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イマジネイション・クリエイション

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #機甲戦乙女ロスヴァイセ #アリスナイト

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●想像力100、創造力0
 想像力なんてなければよかったのに、とラシャは思った。
 想像力がなければ、笑われることもなかった。
 ラシャは絶望的に「創造」力がなかった。
 素敵な物は思い浮かぶ。しかしそれを形にすると、どうしても歪む。
 愉快な仲間達は、楽しい、楽しいと笑ってくれた。馬鹿にされている気がしていた。
 だからラシャは今日も一人、俯いていた。

●殺意の泉
 金の斧、銀の斧、どちらも高価なものなのに、使わないのはもったいない。
 木を切りますか? それとも、首を切りますか?

●アリスラビリンス・3rdラウンド
「アリスナイトさんがピンチです! 助けにいきましょう!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が声高に事件を告げると、猟兵が次第に集まってくる。見慣れた光景だ。
「『アリスラビリンス』の不思議の国で、アリスナイトのラシャさんがオウガに殺される悪夢を見てしまいました! このオウガは、想像力が膨大なラシャさんを殺すことで強大なオウガを生み出そうとしているんです!」
 ラシャがオウガになってしまったら、不思議の国は壊滅だ。ラシャの命を守るためにも、事件の解決が望まれる。
「ですから皆さんには不思議の国へと向かってもらって、ラシャさんを助けて頂きたいんですが、今回やってくるオウガ『泉の女神』は、通常ユーベルコードの他に超高速狙撃ユーベルコード『グローリアビート』というものを使ってきます! これは如何に皆さんが強くとも防ぐことができず、ラシャさんに『アリスナイト・イマジネイション』で自分の身を守ってもらわなければなりません!」
 ラシャと協力してオウガに挑むことになる――が、そこには一つ問題があった。
「ただ、ラシャさんはトラウマを抱えていて、今は想像力が上手く制御できない状況にあります。そのトラウマとは『自分が作ったものを笑われた』ということのようです。自分が頑張って作ったものなのに、笑われたらきっと辛くて悲しいですよね。それで、ラシャさんは何かを作ることをやめてしまったんです」
 ラシャがトラウマを克服するためには、「何かを作る」ということの楽しさをもう一度思い出してもらえば良いだろう。
「なので皆さんにはオウガと戦う前に、まずラシャさんのトラウマ克服のお手伝いをして頂きたいんです。何をするかというと、お菓子の家作りです! お菓子の家は夢がありますからね! それで何かを作る楽しさを思い出してもらえれば、オウガにもきっと勝てると思います! どうかよろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 宇宙から帰ってきました。

●フラグメント詳細
 第1章:日常『みんなで作ろう!お菓子の家』
 ラシャ(12歳の少女)と一緒にお菓子の家を作り、物作りの楽しさを思い出させてあげてください。
 材料は愉快な仲間達が運んできてくれるので、どうぞお好きなものを。

 第2章:ボス戦『泉の女神』
 斧で戦う女神様です。
 超高速狙撃ユーベルコード『グローリアビート』は超高速斧ぶん投げです。
 ラシャを狙撃し続けるので、ラシャ自身に防いでもらうしかないです。

●MSのキャパシティ
 気分で進めます。プレイングはお早めに。
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第1章 日常 『みんなで作ろう!お菓子の家』

POW   :    柱や壁など、大きなお菓子で基礎になる部分を作る。

SPD   :    机に椅子に食器棚、室内の家財道具もお菓子で作ろう。

WIZ   :    砂糖菓子のガラス窓やチョコペイントの塗装など、外装部分の繊細な作業を。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

樹・怜惺
さらさちゃん(f23156)とー。
自信無くしちゃったかー、そーゆーのは自分が吹っ切らないとならんしねェ、まあ、行動あるのみって感じじゃね?
何々、まずお菓子の家作れって?了解っさァ、任せときんさい!
俺が土台辺り担当しよっかね。
こまけー事苦手だし、こーゆーのは男の役目っしょ。
形はUCも使いつつきっちり仕上げてくぜー。
ラシャには好きな形の飾りや家具を作ってもらう事から始めてもらおっかな。
そっちはさらさちゃんに手伝ってもらってさ。
考えたらさァ、世界に一つのオリジナルでオーダーメイドじゃん、最高っしょ!
それにめっちゃ上手いじゃん。すっげェ、オレは同じよーにはぜってー出来ねーわ。


樹・さらさ
怜惺(f31737)と。
ラシャ嬢は自信を無くしているのか。
想像の力があるだけでも凄い事なのだが…どう言えば納得して貰えるのだろうね。
とりあえずはお菓子の家を作る、か。
私も得意ではないが、協力すればきっと良いものが作れるだろう、君の力を貸してほしいと素直にお願いするよ。

さて、実際の作業は…力仕事は怜惺に任せるとして、ラシャ嬢を手伝う事にしよう。
椅子や机にはアイシングでレースをかけてみたり、小さな花を生けた花瓶を作成してみたり。
頭の中の完成図を共有して貰えれば手を貸すことは容易だろう。
出来るだけ本人に作業をしてもらって、自信を回復してもらうのが良いかな。
彼女の発想は素晴らしく、美しい。



●レゾンデートル
 ラシャはぼんやりと自分の両手を見つめていた。
 この手は何のためにあるのだろうか、と。
 朝、起き上がるため。顔を洗うため。ご飯を食べるため。尤もらしい理由はあるが、それでは満たされない。
 もっとたくさんしたいことがあるはずなのに、それができない。するのが怖い。
 そんな自分は空っぽな気がした。必要とされない、透明人間みたいな存在。
 地面に座り込んでいたラシャは、ぺたん、と大の字になった。そのまま空気みたいに今日もきっと過ごすのだろうか――いや。
「ラーシャっ」
 ひょこ、と逆さまにラシャの顔を覗き込む樹・怜惺(Guardiano della Dea Verde・f31737)。目が合うと、ニカッと笑った。
「ああ、すまないね、怜惺が驚かせてしまって」
 目をぱちくりするラシャに樹・さらさ(Dea della guerra verde・f23156)が横から詫びる。突然の来訪者。ラシャは状況がよく呑み込めていなかったが、ひとまず体を起こした。
「私に、何か……ご用、ですか?」
「そうそう、ラシャに手伝ってほしいことがあるんだ。一緒にお菓子の家作ろうぜ!」
「私はこういうのがあまり得意ではないのでね……君の力を貸してくれないかい?」
「私が……お手伝い?」
 ラシャは空気みたいに過ごしてはいられなかった。その両手は、二人の手を取るために必要だったのだ。

「よっしゃ、さらさちゃん、まず何をすればいい?」
「そうだな……何事も基礎が必要だ。怜惺は土台作りを。私はラシャ嬢を手伝う事にしよう」
「了解っさァ、任せときんさい! ならラシャが作るのは、好きな形の飾りや家具とかだな。頼むぜ!」
「わかり……ました」
 周りでは愉快な仲間達がせっせと材料を運んできてくれる。怜惺の元へ運ばれてきたものは土台用とあってどれも両手で抱え上げなければならないほど大きく、お菓子と言えどなかなかの重労働だ。
 怜惺はスティッククッキーでまず大枠を組むと、その中にウエハースを敷き詰めた。そして上からクリームを均等に塗り、大判のビスケットを乗せて貼り付け、がっちりとした土台を完成させる。
「壁、壁はどうすっかな……っと、いいのあんじゃーん」
 材料の山の間を歩き回り、見つけたのは直方体のチョコレートだ。カラフルな色合いは、きっとレンガ状に組んでいくと見栄えがいい。
 怜惺はサイキックエナジーを利用してチョコレート集積場から運び出し、壁を組み上げていく。高いところも何のその。
 他方、さらさはラシャと共に家具作りを進めていた。
「次はテーブルだ。ラシャ嬢、どんなものがいいか、何かアイデアはあるかい?」
「テーブル……ハート型の……」
「ハート型か……ラシャ嬢が想像しているそのテーブル、私にも教えてくれないかな?」
「でも……」
 ラシャは躊躇っていた。絵を描けば、思い浮かべた形は全く別物のように歪んでしまう。ちゃんと伝えられる自信はない。
 口を閉ざしてしまったラシャ。さらさはここで一歩踏み込み、ラシャの想像力を引き出してあげなければ、と考えた。ラシャの発想は素晴らしく、美しいものだという気付きが勇気を与えるのだ。
「ラシャ嬢、テーブルの詳細な構造を言葉で教えてもらえないだろうか。ハート型というのは……テーブルの天板かい?」
「そう……」
「脚は何本ある?」
「脚は……3本」
「それは何処に付いている?」
「ハートの……左右の上の、丸くなってる部分……それに、下の尖った部分」
「色は? デザインは?」
「色はピンクで……銀色の縁取りがあって……」
 ラシャの言葉は明快だった。さらさの頭の中にテーブルの構造が鮮明に現れる。
 可愛らしいテーブルだ、とさらさは感心していた。そして同時に、ラシャは形として出力することができないだけで、言葉という形のない情報ならきちんと伝えられるのだ、と気付く。
「なるほど……素敵なテーブルだね。早速材料を集めてこよう」
 さらさとラシャは積み上がった材料達を眺めて回り、必要なものを愉快な仲間達に運ばせる。ハート型のクッキーに筒状クッキー、イチゴクリームに銀のチョコレートスプレーなどなど。
 組み立てもまずはラシャに自分で行ってもらうことにした。その間にさらさは横で花瓶作り。球形のチョコレートを少し削って平らな底面を作り、その反対側から穴を開けて、中をくり抜いていく。
「これで、どう……ですか?」
 ラシャがテーブルの形を組み上げ、さらさに尋ねてきた。脚の位置は想像とは少し異なっているように見えたが。
「なかなかいいんじゃないかな。怜惺、ちょっと」
「ん、どしたー? ……おっ」
 さらさに呼ばれてやってきた怜惺はラシャの作ったテーブルを見るなり、目を細めながらぐるりと一周見て回る。
「ほーほー、めっちゃ上手いじゃん! ちゃんとガタガタせずに立ってるし、何処から見てもきれいだし。世界に一つのオリジナルでオーダーメイドじゃん、最高っしょ! すっげェ、オレは同じよーにはぜってー出来ねーわ」
「そ、そう……?」
 怜惺のべた褒めでラシャは少し嬉しそうに微笑む。自分では失敗のように見えても、他人から褒められればそれは自信に繋がるのだ。
「ああ。ラシャ嬢、君の発想からこれほどまでに素晴らしいものが出来上がるんだよ。何も恥じる必要は無い。テーブルのアイシングは私がやろう。ラシャ嬢にはもっと色々な飾りを作ってもらわなければならないからね」
「そうそう、世界に一つのお菓子の家、作っちゃおうぜ? 俺も頑張るからよ!」
「……はい!」
 ラシャの返事は、今までで一番元気のあるものだった。

 そうして完成した、三人のお菓子の家。煙突付きの屋根に、壁は色とりどりのチョコレートで組み上げて小窓を付けた。ドアを開ければビスケットの床に、クッキーで作った椅子とテーブル。壁には時計にちょっとした絵画、そして屋根の煙突は部屋の暖炉に続いている。
「できた、私の……うぅん、皆の、お菓子の家」
「あぁ。ラシャ嬢の力がなければ、ここまでの物は作れなかった。ラシャ嬢の『創造』力がこのお菓子の家を形にしたんだ」
「……ありがとう、ふふっ」
 ラシャの笑顔は、不思議の国の太陽のように輝きを取り戻していたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルマニア・シングリッド
ラシャさんの気持ちは
少しわかりますね

私の主達の中には
物作りが下手な方も居ましたので

例えば
こんなのとか
(我ハ古キ書ノ一篇ナリから壊滅的な人物画が描かれたお菓子が現れ、壁にペタリと貼る


ラシャさんも
この紙を使ってみますか?

空想……つまり想像力のみで
様々なものが具現化できる、私の魔術の媒体なので


ここでUC発動
ラシャさんが想像したものを直接、具現化致しましょう
その後の表現もラシャさんの想像の意のままに


……空想は
実際に表現しようとすれば
どうしても歪む所があります

創造力は
今からでも鍛えられます
このお菓子の家の様に

空想召喚師たる私が保証します

UCで
粉砂糖の雪を降らせて
お菓子の家のアクセントに


アドリブ
絡み歓迎



●創造は天賦ならずとも
「ラシャさんの気持ちは少しわかりますね。私の主達の中には物作りが下手な方も居ましたので」
 アルマニア・シングリッド(世界≪全て≫の私≪アルマニア≫を継承せし空想召喚師・f03794)はラシャの心に寄り添うように話しかける。
「例えばこんなのとか」
 アルマニアは取り出した手帳「我ハ古キ識者ノ記憶ナリ」を開くと、静かに意識を手帳に送り込む。すると白紙のページにすぅっとあぶり出しのように絵が浮き上がった。人物画が描かれたお菓子のようだが造形は壊滅的に崩れており、人物であることを説明してもらわねば何が何やら。
 アルマニアは絵が浮かんだ紙を手帳から剥がすと、今し方作られたお菓子の家の壁にぺたりと貼る。
「ラシャさんもこの紙を使ってみますか?」
「え……いいんですか?」
「どうぞ。空想……つまり想像力のみで様々なものが具現化できる、私の魔術の媒体なので。想像力豊かなラシャさんにこそ、使ってほしいんです」
 ラシャは差し出した手に手帳を受け取る。真新しいページをじっと見つめ、もやもやと浮かぶイメージを洗練し、明確な形にする。先に作った物とはちょっと違った。ロールケーキを丸太に見立てたログハウス。
 ラシャがイメージした図は寸分違わず手帳に写し取られ、綺麗な形で絵になった。それはラシャが自分の手で作っただけでは絶対に出来ないような、完璧、完全なお菓子の家。
『我が力籠めし虹の書よ。我が想い描きし幻想をここに現し給え。サモンっ!』
 絵が浮かんだのを見届けて、アルマニアは想像を形ある幻想へと変えていく。ラシャが作り出した想像が紙から飛び出し、でん、とラシャの背後に鎮座した。
「……空想は実際に表現しようとすれば、どうしても歪む所があります。ですが――」
 アルマニアは手帳から粉砂糖の入った篩を作り出し、ラシャが作ったお菓子の家に振りかけていく。きめ細かいパウダーは粉雪のように。景色は一瞬にしてクリスマスだ。
「創造力は今からでも鍛えられます。このお菓子の家の様に」
「こんなお菓子の家……私も、自分で作れるようになりますか?」
「もちろん。空想召喚師たる私が保証します」
 笑むアルマニアには自信が溢れる。他人から認められれば、自ずと自信がついてくるもの。それがラシャの創造力の糧になればとアルマニアは願っている。
 ラシャの目の輝きは、生きる意味、存在する意味を取り戻したようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『泉の女神』

POW   :    あなたが落としたのは、この金の斧ですか?
【距離を無視して首に迫る一撃】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【金の斧】で攻撃する。
SPD   :    それとも、銀の斧ですか?
【亜空間】から【銀の斧】を放ち、【四肢を斬りつけること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    それとも…
自身が装備する【あらゆる斧】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●栄光乱舞『グローリアビート』
 泉の女神は問う。
「金の斧ですか? 銀の斧ですか? それとも、こちらの普通の斧ですか?」
 正直者も嘘つきも、辿る結末は同じ。
「では、あなたには――これで首を斬り落として差し上げましょう」
トリグラフ・ヴォルフォロメヴァ
斧も首もくれてやる、その代わり楽しませてくれ!戦いの中でのみ生を感じるんだ!

有無をいわさぬ【怪力】で暴れ回る、敵を認識する必要はない、目で見えるものは全てを破壊し尽くしてやる、攻撃も避けずにただ真っ直ぐつっこんで【捨て身の一撃】を叩き込んでやるUCも合わせて思う存分蹂躙しよう



●狂気の遥か上を征く
 生きるって何だ? 呼吸して、メシ食って、眠ったら次の日になって、それで生きてるってんならクソ食らえだ。
 私はいらねぇ。そんな「人みたいな」生はいらねぇんだよ!
 戦いだ。私が求めてんのは戦いだ。戦え! 私と戦え!


 トリグラフ・ヴォルフォロメヴァ(スマイル貴公子・f02855)の有様は最早人ではなく、猪突猛進と言うにはあまりにも粗暴。鷲のように爪を立て、肉という肉を引き裂き、骨という骨を砕かんとするその姿は人の心を失いしバーサーカーだった。
「戦え! 戦えぇぇっっ!!」
 目に付くもの全てに襲い掛かる。それは共に戦場に立つラシャとて例外ではなかった。トリグラフは振り上げた腕を鈍器のように叩きつけた。
 だが爪は弾かれる。アリスナイト・イマジネイションは力を信じる限り無敵。見目は随分と歪であっても、その効果に偽りはない。
「て、敵は、向こう……」
 ラシャは耐える。歪な鎧は掴みどころも多い。トリグラフが指を差し込み強引に剥ぎ取ろうとするが、ラシャは信じて耐え抜いていた。
 自分の力とトリグラフの力、そのどちらとも。
「よくわかりませんが……この隙に」
 泉の女神はトリグラフの行動に戸惑っていたが、ラシャを殺す大きなチャンスでもあった。ラシャに向けてグローリアビート――超高速の斧を投擲した。
 目で追えぬほどの速度で飛来した斧は回転しながら鎧に突き刺さる――が、やはり弾かれ、斧はそのまま流れて消えた。無敵の鎧で固められたラシャは強い。
「どこかに斧が通る部分は……」
 泉の女神はラシャの側面から背後へと回っていく。だが、それがまずかった。トリグラフの視界に入ってしまったのだ。
「では、もう一度――」
 再びの斧投擲がラシャに放たれた。亜光速に到達する一閃は、しかしラシャが強固に守り抜く。ガツンと響いた金属音と共に斧は空へ弾かれていった。
 その瞬間、トリグラフの意識の矛先がスイッチした。目の前の「何もしない奴」より、向こう側にいる「何かした奴」のほうが戦い甲斐がある、と。
「お前……私と、戦え!」
 戦車の力強さと隼の速度を併せ持った剛力の韋駄天だ。ラシャを突き飛ばし、「亡心」状態で激進するトリグラフは最早止めようがない。
「あなたには金の斧を……!」
 泉の女神は左手の金の斧を薙ぐ。斬撃は距離を無視して首を刈る一撃だ。泉の女神の力を伝えた真空波がトリグラフの首を取りにいった。

 構うものか。斧だろうと首だろうとくれてやる! だから私を楽しませろ!

 真空波が突き抜けたのはトリグラフの首の後ろ側だった。皮と肉がいくらか切り裂かれたが、止まるには至らない。止まるはずがない。
 泉の女神の攻撃速度さえ凌駕して、血の帯を宙に流しながら突き進んだ。死神に鎌を添えられたような冷たい感覚が心地良かった。戦いとは死に触れることだ。死に触れることができるのは――生きている者だけだ。
「ぉおおあああぁっはっはぁぁっっ!!!」
 トリグラフが泉に踏み込む。見えているのは金色と濃淡のかかった桜色だ。それが何かは認識しなくていい。あるもの全てを破壊するのみ。
「いやあぁぁっっ!!!」
 右から真一文字に薙ぎ払われた爪が脇腹から肉に食い込み、金環を千切り飛ばして掻っ捌いた。血飛沫広がる中をさらに左手の突きで食い破り、臓物を潰し跳ね飛ばした。
 泉が血に染まる。斧が泉の女神の手を離れ落ちて、無残な傷を負った体は丸太のように転がされ、耐え難く震える。
「っぐ……ごふっ……ば、化け物……ですか……」
 泉の女神とて恐怖を抱く。トリグラフ、それは既に、人に非ずや――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイツ・ディン(サポート)
「ディロ、行くぞ!」
『竜たる我が力を見るがいい!』

ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者

小柄な妖精種を生かして飛びながら(空中戦)ヒットアンドアウェイ、回避(見切り、第六感、盾受け、武器受け)してから弱点(鎧無視攻撃)を竜槍で突いたり薙ぎ払ったりカウンターが基本。場合によっては弓の援護射撃も有り。

UCは適宜使っていくぞ。
「暴れ倒してやるぞ、ディロ!」

援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。



●泉と妖精の親和
 泉の女神には常に一発逆転の手が存在する。猟兵などどうでもいい。ラシャさえ殺してしまえれば――。

「ディロ、行くぞ!」
『竜たる我が力を見るがいい!』
 不思議の国にお似合いなフェアリーが槍を携えやってきた。戦場は凄惨たる有様。手負いは敵か――とナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)は悟る。
 ナイツの視線は泉の女神の女神へと向いていたが、泉の女神の視線は遠くラシャを睨む。
「女の子を狙ってやがる!」
『させぬわ!』
 小柄な体を生かしての空中機動。景色が伸びて流れるほどに加速したナイツが一気に泉の女神へと詰め寄っていた。
 泉の女神が狙おうとしていた一撃必殺の狙撃は――しかし思うように体が動かない。先の戦いのダメージが思いの外大きく、眼前にはナイツが迫る。
「く……銀の斧……!」
 泉の女神は手元に転がっていた銀の斧を取り、重そうに振りかざす。空間を超越した亜空間がナイツの頭上に姿を現していた。
 銀の斧刃が四肢を睨む。ひゅん、と降ってきた刃はナイツの四肢のみと言わず、体を真っ二つにするほどの大きさだ。
「……上か!」
 風が鳴いた気がした。埒外の直感で右に大きく飛行軸をずらし、断頭の一撃を回避する。
「はあっ!」
「っっつうっ……!」
 泉の女神の側面に回ったナイツはそのまま斜に突っ込み、槍の高速薙ぎ払いを見舞った。弧を描くように回り込みながら払うことで腕を広範囲に斬り裂き、さらに遠い間合いから追撃の――。
「今度こそ、銀の――!? あうぅぅっ!!」
 斧を振り上げた泉の女神の胸元に鋭い光が差し込んでいた。それはナイツが放った極小の魔力槍だ。何もないところから針の筵を押し付けられたような鋭い痛みが走り、泉の女神は悶え苦しむ。
『ん? 俺は何もしてないぜ?』
 いつもながらの白々しさに、ディロはカカカと笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

樹・怜惺
今回もさらさちゃん(f23156)と。

ようやっと出てきたねェ。アレ、女神なんて綺麗なもんには見えねェけど。
あれならさらさちゃんの方がめっちゃ綺麗じゃん?
ラシャ、さっきでわかったろ。お前の想像の力は十分にスゲェから、一寸だけ頑張ってな。
すぐに終わらせるからよ。
金だろうが銀だろうが、俺の後ろには通すわけにはいかないんだよなァ。
基本は籠手を変形させての接近戦。斧は盾に変えて受け止めるし、こっちからは爪に変えて引き裂いてやらァ。
ついでに泉ごと、ぶっ潰してやんよ。
Colpo di distruzione
籠手を拳を覆う形に変えてから、勢いつけて全力の一撃を。
これで終わりだなァ!?


樹・さらさ
怜惺(f31737)と。

ラシャ嬢はもう大丈夫。私は信じている、彼女の力は何があっても耐えきれると。
想像の力を取り戻した彼女は凛と強く美しい、心配など烏滸がましい真似はしないさ。
此方は此方に出来る事を行うのみ、だな。
偽りの女神はラシャ嬢が力を取り戻したこの場に相応しくない、退場して頂こう。
怜惺、私が道を開く。お前は前に。
Gabbia di smeraldo
剣を掲げて同じ形の翠玉に光る刃を呼び出し、包囲攻撃でアレの動きを止める。
怜惺の方がより大きいダメージを与えるのに向いているからな。
私が前に出なくても問題は無い。
ラシャ嬢と我々の舞台から降りて貰おうか!



●女神の品格
 敵は泉の女神を自称する。だがそこに女神のような慈愛はなく。
「アレ、女神なんて綺麗なもんには見えねェけど。あれならさらさちゃんの方がめっちゃ綺麗じゃん?」
「怜惺……美的センスは人それぞれだよ。ただ……心があそこまで醜悪でないことは断言しよう」
 怜惺とさらさは身構えるラシャの両側にそれぞれ寄り添う。
「ラシャ、さっきでわかったろ。お前の想像の力は十分にスゲェから、一寸だけ頑張ってな。すぐに終わらせるからよ」
「ラシャ嬢はもう大丈夫。私は信じている、君の力は何があっても耐えきれると。想像の力を取り戻した君は凛と強く美しい、心配など烏滸がましい真似はしないさ」
「ありがとうございます……! 私……頑張ります!」
 ラシャは確と前を向く。己の運命から決して顔を背けないという強い意志が、ラシャの体に鎧となって現れた。
 まだいささか不格好にも見えたが、それは世界でたった一つのラシャの鎧だ。誇らしくあれ――怜惺とさらさは共に願っていた。
「さて、怜惺……此方は此方に出来る事を行うのみ、だな。私が道を開く。お前は前に」
「おうよ、金だろうが銀だろうが、俺の後ろには通すわけにはいかないんだよなァ」
 怜惺が前衛、さらさが後衛の布陣を取る。
「女神だか何だか知らねぇけどよ……泉ごと、ぶっ潰してやんよ」
 怜惺は籠手で掌をパンと叩いて気合を入れると、一直線に泉の女神へと疾駆する。だが泉の女神の意識はやはり――。
「――! ラシャ!」
 険しい表情ながら渾身の一撃とも取れる泉の女神の全力の超高速狙撃が飛んだ。腕が動いたかと思えばすでに放たれ、怜惺とさらさに見向きもせず斧はラシャへ突っ込んでいた。
 銅鑼を殴りつけたかのような轟金音に思わず振り返っていた怜惺。ラシャは立っていた。耐えていた。
「大丈夫です!」
「ははっ、やっぱスゲェ。そして……もう二度と撃たせねぇ!」
 怜惺の足が加速する。その背後からは翠玉の刃が宙に舞い上がっていた。
「ラシャ嬢と我々の舞台から降りて貰おうか!」
 さらさが召喚した翠玉の刃は怜惺の頭上を越えて泉の女神へと降りかかっていく。だが泉の女神も自らに危機が向かってくるならば、
「あなたには、全ての、斧、を……!」
 金の斧、銀の斧、普通の斧――装備する全ての斧を複製し、翠玉の刃との空中剣戟を繰り広げた。赤橙に散る火花はさながら花火のように。弾いては切り返し、互いに譲らぬ戦いを見せる。
 だが戦況はすぐにさらさへと傾いた。数で大きく勝る翠玉の刃が斧の間をすり抜けて、一刃、また一刃と斬り結ぶ。
「がぅっ……くぅっ!」
 泉の女神は身を竦めて体を守ろうとするが、その上から強引に斬りつけ体力を奪っていくさらさ。泉は最早血溜まりだ。
『これで終わりだなァ!?』
 光が泉の女神を照らした。それは天からの迎えか――いや、地獄への片道切符だ。
 行動不能に陥った泉の女神へ向けられた怜惺の拳。籠手でがっちり覆われたそれに、疾走の勢いをそのまま乗せて顔面に叩きつけた。
「ぁごふぁっ!」
 顔を半分スライドさせたように大きく歪めながら、泉の女神は水切りの如く地面を跳ねていく。腕も足も地面との接触で拉げていき、最後には卍型に倒れて、やがてとぷりと水になって蒸発していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月19日


挿絵イラスト