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桃陵火殺

#封神武侠界

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#封神武侠界


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 封神武侠界は仙界にありしさる集落は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
「ダメだ、火の手が止まらない……!」
「もう、この邑は捨て去るしかないのか!」
 名うての仙人たちでさえ、怒涛の如く蔓延る龍の炎には抗えない。
 燃えていく集落を、ただ愕然と眺めるほかになかった。

 ――龍の炎。
 然り、それは自然の炎にあらず。
「燃えよ、燃えよ……我が巣に、斯様な仙人どもの残り香など不要なり。
 すべて燃やし尽くし、次は逃げ出した仙人どもをひとりずつ喰ろうてくれるわ1」
 天に巨体を悠々と横たわらせ、呵々大笑するは魔獣『古龍髄厳』。
 彼奴こそ、この集落を焼き落とさんとする邪悪なオブリビオンである……!

●グリモアベース:予知者、クイン・クェンビー
「……というわけで!」
 自分が見た予知の光景を伝え終えた少年は、緊迫した表情で言った。
「桃源郷をオブリビオンの手から救い出すために、みんなの力を貸してほしいんだ!
 敵はおっきな龍だけ。けど、まずは燃えている集落の火の手を止めなきゃだよ!」
 クインによれば、現地にはまだ多くの力なき人々が取り残されているという。
 オブリビオンによる殺戮を食い止めるためにも、まずは消火と人命救助が最優先だ。
 燃え盛る龍の炎は一種の結界となって、古龍への攻撃を妨げてもしまうらしい。
「オブリビオンの起こした火災を止められれば、倒すことが出来るようになるはず!
 それでオブリビオンをやっつけたら、桃源郷でパーティとかするのもいいよねっ」
 もちろん、燃やされた集落の復興を手伝う……というのも悪くはない。
 あるいは物珍しい仙界の市を巡り、珍品奇品を探すなんていう手もあるだろう。
 猟兵たちがどれだけ効果的に、かつ迅速に動けるか。
 それによって、戦闘後の日常的な時間をどれだけ楽しく過ごせるかも変わってくる。
「実を言うと、前にこの世界の予知をした時、クインは行けなくてさ~……。
 だからみんなが頑張って事件を解決してくれたら、今度こそ桃源郷を楽しめるかも!
 クインのために頑張って~……っていうのはちょっとアレかな、あはは……」
 苦笑して頬をかきつつ、戦いのあとの宴が楽しみで仕方ないらしいクイン。
 しかし彼はこほんと咳払いして表情を引き締めると、にぱっと笑った。
「とーにーかーく! まずはオブリビオン退治、よろしくねみんなっ!」
 明るい溌剌とした声が、転移の合図となった。


唐揚げ
 三色団子です。封神武境界でのシンプルな龍討伐のお話となります。
 まずは燃える集落で消火&救助活動を行い、火の手を止めましょう。
 迅速に動くことができれば、集落へのダメージは最小限で済みます。
 逆に手間取ってしまうと、3章の日常パートが悲惨なことになるかも……。

 桃源郷でパーティをしたり、仙界の市場を見て回ったり、桃源郷を散歩したり。
 ごく普通の穏やかな時間を楽しむためにも、頑張っていただけると嬉しいです。
 ちなみに、3章ではNPCのクイン・クェンビーも呼び出し可能です。一応。

●プレイング受付期間
 04/19(月)12:59前後まで。
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第1章 冒険 『仙郷大火災』

POW   :    住民や獣たちを救助する

SPD   :    建物や木々を破壊し、延焼を防ぐ

WIZ   :    元凶を捜索する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

安室・玲華
・心情
さぁさぁ、新たな世界は中華の不思議!
どんなお宝があるか、海賊としてもワクワ……ごほん!!!
好奇心は疼くけれど、命の危機は見過ごせないわ!
琉鳴戦姫、いざ参る!

・行動
とにもかくにも、まずは救助活動ね!!!
【気合い】で走り回って、住民や獣たちを救助するわ!
救助の邪魔な瓦礫なんかは、ぶっ壊していくわ!

・その他
アドリブ等は、大歓迎よ!



●いざ、封神武侠界!
 安室・玲華の心は、いつになくワクワクに高鳴っていた。
 郷を燃やされている仙人たちからすればたまったものではないだろうが、
 猟兵として世界を超える瞬間というのは、やはりたまらなく高揚するものだ。
 まだ見ぬ大地、人々、そして強敵と冒険!
 だがそれも、まずはこのトラブルを解決してからの話である。
「さあ、琉鳴戦姫いざ参る! 命の危機は見過ごさないわよ!!」
 玲華あらため琉鳴戦姫は、全身を湧き上がるオーラで覆った。
 消防士が身につける防火服のように、竜の炎を防御するための備えだ。
 郷を燃やす炎はユーベルコードによるもの。
 つまり、同じユーベルコードでしか防げないのである。
 仙人たちが手をこまねいている最大の理由も、そこにあった。

「誰かー! 誰か助けてー!!」
「さっそく聞こえたわよ、助けを求める人々の声が!」
 琉鳴戦姫が駆けつけたのは、今にも崩れそうな民家であった。
 出入り口は瓦礫でふさがってしまっており、声は中からしている。
 おそらく逃げ遅れた住民のものだ。このままでは圧死かさもなくば焼死。
 どちらにせよ、命はない!
「この瓦礫が邪魔ね……せぇいっ!!」
 琉鳴戦姫はオーラを拳に集め、瓦礫を殴り飛ばす!
 力を籠めすぎると、民家そのものが倒壊してしまう。
 そのため、微妙な力のセーブを求められる難局を、あっさりクリアしてみせた。
 琉鳴戦姫は瓦礫をふっとばした瞬間、民家に駆け込み、女性を見つけた。
「さあ、こっちよ!」
 そして女性の身体を抱え、風のような速さで民家から飛び出す。
 その直後、ミシミシと家屋が軋み……ついに、民家は倒壊してしまった!
 もしも琉鳴戦姫が駆けつけるのが遅ければ……女性は顔を青ざめさせた。
「あ、ありがとうございます……!」
「気にしないで、ヒーローとして当然のことだわ。安全な場所へ避難してね!」
 琉鳴戦姫は女性に別れを告げると、猛スピードで駆け出した。
 彼女の聴覚は、あちこちからいくつもの救いを求める声を感じている。
 急げ、琉鳴戦姫。罪なき人々の命を救うことこそ、ヒーローの本懐。
「必ずぶっ飛ばしてやるわ、待ってなさいオブリビオン……!」
 頭上で悠々と巨体を横たわらせる龍を睨み、琉鳴戦姫は心に誓う。
 すべての命を救い出し、あの邪悪なオブリビオンをこの手で倒すのだと――!

成功 🔵​🔵​🔴​

源波・善老斎
所構わず火を放ちおるとは、なんと危険な輩か。
しかしまずは救助じゃ。
建物なぞはいくらでも造り直せるが、人命はそうはいかん。
考えておる時間もなさそうじゃし、早速取り掛かるぞい。

火災において恐るべきは炎に非ず、真に危険なのは大気の毒(一酸化炭素)じゃ。
然らば……行善天拳奥義が一、【地須器格】!
即ち、地に須みて器を格すべし!
これにてこの場の大気を治め、燃える建物内の空気を無害な状態に変えるぞい。
【軽業】にて炎を掻い潜るのは容易い故、住民から情報を聞き、取り残された者の目星が付けば救助できよう。

何?ちっこい爺が人を運べるのかじゃと?
我が積年の【功夫】あらば、1人や2人や10人や100人、造作もないわい!



●加油! 御行善!
「ハハハハハ……燃えろ燃えろ、仙人の郷など燃えてしまえ……!」
 古龍瑞厳は、消火活動に勤しむ猟兵と仙人たちを嘲笑う。
 誰も手を出せぬ空に君臨し、気まぐれに炎を吐いて被害を拡大していた。
 この炎は一種の結界のようなもので、広がれば広がるほど古龍を強化する。
 邪魔者を皆殺しに出来るうえにパワーアップも出来る、一石二鳥の力なのだ。

「ところかまわず火を放ちおるとは、なんと危険な輩か……!」
 秘拳・行善天拳の使い手、源波・善老斎は肉球を握りしめた。
 本当であれば、いますぐにでも古龍を空から引きずり下ろしたいところだ。
 しかしこんな惨状で戦いを始めれば、郷は跡形もなく吹き飛ぶだろう。
 さらに燃え盛る炎は、奴を守る結界ともなる。攻撃はおそらく通じまい。
「いかんいかん、まずは救助をせねば。考えておる時間はないぞ、我輩よ!」
 善老斎は気持ちを切り替え、目の前の惨状に意識を集中させた。
 刻一刻と火の手が強まるなか、彼は一体どのように人々を救うのだろうか?
「消火活動については、我輩よりもっと適した猟兵がいるはずじゃろう。
 となれば、我輩がやるべきことは、真に危険な毒を消し去ることじゃな」
 火災においてもっとも危険な要因……それは、炎ではない。
 大気の毒――すなわち、一酸化炭素である。
 事実、火災現場でもっとも人の命を奪うのは、炎の熱よりも中毒症状だ。
 空気とは生命活動に必要不可欠な存在。それが毒となったならば……!
「仙人たちよ、我輩に力を貸してくれ!」
「何? 一体どうすればよいのだ」
 事態に手をこまねいていた仙人たちは、善老斎の呼びかけに応じた。
「今より、我が行善天拳により、この地の大気を治め無毒化する。
 その間に、建物に取り残された一般住民を救助し、運び出してほしいのじゃ」
「なんと、そのようなことが出来るのか!?」
「百聞は一見に如かず。いざや見よ、これぞ行善天拳奥義が一!」
 善老斎は気息を整え、内功を練り上げた。
 そして両掌に気を集中させ、たしっと肉球で地面を叩く!
「地を須みて器を格す――すなわち、"地須器格"なりッ!」
 すると、見よ!
 この地に走る霊脈が光る線となって浮かび上がり、強く輝いた。
 もくもくと立ち上る黒煙が、雲から陽光が差し込むように消えていく!
「「「おお……!」」」
 仙人たちは驚嘆し、拱手で敬意を示すとすぐさま四方八方に飛んでいく。
 善老斎も内息を調えると、さっそく手近な建物に飛び込んだ!
「わわっ! 猫さんだ!」
「いかにも、我輩は猫じゃ。しかしただの猫ではないぞい!」
 驚く子供たちを抱えあげ、善老斎はひらりと建物から脱出してみせる!
 これもまた積年の功夫の賜である。なんたる軽功か!
「人のひとりやふたりや十人百人、造作もないわい! いざ参るとしようか!」
 失われゆく命を救うため、善老斎は風の如くに郷を駆ける!

成功 🔵​🔵​🔴​

御門・白
仙道が普通に存在する世界
陰陽道を扱う私は少しばかり、親近感を覚えますね

そんな言葉とは裏腹に、迅速に行動

ツクヨミに搭乗したまま鎮火に掛かります

霊的器官で周囲を探査し、火勢の薄いところへ避難する方々を誘導
ツクヨミは炎から人々を守る盾になります

お出で。「地雲薙剣」
此れは不死をも断つ劔。消えない炎、なにするものぞ
もっとも斬れば鎮まる程度ならば神仙の技が通じないはずもないでしょうが

だから。十重二十重に封じていきましょう
龍の炎に【呪詛】を掛けていく

燃え盛ることを禁ず
人を殺めることを禁ず
この世界に在ることを禁ず

まだ足りませんか
では時間の衣を伸ばして搦めとる
炎とても無限ではない
この地より滅すべし
急急如律令



●炎を断つ
「……忌々しい……」
 古龍瑞厳は、猟兵たちの奮闘ぶりが気に入らない様子だった。
 そもそも猟兵がこの場に駆けつけた時点で、相当に気分を害している。
 しかも連中は、こちらのばらまいた炎をうまいこと無力化していた。
 それが気に入らない。仙人たちの表情が明るくなっていくのも、気に食わぬ。
 ……猟兵たちのなかで特に古龍の注意を惹いたのは、一機のキャバリアだ。
 巨大さもある。しかしそれ以上に、古龍の神経を逆撫でした理由は別にあった。
「……あのからくり、妙な気配を感じるぞ。"我ら"に近いものであろうに」
 つまり、オブリビオンマシンという"近い存在"がゆえの匂いだ。
 それが自分に歯向かっている――という事実が、古龍を苛立たせる。
「猟兵め……少し灸を据えてやるかいのぉ……!」
 散発的だった龍の炎による攻撃が、一点に集中していく。
 すなわち、御門・白の駆るキャバリア・ツクヨミに……!

 同じ頃、白とツクヨミもまた、空から突き刺すような殺気を感じていた。
「やはり、こちらに目をつけてきましたか。上等です」
 白は足元の人々を安善なほうへ誘導すると、踵を返した。
「お出で、"地雲薙剣――」
 虚空を切り裂き、神器がツクヨミの前に突き立つ。
 ツクヨミは剣を握りしめ、空から飛来する炎をざくりと切り裂いた。
 剣圧の余波が、周囲で燃え盛る炎の残滓を吹き飛ばし、鎮火する。
「さあ、あなたのその自慢の炎は、すべて断ち切って鎮めてしまいますよ。
 ……気に入らないでしょう? なら、私たちを攻撃してくるがいい……!」
 白はツクヨミとともに囮になることで、被害の拡大を防ぐつもりなのだ。
 古龍はまんまと挑発にひっかかり、さらなる炎を飛礫のように放つ。
「燃え盛ることを、禁ず……人を殺めることを……禁ず……!」
 ツクヨミは神器で龍の炎を切り裂き、白が呪詛によって炎を根源から消し去る。
「この世界に在ることを、禁ず――久遠の夜、無窮の天よ。炎をこの地より滅せ」
 夜色の衣がツクヨミを抱きしめ、"夜"は外套のように大きく広がった。
「炎とて無限ではないでしょう。万物流転、急急如律令――!」
 ツクヨミを中心に呪詛の波が広がり、周囲の炎を完全に消し去った。
 敵の攻撃がツクヨミに集中していることで、延焼も一時的に止まっている。
 白にとっては負担の大きい仕事だ。しかし、彼女は退かない。
「この世界を、焼き尽くさせはしません……」
 目から一筋の血の涙を流しつつ、白は空高く君臨する古龍を睨んだ。
 ツクヨミを挟んで、龍と少女の視線が交錯し、火花を散らす……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
【相照】
こりゃまた派手に燃えてんな……
家が燃えてるのを見るのも、人の焼けるにおいも苦手だ
幾ら魔術があっても一人じゃ限度があるし
――嵯泉、助けてくれる?

龍の炎なら、超常の氷も溶かして来るだろ
だけどそれが狙いだ
天罰招来、【氷霜】
水を水のままで扱うのは苦手なんだ
氷を敢えて炎に突っ込ませて、溶かしてもらおう
迂遠だが、これなら私の魔力を通した水を大量に用意出来る
じゃあ嵯泉、バトンタッチな
ん、分かった
でも私、目ェ良くないし……先導、頼んで良い?

わー、凄え!おまえって器用だよなー!
これなら早めに消せそうで安心したよ
早くしてやらないと、こいつらの故郷、なくなっちまうもんな
ありがと、嵯泉。手伝ってくれて!


鷲生・嵯泉
【相照】
……此れは何時も以上に癇に障る
早々に消し止めるとしよう
勿論、頼みとあらば幾らでも

只の火ではないとあらば、此方も相応の水で対処するまで
では此処からは私が請け負おう
其の水、我が意の元に――祕神落妖、雨と散じよ
火勢のある場へ向け、滝の如くに振り掛からせる
氷竜の魔力が通った水だ、さぞや能く消えるだろう
さて出来るだけ広範囲の消火の為にも移動するか
煙一筋見逃さん様に……そうか、では着いておいで

器用と云うならお前の方――いや、応用が利くと云った方が近いか
故郷を失うなどという悪夢の如き経験、此れなら防げるだろう
私自身も望んだ事、礼を云われる様な事では無いが……
お前の役に立てたなら幸いだ



●五行相剋によりて
 君臨する龍。
 燃える都。
 嘆きと悲鳴――苦しむ人々。
「……此れは、何時も以上に癪に障る」
 鷲生・嵯泉は隠しようもない嫌悪感に、隻眼を顰めた。
「家が燃えてるのを見るのも、人の焼けるにおいも苦手だ。止めないとな」
「ああ。早々に消し止めねばなるまい」
 ニルズヘッグ・ニヴルヘイムの言葉に、嵯泉は頷いた。
「っても、魔術があったってひとりじゃ限度があるからな……」
「……」
「――嵯泉、助けてくれる?」
「勿論だ。頼むとあらば幾らでも」
 答えるまでもない問い。これは、ふたりのある種の儀式のようなものだ。
 互いの力を合わせるための誓いや確認、そういった類の。
「しかし、なにか策はあるのか? 闇雲に駆けずり回っても効果は薄いぞ」
「それなら心配ないよ、嵯泉。手は多いに越したことはないってんなら」
 ニルズへッグは意味深な笑みを浮かべ、頭上高くに君臨する古龍を見上げた。
「あいつ自慢の炎を、利用させてもらおうじゃないか」
「……?」
「まあ聞いてくれって。つまり――」
 ニルズへッグの語る策とは、驚くべきものであった。

「……んん?」
 一方、上空。
 古龍は新たな猟兵の気配を感じ、つまらなさそうに見下ろす。
 同じ竜種の強い気配は興味を惹かれるが、あれは自分と相性の悪いタイプだ。
 その証拠に、ニルズへッグがユーベルコードで生み出すのは冷気である。
 炎と、氷。これほどわかりやすく相性の悪い属性はなかなかあるまい。
 ましてや郷を焼くのは、古龍自慢の龍の炎である。
「たかが氷なぞで凍てつかせようと、無理、無駄、無謀よ。カカカ……」
 古龍はニルズへッグの奮戦をあざ笑い、完全に嘗めきっていた。
 そして事実、ニルズへッグの招来する氷柱は、炎によって融解してしまう。
 あたり一面水浸しになるだけで、炎は消えるどころか勢いを増す始末。
「愚か、愚か……ぬうっ!?」
 だが、高をくくっていた古龍の余裕は、驚愕によってかき消えた。
 その理由は……嵯泉のユーベルコードにある!

「よし、こんなところで十分だろう。じゃあ嵯泉、バトンタッチな」
「請け負った。お前が用意してくれた水は、すべて活用しよう」
 嵯泉は頷き、人差し指と中指を立てると、剣指を口元に押し当てた。
「――祕神落妖。水よ、雨と散じよ」
 すると、見よ! 氷が解けたことで生まれた水が、重力に逆らい浮かんだ。
 たちまち水は空中で雲をなし、黒雲からざあざあと大量の雨が降る。
 ただの雨ではない。ニルズへッグの魔力を宿した超常の水である。
 そこに嵯泉の道力が宿ることで、水は龍の炎すら消し去る力を宿していた。
 すなわち、水剋火。五行陰陽の法則によりて、炎は雲散霧消する!
「おお……!」
 広がりゆく火の手に手をこまねいていた仙人たちも、驚愕にどよめいた。
 これほどの広範囲に雨を降らせる術式は、宝貝でもそう簡単にはいくまい。
 事実、嵯泉の術式は非常にコントロールが難しく、暴走の危険をはらんでいる。
 力加減を間違えば、雨は濁流となって郷を押し流してしまいかねない。
 それでは、炎を消すことが出来たとしても元の木阿弥というものだ。
 炎だけを的確に消し去るには、精妙なコントロールが必要不可欠なのである。
「このあたりはこれで十分だろう。次へ移動するぞ」
「ん、わかった。でも私、目ェ良くないし……先導、頼んでいい?」
「……そうか。では、着いておいで」
 嵯泉は少しばかり柔らかな語気で言い、ニルズへッグを伴い移動した。
 炎を見つければニルズへッグが氷柱を招来し、わざと突っ込ませることで融解。
 新たな水気を生み出し、それを嵯泉が利用する。完璧な連携だ。
「わー、凄え! 雲がどんどんでかくなってく! おまえって器用だよなー!」
「器用と云うならお前のほう――いや、応用が利くと云うべきか。
 お前の招来した氷がなければ、これほどの量の水気を集めることは出来ん」
「……へへ、そーかな。ありがと、嵯泉」
 ニルズへッグは照れくさそうに笑った。
「よっし、じゃあこの調子でどんどん消火活動、していこーぜ!」
「ああ。故郷を失うなどという悪夢の如き経験は、しないに越したことはない」
「――ありがとな、嵯泉。手伝ってくれて」
 ニルズへッグの感謝の言葉に、今度は嵯泉が微笑む番だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

龍・雨豪
嗚呼、遂に故郷に帰ることが出来るのね!
とはいえ、何だか騒ぎになってるみたいだけど……。
まぁ、いいわ。行き掛けの駄賃にこっちも片付けていきましょ。

あー、なるほど?
同類が暴れてるのねぇ。
以前はああいう輩は見かけなかったけど、どうしたのかしら?
なんにせよ迷惑だから、お引き取り願いましょ。

まずはこの火を何とかしないといけないわけね。
ふふん、任せておきなさい。私にとっては造作もないわ。
この地域一帯を土砂降りにして、あっという間に消してあげる!
多少の洪水はご愛敬よ!
……冗談よ、そこまではやらないわ。

久々の故郷を満喫するためにも、住人も建物もしっかり守ってあげないとね。
ふふふっ、今から楽しみだわ!



●災いよ、恵みとなれ
 ざあざあと雨が降る。
 それは、龍・雨豪が招来した恵み……龍の力による通り雨だ。
「ちぃ、一度ならず二度までも……もはや見逃しがたし」
 すでに一度、水気によって龍の炎を消し去られてしまった古龍瑞厳。
 それゆえに雨豪の働きは看過ならず、苛立った様子で彼女を睨め下ろした。
 常人であれば射竦められ身動きが取れなくなるほどの、龍の殺気!

「――あらぁ? さすがに派手すぎて目をつけられちゃったかしらね?」
 対する地上の雨豪は、これっぽっちも気圧されていない様子で微笑んだ。
 ざあざあと降り注ぐ雨を通して、二体の龍の視線が交わる。
 かたや、苛立ちと憎悪をこれでもかと煮えたぎらせた形相。
 かたや、余裕を浮かべた挑発的な笑みである。まさしく対極的だ。
「以前はああいう輩見かけなかったけれど……どうしたのかしらね?
 私が知らないぐらい昔に朽ちた同類が、今になって復活したのかしら」
 旧きは強大に通じる。それが、龍の基本的な決まりというものだ。
 単純な年季だけで言えば、古龍瑞厳のほうが上ではある……しかし。
「ねえ、あなた! こんなところで"じゃれる"だなんて、はた迷惑よ?
 おかげで私まで駆り出されたじゃない。さっさとねぐらに帰ったらどう?」
「……ほざけ……小娘が……!!」
 雷鳴の如く、怒りに満ちた龍の声がどろどろと空をつんざいた。
 仙人たちですらどよめくなか、雨豪は挑戦的に目を細める。
「へえ、小娘……ねぇ。言うじゃない、死にぞこないの同類が」
「……!!」
 直後、巨大な炎が雨豪めがけて降ってきた!
「図星を突いちゃったかしら? でも残念、この程度造作もないわ!」
 雨豪は降り注ぐ雨を一点に集め、巨大な水の障壁を作り出した。
 泡のような水気は、岩をも融かす龍の炎を柔らかく冷たく抱きとめる。
 そして相反する龍の力はぐにゃりと混じり合い、蒸気と化して消え去った!
「ぬう……!!」
「その気になれば、洪水を起こしてあなたを無理やり叩き落としてもいいのよ?
 ――なあんて、そこまでやったら意味がないし、決してやったりしないけれど」
 雨豪は空高くにそびえる古龍を睨みつけ、小首を傾げた。
「私、久方ぶりの故郷を満喫したいの。今から楽しみで仕方ないのよね。
 だから、降りてくるならさっさとしなさい。ぶちのめしてあげるわ!」
「……小娘ぇ……!!」
 二体の龍の戦意がぶつかり合い、空気が張り詰めた。
 降り注ぐ雨の中、雨豪の笑みは変わらぬ。彼女は不遜で強気なのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ルヴトー・シフトマン
くっ…いきなりの鉄火場というわけですか
どんな理由があるかは知りませんが、これだけの無辜の人々を巻き込んで…堅気に手ェ出すクソ野郎どもが……いけない
今は怒りを抑えて、迅速に救助しないと

天狼のパワーを活かすとしましょう…消火用の装備はありません
倒壊した建物からの救助、木造の建築なら破壊して延焼を防ぎます
…住処を失うのは心苦しいですが、これ以上火を広げるよりはマシです
それから、何かの倒壊や炎に巻き込まれないように、天狼の巨体を盾にして避難誘導といきましょう
これぐらいしかできませんが、お許しを
…自然の炎じゃないなら、突然指向性を持つかもしれませんね
2秒先の未来視でインターセプトするのも視野に入れます



●鉄火場に跳べよ狼
 天狼はあくまで戦闘用のキャバリアであり、災害救助には向かない。
 あまり威力に頼りすぎると、無駄に被害を拡大させてしまう恐れがあった。
「冷静に、冷静に対処しないと……落ち着け、ルヴトー」
 ルヴトー・シフトマンは深呼吸し、こみ上げる怒りを鎮めた。
 空に君臨する龍の巨躯が、ルヴトーの神経を逆撫でする。
 今すぐにでも地上に引きずり下ろして穴だらけにしてやりたいところだ。
 しかし、事前の情報によれば、この事態をなんとかせねば奴は倒せない。
 それを差し引いても、この場で大規模な戦闘を行うわけにはいかなかった。
「堅気に手を出すクソ野郎が……待ってやがれよ」
 ルヴトーは義侠である。彼がこの事態に怒りを感じるのは当然のことだ。
 だが、今求められるのは怒りではない、冷静さ……命を救うための判断力。
 必ずこの怒りを古龍に叩き込むと心に誓い、ルヴトーは天狼とともに駆ける。

「また新たな助けが来てくれたか……聞かれよ、猟兵どの!」
 と、猟兵を手助けするために協力する仙人たちが、天狼に叫んだ。
「建築物は破壊していただいて結構。すべてが更地になるよりはよほどマシだ。
 それに元の構造物が残ってさえいれば、我らの仙術でいかようにもなる!」
「なるほど、ここが仙界でよかった……というところですね」
 建物の破壊に躊躇する必要はなくなった。あとは威力調整が重要だ。
「これから建物を破壊して脱出ルートを作ります!
 建物の中に取り残されている方たちは、決してパニックにならないでください!」
 ルヴトーは天狼の拡声機能を使って、燃える民家に向かって呼びかけた。
 そして意識を集中させ、センサーを通じて要救助者の居場所を探る。
 さらに、未来視――それが映し出すのは、要救助者が巻き込まれる最悪の未来。
(なら、これを「起こさないように」すればいい……ここだッ!)
 ルヴトーは要救助者を巻き込まないベストな場所を攻撃し、民家を破壊。
 バゴォン!! と派手な音とともに、燃え盛る木材が木っ端微塵に砕けた。
「ひ、ひええ……!」
「さあ早く。安心してください、俺がこの身を盾にしてでも守ります」
 へたり込む要救助者をかばうように、天狼の掌が彼らを包み込んだ。
 救助された人々はその言葉に鼓舞され、感謝を述べて安全な場所に避難する。
 未来視はいくつもの死を伝えてくる。ルヴトー自身ではなく誰かの死を。
「決して起こさせるものか……狼の牙は獲物を殺すためだけじゃない、守るための牙だってことを見せてやる!」
 天狼よ、災禍に跳べ。その目の示す未来を起こさぬために。
 いまこそその力が、牙が! 多くの命を救う時なのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
仙人には敬語

遅くなってすみません、今助けます
俺達がこの邑を終わらせません、もう少し頑張ってください

POWで判定
孔雀輪を使い【空中浮遊】【空中機動】で移動しながら【救助活動】を行う
【大声】で周囲に呼び掛けつつ【聞き耳】【視力】【暗視】を使って【情報収集】し要救助者を捜索
発見すれば要救助者に対して風の【結界術】を掛け、指定UCを使って障害物を破壊、火があるなら【結界術】と【火炎耐性】で耐える
救助者を【怪力】で抱えて【気配り】しながら安全な場所まで移動する
必要なら【優しさ】【落ち着き】を併用する



●七色の翼を広げ
 風が、龍の炎を吹き飛ばす。
 それは、ルイス・グリッドの『孔雀輪』が起こした神秘の嵐だ。
 ルイスは風に乗って空を飛び、あちこちに取り残された人々をピックアップする。
 時折空から龍の炎が飛礫のように堕ちてきて、ルイスを叩き落とそうとした。
「一方的に攻撃されるっていうのは、いい気分じゃないな……!」
 ルイスは銀の腕を盾の形に変え、炎の散弾を防御した。
 こちらから攻撃するためには、この事態を鎮圧しなければままならない。
 要救助者を片腕に抱えながら空中戦を繰り広げるのは、ルイスをしても困難だ。
 敵は、それをわかった上で狙い撃ちしている。なんたる卑劣さ!
「ひいいっ!」
「大丈夫です! 落ち着いて」
 恐怖に身悶えする要救助者を落ちないように支え、ルイスは言葉でなだめた。
「この程度なら俺でも防ぎきれます。あなたには火の粉ひとつ近づけませんよ」
「す、すまねえ! あんた、頼りになるな……!」
「いいってことです。そのために俺たちは来たんですから」
 ルイスは敵の追撃を油断なく防ぎ切ると、パラグライダーめいて着地。
「さあ走って! この先は安全です!」
「た、助かったよ!」
 救助者は礼を言いつつ、急いで駆け出した。ルイスは空を睨む。
(この分の礼は、じきにたっぷりさせてもらうぞ……!)
 逸る心を理性で押さえつけ、ルイスは次の救助者を探して駆け出した。
 龍の炎はユーベルコードによるもの……つまり、普通には鎮火出来ない。
 そしてルイスに出来るのは、風の結界を作り出して防御する程度だ。
 ここは要救助者の救出を急ぐべきだろう。幸い、障害物の破壊は慣れている。
「誰かー! 聞こえているなら返事をしてくださーい!!」
 ルイスは大声で呼びかけながら、燃える瓦礫を銀腕で破壊し、ルートを確保する。
 仙人たちも、猟兵たちの参戦で勢いをつけ、救助をサポートしてくれていた。
 救助活動は徐々に実を結びつつある。ルイスは冷静に郷を駆け巡った。
 失われるべきでない命を救えるかどうかは、彼の銀腕にかかっているのだ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎


…へえ?
龍が?集落を?焼き落とそうと?
でもって愉快そうにゲラ笑ってる?
……へえ。

あたし救助とかそういうのは正直得意じゃないし、消火作業に回ろうかしらねぇ。
ミッドナイトレースに○騎乗してテイクオフ、●黙殺を展開。描くのは水天印にラグ(水)にイサ(氷)、上から水○属性攻撃ガンガン降らせるわぁ。
火勢の迫ってるとこにはソーン(障害)とエオロー(結界)で防壁を形成。上からなら見通しも立てやすいでしょ。
アンサズ(情報)とラド(伝達)を組み合わせた通信機モドキで適宜情報共有もしときたいわねぇ。

とにかく、やれるだけやるしかないもの。ゴールドシーン、お願いねぇ?頼りにしてるわよぉ?



●龍への怒り
 ――龍が。
 我が物顔で空に君臨し、人々の狂態を面白げに侮蔑し、嘲笑っている。
 まるで己の遊び場だとでも言わんばかりに、無秩序に炎を振りまく。
 この世の王の如く。
 すべての支配者かのように。

「――……へえ」
 ティオレンシア・シーディアの声には、滴るような憎悪が宿っていた。
 龍への怒り。
 それは彼女の根源を成す記憶であり、そして忘れてはならぬ存在理由だ。
 奴らは傲慢で、わがままで、気まぐれで、そして残酷である。
 義憤とか使命感とか、そういう"きれい"なものではない。
 もっとどろどろとした、煮えたぎるような殺意と、憎悪。
「……これは、たっぷりツケを支払ってもらう必要があるわねぇ」
 今は抑えろ。ティオレンシアは己に言い聞かせ、ミッドナイトレースで飛ぶ。
 あいにく救助だのなんだの、人道的な仕事には縁のない商売だ。
 だが、やりようはある。あの炎はユーベルコードで生み出された超常の炎。
 ならば、同じユーベルコードを以て、消し去ることが出来るのだから。

 ――BLAMBLAMBLAMBLAM!!
「さあ、どーんどん雨を降らせるわよぉ」
 空中に水天の印が浮かび上がり、真上に放たれた弾丸が砕け散った。
 するとその破片は、刻まれたルーンの力により雨めいた飛沫となって散る。
 魔力を溜め込んだ水気の雨だ。龍の炎には覿面に効くだろう。
 ティオレンシアの読み通り、それは龍の炎を洗い流し、平穏を取り戻した。
 だが、古龍も黙って見ているわけではない。空から凝視の気配!
「ま、こっちを見てるなら止めに来るわよねぇ?」
 ティオレンシアが、敵の攻撃を読んでいないわけはなかった。
 龍の炎が着弾するより先に、弾丸を切り替えて空中に射撃する。
 刻まれたのは障害(ソーン)と結界(エオロー)のルーン。
 弾丸は結節点となって結界を生み出し、空から飛来した炎を受け止めた!
「……ぬう……」
 己の意が通らぬことに、古龍瑞厳は空高くで忌々しげに顔を歪めた。
 それを超視力で感じ取り、ティオレンシアはにたあ、と裂けるように笑う。
「悔しかったら降りてきてごらんなさぁい? ――愉しませてやるわ」
 じきに、攻撃が通るようになる。救助&消火活動は順調だからだ。
 そうなれば、あとはあの傲慢な蜥蜴風情に、身の程を教えてやるだけ。
 その瞬間が楽しみで、ティオレンシアは笑みをこらえきれなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
古龍ですって!?SOZAI剥がなきゃ…

火の手に近い建物から片っ端に爆弾を仕掛けて回って一斉爆破解体でござるね!!
何守るモンを自分から壊すなって?これは破壊消火と言って無闇矢鱈に破壊してるんじゃないんでござるよ
◆ご存じなかったのかーッ

一面吹き飛ばして荒れ地に変えたらこれ以上は燃え広がらないでござるね!
トドメ行きますぞ!炎に向けてこの特殊な【パンジャンドラム】をそぉい!!大規模火災にはこれ!爆風消火でござるよ!どんどん投げ込みますぞ!

ふぅ久々に力使ったからいい汗かいたぜ!何色々ぶっ飛んだって?しょうがないにゃあ…建物ら辺にパンジャンをそぉい!これでなんか幻想的でいい感じに建物が修復されますぞ



●こんな救助活動はじめて
 KRA-TOOOOOM!!
「なっ!? 一体何の音だ!」
「よもや、古龍の新たな攻撃では……?」
 郷に響く爆発音に、仙人たちはどよめいた。
 すわ古龍が本格的に攻撃を始めたのかと戦々恐々とするが、それは違う。
 今の爆発音は、エドゥアルト・ルーデルが仕掛けた爆薬によるものだ。
「FOOO!! やっぱり爆破解体するとテンション上がるでござるなあ~!!」
「待て、そこの男。なぜ建物を吹き飛ばしている!?」
「なんでござるかァ? これは破壊消火と言って無闇矢鱈に破壊してるわけじゃないんでござるよ? ご存知なかったのかーッ」
「ご、ご存知なかったのだ……!!」
 そこはかとなくブラジリアンっぽい口調で気圧される仙人。なんだこのノリ。
「それがわかったら二度と汚い言葉遣いはするな! でござる」
「いや特に汚い言葉を使ったつもりは……」
「いいからキリキリ動くでござるよ! ほら救助活動! ゴゥゴゥゴゥ!」
 仙人たちは「なんだこいつ」という顔を見合わせつつ、おとなしく動いた。
 エドゥアルトのトンチキなノリはともかく、爆破解体は実際効果的な選択肢だ。
 燃え盛る建築物が吹き飛んだことで、延焼は防がれるしルートも拓かれる。
 もちろん要救助者が取り残された家までは、エドゥアルトは破壊していない。
 彼なりにきちんと考えた上で、救助活動をしているはず、なの、だが……。
「トドメ行きますぞ! 次はこのパンジャンドラムをそぉい!!」
「「「いまトドメと言わなかったか!?」」」
「言葉の綾でござるよ言葉の綾ァ!! それに炎消すんだから間違ってねーだろ!」
 仙人たちのツッコミに吼え返しつつ、エドゥアルトが召喚したのは……!
 なんかこう、英国面を感じさせる転がる兵器であった。……兵器では?
「火災にはこれ! 爆風消火でござるよ! SOZAI剥ぐなら捕獲しねえとな!!」
 KA-BOOOM!! KRA-TOOOOM!!
 パンジャンドラムを炎に放り込むと、それは派手に誘爆しカラフルな爆炎を生んだ。
 ハラハラした様子で見守る仙人たち……だが実際、炎は消せている!
「ふぅ、久々に力使ったからいい汗かいたぜ!」
「な、なんと見事な……だが貴殿がふっとばした建物はどうするつもりだ?」
「あ~~~ん? しょうがないにゃあ……しつもパンジャンそぉい!!」
 KA-BOOOM!! カラフルな爆発! そして……なんか建物が復活してる!
「おお……! ってなんか形が前と違うような……」
「いんだよ細けぇことは! とにかくほれ、次行くでござるよ!」
 やってることはめちゃくちゃなのに、なぜか最終的にはうまくいく。
 狐に化かされたような面持ちで、エドゥアルトに続く仙人たちであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
何処の世界もウィズワームってのは禄でもねえな…
来て早々大炎上中なんて、流石にノーセンキューだぜ
ちと変わった消火の仕方だが、まぁ任せてくれよ

まず火を『Alcatraz』の壁で取り囲む
そして壁と壁で挟んで、『潰す』んだ
属性の攻撃を通さないこの壁で潰されちまえば、火も消えるはずだ
避難誘導にも壁を使おう…通り道を覆ってやれば、何にも侵されないルートの完成だ
……おい、何か回収してほしいものとかあるか?
絶対は約束しねえが、やれる限りはやってやるよ

ハッ!ヒロイズムとか、んな安っぽいもんじゃねえ
どうせやるなら完璧にやる…それが俺の信条なんでね
まぁ任せておけよ
全部丸ごと、解決するためにランナーがいるんだぜ



●ランナーズ・パーフェクトリィ
 ――グシャンッ!!
 派手な轟音。それは、白い板が猛スピードで激突する衝撃によるものだ。
 ヴィクティム・ウィンターミュートのプログラム『Alcatraz』である。
「おお……火が!」
「どんなもんだい? 燃える行き場がなくなりゃ、火は消えちまうのさ」
 驚く仙人たちに、ヴィクティムは奇術師めいて大きく手を広げた。
「こいつ(Alcatraz)は、あらゆる属性の攻撃を阻む特製の障壁だ。
 だから炎が逃げようにも、逃げる先がない。圧潰出来ちまうってわけだ」
「これがユーベルコードの力か……感謝する、猟兵どの!」
「ああ、いいってことよ。さて、次へ向かうとするか」
 救助活動は仙人たちに任せ、ヴィクティムは滑るように郷を駆けた。
 頭上高くには、古龍瑞厳がとぐろを巻き、こちらに敵意を放射している。
 この事態を完全に解決しない限り、奴を直接叩くことは不可能だ。
「いい気なもんだぜ、ウィズワームってのはどこの世界でもろくでもねえ。
 だがまあ、高みの見物をしてられるのも今のうちさ。せいぜい楽しめばいい」
 敵がいい気になっていればいるほど、引きずり下ろした時の吠え面は無様なもの。
 ヴィクティムは皮肉げな笑みを浮かべて、ジグザグに地を蹴った。
 そこへ降り注ぐ龍の火炎弾! 苛立つ古龍瑞厳による対地攻撃だ。
「そーら、さっそく横槍を入れてきやがった。大人げないねえ」
 だが、この程度の散発的な攻撃、障壁プログラムを使うまでもない。
 あちらが本格的に襲撃を仕掛けてくるならば、また別の話だが……。
(まだなんとかなる、って思い込んでやがるんだな。自分が圧倒的優位だと思ってるからこそ、手を出さねえ……ハ、思考回路も似たり寄ったりだぜ)
 ドラゴンは強大で狡猾だ。そこに、疑問を挟む余地はない。
 まともに戦えば、ヴィクティムなど爪と牙でバラバラにされてしまうだろう。

 ――ただしそれは、ドラゴンが最初から全力で戦えば、の話。
 奴らは強大であるがゆえに、当然の自負として傲慢になってしまう。
 矮小な獲物を格下と見なし、侮蔑し、最初から全力を出すようなことはしない。
 そこに隙がある。ヴィクティムにとっては、それだけで十分だ。
「どうせなら完璧にやってやるさ。ランナーらしく、まるごと解決してやる」
 ヴィクティムが指先を滑らせると、軌跡をなぞるように白い階段が生まれた。
 Alcatrazの生み出した回廊を使い、仙人たちは要救助者を安全に運び出す。
 降り注ぐ龍の炎は、天井を構築した白い障壁が防ぎきってしまう。
「回収してほしいものがあるなら俺にいいな! 絶対は約束しねえがやれる限りはやってやるよ」
「かたじけない! あなたのような方こそ、まさしく英雄好漢だ」
 感じ入った様子の仙人の言葉に、ヴィクティムはおどけた。
「んな安っぽいもんじゃねえ。これは、俺の信条の話さ」
 ありきたりなヒロイズムに耽溺するほど、ヴィクティムは安い男ではない。
 トラブルがあればすべてを大団円に導く――それがランナーの流儀。
 ウィズワーム相手ならばなおのこと。これは、プロフェッショナルとしての矜持なのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
アルトリウス君(f01410)と

消火はアルトリウス君がやってくれるかな、お任せしよう
炎を消す、って所じゃなく、燃えなかった事にする……って辺り、相変わらず難易度高めを選択してるよね

というか私は別に、楽が出来ればそれに越した事はないからね?
一人で解決して怒る、なんてことはないから!
何でもかんでも一人でこなすために力を使いすぎる事を心配してるの、分かる?

ま、それは良いや。アルトリウス君も分業を覚えてきたみたいだし言うまいよ

安全な場所への人々の誘導、それから火や煙で弱った人達の治療は【橙弓の森人】を呼び出し、癒しの矢で対処していこう


アルトリウス・セレスタイト
セフィリカ(f00633)と共に
消火と並行して救助。自身は消火を

状況と住人の位置は『天光』で逐一把握
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
時の原理を以て周囲の空間を支配
纏めて燃焼前の状態へ戻し、炎を追加する動きがあればそれも消し飛ばす
仮に龍の炎がそれを超える域なら機能を変更
破壊の原理にて炎を破壊し終わらせる

救助はセフィリカに一任
位置はこちらから伝え、癒やす術はセフィリカ持っていたはず
癒やす手が足りなければ、炎の対処の合間に魔眼・円環で自身も
対処を切らす暇がないなら継続しつつ物理的に手当

セフィリカに頼る部分が大きいが
多分、一人でやっては怒られそうだ



●ひとりではなくふたりで
 炎が燃え広がれば、それだけ怪我人も増える。
 やけどを負った者、家屋の倒壊に巻き込まれた者、避難中に転んだ者……。
 現代社会で起こりがちなパニックに至っていないのは、仙界がゆえか。
 それでもやはり、様々な要因での負傷は避けられない事象と言えた。
「うわぁ~ん、痛いよ! 痛いよぉ~!」
「はいはい、おとなしくしててね~っと」
 泣きじゃくる子供の膝小僧に、橙色に光り輝く矢が優しく溶け込んだ。
 すると光は少年の傷口を淡く包み込み、高速で癒やしていく。
「わあ……痛くなくなった!」
「はい、これで大丈夫だね。それじゃあ慌てないであっちに逃げて」
「は、はいっ!」
 セフィリカ・ランブレイは少年の背中を見送り、ふうとため息をつく。
「これで10人目……まだまだ先は長そうかな」
 橙弓の森人(エイルキュリア)は、無償の奇跡などではない。
 傷口を高速で癒やす力の代償は、セフィリカ自身の生命力である。
 しかもこの状況……セフィリカは出力全開で回復をして回っていた。
 足元がわずかにふらつく。セフィリカは頭を振り、意識を整えた。
「っと、いけないいけない。アルトリウス君に説教出来なくなっちゃうな」
 セフィリカが視線を向けると、ちょうど淡い蒼の光が膨らみ、弾けた。
 光のパーティクルが雨めいて降り注ぐと、龍の炎は文字通りに雲散霧消する。
 そn根源を消し去られることで、最初から「なかったこと」になるのだ。
 アルトリウス・セレスタイトが操る原理術式の力である。
「セフィリカ、この先に要救助者がいるようだ。治療と誘導を頼む」
「はいはい……って、珍しいね? ひとりでやらないで声をかけてくれるなんて」
 セフィリカの言葉に、アルトリウスは怪訝そうに小首を傾げた。
「効率を考えればそれが最適だが、お前が黙ってはいないだろう」
「……まあ、そうだけどさ。私としても楽ができればそれに越したことはないし」
 セフィリカは嘆息した。
「ただね、私がどうしていつも言ってるのか、そこをちょっと勘違いしてるかな」
「……?」
「私は別に、アルトリウス君がひとりで解決することに怒ってるわけじゃなくて。
 なんでもかんでもひとりでこなすために力を使いすぎることを、心配してるの」
「……そうか」
 アルトリウスの返事は、「わかっていない」時の返事である。
 セフィリカも彼とは付き合いが長い、それはなんとなく所作から察せた。
「……ムリに理解しろなんて言わないけどね。でも、これだけは覚えておいて。
 全部アルトリウス君が背負い込む必要なんて、ないんだよ。それは大事なこと」
「それは――」
「はい、ここまで。答えは実働で……ね?」
 アルトリウスは言葉の出だしをくじかれ、観念したように頷いた。
「よろしい。分業自体は覚えてきてるみたいだし、私からはこれ以上言うまいよ、ってね」
 セフィリカはそう言っておどけてみせると、ゴーレムとともに駆け出す。
(わざわざ難易度高いこと選んでるあたり、心配ではあるんだけどね――)
 言葉を尽くしたところで、アルトリウスはすべてを理解は出来ないだろう。
 彼はそういう人間だし、そんな無茶をするところが人徳でもある。
 だからこそ、協力して支えなければならない。セフィリカはそう思った。
「もう一仕事、がんばりますかぁ!」
 それだけで、疲労は吹き飛ぶように消え去ってしまう。
 まだまだ頑張れるはずだと、セフィリカは己を鼓舞した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
マリア(f03102)と

お~既にハチの巣を突いたようなお祭り騒ぎ。賑やかだなぁ。これが火祭りって奴かぁ。ははは、ごめんごめん。勿論消火活動はするさぁ。

てことで範囲広いし移動楽にしたいからマリアのユニコーン一匹貸して欲しいかな?
白馬の王子様のような素敵なものじゃあないけど、いざ消化だ。

狂気の奪熱を使ったうえでの銃撃や拾った石ころ投げて火の熱を盗み、凍結まで持っていくとしよう。なるべく燃え移ってない側から防ぐように凍らせてっと。これなら封印解くまでもない

おーい、マリア。そちらは順調かい?
此方は粗方終わったし、そっちも終わったら別の場所へも向かおう。さぁ、後ろに乗り給えお姫様?(胡散臭い大仰な仕草)


マリアドール・シュシュ
永一◆f01542
アドリブ◎
新世界へ行くのは初

美しい桃源郷が…!
炎の手が回る前に被害を最小限に食い止めるのよ
永一、楽しそうね?(ジト目
むぅ…不謹慎なのだわ(軽く胸元ぽかすか
マリアは避難活動の方に力を入れるのよ
手分けしましょう

勿論よ!
マリアの可愛い一角獣さん、どうか永一の力になってあげて
ふふ、シーフだけれど王子様にも見えるのよ

UC使用
5体合体させた一角獣を永一に貸す
残りの一角獣も5体を一つに合体
3体合体させた一角獣に自分は乗り先導
子供や高齢者優先的に複数人乗せて安全な場所へ逃がす
怪我人等は自分が抱えて一角獣へ乗せ

ええ、大丈夫よ
まぁ!永一ったら
お言葉に甘えちゃうのだわ(永一へ手伸ばし乗せて貰おうと



●王子様と、お姫様
「お~、すでに蜂の巣をつついたようなお祭り騒ぎ。にぎやかだなぁ」
 炎燃え盛る郷を見渡し、霑国・永一は呑気な顔で笑っていた。
 逃げ惑う人々の悲鳴など、聞こえていない……いや、それは違うだろう。

 この男は、悲鳴や阿鼻叫喚など聞き飽きている。日常の雑音と同じだ。
 そして悪党であるがゆえに、義憤だとか使命感なんてものも抱きはしない。
 破綻した盗人は、ただ気味の悪い薄ら笑みを浮かべて、面白がるだけだ。

「……永一、楽しそうね?」
 そんな永一を横目にじとりと睨むマリアドール・シュシュ。
「楽しそうに見えるかい? ははは、そりゃ失礼。でも騒がしいからねぇ。
 これが火祭りってやつかい? いやあ、世界が変わると色んな風俗が……」
「これのどこがお祭り騒ぎなの? 不謹慎なのだわ、もうっ!」
 マリアドールはむう、と頬を膨らませ、永一の胸板をぽかぽか叩いた。
 純朴なお姫様を怒らせてしまったようで、盗人は困ったように苦笑する。
「ははは、ごめんごめん。冗談だよ冗談」
「全然申し訳なくなさそうなのだわ……本当に大丈夫なのかしら」
 マリアドールはジト目で永一を睨みつつ、ため息をつく。
 わかっていたことだが、この男はやはり万事が万事適当で気まぐれだ。
 そのぶん、自分が頑張ってこの男の手綱を握らなければ……と。
 実際マリアドールの存在は、永一にとっての外付け良心回路のようなもの。
 彼女がいないと、永一は効率を優先して何をしでかすかわからない。
「手分けしましょう、永一。マリアは避難活動のほうに力を入れるのよ」
「となると、俺が消火活動かい?」
「……ここまで来て、イヤだなんて言わないでしょうね?」
「ははは、まさか。もちろん仕事はするさぁ、このあとのためにもねぇ」
 永一はマリアドールの睨みに、肩をすくめて剽げる。
「とはいえ、範囲が広いからねぇ。少しでも移動を楽にしたいところだ。
 マリア、キミのユニコーンを一匹貸してほしいかな。いいだろう?」
「もちろんよ! マリアの可愛い一角獣さん、おいでっ!」
 マリアドールの呼びかけに応じ、宝石で形作られたユニコーンが出現した。
 きらきらと輝くそのボディは、クリスタリアンであるマリアドール特製だ。
 マリアドールは一角獣を合体させることで、一体ごとの性能を強化させた。
「どうか、永一の力になってあげて。あなたはこの子に乗るといいわ」
「それじゃあ失礼……よっと」
 永一は軽やかにユニコーンの背にまたがる。
 見かけだけは見事なもの。永一の長身は一角獣によく映えていた。
「ふふ、シーフだけれど王子様にも見えるのよ?」
「……白馬の王子様なんて、素敵なものじゃあないけどねえ」
 永一はマリアドールの言葉を肯定も否定もせず、馬の腹を蹴って走らせる。
 マリアドールはその背中を見届け、自身も別の一角獣にまたがり、走り出した。

 マリアドールが召喚・合体させたユニコーンたちの仕事は、一般市民の救助だ。
 特に子供や老人を優先し、その背中に乗せて安全な場所へと連れ出す。
 合体強化されたユニコーンたちは普通よりも利口で、そして器用になっていた。
 救助活動は順調に進んでいる。他の猟兵たちの活動もあらばこそ、だろう。
「そら、これなら封印を解くまでもないだろう?」
 永一の消火活動は、火を消すのではなく熱を「盗む」ことで行なわれる。
 異能のレベルまで消化された盗みの腕で、熱運動そのものを奪う。
 ……すると炎はかき消え、相対的に温度が低下した地形はぱきりと凍りつく。
 はたから見れば、永一が冷気をばらまいて凍らせているように見えるだろう。
 実際はむしろ逆なのだが……とにかく、こちらも効果的に働いていた。
 龍の炎はユーベルコードによるもの。つまり、尋常の手段では消火出来ない。
 炎そのものを攻撃し、消し去るというのは、まさにベストな手段だったのだ。
「おーい、マリア。そっちは順調かい?」
「ええ、大丈夫よ。あらかた救助は終わったのだわ」
「それはなにより。じゃあ次の場所へ移動するとしようか……っと」
 そこで永一は、マリアドールが徒歩であることに気付いた。
「馬はどうしたんだい、マリア」
「ああ……お母さんと会いたいっていう子がいたから、譲ってあげたのだわ」
「なるほどねぇ。それじゃあ」
 永一はわざときざな笑みを浮かべ、マリアドールに手をのばす。
「後ろに乗りたまえ、お姫様?」
「まぁ! 永一ったら」
 あまりにも胡散臭く大仰な仕草だが、マリアドールにはウケたらしい。
 伸ばされた手に手を重ね、マリアドールはふわりと持ち上げられる。
「お言葉に甘えちゃうのだわ、王子様?」
「むず痒くなるねえ、その呼び方」
「ふふ。自分からやっておいてそれはないのだわ?」
「はいはい。それじゃ行くとしますか」
 熱さえも盗み取る盗人も、どうやら天然お姫様には敵わないらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジン・エラー
【甘くない】
おォ~~~燃えてる燃えてる
ヒャハヒヒ!まるで散る花がキレェ~~に見えるみてェな言い方じゃねェの
ま、そっちにゃァ~~同意見 気が合うなァ~~~オレたちはなァ~~~~?
ヴァヒヒャラ!ン~~~じゃァ気張らねェ~~~となァ~~~~~

そりゃァ~~~~もちろン?このオレが来たからにはぜェ~ンぶ救ってやるよォ~~~!!
よォ~~~お前らァ~~~~!大変だなァ~~~どこもかしこも燃えちまってなァ~~~~
ン~~~な火なンざどォ~~~ってことねェよ
オレが教えてやる
もっと恐ろしいモンがあるってなァ

ほら、オレの光を見てから言いな
『嗚呼怖い』ってよ


千桜・エリシャ
【甘くない】
あら、景気よく燃えておりますわね
美しいものが滅びゆくさまは好きですけれども
一方的に蹂躙されるのは趣味じゃありませんわ
やられたらやり返すのが私の流儀よ
ふふ、ジンさんもそう仰ってくださると思ってましたわ
…べ、別にこの後のお遊びを期待しているわけではなくってよ!

救うのは聖者様の十八番ですものね
私はそのお手伝いをしましょうか
和傘を差せば雨乞いをするようにひらりと舞って
水の属性と雨を組み合わせて大雨を降らせましょう
力が暴走しても制御することはせず
むしろこれでより消火できますし好都合かしら?
さて、あとは任せましたわよ

――まあ、
ふふ、また随分と傲慢な光ですが
晴れ間に指す光にはもってこいですわね



●雨降って――
「……――私、美しいものが滅びゆくさまを見るのは好きですけれども」
 千桜・エリシャは、燃え盛る郷の阿鼻叫喚を前に、重い溜息をついた。
「一方的に蹂躙される、というのは趣味じゃありませんわ。本当に悪趣味だこと」
「ヴァヒヒャラ! 悪趣味そのものの女がよく言うぜェ~~~~!」
 ジン・エラーは、エリシャの言葉にげたげたと汚い笑い声をあげた。
「散る花がキレェ~~~に見えるみてェな言い方じゃねェの。いい勝負だぜ? それ」
「一緒にしないでくださいまし! それともジンさんは受け入れますの? この状況」
「あ~~~~ん? それとこりゃ別の話だろ、オレも同意見だぜェ~~~?」
 ジンのふたつの色をした瞳が、ぎろりと空高くそびえる古龍を睨んだ。
「気に食わねェよなァ~~~~、一方的に好き勝手されるなンざよォ~~~!!」
「……だったら、さっさと終わらせますわよ」
「ギャハホヒハハ! そォだなァ~~~、せっかく気が合ってンだからなァ~~~」
「……あなたも、美しいものが滅びるさまを見るのが好きなんですの?」
「あ? そっちじゃねェ~~~よ、オレはそンな悪趣味じゃねェから」
「だ、だから、悪趣味というのは余計ですわっ!!」
 ぷんすこと怒るエリシャに、ジンはまたげたげたと笑った。
「ゲヒャホヒヒャハラ! ま、気張ろうじゃねェのォ~~~~」
 ふたりは甘くない。
 人々を助けたいとか、美しい景色を守りたい――なんて綺麗な考えはない。
 そこまで出来た人間ではないし、むしろあくびが出るほど退屈だと思っている。
 ただ、やりたいようにやる――それだけのことだ。
「ええ、やられたらやり返す。シンプルに行きましょうか」
「このあとのお遊びも楽しみだしなァ~~~?」
「そ、それはまた別の話で……!」
 ジンはエリシャをからかい放題。げたげた笑いはなかなか止まなかった。

 龍の炎はまこと厄介なユーベルコードである。
 しかしそれ以上に問題なのは、火災に見舞われた人々のパニックだ。
 恐怖、不安、困惑――そういったネガティブな感情が彼らの心を蝕む。
 それをなんとかしなければ、救助が成功しても万事解決とはいくまい。
「救うのは聖者様の十八番ですもの。私はそのお手伝いをするだけですわ」
 エリシャはばさりと和傘を差して、ひらり、ゆらりと舞い踊る。
 古代の巫女が神に雨の恵みを乞う時に舞った、神楽のようにゆらゆらと。
 すると見よ――大気中の水気が一点に集まり、巨大な雨雲を作り出した。
 始めはぽつぽつ、やがてざあざあと――いつしかごうごうと唸るほどの雨に。
 ともすれば暴走しかねぬほどの規模を、エリシャはあえて自由に解き放った。
 ユーベルコードで作り出された炎は、ユーベルコードによってのみ消し去れる。
 濁流めいて降る大雨は、たちまち龍の炎を雲散霧消させてしまった。
「さて、あとは任せましたわよ。聖者様?」
「ケヒヒヒ、お前に聖者呼ばわりされンの気持ち悪ィなァ~~~?」
 皮肉げなエリシャの笑みをにんまりと睨み返し、ジンは大きな声をあげた。
「よォ~~~お前らァ~~~~!! 大変だなァ~~~どこもかしこも燃えちまってなぁ~~~~?
 だがよォ、見ての通りだ。あン~~~な火なンざどォ~~~ってことねェよ!」
「で、ですがまだあちこちで火災が……」
「そォじゃねえのさ」
 ジンは現地住民を冷たく、だが暖かい瞳で見下ろす。
「オレが教えてやるよ。もっと恐ろしいモンがあるってなァ」
 その身体が光り輝き……やがて、神々しいフォルムをした聖なる竜へと変じる。
 鱗はそれ自体が光を放ち、目が灼けるほどの光で天地を染め上げた。
「な――」
『ほら、オレの光を見てから言いな――『嗚呼怖い』ってよ』
 古龍の力など滓ほどにも意に介さない、傲慢なる救済者。
 人々は不安も恐怖も困惑も忘れて、ただその光に心を奪われた。
「晴れ間に差す光には、もってこいかしら?」
 通り雨が過ぎ去ると、あたりには奇妙な静けさがやってきた。
 圧倒的な光はなにもかもを奪い去る。おそらくそれは忘我という名の救済。
 その光を、空高くそびえる古龍は、忌々しげに睨め下ろしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鏡島・嵐
詩乃(f17458)と

火事ってのはおっかねえよな。住んでる場所も、生活の道具も、思い出も、全部無くなっちまうんだからさ。
まずはこれを食い止めねーとな。
詩乃こそ、アテにしてるぞ。

UC《幻想虚構・星霊顕現》起動。
雨とか雪降らせるんも考えたけど、ここは自然現象「引き潮」を「火」の属性で起こすイメージで、火の勢いを弱めていく。多分その方が物壊さないで済むし。
制御が難しいUCだけど、自分で自分を〈鼓舞〉しながら、なんとかコントロールを保つ。
「上手くできるかどうか……いいや、上手くやってみせるッ!」
詩乃の天候操作と組み合わせて、上手く鎮火できればいいな。

手の届く範囲の鎮火に成功したら、住民の避難を手伝う。


大町・詩乃
嵐さん(f03812)と

先ずは消火と人命救助を最優先ですね。
嵐さん、一緒に頑張りましょうね。

嵐さんが火の勢いを弱めて下さるので、私は天候操作で集落周辺に広く雨を降らせて、嵐さんが弱めた火を消火しつつ、UC《産巣》を発動します。

「助けに来ました。皆さんはトラさんに乗って避難して下さい。」とお声がけした上で、大地から(この世界らしく)パンダさんやトラさんを沢山作り出して、パンダさんが人々をトラさんに乗せ、トラさんは人々を安全な場所まで運びます。

一般人なら驚かれるでしょうが、今回の救助対象は仙人さん達が住む桃源郷の人々なので、術によるものと理解して落ち着いて行動してくれるかな、と思っています。



●天地を操る
 どう、どう……と、散発的に、かつ大きさもまちまちの火炎弾が飛来する。
 それは言うまでもなく、空に君臨する古龍瑞厳による「追い打ち」だ。
 感覚も火炎弾の強度もバラバラである。ようは、気まぐれなのだろう。
 やつにとってこれは戯れも当然。本気になるほどのことではない。
 たとえ猟兵たちが介入したとしても、それは同じこと。
 本気で戦えば負けるはずはない――少なくとも古龍は本気でそう思っていた。
「せいぜいあがくがいい、猟兵ども。愉快、愉快――」
 そうやって気まぐれに炎を降らせ、右往左往するのを楽しむ程度には。

 一方攻撃される地上側は、たまったものではない。
 火炎弾が降るたび、また新たな家屋が炎に飲まれ、人々は悲鳴をあげる。
 火炎弾の直撃こそ、仙人たちの結界によってギリギリ回避されていた。
 しかし、それもいつまで保つか――あまり、時間はない。
「くそっ、いい気なもんだな……そんなにみんなを苦しませるのが楽しいかよ」
 鏡島・嵐は空高き巨躯を睨みつけ、力不足に歯噛みした。
 とはいえ、奴を引きずり下ろすためには、この事態を解決せねばならぬ。
 けして、嵐の力量が足りないから、太刀打ちできないわけではない。
 それでもやはり、人々の阿鼻叫喚をいいようにされるのは我慢ならなかった。
「落ち着いてください嵐さん、いま私たちがやるべきことは人々を救うことです」
 そんな嵐の肩に手を置いて、大町・詩乃がゆっくりとした口調で諭す。
「まずは消火と人命救助を最優先に、やれることをやりましょう。ね?」
「……ああ、そうだな。アテにしてるよ、詩乃」
「もちろんです。人々を安全な場所へ運ぶのは、私に任せてください」
 嵐が落ち着いたのを見て取ると、詩乃は声を張り上げて叫んだ。
「皆さん、慌てずに! 私たちは皆さんを助けに来ました!」
 空から降り注ぐ火炎の雨に怯えていた人々が、はっと我に返る。
 それは、詩乃の周囲に現れた、パンダや虎などの動物が目を引いたからだろう。
 これもまた、ユーベルコードの産物――『産巣』によって生まれた仮初の命だ。
「皆さんはトラさんに乗って避難してください。大丈夫です、噛みませんよ」
 体躯の大きなパンダがのそのそと人々に近づき、手をのばす。
 要救助者が恐る恐る手を差し出すと、パンダはその力強さで彼らを抱えた。
 そしてぐるぐると唸り声を上げる虎の背に乗せていくのである。
 見た目に反して、詩乃が生み出した虎たちは気性穏やかで彼女の命令に従う。
「さあ、急いでください!」
 と詩乃が号令をかけると、虎たちは一斉に安全地帯へと飛び出した。

「よし……これで万が一術が暴走しても、被害に巻き込まないで済むな」
 見える限りの要救助者が虎で移動したのを確認すると、嵐は頷いた。
 そして燃え盛るいくつもの竜の炎を睨み、片手を突き出して意識を集中させる。
「Linking to the Material,generate archetype code:X……!」
口訣を唱え、『幻想虚構・星霊顕現(ガーディアンズ・ファンタズム)』を起動。
 これは属性と自然現象を合成させ、様々な超常現象を起こすユーベルコードだ。
 嵐の狙いは、雨――ではない。それは詩乃が担当する役割である。
「上手く出来るかどうか……」
「大丈夫です。嵐さんなら出来ますよ」
「……ああ。そうだ。上手く出来るかどうかじゃない、やってみせるッ!」
 詩乃の応援に勢いをつけた嵐は、龍の炎の術式に介入する。
 思い描くイメージは、引き潮である――それを、火の属性で起こす。
 つまり燃え盛る炎と波を同一視することで、炎の勢いを「引かせる」のだ。
 引き潮は属性で言えば、火と相反する属性……つまり水に由来する。
 難しい仕事ではある。だが、詩乃の存在が嵐に勇気を与えてくれた。
「く、うぉ、ォ……ッ!」
 嵐が力を込める……すると、燃え盛る炎は徐々に勢いを失い、しぼんでいく!
 すかさず詩乃が神の力で雨を降らせ、龍の炎を鎮火させていった。
「お見事です、嵐さん。作戦成功ですね!」
「ああ……詩乃のサポートがあったからこそだよ」
 嵐は息を整え、詩乃に笑いかけた。
「さあ、休んでいる暇はない。次へ行こう!」
「ええ。敵は待ってくれないようですからね……!」
 次なる人々を救い出すため、ふたりは虎の背に乗り駆け出した。
 天地を操り、龍の炎すらも消し去る。これが、ユーベルコードの起こす奇跡だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霞末・遵
【幽蜻蛉】
いやー仙界のお酒とか貴重品楽しみだなー
なんか燃えてるけど

じゃあおじさん火は苦手だからこれで
虫が火に勝てるわけないじゃん
煙も苦手なんだよね。せめて雨でも降ってくれればなあ
幻蝶を水属性にして守ってもらおうか

うーん、仕方ない。やるかあ
こういう時こそわくわく便利なガジェットでしょ
火が消せそうな派手なやつ頼むよー

消火はガジェットに任せて誰か逃げ遅れてないか見て回ろうかな
おじさん手は火傷しないからねえ。熱いものをどかすくらいならできるよ
力はないけど。重そうなのは惟継さん呼んでなんとかしてもらおう
その間にまた要救助者探しと、消火できそうなガジェット召喚して設置して
火事はどこでも面倒なものだなあ


鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
桃源郷、言葉の通り食い物も酒も良いものばかりなのだろうな
武器もこの世界ならではの物もあるだろうし楽しみだ
……の前にまずは人命救助だな

虫の遵殿に火は厳しいだろうなぁ
俺も雨を降らせる術くらい会得しておけばよかったのだが
悔やんでいても仕方あるまい
俺はオーラ防御にて炎を防ぎながら、逃げ遅れた者の救助に向かおう
抱きかかえられる程度ならば運んで炎から退散だ
そして遵殿のガジェット、消化できる便利グッズなり良い物を頼むぞ……!

救助を終えたら、救助が必要な者を遵殿が探してくれているはずなので
再度炎の中へと突っ込んで救助へと向かうぞ
なに、役割分担というもの……相手が同じ龍ならば負けられんよ



●蟲と龍
「……待たれよ、遵殿」
 鈴久名・惟継に声をかけられ、霞末・遵はぴたりと足を止めた。
 なおその足の向かう先は、郷の中心どころか外へと向いている。
「そちらはなにもない深山幽谷だろう。どこに行かれるのだ?」
「……あのさ、惟継さんさ。状況わかる? 状況」
 遵はビシッと郷を指差した。そう、龍の炎が燃える郷を。
「燃えているな」
「そう、燃えてる。だからおじさんこれで」
「待たれよ、遵殿」
「いやだからさあわかんない? わかんないかーそっかー」
 遵はどうやら観念した様子で肩をすくめた。
「おじさん、火は苦手だから。この規模の火災とか、ちょっと無理なんだよね」
「なるほど、さもありなん。たしかに虫の遵殿に火は厳しいだろうなぁ」
 惟継は納得した様子でうんうんうなずく……のだが、
「でしょ? だからご縁がなかったということで」
「しかしそこは知恵の働かせどころだ。人命救助をせねば観光も何もないぞ」
「すごいね惟継さん全然聞いてないねおじさんの話。ていうかスルー?」
「ここまで来て、はいそうですかと行かせるわけがないだろう」
「うんまあそうだよね」
 と、ご覧のような取り付く島のなさであった。
「……仕方ないなぁ。惟継さんがそこまで言うなら、やるしかないか」
 今度こそ観念した様子の遵。
「それでこそ遵殿だ。それになにか有用なガジェットがあるのだろう?」
「いやー、何が出てくるか私にもわかんないからね。そこは期待しないでね」
「信じているとも。オレは炎の中に突っ込んで救助者を連れてくる。
 つまり、俺がどの程度ダメージを受けるかは、遵殿のガジェット次第だ」
「かけてるよねプレッシャー、めちゃくちゃおじさんの双肩に押し付けてるよね」
「ははは何をバカな。では、役割分担といこうか」
 惟継が要救助者を探すため動き始めると、遵は疲れた様子でため息をついた。
「……こりゃ責任重大だなあ。ま、やるだけやりますか」
 遵も、この状況を見て見ぬ振りするほど冷血漢というわけでもないらしかった。

 さて、その遵が取り出した、問題のガジェット。
 それは傘のような形をした、なんとも奇妙なガジェットである。
「……うーん? なんだろうこれ。使い方わかんないな……」
 ガジェットショータイムは、取り出したガジェットの使い方を理解しなければ真価を発揮できない。
 遵は少々焦った様子で、傘のような形をした何かをいじってみる。
「今欲しいのは傘じゃなくてさあ、雨とか降らせる派手なやつなんだって。
 このままだとおじさん面子丸潰れでしょ、潰れる面子あるのかってのは置いといて」
 だが、どこをいじってもガジェットはうんともすんとも言わない。
「……あーこれ詰んだ。完全詰んだねこれ、おじさんめっちゃ怒られるなこれ。
 あーもー、どうしてこういう時に限って役に立たないガジェット出てくるかなあ!」
 苛立った遵がずん! と傘めいたガジェットを地面に突き立てると……?
「お?」
 持ち手の部分がにょいーんとものすごい勢いで伸びていく。
「おお?」
 さらに傘の部分ががしゃんと展開し……ものすごい勢いで水が吹き出した!
「おお。なんだおじさんやれば出来るじゃん」
 どうやらこのガジェット、傘というよりもスプリンクラーだったらしい。
 あっという間に数倍の大きさに展開したガジェットが、四方に水を撒き散らす。
 ユーベルコードの力を宿した水は、どんどん龍の炎を消していった!
「これは……さすがだ遵殿。信じていた甲斐がある」
「さっきの感じ信憑性ゼロだけどね、あとは任せたよ惟継さん」
「ああ。俺も働かねば名がすたる、というやつだ」
 惟継は全身を水のオーラで覆い、放水機では消火しきれない燃え盛る家屋の中へ飛び込んだ。
 遵が事前調査していた通り、そこには逃げ遅れた家族が取り残されている!
「む。この数は……いや、いけるな。さあ俺に捕まるんだ」
 惟継は泣きじゃくる子供たちと腰を抜かした両親を抱え、踵を返す。
 そして惟継が家屋から飛び出した瞬間……ズズ、ガラララ……!
「おお、間一髪。やるねえ惟継さん」
「ギリギリだったな。だがまあ、相手が同じ龍なら負けられん」
 崩れ行く家屋を見やりつつ、惟継は抱えていた家族を降ろしてやった。
「避難場所はあちらだ。慌てずに行くのだぞ」
「あ、ありがとうございます!」
「礼は結構。さあ、急げ」
 家族が安全地帯へ駆け出したのを見送り、惟継はひとつうなずくと振り返った。
「さあ次だ遵殿。同じガジェットは出せそうか?」
「多分ねぇ。それにしても、火事ってのはどこでも面倒なものだよ」
「だからこそ我らの出番だろう。頼りにしているぞ、遵殿殿」
「はいはい。ま、おじさんも瓦礫除去ぐらいは手伝うさ」
 飄々とした様子で、男たちは次の救助者を探して走り出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黎・嶺依
【黒幇】
斯様に戦火に幾度も見舞われるとは、地上の詩に謳われた桃源郷はどこにあるのやら
皆の者、手を貸してもらうぞ
わらわの同胞をみすみす見殺しにはできぬでな

とはいえ、わらわも老いぼれの身よ。火の中で担ぐわけにはいかぬでな
囲魏救趙の計
扇を振るい、風と共に仙力を猟兵や住人へと付与して救助・支援を行おう

人命が最優先。家財や家は後回しじゃ
火元を消す者と救助する者で別れ、連携せよ!

骸燐、恩明。汝らは特に火には気を付けよ
僵尸が火災現場で火葬されるなぞ、冗談にもならぬからな

吹き荒ぶ風が炎を退かせるのを見て、ふと霞月の方を見る
…傷口はよく洗って、しっかり治しなさい。手は、職人の命ゆえな


尸・骸燐
【黒幇】
火事だー、大変だ大変だー
多分火葬されちゃったらどうにもならない気がする。わたし頑張るよ。

べつに水とか使えないし、火はどうにもならない気がするから救助頑張るよ。
宿星天剣戟で飛び回って人を拾っては安全なところで下ろしての繰り返しで頑張る。
老大から支援も貰えるしいける。

何か閉じ込められてたりしてたりしてたら怪力で色々と壊しながら強引に助けるよ


恩・蘭明
【黒幇】で参加
アドリブOK

龍、ですか……。……僕の故郷では吉兆とされていましたが……こちらでは違うようですね。
鱗や火炎袋は有りますかね。新しい人形に使いたいですし。

……人助けは、余り得意でも無いですけど……あ、死体は欲しいですね。状態が良好であればなお良いです。見つけたらください。

火の手が回りそうな建物(特に木造建築)や木々をネイルハンマーでぶっ壊して延焼を防ぎつつ、倒壊した建物などから生存者を探し、担いで救出する。
……日本の火消しみたいですね。火の手が回る前に、周りの建物を壊して消火するそうですから。

お気遣い、ありがとうございます老板。ですが、心配には及びません。防炎加工はバッチリです。


龍・白黎
【黒弊】

へぇ、龍の火かぁ。
流石に無傷とぁ行かなくても、他のよりは耐えれる自信があるからおいらぁ突っ込むよぉ。

奥へ奥へ、燃える服も、髪も、身体も気にせず進軍進撃。
竜になれない俺だが、それでも竜の子。この程度の火なら平気だ。
俺にゃこそこそしたり、慎重を期したりなんて出来ないからぁまっすぐ前進あるのみ。

俺は此処だ。この声が聞こえたヤツぁ声を張れ、声を出せなきゃ音を立てろ。俺が居る。俺が行く。俺が助けてやる。
家屋家財は許せよぉ、俺らの頭が人命優先ってお達しだからなぁ。

敢えて火の手のある場所を突っ切ってショートカットし、他の人が遅れそうな奥の方の救助を優先する。


黎・霞月
【黒幇】

こりゃァ、景気良く燃えてンねェ
他の奴らみてェに、火の中飛び込ンだり他人担いだりしたくねェしィ
とりあえず、結界術で火除けした安地作ってェ
我、此処中心に居るからァ、救助者運ンで来て良いよォ

…………あー……痛いのほんっとやだなァ……
心底嫌そうな顔をしつつ小刀で手首をざっくりと
いッ、てェな、もー……よりにもよって職人の手からを指定して血ィ欲しがるとか、クソ性格悪ィ此奴……
ぼたぼた落ちる血に筒型宝貝を押し当て、喚ぶは暴風の使令

おいでェ、瞬
救助者居ねェ場所は真空作って火ィ消して来て
出来ンでしょ、瑞獣の血ィくれてやったンだから
さっさと行け

……龍の鱗とか鬣とか手に入ンねェかなァ、宝貝の素材にしてェ……


思・大衛
【黒弊】

黎公主の命に依り、邑民を救助する
人命優先につき家財の類は知らん
持てる分だけ持っておけ

UC使用

第一目標:延焼先になりそうな物を潰す
木々は可能なら抜いて動かしておく
後で植え直す

第二目標:燃えている家屋や木々の破壊
逃げ遅れた住民がいる可能性も考慮し、屋根に穴を開けて誰もいないか確認してから破壊する

集落で活動中の参加者の動きを鑑みて適宜行動を変更

ひとまず元凶探しは参加しない
公主はそれを命じていないからな
白黎の行く手にある火元は処理しておく
マトを獲る前に傷を負う必要はない
「あまり無理を押し通すな。俺達は弱者ではないが、要らぬ傷を作る必要もないだろう」



●黒幇の者ども
「斯様に戦火に幾度も見舞われるとは、やれやれ……」
 燃え盛る郷の全景を見渡し、黎・嶺依は物憂げにため息をついた。
 先の涼爽洞の一件とこの邑は大きく離れている。
 ……つまりそれだけ、オブリビオンの魔の手は仙界全域に及んでいるのだ。
「地上の詩に謳われた桃源郷は、どこにあるのやら……」
 封神台の崩壊による、亡者や妖獣の跳梁跋扈。
 その意味するところを猟兵として目の当たりにし、嶺依は心を痛めた。
 仙界そのものが嶺依の故郷であり、この邑もまたその一部だ。
 たとえこの邑のことは知らずとも、斯様な惨状を憂うのは当然のことだろう。
「皆のもの、手を貸してもらうぞ。準備はよいな?」
「はいはーい、もちろんだよ老大!」
 と、尸・骸燐が片手を上げ、元気よく返事をした。
「火事って大変だからねー、私でも火葬されちゃったらどうしようもなさそうだし」
「だったらおいらが突っ込むからさぁ、火の中は任せておきなよ骸燐~」
 どこか呑気に思える間延びした口調で言うのは、龍・白黎である。
 その身の丈は骸燐と同じ程度だが、どうやら頭の中はかなり幼いらしい。
「あはは、そうだね。私が行くよりは白黎のほうが適任かも」
「でしょー? 無傷とぁ行かなくてもこの中じゃ一番耐えれる自信があるよぉ」
「たしかにィ、我はそォいう力仕事は勘弁だからンなァ。任せるわ、白黎」
 黎・霞月は大して気乗りしていない様子で言った。
「つーか我、アレだ。救護担当っつーの? 安地作って待ってっからさァ。
 力仕事は大衛と蘭明の担当ってことでェ、結界維持してりゃいーっしょ?」
「……そう言われると、サボるつもりにしか思えないんですが……」
「適材適所なのは、事実だろう。俺に異論はない」
 思・大衛があっさりと同意してしまうと、恩・蘭明はなんとも言えない表情になる。
 我らの公主が居る前で、あの男がのんびりサボるなんてことはありえないだろう。
 しかし面倒事を押し付けられているような、そういう気がして仕方ないのだ。
 大衛の言う通り、これが最適な役割分担であることはわかっているのだが……。
「……まあ、いいでしょう。ここで喧々諤々言い争っても仕方ありません。
 正直、人助けはあまり得意ではないんですが……老板のご命令とあらば」
「そういうことだ。黎公主の命に従う。ただ、それだけでいい」
「――話はまとまったな?」
 5人がひとまず落ち着いたのを見ると、嶺依はあらためて部下たちを見渡す。
「わらわは老いぼれの身、要救助者を担いで駆けずり回るわけにもいかぬ。
 代わりに我が仙力を汝らに貸し与えよう。支援は任せよ、ゆえに働くのじゃ」
「りょーかーい!」
「御意に」
「へいへい、っとォ」
「んじゃ、やりますかぁ」
「……仕事の時間だ」
 5人は口々に応答をすると、それぞれの仕事に取り掛かった。
 嶺依は頼れる部下たちの背中に扇でひらりと風を起こし、術による強化を与える。
「頼むぞ――わらわの同胞を、みすみす死なせるわけにはいかぬでな」
 その瞳は、燃え盛る郷への憂いと部下たちへの信頼に揺れていた。

 5人のうち、主に火元の処理を担当するのは蘭明と大衛である。
 彼らはその豪腕とからくり人形を使い、木々や家屋の瓦礫といった、延焼を起こしかねない火元を躊躇なく破壊していった。
「人命優先だ、家財のたぐいは知らん。惜しいものがあるやつは持てる分だけ持て」
 大衛はぶっきらぼうに言い、その巨体を活用して燃える木々を引っこ抜く。
 要救助者のいない崩れた家屋があれば、これをその腕力で叩き潰した。
 空に君臨する古龍のことは気になるが、予知によればあれは炎を消し去らない限り攻撃しても無意味である。なので、大衛は思考から切り捨てた。
「こちらの建物は僕が処理しておきました。大衛はあちらを」
「心得た」
「ところで、死体はありましたか? 状態が良好だとなおいいのですが……」
「……いま救助をして回っているんだぞ、縁起でもないことを言うな」
 大衛は義侠の類ではないが、蘭明の物言いはさすがに目についたようだ。
 静かな声で諭されると、蘭明は困ったような面持ちで頬をかく。
「うーん、そうですかね。すみません、自分が「そういう身」なので、どうも」
「……それは仕方ないだろうがな。余人が聞いてどう思うか、という話だ」
「やはり、慣れないですね。人助けというものは」
 言いつつ、蘭明は空を飛んでいく骸燐を見上げた。
「はーい、暴れないでね! すぐに安全なところまで運ぶから!」
「ひいーっ!」
「怖いのはわかるけど暴れられると落としちゃうかもだから気をつけてー!」
 腰を抜かした男を抱え、骸燐は軽功でひらりと布のように空を飛ぶ。
 抱えられた男は生きた心地がしないだろう。なにせ骸燐は僵尸なのだ。
 死人に抱えられて空を飛ぶか、龍の炎で追い詰められるか。
 どちらもなかなか、進んで味わいたくない類の体験といえる。
「おい、この声が聞こえたヤツぁ声を張れ。俺は此処だ、声を出せなきゃ音を立てろ」
 一方地上では、別人のように豹変した白黎が大音声を轟かせていた。
 彼女はいつもはのんびりとしているが、こと鉄火場ではまったく人が変わる。
 それもまた、龍の眷属として生まれた瑞獣のサガゆえか、あるいは。
「声さえ出しゃあ俺が行く。俺が助けてやる!」
「……あまり無理を押し通すな。俺たちは弱者ではないが、要らぬ傷を作る必要もないだろう」
「わかってるさぁ、大衛。なぁに、俺は竜にゃなれなくても竜の子だ。心配はいらねえよ!」
 白黎は呵呵と笑い、耳を澄ませた――そして、一点を見つめる。
「聞こえたぜ。家屋家財は許せよぉ、頭から「人命優先」ってお達しだからなぁ!」
 白黎は燃える家屋に向かって叫ぶと、その入口を派手に吹き飛ばし突撃した。
 古龍の炎が全身を苛む。だが、白黎はこれっぽっちも気にした様子はない。
 燃え盛る板材やら柱の残骸やらを、乱暴に家屋の外へと放り出し、前へ前へ。
 外に放り投げられた瓦礫は、消火組が粉々に砕いて始末する二段構えだ。
「た、助けて、誰か……!」
「ようし、聞こえたぜ声が。安心しなぁ」
 炎に包まれあと少しで蒸し焼きの憂き目だった少女を、白黎は軽々と抱える。
 来た道を戻ろうと踵を返したところで、ガラガラと天井が崩落し道を塞いだ!
「ああっ! こ、これでは外に出られな……!」
「仕方ねえな、壁ぶち抜いていくか」
「え」
「頭抱えて丸まってな。でないとやけどするぜぇ!」
 白黎は目の前の壁をタックルでぶち抜き、炎の壁を強引に突破した。
 なんたる無茶か。竜の眷属でなくばこうはいくまい。
「あれは死体……じゃ、なさそうですね」
「蘭明……汝、人形の材料でも探しておるわけではなかろうな?」
「まさか、老板。これでも真面目ですよ。仕事をしてるだけです」
 蘭明の物言いに、やれやれと頭を振る嶺依だった。

 一方、空を伝って移動していた骸燐が、霞月の結界へと降りてきた。
「よいしょっと、救助者運んできたよー! ……って、何やってんの?」
 骸燐はなにやら小刀を手に顔をしかめる霞月を見て、小首を傾げた。
「あァー? 見て楽しいモンじゃねェよ? 痛いのほんっとやだしさァ……」
 霞月はブツブツと文句を垂らしつつ、観念したように目を見開いた。
「よりにもよって職人の手ェ指定して血欲しがるとか、クソ性格悪ィよ、な……ッ!」
 なんと霞月は、やおら小刀で自らの手首を斬り裂いたのである。
 当然のように血が吹き出し、ぼたぼたと拳を伝って地面にシミを作った。
 霞月は顔を顰めながら、滴り落ちる血に筒型の宝具を押し当て、口訣を唱える。
 すると――地面のシミとなった血が、逆再生映像めいて筒型宝具に吸い込まれていく。
「おいでェ、瞬――血ィくれてやったンだから、仕事はしなァ」
 はたしてごうっ、と暴風が吹きすさび、現れたるは四凶が一、窮奇。
 ハリネズミめいた毛を持つ牛のバケモノは、滴る血を美味そうに舐め取った。
「オイ、必要な分はやっただろォ? 対価を支払いなよォ、瞬。
 救助者いねェとこ行って、真空を作って火ィ消してきな。出来るよな?」
『…………』
「おかわり欲しけりゃ仕事のあとだぜェ、さっさと行け」
 しばし物欲しげに霞月を睨んでいた窮奇だが、やがて観念したように飛び出した。
 暴風が、結界の外に徐々に回りつつあった火を一撃で吹き飛ばしてしまう。
「おお、派手だねアレ」
「燃費の悪ィったらねェよ。こりゃ宝貝の材料でも貰わなきゃやってらンねェわ」
「宝貝ねえ。古龍って宝貝の材料になるのかな? ま、いっか」
 骸燐は大して霞月を心配した様子もなく、またひらりと飛んでいった。
「……霞月、傷口はよく洗って、しっかり治しなさい。手は、職人の命ゆえな」
「はいはァい、消毒はキチンとしとくよォ」
 嶺依の言葉にへらりと笑い、霞月は空高くそびえる龍の巨躯を見上げた。
「そのためにも、とっととアイツ片付けないとねェ?」
 黒いレンズの奥の瞳が、興味深そうにきゅう、と細められた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

穂村・理恵
助けを求める声があるのなら
ヒーロー見習い穂村理恵、新世界にだって参上です……!


髪を竜翼に変えて……炎の勢いが強いところを低空飛行で回りつつ、
お願い、みんな……【吸熱炎霊】!

炎の動物なので誤解させてしまうかもしれませんけど……
私の力なら炎を抑える方がきっと適任ですし、
炎霊たちと見かけたはしから炎を抑えていきます!

…………でも姿がパンダとかだったら、少し違う……でしょうか?
試してみてもいいかな……?
(※理恵が知っている動物なら炎霊の姿として指定可……なんだけど、指定したってどのみち「炎を食らい大きくなるファイヤーパンダ(クマ科)」が爆誕するだけである)

※アドリブ連携他歓迎です、よろしくお願いします



●炎を喰らい
「ひえええ!」
「バケモノだー!!」
「なんだありゃあ、あれも妖獣かなんかか!?」
 人々は悲鳴をあげて、燃え盛る炎の中を逃げ惑う。
 彼らが怯えさせるもの……それは、燃え上がる炎の塊だった。

 否……炎の塊というのは正しいが、それだけでは不足しているだろう。
 正しくは、燃え盛る熊……いや、パンダである。
 身の丈3メートルを超える巨大な炎のパンダが、燃えながら郷を練り歩く。
 明らかな怪異である。人々が逃げ惑うのも当然と言えた!
「お、落ち着いてくださーい! 大丈夫です、敵じゃないですよー!」
 そんなファイアーパンダ(?)の近くを飛ぶのは、穂村・理恵である。
 彼女は髪を竜の翼に変え、その翼の力で低空飛行していた。
「慌てないでくださーい、避難経路はあっちですからー!」
 彼女のあとを続くように……あるいはファイアーパンダに続く形で飛ぶ。
 そして燃え盛る龍の炎と燃えるパンダが接触すると、不思議なことが起こった。
 めらめらと燃えていた炎は、吸い込まれるようにして消えてしまったのだ。
 そのぶん、パンダが巨大化する。どうやら炎を吸収しているらしい。
「ひええ、またでっかくなった! もうダメだ、おしまいだぁ!」
「ああもう、違うのに……! どうしてこんなことにっ!」
 実はこのパンダ、理恵が召喚した吸熱炎霊(フレイムイーター)である。
 炎や熱を吸収して巨大化する特殊な炎の霊的存在、というわけだ。
 その造形は、理恵の意思によってある程度自由にカスタマイズできる。
 なので彼女は、おそらく仙界の人々が慣れ親しんでいるであろうパンダの形にすることで、余計な誤解を生まないように配慮したのだが……。
「あ、あああ、あんな巨大な熊が燃えながら襲いかかってくるなんてぇええ~~!」
 ……パンダというとマスコットみたいな扱いをされがちだが、クマ科はクマ科。
 しかもそれが3メートル、いやもうすでに4メートルを越えている。
 そんな巨体がのしのし燃えながら近づいてくるのだ、慣れとかそういう話ではない。
 理恵が誘導しているおかげで、人々が避難経路に向かえているのは僥倖だった。
 目の前に炎があっても炎霊が吸収してしまうので、焼け死ぬ危険はない。
「可愛いと思うんだけどなあ、どこがダメだったのかなあ……」
 5メートル近くまで肥大化した炎のパンダを見つつ、肩を落とす理恵だった。
 結果的に人々は無事に避難できているので、まあよしとしておくべきだろう……か?

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒルデガルト・アオスライセン
シールドマシンで火煙のない地中を掘り進み
孤立した生命をイーコアで探って
真下までトンネル掘りで移動

緊急時に顧みられない人とは
ご老体や迷子、家出少年、修行を脱落した不良道士、賊に、騒動で逃げ出した罪人辺り
手荒く不気味ロボに詰め込んで救助します

ぼっちを集めたのは
郷里を結束した彼らの手で守って欲しいからです
燻る者が求めているのは理解ではなく、生まれ変わる機会ではないでしょうか
今こそ貴方達を取り巻く全てを見返す時だと、協力を仰ぎます
あと追い詰められた方は誘導しやすいと、姑息なお父様が仰っていました

祠等、神秘・信仰の残る場に
拠点防御で聖水結界を張り
避難誘導と周辺消火を彼らに任せて、UCで治療に当たります



●郷里を守る
「……はい、これでもう動けるでしょう」
 ヒルデガルト・アオスライセンは手を下ろすと、少女の火傷は完治していた。
「わあ……お、お姉さん、ありがとう!」
「いいえ、礼には及びません。それではあちらの避難誘導に従ってください」
「は、はい!」
 少女はヒルデガルトに促されるまま、安全な場所へと避難していった。
 少女をはじめとした避難民を誘導するのは、同じこの邑の住人である。
 より正確に言えば、様々な事情から邑での共同生活から外れていた者たちだ。
 老人や子供をはじめとして、修行を拒んだ道士崩れや賊もどき……。
 はたまた、火事場泥棒を働こうとした不逞の輩なども混じっている。
「おい、あんた。こっちのほうはあらかた誘導が終わったぜ」
「そうですか。ご苦労さまです」
 ヒルデガルトが礼を言うと、凶相の男は居心地が悪そうに肩を揺すった。
「なあ、こんなことを言うのもなんだが……本当に意味があるのか?」
「……というと?」
「あんたはさっき言ってたよな。「ここで郷里のために働けば、きっとすべてを見返すことが出来る、理解されるはずだ」……ってよ」
「そうですね」
 凶相の男……ある事情からやむを得ず罪人となった男は喉を唸らせた。
「そう言われたから手伝っちゃあいるが、どうにも信じきれねえんだよ。
 本当にこんなことをしただけで、俺の罪ってのは許されるようなもんなのか」
「さあ、それはどうでしょう。結局は邑の人々次第ですから」
 ヒルデガルトはけろりとした顔で言った。
「あなたたちを誘導しやすいタイプの人間だとみなしていたのは認めます。
 私が言っていたことも、まあ聞こえのいい理屈だと言われればそれまで。
 ……ですが、行動しなければ、何も変わることはないと思いますよ」
「…………」
「罪人であれ爪弾きものであれ、郷里がなくなることを喜ぶ者はいないでしょう。
 なら、あとのことを考えても仕方ありません。今は動くしかないと思います」
「詭弁だな。あんた詐欺師かなんかか?」
「違いますよ。あいにく、身体を動かすほうが得意なので」
 ヒルデガルトは悪びれた様子もなく、聖水を振りまいて結界を補強した。
「ただ、今言ったことは私なりの矜持でもあります。ウソやおためごかしではありません」
 動かなければ変わらない。
 動かない理由を探して見て見ぬ振りをすることを、彼女は好まない。
 彼女の説得に応じた人々は、ヒルデガルトのそういうところに感化されたのだろう。
 どうにもはみ出しものばかりだが……少なくとも、仕事は上手くいっているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『古龍髄厳』

POW   :    古龍炎
【龍の炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【音もなく燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    髄厳の裁き
対象への質問と共に、【虚空】から【黒雲】を召喚する。満足な答えを得るまで、黒雲は対象を【落雷】で攻撃する。
WIZ   :    古龍天舞
自身の【龍気が全身を覆う状態】になり、【鱗が攻撃を弾く】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 邑を覆う龍の炎が消えたことで、古龍を守る結界もまた解除された。
 傲慢なる王の如く空に君臨する古龍は、苛立たしげにその巨体を地へと降ろす。
 逃げるような真似はしない――そんなのは臆病者のやることだ。
 炎の結界がなくなったとて、古龍は己が負けるなどと一縷たりと思わない。
「我が戯れをよくも邪魔してくれたものよ。実に忌々しい」
 龍は牙の間から炎を吐きながら、猟兵たちを睨めつけた。
 その怒りに呼応してか、空にはごろごろと雷雲が渦巻いている。
「まあ、よい。久方ぶりの現世ぞ、貴様らを相手に肩慣らしと洒落込むとしよう。
 全員まとめて喰らいつくし、桃源郷を血の赤で染めてくれるわ。死ねィッ!!」
 敵はけして最強などではないが、自負に足るだけの強さは有している。
 戦闘による余波は、仙人たちの結界により気兼ねする心配はない。
 邑を守るためにも、蘇った古龍に滅びの一撃をもたらせ!

 プレイング受付期間:【25(日)12:59前後まで】
安室・玲華
・心情
おいでなすったわね、悪龍!
己が愉悦の為、人々を苦しめるその蛮行、許すまじ!
師から受け継ぐこの称号(な)に誓い、あんたを倒すわ覚悟しろ!!

・戦闘
落雷なんてなんのその!どのみち、あんたが満足する答えなんて出せる気がしないし、自分が満足する回答が出せる問いなんて出すつもりもないでしょうきっと?
【気合い】で耐えて、荒ぶる海の【属性攻撃】を叩き込む!
そして渾身の一撃、『琉鳴蒼煌擊』を喰らいなさい!!!

・その他
アドリブ等は大歓迎よ!


源波・善老斎
鎮火するまで手出しできんとは全く、火消しの掟も形無しじゃわい。
しかしこれで元を断てるというわけじゃな、覚悟せい!

結界は解けたといえども奴は空の上、いざ拳を交えんと降りてくることもまずなかろう。
然らば、行善天拳奥義が一!
筍を起こし、建つ竹にて坊をなす――即ち、【建竹起筍坊】なり!
林立する青竹にて奴の加速を阻むと同時に、枝々を足場として天まで駆け上がり、その背に跳び乗ってくれよう。
我輩の尻尾と「行善復鉤」の力あれば、易々と振り落とされはせんぞ。

人で云うところの掌や足裏、そして頭部……如何に堅固なる鱗といえど、全身を隈なく覆っておるわけではあるまい?
然すればそこを撃つまでじゃ、古龍髄厳が弱点見たり!


ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

お前の好きにはさせない、意地でも邪魔してやるよ
俺の片腕を持って行け!

POWで判定
同じく孔雀輪で【空中機動】【空中浮遊】しつつ行動
敵の攻撃は風の【結界術】【オーラ防御】で防ぎつつ、多少のダメージは【火炎耐性】【覚悟】【気合い】で耐える

銀腕を【武器改造】し棘の形状に変えた後【ダッシュ】【早業】で近づき、敵を【怪力】【貫通攻撃】【鎧無視攻撃】で【串刺し】
その状態で左腕を代償に【捨て身の一撃】【属性攻撃】【マヒ攻撃】を使い指定UCを発動
致命傷にならなくてもマヒさせて行動を阻害する


穂村・理恵
私の事じゃないと言っても、やっぱり化け物呼びは少し凹みます……
……合体させるより、ばらばらに活動してもらった方が良かったかなぁ……
…うん、気にしてもしょうがないし、今はそれよりあの龍を!

相手の焔は命中しなければ問題ない、
けれど回避に集中されちゃうとこっちも決定打がなくなる……
だから、決めるなら一撃、それも相手がこちらを侮っている間…!

相手の攻撃の回避に専念して隙を伺い、隙を見せたら《早着替え》で機械鎧を纏い変身します
そしてキャノンへと炎霊の紅玉の力、さっき消した敵の焔の力も込め、
異星の科学と太古の魔法の力を合わせたUC【悲劇を討つ双星の光】の閃光で、一気に勝負を決めます!

※アドリブ他歓迎です



●電光、炎を薙ぐ
「猟兵ども……我が退屈を紛らわすために、その生命を捧ぐる覚悟はあるか……!」
 それは問いかけというより、ほとんど一方的な最後通牒であった。
 古龍髄厳が求むる答えはひとつ。是、これのみである。
 そして、猟兵がそんな答えを返すわけなど、万に一つもありはしない。
 ゆえにこれは、事実上の敵対宣言であり、古龍はハナからそのつもりだった。
「まったく、満足する答えが欲しいならもう少しマシな問いかけをなさいな!」
 安室・玲華は敵の悪辣さに顔を顰め、降り注ぐ落雷を見切り躱した。
 いまや古龍の頭上に広がる黒雲は、邑全体を覆わんばかりに巨大化している。
 そこから降り注ぐ雷撃は、常人はおろか仙人ですらも耐えられない威力だ!
「ふん。貴様らとて、我を討つために此処へ来たのであろうが。
 ならば、我らの間にあるのは闘争のみよ。そして勝利するのは我なり!」
 古龍は玲華の言葉を鼻で笑い、大口を開いて地上へ向けた。
 口蓋の内側が赤く染まる。喉奥からせり上がる龍の炎の色だ。
 邑を焼き尽くさんとした龍の炎が、今度は猟兵めがけ飛礫めいて放たれた!
「ああ、その通りだとも。お前の好きにはさせない。意地でも邪魔してやる!」
 ルイス・グリッドは右腕を剣の形に変形させ、巨大な炎の塊を斬り裂いた。
 真っ二つにされた炎は空中で四散し、地上に降り注ぐ前に衰滅する。
 ルイスは『孔雀輪』の力で風を起こし、空中の古龍へと挑みかかる!
「目障りな連中よ。我を邪魔する者には死あるのみ!」
 古龍はさらなる炎を口から放ち、接近しようとする猟兵たちを牽制した。
 飛来する炎は地上に辿り着く前に消え去るが、もしも着弾してしまえばコトだ。
 あれだけ苦労して消火した邑が、またしても燃えてしまうことになる。
(なんて規模の攻撃……また吸熱炎霊を召喚して……!)
 穂村・理恵は咄嗟に、ユーベルコード『吸熱炎霊』を発動しようとした。
 これは熱や炎を吸収することで巨大化する、特殊な動物霊を召喚する術式だ。
 ……だがそこで、理恵は考える。それでは元の木阿弥ではないか? と。
(相手はこっちを侮っている……攻撃するなら、いまがチャンスかもしれない。
 なら、下手に攻撃に対処するより、隙を見せているうちに攻撃すれば……!)
 理恵は吸熱炎霊の発動を諦め、消火活動中に集めたエネルギーを『炎霊の紅玉』へと集中させた。
 そして、自分の狙いを悟られぬよう、まるで防御に手一杯のようなふりをする。
「ククク……そうらそら、どうした! このまま邑ごと焼き払ってくれるわ」
「調子こいてんじゃないわよ、この琉鳴戦姫がぶちのめしてやるわ!」
 古龍は攻めあぐねている(ように見える)理恵の様子にまんまと騙されている。
 玲華とルイスは危険なサイズの炎を撃墜し、雷撃を躱すので手一杯だ。
 自在に飛行する古龍と猟兵とでは、上下のアドバンテージがあまりに大きい!

「鎮火してもなお接近を許してくれぬとは、どこまでも驕った龍よ。
 しかし、ここで元を断たせてもらうぞ。覚悟せい、オブリビオン!」
 攻撃のきっかけを生み出したのは、源波・善老斎であった。
「何……? 妙な瑞獣もいたものだ。猫は猫らしく軒下で丸まっているがいい」
「これは節穴もあったものよ! 我輩は猫じゃが、瑞獣ではないのじゃがな!」
 ケットシーの拳士である善老斎は、古龍の怪訝さを鼻で笑う。
 身の丈わずか46cm、空に君臨する龍の巨躯とはまさしく月とスッポンだ。
「行善天(あんぜんてん)拳奥義が一! 建竹起筍坊(けんちくきじゅんぼう)!」
「ぬうっ!?」
 見よ! 善老斎が気を籠めて震脚すると、地面を割って無数の青竹が生えてきた!
 さらに青竹はおのずから複雑に組み合わさり、迷路じみた足場を形成する!
「祖曰く、"筍を起こし、建つ竹を坊となす"――これぞ我が奥義のひとつよ!」
「すごいな……! これなら、無茶な空中機動をせずとも戦える」
 天を衝くほどに育った青竹の迷路は、古龍の行動を大きく制限する。
 さらに善老斎ら猟兵たちの足場となって、彼らの戦いをサポートするのだ。
 ルイスは快哉をあげ、そして風の力で加速し、足場を縦横無尽に駆け抜けた!
「ええい、小賢しい! こんなもの、我が炎で焼き払ってしまえば……」
「残念、そうはさせないわよ!」
「!!」
 古龍は、すばしっこく跳ね回る善老斎とルイスに気を取られていた。
 そのせいで、真下に回り込んでいた玲華の存在に気付けなかったようだ。
 玲華はにやりと笑い……間欠泉めいた強烈なアッパーカットを叩き込む!
 不意打ちの一撃が、古龍を吹き飛ばす。体勢が崩れ、炎の雨が止んだ。
「ぐ、お……ッ」
「――! いける、今なら!!」
 チャンスを伺っていた理恵は、敵が隙を見せた一瞬で機械鎧に変身した。
 そして先んじて熱を集めていた紅玉の力を、『CDBキャノン』へと注ぎ込む。
「CDBキャノン、エネルギー充填完了……いきますっ!!」
「それは――ッ」
 光が戦場を白く染めた。キャノン砲から放たれる、強烈なエネルギー!
 柱のような極太の光が、体勢を崩した古龍の身体を槍のように貫く!

「……やったか!?」
「いや、まだじゃ!」
 ルイスの言葉を善老斎が否定した。然り、古龍は死んでいなかった。
「そんな……今の一撃で、エネルギーが足りなかったの!?」
「…………否……」
 キャノン砲の炸裂で生まれた煙の中から、古龍らしき声が響いた。
 だが煙の中から現れた姿は、まるでオーロラを纏うように光り輝いている。
「この我に龍気を纏わせるとは……小娘、貴様の攻撃はなかなかに効いたぞ……!」
「自己強化で防御力を増した……? そんな!」
 理恵の作戦は間違っていなかった。誤算があるとすれば古龍の防御力だ。
 龍気を纏ったその鱗は、いかなる攻撃も強固な鱗で弾いてしまうのである。
 理恵はこの状況に陥ることを恐れていたがゆえ、敵の隙を突こうとした。
 だがわずかに一瞬、古龍の反応速度が理恵の計算を上回ってしまったのだ……!
「貴様らは相応の敵ではあるようだ。ゆえに我が全力を以て相手してくれる!」
「……そうはいくか!」
 ルイスは右腕を棘の形状に変え、古龍がスピードアップする前に飛びついた。
「この竹の坊の中では、そう簡単に動けまい。させぬぞ!」
 同じく善老斎も、尻尾と鈎を利用して鱗に噛みつき、背に飛び乗る!
「今の一撃で効かないんじゃ、もう私には……」
「諦めないで!」
 男たちが格闘を続けるなか、意気消沈する理恵のもとに降りてきた玲華。
「その姿にその力、あなたも同じヒーローね? あたしにはわかるわ」
「え……で、でも私はまだ見習いで……」
「あたしだって似たようなものよ。でも、だからこそ諦めちゃダメ」
 玲華は不敵に、そして明るく笑い、サムズアップした。
「ひとりでダメなら、ふたりで決めましょう! ヒーローの力を合わせるのよ!
 ふたりが動きを止めてくれた瞬間に、同時に力を叩きつけるのよ。いいわね!」
「……は、はいっ!」
 ふたりのヒーローは空を見上げ、青竹越しに龍と男たちの格闘を見守った。
 敵に組み付いた善老斎とルイスは、古龍の鱗を集中攻撃し続け突破口を開かんとしている。
「俺の左腕を持っていけ……その動き、止めてやる!!」
 ルイスは己の左腕に膨大な生体電流を集め……龍の鱗に突き刺した!
 KRAAAAAAAAASH!! ルイス自身の片腕を破壊するほどの電撃が天空に広がる!
「グオオオオオッ!?」
 龍気をもってしても防ぎきれぬ電撃が、古龍の全身を麻痺させた。
「――そこか! 古龍髄厳が弱点、見たり!」
 その一瞬を逃す善老斎ではない。鱗の継ぎ目をめがけ、流星の如き蹴撃!
 一点に狙い絞った気の一撃を受け、鱗の継ぎ目はひび割れ……爆ぜ砕けた!
「今よ! 敵の攻撃は……あたしが受け止めるわ!」
「!?」
 攻撃を受けた古龍は、力を振り絞り無数の稲妻を大地に落とした。
 その攻撃を、前に飛び出した玲華が我が身を挺して受け止める!
「ぐ、ああああ……っ!!」
(自分自身を盾にするなんて……! ……私も、弱音は吐いてられない!)
 玲華の覚悟と勇気を目の当たりにした理恵は、己を奮い立たせた。
 仲間たちの痛みと苦しみ、そして覚悟が……さらなる力を彼女にもたらす!
「……蒼き、魂(マブイ)が……煌めく時! 荒ぶる海の、一撃と!!」
「悲劇を討つ双星の光を――行きますっ!!」
 雷撃を受けてなお怯まぬ玲華は竹の足場を踏みしめ、跳躍。
 そして彼女の蒼く輝く拳と、CDBキャノンから放たれた極大光線が、ひび割れた龍の急所に……叩き込まれた!
「バ、バカな……グオオオオオ――ッ!?」
 龍気をも飲み込む光が、仙界の空を照らす……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
これだけのことをしておいて、戯れか
上から見てただけのゴミ風情が、言う事だけは一丁前か?
テメェが誰の怒りを買ったのか、思い知らせてやる
機狼衆頭目の龍狩りだッ!!行くぞ天狼ォッ!!

黒雲が来た…雷を落とす気か
電撃の耐性が高いわけじゃない…これを反撃につなげてやる
上から来る高速のエネルギー、だが俺の感覚は2秒先にずれている
位置もタイミングも掴んだ──『怒涛』
驚いたか?まさか雷を「掴まれる」なんて思わなかったんだろ
投げ返してやるよ テメェが面倒を見な

大いに痺れてくれるだろう
<烈震砕牙>の柄を伸ばして、エッジヒートを最大出力
その長い身体を切り裂いてやる
テメェの力で壊れた何もかもに懺悔して、消え失せやがれ



●龍狩りの狼牙
 ――ズドドドンッ!!
「遅すぎる……俺の目には、"もう視えてる"ぜ」
 矢継ぎ早に降り注ぐ稲妻は、ルヴトー・シフトマンの天狼にまったく当たらない。
 偶然ではない……ルヴトーはたしかに稲妻を"視て"回避していた。
 古龍は訝しむ。稲妻とはすなわち音を越えた力であり、秒速20万mの滅びである。
 人間に見切れるような速度ではない。仙人でさえも不可能な芸当だ。
 それが古龍自身の身体から放たれるものであれば、意を読むことは出来よう。
 しかし空に広がった黒雲から落ちる稲妻は、ランダムゆえに察知不可能。
 ユーベルコードで反射神経や動体視力を強化したならばまだしも、その気配はない。
「……なるほど、貴様"未来"を視ているな? 稲妻そのものではなく。
 我が貴様を攻撃する"先"を視ることで、我が稲妻を避けているわけか」
「――……」
 ルヴトーは無言。それが、事実上の肯定であった。
 そしてルヴトーもまた、古龍が推察に至ったことに内心で舌を巻く。
(伊達に龍をやってるわけじゃない、ってことか。だが……!)
 ならば何故、邑を焼いた。
 ならば何故、その智慧を人のために生かさぬ。
 ならば何故、オブリビオンに身を窶した……!
「テメェの頭が良かろうと力が優れていようと……いや、だからこそ許せねえ。
 上から見てただけのゴミ風情が、戯れなんぞで人々を苦しめるッ!!
 その行動が、性根が! このオレの怒りを買ったのだと思い知れェッ!!」
「ほざけ、地を這う虫風情が!!」
 KRAAAAAACK!! 稲妻の降る頻度があきらかに増した。攻撃が苛烈になる!
 ルヴトーは未来視の力で稲妻を回避しながら、敵の動きをも同時に視ていた。
 秒速20万m、熱量5ギガJの破滅の閃光。それはすなわち――敵にとっても同じ!
「――掴んだ」
「!?」
 然り。掴んだ。天狼は、降り注ぐ稲妻をゼウスの如くにその手に掴んでいた!
 荒ぶる閃光のエネルギーが、球状に変じて掌の中で渦巻いている。
 小さな嵐は、音叉が共鳴するように掌の中で強化されていた……!
「機狼衆頭目の龍狩りだ。――喰らわせろ、天狼ッ!!」
「き、貴様――」
「テメェの生み出した雷(ちから)だ。テメェが面倒を見やがれ!」
 増幅強化された稲妻が、古龍に擲たれ……炸裂!
「グオオオオッ!?」
「オオッ!!」:
 烈震砕牙の柄を伸ばし、狼の牙がもんどり打つ龍の鱗を砕いた。
 天に君臨せし龍をも屠る、これぞまさに天狼の狩りなり!

大成功 🔵​🔵​🔵​

御門・白
蛇、竜は永遠の象徴
自然の威力の顕現

確かに大きな力
そして油断で足元をすくわれることがあるのは仙も神も妖怪もそう、大差はない

炎も雷雲も畏れる様子もなく、【切り込み】んで
当たらないと【見切】っているように落ち着いて歩む
有効打が降ってこれば「地雲薙剣」で【受け流し】ながら

ええ、まったく怖いと思いません
妖怪が怖いのは時に、ヒトにとって理不尽なモノだからこそ
人間のような行動原理で動かれるなら、畏れる理由がない

言いながら
夜を凝らした箭を幾重に生み出して撃ちこんでいく
よく躱しますね
でも……自分の力に自信があるから、見えるものしかみていない

ここは月神の領土
あなたはもはや天を舞う龍ではない
【暴力】で叩き潰します



●天に昇るは月の白
 炎と、雷。
 龍という人を越えた自然の化身が振るう力としては、似合いである。
 それはどちらも、人が克服しようとして文明を築き上げた天災であり、脅威。
 ……そして同時に、今現在でもまだ克服しきれぬ、自然の威力の顕現。
 龍という気まぐれで傲慢なる魔獣にとって、これ以上のものはない。
「――けれど」
 対する御門・白もまた、人ならざるモノ。
 彼女が駆るツクヨミもまた、尋常のキャバリアを越えた『魔物』である。
 炎も稲妻も、降り注いだそれらはツクヨミを避けるようにして消えてしまった。
 まるで、炎と稲妻が、ツクヨミという魔を畏れているかのようでもある。
「……我らと同じ骸の海より蘇りし力を、まるで人の味方のように扱う。
 それ自体が、我らにとっての侮辱であり挑発であると知るがいい、小娘」
「……そう。だとしても、私たちはあなたを畏れはしません」
 白ははっきりと告げた。
「ヒトがヒトならざるものを恐れるのは、ヒトにとって理不尽なモノだからこそ。
 ……ですがあなたは違う。ヒトのように戯れ、愉しみ、そして猛っている」
「…………」
「人間のような行動原理で動かれるなら、畏れる理由がない」
「……ならば」
 古龍は全身に龍気をヴェールのようにまとい、巨大な身体を輝かせた。
「その傲りの報いを、貴様に味わわせてくれるわァッ!!」
 恐るべきスピードで、古龍がツクヨミに襲いかかった!

 接近まで残された時間は、おそらく数秒。
 白は夜の闇から編み上げた箭を、稲妻よりも疾く迫る古龍めがけて放った。
 だが古龍は、龍気によって強化した鱗で箭をこともなげに弾いてしまう。
「よく躱しますね。ですが――」
 弾かれた箭は、ちょうど星座のように黒雲のなかにとどまっていた。
 点と点が線で結ばれ、線と線は重なり合い、空を……夜の闇、黒で染め上げる。
「何ッ!?」
「ここは月神の領土。あなたはもはや、天を舞う龍ではない」
 此処に、夜之食国は現出した。
 ツクヨミは地雲薙剣を構え……古龍に、振り上げる!
 神をも屠り去る剣が鱗を砕き、古龍は恐怖と苦痛の絶叫をあげた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

霞末・遵
【幽蜻蛉】
龍って人里焼いて遊ぶんだなあ
やあ、新しい発見だぞ。どの辺が面白いのか聞いてみていいかなあ
実際どうなの惟継さん
おじさんはねえ、焼いとくべきだと思うなあ

龍を

でかいやつには数撃つに限るね
あれ惟継さんの鱗より硬いかなあ
先日のグリードオーシャンからヒントを得てね、アンカーを撃ち込むやつをいくつか作ってみたんだけど
こうやって動かしちゃうと数が多すぎておじさんの目じゃちょっとどれだか……

まあそれも驚きがあっていいかな
どれが龍に効果的か試すのも悪くないね
火炎弾はいまいちかな。氷結弾は自信作なんだけど
空砲? そりゃ外れだ。でもびっくりしたでしょ
乗っていいなら乗っちゃお。上からの方がよく見えるよね


鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
同じ龍でありながら、なんとも情けない
あぁ情けない、情けない

こうして傲り高ぶった奴が余計なことをするから
龍は恐ろしい、獰猛な生き物で逆らえば死なのだと言われるのだ
俺が人と繋がりを持つ為にどれだけの年月を掛けたとて
信用はこうして一瞬にも崩れてしまうのだから
……悲しみを通り越して怒りが湧いてきたぞ

無論だ、焼いてしまえ

俺も容赦はせぬ
目上であろうが目下であろうが構うものか
オーラ防御を使用後、竜神飛翔して敵に突撃
天候操作にて雷雲を己のものとして操って雷を落としていく

雷は神罰、我が怒り
渦巻く雷雲は、我が兵そのもの
雷龍の力を思い知れ!

遵殿、必要ならば俺の背に乗るがいい
奴にお前さんの兵器を当ててやれ



●龍の悩み
 龍は強大で、傲慢で、気まぐれで――つまりは、恐ろしい怪物だ。
 古今東西の神話寓話は、龍あるいは竜をそうしたモノとして伝えている。
 荒ぶるモノ。
 仇なすモノ。
 悪しきモノ。
 いくつもの宗教で、竜とは悪性の象徴であり魔性の化身とされた。
 そして多くのドラゴンは、それにそぐうような気性を持つ。

「……情けない。あぁ、なんとも情けないぞ。腸が煮えくり返ってきた」
 鈴久名・惟継は悠然と空舞う古龍を睨みつけ、腹立たしげに囁いた。
「こうして驕り高ぶった奴が余計なことをするから、信用が崩れてしまうのだ。
 俺が人とつながりを持つためにどれだけの年月をかけようと、一瞬でパァだ。
 ……まったく、同じ龍として情けない。そしていよいよ怒りが湧いてきた」
 惟継は竜神――すなわち、人に与した善き龍に連なるものである。
 彼らは太古の邪神を放逐し、封印し、人類世界を守って幽世へと移った。
 残念ながら、そうした善き龍たちの働きは、悪評に隠れて消えてしまうもの。
 悪事千里を走るとか、悪貨が良貨を駆逐するとはよく言ったものである。
 それが、惟継にとっては腹立たしかった。ごろごろと喉を唸るように鳴らす。
「いやあ、カンカンだねえ惟継さん。ま、あれが龍の一般的感覚なわけないか」
 そんな惟継の怒りを横目に、霞末・遵は肩をすくめてみせた。
「で? 一体全体、人里焼いて遊ぶことの何が楽しいのさ」
「……何?」
 古龍は遵の不躾な問いかけに顔を顰めた。
「まあ、教えてもらったところで、おじさんにはさっぱり理解できないだろうね。
 新しい発見ってのは大抵喜ばしいことだけど、これは別に嬉しくないなあ。
 ……ねえ、惟継さん。あれ、どう思う? おじさんは焼いとくべきだと思うよ」
 言葉を区切り、遵は古龍をちらりを見やる――侮蔑的に。
「ただし、龍をだけど、ね」
「……無論だ。焼いてしまえ」
 惟継の答えは端的で、その身体はじわじわと完全竜体へと変身していった。
「俺も容赦はせぬ。同じ龍として、せめて手にかけてくれるわ」
「貴様ら……驕るなよ! 焼き払うは我なり!!」
「驕る、ねえ。さて、驕ってるのはどちらだろうね?」
 見下したような遵の笑い声が、戦いの火蓋を切って落とした!

 古龍は全身を龍気で鎧い、同時に巨大な龍の炎の塊を吐き出した。
 避ければ再び邑が燃える。そして、あの熱量は常人では防御出来ぬ。
「ぬるいぞ――!」
 そう、惟継ならば。……だが惟継は人ではない、龍だ。
 その身に空の黒雲がまとわりつくと、黒きオーラは炎を飲み込んでしまった!
「何ッ!?」
「雷は神罰、我が怒り。渦巻く雷雲とはすなわち、我が兵そのもの。
 その力は俺が支配する。これが俺の怒りであり、雷龍の力だ。思い知れ!!」
 恐るべきことに、惟継は強引に雷を我がものとしてしまったのだ。
 そして収束した膨大な雷撃が、巨大な光の柱となって古龍を貫いた!
「グオオオッ!?」
「遵殿、俺の背に乗れ。奴にお前さんの兵器を当ててやるのだ」
「これはありがたいねぇ。おじさん、あんまり激しく動くと腰やっちゃうから」
 遵は冗談か本気かわからないことをいいながら、雷龍の背に飛び乗った。
 ガシャン、と銃火器を展開し、カラフルな弾頭を弾倉にセットする。
「火炎弾、氷結弾、雷撃弾に猛毒弾。仕入れたての新作、試してみようか!」
 BRATATATA! BRATATATATATAT!!
 アンカーが次々に龍の鱗に突き刺さる。雷撃が龍気を引き剥がしてしまっていた。
 突き刺さったアンカーは、宿した属性の色の爆炎をあげながら炸裂し、龍の身体を内側から破裂させるのである!
「わ、わが鱗が、なぜ……!?」
「そりゃあだって、もっと固い鱗の持ち主がこっちの味方にいるんだし。ねえ?」
「……」
 惟継は冗談を言われつつも、まんざらではなさそうに唸り声をあげるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

龍・雨豪
やっと降りてきたのね、待ちくたびれたわ。
小手調べはもういいわよね?
楽しい楽しい決闘を始めましょ!

早速UCで水から龍人を創造し、その中に身を沈めるわ。
これなら炎に炙られることも無いでしょ。
勿論蒸発はするでしょうけど、今や周囲は水だらけ。龍人を修復するのには困らないわ。
そして、接近戦は私の得意とするところ。
相手の攻撃軌道を読んで躱したり受け流したりしながら、カウンター気味に打撃を加えていくわ。
隙があれば脚の関節を攻撃して、転倒とはいかずとも体勢を崩させたいわね。
上手くいったら、その間に追撃を入れていきましょ。

戦いを独り占めする力も時間も無いのが残念ね。
私が力を取り戻したら、また遊びましょう?



●龍の位階
 あまりにも多くの雨が降り注いだことで、邑じゅうが水浸しをなっていた。
 これでは、復興に逆に支障が出る……そう考える仙人もいたかもしれない。

 しかし、龍・雨豪とて、何も考えずに雨を降らせたわけではない。
 彼女の消火活動は、この古龍との戦いのための布石でもあったのだ。
「やっと降りてきたのね、待ちくたびれたわ。小手調べはもういいでしょう?」
 雨豪はうきうきと少女めいた明るい仕草で微笑んでみせる。
 見た目は美しい――だが見るものが見れば、恐ろしさに震えただろう。
 なぜならそれは、只人の笑みではない。龍の笑みである。
「楽しい楽しい決闘を始めましょ!」
 それも、闘争を求めて疼く、超一級の龍の笑みなのだから。

「ほざけ、小娘が!!」
 古龍は苛立ち、さっそく口蓋から燃え盛る龍の炎を迸らせた。
 あくまで戯れとして、仙人たちを火炙りにして楽しむ先のそれとは違う。
 ただ獲物を滅殺することを考えた龍の炎……熱量は比較にさえならない。
 しかし、雨豪がぱちんと指を鳴らすと、周囲に溜まった水がぐるりとうねった。
 立ち上がったのは、彼女の身の丈の二倍はあろうかという巨大な龍人だ。
 はたして龍人は、その身をもって炎を受け止め、雲散霧消した。
 古龍はにたりと笑う。即席の召喚物で炎を受け止めただけ、上等だろう。
「だが――我が炎は尽きることなし!!」
 そして2発目! 当然のような連弾により今度こそ雨豪を燃やそうとする!
「あら、心外ね。『私もそれが出来ない』とどうして思ったのかしら?」
「!?」
 ……同時に、新たな龍人が生まれ、炎を受け止め、消えていった。
 これではいたちごっこだ。古龍は思考する――奴はどこまで龍人を産める?
 こちらの無尽蔵の炎に対し、邑ちゅうは水浸し。触媒はどこにでも……。

 ……その思考が、一瞬の隙を生んだ。
「はっ!!」
 そして気づく。わずかな間隙の間に雨豪は目の前に接近していたことを!
「貴様……」
「この私を目の前にして考え事とは、いいご身分ね。後悔させてあげるわ」
 アッパーカットが顎下に叩き込まれ、古龍の下腹を強引に晒す。
 強靭な鱗さえも砕く恐るべき拳と足が、嵐のように龍の全身を襲った!
「グオオオオオッ!?」
「ここまで付き合ってあげたのだから、もっと愉しませてごらんなさい!
 旧き龍なのでしょう? 力を失った私にいいようにされるわけはないわよね!」
 吹き飛ぶ古龍を見下ろし、雨豪は目をぎらつかせて言った。
 闘争に魂を震わせるその有様は、紛れもなく強大な龍の在り方である。
 どちらが上であるかなど、余人には火を見るより明らかであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
セフィリカ(f00633)と共に

竜が概ね傲慢なのはどの世界も変わらんらしい
ま、あまり気負わずやるとしよう
竜はともかく君を心配させるのは本意ではない

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

本気で行くようなのでお膳立て
あまり必要を超えて力を使わない方向で

自身を無限加速し接敵、無限上昇させた筋力で強引に首を捩じ切りに
捕まれば無視はできまい
ついでに断絶の原理で干渉。認識、伝達、思考、行動を全て断ち行動を封じる
触れていればこういう芸もある
不足なら魔眼・封絶で拘束

下拵えはしておいた
遠慮なく終わらせてくれ


セフィリカ・ランブレイ
アルトリウス君(f01410)と

力のある奴は性格歪みがちで困るよ

その意味じゃ、アルトリウス君は人間が出来てるかな
彼の場合はもう少し自分勝手でいいんだけど

『心配は後よ、セリカ。相手は傲慢をやれる程度の力はある。どう出る?』
シェル姉……相棒の魔剣の声は少し楽しげ
相応の相手だからね

長引かせていい相手じゃない、全力で行くよ!

【魔神姫】を発動

魔剣の魂と深く混ざり合う
髪が蒼く染まり、纏う魔力が紫電を帯びる
自らを魔神の領域まで押し上げる形態だ
今なら、空を駆けるのも竜を断つ刃を振るうのもわけはない

多用は戻れなくなるというリスクを有するが……

お互い出し惜しみなしで、一気に終わらせるよ、アルトリウス君!



●稲妻を斬り裂き
 空にはごろごろと暗雲が渦巻き、アトランダムな稲妻が地上を襲う。
 幸い、稲妻によって消火した邑に新たな被害が出る、ということはない。
 力はあれど古龍を倒すところまではいかない仙人たちの、結界のおかげだ。

 だが、結界はあくまで邑を戦いの被害から守るためのものである。
 降り注ぐ稲妻の狙いは、邑ではない――猟兵なのだ!
「龍がおおむね傲慢なのは、どの世界も変わらんらしい」
「力のあるやつは性格が歪みがちなのよ。自制心が足りないってコト」
 アルトリウス・セレスタイトの言葉に、セフィリカ・ランブレイが答えた。
 ふたりは気さくに会話しながら、矢継ぎ早に降り注ぐ稲妻を回避し続ける。
「その意味じゃ、アルトリウス君は人間が出来てると私は思うかな。
 ……もう少し自分勝手でもいいと思うけど――なんて言っても聞かないか」
「友人の言葉を一切斟酌しないほど、冷血漢なつもりはない」
 アルトリウスの言葉に、セフィリカはきょとんとした。
「……ま、あまり気負わずやるとしよう。君を心配させるのは本意ではない」
「ふふっ、そうね! ただ、あまり出し惜しみは……出来ないかな!」
 KRAAAAACK!! ひときわ巨大な稲妻が、ふたりを強制的に左右に散らせた。

 古龍本体は、全身を龍気で覆い、すさまじい速度で戦場を移動し続けている。
 まるで荒れ狂う流星の如く。攻撃を当てるのも一苦労、といったところだ。
『そうよ、心配はあと。セリカ、相手は傲慢をやれる程度の力はあるわ』
 相棒の魔剣、"シェル姉"の声は、警戒を促しつつもわずかに愉快げだ。
 その力を振るうに足る相手だからだろう。向こうに回す敵としては十分。
「……当然、全力で行くよシェル姉。アルトリウス君、サポートよろしく!」
「わかった」
 アルトリウスが敵の動きを止めるため、蒼い燐光を纏って先に動いた。
 一方セフィリカは、魔剣の力を引き出し完全同調に入る。
 ふたつの魂を混ぜ合わせることで、身体能力を超強化するのだ。
 魔神姫(セカンドステージ)――それは実際、強力なユーベルコードではある。
(けど、この状態を長く続ければ、戻れなくなってしまうかもしれない)
 だからこそ、勝負は短期決戦にならざるを得ない。セフィリカは肝に銘じた。
 アルトリウスの生んでくれるチャンスを、必ず我が物にしてみせようと。

「まずは貴様が相手か? ふん、同時に来ればいいものを!」
 古龍は接近してきたアルトリウスをあざ笑い、稲妻で迎撃する。
 秒速20万メートルの閃光は、見てから回避するなどという余裕を許さない。
「ごちゃごちゃやかましいオブリビオンだ」
 アルトリウスは自身を無限に加速させることで、稲妻さえも超える疾さを得た。
 閃光が発せられたその時には、すでに稲妻の射線上から離れている。
 一撃、二撃――アルトリウスを狙い定めたはずの稲妻は、まったく当たらない!
「何ィ!?」
「その首、戴くぞ」
 アルトリウスは敵に肉薄すると、やおら古龍の首に喰らいつくように掌握。
 巨人もかくやの剛力を発揮し、強引に古龍の首をねじ切ろうとする!
「ぬ、おおおお……!!」
 古龍はもんどり打ちながら飛行し、アルトリウスを引き剥がそうとした。
 しかし、魔眼の力が、その身を鎧う龍気を引き剥がし、回避抵抗力を激減させる!
「――今だ」
「もちろんっ、わかってるよ!」
 そこへセフィリカ! 強化した身体能力で空を駆けてきた。
 抜き放った魔剣の刀身は、オーラによって数倍にまで膨れ上がっている。
 バチバチと紫電を帯びた魔力が、熱量を増してプラズマの域に到達。
「お、おのれ、離せ……!!」
「いいや、離さん。お前が強大な龍だというなら逃れてみせろ」
 アルトリウスの瞳はどこまでも冷静だ。
「そうはさせない……さあ、行くよシェル姉!!」
 振り上げた魔剣が、紫電の刃となって古龍の鱗を真っ二つに斬り裂いた。
 降り注ぐの稲妻でも炎でもない――切り裂かれた龍の血と、苦悶の絶叫である!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
【甘くない】

あら、随分と舐められたものですこと
って、ハモらないでくださる?
…まあ、いいですわ
ジンさん、ちょっと乗らせてくださる?
!?なにを仰ってますのあなたは!?
本っっっっ当に最低な方ですこと!
それは私の台詞ですわ!
あなたに拒否権はなくってよ!

その背に乗ったらなば、真の姿へ変じて
私を誰だと思っていて?
あなたの勝手気儘に着いていけるのは私くらいでしょうね
好きなようになさいな

花嵐を目眩ましに現れたなら
死霊で翻弄して
隙をついて斬撃をお見舞いしましょう

さあ、雷が来ますわよ
ちゃんと避けてくださいまし

ふふ、あなたの乗り心地も悪くないですわ
ねぇ、ジンさん
私、あの龍の首が欲しいの
勝利の証にはぴったりでしょう?


ジン・エラー
【甘くない】

肩慣らしィ~~~~??
オイオイオイオォ~~~~イ!随分と舐められたもンだなァ~~~~~?
なァ~~~エリシャァ~~~~!!
さァ~~~てその巨体をブッ飛ばしてェ~~………ア?ンだよエリシャ
…オレに乗りてェだァ~~~??
……お前、そォ~~~いう話は外でしねェ~~方がいいと思うぞ
ウッヒビャラハハ!まァ~~オレはどっちでもイ~~ィけどよォ!!

振り落とされンなよォ~~~エリシャァ~~~~!!!
しょォ~~~もねェ~~古龍とサイコーの女を乗せた聖竜だ
どっちが勝つかなンてわかりきってるよなァ~~~~!!!



●龍と竜と女
「肩慣らしィ~~~~???」
 古龍の物言いに、ジン・エラーが実に不服そうな声をあげた。
「オイオイオイオイオォ~~~~イ!! そりゃあまた……」
「「随分と舐められたもの(ン)だなァ(ですわ)……」」
 ……といいかけたところで、ジンと千桜・エリシャは顔を見合わせる。
「……あの、ハモらないでくださる?」
「あァ~~~~ン? こっちに被せてきたンだろお前がよォ~~~」
「ち、違いますわっ! なんであなたの言葉に被せないといけませんのっ!」
「それ以外ありえねェだろうがよォ~~~恥ずかしがンなってェ~~~」
「だから、勝手に話を進めないでくださいまし! そもそもあなたは……」
 ふたりは子供のような言い争いをぎゃあぎゃあ始める。
 しばし黙っていた古龍だが、やがてぷるぷると震え……。
「――黙れ、貴様らッ!!」
 ついには耐えきれず、大気を震わせる大音声でふたりを恫喝した。
「あン?」
「あら」
 だが怒気を浴びせられたふたりは、けろっとした顔である。
「なンかよくわからねェがご立腹みたいだなァエリシャア~~~、何したお前」
「違いますわ、あなたが怒らせたんでしょう? やかましくて仕方ないですわね」
「オイオイオイオイ~~~オイ! 濡れ衣を着せるのはやめろよなァ?」
「濡れ衣も何も、あなたのその癪に障る性格を見れば一目瞭然ではありませんの」
「ひっでェコト言うなァ~~~? ま、そンなオレにゾッコンなンだがなァ~~?」
「ばっ……バカ言わないでくださいます!? そ、そんなこと……!」
「だから、貴様ら! 我を前に痴話喧嘩をするなァッ!!」
 まさかの天丼である。甘くないふたり、いつも通りのペースであった。

「ええい、もう付き合っていられん! さっさと消え去れィッ!!」
 怒り狂った古龍の炎が、巨大な飛礫となってふたりに襲いかかる。
 エリシャを守るように前に出たジンの光がさらに強まると、炎は霧散した。
 光そのものが炎を消し去ったわけではない……見よ、ジンの巨体を。
 その身はあまねくすべてに救いをもたらす聖竜へと変身していた。
 聖竜となった巨体で炎を強引に受け止め、傷を救いの光で治したのである。
「ったく、喋ってるトコに横槍してくンなよ寂しいのかァ~~~?
 まァいいか、とっととあの巨体をブッ飛ばしてやろうぜエリシャァ~~~!」
「言われるまでもありませんわ。ところでジンさん、その背に乗らせてくださる?」
 エリシャがそう言うと、ジンは敵のほうを見てから、エリシャを二度見した。
「……あン?」
「ちょっと、なんですのその妙な反応は」
「オレに乗りてェだァ~~~?? エリシャァ、そういう話は外ではしねェ方が」
「……!? な、何をおっしゃってますのあなたは!?!?」
 やや遅れて意図を理解したエリシャは、顔を真っ赤にして慌てた。
「そ、そそそそんな意味ではありませんわ! 勘違いしないでくださいまし!!」
「ウヒャホラハハハ!! オレは"どっち"でもいいぜェ~~~?」
「ほ、本当に……本っっっ当に! 最低な方ですこと!!」
 エリシャはこほんと咳払いしつつ、きっと表情を引き締めた。
「いいから乗せなさい! あなたに拒否権はなくってよ!」
「仕方ねェなァ~~~! 振り落とされンなよォ~~~??」
 あざ笑うジンの声を無視して、エリシャはジンの背に飛び乗った。
 その姿が真のものへと変じ……そしてふたりは、古龍舞う空へと向かう!

 空に飛んだふたりを迎え撃つのは、黒雲からランダムに降り注ぐ稲妻だ。
 それは指向性を受けたものもあれば、古龍の意思とは無関係なものも存在する。
 ゆえに回避は難しい……先読みだけでは対処しきれないからだ。
「さあ、雷が来ますわよ。ちゃんと避けてくださいまし」
「云われるまでねェなァ~~~!!」
 エリシャは花の嵐を目くらましに、炎の礫による攻撃を回避しやすくした。
 ジンは余裕綽々の声をあげつつ、光を纏って稲妻を悠々と回避する。
 なぜ避けられるのか――理由を問われれば、きっと彼はこう答えるだろう。
『オレの背には、サイコーの女が乗ってンだからなァ~~~??』
 ……と、おそらくそんなところだ。
「ぬう……! なぜだ、なぜ我が炎と稲妻の中を飛んでこられる!?」
 古龍には理解できぬ。ふてぶてしく世界に我を張るふたりの在り方が。
 苦し紛れに炎のブレスを吐き出すが、それは死霊たちが盾となって受け止めた!
「とらえたぜェ、しょォ~~~~もねェ~~~古龍よォ~~~~!!」
 ジンが肉薄。古龍の行く手を遮り、強烈な光で異能を否定する。
 そして――その背に乗った女が、鬼のように美しく恐ろしい笑みを浮かべた。
「あなたの乗り心地、悪くないですわ。ご苦労さま、ジンさん?」
 言葉は敵に向けたものではない――送るべきものは別にあるからだ。
 そして、斬撃(それ)はもうすでに放たれていた。
 怨念纏いし妖刀の斬撃が、剣を振ったあとに遅れて空間をも斬り裂く。
 分厚い鱗を真っ二つにされた古龍は、苦痛と屈辱に悶えながら地へと堕ちる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
【相照】
笑えん戯れなぞ只の迷惑だと解らんのだろうよ
龍と呼ぶも腹立たしい愚か者めが

庇われるばかりは性に合わん
飛来する炎へ衝撃波を噛ませ散らしてくれよう
私が背に在りながら、お前に傷なぞ負わせるものか
……お前の元で無茶はせんよ

炎を放つタイミングを計り、隙の生じる瞬間を見極め
其の背へと合図を送る
……構わん、全力でぶん投げろ
心配せずとも其の程度でどうとも為らんし
単に飛び移るより速さも威力も出る事は解っているだろう
遣れ

刀を前に立て、勢いを殺さぬ様に姿勢を保つ
何処であろうが1撃入れられれば此方のものだ
――穿裂蛮創、最奥まで抉れ
内から斬り刻む刃には、如何に強固な鱗であろうが関係無い
其のまま骸の海へと沈んで行け


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
【相照】
なーにが戯れだよ
戯れをいなされて怒ってたんじゃ世話ないな
その台詞、そっくりそのまま返してやるよ、駄龍

幻想展開、【怒りに燃えて蹲る者】
嵯泉を背に乗せて庇うとしよう
あァ、やはりこちらの方が魔力の通りが良いな
鱗を冷気で覆い、炎の影響は最低限に留めてくれる
多少の傷は想定内
このくらいじゃ竜の鱗は融けないから
嵯泉、自分の傷も避けろよな

嵯泉の攻撃が合図だ
一気に炎の海を割って飛ぶ
そのまま嵯泉の襟首を咥えて――
……な。これ本当にこの作戦で良いの?
うう、分かってるよ
これが一番破壊力あるもんな
じゃ、全力で投げるぞ!

ふはは!私が来るとでも思ったか!
私の爪にも相応の威力はあるが
断ち斬ることでは嵯泉に敵わんのだよ



●龍を断ち切るもの
「言うに事欠いて……なーにが戯れだよ」
 ニルズヘッグ・ニヴルヘイムは、呆れた様子で肩をすくめた。
「戯れをいなされて怒ってたんじゃ世話がない。そもそもやることがつまらん。
 その台詞、そっくりそのまま返してやるよ、駄龍」
「……貴様、今なんと抜かした?」
「駄龍、と言ったのさ――実に正当で、客観的な評価だろう?」
 ニルズへッグの挑発的な笑みに、古龍の放つ殺気が数倍に膨れ上がった。
 常人であれば、そのプレッシャーだけで呼吸を忘れ気絶しかねないほどの怒気。
 だが、ニルズへッグは笑んだままだ。そして、かたわらの鷲生・嵯泉もまた。
「……戯れなどと言うならば、お前のその態度、その物言いこそが戯言だ」
 皮肉に笑うニルズへッグと対照的に、嵯泉の隻眼は鋭く敵を睨んでいた。
「笑えん戯れなぞ只の迷惑……と道理を解いたところで、お前には無駄だろう。
 私としては、お前を龍と呼ぶことすら腹立たしい。まさしく愚物の極みだ」
「貴様ら……!!」
「憤るならば勝手にしろ。あいにく、私のほうが苛立たせられている」
「らしくないな、嵯泉」
 いつにない嵯泉の剣幕に、ニルズへッグは少し驚いた様子である。
「……でもまあ、いいか。頼りになるのには変わらない」
「ああ。お前と肩を並べるときにあって、怒りで我を忘れたりはすまい」
 ニルズへッグは笑ったままだが、その笑みは皮肉から信頼のそれに変わった。
 友である嵯泉の言葉は、たまらなく頼もしく、そして暖かい。
「なら、蹴散らしてやるか。私たちで」
 じわじわと、ニルズへッグの肉体が竜のそれへと変じていく。
 古龍の口蓋が紅に染まり始めた瞬間には、ふたりはともに空へと舞っていた。

 ニルズへッグが嵯泉を背に乗せて飛んだ瞬間、ふたりのいた場所で火炎が爆ぜる。
 古龍の放つ龍の炎は、あいにくニルズへッグの速度に追いつけなかった。
 さきほどとは上下が逆転する。見下ろすのがこちらで、ねめつけるのがあちらだ。
「小賢しいッ!!」
 古龍の放つ龍の炎は、さきほどの火災を起こすそれとは格が違った。
 あれは戯れではあったのだろう……熱量も威力も比較にすらならぬほど。
 ニルズへッグが呪詛と冷気を鎧う竜でなくば、耐えきれたかどうか。
「怒り狂っているな。だが、その程度の炎じゃ私の鱗は通せやしないさ」
 なにせ、背に嵯泉がいる。それだけでニルズへッグの闘志は燃え盛った。
 守る意志が強ければ強いほど、その鱗は強固に、そして冷徹になるのだ。
「嵯泉、自分の傷も避けろよな? この勢いだと火の粉ぐらいは飛ぶだろう」
「問題ない。お前のもとで無茶はせんよ」
「……そっか」
 ニルズへッグはふっと笑い、次の瞬間には猛禽じみて一気に加速した。
 火炎の飛礫が、ニルズへッグらの接近を妨げようと、迫撃砲めいて放たれる。
 爆炎が多少冷気ごと鱗を削いでも、ニルズへッグは止まらぬ――そして1
「……な。これ本当にこの作戦でいいの?」
「構わん、全力でぶん投げろ。心配せずとも、其の程度でどうにも為らん」
 嵯泉の言葉は端的で、ニルズへッグとしては不平不満がたくさんあった。
 背に守っている間はいい……だが『全力で敵に投げつけろ』などというのは、
 信頼があってもなお受け入れがたい提案ではある――が。
(こっちのほうが、単に飛び移るよりも威力が桁違いだ、それはわかってる)
「……遣れ」
 ニルズへッグの内心の懊悩を見透かしたように、嵯泉が言った。
「うう……わかってるよ!」
 観念したニルズへッグは、やおら飛び上がった嵯泉の襟首を咥える。
 そして全身を躍動させ、嵯泉を敵めがけておもいきり投げつけた!
「な……に!?」
 ニルズへッグの急加速から、そちらが来ると思っていた古龍は仰天した。
「ふはは! 私が来るとでも思ったか? 残念だったな!」
 ニルズへッグは炎の飛礫を浴びながら勝ち誇る。その炎はやはり鱗を通さない。
「私の爪にも相応の威力はあるが――」
 古龍は新たな炎を生み出そうとした。だが! 嵯泉の接近が疾い!

「……断ち切ることに関しては、嵯泉には敵わんのだよ」
 怒りに燃えて蹲るものの言葉を示すかのように。
「簡単には、抜けんぞ」
 嵯泉の突き出した剣は、深々と古龍の身体を串刺しにしていた。
 そして全身を内から引き裂く刃が、血潮の如くに巨体を駆け巡る!
「が……ッ!!」
 龍の鱗をも断つのは、同じ竜の爪に非ず。
 途方も無い鍛錬と地獄をくぐり抜けた、凄烈なる只人の剣であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
マリア(f03102)と

おやおや、雷鳴轟かせて分かりやすく怒ってるなぁ。いやぁ悪かったねぇ古龍殿。ま、戯れだと思って寛大に許してくれると嬉しいなぁ?
……あらら、やっぱ駄目らしいよ、マリア。まぁ知ってたけど。
んじゃま、赤い絵の具になるのは御免だし、やるとするかぁ。

なんか質問をごちゃごちゃと言ってるなぁ?えーなにかなー?俺古龍語は分からないんだ(笑)(等と云いつつ、雷を敢えて沢山受ける為だけど。狂気の反射を発動したダガーを黒雲に向けて雷を吸収だ)
いやぁ流石の威力に痺れちゃうなぁ。よぅし、どんなもんか教えてあげよう(雷撃を放ちまくる)
マリアの包囲と合わせるかなぁ。花の雨と盗んだ雷の嵐さぁ!


マリアドール・シュシュ
永一◆f01542
アドリブ◎
一角獣を降りたら宝砂の様に消滅

まぁ、永一ったら!悪いと思っていないわね
マリアもだけれど
もっといけない事を企む古き龍にはメッ!なのよ
怒りに任せて感情で動くとしても漲る強さは伝わってきているの(宝石の髪が揺れ
ええ、桃源郷をこれ以上穢させはしないのよ

竪琴構えて睨み据え
後衛支援
麻痺の糸絡めた優美な旋律と創造の言の葉で敵へ範囲攻撃
敵の行動を鈍らせ永一の雷撃を回避させず
鱗を極力剥がして剥き出しに
その箇所へ音の誘導弾で追撃

永一はまた煽るような事を!もうっ!
怪盗さん、盗みは十分かしら?
今回は見逃してあげるのよ
一気に畳み掛けるのだわ

耳飾りを変換させUC使用
息が合った花雨と雷嵐の大乱舞



●花の雨と雷の嵐
 ズドン! ズドン!! と、強力な稲妻が大地をえぐる。
 仙人たちの結界が邑を守っているが、いつまでも保つものではないだろう。
 まともに受ければ黒焦げになるのは必至。回避以外に選択肢はない。
「わかりやすく怒ってるなぁ。いやぁ、悪かったねぇ古龍殿」
 と、霑国・永一は一角獣を操りながら、おどけた調子で詫びる。
「ま、戯れだと思って寛大に許してくれると嬉しいなぁ……ダメかな?」
「まぁ、永一ったら! これっぽっちも悪いと思ってないでしょう」
 後ろに乗ったマリアドール・シュシュが、呆れた顔になる。
「といっても、マリアもだけれど。だってそんな戯れ、いけないことだもの。
 そういういけないことを企む輩には、メッ! してあげないとダメなのよ」
「ははは、マリアはいい子だねぇ。古龍殿も可哀想だ」
「……他人事みたいに言っているけれど、永一も例外ではないのよ?」
「え? 俺が? いけないことなんて考えたこともないんだけどなぁ」
 へらへらと笑う永一。マリアドールは仕方ない、とため息をついた。
「舐め腐った猟兵どもめ、まとめて消し飛ばしてくれる!!」
「おっと」
「きゃっ?」
 極大の稲妻が来ることを察知した永一は、マリアドールを抱えて跳んだ。
 一角獣は稲妻に撃たれ、宝石の砂に変じてさらさらと崩れていく。
「大丈夫かい、マリア? とっさのことだったから許してもらえると嬉しいねぇ」
「え、ええ……い、いいのだけれど」
 地面に降ろされたマリアドールは、赤くなった頬をごまかそうと咳払いする。
 空から降り注ぐ闘気と殺意に、マリアドールの髪が揺れていた。
「……と、とにかく! 桃源郷をこれ以上穢させはしないのよ!」
「そうだねぇ、赤い絵の具に変えられるのは御免だ。やるとしようか」
 稲妻が、ふたりを迎え撃つように雷鳴を轟かせた。

「猟兵ども……今すぐ我に額づき、敗北を認め永遠の臣従を誓うか?」
 古龍の傲慢な言葉は、最初から恭順や降伏を期待してのものではない。
 満足できる答えがあるとすれば、それは猟兵が今すぐ命を絶つことぐらいだ。
 つまり、稲妻は降り続ける。奴ははじめから、猟兵を見逃すつもりはない。
「なんかごちゃごちゃ言ってるけど、悪いねぇ。俺、古龍語はわからないんだ」
「どこまでも嘗めた態度を取りよる。死ねィ!!」
 KRAAAACK!! いくつもの稲妻が、へらへらと笑う永一めがけて集まった。
 仮に永一に高い防御能力があったとして、とても防ぎきれないほどの熱量だ。
 しかし、栄一は無傷……代わりに稲妻を受け止めたのは、逆手に握ったダガーだ。
「いやぁ、さすがの威力に痺れちゃうなあ」
「何っ!? 貴様、わざと稲妻を集めるために……!?」
 古龍は永一の狙いを察し、龍気を纏うことで防御しようとした。
 しかし、マリアドールの奏でる竪琴の音が、麻痺の魔力を伴い龍に絡みつく。
 見えない音の糸が全身を縛り付け、龍気による回避を困難にしてしまった。
「ぐ……!? 身動きが、取れん……!!」
「逃さないのだわ! ……怪盗さん、今日は見逃してあげるのよ?」
「そりゃどうも。それで、ご要望は? お姫様」
「当然ひとつきりよ――おもいっきりやって、畳み掛けちゃいなさい!」
 永一は「仰せのままに」と慇懃に礼をすると、バチバチと電気纏うダガーを掲げた。
 するとマリアドールの耳飾りが水晶の花びらに変じ、わっと空に舞い上がる。
「花の雨と盗んだ雷の嵐さぁ。たっぷり味わうといいよぉ!」
 KRAAAACK!! 水晶の花びらを触媒に、稲妻が古龍を取り込んだ!
 花びらがドームのように古龍を覆っているため、逃げ道が存在しない。
「グゥオオオオオッ!?」
 龍の巣めいて渦巻く雷の嵐のなかで、古龍は苦痛にもんどり打つ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
ふーむ見た感じ角、爪、尻尾でござるかね破壊できそうなのは
ひょっとしたら目も行けるかな?

起きぬけの古龍に人類の持つ可能性を見せつけねばな…という訳でちょいと人間性を捧げれば体に【流体金属】君がIN!ウッメタルキマるッ!!
メタルクロヒゲ誕生!

反射と思考の融合だァ!左右への高速ステップで避けつつ古龍に最短距離をダッシュ!火炎見てから緊急回避余裕でござるよ
最後は飛び込んでタッチダウン!今なら人の形保つ必要もねぇな!流体らしく溶けながら蛇のように纏わりつく!もう助からないゾ❤

頭上へ登ったら角全部へし折ってやるでござる!大事そうな角を鉄の拳が叩いて砕く!オラッ部位破壊報酬のSOZAI落とせオラッ!



●イッツ・タイム・ナウ
「き、貴様……なんだ、その姿は!?」
 古龍はドン引きしていた。
 エドゥアルト・ルーデルの見た目は……なんかこう、テカテカしていた。
 全身がクロームシルバーに染まり、光沢があってそして足音はやかましい。
 これぞ、メタルクロヒゲ! やっと出会えたんだね……!(流体金属と)
「見るがいいでござる! これこそ人類の持つ可能性、拙者の身体を通して出る力!
 いわゆるところの対話を越えたイノベーション溢れるメタルモードでござる!」
「誰がどう見てもただの変態にしか見えぬのだが!?」
「とんでもない風評被害でござるなウッメタルキマるッナイス硬度!!」
「もうよい、貴様は燃えつきろーッ!!」
 古龍は思った。こいつに付き合うとろくなことにならないと。
 全力全開の火炎放射がエドゥアルトを襲う! メタルは火炎に弱い!(偏見)
「反射と思考の融合だァ!! ウオオオオーッ!!」
 エドゥアルトはその場で高速ステップ! 稲妻を描きながら接近する!
 古龍から見ると、分身すら生じる速度で反復横跳びしながらヌルヌル近づいてくるテッカテカのおっさんである。コワイ!
「ギャアアアア!! 来るな来るな来るな来るな!!」
 KA-BOOOOM!! 火炎はエドゥアルトに当たらない。回避Lv3の力だ!(?)
「残念拙者の緊急回避には追いつけなかったでござるなァ!? オラッタッチダウンだ!」
 エドゥアルトはついにヒトの姿を捨てて、ぬるりと龍に絡みついた。コワイ!
「もう助からないゾ❤拙者と心中……しよ?」
「誰が貴様なんぞと共倒れするか! してたまるかーッ!!」
 古龍は必死に空に上がり、錐揉み回転でエドゥアルトを引っ剥がそうとする。
 だがエドゥアルトは離れない! じわじわと流体金属が古龍を覆い尽くす。
 傍目から見ると完全にアメーバ系のモンスターだ! いや実際そうじゃないかな!?
「オラッ部位破壊報酬のSOZAI落とせオラッ! その角全部へし折ってやるでござる!」
「グワーッ!?」
 巨大なメタルの拳が叩いて砕く! エドゥアルトがやらねば誰がやる!
 多分だけど、こんなキモいメタルファイトは誰も望んでいない。多分っていうか間違いなく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
戯れ?ハッハー!!こりゃあ失敬
まさか「あんな程度」で戯れとは思わなかったもんでなぁ
ウィズワームってのはお遊戯のレベルも低いって知らなくて、悪いね
で?喰らい尽くすだっけ?出来ないことは言うモンじゃない

おっと、随分天気が悪くなってきたな 落雷でもかます気か
この身にはちょいと辛いな──『Mercy Hand』
ンッンー、流石は偉大なるウィズワーム様だ
この矮小な身にお慈悲をくださるとはねぇ

被弾を気にする必要は無くなった
左腕の仕込みワイヤーアンカーを射出、高速巻取りで急接近して、龍の頭を目指す
ドラゴンスレイヤーとはいかないが、生き物なんだからドタマ潰せばヤバイだろ?
ショットガンぶっ放してやるぜ、嬉しいか?



●ブレイン・クラッシュ
 KRAAAACK!!
「ンッンー……さすがは偉大なる古龍(ウィズワーム)様だ」
「何……!?」
 雷撃をまともに浴びたはずのヴィクティム・ウィンターミュートは、無傷。
 それどころか、あきらかに活力を増している。古龍は訝しんだ。
「貴様……ユーベルコードで我の雷撃を吸収したというのか!?」
「少し違うな。俺は吸収なんてまだるっこしいことはしてねえよ」
 ヴィクティムは古龍の予測をあざ笑い、ワイヤーアンカーを左腕から射出。
 邑の建築物を利用し、三角跳びの要領で空へと飛び上がった。
「ええい、いかなる術式か知らぬが、いつまでも攻撃を無効化は出来まい!」
 KRAAAACK!! 雷撃が立て続けにヴィクティムを襲う。しかし!
「おいおい、もう十分だってのにまだお慈悲(Merycy)をくださるってか?
 この矮小な身にはもったいねえぐらいだ。たっぷりとお礼をしなくっちゃなあ!」
「……!」
 ここに至って古龍は理解した。あれは吸収や無効化などではない。
 こちらのダメージそのものを、根本から『変換(Rewrite)』しているのだ。
 つまり、攻撃すれば攻撃するだけ敵が強化される……!
「小賢しい……!!」
 ヴィクティムのユーベルコードは脅威だ。しかし、限度がある。
 それほどの強力な術式は、何の代償もなしに使えるようなものではない。
 ……古龍の推測は正しい。このコードは寿命を減らすことを前提としたもの。
 問題は、ヴィクティムが己の命をすり減らすことを躊躇しない男だということだ!
「さっき戯れがどうとか言ってたなァ? 思わず笑っちまいそうだったぜ?」
「なんだと、貴様!」
「"あんな程度"で戯れと抜かす、そのおめでたい頭がどうにもおかしくってね!」
 ワイヤーアンカーが、ぐるぐると龍の身体に巻き付いた。
「お遊戯のレベルが低いウィズワームに、正しい遊び方ってのを教えてやる。
 "喰らい尽くす"とか抜かしたそのドタマを、盛大にふっ飛ばしてやるぜ!」
 稲妻がヴィクティムを襲う――だがやはり、ダメージはない。
 輝く左腕で古龍の身体をがっきと掴み、ショットガンを構えるヴィクティム。
「嬉しいか? なら盛大に喜んでおくれよ、マヌケなトカゲ殿」
 銃声が、古龍の悲鳴と絶叫をつんざいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

やぁっと邪魔な結界が消えたわねぇ。
さぁて、それじゃ…ブッ殺しましょうか。

あんな小物な言動でも龍の端くれ、ちょっとやそっとの攻撃じゃ効きもしないわよねぇ。
ラグ(水)・ソーン(障害)・エオロー(結界)で〇火炎耐性のオーラ防御を展開、そのままミッドナイトレースで○騎乗突撃。多少の火傷は必要経費、炎を突っ切って逆鱗に6連ファニングで●重殺を叩き込むわぁ。

刻むルーンはシゲルの二乗・ベオーク・ウル・カノ・ハガル。
「臨界エネルギー」はさらに「成長」し「暴走」した「火力」は「崩壊」を呼ぶ――異界の竜王ブチ貫いたあたしの技術の結晶、ただの龍「程度」が耐えられるかしらぁ?



●龍を下すモノ
 ティオレンシア・シーディアは龍を憎む。
 憎むがゆえに、侮蔑をすれど油断するようなことはなかった。
 目の前の古龍は、大言壮語にそぐうだけの実力があると冷静に判断する。
 そして、それがまた、彼女の怒りと憎悪を掻き立てるのだ。
「たしかにアンタには、街を焼くだけの力があるんでしょうねぇ」
 降り注ぐ炎の飛礫を、結界・障害・水のルーンを刻んだ弾丸で撃ち落とす。
 弾丸から放出された魔力はオーロラめいたヴェールとなり、その身を守った。
 火炎の飛礫が途切れた瞬間、ティオレンシアはミッドナイトレースで飛行。
 一瞬にして古龍を射程距離に捉える。その瞳はどこまでも冷たい。
「でも、だからこそ気に食わないのよ……力がある"からこそ"、ねぇ」
 BLAMBLAMBLAM!! 結界弾が火炎を打ち消す……だが相殺しきれない。
 先の"戯れ"と違って、本気となった古龍の炎は弾丸の魔力をはるかに超える。
 近づけば近づくほど、その威力は増す。単純な道理だ。
「愚かな人間めが。ヒトの分際で龍と肩を並べようなどと、片腹痛し!
 貴様らは無様に、女々しく、地を這いずり龍に頭を垂れるが似合いよ!」
「……そうでしょうねぇ。どんな世界の龍も、そう喚くわ」
 多少の火傷を帯びようと、ティオレンシアは止まらない。手を止めない。
 結界弾から切り替えるルーンは、いずれも破滅を予告するものである。
 臨界。成長。暴走。火力。崩壊。
 敵を殺すことだけを考えた、ティオレンシアらしからぬ前のめりなラインナップ。
 火炎の壁がティオレンシアの前に立ちはだかる――彼女は躊躇なく突っ切った。
「何!?」
 炎を斬り裂いて現れたのは銃口だ。そして、6連ファニング。
 叩き込まれた弾丸は体内で膨れ上がり、膨大なエネルギーへと変ずる。
「異界の竜王ブチ貫いたあたしの技術の結晶、ただの龍"程度"が耐えられるかしら?」
「貴様――」
「お話はおしまいよぉ。――爆ぜなさい」
 轟音が大気を揺らす。古龍の逆鱗が花開くように、内側から爆ぜた。
 急所を穿たれた古龍は、滂沱の血と砕けた鱗を撒き散らして悶絶する。
 龍を下すモノ……それはいつだって、ただの人間の研鑽と覚悟である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黎・嶺依
【黒幇】
仙界にあって相応しからぬ増上慢よなあ
わらわの故郷も舐められたものよ……

敵は驕り高ぶり、まさしく天に座すが如き古龍
対する我らは社会に巣食う闇
しかし臆することはない
我らが闇の爪牙は天まで達すると、わらわは信じておるのじゃから

命を下す
――かの傲慢なる龍崩れを地に引きずり降ろし、黒に染めてやれ!

混水摸魚の計
扇から放った風で敵の動きを止めてくれよう
あとは者どもが畳み掛けてくれるであろうよ


黎・霞月
【黒幇】

おー、来た来たァ
んー……鱗、爪、鬣、角、牙、目玉、血液、何でも良いンだけどさァ。古龍なンて素材の塊みてェなもんだしィ
問題は、剥ぎ取ったあとに残るかなンだよな……剥いだら直ぐに結界閉じ込めて定着させればワンチャン?

たっく、傍迷惑な
別に我は興味ねェけどさァ、そういうの気にするひとが居るからねェ、こっちには
はいはい、仰せのままにィ

おいでェ、飛
回避する隙間なンて与えてやンねェ
【結界術】で古龍の行動範囲を狭めて逃げ道を減らし、【属性攻撃、天候操作、仙術】でUCを強化
だいじょーぶ、仲間に当てるような凡ミスしねェからさァ

お、鱗取れたァ?
とりあえず結界で覆って固定、定着……素材集め捗るなァ


恩・蘭明
【黒幇】で参加
アドリブOK

さすがに龍と名乗るだけあって、なんというか……デカいですね。

黒に……インクは持っていませんよ?血で赤黒く染めろ、ということですか……?
……わかりました。ひと狩り行ってきます。

ガンガン前に行くのではなく、相手が態勢を崩していたり隙ができていたり、既にある傷を狙うように、フェイントを混ぜつつヒットアンドアウェイで攻撃して行く。
ハンマーのネイル部分を使って、傷口を抉って剥ぎ取るように攻撃する。

……成る可く素材に傷をつけたくは無いので、新鮮なうちに剥ぎ取っておきたいなと…………え、残らないんですか?えーー……、……じゃあ意味ないじゃないですか……。


尸・骸燐
【黒幇】
おー、さすが龍、でっかいでっかい、ねぇねぇ、そういえば食べれるのかな、あれって
食べれるならちょっと食べてみたいかもしれない。
老大りょーかい、落として黒く染めて上げる。あ、墨は持ってなかった。

仲間が行動範囲狭めたり行動阻害していたりしているから、
わたしは心置きなく殴ることにするよ。
破綻百出、殴って殴って殴りまくって落としてあげる。

【破綻百出】と【怪力】で繰り返し殴って威力を上げながら全力で落とすよ。


思・大衛
【黒幣】
降りてきた龍を見ながら
いつでも庇えるように
嶺衣公主の前へ半歩出る

俺は公主の部下
飼い犬の一頭に過ぎず
そして飼い犬は自ら噛み付かないものだ
「公主、命を寄越せ」
……いかん
気が昂って言葉が乱雑になっている
影法師といえど、龍を壊せる貴重な機会故
致し方ないか

「御意に」
公主の命と同時にUC『黒一色』を発動
破壊された家の柱を昆のように構える

「許しは出た
お前の血肉、精神、魂魄の一滴まで壊すとしよう」
……。
そんな目で見るな霞月
なるべく大きく、形を残して壊す……ように努力する


龍・白黎
【黒弊】
ははは、龍と戦うは初めてだ。
アレを斃せば俺も鱗の一枚生えるだろうか?
殺ればわかるか。

起きろ「睚眦」、「狻猊」。
俺達の竜の威と竜の火、何処まで通じるか、さて試してみようか。

……あと、あまり素材などは期待しないで欲しい、俺はアレを相手に手加減なんて出来る程に達者ではないから。

(今回白黎は龍への対抗心から、先駆けを譲り、相手の真正面に立ち続け「威圧」で注意を引きつつ機を伺い、相手が炎を放つタイミングで「狻猊」を放ち、技に技をぶつけ競り合いで勝とうとします。)



●闇の如くに黒く
「仙界にあって相応しからぬ増上慢、わらわの故郷も嘗められたものよ……」
 古龍の傲慢なる宣告に、黎・嶺依は憂いを帯びた表情で嘆息した。
 かつての仙人がここに在れば、斯様な振る舞いを許さなかったろうに。
 顔なじみも力を失い久しく、封神武侠界の力は大きく落ちた。
 それは嶺依とて例外ではないが……しかし。
「わらわには、わらわの意に従い手となり足となる部下どもがおる。
 我らが闇の爪牙、天に君臨せし汝の首を切り落とすと知るがよい」
「ほう……? 小賢しい羽衣人がよく吠える」
 古龍は、嶺依の宣戦布告を嘲笑った。嶺依は意に介さない。
「余裕綽々でいられるのもいまのうちよ。さあ、我らが闇の爪牙よ!」
 嶺依はばさりと扇を広げ、部下たちに命じた。
「天に座すが如き龍崩れを地に引きずり下ろし、黒に染めてやれ!」

 ……と、幇主はやる気満々、カリスマもばっちりであった。
 しかしその部下はというと……。
「黒に……ですか? あいにくインクは持っていないのですが……」
「って、そういうことではないわ蘭明! 比喩じゃ、比喩!」
「比喩……ああ、なるほど!」
 天然を発揮した恩・蘭明は、ぽんと手を叩いた。
「つまりかの龍が言い放ったように、奴の血で赤黒く染めてやれ、と。
 なるほど、さすがは老板、皮肉に対し皮肉で返すとはお見事ですね……!」
「……汝な、わざとやっておるのかわざと」
 嶺依は蘭明をジト目で睨む。
「わざと……? いえ、僕は何も他意などありませんが」
「ええい、汝はまあよい。問題はそっちじゃ、そっち!!」
 ずびしぃ! と嶺依が指差したのは、黎・霞月と尸・骸燐である。
「あン? なンだよ小姐、なンかあった?」
「なんかではないわ、なんかは! 汝らわらわが命じたのに何をやっておる!」
「何って……素材の剥ぎ取りの相談っつゥか、教授的な?」
 霞月はけろっとした顔である。何が悪いのか、とでも言いたげだ。
「そうそう、あれ食べれるのかなーとか気になってさ。ちょっとね」
「ちょっとね、ではないわ! だいたい喰うのか汝、あれを!?」
「だってでっかいし、龍って食べたことないからちょっと食べてみたいなってさぁ!」
 骸燐も、これっぽっちも悪びれた様子はなかった。嶺依は頭を抱える。
「汝らなぁ……!」
「ところで私、墨は持ってきてないんだけど」
「そのやりとりはさっきやったじゃろうが!?」
「食い意地張って聞いてなかったンだなァ」
 霞月はけらけら笑った。
「ま、食えるかどうかはさておきィ、鱗とか爪とかは残しといてくれよォ?
 鬣、角、牙、目玉、血液……ほんとはぜェんぶ利用したいんだけどねェ」
「へー、全身どこでも使えるんだね。便利~!」
「古龍なンて素材の塊みたいなもんだしなァ? 蘭明も頼むぜ?」
「はあ、ではひと狩り行くとしましょうか」
「そうそう、剥いだら結界に閉じ込めて定着させればワンチャン……」
「別の算段しておるでないわ! わらわの命令を聞け、命・令・を!」
 完全に別のノリである。裏社会の住人というより、ハンターであった。

「くだらん戯れは終いにせよ! 戯れていいのはこの我のみよ!!」
 乱痴気騒ぎにしびれをきらせた古龍が、先とは比にならぬ巨大な火炎を吐いた。
 あれはあくまで戯れ、これが本気で敵を殺すつもりだということだろう。
「――公主、前を失礼する」
 巨大な火炎の吐息に、控えていた思・大衛がずいと前に出た。
 巨体を立ち上げ大縄を振るうと、たちまち火炎は呪いの風に吹き飛ばされる。
「ぬう……!」
「……俺は公主の部下、飼い犬の一頭に過ぎぬ。お前の戯言なぞどうでもいい」
 大衛は感情を抱かせぬ瞳で、淡々と告げる。
「だが、公主はお前を討てと命ぜられた。ゆえにお前を討つ、それだけだ」
「木偶の坊が、よくもほざいたな!」
「――公主」
 大衛は古龍の剣幕に構わず、嶺依を振り返った。
「もう一度、我らに命を寄越せ。それで奴らも気が引き締まるだろう」
 それは大衛の普段の様子からすると、ずいぶんと乱雑な言葉遣いである。
 影法師――すなわち過去の残骸と言えど、龍は龍。 
 貴重な機会であることには相違ない。つまりは、大衛は昂ぶっていたのだ。
「致し方あるまい……皆のもの。あれなる龍崩れを、地に斃し滅ぼすのじゃ!」
「仰せのままにィ」
「老大、りょーかい!」
「わかりました」
 霞月、骸燐、蘭明が身構えた。
「……御意に」
 大衛は重々しく、しかし滾りを隠しもせず頷く。
 そしてもうひとり……獰猛に笑う龍・白黎が、巨躯に並ぶ。
「龍と戦うのは初めてだ。アレを倒せば、俺も鱗の一枚は生えるだろうか?」
 こきこきと首を鳴らし、瑞獣は口が裂けんばかりに笑みを深めた。
「――ま、殺ればわかるか。起きろ「睚眦」、「狻猊」!」
 両手に現れるは両刃剣と火を纏う長銛。煮え立つ闘争心は大衛にも負けぬ。
「消し飛べィ!!」
 古龍が再び火炎を放てば、今度は白黎が前に出る番である。
 どうやら龍に対抗心でもあるのか、両刃剣で火炎を斬り裂いてしまった。
「どうした、この程度か? 龍の炎とやらは」
「貴様ァ……!!」
「先駆けは譲ってやる。行け」
「そんじゃ、いっただきィ!」
 大衛の巨躯を隠れ蓑に、骸燐が高く飛翔した。
 宿星方天戟をぐるぐると頭上で回し、落下の速度を乗せた打ち下ろしを放つ!
「ぬるいわッ!!」
 しかし古龍も伊達ではない。その身を龍気で鎧、戟を跳ね返した。
 空中で軽やかに体勢を取り直す骸燐めがけ、黒雲から降り注ぐ雷撃!
「おいでェ、飛。覆ってやんなァ」
 KRAAAACK!! 雷撃を防いだのは、白額虎が展開した強力な結界であった。
 "飛"が咆哮すると、古龍のそれに対抗するように天雷が次々に雲を裂く!

「ええい……!」
 古龍は龍気によって速度を増し、そのまま空へ逃れようとした。
「おいおい、俺の相手を忘れるな。まさか恐れをなしたわけじゃないだろう」
 白黎がそこに追従し、両刃剣で斬りかかる。古龍は爪で刃を弾いた!
「それほどまでに死にたいならば、貴様の骨の髄まで焼滅してくれる!」
「やってみろ、俺はそいつを越えてやる」
 強大な火炎と、狻猊の穂先からほとばしる火が空中でぶつかりあった。
 猛烈な熱波が大気を焦がす。陽炎を斬り裂いて頭上を取る骸燐!
「もう一丁!」
「ぬうっ!?」
 先よりも重く疾い一撃! 龍気に亀裂が走り、龍の鱗がわずかに砕けた。
「丁寧に攻撃しないとダメですよ、素材に傷がついたら台無しですからね」
 などと言い含めつつ蘭開のハンマーが抉れた傷口にぐさりと突き刺さった。
「グオオオオッ!?」
 古龍は無理矢理に拘束から逃れようとする……が、しかし!
「回避する隙間なンて与えてやンねェよ?」
 すでに、戦場全域を霞月の結界が包み込み、敵の逃げ場を奪っていた。
 そして火炎が途切れたことで、燃え盛る狻猊の穂先が古龍を襲う!
「どうやら、俺の勝ちのようだな……相手をしてくれた褒美をくれてやる」
 炎纏う銛が龍を貫き、続く両刃剣がぞぶりと肉を削いだ。
 すさまじい量の血を流しながら、それでもなお古龍は体勢を取り直そうとする。
「そこを動くでない。もはや貴様に空を舞うことは許さぬでな」
「!!」
 嶺依の扇から放たれた風が、まるで糸のように古龍の全身に絡みつく。
 見えざる鎖に引きずられるようにして、古龍は地へと落ちた。
 これぞ混水摸魚の計。もはや、龍気の守り失われたり!
「……我らは黒。万色に染まらず、万物を染めるもの也」
 おお、見よ……破壊された家の柱をゆうゆうと掲げる大衛の巨躯!
「許しはすでに出ている。お前の血肉、精神、魂魄の一滴まで壊すとしよう」
「ってオイ、素材――」
 ……KRAAAAAAAAAAAAASH!!
「……」
「…………そんな目で見るな、霞月。あれも、存外しぶといようだ」
 物言いたげな霞月の視線から、ふいと逃れるように顔をそらす大衛。
 なるほどたしかに、強烈な一撃を受けてなお古龍はかろうじて健在である。
 しかし全身はひび割れ砕け、悶絶するたびに鱗や血が飛び散った。
「っとォいけねェ、結界展開して定着させとこっとォ」
「順調だね! よーし、どんどん剥ぎ取っちゃうぞー!」
「新鮮なうちに剥ぎ取りきれるといいんですが……」
 一部目的がすり替わっている構成員がいるのは、ご愛嬌である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。



●天翔ける鋼
 邪悪なるオブリビオン『古龍髄厳』による蹂躙は続く。
 無辜の人々が住まう邑を、戯れと称して焼き払おうとした怪物である。
 看過できる相手ではない。数宮・多喜は相棒と一体となって立ち上がった!
「鋼を纏った程度で、この古き龍たる我と肩を並べたつもりか? 小賢しいッ!!」
「肩を並べた? そんなつもりないさ、だってアタシは――」
 古龍の吐いた巨大な火炎を、多喜は真正面から拳で粉砕してのける。
 拳を食らった火炎は岩石めいて四散し、地上に落ちる前に雲散霧消した。
「何ッ!?」
「――アンタよりも、上だからねえッ!」
 勢いそのままにアーマーは加速する。速度に応じエンジンの回転数は上昇。
 逃れようとする古龍よりも、天を衝く多喜の上昇速度のほうが疾い!
「アタシはねえ、どんな相手だろうがそれなりに理解をしようとするタイプさ!
 オブリビオンってのは過去の残骸だ、中には善人だったヤツもいるッ!」
「ぬうう……!!」
 ロケットじみた鋼鉄の拳と、龍の薙ぎ払った尾が激突した。
「けど、アンタはその必要もない……ただ人を苦しませて悦に浸る怪物さ。
 そういう奴を、アタシは絶対許さない。何がなんでも止めてやろうじゃないか!」
「人間如きが、何を――」
「そうやって人間を見下す、だからアンタたち龍は負けてきたんだろう!?」
 多喜は猛噴射で強引に体勢を取り直し、古龍に一気に接近する。
 至近距離でほとばしる火炎! 鋼鉄の鎧が赤熱する……だが、多喜は!
「この程度の炎で、アタシを阻めると思うんじゃないよ……!」
 炎がもたらす熱をもいとわず、古龍の角を掴み……SMASH!!
「ぐおおおっ!?」
「アンタに思い知らせてやるよ。見下した人間の力ってやつをねぇ!」
 拳を食らった古龍は大地に叩きつけられ、天地が逆転した。
 天翔ける鋼が龍を見下ろし、そして宣戦布告する番なのだ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ヒルデガルト・アオスライセン
回りくどい事をしたのか何故か、思い至った
心折れ神頼みに逃げたあの情けない大人達に
この眩き彼等のように、這い上がって欲しかったんだ私は

我儘を訊いて下さってありがとう、貴方方こそ男の中の男
でも悪龍の相手は荷が勝つ
そこで皆の衆の武器を一本ずつこの部外者にお貸し下さいませんか

儚き決意を抱いて行きます
フラッシュエフェクトでお借りした武器の耐久を増強
郷への炎雷を遮る盾に、1本1本を使い捨ての投擲道具に
不信心者である私に天罰の雷を落とし
大剣に乗って雷、上昇気流、龍を駆け上がって雲の上へ

受けるがいい
誰にも期待されず見捨てられ、それでも尚誰かの為に立ち上がった
弱者の剣を

UCで罪人の斧を硬質化、ふみつけ+重量攻撃



●天罰覿面
 思えばなぜ、あんな回りくどいことをしたのだろうか。
「死ね、猟兵!!」
 降り注ぐ龍の火炎を回避しながら、ヒルデガルト・アオスライセンは思う。
 それはきっと、心折れ神頼みに逃げたあの情けない大人たちが浮かんだからだ。
 己とともに立ち上がってくれた、この眩き彼らのように。
 ただ祈ることしか出来なくなった大人たちも、這い上がってほしかった。
 ……そんな、子供じみたねがいが、この心にくすぶっているからだったのだ。
「我ながら、自分勝手なものね」
 火炎がヒルデガルトを捉えた。ヒルデガルトは燃えながら落ちていく。
「あ、あんた! 大丈夫か!?」
「――……問題、ないわ」
 駆け寄ろうとした男たちを制し、ヒルデガルトは立ち上がった。
 傷は光が癒やす。それに、痛みなどに足を止めてはいられない。
「わがままを訊いてくださってありがとう――その上で、もう一つお願いがあるわ」
 男たちを見据え、ヒルデガルトは言った。
「皆の衆の武器を、一本ずつこの部外者にお貸しくださいませんか」
「ぶ、武器を? でも、こいつがなきゃ戦えないぜ!」
「……あの悪龍の相手は、あなたたちでは荷が勝つ。だから、それでいいの」
 ヒルデガルトの言葉に、あえて食って掛かるものはいなかった。
 オブリビオンと猟兵の戦いは、常人が立ち入ることのできるレベルではない。
 彼らは頷き……剣を、槍を、あるいはそれに至らぬ武器未満の道具を渡した。
「ありがとう」
 ほとんどが、武器と呼ぶには粗雑すぎるものばかりだった。
 だがヒルデガルトが握りしめれば、それは聖なる光に編まれて刃と化す。
「そんな玩具で何ができる? 小娘」
「あなたを、討つことが」
 不遜な言葉を罰するように、稲妻が落ちた。

 ……ただしそれは、古龍が落としたものではない。
「な――!?」
 少女を戒める天の罰。ヒルデガルトはそれさえも利用した。
 借り受けた武器を投げつけ、降り注ぐ火炎の飛礫を相殺する盾とする。
 雷を伝い駆け上がり、空を蹴り、上へ。再び龍を目指す――否。
「我を、飛び越えただと……!!」
 古龍を足蹴にさらに上へ。イカロスの如く!
「――受けるがいい」
 はるか頭上を取ったヒルデガルトは、罪人の渡した斧を手に睥睨した。
「誰からも期待されず見捨てられ、それでもなお誰かのために立ち上がった弱者の剣。災禍に苦しみなおも戦おうとする者たちの刃を」
 光纏う斧を投げつけ、それを追うように空中を蹴る。
 あまりの加速に全身が空気摩擦で赤熱し、髪がごうごうと風にたなびく。
 捨て身の一撃。すべてを阻むがゆえにすべてを打ち砕く"小石の加護"。
 天より来る滅びと課した爪先が、いま、斧を通じて龍へと届いた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
嵐さん(f03812)と

「戯れで火を放ち、殺戮を行おうとしますか。
その行いが貴方の命取りです!」
と、命をあまりにも軽んじる古龍に怒りを覚えます。

相手の攻撃は、オーラ防御を纏った一対の天耀鏡で、一つを自分に、もう一つを嵐さんに配して盾受け。

古龍のUCは「これでは攻撃しても弾かれますね。ならば。」と初発之回帰で相殺消去。
そして「行きます!援護お願いしますね♪」と嵐さんを信じて、嵐さんが召喚した錫の兵隊さんと一緒に突進。

煌月に風の属性攻撃と神罰を籠め、衝撃波を伴うなぎ払いで古龍の防御を貫通攻撃する。
相手が空に逃げようとしたら、空中浮遊・自身への念動力・空中戦で自在に空を舞って戦います。
逃がしません!


鏡島・嵐
詩乃(f17458)と

龍の姿の敵か……正直、あの姿の敵は皆強ぇ奴ばっかだから、怖くて堪んねえや。
遊びで街に火を放ってたわけだし、弱いわけが無ぇけどさ。
……でも、ここで引き下がるわけにはいかねえよな。勇気を出して、戦わねえと。

相手のユーベルコードは詩乃が対処してくれるみてえなので、《二十五番目の錫の兵隊》を喚び出して応戦させる。
おれ自身は後ろから詩乃や《錫の兵隊》の攻撃を〈援護射撃〉で支援したり、逆に向こうの攻撃を〈スナイパー〉並みの精度の〈目潰し〉や〈マヒ攻撃〉を狙った射撃で妨害したり。
こっちに攻撃の矛先が向くようなら、〈第六感〉を活かした〈見切り〉で回避するか〈オーラ防御〉で耐える。



●これにて一件落着
「オオオオオ……!!」
 全身におびただしい傷を負い、滂沱の血を流し、なおも古龍は吠える。
 意地だ。龍としての意地、オブリビオンとしての意地が奴を突き動かしていた。
 なんとしてもこの邑を……否、猟兵を灼き尽くすという意地である!
「なんて執念だ……あそこまで痛めつけられて、まだ諦めないなんてな」
 鏡島・嵐は血まみれの古龍を睨み、ぐっと拳を握りしめた。
「嵐さん……?」
「……正直さ、怖いんだよ。詩乃」
 大町・詩乃の怪訝な表情に、嵐は自嘲の笑みを浮かべて言った。
「龍の姿の敵は、どんな世界でも、どんな奴でも、みんな強ぇ敵ばかりだった。
 遊びで街に火を放ってきたんだから、弱いわけがねぇんだけど、さ……」
「……ええ。ですが、戯れで火を放ち殺戮を行おうとするなど言語道断。
 その行いで命取りであることを、私たちが思い知らさねば、元の木阿弥です」
「わかってる」
 嵐は頷き、握りしめていた拳を開いて、掌を見つめた。
 そして意を決したように顔を上げ、再び敵を睨みつける。
「ここで引き下がるわけにはいかねえ。やってやろうぜ、詩乃!」
「はい! 今度こそ、とどめを刺しましょう!」
 ふたりは肩を並べ、勇気を奮い立たせて古龍に挑む……!

 血まみれになった古龍の体を、分厚いオーラの層が鎧っていく。
 それは質量化されるほどの、強大な龍気……つまりは、古龍の生命力だ。
「許しがたし……こうも我を痛めつけ、我が戯れを、我が行いを邪魔しようとする。
 もはやただ殺すだけでは終わらぬ……その魂魄をも焼き尽くしてくれるわ……!」
「それはこちらの台詞です、古龍よ。あなたの行いはここで止めます!」
「ほざけ、小娘ェッ!!」
 古龍は恐るべきスピードで飛翔しながら、炎と雷をふたりに降らせた。
 詩乃は『天耀鏡』を掲げ、雷撃を鏡面で弾くことで防御する。
 問題は火炎だ。詩乃は薙刀『煌月』を振り回し、分厚い風を起こした!
「これ以上、その炎には何も灼かせはしません。邑も、私たちも」
「ええい……鬱陶しい小娘め」
 詩乃は返す刀で風の刃を生み出すが、古龍の龍気は風を無効化してしまう。
「これでは攻撃しても弾かれますね……ならば!」
 詩乃は神力で時間遡行現象を起こし、古龍の纏う龍気を祓おうとした。
 ふたつのユーベルコードの超常的な力がぶつかりあい、空間に亀裂が走ったかのような甲高い音が鳴り響く。
「ぬううううう……!! そうは、させるかァ!!」
 古龍は龍気を迸らせ対抗しながら、さらなる火炎で詩乃を焼き払おうとした。
「錫の兵隊(フェモテューヴェ)、頼んだ!!」
 嵐が召喚した義足の兵士は銃剣を構え、稲妻の弾丸で古龍を狙い撃つ。
 時間遡行現象によって龍気の守りを失った古龍は、弾丸を防御することが出来ない。
「ぐおっ!?」
「よし、聞いてるぞ……おれも援護する、詩乃!」
「はい、行きます! お願いしますね♪」
 詩乃は嵐に振り返りウィンクすると、錫の兵隊とともに敵に突撃した。
 煌月から風の刃を生み出し、敵が体勢を取り戻す前に龍気の守りを完全に吹き払う!
「わ、我が力が……!?」
「逃しません! ここで、終わらせます……!」
 自らが起こした風を竜巻のように集め、詩乃は古龍の頭上を取った。
 古龍は咄嗟に詩乃を狙い撃とうとするが、その眼を嵐の弾丸が穿ち潰す!
「ぐ……!!」
「今だ、詩乃!」
「はいっ!」
 錫の兵隊が銃剣で古龍の体を縫い止め、回避も防御も妨害する。
 落下速度を乗せた詩乃の薙刀が、狙い過たず……古龍の脳天を、串刺しにした!
「わ、我が! このようなところで、滅ぶというのか……!?」
「あなたはとうにこの世界から去った存在。ここに在るべきではないのです。
 骸の海へと還りなさい、オブリビオン……!」
 ぶつかりあった龍気と風のエネルギーが荒れ狂い、詩乃を吹き飛ばした。
「詩乃、大丈夫か!?」
「な、なんとか……!」
 嵐に抱きとめられた詩乃。ふたりは、悶え苦しむ古龍を見た。
「オ、オ、オオオオ――!!」
 古龍は全身から膨大なエネルギーを噴出させ、やがてひび割れ砕け散る。
 強大な力を持った龍は、猟兵たちの……そしてふたりの活躍により、完全に滅び去ったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『当たり前の日常を』

POW   :    美味しそうだ、見てみよう。

SPD   :    目を引く意匠だ、見てみよう。

WIZ   :    なぜか惹きつけられる、見てみよう。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●嵐去って
 戦いが終わり、邑には平和な時間が戻った。
 猟兵たちの尽力により、どうやら人的被害が出ることはなかったようだ。
 もちろん、建造物をはじめとした物的被害はたしかにある。
 しかしそれも、猟兵が介入していなかった場合に比べればはるかにマシである。
 猟兵たちはその力で、考えうる最良の結末を掴み取ったと言っていい。

 さすがは仙界の人々というべきか、復興は驚くべき速度で進行した。
 簡単な建物は、仙人たちの奇妙奇天烈な仙術で「生えて」くるのである。
 とはいえ、無から有を生じさせられるのは、ユーベルコードだけの話。
 あくまで残された部材から、細々とした作業を飛び越しているだけに過ぎない。
 物質創造や建造物を作り出すようなユーベルコードで手を貸せば、
 彼らの作業は大きく短縮され、感謝されることは確実だろう。

 邑の広場では、万事解決したことを祝してささやかな宴が開かれていた。
 近くの集落から人々が集まり、炊き出しも兼ねてさながら祭りの様相である。
 餅やまんじゅうといった点心(つまり軽食だ)の屋台が軒を連ね、
 人々は琵琶を奏でたり、酒を酌み交わしたりしてお互いの無事を喜んでいた。
 そして人が集まれば、そこに商機を見出す輩が出てくるのも当然である。
 屋台の中には、得体のしれない品々を扱う商人もこっそり紛れていた。
 もしかしたら、役に立つ掘り出し物や、いい土産の品が手に入るかもしれない。
 邑の住民も店を出しているので、復興費用代わりに品を買ってみてもいい。

 邑から少し離れれば、かろうじて延焼を逃れた桃の木々が咲き誇る丘がある。
 騒がしいのが苦手であれば、ここで静かに時間を過ごすのもいいだろう。
 街に流れ込む河を少し遡ると、大きな滝といった景勝地もあるようだ。

 戦いのあとの平穏は、勝利を掴んだ者たちにとって当然の権利である。
 どのような形であれ、ハメを外しすぎないかぎりは彼らも歓迎するだろう。
 ひとりで過ごすか、はたまた仲間や大事な相手と時間をともにするか。
 それもまた、勝者の特権というものだ――。

 なお、さりげなーくこの機会を楽しみにしていたグリモア猟兵も混ざっている。
 声をかけたりしない限り、背景で点心を食いまくっているだろうが。

●プレイング受付期間
 30(金)11:59前後まで。
霑国・永一
マリア(f03102)と

手伝いは他に任せて俺たちは屋台群に行こうじゃあないか、マリア
(きょろきょろ…うず)
なんだいマリア。なぁに、人が多いからつい本能的にねぇ。そうは言ってもマリア、俺は盗人。手が自由な内はうっかりあるかもだねぇ?
(手繋ぎされる)ははは、これは仕方ない。諦めるとしよう!


この商人、妙なもの売ってるなぁと見てみたけど…いいね。狂気を感じるよ。よぅし、1つ戴くとしよう。マリアも何かあったら言ってくれると助かるよ。今日は俺の奢りさぁ!
おや、眼鏡のマリアも可愛らしいねぇ

こういうのの醍醐味だ、食べ歩きもしよう
あそこの桃まん買うかぁ。店員さん、俺と彼女の分で2つ頼むよ
中々に美味しいねぇマリア


マリアドール・シュシュ
永一◆f01542

ええ、マリアも屋台が気になっていて

周囲窺う永一を観察

今、何か盗ろうと考えていたでしょう(むぅ
名探偵マリアにはお見通しなのよっ(鼻先に指突き立て
今日の永一は王子様だと思っていたのに
そうだわ!こうすればいいのよ(手ぎゅ

盗み阻止出来て嬉しい
掘り出し物やご当地品など見る

面白そうな物がいっぱいね!これなんてマリア見た事ないわ
それは怪しいのよ…
まぁ!永一がプレゼントしてくれるなんてっ(目輝く

伊達眼鏡希望
礼を言う

どうかしら?
ふふっ永一とお揃いなの
褒めてくれて嬉しいわ(照

桃まんを受け取り食す
美味な味に頬が緩む

永一と食べているからもっと美味しく感じるのよ
他の屋台にも行きましょう!

この世界を満喫



●泥棒とお姫様の休日
 あんなことがあったせいか、広場の喧騒は猟兵たちの思った以上だった。
 近隣の集落からも人が詰めかけたことで、あたりはごったがえしている。
「いやあ、こりゃ予想以上に盛況だねぇ」
 などと呑気なことを云う霑国・永一だが、その眼差しは油断ならない。
 見る者が見れば、「獲物」を探す盗人の目つきだとすぐにわかるだろう。
「こーら、永一!」
 そんな永一の鼻先に、マリアドール・シュシュは指を突き出した。
「今、何か盗ろうと考えていたでしょう? ダメよ、そういうのは」
「おやおや、なんだいマリア。俺はまだ何もしちゃいないよ?」
「そんなことを言ってお、名探偵マリアにはお見通しなのだわっ」
 マリアドールは頬を膨らませて、突き出した人差し指で永一の鼻をつつく。
「今日の永一は王子様だと思っていたのに、まったくもう」
「いやあ、人が多いからついねぇ。本能的な行動、ってやつだよ。勘弁してくれ」
「…………」
「そんな顔をされてもね。俺は盗人だよ? 手が自由なうちはうっかり――」
 ぺらぺらまくしたてる永一の手に、マリアドールの掌が重なった。
「おっと?」
「ふふふ、そうだわ! こうすればいいのよ。ね?」
 マリアドールはしたり顔で微笑み、永一の顔を覗き込む。
「……ははは、これは仕方ない。諦めるとしよう!」
 永一はわざとらしくおどけて、マリアドールの手を握り返した。
 マリアドールの得意げな笑みは、それだけでぽっと赤面に変わってしまう。
「ふ、ふんっ。これは盗みをさせないためなんだから、仕方ないのだわ!」
「ああ、そうだねぇ。そのまま俺をつなぎとめておいてくれよ、名探偵どの?」
 マリアドールは永一の挑発的な目を見ていられず、顔をそむけてしまう。
 盗みは出来ずとも、お姫様の困惑だけで盗人は十分楽しめるらしかった。

 そんなふたりは、まず屋台や市場を見て回ることにした。
 少し通りを歩けば、食欲をそそる点心のいい匂いがふたりの鼻孔をくすぐる。
「とっても美味しそうな香りがするのだわ……」
「花より団子、だねぇ? 俺としてはこっちも気になるところだ」
 と言って永一が指差したのは、素顔の定かならぬ商人が広げた売り場だ。
 並んでいるのは主に陶器だが、それ以外にも装身具などが混ざっている。
 商人の風貌は、誰がどう見ても陶芸家などには見えない。
「いらっしゃい。どうぞ見ていってくれ、掘り出し物だよ」
「掘り出し物ねぇ……それは比喩かい? それとも言葉通りかなぁ?」
 永一の言葉に、商人はニッとあくどい笑みを浮かべるのみ。
「??? どういう意味なのだわ?」
「こりゃ盗掘品……おっと、なんでもないよ。まあ"掘り出し物"ってことさぁ」
「まあ! これ、あなたが作った品物ではないのだわ?」
「せっかくごまかしたのに、名探偵どのは直截だねぇ」
 マリアドールのストレートな質問に、永一は肩をすくめた。
「さて、どうだろうね。だが素人が作る粗雑な茶器なんかは要らないだろう?
 こいつは正真正銘、仙界に眠っていたお宝の数々だよ。どれも一級品さ」
「……まあ、そういうことなら……」
 マリアドールはいろいろな言葉が頭によぎったがとりあえず隅に置くことにした。
 よくよく見ると装身具の数々は、職人芸を凝らした業物ばかりだったからだ。
 なるほどこれほどの精緻な細工は、そこらの市場ではお目にかかれまい。
「こんな形のアクセサリもあるのね。マリア、見たことないわ」
「やっぱりおしゃれなアイテムに目がいくようだねぇ。俺はこれが気になるよ」
 一見するとそれは、手首を飾る腕輪のように見える……というかそうなのだが、
 実は腕輪の中に極薄の軟鉄が仕込まれており、短い刃となって展開する。
 つまり、暗器なのだ。しかもそこに毒が仕込まれていることを永一は看破した。
「狂気を感じるねぇ、こいつを戴こうか」
「旦那、お目が高いね! そちらのお嬢さんは?」
「……マリア、何かあったら言ってくれ。今日は俺の奢りにしようじゃないか」
「え! 本当!?」
 マリアドールは、永一の言葉にきらきら目を輝かせた。
「ああ、悪事を見事に見抜かれてしまったからねぇ。盗人からのボーナスさぁ」
「まぁ! 永一がプレゼントしてくれるなんてっ! えーと、じゃあ……」
 マリアドールが選んだのは、"つる"に金細工が施された美しい伊達眼鏡だ。
「……どうかしら?」
「おや、可愛らしいねぇ。それがご所望かい?」
「え、ええ。永一とおそろいになったらと思ったのだけれど」
 可愛らしい、と云われると、マリアドールはまた照れて頬を赤らめてしまう。
 そんな様子にニヤニヤと笑いつつ、永一は気前よく金を支払った。
「お釣りはいらないよ、取っておいてくれ」
「毎度! 羽振りがよくて羨ましいですな」
「ははは。まあねぇ」
 言うまでもなく、それは盗んだ金なのだが……照れたマリアドールは気付いていない。

 市場をひやかしたふたりは、点心で小腹を満たすことにした。
「はいよ、マリア。桃まんだよ」
「ありがとう、永一。いい匂いがするのだわ……!」
 できたての暖かいまんじゅうを受け取ったマリアドールは、笑顔を輝かせた。
 そしてあつあつのまんじゅうを、火傷しないように小さく頬張る。
「……! 美味しい、甘くてとろけそうに柔らかいのだわ!」
「なかなかだねぇ。マリアが気に入ってくれて嬉しいよ」
 永一は片手でまんじゅうを食べつつ、ニヒルな笑みを浮かべた。
「こういうのは祭りの醍醐味だ。カロリーとかは気にせず楽しむのが流儀だからねぇ」
「うんうん、そうよね。それに……」
「それに?」
「……永一と食べているから、もっと美味しく感じるのよ」
 マリアドールの控えめな言葉に、永一は目を細める。
「嬉しい言葉だねぇ。プレゼントをしたお礼かな?」
「ち、違うのよ! 思ったことを素直に言っただけで……もう、永一ったら!」
「ははは。ごめんごめん。お詫びにあそこの屋台でも奢ろうか?」
「そういうつもりじゃないのだけれど……でも、それならごちそうになるのだわ!」
 ふたりは手をつなぎながら、仲睦まじく屋台を回るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

安室・玲華
・心情
さてさて、一件落着もしたところで宴とはいいものね!
飲み物片手に宴を満喫しましょうか!

・行動
宴に参加しつつ、屋台も見て回ろうかしら!
何か、海賊としての魂(マブイ)をふるわせるお宝があったりするといいのだけれどね!

・その他
アドリブ等は大歓迎よ!



●お宝発見!
「っはぁ~……さすがは仙人たちの世界、食べ物も飲み物も瑞々しいわねえ」
 安室・玲華は濃厚な桃のジュースを堪能し、ご機嫌な様子だ。
 世界そのものが優れた龍脈によって賦活されているためか、そこらへんの屋台で出されている飲み物ひとつ取っても、目の醒めるような味わいを与えてくれる。
「なんだかんだ喉も渇いてたし、消火だなんだで暑かったものねえ……冷たい飲み物はありがたいわ」
 とは言うが、あちこちの屋台から立ち上る湯気を見ているとついつい惹かれてしまう。
「……あったかいのも食べてみたくなってきたわね。ごくり……」
 あれだけ激しい運動をしたあとである。腹が減るのも当然だろう。
 甘味もいいが、ここは腹に溜まるタイプの点心をつまみたいところだ。
「そこのお嬢さん! うちの包子はいかがだい、深山幽谷の草を食んで育った美味しい豚を使ってるよ!」
 などと声をかけられると、玲華はすすすっと屋台に吸い寄せられてしまった。
「へえ、これは食べ歩くのに持ってこいね! いただこうかしら!」
「毎度! じゃあさっそくひとつ袋に入れて……」
「いえ」
「へ?」
 包子をトングで掴み取った屋台の店主は、玲華の真剣な表情にきょとんとした。
「ここは……4つよ、4つ欲しいわ!」
「いやいやお嬢さん、こーんなでけえ包子なんですよ? それを4つって!」
「ふたつとふたつで4つよ! 4つがいいの!」
「ふたつで十分ですよ、わかってくださいよ!」
 食い意地を張るあまり、謎の問答が交わされる始末であった。

 結局ふたつで妥協した玲華、そのぶん様々な屋台で腹ごしらえを済ませる。
 ようやく腹八分でこなれてきたところ、彼女が次に見たのは蚤の市だ。
「どうだい嬢ちゃん、ウチの品は掘り出し物だぜ……ヒヒ」
 と、明らかに風采が上がらない顔立ちをした商人崩れがニタニタ笑う。
 普通の客なら物怖じするところだが、玲華はあまり気にしないタチであった。
「掘り出し物、ねえ。海賊であるあたしのお眼鏡に叶うかしら?」
「これなんかどうだね……とある仙人が修行のために造ったという腕輪さね」
 商人が見せたのは、色のくすんだ宝石がはめ込まれた古い腕輪だ。
 一見すると、とても仙人の肝いりで作られたアイテムには見えない。
「……ただの骨董品じゃないの? これ」
「バカ言っちゃいけない。こいつは資格者が装着したときだけ力を取り戻すのさ」
「し、資格者……!」
「緊箍児って知ってるかね? かの孫行者が頭に嵌めてたとされる仏具さ。
 こいつはそれと同じで、生半可な輩が着けると逆に腕が取れちまうらしい。
 だが資格ある者ならば、仙人が籠めた力を引き出すことが出来るってわけだ」
 いかにもそれらしい売り文句だが、玲華の魂にはぐっと来たようだ。
「持ち主を選ぶ宝ね、いいじゃない! 魂(マブイ)が震えたわ!」
「二個一対で……まあ値段はこんなとこかねえ」
「!? ……え、これ高くない?」
 提示された金額は、ちょっとびっくりするような値段である。
 商人は驚く玲華の顔を見てニヤリと笑うと、筆でささっと打消し線を引いた。
「が、今ならお嬢ちゃんにはこの大特価でご奉仕しちゃうぜ!」
「……これでもまだ高い気がするんだけど、でもかなり値下がりはしてるわね!」
 玲華、大いに悩む。なお、商人は悪い笑みを浮かべていた。
 いわゆるドア・イン・ザ・フェイス・テクニックだ。なんたる商売上手!
「これかなり高……いやでも、お宝……うう~ん……!!」
 知恵熱が出そうな勢いで悩み続ける玲華。
 結局悩みに悩んだ挙げ句、今回の報酬を注ぐ形で購入を決めたようだ。
 はたして宝が本物だったのか、偽物を掴まされてしまったのかは、玲華のみぞ知る、といったところである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
アルトリウス君(f01410)と

世界が違えば発想が違う、即ち新たな発見となるわけ
色々教わったり見て回ったりするの、好きだなぁ
仙術とかも原理を調べたい所だね

私はこの世界初めてなんだよね、とりあえず美味しそう、と感じたものには片っ端からチャレンジしていこっか!

アルトリウス君はさ、最近どうなの
あれが好きとか、これをもっと知りたい!とか、そういうのには出会った?

何をするにも、楽しい、が多い方がいいじゃない?
なので今日の食べ歩きの〆はアルトリウス君のおすすめにしよう!
勿論、選んだ理由も付けてもらうからね!

『姉を主張したがるというか……世話焼きの血でも疼いてるのかしらね』
シェル姉が何かぼやいてる


アルトリウス・セレスタイト
セフィリカ(f00633)と共に

立ち並ぶ屋台を見て回る
仙界の品は見慣れぬものも多そうだ
技術者の眼では面白いものがあるかもしれん

何か買って食べながらでも
こういう時の選択は何が良いのだろうか、と乏しい経験で考え
セフィリカや店主のお勧めなどで決める

セフィリカはゴーレム作りも得意だが
新しい世界で出会った技術で改良案が出たりすることもあるのだろうか
宝貝にはロボットのようなものがあるとか噂に聞いたが

君のバイタリティの出処などは興味があるな
さっきの姿を見たので、シェルファの昔の姿とか、なぜ剣になったかなども

お勧め?
ならばあの串焼きなど
どこでも見る料理なら、他所のものと比較するのにちょうど良いだろう



●他愛もない時間
「ねえ、アルトリウス君はこの世界で冒険したことあるんでしょ?」
 戦い終えて始まった祭り騒ぎの中、セフィリカ・ランブレイは言った。
「そうだな」
 アルトリウス・セレスタイトは蚤の市を一瞥しつつ頷く。
「それがどうかしたか」
「ほら、私はこれが初めてだから、この世界来るの」
「そうか」
「……いやいや! そこはこう、「ならおすすめの食べ物を教えてやろう」とかさ! 言うところじゃない!?」
 どうやらそういう答えを期待していたらしいセフィリカ。
 ズビシッとツッコミを入れられると、アルトリウスは無表情のまま首を傾げる。
「……すまんが、俺は経験が乏しい。この世界に限った話ではないが」
「はぁ~……ま、そうだよね。ちょっとはいけるかと思ったんだけどなあ。
 じゃあ仕方ない、まずは私が美味しそうと思ったものを片っ端からいこうよ」
「君がそれでいいなら、構わない」
「そうじゃなくて~、そういう時は「面白そうだね!」とか「楽しそうだね!」とかさあ~……」
「面白そうだな」
「いまさら言っても遅いよっ!」
 などと漫才じみたやりとりをしつつ、アルトリウスをひきずっていく。

 エルフであるセフィリカには、古代中国の文化は馴染みが薄い。
 人々が当たり前に食している点心も、どちらかというより食欲より興味を誘った。
「へえ、デザートだけじゃなくてけっこうお腹に溜まりそうなものもあるのね。
 仙界っていうから食文化は乏しいと思ってたけど、そうでもないみたい」
「そうだな。どれも機能的で、食べ歩くのに向いている」
「機能的って、屋台巡りする時に使う台詞じゃないよ? それ」
 苦笑しつつ饅頭を一口。中にはぎっしりと蓮蓉、つまりペーストになった蓮の実がぎっしりと詰まっている品だ。
「甘くて美味しい! さすがに食べすぎると大変なことになりそうだけど……」
「胃の容量を越えた食事は褒められたものではないだろう」
「だから、そーゆー意味じゃないっての! はあ、アルトリウス君ったら……」
 アルトリウスも同じものを食べている。セフィリカの勧めだ。
 が、やはりこの男のこと、例にも漏れずたいして表情は変わっていない。
「……あのさ、アルトリウス君は最近どうなの?」
 挙げ句、会話を切り出してくれないものだからこんなことをセフィリカが言う始末。まるで話題に困った、日曜の朝のお父さんのようである。
「どう、とは」
「あれが好きとか、これをもっと知りたい! とか、そういうのには出会った?」
「……難しい質問だな」
 アルトリウスはかじった饅頭を見つめ、どう答えるものか考えた。
「あ~、その顔でだいたいわかったわ。どうせ、「どう答えれば私を心配させずに済むか」とか考えてるんでしょ?」
「…………」
「気が回るんだか回らないんだか、ほんとによくわからないんだから。もう」
「すまない」
「いいよ。慣れてるし」
 アルトリウスはまったくの無感情、というわけではない。
 喜怒哀楽には乏しいが、セフィリカにこんなことを言わせて申し訳なく思う程度の情動はある男だ。
「……セフィリカは」
「んふぇ? 何(はに)?」
 呑気に饅頭をかじっていたセフィリカは、急にアルトリウスが口を開いたものだから目を丸くした。
「ゴーレム作りが得意だろう。やはり何か新しいアイデアは湧いたのか?
 宝貝には、ロボットのようなものもあるという。参考になるのではないか」
「ん~……ま、そうだね。色々教わったり見て回ったりするのは好きだよ。
 今も色々目に入ってきて、興味を惹かれてるし。仙術も気になる技術だし」
「ならば――」
「でもさ」
 最後の一口を放り込み、ごくんと飲み込んだセフィリカは、にこりと笑った。
「どうせ誰かといるなら、「楽しい」が多いほうがいいじゃない?
 私にとっても、アルトリウス君にとっても。だから、研究は二の次」
「……そうか」
「というわけで!」
 セフィリカはアルトリウスの前に出ると、ぴっと彼の鼻に指を突きつけた。
「次に食べるのは、アルトリウス君のおすすめにしようと思うの!」
「俺の?」
「そ。もちろん、選んだ理由もつけてもらうからね?」
「それならばあの串焼きなどはどうだ」
「じっくり見て決めてって早っ!?」
 予想外の即答に、セフィリカ二度びっくり。
「理由は、どこでも見る料理なら他所との比較にちょうどいいからだ」
「しかもまた四角四面な理由付けだし~……あーもう、わかったわかった!」
 セフィリカはアルトリウスの手を取ると、ずんずん歩き始めた。
「どうした。戦闘のダメージは少ない、そこまで肩を貸さなくても」
「いーいーかーら! もっとマシな理由を見つけられるまで食べ歩き継続!」
「特におかしな点はなかったと思うが……」
「そういうとこ! ほら、行くよ!」
「…………」
 アルトリウスは困ったように首を傾げる。
「……わかった。なら食べながらでもいいから、君たちのことを教えてくれ」
「私"たち"?」
「ああ。シェルファのこと……なぜそんな姿になったのか、だとかを。
 俺は、君のそのバイタリティの出処が知りたい。きっとそれは、君だけでなく彼女のことも知れば、わかるのだろう」
「……どうかなあ? ね、どう思う? シェル姉」
『ここでこっちに降らないでもらえるかしら……』
 どこか頓珍漢なふたりに、呆れたような声を漏らすシェルファ。
 どうやら、市場めぐりはまだまだ続くらしい。
 それはつまり、アルトリウスもアルトリウスなりに「楽しい」を探そうとしている。
 セフィリカはそう受け取って、この時間を楽しむことに決めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ大歓迎・単独希望

あーなるほど、課程すっ飛ばして結果を表出させてるのねぇ。
理屈はよくわからないけど、便利ねぇ。
…まあ、絵面はだいぶ不思議だけど。

別ににぎやかなのが嫌いなワケじゃないけれど…今はちょっと、そういう気分じゃないわねぇ。
屋台でお酒とおつまみと点心買いこんで丘のほうでお花見しましょうか。

…なんとか、なったわねぇ。
当然あたし一人での結果じゃないし、色々燃えて壊れはしたけれど――それでも。
それでも、なんとかできたのよね。
はぁ…割り切ったつもりでは、いたんだけど。…我ながら感傷よね、ホント。



●感傷、あるいは背負い続ける重荷の話
 春も終わりつつある今日このごろ、仙界を吹き抜ける風は暖かくも爽やかだ。
「いーわねぇ……こういう時間も」
 喧騒から離れた丘の上、ティオレンシア・シーディアはひとりごちる。
 風雅を愛でるほど風流人というわけでもないが、風光明媚は心を洗うもの。
 あんな戦いがあったともなれば、いつも以上に酒の味が喉を癒やしてくれる。
 残念なことがあるとすれば、強すぎるあまりに酩酊に耽溺出来ないことか。
「……賑やかねぇ」
 遠く離れたこの丘にも、楽しそうに騒ぐ人々の声は届く。
 射手として優れた目は、少し凝らせば彼らの表情だって見えるだろう。
 だが、今日はそうしない。ティオレンシアは「そういう気分」でないからだ。

 ……別に、人混みが煩わしくなったわけではない。
 死傷者もなく、取り返しのつかない被害が出たわけでもなく。
 原因は取り除かれ、多くの人々が笑顔になった。それはいいことだ。
 ティオレンシアとて人間だ。ハッピーエンドで終わるに越したことはないのだ。
 それは、喜ばしいこと。……ただやはり、龍を相手にしたあととなっては。
「誰に死なず、邑も無事で、この調子ならすぐ復興も終わるでしょうし。
 色々あったけど、まあ終わりよければすべてよし、でいいのよねぇ」
 老酒を煽る。彼女にとっては水に等しい。それが少し寂しくあった。
 酔える身体なら、こんな他愛もないことに心を乱さず思う存分沈めたろうに。
 きっとあの日の景色を、苦悶もなくゆったり夢に見られたかもしれない。
「――……なんとか、なったわねぇ」
 ティオレンシアはひとりごちた。
 これは、ひとりの結果ではない。彼女ひとりではなしえなかった勝利だ。
 古龍は滅ぼせたかもしれない。しかし、万々歳の結果とはいかなかっただろう。
 火の手が回り多くが死に、邑もそっくりそのまま蘇りはしなかった。
 取り返しがつくとはいえ、壊れたもの、失われたものは多い。……だが。
「それでも、なんとかできたのよね。あたしが……あたしたちが」
 もう一度、酒を煽る。空はうんざりするほど晴れていた。
「割り切ったつもりでは、いたんだけど、ね」
 その言葉は、誰に対してかけるものでもない。漏れ出した思考だ。
 過去の残骸は滅びる。滅びれば消える――だが、過去は消えない。
 本来、過去とはそうあるものなのだ。
 読んで字のごとく、過ぎて去ったもの。
 取り返しのつかないもの。
 心から消えてくれないもの――それは救いでもあり、呪いでもある。
「我ながら感傷よね、ホント……」
 思い出すたび、思い出されるたびに、見えない傷が疼く。
 それは辛い。けれども、少しだけ……ほんの少しだけ、喜ばしくもあった。
 感傷があるからこそ、こうして小さな達成感に浸れるのだから。
「あと何回、こうやって繰り返していくのかしらね、アタシ。死ぬまでかしら」
 抱えた瓶の中で、酒がとぷんと音を立てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

建物が生えてくるとは本当に驚いた、術も極めるとああいう事が出来るのか
かなり細やかな援助になるだろうが、この土地で作られた物は気になるから幾つか買っていこう

本当は作業を手伝いたいが、術はあまり得意じゃないから止めておく
その代わりと言っては何だが邑で作られた品や食べ物を幾つか買っていく
あまり気負ってほしくないから、興味があるっていう理由をつける【心配り】【優しさ】
買えたら桃の木々がある丘まで行って静かに時間を過ごすことにしよう



●静かな時間
「建物が生えてくるとは……驚きました」
 仙人たちの手際のいい術を見上げ、ルイス・グリッドは感嘆の吐息を漏らした。
「いやいや、貴殿らの用いるユーベルコードに比べれば児戯もいいところだよ」
 と、仙人のひとりがルイスに答える。
「これはあくまで、残された資材を使って建物を「再現」してるに過ぎない。
 貴殿らが迅速に消火を行い、術にとりかかるだけの人員を生かしてくれた。
 なによりこの土地の霊脈が、貴殿らのおかげで無事だったからこそだ」
「なるほど……そう言っていただけると、働いた甲斐があります」
 本当はできるだけ作業を手伝いたいルイスだが、彼は術が得意ではない。
 ルイスは仙人ひとりひとりに労りの言葉をかけ、その場を離れた。

 次いで彼が向かったのは、出店が並ぶ広場だ。
 食事を楽しみに来た……というよりも、目的は復興支援である。
 他所からやってきた商人ではなく、この邑の住民と思しき店を選んでいると、
 ルイスの働きで命を救われた邑の住民が、彼に感謝の言葉をなげかけてくる。
「やあ猟兵さん! 本当にありがとう、よければこいつを持っていってくれ」
「え? いえ、悪いです。お代は払いますよ」
「そんな、とんでもない。命の恩人なんだから、このぐらいはさせておくれよ」
「そうは言いましても……」
 ルイスとしては、お金を使うことで彼らの復興を手助けしたいところ。
 かといって、ここまで言ってくれる人の厚意を無下には出来まい。
「ああ……じゃあそうですね。代わりにこちらの品物もいただけますか?」
「お、そうかい? じゃあこいつも無料に……」
「い、いえ! その、あれです。この世界の品に興味があるんですよ、俺」
 ルイスは慌てて店主の言葉を遮ると、半ば押し付けるようにお代を支払った。
「なんだか妙な気持ちだな。でも、それだけいい人ばかりだ、この邑は」
 そう思うと、誰も死傷者が出なかったことの喜びと達成感が改めてこみあげた。
 人々は誰もが笑顔で、無事に済んだことを心から喜んでいる。
「……本当によかった。どの世界でも、こんなふうになればいいんだけどな」
 ルイスはひとりごちて、点心と飲み物を片手に丘を登っていく。
 この静かな時間こそが、彼にとっての最大の報酬だ。
 これからも彼らのような善き人々のために戦うことを、ルイスは改めて誓った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
詩乃(f17458)と

ひとまず一件落着だな。あとは、なるべく元通りにするだけか。
燃えちまったモンは片付けて、資材になりそうなモンを運び込んで……ああそうだ、詩乃が作ってくれた建材とかも、必要なトコに持ってかねーとな。
よいしょっと……わかっちゃいたけど結構な力仕事だなコレ。

ある程度目処がついたら、休憩がてら買い物と食事に。
珍しいモンが多いけど、祖母ちゃんへの土産に出来そうなのはあるかな?と思いつつ店をハシゴして物色。
自分の買い物が済んだら、詩乃の買い物にも付き合う。
――中華風の服かぁ。独特の優雅さがあるんがイイよな。
うん、すげえ綺麗。似合ってると思う。

食いモンとかも美味いとイイな。


大町・詩乃
嵐さん(f03812)と

まずは復興をお手伝い。
見て触った事のある物品ならUCで創造できるので、残った家屋を参考に簡単な建物や部材をどんどん作っていきますね。

お手伝い後はお買い物。
最初は嵐さんのお買い物に同伴し、その後自分の分を。
上品な香炉が欲しかったのですよね~(青磁の香炉を購入)。
それと中華風の服装も着てみたかったですし(若草色のチャイナドレスを見て試着させてもらう)。
嵐さん、似合っていますでしょうか?
(感想貰って笑顔に♪)

チャイナドレスを購入し、髪型を合わせて(半分は左右のお団子に半分は真っ直ぐ流し)、点心を買いに行きます。
お饅頭やお菓子を買い、食事OKの所で嵐さんとお食事。
美味しいです♪



●戦いのあとの平穏
 鏡島・嵐と大町・詩乃は、まず最初に住民らの復興を手伝うことにした。
 仙界で磨き上げられた脅威の技術があるとはいえ、それは万能ではない。
 万能というのは、猟兵たちが用いるユーベルコードのことを言うのだから。
「私のユーベルコードで、燃えてしまった家屋のぶんの資材を造っていきますね」
「おお、さすがは猟兵どの、そんなことが」
 詩乃の言葉に、仙人のひとりが感嘆の声をあげた。
「見て触ったものしか再現できませんが……品質は保証します」
「みんなはそれを運んでくれると助かる。もちろん、おれも運搬は手伝うよ」
 嵐はぐっと力こぶを作るように、腕を曲げて笑った。
「感謝します。邑を救っていただいたばかりか手伝いまで……」
「そんなかしこまらないでいいよ、おれたちは好きでやってるんだ」
「ええ、そうです。困った時はお互い様、でしょう?」
 詩乃の言葉に、嵐はうんうんと頷く。
「だから猟兵とかそういうの気にせず、一緒に頑張ろう!」
「「「はい!」」」

 と、このようにして始まった作業は、仙人たちの働きもあって順調に進んだ。
「よいしょっと……わかっちゃいたけど、結構な力仕事だな、コレ」
「ふふ、お疲れさまです嵐さん。無理はいけないですよ?」
 作業の合間、一息ついたふたりは語り合う。
「大丈夫、無理なんてしてないよ。みんなも頑張ってくれてるしな」
「そうですね。この邑を守り抜いたのは、皆さんの強い意思あらばこそです」
 詩乃は頷いて、せわしなく働く人々を見やった。
「この邑を守りたい、再興したい……彼らがそう思うからこそ、
 私たちもそのお手伝いをしたくなったんですから。ですよね、嵐さん?」
「はは、そうだな。じゃあ、もうひと頑張りしようか」
「はい!」
 発奮したふたりは、さらに効率よく復興を進めていった。

 やがてふたりは、休憩も兼ねて市場を見て回ることに。
「いやー、働いた働いた……っと、ちょっと買い物がしたいんだけどいいか?」
「それなら、嵐さんのお買い物に付き合ったあと、私のお買い物もしましょう」
 というわけで食事の前に土産を買うことにしたふたり。
 嵐のお目当ては、自分のため……ではなく、祖母への土産のようだ。
「さすが仙界、珍しいモンが多いなあ。UDCアースなら博物館に入ってそうなものばかりだ」
「お客さん、土産をお探しかい? ならこの扇なんかはどうだい」
 と、商人が見せたのは、美しい模様が刻み込まれた扇子である。
「へえ、洒落てるな。これはたしかにいいかも」
「だろう? ちなみにもう少し実用的なのがいいなら、こっちもどうだい」
「なんだこりゃ……って重っ!? これ、鉄が仕込まれてるのか!?」
「ここを押すと刃も出るぜ!」
「あ、暗器じゃないですかそれ……さすが中華文明、こんなものもあるんですね」
 詩乃は苦笑する。さすがに、こちらは土産にならなさそうである。
「お、俺はこっちでいいかな。こんなの持ったら祖母ちゃんの肩外れちまうよ」
 嵐は鉄扇を商人に返し、最初に提示された扇を購入した。
 実はこの扇にも、魔除けの加護が刻まれていることを知ったのはそのあとの話である。

「ところで、詩乃はどんなものを探してるんだ?」
「私は……上品な香炉が欲しくて。ほら、あそことかどうでしょう?」
 詩乃が示したのは、青磁や白磁などの香炉が並ぶ露店だ。
「これとか可愛らしいですよ。ほら、小さな狛狗のお口から香煙が出るんです」
「面白いな! 形も様々だけど、彫り模様も色々だ。奥深いんだな、香炉って」
 ふたりはひとつひとつを手に取って、じっくりと品を選んでいく。
 するとそのひとつを手にした詩乃は、ピンときた表情でその香炉を眺め始めた。
「……それがいいのか?」
「えっ? あ、はい! これ、すごくしっくりくるというか……」
「お目が高いね、お嬢さん。そいつは太古の仙人が造った名物さ」
 すかさず商人が売り口上を挟む。
「香りを聞けば、たちまち天界に上った心地になれると噂の逸品だよ。
 ああ、いやいや、変な意味じゃあない。そのぐらい香りがいいってことさね」
「へえ……たしかに、他の品とは違う不思議な力を感じますね」
 神である詩乃は、香炉からただならぬ力を感じ取っていた。
 造りも彼女の趣味に合っているが、これは色々役立つ品かもしれない。
 いわゆる三足香炉であり、香炉の側面には睨みを効かせる四神の彫り。
 蓋の部分には麒麟に当たるのであろう、獣の造りがあり、そこが取っ手となっている。
「では、これをくださいな」
「毎度!」
「これで詩乃の買い物も終わり?」
「あ、もしよければもうひとつ欲しいものがあるんです」
 詩乃は少しだけ照れくさそうな顔で言う。その後ふたりが向かったのは……。

「――嵐さん、似合っていますでしょうか?」
 そこは、火災の被害を免れた服屋であった。
 そして詩乃の格好はというと、若草色のチャイナドレスである。
「…………」
「あーらーしーさん? 聞こえてます?」
「え……あ、ああ、うん。すげえ綺麗だ、似合ってると思う」
「と思うってなんですか、と思うって」
 嵐の答えに少しだけ不満そうに唇を尖らせる詩乃。
 しかし、彼女は気付いた。嵐は見惚れていて反応が上の空になったのだ。
 つまり、そのぐらい似合っているということだろう。すると満面の笑みに。
「ふふっ、じゃあこれを買いましょう! あと、髪型も変えてもらわなきゃ」
 うきうきした様子で会計に向かう詩乃の背中を見送り、嵐は苦笑した。
「中華風の服って、独特の優雅さがあるもんだけど……あそこまで着こなしちまうんだから大したもんだよ」
 これから食べ歩きをするのだから、自然と衆目の視線をさらうことだろう。
 はたして食事に集中できるやら……などと、要らぬ心配をする嵐。
「嵐さん、行きましょう! もうお腹ぺこぺこでしょう?」
「おう、食いモン、美味いといいな」
「ええ、楽しみです!」
 その後の食事も、和やかに楽しい時間が過ぎたとか。
 詩乃のドレス姿が見事なあまり、あちこちの店主が品をサービスしてくれたのも、まあ嬉しい誤算と考えるべきだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

源波・善老斎
何っ、建物が生えてくるじゃと!?
奥義【建竹起筍坊】の出番なしとは恐れ入ったわい。
しかしこれならば、安心して露店見物にも時間を割けよう。
無論、人手が不要になる訳ではないじゃろうから、手伝える事があれば喜んで手を貸すぞい。

さて、兎にも角にも気になっておるのは、この地に育つ野菜じゃ。
先刻の救助活動で、良き霊脈が通じておるのは確認済みよ。
野菜もさぞ美味いものが出来上がるに違いない。
屋台を巡り、野菜中心の料理を探して馳走になるぞい。
特に我輩の大好物、ホウレンソウ料理があれば言う事なしじゃ。
これぞという地場の特産があれば、帰りに市に寄るのもいいかもしれんのう。
そして代金が復興の足しになれば一石二鳥じゃな。



●戦いのあとは好物を
「むむむ……材料があるからとはいえ、建物が生えてくるとは……!」
 源波・善老斎は仙人たちの技を見て、なにやら唸っていた。
 安全点……ではない、行善天拳は地脈に通じ天をも衝く、文字通り驚天動地の技。
 奥義・建竹起筍坊をはじめ、地須器格や宝貝『老斎地霊蹴』などといったように、
 生物だけでなく物体に干渉するような奥義がいくつもある拳法だ。
 ゆえに、善老斎は建築に関しても一家言ある猫なのである。
「まったく恐れ入ったわい。しかしこれならば、安心して見物も出来よう」
 善老斎は仙人たちのたくましさに、うんうんと感服した様子で頷いた。
 とはいえ、人手が要らなくなったわけではない。
 生えてきた建物も、あくまで簡単な構造をしたものに限られるのだ。
 火災の被害を受けた建物の中には、邑の人々が憩いにする大きな場所もある。
「どれ、我輩も手伝うとしよう。まずは資材運びからじゃな!」
 軽功によって見た目以上の力と脚を持つ善老斎は、大いに彼らの役に立った。

 しばし仙人たちとともに働き、一息ついた善老斎。
 彼が一目散に向かったのは、出店ではなく……屋台である。
 ならば何を食べているのかと言うと、肉……かと思わせて野菜料理ばかりだ。
「もし、そこな店主よ。よければホウレンソウを使った料理が食べたいのじゃが」
「お目が高いねお客さん! うちの自慢の蝦餃(蒸し餃子)を食べてってくれよ!」
 店主は自慢げな様子で、出来たての蝦餃を差し出した。
 普通であれば、それは水晶蝦餃とも呼ばれるほどに透明な生地をしている。
 しかし出てきた蝦餃の生地は緑色。つまり、皮にほうれん草が練り込まれているのだ。
「ほう……! これは素晴らしい点心じゃな!」
 善老斎は目を輝かせ、お代を支払うと一口ぱくり。
 料理人の腕前が如実に出るとされる蝦餃、その出来栄えは見事なものだ。
 丁寧にほうれん草が練り込まれた皮はさることながら、具もぎっしり。
 通常は海老を基本にする蝦餃だが、この店では野菜をふんだんに使っているらしい。
 霊脈の通じたこの土地の野菜は、肉を思わせるほどにジューシーだ。
「気に入った、あと何個か見繕ってくれぃ!」
「お安い御用で! あんた猟兵さんだろ? 多めに詰めとくよ!」
「これはありがたい。代金は、どうか貴殿らの生活に役立ててくれ」
 善老斎は気前よくお代を払うと、ホクホク顔で歩き出した。
「やはりホウレンソウ料理は格別じゃな! ようし、今日は食い歩くとするか!」
 武術家とは、休息もしっかりこなしてこそ一流というもの。
 買い物に食べ歩きにと、戦いのあとの余韻を堪能する善老斎だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジン・エラー
【甘くない】

ほォ~~……こりゃァすげェな……
仙術ねェ……
ン?あァ……さァ~~~~て、早速ここの美味い酒でも物色───ヴエ
オイオイオ~~~イ、オレの意思はガン無視かよォ~~~~

ン~~……お、これいいじゃァねェか
髑髏の角飾りィ~~
ア?イ~~ィじゃねェか。首狩りのお前らしくてよォ~~~~
なァ~~~にが不満なンだか

おォ~~~~さッすがお嬢サマは違うねェ~~~~~~!!!
どォ~~~れどれ、お手並み拝見じゃねェ~~~の
これはァ~~~?じゃこっちはどォ~~~よ?
ン~~じゃこの指輪はモノホンか?黝輝石だってよ
ふゥ~~ン……
いやァ?なンでもねェ

あァ~~~~あァ、行くから首引っ張ンのはやァ~~~めろやァ~~~~~


千桜・エリシャ
【甘くない】

掘り出し物…!
ジンさん!私、お買い物がしたいですわ!
さあ、行きましょう!
お酒ならあとでいくらでもお酌しますから!
お宝は待ってはくれませんのよ!

さて、私のお眼鏡にかなう代物はあるかしら?
ジンさんもなにか見つけましたの?
な、なんですのこれ…?
そんな派手で趣味の悪いものはいりませんわ!
あなたの趣味には付き合っていられませんわね…

私は美しくて稀少なものが好みですの
お金ならばいくらでも出しますわ
…ちゃんと価値に見合っていればですわよ?
審美眼には自信がありますから
簡単には騙されませんことよ
あら、ジンさんにしては趣味がいいですわね
綺麗な桜色ですこと

戦利品はジンさんに持たせて
さ!次へ行きますわよ!



●かしましお嬢様と低俗聖者
「安いよ安いよ! 深山幽谷から発掘された掘り出し物が目白押しだよ~!」
「掘り出し物……!!」
 市場なら聞こえてきた売り口上に、千桜・エリシャは目を輝かせた。
「ほォ~~~……こりゃァすげェな、仙術ねェ……」
 一方のジン・エラーは、復興中の様子を眺めて感心している。
 ジンにしては珍しく、あまり騒がしくない。思うところあるのだろう。
「ジンさんジンさん! 私、お買い物がしたいですわ!!」
 むしろ、エリシャのほうがやかましい。これもなかなかないことである。
「ン? あァ……そォだなァ~~~、買い物もイイがオレは酒が呑みてェな」
「お酒? お酒なんてあとでいくらでもお酌しますわ。買い物に行きますわよ」
「オイオォ~~~イ、あンだけ働いたんだからまずは美味い酒を物色」
「お宝は待ってはくれませんのよ! さあ!!」
「ヴエ」
 挙げ句、エリシャはジンの襟首を掴んでぐいぐい引っ張っていく始末。
 こうなると、羅刹と優男では勝ち目などあるわけもない。
「オイオイオ~~~イ、オレの意思はガン無視かよォ~~~~」
「い・い・か・ら! 行きますわよ!!」
「わァった、わァったからよォ、せめて首離……ヴェエ!! 絞まってる絞まってる!!」
 気持ち力が強めだったのは、エリシャが掘り出し物に惹かれていたからだろう。
 別に普段からかわれているお返しをしたかったとかそんなんじゃない。
 ……多分。(仮にそうだったとしてもジンの自業自得ではあるのだが)

 というわけで意気揚々とやってきたエリシャと引きずられてきたジン。
 実際来てみると、やはり仙界の品というだけあって目を引く物が多数あった。
 香炉ひとつとっても、他の世界ならば相当の値がつく名物ばかりである。
「これ、大名の屋敷で見たことがある気がしますわ……」
 あれ? あの大名相当高値だったって自慢してなかったか? と思い返すエリシャ。
 それが一山いくらで売られているのを見ると、旅館経営者的には苦笑が出る。
「宿の食器をこちらの世界のものに切り替えるのも悪くありませんわね……」
「お、これいいじゃァねェか」
「あらジンさん、乗り気じゃなさそうだった割にもう目をつけましたの?」
 やはりお宝には目がないのだろう、エリシャはほくそ笑んだ。
 趣味の悪い品だったらたっぷりからかってやろう、という腹づもりである。
「どんなものを見つけたのか、私に見せてくださらない?」
「いいぜェ~~~、どうだよこれェ~~~」
 と、ジンが見せたのは……めっちゃゴツい髑髏がぶら下がった装飾品である。
 本来は杖か何かに巻きつけるための品のようだが、ジンは躊躇なくエリシャの角にがらんとかけた。がらんというのは髑髏の顎が鳴った音である。
「な、ななななんですのこれ! ていうかなんで私の角にかけますの!?」
「ア? そりゃ首狩りのお前に似合うからだろォ~~~??」
「こ、こんな派手で趣味の悪いもの、要りませんわ! あと似合いませんわ!!」
「いやいや超似合ってるぜェ~~~、部族の戦士って感じ! ブヒャホハハハ!!」
「誰が未開の土地の首狩り族ですの!!!!」
 エリシャはとっさに角飾りを外してスパーン!! と地面に叩きつけた。
 ガッシャーン! 髑髏が盛大な音を立てて砕け散る。
「「あ」」
「…………お客さん、弁償ね」
「はい……」
「ブビャハハホハハ!! ウッヒャイヒヒヒ!!」
 笑い転げているジンには、のちほど鉄拳が叩き込まれたという。

「ああもう、ジンさんのせいで余計な出費をしましたわ……」
「オレぁ余計なダメージ負わされたンだがァ~~~???」
「そっちは余計じゃありませんわ! とにかく、気を取り直して……」
 顔がひどいことになってるジンはさておいて、物色を再開するエリシャ。
「そこの美しいお方、こちらの品はいかがです? 見事な金細工でしょう」
「ふうん……たしかに見た目は素晴らしいですわね。見た目は」
 意地の悪そうな商人の見せてきた品に、エリシャはふんと鼻を鳴らした。
「ですがどれだけ巧緻な細工でも、贋金では意味がありませんわよ?」
「……! こ、これは失礼を……」
 商人はへつらいの笑みを浮かべ、追及を避けるためにそそくさとその場を離れる。
「ほォ~~~、さっすがお嬢様だねェ~~~、審美眼には自信ありってかァ?」
「当然ですわ。私、美しくて希少なものが好みですもの、お金はいくらでも出しましてよ? ……もっとも、ちゃんとそれが価値に見合ってれば、ですけれど」
「そりゃお見事なこってェ~~~!! ンじゃこっちはどうだァ?」
 と言ってジンが差し出したのは、指輪である。
「こいつはモノホンか? 黝輝石だってよ」
「あら、ジンさんにしては趣味がいいですわね。さっきのはなんでしたの?」
「それはもう終わったコトだからいいだろォ~~~? で、どうなンだよ」
「どうって、きれいな桜色で、いい品だと思いますけれど……?」
「…………ふゥ~~~~~ン」
「なんですのその明らかに思うところありな顔は」
「べェっつにィ~~~? なンでもねェよォ~~~」
「わけがわからないですわね……とーにーかーく! 行きますわよ、ジンさん!
 あなたには戦利品の荷物持ちという役目があるのですから、きびきび働く!」
「わァった、わァったからよォ……ヴェエ!! 首絞まってる絞まってる!!
 さっきもこのやりとりやったよなァ!? だから力入れンなグエエエエ!!」
 戦利品のほどはともかく、エリシャがニコニコ笑顔で楽しんだのは言うまでもない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霞末・遵
【幽蜻蛉】
なにあれすごい! 面白いことするなあ!
便利なもんだねえ! あの技術欲しいなー
修行って響きはあんまり好きじゃないけど……できないかどうか後で考えてみよっと

この立ち直りが早い辺り幽世と似てるね
あの辺に関しては出る幕なさそうだしお酒探しに行こうよう
飲んだことないものばっかりだよ。だってはじめてくるんだもんね
全部ちょっとずつ味見できたらいいのになあ。そういうのないの?
ねえねえ惟継さん見慣れないものが売ってるよ! 何に使うんだろうね!
……ほんとに何に使うんだろう。お兄さんこれなあに?
あっ惟継さんばっかりずるい。おじさんにも肉まんちょーだい

いやー炎に負けなくてよかったよ
ひとの命は直らないからねえ


鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
随分暴れてしまったもので復興には心配していたが生えるとはな!
仙術は妖術とはまた違ったものを感じるぞ
遵殿も修行すれば覚えられるのではないか?

あれだけ一瞬で建物が生えるのだからな
壊されたら建て直すものと考えれば、あまりショックではないのかもしれん
建築やらは無縁なもので、俺達は店のものを買って支援をしよう

料理も見知ったものもあるが味付けが違うような
この肉まんも中の肉の味付けがなかなかに美味い
そら、分けてやる
酒のつまみになるものも探そう

おぉ、この世界の掘り出し物だろうか
小刀やら置物やら……なかなか興味深い

遵殿のは一体何だ?
高い物でないなら買ってみたらどうだ
日常なり戦いなりで使えるかもしれんぞ



●幽蜻蛉の昼下がり
 仙人たちが徒党を組んで陣を結ぶと、地面に複雑な文様が浮かび上がる。
 すると霊脈が活性化し、中央に並べられた建材が光り輝いた。
 やがてめきめきと音を立てて、地面と融合した建物が生えてくる……。
「なにあれすごい! 面白いことするなあ!」
「随分暴れてしまったからな、復興には心配していたが……生えるとはな!」
 霞末・遵と鈴久名・惟継は、そんな仙術の実例を興味深げに眺める。
「便利なもんだねえ。あの技術、欲しいなー」
「遵殿も、修行すれば覚えられるのではないか?」
「いやいや惟継さん、修行って響きはおじさんあんまり好きじゃないよ」
 と言いつつ、遵はまんざらでもない様子だ。
「っても、出来ないかどうかはあとで考えるのが私の性分だからねぇ。
 手が空いたら仙人に話を聞いてみてもいいなあ。すっかり明るい雰囲気だし」
「まったくだな。仙術は妖術とは違うようだが、この雰囲気は幽世に近い」
「あそこまでノーテンキな人たちばかりってわけでもなさそうだけどね」
 もちろんすべての建物が、あの術ひとつでなんとかなるわけではない。
 が、ふたりの見た限り、そう言った複雑な建造物には、すでに多くの猟兵たちが手を貸しているようだった。
「もともと建築やらには無縁の身だ、俺は店を冷やかしてみようと思うが遵殿は?」
「そりゃあもう、お酒ようお酒。おじさん喉カラカラだからさぁ」
 遵がくいっと盃を傾ける仕草をすると、惟継はかんらかんらと明るく笑った。
「ははは、酒か! では、腹ごしらえがてらつまみ探しから始めようか」
「さっすが惟継さん、話がわかるね! ま、おじさんあんま入らないんだけど」
「そこはそれ、酒は別腹というではないか」
「それを言うなら甘味じゃないの? どっちでもいいけどさ」
 とかなんとか話しつつ、ウキウキと出店に繰り出すふたりである。

 問題の出店の品はというと、やはり古代中国ということもあって点心ばかりだ。
 和の文化はもとを辿れば中国に通ずる、品そのものは惟継にも見知ったものが多い。
 が、饅頭ひとつを取っても、多種多様な品々が並び、彼らを愉しませた。
「遵殿、この肉まんはなかなかだぞ。中の肉の味付けが実に美味い」
「え~? かじっておいてそれ言うの惟継さん。飯テロってやつ?」
「意地が悪いようなことを言うな遵殿。そら、こちらを分けてやろう」
 まだ手を付けていない部分をちぎり取り、遵に渡してやる惟継。
「お、ありがとうねぇ。ていうかさ、そもそも肉まん、これおっきくない?」
「そうだな。軽食とたかをくくっていたが、存外腹に貯まるものばかりだ。
 つまり、この世界の人々にとっては、こうした食事方式が一般的なんだろう」
「さっきも言ったけどさあ、おじさん全部は入らないからねぇ……あ、美味しい」
 そして濃い味付けのものを食べると、今度はいよいよ酒が欲しくなる。
「全部ちょっとずつ味見出来たらいいのになあ、お酒」
「おっとお客さん、それならうちにおいで! 利き酒が出来るよ!」
 と声をかけられると、遵はたちまち嬉しそうな顔になった。
「え、ホント? ……ってものすごい量並んでるんだけど!?」
「そりゃあ一本二本で利き酒なんざしても楽しくないだろう?
 全部おれがこの舌で味わって集めた品さ、そっちの兄さんもどうぞどうぞ!」
「ははは、熱烈に歓迎されてしまったな。となれば辞するわけにもいくまい」
「うーん、呑んだことないものばかりだよ。初めて来るから当然だけど」
 利き酒と言うと日本酒でやるものが一般的だが、中国酒にももちろんある。
 そもそも、中国酒でもっとも幅広く使われている紹興酒は、日本酒と同じ米酒だ。
 ちなみに、日本酒の発祥もまた中国由来……なのかというとそんなことはなく、
 詳しい起源は不明であるものの、和国が独自に始めたのではないかとされている。
 つまり、中国酒は中国酒で独特の味わいと旨味がある、ということだ。
「これ美味しいよ惟継さん、白酒? っていうのかな?」
「茶を含む酒もあるのか。こちらは……ふむ? 焼酎に似ているが……」
 風味の濃厚な紹興酒から、まろやかな味の白酒、高粱酒などなど。
 度数も味付けも種々様々な酒を、たっぷり堪能する。
 最終的には、「とりあえず全部美味い」で落ち着いたとか。

「あ~……調子乗ったねこれ。もうすごいいい気分だもの」
「まだまだ酒盛りはこれからだぞ、遵殿。いまへべれけになってどうする」
「惟継さんが強すぎるだけだよねぇそれ……いやもうおじさんよくわかんないもの。
 これ何? なんかこの、龍の形した……うん? ねえ店主さんこれ本当に何?」
 すっかり上機嫌になったふたりは、そのまま市場に繰り出した。
「そいつは香炉だよ。ほら、この背中の鱗のところが蓋になってるんだ」
「へえー! で、この口から香煙が出るの? 面白いねえ惟継さん!」
「遊び心のある造りだな。こちらの小刀は?」
「そいつはとある仙人の名工がこしらえたとされる業物だよ。
 ほら、刀身に見事な虎が彫られてるだろう? あまりに鋭いから、振るうと虎の爪みたいに三股に分かれた傷がつくって言われてるのさ」
「これもまた仙術なのだろうか……興味深いな」
 お酒でいい気分になったふたりは、お財布の紐もすっかり緩んでいる。
 真贋定かならぬ品々を、次々に手を取っていくものだから、格好の獲物だ。
「そこの旦那! こっちの風水盤をご覧になってくださいましよ!
 なんとこいつは、吉兆を占うどころか持ち主に福を呼び込む盤なんでさ!」
「へえ~、それ占い要らずじゃん! ……あれ? 占いの道具としてどうなのそれ」
「まあまあ、細かいこた言わずに。お安くしときますよ! 財運も上がりまさ!」
「持っていれば億万長者だな、はっはっは」
「億万長者かぁ~、いやでもそれ占いの道具としてどうなの? まあいっか!」
 完全にべろんべろんであった。
「いやー……炎に負けなくてよかったねえ、惟継さん」
 ガラクタかもわからない品をためつすがめつしつつ、遵はへらりと笑う。
「人の命は直らないもの。本当、よかったよ」
「ああ、そうだな。俺たちの勝ち得た平和だ」
 惟継はそんな遵の楽しそうな横顔を見て、笑顔で頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
【相照】
(矢張り明らかに拗ねているな……)
ああ、言っていたな
だが遣ってくれた。感謝しているよ

さて……奢るから屋台にでも寄って行かんか?
別に釣ろうとはしていないぞ
一緒に来てくれたら助かるというだけだ
……そうか、では1つな

取り敢えず何か適当なものを……ああ、これは粽か
色々と入っていて食べ応えがあって良い
……怒っていると腹が空くぞ
ほら、此方も食べてみるといい
(子供の様な様相につい笑いが……)
いや、悪いが無理だ。すまん

なんだ、奢ると云ったのに自分で買ってきたのか
まあ折角だしな、有難く頂くとしよう
ほう、流石だな
勿論作ってくれるなら食べるが、味の責任は……
いや其処は調理した者が持つべきだろう(そっぽ向く)


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
【相照】
(あからさまに拗ねている顔)
……投げんのやだって言った
やったけど
やだって言った

飯で釣ろうとすんな
そんなんに引っ掛かるほど単純じゃ
単純じゃ……
……食べる。一個だけ!

食べてみたら凄え旨くて、一瞬拗ねてたのがどうでも良くなるけど
怒ってるんだからな……あっそれも旨そう
半分。食べて良いの?
やった!ありがと嵯泉――
う……(懐柔されたことに気付く)
わ、笑うな!!

餅をもう一個買って、そっちを嵯泉に
半分もらったからには返さないとな
味も覚えたし、これ、今度作ってみようかな
見よう見まねだけど……食べてくれる?
やった。じゃー、作ったもんの味は二人の責任ってことで
味見したんだから、共犯者って奴だろー



●互いに照らし、互いに寄り添い
「……」
「…………」
「………………」
「……………………」
 沈黙。
 痛々しいほどの沈黙が流れている。
 具体的に言うと、ニルズヘッグ・ニヴルヘイムが鷲生・嵯泉をじ~~~~~~~っと見つめている。というか、睨んでいる。
(……拗ねているな。あきらかに)
 嵯泉は気付かないふりをしているが、それも時間の問題だ。
 かれこれ数分は、ニルズへッグのジト目が彼の良心をちくちくしていた。
 嵯泉ほどの辛抱強い男でなければ、とうに音を上げていただろう。
 別にそれは全然誇らしいことではないが。だって嵯泉が怒らせたんだし。
 もちろんニルズへッグもそれはわかっているので、こうして睨み続けている。
 蛇に睨まれた蛙ならぬ、邪竜に睨まれた剣豪である。沈黙が、痛い。

「…………やだって言った」
 すると根負けしたのか、ニルズへッグが口を開いた。
「…………」
「投げんの。やだって言った」
 あっこれ根負けじゃない。言葉でちくちくする作戦に出ただけだ。
「だが、やっただろう」
「やったけど」
 ニルズへッグはむすーっと口を結ぶ。こころなしか等身も低い。
「やだって言った」
「…………」
「嵯泉、聞いてる? 私、やだって言ったんだけど???」
「……そうだな。たしかに言っていた」
 嵯泉は観念して嘆息した。口元に浮かべた苦笑に、ニルズへッグはむっとする。
 こちらは怒っているのに呆れたように笑われてはへそも曲がるというものだ。
「だが、やってくれた。お前は私の頼みを聞いてくれたわけだ」
「…………」
「感謝している」
「それだけ?」
「不満か?」
「…………」
 ニルズへッグの眉間のシワは取れない。嵯泉はやれやれと頭を振った。

「わかった、わかった。奢るから屋台にでも寄っていかんか?」
「飯で釣ろうとすんな」
「別に、釣ろうとはしていないぞ。一緒に来てくれたら助かるというだけだ」
「そんなんに引っかかるほど単純じゃないからな」
 取り付く島もない。嵯泉は一計を案じた。
「では仕方ない。私がひとりで寂しく過ごすとするか」
「う……」
「食事は誰かと卓を囲んでこそ、というのは、お前が教えてくれたことなんだがな」
「……た、単純じゃ……」
「それに屋台の品はどれも美味そうだぞ。肉もある」
「…………た、食べる。一個だけ!」
 今度はニルズへッグが折れる番だった。
「ああ、ひとつだけな」
 そう言って、ふたりは屋台へと歩き出す。

 そんなこんなで嵯泉が見繕ったのは、ボリューミーな粽だ。
 椎茸、人参、筍など定番の具材と一緒に、海老や豚肉などなど。
 そういった具材をたっぷり盛り込み、もち米で包み込んだ贅沢な品である。
「ふたつもらえるか」
「へい、毎度!」

 竹の皮に包まれた粽は、受け取るとずっしりと重たい。
「そら、怒ってばかりだと腹が空くぞ」
「ん」
 ニルズへッグはおとなしく受け取り、ぱくりと一口頬張った。
 紹興酒や八角などで濃い目に味付けされた粽は、戦いのあとの身体に実に染み渡る。
 端的に言って、美味い。蒸したての品を頬張るのだから当然と言えよう。
「凄え旨い……はっ」
 思わず怒りがどこかへ飛んでいきかけてしまうほどに、旨かったらしい。
 ニルズへッグは思い出したように藪睨みの表情を作り、それはそれとしてもむもむ食べる。
「……こちらの粽も半分どうだ。うずら卵が入っていて旨いぞ」
「半分。食べていいの?」
「ああ。腹が減っていそうだからな」
「やった! ありがと嵯泉――はっ」
 粽を受け取ったところで、ニルズへッグは嵯泉が笑ってることに気付いた。
「な、なんだよ! 怒ってるんだからな!!」
「いや、すまん。あれだけ言っていたのにすっかりおとなしくなっているのでな」
「やっぱり釣ろうとしてたんじゃんか……!」
「そうではないが、しかし子供のような様相を見ていると……ふ、ふふ」
「わ、笑うな! わーらーうーなー!!」
「すまん、悪いが無理だ……くくっ」
 笑いをこらえる嵯泉とぷんすか怒るニルズへッグという、なかなかレアな光景が展開される。
 結局、ニルズへッグは自分で餅を買い、半分嵯泉に渡してやった。

 そんなこんなで食べ歩きをしていると、気がつけばニルズへッグの表情も和らいでいた。
 食事のおかげか、はたまた嵯泉とふたりで過ごす時間のおかげか、その両方か。
 それをいちいち言葉にするほど、嵯泉は野暮な男ではない。
(これ以上からかうとまた拗ねてしまいそうだからな……)
「嵯泉、これ……って、何その顔。なんか含みない?」
「……いや、別に。それにしても、奢ると言ったはずだが?」
 嵯泉はごまかしつつ、ニルズへッグに言った。
「もらったから返すだけだよ」
 ニルズへッグはつんと言い、買ってきた餅を齧った。
「ん、これも美味いな。味はだいたい覚えたし、今度作ってみようか」
「ほう、流石だな」
「見よう見まねだけどなー。……作ったら、食べてくれる?」
 伺うような目線をもらうと、嵯泉は首を傾げた。
「無論、作ってくれるなら食べるとも」
「やった。じゃー、作ったもんの味はふたりの責任ってことで!」
「……おい、待て。私は味見役だろう。味の責任までは取れんぞ」
 しかも、彼らの共通の知り合いには恐ろしい台所番がいる。
 ニルズへッグに限ってそれはないだろうが、生半可なものを作ろうもんならあの台所番が何をしでかすか……まあ別に彼女はそんなキャラではないが。
 それはそれとして、料理に関しては冗談が通じない手合なのは事実である。
「味見したんだから、共犯者ってやつだろー?」
 ニルズへッグはからかいの笑みを浮かべ、嵯泉の顔を覗き込んだ。
「……其処は、調理した者が持つべきだろう。私は知らん」
「あ、いまそっぽ向いた! 嵯泉、もしかして拗ねた? ねえ拗ねた?」
「拗ねてなどいない」
「じゃあこっち見ろよー。嵯泉ってばさー」
 すっかり立場が逆転してしまうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黎・嶺依
【黒幇】
ちょうどよいところに連れて来たのう、大衛
グリモア猟兵には一度“お礼参り”に行かねばならぬと思っておったところじゃ

涼爽洞での件に続き、仙界の襲撃を予知してくれたからのう
手厚くもてなさねばならぬじゃろうて
(グリモア猟兵を取り囲むチャイナマフィアども)

ほれ、わらわが酌をしてやろう
汝には何かと世話になったのう。霞月なんぞも、ああして龍の素材が手に入ってご満悦の様子じゃしな
これからも重々、よろしく頼んだぞ
(肩ポン)


思・大衛
【黒幣】
目標:屋台で買い物

俺は壊すことなら可能だが
修理治療の類は苦手だ
であれば大人しく金を落とすとしよう
手持ちなら有る
少し汚れてはいるがな

火事場というのは何かと混じり込む
まぁ俺達のシマではない以上つよく口出しする気はない
ないが……
「おい、この酒は何だ
試飲の一口で危うく天に昇りかけたぞ
もっと寄越せ
瓶ごとでも構わん」

……ん?
あの蛇蝎の如く点心を食い続けているのは
俺達を導いた”ぐりもあ兵”とやらか

適当な品々を買い込み
クインに声をかける
「”ぐりもあ兵”よ
我が公主の故郷の危機を報せた礼をしたい
ご足労願えるだろうか
公主もお待ちだ」
500厘米の身長を遺憾なく発揮
丁寧にお誘いする
よもや断りはしまい……なぁ?


恩・蘭明
【黒幇】で参加
アドリブOK

素材が消えなくて良かったです。(ほくほく顔)
……おや、掘り出し物市、ですか。…………気になりますね。行きましょう。
素体や仕込みに使える物を探したいんですよね……。依頼も入ってるので……。死体は断られちゃいましたし……え?やだなぁ、今作ってるのは普通の人形ですよ。ちょっと戦闘にも耐えるようフレームを強化しないといけないんですが……。

色々と珍しい素材や必要な素材を買い込んでから戻る。

……ん?なんか、増えてません?新しい組員ですか?よろしくお願いしますね。老板は小さいですが、良い人ですよ。こう見えてちゃんと給料を払ってくれます。
……ああ、グリモアの方だったんですね。


尸・骸燐
【黒幇】
アドリブOK
わたしお酒飲む、わたしお肉食べる、わたしお酒飲む。
よし、めっちゃ完璧だね。

おん? あなたグリモアの人? ほらほら美味しいよ飲んで食べて飲もうね。


黎・霞月
【黒幇】

……ん?嗚呼、グリモア猟兵呼ぶの
別に嶺小姐がそうしてェなら良いンじゃね
我、今素材手に入って浮かれてるし、やだって言わねェよォ
だいじょぶだいじょぶ

酒も食い物もそっちのけ
色々素材取れたし、何作ろうかなァ
古龍ともなれば鱗に色々術式封じてもそう簡単には割れねェだろうしィ、装飾品サイズで何か作るのも良いなァ
装飾品なら軽ィし、嶺小姐に押し付けても行けンじゃね?
早く工房帰りてェ……

んー……まあ、グリモア猟兵だし礼は言っとくゥ
良い素材手に入ったしィ、何かあったらまた宜しくー


龍・白黎
【黒幇】
ふわぁ~あぁ、んぐんぐ、うまぁー。(あくびをしながら寝転んでお団子を食べている行儀の悪い白黎)

あ、グリモアの人だぁ。こんにちわぁ(挨拶だけは立ち上がり綺麗な礼をした後、またすぐに寝転んでしまう)

霞月のじーさんに限らず今日はみんな上機嫌だよねぇ。
まあみんなお祭り騒ぎって好きそーだし当然かぁ。
おいらも好きだしぃ(戦闘中の凛とした姿はどこへいったやら猫か犬かと言わんばかりに地面に伸びている)

毎日こんな風な仙郷にはやく戻るといいのに、ねぇ?



●黒幇のお礼参り
「……やはり、俺が役に立てるところはなさそうだな」
 しばし復興現場を睨んでいた思・大衛は、やがてひとりごちた。
「おや、どうしました? てっきりあちらへ行くのかと思いましたが」
 恩・蘭明は、のしのしと戻ってきた大衛に声をかける。
「その身体の大きさなら、資材の運搬をするだけでも大助かりでしょうに」
「そう、思ったのだがな。なにかの拍子に建物を壊してしまっては元の木阿弥だ。
 ……俺は壊すことなら可能だが、きめ細やかな作業というのはどうにも苦手だ」
「そンなことねェと思うけどォ?」
 意外にも、そう言ったのは黎・霞月である。
 彼らしからぬことに、大衛を気遣ったのか……というとそんなことはなく。
「だってホラ、素材ほとんど無事だしィ? おかげで大漁よ、大漁」
 と、完全に自分が利益を得たので褒めただけである。なんて男だ。
「そうそう、感謝してよね。具体的には奢りとかでさ」
「それとこれとはまた別の話ィ。や、モチロン報酬は出すけどな?」
「え~? いいじゃん奢り。ヒトの金で食べるお肉って最高なのにさぁ」
 尸・骸燐は不満げである。この女も女で大変にアレであった。
 なお、そんなことを言いつつ、骸凛の周りにはすでに大漁の酒と空き皿。
 いの一番に買い込んできて、もうとっくに食べ尽くしたあとなのだ。
「つゥかもう食ってンじゃん。それで足りねェの?」
「こんなの朝飯前だよ朝飯前。これからが昼飯ね」
「朝飯前という言葉はそういうふうに使うものではないですよ……?」
 蘭明は呆れた顔でツッコミを入れた。
「細かいことはいいじゃん。つーかさ、わたしよりあっちのが大概でしょ」
 骸燐が指差したのは、龍・白黎である。
 戦闘中の豪放磊落で剛毅な振る舞いはどこへやら、姿勢は寝転んで仏のよう。
「ふわぁ~あぁ、んぐんぐ……うまぁー」
 カバのように大きなあくびをしながら、団子をぱくぱく食べる始末である。
 一口で団子をまるごと頬張っていくものだから、近くに置かれた串は小さな山のようになっていた。
「団子、おいしい~。……って何ぃ? あげないけどぉ?」
「や、別に盗ったりしないから」
「……あげないけどぉ?」
「盗らないって言ってんじゃん!? 食い意地どんだけ!?」
「お前が言えたことではあるまい」
 大衛のツッコミごもっともである。
「これこれ、喧嘩するでない。せっかく一山終わってのんびりしておるんじゃ。
 が、ハメを外しすぎるでないぞ。汝らはどうにもやりすぎるきらいがあるからのう」
 ぱたぱたと扇をあおぎつつ邑を見て回っていた黎・嶺依が戻ってきた。
「おや老板、おかえりなさい。いかがでしたか? 邑の様子は」
「ん、問題なさそうじゃの。死傷者もなし、万事解決じゃ」
「真面目だよねぇ老大は。戦ったんだからわたしらの仕事終わりじゃん」
「それはそれ、これはこれじゃ。故郷の無事は確かめたくなるのが人情じゃろうて」
「ふ~ん? ま、わたしはなんでもいいけど。んじゃ次の品買ってこよ」
 骸燐はぴんとこない顔をしつつ、別の屋台を物色しに離れた。
「本当に自由じゃな……ところで霞月よ」
「……ん? どしたん、嶺小姐」
「ひとり客人を招こうかと思っているのでな、ちと騒がしくなるやもしれんぞ」
「ふゥん? いいンじゃね? 小姐がそうしてェなら」
「おや? てっきり目くじらを立てると思って聞いたのじゃが」
 霞月はへらりと笑う。
「だって我、いま素材が手に入っていい気分だかンねェ、やだとは言わねェよォ。
 てなわけで酒も飯も要らねェから、しばらく色々いじってみるわァ」
「ふむ、まあ上機嫌なようでなにより。しかしあれはどこにおるのやら」
「……探し人か? 公主。ならば、俺が買い出しに行く。ついででよければ探してくるが」
「おお、大衛。では任せるとしようか」
 大衛の申し出に、嶺依は感心感心、と上機嫌な様子で頷いた。
「無事に素材も消えずに済みましたし、僕も市を見てくるとしましょう。
 死体は断られちゃいましたし、依頼も入ってるから品を探しませんと」
「……蘭明」
「やだなあ老板。今回の人形は普通の人形ですよ? 素体の強化に使うんです」
 嶺依のジト目ににこやかに返しつつ、蘭明は市場へと足を運んだ。
「思い思いに過ごすがよい。ところで白黎は……」
「んぐんぐ……お団子なくなったぁ~。持ってきてぇ~」
「へ、へい、ただいま!」
「……やれやれ。あとで追加の代金を払っておくか」
 団子屋の店主を小間使のようにこき使っている姿を見て、嶺依は嘆息した。

 とまあ、このように各々自由な時間を過ごす黒幇の面々。
 そのひとりである大衛の巨体は、どうしようもなく人の目につく。
 おまけに強面ということもあって、店にぬっと首を突っ込むと威圧感がすごい。
「……おい、この酒はなんだ」
「ひいっ!? な、なな、なにかお気に召しませんでしたので……!?」
 酒屋の店主は、軒下に屈んできた巨人の図体にさすがに怯える。
 猟兵はその見た目によって不利益を受けない……という効果こそあるものの、
 それはそれ、これはこれである。怖いもんは怖いのだ。巨人だし。
「この酒は……どういうことだ?」
「も、申し訳ございません! お取替えいたしますので平にご容赦を!!」
「……何を言っている?」
 大衛は首を傾げ、言葉を続けた。
「試飲の一口で危うく天に昇りかけたぞ。もっと寄越せ」
「へえ? あ、あの、文句があるとか、ではなく……?」
「なんだ、そんなことは一言も言ってないだろう。瓶ごとでも構わん。
 なんなら龜で寄越してくれてもいいぞ。客人を招くそうだからな」
「ま、毎度! お運びの荷車は……」
「問題ない」
 大衛は酒がたっぷり入った龜を、無造作にむんずと掴んだ。
 代金にやや汚れた金を気前よく払いつつ、彼は再び歩き出す。
「……ん?」
 そこで大衛は、なにやら山と積まれた皿に気がついた。
 何の気なしに近づいてみると、餓えた猿のような勢いで饅頭を頬張る少年がひとり。
「なるほど、あれが公主の言っていた客人か。では、声をかけねば」
 大衛はのしのしと少年に近づく……。

 一方その頃、霞月は急拵えした簡易工房で素材のチェックを行っていた。
「鱗に角に髭に鬣、牙に爪に血に目ン玉……いやァこれだけあると悩むなァ。
 古龍ともなれば、鱗に色々術式封じてもそう簡単には割れねェだろうしィ?
 髭と合わせて装飾品サイズで何か作るのもいいなァ、首飾り……いや腕輪ってのも」
「ただいま~……って霞月、まーだいじくり回してんの? お酒呑む?」
「あン? 要らね。つゥか早く工房帰りてェわ、ウズウズしてさァ」
「せっかく旨い店ばっかりなのに、勿体ないねえ」
 まあそのぶんわたしが飲めるからいいや、とがばがば酒瓶を傾ける骸燐。
「また買い込んできたんですか……? よく入りますね、その量」
「いや~働いてお腹空いたからね。ていうか、買い込んだのはそっちもじゃない?」
 骸燐が指差したのは、蘭明が買い込んだ素材の山である。
 仙界も売り物は十把一絡げ、中には真贋定かならぬガラクタも多い。
 とはいえ蘭明の目利きにかかれば、そうしたものの見極めはたやすいものだ。
「ええ、近隣の集落から来ていた商人が、よさげな品をたくさん持ってまして。
 これとか見てください。樹齢3000年を越えた神木から削り取られた木材ですよ?」
「あ~、はいはい。わたしそういうのよくわかんないからいいや」
 人形のこととなるととたんに熱の入る蘭明である。
「この鉄器もなかなかのものですし、鋳造したらいい骨組みになりそうですよね。
 ああ、でもこっちの玻璃を組み込んでみるのもいいですね。なかなか霊力が詰まっていそうで……ふふふ、僕もワクワクしてきました」
「あまりここで店を広げすぎるでないぞ? ほどほどにな」
 嶺依は一同に口を挟みつつ、遠くからのしのしやってきた大衛に気付いた。
「おお、ちょうどよいところに来たのう大衛。して、どうであった?」
「丁重にお連れした。こちらの"ぐりもあ兵"でよかったのだろう?」
 巨体の影から出てきたのは……小動物みたいにブルッブル震えているクイン・クェンビーだ。
 まるでマレーグマを目の前にした熊のような震えぶりである。
「あ、あの~……お、お誘いは嬉しいんだけど、クイン場違いじゃないかな~って。
 てゆか、ほら、人違いじゃない!? クイン小指とか詰めてないんだけど!?」
「……ん? 何か勘違いしておらぬか? どういうことじゃ大衛」
 嶺依に言われると、大衛ははてなと首を傾げる。
「いや、俺はただ丁寧にお誘いしただけだ」
「ふむ、そうか。汝が言うならそうなんじゃの」
 嶺依はあっさり納得してしまう。この部下どもにしてこの長ありである。

 ……ちなみに、実際の光景がどうだったかというと。
『ん~、点心おいし~! おじさんおかわ……え? 何? 急に夜?』
『"ぐりもあ兵"よ』
『うぎゃーっ!? なになに!? クインちゃんとお金払ってるよ!?』
『我が公主の故郷の危機を報せた礼をしたい。ご足労願えるだろうか』
『えっ? お、お誘い? あの、お礼って……お礼参りとかそういう?』
『そうだ。公主もお待ちだ……よもや断りはすまい、なぁ?』
『はいぃいい~~~!! い、いいい行かせていただきますぅ~~~~!!』
 ……と、このような感じであった。

「まあまあグリモア猟兵よ、わらわは汝に感謝しておるのじゃ」
 ブルブル震えるクインに、そそっと寄り添う嶺依。
「あ、えっと……涼爽洞のときにも手伝ってくれた人たち……だよね?」
「左様。ここはわらわにとっての故郷、その危機を予知してくれたのじゃからな。
 あの時は汝も桃源郷を楽しみたい様子であったがゆえ、気になっていたのじゃよ」
「そ、それはどうも~……ところで、あのう」
 クインはちらっと周りを見やる。のそのそ近づいてくる構成員たち。
 誰もがチャイナマフィアらしい強面である。コワイ!
「新しい組員ですか? よろしくおねがいしますね。老板は小さいですが、いい人ですよ。こう見えて、ちゃんと給料を払ってくれます」
「いやクイン同じ猟兵だけど!? その手の人にはなりませんけど!?」
「おや、そうでしたか……てっきり新入りか、おイタをした方かと」
「ねえおイタしてた場合クインどうなってたの!? 無事だったの!?」
「まあまあ、美味しいお酒呑んでお肉食べて騒ごうよ。ね」
「クイン未成年だよ!?」
「いいからいいから~」
「よくないよ! お肉は食べるけどぉ!!」
「欲しい素材は手に入ったしィ、またなンかあったらよろしくゥ」
「あ、それはどうも~……って目玉片手に言われても怖いよぉ!?」
「あ、グリモアの人だぁ、こんにちわぁ」
「わあきれいな礼……ってまた寝転んじゃったよ!?」
「お団子おいしいよぉ? あげないけどぉ」
「もうすごい数食べてるよね!? ちょっとほしいけどさ!!」
 とまあご覧の有様である。
「さ、汝にはわらわが酌をしてやろう。これからもよろしく頼んだぞ?」
 嶺依の笑顔に、クインはひくついた笑顔を返すしかなかったという。
 これが……黒幇のお礼参りなのだ……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

穂村・理恵
やっぱり私は、まだまだですね…
でもへこたれません、かつて私を助けてくれたヒーローさん達みたいに、
そして、今回助けられた猟兵の皆さんみたいに、私もなってみせます!

…とはいうものの、この状況で今の私にできる事と言うと……

1.機械鎧(パワードスーツ)を纏い武装少女に変身、怪力運搬で力仕事のお手伝い

2.小さく分割した状態の吸熱炎霊たちでお手伝いし、
「怪異:ビッグファイヤーパンダ」の汚名返上

う、うん、とりあえず力仕事が必要なら1で、炊き出しとかで火が必要なら2です!
…大きさ!きっと大きさが問題だったんです!合体させずに小さいままで、猫とか子パンダの姿ならきっと……!(まだ気にしてた)

※アドリブ歓迎です



●多分だが大きさの問題ではない
「はあ……」
 穂村・理恵は、何やら浮かない面持ちであった。
「やっぱり私はまだまだですね……」
 彼女が落ち込んでいる原因……それは、古龍との戦いでの一幕だろう。
 結果的に大打撃を与えられたものの、一度は攻撃に対処されてしまったのだ。
 決して彼女の技量の問題ではないのだが、そこは責任感の強い理恵である。
 改めて力不足を実感したことで、気落ちしてしまっているらしい。
「それに……なんだか怪異とか色々言われちゃってるし……」
 あれっ落ち込んでる原因シリアスなやつだけじゃねえな?
「でもへこたれません。私も、もっと強くならなきゃ!
 ……あと、今度こそ、ビッグファイア―パンダの汚名を返上しなきゃ!!」
 間違っているようで間違っていない、ちょっとズレた意気込みを見せる理恵。
 とりあえず、人手の要りそうな復興の支援に取り掛かることに。

 力仕事が必要なため、まずは機械鎧(パワードスーツ)を纏い変身した理恵。
 もともとバイオモンスターなこともあって、大きな資材も軽々運搬である。
「いやあ助かるよ、簡単な建物は修復できるとは言え被害が大きいからね。
 でもあんたたち猟兵さんのおかげで、誰も死なずに済んだ。ありがとう」
「そ、そんな……私は大したことはしてないですよ」
「そうかい? かっこよかったよ、あの龍と戦うお嬢ちゃんの姿は!」
「見、見てたんですか!?」
 住民にからかわれ、理恵はかあっと顔を赤らめた。
「……ところでお嬢ちゃん、あそこでわちゃわちゃしてるのは?」
 そこで住民が指差したのは、小さな小さな吸熱炎霊たちである。
 パンダを主に、仙界に居てもおかしくなさそうな動物がピックアップされていた。
 その吸熱炎霊たちの仕事はというと、主に炊き出しの手伝いである。
 熱を奪う炎霊は、逆に熱を生み出し燃え上がることだって当然出来る。
 なのでそうして炊き出しの火力になったり、暖かさを保ってたりするのだ。
 なによりその見た目の可愛らしさで、人々の心を暖めていた。
「あ、はい。私の使い魔……ううん、仲間、ですかね?」
「へえ、たいしたもんだ。それに可愛らしいね、赤ちゃんみたいで」
「そうなんですよっ!!!」
「へえっ!?」
 いきなり理恵が食いついたものだから、住民は大いに驚いた。
「可愛いですよね! ね!? パンダとか特に可愛いですよね!?」
「あ、ああうん、可愛いと思うけど……?」
「ですよね! やっぱり大きさがよくなかったんです、うん! 思った通り!」
「……???」
 理恵は納得したというか、嬉しそうな様子でうんうん頷いていた。
 事情を知らない男性は、ただただきょとんとするばかりだったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
……これで、終わりか
まだまだ経験は浅いですが、こうして猟兵案件を請け負う度に思います
他人任せにして、戦いを避けることは出来ないと
対処しなきゃいけない事件は、ドンドン増えていってる
やれる限りやらないと…力を持つ者として

さて、俺も作業を手伝うとしましょう
せっかくのキャバリアですから、大規模な整備や物資の運搬を請け負います
俺にはクリエイティブなことは出来ませんが、助けになるように動かないと

……人って逞しいですね
アレだけのことがあっても、希望の灯を失ってない
俺も、折れない精神を持ち続けたいところです
この背に、命と信頼を背負ってるなら猶更
親父…俺は上手くやれてるのかな
まだ分からないけど、頑張っていくよ



●ルヴトー・シフトマンは過去/未来を視る
「……これで、終わりか」
 戦いはいつも唐突に始まり、唐突に終わるものだ。
 ことにオブリビオン相手はなおさらで、あとには何も遺らない。
 ……あえて言うならば、過去の残骸によって傷つけられた跡だけが遺る。

 それは時として取り返しのつかない傷にもなる。
 だが今回は、少なくともそうはならなかった。少なくとも、今回は。
(まだまだ経験は浅いけど、こうして戦うたびに改めて痛感させられるな……)
 ――この役目は、他人任せに出来ないと。
 戦いを避けることは、いくらでも出来る。猟兵の役目はあくまで希望制だ。
 グリモア猟兵に、彼らを強制して戦場に送り出す権限などない。
 よしんば誰かがそんなものを定めたところで、ただ抗えばいいだけの話である。
 一部の例外はあれど、大抵は猟兵が自身で戦うと決め、戦場へ向かうのだ。
 だが、ルヴトーは逃げない。己に出来る仕事を、己で全うする。
 彼がこれほどまでに粉骨砕身していても、手は足りないのだし、何より……。
「……やれる限りのことを、やらないと」
 力を持つ者として。
 持ってしまった者として。
 ルヴトーは、未来に想いを馳せ、拳を握りしめた。

 そんな彼の最後の仕事は、人々の復興作業を手伝うことだ。
 キャバリアとしての利点を生かし、大規模な整備や物資の運搬を請け負う。
 建築技術はないし、計算だって人並みにしか出来ない。
 なら、せめて力仕事で寄り添いたい、そういう意図があった。

「兄ちゃんの宝貝はすごいな! これだけの資材を軽々運べるんだから!」
「宝貝ではないんですが……まあ、この世界だとそうなりますか」
 朗らかに笑う人足に苦笑しつつ、ルヴトーは目的の資材を現場に運び込んだ。
 するとたくましい男手がすぐに集まって、仙術で補強したり手分けして組み立てを始めたりと、せわしなく働く。
「……人は、たくましいな」
 似たような光景は、クロムキャバリアでだって見たことがある。
 けれど……いやだからこそ、そのたびにルヴトーは思う。
 その瞳に映る景色は、2秒後ろにシフトした平和なもの。
 戦う時以外は、こんな力は足枷にしかならない余計な重荷だ。
 ただ、ルヴトーはそれを苦とは思わない。むしろ誇らしくあった。
 彼の世界が遅れているということは、2秒先の世界を人々が生きている証左。
 だから未来の時間を視るより、ルヴトーはこの遅れた世界を愛していた。
「親父――俺は、上手くやれてるのかな」
 その目をもってしても、遠い過去を見つめることは出来ない。
 時間の流れは絶対で、どれだけ恋焦がれても未来はやってくる。過去は遠のく。
 だから、今を精一杯に、生きていくしかないのだ。
「……まだわからないけど、俺は頑張っていくよ」
 人々の希望の灯から力を借りて、ルヴトーは過去/未来を視る。
 いつの日か、2秒先を見なくてよくなるように、彼は戦い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御門・白
戦後の処理が一番の問題……と思ったけれどここは例外的な土地みたいですね
とはいえ、人の手があって困ることは少ないでしょう

自分を分割して、式神を作っていきます
【道術】で行うような作業はお手伝いできるでしょうし、手が余るなら炊き出しなんかに回っても構わない

とはいえ、やっぱりしばらく経てば自ずとやるべきことも減ってくるもので

もうやることがないとなれば、後は散策でもしてみましょうか。
……仙桃……気になりますね。
邪気祓いとして縁起もいい
食べた味が気に入ったらいくつか、買って帰ります
なにかしら作ったりなんかもできるかもしれない

……ほんとうに。学生生活を始めてから…壊すが能の私らしくないことばかり考える



●らしくないこと
 壊すことぐらいしか、自分には能がないと思っていた。

 卑下ではなく、客観的事実だ……と、御門・白は自分では思っている。
 国を守護する。それが彼女の役目であり、すべてだったのだから。
 学園に来て多くの級友と交流をして、気まぐれに「学生」として日々を生きて。
 気がつけばこうして、人を殺すのではなく救うような仕事をしている。
「正直、かなりリソースを裂くんですが……人手は必要でしょう?」
 白と同じ姿をした式神が、あちこちに散らばって人々を手助けする。
 道術で重い荷物を持ち上げたり、建築物を「生やす」術式を支援したり。
 炊き出しのために列を整理したり、調理を手伝ったりと、やることは多い。
「こりゃあ孫行者もかくやだ、おみそれした!」
「おかげで助かってるよ、ありがとう」
「我らと似たような術をお使いなされるのですな」
 仙人や邑の住民たちは、白に笑顔を見せて感謝を述べる。

 ――感謝。
 思えばそれも、かつての自分には縁遠いものだった。
 国を守護するために己は在り、当然のこと。
 人が生きるために呼吸するのと同じようなものだ。
 だから、感謝などされたことはなかった。……畏れられたことはあるが。
「……どういたしまして」
 白は、この言葉はいまだに言い慣れないな、と思った。
 ただ、学園に来た頃に比べると、淀みなく言えるようになっていた。

『邑を守ってくれたうえに、手伝いまでさせちゃ悪い』
 誰かが言った言葉にみんなが頷き、白はお役御免となった。
 追放されたわけではない。感謝と敬意を払われた上での話だ。
 正直なところ、やるべきことが減っていたのも事実ではある。
「……仙桃……」
「おや、こいつが気になるかい? お嬢さん」
 桃を並べていた店主が、にかっと笑った。
「さすがに不老長命とはいかないがね、滋養たっぷりで甘くて美味しいよ」
「ええ、美味しそう。それに、邪気払いとして縁起もいいものですね」
「よければひとつどうだい? 気に入ったなら買っておくれ」
 瑞々しい桃が、カットされて差し出された。
 一口、齧る。疲れたせいか、甘みと酸味が心地よく身体に広がるのを感じる。
「……美味しい」
「お気に召したようでなによりだ! おまけをつけとくよ」
「……ありがとう、ございます」
 この言葉も、「どういたしまして」と同じぐらいに慣れない言葉。
 壊すだけが能のはずだった。壊すだけで、役目を果たせるはずだった。
 今は違う。もっと多くのことを考えて、感じて、為さなければならない。
(私は――……)
 やるべきことは増えているはずなのに、不思議な話だ。
 昔よりずっと、心は穏やかで満ち足りていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍・雨豪
お待ちかねの観光……の前に復興作業が先ね。
何か出来る事あったかしら?
……そっか。復興がすぐ終わるように願っちゃえば良いのよね。今日はもう戦う予定も無いし!
私の一日分の力で市場周辺を勝手に直して、色々売ってもらいましょ。

さて、観光の前に服の新調をしようかしらね。
今は人の身なれど、龍としては高貴な血筋だもの。身嗜みは大事よね。
うんうん。ちょっと丈が長くて動きづらいけど、良いんじゃないかしら?

次は掘り出し物の物色ね。
あっ、陶芸品があるじゃない!
色艶の良い、綺麗な曲線の青磁か黒陶を探して確保しましょ。

そして忘れちゃいけないのがお酒よね!
宴に参加して浴びるほど飲めたら、それだけで幸せよねぇ。



●お待ちかねの時間
「しっかし、あの古龍も派手にやらかしたもんだねえ」
「ああ。猟兵さんたちのおかげで、死人は出なかったのがなによりだよ」
 復興作業を進める住民たちが、何やら会話をしている。
「建物もかなり燃えちまったからなあ、こりゃまたしばらくかかりそ……うおっ!?」
 と、そのとき。
 彼らがバラしていた半焼済の建物が、めきめきと再生していくではないか!
「なんだこりゃ! おい、誰か仙術を使ったか?」
「い、いや! そもそもこの大きさの建物を作り直すことは出来ねえよ!」
「ああ、慌てないで。やったのは私だから」
 そこへにこにこ笑顔でやってきたのは、龍・雨豪である。
「あ、あんたが?」
「そうよ。ちょちょっと願いを叶えただけ」
 なんでもないことのように言うが、仙人たちからすればとんでもない術である。
 無論これには、雨豪の戦闘可能時間をそのぶん消費せねばならないのだが……。
「このお店、お服屋さんだったんでしょ? お洒落も見てみたいんだもの♪」
 などと言っているうちに、店は内装も含めて完璧に再生してしまった。
「ふふっ、これで完璧ね! じゃ、次のお店も直してくるとしましょうか!」
 浮かれた様子で歩いていく雨豪を見て、仙人たちはぽかんとしていた。
「とんでもねえな、ありゃあ……」
「ああ。あれが妖獣悪漢もぶっ倒す、ユーベルコードってわけだ……」
 猟兵の力は奇跡を起こす力。それは、仙人でさえ比肩し得ぬ超常である。
 雨豪の気まぐれさは、なるほど龍にふさわしいものであった。

 とまあ、そんなこんなで服を新調したり、陶芸工房を再生した雨豪。
 とんでもない方法で仕事場を取り戻した人々は、せめてもの礼にと無償での提供を申し出たのだが……。
「あら、ダメよ。素晴らしい仕事にはふさわしい対価があってこそ、でしょう?
 私はただ私のためにこうしたんだから、そんなことは考えなくていいのよ」
 と人ならざる者にして高貴な血筋らしいことを言い、丁寧にそれを辞した。
 代わりに必要な分だけの代金を払い、復興支援とする。
「この名物、色艶もいいし曲線が綺麗ね。気に入ったわ」
 いわゆる青磁袴腰の香炉を手に入れ、すっかり上機嫌である。
「おお、あんたかい! あの店をひょいと直しちまった猟兵さんてのは!」
「あら? そうだけれど、どうかしたの?」
「あんたのおかげで、俺らの仕事がなくなっちまったからさ。宴会をしてたのさ。
 どうだい、あんたはいわば主賓も同然。酒なら龜がいくらでもあるから呑んでくれ!」
「ふふっ、なら戴こうかしら? 宴のお誘いは断るのも無粋よね!」
 というわけで、雨豪が加わるといよいよ宴は盛り上がる。
 度数の強い紹興酒や白酒を浴びるように呑むさまも、まさしく龍のそれ。
「気持ちよく戦って仕事をして、ぱあっとお金を使って呑み騒ぐ。
 戦いのあとは、こうでこそよね。ああ、幸せだわ。さあ、もっと騒ぎましょう!」
「「「賛成っ!!」」」
 雨豪が盃を掲げると、陽気な住民らはどんちゃん騒ぎを再開した。
 あえてそれを咎める者もいない。今日は、彼らにとってのハレの日なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
うっし、おーわりっと…ウィズワーム・ハントも楽じゃねえなぁ
復興の方は…ワオ、便利だねえ。そんじゃあ俺の出る幕は無いな
いつも通り、適当に飯だの何だのをもらっておいてさ
どっかの木の上で、眺めてようかね

障害を排除したら、俺の役目はもうお終い
そっからどう生きるか、どう幸せになるかには関与しない
ランナーってのはそういうもんだ
影走りは光の中では生きられないし、分不相応でしかない
だからこれでいいのさ 一番良い生き方を見つけられたと思う
他の連中が納得して無さそうな気もするんだがね

とはいえ、猟兵案件が無くなれば、俺はただの罪人だ
影の中でしか生きられないのは、当然のことなのさ
足を洗う気?ハッハー、それは無いね



●ハント・アフター・ハント
 桃花が咲き誇る木々の上、人の目を避けるように寝そべる男がひとり。
「やれやれ。たくましいこって……ま、俺としても手間がかからんのが一番だ」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは竹の皮で包まれたチマキをかじり、笑った。
 彼のユーベルコードをもってすれば、復興作業も大きく楽になるだろう。
 しかし思った通りというべきか、多くの猟兵が彼らを手助けしていた。
 ならば、それでいい。己の領分を履き違えるほど、ヴィクティムは無粋ではない。
 それに自分はやはり、こうしてひとりでいるのが一番リラックスするものだ。

「オブリビオンは倒れ、トラブルは解決。ランナーはお役御免だ。
 障害を排除すれば、俺の役目はもうお終い……今回も、これからも、な」
 影を走る者に、日向を生きることは出来ない。
「許されない」のではなく「出来ない」のだ。そもそもの性分として。
 日向を生きることが出来るような人間なら、ランナーにはならない。
 どうしようもなく影に惹かれ、あるいは「そちら」が性に合ってしまう。
 そういう者こそが、ランナーとして生き延びられる……生き延びてしまう人間だ。
 ヴィクティムは「そういう者」だった。いまさら悲しむほど純粋でもない。
 だからこれでいい――彼はもし誰かに問われたら、そう答えるだろう。
 これが俺にとって一番いい生き方、一番らしい生き方であると。
 ……仲間たちは、そんな言葉に納得してくれなさそうではあるが。

 少し考えただけでも、そんなことを言いそうな連中の顔が山ほど浮かぶ。
 きっと言葉も態度も表情も違うくせ、言うことは一緒なのだろう。
 お前だって、光の中で生きていい。
 当たり前の安らぎを見出して、平和を享受していいのだと。
「ハッ」
 ヴィクティムは笑った。何も、彼らを揶揄したり、侮蔑しているのではない。
 むしろおかしいのは、そんなことを言われる分不相応な自分のほうだ。
 ただの罪人、仲間を裏切り破滅させ、落伍してなお生き続ける自分が、
 そんな台詞をかけられるような謂われはこれっぽっちもないというのに。
「お人好しが多すぎるぜ、この界隈はよ……ま、いいさ」
 どうあがいても、自分は変えられない。いい意味でも、悪い意味でも。
 ヴィクティムは最後の米粒を食べ終えると、ぐっと伸びをして立ち上がった。
 ざあっ、と風が吹き、桃の花の吹雪があたりを色で満たす。
 その風に乗って去っていったかのように、ヴィクティムの姿はそこにはない。

 影から影へ。日向から逃げるように、あるいは日陰を求めるように。
 この生き方は変えられない。足を洗うことなんて出来やしない。
 それでいい。それがいい。彼はこれまでも、これからも、同じ顔で笑う。
 狩りが終われば狩りが始まる。そうしていつか、ヴィクティムは死ぬだろう。
 おそらくはその時も、同じように笑ったままで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒルデガルト・アオスライセン
ごめん
はしゃぎすぎて、何本か消し飛んじゃった
代わりお店で見繕うから許して…

力の有無に関わらず土壇場で動ける方は信頼に値すると思います
人助けなんてするつもりなかったけど
彼等には難路を切り拓いて欲しい

じゃあ楽しい復興活動と行きましょうか
祭り〜?酒〜?見返すって言ったでしょう
今日一日を清く正しく過ごして貰うわ

焼けた残骸を集め、救助で空けた地下の空洞を埋め
結界で補強
UCで疲労回復

この地下さ〜
一部残して秘密基地かシェルターに使えるんじゃない?
龍を斬った武器を安置し
瓦礫や服に付着した鱗や革で仙界風に飾り付け
今ここに伝説の斧が誕生しました

心中で拱手
今日の試練を越えた自負が
苦難を耐える力になると信じて祈ります



●桃陵火殺
「…………ごめん」
 戻ってきたヒルデガルト・アオスライセンは、男たちに言った。
「はしゃぎすぎて、借りた武器、何本か消し飛んじゃった。
 代わりにお店で見繕うから、許して……」
 男たちはきょとんとしたあと、堰を切ったように大笑いする。
「はっはっはっは!! あんだけ俺たちを焚き付けておいていじらしいな!」
「いいんだよ、どうせくれてやるつもりだったんだ」
「そうそう。むしろ戻ってきても逆に困っちまうぜ」
 どうやら、さっぱり気にしていないらしい。ヒルデガルトは言う。
「でも、あれはあなたたちの武器であり、道具だったのでしょう」
「何言ってんのさ。――もういらねえよ、あんなもん」
 罪人の男は、晴れ渡るような笑みを浮かべて答えた。

「じゃあまあ、この問題は解決でいいわね」
 しかしヒルデガルトはシビアな女である。けろっとした顔で手をぽんと叩いた。
「なら、次は楽しい復興活動といきましょう。ほら、作業開始」
「あぁ!? おいおい、いまいい感じでまとまってただろうがよ!」
「つうか酒は!?」
「もう宴会始まってんだけど!?」
「はあ~? 見返すって言ったでしょう。だらけるの早すぎ」
 ヒルデガルトは気持ち砕けた様子で肩をすくめた。
「今日一日を清く正しく過ごしなさい。羽目を外すのはそのあとで」
「「「ちぇ~」」」
 男たちは唇を尖らせて、悪童めいて不平不満を垂れるが、取り付く島はなし。
 かくして、落伍者たちの最後にして最初の仕事は始まった。

 といってもやることは、ほとんど屑拾いと同じような地道な仕事だ。
 違うのは、拾うのが屑ではなく、自分のためでもないということだろう。
 焼け落ちた残骸を集め、仙人たちが再利用できるように運ぶのである。
 もちろん、ヒルデガルトが掘削した地下空間も埋めるのは忘れない。
「結界で補強すれば大丈夫でしょうね」
「いや、その前に休憩……」
「はい、回復してあげる。働きなさい」
「鬼だよこの娘っ子!!」
「聖女なんだけれど?」
 とかなんとか軽口を叩き合いつつ、作業は進んでいくわけだが……。
「……そうだ。どうせならこの地下の一部、そのままにしておかない?」
「「「はあ?」」」
「シェルター……って言ってもわかんないか。
 まあようは、同じような災害が起きたときのために逃げ込む避難所にするの」
「ああ、そりゃいい案かもしれねえなあ。最近はああいう妖獣が増えてるっつうし」
「でしょ? なら、御神体みたいなものがあると安心よね」
 そこでヒルデガルトが取り出したのは、あの罪人の斧であった。
「って俺のは残ってたのかよ!?」
「なくなったとは言ってないでしょう。一部だけよ一部」
「あんなかっこよくキメたのに格好つかねえなオイ……」
「代わりに伝説の斧として飾り付けてあげるわ」
 といっても、そのための資材はこぼれ落ちた鱗や革など、ガラクタばかりだが。
「はい、今ここに伝説の斧が誕生しました。邑の守り神です」
「ガキが手慰みで作ったガラクタにしか見えねえ」
「よし。あなたは作業追加ね」
「はあ!?」
「口は災いのもとだ! はっはっは!」
 男たちはどっと笑う。最初に見たときの陰鬱な様子はどこへやら。
 呑気に肩を小突き合う男たちを見て、ヒルデガルトは心の中で拱手をした。
(今日の試練を越えた自負は、いつかの苦難を耐える力となるでしょう)
 それはオブリビオンによるものかもしれないし、そうでないかもしれない。
 その時、ヒルデガルトが居るかもわからない……彼女は旅人だからだ。
 だから結局、彼女には祈ることしか出来ない。
 力なく、神にすがることしか出来なくなった者どもと、やることは同じだ。
 ……ただ、その祈りは無駄にはならないだろう。
 すがる者どもと違い、彼女と彼女らはなすべきを為したのだから。
「どうか、難路を切り開けるように」
 だからヒルデガルトは祈る。ただ、祈り続ける。
 彼らの幸福を。
 人々の幸福を。
 それが、少しでも長く続くようにと。ただ、祈る――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月03日


挿絵イラスト