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常闇を照らす一条の希望

#ダークセイヴァー #殺戮者の紋章 #闇の救済者 #黒騎士デューク

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●蜂起
 人類砦に集まった、生まれも育ちもばらばらの武装した千の混成軍。一見まとまりのない寄せ集めのようにも見える。だがたった一つ、ヴァンパイアに虐げられているという共通点で強く結束していた。
「時は来たれり! 我ら闇の救済者(ダークセイヴァー)が反攻に移る時がきた!」
「「おおーーーーー!!」」
 その軍勢の前で指導者らしき騎士の男が腕を振り上げ演説を始めた。
「今まで我々はずっと虐げられてきた……友を奪われ、家族を奪われ、愛する人を失い続けてきた……だがそれも今日、この時までだ!!」
「そうだ! 俺たちは奪われたものを奪い返すんだ!!」
 その言葉に集まった者たちは失った大切な人々を思い出し、悲しみに涙を浮かべ、憎しみと怒りを募らせ声を上げる。
「我々は今までこの手に何も掴めなかった。だが今この手には戦う為の武器がある。そして隣には命を預ける戦友が居る! 自分たちの力で明日を取り戻すのだ!」
「「オオオオオオオオオオッ!!!!」」
 騎士の言葉に士気を高めた戦士達が雄叫びを上げた。
「倒すべき敵はこの地を支配する領主『赤錆の騎士』! それを守る軍勢を駆逐し、首級をあげるのだ!!」
「「「ゥウウウウオオオオオオオオオオッ!!!!!」」」
 戦士達が大地を揺らすように足踏みし、槍の石突で地面を叩く。それは身体から溢れ出る怒りを表現しているようだった。
「では出陣だ!! 我らがこの世界を救う光となる!!」
 指導者が鞘から抜いた剣を掲げると、軍勢が一斉に進軍を開始した。

 目指すは街にある領主の館。待ち構えるオブリビオンの軍勢との戦いの火蓋が切られようとしていた。

●グリモアベース
「ダークセイヴァーの闇の救済者に動きがあった」
 バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が新たな任務だと作戦内容を猟兵達に伝える。
「各地で活動していた闇の救済者が連携を取り、千の軍勢を持てるまでとなった。そこで吸血鬼に対して反攻作戦に出るようだ」
 今まで小規模なグループだったが、少しずつ力を付けて合流していったことで、吸血鬼の支配者に反攻に出るに至ったのだ。
「ユーベルコードを使えるものはいないが、さまざまな種族の戦士が集まり、数の力で吸血鬼を討とうとしている」
 手始めに地方の小領主を討とうと、準備を整え軍事行動を起こした。
「勢いがある闇の救済者が優勢だという予想だが、吸血鬼側には第五の貴族の影がある。このままでは紋章を与えられた吸血鬼が援軍に派遣され、闇の救済者軍は全滅する」
 紋章を授かった吸血鬼は桁違いの戦闘力を発揮する。ユーベルコードの使えない戦士では対抗できないのだ。

「そこで諸君には闇の救済者軍に加勢してもらいたい。猟兵の力を以ってすれば、戦争を優位に進められる」
 闇の救済者軍は千の兵が集まっているが、吸血鬼側もまた大軍で迎え撃ってくる。猟兵が加勢して突破口を作れば、闇の救済者の軍勢が一気になだれ込めるだろう。
「そして勢いに乗って領主を討って勝利に導いて欲しい。領主は紋章持ちではないが強力だ。闇の救済者達で倒そうとすれば多大な被害が出てしまう」
 領主を討つだけの戦力はあるが、受ける被害は大きい。簡単に補充できる戦力ではないため、今後も戦い続ける事を思えば被害は最小限にしたい。
「勝利した後、闇の救済者を巻き込まぬように領主の館を離れ、派遣されてくる人族鏖(じんぞくみなごろし)の指令を受けた、『殺戮者の紋章』を持った吸血鬼を迎撃する事となる」
 闇の救済者に報せれば、勝利に浮かれている者は調子に乗って付いて来ようとするかもしれない。人知れずに動いたほうが安全だ。

「勝利に浮かれている時こそが最も危険な瞬間だ。だが彼らにとって仇敵である吸血鬼との初の戦争に勝利して浮かれぬ者などそうはいまい。諸君の力で仮の勝利を本当の勝利に変えてやってくれ」
 説明は以上だとバルモアは薄暗い死に満ちた世界へとゲートを開く。
「勝利というものは人を大きく変えるものだ。特に絶望に満ちている世界に生まれ育った者なら猶更な。この戦争に勝てばダークセイヴァーの人々は大きな一歩を踏み出すことになるだろう」


天木一
 こんにちは天木一です。
 ダークセイヴァーで闇の救済者がとうとう軍勢を率いて反攻作戦を開始します。それに加勢して戦争を勝利に導きましょう!

 第1章は闇の救済者と領主の軍勢が、領主の館がある街の近くの平地でぶつかり合う事となります。大規模な集団戦なので猟兵だけで勝利する事は出来ません。戦場が有利に動くように、猟兵が先陣を切って敵を撃破する事で、闇の救済者軍が勢いづきます。

 第2章は街にある領主の館に突入し、闇の救済者が敵の配下との戦闘を継続している間に、猟兵が領主である赤錆の騎士に戦いを挑みます。

 第3章では、街から離れ猟兵だけで人族鏖(じんぞくみなごろし)の指令を受けた、『第五の貴族』直属の刺客を迎え撃つことになります。敵は堂々とやって来るので、平地での戦闘となります。

 闇の救済者軍は人間やダンピールといったダークセイヴァー全ての種族の混成軍です。リーダーはダンピールのデュークという名の黒騎士で、最前線で指揮を執っています。

 複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページかタグにて。
 ダークセイヴァーに生まれた希望の光が消えないように、闇の救済者と力を合わせ勝利を手にしてください!
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第1章 集団戦 『首無しヴァンパイア』

POW   :    影移動
【血肉を求め、相手の影から自らの身体】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
SPD   :    影蝙蝠
自身が装備する【再生能力を有する蝙蝠】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    復元再生
自身の装備武器に【驚異的な再生力】を搭載し、破壊力を増加する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●開戦
「敵が見えたぞ!」
 闇の救済者軍が領主の街に向かって進軍していると、その行く手を塞ぐように街に続く平野に吸血鬼の軍勢が待ち構えていた。
「あれは……首無しの吸血鬼の群れか」
 先頭を進む指揮官の黒騎士デュークが敵の姿を捉える。それは首から上を食い千切られたように失い、それでも血肉を求めてさまようヴァンパイアの成れの果てだった。そのような姿になろうとも怖ろしい能力はまだ失ってはいない。闇の救済者軍にとっては強敵だった。
 展開する数はこちらに匹敵するほど多い。しかし怯む事無く黒騎士デュークは剣の先端を敵軍に向けた。
「我等に後退はない! 未来は常に前にある!! 全軍突撃!! 吸血鬼の軍を蹴散らして街に突入するぞ!!」
「「「オオオオオオオオオオオオ!!!!!」」」
 闇の救済者軍は自由な明日を求め、声を張り上げて怖れを振り払い前に足を踏み出す。死地を乗り越えなければ何も得られないのだと、常に奪われ続けてきたこの世界の人々は知っているのだ。

 世界を覆う絶望を破れると信じ、闇の救済者軍は首無しの吸血鬼の軍勢と衝突した――。
ウィルフレッド・ラグナイト
故郷の世界に生まれた希望の光
この光が更に世界を照らせるように私も頑張らなくては

「私が先陣を務めます」
ゼファーと一体になり、【ランスチャージ】を用いて敵陣の一角を打ち崩す
【範囲攻撃】や【なぎ払い】で攻撃を行い、相手の攻撃は【武器受け】でいなす
もしも傍に危険な状態の闇の救済者軍の人がいれば【ダッシュ】で救援に向かい【鼓舞】する
「大丈夫ですか?一人ではありません。一緒に切り抜けましょう」
彼らを助け、時には助けられながら、同じ志を共にする人たちが心強い

可能であればリーダーの黒騎士デュークと共に戦い
「見事な剣捌きですね。私も見習いたいものです」
彼も、ここにいる皆が希望
共にこの世界の未来を切り拓きましょう


九十九・ゆかな
いやー…これだけたくさん居ると指揮も大変そうっすねぇ…。できるなら戦闘プランを構築して賢く攻めたい所だけど、これはちょっと先陣切らないと不味そうっすよね。

という訳で…敵に接敵したら即座に【術式:炎熱領域】を展開。
一帯を炎の海に変えてあいつ等の再生力を阻害、私自身も盾と銃器を持ってその中を突貫して派手に暴れまわろう。焼夷グレネードでもっと炎を振りまこう。
吸血鬼だろうが首が無かろうが、焼き尽くして塵に返さないとね。

残党処理は後続の救済者軍に任せるとしよう。

ただ一つ、心配なのは「一帯を炎の海に変えるのはいいが自軍連中は大丈夫なのか」って所だけど…何とかなるっしょ。



●未来へ続く道
「故郷の世界に生まれた希望の光……この光が更に世界を照らせるように私も頑張らなくては」
 ヴァンパイアに支配される世界でも希望を胸に戦おうとする人々を見て、ウィルフレッド・ラグナイト(希望の西風と共に・f17025)は騎士としてその今はまだ小さい光を守ろうと小竜のゼファーと共に軍勢の前に出た。
「私が先陣を務めます」
 そう告げてユーベルコード『竜憑依:ZEPHYR』を発動し、白竜ゼファーと一体になり竜騎士へと姿を変える。
「未来への道を切り拓く――」
 多勢の首無しヴァンパイアの軍勢を前にしても怯まず、威風堂々とウィルフレッドは【白竜風槍ZEPHYR】を構えランスチャージを行う。背中に生える竜の翼に風を受け、疾風のように加速して吸血鬼の胸を貫き、勢いを止めずに続けて数体を串刺しにした。
「おお! 竜騎士殿が先陣を切られた! 我らも続くぞ!!」
「「オオオオオオオオオオ!!!!」」
 黒騎士デュークが剣を掲げて鼓舞すると、一斉に闇の救済者軍が後に続いて首無しヴァンパイアへと攻撃を開始した。


「前進!! このまま前進だ!」
「いやー……これだけたくさん居ると指揮も大変そうっすねぇ……」
 九十九・ゆかな(爆破系工兵。・f21098)は戦場を見渡し、総指揮官の黒騎士デュークの指示を受け、それぞれの部隊長が声を張り上げて命令を伝えている姿に、文明の利器が無くては連絡一つも大変だと改めて思う。
「できるなら戦闘プランを構築して賢く攻めたい所だけど、これはちょっと先陣切らないと不味そうっすよね」
 総指揮官の居る中央の動きは早いが、末端に命令が届くのは時間が掛かる。そのずれが敵の反撃を許すことにもなりかねないと、ゆかなは今までの戦場の経験から予測して動き出す。
「相手が再生能力の高い吸血鬼なら火攻めは定番っしょ」
 ユーベルコード『術式:炎熱領域』を発動し、空を眩く照らす炎で埋め尽くす。炎は雨のように拡散して戦場に降り注ぎ、大地が燃え上がり吸血鬼どもの体を焼き払う。
「吸血鬼だろうが首が無かろうが、焼き尽くして塵に返さないとね」
 ただ獲物を求める知性を失った吸血鬼は再生能力に任せて炎の中を構わず突き進むが、体が焼け続けてエネルギーを浪費していき、そこへゆかながセミオート散弾銃【ラヴィネーSAS200】をぶっ放して胸に風穴を開ける。すると内から炎に焼かれ、再生が間に合わなくなって崩れ落ち灰となった。
「ただ一つ、心配なのは『一帯を炎の海に変えるのはいいが自軍連中は大丈夫なのか』って所だけど……何とかなるっしょ」
 そこは自力で何とかしてもらおうと、ゆかなは銃弾を撃ちまくりながら炎の戦場を突貫した。

「炎の海が広がってます! 進めません!」
「見ろ! 吸血鬼どもが苦しんでいる! これは好機だ! 怯まず攻撃を繰り返せ! 炎に近づけないなら飛び道具で撃ち殺せ! 口を動かす前に手を動かせ!!!」
 炎を恐れず前に出る部隊長が怒鳴りつけると、マスケット銃を持つ兵士達が並んで構え、一斉に発砲して吸血鬼を穴だらけにする。それだけならば吸血鬼の再生力で耐えられた。しかし周囲に燃え盛る炎が傷口を塞がせず、再生だけで力を使い果たして燃え尽きていった。


「見よ! 我らの力は通じる! 武器を振るえ!! 吸血鬼に奪われた自由を取り戻せ!!」
 黒騎士デュークは指揮官でありながら炎をすり抜け前へ前へと出て、燃え上がる吸血鬼を剣で切り裂く。元は剣の腕一本でこの世界を生き抜いてきた戦士。指揮官という役目を担おうとも、戦いに於いては常に最前線こそが己のいる場所だと決めていた。
「見事な剣捌きですね。私も見習いたいものです」
 その横でウィルフレッドが【誓剣エルピス】を横に振るって迫る吸血鬼の胴を両断した。
「御謙遜を、騎士殿こそ見事な腕前。ご助力頂けて助かっております」
 言葉を交わしながらも、二人は止まらずに肩を並べて吸血鬼を斬り倒し、軍勢を引っ張るように敵陣を突き進む。
「勝てる! 俺たちでも吸血鬼に勝てるぞ!」
「よーし! この調子でガンガン行くぜ!!」
 続く闇の救済者軍の兵士達も勢いに乗って吸血鬼を屠っていく。しかし頭を失い知性を無くしても敵は元ヴァンパイア。その身体能力は人を上回る。剣で斬られ槍で突かれようとも、血肉を求める本能でナイフのような鋭い爪で襲い掛かる。
「うわっ!?」
 まだ若い兵士が何とか盾で受け止めるが、その盾がスパッと切られる。そして首に爪が届こうとしたところで、強い風が吹いて吸血鬼の腕がぼとりと落ちた。
「大丈夫ですか? 一人ではありません。一緒に切り抜けましょう」
 危機を察知したウィルフレッドが風のように駆けつけ、剣を振り下して敵の腕を斬り落としていた。
 吸血鬼は片腕を失っても構わずに反対の腕を叩き込もうとするが、それよりも速くウィルフレッドが剣を下から一閃し、腕ごと体を真っ二つに両断していた。

「た、助かった……ありがとう! あんたスゲーな!」
「気をつけろ! 敵は我らの宿敵である吸血鬼。油断出来る相手ではない!」
 兵士の気を引き締めるように黒騎士デュークが一喝し、すぐに炎に巻かれながら突っ込んでくる吸血鬼に剣を振るう。
「お、おう!」
「ほらほら、戦場で足を止めてたら的にしてくださいって言ってるようなもんっすよ」
 兵士の近くに特殊手榴弾【自作フレイムグレネード】が投げ込まれ、爆発と共に近づいていた吸血鬼達の集団を燃やした。
「うぉっ!!」
 驚いた兵士は慌てて熱から逃げるように屈む。
「戦争に慣れてないなら、自分が蹴散らした残党処理をお願いするっす」
 いつの間にか敵を焼き払いながら現れたゆかなが軽い調子でそう言うと、【金属製ライオットシールド】を構えながら慣れた手つきでグレネードを投げ、爆炎で態勢を崩した敵陣の中に散弾銃をぶっ放して突撃していった。
「お、おう!」
 面喰いながらも遅れまいと兵士達も続き、敵陣に楔のように刺さり深く浸透していった。

「この機を逃さず、敵の先鋒を打ち崩せ!」
 黒騎士デュークも我先に切り込み、一体でも多くの吸血鬼を討って後に続く仲間が有利になるように奮戦する。
「彼も、ここにいる皆が希望。共にこの世界の未来を切り拓きましょう」
 この道は未来に続くと信じ、ウィルフレッドも共に剣を振るって邪悪な吸血鬼の軍勢を切り崩した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

阿久間・仁
へェ、オブリビオン相手に大喧嘩仕掛けるたァいい根性してるじゃねェか。俺も混ぜろよな!ヒャハハ!

【切り込み、先制攻撃】で真っ先に突っ込むぜ!こんな楽しそうな喧嘩に乗り遅れるなんてあり得ねェからな!
頭にフルスイングかませねェのはちと物足りねェが、その代わり全身の骨バキバキに砕いてやっから覚悟しろや!

ヒャッハーしてるとどうしても背中の守りが疎かになっちまう。だからイフリート呼び出して守らせるぜ。
おめェも祭りに参加してェだろ?影から現れたバカに拳で思い知らせてやれ!


クオン・キマヴィス
両軍が激突するその瞬間に、上空から介入する。

「私が前に出る。後から勝手に付いて来て」

それだけ言い残して敵陣に突っ込む。【ウェポンエンジン】を搭載している【鉄塊剣】を使って【範囲攻撃】で敵をなぎ倒す。

私の身体は、ほぼ全てが機械で構成されたサイボーグ。だから血肉を求めて彷徨うヴァンパイア達は、必ず救済者達の方を襲うはず。

影から這い出て、救済者達に不意打ちを仕掛けてくるヴァンパイアには、太腿のホルスターから【マシンピストル】を【クイックドロウ】で引き抜いてから即座に撃ち込む。

「気を付けて。死んだら全て終わり」

ある程度は救済者達のカバーをしながら、敵を殲滅する方針。



●両軍激突
「前進だ! これより戦闘を開始する! 気合入れていけよ!!」
 中央からの命令が届き、闇の救済者軍右翼もまた敵へ向かって進軍を始める。
「へェ、オブリビオン相手に大喧嘩仕掛けるたァいい根性してるじゃねェか。俺も混ぜろよな! ヒャハハ!」
 金属バットを担いだ阿久間・仁(獄炎魔人・f24120)が楽しそうに笑いながら飛び出し、我先にと首無しヴァンパイアの軍勢に突っ込む。
「切り込み隊長は俺に任せろ! こんな楽しそうな喧嘩に乗り遅れるなんてあり得ねェからな!」
 勢いをつけて金属バットをフルスイングし、敵の胴を打ち抜いて骨を砕きボールのように吹っ飛ばす。放物線を描いて飛んだ吸血鬼は仲間と衝突して纏めてぐちゃっと粉砕された。
「頭にフルスイングかませねェのはちと物足りねェが、その代わり全身の骨バキバキに砕いてやっから覚悟しろや!」
 気合十分で仁は次の吸血鬼に向かって突っ込み、獲物にバットを振り下して上半身を叩き潰した。そんな仁を囲んで襲おうとする吸血鬼を、バットの一振りで纏めて薙ぎ払う。
「ヒャッハー!!」
 そしてこんな楽しい祭りを独り占めするのも悪いと、ユーベルコード『悪魔の拳骨』を発動して炎の悪魔【イフリート】を召喚した。
『小僧、我を呼び出して何の用だ?』
「おめェも祭りに参加してェだろ? 影から現れたバカに拳で思い知らせてやれ!」
 一方的に背中の守りを任せ、自分は目の前の敵に集中した。
『祭りだと? フンッ、この程度では小競り合いに過ぎんわ!』
 イフリートが腕を振るって、背後から近づく吸血鬼を薙ぎ払う。
「おお! 吸血鬼が軽々とふっ飛んでいく! 我々も続け!!」
 仁の特攻に士気を高めた兵士達が後に続いて突撃する。対して正面の吸血鬼は獣のように血肉を求めて飛び掛かった。


「始まったか、ではこちらも始めよう――」
 サイボーグ化されたボディに内臓されたブースターを噴射して空を飛んでいたクオン・キマヴィス(黒絢の機巧少女・f33062)は、無表情のまま急降下して戦闘を開始する。
「私が前に出る。後から勝手に付いて来て」
 味方の前衛の頭上を飛び越えながらそう言い残し、両軍が衝突する前に敵陣に突っ込んだ。
 勢いを乗せて手にしたウェポンエンジンを搭載した【鉄塊剣】を横薙ぎに振り抜く。纏めて何体もの吸血鬼の胴を上下に泣き別れさせ、肉塊を地面に転がした。
 そんな脅威だというのに、吸血鬼はあまりクオンへと敵意を向けない。その隙にクオンは好き放題に剣を叩きつけ、再生が間に合わぬ程の損傷を与えていった。
(私の身体は、ほぼ全てが機械で構成されたサイボーグ。だから血肉を求めて彷徨うヴァンパイア達は、必ず救済者達の方を襲うはず)
 その予想通りに、首が無く視力ではなく血肉への貪欲な第六感で動いている吸血鬼は、クオンを無視してたっぷりの血肉を持つ普通の兵士達の方へと向かい、その血肉を吸い上げる爪を鋭く伸ばした。
「かつては強力なヴァンパイアだったのだろう。だが頭を失っては獣と同じ、いや――獣の方が賢い」
 獣を狩るよりも簡単だと、クオンは通り過ぎようとする敵を剣で薙ぎ倒す。


 しかし血肉を得られぬ飢えた吸血鬼は、柔らかな肉と熱い血潮を渇望し、なんとしても手に入れようと足元の影から獲物の影へと移動する。
「オラッ! ぶっ飛べや!」
 目の前の敵をバットで吹き飛ばす仁の背後にぬうっと音も無く吸血鬼が現れる。そして凶器と化した鋭い爪を突き立てようとするが、その腕が炎の壁にぶつかって爪が折れて燃え上がる。壁と思ったそれは炎の悪魔イフリートの逞しい肉体だった。
『そんな軟弱な爪で我に傷がつけられると思ったか!』
 イフリートが拳を叩き込むと、吸血鬼の胴体が千切れてバラバラに吹き飛んだ。
「派手にやってるじゃねェか、こっちも負けてられねェな!」
 ちらりとイフリートの戦いを見た仁は、負けん気を発揮して金属バットを叩き込み、目の前の吸血鬼を風船のように破裂させた。

「凄いぞ! これなら相手が吸血鬼でも押し切れる!」
「おれ達も続こう!!」
 闇の救済者軍の兵士達も猟兵の活躍に続き、一斉に槍で吸血鬼を串刺しにして倒していく。だがその足元の影から不意を突くように背後に吸血鬼が現れた。
「あぶなっ――」
 それに気づいた仲間が止めようとするが間に合わず、爪が背後から心臓を貫こうとする。そこへ一発の銃声が鳴り響き、吸血鬼の手を吹き飛ばした。振り向けば、銃口から硝煙を上げる【マシンピストル】を構えたクオンが立っていた。
「気を付けて。死んだら全て終わり」
 クオンは続けて吸血鬼の体に弾を何発も撃ち込み、動かなくなったのを確認すると、その場に留まる事無く次の敵に向けて飛び込み剣を振るった。
「そうだ、まだまだ戦いは始まったばかりだ! 我々の目的は領主を打倒すること! こんなところで死んでいたら話にならん! 影を移動する吸血鬼の不意打ちを受けないように仲間に気を配れ! 隣の戦友の命を守るんだ!!」
 すぐに部隊長の男が声を張り、不意打ちの恐怖で部隊が崩れないように組を作り、緊張感を持って戦闘を継続させる。

「ヒャハハハハ! ビビッてたら喧嘩祭りは楽しめねェぞ!」
 委縮する兵士に仁が笑いかけ、背後など気にせずに突進すると金属バットを振り回し好き放題に暴れていた。影から吸血鬼が奇襲しようとすると、背後を守るイフリートがその燃える拳で殴り飛ばす。
「そうだ! 俺たちは吸血鬼どもを倒しにきたんだ! やるぞ!! 後ろに敵が出たら頼む!」
「おう! 任せろ!!」
 兵士達は前に出て敵に攻撃する者と、周囲を警戒する者とが組になって動き出し、影を移動した敵を見た瞬間に槍や剣を突き入れる戦い方をし始めた。
「敵の能力が分かれば対処は難しくない」
 クオンも自分の影から現れた吸血鬼に剣を振り下ろし、何もさせずにその体を両断した。
「慌てる事はない! 落ち着けば対処できる相手だ!!」
 猟兵が簡単に対処するのを見て、兵士達も落ち着きを取り戻して影から現れる吸血鬼を退治し、仁とクオンに導かれるように軍勢を前へと進軍させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花咲・翁
POWで対抗します。

「・・・影から自らを召喚し、追跡する・・・結構いい能力だけど・・・相手が悪かったね・・・」
幻影を操る【貪りし夢幻】を使い、敵のUCの対象を誤認させることで一か所に集め、【大罪の縛鎖】による【捕縛】、【なぎ払い】や味方の軍へ袋叩きさせる指示をだす【集団戦術】など、様々な技能を用いて【蹂躙】し、次々と敵軍を一掃していきます。

アドリブ連携OKです


荒覇・蛟鬼
折角“塵”の少ない世界に来たと思ったのに。
何故ヴァンパイアは骸魂なのでしょうかな。

■闘
はいはい、わかっております。骸魂討つべし。
しかし雲行きが少々怪しいですな。【いたずら雨竜】が
大雨を呼びそうです(私ですけどね)

最前線で空を眺めつつ【天候操作】を行い、雷鳴による
【マヒ攻撃】を絡めた【範囲攻撃】で敵の進軍を阻害。
動きが止まった瞬間、一気に仕掛けるのです。
敵の攻撃は【第六感】と【聞き耳】を駆使して気配を探り、
何か感じたらすぐその場から離れましょう。

味方に被害が出そうになった際は効果を一時的に回復へ
切り替え、傷が癒えたら再び攻撃に切り替えます。
助けたわけではございませんぞ。

※アドリブ歓迎・不採用可



●快進撃
「陣形を崩すな! 吸血鬼どもを押し戻せ!」
 左翼でも闇の救済者軍と吸血鬼軍がぶつかり合い、互いに攻撃が開始される。吸血鬼の高い身体能力に、闇の救済者は複数で当たることで優位を保っていた。しかしやられても再生する体を持つせいで、中々思うように進軍できずにいた。
「折角“塵”の少ない世界に来たと思ったのに。何故ヴァンパイアは骸魂なのでしょうかな」
 世を乱す“塵”であるヴァンパイアを目にした荒覇・蛟鬼(無可有を目指す・f28005)は、深く帽子を被って溜息を吐く。すると袖に潜んだ蛇の使い魔【濡姫】がちょろっと顔を出した。
「はいはい、わかっております。骸魂討つべし」
 それが己の役目ならば果たすだけだと、鋭い眼光で殺気を放つ。
「しかし雲行きが少々怪しいですな。『いたずら雨竜』が大雨を呼びそうです」
 薄暗い雲に覆われた空を見上げ、ユーベルコード『いたずら雨龍』を発動した。するとぽつぽつと雨が降り出し、あっという間に大雨に変わると雷鳴が轟き、暴風雨が吸血鬼達に襲い掛かり動きを止め、そこへ稲妻が落ちて薙ぎ払う。
「嵐だ!!」
「身を守れ! ……なんだ? 敵だけに雷が落ちている?」
 それを見た兵士達が脚を止めて防御態勢を取る。だが嵐は吸血鬼の軍勢の中心を通り、闇の救済者軍には被害を出さなかった。
「いたずら好きな雨竜の仕業ですな。動きが止まった今の内に仕掛けるのです」
「そうだ! 今がチャンスだ! 一気に押し込むぞ!」
「「おおおおーーーー!!!」」
 蛟鬼が人々に呼びかけると、兵士達は我に返って武器を構え、乱れた敵陣に突撃を開始した。


「このまま押し切れれば勝てる!!」
 勢いに乗った闇の救済者がそのまま押し切るかと思ったところで、足元の影から吸血鬼が突如として現れ、鋭いナイフのような爪で腹を貫かれた。
「ば、かな!?」
「吸血鬼が影から出てきたぞ!」
 慌てて周りにいた兵士が吸血鬼に槍を突き入れ、負傷した仲間を後退させる。しかし同じように影から現れる吸血鬼の所為で軍勢は乱れ始めていた。
「……影から自らを召喚し、追跡する……結構いい能力だけど……相手が悪かったね……」
 戦場で奇襲するにはいい能力だと思いながらも、花咲・翁(魔天牢の看守長・f33065)は既にそれに対抗する手段を用意していた。
「……我が身を喰らえ……"ウロボロス"……!!」
 ユーベルコード『骸融合「貪りし夢幻」』を発動し、手袋【貪りし夢幻】に宿るウロボロスと合体して一時的にオブリビオン化することで、生命力を対価に強大な力を発揮する。
「……これから貴様達が知覚できるのは、我が作り出す幻影だけだ……」
 幻影によって世界が塗り替えられたように兵士達の姿が消え、代わりに誰も居なかった場所に人の姿が集団で現れる。それを獲物だと知覚した吸血鬼達が影から飛び出し、爪を突き立て、血を撒き散らし爪から吸い上げる。
「あれは何をしてるんだ?」
 兵士が何が起きているのか分からないと凝視する。そこには何もない空間で爪を空振りする吸血鬼達の姿があった。吸血鬼が襲っているのは翁の作り出した人の幻影。その術を掛けられていない人々の目には吸血鬼達が一人芝居をしているように映った。
「……さあ、今なら一方的に攻撃できるよ……敵軍を蹂躙してしまおう……」
 翁が指示を出すと、兵士達もこの好機を逃すまいと動き出す。幻影に囚われている吸血鬼を槍で貫き、剣で斬り捨てる。吸血鬼は幻の血肉を楽しんだまま灰となっていった。


「押していますが、やはり負傷者が出るのは避けられませんね」
 吸血鬼と交戦して負傷していく兵士達を見て、蛟鬼は冷たい雷雨を止め、雲を闇の救済者軍の頭上に集めて温かな慈雨を降らせた。
「くそっ、やられちまった。寒い……くそっ! こんなところで足手まといになって堪るかよ!」
 腹を爪で抉られ倒れた兵士が気力を振り絞り這って動こうとすると、ぽつぽつと雨が顔を濡らしていく。
「雨か……温かい……なんだ、体が動く?」
 身体が軽く感じた兵士が起き上がり体を見下ろすと、腹に開いていた穴が塞がっていた。
「助けたわけではございませんぞ。戦いに必要だからしたまで」
 まったく素直じゃないなと濡姫がちろりと舌を出した。
「では精々働いてもらいましょうか。動けるなら武器を持ち前線を押し上げるのです」
「うおおおお! やってやるぜ!!」
「怖れるな! 俺たちには天の守り神が付いてる!」
 慈雨によって傷の癒えた兵士達が戦線に戻り、勢いづいた闇の救済者軍は吸血鬼軍を後退させた。

「……優位な時こそ、敵の動きに注意しないと……」
 そんな中、翁は吸血鬼がどう動くかを観察し、その姿が消えてまた影移動によって闇の救済者軍の勢いを止めようとしているのに気付いた。
「……そろそろ幻影の効果が切れる……これで終わりにしよう……」
 翁は幻影によって吸血鬼達の狙いを誤認させ、一カ所に移動させて生命力が尽きる前に幻影を打ち切った。
「……後は、味方が一方的に戦えるように、捕縛するよ…… 」
 棘付きの鎖【大罪の縛鎖】を放ち、吸血鬼達に巻き付けて動きを封じる。
「……敵が動きを止めている間に、皆で袋叩きにしよう……」
 翁がお膳立てすると、兵士達が集まって敵を囲んだ。
「動けない奴を攻撃するのは本当ならいい気持ちじゃねぇけどよぉ!」
「お前ら吸血鬼は今まで反抗できない俺たちをいたぶってきたんだ、やり返されても文句は言えないよなぁ!!」
 鬱憤を晴らすように兵士達が吸血鬼に攻撃を加え、全身を切り刻んで再生できないように完膚なきまでに叩き潰した。

「さて、この調子ならヴァンパイアの軍を突破できそうです」
「……まだ油断はできないけど……順調だね……」
 蛟鬼は戦況を見て順調に闇の救済者軍が押していると判断し、進軍を続ける兵士達が気付かぬようにフォローして後に続き、翁も兵士達に適時指示を飛ばし、陣形が乱れぬように気を引き締めて吸血鬼を一掃していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うーん、ノリに乗ってるねえ
勢いあって良いじゃない
この世界の人類がここまでくるとは感慨深いなあ
…ま、私は戦いがあればそれで良いけど
良いデータ収集だね
さてさて、それじゃあひと暴れいこうかな


《RE》Incarnationと空の記憶を抜刀
遠距離から『斬撃波』を飛ばして敵軍に牽制を掛けながら先陣を切ろうか
軍勢と接触したら両手の剣による『2回攻撃』敵の攻撃し、敵の攻撃は『武器受け』して捌く
そして【光剣解放】起動
数には数を
再生するなら、それ以上に破壊してやればいい!

1040本の光の剣を完全にランダム軌道で放出
兎に角近くの敵を『串刺し』にして数を削っていくよ

さあ、楽しい対軍戦闘を始めようか!

アドリブ等歓迎


霧島・絶奈
◆心情
ある意味歴史の分水嶺となる闘いなのかもしれませんね
…自身の組する勢力の為、尽力するとしましょう

◆行動
会戦であるならば数は重要な要素です

『暗キ獣』を使用
呼出した軍勢と共に【集団戦術】を駆使した【範囲攻撃】で敵を蹂躙します
そうですね…鋒矢陣による突破力を活かし強行突撃等が良さそうでしょうか?

突撃しつつ【罠使い】の技を活かし【目立たない】様に「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置
鋒矢陣の弱点である側面と後方を護りつつ更に敵殲滅の礎とします

私自身は【空中浮遊】で射線を確保しつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


愛久山・清綱
(大太刀を軽々と担いだ男が戦場を駆ける)
闇の救済者の勢いは、日に日に増してきている。
されど、戦いは終わる所を知らない。
■闘
俺は最前列に立ち、一気に斬りかかるぞ。
先ずは敵の軍勢まで接近を図り、【空薙・舞】で無数の
【斬撃波】を放ち【範囲攻撃】を仕掛ける。
前列のみならず、後方・真横にいる敵にも攻撃を加えることで
敵の隊列を一気に乱すのだ。
攻撃を加えたらすぐさま後方へ【ダッシュ】し離脱。

敵軍の攻撃は力を込めた【武器受け】で押し返しを試みるが、
万一囲まれそうになったら刀を瞬時に振るって【衝撃波】を
放ち、強引に脱出だ。

第五の貴族、人族鏖の紋章。
奴等も『斥候』に過ぎないのかもしれん……

※アドリブ歓迎・不採用可



●敵陣突破
「ある意味歴史の分水嶺となる闘いなのかもしれませんね……自身の組する勢力の為、尽力するとしましょう」
 霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は闇の救済者軍を勝利に導こうと、兵士達と共に前線に出る。そこには首を失った異形の吸血鬼達の軍勢が迫っていた。
「会戦であるならば数は重要な要素です」
 兵同士の戦いでは数こそが勝敗を決める要因の一つだと、絶奈はユーベルコード『暗キ獣』を発動し、屍者の軍勢と屍獣の群れを呼び出した。
「そうですね……鋒矢陣による突破力を活かし強行突撃等が良さそうでしょうか?」
 槍を構えた屍兵が前進させ、矢が突き刺さるように敵陣に楔を打つ。屍者も吸血鬼も死を恐れぬ者同士が殺し合い、吸血鬼の爪が屍者の首を刎ね、屍者の槍は心臓を貫く。普通なら致命傷の傷を受けても、互いに止まらず攻撃を続ける。そんな凄惨な戦いが繰り広げられた。
「互いに死を恐れぬ軍勢同士、ならば勝利するのは其れに加えて策を練る側でしょう」
 絶奈は罠を設置し、敵がこちらの縦長になった陣形の側面に近付いたところで、サーメートを起爆させて爆炎によって呑み込む。
「鋒矢陣の弱点を護れば、後は軍勢の突進力で敵陣に穴を開けるだけです」
 屍兵の後ろに待機していた屍獣の群れが突進し、敵陣に作った楔から一気に吸血鬼を蹂躙していく。
「おおっ!! 吸血鬼の軍勢が乱れてる! 我々も後に続くぞ!!」
「「うおおおおおおおおお!!」」
 闇の救済者軍の兵士達も鬨の声を上げ、屍の軍勢の後詰めとして吸血鬼へ攻撃を始めた。


「このまま領主の元にまで突き進むぞ!」
「「ゥオオオオオオオオオオオオオ!!!」」
 闇の救済者軍は勢いに乗り、首無しのヴァンパイアの軍を押していた。
「うーん、ノリに乗ってるねえ。勢いあって良いじゃない」
 そんな様子を月夜・玲(頂の探究者・f01605)はスポーツ観戦のように眺める。
「この世界の人類がここまでくるとは感慨深いなあ……ま、私は戦いがあればそれで良いけど」
 初めてこのダークセイヴァーに来た時に比べると随分と状況が変わったと、かつては無気力だったのに今では活力に満ちた人々の顔を観察した。
「良いデータ収集だね。さてさて、それじゃあひと暴れいこうかな」
 過去と現在のデータ比較は有用だと微笑み、玲は【《RE》Incarnation】と【空の記憶】を抜刀して二刀を振るい斬撃波を飛ばした。兵士を襲おうとしていた吸血鬼の腕を斬り飛ばし、胴を上下に両断する。そして敵陣が崩れたところに突撃し、斬撃で次々と吸血鬼を斬り伏せていった。
「おおおおおおおお!! 続け続けーーー!! 孤立させるな!!」
「遅れるな! 今なら一気に切り崩せる!」
 そこへ遅れじと兵士達も続いて吸血鬼を仕留め、どんどん敵陣の混乱を広げていく。
「いいね、ならもっと暴れようか」
 必死の顔で自分に続く兵士達をちらりと振り返り、玲は口元の笑みを深めてユーベルコード『光剣解放』を発動する。
「数には数を――再生するなら、それ以上に破壊してやればいい!」
 玲の頭上に1040本もの光の剣が空を覆うように浮かび上がる。
「さあ、楽しい対軍戦闘を始めようか!」
 それらが次々とランダム軌道で放出され、吸血鬼を串刺しにしていった。
「すごい……」
「勝てる……! これなら吸血鬼の軍勢にだって勝てるぞ!」
 その圧倒的な戦闘力を目にした兵士達は、士気を高めて自分達も吸血鬼に斬り掛かる。


 血生臭い戦場を大太刀【空薙・剛】を軽々と担いだ男が駆ける――。
「闇の救済者の勢いは、日に日に増してきている。されど、戦いは終わる所を知らない」
 突撃する軍勢の最前列を疾走する愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)は、勢いよく突っ込んで来る吸血鬼の群れを正面に捉え、ユーベルコード『空薙・舞』を仕掛ける。放つ一振りの斬撃。されど無数の斬撃波が舞い踊るように放たれ、視界に入っていた周囲の吸血鬼達が逃げ場も無くズダズダに切り裂かれた。
 高い再生力を持つ吸血鬼は肉を繋げようとするが、バラバラになった肉片を繋ぎ合わせる途中で力尽きて灰となっていった。次の敵が接近してくる前に、清綱は反転して後退し味方と合流する。
「次は俺たちの番だ! 目にもの見せてやるぞ!」
「「オオオオオオオオオ!!!」」
 出足を挫かれた吸血鬼達の勢いが落ちた。そこへ勢いに乗った闇の救済者軍が突撃し、槍を突き入れ吸血鬼を貫く。
「これで敵軍の勢いは止められたか」
 清綱は兵士達と共に斬り込み、多数で吸血鬼を叩く状況を作って、連携して敵を切り捨てていく。しかし吸血鬼はしぶとく、一太刀斬った程度では這うようにして爪で足を狙ってきた。
「各々気をつけよ、此奴等は止めを刺すまで動くと思え」
 声を掛けながら清綱は腕を斬り落とし、胴を二つに裂いた。
「おい! 倒れた吸血鬼は槍を刺して死んでるか確認しろ!!」
 清綱の警告を受け、兵士達は倒れた吸血鬼に止めを刺していく。


「再生力が高い。首が無くても吸血鬼の能力はしっかり残ってるみたいだねえ」
 玲は光の剣で串刺しにされた吸血鬼が傷口を再生しながらもがく様を観察する。
「でも再生能力にも限りはある。魔力が切れたら終わりかな」
 暫くすると再生が途切れ、吸血鬼が倒れ込んで灰に変わった。
「でも確かに普通に切り合ったんじゃ厄介な相手だね」
 闇の救済者軍だけでは苦戦するのも仕方がないと、光の剣を新たな敵に飛ばして体を地面に縫い付ける。それでも吸血鬼は爪を振り回して暴れていた。
「再生させるな! 確実に仕留めていけ!!」
 そこへ兵士達が槍を突き立て、吸血鬼に止めを刺した。
「連携した方が効率がいいね。どんどん数を削っていくよ!」
 玲が光の剣を飛ばして吸血鬼の動きを止め、それを兵士達が仕留める形で一気に領主軍を蹴散らした。

「敵兵を残せば後の禍根となるでしょう。此処で殲滅します」
 ふわりと浮かんだ絶奈が散り散りになった吸血鬼に黒剣と白槍で襲い掛かり、一息で斬り伏せる。さらに逃げ道を塞ぐように屍の軍勢が包囲し、一体も逃さぬと殲滅戦を開始した。
 対して吸血鬼は獲物から血肉を得ようと爪を突き立てる。
「喰らいたければ喰らいなさい。お望みのモノが得られるとは限りませんが」
 吸血鬼は自らに噛みつく獣の背を爪で裂き、肉を奪い取って手から吸収する。しかしその手がどす黒く染まり腐っていく。屍獣は疫病を纏いそれを喰らう吸血鬼に感染させていた。
「見境の無い捕食者ですが、此の戦場では貴方方が喰われる側です」
 屍兵が吸血鬼を槍で突き、獣が牙を立てて肉を食い千切る。吸血鬼は再生しようとするが、喰い続けられてやがては力尽きて灰となった。

「此のまま敵陣を突破するとしよう」
 清綱は大太刀を振るって吸血鬼を袈裟斬りに断ち、死体を跨いでさらに前へと踏み出す。突出する清綱を吸血鬼達は喰らおうとするが、横薙ぎに大太刀を振るって衝撃波を放ち弾き返す。
「なんて剣技だ……!」
「だが一人じゃ多勢に無勢だ。俺たちでも死角を塞ぐくらいはできる!」
 兵士達が清綱に続き、その背中を護るように吸血鬼と戦う。
「背中は任せたぞ」
 意気軒昂な兵達に背後は任せ、清綱は前へ前へと斬り込み吸血鬼達を倒し道を開く。
「遅れるな! 俺たちも行くぞ!」
「「オオオオオオオオオオ!!」」
 兵士達も武器を振るい、遅れずにその背についていく。勢いは留まることを知らず、吸血鬼の軍勢が大きく崩れた。

「ここが勝負所だね。みんな準備は良い?」
「もちろん!!」
「いつでも大丈夫でさ!!」
 目の前の敵を斬り倒しながらも戦況を見ていた玲がチャンスだと声をかけると、兵士達も吸血鬼をぶっ倒しながら返事を返した。
「これで勝負を決めるよ!」
 玲が光の剣を放って道を作るように吸血鬼の串刺しを築き、そこへ兵士達が一丸となって突撃し、敵陣を切り崩し突破した。
「……見えました。あれが領主の支配する町ですね」
 空に浮かぶ絶奈が軍勢の進路上に大きな町を見つけた。その中央にはこの世界に似合わぬ立派な館がある。
「第五の貴族、人族鏖の紋章。奴等も『斥候』に過ぎないのかもしれん……」
 清綱はまだこの世界を支配する真の敵には届かないのかと考える。
「しかし我々に出来るのは一つずつ敵を潰すことだけだ……」
 ならばそれを成して、一歩ずつ近づこうと闇の救済者の軍勢と共に町へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エルザ・メレディウス
【メレディノ】
この戦いが、この世界の未来を照らす光になるのなら...。

万の軍団だろうとも破ってみせましょう...!

■戦闘■
ロランさんのUC発動に合わせて、私もUCを発動。

ロランさんが作った迷宮の出口の一番前には、遥翔君が待機

その後ろで遥翔君の攻撃に巻き込まれない位置に、私と召喚した部隊がぐるりと出口を囲むように待機。


迷宮を出てきた敵は、まずは、遥翔君が攻撃を。

遥翔君の攻撃終了後にも生き残った敵を狙って、ローマ兵による【槍投げ】を。一人も生きては帰しません。

部隊を【鼓舞】しながら、全員のやる気を↑。【集団戦術】に気を付けて、部隊がしっかりと連携して…敵の全滅を狙います


久遠寺・遥翔
【メレディノ】で参加
【ダッシュ】【空中戦】によるヒットアンドアウェイで敵を挑発し
【第六感】と【視力】を合わせて心眼で敵の攻撃は【見切り】つつ
ロランのUC発動場所まで敵の軍勢を誘い込む
迷宮が始動したらその出口に一人立って相手を待つ
敵が疲弊して脱出してくるのを見計らってUC発動
範囲内の全ての敵をイグニスの焔で【焼却】
焔を媒介に【生命力吸収】で自身の継戦能力も高めながら相手の再生を阻害しつつ
焼け残った相手は延焼の状態異常とエルねえの兵士たちの槍による追撃
さらに自らも焔の剣による【2回攻撃】【範囲攻撃】でひとつひとつ確実に仕留めていくぜ
「在るべき場所に還れ、死者ども」


ロラン・ヒュッテンブレナー
【メレディノ】で参加なの

ちょっと恐いけど、【勇気】を出して、みんなに演説なの
※人見知り
【コミュ力】と【礼儀作法】に則って、
この地に残ったわずかな貴族、ヒュッテンブレナー家の嫡男として、お願いするの
「闇の救済者」のみんな、合わせて

狼の感覚(嗅覚聴覚の【聞き耳】と【暗視】)で【情報収集】と【索敵】
遥翔さんが誘い込んでくれたら、
街の【地形の利用】した迷宮を構築するの
【高速詠唱】でUC発動

【浄化】の【属性攻撃】罠で体力と魔力を削るよ
みんな、出口で待機して
出口は三角州の様に広く囲う形状なの
中の様子は壁の魔術回路で【追跡】してるの

もうすぐ出てくるよ
先生、遥翔さん、みんな、今なの!
戦果の分析もしとくね



●領土侵攻
「領主のいる町が見えた! このまま進軍せよ! 町を守る最後の防衛部隊を撃破し領主の首を獲る!!」
 闇の救済者軍を率いる黒騎士デュークが、町の防衛に展開する吸血鬼部隊を剣で指し示した。
「「ゥオオオオオオオオオオ!!!」」
 兵士達はとうとうここまで来たと、興奮して雄叫びを上げて進軍速度を早めた。

「この戦いが、この世界の未来を照らす光になるのなら……」
 エルザ・メレディウス(執政官・f19492)は人々の戦う意思に溢れる顔を見て、そこに希望の光を感じ取る。
「万の軍団だろうとも破ってみせましょう……!」
 その光を決して消させはしないと、エルザは領主の町を守ろうとする大量のヴァンパイア軍に立ち向かう。
「死者に今を生きる人々の未来を奪わせはしないぜ!」
 共に敵軍に対峙する久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)も、闇の救済者の兵士達の未来を切り拓こうとする熱い意思を感じ、その手助けをしようと己が心も熱くさせた。
「ちょっと恐いけど、勇気を出して……」
 尻尾を不安そうに揺らしながら、人見知りのロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)が闇の救済者軍の前に出て演説を始める。
「この地に残ったわずかな貴族、ヒュッテンブレナー家の嫡男として、お願いするの。『闇の救済者』のみんな、これからヴァンパイアを一網打尽にするの。だから、ぼくたちと力を合わせてほしいの」
「貴族……そういやヴァンパイアが現れる前にいたって爺様に聞いたことがあるな」
「俺たちを何度も助けてくれた猟兵の頼みなら信じられる」
 ロランの言葉に若い兵士達はヴァンパイアの支配する世界しか知らず困惑するが、今まで何度も闇の救済者に救いの手を差し伸べてきた猟兵の言うことならばと信用する。
「よし! 協力して吸血鬼どもを皆殺しにするぞ!」
「「おおおおおおおおお!」」
 兵士達が雄叫びを上げ、ロランは大きな声にビクッと耳を倒しながらも、話を聞いてもらえたことに安堵してほっと息を吐いた。

「それじゃあ、みんなでこの位置で待機なの。ここまで敵を誘い込むの」
「その役目は俺が引き受けるぜ!」
 ロランが作戦を説明すると、遥翔が快活に引き受け、敵を誘導する為に焔黒騎士フレアライザーに変身して飛び立つ。
「首無しのヴァンパイアか、まずは一当てだ」
 敵軍に遥翔は町の上空から強襲し、すれ違いながら【焔黒剣イグニス】で吸血鬼の体を横に断ち切って上昇する。吸血鬼達が血肉を求め攻撃しようとする頃には既に遥翔は空にいた。
「どうした? お前等の食いたがってる血の肉もここにあるぜ?」
 挑発してまた急降下しながら斬撃を浴びせ、敵の注意を引き付ける。そして軍勢を引き付けて作戦予定地まで移動を始めた。


「遥翔さんが上手くやってくれたの」
「ではこちらも始めましょう」
 遥翔が頭上を飛び去り、それを追って敵軍が進撃してきた。予定位置に入ったところでロランとエルザは行動を開始する。
「展開空間読み取り、定義完了。ラビリンスマップ、作成完了。広域錬成式、描画。ラビリンス、錬成開始」
 町の出口付近でロランが機械音声のように呟きユーベルコード『捕え惑わし疲弊する魔域の監獄』を発動する。突如として迷宮が姿を現わし、吸血鬼軍をその中へと取り込んだ。
「こちらも準備は万端です。この戦いは世界に希望を取り戻す為のもの、決して負けられません……!」
 義憤を感じるエルザはユーベルコード『ローマの剣』によってその出口に90体近い精鋭ローマ歩兵を召喚して包囲した。

「みんな、出口で待機して。出て来たところを叩くの」
 敵を迷宮に閉じ込めるのに成功すると、ロランは闇の救済者軍の皆に声をかけた。
「「おう!!」」
「この場所なら俺たちが圧倒的に有利だ!」
 迷宮の出口は三角州の様に広く囲う形状で、狭い出口から現れる敵をこちらは多数で迎え撃てるように作られてあった。
「先頭は任せろ!」
 遥翔が出口の一番前に着地して剣を構える。その後方にエルザとローマ歩兵。そして闇の救済者の兵士達が布陣していた。
「もうすぐ出てくるよ。先生、遥翔さん、みんな、今なの!」
 迷宮内を通る魔術回路によって敵の位置を把握していたロランが声を上げると、出口を通って吸血鬼達が現れる。吸血鬼は迷宮によって体力と魔力を吸われ弱りながらも飢えを満たす執念で外に脱出してきた。

「まずは纏めて焼いてやる。忘却を超えて刻め、始まりの焔――プロメテウス・ビヨンド!」
 遥翔がユーベルコード『星を生む原初』を発動し、イグニスの骸魂に導かれ星の核から原初の真焔を放った。恐るべきエネルギーが放出され、一瞬にして吸血鬼達が燃え上がり内からも焼かれて黒焦げの炭に成り果てた。
 しかし持ち前の再生能力を活かし、焼かれながらも歩みを止めず焦げた仲間を踏み潰して前進してくる。
「流石に全ては倒し切れないか! エルねえ頼んだ!」
 剣を振るって遥翔は吸血鬼を斬り伏せるが、次々出て来る敵を仕留め損ない始め、後方への侵入を許してしまう。
「任せてください……一人も生きては帰しません……!」
 エルザが指示を出し、ローマ兵が一斉に槍を投げる。しなって飛んだ槍は吸血鬼を貫いて串刺しにした。
 多くの吸血鬼はそのまま灰に変わるが、まだ這って傷口を再生させる者もいた。
「みんな! 出番なの!」
「段取りはいいな? 攻撃開始!」
 そこへロランが指示を出すと、兵士達はまずマスケット銃を発砲し、敵に損傷を与えて動きを鈍らせてから槍で突く。そして剣で止めを刺して灰にしていった。
「やった! やれるぞ!」
「油断するな!! 猟兵の方々がお膳立てしてくれてるのを忘れるな! 次が来るぞ!」
 吸血鬼を容易く倒したことに興奮する兵士達を、部隊長が怒鳴りつけて引き締め、まだまだ現れる吸血鬼との戦いに集中させる。

「我々の活躍に世界の未来がかかっています……勝利して希望を掴みましょう……!」
「「おおおおおおおおおおお!!」」
 エルザが皆を鼓舞し、ローマ兵と闇の救済者軍は肩を並べて、包囲を突破しようとする敵を協力して包囲殲滅する。しかし敵は無限にいるように次から次へと湧いて出た。
「みんな! もう少しなの!」
「よーし! 最後まで気を抜くな!!」
 迷宮内の敵が少なくなっていると感知したロランが声を上げると、終わりが見えたことで兵士達も活気づき、疲れた体に喝を入れ気張って武器を振るう。
 そうして出て来る敵の数が減り、最後の吸血鬼と遥翔が対峙する。
「在るべき場所に還れ、死者ども」
 遥翔が上段に構えた剣を一閃し、爪を刺そうとした吸血鬼を真っ二つに断った。


「やった……やったのか………?」
「やったんだ! 吸血鬼どもを打ち破ったぞ!!」
 兵士達が武器を振り上げて吸血鬼軍を打ち破った事に歓声を上げた。
「このまま町を制圧するぞ!!」
 勢いに乗ってまだ町中に残っている吸血鬼の残党を根絶やしにしようと、闇の救済者軍は町の中へと進軍を始めた。
「やったの!」
 ぴょんと跳ねるロランが大きく尻尾を振って喜びを露わにする。
「次は領主との戦いか、この勢いで倒しちまいたいな」
 兜を外した遥翔が汗を拭い、準備運動で体が温まってきたところだと不敵に笑う。
「ロランさん、遥翔君、私たちも向かいましょう」
 エルザの言葉に頷き返し、3人は皆と共に領主の館に向かった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『赤錆の騎士』

POW   :    強撃
【瞬時に間合いを詰め、二刀の剣】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    致命へと繋がる
【剣による打ち払い】が命中した対象に対し、高威力高命中の【刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    切り裂き詰める
対象のユーベルコードに対し【超常すら切り裂く斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィーナ・ステラガーデンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●領主の館
「我らが狙いは領主の首! 居場所を探せ!!」
 黒騎士デュークが剣を振るって吸血鬼の残党を切り裂く。領主の館は広く、そこに配備されていた吸血鬼も多い。室内戦で影移動する首無しヴァンパイアに足止めされながらも、少しずつ部屋を制圧していった。
「デューク! 領主を見つけたぞ!」
「どこだ!!」
 部隊長の案内で慌ただしく向かうと、爛々とした明りの灯るダンスホールのような広間の中央に、錆びたような赤い甲冑を纏う騎士が堂々と立っている。
「死ね! 赤錆の騎士!!」
「待て!!」
 デュークの制止も聞かず、血気盛んな兵士が部屋に飛び込み、真っ直ぐ突撃して槍を突き刺そうとする。しかしその穂先はカランカランと床を転がっていた。
「え?」
 気付けば兵士は天井を見上げている。そこには二刀を構える領主『赤錆の騎士』が立っていた。そして視界の端に首を失った自分の体が見えた。
「お、れの……」
 手を伸ばそうと思ったところで首だけになった兵士は絶命する。
「未熟……」
 赤錆の騎士は並の者では目にも留まらぬ速さで二刀を振るい、槍を切り落とし、首を刎ねていた。
「この場所では多勢で包囲できんか……」
 仲間がやられて悔しく思いながらも怒りを我慢し、黒騎士デュークは戦場となる室内を見渡す。出入り口が狭く窓もない。置かれたテーブルや椅子が邪魔をして包囲も遣り難い。
 敵は部屋に入ってきたものを順番に仕留めていけばいいのだ。明らかに多勢と戦う事を考えてこの部屋を戦場に選んでいた。

「少数精鋭で攻めるしかないな――」
「待て! デューク、指揮官のお前は後だ! 先に俺がいく!」
 先んじて広間に入ろうとした黒騎士デュークを部隊長が体を割り込ませて止める。
「指揮官になった時に決めたはずだ。指揮官だろうと俺が先陣を務めると」
「部隊を率いるなら先陣でもいい。お前の為ならみんな盾となって死ぬ覚悟だからな。だがこれはダメだ。お前を護れない」
 部隊長が首を横に振り真剣な目でデュークを諭す。
「馬鹿な……そんなことを俺は頼んでいないぞ!」
「お前が俺たちのリーダーだ。そして今の俺たちにリーダーを務められる変わりはいない。ようやくまとまった千の兵がまた散り散りになっちまうぞ!」
 そう言われては反論しようとした黒騎士デュークの言葉も詰まった。種族も何もかもバラバラだった人々を纏め、指揮できる人材となると早々居るものではない。
「だがここで領主を討たなければ――」
 そう言いかけたところで、揉める二人を素通りして部屋に入る人影があった。

 猟兵はここは任せろと、頼もしい背中を見せて領主が待ち構える広間へと入っていった。
阿久間・仁
ケッ、俺とタイマン張ろうってのか?上等だコラァやってやろうじゃねェか。

ヨーイドンで始める喧嘩なんざありゃしねェ。椅子ぶん投げる【先制攻撃】が喧嘩始めの合図だ。
防がれたって構わねェ。その隙を突いて野郎との間合いを詰めて、その勢いのまま体当たりをブチかます!【ダッシュ、体勢を崩す】

向こうも詰めてくる気だったみてェだが、野郎がなんかする前に殴る蹴るのボーコーってやつでシバき倒してやるぜ。
それでも反撃はしてくるだろうが、だったらバットで受け止めてやる。
俺の炎で鍛えてんだ。さっきの槍みてェに簡単には斬れねェぞ?【武器受け】

トドメはイフリートも手伝わせる。二人で渾身のストレートパンチ叩き込んでやるぜ!


ウィルフレッド・ラグナイト
デュークと部隊長よりも前に出て
「ここは任せてください。戦いはまだこの先も続くのですから」
彼らは皆を率いていく。ここで死なせるわけにはいかない

赤錆の騎士の攻撃は剣と騎士槍で【武器受け】し、致命的になる一撃は回避する
もし受けてしまった場合は【激痛耐性】で耐える
相手の隙を見出したらゼファーの援護を受け、【ランスチャージ】や【鎧無視攻撃】を併用しUC風翔彗竜突で攻撃

赤錆の騎士と戦いながら
「貴方が人々を斬り捨てるのなら、私は人々を守るために剣を振るいます」
「甘いと思われようと、それが私の道」
「人々を守り、明日を守るために……私は戦う」
この戦いが、いつしか大きな希望に繋がると信じて



●吸血鬼の騎士
「次に死ぬのは貴様か……」
 血に濡れた剣を持つ赤錆の騎士が部屋に入ってきた猟兵へと視線を向ける。
「ケッ、俺とタイマン張ろうってのか? 上等だコラァやってやろうじゃねェか!」
 真っ先に部屋に飛び込んだ仁が、偉そうに部屋にふんぞり返っている敵に啖呵を切った。
「威勢は良いが、ここは戦場――口ではなく力で示してみせよ!」
 口だけならば容赦なく斬り捨てんと赤錆の騎士が踏み出した。
「ヨーイドンで始める喧嘩なんざありゃしねェ!」
 間合いに入れば斬り捨てると鋭い殺気を放つ敵に近付く前に、喧嘩始めの合図だと仁は椅子をぶん投げた。それを赤錆の騎士は剣で斬り払う。
「このようなもので我が傷を負うとでも――」
「思ってねェよ!」
 言い終わる前に、椅子を追い駆けて接近していた仁が既に目の前に迫り、勢いのまま体当たりをブチかました。
「むっ」
 突進の衝撃で押し戻された赤錆の騎士が態勢を崩す。そこへ仁が金属バットを振り抜いて叩きつけ、甲冑の上からでも関係なくボコボコに殴り続ける。
「このままシバき倒してやるぜ!」
 ユーベルコード『喧嘩闘法』によってバットに拳に足にと、殴り蹴りの怒涛の攻撃を繰り返し、敵をじりじりと後退させていった。

「烈火の如き攻撃よ、されどこれは武に非ず。ただの暴力なり」
 赤錆の騎士は攻撃の合間に割り込んで、左の剣を低く振るって脚を斬り落とそうとする。だが金属同士がぶつかる甲高い音と火花を散らし、金属バットによって受け止められた。刃が立ち切ろうとバットに浅く食い込むが、それ以上切れずに勢いを失った。
「俺の炎で鍛えてんだ。さっきの槍みてェに簡単には斬れねェぞ?」
「ただのメイスかと思うたが、なかなかの業物だったか」
 ならばと赤錆の騎士は右手の剣を突き入れ、不敵に笑う仁の心臓を狙う。
「そんなモンでやられるかよ!!」
 上体を逸らして突きを躱し、ブリッジするような体勢から敵の顎を蹴り上げる。ガツンッいい一撃が入る音がするが、赤錆の騎士は踏み止まって二刀を振り上げた。
「我が命を奪うにはまだ足りぬ……カァッ!!」
 そして同時に強く振り下ろした刃が火花を散らす。仁がバットを横にして受け止めていた。
「この野郎!」
 仁は押し戻そうとするが、赤錆の騎士は剣を振り抜き、爆発したような衝撃波が起きて仁を周辺の椅子ごとまとめて吹き飛ばし壁に叩きつけていた。
「素質はある。だがまだ粗削りだ。それではこの身に届かぬ――残念だが、ここで出会ったがお主の不運よ」
 赤錆の騎士が止めを刺そうとゆっくりと歩み寄る。


「猟兵殿が!」
「俺が加勢に――」
 固唾を飲んで見守っていたデュークと部隊長が部屋に入ろうとするが、それを人影が遮った。
「ここは任せてください。戦いはまだこの先も続くのですから」
 ウィルフレッドが部屋に飛び込み赤錆の騎士へと接近する。
(彼らは皆を率いていく。ここで死なせるわけにはいかない)
 この場で命を懸けるのは我々だけでいいと、ウィルフレッドは風を纏うと騎士槍を手に突っ込んだ。
「仲間か……どこぞの騎士崩れと見たが、どれほどの腕か見せてみよ」
 心地よい殺気を感じた赤錆の騎士が振り返り、胸に突き出される槍を剣で受け流し、反対の剣で反撃に移る。
「やはり簡単にはいかない相手のようです」
 それを予想していたウィルフレッドはすぐに騎士槍を引き戻し、斬撃を受け流して回避する。
「まだまだ行くぞ!」
 続けて斬撃が放たれ、双剣による連撃が襲い掛かる。それをウィルフレッドは騎士槍で防ぐが、押されてあちこちに軽傷を負っていった。
「どうした? 守るばかりでは勝てぬぞ!」
「攻めるばかりが勝利に繋がるとも限りません」
 赤錆の騎士は挑発して隙を狙う。しかしウィルフレッドは冷静にじっと防戦に耐え続ける。
「堅守か、騎士の心得は持っているようだな」
 一息つくように赤錆の騎士の双剣が止まる。そして仕切り直すように下がるところで、ウィルフレッドが動いた。

「ここです、ゼファー!」
 その一瞬の機を見逃さず、ウィルフレッドがユーベルコード『風翔彗竜突』を発動して暴風を纏うと、風に押されるように突進して騎士槍を突き入れる。攻守が入れ替わり今度は赤錆の騎士が剣で槍を受け流す。しかし風に乗った一撃はその守りを上回り、赤錆の騎士の左肩を鎧ごと貫いた。
「貴方が人々を斬り捨てるのなら、私は人々を守るために剣を振るいます」
 そのまま騎士槍を押し込み、敵の身体を吹き飛ばして地面に転がした。
「甘い騎士道だ……それは己が身を破滅に導くぞ……この俺のようにな」
 ゆらりと赤錆の騎士が起き上がる。その貫かれた左肩はすでに再生を始めていた。
「甘いと思われようと、それが私の道……最期まで歩み続けてみせる!」
 信念を貫く覚悟を決めた顔で、ウィルフレッドはさらに騎士槍を放つ。
「その意地、どこまで続くか試してやろう!」
 対して赤錆の騎士が槍を弾き、反対の剣で首を狙う。ウィルフレッドは頭を傾けて躱すが、態勢が崩れたところへ返す剣が振り下ろされる。それを槍で受け止める、だが踏ん張れずに押し負けて今度はウィルフレッドが地面を転がった。


「どうした、この程度で倒れるようでは騎士の理想になど決して届かぬぞ!」
 赤錆の騎士がウィルフレッドへ追撃せんと間合いを詰める。
「倒れるのはテメェだコラッ!」
 そこへ口の端から血を流す仁が復帰して突っ込み、金属バットを背中に叩きつけた。
「おめェも強いヤツと戦いてェだろ? 一緒にボコボコにしてやろうぜ!」
『我を気軽に呼ぶな小僧!』
 仁が炎の悪魔イフリートを伴って滅多打ちにする。しかしいつの間にか攻撃を双剣で受け流され始めた。
「単調な攻撃を見切るのは容易い」
 赤錆の騎士がカウンターで胴を薙ごうとしたところで、横からさらに騎士槍が突き入れられた。刃がぶつかり合い火花が飛ぶ。
「起き上がったか。だが騎士などこの世界では決して報われん。己が身を削っても最期には惨たらしく死ぬしかないぞ」
 かつては人を守る騎士であった赤錆の騎士が冷たく、この暗い世界の理を言い放つ。
「それでも……人々を守り、明日を守るために……私は戦う」
 この戦いがいつしか大きな希望に繋がると信じ、ウィルフレッドが槍を振るい双剣と一歩も引かぬ攻防を繰り広げる。

「この世界に明日などない。ヴァンパイアが支配している限りな」
「ゴチャゴチャうるせェ! 気に入らねェヤツはぶん殴るだけだ! ヴァンパイアが頭だってェなら、ヴァンパイアを全部殴り倒してやらァ!」
 赤錆の騎士の実感の籠った重い言葉を吹き飛ばすように、仁がイフリートと共に渾身の右ストレートパンチを放つ。兜を変形させ頭をふっ飛ばす重い一撃――しかし赤錆の騎士は一歩後退するだけで踏み止まった。
「良い一撃だ……人ならば頭が吹き飛ばされていただろう。だが今の俺は吸血鬼……残念だがこの程度では死ねんのだ」
 左右から挟み込むような斬撃が放たれ、仁の胴を両断しようとする。それを金属バットとイフリートの腕が受け止めた。
「――カァァッ!!」
 だが赤錆の騎士の身体が膨らんだように錯覚する程の気迫に溢れ、強引に双剣を振り抜いて仁を弾き飛ばした。
「貴方は死を求めているのですね……ではここで貴方を越えて進む!」
 大振りの隙をつき、ウィルフレッドが騎士槍を手に突っ込み腹に鋭い一撃を加えた。
「越えられるものならば、越えてみせよ若き騎士よ!」
 腹に致命傷となる大穴を穿たれながら、それでも死ねぬ吸血鬼の騎士は剣を振り抜き、ウィルフレッドの鎧の上から斬りつけて薙ぎ払い壁に叩きつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クオン・キマヴィス
「どいて、私が相手をする」

鉄塊剣を地面に引き摺りながら部屋に入る。けれど入る前に一度立ち止まって、背を向けたまま部隊長に話しかける

「一つだけ言わせて。……死んでもいいと思って戦うのと、死ぬ気で戦うのは、全く違う」

「連中を倒した、その先の未来が見たいんでしょ?……なら、生きる為に戦うべき。」

「露払いは、私がしてあげる」

そう言って、再び領主のいる部屋に向かう。

領主とは言葉は交わさない。〈リミッター解除〉をしてすぐさま領主の懐に潜り込んで斬り掛かる。

腕の1本くらい持ってかれてもいい。生まれた隙を絶対逃さない。

「捕まえた」

領主を掴んで拘束し、UC起動。
敵の心臓目掛けて膝にあるツイストドリルをぶち込む


荒覇・蛟鬼
とんだ死に恥晒しですな。こんな事になるのなら
初めから助けないのが吉でしたかな?
『若、先程から御口が過ぎます。御慎みを』
■闘
うるさいなあ、濡姫。黙って見てろ。
というわけで戦闘に入りましょう。先ずは目を凝らし敵が
間合いを詰めようとする敵の動きを【見切り】ます。
目の前に現れたら【残像】を伴う素早い後方【ダッシュ】で
50㎝ほど飛び、間合いからずれます。

避けた直後に置かれたテーブルを【戯れる家鳴】の如く
【念動力】で素早く操作し、気づかれる前に敵の後頭部に
ゴツンとぶつけ、怯ませます。
命中後は力を敵本体にぶつけて金縛りによる【マヒ攻撃】を
仕掛け、周囲の味方に好機を伝えましょう。

※アドリブ歓迎・不採用可



●未来を見る者、過去を見る者
「凄まじい……この中に俺たちが入っても邪魔になるだけだ……」
「ああ、我々とはレベルが違う……これが猟兵の戦いか」
 猟兵と領主の高度な戦闘に、思わず見惚れていた部隊長と黒騎士デュークの背中に声がかかる。
「どいて、私が相手をする」
 そして二人が開けた道を通り、クオンが重々しい鉄塊剣を引き摺り床に傷をつけながら室内へと入る。だが一歩踏み出したところで思い立ったように足を止め、背を向けたまま部隊長の男に話しかけた。
「一つだけ言わせて……死んでもいいと思って戦うのと、死ぬ気で戦うのは、全く違う」
 背中越しにも真剣な気持ちが伝わってくる言葉に、部隊長は黙って聞き入った。
「連中を倒した、その先の未来が見たいんでしょ? ……なら、生きる為に戦うべき」
 言いたいことを伝え終えると、返事を待たずに剣を引き摺ってまた歩き出す。
「露払いは、私がしてあげる」
 その背中は頼もしく、感じ入った部隊長は深々と頭を下げた。

「次の相手は貴様か」
 クオンの姿を見て、傷つきながらもまだまだ戦意は衰えぬ赤錆の騎士は双剣を構えた。対してクオンは無言でサイボーグボディのリミッターを解除し、最初から全力で仕掛ける。
 引き摺る鉄塊剣の切っ先が石の床を削りながら掬い上げるように斬り上げる。股下から両断する一撃を、赤錆の騎士は横に跳び退いて躱す。
「言葉よりも剣で語るか、それでこそ戦士だ!」
 大振りの隙を狙い赤錆の騎士が胴を断つ刃を放つ。それをクオンは大きく跳躍して躱し、頭上から鉄塊剣を振り下ろす。甲冑ごと両断してしまいそうな重い一撃を赤錆の騎士は双剣をクロスして受け止めた。
「その動き、ただの人間ではないな」
 赤錆の騎士は押し戻してクオンを宙に飛ばし、着地地点を狙おうとする。しかしクオンは天井を蹴って軌道を変え、間合いの外へと着地した。
「獣の如き身のこなし、人狼の類か……何であれ、我が前に立つのならば斬り捨てるのみ」
 踏み込む赤錆の騎士が双剣を振るい、クオンも鉄塊剣を叩きつけて幾度も火花を散らした。


「とんだ死に恥晒しですな。こんな事になるのなら、初めから助けないのが吉でしたかな?」
 そんな激しい剣戟を気にもせずに部屋に入った蛟鬼が第一に目に入れたのは、床に転がった無残な兵士の死体だった。
『若、先程から御口が過ぎます。御慎みを』
「うるさいなあ、濡姫。黙って見てろ」
 冷たく言い放つ蛟鬼を袖から顔を出した蛇の使い魔の濡姫が諫めるが、お小言を鬱陶しそうに聞き流して視線を領主である騎士に向けた。戦う姿に目を凝らして敵の動きを覚えていく。
 赤錆の騎士とクオンの打ち合いは、やがて赤錆の騎士が優勢となって、受け止めるクオンを鉄塊剣の上から斬撃を叩きつけて吹き飛ばした。
「そろそろこちらも戦いに交じらせてもらいましょうかな」
 敵が追い打ちを掛けようとしたところへ、蛟鬼が殺気をぶつける。それに敏感に反応した赤錆の騎士は向きを変えて蛟鬼へと間合いを詰める。

「仲間か、貴様も人とは違う空気を纏っているな」
 赤錆の騎士は人ならざる気配を感じ、一瞬で仕留めようと双剣で首と胴を薙ぐ。しかし斬ったと思った蛟鬼の姿が消え去る。
「どれほど鋭かろうと、あれだけ見ていれば目が慣れるというものです」
 タイミングを合わせて蛟鬼は残像を残し、間合いのぎりぎり外へと後ろに飛び退っていた。
「ならば当たるまで連撃を見舞ってくれよう」
 赤錆の騎士は離れた間合いを縮めるように足を踏み出して、今度は連続攻撃で斬りつけようと構えた。しかしその後頭部にひとりでに動き出したテーブルがゴツンと直撃する。
「なにっ!?」
 気配に気付かなかった赤錆の騎士が驚き反射的に振り返りながら、剣でテーブルを斬り裂いた。
「これはこれは、家鳴の悪戯ですな。しかし、目の前の敵から視線を逸らして大丈夫ですかな?」
 蛟鬼がユーベルコード『戯れる家鳴』によってテーブルを操って敵の気を逸らし、その隙に神力を直接ぶつけ金縛りに掛ける。
「これは貴様の術か!」
 すぐにそれと察した赤錆の騎士は動こうと神力に抗い、ゆっくりと剣を振り上げ蛟鬼の頭を叩き割らんとする。


「私にばかり目を向けていては、また後ろからごつんとやられてしまうのではないですかな?」
「その手には乗らぬ!」
 蛟鬼の挑発がまたこちらの気を引く罠だと思い、赤錆の騎士は構わず剣を振り下ろそうと力を籠める。だがその腕が後ろから伸びる手に捕まった。遅れてガランと金属が床に落ちる音がする。
「捕まえた」
 静かにクオンが背後に忍び寄り、鉄塊剣を手放すと両手で敵の腕を掴んで態勢を崩すように後ろに引き倒す。
「ぬかったわ!」
 赤錆の騎士は堪えようとするが、まだ金縛りの効果が効いていて力が万全に発揮できずに態勢を崩す。
「仕留める」
 クオンはユーベルコード『ディサイシブ・ジエンド』を発動し、【膝部回転式パイルバンカー】を展開して背中から膝蹴りのように突き刺す。ツイストドリルが心臓を貫き周りの肉と一緒にぐちゃぐちゃにかき混ぜた。

「ごふっ」
 赤錆の騎士は大量の血を吐き、兜の隙間から血が流れ落ちる。
「まったく、最初から我々に任せておけば塵の一つくらい簡単に……」
 蛟鬼がそこで己が神力が弾かれた事を感じる。
「まだ生きておりますぞ」
 警告と同時に赤錆の騎士が動き、背後に脇の下から剣を突き入れた。
「しぶとい」
 クオンは咄嗟に身を投げ、地面を転がって攻撃を躱した。そして地面に落ちている鉄塊剣を握る。見れば赤錆の騎士の胸の傷が修復され、辺りに飛び散った血以外は元通りに戻った。
「見事見事、この身が吸血鬼でなければ、負けていたな。されど今の俺は死にぞこなってしまうのだ。まだ止まらぬ」
 振り下ろされる剣をクオンは鉄塊剣で受け止めるが、衝撃で足が止まり、そこへもう一刀が横から迫る。それを左腕で受け止めた。普通の腕ならば胴体もろとも切断されていただろうが、サイボーグの義腕は強度を持って中ほどまで刃が入ったところで攻撃を止めた。
「ほう、腕に金属を仕込んであったか。しかしそれではもう動くまい」
 赤錆の騎士が双剣で攻勢に移り、右手だけで鉄塊剣を操るクオンを追い込んでいく。
「腹ただしいですが、ここは仕切り直すのが良さそうですな」
 想定以上の敵の耐久力に、このまま消耗戦を続けるとこちらの被害が大きくなると蛟鬼は神力を放って敵の動きを一瞬止めた。
「またかっ、だが今度はすぐに動いてみせよう! この身朽ちるまで俺は戦い続ける!」
 自らの負傷を一顧だにせずに赤錆の騎士は全身に力を籠めゆっくりと動き出す。
「もう死んでいるから、何度死んでもいいと思っている……そんな過去の存在に未来はない」
 一時的に金縛りになった敵にクオンは鉄塊剣を低く薙いで斬撃を浴びせ、脚を深く斬りつけて足を止め間合いから離れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

久遠寺・遥翔
【メレディノ】で参加
エル姉はここは俺達に任せて次の戦いの準備に入ってる
その信に応えるためにも赤錆の騎士はこの手で討つ!
変化したロランと息を合わせ
【残像】を残す程の高速機動【空中戦】で連携して敵を翻弄する
敵の攻撃は【視力】を【第六感】で補正した心眼で【見切り】つつ【残像】でかわし
あらゆるものを【焼却】する【斬撃波】を飛ばして攻撃だ
その際に「焼き尽くせ、リベリオン・ブレイド!」と叫び
今回使わないUCに偽装して放ち敵のUCを誘い
相殺した瞬間相手の内側から本当のUCで【焼却】
ロランの攻撃で敵のUCが変質したらこっちのもんだ
こちらはUCの内側からの爆炎と【斬撃波】による【2回攻撃】で攻め立て一気に斬るぜ


ロラン・ヒュッテンブレナー
【メレディノ】

赤錆の騎士、ボスだね?
すごく強そうだけど、ごめんね
勝たせてもらうの

遥翔さん、先生の分まで、本気で行くね?
UCを発動
狼の姿になったら、変化と魅了の月光属性魔力を乗せた遠吠えを部屋いっぱいに響かせるの

遥翔さんの作戦に相手が乗ってきたら、
相手の剣と共鳴させて【ハッキング】、超常を切り裂く効果に介入するの
あなたの力、変質させてもらうね
狼の姿と【地形を利用】して、【残像】を残すほどの【ダッシュ】で近寄りながらさっきの遠吠えで音波攻撃なの

匂いと音(【聞き耳】)で【情報収集】して、遥翔さんとコンビネーションなの
【オーラ防御】の【結界術】と、UCの防御力で遥翔さんを守るよ

ここは、通してもらうね?



●死なぬもの
「見てるだけじゃダメだな。俺たちもできることをしよう!」
「ならば邪魔者がここに入らないように館の吸血鬼どもを殲滅するぞ!」
 領主のことは信頼できる猟兵達に任せ、部隊長と黒騎士デュークは猟兵の邪魔が入らないように、出入り口に見張りを置いて猟兵以外は入れなくして、館内の吸血鬼狩りを徹底するよう指示を出した。
「我らは我らに出来る戦いをする! 行くぞ!」
 新たに二人の猟兵が広間に入るのを見送りながら、黒騎士デュークは館の吸血鬼を駆逐せんと自らも陣頭指揮を執って動き出した。

「エル姉はここは俺達に任せて次の戦いの準備に入ってる。その信に応えるためにも赤錆の騎士はこの手で討つ!」
 任された信頼に応えてみせると、遥翔は張り切って焔黒騎士フレアライザーの姿で広間に入った。
「赤錆の騎士、ボスだね? すごく強そうだけど、ごめんね。勝たせてもらうの」
 その隣に並ぶロランが敵を見て尻尾をピンッと立て、ちらりと遥翔に視線を向けた。
「遥翔さん、先生の分まで、本気で行くね?」
「もちろんだ! こんなところで手間取ってたらエル姉を待たせることになるしな!」
 遥翔が大きく頷くのを見て、ロランはユーベルコード『静寂を慈しむ音狼の加護』を発動し、その姿を獣のものに変え、薄暗い部屋を照らすように満月のオーラを纏うハイイロオオカミに変身した。
「ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………ん」
 狼となったロランが遠吠えを部屋いっぱいに響かせる。その声には魅了の月光属性魔力が籠められ、反響する音が逃げ場のない敵の精神を全方向から侵食する。
「これは……魔術か………音が脳に響く……」
 赤錆の騎士がふらつくように椅子にぶつかって蹴り倒した。
「今だ、行くぞロラン!」
「わん!」
 その隙を突いて遥翔が飛び出し、残像を残す程の高速機動でテーブルの上から接近する。それに合わせてロランも元気よく駆け出し、テーブルの下を掻い潜って近づく。

「騎士と人狼の組み合わせか……来い、我が間合いに入れば即座に断つ!」
 ガンッと剣の柄でこめかみを叩き、無理矢理意識をはっきりさせた赤錆の騎士は双剣を構える。そして先んじて間合いに入った遥翔に向けて斬りつけた。
「見えた!」
 それを目と第六感で見切った遥翔は、残像を残して急旋回して躱す。刃は残像だけを切り裂いて空振った。
「残像か……」
 すぐに赤錆の騎士は反対の手に持つ剣で遥翔を狙う。しかし先に遥翔が反撃に移っていた。
「焼き尽くせ、リベリオン・ブレイド!」
 裂帛の気合を込めて叫ぶ遥翔が、焔黒剣イグニスに黒い炎を纏わせ斬撃波を飛ばす。
「ぬっ、必殺の一撃か」
 その気迫からユーベルコードだと思い込み、赤錆の騎士は守りの為に剣を振るい斬撃波を超常を切り裂く力で消し飛ばす。
(あなたの力、変質させてもらうね)
 それを待っていたロランがまた遠吠えを放ち、声を剣と共鳴させてハッキングし、超常を切り裂く効果を変質させる。
「引っ掛かったな! 爆ぜろ、クリムゾンフレア!」
 ここが勝機と遥翔は本命であるユーベルコード『闇を穿つ紅蓮』を発動する。
「これが奥の手か、無駄な事を」
 それに合わせて赤錆の騎士が剣を振るってまたユーベルコードを切り裂こうとする。しかし変質させられた剣が効果を発揮せずに爆炎が赤錆の騎士の内側から発生し、鎧の中から炎が溢れ出た。
「何だと!?」
「もうお前の剣にユーベルコードを切り裂く効果はないぜ!」
 全身を内から溢れる炎に包まれる騎士に、遥翔はもう一度斬撃波を放ち、鎧を切り裂いて袈裟斬りに斬撃の傷痕を刻んだ。

「ぬぅうううううっ」
 全身を焼かれながらも、赤錆の騎士は痛みを堪えて踏み込み斬撃を放った。その一撃を遥翔は剣で受け止めるが、思いの外強い衝撃に態勢を崩す。
「それだけのダメージを受けていてまだこれだけの力が発揮できるのか!」
 一旦間合いから離れようと遥翔は天井間際に上昇するが、敵も同時に跳躍していた。
「逃さん……我が剣から逃れられると思うな!」
 全身を燃え上がらせながらも鬼気迫る殺気を放ち、赤錆の騎士は立て直す間を与えず双剣の連続攻撃を浴びせる。
「ボスなだけあるね、でも遥翔さんはぼくが守るの」
 壁を駆け上がり跳躍して割り込んだロランが、満月のオーラで結界を張って剣を受け止めた。
「うぉぉぉぉおおおおおおん!」
 そして至近距離から人狼魔術による音波をぶつけた。
「人狼め……邪魔をするな!」
 赤錆の騎士はその守りごと叩き切らんと、右の剣を叩き込み音波を切り裂き、さらに上から左の剣を打ち込んで十字に結界を切り裂いた。そして隙間から貫くように突きを放つ。
「助かったぜロラン!」
 だがその僅かな攻撃の遅滞に態勢を立て直した遥翔は、天井を蹴って勢いをつけ敵を迎え撃つ準備を整えていた。
「燃え尽きろ吸血鬼!」
 振り下ろす遥翔の剣が、切っ先を突き入れようとしていた敵の右腕を斬り落とした。さらに剣を跳ね上げるように振るい、今度は腰から胸へとざっくり刃を走らせた。傷口から紅蓮の炎が噴き出し肉と鎧を黒焦げにしていく。致命傷と思える傷。しかし騎士はまだ立って剣を握っていた。
「俺の腕を斬り落とすとは……見事なり。されど、すでに死して吸血鬼と化した俺を消し去るにはまだ足りぬ」
 どれほどの傷を負おうとも赤錆の騎士は戦いを止めず、残った左腕で剣を薙ぎ払う。
「がぅ~っ!」
「カァァッ!!」
 ロランがそれを受け止めようとオーラを展開するが、騎士が気合を籠めて振り抜くと、斬撃波が放たれオーラごと吹き飛ばしロランと遥翔を纏めて薙ぎ払った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
へいへいへーい
同じ2剣使いじゃん
ちょっと斬りあっちゃう?
これでも剣士として、それなりに自信はあるよ


引き続いて《RE》Incarnationと空の記憶を抜刀
此方も一気に接近して敵の剣による一撃を『武器受け』する

私お手製の自慢の剣、どれだけの威力だろうと受け止めて見せるよ
さあ、ここからは剣士同士の斬り合いだ
尤も私は剣士であると同時に、メカニックでもあるからね
それなりの仕掛けは使うけどね

【偽書・焔神】起動
蒼炎を剣に纏わせて騎士と斬り合い
『2回攻撃』で連続して斬り合い、蒼炎で敵を焼きながら敵から距離を離さずにタイミングを計る
チャンスが来たら一気に『串刺し』にして大ダメージを狙うよ

●アドリブ等歓迎


霧島・絶奈
◆心情
生かすべき個である指揮官自ら先陣を切る
其れを愚かと取るか勇敢と取るかは人其々でしょうけれど…
少なくとも私は、その志だけは買いたいと思います

…まあ、一人で先走るのではなく共に轡を並べる同胞と歩みを合わせると尚良いのでしょうね
私と我が軍勢の様に…

◆行動
『獣ノ爪牙』にて呼出した軍勢と共に【集団戦術】を駆使

私は軍勢に紛れ【目立たない】様に行動
【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置
攻撃の為に接近をする必要がある様ですからまさに飛んで火に入る夏の虫です

設置後は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


愛久山・清綱
およしよ、皆。敵の眼前だ(←持ち前の【威厳】)
此処は我々にお任せを。

■闘
『心切』を手に居合の構えを取り、戦闘へ。
先ずは騎士の懐まで【ダッシュ】で近づき、一気に……
というのは【フェイント】。本当はこうだ。

斬りかかると見せかけ敵の懐まで突進し、振るわれた剣の軌道を
【見切り】つつ、鞘で【武器受け】することで相殺を不発に終わらせる。

直後に【破魔】の力を一気に開放し、騎士の眼前で【心切・祓】を
発動、『在るべき海』への道を拓く。
勿論、只で還ってくれる奴ではない筈。発動後は【怪力】を込めて
騎士の腕を掴み、剣を振るい辛くすることで闘争心を刺激。
転移の拒否によるダメージを与え続けるのだ!

※アドリブ歓迎・不採用可


九十九・ゆかな
相手さんも考えたっすねぇ…確かにこの場所なら大勢を相手にしなくて済むっすよねぇ。その代わりこっちも邪魔が入らないし、本気モードで行かせてもらうよ

部屋に入ったらすぐに散弾銃を『二回攻撃』を用いて撃ち切ってから短機関銃を『乱れ撃ち』、その後の散弾銃のリロードの際には専用の炸裂弾を込めておくよ。あと逃げ回る時にリモコン爆弾を仕掛けたい所だね。

適度に発砲して攻撃、逃げつつ仕掛けた罠まで誘導する…大体のプランはこんな感じかな。
そしていい感じに爆発に巻き込んだら即座にユーベルコードを使用、盾を捨てての一斉射撃でズドン、だ。
相手は熟練の騎士だが、銃は剣より強いってのをキッチリ証明しないとね…!



●治らぬ傷
「ここまで傷を受けるとはな……恐るべき強者どもよ」
 煙を上げる赤錆の騎士は切断された右腕を拾い上げ、傷口に当てるとあっという間に接合された。しかし傷口からまだ血が垂れ流れている。他の傷も塞ぎきらず度重なる負傷で完全には治癒できなくなり、疲労して動きも鈍くなっていた。

「へいへいへーい、同じ2剣使いじゃん」
 そこへ気さくな声がかかり、騎士が振り向けば玲が部屋に入り【《RE》Incarnation】と【空の記憶】を抜刀しているところだった。
「ちょっと斬りあっちゃう? これでも剣士として、それなりに自信はあるよ」
 おちゃらけた態度でありながらも、その身のこなしに隙が無いと赤錆の騎士は見抜いていた。
「戦場で敵対する戦士が出会ったならば、血を見なくては収まるはずもあるまい」
 赤錆の騎士も対峙して双剣を構えた。双方が殺気を放ち互いの動きを読み合う。
「カァッ!!」
 先に動いたのは赤錆の騎士。その身に負った傷は大きく、時間が経つほど不利と見て先手を取った。
「私お手製の自慢の剣、どれだけの威力だろうと受け止めて見せるよ」
 対してその一撃を正面から玲も突っ込んで受け止める。頭へと振り下される右の刃を掲げた左手の剣で受け止め、横薙ぎに胴を断つ左の刃を右手の剣で防ぐ。どちらに身体の芯に響くような一撃。しかし玲は耐えきった。
「さあ、ここからは剣士同士の斬り合いだ」
 玲は敵の双剣を押し戻すと、ユーベルコード『偽書・焔神』を発動し己が二剣に浄化の蒼き炎を纏わせる。そしてお返しとばかりに頭と胴を狙った連撃を放った。
「負けん気が強いな、だが戦士はそうでなくてはならん!」
 赤錆の騎士もまたその攻撃を正面から受け止める。しかし玲の剣は直接触れずとも蒼炎によって敵の身体を鎧の上から焼いた。
「尤も私は剣士であると同時に、メカニックでもあるからね。それなりの仕掛けは使うけどね」
「ぬっ、炎が……消えぬ!」
 浄化の炎は吸血鬼の負の力で動く肉体からエネルギーを消していった。
「厄介な!」
 赤錆の騎士は双剣を振るい、玲を弾き飛ばして間合いを開けようとするが、玲は巧みに激しい斬撃を受け流し攻撃を凌いで距離を保つ。


「相手さんも考えたっすねぇ……確かにこの場所なら大勢を相手にしなくて済むっすよねぇ。その代わりこっちも邪魔が入らないし、本気モードで行かせてもらうよ」
 狂暴な笑みを口元に浮かべたゆかなは、楽し気に尻尾を振ってライオットシールドと散弾銃を構えて大広間に飛び込みながら散弾を2回発砲して装填されている弾を撃ち切り、面の攻撃で足止めしたところへ、持ち替えた大型短機関銃【シュペヒットV45】を乱れ撃つ。
「相手が接近戦なら、こっちは距離を保てばいいだけだ」
 ゆかなは剣の間合いに入らぬようミドルレンジを保って射撃を続け、一方的に騎士の鎧に穴を穿っていく。
「マスケット銃を強力にしたものか、だがこのような礫では我が身は砕けぬ」
 赤錆の騎士は狙いを変え、弾丸の雨の中を被弾しても構わず前進して間合いを詰める。そして撃ち尽くして弾が途切れると、一気に加速して突進してくる。
「タフだね、だけど想定内だよ」
 ゆかなは散乱する椅子やテーブルを利用して逃げ回り、避けられぬ攻撃は盾で凌いで散弾銃をリロードする。そこには先とは違う専用の炸裂弾を込めた。
「そのような豆鉄砲では俺は倒せん。諦めて斬られがいい」
 赤錆の騎士は椅子やテーブルを蹴散らし、強引に間合いを詰めて来る。
「お断りよ」
 凶刃が迫りながらも余裕を失わず、ゆかなは逃げの一手でテーブルの下を潜ったり椅子の上を跳んだりと部屋を動き回った。
「へいへーい、こっちのことも忘れてもらっちゃ困るよ」
 そこへ玲が追いつき剣を叩き込み、受け止めさせて騎士の足を止めた。
「罠を仕掛けるチャンスね」
 注意が逸れた隙に、ゆかなはこっそりとリモコン爆弾を仕掛け回った。


「猟兵殿が領主を討ち取る前に、館内の吸血鬼どもを滅ぼすのだ!」
 黒騎士デュークが指示を飛ばし、自ら先頭を切って吸血鬼を斬り倒す。
「生かすべき個である指揮官自ら先陣を切る。其れを愚かと取るか勇敢と取るかは人其々でしょうけれど……少なくとも私は、その志だけは買いたいと思います」
 そんな姿に絶奈は指揮官としては失格だと合理的に考える。しかしその献身なくてはこの世界で誰もついては来なかっただろうとも思った。
「おい! デューク! 一人で突っ走るな!」
「なら急いで来い!」
「はぁ……おい! 4人俺に付いてこい! 後はこの場で待機!」
 部隊長は黒騎士デュークに置いていかれないように駆け出し、肩を並べて吸血鬼兵に斬り込んだ。
「……まあ、一人で先走るのではなく共に轡を並べる同胞と歩みを合わせると尚良いのでしょうね。私と我が軍勢の様に……」
 絶奈は視線を切り、領主である騎士の居る広間へと屍者の軍勢を率いて足を踏み入れた。
「狭いのであれば、さらに狭く。敵の行動範囲を削っていきましょう」
 屍兵を壁際に配置し、槍衾を作って包囲して敵の動ける場所を狭めていく。
「手間取って雑兵の侵入を許してしまったか」
 赤錆の騎士は玲から視線を逸らさぬまま、剣を振るって背後に回る屍兵を斬り伏せた。
「確かに個の力は貴方に大きく劣りますが、兵とは元より数の力で戦うものです」
 屍兵は並んで槍を構え、やられようともすぐにフォローし合う。
「ふんっ、それが通じるのは人間同士の戦いよ。吸血鬼相手に有象無象など何の役にも立たぬ」
 赤錆の騎士は屍兵に突っ込むと、槍を切り落とし体を上下に両断した。
「残念ですが、私が従える兵も人ではありません」
 切り裂かれた上半身だけで屍兵は穂先を失った柄を叩きつけようとする。その腕を赤錆の騎士が踏み潰した。
「こやつら死人か、貴様は死霊術師か」
 その手合いは好かぬという険のある声で、赤錆の騎士は双剣を振るい左右の屍兵達を同時に斬り裂いて絶奈へと視線を向け踏み出した。
「斬り合いで勝てないのは承知の上。攻撃の為に接近をする必要がある様ですから、まさに飛んで火に入る夏の虫です」
 絶奈が距離を取るように後方の屍兵達の中へと紛れ込むと、カチッと作動音がして爆炎に赤錆の騎士が呑み込まれた。
「己が兵ごと焼くか! 騎士ならばせぬ術師の所業よ!」
 双剣を振るって赤錆の騎士は炎を切り裂き、体を焼かれながらも脱出する。しかしその視界には既に絶奈の姿はなかった。


「なあ、見てるだけでいいのかな?」
「馬鹿! ベイル部隊長の命令はここを猟兵殿たち以外通すなだろうが!」
 ただ猟兵だけに戦いを任せ、それを見守るだけでいいのだろうかと兵士がそわそわし出すと、隣の兵士はそれを諫め言い合いが始まる。そこへ声がかかった。
「およしよ、皆。敵の眼前だ」
「はっ! 申し訳ありません!」
 清綱の姿を見るや、漂う威厳に背筋を伸ばして兵士は槍を立てて部屋への道を開ける。
「此処は我々にお任せを」
「はっ! どうぞお通りください!」
 颯爽と清綱は広間に足を踏み入れ、腰に差した【心切】の柄に手を掛けて居合の構えを取って敵の元へと駆け出す。
(騎士の懐に入り一気に……)
 真っ直ぐに赤錆の騎士の元へ、矢のように疾走する。
「正面から向かって来るか、どのような鋭い一撃も切り払ってくれよう」
 それに気づいた赤錆の騎士が近くの屍兵を薙ぎ払って身構える。
(というのはフェイント。本当はこうだ――)
 懐に入った清綱が居合で斬撃を放つと見せかけ、鞘のまま腰から刀を抜いて叩きつける。必殺の一撃だと思った赤錆の騎士は相殺せんと双剣を振るい弾いた。
「鞘だと?」
 そこでようやく赤錆の騎士は相手の術中に嵌ったことに気付く。
「遅い」
 すかさず清綱は破魔の力を開放し、ユーベルコード『心切・祓』を発動した。
「『在るべき海』への道を拓く」
 淀んだ空気を吹き飛ばす清涼な風のように霊力が吹き抜け、赤錆の騎士の体を強制的に棲家へと転移させようとする。
「これは転移の術か?!」
 赤錆の騎士は意識を気合を入れてその術に抗い、甲冑が軋むように音を立て激痛を受けながらも耐える。
「只で還ってくれるとは思っていない」
 清綱は横から相手の左腕を左手で掴み、敢えて闘争心を刺激してこの場に留まらせ転移に抗うダメージを与え続ける。
「ぐっ! 小癪な、だがお主を斬れば術は解けよう!」
 赤錆の騎士は思い切り左腕を引っ張り、手を離さぬ清綱の態勢を崩して右の剣を逆手に持って背後を刺し貫こうとする。
「体術の心得もあるか」
 手を離した清綱は鞘で突きを弾いて軌道を逸らす。しかし振り向きながらの左の斬撃が襲い掛かり、それを受け止めた衝撃でずざざっと床を擦るように後退させられた。


●灰は灰に
「準備完了」
 罠の設置を終えたゆかなが銃弾を横から浴びせて気を引く。
「鬱陶しい、今度は逃げる前に仕留る」
 赤錆の騎士は剣で弾を切り払い、近くの椅子やテーブルを蹴り飛ばし、ゆかなの左右を塞ぐようにしてから突進を始めた。
「それはこっちのセリフっすねぇ……仕留めてやるよ」
 盾を構えたゆかながスイッチを押す。すると椅子に仕掛けられていたリモコン爆弾が爆発し赤錆の騎士を巻き込んだ。
「ぐぉっ!? 小細工を!! だがそんな礫では俺は倒せん!」
 爆風に煽られて赤錆の騎士の態勢が崩れ、剣を地面に刺して倒れるのを堪える。
「流石熟練の騎士様、やるっすねぇ。なら銃は剣より強いってのをキッチリ証明しないとね……!」
 ゆかなは爆風を防いだ盾を捨ててユーベルコード『技巧:銃撃領域』を発動し、散弾銃を構えて引金を引いた。精確な射撃で狙い通りに放たれた弾が穴の空いた胸甲を抜けて胸の中央を穿つ。それだけならば先と同じように穴を開けただけ。だが炸裂弾が破裂し、内部から肉体を損壊させ、背中に大穴を開けて肉をぶちまけた。

「ば、馬鹿な……銃如きにこれほどの威力が………」
 大きくよろめいた胸に穴を開けた赤錆の騎士が片膝をつく。
「騎士を銃で撃ち倒すのは忍びない、最期の介錯は俺がしてやろう」
 膝をつき斬り易い位置まで下がった敵の首を狙い、清綱が居合の一刀を振るう。抜き打つ刃が閃光と化して首を捉えた――。だが甲高い音が響き、刃が首に食いこんだところで止まった。
「体がな……戦えと、勝手に動くのだ。もう吸血鬼の尖兵など御免だと思おうと、吸血鬼に成り果てたこの身は死すらも許されぬ……」
 清綱の刃をギリギリで赤錆の騎士が剣で受け止めていた。
「止められるものなら、止めてみせよ!」
 最早生きているのも不思議な損傷を追いながらも、赤錆の騎士は血を撒き散らして双剣を振るう。すでに再生能力すら機能しなくなっている。それでもただ剣鬼の如く凶刃を閃かせる。それを清綱は粘り強く受け流した。

 その戦いに加わろうと屍兵達が背後より槍を突き入れる。しかし容易く赤錆の騎士は片手の剣で払い、清綱と二面で攻防を繰り広げる。
「其の状態で拮抗させるとは……生前は名のある騎士だったのでしょう。望み通り此処で貴方を止めてみせます」
 そこへ屍兵に混じって絶奈は白槍を突き入れ、剣の防御を抜けて騎士の脇腹を抉る。
「ガァッ!!」
 獣のような咆哮を上げ、赤錆の騎士は槍が刺さったまま剣を振るう。
「騎士殿、己が海に還るがいい」
 斬撃を掻い潜り、清綱がすれ違いながら胴を薙ぐ。深く入った刃は半分ほど胴を裂いた。
「がはっ……カアッ!!」
 胴が千切れそうになり血を吐きながらも、赤錆の騎士はまだ倒れない。

「そんなになっても死ねないなんて難儀だね。なら私が燃やし尽くしてあげるよ」
 玲が二剣を構え、互いに双剣使いである両者は火花を散らす。剣の威力だけならば騎士が、しかし纏う蒼炎によるダメージで玲が確実にダメージを蓄積させていく。
「ォオオオ!!!」
 動けなくなる前に残りの力を振り絞るようにして赤錆の騎士は双剣を振り上げて叩き切る。玲は左の剣で二刀を横から叩いて流し、右の剣を胴の真ん中に突き入れた。切っ先が背中から飛び出し蒼い炎が放出される。
「これで終わり。私たちの勝ちだね」
「ああ……お主達の勝ちだ………見事――」
 玲が剣を抜くと、赤錆の騎士の全身が蒼炎に包まれ燃え上がり、灰となって床の焼け跡だけを残して消え去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『愁魔』メルスィン・ヘレル』

POW   :    はあ面倒……害虫が視界に入ったら潰すしかないもの
単純で重い【『悪魔の脚』による上空からの踏みつけ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    しっしっ……寄らないでよ汚いなあ、消えて?
【自在に伸縮し鞭のように撓る『悪魔の尻尾』】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    殺した後に汚れを落とすのが一番面倒なんだよね……
【飛翔し、一瞬で敵に接近して『悪魔の爪』】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピオネルスカヤ・リャザノフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●勝利の雄叫び
「領主は猟兵殿の手で討ち取られた! 我々の勝利だ!」
「勝ち鬨をあげろーーー!!」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」
 町に巣食う吸血鬼の残党狩りも終わり、黒騎士デュークが勝利を宣言すると館中に、否――町中に闇の救済者軍の雄叫びが響く。
「よし、酒蔵を開けろ! 祝い酒を配れ!」
「おう!」
 町にあった酒蔵が開かれ、皆が盛大に飲み始める。誰も彼もが笑顔で、初めてのヴァンパイアとの大規模な戦いの勝利を喜び合っていた。
 そんな目出度い雰囲気の中、猟兵だけが厳しい顔のまま町の外を目指す。
「猟兵殿?」
 そこへ黒騎士デュークが声をかける。兵の一部は警戒の為に酒を飲まずに見回っていたのだ。
「その様子……酔い覚ましという訳ではありますまい。まだ敵が――」
 猟兵の放つ剣呑な気配に疑問を持って訪ねようとするが、猟兵は何も語らず黙って町を出ようとする。
「我らでは足手まといとなる相手なのですね……わかりました。皆さんの分の祝い酒はとっておきますので、用が済んだら顔を見せてください。どうかご武運を――」
 それ以上の詮索をせずに、黒騎士デュークは猟兵達の勝利を信じて背中を見送った。


●刺客
「はあ面倒……紋章をもらったからって、こんな僻地にまでいちいち足を運ぶ仕事じゃ割に合わない……」
 赤錆の騎士が治める領地に向かう道をふわふわ浮かんで進む一人の少女。だが普通の人間ではない。頭には角を持ち、背中からは翼が生えている。その手足は獣のようで人など容易く引き裂けそうな鋭い爪が伸びていた。
 そして何よりも目を引くのは鳩尾付近に浮かぶ禍々しい紋章。それは第五の貴族より与えられた『殺戮者の紋章』だった。
「でもまあ、受けちゃったものは受けちゃったんだし……さっさと害虫を駆除して帰ろ……」
 やる気のなさそうな態度だが、その力は蟻を踏み潰すように人の命を奪える。そしてその殺戮対象は闇の救済者全員だった。

 このまま町に領主よりも強大な力を持つ刺客が到着すれば、成す術もなく虫けらのように闇の救済者は皆殺しに遭ってしまうだろう。
 そんな絶望の未来を変えてみせると、猟兵がその行く手に立ち塞がった。
 人々の未来を切り拓く本当の戦いが始まる――。
エルザ・メレディウス
【メレディノ】
*なるべく街に被害が及ばない場所で敵と戦います。
*私の役割→サポートを担当。

演説で、ロランさん・遥翔君を【鼓舞】。

□演説内容:ここは新たなる人々の希望となる場所。
彼らが自分の力で戦い…あなた達から奪還した希望の地になるのなら…命を賭してもメレディウスの騎士団が、あなたを倒してみせるとここに誓います!

□戦闘 演説と一緒に、UCを使用…。 【集団戦術】を使用しながら、ロランさん、遥翔君に声をかけてそれぞれがすぐに作戦へ移れるように。

・ロランさんが敵を捕縛した後は【残像】【槍投げ】で敵をけん制しながら、少しでも相手のロランさんへの攻撃が弱まるように


久遠寺・遥翔
【メレディノ】
アタッカーを担当
UCで上空に跳びあがり
ロランがアルターギアで敵を惹きつけてくれている間
雲という【地形の利用】で身を隠しながら
【結界術】でアルターギアの防御力を高めておく

【第六感】と【視力】による心眼で相手の動きを【見切り】
隙をついて【ダッシュ】で急降下攻撃だ

エルねえの激励を力に変えて、ロランに繋がれた敵目掛けて何度も高速で斬り抜ける
相手が鎖から逃れても常に頭上をとるように【空中戦】
飛んでも上から叩き落すように立ち回るぜ
最後はこの剣の焔で【焼却】し尽くす
「さよならだ。火に入る蟲のように焼け落ちな」

相手の攻撃は【見切り】
【残像】を交え回避、避けきれない場合【オーラ防御】で受け流す


ロラン・ヒュッテンブレナー
【メレディノ】

ふぅ、まだ、もう少し、力を使えそうなの
※先程の変身で消耗している
先生の演説を聞いて息を整えるね

ぼくの役割は、捕縛と囮
確実にUCを当てるの
【残像】を残す様な狼の脚力【ダッシュ】で
【高速・多重詠唱】しつつ近づくよ
一つはUCで、相手が攻撃の為に近づいたら発動【追跡・誘導弾】
もう一つは爆発に隠すようにキャバリアを召喚して搭乗なの

鉄鎖で繋いだら最大出力で空中へ上昇して吊り上げるよ
これなら簡単には動けないでしょ?
後はホバリングしながら、
遥翔さんからの結界を、ぼくの【オーラ防御】と【結界術】で補強して耐えるの
反撃で雷【属性攻撃】魔術を撃ち込んで引き付けるね
ぼくたちの【継戦能力】を甘く見ないで?



●希望を繋ぐ誓い
「ここなら戦場に良さそうね……」
 エルザは街に被害が及ばぬように少し離れた場所で敵を待ち構え、迎撃の準備を整える。
「エルねえお待たせ!」
「先生、領主の方は終わらせてきたの……ふぅ、まだ、もう少し、力を使えそうなの」
 そこへまだまだ元気そうな遥翔と消耗したロランが合流して、旅団メレディノポリスのメンバーが揃い互いの状況を確認し合う。
「禍々しい気配を感じます……敵が近くに迫っているようね」
 エルザの言葉に遥翔とロランも緊張感を高め、敵が来る街とは反対の方角に意識を向ける。
「はあ……もう疲れた。帰りたい……害虫駆除なんかそこらのヴァンパイアでもできるよね……」
 すると何もしていないのにもう帰りたいとぶちぶちと文句を垂れ流しながら、ヴァンパイア『愁魔』メルスィン・ヘレルが全く隠れようともせず、翼を動かしふわふわと浮いて堂々と街を目指していた。
「見つけたの」
「現れやがったな」
 ロランと遥翔が視認して、今にも駆け出す様に身を乗り出した。そんな2人と共にエルザもまた隠れずに堂々と行く手を阻む。
「なに……もう害虫が湧いて出たの?」
 鬱陶しそうにメルスィンは顔をしかめる。
「まあ、見つけた以上は潰していかないと……」
 圧倒的な強者として本当に虫けらでも見るように、猟兵達を前にしてもそのまま速度を変えず、ふわふわ飛びながら虫を潰そうと迫って来る。

 強大な魔の力をひりつくように肌に感じながらも、エルザは怯まずに胸を張り演説を始める。
「ここは新たなる人々の希望となる場所。彼らが自分の力で戦い……あなた達から奪還した希望の地になるのなら……」
 エルザが両腕を広げ、大地を、街を、人々を包み込むように言葉を紡ぐ。
「命を賭してもメレディウスの騎士団が、あなたを倒してみせるとここに誓います!」
 力強い宣言と共に、ユーベルコード『オリンポスの祝福』によって仲間に神々の祝福を与える。鼓舞され疲れを忘れたように戦意を高揚させた遥翔とロランがエルザの横に並んだ。


「あー……なんか言った?」
 猟兵の言葉など煩わしい虫の羽音程度にしか思っていないメルスィンは、無造作に蹴散らそうと前に進む。
「ありがとう先生、息が整ったの、いくよ」
 ロランが人狼の脚力で駆け出し、囮として注意を引こうと一気に敵に接近した。
「虫は汚くって嫌いだから、近づかないでよね」
 メルスィンが腕を振るって衝撃波を起こす。それを身を低くして突破し、ロランはユーベルコードとキャバリア召喚を多重詠唱しながら間合いを詰める。
「虫けらがわたしの攻撃を避けていいと思ってるの?」
 メルスィンが脚で強く地面を踏みつける。すると爆発したように地面が吹き飛んだ。衝撃によって波打った大地がロランの元まで届き、盛り上がった地面が覆い被さる。
「るぅぉおおおおお!」
 咄嗟にユーベルコード『音狼繋ぐ勇姿の鉄鎖』による遠吠えで、飛んでくる土塊を爆発させて防ぎ、土煙が巻き起こって辺りを包み込んだ。

「はあ……埃で汚れたら最悪」
 メルスィンが手で払うような動作をすると、突風が吹いて土煙が晴れる。そこにはロランではなく巨大な人型兵器の姿があった。
「ここからが本番なの」
 召喚したキャバリア【アルター・ギア】に搭乗したロランは、もう一度遠吠えを放ち、煙が晴れて視界が通ると今度は敵を直接爆発させた。
「はあ……髪がぼさぼさになる……ほんと害虫だね……」
 爆発が起きてもメルスィンは平然として、突風で荒れた髪を撫でつけていた。そこでジャラリと音が鳴りその左腕に鎖が繋がっているのに気付いた。
「なにこれ……鎖?」
「気付くのが遅いの」
 すぐにロランはアルター・ギアを空に上昇させ、左腕を引っ張って敵を宙に吊り上げた。
「これなら簡単には動けないでしょ?」
「なんなの? そんなに叩き潰されたいの?」
 メルスィンは不快そうに眉間にしわを寄せ、力を込めて鎖を手繰り寄せる。しかし思うように力が発揮できない。魔術回路で編まれた鎖が魔力を封じているのだ。

「この鎖……魔力を封じる効果があるみたいね。はあ……面倒だけどこっちから近づくか……」
 深い溜息をついたメルスィンは、翼を広げて上昇する。しかしそこへ地上から槍が飛来し右翼を掠めて切り裂いた。
「今度はなに?」
 メルスィンが地上を見れば、そこには新たに槍を構えて投擲体勢に入るエルザの姿があった。
「援護します……!」
 少しでも敵の意識をこちらに向けようと、エルザは3mもある巨大な槍【ハスタ】を投擲し、空に吊られた敵を攻撃する。残像を残して移動し、位置を惑わせ避けにくくする工夫を施していた。
「ほんとに鬱陶しいなあ……害虫は」
 飛んでくる槍を右手の爪で弾き、地上に降下しようとすると左腕を拘束する鎖が引っ張り上げられる。
「うざいなあ……虫相手に力を出すなんて労力の無駄だけど、虫に好き勝手されるよりはマシ」
 メルスィンの鳩尾に刻まれている紋章が輝く。するとその全身から魔力が溢れ出し、鎖を引っ張ってアルター・ギアを引き寄せた。


「あれは……紋章の力を発揮したようです。気を付けてください!」
 敵が鎖の効果を上回って魔力を放出するのを見たエルザが警告の声を上げ、また牽制に槍を放つ。しかし見向きもしないで簡単に蹴り飛ばされた。
「調子に乗った虫とか最悪だよね、さっさと潰すよ」
「簡単に潰されたりしないよ!」
 メルスィンが振るう爪を、ロランはオーラを張って防ぐ。オーラに切れ目が走るが、重ねて張られている結界によってアルター・ギアに浅く傷がつく程度のダメージで済んだ。
「ロランのオーラと俺の結界でも完全には防ぎ切れないのか」
 ロランが囮になっている間に、遥翔はユーベルコード『天焔解放』を発動して焔黒騎士フレアライザーの装甲を漆黒と黄金の焔で覆い、高速で上空に昇って雲の中に身を潜め、結界を張ってロランの手助けしていた。
「敵は囮になっているロランに集中している。今がチャンスだぜ!」
 タイミングを見計らい、遥翔は漆黒と黄金の焔を翼のように生やし、雲を吹き飛ばして急降下する。真っ直ぐに最速で敵目掛けて突っ込みすれ違いながら焔黒剣イグニスを振るって脇腹を切り裂いた。
「は?」
 驚いた顔でメルスィンは傷痕を見下ろし、振り返ると既に反転した遥翔が眼前に迫り、反対の胴を斬りつけてまた飛び去った。

「イライラする……なんで虫相手に傷を負わなきゃならないのよ……」
 メルスィンが遥翔を迎撃しようとすると、ロランが雷魔術を撃ち込んで衝撃を与え、さらにエルザが槍を投げて脚に突き刺した。
「ぼくたちの継戦能力を甘く見ないで?」
「これが我々メレディウス騎士団の力です」
 ロランとエルザが敵の気を逸らしていると、遥翔は高速飛翔して幾度も斬り抜ける。
「害虫のクセに、生意気な……」
「俺たちは虫じゃない、人だ! 人を害虫のように殺す吸血鬼こそ、この世界の害虫だ!」
 人を虫と言い放つ吸血鬼に怒りを覚え、遥翔は焔を剣に集め、漆黒と黄金の強大な刃を形成する。
「これで終わりにしてやる。火に入る蟲のように焼け落ちな」
 真っ直ぐ振り抜かれる刃が敵の胴を両断する軌跡を描く。
「害虫は害虫らしく、共食いでもしてればいいのよ」
 メルスィンの鳩尾の『殺戮者の紋章』が禍々しく輝き体中の傷を一瞬で塞いだ。そして思い切り鎖を引っ張るとロランの乗るアルター・ギアを目の前に引き寄せて盾にする。
「ぅわっ!?」
「くっ!」
 目の前にキャバリアが現れ、振り抜こうとしていた焔の剣を遥翔は無理矢理軌道を変えて空振りした。
「はあ……害虫相手に本気にならなきゃいけないなんて……最悪」
 心底嫌そうな顔をしながら、メルスィンはアルター・ギアを蹴って吹き飛ばし遥翔にぶつけて吹っ飛ばした。

「まだそれだけの力を隠していましたか……一度態勢を立て直す必要がありますね」
 作戦通りの攻勢から状況が劣勢に傾き始めたのを感じたエルザは、冷静に判断を下し他の猟兵との連携を視野に入れる。
「害虫は根絶やしにする……踏み潰してあげる」
 エルザに向かってメルスィンが急降下して悪魔の脚で踏みつけようとする。まるで流星が落ちて来るような速度で、当たれば人の肉体など容易く砕け散るのが予想できた。
「ロラン!」
「遥翔さん、うん、いくよ!」
 地面に衝突する前にコントロールを取り戻したロランが、遥翔の視線で意図を悟り、アルター・ギアの手で遥翔を持って投げ飛ばした。
「エルねえに手出しはさせねぇ!」
 遥翔は初速を得ると焔の翼で加速し、舞い戻ると剣を敵の背中に突き刺した。
「今度こそ燃やしてやる!」
 切っ先が胸から突き出て炎が体内の血液を燃え上がらせる。
「虫を駆除するには、叩き潰すのが一番確実なんだよね……」
 刺されたままメルスィンは降下し、地面に蹴りを叩きつける。衝撃波が放射状に拡がり、遥翔、エルザ、ロランを巻き込むほどの広範囲の大地を吹き飛ばした。
「これでちょっとはすっきりしたかな……」
 胸に開いた穴を修復しながら、メルスィンは眉間に寄っていたしわを減らした。しかし炎の残滓が傷の治りを阻害していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クオン・キマヴィス
……騎士との戦いの時に左手に受けたダメージが、想像より大きいみたい。義手からバチバチっと火花が吹き出して、握っていた剣を落としてしまった。思う様に動かない

その様子を見てた、館の中で話した部隊長には「行くな」って言われたけど、これは私に与えられた任務だから

「大丈夫。私も、生きる為に戦うから」


刺客の前を塞ぐように立ちはだかって、義体の〈リミッターを限界まで解除〉して真の姿を現す(機械の四肢の隙間から蒼炎の炎が吹き出す)

「ここは、通さない」

敵の踏み付け攻撃は、UCで炎を纏った〈ウェポンエンジン搭載の鉄塊剣〉で受け止め相殺し『吹き飛ばす』

他の猟兵が攻撃をするチャンスを作るのが、私の役目

「私は、生きる」


月夜・玲
面倒ならお帰り願えないかなーって思うんだけどー…
向こうは楽しいお祭り騒ぎの最中だしさ
今回は人間側の勝利で終わりにしない?
水を差すのも無粋でしょ?
もうあの騎士が治める領地は無い訳だし?

…ダメかな?
ダメか

じゃあまあさ、死合おうよ


『斬撃波』を飛ばし、牽制を掛けながら接近戦を仕掛ける
尻尾による攻撃は『オーラ防御』でオーラを纏わせた剣で『武器受け』して切り払う
十分に接近したら【Code:C.S】起動
時間を加速させ、『なぎ払い』『串刺し』にして連続攻撃で一気に刻んでダメージを与える!

第五の貴族も、その紋章も気にはなるけど
まずは君という脅威の排除を優先させてもらうよ
逃さないからね?

●アドリブ等歓迎



●生きる為に
「行こう……」
 勝利を祝い賑やかに飲む笑顔の兵士達を見て、そんな光景を守ろうと仲間と共にクオンも刺客の迎撃に向かおうとするが、町を出ようとしたところで左の義手からバチバチと火花が吹いて鉄塊剣を取り落とす。
「おいっ、あんた大丈夫か?」
 町の警戒をしていた、先ほど話しかけた黒騎士と一緒にいた部隊長がその様子に気付き声を掛ける。
「……騎士との戦いの時に左手に受けたダメージが、想像より大きいみたい……」
 力の入らぬ左腕を見下ろし、クオンは右手で剣を持ち上げ切っ先を引き摺って歩き出す。
「これから戦いに行くんだろ? やめとけ、そんな傷で吸血鬼とやりあったら死んじまうぞ」
 先ほどの言葉に感銘を受けた部隊長は、死んでほしくないとクオンを止めようとする。
「これは私に与えられた任務だから」
 制止を振り切りクオンは右手で剣を引き摺って歩き出す。
「大丈夫。私も、生きる為に戦うから」
「……そう言われちゃ止められねぇな。じゃあ必ず生きて帰ってこいよ! 俺の名はベイルだ! 帰ってきたら呼んでくれ! あんたらの為にたっぷりご馳走を用意しておくからよ!」
「わかった」
 クオンは背を向けたままこくりと頷き。吸血鬼との戦いに向かった――。


「はあ……面倒だなあ……こんな怪我までして……やることが害虫駆除なんて……」
 治り切っていない先ほど付けられた胸の傷を見下ろし、街に向かうメルスィンは憂鬱そうに大きく溜息をつく。
「面倒ならお帰り願えないかなーって思うんだけどー……」
 そんなヴァンパイアに待ち構えていた玲が声を掛ける。
「向こうは楽しいお祭り騒ぎの最中だしさ。今回は人間側の勝利で終わりにしない?」
 聞いているのかいないのか、反応のない吸血鬼に向かって言葉を続ける。
「水を差すのも無粋でしょ? もうあの騎士が治める領地は無い訳だし? ……ダメかな? ダメか」
 全く反応が無く、こちらの言う事など虫の羽音にしか思われていないようだった。
「じゃあまあさ、死合おうよ」
 玲は2剣を抜き左右に構えて向かい合い、連続で振るって斬撃波を飛ばす。そしてそれを追い駆けるように接近する。

「なんで虫ってあちこちに湧くのかな。全部世界から消えればいいのに……」
 駆除する害虫としてようやくメルスィンの視線が玲を捉え、迫る斬撃波を腕の一振りで薙ぎ払った。
「汚い虫は……跡形もなく消し飛ばす」
 メルスィンの悪魔の尻尾が長く伸びて鞭のようにしなって振り抜かれる。死角となる横からの目で追えぬ速度の一撃を、玲は予測してオーラを纏わせた剣で受け止める。強い衝撃が腕に襲い掛かるが何とか剣を手放すのを堪える。すると尻尾はまたしなって攻撃しようと勢いをつける。
「封印解除、時間加速開始」
 足を止めずに玲は踏み込みユーベルコード『Code:C.S』を起動し、時間を加速させて胸に叩きつけるような軌道を描く尻尾を、今度は目で視認して斬り払った。
「第五の貴族も、その紋章も気にはなるけど、まずは君という脅威の排除を優先させてもらうよ。逃さないからね?」
 玲は袈裟斬りに横薙ぎにと連続で敵を斬り裂き、さらに2剣を胸と腹に突き入れる。
「虫に触られるなんて汚いなあ……でも、捕まえた」
 身体を貫かれたままメルスィンは薄く嗤う。そして尻尾を振り抜いて横殴りに玲を吹き飛ばした。剣が抜けると傷がみるみるうちに修復されていく。
「はあ……こんな虫がいっぱい街にいるんでしょ、ほんと嫌になる……さっさと終わらせよ」
 動ける状態になると、確実に叩き潰して駆除しようと空に舞い上がり、玲に向かって急降下して蹴りを放った。


「見つけた……」
 戦場に到着したクオンが義体のリミッターを限界ギリギリまで解除して、真の姿へと変貌する――機械の四肢が変形し、隙間から蒼炎の炎が吹き出した。
「ここは、通さない」
 高速で玲の前に割り込み、鉄塊剣を盾にして構え搭載したエンジンを唸らせる。そして頭上から叩きつけられる足を受け止めた。隕石でも受け止めたような衝撃が身体を抜ける。それでも踏み止まってクオンは力の入らぬ左手の代わりに剣を肩を使って押し戻し、全身の力を総動員して防ぎきった。
「――全部、灰になれ」
 そしてユーベルコード『終焉の火焔』を発動し。刀身が蒼炎を纏い敵の脚を燃やす。
「はあ……なんで抵抗するかな。虫が生きてたってしょうがないでしょ?」
 メルスィンが燃えたままの脚に力を込めて押し切ろうとする。
「私は、生きる」
 対するクオンは人々を守る為に生き延びると、強い決意で疲労の溜まった体に力を漲らせ、全力で押し戻し敵の態勢を崩した。

「いたた……吸血鬼は簡単に死なないから厄介だね」
 尻尾の直撃から咄嗟にオーラで身を守った玲は体についた土を叩いて起き上がる。
「でもまあ死に難いなら、死ぬまで斬るだけだし?」
 地面が爆発するように蹴って駆け出した玲は、敵の態勢が崩れているところへ斬撃を浴びせる。右の剣は肩から深く胸にまで達する。そして左の剣は右腕を斬り落としていた。
「害虫はほんとに迷惑すぎるし……こんな汚い傷をつけられるとか、最悪すぎ……」
 苛立って文句を垂れながらメルスィンは左手の爪で切り返す。
「人は害虫じゃない。あなたこそ、世界を蝕む害獣」
 その爪をクオンが鉄塊剣で弾き、腕を蒼炎で燃え上がらせる。
「君の存在の方が世界にとっては最悪だと思うよ」
 続けて玲が首を落とそうと剣を横に一閃して刃を叩き込んだ。しかしその刃は肉に食い込んだところで止まった。よく見れば尻尾が巻き付き剣を引っ張っている。
「ほんと、ぶんぶんと煩い虫だな……こんなのがいたら安心して眠れないよ」
 メルスィンは尻尾を薙ぎ払い、玲とクオンを纏めて吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
目的が同じ害虫駆除とは…奇遇ですね
尤も、其の対象は異なりますが…

◆行動
ユーベルコードは時に物理法則すら歪める超常の力を齎しますが…
逆に言えばユーベルコード自体が制約ともなり得る諸刃の剣です
例え一瞬のうちにであろうとも「接近」する事を強いられる貴女の様に…

【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別する浮遊機雷」を自身の周囲に複数設置し迎撃陣を構築

更に『涅槃寂静』にて「死」属性の「濃霧」を行使し【範囲攻撃】

一瞬で接近され様とも、飛び込んだ先に待つのは貴女にとっての死地ですので

【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】で追撃

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


愛久山・清綱
刺客よ、その紋章は“斥候の紋章”か?
いや、すまぬ……だが、其方達を見ていると思うのだ。
其方達は、其方達の更に上を行く者たちの……

“操り人形”かもしれない、とな。

■闘
相手が飛翔を始めたら『空薙・剛』を手に取り【野生の勘】を
巡らせ、敵が此方にくる瞬間を【見切り】つつ居合の構えを取る。
相手が懐に入ってきたら【カウンター】の太刀を仕掛けるかの如く
【早業】の手つきで刀を抜き放ち、【剣域・無】を発動!

動きが止まっている間に刀を縦に振るい、『刃が命中する限界
ギリギリの位置』で剣域を解除。身構える隙も与えずに身体と
紋章を真っ二つに【切断】せん。

闘いを積み重ねても、謎は深まるばかりだ……

※アドリブ歓迎・不採用可



●殺戮者
「はあ………なんなの、ヤバイ害虫が湧きすぎでしょ。こんなの話が違う……」
 ふわふわ浮かんで街に向かいながら、自らが負った傷を見てメルスィンは深い深い溜息を吐いた。疲労によって傷の治りが遅く、まだ血が滲んでいた。
「目的が同じ害虫駆除とは……奇遇ですね。尤も、其の対象は異なりますが……」
 そんな敵に街に続く道に立ち塞がる絶奈が話かける。
「また出て来た……一匹見たら数十匹いると思えってヤツ?」
 まさに虫けらを見下す目でメルスィンは絶奈を見た。
「もう相手したくないし、一瞬で終わらせよう……」
 メルスィンが翼を羽ばたかせ、絶奈に接近して刃物のように鋭い悪魔の爪を振るおうとする。
「ユーベルコードは時に物理法則すら歪める超常の力を齎しますが……逆に言えばユーベルコード自体が制約ともなり得る諸刃の剣です」
 敵が仕掛けてくると分かっても、絶奈は落ち着いて立ったまま動きを見ていた。
「例え一瞬のうちにであろうとも『接近』する事を強いられる貴女の様に……」
 メルスィンが無造作に前進した瞬間、カチッと冷たい機械音が響き、仕掛けられていた浮遊機雷が爆発した。
「既に此処には迎撃陣を構築してあります。戦勝を祝う場に水は差させません」
 さらにユーベルコード『涅槃寂静』を発動し、黒い死を宿す濃霧を起こし敵を包み込む。


「うざ……害虫はこれだからイヤになる……」
 メルスィンは鳩尾の紋章は輝かせ、強引にその中を突破してきた。だがその前に別の人影が待ち構えていた。
「刺客よ、その紋章は“斥候の紋章”か?」
 敵を目の前にして清綱が疑問に思ったことを問いかける。
「いや、すまぬ……だが、其方達を見ていると思うのだ。其方達は、其方達の更に上を行く者たちの……」

 ――“操り人形”かもしれない、とな。

 清綱には如何に強かろうとも、目の前の敵がただの命令通りに動く人形に思えた。

「はあ…………また違う虫……害虫はどれも鬱陶しいけど、こいつは格別にうざい……」
 猟兵の言葉など虫の放つ雑音程度にしか聞いていないメルスィンは、苛立つように接近して無造作に爪を振るった。
「その程度の攻撃では虫も殺せぬぞ」
 清綱はただ虫を叩き潰すように振るった単純な一撃を見切って、踏み込みながら容易く躱す。そして場所を入れ替わりながら、腰に差した大太刀【空薙・剛】で居合の構えを取る。
「……ほんとにうざすぎ……絶対に潰してやる」
 振り返ったメルスィンが殺気を放ち、翼を広げて視認できない程の速度で突っ込む。
「我が“剣域”、遁ぐ事能わず……」
 清綱はユーベルコード『剣域・無』によって敵の高速突撃に割り込む程の速度で、抜刀から暴風のような剣気を放つ。
「わぷっ……動かな――」
 カウンターで直撃を受けたメルスィンの動きが錆びた機械のようにぎこちなく止まる。その剣技は時空を停止させ強制的に周囲の動きを止めていた。
「紋章ごと断ち切る」
 清綱は大上段に大太刀を構え、剣を真っ直ぐ振り下ろす。そして頭に触れる瞬間に剣域を解除し時空が動き出す。
「――は?」
 身構える暇もなく気付いた瞬間には、メルスィンの身体は唐竹割りに真っ二つに切断されていた。
「其方達が何者で何処から来たのか、闘いを積み重ねても、謎は深まるばかりだ……」
 清綱が残心していると異変が起きる。両断された紋章が禍々しく輝き、引っ張り合うようにくっついた。そこを起点にメルスィンの肉体も接合し、元の姿へと戻ったのだ。
「……痛い。虫にここまでやられるなんて……ありえないんだけど」
 淡々としながらもその声に怒りが混じっているのを感じる。
「何と、其れ程の力を斥候の紋章は宿していたのか……」
 驚きながらも油断なく、清綱は身の危険を感じて間合いを開ける。
「塵も残さず潰す……」
 翼を広げ一瞬で間合いを詰めたメルスィンが虫を叩き潰すように、振り上げた手を思い切り一閃した。それを清綱は大太刀で受け止めるが、爪がぶつかって火花を散らし衝撃に身体が後方へ吹き飛ばされた。


「元の戦闘力は先の領主よりも劣りそうですが、紋章による底上げで強力な吸血鬼と化しているようですね」
 戦闘技能などと高尚なものではない。ただ力任せの一撃。しかしその破壊力は領主を上回っていると絶奈は見て取った。
「そういえば、そっちにも鬱陶しい害虫がいたね……」
 じろりとメルスィンの視線が向けられた瞬間、絶奈の目の前にその姿が現れていた。それに遅れて空中の機雷が爆発する。
「機雷の起爆よりも速く動きましたか」
 絶奈は叩き潰そうと迫る爪を白槍で受け流す。そして反撃に黒剣で胴を薙ぐが、それは反対の手で受け止められた。
「害虫は大人しく叩き潰されればいいのよ」
 手が刀身を握り、振り回して絶奈ごと投げ飛ばした。砲弾のように身体が飛ぶが、絶奈は浮かび上がって衝撃を逃す。
「殺戮者の紋章……伊達ではないようですね」
 絶奈は体勢を立て直しながら、敵が動いてからでは間に合わないと浮遊機雷を全て起爆させる。それを煙幕にして濃霧で自分の周囲を覆わせた。
「ですが此処が貴女にとっての死地です」
 絶奈は罠を張り剣と槍を構えて待ち構える。
「はあ……まだ生きてる。害虫ってほんとしぶとい……」
 メルスィンが死を内包した濃霧を突っ切って来る。体が腐るように変色するが、再生力で強引に突破し爪を振るった。絶奈がそれを剣で弾くと、次々と連続攻撃を浴びせられる。それを剣と槍を使って何とか凌ぐ。
「汚い虫は、全部消す……みんなみんな潰れろ」
 メルスィンが勢いで押し込み、敵が消耗するまで時間を稼ごうとする絶奈の守りを崩した。そこへ大振りの右の爪が胸へと突き出される。
「消えるのは其方達の方だ」
 そこへ飛翔して戻った清綱が大太刀を振り下ろし、右腕を斬り落とした。落ちた腕は濃霧に飲まれ腐り果てる。
「害虫め……わたしの前から消えてなくなれ………」
 怒りの余り表情を失ったメルスィンが尻尾を伸ばして薙ぎ払い、武器で受け止めた清綱と絶奈を遠くへ吹っ飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィルフレッド・ラグナイト
敵の攻撃は捌けるものは【武器受け】で防ぎ、致命となるものは【見切り】で避け、時にゼファーの風による【オーラ防御】や【残像】も織り交ぜて防ぐ
【ダッシュ】で一気に距離を詰め、UCによって光を纏った剣で敵を斬る
デュークさんや皆の所までは絶対に行かせない、その一念で自らを【鼓舞】し、【勇気】を以て相対する

「貴方にとって命は簡単に奪えるものなのでしょう……」
「命をなんだと思っているのですか。失われた命は戻らない。だから人は必死に生きるんです」

闇の救済者を侮辱する言葉が出れば
「……侮辱するな、彼らを。彼らは未来を願い、自らの意志で立ち上がった」
彼らは希望の光
そんな光を守る
それが私の誓い

アドリブ・負傷等OK


荒覇・蛟鬼
悪質な冗句もあったものですな。この私が夜盗風情の
助力をすることに……いてて!何だ、濡姫。
『若、私達獄卒の“本来の役目”をお忘れでございますか』
■闘
わーってるよ。しかし。あの紋章、相当な力を感じられますな。
迂闊に攻めるのは危険やもしれません。
此処は、私の得意な【カウンター】を狙う作戦で行きましょう。

先ずは敵が仕掛けてくるのをその場で待ち、振り下ろされた脚を
【怪力】全開で【グラップル】し、軽く投げて【体勢を崩し】ます。
そこから敵の身体のどこかしらに【嘗女の惑乱】を放ち、
『全身を鋭利な杭で突き刺された』というウソ情報を敵の
感覚に流し込み、身体を内部から壊してやりましょうかな。

※アドリブ歓迎・不採用可


九十九・ゆかな
空を飛ばれると戦いにくいな……。ただまぁ、相手が銃器類を持ってないだけマシと考えよう、うん。
やる事は『UCを喰らう前提で相手を爆破する』要は自爆覚悟っすよ。…そういう事するって言うと他の猟兵に止められそうだけどね。

下準備として自分の『金属製ライオットシールド』の表面に『リモコン爆弾』をセット、攻撃が来る直前まで構えないでおこう。バレたら話にならん。
あとは短機関銃の「乱れ撃ち」、散弾銃の「範囲攻撃」で弾を当てて注意を引く。
そしてこっちに突っ込んで来たらすかさず盾を構えて『リモコン爆弾』を作動、私諸共ドカンという訳さ

あとの事は私のUC『戦場の亡霊』に任せるよ…私以上に獰猛だから気を付けなよ?



●闇を払う光
「傷の治りが遅い……害虫め」
 ふわふわと浮かんで進むメルスィンは、まだ失った右腕が再生されないのを見て忌々しそうに猟兵という害虫への憎悪を募らせる。

「空を飛ばれると戦いにくいな……。ただまぁ、相手が銃器類を持ってないだけマシと考えよう、うん」
 ゆかなは飛んで移動している敵を見て、銃で狙い難いと思いながらも、前向きに考えて戦いに臨む。
「ここまで猟兵の迎撃を退けてるみたいっすからね、さっきの領主よりも強いと考えて間違いなさそうっす」
 傷を負ってはいるが、それでもまだ戦闘力を失っていない敵を見て、ゆかなは強敵だと街に辿り着く前に倒す算段を考える。それはユーベルコードを喰らう前提で相手を爆破するという方法だった。
「要は自爆覚悟っすよ。……そういう事するって言うと他の猟兵に止められそうだけどね」
 他の猟兵に聞こえぬようにこそっと呟き、背後に見える街をちらりと見た。あそこではヴァンパイアと戦いの勝利を喜び合っている人々がいる。それを守ってみせるとゆかなは決意を固める。
「下準備は万端っす。止められる前に仕掛けるっすよ」
 金属製ライオットシールドの表面にリモコン爆弾を設置し、バレないように構えずに背に隠した。
「じゃあ始めようか――」
 短機関銃を構えて乱れ撃ち、さらには散弾銃をぶっ放して敵の身体のあちこちに弾丸を当てた。

「はあ……また害虫が騒いでる……何匹いるのよ」
 嫌々ながらも、メルスィンは地上を見下ろしてゆかなを発見し、真っ直ぐ急降下して踏みつけにいく。
「さっさと潰していこう……」
「その傲慢な顔に一発喰らわせてやる」
 敵が目の前に迫るとゆかなは盾を構える。そして蹴りがぶつかる瞬間にリモコン爆弾を作動させ、目の前でドカンッと爆発を起こした。
「!? なんなの?」
 両者が衝撃で吹き飛び、メルスィンは空中に投げ出され、ゆかなは地面を転がる。ダメージを受けて動けないゆかなが仰向けで空を見上げれば、敵の左脚が千切れているのが見えた。
「よくも……虫ごときがわたしの脚を……!」
 メルスィンは怒りに身体を震わせ、冷たい視線でゆかなを見下ろす。しかしそこにはゆかな以外の人影が見える。それはかつてゆかなと共に戦場を駆けた見覚えのある兵士の姿。
「あとの事は私の『戦場の亡霊』に任せるよ……私以上に獰猛だから気を付けなよ?」
 ユーベルコード『戦場の亡霊』を発動したゆかなが薄く笑うと、後の事は任せたと身体から力を抜く。それと同時に亡霊が駆け出し、草木の障害物を利用して身を隠しながら短機関銃を撃ち放った。
「虫けら虫けら虫けら……害虫は滅ぼす……!」
 それを追い駆け、メルスィンは空からの急降下攻撃を繰り返し、地面に大穴を穿っていった。


「悪質な冗句もあったものですな。この私が夜盗風情の助力をすることに……いてて! 何だ、濡姫」
『若、私達獄卒の“本来の役目”をお忘れでございますか』
 口の悪い蛟鬼を袖から顔を覗かせる蛇の使い魔が少しばかり腕を噛んで諫める。
「わーってるよ。しかし。あの紋章、相当な力を感じられますな。迂闊に攻めるのは危険やもしれません」
 その力によって猟兵の防衛を突破してここまで押し通ってきたのだ。油断はできないと気を引き締める。
「此処は、私の得意なカウンターを狙う作戦で行きましょう」
 口元に悪巧みしたような笑みを浮かべ、蛟鬼は敵の視界に入るように開けた場所に歩き出した。

「この……隠れ回ってイライラする害虫ね……」
 逃げ回る亡霊を追ってメルスィンは地形が変わる程の破壊し尽くしていた。そして亡霊の隠れる場所が粗方粉砕されると、亡霊の逃げる先に笠を深く被り目つきの悪い蛟鬼が立っていた。
「また害虫かあ……もうほんとイヤ。早く終わらせて帰ろ……」
 メルスィンがただただ鬱陶しいと、迷いなく急降下して残った右脚で蹴りつける。
「まともに受ければただでは済みそうにありませんな。まともに受ければの話ですが」
 頭上から突っ込んでくる蹴りを、蛟鬼は身を捻りながら掴んで敵の勢いを利用して投げる。すると敵は地面に突き刺さるように着地した。
「さて、体は頑丈でも心はどうでしょうかな」
 蛟鬼はユーベルコード『嘗女の惑乱』を発動し、『全身を鋭利な杭で突き刺された』というウソ情報を感覚に直接流し込み、不可視の激痛を与えた。

「っぎゃ!!」
 今まで手足を失うダメージを受けても、それほど顔に現れていなかったメルスィンの顔に初めて苦悶の表情が浮かぶ。
「な、なん、なの……これっ痛いっ!!」
 立っていられなくなり、体を掻き毟るように倒れ込んで暴れ出す。
「身体が丈夫なのも考えものですな。普段は感じぬ痛みはよく効くでしょう?」
 のたうち回る敵を見下ろし、蛟鬼はしてやったりとほくそ笑んだ。


「……絶対……絶対に……害虫は駆除する………」
 目を血走らせ痛みを無視して飛び起きたメルスィンが爪を薙ぐと、割り込んだ人影が剣で受け止めた。それは【誓剣エルピス】を構えたウィルフレッドだった。
「また虫が……潰さなきゃ、虫なんかこの世界から一匹残らず叩き潰してやる」
 メルスィンの振るう爪の連撃を受け止めるが、凄まじい力にウィルフレッドの身体が吹き飛ばされそうになる。しかし背中から吹き付ける追い風によってその場に踏み止まり、衝撃に手を痺れさせながらも攻撃を受けきった。
「貴方にとって命は簡単に奪えるものなのでしょう……」
 ウィルフレッドの脳裏に共に戦った黒騎士を筆頭とした闇の救済者達の姿が浮かぶ。皆が必死に生きて、この死に満ちた絶望の世界に抗っていた。
「命をなんだと思っているのですか。失われた命は戻らない。だから人は必死に生きるんです」
 ウィルフレッドはそんな人々を守りたいと願い、その一念で自らを鼓舞して強大な吸血鬼に立ち向かう。

「はあ……また虫が煩く騒いでる……街に虫が湧くからわたしがこんな面倒な仕事をしなくちゃらないのに……虫は大人しく虫同士で殺し合ってればいいのよ」
 メルスィンにとって人などただの虫けらでしかない。ウィルフレッドの言葉も、街で戦争を起こした闇の救済者も、等しく害虫が騒いでいるとしか思っていなかった。
「……侮辱するな、彼らを。彼らは未来を願い、自らの意志で立ち上がった」
 湧き上がる怒りに手に力が戻り、剣を強く握って上段に構えた。
「彼らは希望の光。そんな光を守る……それが私の誓い」
 その誓いに応えるように体の内から力が漲り、ユーベルコード『夜明けの閃刃』が発動して剣に眩いほどの光が宿る。
「世界を覆う闇を、希望の光で払ってみせる!」
 振り下ろす閃光が、防ごうと掲げた敵の左爪を断ち切り肩から切断する。
「虫けら……が!」
 両腕を失いながらもメルスィンは鞭のような尻尾を放ち、ウィルフレッドの胴を打ち抜いて吹き飛ばした。


「許さない……害虫がわたしをこんなに傷つけて……!」
 憎しみを籠めてウィルフレッドへと暗い視線を向ける。そして尻尾を伸ばし、止めを刺そうと振り抜く。しかし銃声と共に尻尾が途中から千切れ飛んだ。さらに銃弾が飛んできてメルスィンの身体を射抜く。見ればいつの間にか距離を詰めていた亡霊が銃を撃ち続けている。
「言ったはずだよ、その亡霊は私よりも獰猛だってね」
 倒れたままのゆかながそう言って笑った。
「害虫は消えて……」
 メルスィンが飛翔して蹴りを放つと、亡霊は身を投げて躱す。しかし地面に突き刺さった脚が爆発を起こし、辺り一帯を吹き飛ばした。
「紋章は確かに強力なようですが、使い手がこれでは十分に力を発揮できてるとは言えませんな」
「っぁあ!」
 辺りを包み込む土埃の中、姿は見えぬがすぐ近くから平然とした蛟鬼の声が届き、再び激痛が走ったメルスィンは顔を歪めた。
「害虫が……一匹も生きて帰れると思うな……」
 メルスィンが衝撃波を放って土煙を晴らし、蛟鬼を仕留めようと浮かんで近づく。
「何故私が無事なのか、少しは考えてみたらどうですかな?」
 視界が開けるとそこに居たのは蛟鬼だけではない、口の端から血を流し傷つきながらも闘志を燃やすウィルフレッドが前に立ち、光り輝く剣を構えていた。その光は害意がら身を守るように衝撃波も土煙も消し去っていた。
「虫が……!」
 咄嗟にメルスィンは尻尾で叩き潰そうとする。
「これが、人々が繋いだ光だ……その身で思い知れ!」
 ウィルフレッドが剣を振り下ろす。尻尾を消し飛ばし、さらにメルスィンを両断した。その光は鳩尾の紋章を消滅させて体中に広がり、完全に敵を包み込むと日が差すように闇を消し去った。


●一条の希望
 猟兵達が連戦にくたくたになって街に戻る。その入り口には黒騎士デュークや部隊長といった猟兵がまた戦いに向かった事を知っている少数の闇の救済者達が出迎えていた。
 彼らの心配そうだった顔が猟兵を一目見て笑顔に変わる。
 そんな闇の救済者を見て猟兵達も笑みをこぼし、歩く速度を早めて街に戻った。
「きっと無事に帰ると思っていた。さあ、これからは君達が宴の主役だ!」
 猟兵の無事を喜び、これからが宴の本番だと暗い世界を吹き飛ばすような笑顔が広がる。
 猟兵達はその笑顔を、そして希望の光を守れてよかったと、疲れも忘れたように共に笑い腹を満たし戦友として宴を過ごした。

 闇の世界に生まれた明日という希望に導く小さな光。
 だが闇の救済者にとっては、猟兵こそが長く続く暗黒時代に現れた希望の光だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月04日


挿絵イラスト