を晒す。なんとか足を止めようと、遠巻きに超音波の衝撃を放って反撃してくる個体もいるが――。
『ギュ……ギュイーーーッ!?』
璃奈が所有する魔剣のひとつ「アンサラー」の魔力で超音波をはね返され、逆に自分が衝撃で吹っ飛ぶ始末。嵐の壁を移動する手段さえあれば、歴戦の猟兵である彼女がイルカ程度に遅れを取る理由はなかった。
「『電光の羽衣』……放っておくわけにもいかないし、回収したいところだね……」
イルカを蹴散らし先に進みながら、璃奈の興味は島にいる敵のボスとメガリスに移っていた。これほど大規模な気象操作を可能とし、メガリスのテレポートすらも阻む秘宝――このままコンキスタドールに持たせておくのは余りにも危険だろう。
「もう暫く力を貸してね……」
狐九屠雛の壁とアンサラーで改造サメ軍団を守りつつ、移動のペースを上げてもらう。
吹き荒ぶ嵐の向こうに目指すべき島は今だ見えず。だが近付いているのは確かだった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン…先の戦争の残党か
レディ・オーシャンと言い本当にしつこい連中だな、まったく
召喚されたサメを操縦して飛ぶ
エギーユ・アメティストを咥えさせれば、手綱代わりになるだろう
オーヴァル・レイを念動力で操作し、ビーム線を放ってスカイドルフィン達を倒しつつ嵐の壁を突き進む
厄介な環境だ、こちらに向かってくる敵のみを狙って進んだ方が良いだろう
ドルフィンアタックか
ならば、こちらはドルフィンキックと行こうか
UCを発動
高速で突進する敵に、カウンターで鞭のように蹴りを撃ち込み、さらに怪力で吹き飛ばす
手綱をしっかりと握っておけば吹き飛ばされることもあるまい
そのまま骸の海へ還るがいい
お前達に相応しい場所だ
「フン……先の戦争の残党か。レディ・オーシャンと言い本当にしつこい連中だな、まったく」
たびたび猟兵達の前に現れては事件を起こす、言うなれば腐れ縁とでも言うようなオブリビオンの再来に、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は肩をすくめる。
勝利を収めたはずの相手にまた手間をかけさせられるのは、ただただ面倒でしかない。今回も早々にお引き取り願おうと、召喚されたサメを操縦して空を翔ける。
「頼むぞ」
普段は武器として使う白い革鞭「エギーユ・アメティスト」を手綱代わりに咥えさせ、気象の荒いサメを見事に乗りこなす様はまるで名ジョッキー。サメも彼女の騎乗に応えるように、回転ノコギリをぎゅんぎゅんと唸らせながら嵐の壁を突き進んでいく。
『キュイッ、キュキュイッ』
そんなキリカ達の行く手を阻まんと、現れたのはスカイドルフィンの群れ。背中の翼を羽ばたかせ、この嵐の中を泳ぐように自在に翔けて、猛スピードの突進を仕掛けてくる。
あの突撃をもろに受ければ、サメの背中から暴風雨の只中に突き飛ばされる事になる。キリカは即座に卵型の浮遊砲台「オーヴァル・レイ」を操作し、敵群の迎撃にあたった。
(厄介な環境だ、こちらに向かってくる敵のみを狙って進んだ方が良いだろう)
砲台の中心部から強力な粒子ビーム線が放たれ、突っ込んできたイルカを撃ち落とす。
立ち込める暗雲を吹き飛ばすような、鮮烈な青い閃光。その軌跡が描き出した突破口を辿って、キリカとサメは前進を続ける。
『キュイイッ!』
それでもスカイドルフィン達の追跡は執拗に収まることはなかった。拠点である島から呼び寄せられた仲間が続々と現れては、高速の【ドルフィンアタック】を仕掛けてくる。群れの力を利用して獲物を追い詰める戦い方は、どちらかと言えばシャチの狩りに近い。
「ドルフィンアタックか。ならば、こちらはドルフィンキックと行こうか」
獰猛な海獣の群れに目の敵にされて、それでもキリカは慌てなかった。ミサイルのように突っ込んでくる敵にタイミングを合わせ、脚を鞭のようにしならせて蹴りを撃ち込む。
身体・運動能力を極限まで高める「アンファントリア・ブーツ」の強化を受けた彼女の【サバット】は、ただの格闘技の域に収まらない威力を発揮し、イルカを吹っ飛ばした。
『キュイイィィィィィーーーーッ!!!!?』
蹴飛ばされたスカイドルフィンは悲鳴を上げながらすっ飛び、仲間を巻き込みながら嵐の彼方に消える。キリカ自身もしっかりと手綱を握っていなければ、自らの蹴りの反動で吹き飛んでいたかもしれない。それくらい凄まじい威力のキックだった。
「そのまま骸の海へ還るがいい。お前達に相応しい場所だ」
消えていった敵にそう言い残して、彼女は蹴り破った嵐の進路をまっすぐに突き進む。
こんな所で悠長に立ち止まっている暇はない。自分達が倒すべき敵のボス――嵐の壁で島を封鎖した「すきゅりん」は、この先に待っているのだから。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
このインパクト満点の鮫魔術を失念……? ……忘れたかったのでは?
ともあれ、雷光の羽衣の力は戦争でも思い知っています
油断することなく白い競泳水着に着替えて準備万端(環境耐性・地形耐性)
召喚していただいたサメに【騎乗】し、【サーフィン】の要領で乗りこなします(空中戦)
サメさん、よろしくお願いしますね(動物と話す・動物使い)
サメの突撃の速度(騎乗突撃)を加えた【ランスチャージ】でスカイドルフィンを【串刺し】に
【なぎ払って】【吹き飛ばす】
超音波の準備動作として口を開いたら、すかさず指先から【聖天煌破弾】を撃ち込む
早撃ちなら負けませんよ
「このインパクト満点の鮫魔術を失念……? ……忘れたかったのでは?」
回転ノコギリをぎゅんぎゅん唸らせながら空を飛ぶ改造サメ軍団を見て、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は思わずにはいられなかった。仮にもグリードオーシャンの住人が鮫魔術の力を知らないとは、うっかりにも程があるだろう。
「ともあれ、雷光の羽衣の力は戦争でも思い知っています」
戦争中も猟兵の航路を妨げたメガリスの力は健在のようで、行く手を阻むのは嵐の壁。
オリヴィアは油断することなく、濡れても平気な白い競泳水着に着替えて、準備万端の態勢で改造サメに乗り込んだ。
「サメさん、よろしくお願いしますね」
鮫魔術士達に召喚された改造サメは、オリヴィアの呼びかけにこくりと頷いて嵐の壁に飛び込んだ。内部では殴りつけるような暴風が吹き荒れており、雨粒が弾丸のような勢いで打ち付けてくるが、彼らはまるで平気な様子でスイスイと空を泳ぎ回る。
「そう、その調子ですよ」
オリヴィアは振り落とされないようサーフィンの要領でバランスを取り、完璧にサメを乗りこなしながら行く先を示す。動物と言葉を交わし使役する彼女のスキルは、サメ相手でも有効に働いているようだ。
『ギュイイッ!!』
だが、そんな快調な移動を阻むのは、嵐の向こうから現れたスカイドルフィンの群れ。
いかつい面構えの通り気性の荒い彼らは、自身の縄張りに入った猟兵を許しはしない。しかし退くつもりがないのはオリヴィアとて同じ事だ。
「突撃です、サメさん!」
破邪の聖槍を構えて号令を発すると、彼女の騎乗するサメが速度を上げる。追い風にも負けない猛然たる突撃と、その速度を威力に加えたランスチャージ――たかがイルカ風情には受け止めようのない衝撃が、敵の防衛線に突破口を開いた。
「どいてください!」
並居るイルカの群れを槍でなぎ払い、吹き飛ばし、串刺しにして突き進むオリヴィア。
肉弾戦では勝ち目がないと察したイルカ達は、遠くから【超音衝撃波】を浴びせようとするが――超音波を発する準備動作としてイルカの口が開くのを彼女は見逃さなかった。
「早撃ちなら負けませんよ」
『ギュ、ギュイッ?!』
鉄砲のようにぴんと突き出された人差し指の先から、【聖天煌破弾】が撃ち込まれる。
それは超高密度に圧縮した聖光。音よりも速い弾丸に射抜かれたスカイドルフィンは、悲鳴を上げながら真っ逆さまに海に落下していった。
「無窮の光よ! 疾く穿て!」
速射性に優れた光弾の連射が、嵐に閉ざされた海域を黄金に照らす。近距離でも遠距離でも勝機のなさを思い知らされたスカイドルフィン達は、散り散りになって逃げていく。
掃討したいところだが、今は事件の首謀者を追い詰めるのが先決だろう。オリヴィアは障害の消えた空をサメと共に翔け抜け、すきゅりんに支配された島を目指すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
サメに乗って飛ぶなんてきょうび流行んないのよ。
通の私から言わせてもらえば最新流行はやっぱり
サメが乗る、これよ。
「私達も嵐と一体化するわよ!」
改造サメを担ぎ上げると、嵐に向かってダイブ。
サメはお前正気かの如くしばらくジタバタと抵抗していた。
「この嵐ダイブを原稿用紙に纏めて雑誌の不思議体験のコーナーに投稿。タイトルは『私ってばエスパー?サメを担いで嵐の中!』という題名にしましょ」
突然現れた、サメを担いでいるカビパンの出現にスカイドルフィン達の間に動揺が走る。全員が固まっていた。
あるスカイドルフィンは失心している改造サメに目を向けながら、
あるスカイドルフィンは突如として現れたカビパンに困惑しながら。
「サメに乗って飛ぶなんてきょうび流行んないのよ」
島を封鎖する嵐を前にして、カビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)が言い放ったのは、今回の作戦を根本から揺るがすものだった。猟兵を支援すべくやって来た鮫魔術士の一団も「そんな?!」とこれには吃驚仰天である。
「通の私から言わせてもらえば最新流行はやっぱり――サメが乗る、これよ」
「「!!!!!」」
そして続く一言で、彼らの驚愕は激震に変わる。サメに乗るのではなく、サメが乗る。単純ながらこれまで誰も思いつかなかったコロンブスの卵的な発想が、鮫魔術士達の魂を揺さぶったのだ。「思いついたけど誰もやらなかった」とは言ってはいけない。
「私達も嵐と一体化するわよ!」
カビパンは動揺する鮫魔術士から改造サメを担ぎ上げると、嵐に向かってダイブする。
サメは「お前正気か」とでも言いたげにしばらくジタバタと抵抗していたが、残念な事に拒否権はなかった。吹きすさぶ暴風雨の只中を、サメと女教皇は身一つで翔けていく。
「この嵐ダイブを原稿用紙に纏めて雑誌の不思議体験のコーナーに投稿。タイトルは『私ってばエスパー? サメを担いで嵐の中!』という題名にしましょ」
明らかにムチャクチャな体勢なのに、カビパンはなぜか余裕である。実際には担がれているほうのサメが必死になって飛行を維持しているのだが、さもそれが自分の力であると言わんばかりの態度である。ここまでマイペースだと逆に大物らしさすら感じる。
『キュ、キュイ……?』
サメを担いでいるカビパンの突然の出現に、スカイドルフィン達の間に動揺が走った。
訳の分からない体勢の相手にどう対処すればいいのか分からず、全員が固まっている。イルカは知能の高い生き物だが、今回はなまじその賢さが仇となったのである。
「私は嵐! 雨と風とひとつになるの!」
島に近付くにつれて嵐の壁も激しさを増しているが、カビパンのノリも加速していく。
サメを担いだまま片手でハリセンを振り回し、嵐を抜けるのではなく嵐との同化を試みる【ハリセンで叩かずにはいられない女】の言動は、この場の全員の理解を超えている。
奇策と呼ぶにもトンチキ過ぎるが、故にこそ敵に与える精神的ショックは大きかった。
『キュイ…………』
あるスカイドルフィンは突如として現れたカビパンに困惑し、あるスカイドルフィンは失心している改造サメに目を向けて。暴風雨に負けず吹き荒れるカビパンのギャグ旋風に気力を奪いつくされ、戦意喪失したままその場に硬直する。
「いざ行かん、嵐の向こう側へ!」
敵が襲ってこないのを良いことに、カビパンはそのまま無傷で敵の前線をすり抜ける。
彼女のノリに付き合わされ、自失した状態でぱたぱたヒレを羽ばたかすサメを連れて。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
羅針盤戦争で数多く突破された『嵐の壁』…
骸の海に経験を持ち帰れぬ敵の泣き所ですね
しかし私が乗れるサメの用意は難しいのでは…いるのですか?
こ、これは…ジンベエザメ…
(口に手綱替わりのワイヤーアンカー咥えさせ立って●騎乗)
他の鮫と比べ緩慢で交戦を避けるのは致し方ありません
無理に従え機嫌を損ねても『すきゅりん』との戦闘に響くなら…
サメの望む方向に出来るだけ手綱を操り、UCの推力移動をハッキングで微調整しつつ加速
質量とランスのバリアで道を塞ぐ群れを突破
普段は我が意の儘のロシナンテ頼りですが
中々どうして、私の腕も捨てたものでも…
おっと、貴方の協力あってこそですね
さあ、島の人々の解放に向かいましょう!
「羅針盤戦争で数多く突破された『嵐の壁』……骸の海に経験を持ち帰れぬ敵の泣き所ですね」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとって、眼前に立ち塞がる嵐は未知の事象ではなかった。先の羅針盤戦争で出現したすきゅりんとの戦闘記録は、しっかりとデータベースに保存されている。
「しかし私が乗れるサメの用意は難しいのでは……いるのですか?」
「ご安心ください!」
今回の「嵐の壁」を超えるためには、あらゆる環境に適応する改造サメの助けが必須。
体長3m近いウォーマシンの自分を乗せられるサメはいるだろうかと、それだけが懸念だったトリテレイアだが、鮫魔術士の協力者達は自信たっぷりに新たなサメを喚ぶ――。
「こ、これは……ジンベエザメ……」
喚び出されたのはサメの中でも、いやさ全ての魚類の中で現生最大を誇る種であった。
その体長は大きいもので10mを超え、クジラに次ぐスケールを誇りながらも、性格はいたって温厚。機械仕掛けの騎士を乗せるのにこれ以上うってつけのサメはいまい。
「さあ、どうぞお乗り下さい!」
「…………では、有り難く」
鮫魔術士達に礼を言って、トリテレイアは機体から伸ばしたワイヤーアンカーをサメの口に咥えさせ、手綱替わりにしてその背に乗る。装備も含めた騎士の重量を背負っても、ジンベエザメは潰されることはなく、悠然とした動きで嵐の壁に突入するのだった。
「乗り心地は悪くはありませんね」
吹き荒れる暴風雨の中、ジンベエザメの巨体は小揺るぎもせずに悠々と空を飛び回る。
しかしその巨大さゆえの代償か、かのサメの動きは緩慢であり、大して速度が出せないのが欠点だった。
「他の鮫と比べ緩慢で交戦を避けるのは致し方ありません。無理に従え機嫌を損ねても『すきゅりん』との戦闘に響くなら……」
トリテレイアは出来るだけサメの望む方向に手綱を操りつつ、【艦船強襲用超大型突撃機械槍】の推進機を起動する。ハッキングで微調整されたロケットブースターの推力で、ジンベエザメに足りないスピードを後押ししようという試みだ。
『キュイッ!!』
騎士とジンベエザメを止めようと、嵐の向こうからスカイドルフィンの群れが現れる。
彼らは仲間と翼を羽ばたかせ、【ドルフィンアタック】の一斉突撃で相手を押し返そうとするが――ジンベエザメのスケールに比べれば、それはまるで群がる小魚のようだ。
「押し通らせて頂きます」
トリテレイアは機械槍の穂先から傘状のバリアを展開。ブースターの推進力で加速したジンベエザメの巨体と質量を武器にして、押し寄せるイルカの群れを逆に突き飛ばした。まるで爆進するトラックに轢かれたように、愚かなる哺乳類は嵐の彼方に消える。
『キュイイーーーッ!!?』
まさに鎧袖一触。一度勢いに乗ったジンベエザメの突進は、スカイドルフィン総出でも止められない。トリテレイアはそのままサメの質量と機械槍のバリアで道を塞ぐ敵の群れをこじ開け、戦線を突破した。
「普段は我が意の儘のロシナンテ頼りですが、中々どうして、私の腕も捨てたものでも……おっと、貴方の協力あってこそですね」
慣れないサメ騎乗でも見事な手綱さばきに、彼は少し得意げにしつつも乗騎への労いを忘れない。扁平な頭部をそっと撫でてやると、ジンベエザメは満足げにヒレを揺らした。
「さあ、島の人々の解放に向かいましょう!」
槍を突き出し勇ましく、嵐の壁を進撃するトリテレイアとジンベエザメ。すきゅりんに支配された島まであと少し。幹部猟書家(偽)との戦いは次の局面に入ろうとしていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『すきゅりん』
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POW : ほーみんぐ・ぼまー
攻撃が命中した対象に【電撃の継続ダメージ・追跡効果の癒えない傷】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【投擲魚雷(誘導弾・弾幕・制圧射撃・爆撃)】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : ばいぱー・ぱるすほー
レベル分の1秒で【巨大な雷蛇型の電撃(スナイパー&誘導弾)】を発射できる。
WIZ : 電撃戦闘機隊召喚
召喚したレベル×1体の【小型高速戦闘機隊(機銃装備)】に【ミサイル&投下弾の無限供給・水中行動機能】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:おきな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠泉・火華流」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「すっきゅりん! まさか、この嵐を超えてくるヤツがいるなんて!」
サメの力を借りて嵐の壁を攻略し、コンキスタドールに支配された島に向かう猟兵達。
スカイドルフィンの襲撃を退け、さらに先に進む彼らを待っていたのは、下半身がタコのような触手と化した少女だった。
「これじゃせっかくの計画が台無しだよ、もう!」
ぷんぷんと怒りを露わにするその少女こそ、島を嵐で封鎖した「すきゅりん」である。
彼女が纏うメガリス『電光の羽衣』には、それほどの力がある。島を誰も立ち入れないように隔離した上で、ゆっくりと拠点化するのが本来の計画だったようだが、鮫魔術の力を考慮していなかったのが彼女の誤算だった。
「こうなったら私の手でお前らを倒す! 前と同じようにいくとは思わないでよね!」
レディ・オーシャンの配下になったことが転機になったのか、今の彼女は羅針盤戦争の頃よりも実力を増しているように感じる。以前は『電光の羽衣』が厄介なだけで、本人は有り体に言って雑魚だったのだが――どうやら今回はそうもいかないようだ。
「いっくぞー! すっきゅりん♪ すっきゅりん♪」
口癖らしきものを繰り返しつつ、タコの触手をうねらせて臨戦体勢を取るすきゅりん。
彼女を倒せば嵐の壁も収まり、島民達も解放される。激しさをさらに増す暴風雨の中、猟兵達もサメに乗ったまま戦いの構えを取った。
猟兵とサメとコンキスタドール。嵐の海を舞台に、雷鳴を音楽に、激闘の幕が上がる。
黒影・兵庫
ようやく嵐を抜けました!ありがとうございます!鮫さん!
(「さ、後はこの嵐を呼び寄せた黒幕を倒すのみよ」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい!せんせー!
前の戦争でも暴れたそうですが
一撃で倒せる程度と聞きました!
速攻で終わらせましょう!
(「油断しすぎ!黒影!しっかりしなさい!」)
す、すみません!
油断せず全力でいきます!
俺はUC【轢殺虫】で召喚した重騎兵さんに抱えてもらい
『オーラ防御』で『電撃耐性』のあるオーラバリアで重騎兵さんごと覆い
丸まった後『衝撃波』を使った『ダッシュ』で敵に突進します!
せんせーは『念動力』で{皇糸虫}を操作し敵を『捕縛』してください!
(「わかったわ!まかせて!」)
作戦開始です!
「ようやく嵐を抜けました! ありがとうございます! 鮫さん!」
嵐の壁というひとつの難所を越え、敵のボスを発見した兵庫はサメ達に感謝を伝える。
彼らの協力がなければここまで来ることは叶わなかっただろう。自らの身の危険も承知で協力してくれた彼らには感謝しかない。だが、戦いはまだもう一息残っている。
(さ、後はこの嵐を呼び寄せた黒幕を倒すのみよ)
「はい! せんせー!」
頭の中の教導虫が呼びかける。それに応えて兵庫が対峙するのは海魔「すきゅりん」。
メガリス『電光の羽衣』を身に纏い、嵐の中を自在に飛び回るその様は、自身がこの島の女王だと誇示するかのようでもあった。
「前の戦争でも暴れたそうですが、一撃で倒せる程度と聞きました! 速攻で終わらせましょう!」
ここまで順調に来れた事もあってか、兵庫はまっしぐらに敵と距離を詰めようとする。
だが、そんな彼の慢心をたしなめるように、スクイリアが脳内でぴしゃりと一喝する。
(油断しすぎ! 黒影! しっかりしなさい!)
ここまで接近を許してもなお、すきゅりんの態度に大きな焦りは見られない。つまり、猟兵と戦って勝てる自信があるということ。戦争時の情報を鵜呑みにしては痛い目を見る可能性が高い。「過去」の具現であるオブリビオンとて、変化しないわけではないのだ。
「す、すみません! 油断せず全力でいきます!」
頭の中から叱責された兵庫は慌てて謝り、気を引き締め直すと【轢殺虫】を召喚する。
巨大な団子虫のような姿をしたこの虫は、オーラのバリアで常に身を護っており、高い防御力を誇る。兵庫は自らも球状のオーラに身を包み団子虫に抱えられるように騎乗し、サメの背中をゴロゴロと転がりだした。
「重騎兵さん! せんせー! 作戦開始です!」
鮫肌の上をボールのように猛スピードで転がって、敵に突進を仕掛ける兵庫&轢殺虫。
至極シンプルな体当たり攻撃だが、彼らの重量と硬さを加味すれば痛いでは済むまい。
「ふふん! そんな攻撃当たらないよー……っとわぁ?!」
まっすぐ向かってくる巨大団子虫を見たすきゅりんは、余裕の表情で突進のコースから避けようとする。だがその時、うねりと伸びてきた糸状の寄生虫が、彼女の足に絡まる。
(せんせーは皇糸虫を操作し敵を捕縛してください!)
(わかったわ! まかせて!)
それは作戦開始の直前に兵庫の脳内で交わされていた作戦通り。スクイリアの念動力で操られた皇糸虫はしっかりとすきゅりんを捕まえ、轢殺虫のコース上に彼女を固定する。
「こ、このっ、放すっきゅりん! 来るなっきゅりん!」
すきゅりんは糸を解こうとじたばた暴れながら【ばいぱー・ぱるすほー】を発射する。
サーベルの切っ先より放たれた巨大な雷蛇型の電撃が、轢殺虫に乗った兵庫に命中する――だが、電撃耐性のあるオーラの防壁に包みこまれた彼に、ダメージはほとんど無い。
「これで、どうだっ!」
「ぴぎゃーーー?!」
そのまま爆走する轢殺虫&兵庫に轢き潰され、すきゅりんの悲鳴が嵐の空に響き渡る。
確かに戦争当時よりも敵は強くなってはいる。だが猟兵はそれ以上に強く、かつ成長を続けていることを、兵庫の戦いぶりが示していた。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
強化されても、そのふざけた言動は変わらんか
だが…油断は禁物だな
デゼス・ポアとシルコン・シジョンを装備
スナイパーと操縦技能をフルに使い、サメを上手く乗りこなしながら敵を狙撃しつつ、敵の攻撃を受ける
サメから落ちたり戦闘不能にならないよう、致命的な攻撃は回避したりカウンターで撃ち落として対処する
随分とご馳走になったな…
コイツも礼を言いたいそうだ、存分に受け取れ
UCを発動
敵の攻撃を喰らい続けて強化されたデゼス・ポアでを一気に敵の元へと移動させ、速度を上げた連続攻撃を行う
敵が怯んだら、装備銃器の一斉発射で追い討ちをかける
やれやれ、随分と強化されたようだな
その分、お返しも多めにしておいたぞ
「強化されても、そのふざけた言動は変わらんか」
羅針盤戦争中にすきゅりんと戦った経験のあるキリカは、その当時のことを思い返す。
すきゅりんすきゅりんと喧しかったのに加え、メガリスの力で嵐を起こす能力は確かに面倒だった。もっともその嵐さえ攻略してしまえばすきゅりん自体は弱かったのだが。
「だが……油断は禁物だな」
戦場傭兵としての直感が告げている。今ここにいるすきゅりんは当時より遥かに強い。どうやってそんなパワーを手に入れたのかは不明だが、気を抜けない強敵となっていた。
「これませの私と思わないでよね! いっくぞー♪」
電光の羽衣からバリバリと電撃を放つすきゅりん。対するキリカはサメを上手く乗りこなしながら神聖式自動小銃"シルコン・シジョン"を構え、飛び回る敵をスナイプする。
「なかなか素早いが、単純な機動だな」
「あだっ?! やったなー!!」
不安定に揺れるサメの背中の上でも、照準がブレないのは流石の狙撃技術だ。だが敵もやられてばかりではなく、弾丸とすれ違うように放たれた電撃がキリカの身体を掠める。大きなダメージはないが、受けた箇所には癒えない傷と電撃の残滓が刻みつけられた。
「くらえ、ほーみんぐ・ぼまー!」
電撃によるマーキングを施した標的に向かって、すきゅりんは投擲魚雷を投げつける。
それは海中と同じように嵐の空を翔け、見えない磁力に引き寄せられるようにキリカに向かって飛んでいく。
「誘導弾か。面倒だな」
身体に残る電撃の痺れを堪えながら、キリカはもう一度自動小銃のトリガーを引いた。
聖別の施された弾丸が、魚雷の弾頭に命中し誤爆を起こす。見事なカウンタースナイプだが、すきゅりんの攻撃はそれで終わりではなかった。
「えいえいえいっ♪」
八本のタコ足を操って次から次へと魚雷を投げまくるすきゅりん。キリカはサメを操縦して爆撃を回避し、狙撃で魚雷を撃ち落とし、致命的な攻撃だけは受けぬように努める。戦闘不能になるダメージを受けるのは勿論、サメから落とされるだけでも大ピンチだ。
「どうしたどうしたー♪」
防戦一方の様子を見て、すきゅりんは挑発するようにけらけらと笑う。羅針盤戦争では散々痛い目に合わされた仕返しができて嬉しいのだろうか。だが彼女はまだ気付かない。守りに徹しているように見せかけながら、キリカが反撃の時を待っている事に。
「随分とご馳走になったな……コイツも礼を言いたいそうだ、存分に受け取れ」
「へ?」
発動するのは【美味礼讃】。これまでに喰らい続けてきたすきゅりんの攻撃の質と量に応じて、キリカの相棒である呪いの人形「デゼス・ポア」が強化される。全身を飾る刃をざわつかせ、オペラマスクの下でケタケタと笑いながら、かの人形は敵に襲い掛かった。
「へぅあっ?!」
その驚異的な移動速度に、思わずすきゅりんは目を白黒させる。レディ・オーシャンに幹部として取り立てられたほどの実力者ならば、攻撃の質・量も相当なもの。故にそれを食った人形の絶望もまた強くなり、その刃の鋭さと与える苦痛をどこまでも増していく。
「やれやれ、随分と強化されたようだな。その分、お返しも多めにしておいたぞ」
「いやっ、その、エンリョさせてほし……みぎゃぁぁっ!!!?」
デゼス・ポアの錆び付いた刃が、目にも止まらぬ速さですきゅりんの全身を切り刻む。
魂まで抉られるような激痛に彼女が怯んだ直後、後方よりキリカが手持ちの銃器による一斉発射で追い討ちをかけた。
「遠慮は無用だ」
「いぎゃぁぁぁっ!!?」
雷鳴にも負けないような大絶叫を上げて、空中でじたばたとのたうち回るすきゅりん。
実力を付けたとはいえ、こうした大物らしくない言動については以前のままのようだ。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
すっきゅりん♪
仕種は可愛らしいのだけどねぇ…。見過ごすわけにもいかないからね
サメに乗りつつ、【ブラッディ・フォール】で「群竜大陸護る柱、それを護るは伝説の魔物達」の「アークデーモン」の力を使用(悪魔の角と翼、尻尾が生えた姿)。
【全力魔法、高速・多重詠唱、限界突破】【攻性魔法・多重発動】で大量の多属性攻撃魔法による多重高速連射を放ち、敵の魚雷やら戦闘機等を迎撃し、雷撃を相殺。
逆に圧倒的な魔法量で敵を制圧し、【全力魔法、限界突破】による極大の【妖星招来】を発動。
特大の一撃を叩き込んであげるわ!
弱いままだったらこんな全力の一撃受けなくても済んだでしょうにね…強くなるって事は必ずしも良いとは限らないわ
「仕種は可愛らしいのだけどねぇ……。見過ごすわけにもいかないからね」
すっきゅりん♪ と相手の口癖を真似しながら、サメに乗って敵と対峙するフレミア。
容姿だけなら魅力的なオブリビオンは珍しくないが、このすきゅりんは島ひとつを嵐で封鎖し残酷な支配を敷こうとしていた、見た目によらずかなり悪辣な輩である。
「見過ごしてくれてもよかったのに、まったくもう!」
すきゅりんからしてみても、嵐の壁で猟兵の侵入を防げなかったのは予想外の事態だ。
ぷんすかと怒りながら嵐の空を飛び回る彼女は奔放で愛らしく。されど情けをかければ海の藻屑となるのは猟兵達のほうだ。
「ここできっちり引導を渡してあげるわ」
そう言って再び【ブラッディ・フォール】を発動するフレミア。前回の暗黒鮫魔術士に続いて顕現させるのは、以前アックス&ウィザーズで交戦した「アークデーモン」の力。悪魔の角と翼、尻尾を生やした姿となって、海魔の小娘と堂々と向かい合う。
「やられてたまるもんかーっ!」
対するすきゅりんは【電撃戦闘機隊召喚】を行い、機銃とミサイルを搭載した小型高速戦闘機隊を呼び寄せる。それらは彼女の意のままに嵐の空を飛行し、デーモンの姿に変身した吸血姫をロックオンした。
「このスペシャルな部隊なら、いくら猟兵でも……!」
「甘いわよ」
戦闘機隊がミサイルを発射するのと同時に、フレミアは【攻性魔法・多重発動】による迎撃を開始する。炎や雷に氷に風に石など、多種多彩な属性を込めた大量の攻撃魔法が、秒間100発を超えるペースで高速連射され、敵の攻撃を撃ち落とす。
「すっきゅりん?!」
暴風雨を思わせる圧倒的な魔法量の反撃に、すっきゅりんは思わず素っ頓狂に叫んだ。
せっかく喚び寄せた戦闘機は、ロクに戦闘する猶予さえ与えられずに次々と撃墜され。放たれた機銃もミサイルも魚雷も、分厚い魔法弾幕の壁に阻まれてフレミアには届かず。
「これで終わりかしら?」
「ま、まだまだーっ!!」
あっという間に壊滅的な被害を受けた部隊にかわって、今度はすきゅりん本人が魚雷を投げつけたり、羽衣から電撃を放ったりと攻撃を仕掛ける。だがそれもフレミアの唱える雷撃の魔法で相殺され、お返しとばかりにその数十倍の量の攻性魔法が飛んでくる。
「ぴえーーーっ!」
最初の威勢はどこへやら、一転して逃げ惑う羽目になるすきゅりん。完全に戦場を制圧したフレミアは、魔法を放ち続けながら別の呪文を唱え始める。それはアークデーモンのユーベルコードの中でも最大規模の威力を誇る【妖星招来】だ。
「特大の一撃を叩き込んであげるわ!」
嵐の上空に描き出される巨大な魔法陣。そこから放たれるのはフレミアの全力を費して招来された特大の隕石。ゴゴゴゴと唸りを上げて天より墜ちてきたそれは、狙い過たずにすきゅりんに直撃した。
「みっぎゃーーーーーっ!!!!!?!」
鼓膜が吹き飛ぶような爆音と、それに負けない少女の絶叫が、暴風雨の中に響き渡り。
海面の一部が蒸発するほどの大威力を叩きつけられて、すきゅりんは吹っ飛んでいく。
「弱いままだったらこんな全力の一撃受けなくても済んだでしょうにね……強くなるって事は必ずしも良いとは限らないわ」
すきゅりんが飛んでいった彼方を見やりながら、しみじみとそんな事を思うフレミア。
力を持つことは相応の代償やリスクを伴う。あの海魔もそれを思い知ったことだろう。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
嵐の海を舞台に、処刑用BGMを音楽にトークショーの幕が上がる。
本日はすきゅりんさんをお招きしております。
何か良いご計画があったみたいですが、詳しく聞かせていただけます?前と同じようにいくとは思わないでよね、と先ほど言われましたがあたくしあーたとお会いするのは初めてなの。前の話も聞かせてくださいまし。
ちなみにその口ずさんでいらっしゃる、すっきゅりんってあたくしにはさっぱり意味が分からなくて面白さが理解できないの。なんでそんな口癖ですっきゅりんにどんな意味があるのか教えてくださる?そういえばあーたは雑魚で定評があるのだとか。そんな可哀想なすっきゅりんさんにプレゼントお持ちしましたの。はい改造サメ。
「あだだだだだ……ここはどこっきゅりん……?」
猟兵の猛攻を食らったすきゅりんが吹き飛ばされた先は、なんだか妙な雰囲気だった。
どこからともなく流れてくる不穏な音楽。そしてサメに乗った――いや、サメを乗せた奇妙な女。そう、ここは【黒柳カビパンの部屋】嵐の壁出張版の収録現場であった。
「本日はすきゅりんさんをお招きしております」
「え、私?!」
伝説級のトーク力を持った霊を降ろして司会に扮したカビパンは、まるで当然のようにゲストとしてすきゅりんを扱う。唐突な紹介にあずかった本人は困惑しているが、基本的に相手の都合をまったく考えずに進行するのがこの番組の特徴である。
「何か良いご計画があったみたいですが、詳しく聞かせていただけます?」
「え? そ、それはー。嵐の壁でこの島を囲って、私が支配しちゃう計画だったの!」
妙に押しの強い黒柳カビパンに問い詰められて、すきゅりんは当初の計画を語りだす。
もしも猟兵が現れなければ――いや、サメという想定外の因子さえなければ、この島は今頃彼女の天下だった筈だ。時間をかけて拠点化を進められれば厄介な事になっていた。
「いずれはグリモアベースを侵略するための拠点にするつもりだったのに! ぐぬぬ」
「へー、ふーん、なるほど。まあどうでもいいですけど」
「そっちから聞いてきたクセに反応薄くないッ!?」
すきゅりんが自らの侵略計画を熱っぽく語っても、あろうことかカビパンは総スルー。
もうちょっとマトモなリアクションをしてよという抗議さえもガン無視し、強引に次の話題に転換する。
「前と同じようにいくとは思わないでよね、と先ほど言われましたがあたくしあーたとお会いするのは初めてなの。前の話も聞かせてくださいまし」
「え? あーそうだよね、あんたと戦うのは始めてだっけ……」
なんだかんだ聞かれると答えてしまうすきゅりん。羅針盤戦争における彼女はメガリス『雷光の羽衣』の能力で嵐を起こし、七大海嘯の拠点を探す猟兵の航路を妨害していた。本人の実力は大した事は無かったが、嵐の攻略は猟兵でもなかなかに骨が折れたそうだ。
「まあ結局負けちゃったんだけどー……でも今度はそうはいかないし!」
「へー、ふーん、なるほど。まあどうでもいいですけど」
「さっきと返事が変わってないんだけどッ!!」
やっぱり生返事しかしないカビパンに、すきゅりんもだんだんイライラしてきた。が、彼女がそれを暴力として発散する隙を与えず、圧倒的なトーク力と強烈なプレッシャーでカビパンは現場のペースを掌握し続ける。これが大御所の貫禄というやつなのだろうか。
「ちなみにその口ずさんでいらっしゃる、すっきゅりんってあたくしにはさっぱり意味が分からなくて面白さが理解できないの。なんでそんな口癖ですっきゅりんにどんな意味があるのか教えてくださる?」
「え、あ、う、ただの口ぐせに意味とか面白さとか求めないでほしいすっきゅりん!?」
特に意識してやっていた訳でもない事を突っ込まれ、しどろもどろになるすきゅりん。黒柳カビパンの話術は止まることを知らず、ゲストに休む暇も与えずに畳み掛けていく。
「そういえばあーたは雑魚で定評があるのだとか。そんな可哀想なすっきゅりんさんにプレゼントお持ちしましたの」
「雑魚って言うなっ……え、プレゼント?」
唐突にディスられ電撃を放ちそうになったものの、プレゼントという言葉が彼女の心を掴んだ。これまでの番組内容を考えればまともな物品が出てくるとは思えないのに、期待してしまうのはどうなのだろう。
「はい改造サメ」
果たしてカビパンが寄越したのは、モノですらないぴっちぴちの生きたサメであった。
え、と思わず固まったすきゅりんと、改造サメの目と目が合う。永遠のようにも感じられる一瞬の沈黙が流れたのち――がぶり。
「ぎにゃーーーっ!!!!」
サメは噛むもの。至極当然の流れによって、食い付かれたすきゅりんの悲鳴が上がる。
彼女の絶叫と嵐の音と謎の音楽をBGMにして、カビパンは「では、本日はここまで」と番組の終了を宣言するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
島の人々の為、此度も骸の海に速やかに還って頂きます
それに以前と違うのは此方も同じ
さあ、貴方のお食事の作法を披露してあげて下さい
(●世界知識)
戦闘用に強化されたジンベエザメの捕食法
『大量の海水とオキアミ吸い込む』吸引力で大量の誘導爆弾を一纏め
其処に格納銃器の乱れ撃ちスナイパー射撃
(風量風向きはセンサーでの情報収集瞬間思考力見切りで補正)
凍結させ推進力奪い無力化
牙が無くとも…彼は立派な捕食者なのですよ
凍結弾で動き鈍った敵を巨体のテールスマッシュで弾き飛ばし
怪力で馬上槍を投擲し追撃
ですが、その気性から故郷のリゾート宇宙船でも老若男女問わずの人気
騎士として私も見習いたいものですね(背を撫ぜ
「島の人々の為、此度も骸の海に速やかに還って頂きます」
巨大なジンベエザメの背中に乗って、トリテレイアは邪悪なるすきゅりんに宣告する。
彼女と戦うのは戦争以来だが、今回の事件はよりタチが悪い。多くの人命がかかっているのに加えて、グリモアベース侵略の為の拠点作りなど、絶対に阻止せねばならない。
「ふ、ふんだ。前と同じようにはいかないから! くらえー!」
対して、既に痛い目を見ながらも虚勢を張るのはやめないすきゅりん。彼女はもう一度『電光の羽衣』の力でビカビカと光り、突き出したサーベルの切っ先から電撃を放った。
「そのデカさじゃこれは避けられないでしょ!」
ジンベエザメのサイズと鈍重な動きでは、電撃を回避するのは難しい。騎獣への直撃を防ぐためにトリテレイアが盾となるが、引き換えに彼は盾と装甲に消えない傷を刻まれ、【ほーみんぐ・ぼまー】の標的としてマークされる。
「ロックオン完了! えーいっ!」
すかさずすきゅりんは八本のタコ足を使って魚雷を投擲。誘導弾の特性を持ったそれは電撃の磁力に引かれるように、騎士とサメに殺到する。これだけの物量の爆撃をまともに喰らえば、いかに頑丈な彼らでも無事に済むかは怪しい――だが、騎士達は揺るがない。
「以前と違うのは此方も同じ。さあ、貴方のお食事の作法を披露してあげて下さい」
迫りくる誘導魚雷群を前にして、トリテレイアは乗騎に指示を告げる。サメはサメでもジンベエザメ、それも鮫魔術士の力で召喚され戦闘用に強化された改造ジンベエザメに。
果たして、かのサメがあんぐりと大きく口を開けると、ずもぉっと凄まじい勢いで空気が吸い込まれていく。それにより生じる気流の乱れが、飛翔する魚雷群の機動を変えた。
「なな、なにするつもりっきゅりん……?!」
驚くすきゅりんの目の前で、魚雷がサメの口に引き寄せられていく。大量の海水と一緒にオキアミなどのプランクトンや小魚や海藻を吸い込むのがジンベエザメの捕食法だが、戦闘用に強化されたその吸引力は、まるでブラックホールを連想させるほど強力だった。
「牙が無くとも……彼は立派な捕食者なのですよ」
トリテレイアは各種センサーで魚雷の軌道や風向きを調べ、適切な風量や風向きの補正をジンベエザメに指示する。そうして大量の誘導魚雷を一箇所に纏めて引き寄せてから、機体内部に格納された銃器より【超低温化薬剤封入弾頭】を放つ。
「氷の剣や魔法ほど華はありませんが……武骨さはご容赦を」
空中で炸裂した弾頭から、物体の分子運動を低下させる特殊な薬剤が撒き散らされる。それを浴びた魚雷群は急速凍結に至って推進力を失い、重力に引かれて墜落していった。
「な、なにあのサメ、やべーっきゅりん……!」
どこかのほほんとした印象のあるジンベエザメの真の力を見せつけられ、衝撃を受けるすきゅりん。呆然としている隙を見逃さず、トリテレイアは素早く銃口を彼女に向ける。
「驚かれましたか? 観覧のお代は結構ですよ」
「しまっ……つ、冷たっ?!」
薬剤封入弾を撃ち込まれたすきゅりんの身体がカチコチと凍りつき、動きが鈍くなる。そこにぬうっと空を泳いできたジンベエザメが、渾身のテールスマッシュを叩きつけた。
「すっきゅりーん!?」
巨体を活かした強烈な一撃を浴びて、弾き飛ばされるすきゅりん。駄目押しとばかりにトリテレイアは追撃を仕掛け――戦機の怪力で投擲された馬上槍が、敵を串刺しにする。
「ぐえーーーっ!!!」
間抜けな悲鳴を上げて墜落していく海魔の娘。騎士とジンベエザメの驚くべき戦闘力とコンビネーションの前では、メガリスの力を操るコンキスタドールとて型無しであった。
「ですが、その気性から故郷のリゾート宇宙船でも老若男女問わずの人気」
騎士として私も見習いたいものですね――そう言ってトリテレイアが背中を撫ぜると、ジンベエザメは心地よさそうに体を震わせ、再びゆったりと嵐の中を回遊するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
ライブなら観客の安全にも気を配っていただきたいですね!
引き続き競泳水着でサメに【騎乗】
戦争の時よりも力は増しているようですが、その慢心が命取りと識りなさい!
高速でサメ【サーフィン】をしつつ、【ジャンプ】で次々とサメを飛び移り狙いを付けさせない(足場習熟・動物使い)
すれ違いざまに聖槍で斬りつける
触手に捕まったら、絡み付かれたまま電撃で苦しむふりをして油断を誘う(電撃耐性)
魚雷でトドメを刺そうとしてきたら、聖槍から【属性攻撃】【灼烈轟雷槍】の電撃を放ち、魚雷を破壊してその効果を自ら受けてもらう
拘束を抜けたら聖槍で【串刺し】にして、ダメ押しの【全力魔法】【灼烈轟雷槍】
内側から焼き尽くす――!
「ライブなら観客の安全にも気を配っていただきたいですね!」
引き続き競泳水着姿でサメに騎乗し、荒れ狂う嵐の中を翔けながらオリヴィアは叫ぶ。
主役である自分以外の都合を考えず、振りかざす傲慢。そんなものに付き合える観客も共演者も居るわけがない。メガリスの力を笠に着た独演はここで幕引きとしよう。
「戦争の時よりも力は増しているようですが、その慢心が命取りと識りなさい!」
「ふ、ふんだ! パワーアップした私は負けない、負けるわけがないし!」
一喝にびくりと怯みつつも、すきゅりんはメガリスの能力で電撃を放ち、応戦しようとする。しかしオリヴィアは巧みにサメを駆ってサーフィンのように暴風の中を飛び回り、近くを飛んでいるサメに次々と飛び移って狙いを付けさせない。
「こ、このっ、じっとしてるっきゅりん!」
照準が定まらずに狼狽するすきゅりんをよそに、変幻自在の機動を見せるオリヴィア。サメという足場を完全に熟知したその動きは、源義経の八艘飛び、あるいは因幡の白兎を連想させる。
「隙あり!」
「ぎゃふっ!?」
跳躍に次ぐ跳躍で翻弄しつつ距離を詰め、すれ違いざまに聖槍で斬りつける。輝く黄金の穂先が海魔の肉体を抉り、悲鳴と血飛沫は暴風雨にかき消される。戦いは完全に彼女のペースであるかに思われた。
「この……調子に乗るなーっ!」
だがすきゅりんにもコンキスタドールとしての意地がある。再びオリヴィアが近付いてきた瞬間、相打ちになるのも上等の覚悟で、槍に切り裂かれながらタコの触手を伸ばす。
「捕まえたっ! 痺れろッ!」
「しまった……ぐっ!」
絡みついた触手を伝って、電撃がオリヴィアの身体に流れ込む。『雷光の羽衣』の雷は一度命中すれば継続的なダメージを与え、癒えない傷を標的に刻む。これには堪えたか、毅然としていた娘の表情が苦しげに歪んだ。
「ふっふっふ、油断したね。これで終わりっ!」
一転して調子を取り戻したすきゅりんは、どこからともなく取り出した魚雷でトドメを刺そうとする。触手に拘束された状態で、電撃のダメージに追撃の爆弾まで食らったら、流石にオリヴィアも――。
「――轟け閃光、彼の者どもを灼き穿て」
「ひょえ?」
その瞬間、電撃で苦しんでいたはずの彼女はすうっと真顔に戻り、聖槍を突きつける。
黄金の穂先にはメガリスの雷にも負けない、いやそれ以上の雷霆が纏わされており――それは異境の神槍を再現した一撃、【灼烈轟雷槍】となって解き放たれる。
「そのユーベルコードの効果、自ら受けてもらう」
破邪の聖槍から飛んだ凄絶なる白き稲妻は、すきゅりんが今まさに投げつけようとしていた【ほーみんぐ・ぼまー】に突き刺さり。破壊に伴う誘爆が、彼女の手元で炸裂する。
「ぎゃぼぉっ?! な、なんで……」
「苦しむふりをしていただけです」
電撃に耐性のあるオリヴィアなら、あの程度の雷は大したダメージではない。逆に油断を誘い不意をつく作戦は見事に功を奏したようだ。誤爆のショックで触手が緩んだ隙に、彼女は拘束を抜けて自由を取り戻す。
「ダメ押しです。内側から焼き尽くす――!」
敵が動揺から立ち直ってくる前に、オリヴィアは渾身の力で破邪の聖槍を突き放った。
雷光を纏って輝く黄金の穂先が、すきゅりんの胴体を串刺しにし――もう一度放たれた【灼烈轟雷槍】の稲妻が、彼女の体内を駆け巡る。
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーーーッ!!!?!」
びくんびくんと両腕と触手を痙攣させ、白い稲妻に包まれてのたうち回るすきゅりん。
程なくして稲妻が収まったとき、彼女の体はぷすぷすと煙を上げ、焦げ臭くも香ばしい匂いを放っていた――。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
すっきゅりん…?
スキュラっぽいけど、爆弾といい戦闘機といい、随分戦い方が現代兵器っぽいね…。
ん…サメのみんな、お腹空いた…?
…その蛸足、少し貰って良い…?サメのみんながお腹空いたみたいで…。
【九尾化・魔剣の巫女媛】封印解放…。
黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】と無限の魔剣で戦闘機やミサイル、爆弾等を迎撃…。
【巫女媛】の力で強化したアンサラーの反射【呪詛、カウンター、オーラ防御、武器受け、早業】で「ばいぱー・ぱるすほー」を跳ね返し、凶太刀の力で加速して一気に接近…。
剣を弾き飛ばし、悪いけど、武器とか爆弾とか持ってるタコ足を切り落として戦闘不能にさせて貰うよ…。
雷光の羽衣は…?
「すっきゅりん……? スキュラっぽいけど、爆弾といい戦闘機といい、随分戦い方が現代兵器っぽいね……」
この海魔と顔を合わせるのは初めてとなる璃奈は、その戦い方をじっと観察していた。
あの兵器群はこの世界に「落ちて」きた物を利用しているのだろうか。あと、その口癖に意味はあるのだろうか――そんな事を考えていると、サメがぱたぱたとヒレを動かす。
「ん……サメのみんな、お腹空いた……?」
ここまで嵐の壁を越えるために、かなりの強行軍を強いてきた。改造サメだってお腹は減るだろう。軍団の無言の訴えを感じ取った璃奈は、少し考えてからすきゅりんを見る。
「……その蛸足、少し貰って良い……? サメのみんながお腹空いたみたいで……」
「良いわけが無いっきゅりん?!」
じぃっ、と熱い視線を向けられたすきゅりんは、足をバタバタさせて素っ頓狂に叫ぶ。
度重なる戦闘によって彼女の身体はボロボロで、焦げたタコ足からはちょっと香ばしい匂いもしているが――だからと言ってサメの餌になる最期など断固拒否だろう。
「どいつもこいつも私をバカにして……! 全員ぎったんぎったんにしてやるッ!!」
ボロボロの身体を怒りの力で奮い立たせ、すきゅりんは【電撃戦闘機隊召喚】を発動。
雷雲を切り裂いて戦闘機隊が飛来するのと同時に、璃奈も【九尾化・魔剣の巫女媛】の封印を解いた。
「我らに仇成す全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
璃奈の体内から莫大な呪力が解き放たれ、数え切れないほどの魔剣が周囲に顕現する。
無限の魔剣に囲まれて、サメの背中に凛々しく立つは、九つの尾を持つ魔剣の巫女媛。
彼女が携えるのは呪槍・黒桜。その穂先を上空に向かって突きつけると、無限の魔剣は矢のように飛んでいき、電撃戦闘機隊との交戦状態に入る。
「いけーっ! やれーっ!」
すきゅりんの声援に応えるように、戦闘機隊はジェットの音を響かせ、機銃とミサイルで猟兵達を攻撃する。だが無限の魔剣は敵機を上回る物量でそれを迎撃し、降り注ぐ弾丸や爆弾を切り払う。
「呪力解放……咲き誇れ、黒桜……」
魔剣達の動きに合わせて璃奈も呪槍を振るうと、穂先から迸る呪力の奔流が黒い桜吹雪となって吹き荒れる。上空を飛行していた戦闘機隊は慌てて退避を試みるが時既に遅く、呪力の嵐に巻き込まれた機体が次々と撃墜されていく。
「むきーっ! よくもっ!」
怒り狂ったすきゅりんはサーベルの切っ先を璃奈に突きつけ、ありったけの力を込めた【ばいぱー・ぱるすほー】を放つ。巨大な雷蛇型の電撃がまっすぐ自分に向かって飛んでくるのを見た璃奈は、片手で槍を保持したまま、魔剣「アンサラー」を鞘から抜いた。
「魔剣よ……敵対する者に報復を……」
巫女媛の呪力で強化されたアンサラーは、その刀身で受けたあらゆる攻撃を反射する。
まるで鏡に映った光のように、璃奈を貫くはずだった電撃は跳ね返り、逆にすきゅりんに襲い掛かった。
「へ? ぎゃふぅっ?!」
一瞬、何が起きたのか分からなかったすきゅりんの体を、凄まじい電流が駆け抜ける。
間抜けな悲鳴が戦場に響き渡った直後、璃奈は妖刀・九尾乃凶太刀を鞘から抜き放ち、一気に接近を図る。
「悪いけど、これで終わりにさせて貰うよ……」
凶太刀の力で加速した璃奈のスピードは音速を超え、稲妻の如き早業で妖刀を振るう。
すきゅりんの手からサーベルが弾き飛ばされ、続けて隠し持っていた爆弾、八本の蛸足――持てる全ての武器を切り落とされ、たちまち敵は丸腰に。
「ま、待つっきゅりん……――ぎゃふッ!!!!」
そして止めの一太刀が、彼女の胸の奥にある心臓を突き穿ち、その命脈を完全に断つ。
レディ・オーシャンに寝返ったコンキスタドールの一角は、信じられないと言うように最期までもがきながら、骸の海に還っていった。
「雷光の羽衣は……?」
決着を付けた璃奈が見たのは、すきゅりんのいた空間をひらひらと舞う一枚の布切れ。それもすぐにボロボロになって、嵐の風に吹かれて散っていく。どうやらあのメガリスもオブリビオンとして蘇ったすきゅりんの一部という扱われ、共に骸の海に還ったようだ。
すきゅりんと『雷光の羽衣』の消失に合わせて、島を封鎖していた嵐の壁も消え去り。それまで頭上を覆っていた雷雲はウソのようにかき消え、太陽と青空が顔を覗かせた。
かくして、猟兵達はコンキスタドールの恐るべき企みを阻止し、島民の生命を救った。
しかし、これで敵がグリモアベースの侵略を諦めたわけではない。レディ・オーシャン率いる偽の猟書家との戦いは、これからも続いていくことだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年05月04日
宿敵
『すきゅりん』
を撃破!
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