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嵐に泳ぐサメイルカ

#グリードオーシャン #猟書家の侵攻 #猟書家 #すきゅりん #鮫魔術士

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●嵐、イルカ、サメ
 グリードオーシャン、スクアーロ島。
 パッと見魔界めいた光景が広がっているのはこの島の由来がデビルキングワールドである為で、けれど非常に穏やかで善良な住人達が助け合いなんやかんやで満たされた生活を送っていた。
 そんな島を突如嵐の壁が覆いつくす。
 嵐の壁は強力な力を持つ悪魔や魔王達すら破壊できず、突破しようにも風の壁に簡単にはじき返されてしまう。船など紙屑のように吹き飛ばされてしまっていて、嵐の中を前衛的な芸術のような形となり滅茶苦茶に振り回されている。
『いい感じっきゅ☆ 外から誰も来ないようにしてじっくり時間をかけて支配しちゃうなんてすきゅりんって天才っきゅ!』
 島の上空、羽衣纏い空に静止している蛸の下半身を持つ女コンキスタドールは自画自賛中。
 纏うメガリス『電光の羽衣』の力は模造品と言えど強力、外界からこの島を遮断し力を蓄えるには十分だろう。
 ――しかし、すきゅりんには一つだけ見落としがあった。
『ここはオレ達の出番だぜ!』
 悪魔の角めいた崖の端に五人の悪魔が立ち、嵐の壁を真っすぐに見据える。
 彼らはこの島の名の由来でもある最古の魔法を習得した魔法使い達。長く苦しい修練の果てにこのグリードオーシャンの根源的な力を獲得した精鋭なのだ。
『そう、オレ達シャークサマナーがこの島を守るでシャーク!』
 ――叫ぶ彼らは、種類こそ違えどいずれもサメの顔をした悪魔であった。

 グリモアベース。
「皆ちょっといいかな。グリードオーシャンでレディ・オーシャンが動き出したみたいなんだ」
 いかにも海棲の生物なキマイラのヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が猟兵達にそう告げる。
「今回拾った予知はスクアーロ島という島が幹部の『すきゅりん』に襲撃され、羽衣のメガリスの力で島全体を嵐の壁に覆われてしまい支配される、という内容だ。嵐の壁は酷く強力で鉄甲船での突破もテレポートも不可能、その上すきゅりんは壁に囲まれた島の上空で飛び回ってるみたいで何とも狙い難い。その上嵐の壁の中には空飛ぶイルカの群れが飛び込んでくる獲物を待ち構えている上、巻き上げられた船や岩等が恐ろしい速度で飛んでいるからとっても危険だ」
 視界はそこまで悪くなさそうなのは救いかなーとシャチの猟兵は言う。
「とっても厄介な状況だけれどこの島には鮫魔術士達がいてね。自分達の島を守ろうと嵐の壁に改造サメ軍団を突っ込ませてスカイドルフィン達と戦わせたり自分達で騎乗して壁を突破しようとしているみたいなんだ。ただ嵐の壁で自在に泳げるよう改造した代償か、攻撃力が悲しい程低くてイルカを倒すことはできていないみたいだ。いやー攻撃力があればなー」
 そんな風に言いながらヴィクトルは猟兵達を見ている。
「うん、ここまで言ったら分かると思うけど、嵐の壁を泳ぐサメ達に騎乗するか足場にするか、あるいはもっとエキサイティングに力を借りてスカイドルフィン、それからその親玉であるすきゅりんを殲滅してきてほしいんだ。大丈夫大丈夫、万一落ちても痛いですむだろうから」
 多分、とこっそり付け加えつつ、ヴィクトルは鍵型のグリモアを手にし転送の準備を開始する。
「転送先は鉄甲船、嵐の壁の手前くらいまでには近づいている。サメの力を借りて鮫魔術士の人達も飛び出してくるみたいだねー。だから交渉するなりして力を借りるか、嵐の中や突っ切って飛び出してきたサメの動きを見極めて利用したりするのが無難だろう。そして力を借りて嵐に飛び込んだならあとは好きに大暴れしちゃうのがいいと思うよ。こういうのは習うより慣れろって言うしね」
 それじゃ、頑張って来てねーと緩い感じにヴィクトルが締め括り、猟兵達は嵐の壁聳えるグリードオーシャンへと転送されたのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 レディ・オーシャンが急に仕掛けてきました。

※このシナリオは猟書家幹部シナリオで二章構成です。
 グリードオーシャンのスクアーロ島という島が幹部『すきゅりん』のメガリスにより作られた嵐の壁に覆われてしまいました。
 嵐の壁は鉄甲船すら吹き飛ばす程の激しさでグリモア猟兵のテレポートすら阻害しています。
 普通なら突破は非常に困難ですが島の鮫魔術師が召喚したサメの力を借りる事で嵐の壁を突破することができるようです。

 第一章は『スカイドルフィン』達との戦いになります。
 戦場は暴風吹き荒れる嵐の壁の中。その中を自在に泳ぎスカイドルフィンの大群が仕掛けてきます。
 この島の鮫魔術師が召喚した空飛ぶ改造サメ達に乗るなり足場にするなりして蹴散らしてください。
 第二章は幹部猟書家『すきゅりん』との戦いになります。
 こちらは冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス(全章共通)……サメに乗って飛ぶ。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『スカイドルフィン』

POW   :    ドルフィンアタック
【泳ぐか羽ばたく事により発生する高速の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【仲間】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    超音衝撃波
【口】を向けた対象に、【超音波によっておこる衝撃波】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    超音波呼び寄せ
【超音波で呼び寄せたスカイドルフィン】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。

イラスト:塒ひぷの

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

奉籠霧姫・櫻轟霆(サポート)
 ドラゴニアンのパーラーメイド×寵姫、7歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、尊敬する人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『貴方はどんな血を流すのかしら』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】。その容赦の無さで敵に【恐怖を与える】、ちょっぴり猟奇的かもしれないが、そこはご愛嬌
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー

あと、虫が苦手



 荒れ狂う嵐の壁。出鱈目にかき混ぜられる竜巻の中を翼を生やしたイルカの群れが狂暴な面構えで泳ぎ回っている。
 巻き上げられた船の残骸が一匹のイルカに飛来するも、そのイルカが向き直り翼を力強く羽ばたかせ突進すると紙屑のように貫かれ、脆くなったそれは暴風の威にバラバラに引き千切られてしまう。
 そんな嵐の中に竜人のメイド少女が一人、飛び込んでいった。銀の髪の彼女の名は奉籠霧姫・櫻轟霆(パーラーメイドラゴニアン・f32840)、どこからどう見ても可憐なメイドだけれどもその思考はフリーダム。
 嵐の中、改造サメに建材を足場に飛び移り、翼もうまく広げ閉じ空中での姿勢をコントロールしながら、手にした機関銃から銃弾を鳴き声で仲間達を呼び集めるスカイドルフィン達にばら撒いていく。
「ゴホーシ相手はどこかにゃ?」
 少なくとも、この暴風域にはいなさそうな気もする。
「あら、これは中々風が強いですわね」
 いた。そんな言葉を呟きながらもう一人、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)という名の少女が嵐の壁の中に飛び込んできていた。
 普段の彼女はどこか陰気な雰囲気を纏っているが今の彼女にそんな陰はない。
 多重人格の副人格・シルヴァーナが表層に出ている今の彼女は、主人格の裕美よりも接近戦に特化している。
 当然運動能力もオブリビオンと渡り合えるほどに高いのだけれども、この複雑な嵐と足場の不安定さはそれを十分に発揮するには不十分。
 動きを制限されているシルヴァーナを組みやすいと思ったか、スカイドルフィンが三体翼をはばたかせ突撃してくる。
 逃げ場のないその場所――とその時、気流が突如真下から突き上げるような気流に変化する。
 妖しく輝く櫻轟霆の瞳、寵姫の見るものへの無意識の好意を植え付ける魅惑の瞳が効果を発揮している。
 今回それが作用しているのは嵐そのもの。自然現象にすらも干渉する魔力は嵐の壁全体に影響を与える事はできない、けれどもこのごく小さな領域に力を働かせるには十分。
 嵐の勢いが逆巻きほんの僅かに無風地帯が生じ、更には建材の飛ばされる方向が一定になり読みやすくなった。それは戦いの中ではごくわずかな時間、けれどもシルヴァーナにはそれだけの時間があれば十分。
「うーさぎうさぎ、何見て刎ねる♪」
 ナイフを手にし足場を蹴り、向かってくるスカイドルフィン達の間をすり抜けるようにシルヴァーナが跳ねる。軽くイルカを蹴り残像を残しながらくるりと回転すれば、イルカの血飛沫が嵐の壁にぱっと散る。
 くたりと力を失ったイルカ達が墜落し、暴風に飛ばされていくのをちらりと眺めるシルヴァーナ。
 そして干渉がなくなった暴風が再び戦闘領域に吹き荒れる。
 櫻轟霆が扇いだ芭蕉扇の風に運ばれシルヴァーナは再び足場へと着地するが、まだまだ空飛ぶイルカの数は多い。
 二人の少女の戦いはまだまだ続いていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

吉柳・祥華(サポート)
『妾の存在意義とは何ぞや?何ゆえに此処に在るのかぇ?』

旧き時代に祀られていた龍の化身で在ったが
護るべき国は民は既に無いのに何故…自身が現世の『神』として顕現したのかを思案と模索する戦巫女

物腰は柔らかく絶えず微笑を湛える優美な女性であるが
過去の出来事から人(他人)に対しては意外に辛辣…
優美に微笑を浮かべるが実は目が笑っていない

ユーベルは指定した物をどれでも使用
その辺はMSの采配に任せます(意外な使い方とか参考になるから)

基本、他の猟兵に迷惑をかける行為はしないが
必要なら悪乗りはする流れ(他の猟兵と同意と言う設定で)
まぁ…流石に依頼の成功の為と言えど公序良俗に反する行動はNG

連携アドリブ等はお任せ



 眼前に聳える嵐の壁、メガリスにより生み出されたそれに覆われた島を見、転送された吉柳・祥華(吉祥龍彩華・f17147)はいつもの思索に耽っていた。
 彼女は古き時代、既に喪われた国にて祀られていた龍の化身。民も国も無くなったのになぜこの時代に神として顕現したのか。
 存在意義、そして今この場に在る存在理由。その答えは人を助けていれば見つかるのだろうか――いずれにせよ、眼前の島全てが惨劇に見舞われるような状況でそれを見過ごす選択を彼女はしない。
 例えそれが独善であろうとも。
 いつも通り、柔らかな微笑みを浮かべる彼女は鉄甲船の舳先に立ち、とん、と嵐の壁に向かい跳躍する。
「――軽身功……」
 その言葉と共に彼女のユーベルコードが起動する。すると暴風を受けてふわりと彼女の体が浮き上がる。
 体重を軽減し風に舞わせ飛翔能力を得るそれは、この嵐の中でも有効。
 あまりに気流が乱れている為思ったように移動することはできないようだけれども、と思案するうちにスカイドルフィンが一体新たに飛び込んだ獲物に向かい飛びかかってくる。
 超音波で呼び寄せた仲間との連携攻撃、それを祥華は風の流れに従いひらりと回避する。嵐の中、彼女の動きはまるで自在に空を舞う天女のよう。
 そして躱したお返しに霊符をすれ違い様に二体に張り付ければ、紅蓮が一気に燃え上がりイルカの体を焼きこがす。
 嵐の壁の中を龍の神が舞う。人の世に仇成す害悪を打倒すために、その華の如き身に穢れを纏うことも厭わずに。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミカエラ・マリット(サポート)
好奇心旺盛な少女
世間知らずなところもあるのでどんな事も割とすぐに受け入れるけど、ツッコむ事も知っている
どんなことも力づくでどうにかできるという思考回路

基本的にギャグ漫画の様に人間離れした力持ち
自分より遙かに大きいものを持ち上げたり、ぶん投げたりして戦う

愛用はイラストにあるハンマー
近接戦は大体これでピコハンのように殴る
遠距離の時は自分より大きなアンカーを鎖掴んで振り回す
足元が不安定な場所や冷気に弱い敵にはあずきソード
いずれにしても鈍器

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
他の猟兵は大体年上なので懐くし頼りにしてる

エロは禁止



 そして暴風に巻きあげられ嵐の壁の中をくるくる飛ばされる少女一人。
 好奇心旺盛に嵐の壁に飛び込んだ彼女、ミカエラ・マリット(撲殺少女・f23163)は不規則かつ強烈な嵐にその小柄な体を出鱈目に吹き飛ばされながらもその感覚に順応し始めていた。
 愛用のにゃんこ印の巨大金槌の重量でも重しにするには難しいようで、というよりも足場ごと吹き飛ばされているこの現状では体を固定するには役に立たないだろう。
 幸いたまに嵐の中泳ぐ改造サメが壁の外に吹き飛ばされたり海に墜落しないようにサポートしてくれている。
 殴れる実体のない風相手にはミカエラの得意とする力業も効果がないし、まして不安定な足場でもフルに威力を発揮できない。
 けれど、敵がこちらに向かってくるのなら足場の不安定さくらいは力づくでどうにでもできる。
 その左手を突撃してくるイルカの正面に突き出し、その衝突と同時に真下にずらすように腕力で力をかけると、掴んだ部分を支点に小柄なミカエラの体が空飛ぶイルカ達の真上へと回転。
 そして右手に持つあずき色の剣――実際はとんでもなく固く凍ったアイスなのだけど、それを振り被りイルカの背に重い一撃を叩き込む。
 地形すら破壊するその一撃を背に受けてはたまったものではない。一撃を受けたスカイドルフィンは恐ろしい速度で真下に向かって墜落していく。
 一方、手を放していたミカエラは反動で上昇、そのまま嵐に巻かれスカイドルフィンたちから距離を取る。
 一撃一殺、風に巻かれて少女は嵐の壁の中の空飛ぶイルカをその剛力で次々に打ち倒していくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

祓月・清十郎(サポート)
真面目系アホの子です
大抵の場合、主人公的な立ち回りより端っこでわちゃわちゃしていると思われます
シリアスもいけるクチですが、基本的にはコミカル寄りです

さっちゃん=ケットシーが跨がれるサイズの小型の飛竜。ただし清十郎より超強い。聖属性
助けてない亀=清十郎も正体を知らない謎の亀。何なんでござるこの亀…
召喚系のユーベルコードと頼れる相棒には恵まれていますが、本人の体術はへちょく、もし本人が戦う場合は万能ネギやいわしのかしらを先端にくっつけた竜の髭をぶんぶか振り回します。記憶消去銃をぶっぱして思わず自分の記憶をなくすことも

その他、口調に関してはステシ参照
公序良俗に反する行動はしません
よろしくお願いします



「ふむ、これは面妖でござるな」
 ぷかりぷかりと亀に乗って鮫魔術士の悪魔と会話しているウェスタンスタイルなケットシー、祓月・清十郎(異邦ねこ・f16538)。
 普段は和風な場所を好む彼だけど、転送されて海に落ち亀に乗っていたら何故だか嵐の壁囲む島の前。
 カウボーイハットのつばを持ち上げ見上げる。嵐の壁はとても高い。
 転送前に嵐の壁の中に空飛ぶイルカと元凶がいるとか聞いたような気もする。この異常事態を解決するためには飛び込む必要があるだろう。 
 助けてもいないのにどこかに連れて行こうとする謎の亀の背に立って、槍から変じた飛竜のさっちゃんに清十郎は飛び乗る。
 いざ往かん、空飛ぶイルカ退治。

 ――当然の帰結としてぶっ飛ばされていた。
 飛竜とはいえど小型のさっちゃん、嵐の中の紐の切れた凧のようにくるくると飛ばされてしまっている。
 ううむこれは非常にまずい。さっちゃんにしがみついてる清十郎に更なる試練。
 くけけけ鳴き声あげながら仲間を呼び寄せ集うイルカ達、嵐の中の小さな竜をじゃれるかのように突いてきている。
 ベリーデンジャラス。
 しかし清十郎はとことん能天気思考、まあ何とかなるだろうという雰囲気は全くぶれず、寧ろ周囲の暴風すらもそんな雰囲気に飲み込んでいく。
 凪の大海の如き彼の気配に呑まれ、スカイドルフィン達もその敵対意識とか邪悪な意識が穏やかに、水族館のアイドルのような柔和な表情になっている。
 なおこの清十郎のユーベルコードは使い過ぎたら死ぬ。具体的には一分強。
「え? 使い過ぎたら死ぬ? マジでござるか?」
 流石に命を落とすはちょっとばかりまずいと解除。再び嵐のシリアスな気配が戻っていくが、この僅かな時間で体勢を立て直したさっちゃんは姿勢制御に成功。
 風下にいた空気の急変に戸惑うイルカ達に急接近して翼をばしんと顎に、合わせ清十郎も釣り竿を振り回し万能ねぎを別のイルカに叩きつける。
 不意討ちの一撃に動転したイルカ達の制御が乱れ、そしてそのまま嵐に巻かれどこかへと吹っ飛ばされていった。
「頑張ったでござる……」
 嵐の中、何とか姿勢を整えつつ清十郎は呟くが彼は知らない。次のイルカ達が、既に彼らに狙いを定めていることを。
 ――受難は続いていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

嵐月・白
よっし任せろ!オレが人肌脱いでやろうか!

嵐なんざ風を味方につけるオレにかかれば一捻…り…。
ええ…アレ嵐ってレベルじゃ…。
ま、まあ?念には念を、サリヴァンの言うとおり鮫に乗っかってやろうかな、うん。

てな訳だ!そこの鮫魔術師よぉ、オレがそのサメ使ってやるぜ!

あ、ちょ待…すま…すまん、悪かった!この通り!頼む、頼みます!お願いします!ホント!行かないで!

危ねえ、任せろとか言っときながら逃げ帰る所だった…じゃない、これで怖いものなしだ。思う存分ぶっ潰してやるぜ。

足で鮫にしがみつくから、動き回れねえが、今は好都合。
サメが足。オレは迎撃。とにかく近付く奴全部全力でぶっ飛ばして、親玉に特攻かましてやるぜ!


ヴィヴ・クロックロック
サメに乗る?いいやその程度ではダメだ…私はサメに咥えられて人魚になる…!!
こうすれば足場も関係なく自在に動けて実際便利。
正確には私とサメの間に兄弟がいるが…死肉に耐えてくれよサメ…!この状態の飛行能力で私も良い感じに補正をしつつ嵐の中にダイナマイトを撒きつつ近づいてくるイルカ共は片っ端から三節棍叩き落してくれる!!

そこのけそこのけ私が通る!!



「よっし任せろ! オレが一肌脱いでやろうか!」
 鉄甲船の甲板に転送された白虎瑞獣の拳闘士、嵐月・白(白虎乱風・f33160)が拳にぎゅっと布を巻いて気合を入れる。
 義に溢れた修行者である彼は気で風を操る事も得意としている。
「嵐なんざ風を味方につけるオレにかかれば一捻……り……」
 自信に溢れた白の声がだんだん小さくなりぴんと立っていた白虎の尾が下がっていく。
 嵐という言葉では表し切れないような暴風の吹き荒れる危険地帯、風に親しむ白でも少々体験したことのないレベルであった。
「……ま、まあ? 念には念を、サリヴァンの言うとおり鮫に乗っかってやろうかな、うん」
 ――危険に対しての切り替えの早さも流浪の修行者には大切である。
 そしてもう一人、小柄な緑髪のダンピールが甲板に立っていた。
「サメに乗る? いいやその程度ではダメだ……」
 ああでもない、こうでもないと悩む彼女はヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)。サメぐるみな仲間やサメな現象には慣れている彼女だけれども、だからこそ単に騎乗するだけでは不足だと悩んでいた。
 サメとは大いなる可能性を持つ、そんなシンプルな扱い程度でスペックを完全に発揮できるとは思えない。悩み悩んでより良い方法を取る為にヴィヴは思考を重ねていく。
 そんな彼女を他所に白が周囲を見れば、海から飛び出し甲板まで空飛ぶサメに乗って乗り込んできたサメの深海人のような姿をした悪魔。おそらく彼が現地住民の鮫魔術士なのだろう。
「てな訳だ! そこの鮫魔術士よぉ、オレがそのサメ使ってやるぜ!」
『なんだぁ……?』
 威勢よく言う白に、鮫魔術士の背後からサメ達が飛び出しかちかちと歯を鳴らして威嚇してくる。というより既に小型のサメが白に噛みついている。
「あ、ちょ待……すま……すまん、悪かった!」
 血は出ていないので甘噛みなのだろうけども、謝る白に鮫魔術師は興味を無くしたように再び一人で嵐の壁に挑もうと向きを変える。
「この通り! 頼む、頼みます! お願いします! ホント! 行かないで!」
 そんな悪魔のサメの尻尾に白が縋りつくようにして謝り倒す。表情が分かり辛い鮫魔術士も心なしか迷惑そうだが、ふんと鼻を鳴らすと白に向き直ってくれた。
「任せろと言ったのにそのまま逃げ帰るところだった……じゃない」
 小声で言いかけながら弱気を振り払うように頭を振り、白虎の瑞獣拳士は鮫魔術士に事情を説明する。
『なんだ、島を助けてくれるってぇのかい? それならこのサメを使ってくんな!』
 熱意にその言葉を信じてくれた鮫の悪魔が促すと、彼の背後にいた映画などでよく見る巨大なサメが乗りなと言わんばかりに白の前に滑り込む。
「これで怖いものなしだ。思う存分ぶっ潰してやるぜ」
 サメの背に乗った白は自信満々にそう言って、
「よし、決めたぞ」
 ここでぽん、と悩んでいたヴィヴがすっきりした表情で手を叩く。
『おう? お前さんもそこの白虎の兄ちゃんと同じように戦いに来てくれたんかい』
 じゃあこいつを貸してやるとやや小ぶりな、けれどヴィヴが余裕で乗れるサイズのサメがのっそりと彼女の前に出てくる。
 ヴィヴは礼を言いつつ横腹を見せているサメ――の頭の真正面に回り込み、何事か呟いて肉っぽい地獄めいた見た目のパーツを体に纏いつつその口によいしょと下半身を滑り込ませる。
「私はサメに咥えられて人魚になる……!!」
 だめだった。贔屓目に見てもパーツのせいで最早地獄帰り人魚姫だ。
 隣で見ていた白はちょっと引いているけれど、本人は満足気である。
『そんな風にサメを使うのは初めて見たが……ロックだな!』
 変な所に受けたのか、鮫魔術士は腹を抱えて笑い、そして、
『じゃあ頑張ってきな! 無茶すんじゃねえぞ!』
 二匹のサメの背びれを叩き鮫魔術士が叫べば、サメ達は驚くような速度で嵐の壁へと飛び込んでいった。
 飛び込んだ二匹のサメに向かってくるスカイドルフィン、これまでの猟兵達の戦いで警戒心を強めているのか、群れ成し繰り出されるその勢いは脅威。
 加えてこの暴風の中だ。何も備えなく飛び込んだなら苦戦したのかもしれない。
 だが今の白には改造サメがいる。彼が跨るサメはこの嵐の中ですら自在に動き回りイルカ達の突撃を回避していく。
 しっかりとサメを両足で挟み込む白自身は身動き取れないが、逆に好都合と移動はサメに任せ攻撃にのみに神経を集中する。
 そしてヴィヴの方もイルカ達の突撃を華麗に回避しつつダイナマイトをばらまいていた。
 咥えられている下半身は完全にサメに固定された状態で、上半身は自由に動かせる。それを活かし上下左右から迫るイルカにお返しを喰らわせていく。
 地獄めいた肉のパーツ――ヴィヴが大切な兄弟と呼ぶ四体の実験動物ゾンビを繋ぎなおしたそれで直に噛まれてはいないから痛みもない。そもそも攻撃力も低いらしいからなくても大丈夫だったのかもしれないけれども。
 ただサメの表情がなんだか魂抜けてきている気がするので長時間はちょっと厳しいかもしれない。
「死肉に耐えてくれよサメ……!」
 そう願いながらヴィヴの元に爆発を乗り切り一頭のスカイドルフィンが飛び込んでくる。即座に黒い三節棍の一撃を見舞い怯ませダイナマイトを放りつつサメに距離を取らせる。
 次に向かう先はイルカの群れ、
「そこのけそこのけ私が通る!!」
 爆発を背にヴィヴは容赦なく空飛ぶイルカ達を翻弄し、次々に吹き飛ばしていく。
 そんな彼女の戦いを横目に、白が相対するは五体のイルカ達。
 嵐の中を平然と泳ぐイルカ達が陣を組んで一斉に突撃してくる。
 だがそれを見切った白はフェイント気味に高度を下げすれすれで回避、同時横をすり抜けたイルカの横っ腹に気合と共に拳を叩き込む。
 至近距離のみで威力を発揮する全力の超高速の一撃――その直撃を受け血を吐き吹き飛ばされ暴風の勢いのままにイルカが飛ばされていく。
 怒ったイルカ達の反撃を白と改造サメは躱しつつ、至近距離からの打撃で一撃必殺と打倒していった。

 そして戦いは続き、猟兵達の活躍でスカイドルフィン達の姿は見えなくなっている。
 嵐を起こしているコンキスタドールの予定は崩れてしまっているのだろう。
 そして嵐の壁に、場違いな程に明るい声が響く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『すきゅりん』

POW   :    ほーみんぐ・ぼまー
攻撃が命中した対象に【電撃の継続ダメージ・追跡効果の癒えない傷】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【投擲魚雷(誘導弾・弾幕・制圧射撃・爆撃)】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    ばいぱー・ぱるすほー
レベル分の1秒で【巨大な雷蛇型の電撃(スナイパー&誘導弾)】を発射できる。
WIZ   :    電撃戦闘機隊召喚
召喚したレベル×1体の【小型高速戦闘機隊(機銃装備)】に【ミサイル&投下弾の無限供給・水中行動機能】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:おきな

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠泉・火華流です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●嵐の中の羽衣遣い
『ちょーっと何してくれてるっきゅん! 可愛いスカイドルフィン達が台無しっきゅん☆』
 そんな声を上げるはこの嵐の壁を生み出した元凶、メガリス『電光の羽衣』を纏うコンキスタドール。
 蛸の如き下半身を蠢かせ美少女の上半身はぷんすかという擬音が似合いそうに怒っていた。
『猟兵達だかサメだかしらないけどみんな倒せば問題ないっきゅん☆』
 嵐の中、空飛ぶ彼女が羽衣をふわりと持ち上げれば恐ろしい電光が奔る。サメ達が即座に動き直撃は免れたが恐るべき力を持っていることは間違いないだろう。
 この元凶を倒せば島は解放される――それを理解した猟兵達は雷も恐れず力を貸してくれる改造サメ達と共に、嵐の中を自在に飛行する『すきゅりん』に戦いを挑むのであった。
水心子・静柄(サポート)
本差の姉に劣等感を持っていてい、表面上は邪険にしているが姉妹仲は良い方、所謂ツンデレ。考え方は知的、でも面倒になってくると脳筋的な解決法に傾く。勘が鋭いが如何にも知的に導いたように振舞う。知的にユーベルコードを使いこなす。脳筋ぽいけど実は知的。武器は鞘に入ったままの脇差(本体)。高圧的、威圧的な話し方だが、本人は至って普通に話しているつもり。

基本は本差を召喚して無双したがるが欠点があるが、相手によっては居合の構えをとって後の先で対応する。面倒な時は知的に考えつつグラウンドクラッシャーでデストロイ。


リダン・ムグルエギ(サポート)
「餅は餅屋。後の戦いはお任せするわね
「お、今の映えるわね!ヒュー

キマフュ特有のノリの服飾師

見た人の五感を狂わす「催眠模様」の入り衣装を作って配る事で
仲間や一般人の防御底上げと敵の妨害を実施したり
依頼に即したなんらかのブームを生むことで敵に特定の行動を躊躇させたり
等を得意とする
「戦闘開始前に自分のやるべき仕事の準備を終えている」事が多い純支援キャラ

依頼本編では戦いの様子等を撮影・配信したり
キャーキャー逃げたり
合いの手を入れてたりしています
単独戦闘には不向き

ミシンや針、布等も所持
その場で他依頼参加者に合わせ衣装アレンジも

MSのセンスで自由に動かしてOK
エロだけは厳禁


七詩野・兵衛(サポート)
『アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!』
アドリブや他の猟兵との連携と絡みは歓迎だ。

多少の怪我は厭わず積極的に行動する。
よほどの事情でやらなければいけない時以外は、
他の猟兵に迷惑をかける行為や、公序良俗に反する行動はしないぞ。

戦闘は応援団としてバーバリアンの力強さと、
スカイダンサーの身のこなしを駆使して応援するのだ。
我輩の「ダンス」と「パフォーマンス」で皆を「鼓舞」するのだッ!

応援する相手がいなければ仕方ない、自分で戦闘する。
後はおまかせだ。よろしくおねがいしよう!



 少し時を遡り。
「それじゃ、こっちのサメ達の力を貸して貰うわ」
 青い宇宙山羊族のキマイラ、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は鉄甲船の甲板でサメ頭の悪魔と交渉し、その協力を取り付けていた。
「サメ……それじゃこんな感じでどうかしら」
 少し考えリダンは布を取り出すと裁断、縫製を恐ろしい速度でこなしていく。
 仕上がったのはサメに被せる為の衣装。模様は見つめ続けると奇妙な感覚になるそれを数匹に着せていく。
 行ってくるわと鮫魔術士に言葉を残し、リダンはサメの群れと共に嵐の壁へと飛び込んでいく。

 雷が出鱈目に嵐の中に光の軌跡を残し、荒ぶる風はその勢いをさらに増していく。
 それに対抗するように改造サメ達が嵐の中を泳いでいるが、多少動きづらそうに身を捩っている。
 サメの頭を踏み台に、嵐の中を跳ぶ男が一人。無風なら腰の辺りまで届く長さの真紅のハチマキを巻いた彼の名は七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)。
『なんか暑苦しいのがきたっきゅん!?』
「アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!」
 波の声ならかき消されてしまう暴風の中、兵衛の暑苦しいほどの気合に満ちた声は声援拡声器により戦場全体に響いている。
 巻き込まれた瓦礫や木片が掠めるがそれを気にしていてはあのすきゅりんを討つ事はできないだろう。
 そしてもう一人、改造サメ達の背に掴まり浮上するヤドリガミの女は水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)。
『……近づくなっきゅん☆』
 羽衣が嵐にたなびけば雷気が雨の如く降り注ぐ。触れればしつこく纏わりつき次なる魚雷攻撃のマーカーともなるその電撃を、静柄はその研ぎ澄まされた勘で触れることなく次々にサメに飛び移り回避していく。
 彼女の得意距離は太刀の届く至近距離、しかし距離を詰めれば雷撃は一層強力になる。
 何とか隙を作らねばと知的に考えながら柄巻を解きロープのようにしてサメに結び付けると、真正面から飛来する雷撃を回避するために空に身を投げ出した。
 さらにすきゅりんは羽衣でふわりと大きな輪を作るとその中に巨大な雷蛇が作成、それを兵衛へと次々に放つ。
 恐ろしく短い間隔――秒間百は下らない速度で放たれる雷蛇達、
「我が『情熱』と『気合』が滾る演武とくと見よッ!」
 だが兵衛は空を蹴り時折嵐に身を任せ、縦横無尽に嵐の中を動き雷撃の悉くを躱していく。
 応援殺法『飛翔演舞』――この嵐にスカイダンサー由来の身のこなし、嵐にも崩れぬバーバリアンの強靭さは彼の情熱を体現したかのようなダンスパフォーマンスを可能にする。
 嵐すらも活用するダイナミックな兵衛の舞に励まされるように改造サメ達がすきゅりん到来前と同じような動きの切れを取り戻す。

(「あのダンス映えそうね」)
 兵衛の応援の踊りを見ながら、突入したリダンは状況を観察していた。彼女は直接戦闘よりも支援を得手とするキマイラ、雷光飛び交うすきゅりんに近づくにはちょっとばかり不安がある。。
「バックダンサーもあった方がよさそうね」
 そう言って共に嵐の壁に飛び込んだサメ達をすきゅりんから見て兵衛の背後に向かわせる。
 彼の舞に気を取られていたすきゅりんはそのサメ達も視界に入れて――急に体を傾かせる。
 平衡感覚を奪う催眠模様、短時間でも効果があればそれで充分
「さ、着替えの時間と行きましょう、坊ちゃんにお嬢ちゃん」
 そしてリダンがユーベルコードを起動し糸を放つ。体勢を立て直す事に気を取られているすきゅりんはその糸を回避できず絡めとられる。
「なっなにこれ!? 小さくなってくっきゅん!?」
 慌てるすきゅりん、それもそのはず。その糸は時蜘蛛の糸、リダンの領地特産の触れたものへの若返り効果を齎すもので、幼くなったせいか雷の制御がさらに乱れてしまう。
 そしてそのタイミングで飛び交う瓦礫を強く蹴ってサメに結び付けたロープを手繰り、サメの上に静柄が戻る。
 メガリスの制御が怪しくなっている今が好機――ユーベルコードを起動し、無敵の本差を召喚する。
 それは静柄が親愛と劣等感を抱く、姉である真峰の本体の姿を想像より創造した無敵の刃。
 すきゅりんに向かうサメの助けを借り、すれ違いざまに一閃すれば、すきゅりんの蛸足の半数が鮮血と共に切断される。
 だが嵐による不安定さもあり、胴を裂くにはやや浅かった。
 そして傷に対し荒れ狂う様にすきゅりん自身をも巻き込み強烈な電撃が発生する。
 その電撃に糸は焼かれ若返り効果をなくしたすきゅりんが悪鬼の形相で猟兵達をにらみつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

嵐月・白
お好きに書いてください。

いやあ、あの嵐でも泳げるなんてよ!すげえなサメ、撫でてやろう!
…鮫肌で掌ヒリヒリしてきた。拒否られたわけじゃないよな?てかオレ跨がってるけど、これ、後から来るんじゃ…

うん、切り替えていこ。ともかくアレが親玉。キバってくか。
いつも乗られる側だが、乗るのだってできねえ訳じゃねえ。アイテム風来如鎧でサメごと風の鎧で包んで、機動力確保。

悪いが、時間をかける暇が無くなってな!速攻、咬まさせてもらうぜ。
風虎招来。十二の虎。その内生き残り数匹で構わねえ。逃げ道塞いで殴る!温存なんざ考えねえ。
生命力は食って寝て運動すりゃ回復するだろ。歩く度内股ヒリつくよか戦闘中の傷の方が慣れてんだ。


ヴィヴ・クロックロック
さー、うん。ようやく見えて来たか。そうそうあいつだすきゅりん。

機動力で劣ってるから風に爆弾は乗せ続けたいがダイナマイトも減ってきたしUCでどうにかしようか。『月光海月』で相手の視界ごと物量で動きを縛る。幸い嵐の中だろうと相手の羽衣がビカビカ光ってこちらからは位置も丸わかりだしな。……いっそこっちも光るか!といっても私と海月をランダムに光らせて攪乱するだけだが。

そして私がサメぐるみを着ていることは向こうも分かっているはずなのである程度近づいたらスペアのサメぐるみを投げつけようか。中にはもちろん大量のダイナマイトが入っているグッバイ!!海のモズクになるがよ…何か違うな?

(アドリブ協調歓迎です)



 手負いのすきゅりんに呼応するように嵐も雷もその激しさを増していく。
 足を半分に減らしたすきゅりんは、その周囲に百を超える機械の群れを召喚。機銃を備えた電撃戦闘機隊は猟兵達へとミサイルと機銃を乱射しすきゅりんから敵を遠ざけるようにして護衛する。
 そして羽衣からは次々に雷蛇を発射し猟兵達に近づく隙も与えない。
 そんなすきゅりんを改造サメと猟兵、白とヴィヴの二組がお互いに離れた位置から見ていた。
「さー、うん。ようやく見えて来たか。そうそうあいつだすきゅりん」
 すきゅりんの嵐に一度距離を取り再び舞い戻ったヴィヴはいつの間にかサメぐるみ姿。サメに二重に噛まれているように見える姿は少々ユーモラス。
 すきゅりんの羽衣の雷光はこの視界の悪い嵐の壁の中でも灯台のようによく見える。
 先刻のようにダイナマイトをばら撒く戦法を行う事もできるだろうが、一度使っている以上対応される可能性は高い。今の状況なら電撃戦闘機隊に撃ち落されてしまうが関の山だろうと思案する。
「アレが親玉か」
 一方、サメの胴体を両足で挟んだままサメの背びれを撫でている白。鮫肌にちょっとだけ掌の皮膚が負けてヒリヒリするけれどもサメ自身は嫌がっていないようだ。
 寧ろ鼻先を撫でて欲しそうな雰囲気を感じる――けれどもそれは帰ってからだろう。
(「ん、よく考えたらオレ跨がってるよな……? これ、後から来るんじゃ……」)
 そう考えると太腿の方の感覚が気になってくるが、悩んでもしょうがない。
 毛皮があるからそこまで酷い事にはならないだろうとさっさと切り替えて、気を練り上げ周囲の空気に混ぜ込みサメごと覆う巨大な風の鎧を周囲に展開する。
 瑞獣、どちらかといえば騎乗されるイメージが強い種族だけれども、先程の戦いも含めて自分が騎乗して戦う為の戦法も習得している。
「キバってくぜ!」
 そして白は動きの鈍ったすきゅりんに向かうようサメの腹を軽く足先で突いて促す。
 動き出した彼に合わせてヴィヴも移動を開始しユーベルコードを起動する。
「ムムーンササよう……舌を噛みそうだ」
 早口言葉のように言い辛いその言葉を鍵に、彼女の周囲に万近い霊体の機雷海月が召喚される。
 一匹一匹がエチゼンクラゲサイズの巨大なクラゲたちが嵐の領域を埋め尽くしランダムに明滅、吹き荒れる風の中に無数の光点が浮かび上がる。
『なにこれ邪魔すぎるっきゅん!』
 半透明の海月でもこれだけ数が重なれば曇りガラスを重ねて通したように視界は悪化する。
 混乱するすきゅりんの真上をサメの影が通り過ぎ、それからもちっとしたシルエットの何かが投下される。
 先ほどからサメぐるみを纏っているヴィヴ、だからすきゅりんがそれをヴィヴが接近戦を仕掛けてきたと判断して反射的に機隊に迎撃させたのは当然だろう。
 ――当然、それは罠。
 サメぐるみはサメぐるみでもそれはスペアで、中身はありったけのダイナマイト。
 海月の霊たちに気を散らされそれを見抜けなかったすきゅりんは、それを機銃とミサイルでハチの巣にしてしまったのだ。
「グッバイ!!」
 サメに旋回させて後方を振り返るヴィヴの見た光景は激しい爆発と、それに巻き込まれる機隊とすきゅりん。
 機隊の大半は爆発に巻き込まれた衝撃で吹き飛んで、すきゅりん自身も負傷し体勢を崩した。
 そこに白が追撃を仕掛ける。
「荒べ、風の爪牙!」
 白が構築した闘気と烈風の虎が吹き散らされる前の爆発の残滓とクラゲの霊の群れの間を切り裂くように飛び込んですきゅりんに襲い掛かる。
「悪いが、時間をかける暇が無くなってな! 速攻、咬まさせてもらうぜ」
 このユーベルコードは召喚の代償に一気に生命力を持っていかれる――長期戦は不可能で温存も不要。
 襲い掛かる白と風虎達に向けて何とか態勢を整えようとしながらすきゅりんは羽衣を翻し巨大な雷蛇を高速で撃ち出し烈風の虎達を撃ちぬいていくが、ばらばらの機動で襲い掛かる標的全てを撃ちぬくことは叶わない。
 逃げ道すら二体の風虎に塞がれ、そして残った五体の虎に喰らいつかれすきゅりんの動きは封じられる。
 蛸足を藻掻かせ抵抗するすきゅりん、だがサメに乗った白が飛び込むのが速かった。
 捨て身で飛び込んだ白は、気を練りこんだ拳をすきゅりんの胴体に打ち込むと、同時風の虎達の爪が一気に引き裂きすきゅりんを引き裂いた。
 そしてそのまますきゅりんは力を無くし落下、大きな水飛沫を起こして海に沈み再び浮上することはなかった。
「海のモズクになるがよ……何か違うな?」
 サメの口の中からそれを見ていたヴィヴはぐっとサムズアップし呟き空を見上げる。
 嵐の壁は急速に勢いを衰え、その切れ間には青色が顔をのぞかせていた。

 青空を取り戻したスクアーロ島の海岸で大の字に寝ころび、空を見上げる白き虎。
 烈風の虎を召喚した代償の生命力は彼に倦怠感を感じさせていた。
 雷や爆風の余波の傷はあるけれどもそれは慣れたもの、寧ろ内股がヒリつく感覚の方が慣れていない分気持ち悪い。
「あー……疲れた。何か食って寝て運動して……」
 騎乗していた改造サメを撫でつつ白が海へと目をやると、鮫魔術士のサメ悪魔達が改造サメと共に歓声を上げていた。
 とりあえず、疲れた分の成果はあったのだとそんな事を感じながら白虎の拳士は目を閉じる。

 かくしてコンキスタドールに襲われていたスクアーロ島は救われ、偽の猟書家の侵略の一手は崩された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月11日
宿敵 『すきゅりん』 を撃破!


挿絵イラスト