銀河帝国攻略戦⑤~歪んだ嫉みを駆逐せよ!
スペースシップワールドの命運を賭けた、大規模戦争。そんな最中、戦場へと向かう一隻の宇宙船があった。
「皆、解放軍との合流地点はもうすぐだ!もう少しで、あいつらに一泡吹かせられるように……」
すると彼らの眼前に突如、明らかに彼らと意匠の違う宇宙船が出現する。その内に、醜悪な妬みの感情を大量に詰め込んで……。
「皆、先の事件ではお疲れ様。でも残念ながら、私達に休んでる暇はないみたいね。」
スペースシップワールドの片隅で起こった一つの事件『ヘロドトスの戦い』に端を発した大規模作戦が発令され、一層の慌ただしさを見せるグリモアベース。予知と依頼で大忙しのグリモア猟兵達であるが、アイリーンもまたその一人であった。
「例の一件で、私達はスペースシップワールド内でのワープが可能になったわ。そしてこれを伝説の『解放軍』の再来と見た人達が、続々と集結しつつあるわ。」
だが、たかが小市民とはいえ、銀河帝国も易々と見逃してはくれない。解放軍との合流を妨害すべく、合流直前に彼らの眼前へとワープ、撃墜しようとしている事が各地で頻発しているのだ。
「皆にお願いしたいのは、この帝国軍の戦艦の撃破よ。」
作戦の詳細はこうだ。まず、猟兵達はグリモアベースから直接、敵の戦艦に転移、戦艦内に多数潜んでいる敵を全て撃破。脱出後、敵の戦艦を撃沈させる、というものだ。
「戦艦を落とす方法は問わないわ。脱出時に爆発させても良いし、仲間の宇宙船に乗り移ってから砲撃やユーベルコードで破壊しても、狙われていた船の人々に頼んで砲撃で破壊しても構わないわ。
そしてその戦艦の中には、『醜き嫉妬の生命体』と呼ばれている、黒いタール状の生命体が多数潜んでいるの。『嫉妬』を原動力に生きる、厄介な連中ね。でも、皆なら問題ないって信じてる。いくらでも、骸の海に沈めてあげましょうか。」
そう言うと、アイリーンは恒例となった投げキッスを送り、猟兵達を戦場へと送り出すのだった。
橘田華佗雄
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
三度目まして、そして既知の方はお久しぶりです、橘田華佗雄です。ちょっとした充電期間を終えてぼちぼちやるかーっていうタイミングでコレっていう!オラワクワクしてきました!
以下、ちょっとした補足になります。
●戦場について
宇宙戦艦の中になっています。内部には通路から中心部まで、そこそこの大きさがあるので、よっぽどのことがない限り戦闘を阻害することはないでしょう。
●敵について
基本能力は一般的な同名の敵と大差ありません。ただ数はいるので、全力で蹴散らしてやって下さい。
今回のシナリオは戦争用の特別仕様とあって、いつもより格段に短いシナリオとなっています。
戦争の勝利のためにも、皆さんの参加を、心よりお待ちしてます!
第1章 集団戦
『醜き嫉妬の生命体』
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POW : 妬心の暴虐
【対象の優れた部位を狙う触手】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 精巧贋物
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【喉から手が出るほど欲しい他者の所持品】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ : 縋る腕
【醜い羨望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【粘着性の高いぶよぶよした黒い塊】から、高命中力の【対象の所持品を奪おうとする触手】を飛ばす。
イラスト:FMI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キギ・レインメーカー
黒いのが大量に出てきたね、一掃しようか!
【行動方針】
「零れる雨」で殲滅しようか
「世界知識」を元に有効な成分を調べて「毒使い」「属性攻撃」で調整した雨を強化しよう
生き残りは手持ちの武器で「2回攻撃」して殲滅しよう
木乃花・蓮司
まずは敵を倒しまくればいいんだよね。まっかせといて!
相手の数が多いならこっちの数も増やさないとね。サモニング・ガイストを使用して古代戦士の霊を召喚、一緒に戦ってもらうよ!
僕自身は水の精霊の力を借りて全力魔法で攻撃。妬み嫉みなんて自分の為にならない感情は、綺麗さっぱり全部まとめて洗い流してやろう!
撃破後は狙われていた船に脱出して、彼らの船の砲撃でトドメをさしてもらおう。
「うわぁ……なんか、黒いのが大量に出てきたね。」
帝国軍の戦艦内部に転移された途端、キギ・レインメーカーは開口一番に微妙な声を上げる。無理もない。彼の目の前に飛び込んできたのは、醜悪を煮詰めて固めたような、黒い不定形の生命体。お世辞にも見目麗しいとは言い難い物体であった。
「まぁ、いいや。こんな連中、さっさと一掃しようか!」
言うが否や、キギは手元の日記を開き、自身が記した様々な世界の記録を、目にも止まらぬ速度でページをめくりながら閲覧していく。
「醜き嫉妬の生命体……不定形の肉体……嫉妬の感情を糧とする……となると、有効な成分は……なるほどね、分かったよ!」
閲覧した記録を元に、眼前の醜塊への対抗手段を構築し終えたキギは、懐に忍ばせていた複数のフラスコを手に取り、抱えていた杯に次々と投入していく。ある透き通った液体は並々と、またあるけばけばしい粘液は一滴と。やがて杯には、不可思議な輝きを放つ調合液で満ち満ちていた。
「さて、後から来る人には悪いかもだけど……みんな、巻き込まれないでね。」
次の瞬間、杯から急速に蒸発した液体は雲となり、敵の頭上を暗雲で覆い尽くす。やがて雲からは雫が一滴、また一滴としたたり落ち、醜き生命へと降り注ぐ雨に変わっていく。
「イタイ!イタイイタイイタイィィ!!」
それは、邪な心を裁く毒。真っ当な心根を持つ者には何ともないが、歪な心の持ち主には激痛をもたらす劇薬となる。雨が降りやむと、そこには全身が焼かれたかのような苦悶の声を上げる塊が地に伏せていた。
「それじゃ、僕は残った敵を倒しまくればいいんだよね。まっかせといて!」
キギの攻撃に巻き込まれない様、後方に控えていた木乃花・蓮司は前に躍り出ると、ユーベルコードを発動し古代戦士の霊を召喚、手数を増やし追い討ちに掛かる。豪炎に包まれた槍を携え、醜悪な液塊へと突撃する古代の英霊。
その一歩後ろで、蓮司もまた加勢すべく、手持ちの杖と心を通わせる。すると、エレメンタルロッドは輝きを放ち、蓮司の呼びかけに応えた水の聖霊へと姿を変える。そして周囲に散らばり滴り落ちていた水滴に目を付けた水の聖霊は、それらを自らの手元へと再結集させる。蓮司は目前に集まった水泡を見遣ると、持てる魔力を全力で注ぎこみ、当初は掌に収まる程度だった水塊は、やがて通路一杯に膨れ上がる。
「妬み嫉みなんて自分の為にならない感情は、綺麗さっぱり、全部まとめて洗い流してやろう!」
瞬間、敵を抑え込んでいた古代戦士を還すと同時、蓮司は溜めこんだ魔水を一気に放出する。今度は激流となり、邪悪な生命達へと襲い掛かる聖水。最早激痛を超え、その身を微塵も残らず洗い消していく。
「ネタマシイ……ネタマ……シ……イ……」
水流の果て、そこには歪な心を持った生命体の一切が消え去っていた。これにて、この一角での戦いは終わりを告げたのだ。キギと蓮司は互いに顔を合わせると、二人とも朗らかな笑顔を浮かべながら、勝利を祝すように手を合わせるのだった。
成功
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イデアール・モラクス
我が寵姫エステシア(f02772)と共闘
フン、銀河帝国なぞ我らの前では塵に等しい! 竜の女王と暴虐の魔女が戦艦ごと貴様らを跡形も無く消しとばしてくれる!
・行動 「どうせ最後には落とすのだ、壊しながら戦っても良かろうが!」
UC【隕石招来】を『全力魔法』で威力を増し『範囲攻撃』で巨大化させた隕石に『属性攻撃』で炎を纏わせ『高速詠唱』で数発連射して放つ
「やるぞエステシア、我らの魔力を重ねるのだ!」
エステシアと共に更地にした場に立ち戦闘力を上げ【2人の技能を合わせた広範囲に稲妻を放つ合体攻撃魔法の術式を構築して】放つ
私は『全力魔法』『属性攻撃』『範囲攻撃』『生命力吸収』を込めるぞ
「合魔・天雷竜覇!」
エステシア・プライド
余は、余のマスターたるイデアール・モラクス……マスターと共に銀河帝国との戦争、その一幕に参戦するとしよう
黄金竜の女王と暴虐の魔女が共に戦場に並びたつならば、その敵対者には不可避の破滅が待つのみである
余のユーベルコード《三頭黄金竜引力光線》とマスターのユーベルコードの連携により、戦艦の内部を破壊し尽くしてくれる
余の得意とする重力・引力の<属性攻撃>と<全力魔法>の前に、如何なる護りも無為と知れ
雑兵を片付たならば終幕はマスターとの合成魔法による大規模破壊魔法により、戦艦を宇宙の塵と変えてくれる
深淵の宇宙空間に、魔導の雷華を大輪と咲かせ、竜王と魔女の力の偉大なりしを銀河帝国に魅せつけるのだ
所変わり、戦艦内部の別の空間。特に開けたその場所で、イデアール・モラクスとエステシア・プライドは、醜悪な粘液生命体達に取り囲まれていた。ここに至るまでの道中、彼女達を追ってきた敵が次々と集まり、周囲の床を黒に染める。多勢に無勢、だがそのような危機的状況にあって、二人は不敵に笑みを浮かべる。
「フン、銀河帝国なぞ我らの前では塵に等しい!竜の女王と暴虐の魔女、我らが戦艦ごと貴様らを跡形も無く消し飛ばしてくれる!」
「黄金竜の女王と暴虐の魔女――余とマスターが共に戦場に並び立つならば、その敵対者には不可避の破滅が待つのみである。」
否、奴らは誘い込まれたのだ。彼女達が全力を出せる場所、そしてそれをぶつけるのにふさわしい数の、哀れな犠牲者を集めるために。
「我招く無窮の厄災に慈悲は無く、汝に救いと希望の一切も無し……」
イデアールが圧倒的な速度で言の葉を紡ぐと、頭上に広大な魔方陣がいくつも浮かび上がる。すると、それぞれの中から、巨大な隕石が次々に顔を覗かせる。その上、イデアールのなおも止まらぬ詠唱により、隕石群はその身に豪炎を纏い、さらにその身を膨らませ、魔力をその内に充填していく。
「我が太祖。三頭黄金竜よ。宇宙の理を破壊する金星の業火よ……」
同時にエステシアもまた、古の血族に語りかける呪文を唱えると、眼前に魔方陣を出現させる。数はたった一つではあるが、先程と比べるとはるかに巨大な陣。やがてそこから、彼女の言葉に応えた者が姿を現す。神々しいまでに眩い黄金の鱗鎧。見る者を圧倒する三つの竜頭。彼女の太祖たる三頭黄金竜が、威風堂々たる姿を顕現させ、斥力の理を覆す力をその口腔に溜めていく。
「どうせ最後には落とすのだ、壊しながら戦っても良かろうが!隕石招来(メテオストライク)!」
「余の魔法の前に、如何なる護りも無為と知れ。三頭黄金竜引力光線(キングドラゴン・デストロイヤー)!」
そして放たれる、二人の全力を込めた暴虐。おぞましき者共に次々と降り注ぐ、獄炎の巨石と引力を纏った光線。黄金竜と流星による止まぬ攻撃の群れ――竜星群により、気付けば周囲は床が変形する程の壊滅的な被害がもたらされていた。
「やるぞエステシア、我らの魔力を重ねるのだ!」
「うむ、余とマスターの魔術を以って、奴らに鉄槌を下そう!」
だが、それで終わる彼女達ではなかった。二人は最早原形を留められぬ地に並び立ち戦闘力を上げると、二人の魔力を掛け合わせた合成魔法の発動に掛かる。『全力魔法』、『属性攻撃』、『範囲攻撃』、『生命力吸収』。二人の持ちうる術式を次々と重ね合わせ、膨らんでいく魔力塊。そして遂に、破滅をもたらす禁呪が解き放たれる。
「合魔!」
「天雷竜覇!」
莫大な力を纏い、地を走る無数の稲妻。それらは先程の厄災を生き延びた粘液塊を執拗に追跡、確実に射抜き、その身を跡形もなく消し去っていく。やがて葬るべき的を全て消し炭へと変え、行き場を失った魔力光は望遠窓から外へと放出される。まるで、深淵の宇宙空間に咲く魔導の雷華とも表現されるような大輪を象る魔力達。それは、竜王と魔女の力の偉大さを銀河帝国に魅せつけるかのようだった。
成功
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レクシア・ノーレッド
―普段なら撃墜しに行くところだけど…
…同族の成れの果て、って奴かな…なら、ちゃんと相手するよ。
【POW】
私がやることは一つ。…喰らう事。食べて、混ぜて、安らかにする事だけ。
無詠唱の雷は自分の身体に纏わせて、【緊急射出】で2つに分裂するよ。
壁や床、天井に跳ね返りながら敵に近付いて、当たった敵から順に【侵食/捕食】の条件を満たすからそのまま捕食する。
うん、可能な限りこれを繰り返すよ。
ちょっと取り込んだ後が厄介そうだけど、まぁ…
…可哀想だし。安らかにしてあげないと。
「…大丈夫…ワタシの中においで…?」
「―ゴチソウサマデシタ…そして、おやすみなさい。」
【共闘・アドリブ歓迎】
アルトリンデ・エーデルシュタイン
『解放軍』が大きくなっていく流れを邪魔させはしません。
数は多いようですが、他の皆さんと共にすべて倒しましょう。
戦艦内で多数のタール状生命体の相手……どこから襲われるか分かりませんね。戦闘中も不意打ちを受けないよう気をつけないと。
ならば【聖天示すは慈悲なる標】により魔を祓う破魔の柱を放ち、打ち当てた敵もろともその周囲の邪な感情を持つ生命体を祓います。
突き立てた柱の周囲でなら前で戦う人の消耗も癒せるはず。
それに戦艦の壁ごと打ち抜けば内部に隠れ潜む者も炙り出せないでしょうか。
妬みに取り付かれ狂うは、悪魔に憑かれるも同じ。
我が祈りでもって皆さんを鼓舞し、かの敵を討ちましょう。
※アドリブ・絡み歓迎です
遠呂智・景明
アドリブ、他の参加者との連携絡み歓迎
気持ちわりぃ敵だなおい。とりあえず、こいつらぶっ倒すのに注力して船の方は他のやつに任せるとするか。
嫉妬なんぞ、今も昔も絶えねぇよ。だから、充分呑み込める。
2本の刀を抜き【2回攻撃】による連撃を主体に戦う。【鎧無視攻撃】、【傷口をえぐる】を用いて敵の弱い所を狙って効率的な攻撃を。
敵がUCで欲しいもんを出してくるってんならそれはきっと俺とは違って名刀と呼ばれる類いだろうな。
へし折ってやるよ。そうすりゃ俺のが強い刀だろ。
敵のUCに合わせて【風林火陰山雷 火の如く】を発動。高速移動と炎を纏った一撃でUCで作り出された複製品ごと敵を切り裂く
他の猟兵との連携は忘れねぇ。
猟兵達の活躍により、確実にその機能を低下させていく帝国戦艦。そこかしこで火花が飛び始め、当初は無数とも言えるほどいた敵の伏兵も、徐々にその数を減らしていった。そしてそんな船内の通路を駆け回る、とある一団の前に、なおも侵入者を排除しようと足掻く邪悪な影が現れる。
「解放軍が大きくなっていく流れを邪魔させはしません。数は多いようですが、全て倒しましょう。」
アルトリンデ・エーデルシュタインは固い決意を表すと、魔を祓うべく天への祈りを捧げる。
「神域は此処に在り。迷える者が邪なる甘言に惑わされぬよう、白き澪の標で導き護りたまえ。過ぎし海を礎に、天を繋ぐ輝きで照らしたまえ。」
やがて彼女の祈りが天に聞き届けられると、通路の床から、壁から、天井から。邪な心に取り憑かれた者達を取り囲むように、百に匹敵するほどの光が発せられる。
「妬みに取り付かれ狂うは、悪魔に憑かれるも同じ。我が祈りでもって皆さんを鼓舞し、かの敵を討ちましょう……天示すは、慈悲なる標(テンペルイーネゾイレ)。」
瞬間、光は白亜の柱となり、あるモノは壁の内に潜んでいた邪悪な生命達を直接打ち付け、またあるモノはその身から発せられる破魔の光にて次々と浄化していく。四方八方、あらゆる角度からの攻撃に、不意打ちする隙も見出せない醜泥達は、着実にダメージが蓄積していく。そんな奴らに追い打ちをかけるべく、遠呂智・景明が前へと出る。
「気持ちわりぃ敵だなぁ、おい。とりあえず、こいつらぶっ倒すのに注力するか。」
『大蛇切 景明』と『黒鉄』、二振りの刀を引き抜き、景明は敵集団へと斬り込みをかける。アルトリンデが築きあげた柱を足場に、縦横無尽な動きを見せながら、負傷箇所等の急所を、防御の上からでも強引に抉り斬る。仮に多少の無茶で傷を負ったとしても、アルトリンデの光の柱から放たれる癒しの波動により、みるみる塞がっていく。
「嫉妬なんぞ、今も昔も絶えねぇよ。だから、充分呑み込める。」
一方、レクシア・ノーレッドの胸中は複雑であった。
「普段なら撃墜しに行くところだけど……同族の成れの果て、って奴なのかな……」
黒い粘液質の体を持つ目の前の存在が、ブラックタール――自身と同じ種族の姿に、どうしても被ってしまうのだ。だが、元は同じ種族であろうがなかろうが、今は歪な感情に支配された取り返しのつかない過去の存在――オブリビオンなのだ。そう思い直すと、レクシアは覚悟を決める。
「私がやることは一つ……喰らう事。食べて、混ぜて、安らかにする事だけ。」
そう決意の言葉を口にすると、レクシアの全身を電撃が迸る。やがて彼女の体の一部が大きく触れ出し、球体となって先陣の後を追うように勢いよく射出される。先程と同様、アルトリンデによって作られた柱や、壁を床を天井をと、まるでピンボールのように不規則な跳ね返りで敵を翻弄しながら、着実にその距離を縮める。ついに球体が敵のその身に触れ、電撃が敵の表面を走ったかと思うと、醜悪な生命体の姿は一瞬で球の中へと吸い込まれる。
「ちょっと取り込んだ後が厄介そうだけど、まぁ……可哀想だし。安らかにしてあげないと。」
勢いそのまま、船内をなおも跳ね回り、次々と敵を飲み込んでいくレクシアの分身。
「イヤダ……シニタクナイ、キエタクナイ!」
「大丈夫……ワタシの中においで……?」
悲痛な叫びを上げる泥塊を前に、優しく諭すように呼びかけるレクシア。やがて、彼女の目に届く範囲にいる者は全て呑まれ、球体は本体の元へと還っていく。
「ゴチソウサマデシタ……そして、おやすみなさい。」
己の胎を擦りながら、彼女はあやすように声を掛けるのだった。
一方、敵陣奥深くに到達した景明は、集団の最後の一体と対峙していた。すると、彼の心を読み取った醜き生命体は、その手に一本の刀を生成する。それは見る者を引きこんでしまう程の、名刀と呼んでも差し支えない業物だった。
「俺が欲しいもんを出してくるってんなら、それはきっと、俺とは違って名刀と呼ばれる類いだろうな。」
一瞬、その美しき刀身に目を見遣る景明。だが。
「へし折ってやるよ。そうすりゃ俺のが強い刀だろ。」
不敵に嘲笑すると、彼は二刀を懐に構える。互いに見合う二人。刹那、両者は同時に、相手の胴へと斬り込む。一瞬。二瞬。やがて時が経つと、邪な黒塊から炎が上がり、業物は真っ二つにへし折れる。気付けば、景明の持つ二刀、それどころか彼自身の各所が未だ燻っていた。敵の全てが燃え尽き、ここ一帯の戦闘の終了を悟った景明は、二振りの刀を収めると後方の二人の元へと戻っていく。
そして、短くも長い戦いの終わりは、すぐそこまで迫っていた。
成功
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九重・十右衛門
【SPD】
タール状とは中々面倒そうな連中じゃがやるしかないのう
【神隠し】と【忍び足】で姿と足音を消し、敵を【暗殺】しようと試みる。
有効ならばそのまま暗殺を続け、ある程度敵が集まって来たら姿を表して【衝撃波】による【範囲攻撃】と【怪力】を活かした【グラップル】での【2回攻撃】でダメージを与えていく。
敵を全滅させた後は仲間の猟兵と共に脱出し、戦艦とある程度距離を取ってから【宙域戦闘装備】を使用して戦艦を破壊する。
クラウシス・ゴドリベント
小さな力でも集まれば大きな力を打倒することができる。
弱くとも立ち上がった彼らのためにも、ここで君たちの好きにさせる訳にはいかない!
気恥ずかしいが、顔を狙ってくる可能性が高い。世辞かもしれないが顔立ちは整っていると故郷ではよく言われていたからね。
彼らの攻撃が自分に集中するようなら盾と武器でその攻撃を受け、その後カウンターで早業の二回攻撃で斬り伏せる戦法で行こう。
敵の攻撃はなるべく自分が引きつけよう。かばう時にオーラ防御を使えば他の味方よりも消耗が軽くなるはずだ。そのための盾でもあるしね。
戦艦は僕の心光剣の最大開放を使えば両断できるだろう
手間取るようならその時には僕がやろう
アドリブ等歓迎です
テリブル・カトラリー
どうせ破壊するのなら、周囲にさほど気を使う必要もないか。
腕を大型ドリルに換装、ブーストを吹かして突進(ダッシュ)し壁や障壁等を
破壊して中心部等の広場へと抜ける。
道中や壁の向こうに敵がいればついでにドリルで巻き込む。
嫉妬するならばすれば良い。全て破壊するのみだ。
即座に片腕を火炎放射機内蔵腕に換装し周囲の敵を焼き払い、目くらましにし、再度、今度は両腕をガトリングに換装し一斉発射。
一帯をなぎ払う範囲攻撃で殲滅。以降戦艦破壊寸前までできる限り殲滅を
優先する。
脱出時には腕を大型ドリルに換装、
コアや壁を破壊しながら宇宙空間へと退避する。
これでもウォーマシンとして宇宙空間での活動も可能だ。
猟兵達と醜き嫉妬の生命体の数々の戦いの余波のせいか、あちこちで大規模な火花が散る船内。最早崩壊まで秒読みに入ろうかという敵戦艦の中を、九重・十右衛門は、単独で密かに行動していた。
「タール状とは、中々面倒そうな連中じゃが……やるしかないのう……」
面倒な敵を相手に、一人でひっそりとぼやく十右衛門。そんな彼の前に、十を超えた辺りから数えるのを止めた標的の一体が、通路の先で孤独に彷徨っていた。
隠密に関わる技能を駆使し、静かに、確実にその背後に迫る十右衛門。敵がその存在に気付いた時には、その拳は泥塊を支える核を掴み、一握を以って粉々に粉砕していた。断末魔の叫びを上げる間もなく、その身を塵へと還す邪命。手に残った残骸を払い、十右衛門が通路の先へと進むと、そこには大きく開けた空間が広がっていた。中へ踏み入ろうとするも、中で起こっている『何か』を察した彼は、咄嗟に通路の影へと慎重に身を潜める。
「あれは……一体何なのじゃ?」
その視線の先では、一人の青年が、広場の中央で威風堂々とした態度で陣取っていた。
「小さな力でも、集まれば大きな力を打倒することができる。弱くとも立ち上がった彼らのためにも、ここで君たちの好きにさせる訳にはいかない!」
クラウシス・ゴドリベントは言い放ちながら、その端正な顔立ちを煌めかせる。
「イケメン……ウラヤマシイ!ヨコセ!ワレワレニヨコセェェ!!」
その 眉目秀麗さは彼らの妬みの対象となるのに十二分だったのか、クラウシスの周囲へと次々と集まり出す醜塊達。やがておぞましき者達は、クラウシスへと一斉に襲い掛かる。一瞬その圧力に圧されかけるも、オーラを纏わせた自慢の巨盾で押し返し、『ゴドリベント・イミテーション』による隙を逃さぬ二段斬りによって切り伏せていく。
寄せては返し、襲い掛かっては次々に切り刻まれていく歪な生命体達。気付けば、クラウシスの周りには船内の生き残った敵全てと言っても過言ではない程の数が集っていた。すると突如、爆音と共に広場の壁が粉々に砕け散る。腕を大型ドリルに換装し、ブースターを吹かして突貫してきたテリブル・カトラリーが、壁を破砕しながら乗り込んできたのだ。勢いそのままに突っ込んだため、邪な生命体の幾らかがその螺旋に思わず巻き込まれてしまう。
「嫉妬か……するならばすれば良い。全て破壊するのみだ。」
冷徹に言い放つテリブル。彼女は一瞬、現在進行中の、そして数々の戦いで悲鳴を上げつつある船内を見渡すと。
「どうせ破壊するのなら、周囲にさほど気を使う必要もないか。」
ドリルを装備していた腕を一瞬で火炎放射機をその内に宿した腕へと換装、その煌炎で醜悪な生命体達の目を潰しつつも、業火でその身を次々と消し炭に変えていく。やがて、その大半が目を封じられ、あるいは原形を留めぬ程焼け焦げていく。
「さてと……そろそろ出番かの。」
混迷とする戦いの中、機を伺っていた十右衛門は今がその時と、通路の影から迷いなく飛び出す。そして集まっていた敵の中央へと飛び込み。
「……覇ァァ!!」
練り上げた気を床へと叩きつけ、衝撃波となって地を駆ける。目を潰され、足場が崩された事で身動きも取れなくなった歪な者達。この機を逃がさず、テリブルは両の腕をコンバート、ガトリングガンへと姿を変えると、残敵の一掃をすべく、全方位へと一斉掃射を始める。そして十右衛門もまた、彼女の砲撃を巧みに見切りながら、打ち洩らした敵を見つけては、その豪力をもって組み付き、核を念入りに砕いていく。
やがて機銃がそのうねりを止めると、そこに残っていたのは猟兵三人。遂に、船内の『醜き嫉妬の生命体』の駆除に成功したのだ。だが息つく間もなく、テリブルは三度、今度は両方とも大型ドリルへと換装、船外への脱出を図る。
「……良かったら、一緒に行くか?」
「本当ですか!では、よろしくお願いします!」
「それじゃ、折角だから同行させてもらおうかのう。」
クラウシスと十右衛門がテリブルに掴まると、背に乗せたブースターの勢いと共に、二つのドリルで船壁を次々と打ち破っていく。途中、戦艦のコアに傷を負わせながら、やがて最外壁を突き抜けると、三人は宇宙空間へと躍り出る。だが、彼らの仕事はこれで終わりではない。このままでは、制御を失った戦艦は友軍艦隊へと激突してしまうのだ。彼らと同様、この船に侵入していた他の猟兵達の無事を確認すると、十右衛門はユーベルコードの発動に入る。
「宙域戦闘装備、起動。」
やがて十右衛門の身は遮断フィールド覆われ、両手の間には漆黒の塊――マイクロブラックホールが形成され始める。
「手間取るようなら、僕も一緒にやるかい?」
「そうじゃのう……それじゃあ、頼むかの。」
十右衛門がそう返すと、クラウシスは『フォーティチュード』を手に取ると、その刀身に超常の光を集めていく。
「我が心に宿る不屈の光、顕現せよ!心光の導きであるべき場所へ帰るがいい!」
やがて最大解放されたその光刃は、20Mもの長さへと伸長される。そして姿勢制御のためテリブルによって支えられながら、十右衛門のマイクロブラックホールや他の猟兵達の攻撃と同時に、その煌めきを振り下ろす。
「心光剣・大両断(シャイニングフォースキャリバー)ーー!!」
数多の攻撃により、内部へもダメージが蓄積していく巨大戦艦。やがてその身が光に包まれたかと思うと、大爆発を伴いながら、宇宙を漂う残骸の一塊と化した。
こうして猟兵達は、解放軍の戦力をまた一つ、増やすことに成功した。
成功
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