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部品は蘇る

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ヘルメスデウス・ブレインコア #スターライダー

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●蘇るパーツ、死ねないパーツ
 真っ暗な何もない場所。
「うう……うぅぅ……」
 たくさん戦った。そうしたらここにいた。ここでも戦った。そうしたらみんないなくなった。
「いたい……いたい……」
 戦うと頭が痛くなった。お腹の中がひっくり返って、体の中が全部外に出て、気持ち悪くて。それでも、戦った。
「きて……きて……きた………」
 それしか知らないから。あそこでも、ここでも、そうだったから。そうしたら、頭の痛いのがぱーんとなった。ぱーんとなって、真っ暗になった。
「うぅぅぅぅあぁぁぁぁぁぁっ!!」
 凄く長い時間、もしかしたら一瞬かもしれないけど、そのあとで急に真っ暗が覚めたら、また頭が痛くなった。でも、出来ることが一つ増えていた。
「あっ……はっ……あぁ……おふね……」
 新しく作れるようになったお船で、また戦いに行こう。

●壊れたパーツを再利用
 集められた猟兵の前にあるのは、グリモア猟兵ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)の所有するピンクの犬型キャバリア。その搭乗口が開き、ミルケンを装備した花園・ぺしぇがぴょこんと顔を出した。
「みんなー、お疲れ様なんだよー! あのね、今日も依頼に行って欲しいの!」
 集められたということは当然そういうことだろう。キャバリアを用意しているということは行き先はクロムキャバリアかと聞くと、ミルケンは首を横に振る。
「あのね、今日行って欲しいのはスペースシップワールドだよ。ヘルメスデウス・ブレインコアって言う猟書家が最近やっつけられたんだけど、その力に引っ張られて新しいオブリビオンが出てきて目的を引き継いじゃったの」
 猟書家が倒れても他のオブリビオンが跡を継ぐ。どこの世界でもそれは同じなようだ。
「ヘルメデウスがやってたのは『新インペリウム』って言う帝国継承軍のお船を造ること。今回のオブリビオンもそのお船を造ろうとしてるから、邪魔してきて欲しいんだ」
 かつて銀河帝国攻略戦で現れた惑星型宇宙船インぺリウム。その新型の建造を阻んで来いということだ。
「でも、オブリビオンがいるのは真っ暗な星も見えない暗黒宙域。そこはサイキックエナジーが宇宙嵐を作ってて、普通の宇宙船はもちろん、猟兵でも一人じゃ進んでいけないの。だから、プロのスペースライダーの人の手を借りなきゃダメなんだよ」
 宇宙バイクに同乗して運転を任せる、案内役として遠方から指示を出してもらう、戦力として共闘するなど協力の方法は色々あるが、とにかく彼らの力を借りないと安定して戦うのは難しいらしい。
「ちょうど目的地の近くに宇宙の古戦場みたいな宙域があって、そこがスペースライダーのパーツ拾い場になってるの。そこに行って凄腕だったり頭がよさそうだったり、お気に入りのスペースライダーさんを見つけてお手伝いをお願いするといいよ!」
 猟兵は既に宇宙全体に名をとどろかせる英雄だ。その頼みとあれば断りはするまい。もちろんだからこそあえて腕比べを挑んでくる跳ね返りもいるかもしれないが、そういう奴こそ好ましいという猟兵もまたいるだろう。
「で、スペースライダーさんに手伝ってもらったら暗黒宙域でオブリビオンと戦闘だよ。名前は『アマレット・シシリアンキッス』、ピンク髪の小さな女の子だよ。サイキックを物質化する能力に長けてて、それで何もない所から新インぺリウムを作ってるみたい。昔はロボットにも乗ってたみたいで、ピンクの犬みたいなロボットを作って乗ってきたりするよ」
 ピンクの犬型ロボットに乗るピンク髪の幼女……今まさに目の前にその実物がいるのだが、それについて本人はどう思っているのか。
「凄いサイキック能力があるんだけどそのせいで精神的にすごく不安定で、あんまりお話は出来ないんじゃないかな。戦ったりするのを当たり前に思ってて、戦争のない世界とか想像できないみたい。もしかしたら他の世界から来た子なのかもね?」
 あるいはそうだから猟書家の力に引っ張られたのかも。特に気にすることなくそう言ってグリモアを起動させるミルケン。あるいは、ミルケンの方が気にしないようぺしぇの意識に目隠しでもしているのか。
「それじゃ、みんな頑張ってね、いってらっしゃーい!」
 明るくそう言うと、ミルケンは猟兵をスペースシップワールドへと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。一年以上ぶりのスペースシップワールド依頼は猟書家の後継戦となります。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……スターライダーを探す/スターライダーの指示に従い行動する』

 第一章では古戦場である宇宙のジャンク地帯で、ジャンク漁りに来ているスペースライダーをスカウトしていただきます。第二章で協力してもらうライダーになるので、連続で参加予定の方は自分の戦い方に合ったライダーをスカウトするとよいでしょう。戦闘型やスピード重視の他、技術屋やオペレータータイプなど後方支援型ライダーもいます。その際彼らの欲しがっているパーツを一緒に探したり、報酬として提示したりするとよいでしょう。外見、性格などご自由に設定OKです。お任せも歓迎。自分のバイクやマシンに取り付けるジャンクパーツを探すのももちろんOK。

 第二章では猟書家後継『アマレット・シシリアンキッス』との戦いになります。ここでは宇宙嵐や未完成の新インぺリウムの攻撃などが妨害してきますので、ライダーと協力して切り抜けつつ戦ってください。ライダーと共に嵐を乗りこなす、バックアップを受けデブリや砲撃を躱すなど、カッコよく決めてください。ボス自身はピンクの犬型巨大ロボットや刃の生えた小型円盤をサイキックで呼び出し攻撃してきます。外見は幼い少女ですが超能力の過負荷で常に頭痛と精神不安に苛まれているためあまり会話は出来ません。元々ロボットの生体パーツ的な存在で、敵意とか殺意以前の問題で戦う以外の発想がありません。宇宙の事情には疎く猟書家後継としての使命感や自覚も薄く、もしかしたら神隠し勢なのかも。つついてみたければご自由に。戦場は宇宙空間ですが宇宙服などは(必要なら)貸与します。

 全体的にアクション系な展開を想定していますが、そこはプレイング次第で。

 それでは、プレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『残骸は残懐と共に』

POW   :    力づくで調査・回収を行う

SPD   :    技術を用いて調査・回収を行う

WIZ   :    知識を用いて調査・回収を行う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かつて大きな戦争があったという宙域。今そこは宇宙を駆けるスペースライダーたちが、その時の遺物を自身のパーツとして漁る絶好の狩場となっていた。
 ライダーたちが集うにつれ改造したマシンを早速試すためのレース場などが出来上がり、彼ら目当ての商人や技術屋が集まり、さらにその彼らのための飲食店や宿泊所も儲けられ、集まった宇宙船のための補給船までが立ちようようになってとまるでそこは小さな村のようにすらなっていった。
 皮肉にも、かつて戦争の場であった宙域に残されたものが、人々の新たな生きる場を生んだのだ。
 そして今日もそこには掘り出し物を求めたライダーたちが集まる。
「おい見ろよこれ! 今はもうとっくに絶版になってるやつのロゴだぜ! 俺のじいちゃんの時代の奴だ!」
「そんなんただ古いだけじゃねぇかよ。それより見ろよ、これ消えかけてるけど帝国のマークじゃね? これならいくら古くたって技術はお墨付きだろ。しかも正規ルートじゃ絶対出回らねぇ!」
 彼らが求めるのはパーツの価値のみ。どの陣営が、何のために使ったかなど今やどうでもいいことだ。そしてそれだけに、彼らの技術と速さへの欲とその実力は間違いない。
 さあ、すぐ傍にある暗闇の宇宙を駆け抜けるため、彼らの世界に足を踏み入れよう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、面白そうな場所ですねぇ。
それでは、探しましょうかぁ。

『新インぺリウム』の情報も欲しいですし、その様な『解析』に強い『オペレータ型』の方が良いですねぇ。
『飲食店』等で情報を集め、そういう方(出来れば同性)を探しましょう。

情報が得られましたら【豊艶界】の在庫と『施設』を使い[料理]、この世界では珍しいであろう『生鮮食材』を使った品をご用意し、手土産にしますねぇ。
お話を聞いて頂けましたら、『手土産』に加え『金銭報酬』と『購入した品の[運搬]』、更に『追加の料理』を提示し、協力を要請しますぅ。
【豊艶界】で運べば、普段は購入し辛い大きな品も運べますので、メリットは有るかと?



 ジャンク溢れる古戦場の宙域。そこのパーツを求めて集まるのはスペースライダーたちだが、一方でそのライダーたちを求めてやってくる者がここにはいた。
「成程、面白そうな場所ですねぇ。それでは、探しましょうかぁ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もその一人。彼女はライダーを求めながら、彼らが多く集まる戦場跡やショップではなく滞在中のライダーたちのための飲食店の方へと足を運んでいた。
 そこでは部品調達を終えたライダーや、彼ら相手に商売する者たちが食事をとっていた。食べているのはチューブ入りのゼリー飲料のようないかにもな宇宙食ばかりだが、それを片手にパーツやマシンの自慢しあいや怪しいセールストーク、人によっては異性のライダーを口説きにかかるなど、まるでそこは荒くれ集う荒野の酒場の様ですらあった。
 そんなスペースシップワールドに似つかわしくない場所で、るこるは目当ての人物を探す。欲しい人材の印象としては、あまり荒っぽくなさそうな、ある種この場で目立ちそうなイメージのある存在。
 その彼女の目に留まったのは、一人のクリスタリアンの少女だ。青白く透き通り丸みを帯びた体は硬質ながら、人間なら豊満とも言えそうな曲線だ。机の上に置いてあるのは掘り出したパーツではなく、すでに組み上がったいくつかの機械。具体的な性能は門外漢であるるこるには分からないが、あまりバイクに取り付けるにはふさわしそうにない印象を受ける機械ばかりだ。
「すみません、ちょっとお話よろしいですかぁ?」
「はい、何ですか? これは売り物じゃないですよ?」
 その彼女にもしやと感じ、話しかけてみるるこる。
「いえ、私は猟兵をやっているものなのですが、今回任務でこの近くの暗黒宙域に向かうことになりまして、その協力者を探しているのですがぁ……」
「それだったら他を当たった方が良いですよ。私、スペースライダーと言ってもナビ側ですし」
 そっけなくいう彼女だが、むしろその答えにるこるは聞く手間が省けたと内心喚起する。
「それはありがたいです。私が探しているのはむしろ後方でオペレータをしてくれるような方でぇ」
 暗黒宙域に建造されている新インぺリウム。製作者はサイキックでそれを建造しているらしく、サイキックに秀でる種族であるクリスタリアンならその分析にもうってつけだと、るこるは彼女を口説き落としにかかる。
「もちろん、ただでとは申しません。まずは一つご馳走させてくださいませぇ」
 そういってるこるは胸の谷間……【豊乳女神の加護・豊艶界】から生鮮食品の料理を取り出し、彼女に振舞う。宇宙の世界ではほぼ見ることのない生の食材に、最初は彼女は不思議そうな目を向けていたが、好奇心が強いのかやがて一つを口にする。
「え、何これ……何!?」
 目を輝かせているあたり、感動の方で言っているのだろう。さらにるこるは、それに加えて一般的な金銭報酬に、自身の運搬能力を使って一人では運べないような資材の運搬手伝いの約束も提示する。
「なるほど、つまりそれくらいの報酬じゃないと割に合わないくらいに危険があると」
 多額の金銭に加えこの世界にない物、そして並の宇宙船では引っ張れないほどの資材でも運搬可能となれば、それに見合う労働はいかほどになるか。少女はそう言ってるこるをじっとみるが、るこるの方もたじろぐことはなく視線を返す。
「ま、いいでしょう。丁度宇宙嵐もぶちぬける大型通信機が欲しいと思ってたところなんです。先払いでそれ買ってくれるならお手伝いします」
 どうやら机に乗せていた機械は通信関係の者だったらしい。彼女の申し出にるこるは承諾の意を返す。
「はい、契約成立ですね。私はアウラ・コスモコート。よろしくお願いしますね」
 そう言って手を差し出すクリスタリアンの少女アウラ。その手をるこるは握り返す。
「こちらこそぉ」
「はいどうも。ところで、さっきのあれだけど……もっとない? 特になんかあの、ぐにっとした白いの」
 彼女がさっき食べた生ものの中でその色と食感だと、恐らくイカ刺か何かだろう。存外渋い彼女の好みを知りつつ、追加の食事を出しこれからの話を詰めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソアル・セレム
【アドリブ歓迎!】

オルタナティブ・ダブルでセレムちゃんにも出てきてもらって、一緒にスターライダーさんを探すよー♪
『ま、二人がかりの方が手っ取り早いしね』

敵のいるとこまで乗せてって欲しいから、障害に素早く反応できる若い人が良いかな?
『私も手伝うつもりだけどね』
性格的には…ソアルちゃんと感覚が近くて、直感的に反応できそうな人…
『まだ子供って歳の女の子になりそうね、それ』

というワケでこんにちはー♪
『帝国継承軍の要塞を破壊する為に協力して欲しいのだけど、お願いできるかしら。勿論タダでとは言わないわ』
ソアルちゃん達でできるコトならなんでもするよっ。それこそ身体でも…♪
『あんたね…。まあ貴方が望むなら?』



 この宙域に集まるスペースライダーたちの最大の目的は、見つけたパーツを用いて自分のマシンを強化することである。そして強化したら試した見たくなるのがライダーの常。というわけで、ここにはマシンを試走させるためのレース場が作られていた。
 これもまた最初はここに集まったライダーが、使い道のないガラクタを適当に並べてそれらしいものを作ったのが始まり。人が増えるにつれ整備され、用途に合わせたコースが増設されていき、今では悪ふざけじみた障害物だらけのようなものまで含めた、様々なテストができるコースがいくつもそこに並んでいた。
 そのコースを回り、ソアル・セレム(ホワイトシャドウ&ブラックブライト・f05001)は目当てのライダーを探す。
 【オルタナティブ・ダブル】を使い、もう一人の自分である『セレム』も呼び出し、二人でコースを見て回るソアル。
『ま、二人がかりの方が手っ取り早いしね』
 セレムはやれやれといった様子でソアルに付き合う。
 だが探すにしても、ここにスペースライダーはそれこそ星の数ほどにいる。その中で一体どのようなライダーを見つけたいのか。
「敵のいるとこまで乗せてって欲しいから、障害に素早く反応できる若い人が良いかな?」
『私も手伝うつもりだけどね』
「性格的には……ソアルちゃんと感覚が近くて、直感的に反応できそうな人……」
『まだ子供って歳の女の子になりそうね、それ』
 ソアルが思うままに言う条件を、セレムが改めて分かりやすくまとめる。能力のみならず年齢も指定が入るとなると中々に面倒がありそうだが、ここに集まっている人数もまたそれ相応。しばしコースを見回っていると、生涯だらけのコースを駆け回る一人のライダーが目に入った。
「ほほほいのほ~い、にひひ~、楽勝だね~」
 凹凸やハードルどころか、デブリを模しているのかいくつも鉄屑が吊るされ、はてはコース上にタレットまで置かれている一際滅茶苦茶なコース、そこを一台のバイクが『跳ね回って』いた。
 バイクは小型ながらあちこちにバーニアが付き、それをふかしてはバイクを飛び跳ねさせるという無茶な運転をしているその搭乗者は、年齢にすれば10歳を少し過ぎた程度。三つ編みの黒髪に眼鏡という一見インドアそうな恰好ながら、そのバイク制御は素早く年齢相応の若々しさと溌溂さがみられる、スペースノイドの少女であった。
「ねぇねぇ、あの子なんかよくない?」
『まあ、確かに条件には当てはまりそうね。行ってみようか』
 その少女をスカウトすべく、二人はバイクを降りて休憩している少女の元へ向かう。
「というワケでこんにちはー♪」
「いやどういうワケでよ」
 ソアルの唐突な明るい挨拶に突っ込みで返す少女。やっぱりという表情で額手を当てつつ、セレムが正しく事情の説明から入る。
『私たちは猟兵よ。帝国継承軍の要塞を破壊する為に協力して欲しいのだけど、お願いできるかしら。勿論タダでとは言わないわ』
 あまり回りくどい交渉はせず、まずは要求を伝えるセレム。その言葉に、少女は口元に指を当て何事かを考える。
「帝国継承軍……? あー、最近時々噂になるテロ系の。実在したんだあれ」
 猟書家が侵攻を始めてすでに半年近く。幸いにしてその活動のほとんどは猟兵によって小規模の内に防がれているため、幸か不幸かその名は世界に大きく知れ渡ることにはまだなっていない。宇宙の歴史の中しばしば現れる、帝国を無暗に妄信するカルト集団、その程度の認識しか彼女は持っていなかったのだろう。
『実在も何も、ここのすぐ隣の暗黒宙域で戦艦建造中よ』
「もしできたら最初にここに攻めてきちゃうねー♪」
 にっこり笑って言うソアル。別に脅かしているわけではない。彼女としてはフレンドリーさを示すために笑っているだけなのだが、ライダーの彼女にとっては笑い事ではない。
「いやだめじゃん! で、あたしにその継承軍と戦えっての? 無理だと思うけどね~?」
 もちろん猟兵でない彼女は先頭に立って戦う力などないだろう。だが、光差さぬ宇宙の中でもあらゆる障害を躱していける腕とマシンがある。それはさっき彼女がコースで跳ねまわる姿を見て分かっていることだし、手を貸して欲しいのはその部分なのだ。
 その胸をセレムが伝え、ソアルもそれに続く。
「ソアルちゃん達でできるコトならなんでもするよっ。それこそ身体でも……♪」
『あんたね……まあ貴方が望むなら?』
 そう言って豊かな姿態を見せつけるソアル。相手は幼い少女なのだからその交渉は効果がないのでは……そう思いつつセレムも一応聞いてみる。
「あ~、そういうドキドキは、終わった後の方が多分楽しいもんだよね~? ま、どうしても前払いしたいってなら考えないでもないけどね~?」
 そう言ってパイロットスーツの上をはだける少女。そこからはインナーを破らんばかりの、年齢不相応な巨大な果実が抑えを失って零れ出る。
 存外肯定的な反応にちょっと戸惑うセレムと一層嬉しそうにするソアル。
「それじゃその辺も込みで作戦会議と行きましょか? あ、あたしはシェダル。よろしくね~」
 自己紹介する彼女と連れ立ちいそいそと『会議』に向かうソアルに、セレムも仕方なく、だが決して拒絶した風もなくついていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワタツミ・ラジアータ
宇宙という所は初めて来たはずですが、何故でございましょうか。
懐かしいと思うのは。

ライダー:倉庫兼工場の大型船を持つリサイクル屋ライダー。

【SPD】
宇宙で動ける武装を外装としてキャバリアに取込み、
ジャンクの回収をライダーと共に行う。
ジャンク品の扱いは手慣れている。
お互い壊れていても姿かたちを変えて蘇れる可能性を楽しみ喜ぶ再生屋。

食べ放題というのも嬉しい限りでございまし。

集めたジャンクはUCにて美味しく頂く。
食べ過ぎてライダーは困るかもしれない。
大物は一口齧って船に移動させる。

ご心配なく食べた分はキチンと働きますわ。
ですので、いくらジャンク品が好きでも、私にはお触りは駄目ですわ。

アドアレ歓迎



 生命ある惑星はもうどこにもなく、無限に広がる星の海に浮かぶ船だけが生きる場となったスペースシップワールド。その船の中で、ワタツミ・ラジアータ(Radiation ScrapSea・f31308)は窓の外に広がる広大な宇宙を見ていた。
「宇宙という所は初めて来たはずですが、何故でございましょうか。懐かしいと思うのは」
 どこの製造工場で作られたかもわからず、同型の機体も見つかっていない彼女。己も知らぬその過去が何かを告げているのかもしれないし、あるいは単なる気のせい、一時の気の迷いなだけかもしれない。
 そうして宇宙を見つめるワタツミの背後から、低い声がかかった。
「よう、そんなもん見て楽しいのかい?」
 振り返るとそこには、ワタツミの倍近い大きさの鋼鉄の塊……ウォーマシンがいた。直方体を組み合わせたような形状で、無理矢理形容するなら頭部がなく以上に肩幅の広い人型。色は錆びた鉄のような茶色で、一見すると彼自身がガラクタにも見えてしまう。
「今日の仕事場はここだ。話通りやるぜ」
 見た目によく合う男声でそう促され、ワタツミは乗っていた船から降りた。そこは宙域の中でも古く、大型な一方損傷もひどいパーツの多い玄人向けのジャンク地帯。ここを今日の漁り場と定めた倉庫兼工場の大型船を持つリサイクル屋ライダーに、ワタツミは条件を付けて協力を依頼していた。
 一つは、自身のキャバリアを宇宙で動けるようにするための部品を拾い組み込むこと。双方ジャンク品の扱いは手慣れている。お互い壊れていても姿かたちを変えて蘇れる可能性を楽しみ喜ぶ再生屋。生身でないからこそ味わえるこの喜びを、初めて着た宇宙で分かち合えるとは望外の収穫であった。
 そしてもう一つは。
「食べ放題というのも嬉しい限りでございまし」
 拾った基板のような部品を、煎餅のように喰らうワタツミ。【Dinner of GarbageCrusher】によってそれはワタツミの力となり、その証の如く彼女の体から砲塔が生える。
「いろんな目的でジャンク買ってく奴がいるがよ……食うためってのは初めて見たぜ」
 その食べっぷりにライダーが呆れたように言うが、ワタツミはまるで気に掛ける様子もなく巨大なジャンク……バイクどころか船に搭載されていそうな巨大なタービンを一齧りする。
「約束だから食うのは止めねぇが、あんまつまみ食いはやめてくれよ。いい女の歯形付きなんてマニア向けの商品はさすがに扱えねぇ」
「ご心配なく食べた分はキチンと働きますわ」
 ライダーの冗談に固い口調で返し、ワタツミはそのタービンを船へと運ぶ。
「ですので、いくらジャンク品が好きでも、私にはお触りは駄目ですわ」
 そしてその口調のまま、冗談とも本気ともつかぬ風なことを言うワタツミ。
「安心しな。そっちの気はとっくに枯れちまってら。何しろ俺のシモはこんな様だ」
 ライダーはそう言って、脚部を展開し巨大な大型バイクを下半身に接続する。彼にとっては自分の下半身そのものがバイクだということだ。
「ご立派で」
 やはり変わらぬ口調でそう言い、別のジャンクを口に放り込みながらも売り物になりそうなものは手つかずで船へと運び込む。
「そう言えば聞いていませんでした。お名前は?」
「ジョガーだ。本名はクソ長いからパスで」
「分かりました。ワタツミです。よろしくお願いします」
 お互いどこまでが冗談か分からぬ調子で言いながら、二人は船にジャンクを運び、戦いとその先の備えとするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『アマレット・シシリアンキッス』

POW   :    サイキック物質化による機体構築
自身の【心身への強烈な負担と苦痛】を代償に、【四足キャバリアに似たピンクの犬型ロボット】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【自身も搭乗し超能力で操作、サイキック砲等】で戦う。
SPD   :    精神直結遠隔兵器操作
召喚したレベル×1体の【精神力を削りだして作った小型の浮遊円盤】に【さらに超能力をつぎ込み、エネルギーの刃】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ   :    搭乗者保護機能解除及び戦場制圧フィールド展開
自身の【精神負荷を代償に呼び出し乗った犬型ロボ】から【極限まで増幅されたサイキックエナジー】を放出し、戦場内全ての【生物無生物問わず自身に敵対行動を取る存在】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミルケン・ピーチです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ジャンク溢れる古戦場のすぐ隣は、光の刺さぬ暗黒宙域。戦争の残骸を苗床に生活と活気が繁茂したジャンク宙域と違い、ここにあるのは戦いが作り上げた無限の闇のみ。それが分かっているから、ライダーたちもここには近づかなかった。
 その闇の奥で、幼い少女が頭を抱えてうずくまっていた。『アマレット・シシリアンキッス』。それが彼女の名……あるいは部品名称。かつてはロボットの、そして今は新インぺリウムの動力兼頭脳部としてサイキックを搾りだされる生体パーツ。
「うぅぅぅ……あぁぁ……いたい……いたい……!」
 その苦しみの声に応えるように、何もない空間に金属の板がいくつも現れ、それが組み合わさって惑星型巨大戦艦を形作っていく。
 巨大戦艦を作り上げる程の膨大なサイキックエナジーの影響か、暗黒の中でエネルギー粒子が荒れ狂い、宇宙嵐を巻き起こす。普通ならばそれに押し返され、この宙域の奥にたどり着けるものなど誰一人いないだろう。
 だが、ここに何があるかを知る者が、ここを抜ける腕を持ったスペースライダーの力を得た時、それは覆される。
 暗黒を切り裂く何かの存在を、少女は自分の脳を破壊するほどに鋭敏すぎる超能力で感じ取った。
「だれか……くるの……? きたら……戦うの……」
 誰かと向かい合った時、自分がすることはそれしかない。作りかけの戦艦の砲塔が正確に侵入者の方を向き、同時にキャバリアにも似たピンクの犬型ロボットが少女の傍らに現れる。
 さあ猟兵よ、スペースライダーと共に暗闇の宇宙を抜け、作りかけの戦艦を破壊して彼女を再び眠らせろ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
可哀想な方ですねぇ。
早目に『骸の海』に還してあげた方が、本人にとっても良さそうですぅ。

アウラさんには『突破』まで乗せて頂いた上で、後は『通信』でやり取りし、安全圏から此方の戦場を観察して指示を頂きましょう。

【翳華】を発動、全身を『ブラックホール』に変換し、吸収を行いますねぇ。
『サイキックエナジー』とは言え『物質化』している以上、『ブラックホール』による吸収は問題無く可能でしょう。
戦場の規模を考え『対象の制御』は最小限にし『新インぺリウム』自体も吸収、巻込むと危険な物はアウラさんの指示に従いますねぇ。
更に、対象外とした『F●S』の[砲撃]を加え、相手の抵抗を阻害しますぅ。



 宇宙嵐吹き荒れる暗黒宙域。誰も踏み入ることができないはずのそこを、一台のスペースバイクが走り抜けていた。
「可哀想な方ですねぇ。早目に『骸の海』に還してあげた方が、本人にとっても良さそうですぅ」
 そのバイクの上で、暗黒の奥を見つめて夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)がそう呟く。この暗黒のむこうにいる存在が、倒すべき敵であると同時に自身の力に振り回され、苦しみ続ける者であることを彼女は知っていた。それ故にその相手を倒すことが世界と人々のみならず、敵自身のためにもなるということも。
「一番きつい所はもうすぐ抜けます! その後は手筈通りに!」
 二人乗りでバイクを運転するクリスタリアン、アウラ・コスモコートがそう叫んだ。彼女はあくまで協力者の一般人、彼女にしかできないことに専念させ、敵との戦いは己でやるのが契約であり作戦。彼女の指示に従い、単独での戦闘が可能な領域に入った所でるこるはバイクから飛び降りた。
「なにか、きたの……戦う、の……」
 その動きを察知したか、暗黒の向こうにいる少女、アマレット・シシリアンキッスが頭を抱えて呟いた。その言葉に答えるように、周囲に築かれていた戦艦の砲台が一斉に一つの方向を向き、同時にピンク色をした巨大な犬型のロボットがその傍らに現れる。ロボットは少女を喰らうように口に含み、その中へ彼女を搭乗させた。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
 るこるもまた彼女に接近しつつ、【豊乳女神の加護・翳華】を発動。その身を巨大なブラックホールへと変えた。
「これ聞こえるのかな……とりあえずそのまま真っ直ぐ、どでかいエネルギーが湧き出てます!」
 そのるこるにアウラが通信機越しに指示を出す。るこるのブラックホールは吸うものを選別できるため、彼女からの通信は問題なく受信可能だ。その指示に従い直進していけば、すぐに建造中の戦艦『新インぺリウム』にあたり、そのパーツを砲台諸共はぎ取っていく。
「おふね……こわしちゃだめ……わんこ……!」
 自身の建造した船が吸い込まれて行くのを察し、アマレットは乗機である犬型ロボットを発進させた。そのロボットも吸いこもうとするるこるだが、アマレットは機体を空中で静止させそこに自らの超能力をさらにつぎ込んでいく。
「うぅぅぅ……あぁぁぁぁぁっ!!」
 コクピット内で頭を抱え絶叫すると、それに合わせ放たれた思念波を機体が増幅しその口に当たる部分に溜め込んでいく。
「それは吸えません、避けて!」
「了解ですぅ」
 それが放たれる瞬間アウラからの指示が飛び、るこるはそれに従って自分の体を動かした。物質化したものと違い、これは純粋なサイキックの塊。いわばスペースシップワールドにおける非物理、不思議の力とも言えるものであり、ブラックホールの超重力さえ無視できるものだ。
 そう言ったものの存在を想定しアウラにその存在の識別と指示を任せた読みは当たり、危険な攻撃を自らの体に受けることを避けられれたるこる。
 精神力を削りだした一撃で機体内のアマレットは頭を抱えてうずくまっているが、それを労ってやる暇はない。
「はやく、おやすみになれますよう」
 るこるは射撃能力のある兵装を差し向け、一斉に砲撃を行わせる。奇しくも、こちらもまた脳の力で動くものだ。その砲撃が機体の表面で炸裂し、ピンクの巨体が大きく揺れる。
「うあ、ぁぁぁ……うえぇ……」
 大きく揺さぶられ、舌を出してえづくアマレット。それと同時にサイキックで構成されていた機体が掻き消え、小さな桃色の体が宇宙空間に投げ出された。
「精神波弱化……そりゃあんだけ無茶すれば……」
 アウラの言葉に、KOに近い状態に追い込めたことを確信するるこる。同時に専門家から見ても無茶と言える使い方を強要されてきた少女に、一刻も早く安息が訪れるよう祈るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワタツミ・ラジアータ
ジョガー協力の下、キャバリア外装に宇宙用装備を増設。
接近回避はキャバリア
攻撃は本体で。

勢子という物をご存じでございますか?
あちらは辛そうですし、誘導はたやすいかと。

【POW】
ジョガーに犬ロボを誘導させる。

食べたジャンク品と自身の両腕を代償に砲塔を創る。
属性:電子ビーム
まずジョガーを狙うサイキック砲を狙う。
ロボの電子回路、本体の神経系に損害を与える。

ジョガーが安全圏にいる事を確認し、
犬、戦艦、本体、敵丸ごと巻き込む大口径砲を放つ。
属性:重力砲
再利用不可のゴミ捨て場を砲弾とする。

残骸がある限り私に弾切れはありませんわ。
犬がいなくなればあとは船だけですが、
腕が使えませんので食べさせていただけますか。



「勢子という物をご存じでございますか?」
 ワタツミ・ラジアータ(Radiation ScrapSea・f31308)が隣にいる鉄塊に尋ねた。
「ちょいまち……『狩猟を行う時に、山野の野生動物を追い出したり、射手(待子:まちこ、立間:たつま)のいる方向に追い込んだりする役割の人を指す。かりこ(狩子、狩り子)、列卒ともいう』っと。つまりケツ叩き役ってことだな。おー、知ってる知ってる」
 わざとらしくその場で検索し答えるその鉄塊……ウォーマシンのスペースライダーであり、ジャンク屋のジョガー。
「あちらは辛そうですし、誘導はたやすいかと」
 それに対し特別反応することなく、ワタツミは分かっているなら早いとばかりに続けた。
 二人は会話しているが、ここは肉声が届く場所ではない。光差さぬ暗黒宙域であり、宇宙嵐吹き荒れる何物をも拒む場所。その中で、通信機能越しに二人は声を交わしていた。
 それを可能にしているのは、ワタツミの持つキャバリアにジョガー協力の下増設された宇宙用装備。宇宙を乗りこなすプロに見立てられたその装備によって、ワタツミのキャバリアはこの荒れ狂う闇の中でもそのパフォーマンスを一切落とすことなく発揮することができていたのだ。
 そしてジョガー自身も下半身と接続した自らのバイクでこの宙域を乗りこなしている。そのジョガーが先に、嵐の中心へと乗り出していった。
「また、きた……戦わ、なきゃ……」
 頭を押さえうずくまっていたアマレットが体を起こし、その脳からサイキックエナジーを搾りだす。それは再び桃色の機体を構築し、アマレットを中に飲み込んで敵対者へと向かっていった。
「犬ってな追う側だった気もするけどな」
 ジョガーはその前で急展開、逃げるようなそぶりを見せながら来た道を戻り始めた。手に据え付けた大口径の銃で適宜射撃もかけるが、強力なサイキック製の機体には当然傷一つつかない。
「は、こりゃかなわねぇな……まだお食事中かい!?」
 ジョガーからの通信に、ワタツミは咀嚼音で答えた。キャバリアに積み込んだ大量のジャンク品。それをワタツミは一心不乱に貪っていた。
「今終わりました。とりあえずは前菜分を。見捨てられた残骸達よ。私が命じましょう。―謳いなさい。叫びなさい。ただ々々有る儘を示しなさい」
 レプリカントの体を活かし、キャバリアから宇宙空間へ身を乗り出す。そして両腕をジョガーを追う犬ロボットの方へ向けると、それを大きな方へと変換し電子ビームを放った。
「え……うああああっ!?」
 意識の外からの突然の攻撃に、犬ロボットが揺らぐ。その砲撃は犬の口部分、サイキック砲がある場所に直撃しそこを吹き飛ばした。
「こりゃすげぇ……たんまり奢った甲斐があったぜ」
 その威力に感心しながら、安全圏へと離脱していくジョガー。離れていく彼に代わって、アマレットの標的はワタツミの方へと移る。
「強い方の敵、やっつけなきゃ……なおって、わんこ……」
 頭痛と引き換えにサイキックをつぎ込み、壊れたサイキック砲を修理するアマレット。サイキック製ゆえに破損しても正当な手順を踏まずにすぐに直せるということか。
 だが、それについてもワタツミは考えがあった。
「残骸がある限り私に弾切れはありませんわ」
 残る残骸を一気に口に放り込み、腕の砲をさらに巨大化させる。そこから放つのはこの宇宙嵐すらなぎ倒す、極大の重力砲。ジョガーから貰った再利用不可の残骸をありったけ砲弾と化し、犬、戦艦、本体、敵の全てを丸ごと巻き込む超大口径砲が放たれた。
「こないで、こないで、こな……あぁぁぁぁぁっ!」
 懸命に念動力をつぎ込みサイキック砲で押し返そうとするが、元の質量が違い過ぎる。サイキック製の機体はばらばらに砕かれ消滅し、パイロットスーツ姿のアマレットが宇宙に投げ出されそのまま漂っていく。
 それを見送りながらワタツミはその場に残った作りかけの戦艦に取り付き、ジョガーもその隣に乗り付ける。
「犬がいなくなればあとは船だけですが、腕が使えませんので食べさせていただけますか」
 腕を砲にした【Song of SteelBorne】の力は、使った部位を使い捨てるという代償を負う。両腕を失くしたワタツミは無表情に口を開け、ジョガーは直方体の肩を一度すくめた後戦艦の外装をはぎ取り、優しくその口に入れるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD

苦痛に苛まれながらも戦う事しか知らないなんて……
いいわ、教えてあげる。
何よりも尊い"愛"という想いを!!

『永遠の愛』で守護霊の【ドーピング】の効果が高まり
【環境耐性・空中戦】で宇宙空間にも適応。
【第六感・見切り】で砲撃やデブリの接近を察知し
それらを【念動力】でアマレットへと飛ばすわ

円盤で防御している隙に【迷彩】魔法で姿を消して接近。
【怪力・捕縛】で抱擁しつつ【結界術】に閉じ込め
【ハッキング】でお互いの精神を繋ぎ
私の精神世界に住まうオブリビオン達が彼女を【慰め・誘惑】
その間、私が彼女の痛みを味わうけど
強化された【気合い】と【激痛耐性】で耐えつつ
彼女の髪を撫で【生命力吸収】のキス



 暗黒宙域の中、破壊された新インぺリウムが徐々に修復されていく。それに資材は必要ない。その材料は全て製造者であるアマレット・シシリアンキッスのサイキックエナジーなのだから。
 だが、その放出には多大な精神負荷が伴う。通常ではそれを制御する術を学ぶのだろうが、人扱いされることなく兵器の生体パーツとして生き、死んだ彼女は壊れるまで苦痛を受け力を搾り出し、敵対者を殲滅する。そのことしか教えられてこなかった。
 暗闇の向こうで今も苦しみながら超能力を撒き散らしているであろうその少女を思い、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)が決然とした表情になる。
「苦痛に苛まれながらも戦う事しか知らないなんて……いいわ、教えてあげる。何よりも尊い"愛"という想いを!!」
 その決意と共に、暗黒宙域へと飛び出すドゥルール。
「今、私に宿る全ての魂の鼓動が一つになっている」
 宙域を進みながら、【永遠の愛】で自身の体に守護霊を宿し、宇宙嵐の中を強引に抜けようとするドゥルール。だが、宇宙は数ある特殊環境の中でもとりわけ生命を拒む世界。その中でも宇宙嵐吹き荒れるこの宙域はスペースライダーの力なしで抜けるには余りにも過酷であり、耐性を強化してなお進むごとに甚大なダメージをドゥルールに与えていた。
 体を蝕むその嵐や放射線、極冷の世界からくる苦痛を耐え進むドゥルールの前に、やがて巨大な戦艦のブリッジのようなものが現れた。そしてその上には、頭を抑えうずくまる桃色髪の少女。
「またきた……ばらばらに、しちゃって……!」
 少女……アマレットはその距離からドゥルールを見つけると、頭を振って己の中からサイキックエナジーを搾りだし、小型円盤を無数に形成する。それらは不知から小さな刃をいくつも生やし、ドゥルールへ向けて襲い掛かった。
 さらに同時に、ブリッジに据え付けられた砲台が一斉にドゥルールに向けて砲撃を開始する。
 その砲撃を、ドゥルールは自身も念動力を放って押し返した。砲弾が機動を変えアマレットに襲い掛かるが、思念を受けて動く円盤は即座に回り込み、砲弾を破壊してアマレットを守る。
 さらにドゥルールは同じように周囲を舞うデブリを飛ばしアマレットを攻撃、やはり円盤がその防御に向かい、それらを切り刻んだ。
 宇宙のダメージに苛まれるドゥルールに、敵のユーベルコードを躱す余力はない。だが、そうでないものならまだ対処ができる。故にドゥルールはユーベルコード以外の攻撃を操作し、相手の円盤をその対処に当たらせることで手を封じさせたのだ。
「円盤……もっと……!」
 さらにサイキックを増加し、円盤を強化しようとするアマレット。そのための頭痛が頭に走るその瞬間、その体は柔らかいものに抱き留められた。
「え……」
 円盤と砲弾やデブリが撃ち合う中、それに紛れ姿を消し接近していたドゥルール。アマレットの小さな体を抱きしめ、その身を結界で外から隔絶しながらその精神に催眠術でハッキングを駆ける。
「いや……はいって、こないで……!」
 放出することに特化し自身の守りは考えないアマレットのプロテクトは弱く、簡単にその意識の中へ入りこめる。そこはただ苦痛と不安だけが支配する、この宙域と同じ嵐渦巻く暗黒。
 そこにドゥルールは、己の宿す霊を送り込み世界を書き換え始めた。強い者、明るい者、あるいはかつて辛い思いをしていた者。それらが不安を砕き、悦びに塗り替え、アマレットを慰める。悪い言い方をすれば洗脳なのかもしれないが、臨んだわけでもない苦しみにだけ塗りつぶされた意識なら塗り替えてしまった方が良い。
 そしてその流れ出た苦痛はドゥルールが自分に流し込み共有する。痛い、気持ち悪い、怖い、嫌だ、アマレットの短い人生を満たしていた苦痛が、ドゥルールを支配しようとする。
 それに耐えながら、ドゥルールはサイキックの余波で逆立つアマレットの髪を撫でた。
「もう、苦しまないでいいの」
 ただそう言って、彼女に口づけそこから生命力を吸い上げる。唇に受ける知らない感触にアマレットの精神はざわめくが、それは今まで経験したことのないざわめき。自身の脳に入りこんできた者たちが、それが愛だとしきりに囁く。
 苦痛と戦い以外を知らぬ少女が今流す涙がそれ以外のものであることを祈り、ドゥルールは彼女の苦痛を分かち合いつつその小さな体を抱きしめるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソアル・セレム
最初は私、セレムが表に出るわ。
協力を取り付けたシェダルと一緒に、新インペリウム建造現場に向かう。
(…にしても、この歳で凄かったわね、色々と)

シェダルのバイクに二人乗りして暗黒宙域を突破して貰うわ。
私もC.D.O.D.を使って周辺状況を【情報収集】、情報面で彼女を援護できればと。

暗黒宙域を抜けて敵を見つけたら――ソアルちゃんに交代だよ!
シェダルちゃんには敵から離れた場所で身を守っておいてもらって、ソアルちゃんは獣性突然変異発動!
急なパワーアップで血が出るけど、気にせず敵へ突撃!
向かってくる遠隔兵器は叩き落とし、サイキックエナジーの嵐は強化した肉体で突破。近接したら拳でボコボコにしちゃうよ!



 本来誰も乗り越えることのできないはずの暗黒宙域。だがそこは、今多くの者によって既に既倒の領域へと塗り替えられ始めていた。
 そしてまたここに、一台のスペースバイクがその闇の中を切り裂いていく。
「お~、こりゃ激しい! ばるんばるんってやつだよね~」
 運転席に座る少女が手元を操作し、マシンに着けられた多数のバーニアをふかしては宇宙嵐の中を吹き飛ばされぬようバイクを操っていく。
「左右から巨大デブリ二つと、前方から一斉砲撃、躱せる?」
 少女にしがみつくようにして後部座席に乗ったソアル・セレム(ホワイトシャドウ&ブラックブライト・f05001)が、自身の網膜に直接映る情報をもとに危険を伝えた。
「楽勝!」
 それを聞いた少女、スペースライダーのシェダルは上向きという普通ない方向に着けられたバーニアをふかし、襲い来る障害をくぐって一気に躱した。
 ソアル・セレムを構成する人格の内論理的な思考を司るセレムが前面に出てライダーに指示を出す事で、二人はこの嵐渦巻く暗黒宙域を止まることなく駆け抜けていた。
 一つの体に性質の異なる二つの人格を宿し、それを使い分け、時には両者を出して状況に対応していけるのが彼女の強み。それ故移動時にはセレムが顕現し周囲を解析する、ということは事前の作戦会議で決めてあったことだ。
(……にしても、この歳で凄かったわね、色々と)
 その『会議』を思い出し、体に熱を帯びさせるセレム。もとはソアルの方が言い出したことだがシェダルのほうも大分ノリノリで、作戦前に枯れ果ててしまうかとも思う程であった。
「あんだけしたのにまだ足りないの~? 続きは終わってからね?」
 思わず胸に手を回してしがみついてしまっていたセレムの方を向き、10歳程度という年齢に合わない妖艶な笑顔を向けるシェダル。セレムもその言葉に思わず自分の胸を押し付けてしまうが、その言葉通り、お楽しみは作戦が終わってからだ。
 やがて暗黒の向こうに、すでに欠片程となった戦艦が見える。
「よっし抜けたよ~!」
「よし、ならこのまま作戦通り――ソアルちゃんに交代だよ!」
 口調が変わり、セレムの表情が一変する。敵が目の前に来たら、あとは直感と反射に優れるソアルの出番だ。
 人格がソアルに変わると同時にシェダルはバイクを思い切り横に転回させ、後部座席を振り回す。その勢いに乗り、ソアルは撃ちだされるように座席から飛び出し、高速で敵へと接近していった。
「ソアルちゃんの全力、見せちゃうんだからね!」
 飛ばされながら自身に強烈な薬物を投与するソアル。それはあっという間に全身を巡り、豊満な全身が筋肉でさらに大きく膨張、神経は研ぎ澄まされ思考と当時に動ける反応力を得て、さらに全身の細胞が活性、無限の活力と再生力を得た。
 もちろんこれだけ強い薬なのだ、体への負担も相当なもの。全身から血を流し体は軋むが、【獣性突然変異】した彼女の心はそれを意に介さず、その巨体で敵を蹂躙せんと前へ進む。
「こないで……こないで……!」
 サイキックを搾りだし、円盤を作ってソアルに差し向けるアマレット。その円盤を、刃が体を切り裂くのも構わずにソアルは叩き落とし、握りつぶした。
「あぐっ……!」
 自身のサイキックを破壊され、さらに頭痛に苛まれるアマレット。だが、その苦痛はさらなる超能力の暴走を呼び込み、宇宙嵐をより強烈に巻き起こした。
「ひっ……」
 その嵐に遠方でバイクにしがみつくシェダル。だが、より近い場所にいるはずのソアルはその嵐を平然とその身に受けていた。
「いや……こないで……こないで……!」
 その姿にアマレットがさらにサイキックを放出する。ソアルとて実の所無傷なわけではない。強烈な薬物によって体を強化し、強引に抑え込んでいるだけ。薬が切れればとてつもない反動が襲ってくる可能性すらある。アマレットが痛みに喚き散らすなら、ソアルは痛みを踏み倒し、先送りにして戦っているような状態であった。
 その剛腕が、ついにアマレットを捉える。
「いや……たすけて……わんこ……!」
「悪いけど、お休みの時間だよ!」
 極太の剛腕がアマレットを砕き、その痛みと命を強引に停止させた。それと同時に最後の抵抗として形成されかけていた犬型ロボットは消え、同時に総サイキック製の新インぺリウムも消滅していく。
「いや~、おっかないね、大丈夫~?」
 嵐が弱まったのを確認したシェダルが近づいてきて、ソアルにバイクに乗るよう促す。
「大丈夫だよ♪ でもお薬きまっちゃってるから……体で慰めて欲しいかな?」
 そう言って元々頭部くらいあったのがさらに肥大した胸を、シェダルに押し付けるソアル。
「ま~、そういう約束だったししょうがないね。害がないならあたしもそれくらいキメてみたいけどね~」
 シェダルも宇宙服の奥に押し込められた巨大果実をうずかせつつ、ソアルを乗せてバイクを走らせる。
 その後には、そこで散った者をゆっくり眠らせようとでもいうかのように、徐々に静かになっていく暗黒の宇宙だけが残されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月26日


挿絵イラスト