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絡み合いし思惑~反抗の篝火は燃え続けるか

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 静寂と闇に支配された一つの古城、吸血鬼の領主が住まい人々の恐怖、その象徴となる中で二人の吸血鬼が言葉を交わしていた。
「以上が報告になります、幾つかの村を除いては、反抗の意思が見て取れます」
「立ち上がる気概、というものか。つまりは選別は順調ということだな」
 片方は従者であろう、今の領地内部における村々の状況や猟兵の介入による吸血鬼が討たれた事柄に関しての報告を行っており。
 領主である吸血鬼はその報告を満足げに聞き、思惑通りに事が運んでいると頷いていたのである。
 民の反乱、同胞であるオブリビオンが倒されるという支配体制に揺らぎが生じる事が起こっているにもかかわらず、それが目的であるかのように。
「だがまだ旗色を示さぬ者、日和見でどう転んでも良いように振舞う者たちがいる。
 卑怯でずる賢く、保身を求める忌むべき考えの者たちがな」
「ご安心下さい、我が主。故に選択を迫るように既に刺客を送っております。
 我々の思惑通りに動く者を尖兵に、そして猟兵と戦える、という事を餌に優秀な吸血鬼を一人、任を預けていますので民は何らかの形で答えを出すかとは」
 ふと報告にあった一つの村、吸血鬼による支配のままか反逆者に組するか。
 決めかねていた村について険しい表情をした主であったがすかさず従者が手を回していると言葉を発する。
 主人が考える事柄を把握、先んじて手を打つ従者の鏡ともとれる行動であったが主人は険しい表情を崩さずに。
「随分と準備が良いようだな……構わん、一任しよう。良い報告を期待するぞ」
「はい、お任せ下さい。では私はこれで」
 何か腹の奥底に感じる物があったが、ここで問いただす事もない、望み通りに進むのならば従者に任せて良いだろう。
 相手が自分を利用するのならば、自分も存分に従者を利用するまでと目を伏せて、その間に従者は闇の中へと消えていた。


「な、なんだよあいつ!? どうして、この村にあんなのが!?」
「だから村にも入れるなって言ったんだ、今の状況だと吸血鬼に狙われるのはここになるって決まってたんだよ!」
 所変わってここはダークセイヴァーのとある村。
 村単体ならば何の変哲もない村ではあったが、その立地条件と周囲の環境がこの村の価値を大きく変えていたのである。
 それは、この村の周囲に次々と吸血鬼に反旗を翻す人類砦や、それに協力する村々が現れたということ、そしてこの村がその中継地点、村々を移動する者たちが休息したり情報交換をするに絶妙な場所にあったという一点のみ。
 されどそんな中継地点ならば、反抗を阻止しようと吸血鬼が狙うには十分すぎる条件でもあり村の住人は吸血鬼に狙われたく無いと態度を保留。
 あくまで中立に、村を通過させているだけという体裁で反抗勢力と吸血鬼領主、双方に良い顔をしつつ争いの結果を見守ろうとしていたのである。
 いわば日和見、強者に従うという卑怯な考えでもあるが、危険極まりない反攻作戦に加担せぬ小心をどうして責められようか。
 支配され続け、反抗した者たちが次々と討たれた歴史のある世界、今の反抗もまた押し潰される、巻き込まれたくはないと思うのは当然でもある。
 だからこそ、中立的な立場であった中で吸血鬼勢力に襲われたのは予想外であり村の混乱は相当のものであり、最初から反抗勢力に少しでも助力したのが間違いだったのだという意見まで飛び出していたのである。
 しかし村の混乱を待ってくれるほど吸血鬼の尖兵はお人よしではない。
「我ラハ、主ノ命ヲ果タスノミ! 臆病、卑怯ナ人間ドモ、我ラニ歯向カウカ隷属スルカ、今スグ決メヨ! 先延バシハ死ト心得ヨ!」
 数多の騎士、その屍が一団と化した躯の騎士がその武器を振り回し、家々を打ち倒す。
 恐怖によって自らが如何なる道を進むか強制的に決めさせるその様子、それは領主の命令を遂行する忠実な騎士そのもの。
 その様子を遠方より、一人の騎士が眺めつつ強敵……つまりは猟兵の登場を今か今かと待ちわびていた。


「ダークセイヴァーにて反抗の芽を摘むかのような動きがありました。それに複数の吸血鬼がそれぞれの思惑で動いている様子。
 思惑に乗るのは癪だと思いますが、人々を守る為に皆様の力が必要です」
 集まった猟兵を前にしてクアド・ペントヘキシウム(バーチャルキャラクターの人形遣い・f09688)が説明を開始する。
 今回彼女が予知したのは、何らかの目的で領地の人々を蹂躙していた吸血鬼がとある村へ放った配下、その配下から村を守る事が目的となっているのだが。
「領主の思惑は現状不明、しかし反抗勢力と吸血鬼、どちらにも組しない動きを見せていた村に旗色を決める様に迫っている事は事実です。
 反抗勢力の中継地点として価値のある立地ですので、出来る限り協力して貰えるようにしたいですが、もう一人。
 今回の襲撃、その指揮官となる吸血鬼が問題です。その吸血鬼は領主の意向とは別の目的、強者との戦い……つまりは猟兵の皆様と戦いたいと望んでいるようなのです」
 襲撃を画策した領主の思惑は不明、されど指揮官は猟兵との戦いを望むという明白な目的を持つ存在。
 そんな存在が襲撃してくる、という事ならば。
「普通に戦うだけでは村人の恐怖は拭えないでしょう。協力すればこんな風にまた襲われるかもしれないと考えてしまいます。
 強者との戦いのためならば何でもする、だからこそ今回、指揮官として襲撃してきた存在を正々堂々、真正面からねじ伏せる必要があります。
 皆様の力で打ち払い、こんな強い人に守ってもらえるならば、と思わせる。または命を救う為に全力を尽くしてくれる、そんな人が助けに来てくれるなら。
 そう希望を持ってもらえるように戦い、勝利して下さい」
 吸血鬼に襲われるかもしれないという恐怖、それ故に日和見的な考えだった村の考えを変えるのは難しい。
 だからこそ、村人が考え方を変えてしまう程に鮮烈な勝利、若しくはそれに順ずる戦いを見せる必要があるという。
「情報としては以上となります。単純な戦いだけではなく、襲撃された村を守り、村人の命も救い、そして考えを変えてしまう程の結果が要求される戦場です。
 成すべき事は多々ありますが、悲劇的な結末に向かう物語を書き換えてしまうというのも一興でしょうし、そのために物語を紡ぐのも悪くはないかと。
 では、転送準備に入ります」
 状況は厳しく成すべき結果も高い物が要求される戦場、されど吸血鬼が求む物語を書き換えてしまう力を持つのも猟兵。
 ならばその物語を、猟兵が望む物語へ書き換えてしまおうと一同を鼓舞し、クアドは転送の為にグリモアを起動するのであった。


紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。

 今回はダークセイヴァーでのシナリオ、とある村が襲撃されていますのでその救援に向かうシナリオとなっています。

 ただ、今回襲撃されてる村はとある領主が統治する地域で発生している反抗勢力、その勢力が拠点とする村や人類砦の中継地点にあたる場所であり。
 その立地とダークセイヴァーが長期間、吸血鬼に支配されていた経緯から反抗勢力か吸血鬼か、どちらに与するか決めかね日和見的な態度をとっていた村になります。

 故に領主は何らかの思惑があり、その為に旗色を決めさせる為に配下の集団を送り出し。
 指揮官として流れの、猟兵という強者との戦いに興味を持つ存在がこの戦に協力している状況になっています。

 戦場は村の中、家々が障害物になりますが猟兵の皆様ならば障害とならず、あっさり破壊する事も可能であり、それは敵にも言える事になります。
 戦いに邪魔だと思えばお好きに処理して構いませんが、戦い方で村の心象が変わります。
 協力的な態度になって貰うためには、無意味に破壊するのは推奨しません。
 また敵の攻撃から出来る限り守れば、それだけ心象が良くなるでしょう。

 第一章は領主の命令を果たすべく突き進む騎士の躯が。
 第二章は猟兵を狙う指揮官が与えられた軍勢が、指揮官が戦うにふさわしい存在か見定める為に方位殲滅を狙い。
 第三章は領主に協力し、強敵との戦いを望む一人の騎士が相手となります。

 このシナリオの結果に応じて、後々リリースするシナリオの内容が変化する予定です。
 どういった物語が紡がれていくかは皆様の行動次第となります。
 悔いの残らぬ選択をどうぞお取り下さい。

 では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
 ご縁がありましたらよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『『屍塊驍騎』ブラッドスピットナイツ』

POW   :    ブラッドスピットナイツ……ソノ栄光ハ永遠ナリ!
自身の【五つある脳の一つ 】を代償に、【脳の深層に残る『過去』の呪い】を籠めた一撃を放つ。自分にとって五つある脳の一つ を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    コノ騎獣コソ、ワレラガ最強ノ騎士団デアル証
自身の身長の2倍の【空を翔ける怪馬・スレイプニル 】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    ワレラ騎士団ノ全身全霊、ウケテミヨ!
【全方位へ全武装による一斉攻撃 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イスベル・ラキエ
【アドリブ・連携歓迎】

命令を果たす姿は素晴らしいですが、善悪の区別は持ち合わせて欲しいですね……さて、住民の迷惑にならないように頑張りましょう。

杖を構え【魔力溜め】てユーベルコードを使用。
この魔法なら障害物も気になりませんし、破壊する事もないですから。ただ住民の方も少し気分が悪くなってしまうかもしれませんが……

残念ながら私は前に出て戦う力に長けていないですが……もし敵が村を破壊しはじめた場合は無理をしてでも止めるしかないですね、自分がやれるだけの事はやりましょう。


アレクサンドラ・ヴォルコヴァ
連携アドリブ歓迎

日和見が悪いとは言わないけど、向こうの言う「先延ばし」のツケが回ってきた訳か。
だったら僕達の側につきたくなるような格好いい…アメリカの騎兵隊のような活躍を見せないとね。

ウラディミールに騎乗しランスチャージを仕掛け、続けて象撃ち銃による追撃をしかける。
重装騎士相手に大した効果は無いかもしれないけどそれで良い。寧ろ銃を脅威に思われたくない。

周囲に被害が出ないように開けた場所に誘導し一騎打ちに持ち込む。

敵が攻撃を仕掛けてくるタイミングになったら指定UCを発動してカウンターで射撃を行い、怯んだところに飛び掛かって致命傷を与えるよ。
それでもまだ動けるようなら追加の零距離射撃で吹き飛ばす。


花咲・翁
「・・・面倒だけど、罪人は等しく僕が裁定し、裁きを与えてやる・・・」
 この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。

 戦闘中、敵の戦力を削ることに力を入れます。

「・・・顕現せよ・・・魔天牢・・・」
 『屍塊驍騎』ブラッドスピットナイツの「ワレラ騎士団ノ全身全霊、ウケテミヨ!(WIZ)」に対し、ユーベルコード「魔天牢(タルタロス)」を使うことで、騎士団をすべて【捕縛】する勢いで、纏めて【蹂躙】します。また、村の防衛に「魔天牢」で召喚された無数の獄卒獣で【拠点防衛】します。
 最大の目的は、敵の戦力を減らし、できるだけ村の被害を抑えることです。
 その為なら、自らを囮に使うことも辞しません。



 惨劇の現場となった一つの村、民の悲鳴をかき消す様に異形の騎士が咆哮す。
「サァ、選ベ選ベ選ベ! 示セ示セ示セ! 逃ゲル事ハ許サヌ!」
 大気を震わす、地の底より響くが如き恐るべき声響き、振り回す数多の武具が家々を打ち壊さんと伸びるその瞬間。
 自分勝手な選択の押し付けは許さぬと『屍塊驍騎』ブラッドスピットナイツの前方より騎士を覆いつくさんとばかりに白き靄が立ち込めれば、凶器の姿は飲み込まれ。
 それと同時に逃げ遅れていた村人も霧の中へと取り込まれ、騎士からその姿は隠されていたのだが。
「この霧は……うっぷ」
「逃げれそうだが、何か気分が」
 騎士から隠れることには出来たのだが、なぜか軽い吐き気など船酔いに近い症状を発症した村人。
 よろよろと動き出した村人に声がかけられたのはその時で。
「申し訳ありません、建物も壊さず皆さんを隠しながら攻撃するにはこれしか。
 はい、こちらに向かって来てください、あの騎士が見失っている内に早く」
 声の主はこの霧を生み出したイスベル・ラキエ(薄弱だけど強固な講師・f30311)であり、翳した杖からは蓄積させた魔力を消費し、より濃度を増すように白き霧が絶え間なく噴出していた。
 住人の迷惑にならないように頑張るとした彼女であったが、家屋への被害を出さず住人を隠し、さらに敵への攻撃と複数の効果を出す為のユーベルコードであるが故に住人の気分を害したのはやむを得ぬこと。
 速やかに村人を誘導、霧の外へと連れ出すように声をかけ、魔力酔いの症状が重い住人には手を貸し連れ出しながら霧の中に飲まれた騎士がどう動くのか注視すれば。
「邪魔ダ! コノ様ナ子供ダマシガ通用スルモノカ!」
 融合した騎士たちが各々の手にした武器を無茶苦茶に振り回し、霧を吹き飛ばすかのように旋風を生み出して。
 家屋を叩き潰し、進路を作り人々を追い立て選択を迫らんと動き出していたのである。
「なんて無茶を……命令を果たす姿は素晴らしいですが、善悪の区別は持ち合わせて欲しいですね……」
 強引な突撃、そして民に恐怖を持って選択強いろうとするその様子。
 命令盲従、されどすでに善悪という感覚すら失った敵に呆れつつ、家屋を力任せに潰されては自分が来た意味がなくなると杖を構え、無理にでも押さえ込もうとイスベルが飛び出そうとした瞬間。
「いや、前線は僕に任せて欲しいよ」
「……足を止めるのは、家の守りは僕らが引き受ける……顕現せよ……魔天牢……」
 イスベルを追い越すように走るつむじ風、それを生み出し駆け抜けるは一頭の軍馬であって、それに騎乗していたアレクサンドラ・ヴォルコヴァ(凍原の狼戦士・f31784)が三日月のような斧頭を持った長柄武器、バルディッシュを手にしてまるでランス・チャージのような突撃を敢行。
 更には標的である騎士を逃さぬとばかりに監獄のような檻が騎士を囲む様に出現すれば、それを生み出したのは花咲・翁(魔天牢の看守長・f33065)
 突撃騎兵と敵を囲み逃さぬ看守、二種の力が加われば無理にイスベルが前線で体を張る必要も無いわけで。
「あれは……皆さん、助けが増えました、あの方たちも猟兵、私も同じく皆さんを助けに来た者です。
 怖がらないで、私たちに任せて先ずは逃げましょう」
 イスベルが人々に猟兵という助けが来たと告げながら誘導に復帰、それと同時にアレクサンドラの駆る軍馬、ウラディミールが異形の騎士にも物怖じせずに、嘶きながら急接近。
「さて、ちょっと遊んでくれないかな? 僕達の側につきたくなるような格好いい……アメリカの騎兵隊のような活躍を見せないといけないからね」
 日和見的考え、そして相手側の言うツケを払わされる段階になった村人。
 その村が猟兵側、闇の反逆者側につくと考えるほどに鮮烈な戦果を出さねばならぬ、その為の引き立て役になってもらうとばかりに突撃したアレクサンドラ。
 繰り出した戦斧、バルディッシュの斧頭が騎士の掲げる大盾とぶつかり合って、甲高い金属音が鳴り響けば同時に仕掛けていた翁の広げた監獄より出現した獄卒獣が恐ろしき咆哮と共に家々を守る様に布陣。
 更には彼が手にした棘付き鎖、大罪の縛鎖が騎士を縛る様に伸びていき、二本の腕を縛り上げ武器を封じて突撃を援護。
「ありがとう、助かるよ。それじゃこのまま」
「……人気も人家も無い方へ、だな……面倒だが引き受けた……」
 アレクサンドラが礼を言い次なる仕掛け、敵を民家から遠ざけんと押し出す様に追撃の象撃ち銃を発砲、その衝撃で騎士の腕を跳ね上げれば意図を汲んだ翁が鎖を手にしたままに駆け出して、自分の方へ来いとばかりに力任せに引き寄せて。
 無視すれば鎖の追加とばかりに、伸ばした鎖の反対側を騎士へと飛ばせば、二度も受けぬとばかりに弾き飛ばして翁を狙い、またアレクサンドラは警戒するように大盾構えた騎士の部位が守りを固めながら移動を開始。
 狙い通りの動きを見せたブラッドスピットナイツを引き寄せるように、家々の無き方向へと逃げる翁。
「……罪人が。等しく僕が裁定し、裁きを与えてやる……」
 小さくそう、心に思った事を呟いて、開けた場所まで誘導すれば自身が囮としての役目は終了とばかりに反転、楔を手にして飛び込んで。
 多数の騎士が組み合わされば、それだけ甲冑の隙間は多いとばかりにねじ込まれた楔は相手がこれまで犯した罪の重さを知らしめるかのように、その量に比例して痛みを与える代物。
「ヌガァアアアア! 貴様!」
「……それだけ痛いなら、相当な罪だったようだな……」
 叫びを上げた騎士へ冷徹な言葉を投げかけながら、反撃とばかりに武器を振り上げた瞬間に翁は後方へと飛びのいて。
「ガラ空きだよ」
 激昂したが故に生じたほんのわずかな綻び、大盾構えた騎士の部位がわずかに見せた隙間を狙い放たれたのはアレクサンドラが手にした象撃ち銃から放たれる、衝撃力の高き特殊弾。
 着弾と同時に生じた炸裂するような衝撃は騎士の体勢を崩し、盾が正面ではなく側面を守るような位置へと翳されればここが好機。
 軍馬ウラディミールの背を足場に跳躍、空中から騎士の胸部を狙う様に飛び込んで、獣となった両腕を突き出せばそれは甲冑の守りを貫き異形の肉体傷つけて。
 赤黒き血液を回りに噴出す強烈な一撃となっていたのであった。
 だがしかし、その程度では倒れぬとブラッドスピットナイトは無茶苦茶に武器を振るいアレクサンドラを振り払うような反撃。
 咄嗟に相手の頭を蹴って飛びのいて、お返しとばかりに近距離からの銃弾を撃ち込めば。
「っとと、あれで致命傷にならないなんて随分タフだね、まったく」
 頑健さに辟易しつつも家屋への被害は減らせたと彼女は呟き、激戦は続くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
≪華組≫

態度を表明せず
状況を見極めようとするのは
慎重な判断で立派な処世術だと思います

しかし
二つ見落としている事があります

①村は吸血鬼と対等な立場でない
短気な吸血鬼なら態度を保留にした時点で滅ぼすでしょう

②吸血鬼は概ね傍若無人
例え盲従しても機嫌が悪ければ
腹いせに滅ぼされる事は珍しくありません

皆さんが勇気をもって決断できる様祈ります


『聖笄』で光学迷彩を纏って目立たなくなり上空へ飛翔
第六感と聞き耳で状況を見切り余り敵がいない区画を情報収集

味方と連携し敵を結界内に入れないよう注意し
【翼域】で死者のみを浄化属性攻撃する結界でその区画の施設ごと包んで守る
敵の排除状況に合わせて移動し結界の範囲を広げつつ調整


四王天・燦
《華組》

一儲けできる良い立地条件だね
近い将来発展する
誰に味方するのが一番得なのか見定めなと村に呼びかけるよ

シホと共に村に入った騎士の駆除に向かう
命令に従うだけの肉団子めと挑発しながら斬る

分離不能な五人が固まってるだけの敵だ
適切な間合いで見切って武器受ける
足の一本でも切断すればバランスが崩れるだろうよ
ところでアンタらプライバシーどうしてるの?

スレイプニルに対し飛べないアタシは不利だ
村人が集まる翼域に攻めて来るまで計算済…そこを決着の場にすべく逃げ足でおびき寄せだ

村の皆、そこは絶対安全なS席だ
バケモノが吹っ飛ぶ様をご覧あれ!
挑発的に啖呵切って寄ってきた騎士団を真威解放・カウントダウンで一網打尽だぜ



 激戦が始まり、逃げ遅れた住人の避難と同時、村人の心に、考えに変化を与えるように動いていた者がいる。
「あの騎士はああいっていましたが、態度を表明せず状況を見極めようとするのは慎重な判断で立派な処世術だと思います」
「そうだね、反逆者側が勝てば一儲けできる良い立地条件、近い将来発展する」
 保留し、様子を見ていた事を非難され吸血鬼側にも、そして反逆勢力である闇の救済者側からも冷めた目で見られるであろう事に後ろめたさを感じていた村人。
 その事に対し、非難するでもなく一つの確固たるやり方だと肯定するような声かけをしていたのはシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)であり。
 同時に闇の救済者側が勝利した場合に得れるであろう恩恵、将来性を語りその気にさせようとしていた四王天・燦(月夜の翼・f04448)の二人である。
 だが肯定しながらも、その選択には間違いがあるとシホは村人たちへと諭していく。
「皆さんが二つ、見落としている事があります。
 まず村と吸血鬼は対等な立場ではないということ、短気な吸血鬼ならば皆さんが態度を保留した時点ですぐに滅ぼすでしょう。
 それと二つ目、吸血鬼は概ね傍若無人、例え盲従しても機嫌が悪ければ腹いせに滅ぼされるのも珍しくはありません。
 そういった話は多数、見聞きしてきたかと思います」
 村人が行った態度の保留、それは延命処置の一つとして機能してはいたが突きつけられたのはこのダークセイヴァー世界における苦しい現実。
 吸血鬼と対等な立場になる領民など皆無、何らかの形で対等に近い特権的な力を与えられたとてそれは吸血鬼の趣味趣向の上であろう。
 掌で踊らされるだけの特別な地位に何の意味があろうか。
 それに加え、吸血鬼に盲従したとてその領主が気まぐれで何を引き起こすのかわかりはしない、別の吸血鬼との遊戯の為に領民を使う事など日常茶飯事、故に滅んだ集落などいくらでもあるという事実。
 抗する力が、手段が無ければそれを得る為に盲従し、耐え忍ぶというのも選択肢ではあるのだが。
「そういうこった、誰に味方するのが一番得なのか。周りの村や今からの戦いを見た上で見定めなよ」
 理を説くのがシホならば、実を見せると言葉をかけるは燦。
 頭でわかっていても尚、恐怖が勝るというのならその恐怖の対象をこれから猟兵が打ち破り、この支配に抗う民に加わるのが一番だと示してみせると言ってのけ。
「わ、わかった……でももし、アンタらがやられても、勝手に来たって事に」
「あー、はいはい、それでいいから、シホ、行くぜ」
「……はい、わかりました。皆さんが勇気をもって決断できるように」
 救助の手は来た、されど吸血鬼の圧倒的な支配を常に受けてきた住人である。
 もしも猟兵が負けてしまえば助けを乞うた自分たちが何をされてしまうか、その恐怖が勝り自分たちは何も知らない、猟兵がいきなり来たと言い訳するような言葉を発した村人。
 何かを伝え様としたシホを見て、下手に問答になってしまっては厄介、こういう手合いには実力を見せるのが一番だからと強引に話を終わらせるように燦が言えば、少し消化不良気味に引き下がるシホ。
 思うことがあるならば、この戦いを見た上で決断して欲しいと祈りを捧げ二人は反転、恐怖を振りまく騎士を倒すべく動き出す。

「……シホー、そっちから敵は見えるか?」
「伏兵は見えません、それと騎士は村の方を狙って動き出していますから」
「オーケー、じゃあ任せたぜ!」
 無理に話を終わらせた後ろめたさを隠す様に、空飛び巨大な翼の如き結界広げ、住人を守る領域を展開しつつあるシホに声をかけた燦。
 その声に応じ、自らの姿は風景に溶け込ませ身を隠したシホが応じれば、これより敵を引き寄せるとばかりに動きを見せる二人。
 暴れ周り、民に恐怖を振りまかんとする騎士の前方に躍り出た燦は己が得物を振り上げて。
「命令に従うだけの肉団子め、悔しけりゃアタシに追いついてみな!」
 素早さ生かし不意の一撃、脚部を狙い繰り出された雷光纏った刀の一撃。
 甲冑を断ち切れぬとも痺れさせ、自分に注意を向ければ十分とばかりに反転、あえてシホが形成した結界の方へと後退し。
「オノレ、オノレ! 我ラ、愚弄スルカ!」
 激昂した騎士が燦を追って移動を開始、天駆ける軍馬を呼び出し騎乗して、速度を上げて追いかけるがそれも彼女の想定内。
「おおっと、足の一本でも切れれば5人集まってる分バランス崩すと思ったけど乗ってくるかぁ。
 それよりアンタらプライバシーどうしてるの?」
 命のやり取りをする戦場、にも関わらず世間話をするように。
 気さくに声かけ、まるでそんな事を感じさせないやり方でより相手の怒りを引き出して。
 騎士としての誇りを侮辱するかと軍馬の馬腹を蹴り上げ、加速するブラッドスピットナイツ、今まさにその天駆ける軍馬が燦に追いつき騎士の得物が振り下ろされんとした瞬間。
「燦、仕掛けて! 皆さんは私の翼、この後ろから出ないで下さい!」
 空中から響いたシホの声、それと同時に彼女が住人を包み、守る様に生み出していた翼の結界が羽ばたけば。
 死者を浄化す領域が羽ばたきによって広がって、一瞬動きを止める騎士。
「村の皆、そこは絶対安全なS席だ。バケモノが吹っ飛ぶ様をご覧あれ!」
 あえてここまで誘導した燦、それは安全圏でこの様を見せる為だとばかりに手にした時限爆弾が巨大化、空飛ぶ敵には地を走る自分では不利、その不利を跳ね除けて。
 その上で住人に力を見せ付けるには十二分に引き寄せ反撃が最良とばかりに選択した一手、巨大化したが故にカチカチと時を刻む秒針の音色も大きくなったそれは飛び掛ってきた騎乗状態の騎士にぶつかって。
「ニトロ増し増しで連鎖爆発だ! たーまーやー♪」
 空中にて大爆発、その衝撃で落馬してそのまま吹き飛び轟音と共に落下するブラッドスピットナイツ。
 安全圏を作り出し、確実に守りその上で力を見せる、いわばデモンストレーションとなる一撃を彼女らは披露していたのであった。
 だが相手も領主が、いや、その従者が十分な役割を果たせると選んだ兵士。
「マダダ! 我ラ、主命ヲ全ウセズ! 選択ヲ、先延バシナド、言語道断!」
 盛大に吹き飛ばされ甲冑もいたる所が破損して、追い込まれつつある様子が見て取れるも主の命令を果たしていないと己を奮い立たせ武器を振り上げる騎士。
 村人に恐怖が広がる様子を機敏に感じたのだろう、それを抑える様にシホが声をかけていた。
「大丈夫です、この結界から出なければ。それに、皆さんを助けるのは私達だけではありません」
 白き翼の結界をより輝かせ、不安を拭う様に告げられたその言葉。
 それを裏付けるように、抵抗する騎士を倒すべく新たな猟兵が攻撃を始めていたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

やれやれ、保身を考慮せず立ち上がる気概を示せというのは強者の理論じゃのう。
中立を標榜すれば双方から敵意を向けられると言うもの、守る物がある戦えぬ者が日和見り双方に良い顔をするのは仕方ないであろう。
流石にこれを見過ごすのは哀れじゃ、わしも手を貸すとするか。
依頼主のオーダーじゃ、今回は小細工なしじゃよ。
【巨狼マニトゥ】を先行させて強襲、スレイプニルを重点的に攻めて『ブラッドスピットナイツ』の機動力を奪い、こちらは機動力を活かして攻撃するのじゃ。
わしは【野生の勘】を研ぎすまし敵を注視し攻撃の起りを察知したら【追跡】する風の【属性攻撃】の矢を放って【援護射撃】で攻撃を妨害するかの。


メリー・スペルティナ
中立という割に自衛なり、取り入る能力なりが皆無っぽいのが気になるのですけれど…
とりあえずわたくし達は吸血鬼の手勢をみんなボコればいいんですわよね?

で。
多分向こうは村の被害を気にしないでしょうし、極力建物密集地とかから離しますわ。その際多少の負傷は無視、傷つくのは慣れてますわよ!

敵UCは呪血の剣『ブルートヴァッフェ』で受けます!必要なら剣の固体化を解き衝撃を逃がし……
そしてこの血の抱えた呪詛を浴びせれば、お返しにUCですわ!
浴びせた呪詛の力で「あの者へと向けられている負の感情」を刃と成して突き立ててやりますわよ!
人の想いは時に下手な武器よりも確かな力となるのです!

※アドリブ連携他◎ですわ


エドゥアルト・ルーデル
つまりよぉ…圧倒的なじつりきを見せつけて村人にわからせすればいいんでござろう?

ド派手にいきますぞ!!全身を【ドット絵】に変換!更にドット一つ一つをランダムで虹色に発光!眩しいぐらいに輝きますぞ!
強大な猟兵というのは輝いて見えるものでござるヨ

時折照度を激しく上げて目眩まししながら戦闘開始!故ピサロ将軍もやってたテクニックであり伊達や酔狂で光っている訳じゃないでござる!
時折飛んでくる【呪い】を軽快なSEのジャンプやペラいボディで躱したりしれっと【流体金属】君を犠牲にしつつ接近、激しく発光しながらジャンプして踏みつけ!そのまま頭上から脳天銃撃しつつ華麗な離脱を決めてやるでござる!


四季乃・瑠璃
緋瑪「なるべく破壊しないって難しいねー」
翡翠「領主の思惑が気になるね…」
瑠璃「村に被害が出ない様、手早く片づけよう」

翡翠が遠距離から雷撃魔術【属性攻撃】を付与したライフルの狙撃【貫通攻撃】で奇襲。
敵が雷撃で痺れたところを瑠璃が凍結魔術の弾丸によるK100二丁による【弾幕】連射。
防御・鎧の上からでも凍結弾で動きを奪い、敵を攻撃。
そして緋瑪が凍結で動きが鈍り、脆くなった身体を鎧や防御ごと爆砕するように接触式ボムで爆破【範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視、早業】。
身体を吹き飛ばされ、体勢を崩した敵を推力全開【推力移動、ダッシュ】の機巧大鎌による3人の一斉攻撃【切断】でバラバラにし、爆破し跡形もなく仕留めるよ!



 最後の攻勢、それが行われるほんの少し前。
 猟兵達が各々の考えを語り合う暇があった。
「つまりよぉ……圧倒的なじつりきを見せつけて村人にわからせすればいいんでござろう?」
 追い込まれつつある異形の騎士、それを確実に仕留める中で成すべき事は何かを語っていたのはエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)で。
 体を軋ませ、無理矢理動き村人に恐怖を刻み付けんとする忠義の騎士を叩きのめさんと不敵に笑えば同じとばかりにその隣で言葉を発する少女も居る。
「うむ、依頼主のオーダーじゃ、今回は小細工なしじゃよ」
 圧倒的な力を見せる、その必要性があるのだと同意して自らも最大戦力を投入すると語るエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)
 そんな彼女がちらりと此度の戦いの元凶、即ち闇の反逆者にも吸血鬼にも明確な態度をとらず、故に狙われる事となった村人を守る結界へと目を向けて。
「まあ中立を標榜すれば双方から敵意を向けられると言うもの、守る物がある戦えぬ者が日和見り双方に良い顔をするのは仕方ないであろう」
 村人の取った選択肢、これまで決定を先延ばしにし続けてきたのも止むを得ないと理解を示す。
 しかし、その考えに疑問を呈する者が居るのも猟兵に多様性があることの証左な訳で。
「うーん……中立という割に自衛なり、取り入る能力なりが皆無っぽいのが気になるのですけれど……」
 眉を顰め、その立場を確保するにしても力も無く、されど上手い交渉力も無く。
 偶発的に生じた立地条件のみに頼ったやり方、つまりは自分達の力ではなく選択肢を外部へ求める様子に危うきものを感じつつメリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)が言葉を発する。
「いや、仕方あるまい。保身を考慮せず立ち上がる気概を示せというのは強者の理論じゃのからう。これまで虐げられた身で、急に反乱へ加担せよと言われ頷けぬのも分かる。村の面々の意思が統一できておらぬようじゃしな」
 その疑問へ村の状況を察したエウトティアが答えれば。
「ま、そういう事は終わってから。村に被害が出ない様、手早く片づけよう」
 今後について語るのはまだ早い、まだ動く異形の騎士であるブラッドスピットナイツを速やかに倒す手を打つと皆を急かすように四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)が促して。
「そうですわね、ちゃっちゃとわたくし達の力を見せて、考えを改めてもらいますわ」
 とりあえず吸血鬼の手勢をみんなボコればいいんですわよね? なんて尋ねるように目配せしたメリー。
 そんな彼女に頷くことで同意を示すエウトティア、不敵に笑い何を仕掛けるか分からぬもその実力を示さんとするエドゥアルト。
 更には手早く終わらせるとやり取り〆た瑠璃に、彼女に瓜二つな別人格を宿した分身の緋瑪と、同じく別人格を宿した人形の翡翠も頷き、各々のやり方で騎士を討つとばかりに全員が飛び出していたのである。

「ギギ、ガガガ、主命ノ、実行ヲ」
 組み合わさった体を無茶苦茶に動かしながら、なんとか立ち上がったブラッドスピットナイツ。
 受けたダメージは深刻、されど5人分という複数の命令系統があるが故に、誰かが生きていれば体を動かし戦闘は継続できると各々の体を操って、不自然な動きという不気味さを加えた攻撃を開始しようとしていたが。
「マニトゥ! お主の本気の力を見せてやれ!」
 そんな事は許さぬと強襲を仕掛けるはエウトティアの保護者的立ち位置でもある、巨狼のマニトゥ。
 疾駆するその体へと精霊降ろし、見るものが見れば神の使い、いわば神獣と感じる程に威圧感を増したマニトゥは雄叫びと共に突撃。
 反撃も間に合わぬ騎士の頭部を踏みつけて、強靭な脚力で蹴り飛ばし。
 跳躍と同時に狙うは騎士の命ではなくその機動力を後押しする、先の爆発にて吹き飛ばされるも立ち上がり、再度援護に向かおうとしていた天駆ける軍馬スレイプニル。
 喉笛へと噛み付き、増した膂力で押さえ込み。
 ブラッドスピットナイツの機動力、その根幹を完全に封じ込めれば後は仲間の猟兵が自在に攻めてその力を如何なく発揮できよう。
 軍馬を開放しようと踏み出し、武器を振り上げた瞬間に風を纏った矢を放ち、甲冑に弾かれつつも自身に注意を向けたエウトティアが生み出した僅かな時間、それを無駄にせず急接近するはエドゥアルト。
「拙者はフリーSOZAI、されどド派手にいきますぞ!!」
 突然の告白、それと同時に体が何故かドット絵の様に変化して。
 更にはそのドット一つ一つが七色に輝くというテレビで発生させると色々な悪影響を及ぼし、後々アニメーションの放送では特にテレビから離れて部屋を明るくして見るように、と注意が入った現象。
 つまりは強烈な光の点滅という、視覚への直接的な暴力であり、強大な猟兵とは光っているものだという彼の持論を体現した行動であったのだ。
「ギギッガッ!? 邪魔ダ、ドケ!」
 苦痛と共に同胞の脳を捧げ、強烈な呪詛をぶちまける騎士。
 されど飛び交う呪いの篭った斬撃などまったく無意味とばかりに急接近、そしてさらに激しく明滅し。
 ゲームで鳴るような、分かりやすいジャンプ音と共に跳躍、更にはドットとなったが故に薄っぺらい平面的な体によって振り下ろされた攻撃をぐにゃりと曲がって回避して。
 流体金属君が足場代わりに差し出され、騎士と衝突して弾け飛んだ衝撃を利用しての更なる跳躍。
「故ピサロ将軍もやってたテクニックであり伊達や酔狂で光っている訳じゃないでござる!」
 過去に猟兵を苦しめた存在、グリードオーシャンにて戦った存在が、船の合間を飛び回り圧倒的な機動力を発揮したそれを再現するかのように飛び跳ねるエドゥアルト。
 騎士の上空へと飛び上がった彼の手には、これまた単純化したイラストの銃が握られて。
 真上から脳天狙って連射、またしても分かりやすい銃撃音が鳴り響き一つの頭部、それを守る甲冑がひしゃげ内部より血液が噴出せば、一つの頭部が破壊された事を物語る。
「な、なんですのあれは……? まあいいですわ、おかげで動きもしっかりと見切れましたわ!」
 ハチャメチャすぎるエドゥアルトの一撃離脱、その行動に目を白黒させながらも己が役割果たすとばかりによろめくブラッドスピットナイツに切り込むはメリー。
 これまでの戦いで避けたいと思っていた、建造物の密集地帯からは引き離されていた敵、ならばこれ以上ひきつけていく手順は不要。
 即ち、最初から全力で、更には仲間の行動にて敵の動きが見切れた状況、圧倒的優位な中で攻撃を仕掛け追い込むのみ。
 己が血液を媒介に生み出した呪血の剣、ブルードヴァッフェを携え踏み込めば、不用意な接近をする存在を打ち据えんと振るわれた巨大な斧。
 呪いを纏った強烈な一撃がメリーの構えた剣を打ち据え、一瞬で粉々に砕け散った……かに見えたそれは、あまりにも不自然な光景。
 飛び散ったはずの剣、霧散したように見えたそれは瞬時に剣の形へと再生、最初から攻撃など受けていなかったかのように突き出され。
 切っ先がブラッドスピットナイツに触れた瞬間、再び形を失って血の霧となり、甲冑に新たな赤色彩って。
「呪いには呪いを、ですわ!」
 呪詛を込めた一撃には、此方も呪われた業で返すとばかりに目を見開けば、彼女が感ずるは村人の抱く領主への、そしてこの異形の騎士への不の感情。
 ならばその感情を自分が形にしてみせよう。つまりは自身は呪いの受信機であり、増幅器でもあるとばかりに受けた感情を呪いとすれば、相手に浴びせかけた血液が突如赤き刃となって、甲冑貫き突き刺さり。
「ガァアアアア!? 此レハ、何ダ!?」
「そうなってしまったあなたにはもう分からないでしょうね、人の想いは時に下手な武器よりも確かな力となるということは!」
 脚部に、腕部に刺さった刃にてさらに動きが鈍り、驚愕する騎士へと投げかけられた想いの力、その存在。
 だがすでに理性を無くし、命令に従うだけの存在にはその力が何であるかを理解することは永久にないだろう。
「いい感じだね、なるべく破壊しないようにって難しいと思ったけどこうなったら後は一気にやるだけだよ♪」
 そうして追い込まれた騎士に最終通告、本来は破壊と殺戮が主であり守りつつ、被害を出さぬ戦いは苦手な方でもあった緋瑪が笑いつつ。
「それはそうだけど、領主の思惑が気になるね……」
「ま、それは後から考えよう」
 この先の戦い、一思いに村を滅ぼすでもなく選択を強いた領主の考えが何を意図したものか考え巡らす翡翠に対し、瑠璃がまずはこの眼前にある脅威を排除するのみと促して。
 無言で頷く翡翠が構えるはスナイパーライフルであり、銃身に据え付けられた照準器を覗き込み躊躇無く引かれたその引き金。
 パァンと弾けるような、遠くでこの戦いを見ていた村人には遠雷の様にも聞こえた轟音と共に虚空に走るは一筋の雷光。
 それは魔力によって雷の力を付与された銃弾で、他の猟兵に抗戦していた騎士にとっては意識の埒外かたの一撃。
 不意打ちという形で直撃した銃弾は甲冑を貫いて、致命の一撃を与えれば。
「おっと、それで終わりじゃないからね」
 続いて動く瑠璃、その両手には自動拳銃が左右それぞれに握られて、次々と放たれるは凍てつく冷気を纏った銃弾の弾幕で。
 大盾と、そして甲冑の防御にて銃弾そのものは弾き飛ばすも宿った冷気は飛ばせずに、被弾箇所が凍りその動きが更に鈍れば攻め時とばかりに飛び込む緋瑪。
「はーい、仕上げだよ♪」
 凍結による行動阻害、更には強度を下げた敵へ容赦なく投げ込まれるは接触式の爆弾で、まともに防御も回避もできぬ無防備な体の各所に接触、そして次々と巻き起こる爆発と共に二つの影、即ち瑠璃と翡翠も急接近。
 大きく揺らいだその巨体目がけて繰り出されるは、三人が共に持つ大鎌の斬撃で。
 左右、上方から伸びる刃に抗う術無く異形の体は次々と切り離されて宙を舞い、先の爆弾による爆風が収まった後に村人の目に飛び込んできた光景は。
 解体されて動きを止めた異形の存在、村へと恐怖を振りまいた『屍塊驍騎』ブラッドスピットナイツの残骸とその上に立つ猟兵の姿であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『シャドウライダー』

POW   :    戦力補充
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【シャドウライダー】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
SPD   :    人馬一体
自身に【世界に蔓延する絶望】をまとい、高速移動と【その移動により発生する衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    代弁者
【鞭を振るい、死した人々】の霊を召喚する。これは【怨嗟】や【現世への未練】が転じた【呪い】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 残骸が再度、寄り集まって動き出さぬようにと仕留めた猟兵が爆破、消滅させる中。
 助かったと安堵の顔を浮かべる村人であったがこれで終わりでは無いと猟兵に伝えられ、一転表情が強張って。
 一体何が起こるのか、どうして自分達がこんな目にと身の上嘆く者も出て、混乱が広がり始めるのは止むを得ぬ事。
 だがこれも村の位置する条件に加え、これまでの態度によって生じた結末。
 もしも最初から闇の反逆者に組すれば、村の重要性を考え吸血鬼勢に襲われても逃げ出す準備や手はずといった備えは行われただろう。
 または、吸血鬼に忠誠誓い、命だけは助けてほしいと願っていれば……問題の先送りでしかないだろうが、少なくとも今回の襲撃は無かったであろう。
 どちらにせよ、態度を、旗色を示さなかったが故の襲撃、そして如何に状況を見極める時間であると自分達に言い聞かせてもそれが許されぬのは明白で。
 闇の反逆者に属するか、吸血鬼に従うか、を選択せねばならないのがこの村の状況であったのだ。
 しかし、そんな苦悩など関係ないとばかりに軍馬の嘶きが村を取り囲む様に聞こえ、それと同時に黒き影……否、黒き馬に跨った恐怖を振りまく吸血鬼勢の軍勢、シャドウライダーの集団が村へと奇襲を仕掛けてきたのだ。
 だがその動きは先ほどの騎士が見せた、村に態度を示すように迫った示威的な物ではなく、村人を、家屋を破壊するに何の躊躇いもない、単純に破壊と殺戮を求む動き。
 まるで猟兵に、守るために力を見せろと言わんばかりの立ち回りに更なる仕掛け人、指揮官である吸血鬼の存在を否応無く感じさせる動きであったのだ。

 村に如何なる行動をさせるか、を考えている時間は無い。続けて迫る脅威を排除すべく猟兵達は各々の力でもって、この闇の軍勢に相対する。
シホ・エーデルワイス
≪華組≫

一章の【翼域】を維持しつつ村の外縁迄進み
味方と連携し敵を結界内に入れないよう注意し
【翼域】で敵を浄化属性攻撃する結界で村を包む


人も村も守ります!

敵が纏う絶望に
依頼『選ばれなかった未来、遠く霞んだ過去』二章で思い出した
養父を見る


シホ
彼らを命懸けで守る価値は本当にあるのか?
未だ君達と無関係でいる事を望み
君を背後から刺せば
吸血鬼に取り入れると思いかねない浅墓で身勝手な連中を?
他者を犠牲にして生き残ろうとする輩は駆除するべきでは?

それともまた理想に殉じるのか?

そう囁かれた気がする


いいえ
私達は負けません!
吸血鬼にも人の心の弱さにも

それに私達が諦めたら誰も救えない!
私は人々が勇気を持つよう祈ります


四王天・燦
《華組》

第二陣も全滅させてくるわ
認めて貰えたら声援くれや
四王天・燦と嫁のシホを夜露死苦ゥ!と村に演説かまして御狐祭儀を発動するぜ

シホ、村を見て思う所があるんだろうね
バッチシ希望を見せてやろうぜ
何時も言ってる
二人なら何でもできる!

狐耳をぴこぴこ動かして聞き耳…第六感と合わせて敵の方向を探るよ
神輿に飛び乗って出陣

撃て撃て射殺せ!
見敵即殺、戦士達に先制攻撃で射掛けてもらうぜ
霊を呼ばれりゃ呪符部隊と共に式神使いによる逆支配で足止めし、破魔と除霊の符で鎮魂
勢い殺さずライダーに神輿で体当たりして蹂躙するぜ

時折、派手に太鼓を鳴らし神輿を目立たせて村人をいい意味で驚かせてあげる
兵の数も質も圧倒的に上だ!ってね


メリー・スペルティナ
……この、個々に思惑ある者達が連携もせずバラバラに出てきては各個撃破される感じ
なんだか三馬鹿卿の時を思い出しますわ……むむむむ

ってそれより今はあいつらですわ
死者の、それも怨嗟や未練を抱えた死者の霊を召喚する「代弁者」
……気に入りません、その喧嘩、買いましたわ

相手のUCに対してブルートヴァッフェの固化を一時解除して血へ戻し、
そして手首を切り血を振り撒いて血の魔法陣を描き【死の先を往く者よ】
……その怨嗟も未練も、貴方達の抱えた想いも、呪いも、わたくしのこの血が預かります
だから……貴方達はもうお休みなさい。

死者たちを無力化できたら、ライダーを呪詛を載せた斬撃で切り捨てますわ

※アドリブ他歓迎ですわ!



 皮を一枚一枚剥くが如く薄く広く展開し、村を蹂躙せんとするシャドウライダー。
 だが先鋒を務めた騎士とはまるで違う立ち回り、明らかに連携が取れていない動きに違和感覚えるものが出るのは当然で。
「……この、個々に思惑ある者達が連携もせずバラバラに出てきては各個撃破される感じ。
 なんだか三馬鹿卿の時を思い出しますわ……むむむむ」
 以前の戦い、猟兵の体を求めた吸血鬼に、知識を求めた吸血鬼。
 その二人に協力し、絶望に屈せず立ち上がる民を求めた吸血鬼。
 複数の吸血鬼がそれぞれの思惑で動き、簡易な協力はすれど高度な連携を取らなかったが故に倒せた事を思い出しつつ今回の敵襲にも似たような物をメリーは感じていたのである。
「第二陣も全滅させてくるわ。認めて貰えたら声援くれや」
 その時メリーの耳に聞こえたもの、それは村人を守る結界の中からで。
「四王天・燦と嫁のシホを夜露死苦ゥ!」
 村人を鼓舞するように、数多の鳴り物が打ち鳴らされてその一角だけがまるで祭囃子の中に取り込まれたかのような雰囲気に。
 視線をそちらに移してみれば、燦が村人の沈みきった空気を払いのけるように呼び出した、白狐の戦士が多数乗り込んだ神輿の前にて言葉を発していたのである。
「ちょ、ちょっと派手すぎますわね、あれは……と、それより今はあいつらですわ」
 ダークセイヴァー世界には似つかわしくないとも取れる派手な神輿、それを見て一瞬意識が逸れつつも。
 成すべき事は敵の排除と考えを眼前の敵へと戻し、村人の護衛は遠方の結界……シホが作り出した白き翼にて成されているならば、自分は敵勢力との戦いに集中できる。
「では、僭越ながら……あの集団への先鋒はわたくしが務めさせていただきますわ。
 死者の、それも怨嗟や未練を抱えた死者の霊を召喚する「代弁者」……気に入りません、その喧嘩、買いましたわ」
 軍馬が嘶き、振るわれた鞭によって呼び出された数多の死霊。
 苦しみ命果てた者が多きこの世界、未練ある霊たちを思うがままに操るその姿勢に反感抱いたメリーが駆け出し、最前線の死霊たちと距離を詰め。
 シャドウライダーに操られ、生ける者として標的に選んだメリーに細く皺がれた腕が伸びるもそれが届くことはない。
「……その怨嗟も未練も、貴方達の抱えた想いも、呪いも、わたくしのこの血が預かります」
 死者を哀れみ紡がれたその言葉、それと同時にメリーの持つ剣が形を崩して血液へと変化して、更にメリーが己の手首を切り裂き腕を振り、虚空に血液振りまけば。
 剣が崩れた血液と混ざり合い、魔方陣を形成し。その中より赤き血の鎖が飛び出し死霊を次々と縛り上げ、シャドウライダーの使役から開放していたのである。
 操るはずの死霊が支配を外れ、命令きかぬ状況にうろたえるシャドウライダー、そして自由を得た事に困惑し、力をぶつける対象がどこにあるのか見失い右往左往する死霊。
「辛かったでしょう、だから……貴方達はもうお休みなさい」
 そこへ優しくメリーが言葉をかけていき、戦う必要がない、苦しむ必要は無いと悟った死霊たちが腕下ろし、潮が引く様に道を開けばその先には彼らを盾にし、より深い苦痛を与えていたであろうシャドウライダーが無防備に突撃する姿があって。
 突如消失した防壁、それに対応しようと慌てて手綱を引いて馬を御そうとするも手遅れ。
 疾走する馬の先には血で出来た魔法陣を解除、再び呪われし血液にて形を成した剣を手にしたメリーが立ち、赤き軌跡を残しつつ一閃。
 暫し走った馬がやがて動きを止めれば軍馬の首が、そしてシャドウライダーの胴部がずれ落ち、そのまま倒れ消滅していくのであった。
「死者に敬意も示さず、ただこき使うだけ……そういうやり方は気に入りませんわ」
 倒れたシャドウライダーを見下ろしながら、メリーが小さく呟いて。
 まだ村を襲う敵は多い、そして死者を酷使する者でもあるならば、手早く倒すとばかりに次なる敵へと彼女は向かっていくのである。

 同刻、先ほど村人を鼓舞するように動いていた燦の方はどうであったか?
「人も村も守ります!」
 自分勝手な言い分をする村人、それを見て何か思うことがあるにも関わらず。
 守るために全力を尽くし、白き翼の結界を広げつつ上空から仲間の猟兵、その動きを確認しつつ村人が包囲されぬようにと移動するシホ。
 そんなシホを見上げつつ、思うことがあるんだろうと察した燦。
 彼女一人に背負い込ませるつもりはさらさら無いと、自分も頼って欲しいとばかりにシホに、そして村人に向けて声を張り上げていた。
「バッチシ希望を見せてやろうぜ、何時も言ってる……二人なら何でもできる!
 さあさあ、祭りの始まりだ! ちっと派手だがこれぐらいがちょうどいい、ってね!」
 先に呼び出された神輿の上に飛び乗って、狐耳を動かして。
 結界に迫るシャドウライダーの位置、それを聞き耳立てて割り出せば、御狐祭儀の行軍開始。
 神輿が派手に、人々の、そして敵の耳目を引き付けるように鳴り物鳴らして練り歩き、結界越えると突撃してきたシャドウライダーを迎え撃つ。
 その様子を見下ろしながら、目を閉じるシホ。
「ありがとう、燦。私は……」
 共に歩める者がいる、支えあう相手がいる、心に暖かい物を感じた瞬間に。
『彼らを命懸けで守る価値は本当にあるのか?』
 瞳を閉じた闇の中、養父の問いかけが聞こえた気がした。
 その言葉は過去の所属した騎士団に怒りをぶつけ、そして破滅に向かった民とこの村人が重なっていたシホに暗い影を落とすが如く響き渡り。
『未だ君達と無関係でいる事を望み、君を背後から刺せば……吸血鬼に取り入れると思いかねない浅墓で身勝手な連中を?』
 自らの保身を考え、猟兵の救いを払いのけ、自分たちだけ生き残れれば、そんな危うき偽りの安寧を求める民に価値はあるのか。
 自分勝手に、他者の犠牲を前提に保身を図る者だぞ、と心を揺さぶるかのように。
『他者を犠牲にして生き残ろうとする輩は駆除するべきでは?
 それともまた理想に殉じるのか?』
 価値のある者と、そうでない者。後者に属するこの村人は排除すべきではないのか?
 それを救い上げようとして、命を落とした事を忘れたわけではあるまいと、養父の声が聞こえた感覚に見舞われて。
 だが、その言葉を払いのけるようにシホの生み出す翼の結界が大きく羽ばたき、突撃してきたシャドウライダーをその場に押し付けるような力を発揮していたのであった。
「いいえ、私達は負けません! 吸血鬼にも人の心の弱さにも」
 闇の中から聞こえたような、養父の言葉。
 心を乱す言葉を払いのけるように白き翼の結界が動き、親鳥の翼が雛を守るかのように村人を包み込む。
「それに私達が諦めたら誰も救えない!」
 目を開き、己が強き意思示し人々が勇気を持つよう祈るシホ。
 ずいぶん長く養父とやり取りしていたような気がしたが、その間はほんの数秒で。
 急に豹変したシホに少し驚いた様子の燦や村人、だが何があったか問う時間は無い、何せ結界に押さえつけられシャドウライダーが動きを封じられた好機である。
「撃て撃て射殺せ!」
 何かあったかは後で聞く、今は眼前の敵を排除とばかりに燦が神輿の上から檄を飛ばせば、白狐の戦士たちが手にした弓にて破魔の矢を次々と射掛け、動けぬシャドウライダー達が射抜かれて。
 抵抗しようと呼び出された死者の霊、だがそれも想定の範囲内とばかりに燦が手にした破魔と除霊の符を投げつけて、それに続いて白狐の呪符隊も次々と符を投げる。
 元より結界にて動きを阻まれていた集団、そこへ容赦の無い呪符にて鎮魂の力を流し込まれて無力化すれば、後に残るは無防備なシャドウライダーの軍団で。
「よっしゃー、突撃だ! 一気に踏み潰すぞっ!」
 神輿の上にて声を張り上げ突撃命令、撤退も出来ぬシャドウライダーの集団へ飛び込む神輿がその勢いのままに跳ね飛ばせば、乗り手は投げ出され軍馬は横転、うめき声を上げながらのた打ち回るがそれで終わりではなく。
 次々と新手の兵士が現れて、それと同時に鳴り物鳴らしまだまだ居るぞとばかりに敵味方へと伝えていく。
「ははっ、見なよ。兵の数も質も圧倒的に上だ!」
 人々を、村を蹂躙しようとする軍団よりも、今呼び出された祭囃子の集団が力も数も上だと鼓舞する燦。
 その様子を見て、これならば吸血鬼に対抗できるのでは、と村人の中にも希望を見出す様子が見えていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

この包囲の動きは…狩りのつもりか?
獲物を取り囲み、村を破壊する勢子役が追い立てて猟師役屠る算段であろうか。
となれば獲物を逃がさぬよう連携してくるはずじゃ。
全てをとはいかぬが手の届く範囲で敵の連携を崩しておくかの。
UCにより無機物の地面や建造物を生い茂る森に変えて操り行動を阻害してやるわ。
次に【ビーストマスター】の力で狼の群れを呼び出し、足が止まって孤立した敵から取り囲んで各個撃破を狙うかの。
後ほどUCを解除すれば元通りじゃ、これで地の利を得ると同時に村を荒らされぬであろう。
後は木々を盾にしながら敵が召喚した霊を【浄化】の【属性攻撃】を籠めた矢で祓い徹底して妨害に努めるのじゃ。


四季乃・瑠璃
瑠璃「避難は間に合わないか」
翡翠「手早く仕留めるしかないかな…」
緋瑪「被害は抑えないとねー」

【破壊の姫君】で分身

飛翔翼で3人飛行し、翡翠が射線の通しやすい空中から聖魔術【属性攻撃】を付与したライフルの狙撃【貫通攻撃】で村に近づく敵及び村内に侵入した敵を狙撃。

瑠璃と緋瑪がそれぞれ分散し、K100による銃撃で敵の足を止め、飛翔翼と機巧大鎌の機巧のよる高速機動【推力移動】で一気にすれ違い様に馬ごと叩き斬って仕留めて敵を排除。

更に村の外周部は感知式ボムを地雷代わりにばら撒いて侵攻して来た敵を吹き飛ばし、侵攻を阻止。
足が止まった敵を空中からの感知式ボムによる【爆撃、範囲攻撃】で【蹂躙】し、吹き飛ばすよ。


アレクサンドラ・ヴォルコヴァ
なるほど騎兵をけしかけて来たか。
暴れまわるにしても機動力は欠くだろうから一気に決めなきゃね。
それに守りの戦いは僕の得意とするところさ。

指定UCを発動し狼たちを散開させてシャドウライダーを各個撃破していく。
僕はウラディミールに騎乗し遊撃、地形の利用や悪路走破を利用して村内を移動し、狼たちの攻撃で手負いになったシャドウライダーと接敵次第バルディッシュの重量攻撃で馬ごと叩き斬る。

また屋外に出てくる村人が居たら屋内に避難するように注意しておこう。
これ以上村に被害が出たら立て直しだけで一苦労だしね。



 結界にて民が守られる中、別方面ではシャドウライダーの撃滅が繰り広げられていた。
「この包囲の動きは……狩りのつもりか?
 獲物を取り囲み、村を破壊する勢子役が追い立てて猟師役が屠る算段であろうか」
 駆け回り、村人を追い立てようとする動きから敵の狙いを、つまりは村人を一箇所に集め殲滅せんとする動きを見抜くエウトティア。
 獲物に見立てた村人を逃がさぬように連携するならば、それを乱すが上策と考えた彼女が打つは地形の利用。
 パンと掌打ち据えて、魔力を高めて大地に押し付ければ地面が、そして家屋の壁から次々と木々が生え、小さな森が生み出される。
「これでよかろう、全てとはいかぬが手の届く範囲で連携は崩れるじゃろうて」
 エウトティアと中心とした半径100メートル、小規模な範囲であるが一瞬にして生み出されたその森は馬駆るシャドウライダーにとっては機動力を奪い取るに十分すぎるものであり。
 範囲内に飛び込み駆けていた者は突如出現した木々の根に足を取られて転倒、騎手を投げ出す者や転倒は避けれたものの、その足を止める者。
 またある者は森に踏み入る前に緊急停止、直進する事ができずに大きく迂回する事を強いられていたのであった。
「うむ、十分に足止め、分断はできておるな、後は各個撃破じゃの」
 敵軍の組織立った抵抗を妨害を認め頷くエウトティア、続けて打つ手は分断された個体が合流を果たす前に確実に屠る事。
 手にした篠笛吹けば、彼女が使役する巨狼マニトゥを筆頭に数多の狼が森の中より姿を現し、獲物と定めたシャドウライダーに次々と襲い掛かる。
 肉食獣の気配に気付いたときには最早手遅れ、真っ先に犠牲になったのは馬が転倒、投げ出されていたシャドウライダーで、何とか起き上がり馬を起こそうとしていた瞬間。
 後背より迫る狼がその腕を、足に食いつき引き倒し。
 悲鳴を上げる間もなく倒れた騎手の首下へ更なる狼が食いつき、地面に押し付け絶命させれば馬も逃がさぬと次々と狼が飛び掛り、反抗の手を打たせず消滅させる。
 また別の場所では、走力に勝るもそれは開けた場所での話、足場の悪い中ではその速度を十分に発揮できぬ馬を追い立てる数多の狼。
 逃げれぬと悟ったシャドウライダーが死者の霊を生み出して、それを盾にし後退しようと試みるもそれを許す猟兵ではない。
「甘いのう、そういった手合いにはこれが効果抜群じゃ」
 召喚された霊が何かを始めるその前に、白く輝く矢が飛来。
 射手はこの森を生み出したエウトティア、放たれし矢は浄化の力が込められた物であり、死者の霊を簡単に打ち払いシャドウライダーを守る壁が失われれば後は足場悪き地形を物ともしない、肉食獣の独壇場。
 鞭を振るうも飛び掛る狼全てを打ち払うには足りず、騎手が引き倒されれば勝負あり。
 抵抗止めば次々と後詰の狼が食いついて、一瞬にしてシャドウライダーを絶命させていたのである。
「おっ、あの森が足止めで機能してるんだね。だったら上手く利用させてもらおうかな」
 エウトティアが森を生み出し、シャドウライダーを分断している戦況を見遣りつつ動いていたアレクサンドラ。
 森が敵軍の足止めをしてくれるならば自分もそれに便乗、突入せずに迂回を始めた集団に狙いを定め動いていた。
「騎兵をけしかけて来た、暴れまわるにしても機動力は欠くだろうから一気に決めなきゃね。
 それに守りの戦いは僕の得意とするところさ」
 防衛戦は得意分野、されど破壊活動を行いながら離脱を繰り返されてはかなわぬと瞬時に決めるとばかりに打つ手は集団を呼び出すユーベルコード。
 軍馬ウラディミールを駆るアレクサンドラの獣耳がピコッと動き、それと同時に呼び出されるは冷気を纏った狼の集団、されどその狼は実体を持たぬ幻で。
 おぼろげに輪郭見える冷気の狼が散開、迂回を余儀なくされたシャドウライダーを狙って走り出していた。
 同刻、同胞が次々と倒されていく中で家々を破壊しようと村の中央目指し進む集団が狼の出現に気付かぬままに駆け抜ける。
 その最中、加速し鞭を振り回し、衝撃波を生み出して。
 家屋を潰し、隠れる村人を追いたてようとしていたが、それを許さぬとばかりに狼の唸り声が聞こえてきた。
 敵襲か、と馬を止め密集陣形を取る集団、だがその判断が命取り。
『グルル……シャアア!』
 咆哮と共に飛び掛る幻の狼、そして突撃した狼を援護する様に別の狼が凍てつく冷気のブレスを吹き付けて、馬を混乱させていく。
 生物が生きていけぬ程の冷気、その中を駆けてくる幻の狼によってシャドウライダーの機動力、その根幹を成す馬が足をやられ、また興奮のあまり散り散りに走り出し、壊乱した時こそ好機。
「よーし、そこまでだ! 逃がしはしないからね」
 逃げるシャドウライダーに非情の通告、そして聞こえるは軍馬ウラディミールの嘶きと、蹄が地面を蹴る音で。
 ハッとし周囲を見るシャドウライダーであったがもう遅い、目に飛び込んだのは先に打ち壊した家屋の瓦礫を飛び越えて、自身に迫る軍馬の姿。
 その上にて長柄武器、先端に大きな斧頭を付けたバルディッシュを振り上げたアレクサンドラの姿が見えて、反応できぬその身へと振り下ろされる斧頭。
 騎手もろともに馬を断ち切る強烈な一撃、叩き潰すように繰り出されたそれによって見るも無残な姿に成り果てたシャドウライダーであったがアレクサンドラの進軍は止まらない。
 幻の狼によって分断され、壊乱した集団を各個撃破するように、軍馬を駆って駆け抜けて。
 追い抜きざまに一撃、騎手を叩き落としつつ、逆に反撃しようと突撃してきたシャドウライダーにはバルディッシュを槍に見立ててのランスチャージ。
 騎手を突き刺し落馬させれば、後は幻の狼たちが噛み付き、凍てつく冷気のブレスによって始末していく流れが出来ていたのである。
「おお、お見事、お見事。そこはわしの力では届かぬ範囲じゃったので助かったわ」
 そんな一連の動きを見ながら合流していたエウトティア。
 いつの間にやらユーベルコードを解除して、生み出した森を元の姿に戻していたのであった。
「いや、こっちこそ相手の動きが絞られてやりやすかったよ」
 ウラディミールの足を止め、エウトティアに言葉を返すアレクサンドラ。
 森にされた家々がどうなったか、と気にして先ほど森になっていた方へ目をやる姿に感じる物があったのだろう。
「うむ、そのあたりは抜かりなし、UCを解除すれば元通りじゃ。これで地の利を得ると同時に村を荒らされぬであろう」
 まるで最初から何もなかったかのように鎮座する家々、先ほど生い茂っていた森の気配が微塵も感じられぬ状況に戻っている事を誇らしげに話すエウトティア。
 つまりは家々への破壊も防ぎつつ、敵の足を止めれるという事であり。
「なるほど、それなら安心だね。それじゃ、残る敵も」
「うむ、この調子でいくのじゃ」
 互いに頷きあった両者、そして再び広がる森と駆け抜ける軍馬と共に、響き渡るはアレクサンドラによる村人への要望で。
 不用意に家から出るな、家が木に変わってもそれは助けに来た者によるもの、恐れず留まりシャドウライダーが駆逐されるまで待っているように、というものであり。
 人的被害を減らす為の呼びかけと共に振るわれたバルディッシュがシャドウライダーを打ち据える、そんな光景が村人隠れる家屋の外にて繰り広げられていた。

「迎撃は出来てるけど避難は間に合わないか」
「手早く仕留めるしかないかな……」
「被害は抑えないとねー」
 同刻、背部に背負った飛翔翼にて村の上空へと飛んで、避難状況と敵の進軍状況を冷静に分析していたのは瑠璃、そして彼女の別人格を宿した人形の翡翠、さらには瑠璃が分身して別人格を宿した緋瑪の三人。
 結界による守り、足止めを行う者も居るが全ての村人が安全圏にいるわけでもなく、取り残された者が少数居るのも事実。
 となれば自在に空駆けて敵を倒せる彼女たちが届かぬ場所を補うが道理、そして3人分の動きが出来るという事は……それだけ選択できる手段があるということ。
「それじゃ援護するから……」
 淡々と言葉を紡いだ翡翠が構えるのは狙撃用のライフル、そしてその銃弾には彼女が魔力を注ぎ込み、聖なる力を宿したもので。
 スコープ覗いて狙いを定め、引き金引けば村を狙って突っ込んできたシャドウライダー、その一体が撃ち抜かれて落馬して。
 即座にスコープから目を離し、次なる敵を索敵する翡翠。
 不用意に村へと突き進む者、村に侵入して破壊活動、そして村人を追いたてんとする者を探りつつ、一体一体を確実に撃ち抜き始めれば。
「足止め出来ればあとは」
「わたし達の出番だね♪」
 言葉を交わした瑠璃と緋瑪が頷きあって急降下、村の外周へと進んだ瑠璃は上空から拳銃を次々と発砲し、突き進むシャドウライダーの耳目を引いてその場に留めれば。
 機巧大鎌を振り上げ、刃の付け根に仕込まれた機巧、即ち爆発による推進力増強が起動、更なる速度を得た瑠璃が一気に距離を詰めていき。
 咄嗟に鞭を振り回し死者の霊を呼び出そうとしたがもう遅い、瞬時に間合いに入られたシャドウライダーが腕を振ったその時には既に瑠璃の姿は遥か後方、それと同時に軍馬と騎手、双方の首がぐらりと傾き地面に落ちて体が倒れる。
 一陣の風が駆け抜けたようなもの、されどそれはほんの一瞬で命を奪う死の風で。
 同じ様に村の内部に入り込んだシャドウライダーには緋瑪が切り込み、此方は派手に大鎌振るって地面を抉りながらの振り上げ放ち、馬の足から胴部、そして騎手を切り上げ断ち切っていた。
 こうなれば勝負はついたも同然、内部に入り込んだ面々は狙撃と切り込みの二人によって排除され、また他の猟兵によって次々と駆逐が続けばあとは外周部からの流入阻止が目的で。
 されど流入阻止もお手のもの、瑠璃と緋瑪が村の外周、家々を避けながら包むように飛び回り、手にした爆弾を次々と投下。
 それは接近を感知して爆発する代物で、突撃を敢行した残存戦力は次々と爆発に飲み込まれ消えていき。
 足を止めれば最早猟兵の攻撃を凌ぐ手立て無く、村を包囲していたはずの軍勢はその数を瞬時に減らし、やがて静寂が村へと戻ってきたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『聖剣使いの吸血鬼・ブラック』

POW   :    こちらの番だ
【聖剣による一撃を何時でも放てる用に構えて】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    避けられるか?
【殺意】を向けた対象に、【神速の速さで接近からの聖剣による連続攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    見切った
【聖剣】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【攻撃と防御】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシュバルツ・ウルリヒです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 異形の騎士に続き、黒き騎手が率いる軍勢を退けた猟兵達。
 村の外縁部分では先ほどの戦いで新手の流入を阻止し、また一網打尽にした爆発の影響か今だ煙が燻り昇り、幾つかの家屋が襲撃しかけたシャドウライダーの攻撃で崩れはしたが人的被害も無く、家屋の破損もごく少数。
 二度目の静寂、もうこれ以上の襲撃は来ないだろうとへたり込む村人達ではあったが、グリモア猟兵の予知によりまだ終わりでない事を知る猟兵は警戒を緩めることは無い。
 張り詰めた空気を感じ、村人が何事かと猟兵に話しかけようとしたその瞬間。
 村の外周部分、先ほど数多の爆弾がばらまかれ、敵の足を止めたその場所から爆音が鳴り響き、数多の煙が立ち上っていたのである。
 村人は誰も向かっていない場所、即ち爆弾が作動したという事は村の外から何者かが現れたという事。
 まさか、そんな、まだ来るのかと村人が不安を次々と口にして、怯え震えるその最中。
 爆風をかきわけて、邪魔だとばかりに手にした剣を一振り、自身にまとわりつく煙を吹き飛ばし姿を見せたのは一人の騎士。
 されどその騎士が人々の味方ではなく害なす存在、オブリビオンである事は明白で。
 村の中央へと向かいつつ、手近な家屋に剣を一振り。
 まるでバターを切るかのようにスッと刃が飲み込まれ、壁を、柱を断ち切って。そこへ次々と連続で剣を振るえば僅かな間にその家屋は見るも無残な残骸へと姿を変えていたのである。
「守る為に戦うのだろう? 戦わぬなら、今しがた崩れたこの家のように村の全てが打ち崩される、それだけだ」
 まるで猟兵を誘うように、守りたくば力を示せと言葉を発し。
 己と戦わねば守った村を、民を容赦なく切り伏せる、そこに躊躇いなどないと告げる吸血鬼。
 発せられる圧倒的な殺気を受けて、遠方にいながらも村人達は一瞬にして恐怖に飲まれる。
「ひ、ひいっ! 無理だ、あんなやつに敵うわけがない、にげろっ!」
「やっぱり、吸血鬼さまに逆らっちゃいけなかったのよ! あああ、いやだぁああ」
「なあ、あんたら助けにきたんだろ!? だったら、何とかしてくれよぉ!」
 何とか落ち着きつつあった村人ではあるが、強者を前にしては仕方なき事。ある者は逃げ出そうとし、またある者はやはり吸血鬼には敵わぬと絶望し。
 またあるものは猟兵に何とかしてくれと懇願するという、やはり他力本願な姿勢が見て取れた。
 うろたえる村人に思う事は多々あろう、されどこれは好機でもある。
 絶対強者の風貌見せる吸血鬼、この騎士を退ければ猟兵の力を示せるというものだ。
 各々の得物を持ち、聖剣構える吸血鬼との距離を縮める猟兵達。
 ひとつの村を巡り様々な思惑が交錯する戦いは、最終局面を向かえようとしていた。
エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

さてさて、何やら仰々しく宣言しておるようじゃがやっている事はその辺りの破落戸と変わらぬのう。
能書きはよいからさっさと掛かってこい。
来ぬのならこちらから仕掛けるぞ?
まずは一定の距離を保ち、風の【属性攻撃】を付与した【追跡】する矢を射かけるのじゃ。
敵は近距離での攻撃手段しか持っていない様子、このままじっくり削っていくのじゃよ。
敵の【殺意】が強くなったら大技に注意じゃ。
【野生の勘】を研ぎ澄ましてタイミングを計り、自慢の【視力】で神速の速さの踏み込みを【見切り】高速移動で回避を試みつつ、召喚したマニトゥに襲わせるかの。
注意が逸れたら崩壊の概念を籠めたナイフで急所を狙い攻撃するのじゃ。


四季乃・瑠璃
緋瑪「戦うのは吝かじゃないけど、この侵攻の思惑くらいは教えて欲しいねー」
瑠璃「貴方が死ぬ前にね」

UCで分身

飛翔翼を展開し、敵UCの対象を絞らせない様に二人で同時攻撃。
更に予測しても回避し難い接触式・時限式ボム【鎧砕き、爆撃、蹂躙、早業】による【範囲攻撃】とK100による銃撃メインで攻撃。

翡翠は密かに気配を消しながら建物の上等の高所(もしくは上空)からライフルで狙撃【貫通攻撃、鎧無視】。
敵の意識外からの攻撃で確実に一撃を加え、攻撃後は逆に自身の存在を印象付けて要所で攻撃や牽制を掛ける事で二人を支援。

ダメージを受けても再生能力で即時再生し、自爆も厭わずカウンター。
最後はノヴァで一気に消し飛ばすよ



 村人を威圧する吸血鬼、ブラック。
 だがその押し付けるような空気を前にして飄々とした態度を崩さず村人に恐れることは無いとばかりに言葉を発する者がいた。
「さてさて、何やら仰々しく宣言しておるようじゃがやっている事はその辺りの破落戸と変わらぬのう」
 戦い求む騎士としての風貌、そして言動をしたとてその本質は先ほどまで戦い、駆逐した存在と変わらぬと言ってのけるエウトティア。
 挑発的に言葉を発する姿を見つつも眉根は動かさず、真意を測るブラックとは対照的に動きを見せたのはやはりエウトティアであった。
「能書きはよいからさっさと掛かってこい。ボーっと突っ立って、来ぬのならこちらから仕掛けるぞ?」
 出方を伺うのならば、無理矢理にでも動かすとばかりに手にした弓へと矢を番え、風を纏った一矢を放つ。
 一直線に飛来するのなら避けるは容易、身を屈めてやり過ごし、二の矢を番えたエウトティアに駆け出そうとしたブラックだったが異変を感じ、振り返りながら手にした剣を一閃。
 振るわれた刃が打ち据えたは先に放たれ、後方へと飛び去った筈の風纏う一矢。
 それは風に操られ、反転して後背よりブラックを射抜かんとしたものであったのだが本能的にその動きを察したという事だろう。
「ほほう、やるのう。じゃがな、近づけぬならばその剣技も無意味じゃろう」
「フン、味な真似を」
 二の矢、三の矢も追跡能力を持つ風纏った矢。
 飛び道具、しかも避けるだけでは再び飛来するという厄介な攻撃と認識したのかブラックは続けざまに放たれた矢を打ち払い、叩き落しながら飛び出そうとしたのだが。
 猟兵は一人で戦うものではない、その飛び出しを阻む形で二つの影が空を舞えば次の瞬間、続けざまに爆発が発生していたのである。
「戦うのは吝かじゃないけど、この侵攻の思惑くらいは教えて欲しいねー」
「貴方が死ぬ前にね」
 飛び交い爆発を巻き起こしたのは緋瑪と瑠璃、両者共に背中につけた飛翔翼を広げ飛び上がり、この程度で死んではいまいと再び投げ込む感知式の爆弾たち。
 それらが地表へ落下するより早く爆風より飛び出したブラックだったが、その飛び出しも想定済みとばかりに二人は手にした自動拳銃の引き金引いて、数多の銃弾を降らせていく。
 降り注ぐ銃弾によって次々と地面に刻まれる銃創、その中で空中向けて自慢の聖剣振り回し、銃弾をいなすブラック。
「思惑? 何のことだか。こちらはただ、お前らのような強敵と戦えれば村がどうなろうが知ったことじゃない、それだけだ」
 金属音を響かせて、迫る銃弾打ち払い。
 更には追尾する風の矢をも打ち落とし、射撃では倒せぬとばかりにその剣技を余すことなく見せ付けるブラック。
 自分にとって襲撃に深い意味はなく、ただ強者と戦えればそれで良いと嘯くが先鋒となった異形の騎士、その立ち回りからブラックの目的とは別の何かがあった事は明白。
「おふた方、あの様子じゃと本当に思慮なく来ておるぞ。子供の使いと一緒じゃて」
 最初の戦い、そしてブラックの様子から会話で意図を引き出すことは不可能と見たエウトティアが言葉を交わすは無駄だと緋瑪と瑠璃に伝えつつ、挑発しながら矢を放つ。
 近接攻撃を一切せずに距離をとっての攻撃を鬱陶しいと感じたか、はたまた安い挑発に乗って切り伏せると思ったか。
 降り注ぐ爆弾と銃撃、それらを振り切るようにしてブラックは身を屈めながら急加速、一気にエウトティアとの距離を縮めていくのだが。
 突如、戦場全体に響き渡った破裂音。
 乾いた音が遠雷の如く聞こえれば、切り込んだブラックの甲冑、その右肩部分が大きく歪み凹んでいたのだ。
「なっ!? しまっ!」
「…………また撃つよ」
 意識の範囲外から放たれた銃弾、狙撃を受けて体勢崩した瞬間に、あえて自分が狙撃したと見せ付けるように第二の銃弾放っていたのは瑠璃と瓜二つの姿持ち、自立行動していた別人格を宿した人形である翡翠。
 家屋の屋根から放つライフル弾、初撃を当てれば後は狙撃手がいると相手に警戒させて動きを制限できれば十分とばかりに発砲すれば、その狙撃を避ける様に飛びのくブラック。
 されど崩れた体勢、生じた一瞬の好機を逃す猟兵ではない。
「回避に回ったのが命取りじゃ、行くぞマニトゥ!」
 呼び出した巨狼マニトゥと共に駆けるエウトティア、先ほどまでの弓術とは打って変わっての近接戦。
 自らの体へ赤き光を纏えば彼女の速度は視認するのが困難な程に速まって、飛び退きしゃがみ、そこから再度加速して踏み込もうとしたブラックを上回る。
 前方からのエウトティア、側面からのマニトゥ、距離はマニトゥが近いものの視認した時点での速度はエウトティアが勝る。
 どちらへの対処が先か、咄嗟にマニトゥを払いのけるように剣を振るって側面からの攻撃は凌いだがその一瞬でエウトティアが懐へと入り込み、鎧の隙間へ手にしたナイフを突き立てていた。
「ぐおおっ! やってくれるな、小娘。だがそれでこそ面白い!」
 流れ込む精霊の力、そして鎧の一部が崩壊するもブラックは笑い、自らにナイフを突き立てるエウトティアを空いた腕にて跳ね飛ばし。
 ニヤリと笑い此方の番だと飛び出そうとした瞬間。
「いやいや、次の相手は私たち」
「駄目だといっても付き合って貰うからね♪」
 追撃はさせぬとばかりに飛び込んできた瑠璃と緋瑪、バラバラに飛び交うことで気を散らし、狙いを外し。
 次々と拳銃弾を発砲、更には翡翠も援護とばかりに遠方からライフルにて狙撃する。
「ハハハッ! その程度の銃撃、幾度も当たるものか」
 だがそこは歴戦の吸血鬼か、聖剣構え動きを見切り、飛び交う銃弾を紙一重で交わしつつ。
 自分を飛び越え、撹乱するように飛び回る瑠璃と緋瑪へすれ違い様に斬撃放ち、傷つけていくがそれで二人は止まらない。
「いたたっ、そう簡単にはいかないか」
「だったら、これならどうかな?」
 機動力を生かした銃撃が通用せぬなら奥の手だ、とばかりに二人が取り出したのはまったく同じ形の爆弾。
 しかしそれは単なる爆弾ではなくて、先に高めた魔力を注ぎ込み威力を高めた特注品、ジェノサイド・ノヴァ。
 先に見た爆弾とは違う、漏れ出す魔力の多さにハッとしたブラックであったがもう遅い。
 緋瑪と瑠璃が急接近、そして二方向から投げ込まれたそれは大爆発と共に飛び退き逃げようとしたブラックを爆風の中へと飲み込んで。
 爆発に伴う突風が多量の砂埃を巻き上げ、周囲へと吹き荒れるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メリー・スペルティナ
この村、日和見というより優柔不断というか人任せのが正しいんじゃないですの……?
でも、わたくし達が相手する限り、村に手出ししないのでしょう?
だったら、下手にバラバラに逃げようとして戦闘に巻き込まれでもしない限り村人の危険は後回しに出来ますわね

で、実はわたくし有効打がないので、もうこの手です
力を抜いて隙を見せますわ
殺せると踏んでこちらに殺気を向けUCが来るなら
こっちもUCで……お返しですわ!おまけで斬撃も持っていきなさい!
どれほどわたくしが無様を晒そうが、最後に猟兵が勝てばいいのですわよ!

無視されたら……クロスボウで使い捨て血晶石乱射して、破裂後に撒かれる呪詛で嫌がらせしますわ

※アドリブ歓迎です


花咲・翁
「・・・たとえ、聖剣に選ばれた騎士であろうと・・・我は例外なく罪人を裁く看守長だ・・・さあ、懺悔を魔天牢に捧げろ・・・」

自身のUCを発動し、【魔天牢の門】から無数の獄卒獣を召喚する。

「・・・どうやら貴様の聖剣は、斬った者の能力を覚え、執着する猟犬のような能力のようだが・・・運が悪かったな・・・」

つまらなそうにため息をつきながら・・・

「・・・貴様の聖剣は性質上物量に弱い・・・そして、我が獄卒獣は”魂”ごとまったく別の存在に変わる魔獣・・・つまり貴様の聖剣の天敵だ・・・」

獄卒獣による【集団戦術】な【蹂躙】で波状攻撃します。

アドリブ及び連携ともに大歓迎です。


アレクサンドラ・ヴォルコヴァ
力を示せ、か。
その言葉がどれだけの悲劇を生んだか知っているのか…。
どれだけの血が意味もなく流れたかを知っているのか!
自分の都合のために手段を選ばないどころか、ただ闘争に酔うだけの全く度し難いケダモノめ。
こいつは必ず狩らないと…!

指定UCを発動し巨狼に変身して戦いに臨む。
先手は敵にとられるだろうから見切りと獣毛を用いたカウンターで迎撃。
避ければ周囲へ被害が広がるかもしれないから多少の傷は耐えてみせるよ。僕は頑丈だからね。

敵が剣を振り抜いたタイミングでタックルによる捨て身の一撃を仕掛け、体勢を崩させたらこっちの番だ。
獣毛を槍のように尖らせ、貫通攻撃を喰らわせる!



「やって、くれたな……だがこうでなくてはな! さあ、もっと力を示してくれ」
 広がる爆風、立ち込めた砂埃の中からブラックの声がして、聖剣振るって吹き飛ばしその姿を見せ付ける。
 強烈な衝撃を受けたが故に鎧の各所が傷つき、歪みが見えるもこれで終わらぬ、まだまだ戦える、猟兵の力を見せろと宣言し、強烈な殺意を周囲に撒き散らす。
「う、嘘だろ、あれだけの爆発で……まだピンピンしてるなんて」
「な、なんとかして、くれるんだよなぁ? あんたたち」
 その殺意に当てられたのか、恐怖でへたり込む村人。
 情けなく猟兵に助けを請う姿を横目にしながら、メリーがため息と共に言葉を紡いだのはその時であった。
「この村、日和見というより優柔不断というか人任せのが正しいんじゃないですの……?」
 本質を突かれ、反論も出来ず猟兵を頼るしか出来ぬ村人はぐっと何かを飲み込むような動作をして。
 ああ、やはり人任せな村でしたわ、と納得するメリー。
 だがしかし、仲間と同じように自分も敵を引き付ければ村に手出しをせぬという吸血鬼、村人を守る為の手段は比較的容易であり。
「下手にバラバラに逃げないでくださいませ、戦闘に巻き込まれたいなら話は別ですけど」
 恐怖に負けて動き回るな、固まっているようにと言葉を発し村人の動きを統制するメリー。
 そんな彼女とは別に、敵への強き思いを抱き睨み付ける者も居る。
「力を示せ、か。
 その言葉がどれだけの悲劇を生んだか知っているのか……」
 怒りを隠そうともせず、一歩踏み出したのはアレクサンドラ。
 だが彼女の怒りなど何処吹く風か、涼しげな表情であざ笑うかの様に剣を構えるブラック。
「悲劇だと? 弱者が強者に虐げられる、それは当然だろう」
「貴様……ッ! どれだけの血が意味もなく流れたかを知っているのか!
 自分の都合のために手段を選ばないどころか、ただ闘争に酔うだけの全く度し難いケダモノめ!」
 挑発的に言葉を紡ぐブラック、対照的に怒りを隠さぬアレクサンドラ。
 如何なる手段を用いてもこの吸血鬼だけは狩らねばならぬと瞳の奥に光を宿し、押し寄せる殺意を跳ね除けて。
「……その殺意、裁きを与えるために助力しよう……たとえ、聖剣に選ばれた騎士であろうと……我は例外なく罪人を裁く看守長だ……さあ、懺悔を魔天牢に捧げろ……」
 アレクサンドラに助力すると脇から姿を見せるは翁、そして虚空に生み出されるは巨大な鉄で出来た門。
 それが開くと同時、内より飛び出すは罪人裁き、苦役与える獄卒獣。
 次々と飛び出す異形の獣を先頭に、ブラックとの戦いは第二幕を迎えていた。


「なるほど、物量ということか」
 自身を狙い飛びつく数多の獄卒獣、その牙と爪を聖剣でいなしつつ、翁の仕掛けた猛攻を凌ぎながら力を見極めるブラック。
 ただ単に物量で攻め立てる攻撃では自分を止めれぬとばかりに高速で踏み込み、動きを見切り距離を詰めるように走り出すがそれを阻む様にして別の獣が飛び掛る。
 新手が来たとて問題無い、言葉を発する必要も無いとばかりに振るわれた剣が獄卒獣の爪とぶつかるも、柄から伝わる違和感にほんの少し、ブラックの眉根が動く。
「これは……」
「……どうやら貴様の聖剣は、斬った者の能力を覚え、執着する猟犬のような能力のようだが……運が悪かったな……」
 異変を察したブラックに対し、ため息混じりに呟く翁。
 聖剣が持つ力、獄卒獣を切り伏せていく中でそれが減じていくのを感じたブラックに、己が使役す獣の特性を諭すように語りだす。
「……貴様の聖剣は性質上物量に弱い……そして、我が獄卒獣は”魂”ごとまったく別の存在に変わる魔獣……つまり貴様の聖剣の天敵だ……」
 剣技のみでのし上がり、聖剣が持つ力によってより高みへと至っていたブラック。
 対して繰り出された獄卒獣は魔なる力を宿し、更には切り伏せられようとも次々と新手を繰り出す物量作戦。
 聖なる力と魔なる力がぶつかり合い、少しずつその力が中和され戦闘力を奪っていたならば。
 後に残るは単純な、剣士としての力のみ。
「やってくれたな、と言いたいが。所詮は獣、聖剣を封じたとて何になる」
 剣より感じる力が失われたとて自らの技量に影響なし。
 飛び掛る獣を蹴り上げ、迫る腕を打ち払い、一気に踏み込むブラックだったが更なる獣が姿を見せる。
 しかしその獣は獄卒獣ではなかった。
「……ああ、言い忘れたが……貴様を狙うのは獄卒獣だけではない……」
 新手の獣は別物だぞ、とばかりに言葉を紡ぐ翁、その言葉通り新たに飛び込んだのは異形ではなく洗練された体躯を持ちつつ、赤き血涙流す巨大な狼だったのだ。
 先ほどまで切り伏せた獣とはまったく違う、それでいて強き力を感じる狼、それはアレクサンドラが変じた大狂狼であるヴェーレスで。
「オォオオオオオォォォ!!」
 雄叫びと共に飛び掛るヴェーレス、それと同時に繰り出したブラックの剣が鋭き光を虚空に走らす。
 速度の面ではブラックが上、狼の体躯に打ち込まれ、骨を断ち切り両断するはずの強烈な一撃であったのだがその斬撃は皮膚を切り裂くに止まっていた。
 何故か。それはヴェーレスの体毛が瞬時に刃の如き剛毛へと変化して、断ち切られつつもブラックの斬撃の勢いを大きく減じていたのである。
 だが踏み込みからの一撃では無いと、次々と剣を振るい連続攻撃を仕掛けるブラック。
 その攻撃を避けず、自身の頑強さを活かして周囲への被害を食い止めていたヴェーレスが反転攻勢、切り付けられながらも強引な体当たり。
 頭部を斬られ、額より血を流しつつもブラックの胴部へと渾身のタックルがブチ当たり、たまらずよろけた好機を逃さぬとばかりに次なる一手。
「ガァアアアア!」
 戦う中で理性を失い、より凶暴さを増して吼え、体毛をより合わせて前方へ槍の如き形を作って二度目のタックル。
 あるのはただ、眼前の敵を滅ぼすという明確な殺意のみ。
 四肢に力を込め、躊躇い無く飛び込んだそれはブラックの甲冑を貫いて深々とその体へと突き刺さる一撃となっていた。
「ぐおおっ! はははっ、これだ、この感覚こそ求めたもの!」
 思わず膝つきそうになりながら、昂ぶる感情を抑えきれずに叫ぶブラック。
 刺さったヴェーレスを跳ね飛ばすように剣を振るい、貫かれた甲冑の穴へと手を当てて。
 流れ出す血液をその手に感じ、されど強敵との戦いに心を揺らし歓喜の笑いを浮かべていたのである。
 だがその歓喜に水を差す猟兵がいる。
「喜んでいる所悪いですけど、貴方を滅ぼさないといけませんの」
 呆れたように呟いたメリーが手にしたクロスボウから矢を放てば、先端に仕込まれた血晶石が着弾寸前で砕け散り、周囲に呪詛を撒き散らす。
 歓喜の時を邪魔された、ならばと周囲に満ちる呪詛を剣振るって打ち払うブラック。
 しかし今、自らの命がどうなるかもわからぬ強敵との戦いに高揚する気分は隠せないのだろう、歪んだ笑みを浮かべメリーを見る。
「滅すと言うが、どうする? 構えもせず倒せるとでも?」
 挑発したというのにだらりと両腕下げて、隙だらけのメリーを見て如何なる形で自分を楽しませてくれるのか、とブラックが問いかけて。
「あら、怖いのかしら? 仕掛けてみればとても楽しめますわよ」
 攻撃すれば其方が望む、面白いものが見れるとメリーは嘯く。
 ならば見せてみろと踏み込むブラック、それは常人には見えぬほどの神速の踏み込みで。
 瞬きする間に間合いに入り、無防備なメリーへと斬撃が繰り出されるがこれこそ彼女が望んだもの。
「ふふ、その程度の攻撃、まったくダメージなんてありませごぶはっ!」
 幾度も繰り出された連続の斬撃、されどその全てが彼女を傷つける事は無く。
 されど途中で盛大に吐血、吐き出されたそれを受けたブラックはこれ以上の攻撃は危険とばかりに大きく後方へ飛び退けば、彼が立っていた場所を撫でる血の刃。
 ほんの一瞬飛び退くのが遅れれば、体へ致命の一撃が刻まれていたであろうタイミングであった。
 だがしかし、斬撃を避けれたとはいえ受けた吐血が問題だった。
「チィ、面倒な……」
 体を蝕む呪詛、血を浴びた甲冑から染み渡るように広がっていくそれを感じブラックはメリーを見遣る。
 そこには先ほどと同じく脱力し、盛大に吐血した口元拭うメリーが立っていたのである。
「上手く避けましたわね。まあどれほどわたくしが無様を晒そうが、最後に猟兵が勝てばいいのですわよ!」
「その考えには同意しよう、如何に良い戦いをしようとも倒されれば無意味だからな」
 戦闘中の吐血、それを武器にするという見たものによってはなんとも情けないと感じる光景。
 無様と罵られようとも、最後に勝利すれば良いという考えにブラックも同意を示し、危険を顧みず攻撃誘った度胸を褒める。
「危険を承知で、それをする為に攻撃を誘った度胸は見事、だが二度も同じ手は通じんよ」
 呪詛に体が蝕まれ、また聖剣の力も減じているというのに全く戦意は衰えず。
 むしろ自身を様々な手法にて追い込む猟兵の立ち回りに歓喜して、このまま自身を倒しきってみせよとばかりに再び攻勢へと移るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
≪華組≫


『聖笄』で光学迷彩を纏って目立たなくなり
暫くは第六感と聞き耳で敵の動きを情報収集し見切り回避

正確な位置が分からなければ
当て難いでしょう

燦が仕掛けるタイミングで
追跡誘導弾によるスナイパーで敵の足を貫通する部位破壊攻撃で援護射撃


戦後
【復世】で破壊された家屋を復元し
怪我人も癒して
猟兵が戦うだけでなく人々を守る事ができる存在だと知らしめる

私達は力を示しました
今度は皆さんの番です

風に吹かれるだけの草でいるか
より良き未来を得る為抗うか

吸血鬼の支配体制が揺らぎ
動乱の時代が迫る今
皆さんの日常も変らずにはいられません
ただ
未来を皆さんにとって好ましい方向に変えられるかは
皆さん次第です

どうか悔いの無い選択を


四王天・燦
《華組》

反撃しない家屋への攻撃なんざパフォーマンスさ
証明するんで声援夜露死苦

名乗りは不要
アタシと死合うには役者不足だよ

アークウィンド抜いて前衛に立つ
ちまちまと風属性攻撃の衝撃波を伴う斬撃を浴びせる
むしろ武器受けなどで防御重視で剣を見切るよ
殺意が向いたら残像を斬らせておく

盗みの剣が完成したら鞘ごと神鳴を構えるぜ
『避けられるか』に対し『当てられるか』と返す

村人に寸避けを披露しながら力溜め開始
声援を寄越せ
吸血鬼を―理不尽を拒む意志を声にしろと煽るぜ

抜刀一閃『奥義・電刃居合い斬り』で聖剣諸共に斬る
アタシ流のパフォーマンスだ

恐怖が吸血鬼をより強く見せるのさ
実態が見えたなら少しずつでも恐怖に勝って欲しいね


火土金水・明
「同じように剣で戦ってもいいのですが、ここは魔法で戦わせてもらいます。」「お互い、得意な攻撃の方がいいでしょう?。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】で、『聖剣使いの吸血鬼・ブラック』を攻撃します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



 全身を巡る呪詛を吹き飛ばすように剣が振るわれ、万全ではないにしろブラックの体は動く。
 所々破損した鎧を触り、感触を確かめながら掌見つめて握りこみ、それをゆっくり開きながら呼吸を整え前を見る。
「さあ、倒すならあと一息だぞ? もっとも、そう簡単に倒されるつもりもないがな」
 猟兵達に後一押しだぞと挑発しつつも、戦意劣らず踏み出して、先の戦闘にて破損して崩れた家屋の瓦礫を切り飛ばし突撃するブラック。
 守りを捨てて切り込む相手、ならば此方も全力で応戦するとばかりに燦が村人を背にして声あげて、その進軍を阻むべく飛び出していた。
「反撃しない家屋への攻撃、追い込まれても余裕を見せるなんざパフォーマンスさ。証明するんで声援夜露死苦ゥ!」
 抜刀するはブラックの振るう聖剣に比べ短く頼りない、村人にはそう映る短剣のアークウィンド。
 されどそれは風の祝福施され、一振りで旋風すら巻き起こす逸品。
 直接的な切り結び、それをやるには誰かの思惑で踊るブラックでは役不足とばかりに振るう刃が巻き起こす衝撃波。
 接近させまいと次々と地面を削り、それらはブラックの甲冑を傷つけるもその程度では止まらぬと更なる加速。
 視認する事が困難な程の高速で踏み込み、振り下ろされる聖剣の一撃。
 咄嗟に翳すアークウィンドが受け止めれば、村人にはブラックが消えたと思えば金属が打ち合い飛び散る火花、甲高き金属音と共に燦の目の前に現れた様に見えただろう。
「あの様な連中に何の価値がある。守る闘いなど止めて全力で仕合おうではないか」
「ハッ、言うね、けど駄目だ。アンタが追うあの様な連中、ってのに目を覚まして貰う為、こっちはやってんのさ!」
 ギリギリと押し合う両者の刃、互いに相容れぬ考えだと言う事を証明するかのように旋風が巻き起こり、残念だとばかりにブラックが眉を顰めて力任せに聖剣振るい燦を大きく跳ね飛ばす。
 村人を守るならば追撃の命中は必至、飛びのき避ければそのままブラックが戦闘を見守る村人へと切り込める最悪の状況。
 だがその攻勢を阻むかのように、横合いから数多の凍てつく氷の矢が降り注ぎ両者の間を一瞬にして隔てていた。
「おや、踏みとどまりましたか。そのまま進めば針鼠のようになったのですが流石ですね」
 踏み込んでいれば射抜かれていたブラック、寸前で踏みとどまって攻撃を避けた姿を感心しながら眺めつつ、されど挑発的に言葉を紡ぐは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)
 思案するようにウィッチハットの鍔触る彼女の周囲には先ほど放たれた氷の矢と同じ物が無数に浮遊、合図があればこれは即座に撃ち出されるだろう。
「勝負に水を差すか……」
「いえいえ、そんなつもりはありませんよ、ただ私とも勝負をして貰おうと思いまして。
 同じように剣で戦ってもいいのですが、ここは魔法で戦わせてもらいます。全力での戦いならばお互い、得意な攻撃の方がいいでしょう?」
 選択迫った状況が一遍、燦が体勢立て直すのを見届けながらブラックが呟けば、仲間の援護を是とした明が相手の気を引く為に言葉を紡ぐ。
 挑発していた燦が攻めではなく守り、防戦主体であったのには意図があると踏んだ明が互いの全力勝負だとブラックを戦いの土俵へ無理矢理引き上げるかのように、手にした杖を一振りすれば浮遊する数多の矢がブラックを射抜かんと飛び出して。
 邪魔をするなら其方が先だ、とばかりに飛来する数多の氷矢。それらの軌道を瞬時に見切って自身に刺さるものだけを最低限の防御、つまりは聖剣による打ち払いで砕きつつ、ブラックは明を狙い走り出す。
「得意分野でのせめぎ合い、賛成できるな。ならばこの剣を阻んでみせよ!」
 一歩ごとに聖剣振るい、それと同時に数本の矢が砕け散りブラックが明へと急接近。
 バックステップ踏んだ明であったがそれより早く間合いに入り、躊躇いなく振るわれた聖剣が明の体に吸い込まれるがそれはまるで手ごたえなくて。
 振り抜かれたと同時、切り裂かれたはずの明が姿を消せばほんの数十センチ、いわば一歩分だけ後ろに下がり剣の間合いから逃れた明の姿がそこにはあった。
「残念、それは残像です」
「だが二度目は無いぞ?」
 より時間を稼ぐ為、あえて更なる攻撃誘発するかのように明がクスリと笑えば挑発に乗る形でブラックが再び踏み込み、返す刃で斬りつける。
 流石にこの攻撃までは凌げぬと浮遊する氷の矢をかき集め、簡易な盾の形に組み上げて。
 さらには全身にオーラ滾らせた明の目には氷矢の盾を断ち切って迫るブラックの聖剣が飛び込んで、オーラの守りを切り裂きながら彼女の体へ一筋の傷を刻み込んでいたのであった。
「やりますね、結構危なかったですよ」
「貴様こそ、今ので殺すつもりだったがよく耐えたな」
 肩口から腹部まで、斜めに走った傷口押さえて飛びのいた明が呟き、ブラックも殺すはずの一撃を不完全とはいえ凌いだ事を評価して。
 互いを賞賛し合っていれば燦が望む時間稼ぎは十分。
「お取り込み中悪いが、こっちとの再開頼むぜ。さあ、アンタら! 声援を寄越せ、吸血鬼を―理不尽を拒む意志を声にしろ!」
 不敵に笑い燦が村人鼓舞しつつ、今度は鞘に入ったままの日本刀、神鳴構えて踏み出せば。
 最初は小さく頼んだぞ、といったものだった村人の言葉が。
 頼む、いや、やってくれ、負けたくないと大きくなって。
「流される小人どもの意思が何になる、そんなものを背負った程度でこの刃、避けられるか」
「ハッ、いうね、じゃあ当てられるか?」
 瞬時に踏み込み袈裟懸けに振り下ろされた聖剣、その一撃を上体僅かに傾けて、斜めに逸らしギリギリで回避。
 交錯した両者が互いに反転、二度目の勝負とばかりに飛び出したその刹那。
 パァンと響くは乾いた銃声、されど横槍の銃撃などは慣れっことばかりに音と殺気から逃れる様にブラックが飛び跳ねるように踏み込みを大きくし、放たれた銃弾を回避した……はずだった。
「がっ!? 軌道がずれた、だと!?」
「正確な位置がわからなければ、気配だけで避ける。見事でした、けれど」
 見えぬ場所から響く声、それは自らの姿を景色に溶け込ませ攻撃控え、この攻防を見守りつつ。
 相手の癖、動き方を見て攻めるべき最良のタイミングを計っていたシホのもの。
 通常の銃弾ならば先の跳躍するかの踏み込みにて避けられただろうが、手の内を最後まで隠しまた攻撃をギリギリまで控え好機を待った銃弾は誘導し、相手を追跡するもの。
 緒戦にて追跡する矢を受けてはいたが、同時に受けた銃器による攻撃は直線的なもの、つまり軌道をずらし追い立てる物は矢、銃弾はそこまで機能しないと刷り込まれたか発砲音と共に放たれた攻撃への対処が最小限だったのが命取り。
 大腿部、甲冑にて守られていない部位を貫く銃弾受けて勢い減じたブラックには次に迫る猟兵の攻撃凌ぐは不可能で。
「燦、任せました」
「ああ、任されたぜ、おりゃあああああ!」
 同化していた背景より姿を見せたシホが託せば、村人から受けた思いにシホよりの信頼を上乗せし、燦が手にした神鳴を抜刀。
 裂帛の気迫でもって振り抜かれたそれは紅き雷光迸らせて、ここまでの戦闘にてダメージが蓄積していたブラックの聖剣を断ち切り、そのままの勢いでもってブラックの体へその刃が吸い込まれる。
 確かな手ごたえ、そして両者が二度目の交錯終えた瞬間にブラックは深く膝つき、その胸部より夥しい量の鮮血が噴出して。
「み、見事だ……ふ、ふはは、面白い、実に面白い戦いだったぞ、ははは、は……は」
 最後の最後まで強敵との戦いを楽しみ抜いたその姿が徐々に薄れていけば素晴らしい連携でしたとばかりに明がパチパチと手を叩き、その間にブラックの姿は完全に消滅。
 ここに反抗組織において重要な中継地点、そこを狙った吸血鬼の襲撃は完全に阻止される事となっていた。


「立てますか? はい、無理はせずに、です」
 吸血鬼勢力が駆逐された村の中、逃げ遅れ家屋に閉じこもっていたり怪我した村人を見つけ、一同が集まる場所へと誘導していたのは明。
 その先ではシホが自らの持つ癒しの力、それによって怪我人を治療していたのである。
「逃げ遅れた方々ですね、ありがとうございます。では」
 誘導された村人を視認して、自らのユーベルコードにて治療を継続するシホ。
 放たれた光は怪我という欠損を埋めるかの様に、村人の傷を瞬時に癒し。
 また、破損した家屋にも光の力は及び、吸血鬼勢力が破壊した家々も往時の姿を取り戻しつつあった。
 癒しの力をあえて眼前にて披露すること、それは人々に猟兵がただ戦い恐怖を退ける、いわば吸血鬼よりも強力な暴力組織ではなく。
 人々を守り、癒し、そして未来へ進む為の力を持つ存在であると知らしめる意味もある。
 感嘆し、猟兵達の言葉に耳を傾ける姿勢が整った、今こそ立ち上がる様に語る時とシホが口を開いていた。
「私達は力を示しました、今度は皆さんの番です。
 風に吹かれるだけの草でいるか、より良き未来を得る為抗うか……」
 猟兵の力、攻める力と守り、癒す力。全てを見せて。
 そして村の方針であった、日和見であり、また優柔不断、人任せとも断じられる生き方のままなのか。
 はたまた今、周囲の村々が見せる抵抗の姿勢を語り。
「吸血鬼の支配体制が揺らぎ、動乱の時代が迫る今。皆さんの日常も変らずにはいられません」
 吹き荒れる嵐が通り過ぎるまで、家に篭って待ち続ける。
 そんな事は出来ないと、変容する世界の流れをやり過ごす事は出来ないと諭しつつ。
「ただ。未来を皆さんにとって好ましい方向に変えられるかは皆さん次第です。
 どうか悔いの無い選択を」
 今までどおりに吸血鬼に従い、機嫌をとっても玩具のように、また気まぐれで生かし殺される、そんな中でどうにかして殺されぬ様にと心を砕く生活なのか。
 はたまた、反抗の狼煙を上げて各地で巻き起こる、いわば解放運動に賛同し、吸血鬼の支配から逃れる道を目指すのか。
 前者は吸血鬼の性質次第で楽な答えが見える、いわばホツレを裁縫せずにピンで留めるピンの道。
 後者は戦い、命を落とす危機が高いもホツレを縫い合わせる、針と糸による針の道。
 苦しくとも禍根を残さぬ道なのか、はたまた危うきバランスの上で平穏を、安寧を受け取ろうとするのかを選ぶのは村人次第。
「ま、難しく考えなさんなって。恐怖が吸血鬼をより強く見せるのさ」
 重苦しい空気となった村人たち、その空気を少しでも軽くしようと燦が努めて明るく言葉を発する。
 だがその奥には、実態をしっかりと見極めて、少しずつでも恐怖に打ち勝ってほしいという願いが込められている。
 激戦を終え、また傷ついた人々が癒され家々も修復された村。
 その村人たちが如何なる道を選ぶかは、また次の物語にて示されることだろう……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月08日
宿敵 『聖剣使いの吸血鬼・ブラック』 を撃破!


挿絵イラスト