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【猟】歌姫の仕事は歌です。

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #栄華と破滅の歌姫 #スターライダー

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●惚れたら負けよ、お兄さん
 スペースシップワールドのとある宙域にて、交易用宇宙船が飛んでいる。
 最近では侵略などが酷くなって危険がより大きくなってしまい、宇宙航海もあまりオススメされないのだが……それでも広大な宇宙で人々が生きるためには、交易は不可欠なために宇宙船は船から船を移動していた。

「次の船は……と」

 操縦士が次の船を探索し、行き先を入力して宇宙船を走らせる。
 次の船がある宙域に行くまでは比較的平和な宙域のため、操縦士も副操縦士も大きな危険は無いはずだと目測を立てていた。

 しかし操縦士が操縦桿を握り前を向いたその瞬間、積載の違和感に気づく。
 そう、それはまるで……『荷物』が全て後ろに、走っていったかのような……。

「……おかしいな……作業員達、何かしてるのか……?」
「ん、なら俺が様子を見てこようか?」
「頼めるかい? 一応自動操縦に切り替えておくから……」

 操縦士が頼み込みながら自動操縦に切り替えた、その瞬間。
 コクピットに何やら軽快な音楽が辺り一面から聞こえてきては、2人の操縦士の耳に入る。
 それと同時に彼らの頭の中がぐるぐるとかき混ぜられて、感情やら何やらが全てがまぜこぜになって……気づけば、2人はフラフラと後方の作業場へと歩き出していた。

 操縦士2人がフラフラと歩く様子を、運び屋・スターライダーのクラウスが鼻歌交じりで見つける。
 相棒である宇宙バイクには荷物がくくりつけられており、操縦士達にも荷物があるからとバイクを止めて取り出し、渡そうとする。

「はいこれ。こないだ頼まれてた荷物。遅くなっちまってゴメンな?」
「…………。」

 操縦士達はクラウスの言葉に反応することなく、荷物を受け取らないままそのまま作業場へと歩いていく。
 その様子に、彼らの身に何かあったに違いない……と、事件性に気づいたクラウスは相棒の宇宙バイクと共に再び船内を走り出した。

 何かに洗脳されている様子の操縦士達は、フラフラと後方の作業場―――否、栄華と破滅の歌姫が作り上げたコンサート会場という名前の労働現場へと足を踏み込む……。

●今宵はパーリーナイ?
「スペースシップワールドに新しい猟書家が出たみたいだ!」
 集めた猟兵達に説明を開始した火影・サイト(《無邪気な歌声》[イノセント・シンガー]・f29997)は、簡潔ながらにも予知の内容を伝える。

 新たに発見された猟書家・栄華と破滅の歌姫。その歌声を聞いた者は洗脳されてしまい労働力として働かされるという、宇宙領域であるスペースシップワールドでは多大な損害が出そうな力を持つ。
 真空空間にも歌声を届けることが出来るという力は対策方法が確立されておらず、サイト自身でも影響を受けない方法を見つけることは出来なかったそうだ。

「ただなあ……俺が見た予知の中では、運送屋のスターライダーがその力の影響を受けてなかったんだ。もしかしたら彼に話を聞いてみたら、なにかわかるかもしれない」

 スターライダーは宇宙船の中でバイクを乗り回しており、積載荷物の移動を宇宙バイクで行っている様子。彼に事情を話せば、何かの手がかりが得られるかもしれないだろうというのがサイトの見解だ。
 なお、栄華と破滅の歌姫の討伐については同じ宇宙船で行われる事が予測されるため、万全を期しての調査をとも伝えられる。

「洗脳音楽の打破、及び猟書家『栄華と破滅の歌姫』の討伐。以上2つ、よろしくお願いします!」

 要点を話し終えたサイト、丁寧な挨拶とともに猟兵達を戦場へと送り出す。

 ―――音楽が全てをかき乱す戦場へ!


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 幕間タイトル、知ってる人いるかな……?

 こちらのシナリオは2章構成となっております。
 プレイングボーナスは「スターライダーと協力する」ことです。

●注意事項
 4/13 8:31~ 受付開始となります。
 受付日以前のプレイングは全てお返ししますのでご了承ください。
 また、MSページに変更が出ていますので今一度ご確認をお願いします。

●クラウスについて
 交易用宇宙船で働いているスターライダーです。
 いつも鼻歌交じりで宇宙バイクを乗り回し、船員達に荷物を届けています。
 戦いの際にはバイクを乗り回して手伝ってくれます。

●第一章:冒険シナリオ
 洗脳音楽を打ち破るシナリオです。
 オープニングには示唆されていますが、話を聞く、猟兵自身が見つけるという内容でのお返しになります。
 なのでこちらのシナリオでは非常にアドリブが多くなります。

●第二章:ボス戦シナリオ
 猟書家「栄華と破滅の歌姫」との戦いです。
 コンサート会場……もとい、宇宙船の作業場で戦うことになります。
 その他詳しいことは二章開始時の断章にて。

 皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
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第1章 冒険 『洗脳音楽を破れ』

POW   :    洗脳音楽に耐える手段を探す/スターライダーに熱意を持って協力を求める

SPD   :    洗脳音楽の影響を避ける手段を探す/スターライダーと一緒に調査に出向く

WIZ   :    洗脳音楽の情報を集める/スターライダーの体験談からヒントを見出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

岩倉・鈴音
鼻歌がカギかっ
ふんふんふん♪ン~フッフッフ。
ハミングしながらスターライダーに尋ねよう。
「鼻歌歌ってるときは周囲の雑音聴こえなかったりしますぅ?」
歌対策には耳栓とか大声の歌だな。
作業場にいくにつれて敵の歌も激しくなるだろうがMAX美声でソウルフルに歌って対抗しようじゃないか。
邪魔するやつは神でも仏でも大喝でしばくっ
「アタシの歌を聞けぇー!」



●ふんふんふ~ん♪
 交易用宇宙船にて事件が起きていると聞いてやってきたのは、岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)。奇妙な音楽が頭の中に流れて来るのと同時に、ぐちゃぐちゃにかき混ぜられる感じに身体が少しふらつく。
 そこへ宇宙バイクに乗ったスターライダー・クラウスがやってきた。彼は鼻歌を歌いながら鈴音の前を通り過ぎたが、彼女がふらついているのを見て止まってくれた。
「どうした、お嬢ちゃん。頭痛ぇのか?」
 彼の様子が普通であることに気づいた鈴音は、なんでだろう、と頭の中で考えた。
 クラウスの様子と出会う直前の行動を重ね合わせ、考えに考える。そして、辿り着いたのは……。
「……鼻歌がカギか!」
 そういえば鼻歌歌ってたな! と思い出した鈴音は軽くハミング。その様子に首を傾げるクラウスだったが、鈴音の状態がハミングしていくうちに良くなっていることに気づいた。
 どうやら、鼻歌や歌を歌うことで奇妙な音楽が頭の中に流れてくることはなく、精神的にも安定してくるようだ。そこでクラウスに質問をしてみる鈴音。もちろん、合間合間にハミングするのを忘れずに。
「あのー、もしかして鼻歌歌ってる時は周囲の雑音聴こえなかったりしますぅ?」
「ん? そういや、なんか変なの聞こえるけど……鼻歌歌いながら配送やってると全然聴こえねーな。嬢ちゃん、なんか知ってるのか?」
「んんー、知ってるといえば知ってますが……あ、作業場って何処ですー?」
「あっちの方。よかったら連れて行ってやろうか? 通りすがりだし」
 クラウスのお言葉に甘えようと思ったが、対策なしに作業場へ行くのはいかがなものかと考えた鈴音。今の地点でも相当に頭の中をかき乱す歌声は作業場へと近づけば近づくほど威力が大きくなっているはずだから、対策なしに突っ込めばこちらもやられてしまうのではないか、と。
 考えた末、鈴音はひらめく。『じゃあ対抗で自分の美声コンサート開いちゃえばいいのでは?』
 それならやることは唯一つだと、鈴音はキョロキョロとあたりを見渡してクラウスに聞いてみる。
「……ワタシが歌ってるところをバイクで運んでもらうとか出来ます?」
「お? なんだ、荷物になるのかい?」
「ええと、そういうことじゃなくてですね……」
 クラウスに丁寧に説明すると、彼はかなりノッてくれた。なんならセッティングもしてくれて、スピーカーも完備してくれた。マイクを通して自分の声を張り上げてみれば、相応の音量が響いたため、これなら! と鈴音は喜ぶ。
 そしてプチコンサート会場はクラウスのバイクと共に走り出し、大音量の美声をスピーカーで撒き散らす。その音量は作業場から聞こえる歌を弾き返し、そのおかげでクラウスも無事のようだ。
「―――アタシの歌を聞けェーー!!」
 作業場に突入した美声な歌声は、配達員クラウスによって届けられたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユキ・コシイ
【洗脳音楽だってよナノ山さん!】
『ホント怖いねテレ彦くん』
…わたしが言えたフシではないけど
誰彼構わず聞かせる迷惑行為は困りもの…

という訳で、わたしはわたしなりの手段で
まず手近な船員さんを探し、遮音ヘッドフォンを被せてメディカルドローンを展開、回復してあげます
…ハロー、船員さん。調子はいかが…?
ちょっと…船の放送設備どこにあるか教えてくれないかな、あと詳しい使い方も
これから今船内に流れている歌…この構造を解析し、別の歌をぶつけます。音は波動、波をぶつければ…消えてしまう
放送を流し、対消滅させれば…艦内の人員や猟兵への被害を軽減し…動き回りやすくなるでしょう。
協力…お願いできるかしら?



●歌には歌で!
『洗脳音楽だってよ、ナノ山さん!』
『ホント怖いね、テレ彦くん』
 腹話術のナノ山さんとテレ彦くんで喋りながら交易用宇宙船を歩くユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)。誰彼構わずに聞かせる音楽は迷惑行為そのものと考える彼女は、どう動いたものかとナノ山さんとテレ彦くんを交えつつ考える。
 丁度その時、宇宙バイクで船内配達をしているスターライダーのクラウスが通りかかる。彼は洗脳音楽の影響を受けていない様子だが、このままではいつ洗脳されてもおかしくない! と焦ったユキはクラウスを引き止め、遮音ヘッドフォンをかぶせた後にユーベルコード『メディカルドローンシステムver.9.0』を展開。念の為に治療を施した。
「お、おお??」
「ハロー、船員さん。調子はいかが……?」
「調子も何も……俺は元から大丈夫だぞ……??」
 一体何故こんなことをされたのだ? という表情のクラウス。現状をあまり把握できていない彼に対し、ユキは今現在この交易用宇宙船で起こっていることを適度に腹話術を交えながらも説明する。それ故に起こした行動なのだと。
「なるほどねぇ。で、嬢ちゃんはこの状況をなんとかしに来たと」
「そうだよ。……あ、ちょっと、船の放送設備って何処にあるか教えてくれないかな」
「放送設備? ああ、だったら俺が連れてってやるぜ?」
「じゃあ、お願い。あ、あと、詳しい使い方も」
「んんっ。詳しい使い方までは俺は流石にわかんねえから、勘で使ってくれ」
 そう言ってクラウスはユキを宇宙バイクに乗せて、放送設備のある施設へと運んだ。設備の使い方までは運び屋である彼は全く知らず、中につれてきても首を傾げたままだった。
 ユキはバーチャルキャラクターとしてのAI機能をフル活用し、これまでの勘と経験で設備の使用方法を割り出す。多少の手間や誤動作はあったが、問題なく船内の放送設備を起動させることに成功した。
「これで別の歌をぶつけて、対消滅させれば……!」
 設備の音量を大きくし、ユキの準備した歌は放送設備を通して船内へ届けられる。爆音の中で鳴り響く歌は作業場以外では除去されたようだが、元凶となる作業場ではどうやら流している本人を叩く以外に解除方法がないようだ。
『どうやら本体を倒さなきゃいけないみたいだね、ナノ山さん!』
『じゃあこのまま倒しにいくしかないね、テレ彦くん!』
 腹話術で状況を把握しながら、ユキは放送設備の動作をそのままにして施設を出る。その後、クラウスに話を聞いて作業場の位置を聞き出してから準備を整えるのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

サオササ・テセル
新手の猟書家の対策、承りました』
メッセージボードでサイトさんに応答した後スターライダーと合流して調査に入る
SPD判定:できれば誰かと合同で依頼に挑戦希望
【念動力】で【空中浮遊】する【偵察】用武装で向かう先をしっかり見極めながら考える
【狂気耐性】か【環境耐性】が有効ならいいけど洗脳とかは命が危険
慎重に対策を調査しないと
コクピットの状況(主に自動操縦モード)も危ないかもしれないから確認に行くべきかな

音を遮断する方法や歌の無力化を【情報収集】【世界知識】で調べられればいいけど耳栓とか…イヤホンってどこかにあるかな
他プレイヤーとの合同希望


クネウス・ウィギンシティ
※アドリブ&絡み歓迎
「交易船を狙うとは、卑劣な」

【SPD(UCなし)】洗脳音楽の影響を避ける手段を探す/スターライダーと一緒に調査に出向く

●調査
 久しぶりにスペースシップワールドに帰ったので、『クロムキャバリア』で荷下ろしのバイトをしていたらこんなことになるとは。
 25番目の長距離移民船団の曲を聞きつつ調査に取り掛かります。
「無事な人でも探しますか」

『サーチドローン』で洗脳されたであろうバイトの同僚の身体情報を調査(【情報収集】)、後は無事な人との差異が分かれば原因が推測出来るでしょう。



●調査と対策を。
 奇妙な音楽が鳴り響く宇宙船。中にいる間は音楽の強弱が耳障りになり、頭の中がグルグルとかき混ぜられてしまう不快感が漂う。
「……交易船を狙うとは、卑劣な」
 そんな中で交易用宇宙船に入り込んだクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は、周囲の様子を伺う。彼は元々クロムキャバリアで荷降ろしのバイトをしていたのだが、時間が出来て久しぶりにスペースシップワールドに帰ったらこんな事になってしまっていたため、調査に乗り出した。
「……おや、あれは……」
 彼の目に、なにやら『ココ! ↓』と書かれた白いボードを発見する。誰かがいるのだろうかとそっと近づくと、そこにいたのはサオササ・テセル(虚欠片の機精・f15384)。
 サオササは基本的に無口なため、メッセージボードを使っての会話を行っているのだが、同行者が欲しかったのもあって自分の位置を知らせるメッセージボードを作り、猟兵らしき人に向けていたのだ。
「よかった、そちらも無事のようですね」
『新手の猟書家の対策と聞いて、やってきました。すぐにスターライダーの方との合流をしたほうが良いと思います』
「そうですね。同時に、無事な人も一緒に探しましょう」
 敵がいないことを確認し、クネウスはサーチ用ドローン『RSーF自動哨戒型飛行ドローン:D6ID』を起動させ、船内データの収集と無事な人とそうでない人の調査をメインに行わせる。
 そんな通路のど真ん中で奇妙な動作をしている2人組に気づいたのか、宇宙バイクが1台近づいてくる。彼は鼻歌を歌っていた最中だが、通り過ぎる間際になってクネウスとサオササに気づいたため、ほんの少し通り過ぎてから止まり、降りてきた。
 当然その彼はスターライダーのクラウス。グリモア猟兵が言っていた、無事な船員の1人だ。
「おいおい、作業サボってんのか?」
『あなたは……?』
「ん? もしかして別の船の人だった? えーっと、俺ァこの船の内部で運び屋やってるんだけど」
「運び屋……。すみません、ちょっと失礼します」
『気分とか悪くないですか?』
「お? おお、なんともないけど……」
 これから一緒に調査を行ってもらうため、サオササは念入りにクラウスの身体調査と聞き取りを、クネウスは彼の身体に異常がないか、また異常がある人との違いについてデータを採取する。
 クラウスの身体には全く異常がない。それどころか、途切れ途切れに音楽が聞こえていて邪魔でしかないと彼が証言したことから、何かをしたから異常がないという判断に至り……そして、彼が時々鼻歌を歌っていることに気づく。
『鼻歌、お好きですか?』
「ん? ああ、歌ってると気分紛れるから、仕事にも精が出るんだ。気に触ったか?」
「もしかして、ここに来る間も歌ってましたか?」
「おお、歌ってた歌ってた」
「ということは……」
 クネウスは手持ちの音楽の中から『25番目の長距離移民船団の曲』を取り出してイヤホンで聞いてみる。不思議なことに、曲を聞いている間は船内に流れる曲が耳に入ってこず、先程までグルグルとした脳内がスッキリとしてきた。どうやら歌を歌で消すことが鍵になっている様子だ。
 一度イヤホンを外し、自身への影響も計ってみるクネウス。同時にサオササにも情報を共有を行い、先程飛ばしたドローンに新たな情報を入力して、調査事項を更に増やした。
「サオササさん、どうやら歌を聞いたり歌ったりすると、敵の曲が阻害されるようですよ」
『本当? じゃあ、私も……って、イヤホン、あるかな……?』
「そういや荷物の中に返品のイヤホンがあったな。それ使うか?」
『じゃあ、それを』
 クラウスからイヤホンを受け取り、適当な音楽を鳴らして耳に入れてみるサオササ。狂気耐性で耐えていたとはいえ、同じようにグルグルとしていた脳内は音楽を聞くと同時にスッキリと洗い流され、洗脳音楽の影響を受けなくなってきた。
『これなら調査出来そう。……このまま、コクピットの調査を行いたいのだけど』
「そういえば、今はどうなってるのでしょう? ……気になりますし、私も同行します。道中の方々の調査も忘れないようにはしますが」
『それなら、クラウスに案内してもらおう』
「おっ、良いぜ。っつっても荷物多いから、走ってもらうことになるけど」
「構いません。道さえ教えて頂ければ良いので」
 ならついてきな、とクラウスは宇宙バイクに乗り込んでコクピットへ走る。サオササが念動力で空中浮遊する偵察用の武装を装着した後、案内された道が本当に安全かどうかを見極めながら3人で進んだ。
 いくつかの道は作業場から流れ込む大音量の音楽が鳴り響いていたため、サオササが直前で彼らを引き止めて別の道を進んだ。クネウスのドローンが船内のデータを集めていたため、影響度の少ない道を探すことは容易だった。

 3人が辿り着いたとき、コクピットにも同じような音楽が流れ込んでいた。船内放送を聞くためのスピーカーから聴こえているようだ。
 そして本来いるはずの操縦士達はおらず、自動操縦のままでこの宇宙船は空間を走っている状態。操縦士が戻ってくることを祈るが、おそらく戻ってこないとサオササもクネウスも判断する。
『やっぱり、音を断つには元凶を倒さなくちゃダメかな?』
「そうですね。人々を歌わせ続けるにも限界が来ますし、やはり元を断つのが一番でしょう」
『でも、一応コクピットを大丈夫なようにしておかなくちゃ』
「となれば、スピーカーの音量調節がどこかにあるはずですが……」
 操縦士がいないとはいえ、もし戻ってきたときに音楽が流れていては危険だ。サオササとクネウスはコクピットの自動操縦に問題がないかを確認した後、スピーカーの音量を切って周囲を機械音だけに変更させる。
 なお、もし仮に操縦士が帰ってきたときの状況説明が大変なので、彼らが元凶の元へ向かう前にサオササがメッセージボードに丁寧なお詫びとコクピットで弄った部分を記しておいたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『栄華と破滅の歌姫』

POW   :    さあ願うのです、帝国による再統一を
【民衆の知る有名な歌姫そっくりな姿 】に変形し、自身の【四肢】を代償に、自身の【帝国復活を願い行動するよう洗脳する歌声】を強化する。
SPD   :    銀河再統一を果たせるのは帝国だけです
【銀河帝国による銀河再統一を願う歌 】を披露した指定の全対象に【帝国継承軍を支持し帝国の復活を願う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    抵抗する者は死し、賛同する者は生き残るでしょう
自身が【敵を蹂躙し味方を称賛する歌を歌って 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【抗う心を砕き死に導く言葉】によるダメージか【従順な心を育み栄光へと導く言葉】による治癒を与え続ける。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠森宮・陽太です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 荷物を仕分けするためにベルトコンベアが溢れる作業場。
 しかし今はベルトコンベアは止まり、作業員達は歌姫を崇めている。

 美しい歌を歌う歌姫。心を癒やしてくれる歌姫。
 辛い気分を吹き飛ばす歌姫。仕事の疲れを癒やしてくれる歌姫。
 私達の暗い気分を全て無くしてくれる心優しい歌姫。

 ああ、歌姫は美しい。彼女に身も心も捧げよう。
 彼女は帝国継承軍に従えと言葉を囁く。

 帝国継承軍は素晴らしい。帝国継承軍は素晴らしい。
 歌姫に従えば、こんな環境よりも素晴らしい環境にたどり着ける!

「……ふふ」

 猟書家・栄華と破滅の歌姫の歌を聞いた者達は、皆同じ考えに辿り着く。
 それもそのはず。歌姫は帝国継承軍の新たな労働力として、この宇宙船の従業員達を従わせたのだから。

 残る数人を従わせれば、この船での彼女の働きは終わる。
 それよりも前に、歌姫を討伐しなくては……。

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 プレイング受付:4/21 8:31~
 プレイングボーナス:スターライダーと協力する。

 『栄華と破滅の歌姫』との戦いです。
 場所は宇宙船の作業場……ベルトコンベアで荷物の仕分けをする場所です。
 かなり広く、荷物を仕分け終えたボックスやコンテナなども多数存在しています。
 更には動いていないベルトコンベアが縦横無尽に存在しているため、あまり視界は良好とは言えません。
 なお電源は通っているため、ベルトコンベアを動かすことも出来ます。

 クラウスは宇宙バイクを乗り回してそのまま突撃したり熱線銃で攻撃したりします。
 ベルトコンベアの上でも平気で走り回りますし、少しの間なら空中に浮いたりも出来ます。

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クネウス・ウィギンシティ
※アドリブ&絡み歓迎
「システム:戦闘モード」

【SPD】

●準備
『クロムキャバリア』に搭乗。
機体のスピーカーから軍歌を流し、先程『サーチドローン』を先行させ地形【情報収集】を行います。

●UC対策
「滅ぼした当事者故、何度甦ろうと銀河帝国は滅ぼします」
敵対する軍人故、心は震えません。

●戦闘
「GEAR:VACUUM ARC。チャンバー内圧力低下確認、投射!」
UC詠唱、強化した機体肩の『レールガン』を地形(ベルトコンベア)を無視して敵へ【砲撃】(【貫通攻撃】)。

「今です」
砲撃でこじ開けた直線、クラウスさんに突っ込んで貰います。
「コイツもオマケです」
援護代わりに肩の『ミサイルポッド』から熱【誘導弾】を発射。


サオササ・テセル
SPD勝負:クラウスさんの他に猟兵さんとの合同リプレイ希望
お粗末なコンサートホール」
ポツリと言った後【地形の利用】【情報収集】で位置取りをした後歌の妨害及び排除を文字通り敢行する

【爆撃】の騒音や【属性攻撃】で音波みたいな属性による攻撃を主体に
【念動力】【空中戦】【空中浮遊】等も駆使してクラウスさんと乗るバイクを軌道支援しながら子機による包囲攻撃【弾幕】【範囲攻撃】をてんかいし
【スナイパー】を本命にして敵を追い詰める

借り物の体を使うのはいいけど
それで何もかもに虚無をもたらす兵への洗脳は絶対させない



●何度やってきたとしても。
 交易船の作業場。
 ベルトコンベアは止まり、作業員達は全員猟書家・栄華と破滅の歌姫の歌声によって洗脳が施され、作業どころか銀河帝国の復活を願う感情を植え付けられて狂い始めていた。
 そんな中、クネウスとサオササの2名はこっそりとその様子を眺めている。どうやら歌姫の歌は音楽を奏でて音を相殺したりする等、音を聞かなければ洗脳が施されることはない様子。2名は歌を聞かないように、それぞれが対抗策を取っていた。
「……お粗末な、コンサートホール」
「ええ。……何度蘇ろうとも、銀河帝国は滅ぼさなくては」
 歌姫は相変わらず、歌を披露し続けている。有象無象の作業員を手に入れたこともあってか、その悦びを歌に乗せている……といったところだろう。
 クネウスはすぐにRSーF自動哨戒型飛行ドローン:D6IDを配備し、サオササは軽く走り回って情報収集を行いベルトコンベアの位置を把握。地形の掌握をすぐに抑えることに成功した。
 そして彼らはこの交易船の配達員・クラウスにも手伝ってもらうことにする。船が危機に陥っているという話を聞いて、彼自身もどうにかしたいと考えていたそうだ。
『クラウスさんにはバイクで走り回ってもらう、でいいんでしょうか』
「そうですね。私達で道を切り開き、走り回ってもらってあの歌姫に突撃してもらうことにしましょう」
「お、じゃあ俺は相棒で走り回ってりゃいいんだな?」
『はい。こちらで軌道支援しますので、いつものように走り回ってください』
「ははっ、任せておけ!」
「それでは……行動を、開始しましょう」
 クネウスの言葉と同時に、3人は慎重に作業場へと入った。


「さあ、讃えなさい! 我らが銀河帝国を!」
「「「帝国、ばんざーい!!」」」
「さあ、讃えなさい! 我ら帝国継承軍!!」
「「「帝国、ばんざーい!!」」」
 歌姫の歌が響き渡る。
 普通に聞けばただのうるさい騒音でしかないはずなのに、不思議と耳障りだとは思わなくなる。
 ……というのも、歌姫の力によって認識が全て捻じ曲げられているからであって、力の影響さえ受けなければ、やはりただのうるさい騒音だ。

「お粗末すぎて、本当にただの騒音ね」
 サオササはベルトコンベア上を走り、サイコ・スフィア・ビット・クリエイターを用いて爆撃道具を作り出して一気に周囲にばら撒き、爆撃音で音楽を聴こえないように阻止する。
「良い音楽とも、言い難い」
 クネウスは呼び寄せたクロムキャバリア・アルゲスに搭乗し、その機体に搭載されたスピーカーから軍歌を流して音楽を妨害する。
 2つの音は歌姫の歌を遮り、周囲で歌姫に酔いしれていた従業員達の洗脳を解き放つ。長い間聞かされていた者達にはまだ深い催眠がかかっているようだが、それでも大半の従業員達はこの戦場を脱することに成功した。
 次々と脱出してゆく従業員達を冷ややかに見つめる歌姫は、爆撃と軍歌の元が猟兵―――クネウスとサオササであることに気づくや、次はお前たちだと言わんばかりに歌を披露しはじめる。
「さあ、さあ、さあ! お前達も同じように、我らの礎となれ!!」
 大きく、今流れている軍歌や爆発音よりも大きな音をかき鳴らす歌姫。無理矢理にでも3人を従えさせようと、銀河帝国による銀河再統一を願う歌を披露する。
 歌姫の歌に爆撃と軍歌で抵抗しつつ、サオササは念動力と空中浮遊を駆使してクラウスのバイクの軌道を支援。そこへクラウスがユーベルコード『VACUUM ARC』を起動させ、サオササに指示を出した。
「一直線に道を作ります。彼に被弾しないように、ご注意を」
『了解。作られたらすぐにそちらへ移動させます』
 軽い通信の後、サオササ自身とクラウスのバイクが高く飛び上がったことを確認。機械アナウンスと同時に、強化した機械肩のレールガン・RS-Sサルンガを歌姫に向ける。

 ―――《GEAR:VACUUM ARC。チャンバー内圧力低下、圧力ゼロ確認》
「真空アークレールガン、発射!」
 真っ直ぐに伸びた砲撃は、曲がることなく歌姫へと走る。ベルトコンベアも荷物も、何もかもを吹き飛ばして一直線の道を作り上げて歌姫に痛手を負わせた。
 道が作られると同時にサオササがクラウスに合図を出し、一直線の道を走らせる。宇宙バイクが真っ直ぐ走るのを邪魔しようと歌姫は歌い続けるが、それをサオササのスナイパー能力が邪魔をする。
「くっ……!!」
 クネウスが作り出した一直線の道は、クラウスの宇宙バイクが走りやすくなるだけではなく、2人の補助砲撃が行いやすくもなっていた。
「今です!」
 走り出す宇宙バイクと共に、援護代わりとしてミサイルポッドから熱誘導弾を発射するクネウス。その弾道の行き先でクラウスの進行を阻むことなく、歌姫の歌を阻害するように音を連続して発生。続くサオササの子機による弾幕包囲攻撃と組み合わせて、絶え間ない音の波を作り出す。
「……借り物の体を使うのは良いけれど。それで何もかもに虚無をもたらす、兵への洗脳は絶対させない……!」
 歌わせないようにサイコ・スフィア・スナイプ・レールガンで歌姫を撃ち抜き続けるサオササに、クラウスはタイミングを合わせて歌姫に飛びかかる。


 サオササのスナイパー能力、クネウスの熱誘導弾、どちらもクラウスが宇宙バイクで歌姫を蹴飛ばしたその瞬間にもう一度射出され、大きく爆ぜて歌姫の身体を吹き飛ばす。
 その様子はまるでショーの一環だったと、後に運び屋は語っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユキ・コシイ
『マズいよ!もうほぼ全員あいつのファンになってるような状態だよ!』
【どうするんだいユキ、歌で対抗するかい?】
…ええ。相手の心を揺さぶる歌は…オブリビオンの専売特許ではないもの
私は「悲哀と郷愁のポップス」で対抗…あなたの心、奪わせてもらう。
そして接敵したら、「サウンドデバイス・ハルフゥ」の光剣で一気に切り込む…!

で…スターライダーの人、ちょっと私も…バイクの後ろに乗せてくれない?
この複雑な構造の作業場において…一刻も早く接敵するには、あなたの足が必要。
それに、敵の歌に惑わされぬよう完全防音しちゃうので…周囲の状況が視覚以外で把握できない。
あなたの操縦が頼りよ…お願いできるかしら…?



●あなただけが頼り。
『マズイよ! もうほぼ全員、あいつのファンになってるような状態だよ!』
『どうするんだい、ユキ。歌で対抗するかい?』
「…………」
 ナノ山さんとテレ彦くんと会話をしつつ、状況を確認するユキ。歌姫は多少ボロボロにはなっているが、それでも歌をやめようとはせず、従業員達に深い狂気と洗脳を与え続けている。
 歌を使って洗脳を施し続けるという所業は、サウンドソルジャーとしてその行いを許すことは出来ない。テレ彦くんの言葉に、ユキは力強い言葉で返答した。
「ええ。相手の心を揺さぶる歌は……オブリビオンの専売特許ではないもの!」
『さすが! それでこそユキだ!』
『それじゃあ、準備しなくちゃね』
 歌姫に気づかれて自分に歌を届けられる前に、こちらから歌を発して相殺させなければ狂わされるのが目に見えている。そこでユキは様々なサウンドデバイスを準備してユーベルコード『悲哀と郷愁のポップス』を発動させ、周囲に悲哀や哀愁といった切なさを感じさせる歌を流しはじめた。
 歌と歌がぶつかることで、栄華と破滅の歌姫の歌を無力化出来るのは先の調査でも確認済みだ。故に、複数のサウンドデバイスで歌を流しておきながら、ユキ本人はクラウスのバイクを使って歌姫に接近することを考えていた。
「俺のバイクにか?」
「はい。……この複雑な構造の作業場において、一刻も早く接近するには……あなたの足、その宇宙バイクが必要」
「なるほどね。確かにここは広いし、ベルトコンベアが厄介だ」
「それに……敵の歌に惑わされないように、私は完全防音しちゃうので……周囲の状況が視覚以外で把握できないの。……お願い、できるかしら……?」
「それなら確かに、俺の相棒の出番だな! 乗りな、すぐに連れてってやる!」
 周囲の音を全て遮断するためにアスプ・ヘッドフォンを装着し、クラウスの宇宙バイクに乗り込んだユキ。片手に護身用のハンドマイク『サウンドデバイス・ハルフゥ』を構える。
 運び屋のバイクがエンジン音を高く鳴らせば、一瞬のうちに一気に重力が襲いかかり……その速度は、瞬きの間に歌姫の真正面へとたどり着き、ベルトコンベアを踏み台に高く飛び上がる。
「お届け物、いっちょう!!」
 高く飛び上がった宇宙バイクは歌姫の真上を通り過ぎ、ユキという荷物をお届けに上がる。ユキはサウンドデバイス・ハルフゥから伸びた光剣を振り下ろし、歌姫への一撃を与えた!
「くっ……!!」
 歌姫は歌を歌い続けながらも、ユキが振るう光剣を無理矢理に弾く。焼けただれたその手は黒く染まっているが、それでも尚彼女は歌を止めようとはしない。
 彼女が歌う間彼女の半径数十メートル範囲の対象は、抗う心を砕き死に導く言葉によるダメージを受ける。だが、ユキはそれを予見していたために何も聞くことはなく、ダメージが入らない。
「……あなたの心……奪わせてもらう!」
 様々なサウンドデバイスから発せられる音楽と共に、ユキは再び光剣を振り下ろす。
 歌をこのようなことに使う相手に対する、正しき鉄槌を―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七瀬・夏希
歌声で人の心に干渉するってわけね。
それなら、口を開こうとした瞬間に身体を撃ち抜いてあげる。
それでも歌うのを止めないっていうのなら、その口を狙ってあげる。
一発、二発、三発……銃弾を撃ち込み、歌うことを止めさせながら近付いていく。

私がどうして怒っているのか分かるかしら?

貴方は私達の歌姫を貶めた。
彼女の姿を使って、彼女の声を使って、よくもあんなひどい歌を響かせてくれたものね。
帝国との戦いの中で、彼女が私達にどれだけ夢を、希望を与えてくれたのか、分からないのでしょうね。

さぁ、貴方はどれだけ痛みを、傷を与えれば、元の姿に戻るのかしら?
楽に死ねるとは思わないことね。

UC指定:傷口をえぐる



●どれだけの痛みを与えれば。
 歌が聞こえる。作業場を満たす、悪意の歌が。
 歌が聞こえる。作業場の真ん中で、歌姫が歌っている。

「歌声で人の心に干渉するってわけね」
 早急に駆けつけた七瀬・夏希(特殊武装戦術員・f29827)は、音を遮断しつつ作業場へと近づいていた。
 歌姫の姿は作業員達の知る歌姫の姿となっており、また夏希にもその姿は見えている。彼女はその姿を利用して従業員達に帝国復活を願い行動するよう洗脳する歌声を披露していた。
 しかしそうやって歌う代償として、歌姫の姿は四肢が少しずつ砕け散っていた。それに気づくことのない洗脳された従業員達は、歌が続く限り帝国復活を願い続けるようになっていた。
「……ならば」
 夏希はベルトコンベアを盾に少しずつ近づき、秘装銃を用意する。歌姫の歌が一度終わり、もう一度歌おうとするまでに狙いを定める。
「―――……」
 すぅ、と息を大きく吸った歌姫。しかし、その歌声は発せられることなく1つの銃声によって遮られた。
 従業員達は銃声の聴こえた方向を向いて……夏希を見つける。帝国へ導いてくれる歌姫を傷つけた者を許さないと言った様子で従業員達は手をのばすが、夏希は彼らを軽々と飛び越えて再び銃弾を歌姫に撃ち込んだ。
 歌を歌おうとしていた様子の歌姫は、1発、2発、3発と絶え間なく撃たれる。それでも尚歌い続けようとしたために、夏希はその口に銃弾をもう1発ぶち込んだ。
「私がどうして起こっているのか、わかるかしら?」
 身体に埋め込まれた神器・秘装回路を全て解放しつつ、襲いかかる従業員達を軽々と飛び越えて攻撃を躱しながら夏希は続けて銃弾を撃ち込む。その顔には、冷淡ながらも僅かに怒りを見せていた。
「貴方は私達の歌姫を貶めた。彼女の姿を使い、彼女の声を使い、よくもあんなひどい歌を響かせてくれたものね」
 無慈悲にも鳴り続ける発砲音に、歌姫は無理矢理歌を被せる。そして従業員達の洗脳をより深め、彼らにより強い帝国復活の願望を植え付けて夏希に襲いかからせる。
「ほら、また。帝国との戦いの中で、彼女が私達にどれだけの夢を、希望を与えてくれたのかもわからない、ひどい歌」
 強く、強く握りしめた秘装銃から怒りの銃弾。それはまっすぐに、一度与えた傷へと更に深く突き刺さる。
 夏希のユーベルコード『能力解放 1』は、彼女の傷口をえぐる技術を更に高めて、命中した部分を思いっきり破壊する力を持つ。更に歌姫が体勢を崩せば崩すほど、その威力は増して致命的な箇所へと命中させてくれる。
「さあ、貴方はどれだけの痛みを、どれだけの傷を与えれば元の姿に戻るのかしら?」
 冷酷に、しかし明確に歌姫を滅ぼす意志を見せる夏希。一気に距離を詰めて歌姫の顔を覗き込みながら、秘装銃を歌姫へ突き立てて、ただ一言だけ伝えた。

「楽に死ねるとは、思わないことね」




●歌姫の仕事は終わりです。
「―――……」

 歌を強制終了させられた歌姫は、ボロボロに砕け散る。
 自身に高度の負荷を与えた影響と、猟兵達の活躍によって交易船は平和を取り戻す。
 作業員も操縦士も、皆元のとおりだ。

 しかし、大きな戦いであったこともあってベルトコンベアが吹っ飛んでいるという事実は……元に戻せない。
 使えなくなってしまったこともあって、作業の滞りが恐ろしいことになっている。

 それでも運び屋のクラウスは豪快に笑うのだ。

「ベルトコンベア無くても作業は止まらねぇから大丈夫さ!」

 ……もしかしたらこの交易船の闇を暴いてしまったのかもしれないが、とりあえず、猟兵達の任務は成功だ。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年04月30日


挿絵イラスト