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銀河帝国攻略戦④~船内の爆圧者達

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 猟兵たちの拠点、グリモアベースに一つの声が聞こえる。
「皆さん、事件ですわっ」
 ベースに響くのは、グリモア猟兵であるフォルティナ・シエロによるものだ。
「現場である世界は、スペースシップワールド。解放軍へ合流を急ぐ宇宙船内で、銀河帝国のテロが発生。合流を阻まれますの」
 苦々しく言葉を吐き出した自分に気付いたのか、はっとし、表情を硬くする。
「猟兵の皆さんには、このテロを防いでもらいたいんですわ」
 身振り手振りを交えながら、彼女は集まった猟兵たちに言葉を送る。
「状況を説明しますわ。現場は当該宇宙船の“発着港”ですわ」
 ここ、ここらへんですの、と宇宙船模型の下部を叩きながら、
「帝国が行うテロの方法は、偽装入港した巡洋艦を港内で最低限の出力で最速始動させ、コアマシンルームを主砲で破壊。その後、出力を最大化してむりやり脱出、他の宇宙船に向けつっかけていく……。かなり力技ですわねこれ……」
 口を真横に開いたまま、フォルティナは指を立てる。
「――ここで、注意がありますの」
 なにか。
「私が転移をさせる先は、ミディアさんが乗る宇宙船ですの。当該宇宙船にワープドライブをミディアさんに装着させる必要があるからですわね。皆さんにはミディアさんと共に、その宇宙船でワープしてもらい、テロ現場の船に向かってもらいますの」
 図を描いて、現場に向かう猟兵の流れを説明する。
「時間の流れは結構タイト。そのため、現場に到着したらすぐ戦闘ですわね」
 つまり、
「――猟兵の皆さんには、宇宙船の内部で、巡洋艦と戦ってもらうことになりますわ。入港して、動けないといえど、相手の火力と装甲は脅威ですの」
 フォルティナは眉を立て猟兵を見回す。
「敵、ディクタトル級巡洋戦艦の攻撃方法はいくつかありますわ。充填必須の主砲。量減カタパルトから発艦する艦載機。そして」
 三本目の指を立てる。
「全兵器の使用制限を解除し、攻撃力と耐久力の超強化ですわ」
 それ以外にも、と言葉を続ける。
「戦闘が長引くと主砲発射を諦め、出力を発進用にシフトし、戦場を宇宙に移すかもしれませんわ」
 それを阻止するか、はたまた手に入れた宇宙服を利用するかは皆さんの自由ですわね。と言葉を続けた。
 猟兵たちの顔を見回しながら、指を立てた手は降ろさず、全て開き、光を生み出した。
 オレンジ色の光はグリモアだ。
 猟兵たち一人ひとりの顔を確認しながら、フォルティナは言葉を続ける。
「ミディアさんにはワープドライブの装着という仕事があるので、皆さんにはミディアさんの護衛もお願いしますわ。何があってもおかしくない現場。そんな念頭でお願いしますの」
 全員の顔を見渡すと、フォルティナは眉を立て、口角を上げた。
「まぁ皆さんならできますの! 私はそう信じていますわー!」


シミレ
 シミレと申します。TW6から初めてマスターをします。
 今OPで3作目です。
 不慣れなところもあると思いますがよろしくお願いいたします。

 今回はスペースシップワールドの宇宙船内部にある、港のようなドックのような、まぁそんな場所での戦闘です。
 ミディアさんが同行し、【ヘロドトスの戦い】で示された通り、彼女自身も戦闘能力は有るかと思いますが、今回はワープドライブの装着という大仕事があるので殆ど戦闘には参加しないかと思います。

 敵が使うUC等の詳しくは他の資料で。このシナリオ限定の特殊行動とすれば、もしかすれば敵巡洋艦が港から発進して、戦場が『宇宙船内部』から『宇宙』に変わる点かと思います。伸び伸び戦闘できそうです。

 一作目、二作目ともにリプレイの文字数がある程度ありましたが、今回のリプレイは少し少な目にしようかなと思います。御了承をお願いします。
 プレイングやリプレイ等についての詳しいお話は私のページを見ていただければ幸いです。

 皆さんの活発な相談やプレイングを待ってます!!

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『ディクタトル級巡洋戦艦』

POW   :    主砲発射用意!
予め【主砲にエネルギーを充填しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    航空各隊、邀撃に移れ!
【両舷カタパルト】から【直掩艦載機】を放ち、【対宙迎撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    オール・ウェポンズ・フリー
【兵装使用無制限状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ベモリゼ・テモワンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 
           ●
 
 広い空間の中、そこで男は目を覚ました。
 思う。ここはどこだと。
 疑問を解消するために、身体を動かそうと思い、そうしようとしたが、
 動かねえ……。
 身を走る鈍痛はわき腹からだ。仕方がないので、視線だけで自分の現場を確認する。
 四方は千メートルを超え、金属の隔壁によって包まれた空間だ。
 空間のいたるところには照明が備え付けられ、床に積み上げられたコンテナ群や、壁や柱に埋め込まれたクレーンやウィンチを照らしている。
 なにより、照明を一番に受け、空間の中に多大の影を落とす存在が、この空間の異質さを際立たせていた。
 床にペイントされた標示や宙に浮く照明によって三次元的に区分けされた空間、そこに大小様々な宇宙船が身を寝かしていた。
 そこで思い出した。ここは
 うちの船の発着港だ……。
 一つを思い出せば、連鎖的に記憶が引き出される。
 自分はこの宇宙船の航海士であり、荷役した貨物の担当者だ。近々交流する宇宙船との貿易のため、積んだ積荷の最終チェックをしていたところ異変に気付いたのだ。
 船のバランスだ……。
 転覆の危険を排除するため、積荷のバランスは死活問題だ。どちらか片方によれば船の航行に支障が出る。
 しかし自分が見ていた画面上、そのバランスが急激にずれ始め、センサーの故障かと思い現場に向かい、次の記憶は今だ。
 見上げる。床を顎で擦るようにしてだ。
 デケえなおい……。
 視線の先、白い装甲宇宙服に身を包んだ人間達が、いくつかのコンテナから、パーツを運び出し、組み上げていく。
 仮組みされていたそれらは、宇宙船のドックを兼ねることもあるこの船の設備を使えば、相互の接続は迅速に行われていく。
 パーツが組み合わさり、完成したそれは、全長500メートル、本体幅100メートルほどの大きさだ。全体的に鋭角な角度を持ち、三角形の集合体のような印象を与える。
 宇宙帝国のディクタトル級巡洋艦だ。
 装甲各部に汚れや破損は見られるが、始動の準備を進めていく動作に支障は見当たらない。
 帝国にバレないように、鹵獲品をバラして運ぶって聞いたんだけどなぁ……。
 否、当初は本当にその通りだったのかもしれない。その情報を聞きつけた帝国の工作員が乗り込み、それを利用したのか。
 まぁ、どっちでもいいわな……。
 痛みに霞んでいく視界の中、しかし気付く。
 ……?
 周囲が慌ただしい。港にいた帝国兵達が緊迫した雰囲気で会話をしたかと思えば、急ぎ、巡洋艦に乗り込んでいく。
 自分が聞くことが出来た言葉はわずかだ。
「猟、兵……?」
 呟いた瞬間、緊急開放を知らせる警告の灯火と音が港を埋め尽くす。
 背後、シャッターが開いていくのが空気の流入で分かった。
 何事かと、力を振り絞って背後を振り返れば、何かがこちらへ来るのが見えた。
 小型船だ。シャッターを必要最低限に開き、加速の勢いのまま乗り込んでくる。
 その身が港の床に半ばぶつかるように着陸するのと、シャッターが閉まるのは同時だ。
 隣。その位置に着地した小型船から、幾人もの人が降り立っていく。
 こちらへ駆けてくる姿や、巡洋艦に向かっていく姿を見止める。
 あれは……。
 そう思ったのを最後に、意識は途切れた。
才堂・紅葉
「ったく、この先輩は高いわよフォル?」
やれやれと息を吐くが、引き受けることは決めていた。
余裕の無い後輩を見捨てない程度には先輩風を吹かせよう。

業務手順はスペースバイクで正面戦闘。
アサルトライフルで艦載機を落としつつ、三角野郎の砲台や射出口にマッド錬金術師共の特性榴弾をぶち込もう。
攻撃→回避→移動→攻撃回避→移動→攻撃……
ルーチンワークに繰り返せば段々思考がクリアになる。
敵の発狂モード化には、一際素早く動いて引きつけるわね。
こういう時の私、敵の攻撃に当たらないから。
基本は相手が死ぬまでルーチンを繰り返すけど、まぁ、他の猟兵達がそんなにノロマな訳ないかな?

※アドリブや連携は歓迎です


明石・真多子
お~宇宙は凄いね~。宇宙船の中にまた宇宙船があるんだ。
あの中にもまた船が入ってるんでしょ?
面白いね~!(ぱとぱち)

って観光に来たんじゃなかったね!真面目にやろう!(キリっ)
でもそうだなー、素手のアタシが出来ることってあんまりないよね。
とりあえず邪魔にならないように【タコフラージュ】で「迷彩」しとこ。

そういえば、この船って何か凄いビーム撃つんだっけ?
それだけでも頑張って止めようかな!
主砲の発射口で丸まって…バルーンのようにポンと膨らむ!
穴に詰めたガムみたいに、発射口を塞ぐよ!

超軟体ボディがエネルギーと衝撃を吸収して、ガムみたいにぷくーと膨れて仲間を守る!

改変、協力何でも歓迎!



 
           ●
 
 周囲を壁とガラスで覆われた空間がある。
 空間は天上灯が点いておらず、光源はガラスの外から入ってくる光と、細かな計器類が生み出す光のみしかない。
 艦橋だ。地面からかなり高い位置にある現場は、いまや焦燥の雰囲気に包まれていた。
「猟兵です!」
 双眼鏡を構えた帝国兵が切迫した声で、敵の来訪を告げる。
 それを聞いた艦長は、拳を握りながら周囲に指示を送っていく。
「構うなっ! コアマシンはやつらの背後にある! 最速の充填にて、諸共撃ち抜け!」
「了解!」
 機関部からの充填開始の連絡が響く中、再度切迫した声が聞こえてきた。
「イ、猟兵が接近してきます!」
「なにっ?」
 言葉に引かれるように艦長が振り向いた先、数百メートル向こうから高速で接近してくるものが見えた。
 数は一、スペースバイクに乗った少女だ。
 
           ●
 
 紅葉は思う。気付かれたわね、と。
 自分は今、近くにあったスペースバイクに跨り、疾走の最中だ。
 視界の正面。巡洋戦艦の両舷にあるカタパルトがせり出してきているのを確認すると、
「――」
 スロットルを絞り、一気に加速していく。
 カタパルトから飛び立った艦載機が慌てて迎撃に移ろうとするが、狭い格納庫内では空中に滞空するしかなく、振り回すようにバイクを捌けば、
「いい的ね」
 スピンを決めながら下に潜り込み、直上を鉄鋼弾で貫く。
 火を噴いて落下していく艦載機の下から、再度の加速で退避すると、こちらを見失っている一機に背後から連射で叩き込んだ。
 二機目が火を噴く。
「猟兵が……舐めやがって……!」
 たちどころに二機を失った航空隊は、苛立ちを募らせ、備え付けの機銃で床に向け、銃撃を寄こす。
 しかし、
「狙いが雑よ」
 格納庫内という環境も含め、スペースバイクという小型の目標を狙うのに慣れていないのか、高速で飛来する光弾は拡散が激しく、その間を縫うような回避が可能だ。
 進行方向への光弾は加速と減速で回避し、横や至近弾はウィリーで避け、爆圧をバイクの腹で受けるようにすれば、
「跳ぶわよ……!」
 爆風に乗り、二回転半するころにはマガジン一つ分の攻撃が終了している。
 そうして落下していくが、しかし降下機能は使わず、衝撃をそのまま前進力へ変換し、疾走を再開する。
 加速し、身を回して回避し、攻撃。それらを高速で繰り返してけば、思考は澄んでいく。
 攻撃を見切るのではなく、受け流すようにして回避していく最中、片手でライフルのセレクターを操作し、射撃モードを切り替える。
 高速で流れていく視界の中、ライフルを構える先はカタパルトの根元だ。
「何機も何機も……。いい加減鬱陶しいのよ」
 狙い、引き金を引いた。
 トリガーが作用するのは銃弾を叩くハンマーではなく、ライフル下部、マウントされたグレネードだ。
「マッドな連中特性の榴弾! 受けてみなさいっ!」
 射出された大振りなグレネードは、蒸気を白く棚引かせながら巡洋戦艦の右舷側に高速で突っ込み、火炎と爆発によってカタパルトの一つを塞いだ。
 警報がけたたましく鳴る戦艦を確認し、再度の距離を取ろうとバイクの尾を振ろうとした瞬間、気付いた。
「主砲……!」
 充填していた主砲がこちらに向いているのだ。
 艦載機じゃ相手にならないと思われたってこと……!?
 手法による大雑把な爆撃。自分という戦力を惜しみなく評価しているということに喜ぶべきかどうか、そう考えながら、回避の方法を模索していると、視界の端にそれが来た。
「球体……?」
 否、姿は見えない。研ぎ澄まされた思考ゆえに、わずかな異変に気付いたのだ。
 上空、景色の一部が歪んでいる。周囲に同化するような透明な歪みは移動を伴っており、大きさは1メートルほどの球体だ。艦載機の間をすり抜けて落ちてくる。
 球体が向かう先はどこかと、目を向けた先は主砲。その砲口の眼前だ。
 青白く光る砲口目がけ、透明の球体が吸い込まれるように飛来し、
「は、入った……」
 唖然とした顔で見上げていると声が聞こえた。
 主砲からだ。
「ホ――ルインワ――――ン!!」
 この声は、
「明石さん!?」
 ノールックで三機目の艦載機を落としながら、叫ぶ。
 
           ●
 
 真多子は思う。
 自分は爆発的な火力が無く、今回のような敵にできることはあまり無いのではないかと。
 とりあえず、能力で周囲の風景に溶け込み、天上に張り付きながらどうしたものかと思っていたら、それを見た。
 主砲の充填だ。青白い光が収束していくのを眺めていると、ふと閃いた。
 出来るかな……?
 疑問に思い、しかし思っただけだ。材料は揃っていたし、なにより眼下には仲間たちがいて、この船の生命線であるコアマシンもある。
 疑問を確かめようと、天上を蹴った。
 空中。落下していく中、触腕を動かし気流を掴む。海流より粘度が低く捉えるのが難しいが、微調整が主な現状にとっては幸いだ。
 落ちていく最中、眼下の紅葉が擬態しているはずのこちらを見ている。
 紅葉ちゃん目ー良いね……!
 感心してると砲口が真横に来たので、慌てて触腕で引き入る。
 入った。
「おぉー……。なんか落ち着く……!」
 入口が狭く、奥の方は広く、そして全体的に暗く、良い気分にさせてくれる。
「って、タコ壺じゃあるまいし! なんちゃってー!」
 触腕で虚空をツッコんだ瞬間、光が来た。
 轟音とともに、高質量の光が自分の身体を高速で打撃し、貫こうとするが、
「根性――――――!!」
 伸びた。言葉と共に、光と身体がだ。叫んだ声の後半は砲身から出て、港を震わせる。
 砲身から突き出た視界の中、紅葉も、艦載機も、何もかもが声の出所である自分を見ていることに気付く。
「明石さん!? 明石さん!?」
 眼下で紅葉が信じられないものを見るような目でこっちを見ている。
「紅葉ちゃーん。見える? なんか私、今風船ガムみたいだよねー。さっきまでタコ壺にいたんだけどな……」
「分かるように現状報告してくれます!?」
 怒られたと同時、光が震えた。爆発の逃げ場を探しているのだ。
 ここで手ー離したら、とんでもないことなるよね……。
 戦艦側へ逃がしても誘爆の危険がある。上下左右前後。どの方向でも最悪の現状だ。
 ならば、
「私が吸収するしかないね! ――紅葉ちゃん!」
 限界まで身体を伸ばし、砲身の内壁に吸着させていた吸盤を離す。吸盤が砲口から出た瞬間、吸盤同士をくっつけて自分の“傘下”ともいえる部分を密封する。
 そうして出来あがるのは、内部に光球を携えた風船ガムだ。
 運動エネルギーに従うまま、港を突っ切っていく。全身を捻り、重心を傾けることで決めた進路は、
「船外排出――!」
 乗り込んできたシャッターだ。非常用開放ボタンを紅葉が力任せに叩き、開いていくシャッターに自分の身体を平たく潰して、必要最低限のスペースで排出する。
「方向転換――!」
 宇宙に全身が出ると、全身を百八十度ターンし、頭をシャッターへ、触手の先を宇宙へ向けて内部のエネルギーを放出する。
「ただいま――!!」
 運動エネルギーの従うまま、再度宇宙船へ頭から突っ込んでいけば戦闘の再開だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルミナール・セピアネス
【SPD】
相手は巡洋戦艦かー これは的として申し分ないね!盛大に撃ちまくってやる!!

まずは●コードアクセラレイターを使用。 高機動モードに移行してバーニアを噴かせて一気に敵戦艦に向かうよ。

主砲は味方の猟兵が止めに向かってるみたいだし私は邪魔をしてきそうな艦載機共を掃除するとしようかな。そのためには…

「多数相手にはこいつでどうだ!ミサイルの大盤振る舞いだよ!!」

●ミサイルカーニバルを使うね。 【範囲攻撃】で射程内の艦載機共に向かってマルチロックミサイルをミサイルが無くなるまで発射!誘導ミサイルの猛追尾から逃げ切れるかなー?

(アレンジ、他の方との絡み大歓迎です!)



 
           ●
 
「うわー……。いっぱいいるねー……」
 ルミナールが見上げる上空。そこには、無数の艦載機がいる。
 空を失った世界においても制空権は重要なのか、艦載機は他の猟兵によって落とされても絶えず巡洋戦艦から発進してきていた。
「まぁ、的としては申し分ないね!」
 言葉と共に手を振り上げ、構えた。
「――コードアクセラレイター!」
 瞬間、光が生じる。
 背後の空間。そこに生じた光から表れるのは大小様々な機器やパーツ、フレームだ。
 それら全てが、その身をあるべき場所に運び、結合具によって一瞬の後に連結をすれば、出来あがるのはバーニアを主とした外部ユニットだ。
 身体に接続されたユニットの感触を確かめるように、意識によって力を命じれば、背部バーニアから力が噴出した。力は光と熱、そして速度を持っていた。
 出力任せに身を浮かし、飛んでいく。
 自分たちと同じ場へ突如上がってきた存在に、艦載機たちが警戒するが、構わず言う。
「振り切るよ!」
 言葉通りのことを自分は行った。
 全身の加速器を全て後方側に向けて、光を一層強く蓄え、行く。
「――!!」
 行った。その場に残るのは陽炎の揺らめきだけだ。
 速度に煽られ、身を揺らす艦載機たちから戸惑いの警報音が鳴り響く音も背後だ。
 主砲は他の皆が止めに向かってくれてる……!
 ならば、自分がやるべきことは何か。
「敵艦載機の排除だね……!」
 バーニアの調整に身体の傾きも加えて、後方へ旋回していく。
 斜め上方に宙返りを決めれば、方位が百八十度変わり、前方やや下側に敵機が見える。
 数は六。
「……!」
 敵機はそれぞれ光を機体下部に有していた。収斂していく光は各砲門が射撃の準備を完了していることを知らせる。
 そして砲撃が来た。
 上下左右。艦載機の主砲とも言えるブラスターから一発ずつ光条が走る。それに合わせて、光子機銃による光弾が左右から十八発。上下は九発飛来してくる。全て拡散の3WAY弾だ。
「一人相手に容赦ない弾幕だな……!」
 歯から漏れる言葉を風に散らせ、その身に加速を叩きこんでいく。
 まずやってくるのは速度の速いブラスターだ。上下左右から刺し貫くように迫ってくるそれらに対して、自分は一気に身体起こし、制動をかける。
「ぐぅ……!」
 大気の壁が身体の正面を打撃するが、動きは止めず、そのまま右手側への垂直バレルロールを決める。
 決めた。二回転。そこが安全地帯だ。身体の側を高熱の光柱が通り過ぎていく。
 次っ……!
 拡散砲はもはや眼前だ。横方向と縦方向の3WAYは四方を包むように迫ってくるが、
「穴があるよっ!」
 ブラスターの通り道だ。相互干渉しないように開けられた位置はもはや空白となっている。
 加速器を加圧し、自身の身体を頭からそのスペースに目がけてぶち込んでいった。直近をすれ違った光弾はバーニアの噴射炎で焼かれていく。
 高速で通り過ぎた後は、再度の後方宙返りだ。今回は斜め下方へ行く。
 光を携えて下降していき、敵艦載機の下面を全て視界に収める位置にたどり着いた。
「一体六って大人げないな! ――なら、こいつでどうだ!」
 携えた光が消えれば、その手に担いでいるものが露わになる。
 大型のミサイルランチャーだ。添えつけられた管制装置が電子音と共にロックの完了を知らせる。
 「ミサイル、大盤振る舞い!!」
 敵艦載機六機。その全ての下面に、爆発の力が余すところなく突き上げていった。

成功 🔵​🔵​🔴​


 
           ●
 
「b1からb6までの通信途絶! 撃墜されました!」
 ディクタトル級巡洋戦艦の艦橋は焦燥の雰囲気に、混乱の念が加わっていた。
 突如現れた猟兵達によって、テロ計画の主である主砲発射がいまだに実行できていないからだ。
 動けないといえども巡洋戦艦。その火力と装甲をもってすれば人間大の存在など恐るるに足らないが、
「生命体の埒外ということか……! 構わん! ありったけを発艦させろ! 主砲充填の時間を何としても稼ぐのだ!」
 声を張り上げて指示を出す指揮官は、しかしもしもの場合は、と続く言葉を寸前で飲み込んだ。
 飲まれるな……! 敵は寡兵だ……!
 自分が行うべきは不確定要素を口にすることではない。
 その一念で指揮を継続していく。
グルクトゥラ・ウォータンク
スペースグルクトゥラは宇宙服を着たわしである。かっこよさ大分高くない?

ともあれ、スペースわしのスペース推理によると、帝国の奴らは今回の作戦をごり押すため戦闘員や工作員を多目に投入し、逆にハッカーの類いが不足してると見た。スペース分が足りてないわけじゃ。なので、スペース電脳妖精たちを大量に放ち巡洋艦のFCSの脆弱性を探査、スペースハッキングにより主砲がコアマシンや民間人に向かないようにするぞい。スペース力高くない?

その後も味方への攻撃を逸らすようにハッキングを続けて味方のサポートをするぞい。スペース縁の下じゃ。
あと、手が空いたならスペースボールズを投入して巡洋艦の装甲を切ったりさせるぞい。


テリブル・カトラリー
戦艦か、猟兵となってから面と向かって戦うのは初めてだな。
どこまでやれるか分からないが、できる限り、破壊するとしよう。

アームドフォートを使用し戦艦を砲撃。
敵艦載機はライトマシンガンとラストデザートを使用し狙い撃つ(スナイパー、二回攻撃使用)。

機をみて、もしくは戦艦が宇宙空間へ移動を開始したら即座にUC使用。
片腕を大型ドリルに換装。
ブーストを吹かし自身を吹き飛ばして戦艦へ突貫。
多少のダメージは激痛耐性で無視。
宇宙船内で爆発されないのは良いが、宇宙空間に逃げられては厄介だ。

装甲を突き破り内部からの破壊を目指すか、
装甲を破壊しながら主砲部へ向けて移動、主砲部を破壊する。

コアの破壊なぞさせん。


エドゥアルト・ルーデル
クソデカイでござるが巡戦って事はもっとデカイのが居るのかねぇ
とりあえず対艦戦闘は一にも二にもクソ度胸とデカイ爆弾!
という訳で【超大型爆弾】!【スペースパンジャンドラム】を放てッ

なに?命中率が悪いですと?拙者こう見えて【空中戦】は得意中の得意でござるよ!
なのでこうしてパンジャンドラムが命中するように【操縦】して終末誘導してやりますぞー!
最終弾着地点は敵主砲!【エネルギー充填】の合間を縫って叩き込む!!
うぉぉ死なばもろともーッ!!と言いつつも最終的には投げつけるんで爆発するのは船だけでござるがねブヘヘヘヘ


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
あっちもこっちも忙しすぎるね。
とりあえず戦艦の1隻ぐらい食べておきたいよね。
悪いけどここで沈んでもらうよ。

主砲の方は仲間に任せておけば大丈夫だね。
私のお仕事は『援護射撃』で艦載機狙い。【魔力矢の雨(フィーア)】で魔力の矢をばら撒いて迎撃するよ。味方に攻撃しそうなのから優先的に狙って行こう。皆の邪魔をさせるつもりはないよ。
艦載機を仕留め終わったら【貫通する矢(アインス)】で戦艦狙い。
装甲が厚くても私の矢に貫けない物はないし、機関部を撃ちぬけば大爆発って相場が決まってるしね。爆発しなくても足を止められれば万々歳。
よし、頑張ろう。


春日・釉乃
【アドリブ改変・連携歓迎】
芋煮艇なら、助け合いっしょ!
フォルティナちゃん…あとはあたしに任せて

『鶴姫』を装備して機械鎧姿で参上
主砲発射を諦めて撤退しようとした所を叩く戦法こそ、宇宙戦のプロである鎧装騎兵として腕の見せ所なんだからっ!

伏兵として宇宙船の外で待機していたあたしは友軍に退避勧告を出してから、追い撃ちの一手で【蒼き清浄なるセカイのために】を使用
ミディアさんの宇宙船から計算して、核爆発が迫る射程圏外まで逃げ出したであろう『ディクタトル級巡洋戦艦』を救済の炎で焼き尽くすよ!
[鎧無視攻撃3]の威力を思い知りなさい!!



 
           ●
 
 艦載機の小隊であるc隊は港の上空、天上付近にその身を置いていた。
「こちらc1。上空を確保」
 隊長の声が無線で聞こえる頃には、c2からc5隊までが同じように天上の各所に配置されていく。
 各隊は互いに間隔を取り、循環することで、天上に内回りと外回りの円陣を描いていく。
 面で制圧した上空から、眼下への一斉攻撃の構えだ。
 全体のリーダーとなったc1が攻撃の号令をかけようとしたとき、それが目に入った。
 矢だ。
 下から上昇してくる。
「――――」
 一瞬、思考が停止する。あまりに異常な光景だったからだ。
 クローン兵である自分はインストールされた知識として知っている。先ほど旧時代のライフルで攻撃してきた猟兵を見たが、それより以前、古代と言っていい時代の武器だ。
 しかも矢の様相は古代と同一だが、光で出来ており、そのアプローチ方法がかけ離れていることがさらに混乱の度合いを増す。
 矢は対の武器だ。片割れである弓は眼下、港の床にいる青髪の少女がこちらに向けていた。
 否、矢の軌道も合わせてみれば、こちらへ向けたものではないことが分かる。
 円陣の中央……。
 至近弾ですらない軌道だ。陽動、そう判断し、再度号令をかけようとした。
 その瞬間、視界が莫大な光で埋まった。
「――!?」
 光は機体の上。天上からだ。
 
           ●
 
 ルエリラは思う。あっちもこっちも忙しいね、と。
 この戦場だけの話ではない。宙域全てだ。
 今、この戦場を駆けるように、他の宇宙船でも猟兵達が戦場を駆けているのだろう。
 損失を狙う敵と、それを防ごうとする自分たち。世界全体がそのような流れだ。
 世界規模の流行乗り遅れは嫌だよね……。
 だからこの場に来た。戦艦の一隻でも落としてやろうかと思い、乗り込んできたが、意外に敵が多い。
 艦載機だ。他の仲間が撃破したそばから吐き出されていく。
 主砲の発射差し止めも重要だが、それは他の仲間に任せ、
「私の仕事はこっち」
 見上げた先、上空へめがけて射った光の矢が艦載機たちを通り抜け、その直上で破裂した。
 閃光が散り、解れた。霧のように広がった光は、しかし互いを繋ぎとめていく。
 そうして互いを編み込むように絡み合った光の束たちは、それぞれがその姿を一つの形に変えていった。
 矢だ。矢じりを真下へ向け、数え切れないほどの数で天上を埋め尽くせば、生まれるのは莫大な光だ。
 艦載機が、慌てた動きで離脱を図ろうとするのが下からでも分かるが、
「遅い」
 光が降り注いだ。
 一つ一つは小さな矢だが、威力の数は無数だ。
 防弾加工されたコックピットを百本の集中で穿ち、尾翼を六十本の打撃で震わせ、主翼は二四〇本の叩き込みで抉り取り、推進器は三十本を突き込んで内部で拡散させれば、光の華が咲く。
 咲いた。数は六。爆発の圧力を逃がすため、格納庫内ダンパーが全力でその役割を全うしていく。
 落下していく残骸に、残った矢で打ち下ろしの貫通を食らわせて落下地点を制御すれば、床上に一つの地形が出来あがる。
「道を作ったよ。皆」
 言葉と同時、自分の背後から複数の人影が弾けるように前へ出るので、自分も続く。
 四つの力が、戦艦へ駆けていく。
 
           ●
 
 グルクトゥラは駆けながら思う。今の自分はスペースカッコいい、と。
 なにせ宇宙仕様じゃからな……!
 常用である部分装甲の上から宇宙服を着こむことで、カッコよさが跳ね上がっているのだ。
 出発前にルエリラに同意を求めたところ、心底不思議そうな顔で、宇宙服透明だよ……? と返ってきたが、音楽性の違いということで納得した。
 透明はいい。スケベな意味じゃないぞい。スケルトンと言ってもいい。内部構造がその目で分かり、見てると気分が高揚してくる。基盤が見えたりすれば最高だ。
 構造が分かれば、それが担う役割も、生じる現象も、何もかもが分かる。
 つまり、
「お前さんの中身はどうかな……!?」
 言葉と同時、光が波として生じた。
 押し寄せる光は個体の集合であり、各自は半透明の妖精の姿をしていた。
 三六一体の電脳妖精。その全てが一直線に戦艦へ向かっていく。
「こんな力技な作戦を考える連中じゃ。電子戦は想定外じゃろうな。 どうじゃ、合ってるじゃろ? んン?」
 自分のスペース推理を証明するかのように、妖精たちが装甲をすり抜け、戦艦に侵入し、その内部ネットワークを駆け廻り手に入れた情報が、加速度的に右腕の義腕に集積していく。
『艦長! 電子攻撃を受けています!』
傍受した戦艦の通信が右腕から聞こえてくる。
「ほっほっほ。遅い遅い。もう手に入れたぞい」
 集めた情報を分析し、アタックを仕掛ける目標は一つだ。
「もちろん主砲……! ――行けっ、スペース電脳妖精!」
「宇宙か電脳かどっちなの」
 エルフは細かいこと気にするのう。そう思いながら、プログラムの実行を許可する。すると、電脳妖精たちが艦橋へ一気に飛び込んでいき、数瞬の後、右腕の操作に合わせ、主砲が上下左右に揺れた。
『か、艦長! 主砲のFCSの制御を失いました! あらゆる対象にロックが出来ません!!』
「ほっほっほっほ! 力技には搦め手じゃよ! スペース縁の下、わし!」
 その言葉を聞いた皆が、一気に敵との距離を詰めようとするが、
「ん……?」
 気付く。
 火器管制の制御を奪った主砲の充填が、止まっていないのだ。
 否、あれは、
「……ねぇ、グルクトゥラ。敵が管制無視で主砲撃ったらどうなるの」
 背後、ルエリラから問いが来た。
「は? ……まぁ普通に主砲が発射されるじゃろ。ただ、もし至近に着弾したら自分たちもただじゃ済まんから、そんな奇行やるやつおらんぞい。とくにこんな密閉空間だと」
 だから、奴らの最初の計画は力技なんじゃがな。と付け加える。
「……ねぇ、グルクトゥラ。敵が自爆上等で主砲撃ったらどうなるの」
 すると、左手側を走るテリブルが手を挙げた。
「失礼。過去の帝国生まれとして意見するが、クローン兵やウォーマシンを潤沢に持つ帝国にとって、自分たちの損失を前提とする戦法は非常に普遍的だ」
 当時を知る人物の貴重な意見に、ふむふむ……。と二人で頷き、前を見た。
 光量が増している。
「――グルクトゥラ?」
 エルフの眇目は怖いのう。と思いながら、
「なに、制御はこっちだから発射を停止させれば……」
 右腕を操作し、停止の命令を送る。
 出来ない。
「あれ……?」
 しまった。口に出したら眇目がきつくなった。しかし、発射の停止どころか、先ほど出来た砲の旋回すらも出来ない。
 何故か。
 そこで、右腕に表示された文字に気付いた。
「ALL WEAPONS FREE……?」
 その文字を読んだ瞬間、戦艦がその姿を変形させた。
 装甲の各部が開き、駆動音を高らかにして様々な追加装甲が姿を現す。
 それと同時、カタパルトの奥から異音も聞こえてきた。
 あれは、
「兵装の無制限仕様状態だ……!」
 テリブルの言葉の先、電脳妖精たちが戦艦から弾き飛ばされた。右腕のコンソールがエラーメッセージを羅列していく。
 構わず、再度のハッキングを狙うが、
「ちっ……! OSごと変わっておる……!」
 電脳妖精たちが専用のプログラムを携えて、再びアタックをかけるまでいくらかの時間が必要だ。
 間に合うかどうかギリギリじゃな……!
 どうするか、そう思った時に、“それ”が来た
 右手側からだ。
 
           ●
 
 “それ”は円柱と車輪の合成で、複数の推進器を有していた。
 “それ”は人間を超す大きさで、猟兵の手で運ばれて行った。
 “それ”は走って運ばれており、徐々に速度を上げて行った。
 “それ”は加速に答えるように、推進器に火炎を点灯させた。
 “それ”は火炎によって回転を、追加の加速を有していった。
 “それ”は猟兵達を背後に残し、行った、否、飛んで行った。
 “それ”は何か。
 “それ”はスペースパンジャンドラムだ。
 
           ●
 
 見る。否、見下ろしたり、見上げたりするような位置にそれはいる。そんな風に見えるのは、自分が高所にいて、縦方向に回転しているからだ。
 大車輪に近い身体の動きの最中、思う。
 これで巡洋戦艦ってことはもっとデカイのが居るのかねぇ……。
 巡洋艦より上位の戦艦や空母といった存在に思いを巡らせれば、おのずと銀河皇帝の旗艦にも意識が向く。
 帝国の皇帝が乗る旗艦ともなればそれ相応のものだろう。つまり、敵は巨大で強大だ。
 エドゥワルトは空中で思う。巨大存在である対艦戦闘には必要なものがある、と。
 それは、
「一にクソ度胸! 二もクソ度胸!」
 自分よりはるかに巨大で、高火力で、重厚な存在に立ち向かうのだ。まず、それだ。
 そして、
「んでもってデカイ爆弾!!」
 重厚を砕く力はいまや両手に保持している。スペースパンジャンドラムだ。ドラム部を持った自分も回転に合わせて回っている。
 眼下、港の床から声が聞こえてきた。
「エドゥワルト。それ、何?」
ルエリラだ。
「何って、スペースパンジャンドラムでござるよ! ご存じない?」
「ご存じしたくない」
 初めて聞く言い回しにござるな。そう思いながら、回りながら、説明する。ルエリラだけではない、皆にだ。
「説明しよう! スペースパンジャンドラムとは、車輪についたロケット推進器にて車輪を回転! 加速! 目標に衝突させ、内部の爆薬で破壊させる宇宙爆雷でござるよ!」
すると、挙手がきた。テリブルだ。丁寧でござるな、とそう思いながら両手が塞がっているので、頷きで質問を促す。
「失礼。兵器に親しい身として質問するが、――何故そのように非合理的な兵器を?」
「せ、先進科学な世界出身は容赦無いでござるな……!」
 答えた瞬間、圧が来た。戦艦の方からだ。
 カタパルトの奥。そこから、艦載機が射角を取って対空射撃を寄こしてきたのだ。
「――!」
 パンジャンドラムは車輪にロケット推進器を備え付けた造形上、前進しかできない。つまり、このままでは直撃コースだ。
「だが人の手が加われば!」
 迫る光弾に対し、全身を捻る。ドラム部を手で掴んだ現状、スペースパンジャンドラムと自分は一体だ。
 重心の変更にスペースパンジャンドラムは確かに追随し、その方向を変える。前方へ進む縦回転に横のベクトルが生じたのだ。
 捩れの推進力に押され、人機一体となった存在が傾いていく。
 港の上部空間を、推進の白煙が大きな弧で彩った。
 光弾が白煙を散らすころには、弧は螺旋となっている。方向は下りだ。
 螺旋の終端。そこには、
「うぉぉーっ! 死なばもろとも-っ!!」
 主砲の砲口がある。
 回転する全身を、青白い光によって下から照らされる。熱い。砲口からの熱だ。
 光と熱。それらを突き抜くため、回転する全身を前方へさらに振り、スペースパンジャンドラムへ更なる加速を与える。
 そして、回転の頂点手前で手を離せば、加速した力が砲口に投げ入れられ、自分自身も完成するものがある。
「伸身2回宙返り1回ひねり下り……!」
 ハイデンだ。それを決め、着地する。着地のポーズを決めた背後、砲口の先端が内側からの圧力で裂けた。
 
           ●
 
 ディクタトル級巡洋戦艦の決断は早かった。
 花のように裂けた主砲。その奥にある光の充填が治まったかと思えば、次の瞬間には、
「離脱せよ! 全速前進……!」
 サイドスラスターや加速器を震わせ、前進と方向転換をする。
 目標は一つ。搬入シャッターだ。
 慌てて進路から退避する猟兵達を、艦橋の窓から見ていた指揮官は気付いた。
 一人足りない……?
 その瞬間、気付いた。
 前方、その位置にあるシャッターがすでに開いている。
 
           ●
 
 主砲の破砕を見届けた瞬間、テリブルは一気に方向転換をしていた。
 戦艦への攻撃を実行しようとしたが、状況が突如変わったからだ。
 急激に変化した状況に対応するため、装備したブースターに力を入れ、自分の身体を一気に運んだ先は敵と同じくシャッターの先、宇宙だ。
 一番装甲が薄いシャッターに突撃をかけて船内からの離脱。
 戦艦のスペックやなにより自己の経験から、帝国の船がその選択することを推測したのだ。
「どうやら予想は当たっていたようだな」
 すると、視界の先、艦載機がカタパルトから飛びだそうと加速しているのが見えた。
 突き出たカタパルトと等しい数の艦載機が、その身を徐々にあらわにしていく。
 迅速で周到だな……。
 思う。過去にも見た光景だ、と。
「つまり対処は可能だ」
 合成音声が宇宙に響く。
 視界の先、やって来るのは過去の残骸であり、自分にとって既知の存在だ
 これが意味することを知らせるように、その後に続く動作は淀みの無い連続だ。
 担いでいたライトマシンガンを右手一本で構え、空いた左手で、大口径の自動拳銃をホルスターから引き抜く。
 両腕の動きが完了するころには、自分に付随するように浮遊していたアームドフォートが己の位置を空中で固め、
「弱点も既知だ」
 言葉と共に、三つの力が同時に生じた。
 数発のマグナム弾と、その倍の数はあるライフル弾が真空中を疾走していき、カタパルトから飛び立とうとした艦載機の鼻先を正確無比に貫いていく。
 対物ライフルに似たアームドフォートから放たれた大振りの一発は、カタパルトの基部を打撃することでその姿を歪ませ、装甲ごと抉り取っていく貫通力で射出機を破損させていった。
 全ての力が過去の存在へ確かに着弾した結果を見届ければ、
「――!」
 ブースターを一斉起動させた。熱と振動が機械の身体を駆け巡る。
 テリブルは黒い瞳で、前方の巡洋戦艦を視界に収めた。
 宇宙戦艦。敵として相対した経験はあるが、それも過去のことであり、猟兵となってからは初だ
 状況も環境も自分も以前とは違う。そのことを念頭に、油断は持たず行く。
 唸りを上げ、向かう先は宇宙船の奥から加速してくる戦艦だ。
 正面、相対速度的に衝突必須の進路だ。
 構わん……。
 視界の先、戦艦の右舷側のサイドスラスターにいまだに光が見える。
 離脱をするだけなら、直進に必要な背部加速器だけでいい。出力の無駄だ。
 しかし、直進の現状でありながら、すでに光が灯されている。つまりは旋回の先行予約だ。
 それはすなわち、
「船外からの主砲発射狙いということだ」
 離脱後、強引にターンを決めてからの宇宙船への主砲発射。
 何も遮るものが無い宇宙空間であれば、命中率は格段に落ちるが、ラッパ銃のように先端が拡がった主砲による盲管射撃でも船内より安全だ。
 コアの破壊なぞさせん……。
 どこまでやれるか分からない。しかし自分にできる限りは、破壊しようと、そう思う。
 闘争という自分の存在理由とは別、今の己の方針だ。
「そして、それらを通すための力はある」
 言葉と共に、己は力を換装した。
 右腕だ。肘より先、前腕部が変質していく。
 その表面を黒の色に変え、硬質な装甲で覆われていけば、その部分を基部として突き出る力がある。
 力は螺旋の溝を有し、頑健な素材で出来た円錐状だった。
 ドリルだ。三本全てを駆動させ、宇宙船から飛び出し、眼前と迫った戦艦の装甲に突き刺していった。
「――!!」
 戦艦の装甲が大きく歪んだ。
 しかしそこで止めず、歪みを拡げるようにドリルを突きこんだ。
 先ほどよりも強烈な振動が右腕から全身に走るが、各部関節を固めることで自身を一個の存在とし、全身で右腕を押して、行く。
 装甲の破片を散らしながら戦艦の上を切削するように突き進み、到達する先は主砲だ。
「――――!!」
 全力を送り、鋼鉄の壁を突き抜けていった。
 身体の各所から煙を噴き上げながら、最小限の動きで背後へ振り返る。
 見た。戦艦の主砲、その砲身が根元から穿たれ、大部分が剥離しているのをだ。
 肩越しの視線で、破壊の結果を確認すると、両腕を背後の戦艦へ振り抜き、前方の宇宙船へ急ぎ、退避して行く。
 味方から、宇宙服の機能を用いた通信が来たのだ。
 
           ●
 
 全天。それ以上の範囲が星で包まれている位置に釉乃はいた。
 宇宙戦のシャッター上。そこにある装甲に腰掛け、待っていたのだ。
「来たね……」
 視線の先、宇宙船から離れて行く存在が居る。ディクタトル級巡洋戦艦だ。
 宇宙船の後部シャッターから吐き出され、その主砲を穿たれた戦艦が進路を変えて行く。
 いまやサイドスラスターの駆動光は無い。船尾側にある主加速器を全開にした姿は、この宙域からの離脱を意味していた。
「逃がさないっつーの」
 相対速度で互いが離れて行く中、自分は装甲の上に立ち上がると、足を前へ進め、装甲の端へ足をかけ、
「――」
 投げ出すように身を前に送った。
 真空の空間、それを足場とし、自身を戦艦と宇宙船の間に置く。
「こっちは準備できたから、皆、退避お願い」
 言葉は空間を振え、宇宙船や、ここにワープしてきたミディアの宇宙船にも届く。
 自分の言葉に反応するようにそれらの宇宙船が身じろぎをし、退避して行く。
 それを待って双方から連絡が来れば、自分がするべきことは一つだ。
「――鶴姫」
 名を呼べば、それが来た。機械鎧だ。各装甲が身体を包み、その装着を一瞬で完了させる。
 その機械鎧の中、手に持っているのは大型のランチャーだ。それを両腕で構え、備え付けられたスコープを覗きこむ。
 各種表示が描かれたレンズの中、離脱して行く戦艦の艦尾が映る。そのまま数瞬待てば、一部の表示が艦尾に重なり、射出体に対する誘導準備が完了したことを知らせる。
「ちっ……。気付いたか」
 レンズの先、巡洋戦艦がその姿を変えて行く。
 兵装使用無制限状態となって追加された装甲が、艦尾側へその位置を移して行くのだ。
 稼働するほぼ全ての追加装甲を艦尾へ集中して出来あがるのは、ロックオンされた戦艦による防御態勢だ。
 装甲は厚く、多量で、重なり合ってる。
 しかし、構わない。
「防げるものなら防いでみなよっ……!」
 言葉と共に、ランチャーの引き金に力を込めた。
 発射の命令は確かに伝えられ、極大の砲弾が宇宙を、突っ走っていく。
 砲弾は発射された勢いに追加するように、底部の加速器が途中から作動し、一気に加速して行く
 加速した砲弾の先、その着弾地点に目を向けたときに、それを見た。
 青白い光だ。
「嘘っ!? 主砲撃つ気!? マジ!?」
 もはや砲身と呼べるものが殆ど無い主砲の砲塔が旋回し、こちらを向いているのだ。
 主砲の充填は停止させていなかったようで、発射の時期が間近なことを光量で知らせる。
 しかし、主砲は発射されず、依然そのままだ。
 何故か。
 思考を回転させ、気付く。敵の思惑に。
「ギリギリまで引きつける気か……!」
 博打だ。
 迫りくる砲弾を一か八かの主砲発射で、自分たちにたどり着く前に撃墜し、それらが生む衝撃を艦尾に集中させた装甲で防ぐ。
 それが敵の考えだ。見れば、艦載機すらも艦尾に集めている。
 あの主砲では碌に当たらないだろう。最悪、集中させたことで肥大化した艦尾装甲に衝突するかもしれない。
 しかし、何もしなければこちらの攻撃で破壊することは必至なのだ。破壊は前提であり、それらが自分たちによるものかこちらによるものかだけの違いなのだ。
「もしくは、それら全てを乗り越えた離脱か……!」
 現状、困るのはこちらだ。分の良い賭けだったとしても、もしもがある。
 砲弾の爆破に成功すれば離脱をされるかもしれないし、砲弾を逸れて、こちらや宇宙船に流れ弾として飛んでくるかもしれない。
 ちっ……!
 もしものときは自分の剣で流れ弾斬り飛ばそうと、そう思い、急ぎ鶴姫を加速させたところで、
「――えっ」
 後方から、光が飛来した。
 矢だ。
 一直線に宇宙を翔けて行く。
 
           ●
 
 ふぅ……。
 ルエリラは息をついた。
 自分が今いるのはシャッターの外だ。
 緊急開放、何回もしちゃってるね……。
 内圧の変化など緊急開放による船が受けるダメージを考えると、申し訳ないとも思う。
「でも、上手くいったからよかった」
 見る。視線の先、自分が放った矢が突き進んでいく。
 釉乃が射出した砲弾すらも追い越し、進む力は、
「――フュンフ。打ち消しの力だよ」
 光の矢をその身に通した青白い光は、一瞬の後、その光を消失した。
 
           ●
 
 そして、それらは起こった。
 光を失った主砲の正面、砲弾が来る。
 戦艦は追加装甲を移動させ、防御しようとするが、気付く。
「――」
 装甲が断たれているのだ。
 表面。そこを球体状の機械が、装備した鋏によって装甲を“咬み千切って”いるのだ。
 防御が成り立たないことに気付いた戦艦は、回避に全力を投じるが、
「――!」
 内部からの爆発によって速度を失った。ドリルによって削れた装甲、そこに付着していた不可視のロボットが次々に爆発し、底部方向へ装甲の破損を拡げ、ついに加速器にまで至ったのだ。
 火力と装甲と機動、その全てを失った存在に、力が来る。
 力は砲弾の姿をしており、戦艦の後部を貫いた。
 内部の全てを蹴散らしながら突き進む破壊の力は、その途中で弾頭を震わせ、
「――――!!」
 力を全開した。
 裂けた宇宙船を器とし、青の炎が花として咲いた。
 ディクタトル級巡洋戦艦の最後であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト