White Lose Garden
●終わりの国のアリス
「や、やっと、見つけたっ……!」
小さな国をたくさん超えて。
漠然と扉の在る方へ、出来る限り真っすぐ進んできたアリス適合者がいた。
随分長い間、"アリスラビリンス"で遭難していたような気がする。
怖い目にも何度も遭った。その数ももう、数え切れない。
追われて逃げて、此処までやっとたどり着いたのだ。
しろいとびらは、じぶんのとびら。
『あの扉を潜ったら、きっと元の世界に帰れるんでしょう――?』
アリスの後ろにぬぅう、と現れる人影があった。
機械歯車の蝶を連れた、白銀の蝶を思わせる何者か。
『あれがアリスの扉なのでしょう?……ほら、もう帰れるのです。オウガが来ない内に、さあ早く』
女が果たして何者か。
アリスは確かめるより疾く、女を振り切って扉を潜って帰ろうと試みた。
しかし、その判断が誤り。
足がふらつきその場でアリスは意識を失った――深い眠りに落ちて倒れ込んだのだ。
高濃度クロロホルムによる霧が、アリスを眠りへ誘(いざな)った。
『まあ。自分の扉の前で無防備に寝てしまうだなんて。警戒心がないのですね、――アリス』
ざわざわと茨が扉の周りを覆っていく。
白い薔薇が咲き誇り幹部猟書家"プラーラ・シュメット"は連れてきたオウガに扉の周囲を守らせる。
『私の研究の邪魔をされては困ります。彼女を扉に括り付けてしまってください?』
生贄が起きたとしても、簡単に逃げ出したりできないように。
●磔の国のアリス
「なんだか、……アリスが拉致されたようなのよね」
空裂・迦楼羅(焔鳳フライヤー・f00684)がいう所に寄ると、まだ誘拐にまでは至っていないが、ほぼ手のうちに落ちているという。
「順番に説明するわね。元の世界に帰るための旅をするアリスがいることは知ってるでしょう?自分しか通れない、自分の扉を探してる子が居たんだけど……どうにも待ち伏せに遭ったみたいなのよ」
待ち伏せしていた重要人物、猟書家幹部"プラーラ・シュメット"。
白薔薇のオウガを配置して、その場で扉の成分やら発生条件やら科学的に調べている。
"自分の扉"ごと別の場所に転送できたりしないか、魔法を設置したりしながら実証実験を繰り返している。
「現在アリスは自分の扉に磔にされていて、意識を失っているようね。平和的に眠らされているだけだとは、思うわ?だって、彼女が生きていないと、扉がね?」
その場で消えてしまうかもしれないから。
猟書家幹部の狙いは、アリスを殺すことではない。
"アリスを自分の扉ごと誘拐する"ことである。
「アリスをオウガに変異させることが出来れば、きっとアリスは自分の扉がある世界を縄張りにして、地獄の光景を作り出してしまうのよね……。任意でこの悲劇を起こせれば、幹部が目標とする"超弩級の闘争"とやらの実現に近づくの」
オウガだらけの闘争が、世界ごとに増えていけば大変なことになるだろう。
それこそ、猟書家たちの思うつぼだ。
「……そこに加えて、幹部は"アリスも該当者の扉"も収集して地獄のような絶望の標本を創るのを個人的な目標としてもっているようなの」
実益を重要視しつつ、個人的な趣味も叶えようとしている。
"自分の扉"を移動させる方法が思いついてしまえば、コレクション化も可能という理論が成立してしまう。
「まだ何も実現していない、今のうちに阻んでいかないとね!」
まずは眠らされたまま扉に磔になっているアリスを、オウガ達から開放しなくては。
薔薇の抵抗を抑えて、救出できたなら意識を取り戻したアリスは、ひとまず戦闘に加わるだろう。
「幹部が扉に色々干渉したものだから、絶望に心を引きずられていて戦闘中"自分の扉は閉ざされたまま"だと思うのよ。なんとか励まして、安心させてあげて?」
幹部を倒し、アリスと扉を元の状態に戻せば。
アリスはちゃんと、元の世界に帰れるはずだから。
タテガミ
こんにちは、タテガミです。
この依頼は、猟書家の侵略に関わる感じの"二章編成"のシナリオ。
しろい 負け 庭。ホワイトローズガーデン、ではありません。
舞台はアリスラビリンス。
もの言う花と白薔薇だらけが咲き誇る、薔薇の国。
独り言をぺらぺら話す顔のある花と、もともとは集団敵が群生していただけの不思議の国でした。アリスの扉の周囲に意識を持つ者たちが集合しているため、外部から彼女たちが猟兵を襲ってくることはありません。
何もしなければ、ただ咲いているだけの花たちなのです(オウガは含まない)。
シナリオの傾向は 心持ちコメディ寄り殺伐 です。
プレイングボーナス(全章共通)……アリス適合者を励ます、あるいは共に戦う。
●集団戦『ブランシュ』。
白い白い薔薇のオウガたち。
扉に磔にしたアリスの周囲で、茨で守りを固めて白いバラの花を咲かせています。
赤が好きな"女王"に望まれた事があるからか、自分の咲かせた薔薇を"赤"くするために、防衛戦をしながら血を欲します。
●ボス戦『プラーラ・シュメット』。
猟書家の幹部なパンクでアルダワの科学者な在り方をする女。
このボスは、このシナリオ上ではオウガではありません。
魔法と機械科学を学んだことが在るため、喋らせると説明口調が長くなる。
●このシナリオのアリス適合者。
武器はマチェットか、枝切り鋏をご想像いただければ。
どちらも持っていて、どちらかを使います。
高校生くらいの見た目の前髪目隠し系根暗っこ女子で一人称は僕。
●4月中の早期完結を目標にしています。
サポートさんのお力を借りてサクサク進行を行う場合があります。
気持ちは、サクサク運用です。もしも期間内失効がありましたら、内容の問題ではないとおもうので、再送をお願いできましたら、幸いです。
全員採用が出来ない場合もありますが、途中参加は大丈夫な構えでいるのでご検討頂けましたら、幸いです。
第1章 集団戦
『ブランシュ』
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POW : 女王様は白がお嫌いと
自身の装備武器を無数の【触れるものを切り裂く白薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 赤に染まれと命じられ
戦場全体に、【血を啜る人喰いの茨】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : 求む内に魅せられた、綺麗な血の色
命中した【自在に伸びる茨】の【棘】が【鋭い刃】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラフィ・シザー
また、趣味の悪い猟書家が増えたみたいだな。
自分の扉なんてアリスが一番望むものじゃないか…それで実験したりさらにコレクションしたいだなんて…。
とにかくまずはアリスを助けてあげないと眠らされてるだけだし扉のためにアリスに危害を加える気はないみたいだけれど。
さぁ、白薔薇さん達俺と戦おうか?
UC【悪い子のクリスマス】
さぁ、アリスを拐かそうとする猟書家を手伝う悪い子にはクランプスからの鉤爪と鞭打ちをプレゼント♪
ブランシュからの攻撃はクランプスに隠れて防いだり盾受けで受け流す。
攻撃が命中した場合は【激痛耐性】で痛みに耐え【継戦能力】で戦いを続ける。
抜けなくなった茨を引っ張りブランシュを引き寄せたら【切断】
●悪い子だらけ
「まーた、趣味の悪い猟書家が増えたみたいだな」
ラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)が呆れ顔を浮かべるとざわざわと、邪魔をするように茨を這わせてオウガが微笑みかけてくる。
ブランシュたちは花のような笑みを浮かべて、それ以上はダメよ、と首を振った。
『邪魔をしないでしないでくださる?』
「やーだね。自分の扉なんて、アリスが一番望むものだろ。今そのアリスはどうなってるっていうんだ」
茨の向こう、扉に磔に遭っていて。これがお茶会だとでもいうつもりか?お茶の準備すら無いお茶会が、あってたまるか。
「今実験中って雰囲気だよな?なんか物々しいし、バリケードも多い。コレクションにしたいだなんて……」
ありかなしか、でラフィは考える。
当然――無しだ。
『邪魔をすると、おっしゃるのね?』
白い薔薇のブランシュたちが殺気立つ。自在に伸びる茨は鞭のようにどこまでも伸ばして。
ラフィが何をするのも拒むように、地面を叩く。命中した時点で棘が鋭い刃に変形して、ざくり、ざくりと色んな場所をえぐり始める。
彼女たちにとっては、自分たちの"庭"だが――だからこそ勝手気ままに振る舞って暴れて猟兵の進行を拒む。
花の在り方をしていても、彼女たちはオウガなのだ――。
――とにかくまずは、アリスを助けてあげないと?
――眠らされてるだけという話だし。
目を凝らすと寝顔は驚くほどに穏やかだ。
アリスはもしかしたら、恐ろしいくらい平和的な夢を見ているのかもしれない。
『悪夢だらけの迷宮で、少しばかりの安眠に溺れているのが悪いことですか?』
「悪い事だよ。扉に危害を加える気がないのはいいことだけど」
「さあ、白薔薇さん達♪――俺と戦おうか?」
童話世界に出てくるような可愛らしいメルヘンランプをささっと取り出して、ラフィは誘う。狂った世界に灯す明かりが、白薔薇たちに向けられる。
「願った次点で此処は今だけクリスマスっ♪さあ、アリスを拐おうとする猟書家を手伝う悪い子ということだよね!」
そんな悪い子には――悪魔クランプスからの鉤爪と鞭打ちをご提供!
召喚した悪魔が、ブランシュ達の前に飛び出して。
"悪い子"であると即座に理解したのか、交渉する必要もなくクランプスは命令に従って、手当たりしだいに彼女たちを引き裂き散らしていく。
『きゃあ!』
か細く上がる少女の声。
悪魔の前で、その声は無意味だ。
『私達を散らして、白い薔薇が綺麗な赤に染まるのならそれはそれで構わないのよ』
ブランジュたちは一斉に、ラフィとクランプスへ攻撃を向ける。
鞭で叩きつけるような攻撃。
命中することで、鋭い刃に変形させた棘が刃となって刺さり二人へ突き刺さっていく。ぐるりぐるぐると巻きつけて、ぎりぎりと締め付けるように力を込めた。
じわじわと、残酷な攻撃を繰り出してくるさまは、流石オウガといったところだ。
刃で切り裂かれたラフィの体から、ぽた、ぽたと僅かに血が滴って一輪の白い薔薇が赤に濡れる。
『ふふふ、良い色よ』
激痛を感じたが、ラフィは耐える。戦闘継続の意識は途絶えていないのだ。
「……俺のプレゼントをちゃんと受け取って貰えないと困るんだよな」
突き刺さって抜けなくなった茨。これを操るブランシュは、赤に染まっていく薔薇に気を取られている。
「さあクランプス、思いっきりやってやれ!」
茨を悪魔が一気に引っ張って。彼女たちを引き寄せて。
それから起こる事と言えば、悪魔の鋭い鉤爪で、悪い事をした罰を贖うのだ。
切断された体が、薔薇の花弁となって散っていく。
断末魔さえ上げない切断は渾身のプレゼント。
「他にも同じプレゼントが欲しい奴は?まあ、答えは聞いてないけど!」
悪魔に見定められたが一巻の終わり。
猟書家に加担したことを恨んで花のように散ると良い。
大成功
🔵🔵🔵
ノヴァ・フォルモント
(アドリブ、連携歓迎)
磔にして人体実験…
いや、実証実験か
どちらにせよ趣味の悪い
希望を目の前にして絶望に叩き落とすとは
まずは彼女(アリス)を
雁字搦めの茨から開放しなければ
君が必死に探していた扉は目の前に在るのだから
そのまま夢を見続けていたら
本当に帰りたかった場所に戻れなくなってしまう
白薔薇が咲き誇る薔薇の国
物言わず咲き誇る花は美しいし
愉快に喋る花たちも可愛らしいものだ
…けれどお前達は、その何方でもないな
三日月の竪琴を手に月夜の旋律を奏でる
お前達にはどう聴こえるだろうか
いや、問うまでもない
望む赤色でなくて悪いがね、宵闇に呑まれて消えてくれ
さあ、アリス目を覚まして
扉を開けるには君の協力が必要なんだ
●WHITEの調べ
「あれが噂の磔?」
鋭い棘の目立つ薔薇だらけの不思議の国の中で、アリスが磔に遭っている。
自分が元の世界に帰る為の扉に薔薇の茨で拘束されているらしいことは、ノヴァ・フォルモント(待宵月・f32296)にもよく分かった。アリスの頭(こうべ)を垂れた様子を視認する限り、本当に眠っているだけに見える――。
「人体実験も兼ねているなんてね。いや、実証実験か……?」
ごそごそと何か作業をし続ける別の人影が一つ。
魔法の術式を書き込んだり、本を叩いたり色んな事を試しているようだった。
人影以外には、扉を中心に周囲で蠢く白い薔薇が他の誰も手を出せないように行く手を遮るように茨を伸ばしている。それから、チラチラと警戒を顕した真剣な目線。
先程から何度も此方に向けられているのが、ノヴァはとても気になった。
『アポイントメントはお持ちなのでしょうか』
『無ければ落としすることは出来ません。またのご来訪をお待ちしています』
可不可を調査する猟書家幹部のサポートを行うオウガ達は、アリスを逃さない協力なら惜しまない。人肉を喰らう側の白い花たちは、そう――結果的に赤に染まればそれでいいのだ。
――どちらにせよ趣味の悪い。
「秘書かなにか?オウガらしくないな」
――希望を目の前にして絶望に叩き落としているわけだろ?
――帰るに帰れなかった彼女(アリス)を、まずは雁字搦めから救わないと。
「会う約束はないよ。でも今すぐの用事ならお前達のほうかな。茨を何とかする気はない?」
穏便に説明する。
丸く収めるように、"彼女の扉"を指出して。
「あの扉の奴だけでいい」
――君が必死に探していた扉は目の前に在るのに。
――縛り付けられているんだもんな。
――目の前どころかその手に触れて、いるだろうに。
『それはお応えできません』
『申し訳ありませんが、約束が無い方をお通しすることもできません』
言葉とともに否定するように、足元から茨が伸びる。
ノヴァを威嚇するように、わざと外された攻撃だ。
――そのまま夢を見続けていたら。
――本当に帰れなかった場所に戻れなくなってしまう……。
「……それはそうと、此処は白薔薇が咲き誇る薔薇の国なのかい?」
『……?はい、私達とそれから愉快な仲間たちと。それ以外と』
「此処にたどり着いてはじめに見かけた物言わずに咲き誇る花は見事だった。愉快に喋る花たちも、可愛らしいものだったな……」
――花同士による不思議で小粋なトークが弾んでいて。
――思わず、和んでしまって頬が緩んだんだよな……。
視線をブランシュに向けたノヴァの表情は、それらに向けたものとは異なる。
「……けれどお前達は、その何方でもないな」
可愛げも、笑える要素もないとノヴァは言うのだ。
「ああでも、月夜の旋律を奏でよう……」
三日月の竪琴を手に"宵月夜"を奏でる。
――お前達にはどう聞こえるだろうか。
――いや、問うまでもない。
『音楽ですね、なんて――』
『ああ!なんて白い音色なのでしょう。――ダメですよッそれは……ッ!』
ノヴァの旋律を"白"であると彼女たちは表現し、妨げるように茨をしならせて、ノヴァを討たんとする。叫びと嘆き、それから真っ赤に滴る赤がいいのだと、理想を押し付けるようにオウガの本性を魅せてくる。
『あァあああ!!』
次第に苦しむように胸を抑えて叫ぶのは、ノヴァではない。
ブランシュ達には旋律自体が綺麗過ぎる――。
ノヴァの旋律は音揺れに血まみれに犯せぬ綺麗さと対象に訴え掛けるしなやかさがあって。音だからこそ、防ぐことは勿論、オウガたちが物理的侵食を行えない。
耳をふさごうと心まで閉ざせない彼女たちは内側から自壊する方法しか、音を絶つ手段が無かった。
「望む赤色の音色でなくて悪いがね、宵闇に呑まれて消えてくれ」
サラサラと次第に彼女たちは音に屈して枯れ果てて。
塵のように消え去るならば。向かう場所はきっと闇の向こう。
面白いものは無いかもしれないけれど。
「――さあアリス、目を覚ましてくれないか」
演奏を続けているノヴァの音は届いているはずだ。
眠っている君(アリス)の耳にも。覚醒するべきは、此処だよ。
「その扉は君のもの。扉を開けるには――君の協力が必要なんだ」
呼びかけに答えてくれるならば、夢のうちからきっと君は――自分の力で帰ってこれる筈だから。
大成功
🔵🔵🔵
三上・桧
バラは綺麗ですが、通行の邪魔ですね
UC『慈救咒砲』でロケットランチャーを多連装ロケットランチャー(自走式)に変形
装甲を5倍、代わりに射程を半分に
これに乗ってアリスの元まで移動しましょう
邪魔な茨は踏み潰してしまえばいいのです
アリスが磔のままなら、まず剣で茨を切って救出しましょう
おはようございます、アリス
扉が見つかったのですね。良いことです
もうすぐ自宅でゆっくり休めますね
何をしてるか? 除草です
こう茨だらけですと、アリスも歩き辛いでしょう?
5倍になった装甲と【結界術】で張った結界で花びらを防ぎ、敵はロケットランチャーで吹き飛ばしてしまいましょう
除草です。除草
雨煤・レイリ
リュカくんと(f04228)
やるよ、リュカくん
キミが守ってくれるなら、俺は攻撃寄りに動く
自分の血を啜らせて≪朱帷≫にて右腕を強化した後
その右腕で茨を切り裂きアリスの元へ
敵の攻撃はカウンターで殴り攻撃
自分へ向かう攻撃よりも、リュカくんとアリスの子へ向いたものを防ぐように立ち回る
血は相当流れても、それくらいじゃこの腕は落ちはしない
血を好むんだって。朱忌、ライバルだね
とはいえ、吸わせたくて血を流すわけではないんだけど
リュカくんの助けあってこそ、踏ん張れる
負担かけさせちゃってごめんね
眠っていても、かける声が無意識の彼女の励ましになればいい
「大丈夫、俺たちが君をちゃんと帰してあげる」
俺たちが君を守るよ
リュカ・ラス
レイリ殿(f14253)と参ります
アリスの方を助けます!
オウガになんて、させません
茨は剣で斬って進みます
先ずはアリスの方の所へ
「起きてください!大丈夫ですか!」
拘束は剣で切って外して、声をかけます
「私はリュカと言います、あちらはレイリ殿。貴女を助けに来た猟兵です」
落ち着いて、話を聞いてもらって
「私達は貴女が元の世界に帰るお手伝いをしに来ました。一緒に、頑張りましょう」
女の人は守るものです(と言われて育ちました)
絶対に、お守りします
UCはフラムを呼びます
フラム、みんなの怪我を治して
これ以上薔薇を赤くさせないくらいに
疲れるけど、これくらい大丈夫です
アリスの方を元の世界に戻すから、頑張ります
●防衛戦
三上・桧(虫捕り王子・f19736)の無表情が、アリスが敗北している庭を見ていた。うぞうぞ。もぞもぞ。ずずずと愉快な音を立てるのはどれもこれもが茨と白い薔薇。どこを見てもオウガとオウガの一部とも支配下とも思われる白い薔薇ばかり。
動く度に茨白い花を咲かせて、彼女たちは邪魔するように立ちふさがる。
「白い薔薇は綺麗ですが……」
道という道はなく、足に絡むように歩くことすら妨害してくる茨を張り巡らせて。
ブランシュ達は笑っている。
「通行の邪魔ですね。少しくらいは剪定するのを薦めましょう」
よっこらせ、とロケットランチャーを取り出して。ちゃきーんと輝く銃口を彼女たちに向けて即座に掃射――かと思いきや。
桧が先に行ったことは、"慈救咒砲"として多連装ロケットランチャー(自走式)へと変形させること。指先一つで書き換わる。とても不思議なギミック機構。
どうみても組み換えられた武装が増えているが、そんな事を気にしてはならない。
『オウガであり花でもある私たちの前で剪定の話をするですね?』
『ふふふ、ナンセンスだわ?』
「安全装置はありませんが、硬さだけなら自信がありますね。答えはいらないのでご安心を」
装甲を五倍、代わりに射程を半分に調整し桧はどこ吹く風と自走する重火器の上に乗って。足の傷まない方法で、邪魔をもろともしない方法で、進撃を開始した。
『薔薇を踏みつけていくの?』
『ダメなのですよ、そんなこと。女王様は白がお嫌いなの』
『だから、薔薇を潰すことよりも赤くしなければ――ならないのですよ』
ブランシュたちは薔薇と茨の一部を専用武器として扱って、咲き誇る立派な花を無数の花弁として変形させて対抗するのだ。
舞い踊る白の花弁は、全てを切り裂く剣の刃のよう。
ひらりはらりと揺れ動く弱そうな見た目と異なって。
少しでも血の成分を得る為に、肌を狙って攻撃の波をぶつけてくる。
「失礼。邪魔な茨は踏み潰してしまえばいいのですよ。それにほら、――自分以外にも、誰か奮闘しているようですし」
こちらだけを妨害している場合ですか?と促されるとブランシュ達は慌てたように異常事態に手を伸ばす――。
何処をみても薔薇がいっぱい。何処までも長い茨がずるずると動いている。
あれは此処のオウガ、ブランシュたちの愛用品であり一部。刈り取る草刈り機のような音が一つ聞こえるが、こちらの猟兵からはその姿が見えていない。
きっと敵ではないだろう。
目覚まし時計代わりにアリスが自分で起きる事も期待したが――どうやら起きる気配はないようだ。全体を一つの風景として見て、雨煤・レイリ(花綻・f14253)は傍らに微笑みかける。
「さあやるよ、リュカくん。俺は攻撃寄りに動くから」
――キミが守ってくるなら。うん。
――今日の"盾"はキミだよ。
――キミが"盾"なら、俺が"剣"かな……?
レイリにこくこく頷くリュカ・ラス(ドラゴニアンの剣豪・f04228)。
「はい!アリスの方を助けます、オウガになんて、させません!」
――なんだか何処からともなく剣で斬るような音も聞こえますし!
「じゃあ、いくよ。ひとときの戒めを解くから。塞げ――≪朱帷≫」
右腕に纏う花弁の吹雪く巨腕に変形させながら、レイリの腕の代償に血を多く捧げる。これは必要な、多少の流血だ。構うものか。
――見合うくらい啜ったかい?さあ、行くよ!
腕を強化すると同時に、獣の感性を引き上げる。
『お通しすることは叶いませんなのです』
『お引取りを。もしくは――血を捧げて、絵の具代わりになって頂きましょう』
ぺろり、とブランシュたちは舌なめずりをした。
レイリに向けて白い薔薇の刃の礫が、投げつけられる。
周囲の薔薇も、彼女たち。持ち得る武器は茨と花弁。女の武器であり、血を染めるハケの代わりも果たす白薔薇の花弁は、どれもこれもが純白だ。
『女王様は白がお嫌いと――申されて下りましたから』
「此処はやはり私がっ」
「ううん、大丈夫。道を拓くからね」
リュカの前に飛び出して、白薔薇の刃の中をレイリは走る。反射速度加速して、攻撃の軌道をスローで見るその目は背にリュカを庇うように立ち回った。
「やった分は、いい感じにやり返すから。覚悟してやるんだよ?」
背に庇ったリュカが扉の前に向かって剣を振るいながら上手いことたどり着いたのを見たからには。
今度はこちらが防衛戦をする番だ。
『覚悟も何も私達の庭(世界)へ勝手に入ってきたのはそちらでしょう!』
『覚悟するのは、そちらの方です!』
今度は鞭のように長い茨がレイリを叩いた。
右腕で受けた分、痛みは少ないが――少量ではない血が滴った。
鋭い刃となって突き刺さり、抉るように血を欲する。
レイリが動けば、その血は咲き誇る野生の白薔薇をも赤く染めた。
ペンキで塗ったように、赤に少し塗りつぶされた薔薇がちら、ほらと発生する。
「痛い事するね。でもそれくらいじゃこの腕は落ちたりしないよ」
――血を好むんだって。朱忌、ライバルだね。
世の中には色んな血を好むモノはあるものだ、とレイリは内心思う。
「……とは言え、吸わせたくて血を流すわけではないから、そろそろ片を付けるよ」
引き裂くように白薔薇ブランシュを摘み取って。
黙らないのなら切り裂いて。
やられた分をカウンターとして返していく。
「それが俺がやられたぶん。痛いでしょ、痛いんだよ」
「もし!もし!起きてください!大丈夫ですか!」
自分の扉に茨で磔にされたアリスの元に、たどり着いた猟兵はリュカと――。
「んーそうですうね、まずは茨を切ってしまいましょう。上の方は任せてください」
多連装ロケットランチャーに腰掛けて目線が高いままの、桧。
「では下の方は私が」
厳重に括られたアリスの茨は二人で手分けをして剣で切り裂けば、拘束を解くのは実に容易い。
足元にも茨が溢れていただろう?そんなものはない。
自走式が通った跡は、均された何もない無害の短い草むらだけがある。
茨や薔薇がで踏み潰された跡は、この際誰もが目を瞑るべき光景だ。
「う、ん……」
「おはようございます、アリス」
寝起きのアリスはぼんやりとしていて、眠りに落ちる前のことを一時的に忘れてしまっているらしい。
控えめに、あくびをしているが――今はそれどころではない。
手早く現状を思い出してもらわなくては、とリュカが先に動く。
「これ、何本に見えるでしょうか!」
「ゆ、指が、十本……ですね?」
「はいそうです!私はリュカと言います、あちらはレイリ殿」
リュカが、白薔薇のオウガと戦う人影を遠巻きに説明すると、アリスはこくんと控えめに頷いた。
「そして自分は桧といいます。扉が見つかったのですね、いいことです。もうすぐ自宅でゆっくり休めますね。今は少し、休んでいて貰ってかまいませんよ?」
桧は目標の一つを果たしじわじわと扉の方へ近づいてくる敵影に気がつつく。
生き残っているブランシュたちに目を向けながら、茨と薔薇とを見比べて、騒音を隠しもせずに地面を綺麗に均し始めた。
「あ。私達は貴女を助けに来た猟兵ですよ!どこかで、誰かが助けたことがあったら良いのですが……」
「え、えと……はい。何度か、助けて貰ったことが…………」
アリスの眠気は此処で覚醒する。
何があったか思い出して、あと少しというところで怖い目に遭った。
帰れないかもしれないと、今、絶望した。扉が固く閉ざされる。
彼女の扉は、彼女の心の在り方が影響しているのだろう――恐怖を与えた存在がいなくならなければ、解消されるものではない。
「まあ、まあ。落ち着いて。私達は貴女が元の世界に帰るお手伝いをしに来ました。味方ですよ、これ以上無く頼もしい。ふふふ、一緒に帰りましょう。それに」
「……そ、それに?」
「女の人は守るものですから。任せてください!」
リュカは剣術士の家の子として、その"女の人は守るもの"と教えられてきた。
だから、守る理由はそれで十分。
「絶対に、お守りします。さあ、我が呼び声に応えよ――水の竜"フラム"!」
癒竜の称号を持つ瑠璃色の竜が、出現すると一声吠えて。
癒やしの雨を降らせる。
自分の負傷を気にせずに血に濡れて頑張る"剣"のキミへ届け。
「フラム、みんなの怪我を治して。これ以上、薔薇を赤くさせないくらいに」
茨で拘束されていたアリスにも、癒やしの力を降らせる。
痛いところはないだろうか。いいや、痛いのは無事に帰れなかった心のほうか。
流血だらけのレイリの元へ雨が降り注ぐ。
――リュカくんの助けがあってこそ、踏ん張れる。
――流石にちょっと流しすぎたかな。
負傷が癒えていくからこそ、ふんわり優しく、笑うのだ。
「負担、かけさせちゃってごめんね」
攻撃的な薔薇を可能な範囲で黙らせて続けて、彼は、笑うのだ。
「ふふふ。疲れるけれど、これくらい大丈夫です」
――アリスの方を元の世界に戻すため、頑張ります。
リュカに声が届く距離。彼もまた、にこりと笑った。
「……そうだよ、アリス大丈夫。俺たちが君をちゃんと帰してあげる」
――俺たちが君を守るよ。
傷を癒やしたレイリが言葉を重ねて笑うのだ。
励ましの言葉を贈ろう。
ひとりじゃない。君が帰る手助けをするからと。
「……は、はい」
どもり気味の彼女に気持ちはちゃんと伝わった筈だ。
こくこくと、理解を示している。
「と、ところで……貴女は……」
「ああ、何をしているか?除草です」
桧は周囲をいったりきたり。ボスの視線?お構いなしだ。
研究気質のあるものは、没頭すると何をされていても気にかけない。
その性質をこれでもかと利用して、薔薇たちを丁寧に抜くでも刈り取るでもなく、手っ取り早く踏み潰す。
「こう茨だらけですと、アリスも歩き辛いでしょう?こちらもそう思っていますのでお構いなく」
『な、なんてことを……』
「まだいたんですね、お勤めご苦労さまでした」
結界術を施していた桧に攻撃的な花弁は一度だって届かなかった。
突き進むだけに利用してきた重機の本領は此処で使ってこそ!
ずどん。
大きな音が鳴り響き、一気に吹き飛ばしてしまえば完璧だ。
「え?除草ですよ、除草」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『プラーラ・シュメット』
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POW : 標本収集者
【動きを止める麻酔針】【動きを封じる鎖】【貫き留める銀の杭】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : クロロホルムの霧
【高濃度クロロホルムの霧】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ : 白銀の蝶
対象の【『機械歯車の鱗粉』に触れた箇所】に【白銀の蝶】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[『機械歯車の鱗粉』に触れた箇所]を自在に操作できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠幻武・極」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●幹部猟書家の実験場
『……なにやら物音がしたような……』
研究に没頭し、周囲の環境整備は白薔薇のブランシュたちに任せっきりだった。
幹部猟書家"プラーラ・シュメット"があたりが突然静かになったことに気がついて顔を上げた時、猟兵達の姿が目に入った。
それから、自由の身になったアリスの姿も。色々描いていたはずの魔法性のチョークで施したなぐり書きや魔法陣が雨に濡れて消えていた。
『……あ?』
物理的除草が広範囲に丁寧(当社比)に行われたことにより土は均され。
扉とアリスごとこの場所から別の場所へ転送出来るだろうと立証まであと少しだった術式自体が崩壊していた。
木っ端微塵。跡形もない。
修復は不可能。
もう一度先程まで没頭していた時間と同じ時間を使わなくては、ならない。
『その子を逃がそうというのですね?アリスは此処から逃げようというのですね?――ああ、逃げれたらいいですね?』
絶望に染まった"アリスの扉"は不思議な力で開かない。
頑なにアリスを通す様子を魅せないのだ。
扉はまるで鍵でも掛かったように茨に閉ざされているかのように、動かない。
拘束するものは、何処にも見えないのに――。
『私は研究を続けます。まずはアリスを返してくださいますか?庇うというのなら……そうですね』
特に欲しいとは――思っていませんが。
『貴方たちも、私のコレクションにしてしまいましょう』
ターゲットがアリスラビリンスにいる限り、まだチャンスは有ると彼女は自分を倒さなければ逃げられない可哀そうなアリス。彼女を見て、幹部は楽しそうに笑った。
『猟兵押収標本、コレクションとして自慢するくらいなら出来るでしょうからね』
ええ、ええ――意識があるうちは。悪いようには、しませんとも。
『ふふふふ。私はアリスも扉も、殺す為に捕らえたいわけではありませんから』
私だけのコレクション。ふふふ、胸が躍るようじゃない?
ラフィ・シザー
猟兵までコレクションするつもりかい?呆れた収集欲だね。
まぁ、大人しくコレクションになるつもりはしないけどね。
もちろんアリスだってそうだ。コレクションになんかさせないよ。アリスはその扉から自分の世界に帰るんだ。【挑発】
時には【盾受け】で攻撃を受けたり【ダンス】するように攻撃を回避しながら猟書家まで近付いて。
さぁ、【決闘】だ!
UC【cutting murder】で【切断】!
●Slash and cut
「ちょっとちょっと、今なんて?」
立派な黒い耳があって聞こえないはずはないのだが、ラフィ・シザーは聞き返す。
耳に手を当ててもう一回と促すと、幹部猟書家"プラーラ・シュメット"は心做しかじと、っとした視線を送ってきた。
『猟兵もアリスも、私のコレクションにしようかと思いまして』
「はー。聞き間違いじゃなかったか。あのなああんた、猟兵まで本気でコレクションする気かい?」
『丁度いい機会が訪れたように思いましたので』
あの眼はマジだと告げていた。
マジでやれるだろうと考えて、やってみると決めた眼だ。
「呆れた収集欲だね、アリス?少し離れていてよ。扉の影とかが良いと思う!」
「は、はい……!」
アリスがいそいそと隠れたのを見て、ラフィはわざとらしい溜息を一つこぼす。
なるべく大げさに、何いってんだこいつ、と態度から幹部の趣味を否定してく。
「俺勿論だけど、もちろんアリスだって大人しくコレクションになるつもりはないんだけどね」
――それから、その扉も。
――これ以上変にいじられても大変だ。
「コレクションになんかさせないよ?アリスは、その扉から自分の世界に帰るんだから。帰っちゃえば扉も消えちゃう可能性が高いし……、ああ、あんたの計画は丸潰れになるだろうし?」
挑発的に収集は敵わないだろうと頭ごなしに言葉を並べると、プラーラは怒ったような気配を漂わせる。
『成程。理解しました、今すぐ動きを止めてほしいのですね?』
念動力で操る標本収集に必要なものを、足音一つで発生させて、浮かべた。
それは、その場に貫き留めるに適した銀の杭。
足か手を貫かれたら確実に動きを止めに来る痛そうな拘束用具を、ラフィへ向けて放ちプラーラはまずは観察の姿勢に徹してきた。
研究者気質を持つと、行動一つに意味を持たせないと動けないのだ。
だからこそ、分析するように熱い視線を送る。
「悪いね、そんな痛そうなの願い下げだ!」
ダンスするように杭の乱舞を跳ね回って避けるラフィ。
当たる様子がなければ、杭はただ、地を穿っていくだけだ。その様子をふふふ、と笑いながら飛び跳ねて、もう終わりかと視線を飛ばすとプラーラの足元から今度は鎖が蛇のように発生して、じゃらじゃらと地を縫うように這いずる。
「ひとつひとつじゃ埒が明かないよ?もう少し、やる気を魅せてよ」
同時攻撃を要求すると空からふわふわと動きを止める麻酔針で出来た蝶の群が向かってくるではないか。
『空と地面どちらからも足止め攻撃を繰り出すならば、元気な兎は止まるでしょう?』
「ところが残念、そう簡単には終わらない。ホップ・ステップ・ジャンプでもっともっと元気に跳ね回ったりして」
腰には鋏が揺れている。
執事っぽい格好だが、どの攻撃も服に汚れをつけることすらできない。
幹部は徐々に苛立ちを顕にして、ユーベルコードをどれでもいいからひとつでも当たるように放ち続ける。
計画性すら投げ捨てて、飛ぶ鳥を落とすように。
どうしても欲しい玩具を見つけた子供のように、しつこく、――執拗に。
『どうして、』
「どうしてじゃないよ。言っただろ、捕まる気がないんだって」
フレンドリーな兎は言葉を覆さない。
――あんたは別にトモダチじゃないからな。
幹部と対峙するラインは直線上に伸びた、これは斬り裂きがいのある――見晴らしの良い道だ。
「さぁ俺との遊びはこれで終わり――刈り取ろうか」
腰の鋏を手にとって、大きく広げて茨を整えるように鬱陶しい女へ駆けながら思い切り斬りつける。
「カッティングマーダー、俺が通る道は、綺麗じゃないと♪」
じゃりりと切断された鎖が落ちる。重そうな鋼の帳が無残な姿に変わり果てて散らされた。突き立てた鋏が斬りつけるのはそれだけで済まない。女の腹部に深々と突き立てて――ズバァアアと派手に脇腹を抉るように切断してやった。
「残念だったね、此処に白い薔薇があったら、綺麗に赤く染まったのに」
大成功
🔵🔵🔵
三上・桧
扉が開かないのですか? 自分もアリスですので、経験がありますよ
なんと、引く扉を押してしまっていたのです
あれ焦りますよね
こういう時は一旦落ち着きましょう。大丈夫、ちゃんと扉は開きますよ
……その蝶は機械ですか?生物ですか?
生物でしたら、是非とも捕まえたいのですが
悪いようにはしませんよ、ええ。ちょっと標本にするだけです
自分、虫が大好きでして
クロロホルムの霧はロケットランチャーの爆風で吹き飛ばし、その後はUCで召喚したクワガタで突撃
大顎で敵を挟んでしまいましょう
おや、良く見れば貴女にも同じ翅が。貴女も蝶ですか?
胸が躍りますね
標本用のピンまで持参して下さって……ありがとうございます
●コレクター魂
扉の影に隠れたアリスが、扉に触る。
遠巻きにもそれはドアノブのある、押し扉のようにみえた。
「あ、あれ……?」
ドアノブを回しても右にも左にも回らない様子で、困惑した表情をした。
ガチャガチャという音が響く。
「おや、扉が開かないのですか?」
ひょこ、とアリスの背後に現れたのは三上・桧。
「自分も"アリス"ですので、迷い込んだりした経験がありまして。自分の扉というのも色々だと思いました」
「……私の扉と、な、なにか違いました?」
アリスの問いかけに桧は軽く頷いて。
「自分の見立てではこの扉は押し扉ですね。自分の扉は逆に引く扉だったんですが見つけた時は気が動転していて、押してあけようとして開かなかった事が……」
今となれば笑い事だが、見かけと一致した扉ではないことも稀にある。ひょっとしたら立て付けが悪いだけかも、とジョークまで置くことを桧は忘れない。
「まあ、目の前にすると焦るんですよね。こういうときは一旦落ち着きましょう」
「あ、開かないのはちょっと、困っちゃいますよ、ね……」
目に見えてがっくりと肩を落としたアリスの肩を桧はポンポンと叩いて。
「大丈夫、ちゃんと扉は開くようになりますよ」
とりあえずは、このまま此処でお待ちを。
桧の後ろ姿を、アリスは希望を託し縋るように見つめていた。
「ところで、です。……その蝶は機械ですか?生物ですか?」
幹部猟書家"プラーラ・シュメット"が自身の周囲でひらひらと舞わせた蝶。
桧は彼女よりも、たくさんの蝶を気にした。
『……それはどういう意味でしょう?』
「生物でしたら、是非とも捕まえたいのですが」
右に左にひらひら。蝶が動くたびに、桧の視線がついていく。
手を伸ばしてみるが、寸でのところで逃げられる。
「悪いようにはしませんよ、ええ、ちょっと標本にするだけです。自分、虫が大好きでして」
『虫好きな人に悪い人はいません。私の統計上でもそのような結果が出ていますので……ですが、それは私の蝶です。お譲りすることは出来ません』
プラーラが手を伸ばすと、指先に小鳥のように止まる蝶。
機械のように細かい姿で、生物のようにゆっくりと翅を動かしている。
『これは愉快な生物に良く似た、私の研究によって生み出された疑似生物です。機械であり生物でもあります』
「では殆ど生物と思っていいですね?是非とも捕まえたいのですが」
捕まえたい気持ちを全面に出してくる桧に、プラーラは危ないタイプのアリス適合者なのではないかと疑い始める。
『貴女のようなタイプの方は気が合う反面、野放しにするのは危険なのですよね』
溜息混ざりに呟いて、抱いたぬいぐるみのネジを巻く。
巻かれた分だけぬいぐるみの腹からふわああと発生するのは摩訶不思議な霧。
『高濃度クロロホルムをご存知ですか?私は耐性がありますが、一般的な人類ならば吸い込んでしまえば寝落ちるように夢の国行きを約束できます』
「はあ、では吸い込まなければ良いのでは?」
桧はロケットランチャーを放ち、その爆風で霧を吹き飛ばす。
眠りを招く霧とは言え、それ以上のものではない。
散らされてしまえば、次の手段を講じなければ――。
「虫は好きですか?じゃあ自分の一押しを紹介しましょう。ええ、好きなんです」
――クワガタ。
ぶぅぅうううん。翅を広げた桧よりも2倍の大きさをした立派な蟲。
クワガタは桧を乗せて機敏に動く。
「間近で魅せて差し上げましょう」
プラーラの話を聞かない桧は、クワガタでそのまま突進!
『……ひっ!?』
為す術もないまま大顎でぐしゃり、と挟まれて悲鳴が漏れ出した。
「おや、よく見れば蝶と同じように貴女にも翅が。ああ、では貴女も蝶ですか?」
クワガタの背中から、マジマジと機械の翅を流し見て。
『だ、だったらなんだというのですか!』
「胸が踊ります。それ、ただの銀の杭じゃないですよね。等身大の標本用のピン……持参してくださって、ありがとうございます」
まるで気分は昆虫採集。
過去に虫を追いかけて迷い込んだ時、芋虫っぽいオウガを追いかけ回し出勤を食らった桧ならば。今度は猟書家相手でもそれを平然と行えてしまう。
もしも彼女が蝶ならば、これはとても"珍しい虫"に映る。
「数本をお借りしますね」
マイペースに彼女の杭を借り受けて、わくわくうきうきマイペースに標本へ杭を打ち込んでいく。
悲鳴はまあ、人間のような姿をしていたらするものだろうと流している。
――この翅はなかなか見ていて飽きないですね。
大成功
🔵🔵🔵
ノヴァ・フォルモント
(アドリブ歓迎)
没頭すると周りが見えなくなるのかね
取り巻き達はもう居ない
後はお前ひとりだよ
アリスを扉ごと捕まえて一体何を企んでいたのか
…ああ、説明は要らないよ
興味もないし
話の長い奴は苦手だ
勿論、相手にもよるけれどね
アリスを返す気も
コレクションにされる気もない
趣味の悪い実験はもう終わりだ
アリス、君が探していた扉は目の前にある
けど、どうやら彼奴を倒さないと開かないみたいだ
…君も一緒に戦ってくれるかい
本当なら女の子を前に立たせるなんて
気は進まないのだけど
自分がそうした役に向かないのを理解しているからこそ
代わりに最大限の援護をしよう
もし君が傷付いても痛みなんて感じさせない
彼奴の動きも出来るだけ抑えるさ
●翔ばない翅
――没頭すると周りが見えなくなるのかね。
「取り巻き達はもう居ない。後はお前ひとりだよ」
ノヴァ・フォルモントは猟書家幹部"プラーラ・シュメット"に突き刺さる自分の銀の杭を見つけて、痛ましい、という顔をする。
他の猟兵によって突き刺されたものだが、どうやら抜けなかったらしい。
脇腹を裂かれていたこともある。
見た目以上に彼女は重症を負っている。念動力で抜けないほど深々と重いダメージを負った身では、容易に抜くことは叶わなかったようだ。
『そう、でしょうね』
「アリスを扉ごと捕まえて一体何を企んでいたのか……ああ、説明はいらないよ」
――興味もないし。
――どうせ、要領を得ない長々とした話になるに決まってる。
『私の素晴らしい計画を一から解説することならば其処まで手間ではありません。筋道を立てて、順番に』
「いや要らないよ。話の長い奴は嫌いだ」
――勿論、相手にもよるけどね。
「アリスを返す気もない。それからこちらもコレクションにされる気もない」
相互理解が発生しないこの環境。
ノヴァは彼女の主張を否定して、ふるふると首を横に振る。
「散々実験してたんだろう?ああ、逆か……今から色々試す気だったんだっけ」
周囲の閑散たる様を流し見て、ご愁傷さまと目を伏せる。
自生していた野生の生花も魔法を構築していた術式とやらも何もない。
――どんななにがあったかは知らないけど。
――踏み荒らされるより上、全て白紙になるってどんな気持ちだろうね。
『扉移動実験こそ未完のままになりましたが、特に問題はありません』
「別の実験を開始するから?趣味の悪い実験はもう終わりだ。諦めて」
扉の影に隠れたアリスとふと目があった。
ノヴァは手招きしながらアリスを呼ぶ。
「……君も一緒に戦ってくれるかい?」
――本当なら女の子を前に立たせるなんて気は進まないのだけど。
「は、はい!が、がんばります」
高枝式枝切り鋏を取り出すアリスは、不安そうな顔をしたのも一瞬。
柄の長さがある鋏をもった瞬間、少し勇ましそうな顔をした。
「ありがとう。代わりに最大限の援護をするよ」
――前に立つことは、向いていなくてね。
――自分が適していないことは理解しているつもりなんだ。
「さあ、はじめよう」
『話は纏まりました?アリスも貴方も。どちらも私のものにしてさしあげましょう』
背中の翅が機械歯車を回して動き出す。
あれは羽ばたく翅にあらず。
キィイイイイイと甲高い微かな音を立てて、微振動をする機械じかけの翅なのだ。
動き出した翅から銀色の粉が生み出され、動きが悪い側に粉を刷り込み白銀の蝶を生やした。生えた蝶が佇む限りその部分は自由自在に操作出来るため、これでペナルティは無いに等しい。
――あの鱗粉はおそらく生体兵器、なのだろうな。
『これで私は自由です。さあ、あなた方を頂きましょう』
「だ、だめです……!全部、撃ち落とします……!」
生み出された鱗粉は蝶の形を取って猟兵たちの元へ飛来する。
自由に動くことを制限するために使われるはずだ。全ての蝶を撃ち落せれば……。
「――♪」
――もし君が傷付いても痛みなんて感じさせない。
――彼奴の動きも出来るだけ抑えるさ。
アリスが枝切り鋏で立ち回るのを、ノヴァは朧月夜で奏でる旋律に、敵意がある攻撃を阻む音を含ませる。
意志のないものと意識があるものでは受け取り方は変わる。
――夜の色も、日々の暮らしも。
――発生したナノマシンのような鱗粉に、そんな要素はないだろう。
旋律に押しつぶされるように砕け散る蝶、それから羽ばたく翼でも得たように駆けていくアリス。
『弱気そうなアリスが、……っ!?』
「人の活動力は気の持ちよう次第、っていうだろう」
「蝶のように舞い、蜂のように――」
じゃきん。
素早く廻り込んだアリスの枝切り鋏がプラーラの背の翼を片側全て切り落とす。
がらがらと重そうな音を立ててアンティークな翼がもがれて行く。
「どうせ翔べない翼なら、ここで削がれたって問題ないだろう?」
大成功
🔵🔵🔵
雨煤・レイリ
リュカくんと(f04228)
俺たちが彼女を逃がすと言ったからには逃がすし
アリスも渡しはしない
ごめん、君のコレクションになる気もないよ、ってにこやかに答える
特に欲しいと思って貰えてるのでもないなら尚更ね
守る対象がいる以上は、引き続き≪朱帷≫を使用
敵の攻撃は弾いて、鎖だけは避けるように動こう
拘束さえされなければ鎖も弾いて、踏み込んで殴っていく
アリスは可哀想なんかじゃないよ
君を倒せばアリスも安心して扉は開くし、潜れるということだもんね
…だから、君を倒せばいいって話さ
アリス、君も手を貸してくれる?
間違いなく俺達は君を傷つけさせないけど
自分の手で脅威を打ち払う方が、恐怖に打ち勝てるんじゃないかと思うんだ
リュカ・ラス
引き続きレイリ殿(f14253)と
あの人が、猟書家…!
何だか、凄く嫌な感じがします
「アリスの方は渡さないし、私達も貴女の物にはなりません!」
アリスの方を元の世界に戻すと約束しましたから
絶対に、負けません
扉は今は開かなかったけど、これが終わったらきっと開きます
もう少しですから、頑張りましょう、アリスの方
(勇気づけられるように明るく)
UCはレラを呼びます
レラは相手の飛び道具や技に炎をぶつけて、私は剣で本体を攻撃して行きます
さっきはレイリ殿にたくさん守って頂きました
今度は私も一緒に戦います
誰かと一緒だと思うと、心が強くなった気がします
アリスの方も、そう思ってくれてると良いなと思います
●扉を開けて
「あの人が、猟書家……!」
猟兵達が平和にしたはずの世界を侵略する者たち。
リュカ・ラスはその姿を目の当たりして、びびびと背中に何かが走っていくのを感じた。リュカは初めてその存在を見たのだ。
彼女は現実を改変していく事を目指す、悪い存在のうちの一人。
背中を駆けていったのは悪寒、のような。寒さのような。
表現し難い、すごく怖い気配を感じたとでもいうのだろう。
「アリスの方は渡さないし、私達も貴女のものにはなりません!」
「俺たちは彼女を逃がすと言ったからね。ごめん、優先事項は先にあるんだ。コレクションになってるヒマはないよ」
その攻撃の連続を受けたのは、もう君の必然なのかもしれないよ。
雨煤・レイリはそうやって笑う。猟書家"プラーラ・シュメット"
がなそうとしたことは別段おかしいとはいわないが、どうしてもその活動には笑いが付いてきてしまう。
なるべく平静を装って。
にこやかに告げるレイリは喧嘩するような敵対を求めてはいない。
「アリスの方を元の世界に戻すと約束しましたから、絶対に負けません」
リュカの頼もしい一言に、アリスは希望を胸に抱く。
ああ、もしかしたらほんとうに――。
「俺たちのことを特別欲しいってわけじゃないんだろう?アリスは扉があるからだし、俺たちはそれを阻んでるからだろう?"喉から手が出るほど欲しい"って思って貰えてるのでもないなら、尚更ね」
『些細なことですね。コレクションしてから好んでも遅くはないでしょう?』
手に入れる前から押収しようとしている生き物を好きでいる必要はないとプラーラは言った。眺めているうちに、もしくは、いずれ好きになったらいいのではないか、という主張だ。
『つまり……あなた方を手に入れようとする私の目的は、未だ代わりません』
標本収集者の本領発揮。念動力によってざわめき出す貫き留める銀の杭。
それから、動きを止める麻酔針をずらりと並べて、彼女は楽しげに笑う。
足元からは動きを封じる鎖の群。少しでも自分の体が動かずに済むように。
彼女は持てる力の全てを発揮して、コレクションにしようと動き出した――。
「逃げないでアリス。俺は守る対象がいる以上は、前で戦い続けるから」
そのレイリの腕は、引き続き巨大化させたままである。花弁の吹雪く幻影が、更地となっている今この場所で何よりも華々しい色を添えていた。
「ほら、俺を捕まえないと後ろの二人はあげられないよ」
『遊びに付き合ってはいられません。その言葉、全て徒労に終わらせてさしあげましょう!』
全ての道具をレイリに向ける。
動きを止めて、封じて、それからその場に繋ぎ止めれば。彼の後ろの二人も同様に捉えることが出来るだろう。
ユーベルコードを封じる事ができたなら、話はもっと簡単になる。
向かってきた麻酔針を、レイリは頑丈な腕で弾く。
大きい銀の張りも、弾き飛ばして拒絶する。代わりに、自由に動く鎖だけは跳んだり跳ねたりと、避けているけれど。
――拘束さえなければ、いいんだけどね。
「二種類を防いでいるからね、もう一種類の同時命中はどうしても避けたいんだよ」
強くその場で踏み込んで。
全てが連なる一本の鎖を足で踏みつける。
蛇のように持ち上がったところは、全力で殴って粉砕した。
――頑丈なのはこの手だから。
――この手があれば、だいじょうぶだから。
「扉は今は開かなかったけど、これが終わったらきっと開きます」
絶対開かないなんてことはないのです。
「怖い人が居なくなったら、気持ちは軽くなりますよ。……ね、もう少しですから。さあアリスの方。頑張りましょう?」
勇気づけるように明るくリュカが背中を押す。
逃げないでとレイリは言った。頑張ろうとリュカはいった。
逃げろとも、現実をみるなとも言っていないのだ。
このまま此処で"頑張ろう"と。
そうすればきっと、帰りの道は拓くから、と。
「さあ、我が呼び声に応えよ、炎の竜レラ!」
現れた闘竜・レラは吼えるような闘気を纏って炎をぶち撒ける。
炎は一つ一つが礫となって浮遊し、発生した火炎弾をレイリのサポートへ回す。
防げないモノは弾く。弾かれたものは壊す。
『仲間のサポートだけでいいのですか?貴方の対策はそれ、本当にあっていますか?』
片側だけ残った機械歯車の翅を震わせて、鱗粉を生じさせるプラーラ。
当たった場所に白銀の蝶を生やし、洗脳能力を増加するその粉は。
レイリに当たるように、仕向けられていた。
機械の蝶の姿を予め取っているものもあれば、蝶の羽ばたきにまぎれている。
どれもこれもは対処するには――。
「レラ!全部です、全部を燃やしましょう!その間に、私は剣で――いきます!」
全部燃えれば全てガラクタ以下のものになる。
自在に操れるものがないように、レラの炎を複数合体で強化を施し、称するならば豪炎と加工して。
いっぺんに炎の向こうに消し飛ばす。影も形も残すことはない。
豪炎の中を駆け抜けて、飛び出すリュカはプラーラへと斬りかかる。
動かないのは怪我のため。それももちろんあるが、本人があまり活動的に動く姿をしていないのもあった。
自由自在に駆ける為の姿ではなく。
あくまで、収集を行うのが彼女の目的――。
『ああ、可哀想なアリス』
「アリスは可哀想なんかじゃないよ」
帰りたい彼女を"研究対象から外れたがる可哀想な存在"としてプラーラは語る。
レイリは否定の言葉で返すが、視線をちらりと向けられただけだ。
「君を倒せばアリスも安心して扉を開けられるし、潜(くぐ)っていけるからね。――ただ、一つの真実は。君を倒せばいいって話さ」
「そうです!さっきはレイリ殿にたくさん守って頂きました。だからこそ、今は一緒に戦っています」
深々と、リュカの剣はプラーラに突き刺さっていた。
彼女には逃げるすべがない。これまでの攻撃の積み重ねが、彼女を余計に動けなくした。
「……誰かと一緒だと思うと、心が強くなった気がします!」
「だって。ねえアリス、君も手を貸してくれる?」
「アリスの方も、そう思ってくれてると良いなって思います!」
二人の猟兵に呼ばれて、今度は腰に下げていたマチェットを手に挑む。
ユーベルコードは確かに使えるが、それは今必要なものではないはずだ。
「間違いなく俺たちは君を傷つけさせないけど。自分の手で脅威を打ち払うほうが、恐怖に打ち勝てるって思うんだよね」
『猟兵によって倒されるではなく、ただの怯えた小娘に!?』
「小娘だなんだって、コレクター魂のない事を言うから倒されるんじゃない?」
レイリがプラーラの翅を抑え込むように抱きかかえて、アリスは彼女の後方を取った。
リュカはタイミングを合わせ、剣の攻撃とマチェットのアタックをあわせる。
同時に突き刺さった攻撃は三つ。
体の前側、それから翅のある背中側に刃が刺さり――心臓を抉ったのは朱帷。
掴んで、それから――容赦なく、潰した。
心の臓を潰されて、生き延びるものなどいない。
研究も、実験も全て此処で終わらる。
猟兵が目指した事は、何一つ嘘にはならなかった。
「キミは、ひとりじゃないんだよ」
「そうです。怖い物に打ち克つ勇気が、ありました!」
頼もしい言葉を掛けてくる二人の傭兵は、扉が開くか確かめてみると良いよ、と促してくる。
アリスはおそるおそる手をドアノブに。
かちゃ。
何かに遮られることはなく。その扉は開いた。
「覚えていて下さい。再びこの世界に迷い込んだとしても、――アリスの方はひとりじゃないです!」
大成功
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