狂飆鞭打つ帝国旗艦
●惑星型巨大戦艦『新インペリウム』
スターシップワールド、磁気嵐と隕石群が飛び交うアステロイドに、それは鎮座していた。
いや、正確に言えば鎮座する予定であった。
今其処に在るのは、嘗ての銀河帝国が旗艦としていた『インペリウム』と同型であり、これより完成を見る『新インペリウム』。
アステロイドという天然の要塞を鎧い、『新インペリウム』は着々と建造が続く。
「全行程の80%まで進行。ペースは変わりなく。これで良いでしょう」
『新インペリウム』の中心に座し、惑星型巨大戦艦の建造を急ぐのは猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』であった。
彼女は次々と作業工程の効率を上げ、最適化していく。
これほどの短期間で惑星型巨大戦艦の建造を行うことができたのは、彼女の類まれなる演算能力と情報収集と解析能力の賜物である。
今も尚、作業は進んでいる。
本来であれば、数年、いや、数十年はかかるであろう建造肯定を彼女の持つ演算能力でもって、大幅に短縮したのだ。
「ですが、まだ数が足りません。猟兵を駆逐するには、まだ」
彼女の試算がはじき出したのは、猟兵に対する評価故である。
彼女の情報収集と解析能力は事実を知らしめる。如何に『銀河帝国残党』を『帝国継承軍』が集め、まとめあげようとも猟兵とぶつかれば、惑星型巨大戦艦がいくつあっても足りない。
「あの侵攻速度。あの戦力。決して侮ってはならず。侮ることなく事にあたってもまだ足りない。それ故に『帝国継承軍』は戦力を集める必要があります。もっと、もっと」
彼女は通達を行っていた。
彼女の盟主である猟書家『プリンセス・エメラルド』は『帝国継承規約』の条件を満たした正当なる銀河皇帝の後継者である。
そのために自分が出来ることは猟兵達に悟られるよりも早く『新インペリウム』を完成させることが最善にして最高の一手である。
「例え、この宙域を、私を発見できたとしても猟兵はたどり着くことはできない」
何故ならば、彼女が『新インペリウム』の建造場所に選んだのは、アステロイドベルト。磁気嵐と隕石群飛び交う宇宙船も寄り付かぬ危険な宙域であるからだ。
天然の要塞と化した宙域で彼女は黙々と建造を行う。
自分に課せられた存在意義、そのためだけに彼女は己の全てを最適化し、新たなる『帝国継承軍』の旗印を生みだすのだ――。
●老朽化した宇宙船
「……ああ、くそッ。どうしたって補強が追いつかねぇよ!」
「ぼやくなよ。言った所でどうしようもないんだから」
そんなやりとりが宇宙船の船外で活動していた者たちから上がる。それもそうだろう。この宇宙船も長きにわたる銀河の航海でガタが来ているのだ。
居住可能惑星を見つけ出す。
それこそが宇宙船の役割であり、居住可能惑星発見のその時まで宇宙船こそが彼らの大地なのだから。
「そのとおりだ。嘆いても仕方ない。出来ることから一つ一つやっていかないとな」
そんな彼らに差し入れを持ってきたのはスターライダーである『ハムサ』であった。彼は凄腕のスターライダーであったが、今彼に出来る仕事は船外活動をする彼らに資材や補給を運ぶことくらいであった。
当人にとっては、やりがいのある仕事ではなかったことだろう。
けれど、それでも彼はいいと思っていた。
なぜなら、自分は一人で生きていけるわけではないからだ。互いができることをやる。そうして厳しい環境で生きていかなければならない。
「――……とは言え、厳しいな。俺たちにできるのは精々が応急手当、問題の先延ばしだからな……」
●アステロイドベルトを行け
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースシップワールドにて惑星型巨大戦艦を建造している猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』の目論見を阻止していただきたいのです」
そう告げるナイアルテが示したのは、スペースシップワールドにおいて屈指の難所と呼ばれるアステロイドベルトの一つであった。
磁気嵐や隕石群が飛び交う宙域をよく知る者たちであっても滅多に近づかぬ宙域である。
「しかし、その宙域へと到達し、惑星型巨大戦艦『新インペリウム』の建造を止めねば、『帝国継承軍』の戦力の増強を許してしまうのです」
猟書家との戦いは長く続く。
その果にあるのは熾烈なる戦いであろう。その時、『帝国継承軍』の盟主である『プリンセス・エメラルド』は強大な壁となって猟兵達に立ち塞がるだろう。
旗艦である『新インペリウム』が無数に並ぶ艦隊は猟兵と言えど……。
「はい。故に、これの建造を止めねばなりません。猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』の座す宙域へは簡単に到達はできません。ですので、この宙域に詳しい凄腕のスターライダー『ハムサ』さんにお手伝いをお願いしなければなりません」
危険極まりない宙域であっても、現場をよく知る者がいれば、無事に磁気嵐や隕石群を躱して『ヘルメスデウス・ブレインコア』へと迫ることができるだろう。
ならば、話は早いと猟兵たちは思ったことだろう。
けれど話はそうトントン拍子には行かないものである。凄腕のスターライダーである『ハムサ』の暮らす宇宙船は長い銀河の航海で非常に老朽化が激しくなっている。
何事もタダでは、というのは言うまでもない。
そう、察しの良い猟兵たちならばもう理解しているであろう。
「……はい、その……皆さんのお知恵と技術を拝借したく……」
ナイアルテは非常に気まずい顔をしていた。
彼女に出来ることはあまりない。予知とは関係のないところで、猟兵達の戦いをサポートできないことを気に病んでいるのだろう。
しかし、そうしなければスターライダーの協力を得られないというのであれば、猟兵たちは躊躇う理由はない。
「老朽化した宇宙船の補強資材は幸いなことに周囲に浮かぶ大量のデブリなどがあります。それ以外の手段ももちろん歓迎です。どうか、お願いいたします」
惑星型巨大戦艦の建造を阻止することも重要であるが、銀河を征く宇宙船の老朽化もまた大きな問題である。
播種の船たる宇宙船を失うことはスペースシップワールドにおいて、非常に大きな痛手だ。
故に猟兵たちはそれを護るために戦うのだ。
どれだけ『帝国継承軍』が戦力を増強しようとも、地道に数を減らしていくしかない。どんなことも最初の一歩がなければ、たどり着くことは出来ないのだから――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はスペースシップワールドにおける猟書家との戦いになります。老朽化した宇宙船を補強、強化しスターライダーである『ハムサ』の協力を得て、アステロイドベルトに潜む猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』を打倒するシナリオになります。
※このシナリオは二章構成のシナリオです。
●第一章
日常です。
凄腕のスターライダー『ハムサ』の協力を取り付けるために、彼らが乗る宇宙船の補強、修理や強化を行いましょう。
宇宙船は言うまでもなく巨大な生命の播種の船です。
彼らにとって、其処こそが大地であり、未だ見つけることのできない居住可能惑星へ至るための希望です。
これを皆さんのアイデアや技術でもって老朽化から救いましょう。
そうすることで凄腕のスターライダー『ハムサ』は喜んで危険な宙域アステロイドベルトでの戦い方を教えてくれることでしょう。
●第二章
ボス戦です。
磁気嵐と隕石群が吹き荒れる宙域に座す建造途中である『新インペリウム』に座す猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』との戦いになります。
彼女は『新インペリウム』の建材すらも駆使して皆さんを迎撃することでしょう。
これを撃破し、『新インペリウム』を破壊しましょう。
※プレイングボーナス(全章共通)…………スターライダーを探す/スターライダーの指示に従い行動する。
それでは、スペースシップワールドにて秘密裏に建造される惑星型巨大戦艦を破壊し、『帝国継承軍』の戦力拡充を防ぐ物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『中古宇宙船の再利用のために』
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POW : 外装や船体の補強に従事する
SPD : ジェットや加速装置の補強に従事する
WIZ : 兵器やコンピュータ関連の補強に従事する
イラスト:高橋ろでむ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
老朽化しているという宇宙船の様子は、猟兵たちから見てもひどい状況であった。
外殻である装甲は所々剥離しているし、内部環境の循環にも問題は起きている。さらに問題であったのは銀河を航行する噴射口であった。
エンジンまわりが無事であったのは致命的ではないにせよ、これから問題が起きてしまう可能性はある。
宇宙船の周囲には、銀河帝国やそれに類する者たちと戦い、破壊し、破壊されたであろう宇宙船や機動兵器などの残骸が浮かぶデブリ。
「こうもデブリが多いとな……」
スターライダーである『ハムサ』はため息を漏らした。
資材に困らないというのは補強しなければならない現状においては、不幸中の幸いであった。
けれど、彼はスターライダーである。
宇宙を心ゆくまで走り抜けることこそが、彼の望みである。
今の状況では、それも叶わぬことである。だからこそ、ため息をつく。やらなければならないことは山積しており、やりたいことは後回しにしなければならない。
「嘆いても仕方ないか……後どれくらいかかるもんかな」
とは言え、早く補強が終わるに越したことはない。
けれど、それが叶わぬ願いであることを彼は自覚しているからこそ、今は許してほしいと思うのだ。
「ため息くらいはつかせて欲しいよな――」
菫宮・理緒
船を直すことで『ハムサ』さんの協力を得られるなら、
こんなに嬉しいことはないよね。
修理や整備なら大得意だもん、
メカニックの本気を見せちゃうよー!
資材になるデブリはたくさんあるみたいだし、
【モーター・プリパラタ】を使って、
全力でメンテとオーバーホールしていこう。
「久しぶりにめいっぱいいくよー♪」
依頼ではあるんだけど、
大物をいじるのはやっぱりテンション上がるね!
外装はしっかり整えるくらいがいいと思うけど、
エンジンとセンサー系は新品同様__。
ううんちょっとチューンも加えて、性能アップまで狙っていこう。
船の整備士のみんなといっしょにやればいけるよね。
『称号』持ちの全力の本気、期待以上をお見せしちゃうよ!
『帝国継承軍』を率いる猟書家『エメラルド・プリンセス』を盟主と頂く猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』が新たな旗艦である『新インペリウム』を建造している宙域は、アステロイドベルトである。
その危険性は言うまでもない。
磁気嵐や隕石群が絶え間なく降り注ぐ宙域は猟兵と言えど容易に近づけるものではない。
けれど、老朽化した宇宙船の修理をしているスターライダー『ハムサ』にとっては庭のようなものであった。
彼の宇宙バイクを駆る技量は危険極まりないアステロイドベルトであっても、言ってしまえば雨風の中を走るのと同じであった。
だからこそ、彼の技量が『ヘルメスデウス・ブレインコア』を打倒するために必要なのである。
「船を直すことで『ハムサ』さんの協力を得られるなら、こんなにうれしいことはないよね」
そんなふうに張り切っていたのは、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
彼女にとって修理や整備はともすれば戦うよりも得意なことであった。
メカニックとしての本領でもあるし、誰かのために何かをすることは彼女にとっての喜びであったことだろう。
「メカニックの本気を見せちゃうよー!」
理緒は宇宙船の周囲に漂うデブリを見やる。
銀河帝国の艦船や、元は銀河を行く宇宙船であったものの残骸が浮かんでいる。通常であれば、それは役に立たないものであったが、理緒にとっては資材と言うには十分すぎるものであった。
「いま整えてあげるからね! モーター・プリパラタ!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
それは彼女の修理、調整、整備、補給の力を通常の12倍の精度と速度にまで高めるユーベルコードの名である。
突如としてやってきた凄腕のメカニックの姿に『ハムサ』は驚いたことだろう。
いや、彼女がユーベルコードを使ったことに対してもそうであるが、周囲に浮かぶデブリを資材として次々と剥離していた外殻を整えていくのだ。
「お、おい、アンタ……」
『ハムサ』が声をかけようとするが、理緒には届いていなかった。
最早それは没頭と呼ぶに相応しい集中力であり、彼女はこの瞬間から一切の生命維持活動すら不要になっているのだ。
そのすさまじい技術は『ハムサ』たち宇宙船の船外活動員たちが、どれだけの時間がかかるか試算もままならなかった修繕作業を一気に済ませてしまうのだ。
「ま、まじかよ……すげぇ……!」
彼らの驚きの声さえも理緒には届いていなかった。称賛が飛ぶ中、それでも理緒は手を止めない。
なぜなら、久しぶりに目一杯修繕作業ができるのだから。
「久しぶりにめいっぱいいくよー♪」
猟兵としての役目であっても、大物である宇宙船をいじるのはテンションが上がるものである。
理緒の楽しげな声と共にタブレットの画面の上には宇宙船の状況が次々と表示されていくのである。
理緒はゴーグルと連動した情報を精査し、次に何をしないといけないのか、そしてそれはどれほどの時間と資材が必要になるのかを、ざっと試算に出すのだ。
「ふむふむ。外装はしっかり整えるくらいがいいと思うけど、エンジンとセンサー系は新品同様――」
いや、ここは理緒のチューンを加えて性能アップまで狙っていこうと彼女は奮起する。
なにせ、宇宙船をいじれる機会なんてそうそうやってくるものではない。
「『称号』持ちの全力の本気、期待以上をお見せしちゃうよ!」
そこからの理緒は凄まじかった。
宇宙船の整備士たちと連絡を取り、メンテナンス方法からアフターケアまであっという間にエンジンとセンサーまわりを強化していくのだ。
「こっちは銀河帝国製のセンサーだから、識別コードは切っておいてね。後、こっちは――」
理緒の説明は怒涛のように続く。
センサーの類が向上したのはかなりありがたいことであった。
これから彼らは未踏宙域や『帝国継承軍』を避けて航行を続けなければならない。
ならばこそ、センサーの有効索敵範囲が広がるのは、戦いを未然に防ぐことができる。そうすれば、無用な戦いに巻き込まれることなく、居住可能惑星を探す航海は順調に進むことができるだろう。
「うん、やっぱりこっちの方がいいね。じゃあ、次はモニターの方もアップグレードしちゃおっか♪」
整備士たちの士気が高揚する。
理緒は微笑みながら、彼らと共に宇宙船に起こっている不具合を次々と解消していく。
まさにメカニックの女神。
理緒は電脳魔術とメカニックを併せた超絶なる技術でもって、宇宙船を老朽化から一気に最新鋭まで昇華させる工程を次々とタスク化し、ロードマップを充実させていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
HAHAHA! お気になさらず、役割分担デース!
作戦立案は不得手なので、現場での行動に尽力しマスヨー!
それではハムサ殿の援護に参りマショー!
開幕バトルではなく、事前準備のタイミングデスネー。
修理に補強に強化改造……ならば人手が要りマスネ?
相応のお駄賃を支払って、「カモン! バルタンズ!」『バルバルー♪』
人海戦術でスターライダーたちを探し出して、お手伝いの申請デース!
こう見えてサポートロボットであるので、船外活動でも問題ナッシング!
物資運搬も組立も、お任せくだサーイ! 指示通りに仕事をこなしマスヨー!
ワタシはお茶汲みでもいたしマスカナ。
ホットチョコレートなど如何デスカ?
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、彼女が名乗るとおりに鋼鉄のメイドである。
そんな彼女にとって宇宙船の船外活動などはお手の物である。
サイボーグである身体であるからこそできることがある。
「ど、どうなっているんだ……?」
老朽化した宇宙船を補修していた船外活動員たちは目を剥いて驚いていた。
バルタンは己のユーベルコード、人呼んで秘密のバルタンズ(シークレット・サービス)によってミニ・バルタンを召喚し、バルタンからお駄賃を受け取ってせっせと働き始めていた。
「バルバルー♪」
あ、それは鳴き声なんだ、と誰もが思ったことだろう。
バルタンは宇宙船の補強に強化改造という活動を前に人手が要ると感じていたのだ。
だからこそ人海戦術で船外活動員たちのお手伝いをしつつ、凄腕のスターライダーでる『ハムサ』を探し出していた。
「おっと、ここにおられましたか『ハムサ』殿。援護に参りましたヨー!」
びしっと敬礼しミニ・バルタンズと共にバルタンは忙しく動き回っていた『ハムサ』を見つけ、彼の手伝いへと馳せ参じたことを伝えるのだ。
サポートロボットであるミニ・バルタンズの働きは凄まじいものであった。
なにせ百体以上もいるのである。
ミニサイズと言えど、侮ることなかれ。
物資運搬や組み立て、ありとあやる雑務をバルタンズは受けたわまり、完璧にこなしてみせるのだ。
その働きぶりは獅子奮迅である。
戦いよりも此方のほうが性に合っているのではないかと思うほどに鋼鉄メイドであるバルタンは宇宙船の修理と強化に余念がない。
まあ、それはミニ・バルタンズに任せておけば大丈夫だろう。
「なんでも思いしつけくだサーイ! 指示通りに仕事をこなしマスヨー! おっと、『ハムサ』殿、こちらお茶デスヨー」
そんなふうにバルタン本人はお茶汲みである。船外活動において栄養補給は活動の精度にも関わる。
チューブ飲料であるがバルタン手ずから用意したホットチョコレートは、疲れた体に暖かな栄養を染み渡らせていく。
「ああ、温まるし、生き返るようだ。ありがとうな、メイドさん。これは何かしら礼をしないといけないな」
そんなふうに小休止の間にバルタンと『ハムサ』はやり取りを続ける。
彼が凄腕であり、猟兵として彼の知識と技術が必要なのだ。
「それならば、アステロイドベルトを無事に抜けることができるようにご教授頂きたいデース!」
バルタンは『ハムサ』にそう告げる。
彼ならば、あの磁気嵐と隕石群が降り注ぐアステロイドベルト帯であっても、難なく通り抜けることができるだろう。
「あの宙域か……磁気嵐の対策がまず要るだろうな。それに隕石群を躱していかなければならないが、あそこは在る一定の周期で隕石が止むタイミングが在るんだよ」
そういって『ハムサ』は己の駆る宇宙バイクから一枚のディスクを取り出す。
「これは?」
手渡されたディスクをバルタンはしげしげと見つめる。
「それはアステロイドベルトの隕石群が降り注ぐ周期のデータだ。これがあれば、あの宙域を抜けるのは問題ないだろう。危なくなったのなら、俺が指示を出してやるよ」
そういって『ハムサ』は笑う。
ホットチョコレートのお礼だと言うように、彼は笑っていたのだ。ありがたいとバルタンは礼を告げる。
しかし、まだまだ宇宙船の修理と強化は終わっていない。
「ありがとうございマス! ならば、ちゃっちゃと宇宙船の修理をおわらせてしまいマショー!」
さあ、ここからが本番である。
バルタンは、ミニ・バルタンズと共に他の猟兵も含めた船外活動員たちへと栄養補給のために忙しく飛び回り続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユエイン・リュンコイス
◎アドリブ・連携歓迎
デブリ、か…。
遥かな宇宙からすれば微々たる領域かも知れないが、それでも美化の一助くらいにはなるだろうさ。
人形故に呼吸の心配は不要だけれど、紫外線やら移動推力やらは無視できない。船外活動用の装備が有ればそれを借り受けて、デブリの漂う宙域へ向かおう。
後はUCを発動しながら移動し、周囲の無機物を片っ端から収集して行こうか。
一つ一つちまちま引き寄せるのは手間だし、これならUCを解除すれば元に戻る。
その中からまだ使えそうな機材は取り出して、残りは修理部品用の原料に利用すれば無駄はないかな【メカニック】
物はついでだ。武装や船内環境も纏めてアップグレードしてしまおう【武器改造、環境耐性】
老朽化した宇宙船の修理は未だ掛かりそうであった。
猟兵たちは各々のユーベルコードと持てる技術によって、宇宙船の修繕にあたってる。
ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)もまたその一人であった。
見つめる先にあるのは銀河帝国の艦船の残骸や、宇宙船の残滓であるデブリ。それらは今は宇宙船修繕のための資材となり得るからこそ、作業は急ピッチで進んでいた。
「デブリ、か……遥かな宇宙から見れば微々たる領域かもしれないが、それでも美化の一助くらいにはなるだろうさ」
彼女はミレナリィドールであるが故に宇宙空間であっても呼吸の必要性はない。
けれど、紫外線や移動に使う推力は無視できるものではない。
「船外活動用の装備を借り受けられてよかったな……」
空気を押し出す音を立てて、船外活動用のスーツと共にユエィンは宇宙空間で瞳をユーベルコードに輝かせる。
デブリ漂う宙域に彼女のユーベルコードによって生まれるのは、黒鐡の機械神(デウス・エクス・マキナ)。
「叛逆の祈りよ、昇華の鉄拳よ、塔の頂より眺むる者よ。破神の剣は我が手に在りーー機神召喚!」
それは彼女の周囲の無機物を搭乗可能な50メートル級の機械神へと変換するのだ。
資材となり得るデブリを集めるのは非常に手間も時間もかかる。
けれど、彼女のユーベルコードを使えば一気に50mにも及ぶデブリの塊が出来上がるのだ。
「一つ一つちまちま引き寄せるのは手間だし」
それにしたって巨大である。
その黒い機械神の威容は、船外活動をしていた宇宙船の人々にとって驚愕為る出来事であった。
もちろん、凄腕のスターライダーである『ハムサ』にとって同じである。
ユーベルコードと猟兵の存在を知っていても尚、驚いたように宇宙バイクでユエィンの元に駆けつける。
「マジかよ……すげぇな……」
「宇宙船にこれを横付けさせる。ボクがユーベルコードを解除すれば元に戻るんだよ。これでデブリを集めて、使える機材を取り出して、残りは修理部品用の原料に利用すれば無駄はないね」
こともなげにユエィンはいうけれど、宇宙船のクルーたちにとっては宝の山である。
彼らがどれだけ時間を掛けても集めることのできない資材がユエィンにかかれば一瞬である。
しかも危険を冒さなくて済むのだ。
「うん、物はついでだ。武装や船内環境もまとめてアップグレードしてしまおう。艦内の循環環境も滞っているって話だったね」
「ああ、できるのか?」
「愚問だね。言ったろう、まとめてアップグレードしようって」
ユエィンはユーベルコードを解除し、元のデブリと戻った機械神から様々な部品を見つけ出してきては、すぐさま宇宙船の強化へと移っていく。
銀河帝国や宇宙船の残骸であるからして、武装の強化は簡単であった。
修繕し、宇宙船の回路につなげていけばいい。さらに艦内の環境を整える意味で出力の強化も外せない。
「これとこの部品を探してきて」
ユエィンの指示に船外活動員たちは、すぐに従ってバラされた機械神であったデブリの塊から部品を探し出していく。
他の猟兵達の協力もあって、作業は問題なく進む。
このペースであれば猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』が『新インペリウム』を建造し終えるよりもずっと早く宇宙船の補修が終わりそうであった。
「後は……」
そう、後は『新インペリウム』と『ヘルメスデウス・ブレインコア』との戦いだけである。
ユエィンの瞳が遠くアステロイドベルトの向こうに座す『新インペリウム』を見る。
未だ届かぬ場所。
けれど、必ず届く。ユエィンは激闘の予感を感じ、けれど己の役目を全うするために宇宙船の修繕を急ぐのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
ミレア・ソリティス、任務了解しました
……【コード・モルフェウス:LD】を使用。
周辺領域を実体かつデータ化した領域である「半電脳領域」化し、
加えてそこへと電脳魔術で《ハッキング》し干渉を行う事で、
船体の欠損などをデータ書き換えにより補填し修復を試みます。
最も、本職のメカニックやこの船の整備士の方がいらっしゃればその方の指示に従います
戦闘兵器である私が判断するよりも、そちらの方が“適材適所”というものでしょうから
また、自衛等のために兵装が必要であるならば、周辺の艦艇残骸の解析データ等からデータコピーし船体装備の一部をそちらに「書き換え」るという選択もありますが……そこは彼らの判断を仰ぎます
老朽化した宇宙船の修繕は猟兵達の活躍に寄って急ピッチで進んでいた。
その速度はあまりにも早いものであった。
こんなにも早く修繕の目処が立つとは宇宙船の暮らす人々は思いもしなかったことだろう。
猟兵達が駆けつけてくれたおかげである。
凄腕のスターライダー『ハムサ』もまた、それらに感謝する者の一人であった。
「すごいな……」
感嘆する呟きを吹き飛ばすように、また一人猟兵がユーベルコードを輝かせる。
「ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)、任務了解しました……コード・モルフェウス、アクティブ。半電脳領域を限定構築。領域内対象への直接干渉を開始します」
ミレアの瞳が輝き、ユーベルコード、コード・モルフェウス:LD(コードモルフェウス・ルシッドドリーム)が発動する。
それは周辺を半電脳領域化し、電脳干渉を行い、宇宙船の船体の欠損などをデータ書き換えにより補填し修復を行うのだ。
それは彼女のユーベルコードであり、電脳魔術の力そのものであった。
半電脳領域化したのは、船体の状況を確認するためであり、同時に宇宙船にいるはずであろう本職のメカニックや整備士の指示を仰ぐためであった。
「どうぞ、こちらを御覧ください。現在の補修進捗と、未だ改善されていない箇所、修繕プランの提案になっております」
任せていただけるのであれば、此方で、とミレアは告げる。
宇宙船のメカニックたちが提示されたプランに頷き、整備士たちが質問を向けてくる。
それらに一つ一つ丁寧にミレアは答えていく。
彼女は戦闘兵器である。
周辺資源で自身を複製し戦い続ける自律兵器を目指した試験体と呼ばれる彼女にとって、この行動は最適であり、同時に適所適材であった。
己で判断することも可能であったが、この宇宙船はあくまで彼らの住居であり、揺りかごである。
自分が勝手に判断していいものではない。
「このデブリは使えそうだろうか? こっちは……」
メカニックたちがデータの奔流から、あれやこれやと様々な部品と活用法を求めて、ミレアに寄ってくる。
「自衛の兵装が必要であるのですね。それであれば、こちらに周辺の艦艇残骸の解析データが御座います」
こちらに、と示したデータにある残骸のデータを見せる。
彼らはこれからも旅路を行くだろう。
居住可能惑星を探す旅路だ。そこには未だ未踏の宙域だってある。クエーサービーストと言った未知の脅威だって振り払わねばならない。
ならばこそ、強力な武装は必要である。
「だが、エネルギーの問題もあるんだよな……」
「コアのエネルギーの余過剰分を回せないか……いや、そうなったら船内環境が維持できないか……」
「こちらにプランをまとめておきます。そちらから選択されるのが良いでしょう」
ミレアは一貫して選択を彼らに任せていた。
彼らの判断を仰ぐ。
それはミレアにとって何よりも優先されることであった。
いつまでも、ずっとは彼らを助けることはできない。彼らが彼らの旅路を行くように、自分にもまた進むべき路がある。
故に彼女は戦うこと以外の選択肢を自分で選ばないのだろう。
誰かのためにと願われたのは、いつだって純粋なものである。
けれど、それをどう捉えるかは別の問題だ。
「では、そのように」
ミレアは彼らの選択を尊重する。
彼らの道行に幸あらんことを、とは願わずとも。彼女の行動はきっと彼らにとって幸いであったことだろう――。
大成功
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ジェイミィ・ブラッディバック
最近はキャバリアの整備ばかりでしたが、ここらで宇宙船整備の実績も積んでおきましょうか。
SERAPHIM LEGION、出撃……と言っても戦闘ではありませんが。
人では手が出ない場所や大きな部品の運搬にはAI制御のキャバリアが役に立ちますからね。
まずはハムサさんにご挨拶して、改修すべき箇所について情報収集。
メカニック知識をもとに最適な修理方法を瞬間思考力で判断、支援AIのWHITE KNIGHTと協議しながら修理を進めます。
老朽化した部品は私が経営しているメカニックガレージの在庫を使用して新品に交換し、他はオイル交換やネジの閉め直しなどですかね。
整備士の皆さんとも協力して修理していきましょう。
スペースシップワールドの宇宙空間は、熾烈なる環境であった。
居住可能惑星を尽く失い、見つけることが叶っていない現状を考えるのならば、宇宙船こそが生命の揺り籠であり、大地である。
故に人々は夢を見る。
作り物ではない空を、大地を望むのだ。
例え、それが見果てぬ夢であったとしても何代も生命をつないでいくのだ。
「最近はキャバリアの整備ばかりでしたが、ここらで宇宙船整備の実績も積んでおきましょうか」
ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は、AI制御のセラフィム・リッパー一個中隊――SERAPHIM LEGION(セラフィムレギオン)と共に老朽化した宇宙船へと近づいた。
別に戦闘をしようというわけではない。
今回の相対するであろう猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』との戦いは、彼女が積極的に対外的な戦闘を取ろうとしないことから、此処では戦闘にならないのだ。
ならば、何故ジェイミィはAI制御のセラフィム・リッパーを持ち出したのか。
「人では手が出ない場所や大きな部品の運搬はこちらに任せて頂きます」
そう、周囲には資材であるデブリがある。
けれど、その殆どは人間のサイズではない。運び出すのも一苦労である。けれど、5m級の機動兵器を使えば無理ということはない。
それに安全性を考えた時、船外活動はいつだって危険に溢れている。
そういう時に無人機が使えるのならば、これに越したことはないのだ。
「おっと、ご挨拶が遅れました。ジェイミィ・ブラッディバックと申します。貴方が『ハムサ』さんですね」
ジェイミィは通信機で凄腕であるスターライダー、『ハムサ』へと挨拶を告げる。
彼は忙しく宇宙バイクでもって宇宙船の周囲を走っている。
すでに多くの猟兵達が駆けつけてくれたおかげで宇宙船の補修は順調である。けれど、ジェイミィは彼に改修すべき箇所について情報を求めた。
「ハムサだ。よろしくな、とても助かっているぜ。それで、物はそうだんなんだが……」
ハムサが告げたのは、宇宙船の後部スラスターの不具合である。
そもそも宇宙船が此処にで立ち往生をしているのは後部スラスターの調子が悪いからである。
今も猟兵達の活躍に寄って船体の補修や船内環境のアップグレードは行われているが、スラスターは少々作業が遅れているのだ。
「了解しました。ならば、そちらは私が」
ジェイミィは支援AIと協議し、己のメカニックガレージの在庫を確認する。
スラスターの調子が悪いということは新品に変えてみてはどうだろうかと諸々を試し始めた。
「整備士の方々にも意見を頂戴しましょう」
ジェイミィは通信を行って、整備士やメカニックたちとも情報をやり取りする。
スラスターまわりは慎重にやらなければならない。
部品同士の相性というものもあるだろうし、これからのこの宇宙船は補修が済めば、また新たな宙域へと旅立たなければならない。
それは居住可能惑星を探すという宿命だからだ。
いつまでも自分たちが駆けつけることができるとは限らない。
今後のことを考えれば、彼ら自身にも修繕や応急処置を伝え覚えてもらわなければならないのだから。
「こちらのスラスターなのですが、部品の老朽化は当然のこと、消耗も激しいはずです。交換をスムーズに行えるように処置をしておきましょう」
ジェイミィは、それがわかっているからこそ、整備士とメカニックと共に作業を続ける。
技術と知識の伝播は、やって見せてからでないといけない。
これから彼が旅路を続ける。
その道程は険しいものばかりであろう。けれど、この日の経験がいつの日にか、実を結ぶことをジェイミィは知っている。
だからこそ、今できることを彼は紡ぐように伝えていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「ほう、ここが雲の上に広がる星の海か!」
え、我に似合わない世界?
くくく、天才魔術師にして不死身たる我!
あらゆる世界を旅してこそ、我であるといえよう!
……サクラミラージュの者たちも、まさか我が宇宙にいるとは思わんだろうしな!(逃亡中
「さて、星の海というなら我の乗り物はこれだな!」
【死霊船団】でアンデッドの乗る幽霊船を召喚!
その船長席で星の海の航海を指揮しよう!
……え、海の意味が違う?
その程度、我の魔法の前では些細なことよ!(言い切った
「ククク、さあ、我が下僕たるアンデッドたちよ!
あの壊れかけの金属製の船の修理を手伝ってやるがよい!」
我は船長席でのんびりと見物させてもらおう!(手伝う気無し
銀河征く宇宙船が人々の大地となったスペースシップワールドにおいて幽霊船という概念は残っているだろうか。
いや、むしろスペースシップという形を人々が営みの基盤として名を残しているのであればこそ、その名はまことしやかに囁かれる伝説となっていたことだろう。
コア残りて、生命が滅んだスペースシップ。
それこそがスペースシップワールドにおける幽霊船であったことだろう。
けれど、今まさに老朽化から復活を遂げようとしている宇宙船に近づく前時代的な…帆船の如き幽霊船が宇宙空間を行く姿は、宇宙しか知らぬ宇宙船の船員たちにとってどのようなものに映ったことだろうか。
「なんだ、あれ……デブリにしちゃあ、なんだか様子が」
おかしいと、船外活動をしていた彼らは思ったことだろう。
言葉を選ぶのならばまるで御伽噺に出てくるような船の形。あれが船であるという認識が持てることこそが幸運であったことだろう。
「ほう、ここが雲の上に広がる星の海か!」
そういって声高らかに笑ったのは、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)であった。
この幽霊船は彼女のユーベルコードに寄って呼び出されたものである。死霊船団(アンデッド・フリート)と呼ばれる宇宙空間を行く幽霊船は、あまりにも場違いであった。
けれど、それこそがフィアの天才魔術師であり、不死身の悪魔である彼女たる所以である。
あらゆる世界を旅してこそであるという自負が彼女にはあったのだ。
というのは建前である。
本音は以前解決した事件……サクラミラージュにおける騒動から逃げるために世界を跨いだとは口が裂けても言えない。
サクラミラージュの者たちも、まさか自分がスペースシップワールドにまで足を伸ばしているとは思うまい。
「くくく、天才魔術師にして不死身たる我を止めることができるものなどいてたまるものか!」
星の海ということで幽霊船に乗ってやってきたはいいが、老朽化した宇宙船の船員たちの視線が若干物々しい。
あ、と気がつく。
確かにそうだ。不審な船でしかないし、漂流物であると思われてもおかしくない。
慌てて船長席で呼びかける。
「あー、あー、我は天才魔術師にして猟兵である。船の修理に参ったー」
若干棒読みである。
彼女の弟子がいたのならば、師匠棒読みですと突っ込んだところであろう。
彼女の言葉と猟兵という単語に宇宙船の船員たちは漸くにして警戒を解く。これまで他の猟兵達が修繕や補修をしてくれていた実績があるからに他ならない。
「ククク、さあ我が下僕たるアンデッドたちよ! あの壊れかけの金属製の船の修理を手伝ってやるがよい!」
フィアはアンデッド軍団に号令を飛ばし、自分は船長席で高みの見物である。
まるで手伝う気がないのだ。
まあ、なんというか。
フィアらしいと言えば、らしい。
しかし、時たま聞こえてくる宇宙船の船員たちの悲鳴には、若干汗が落ちる。
宇宙空間にアンデッド。
B級映画でも見かけることのない組み合わせである。いや、あるかもしれないけど。多分、スペースアンデッドとかそういうタイトルで。
若干ホラー染みた光景に、手伝ってくれる存在だと分かっていても人の本能的に暗がりでアンデッドを見たら悲鳴をあげるものだ。
その悲鳴を聞きながら、フィアは気を取り直して居直るのだ。
「我の魔法の前では些細なことよ――!」
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
POW判定
この世界の平穏を続かせるために。
猟書家は倒さねばですね
まずは老朽化した宇宙船を補強からですね
【世界知識】【情報収集】で
宇宙船については勉強しますが、
船の整備士の皆さんに【コミュ力】【優しさ】で
仲良くなり、ご意見を聞きながら
補強に努めましょう
デブリを集めて外装や船体の補強に従事でしょうか
【力持ち】です、重いものの運搬は積極的にやりますよ!
外装をしっかり、
頑丈なのは勿論、恰好よさも感じると
戦意の向上にもなるでしょうか
やっぱり美しさは大事
力は足りますが、大きさが足りなければキャバリアも
駆使して改修に努める
『ハムサ』さんが協力してくれるよう
めいっぱいよい宇宙船にしましょうね、ブライト・ナイト
オブリビオン・フォーミュラが亡き世界にあってもオブリビオンの脅威は未だ変わらずに蔓延っていた。
それが世界を侵略する猟書家である。
ここスペースシップワールドもまた、猟書家に狙われた世界である。
猟書家『プリンセス・エメラルド』は『帝国継承軍』を名乗り、各地に散っていた帝国軍残党をかき集めていた。
今回の事件もまた彼女の麾下である猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』によるものである。
惑星型巨大戦艦『新インペリウム』の建造。
それこそが今回の事件の要である。
けれど、その建造が行われている宙域に至ることは用意ではない。アステロイドベルトと呼ばれる磁気嵐と隕石群が降りしきる宙域には容易にたどり着くことはできないのだ。
それ故に凄腕のスターライダーがいる宇宙船を尋ねてきていたのだが、その宇宙船は老朽化が進み修繕が必要な状況であった。
「この世界の平穏を続かせるために。猟書家は倒さねばですね」
意気込んでいたのは、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)であった。
彼女にとって平穏のためにと願うことこそが最優先であったことだろう。
老朽化した宇宙船は傍から見る分には猟兵達の活躍に寄って補修が進んでいる。けれど、まだ足りないような気がするのだ。
ユーフィは宇宙船のことについて詳しくはない。
だから船の整備士たちとコニュニケーションを取って、彼らから船の状況をつぶさに聞き出すのだ。
「お手伝いしますよ! 力仕事はおまかせください!」
そんなふうに明るい彼女の性格は、年齢も相まって船の整備士たちに暖かく迎え入れられたことだろう。
周囲に浮かぶデブリを資材として利用するのはもちろんのこと。
宇宙空間であっても巨大な質量を移動させるのは骨が折れることだ。だからこそ、こんな時に彼女の怪力が役立つのだ。
「重いものは全部全部、わたしに!」
次々と有り余る力で持ってデブリを運んできたり、除去したりと獅子奮迅の活躍を見せるユーフィ。
彼女の働きによって外装の装甲はしっかりと。
頑丈なのはもちろんのこと、彼女がかっこよさを感じる船体へと変わっていく。
やっぱり美しさは大事である。
「戦意の向上にも繋がりますからね。やはり、これは外せません」
出来上がった外装にグラフィティアートでもどうだと整備士たちに提案されて、ユーフィはキャバリアである『ブライト・ナイト』と共に壁面にスプレーワークでもって自由にマーキングを施していく。
「へえ、見事なもんだな。カッコいいじゃないか」
そんなふうに補給に走り回っていた『ハムサ』がユーフィの描いたマーキングを眺めている。
喜んでくれたようだと感じる。
これならば彼に協力を取り付けるのもスムーズに行くだろう。
彼の笑顔を見ていればわかる。これがより良い宇宙ということだ。どれだけ過酷な環境であっても、見果てぬ居住可能惑星の発見という目的が遠くても。
それでも彼らのような笑顔が溢れる宇宙になることがとても大切なことなのだとユーフィは『ブライト・ナイト』に語りかける。
もっと、これからも。
「めいっぱいよい宇宙船にしましょうね、ブライト・ナイト」
その笑顔はきっと伝播して、宇宙船に広がっていくことだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【SPD】
さっそく働く機会を得ることができたのー
ということでドクトル・アメジストさんや、出動じゃのー
UC「蛙は大海を知り、空の蒼さを知る」を発動し、ドクトル・アメジスト完全再現体を呼び出して、こき使う
文句を言いながらも、天才電脳魔術士の腕をフル活用して、電脳防御やコンピュータ関連の強化を担当
自身はキャバリアKIYOMORIを遠隔操作して、加速装置関連の設置に従事する
またAIドクトルやアメジストちゃんも加速装置の調整も担当させてフル活用
『全く、あたしだけ働かせて自分は楽かい? とんだ子孫が生まれたものだ』
今まで迷惑かけた分はしっかり働いて貰うからのー。精々苦労してくれのー、ご先祖様
猟書家と猟兵の戦いは一進一退である。
骸の月が浮かぶ世界において、猟書家の侵攻は猟兵にとって食い止め押し返さなければならないものである。
先日もまた一人の猟書家が打倒された。
それを為したのは猟兵達であり、因縁持つメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)によって成し遂げられたことである。
「さっそく働く機会を得ることができたのー」
メイスンは老朽化した宇宙船を見やる。
すでに多くの猟兵達が修繕や強化に駆けつけてくれている。
この宇宙船に住まう凄腕のスターライダー『ハムサ』の協力を得るためとはいえ、皆張り切っているようであった。
「ということでドクトル・アメジストさんや、スッキんじゃのー」
『やれやれ、仕方ないね』
そんなやり取りがあったのは、他の猟兵達からすれば驚きの光景であったことだろう。
なぜなら、メイスンの隣にあるのは猟書家『ドクトル・アメジスト』であったからだ。
けれど、猟兵達は彼女を滅ぼさなければと思うことはなかった。
姿かたち、性質は同じであっても彼女はメイスンのユーベルコードの効果内でしか活動ができない完全再現体であるからだ。
「さて、協力してもらおうかのー。まずは、電脳防御とコントロールセンターのコンピューターの強化をやってもらうけーのー」
もうこき使う気満々である。
メイスンはキャバリアである『KYIUOMORI』を遠隔操作し、加速装置の整備に取り掛かる。
銀河を行く宇宙船にとって加速性能は、これから向かうであろう未踏宙域においては重要な設備である。
なにせ、居住可能惑星を発見するためにはもはや未踏宙域しか希望は残っていない。
けれど、未踏宙域にはクエーサービーストという巨大なる存在が未だ跋扈している。そんな海獣めいた者達から発見されては宇宙船は滅びるしか無い。
対抗手段も重要であるが、無事に逃げ切ることもまた彼らにとって生存への確率をあげる大切な要因なのだ。
「AIドクトルとアメジストちゃんも頼むけーのー。あちこち連動させねばならんしのー」
メイスンは加速装置と、その周辺を見定める。
スラスターはすでに他の猟兵が強化、修繕してくれている。ならばこそ、急速発進に対応できるように改良を加えていくだの。
「ドクトル・アメジスト、ご先祖様。そっちの進捗はどうじゃろのー」
『全く、あたしだけ働かせて自分は楽かい?』
そんなやり取りがあった。
心外であるとメイスンは電脳領域で繋がるドクトル・アメジストに向かって、遊んでいるわけではないと作業の催促をするのだ。
蛙は大海を知り、空の蒼さを知る(ドクトル・アメジスト)。
それは嘗ての天才性を持ったドクトル・アメジストにとっては、未知の領域であったことだろう。
こうしてまた存在しているという事実は、あまりにも彼女にとって世界がどれだけ広いかを識るきっかけにも成っただろう。
だからこそ、彼女はつぶやくのだ。
『とんだ子孫が生まれたものだ』
己に続く者がいる。
自分以上の存在が生まれ出る。
それを今彼女は知ったからこそ、渋々ながら働くのだ。
嘗ての天才が小間使いとは。なんて思っていると、メイスンからまたも催促が入るのだ。
「精々苦労してくれのー、ご先祖様」
散々迷惑を掛けてきたのだから、これくらい当然だというようにメイスンの声が響く。
それにドクトル・アメジストはやれやれと肩を竦め、宇宙船の電脳領域の強化を続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
なるほど修理かー
任せといてよ!
ところで修理って何をすればいいの?
●UC使用
そう、何を隠そうボクには【メカニック】レベルが1000もある!
その知恵と技術で作り上げた[叡智の球]くんのなんかいい感じの修理ビームを撃てばあっという間さ!
素材を牽引ビームで集めて寄り合せてー…
ビーム発射ー!
外見と内装がオシャレになったよ!
あ、後ちょっと頑丈になった…かも?多分!
●【武器改造】
このトゲトゲがいいよね宇宙海賊っぽい!刺さったら抜けなくなってヤルかヤラレるかって感じの演出にピッタリだよ!
え、そういうときは逃げる?そう…
じゃあトゲトゲは相手に当たったら痺れさせるビリビリくんにしとくね!
老朽化した宇宙船は、スペースシップワールドにおいて致命的であった。
居住可能惑星が尽く破壊された世界において、宇宙船こそが人々の生きる大地であり、揺り籠であった。
新天地である居住可能惑星を発見することこそが彼らの悲願である。
同時にそれは見果てぬ夢でもあった。
銀河のあらゆる場所を探索し、居住可能惑星を探しても尚、未だ見つからぬ。播種の船たる宇宙船は長き航海を経て、あらゆる箇所に不具合を持つようになったのは当然であったことだろう。
「なるほど修理かー任せといてよ!」
そんなふうに元気よく言い放ったのは、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)であった。
すでに多くの猟兵達が駆けつけて、老朽化していた宇宙船は新造と見紛うほどに修繕されつつあった。
そんな彼でも誰かのために何かをしようと思うのは純粋な思いからであったことだろう。
「ところで修理って何をすればいいの?」
任せておいてよと言ったのは一体なんだったのか。
とっちらかった発現であったが、彼の瞳がユーベルコードに輝く。
神知(ゴッドノウズ)――それは彼の持つ権能以外の技能を極地にまで引き上げるユーベルコードである。
メカニックとしての知識もまた、そのユーベルコードの輝きに押されて、底上げされるのだ。
その知恵と技術で作り上げた浮遊球体群が放つなんかいい感じの修理ビームを撃てばあっという間だというのだ。
けれど、あらかた他の猟兵達によって宇宙船の修繕は終了していた。
これではただビームを打つだけに過ぎないのではないか。だからこそ、神たるロニは考え、ひらめいた。
「ならさ、こうすればいいんじゃない?」
牽引ビームで資材となるデブリを集め、集積したデブリに向かって浮遊球体群が一斉にビームを放つ。
不思議な光だった。
いや、スペースシップワールドにおける人々もまた理解できなかったかもしれない。
それはビームを放ったというのに破壊ではなく、なんだかトゲトゲした物体であった。
「これ? このトゲトゲがいいよね。宇宙海賊っぽい!」
「いや、俺たち宇宙海賊じゃなくって……」
宇宙船の船員たちが戸惑っている。それもそうであろう。衝角というにはあまりにも刺々しいスパイクが無数に作り上げられている。
一体全体俺たちの宇宙船はどこに向かおうとしているのだろうかと思わざるを得ない。
それは神の叡智であり、人には理解できぬ美であったことだろう。
「刺さったら抜けなくなって、やるかやられるかって感じの演出にピッタリだよ!」
その状況になったら宇宙船もやばいのではないだろうかと、船員たちは思ったことだろう。
でも口にはしなかった。
なんか口にしたらダメな気がしたのだ。機嫌を損ねたら何が起こるかわからなかったのもある。
「いや、そういう時は逃げるだろ」
空気を読まなかったのは凄腕のスターライダーである『ハムサ』であった。
彼は多くの猟兵と関わってきたことで、ロニもまた猟兵であるのならばと特に遠慮はしていなかった。
「え、そう……じゃあ、トゲトゲは相手にあたったら痺れさせるビリビリくんにしとくね!」
「いや、だから敵と接近する状況になるのが困るんだが……」
などと『ハムサ』とやんややんやとやり取りを続けるロニ。
凄腕スターライダーである『ハムサ』の物怖じしない態度は、彼との論議に発展し、しばらくつけるつけないで大いにわちゃわちゃとした討論が続くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ヘルメスデウス・ブレインコア』
|
POW : メタルナイト・クリエイション
無敵の【超大型機動兵器】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : オートマティックレギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【無人戦闘マシン】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : ヘルメスデウス・アナライズ
【今戦っている敵の情報を収集・解析した】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
イラスト:つかさ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ユエイン・リュンコイス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アステロイドベルトは変わらず危険な宙域には他ならない。
けれど、猟兵たちはすでに凄腕スターライダーである『ハムサ』からアステロイドベルトを抜けるための手段と方法を得ている。
「まずは磁気嵐に対する備え。これは宇宙服や、機体なんかに備えておけば問題ないだろう。これはこっちで用意しとく。宇宙船の修繕、助かったよ。ありがとうな」
『ハムサ』と宇宙船の船員たちは一同揃って猟兵達に礼を告げる。
彼らにとって宇宙船は大地である。
故に、宇宙船が朽ちることは即ち自分たちの命の期限でもあるのだ。だからこそ、猟兵は彼らにとっての恩人なのだ。
すでに猟兵たちには磁気嵐に対抗するための装置を宇宙船から手渡されている。
「後は、隕石群だな。散々あの宙域は俺が走り回ったから、この宇宙バイクのデータがあれば十分対応できるだろう。俺も一応ついていくから、指示通りに飛んでくれれば隕石なんて怖くはない」
これでアステロイドベルトの宙域を抜け、『新インペリウム』へと迫ることはできるだろう。
当初の目的は半ば達成されたようなものであった。
けれど、と『ハムサ』が言う。
「隕石群は法則があるが、けれど時折何が起きるかわからないのが宇宙ってものだ。だから十分に気をつけてくれ。それでもあの惑星型巨大戦艦をぶっ潰そうとするからには、アンタたちはさらに危険なんだろうが……」
それでもできれば無事に帰ってきてほしいと『ハムサ』は願う。
見送られ猟兵たちはアステロイドベルトへと突入する。
その視線の先にあるのは、『新インペリウム』。
猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』が座し、建造を行っている惑星型巨大戦艦の威容が猟兵達の視界を埋め尽くすだろう。
見上げるだけでも惑星そのものと言っても過言ではない巨大さ。
「――猟兵。来ましたか。ですが、近づけはさせません。これは我が盟主『プリンセス・エメラルド』の旗艦にして旗印となるべきもの。例え、我が身を犠牲にしても」
完成させる。
その意志を漲らせる『ヘルメスデウス・ブレインコア』の声が宙域に響き渡る。
ユーベルコードの輝きが惑星型巨大戦艦からほとばしり、猟兵たちを殲滅せんと資材をも活用し襲いくる。
隕石群の脅威は未だ振り払えず、けれど、さらに建造資材すらも放つ『新インペリウム』と『ヘルメスデウス・ブレインコア』の徹底的な抗戦。
スペースシップワールドにおける猟書家との戦いは、まだまだ続く。
けれど、猟兵たちは戦わねばならない。
戦って、戦って、滅ぼさなければ戦いが終わらなぬというのであれば、戦えぬ誰かの平穏を夢見て戦い続けなければならないのだから――。
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
だからハムサー
あのトゲトゲビリビリは宇宙オオダコとか銀河スナヘビとかに襲われたときに使うんだって!
こう、巻き付かれたところでビリビリーって!わざと恒星を掠めたりするのものいいけどね!
映画で観なかった?
―――あ、見えてきたよ!さっすが名ナビデーター!
じゃあやっちゃうねー
●ドーンッ!!
アハハハハッ!おっきーい!
たしかにこれがたっくさんあったら困るよね
―――そう、たくさんあったらね!
UCを使うよ!
おーーっきな[球体]くんたちをもっとおーーーっきくして!ぶつけるよ!
数には数を!質量には質量を!愛には愛を!って言うものね?
それドーーーーンッ!!
アハハハハハハッ!たーのしぃッ!!
惑星型巨大戦艦『新インペリウム』は未だ完成には至っていない。
けれど、それでもなお猟兵たちを相手取るには十分すぎる戦力であった。小型無人機が無数に飛び立ち、迫る猟兵達を迎撃せんとするのだ。
「猟兵。その力を侮ることはありません。しかし、過小評価するよりも過大評価してもなお有り余る力を発揮する者たちには、これでまだ足りないのでしょう」
飛び立つ小型無人機を見やりながら猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』はアステロイドベルトを抜けてきた猟兵を見やる。
突破困難な宙域を如何なる手段で突破してきたのか。
「スターライダー。その存在を捨て置いたことが、今の状況を生み出したと言えるでしょう。けれど、数による飽和攻撃でさらなる壁を築けば良いだけの話」
『ヘルメスデウス・ブレインコア』は『新インペリウム』が未完成であることを指しいひても、猟兵を迎え撃たねばならぬ難しさを知っている。
銀河皇帝であるオブリビオン・フォーミュラでさえ、過去と未来を操る黒騎士と白騎士でさえ敗北した事実を理解した上で、彼女は『新インペリウム』が無数に必要であると判断したのだ。
「だからハムサー、あのトゲトゲビリビリは宇宙オオダコとか銀河スナヘビとかに襲われた時に使うんだって!」
そんなふうに脳天気な、もしくは何も難しいことを考えていないような、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の声が響く。
それはアステロイドベルトを抜け出るナビゲートをしていた凄腕のスターライダーである『ハムサ』に向けての講義でもあった。
宇宙船の中しか知らない彼らにとって、ロニの言葉は信じがたいものばかりであり、彼が提案した強化プランであるトゲトゲの重要性を理解していなかったのだ。
だからこそ、ロニは短い時間でも彼らにことの重要性を伝えようと通信機越しに『ハムサ』にあの装備が如何に役立つのかをプレゼンしていたのだ。
「いいから、前見ろ、前!」
「こう、巻き付かれたところでビリビリーって! わざと恒星を掠めたりするのもいいけどね! 映画で見なかった? ―――あ、見えてきたよ!」
さっすが名ナビゲーター! と囃すようにロニが言い放った瞬間、彼のユーベルコードが輝く。
「目はいつも二つある。一つはボク自身を見るために。もう一つはキミを見るために――じゃあやっちゃうねー!」
アハハハハッ! と笑い声が木霊する。
大きいと笑っていたのは、きっとロニだけであったかもしれない。『新インペリウム』の威容はそれほどまでに巨大であった。
惑星型巨大戦艦と銘打つだけのことはある。
確かに、これが一隻でも脅威であるのに、複数存在した時、考えられないような損害をもたらすだろう。
「――そう、たくさんあったらね!」
けれど、未だ完成を見た『新インペリウム』はない。
ならばこそ、ここで一隻も完成させぬことが猟兵の戦いを有利に運ばせるのだ。
ユーベルコードによってロニの持つ『球体』がさらに巨大化していく。惑星型と呼ばれる巨大戦艦と同じ大きさへと至った『球体』を念力で操るのだ。
それはまさに惑星を惑星に落とすような途方も無い力であったことだろう。
「数には数を! 質量には質量を! 愛には愛を! っていうのもね?」
無数の無人機たちを巻き込んだ惑星にも及ぶ『球体』を持ってロニは『新インペリウム』へと叩きつける。
「それド―――ンッ!!」
その衝撃は言うまでもないだろう。
必殺の一撃とでも言うべき、神罰(ゴッドパニッシュメント)は未完成だった『新インペリウム』の装甲をひしゃげさせ、その巨体を揺るがすのだ。
「アハハハハハハッ! たーのしぃッ!!」
ロニは笑っていた。
無邪気に、けれど確実に『新インペリウム』を叩き潰すべくユーベルコードに寄る渾身の一撃。
けれど、それでもなお『新インペリウム』は破壊しきれていない。
その事実に笑ったのだ。
一撃で終わらぬ相手。それを前にロニは笑って言うのだ。
「楽しいねぇッ!」
その笑い声は、宙域に、そして『新インペリウム』の建造場所であったアステロイドベルトに高く響き渡り、破壊された装甲を再び分厚いデブリとして撒き散らすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
しっかり『ハムサ』さんの話を聞き状況を把握
【世界知識】【戦闘知識】も活用しますね
準備をして――いざ、巨大戦艦へ
【勇気】とともに行きますよ「ブライト・ナイト」
《戦士の手》とともに
迫りくる無人戦闘マシンは
【見切り】、囲まれないよう動きつつ
オーラを目いっぱい込めた無骨な武器での
【なぎ払い】、【衝撃波】でまとめて攻撃
複数を巻き込むように攻め、万一機体は
接近しての【鎧砕き】で
確実に仕留める
無人機を片付けつつ、【野生の勘】を駆使し
ブレインコアに迫ります
【力溜め】つつ猛然と【ダッシュ】、
【グラップル】で捕まえて――
さぁ、もう離しませんよっ!
反撃は【オーラ防御】で包むように受け、
【功夫】の連撃で仕留めに行くっ
凄腕スターライダーの『ハムサ』の示したデータと対策は、アステロイドベルトを踏破する猟兵達が如何に宇宙空間に不慣れであっても、しっかりとしたナビゲートで降りしきる隕石群を躱させてくれた。
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は、その的確な指示をしっかりと頷き、キャバリア『ブライト・ナイト』と共に飛来する隕石を足場にするように飛ぶ。
それはまるで踊るようでもあり、跳ねるようでもあった。
軽やかなフットワークでスピードに乗ってアステロイドベルトを抜けた先にあったのは猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』が座す、惑星型巨大戦艦『新インペリウム』の姿であった。
「――いざ、巨大戦艦へ。勇気と共に行きますよ『ブライト・ナイト』。そして!」
戦士の手(センシノテ)と共にと彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
その行く手を阻むのは無数の無人戦闘マシンの群れであった。
猟兵の先制攻撃によって、『新インペリウム』は未完成の装甲を引き剥がされている。
けれど、無人戦闘マシンは後から後から湧いて出てくるようにユーフィとキャバリア『ブライト・ナイト』を接近させぬと迫るのだ。
「ユーフィ、アステロイドベルトの隕石群だと敵を思え! そうすれば君の操縦技術だ。そう簡単に捕まるわけがない!」
『ハムサ』の言葉がユーフィの背中を押す。
そのとおりだ。自分の直感と『ハムサ』が教えてくれたアステロイドベルトの攻略法。
それらが合わされば、無人戦闘マシンの攻撃など躱すのは容易い。
ユーベルコードが輝き、彼女のキャバリアからオーラの力迸る。
それは全方位に向けラ得た衝撃波である。
無人戦闘マシンはユーフィへと群がっていたが故に、彼女の放つオーラの増幅された力によって吹き飛ばされ、飛来する隕石群に激突して撃墜されていく。
「どれだけ数を増やそうとしても――!」
止められない。
彼女の背後には宇宙船がある。あのマーキングを気に入ってくれた『ハムサ』や船員たちがいる。
彼らを護るためにこそ、彼女のユーベルコードは輝くのだ。
極大に輝く光を受けて『ブライト・ナイト』はその名の通りの光を機体に灯す。勇気が彼女の心の中から溢れる限り、その機体は負けはしない。
彼女はそれを識るからこそ、己のユーベルコードの輝きを信じるのだ。
「一気に本丸を! そこですね、『ヘルメスデウス・ブレインコア』――!!」
それは恐るべき野生の勘であった。
無人戦闘マシンを鷲掴みにしたまま、一気に加速する。
どれだけ無人戦闘マシンが彼女を止めようとして、溢れるオーラの力に弾かれて接近すらできないのだ。
「想定外の出力……これが猟兵の力。恐るべき力です。我々オブリビオンを滅ぼすためだけに存在する生命の埒外……」
『ヘルメスデウス・ブレインコア』は『新インペリウム』の巨大なる戦艦の中枢に在りながら、己をめがけて飛ぶ『ブライト・ナイト』の輝きに目を細めた。
けれど、こちらとて数万の装甲に覆われた巨大戦艦である。
そう容易く抜けることなどできはしないのだ。
「どれだけ装甲が厚かろうと!」
ユーフィと『ブライト・ナイト』が掴んでいた無人戦闘マシンが『新インペリウム』の装甲に叩きつけられる。
先行した猟兵が加えた一撃でひしゃげた装甲をさらに無人戦闘マシンの爆発で持って押し広げ、そこへ力をため、加速した『ブライト・ナイト』のユーベルコードに包まれた拳が叩きつけられる。
「さぁ、もう離しませんよっ!」
此処までくれば後は簡単な話だ。
どれだけ分厚い装甲でも、一枚一枚抜けぬわけではない。
ならばこそユーフィは咆哮する。『ブライト・ナイト』の炉心が同調するように唸りを上げ、その叩きつけた拳は飴細工のように装甲を打ち破るのだ。
それは『功夫』の賜物であった。
彼女の練磨が、『ブライト・ナイト』という機体を通してでる力が『新インペリウム』の尋常ならざる装甲を打ち貫いて、『ヘルメスデウス・ブレインコア』へと迫る衝撃で持って、彼女を震撼させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジェイミィ・ブラッディバック
新インペリウムですか…どう思います、WHITE KNIGHT?
「所詮は紛い物だよ」
ハムサさんのデータとWHITE KNIGHTの未来予測をもとに新インペリウムへ接近
未来予測はハムサさんにも共有、不足の事態に備えます
ハムサさんの腕を信じますよ
敵艦に取り付いた後は、敵無人戦闘マシンをGAW-WM-209Xで迎撃しつつブレインコアに接近
CRESCENT MOONLIGHT、TRINITY ANGEL BLADEの二振りで連続斬撃
指定UCを発動し敵UCの封殺を試みます
「帝国無き未来にこそ希望がある…他ならぬ白騎士たる私がそう結論した」
今を生きる人々に黄金の時代がもたらされると、私達はそう信じています
惑星型巨大戦艦『新インペリウム』の威容は未完成と言えど、嘗ての銀河帝国の『インペリウム』から遜色ないものであった。
巨大故に中枢へとたどり着くことは容易ではないし、発艦する無限に湧き上がるような無人戦闘マシンは壁のように猟兵達の行く手を阻むのだ。
アステロイドベルトはすでに凄腕スターライダーである『ハムサ』の示したデータと攻略法で踏破されている。
ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は、その巨大戦艦を見やり、メガリス『白騎士の鎧』から作られた事象予測AIに語りかけた。
「新インペリウムですか……どう思います」
『所詮は紛い物だよ』
そういい切った事象予測AIの言葉にジェイミィは同意した。
そう、新たに建造された巨大戦艦。けれど、それは一度猟兵達が打倒したものである。ならばこそ、此処で立ち止まる道理など何処にもない。
事象予測AIがもたらす未来予測と共にジェイミィは宇宙を駆け抜ける。
アステロイドベルトに降り注ぐ隕石群など物ともしない。
すでに『ハムサ』から受け取ったデータに、隕石群の到来に関する周期は同期しているのだ。
そこに事象予測AIの未来予測が重なればどうなるか。
「例え、無人戦闘マシンが湧き上がろうとも! こちらにはハムサさんの腕を信じる心があるのであれば!」
ジェイミィは一気に戦場となった宙域を駆け抜ける。
襲いくる無人戦闘マシンを二丁一組のマシンガンによる斉射で薙ぎ払う。
爆風が宇宙空間に花のように咲く。
またデブリが生まれてしまうが構わない。今は目の前にそれよりも驚異的な巨大さを持つ『新インペリウム』がある。
「取り付いた……! ここからは!」
『ユーベルコードTRINITY:Mod.DARK SLAYER(カコクライノエンジェルブレード)の使用。敵のユーベルコード封殺を提案する』
事象予測AIが告げるよりも早くジェイミィは己のユーベルコードを発動していた。
カメラアイが輝く。
「TRINITY ANGEL BLADE ENHANCED...MODE:DARK SLAYER ACTIVATED.」
メガリス『黒騎士の三呪剣』を改造した三本一組の実態剣が粒子をまとう。
過去改変能力を持つ一組の実態剣が振るわれる時、その斬撃は一度に三連撃を放つ。目にも留まらぬ斬撃は無人戦闘マシンなどを問題にしない。
これだけの無人戦闘マシンを生みだすユーベルコードは封殺しなければ、いつまで経っても他の猟兵達が『新インペリウム』に取り付く障害になってしまう。
だからこそ、ここで封殺するのだ。
『帝国無き未来にこそ希望がある……他ならぬ白騎士たる私がそう結論した』
メガリスによって完全再現された事象予測AIが断ずる。
その言葉を受けて、ジェイミィは走る。
手にした過去を切り裂く斬撃が『新インペリウム』の装甲を切り裂き、貫いていく。
それはまさに呪いと呼ぶにふさわしい斬撃であったことだろう。
けれど、それこそが未来を切り開くための力となって今、ジェイミィの手の内にあるのだ。
ジェイミィは知っている。
老朽化した宇宙船の中にあっても尚、新天地を求める人々を。
彼らの心に宿る希望をこそ自分が守らねばならぬものであると識る。だからこそ、彼は言うのだ。
「今を生きる人々に黄金の時代が齎されると、私達はそう信じています」
他のなにものでもない。
ジェイミィが信じるのは、彼らが手にする一番希望に溢れた未来。
それを掴むために今は過去の呪剣であろうと、鎧であろうと使いこなせしてみせよう。
そのためにジェイミィはこの戦いの勝利に至る道筋を切り開くために、『新インペリウム』の分厚い装甲を切り裂き、猟書言え『ヘルメスデウス・ブレインコア』への路を今まさに切り開いたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
フィアさんと
宇宙船の修理はしっかりできたし、
あとは惑星戦艦を沈めればいいんだね。
わたしは『ハムサ』さんのアドバイスで改修した、
アステロイドベルト仕様の【リオ・セレステ】で出撃。
これだけの質量差があると、
懐に飛び込んでいかないとかなー、とか思っていたら、
「!!? フィアさーん!?」
攻撃は効果的だけど、
そのままでも軌道の読みにくいアステロイドベルトで、
さらに岩なんて砕いたら、みんなもフィアさんも大惨事だよ!?
あわてて【不可測演算】を発動したら、
【Oracle】や【ジャンクユニット】をフル回転させて、
飛んでくる岩の軌道を演算。
みんなと宇宙船に伝えて、
回避しながらの攻撃ができるようにフォローしよう。
フィア・シュヴァルツ
理緒と
「フハハハ、敵は岩石群の中に潜んでいるのだな?
それなら我にいい考えがある!」(ない胸を張る
宇宙空間というやつは、どうやら物が凄い速度で飛んでいくらしい。
ならば、それを利用しない手はあるまい!
我は幽霊船の甲板に立ち、【竜滅陣】の呪文を唱えよう。
宇宙に漂う大岩を魔法で砕き、その破片を敵に向かってぶつけてくれよう!
「さあさあ、その岩石群の中から出てくるまで、いくらでも岩石の破片を雨あられと降らせてくれよう!
無人の戦闘人形ごとき、すべて砕いてくれるわ!」
え、なに?
無差別に岩石砕くと、こっちにも破片が飛んでくるとな?
「にょわーっ、我の自慢の船が穴だらけにっ!」(幽霊船だから、元から穴だらけ
戦場において猟兵同士が連携し、共に戦うことは珍しくないことであった。
惑星型巨大戦艦である『新インペリウム』が相手であれば猟兵同士の協力は有効であることは言うまでもない。
すでに先行した猟兵達によって『新インペリウム』の分厚い何万にも及ぶ装甲は削れるように穿たれはじめていた。
それは猟兵達が個としての力ではなく、他者との繋ぐ力でもって自身たちよりも強大なオブリビオンを打倒せしめてきた事実からも有効な戦術であることは疑うまでもない。
猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』はそれを正しく認識していた。
だからこそ、この宙域で密やかに、けれど迅速に『新インペリウム』の建造を行っていたのだ。
「しかし、それさえも嗅ぎつけてくる。これが猟兵。侮っていたわけではありません。過小評価していたわけでもない。過分に……」
けれど、それさえも凌駕してくる。
それが猟兵という存在。生命の埒外と呼ばれる存在の力であったのかもしれない。
「宇宙船の修理はしっかりできたし、あとは惑星戦艦を沈めればいいんだね」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は凄腕のスターライダーである『ハムサ』の助言にしたがってアステロイドベルト仕様に変更された電子戦用の空色の戦闘艦である『リオ・セレステ』で無人戦闘マシンの襲いくる攻撃をいなし続ける。
他の猟兵が無人戦闘マシンの戦闘力を低下させてくれているおかげで、『新インペリウム』への道筋は切り開かれている。
無人戦闘マシンはここに来て数だけしか頼みがない状態にまで持ち込まれているのだ。
「これだけの質量差があると、懐に飛び込んでいかないとなー……」
それは言うまでもない。
中枢である『ヘルメスデウス・ブレインコア』を打倒するためには肉薄しなければならないのだ。
「フハハハ、敵は岩石群の中に潜んでいるのだな? それなら我に良い考えがある!」
その騒々しいやら、元気が良いのやらわからない威勢のよい声が木霊する。
え、と理緒が振り返った先にあったのは『リオ・セレステ』と共に並び立つように宇宙空間を悠々と進む幽霊船であった。
フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)の座す幽霊船は、それだけでスペースシップワールドにそぐわぬ光景であったが、理緒は猟兵である。
それが同じ猟兵のものであると知っているからこそ、驚きこそしなかったが、次にフィアが取った行動に目をむいたのだ。
「宇宙空間というやつは、どうやら物がものすごい速度で飛んでいくらしい。ならば、それを利用しない手はあるまい!」
フィアは胸を張る。誰だないものが張れるか、とか言ったやつ。
「漆黒の魔女の名に於いて、我が前に立ち塞がりし全てを消し去ろう」
その瞳はユーベルコードに輝く。
魔力を込められた詠唱は、魔法陣を描き宇宙空間に輝くのだ。竜滅陣(ドラゴン・スレイヤー)――それはドラゴンすら消し飛ばす大規模破壊魔法である。
フィアの十八番である。
むしろ、これこそがフィアの魔法の真骨頂。壊せぬものを壊す。それこそがフィアの魔法なのだから。
だが、今回は理緒が慌てるように、それでは困る事態が引き起こされてしまうのだ。
「!!!? フィアさーん!?」
理緒が慌てて止めるのも間に合わず、フィアのユーベルコードの輝きが巨大な岩石を一瞬で打ち砕くのだ。
その破片が礫のように。それこそショットガンから放たれた散弾のように『新インペリウム』へと放たれる。
それは無人戦闘マシンを巻き込んで一気に壁を穿つような行為であった。
「さあさあ、その岩石群の中から出てくるまで、いくらでも庵跡の破片を雨あられと振らせてくれよう! 無人の戦闘人形ごとき全て砕いてくれるわ!」
高笑いをするフィア。
けれど、理緒が叫んだ。そう、ここは宇宙空間である。重力がないのだ。それはどういうことかというと。
「フィアさん! 避けて避けて!」
「え――」
次の瞬間、砕けた岩石の半分がフィアと理緒の艦へと飛び込んでくるのだ。
フィアの瞳がまんまるに見開かれる。どういうこと? え、なんでなんで? 岩石ナンデ?
「にょわーっ、我の自慢の船が穴だらけにっ!」
元から幽霊船だから元から穴だらけであるのだが、フィアにとっては些細な問題である。
岩石が自分たちにも降り注ぐ事態に大慌てである。
「不可測演算(フカソクエンザン)、開始」
理緒のユーベルコードが輝く。
瞳の動きと脳波でコントロールされるゴーグルタイプのウェアラブルコンピュータとセカンドプロセッサを総動員し、岩石の軌道を演算する。
それは彼女でなければ為し得ない技であったことだろう。
無軌道に飛んでくる岩石の破片。
それは『新インペリウム』にも打撃を与えているが、こちらにも飛んでくるのだ。それも無数にだ。
それらの計算を一瞬で終わらせ、『ハムサ』の提供してくれた隕石群のデータと照合し、結合して他の猟兵たちにもダウンロードしてもらう。
この間、まさに一瞬である。
「た、助かった……」
ひぃひぃ自分の放ったユーベルコードで窮地に陥っていたフィアを救った理緒の機転。
確かに無人戦闘マシンの数は相当減らせたが、近づけなくなっては元も子もない。けれど、それさえも理緒は鮮やかにフォローしてみせるのだ。
「猟兵の戦いは助け合いだからね! 大丈夫、大丈夫。フォローは任せておいてよー!」
そんなふうににっこり笑顔で微笑む理緒にフィアは天使の微笑を見たのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
ハムサ様、ナビゲーション感謝致します
後はお任せください
【コード・テンペスト】を使用し『ヴィントシュトス』と合体、
戦闘機形態へ変形し宙域全域の「敵」への認識阻害ジャミングを開始します
加えて『ジャミングミサイル』で《ジャミング》粒子を撒き、
《ハッキング》及び機動力での攪乱を行い、敵の兵器想像の為の情報獲得を阻害します
その間に機体下部の対要塞砲『ノヴァ・バスター』装填、
デブリ帯に隠した独立砲台『ヴィントシュティレ』からの奇襲砲撃に合わせ
《重力属性・捕縛・体勢を崩す・継続ダメージ》の「ブラックホール弾頭」を《範囲鎧無視砲撃》で放ち、敵兵器・敵要塞・周辺デブリごとの拘束・殲滅を狙います
※アドリブ他◎です
「ハムサ様、ナビゲーション感謝致します。後はおまかせください」
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)は宇宙空間、アステロイドベルトを抜け出てから凄腕のスターライダーである『ハムサ』からのナビゲーションに感謝の意を伝える。
彼女だけでは磁気嵐と隕石群が降り注ぐ宙域を抜けることはできなかっただろう。
それはひいては猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』の目論見である『新インペリウム』の建造を食い止めることもできなかったということだ。
故に彼女は感謝する。
「いいや、君の技量があってこそだ。無茶なナビゲートだったが、頼む。あの巨大戦艦を打倒してくれ」
短い時間であったが、あの老朽化した宇宙船の船員たちとは良好なコミュニケーションが取れていたようにミレアは思えていた。
だからこそ、こんなにも力が湧いてくる。
それが非合理的であっても、非現実的であったとしても、彼女の瞳はユーベルコードに輝くのだ。
「サブユニット転送……コード・テンペスト、いきます」
サブユニットと合体し、戦闘機形態へと変形したミレアはバリアシステムを有する防衛・砲戦用拡張機能を獲得する。
彼女の機体は凄まじい速度で飛翔し、宇宙空間を矢のような速度で一気に加速し、惑星型巨大戦艦へと迫るのだ。
「――防衛ラインに猟兵。何故、今まで感知ができなかったのです」
猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』は驚愕しただろう。
彼女は巨大戦艦のコアである。対空防備や警戒ラインに猟兵が侵入したことを感知し、迎撃を行うことこそ得手とする存在である。
なのに、彼女に気取られることなくミレアは一瞬で惑星型巨大戦艦の懐に入り込んだのだ。
「これは、ジャミング……認識阻害。それに誘導攻撃……!」
「そのとおりです。貴方が無敵の兵器想像を行うのならば、そのための情報を獲得する必要がある」
ならば、それを阻害してやればいい。
そうすることで彼女が生みだす無敵の兵器は生まれ出ることはない。
「そして、それは時間を稼ぐという意味でもあります」
対要塞・大型目標用の大型ランチャーであるノヴァ・バスターが装填される。あれだけの巨大戦艦だ。装甲は分厚い。
現に数万に及ぶ装甲を猟兵達が貫くことは難航していた。ミレアのもつ大型ランチャーでも撃ち抜くことは難しかっただろう。
けれど、彼女は一人ではない。
猟兵という名の一つの目的を持った存在として、己が為すべきことを為すまでなのだ。
「ブラックホール弾頭、装填――撃ちます」
それはデブリを突破するさいに敷設していた独立砲台と共に併せた奇襲砲撃であった。
放たれた弾頭は迎撃すら間に合わせずに『新インペリウム』へと打ち込まれる。
それは周囲に浮かぶ岩石や無人戦闘マシンなどを巻き込んだ大規模殲滅砲撃。
敵が巨大であれば巨大であるほどに的は大きくなる。
そして、他の猟兵がそうしたように『ヘルメスデウス・ブレインコア』へと至るための道筋が切り開かれるのだ。
穿たれた装甲をさらにえぐるように弾頭が炸裂し、そのコアの部分を露出させとする。
「まだ、分厚い装甲が邪魔をしますか」
だが、それでも『新インペリウム』の機能の大半は損失させたことだろう。
なぜなら、『新インペリウム』は未完成状態である。そこに猟兵達の攻撃が加われば、どれだけ強力な兵器であろうと、容易く機能を回復させることなどできないだろう。
「猟兵……これが、猟兵。個として我等に勝ることはなくとも、我等を打倒する存在……」
『ヘルメスデウス・ブレインコア』は歯噛みした。
今まさに分厚い装甲を剥ぎ取られるように惑星型巨大戦艦『新インペリウム』の装甲は半壊している。
ミレアは周囲を高速で飛び回り、『新インペリウム』をこの場に釘付けにしつづけ、その役目と責務を十二分に果たすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW 諸々歓迎!
HAHAHA!
流石はハムサ殿。スペースライダーのデータは頼りになりマース!
宇宙船でバイクを借りて、ミニ・バルタン(アイテム枠)に操縦してもらって到着デース!『バルバルッ!』
さて、このビッグスケール。素早く片をつけるには、猟書家本体まで辿り着ければ良いのデスガ……。
どこかに入口があれば、ン? 惑星型巨大戦艦……?
つまり、この場所は地形のようなものでは?
ならば「六式武装展開、鉄の番!」
手ごろな外装を粉砕して、突破口を開きマース!
首尾よく内部に侵入できれば、チェインハンマーを振り回して粉砕! していきマース!
精密機械には物理が良く効きマスネー!
ブレインコアを目指して、突撃デース!
猟兵達の侵攻はまるで疾風のようであった。
疾風迅雷。
その言葉は猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』をして尚、言葉では足りぬ脅威として認識させるには十分であった。
「『新インペリウム』の数万の装甲すら役に立ちませんか……ですが、ここで『新インペリウム』を失うわけには……!」
『帝国継承軍』の旗艦として、何より猟書家『プリンセス・エメラルド』のために『ヘルメスデウス・ブレインコア』は退けない。
だが、すでに半壊した装甲から自身へと至る道筋は見えている。
それは即ち猟兵の勝利への道筋に他ならない。
「HAHAHA! 流石はハムサ殿。スターライダーのデータは頼りになりマース!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は宇宙船から宇宙バイクを借り受けて、ミニ・バルタンに操縦してもらいながら、アステロイドベルトを突き抜け、『新インペリウム』の惑星型巨大戦艦の威容の目に前に迫っていた。
「バルバルッ!」
掛け声よろしくミニ・バルタンがバルタンに敬礼する。お駄賃を渡してバルタンは巨大戦艦の威容を見上げていた。
その光景にすくむことはない。
立ち止まればそれだけスペースシップワールドに生きる人々の脅威として、オブリビオンの力は手を伸ばすだろう。
そうなっては、彼らに防衛の手段はない。
それ以外にもこの宇宙には人類の、生命に対する脅威は多いのだ。
「さて、このビッグスケール。素早く片をつけるには、猟書家本体までたどり着ければよいのデスガ……」
すでに先行した猟兵達が数万という装甲を貫いている。
入り口というのならば、穿たれたあの大穴であろう。
「……ならば、そこから突入デース! ン?」
バルタンは気がついた。何に、と問われれば彼女の認識の問題であった。
そう、惑星型巨大戦艦。
その言葉の響きだけを聞けば、それが途方も無い巨大さを誇る宇宙戦艦であることが窺い知れよう。
けれど、バルタンにとって重要であったのは、惑星ほどの大きさがあるということは、それ即ち戦艦事態が地形そのものであるということ。
ならばこそ、彼女のユーベルコードが最大限に輝くのだ。
「六式武装展開、鉄の番!」
チェインハンマーを振りかぶり、穿たれた大穴を修繕しようとする機械群を蹴散らし、バルタンは飛ぶ。
「惑星型即ち、ここ事態が星と変わらぬ地形であるというのナラバ! ワタシの出番ってわけデース!」
振り回したチェインハンマーが装甲を砕き、破片を撒き散らしながら勢いよく、猟兵達がうがった大穴をさらに広げていく。
どれだけ彼女の行軍を阻もうとも止められるものではない。
「でたらめな……! こんな馬鹿げた攻撃……!」
「でたらめでもなんでも構わないのデース! 突破口を開くためには!」
精密機械には物理が良く効くと、バルタンは笑いながらチェインハンマーを勢いよく叩きつける。
凄まじい阿修羅のような戦いぶり。
自身をして脳筋仕様の戦闘民族と言わしめた蛮行ぶりは、『ヘルメスデウス・ブレインコア』にとって、脅威そのものであった。
「突撃デース!」
誰がために。
誰かが己を必要としてくれているからこそ、バルタンは力を発揮する猟兵である。それは『ヘルメスデウス・ブレインコア』も変わらぬことであったかもしれない。
他のための存在。
けれど、それが誰かを傷つけるというのであれば、バルタンは言うのだ。
「鉄拳制裁(アイアンフィスト)デース!」
その拳が硬いのは誰かのために。
バルタンはその力を正しく使うことのできる猟兵であったことだろう。輝くユーベルコードの一撃が、惑星型巨大戦艦に壊滅的な打撃を与えながら、地鳴りを響かせるように破壊の音を轟かせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
ハムサ様ですね
遅ればせながら戦闘に参加させて頂きます
(三度目の…そして恐らく最後の相対…)
地形情報元に機械馬に騎乗し推力移動で接敵
機動兵器での迎撃に対し攻撃掻い潜り
有効打への疑念の隙突きUCで突撃
外殻突き破り内部侵入
【斯く在れかし】と造られ使命を遂行する…
【こう在らん】と騎士の道を往くと定めた私ですが、同胞(はらから)として、その忠義と献身には敵手であろうと敬意を抱いております
制御中枢本体、彼女の眼前へ
剣を掲げる礼をとり
…己でも狂っていると自覚はありますが
その姿を記憶野に焼き付けたかったのです
かの翠玉の姫君との再戦の折に、貴女の忠を伝える為に
御覚悟を
一撃浴びせ、内部迎撃機構掻い潜り離脱
惑星型巨大戦艦『新インペリウム』の攻略は多くの猟兵達が駆けつけたおかげで、疾風迅雷の如き速度で、その装甲を大きく損壊させるまでに至っていた。
だが、未だ巨大戦艦のコアである猟書家『ヘルメスデウス・ブレインコア』へと打撃を与えることは難しかった。
だからこそ、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は遅れてきたことを侘びながらも、それでも己の力が猟書家の目論見を打倒するための力となる一助になればと宇宙空間を走る。
アステロイドベルトのデータはすでにハムサから受け取っている。
「いや、こちらこそ頼む。俺たちでは猟兵に加勢ができない。けれど、援軍を彼らに届けることはできる。だから、どうか頼む……!」
トリテレイアはその想いを受けて馳せ参じるのだ。
これで『ヘルメスデウス・ブレインコア』と対峙するのは三度目である。
けれど予感が在ったのだ。
彼女と相対するのは恐らく最後であろう。それは猟兵の勘であったのかもしれない。ここで因果が断ち切られる。
その予感は正しいものであったのかもしれない。
機械馬『ロシナンテⅡ』が宇宙空間を白い装甲を星のように輝かせながら疾駆する。
トリテレイアが構えるのは、艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)である。
彼我の間合いを一瞬で詰める巨大な機械槍は『ロシナンテⅡ』の推力と併せて、まさに流星のように『新インペリウム』へと猛烈なる一撃と成って与えられるのだ。
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……御してみせましょう」
穂先から傘状のバリアが展開され、その衝撃は惑星型巨大戦艦を揺らす。
すでに先行した猟兵たちによって大穴を穿たれていた『新インペリウム』に、その猛攻を防ぐ手立てはなかったのかもしれない。
外殻である数万の装甲を打ち破り、到達してもなお、惑星型の巨大戦艦は内部から迎撃システムが異物を排除せんとトリテレイアに迫る。
しかし、穂先から展開されるバリアを前に彼を止める術などないのだ。
「『斯く在れかし』と造られ、使命を遂行する……」
「それが私の使命にして存在意義。コアたる私の宿命。であればこそ、私は猟兵を排除する。この旗艦こそが私の存在意義」
『ヘルメスデウス・ブレインコア』の声が響き渡る。
近い、とトリテレイアは感じていただろう。
数万に及ぶ装甲を此処まで打ち抜けたのはトリテレイアだけの力ではない。他の猟兵たちと共に戦うからこそ得られる力。
個として存在し続けるオブリビオンにとって、得られぬ力である。
だからこそ、トリテレイアは言うのだ。
「『こう在らん』と騎士の道を往くと定めた私ですが、同胞として、その忠義と献身には敵手であろうと敬意を抱いております」
それはトリテレイアなりの作法であったことだろう。
例え滅ぼし合うためだけの存在であったとしても、そのあり方までは否定できない。
己がウォーマシンであるからこそ生まれた考えであったのかもしれないし、他の誰かもまた同じように感じていたことなのかもしれない。
けれど、それでも討たねばならないのだ。
「……己でも狂っていると自覚はありますが、その姿を」
打ち貫いた機械槍がついに『ヘルメスデウス・ブレインコア』が座す中心部へと至る。
迎撃するシステムがトリテレイアを打つ。
けれど、トリテレイアは構うことなく剣を構え掲げる。それは騎士の礼であった。
誰もが訝しむことだろう。『ヘルメスデウス・ブレインコア』すらも理解不能であると眉根を潜めた。
「その姿を記憶野に焼き付けたかったのです。かの翠玉の姫君と再戦の折に、貴女の忠を伝える為に」
お覚悟を、とトリテレイアは小さく呟いた。
それは自己満足に過ぎないのかも知れない。誰も望んでいないのかも知れない。けれど、それでも己は『こう在らん』と決めたのだ。
それはもう揺るがない。
変えられない。
ならばこそ、トリテレイアは剣の一撃を『ヘルメスデウス・ブレインコア』へと打ち込み、迎撃システムを振り切るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【WIZ】
さてと、それじゃ本番ではあるのー。猟書家本番対決でもあるのー
とはいえ、僕等は今回は削り役じゃのー。引導を渡してくれる人がいるからのー(あるミレナリィドールを思い浮かべる)
揚陸艦ロストリンクに搭乗して参戦
ハムサの先導に任せながら進むが、邪魔になる隕石群にはUC「G線上のドクトル」で召喚したドクトル・アメジストの電脳魔術を当てていく
そこに超重力を加えていって、進路上の隕石とぶつけ合わせて破壊し、さらにヘルメスデウスの巨大戦艦に隕石流星群のように降り注がせる
それに合わせるように、回避先狙いで一斉砲撃敢行
『悪いね、ヘルメスデウス。今はこっち側なのさ』
ということで猟書家同士、潰し合ってくれのー
『帝国継承軍』とは結局の所、『プリンセス・エメラルド』のために生まれた一軍であろう。
多くの世界に彼女の配下が飛び散っていることからも、それは明らかであろう。
だからこそ、猟書家と呼ばれる幹部たちが協力体制を取っていることこそが、猟兵にとっての脅威である。
彼らが個で動くからこそ、猟兵はつけ入る隙を見いだせたのだ。
「さてと、それじゃ本番ではあるのー。猟書家本番対決でもあるのー」
とはいえ、とメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は電脳魔術を奏でるように、G線上のドクトル(グラビドン・ラボラトリー)と名付けられユーベルコードを発現させる。
その輝きはアメジスト。
紫水晶の輝きは、かつての猟書家『ドクトル・アメジスト』の電脳魔術を引き出す力である。
彼女の本領は電脳魔術に寄る工房を構築し、万能とも言える力を振るうことである。
「ちょっと人使い荒くないかい?」
『ドクトル・アメジスト』は再現体とは言え、己の子孫であるメイスンに対していつもどおりの不平不満を漏らす。
それがちょっと小うるさいと感じないわけでもないのだ。
「うるさいのー、黙って働け働けー」
散々に人様に迷惑を掛けたのだから当然であろうと、メイスンは『ドクトル・アメジスト』を小突く。
とは言え、今回メイスンは『ヘルメスデウス・ブレインコア』の力を削ぐことだけを目的としていた。
猟書家と呼ばれるオブリビオンにもそうであるように猟兵とオブリビオンには宿縁が紐付けられている。
自分にとっての『ドクトル・アメジスト』がそうであったように『ヘルメスデウス・ブレインコア』にもまた、それが『存在している』のだ。
ならばこそ、その宿縁、因果を手繰り寄せ最後の一撃を叩き込むのに十全なる状況を生みだすことこそが、メイスンの為すべきことであると思ったからだ。
「引導を渡してくれる人がいるからのー」
あるミレナリィドールのことを思い浮かべる。
彼女ならば、きっとやってくれるという信頼が在ったのかも知れない。いつだって猟兵は一人では戦い切ることができない。
個としての力がオブリビオンよりも劣るからである。
けれど、事実としてオブリビオンは滅ぼされる。メイスンはそれを識るからこそ、自分もまた誰かにそうしてもらったように、自分もそうするのだ。
揚陸艦『ロストリンク』に座し、メイスンはアステロイドベルトを突破し、召喚した『ドクトル・アメジスト』の電脳魔術を展開させる。
「本当に人使いが荒い。どうしてこんなにがさつな……言葉遣いもおかしくないかい?」
「いいから、そういうのはいいから、さっさとやれー」
電脳魔術より放たれた超重力が計算づくの隕石同士の衝突に寄って生まれた岩石に指向性をもたせ、『新インペリウム』へと打ち込む。
それは他の猟兵がそうしたように、電脳魔術に寄って計算された流星群であった。
穿たれた大穴の先の中心部に『ヘルメスデウス・ブレインコア』がいる。
「悪いね、ヘルメスデウス。今はこっち側なのさ」
『ドクトル・アメジスト』が申し訳無さの欠片もない声で言う。
彼女にとっては同僚であったのかもしれないが、そこには個としてのオブリビオンとしてのささやかなつながりしかなかったのかもしれない。
悪びれる様子もなく電脳魔術が『新インペリウム』を包み込む。それはまさに彼女の工房の中に惑星型巨大戦艦を包み込むのと同義であった。
「猟書家同士、潰し合ってくれのー」
揚陸艦『ロストリンク』の艦長席でメイスンは一斉砲撃の号令を告げる。
電脳魔術の檻に包まれた『新インペリウム』に躱す術も、防ぐ手立てもない。防衛戦を得手とする『ヘルメスデウス・ブレインコア』にとって、それはどうしようもない攻撃であったことだろう。
放たれた『ロストリンク』の砲撃は電脳魔術によって強化、増幅され、極大化した光条が『新インペリウム』の外殻を散々に溶解させ、その威容さえも見る影がないほどに打ちのめすのだ。
「さあ、後は頼むけーの!」
メイスンは叫ぶ。
道筋はすでに。
数多の猟兵達が刻み、拓き、標を付けた。因縁こそ断ち切らねばならぬ。この世界に生きる人々にとっての希望とならんことを。
その願いを受けて、一筋の光が『ロストリンク』の横を掠め、『新インペリウム』へと突入するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユエイン・リュンコイス
磁気嵐は元より、隕石もボクにとっては障害になり得ないかな?
注意事項を再確認しつつ、暗礁宙域へ突入。障害物や隕石を纏めて己の支配下へと置き、機械神へと変換しよう。
相手を射程に捉え次第、戦闘開始だ。機体相応のサイズに組み直した【月墜】で牽制しつつ、まずは距離を詰めよう。その後は大質量を活かした格闘戦で蹂躙する。
こちらもそれなりには大きいと思って居たのだけれど、流石に惑星級戦艦が相手では些か以上に見劣りするね。
とは言え、負ける気も毛頭無し。【煉獄】と【F・エンジン】を組み合わせて無尽蔵の熱量を引き出し、右手の昇華機構で跡形も無く消し飛ばす。『属性攻撃』
星ならせめて、輝きの一粒となって消えると良いさ。
磁気嵐も隕石群も、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)にとっては問題とはなり得なかった。
凄腕のスターライダーである『ハムサ』から提供されたデータ。
そして他の猟兵達が切り開いた勝利のへの道筋をユエインはしっかりと見据えていた。
そう、すでに戦いの終結点は、その白き指先が繋がる絹糸の如く撚り合わされ、より太く、強靭に紡がれていたのだ。
「アステロイドベルトを抜けた……ボクにとっては障害となりえない」
その瞳がユーベルコードに輝いている。
因果を、宿命をくだけと叫ぶものが彼女の心のなかにあったのかもしれない。
そのユーベルコードの名は。
――黒鐡の機械神(デウス・エクス・マキナ)。
見よ、その威容を。
本逆の祈り、昇華の鉄拳。塔の頂より眺むる者へと告げるは、破神の剣がユエインの手に在るという純然たる事実。
アステロイドベルトに点在する障害物、デブリや隕石をまとめて彼女の紡ぐユーベルコードの絹糸が束ね、より合わせて顕現するは、50メートル級の機械神である。
その黒き機械神は咆哮する。
炉心が燃える。
ユエインの紡ぐ絹糸が無機物を撚り合わせ、携行砲へと変化させていく。取り回しは劣悪であるが、的が惑星サイズともあればもはや狙いをつけるまでもない。
自動装填装置によって装填された弾丸が放たれ、あらゆる障害を打ち貫いて、『新インペリウム』に穿たれた大穴をさらに押し広げる。
「他の猟兵達が開いてくれた道筋。それを無駄にはしない」
巨大なる機械神であっても、眼前に座すのは惑星型巨大戦艦である。その威容は50m級であっても見劣りするほどであったが、ユエインは怯むことなど必要としなかった。
「負ける気も毛頭なし」
その瞳が輝く。
「これだけの巨大さを目の前にしても怯むことはありませんか。猟兵。ほとほとに呆れ返るほどに大局を見ない。宇宙こそ『プリンセス・エメラルド』によって統治されなければならない」
何故、それがわからないのかと『ヘルメスデウス・ブレインコア』が告げる。
その言葉にユエインは少しも動じなかったことだろう。
なぜなら、オブリビオンは世界を滅ぼす。
そこにスペースシップワールドに生きる人々の安寧があるとは思えない。あるのは隷属と支配だけだ。
「だからどうした。統治などなくても、人々は生きている。誰も彼もが希望を夢見ている。統治者を気取るというのならば、その輝きを見せてみろ」
ユエインは機械神の大型魔力炉であるファウスト・エンジンに日を灯す。内部時間を加速させ、無尽蔵に組み上げられた魔力が機械神から発露し、その凄まじき赫灼たる炎熱を宇宙空間のほとばしらせる。
誰もが願っている。
幸せを、希望を、新天地を。
それを阻むのが『帝国継承軍』であるのならば、それを振り払うのが己である。己に課せられた宿命である。
紡がれた糸のようにつながった『ヘルメスデウス・ブレインコア』と己の宿命。
断ち切らんとするは、七代永海筆頭八本刀が六。
「銘を閃輝焔刃『煉獄・赫』と言う」
意志の力を熱量に変換する打刀は、宇宙空間を焦がし分断する。
無尽蔵に組み上げれた魔力を得て、意志のちからがユーベルコードに輝く。その極大なる刀身の輝きは、正しく極星の如き輝き。
「そんな、それほどの熱量に何故、機体が持つのです。己を焼くほどの熱量を何故制御できるのです」
『ヘルメスデウス・ブレインコア』は理解が及ばなかったことだろう。
彼女にとって、防衛こそが得手である。
敵対する者たちの情報を正しく読み取り、対処する。だからこそ、これまで密やかに『新インペリウム』の建造を為してきたのだ。
そこには猟兵に対する侮りもなければ、過大評価もなかった。
正しく分析していたはずだ。彼らの戦力では『新インペリウム』に損壊をもたらすことができても。
「私までを滅ぼすことはできないはず――」
「誰が限界を決めた。ボクの限界はボクが決める」
無尽蔵に引き上げられた熱量が宇宙開闢にも似たビックバンの如き熱量を爆縮したように黒鐡の機械神の右手の昇華機構から放たれる。
その焔閃は一瞬の煌めき。
煌く星のごとき一撃は、偽りの星を撃ち落とす。
まるで存在などしていなかったように。絶命の瞬間も、宿命が断ち切られた瞬間も、全てが焔閃の彼方に吹き飛んでいく。
ユエインはオーバーロードを起こした機械神の中でつぶやく。
此処に一つの宿命が因果の彼方へと旅立つ。
「星ならせめて」
そう、せめて。
願いを、祈りを込めるようにユエインはつぶやく。
「輝きの一粒となって消えると良いさ」
いつかまた星の輝の一つとなるのならば。今度こそ、誰かのための輝きであるようにと、振るわれた昇華の拳を突き上げるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年04月15日
宿敵
『ヘルメスデウス・ブレインコア』
を撃破!
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