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筋肉ガール Go Fight!

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #チャンピオン・スマッシャー #力持ち #猟書家 #小さなダイヤと大きなクラブ

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●掟破りの悪魔猟書家
「なんで……なんでこんなことに……」
 きっかけはある事件だった。捕らわれてしまった自分を救うため、大切なパートナーがデスゲームに挑まされたのだ。幸いにして頼もしい味方たちが助けれくれたため、彼も自分も助かった。だが、その過程で彼の負った傷は深く、一時的に辿り着いた安全な場所で身を隠し体を休めることにしたのだ。
 幸いにして近くに愉快な仲間たちのいる不思議の国があり、彼らは自分たちを匿ってくれた。動けないパートナーの代わりに国での力仕事を手伝い、代わりに薬や食べ物、寝泊まりする場所を融通してもらった。
 自分のために命を懸けてくれたパートナーを世話しながらともに過ごす毎日。今までの逃げ回る日々よりはずっと楽なその生活に、いつしかここでこのままずっと二人で……などという考えさえ浮かんでしまい、それを一時の気の迷いだと否定するそんな日々。
 だがそれも、突然終わりを告げる。
「我が名は『チャンピオン・スマッシャー』! ここに同志愛獄人魚マリーツィアを倒した強者がいると聞いてやってきた! 我ら『ロードオブグローリー』は貴様に挑戦状を叩きつける! 我々を倒さずしてチャンピオンを名乗ることは許さん!!」
 突如不思議の国に現れたリングの上、多数の女子レスラーを従えた覆面レスラーが高々と宣言する。男の口にした名に思わずパートナーを見るが、彼はぶんぶんと首を横に振っている。チャンピオンなんて名乗った覚えもないし、そもそも倒したと言ったって協力者がHP1まで削ってくれた相手に1ダメージ与えたようなものだ。強者どころかその辺のボス級オウガにだって到底かなわないのはお互い分かっていること。
 しかしリング上の相手がそれを言って聞いてくれそうもないのは一目見てわかる。さりとてこのまま放置したところで帰ってくれるとは思えないし、放っておいたら何を始めるかも分かったものではない。
 心が、火事場の如くクソ燃え上がった。
「お、おい、クララ……」
「私が……私が行ってくる。今度は私が、ダイヤを守るんだから……!」

●心に愛がなければ
「あなたのメルでございます。一月ほどバカンスを頂いていました」
 3月期一度も依頼を出さなかったメル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が、集まった猟兵たちに牛丼を配る。
「本日向かっていただきますのはアリスラビリンス。そこで新たな猟書家『チャンピオン・スマッシャー』を撃退していただきます」
 またしても各世界に現れた新顔の猟書家たち。その内の一人との戦いだ。
「彼はアリスラビリンスにてプロレス団体を率いて力持ち……ジョブの力持ちを探し、倒して自らの軍門に下らせることで鉤爪の男の望む『超弩級の闘争』とやらの駒とするつもりのようで」
 残虐で陰湿な手段を用いる者の多いアリスラビリンスの猟書家としては健全な方かもしれないが、それでも捨ておくわけにはいかない。
「今彼はある不思議の国にリングを据え付け、そこで力持ちを探しています。ここには別の猟書家に襲われ生き残った人がいまして、どうやらその人が猟書家を倒せるくらい強いと勘違いしているようですね」
 猟兵でないものに猟書家が倒せるはずはない。だが、彼は強者を配下にするまで帰るつもりはないのだという。
「ですので皆さんには、スマッシャーを物理的に説得して骸の海へとお引き取り願ってほしいのです」
 ある意味、やることはいつもと変わらないということだ。
「まずリングに上がると、配下の女子レスラーである『閉幕のアリス』たちとの戦いになります。彼女たちは軽量級ながら【ハートボム】という投げ技をフェイバリットとしたレスラーです。元は爆弾使いだったらしいのですが、レスラー転向の際スタイルを変えたようで」
 それでも投げられるとなぜか爆発する。気を付けた方が良いだろう。
「彼女たちを全て倒したら、スマッシャーとの決戦です。彼はプロレスという形式にとてもこだわっており、リングに上がってきた者とは必ず戦いますし、途中で試合を放棄することもありません。本人は身一つでの戦いを好むストロングスタイルですが、相手が武器や魔法を使うことを咎めたりはしません。むしろそういうものを力でねじ伏せることに喜びを覚えるくらいです」
 凶器攻撃や場外乱闘も大歓迎、とのことだ。
「ちなみにスマッシャーはマスクの上からでも分かるほどにスケベそうな顔をしていますが、プロレスに対する姿勢は非常に真摯です。顔で損しているタイプです」
 その情報はいるのか……と思うが、まあ色仕掛けやその他誘惑は効かないということだろう。
「今、彼に一人の力持ちが立ち向かおうとしています。件の生き残りの一人で、負傷中のパートナーを守るためにリングに上がるようで」
 本来引っ込み思案な性格だが、パートナーの危機に加えこのリングには周囲の力持ちを引き寄せ、興奮状態にしてしまう効果があるらしい。それにつられている部分もあるのだろう。
「彼女も普通のアリスとしては強い方なのですが、閉幕のアリスはともかくスマッシャーには天地がひっくり返っても勝てません。クソ力にも限界はあります。なので、彼女を守り、あるいは共闘しつつ敵を倒してください……あれ、言ってませんでした? 女の子ですよ。おっぱいが大きくてかわいい子です」
 最後の情報が必要かはともかく、猟兵の冷静で的確な指示があれば十分に戦力になる。彼女の意思を尊重する意味も込めてタッグマッチ等を組むのも手かもしれない。
「ここでは一般人の愉快な仲間たちが観客としても見ています。彼らにアピールするような行動をすると気分も盛り上がり、技も冴えるかもしれません」
 まあ気分の問題ですが、とどこまで本気か分からない調子でいいながら、メルは猟兵たちをリングインさせるのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。なんだかんだこの人アリスラビリンスの良心な気がする。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……力持ちと一緒に試合に参加する』

 第一章では『閉幕のアリス』との集団戦です。集団戦とは言いますが、2対1もしくは2対2くらいの戦いになるでしょう。それ以上でチームを組んだ場合、それに応じて彼女たちも増員します。彼女たちの衣装はアリス服カラーのリングコスチュームに変更されており、使用技もプロレス風なアレンジがされています。ハートボムは投げ技です。色々な性格の個体がいますので、スタイルに合わせてご自由に設定OK。

 第二章では猟書家『チャンピオン・スマッシャー』との戦い。彼は相手が何人いようが一人で受けて立ちます。自身はプロレススタイルにこだわりますが、敵の攻撃は何がこようと気にしません。相手のスタイルによりヒールもベビーフェイスもこなせるマルチプレイヤー。

 どちらの章でも力持ちの少女がリングに上がっており、彼女を味方として使えます。以下力持ちとその相方詳細。

 クララ・ブラックウッド(15) アリス適合者の力持ち×スーパーヒーロー。大柄巨乳の筋肉質で、体力があり力は強い。やや指示待ち気質だが、パートナーを守るためとリングの強化効果で。今回はややテンション高め。何度か猟兵に助けてもらったことがあり、その存在を知っている。力任せの掴み投げや体当たりなどパワーファイトを好む他、棍棒やそれに近い形状の凶器攻撃もできる。ちなみに今回はクラブをモチーフにしたハイレグコスチューム姿。

 赤石・大弥(14) アリス適合者の王子様×探索者。以前の事件(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=30882 読まなくても問題なし)での負傷と疲労により今回は戦えずセコンドに徹する(サポート役としても参加させられません)。低身長で頭が良いが、別に光る玉とかは投げてくれない。七つに分割されてたりもしない。

 プロレスとは言いますが、二刀流で二倍のジャンプで三倍の回転とか四次元空間送りとか磁力攻撃とかもプロレスの範疇に含まれます。お察しの通りコミカルもしくは熱い方向に流れる可能性がありますので、整合性よりも勢いと屁理屈重視の方が良いかもしれません。

 それでは、意味は分からんがとにかくすごいプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『閉幕のアリス』

POW   :    ハートボム(打撃武器運用)
単純で重い【ハートボム】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ハートボム(投擲武器運用)
【接触地点で大爆発するハートボム】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    ハートボム(射撃武器運用)
レベル×5本の【愛】属性の【着弾地点を貫く、ハートボム】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「貴様が我が同志を倒したという強者か。いかにも力強そうな体をしている!」
 リングの上で覆面の男が堂々と叫ぶ。相対するのは女性としては高い身長に筋肉質な太い手足、そして頭部と同じくらいの巨大な胸を持つ少女。
「怖いけど……恥ずかしいけど……私が……やらなきゃ……!」
 なぜかリングに上がった途端着替えることになったハイレグスーツ。髪の色と同じ緑のそれは、両側にも大きく張り出した胸と相まって遠目に見ればクラブのマークのように見えなくもない。
「待てよ、俺も一緒に……」
 コーナーにつく小柄な少年が言うが、どう見ても頑健そうには見えないその体にはさらに包帯も撒かれ、おおよそ戦力になるとは思えない。
「大丈夫……私が守るから……今度は……」
 震えを押し殺しながらそう言って、力持ちの少女、クララ・ブラックウッドは覆面レスラーを睨みつけた。
「私が相手です!」
 大きな体を見せつけるように前に出るクララに、男は不敵に笑う。
「ではまずその力が本物か試してやろう。お前たち、相手をしてやれ!」
 そう言って男は颯爽とリングから飛び降り、代わりに大勢のアリス服風コスチュームの女子レスラーたちがリングに上がる。
「我ら『ロードオブグローリー』精鋭閉幕のアリス! チャンピオン・スマッシャーと戦う資格があるか我らが見極めてやろう!」
 堂々と宣言する閉幕のアリス達。
 だが、そもそもリングの上に立つ少女はスマッシャーたちの求める強者ではない。ただ大切な人を守るために敵わぬ戦いに挑む健気な、そして無謀な一人の力持ちに過ぎないのだ。
 猟兵よ、早々にリングに上がり、真の強者の名を敵に教えてやれ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
クララさん、赤石さん、お久しぶりですぅ。
御協力させていただきますねぇ。

クララさんと協力し『タッグ』の形でお相手しましょう。
『秘薬』を摂取し【沃貌】を使用、『巨人の姿』に変身しますねぇ。
『器官』として『爆発耐性を持つ防護幕』を付与、相手が『打撃』に爆発を乗せてきた場合へ対策しますぅ。
更に、対格差に加えて『反動』による『胸の肥大』を利用し『重量』を増せばまず投げることは出来ず、まだ投げられるなら『追加の秘薬』で更に増加して防ぎますねぇ。

後は、打撃主体に体格を活かした[重量攻撃]で攻撃、場合によりクララさんに弱った方を預け、打撃で転倒したもう一体に上から叩きつけて頂きますぅ。



 リングに上がった力持ちの少女、クララに一人の閉幕のアリスが向かい合う。
「さて、まずは私から……」
 肩から腕を回し、いかにも腕が成るというポーズでアピールを駆けるアリス。対するクララは大きな体を震わせて、懸命に恐怖を堪えている。確かに今までも恐ろしい目に合ったし、パートナーや協力者のお陰で切り抜けてこられた。だが、何度経験したって恐ろしいものは恐ろしいのだ。
 それでもいざぶつかり合わんとした、その時。
「クララさん、赤石さん、お久しぶりですぅ。御協力させていただきますねぇ」
 ロープを飛び越え、一つの大きな横幅を持った影が二人の間に割り込んだ。
「あなたは……!」
 その姿を見たクララが、涙目で声を上げる。
「また、来てくれたんだ……」
 リングサイドの大弥も感極まったような声を出す。その二人の声に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は一度頷いて答えた。
「ほう、カットに入るか。ならばタッグだ、堂々とやるがいい!」
 突然の乱入者に逆サイドに控えるチャンピオン・スマッシャーは文句を言うどころか面白そうに笑い、もう一人閉幕のアリスをリングへと差し向けた。
 颯爽とアリスがリングに上がり、2対2のタッグマッチが始まる。
「大いなる豊饒の女神、その偉大なる御姿の恵みを我が身へ」
 早々にるこるは秘薬を飲み、【豊乳女神の加護・沃貌】を発動。その体を巨人のものへと巨大化させた。
「ドーピングとは卑怯な!」
「構わん、我々の実力見せてやる! 正しく鍛錬した肉体が薬物などに負けるものか!」
 薬を服用したるこるをヒールに見立て、ベビーフェイス路線で行くことにしたらしい二人のアリス。同時に駆け寄り二人同時のドロップキックでその巨大な乳房を蹴りつける。
「あぁん」
 その超弾力で蹴りを弾き飛ばするこる。さらに倒れた二人に、容赦なく胸での追撃をかける。
「クララさんもどうぞぉ」
「え、あ……はい!」
 水を向けられ、真似るようにボディプレスをかけるクララ。るこるの巨大さに霞むが、筋肉主体の体を持つ彼女の体重も相当なもの。アリス達は追加のダメージを受けて寝たまま体をバウンドさせる。
「おのれ……何という重さ」
「悠長にはやってられない。一気に決めるぞ!」
 体を起こし、再びるこるに駆け寄るアリス達。だが今度は蹴りや殴りではなく、その巨大な胸にしがみついた。そのまま全身の力を込め、胸を持ち上げていく二人。
「うおぉぉ……」
「いくぞ、せーの!」
「「ダブルハートボム!!」」
 それぞれが乳房を抱え、一度顔近くまで持ち上げてから思い切りマットへと叩きつけた。同時に二つの胸から大爆発が起こる。本来の形とは違うが、閉幕のアリス必殺のハートボムが二発同時に決まった形だ。
 リング上のクララ、セコンドの大弥が青ざめた顔を浮かべ、逆サイドではスマッシャーが余裕の笑みを浮かべる。
「ふ、これは決まったか……なに!?」
 あるいは全て分かって言っているのかもしれないその台詞に合わせるように爆炎が晴れる。そこから現れたのは、さらに乳房を大きくさせた無傷のるこるであった。
 【沃貌】の力で生やした耐火の幕によって爆発を防いだるこる。まさか胸に絞って投げてくるとは思わなかったが、さらに秘薬を口に含んで胸を巨大化させ、最早それもできなくさせる。
「それでは、クララさん、いきますよぉ」
「はい!」
 呆然とするアリスにその巨体で押し潰しをかけるるこる。まるで巨大トラックにはねられたかのような衝撃に、一人は潰れ、もう一人は跳ね飛ばされる。そして跳ね飛ばされた一人は、高い背を伸びあがらせたクララにキャッチされた。
「せーの!」
 倒れたアリスに思い切り叩きつけられる、掴まれたアリス。始めてるこるにあった時に教えられた長物を叩きつける動きを思い出しながらの一撃に、二人のアリスは纏めてマットに沈んだ。
 どこからともなくゴングが鳴り響き、四つの巨峰の勝利と無限番勝負の始まりを告げるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

草剪・ひかり
POW判定

ハンディキャップマッチの押し売りとは頂けないね
こういう時は、一人で頑張ってる方に助太刀するのが
プロレス女王として当然の立ち回り!

私も女子レスラーとしては割と大柄だけど
クララちゃんは私よりヘビー級ね、色々と

試合?が始まったら私がペースを作りクララちゃんを引っ張る
アリス(達)は不慣れなクララちゃんを狙うだろうから
堅実なエルボーやローキック主体で牽制して惹きつける

アリスの意識がこっちに向いたら、彼女らの攻めを「受け」まくり
クララちゃんをフリーにして思い切り攻めてもらう

もちろん私も負けてない
トドメは得意のジャーマンスープレックス!
若手を引き立て自分も目立つ、プロレスラーとはこういうものだよ!



 猟兵の協力を得て、最初の一戦を制したクララ。だが、続けざまに次の閉幕のアリスがリングに上がり、構えを取る。
「まさか一戦で終わるなどと思っていまい?」
 スマッシャーが不敵に笑うが、戦いの多くを猟兵に依存したとはいえそもそも彼女は多少強いだけの一般人。集団系の相手とはいえそう何人も連続で相手取れるわけではない。
「ハンディキャップマッチの押し売りとは頂けないね」
 その状況を否定しながら、再びリングに飛び込むものが現れた。その姿を見た瞬間、スマッシャーの目がぎらりと光る。
「この女……分かっているな」
 こういう時は、一人で頑張ってる方に助太刀するのがプロレス女王として当然の立ち回り。そう言わんばかりに周囲に自分の姿を見せつけつつ、クララの隣に立ち彼女の腕や背に分かりやすく触れる。その多少わざとらしいくらいのアピールで観客たちは彼女のスタンスを一瞬で理解するし、乱入行為に一切悪感情を抱かせない。
 それもそのはず。彼女、草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)はプロレスリングM.P.W.Cの代表にしてかつての“絶対女王”の名を持つ、正真正銘のプロレスラーなのだ。
「私も女子レスラーとしては割と大柄だけど、クララちゃんは私よりヘビー級ね、色々と」
「え、は、はぁ……」
 172cmという長身のひかりと同程度の身長があり、見るからに太い手足、そして相当なサイズの胸と、正に重量級という見た目のクララ。年齢も考えればさらに育つ可能性すらあり、そういう意味ではひかりにとっても興味深い素材とも言えた。
 だが、あくまで彼女はただの力持ちでありプロレスはド素人だ。ならば試合を作っていくのは自分の役目と、ひかりは率先してアリス達に挑みかかった。
「目的を遂行するのみ……!」
 だがそれを無視し、冷徹に本来の目的であるクララのみを狙おうとするアリス達。弱い方を狙うということに加え、誇りある女王というひかりのキャラに機械的な無慈悲さで対抗する、一種のキャラ付けの側面もあるのだろう。
「こないで……!」
 拳を突き出し、相手を殴り飛ばそうとするクララ。太い腕が放つナックルアローは迫力満点だが、テレフォンパンチである以上簡単に避けられる。その腕を取って極めようとするアリスの一人を、ひかりがエルボーで跳ね飛ばした。
「この絶対女王を無視するとかいい度胸じゃない!」
 もう一人にもローキックを叩き込み、自分に注意を向かせる。二人のアリスが自分の方に向いたところで、ひかりは堂々をその身を相手に曝け出し、指を上に上げ招くような仕草を見せた。
 それに答え、アリス達の連続攻撃がひかりに入る。ボディへの打撃から、頭を掴んでの頭突き。二人で両側を挟んでの同時ハイキックに、一人がロープに投げ、もう一人が戻ってきたところにラリアット。
 それらの猛攻を、一切躱すことなくひかりは受けきった。避けるなど言語道断。分かりやすい防御もしない。ただ、インパクト部分だけをずらし決定打にならないよう受け止める。熟練のプロレスラーだからこそできる受けに攻めているアリスの方が息を切らす。
「……埒が明かない」
「これを出すぞ!」
 二人が同時に屈んでひかりの片足ずつを掴みにかかる。二人掛かりのハートボムの体勢に持ち込むつもりだ。だが、その手が足を掴んだ瞬間、片方のアリスがしゃがみを超えて体をマットにへばりつかせた。
「このっ!」
 フリーになっていたクララが、上からアリスを思い切りダブルスレッジハンマーで殴りつけたのだ。クララの重量と腕力は外見通り。低い姿勢になった所にそれを当てられれば、軽量級のアリスなど容易にダウンさせられる。
 そのままエルボードロップで追撃をかけるクララ。巨体が揺れて倒れ込む様は、見ているだけでも圧巻だ。
 相方の危機に、思わず残るアリスも手を放しそちらの救援を考えてしまう。だが、絶対女王を一瞬でもフリーにする、その愚かさのツケはすぐに支払うこととなった。
『おおっと、ドロップキック! ブレーンバスター! コブラツイスト! 絶対女王の鮮やかな技の数々がリング上に光り輝く!』
 どこからともなく聞こえてくる実況。その内容通りの技が、全て完璧な形でそのアリスに叩き込まれた。蹴られ、投げられ、締められ、一瞬にしてグロッキーになるアリス。
 そのアリスを無理矢理引きずり起こし、後ろから抱きかかえるひかり。そして彼女の視線に促され、クララも自分の下にいるアリスを担ぎ上げた。
「若手を引き立て自分も目立つ、プロレスラーとはこういうものだよ!」
 ひかりの得意とするジャーマンスープレックスが、美しいアーチを描きアリスをマットに叩きつけた。そしてそれと同時に、クララもデスバレーボム……に似た形で諸共倒れ込んで相手を地面に叩きつける。
 最初から最後までひかりの筋書き通りに進んだマッチ。長身を堂々と伸ばし勝ち名乗りを上げる二人に、スマッシャーは無言で小さく拍手を送っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カナ・リーアス
【心情】感動したんだよー!男の子を守るために戦う、健気でかっこいいんだよー!私も協力するんだよー!!ならこっちも武器は使わず肉弾戦で行くんだよー!

【作戦】投げ技が得意なら投げられる前に叩けばいいんだよー!投げようと掴もうとしてきたら耳元で【大声】を出したり【だまし討ち】のねこだましなどで怯ませた後にヒップドロップや羅刹投げを食らわすんだよー!クララとも一緒に攻撃して行くんだよー!「おりゃー!ツープラトンを食らうんだよー!」 (絡み・アドリブOK)



 またしても力持ち側の勝利に終わったプロレスマッチ。だが、早速次と新たな閉幕のアリスがリングに上がる。
 だが、敵が尽きずとも味方も尽きないとばかりに、続けざまに次なる猟兵もまたリングへと飛び込んだ。
「感動したんだよー! 男の子を守るために戦う、健気でかっこいいんだよー! 私も協力するんだよー!!」
 大切な相棒を守るため戦う、その気概に感じ入ったとカナ・リーアス(鬼の元気っ娘・f04987)がクララへの協力を申し出る。その言葉に少しもじもじとしながらも、クララは強く頷き彼女の参加を歓迎した。
 そして協力者の登場と共にアリス側も二人になり、またしてもタッグマッチの形式となる。
 聞くに相手は本来爆弾を武器としていたが、それを捨ててレスリングスタイルに転向したという話だ。
「ならこっちも武器は使わず肉弾戦で行くんだよー!」
 肉体には肉体で答えようとカナも武器を使わず、己の肉体のみで相手を迎え撃つ。
 カナの肉体に相応の心得はある相手と察したか、アリス達は二人がかりでカナの体を掴みにかかった。
 あえて腕を差し出し、それを極めさせるカナ。そのまま捻りあげようとする相手に動きに合わせ、顔を相手の横顔に近づける。
「わーっ!」
 そのまま耳元で、とてつもない大声を出すカナ。横にいたクララさえ思わず耳を塞ぐほどのその声量は、おおよそ鍛えることの難しい敵の聴覚をせめ、あっけなく腕を離させた。
「足は取った、このまま……」
 体を屈めて下半身側に入ったアリスは、そのまま引き倒してハートボムの態勢に入らんと力を込める。それに対し、カナは大きく身をかがめて抵抗の姿勢を見せた。
「放すんだよー!」
「放さん!」
 拳を振り上げ、殴り飛ばす構えに入るカナ。だがアリスもレスラー、この状態からの打撃など慣れ切っているしそれを耐えるのも見せどころと、身を固くして攻撃を待ち受けた。そこにカナは勢いよく拳を振り下ろし……
「えい」
 その顔の前で、もう片方の手を素早く出しねこだましをかけた。突然のことにあっけにとられるアリスを、勢い良く足を上げてふりほどく。
「さあ、いっしょにやっちゃうんだよ!」
「はい!」
 振りほどいたアリスに掴みかかりながら、もう一人のアリスを捕まえるようクララに指示を出す。
「鬼の力を見るんだよー!」
 チョークスラム式に【羅刹投げ】で持ち上げてはマットに叩きつけ、伸びることを許さずまた持ち上げてはボディスラムで叩きつけ、もう一度持ち上げて今度はフロントスープレックスで叩きつける。投げと叩きつけの嵐をカナが相手に見舞い。
「えい、えい、えぇ~~い!!」
 ふらつくアリスを掴み、滅多矢鱈に振り回してはマットやポストに叩きつける。現実のプロレスでは実現しえない【びったんびったん】でクララがアリスを振り回した。
「それじゃこっちに!」
「はい!」
 そのフィニッシュとしてお互いの持ったアリスを振り回し、双方にぶつけあってダウンさせる。そのまま完全に伸びてしまった二人のアリスだが、ここからテンカウントを待ってやるほどカナは優しくなかった。
「そっち上って、ワタシはここでやるからキミはそっちね!」
「こ、これでですか!? 分かりました……!」
 トップロープに上り、何事か言葉を交わす二人。そしてロープを蹴って跳躍し。
「おりゃー! ツープラトンを食らうんだよー!」
「ひゃうぅぅぅぅぅっ!?」
 カナのヒップドロップとクララのボディプレス……というよりバストドロップ。超重量の肉の隕石が、フィニッシュとしてアリス二人を完全にマットに沈めたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミニョン・サフィール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】

「え、えっとプロレスですか……よくわかりませんけど」
開幕で【コールポリス】を使って婦警魔法少女軍団を召喚し他のアリス達と勝負させます
自分は長身で超乳超尻のレオタードと手袋を付けた閉幕のアリスと戦いますけど……
プロレスをよくわかってないので逃げながら、打撃戦をします
でも大量の汗をかいて疲弊したところを捕まえられ男の子の尊厳をぼろぼろにする関節技をたくさん掛けられて、大勢の女性観客が見てる前でついに泣きながらギブアップ

婦警軍団も全員がギブアップし、婦警の出した檻に1人ずつ入れられて運ばれて誘拐されてしまいます
その後で閉幕のアリスの持つ手配書から大量のお金が出現します



 猟兵の協力もあり、またしても閉幕のアリスを下したクララ。だが、既にそのスタミナは限界を迎えていた。
「クララ、大丈夫か? とにかく、少し休んで……」
 コーナーから大弥が水やタオルを差し入れようとするが、すでに次のアリスがリングに上がろうとしている。
「え、えっとプロレスですか……よくわかりませんけど」
 そこに割り込むように、ミニョン・サフィール(魔法怪盗サファイア・f32433)がリングに上がった。そしてそれに合わせ、今までと同様タッグマッチの形を取るためもう一人アリスがリングインしてくる。
 このまま疲れているクララと共に戦うのか。だが、ゴングを待たずしてミニョンは何枚もの紙をリング上の、さらにはリング外に控えるアリスにまでばらまいた。
「本当は使いたくないですけど」
 その紙はミニョンの顔と、賞金が書かれた手配書。そしてそれに引き寄せられるかのように、どこからともなく大量の婦警軍団が現れた。
「と、とりあえず先に、あの人たちが邪魔になりますよ!」
 ミニョンを捕まえに来たその婦警たちが一斉にリングに上がる。だが、それを参戦の意思蟻と見なされたのか、同数のアリス達が一機にリングに上がり、リング上はてんやわんやの大騒ぎだ。
 そんな中でミニョンの前にも、長身で胸や尻がクララ以上に大きい、規格外サイズのアリスが立ちはだかる。
「よくも試合を滅茶苦茶にしてくれたね? たっぷりお仕置きしてあげるよ!」
 そのまま長い腕を伸ばしミニョンを捕まえようとする特大アリス。一方プロレスがよく分かっていないミニョンは、逃げ回りながら短い手足でパンチキックを繰り出していく。
「そんなふざけ戦い方!」
 基本的に避けると言うのはプロレスでは推奨されない行為だ。やるとしたら軽量級が過剰なまでにアクロバティックに動くなど、受けを超えるエンタテイメント性をそこに入れなければいけない。だがそんなの分からないミニョンは、ひたすら逃げ回ってアリスの攻撃から逃れようとする。
 だが、リング上はあちらこちらで婦警とアリスの大乱戦が起きている。逃げ回れるスペースなど元より対してない。あっという間に息切れし、汗だくの体を捕まえられてしまった。
「ひっ……」
「捕まえたよ、それっ!」
 そのまま逆さにしたミニョンを振り上げるように持ち上げ、背中の真ん中……心臓のある裏側辺りから強烈にマットに叩きつける。そしてそれと同時に大爆発が起こってミニョンを包み、試合が始まってついに完璧な形で閉幕のアリス必殺、ハートボムが炸裂した。
「う、あ……」
 ダメージが大きく動けないミニョン。その体を、アリスは掴み上げゆっくり捻りあげ始めた。
「特別痛いのをお見舞いしてやるからね」
 体格差がある故に複雑に絡み合う技こそできないが、三角締めや脚を無理矢理持ち上げたスコーピオンデスロック、小さい脚を掴んで思い切り両側に開かせる股裂きなどいくつもの関節技や締め技で責め立てる。
「い、いた……いたい……」
 涙を流し震えるミニョン。最後にその体は寝そべったアリスの足に高々と持ち上げられ、腕を引かれ足で股を開かされながら腰を突き出さされる、恥辱的な形に変更されたロメロスペシャルに固められた。
 高々とさらし者にされるように突き出されるミニョンの腰と股。そこが裂けそうな、あるいは中に詰められたものが出そうな激痛に、ミニョンは無様に涙を流して許しを請う。
「うぅ……離して……ギブアップ……だから……」
 あっけないギブアップ宣言に、アリスはミニョンを投げ捨てる。その周りでは、婦警たちが様々な形でフィニッシュホールドを決められ全滅していた。
 そのまま全員が婦警が用意していた檻に入れられ、どこかへ運ばれていく。同時にミニョンがばらまいた手配書から金が湧き出るが、アリス達はつまらなさそうにそれをリング外に投げ捨てた。
「……今のは何だったんだ」
 スマッシャーもこのプロレス……あるいは戦いとも言えないような茶番に呆れ顔だ。だが、ただ一つ、ここには大きな意味があった。
 誰の相手が誰とも分からないほどの大勢の乱戦の中、クララはこっそりリングから降り、十分な補給と休憩を取っていた。星数を競うわけではない戦いに撒かれた大量の黒星は、本当に白を付けるべき星の土台を整えたのであった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

ベアトリス・ミラー
※アリス、ホークと行動
アドリブOK

なるほど、相手の攻撃は一択のようですね。
第六感で攻撃を読み、集団戦術による指示で対象しましょう。
投げ技であるなら動作があるはずですので、そこを読めれば対処も楽になるかと。
クララさんの性格を考えれば、私は司令塔として動いた方が良さそうですね。


アリス・スラクシナ
※ミラー、ホークと行動
アドリブOK

まさかのプロレスとは。
だが二人が関わっているとなれば放っておけないな。
「……あいつはもう」
話して信じてもらえるか解らない。
だが話さなければいけないだろう。
「クララは助ける。ホーク、任せた」
プロレスは初めてだが、武器の使用がいいのならやることは変わらない。
獣の盟約を抜き、見切りや残像を残してカウンターを繰り出す。
「なにか想いが?」
時折、大弥に目を向けているようで気になったからな。
長いこと一緒にいるのなら不思議ではないが。


ホーク・スターゲイザー
※アリス、ミラーと行動
アドリブOK

大弥と共にセコンドに。
「聞かせてもらえないか?その師事していた者の話を」
そこから話をしていく。
「君たちはもう長く組んでいるようだな」
側に誰かがいるというのは心強いと話す。
「私ができる事と言えば、偵察や観察、占星術くらいなものか」
師事するような事も挟みながら話をする。
「命懸けで助けたと聞いている。いずれはどうするか考える時がくるだろうな」
年頃になれば、いずれはその時が来ると。



 犠牲のもとにコンディションを整えたクララ。再びリングに上がろうとする彼女とそれを心配そうに見る大弥の元に、また新たな猟兵が現れた。
「まさかのプロレスとは。だが二人が関わっているとなれば放っておけないな」
 その声に、二人はよく聞き覚えがあった。
「あなたも……!」
 クララが嬉しそうに声を上げる。アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)は、彼女が猟兵と初めてかかわった一件以来、二人が危機に陥る度に助けてくれた者の一人であった。
「ありがとうございます……あれ、師匠たちは……?」
 大弥も喜びながら一礼する。だが、その時一緒にいた仲間たちが全員そろっているわけではないことに気づきそこを尋ねた。とりわけ彼は師と仰ぐ男の事を気にかけているようだ。
 アリスは目を伏せ、一度声を詰まらせる。正直戦いが目の前にあるこの状況で言いたくはない。だが、彼と並んで最も多い回数関わってきた自分が言わねばならないと、その言葉を口にする。
「……あいつはもう」
 その言葉に、二人の顔が凍り付いた。
 話して信じてもらえるか解らない。だが話さなければいけないだろう。その思いから、彼が人格として限りなく消滅に近い状態に陥ったこと、今度ばかりは復活の目途がまるで立っていないことを伝えた。クララは涙目になり、大弥も呆然とした表情になる。
「なるほど、相手の攻撃は一択のようですね。集団戦術による指示はお任せを」
 その空気を読まない……あえて無視するような形で、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)が今の戦いの事に話題を変えた。こちらの事情や感情を汲んでくれるような相手ではないのだ。誰かしらが冷徹な判断を下さなければならない。ならばその役目は自分と、リングサイドにつく。
 その姿に、アリスも今すべきことに意識を向け、もう一人の同行者に声をかけた。
「クララは助ける。ホーク、任せた」
 そう言ってクララと共に、アリスは颯爽とリングに上がった。
 そして後を託された黒衣の男、ホーク・スターゲイザー(過去を持たぬ戦士・f32751)はベアトリスや大弥と並んでセコンドの位置へと付く。
「初にお目にかかる……よろしく頼む」
「え? あ、ああ……よろしく、す……」
 彼の挨拶に大弥はどこか違和感を感じつつも、リング上の二人に意識を集中させた。
 リングに上がったのが二人のため、閉幕のアリスもリングインしたのは二人。その二人に、アリスは躊躇なく『獣の盟約』を抜いた。
「プロレスは初めてだが、武器の使用がいいのならやることは変わらない」
 当然武器の使用は反則だ。だが、『反則をすること』自体が許されてもいるのがこの戦いなのだ。
「しょっぱなから凶器とは……!」
「怯むな、私達には鍛え上げた技がある!」
 やはり凶器を持った相手をヒールに位置づけ自分たちのスタンスを定める閉幕のアリス。その無謀さもアピールの内とでも言わんばかりの様子で、あえて素手でアリスへと二人がかりで躍りかかった。
「遅い!」
 その動きを見切り、カウンターで一閃するアリス。鋭い斬撃はコスチュームごと閉幕のアリスを切り裂き、深いダメージを与える。
「投げ技であるなら動作があるはずですので、そこを読めれば対処も楽になるかと」
 バランスを崩すも踏みとどまる敵の姿を、リングサイドからベアトリスが観察していた。プロレスとはショースポーツである。故に目にもとまらぬ早業や予備動作がなく読めない動きは歓迎されない。その読み通り、片方の閉幕のアリスが分かりやすく体を屈め、クララの足元、股の間に体を捻じ込むように低く突っ込んできた。
「クララさん、座って!」
「え、あ、はい!」
 その指示に従い、クララがどしんと腰を下ろす。その尻が足の間に突っ込まれていた閉幕のアリスの頭部を踏みつけ、そのままマットに頭部を鎮め込ませた。平均よりだいぶ重い体重を思い切りかけられたのだ、頭と首への負担は相当なものだろう。
 救援と攻撃を兼ね、もう一人の閉幕のアリスがクララの上半身を捉えにかかるが、その動きを察したアリスが素早く割って入り、その動きにもカウンターを取って引き離した。
「あ、ありがとう、ございます……」
 まだ閉幕のアリスを尻に敷いたまま、クララが礼を言う。その顔はだいぶ赤く、ちらちらとどこかを見ているようだ。
「なにか想いが?」
 その視線の先がリング外の大弥に向けられたことを察したアリスは、長いこと一緒にいるのなら不思議ではないと予想はしながらも聞いてみる。
 その言葉に、クララはさらに顔を赤くし、叩きつけの影響でコスチュームが食い込みほとんどが出ている自分の大きな尻を無理にでもコスチュームを引っ張り隠そうとするのであった。
 その大弥もまた、ホークに様々なことを問われていた。
「聞かせてもらえないか? その師事していた者の話を」
 ホークが問うのは、大弥が師匠と呼んだ男の事。
「凄く色んな武術とか戦い方に詳しい人で……自分も強いけど、人に合ったやり方も提案できる人だった。無理に自分で戦わないってやり方を教わったのもその人からだ」
 司令塔としての戦い方の存在を教わり、それが今の二人の分業に繋がっているのだと、大弥はかつての戦いを思い出し答える。
「君たちはもう長く組んでいるようだな。側に誰かがいるというのは心強い」
「一人じゃ何にもできないだけだよ……出来る他人を頼れってのも、その人の教えだ」
「私ができる事と言えば、偵察や観察、占星術くらいなものか。それで戦えるのかと不安だったが……無理せず頼ってみる」
 大弥に教えられた、という風に言うホーク。それは師を失った彼への気遣いであり、同時にどこか自信を持ちきれない自分への鼓舞でもあるのかもしれない。
 そしてその視線は、彼や仲間の指示の下戦う少女の方へ。
「命懸けで助けたと聞いている。いずれはどうするか考える時がくるだろうな」
 年頃になれば、いずれはその時が来る。心地よい時間、棚上げにしておけるモラトリアムはいつまでも続かない。どこかではっきりさせなければならない時が来る。それは少年と少女という一般的な存在としてであり、異世界から迷い込み、幸いにして生き延びることができたアリスという存在としての両方の意味で。
 どこまで理解しているかは分からないが、大弥は頬を染めつつも表情を硬くし、戦うパートナーを見る。
「クララさんはそのまま釘づけにしてしまいましょう。アリスさんはもう一人を!」
「心得た」
 クララにはその力と重量で抑え込み、一度奪ったダウンを離さないように言う。そしてアリスには、まだ元気に動けるもう一人を仕留めるよう指示するベアトリス。それに従い、アリスは残像を残し後ろに回り、閉幕のアリスのがら空き乗せ二連撃を叩き込んだ。
「クララ、手で掴まれて横倒しにされても投げになるかもしれない。手を踏んづけろ!」
「分かった!」
 その耐性を盤石にするため、大弥の指示通り腰を掴もうとしていた相手の手を踏みつけ、マットに縫い付けるクララ。大股を開く形になるが、流石に恥ずかしがっている場合ではない。
「さて、あれがつぶれ切る前に倒せねば猟兵の名折れだな」
 軽くそう言ってアリスはラストスパートとばかりに【血の覚醒】を発動。閉幕のアリスに最後の連撃をかけた。
「あなたも何か、指示を出してみては?」
「私、は……」
 ベアトリスの少し冷たい声に、ホークは口ごもる。自分は誰と、どの力を活かして支え合えば。己の胸に問うても、隣の少年の師だという男は自分には何も教えてはくれなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マスクド・サンドリヨン
「パートナーを守ろうと言うその志、立派です」
クララさんと組んで、タッグマッチで勝負よ!

ロープを使った空中殺法で撹乱して、隙が出来た所にクララさんが大技とか。逆にクララさんの隙は私がうまくカットしたりとか。うまく連携して優位に試合を運んでいくわ。
けど、ヒップアタックをアトミックドロップで切り返されて悶絶した隙に、分断されちゃって。クララさんが1人に足止めされてる間に、もう1人に投げ技のフルコースをもらっちゃう。必死に抵抗するも、最後はハートボムでリングに上半身が突き刺さるようなKO負け……。

でも私がKOされた事でUCを発動して、油断した相手を2人まとめて、クララさんにラリアットで沈めて貰うわ!



 まだまだ続く無限番勝負。次にリングに上がる閉幕のアリスの数は、やはり二人。
「パートナーを守ろうと言うその志、立派です」
 いかにもレスラー然とした恰好のマスクド・サンドリヨン(仮面武闘会のシンデレラ・f19368)が、戦いに臨むクララの姿勢をそう称える。本来気弱な性格の『灰崎・姫華』が、正義のためヒーローマスク『ピジョン』の力を借りて戦うのが彼女の正体。震える心を気高き目的の為に抑え込む姿勢を持つ彼女ゆえに、クララの戦う姿勢と理由には強く賛同できるものがあった。
 そして始まる何度目かのタッグマッチ。初撃を決めるべく突進してくるアリスもに対し、サンドリヨンは素早くロープへ駆けあがり、その反動を利用して高く跳びあがった。そのままフライングボディアタックで相手の姿勢を崩し、その隙にクララを掴みかからせ、彼女のパワーを活かしたハイパワーな大技を浴びせて体力を奪わせる。
 もちろんそんな大技を出せば今度はクララが狙われるわけで、上半身と下半身を分けてホールドにかかった二人組を、その手が足や腰を捉える前に強烈な蹴りでカット、そのまま再度捕縛に転じられないように続けざまに攻めアリス同士の連携を分断していくと、2対2のタッグでありながら自身は優位を取るため仲間と連携し、相手はカットや妨害で連携を阻止すると言った勝利に向けて着々と布石を積み上げていく戦いをサンドリヨンは築いていった。
 敵片の分断は一応はなった。ならば次は一人を徹底的に痛めつける時と、サンドリヨンはアリスの一人に尻を向け、そのまま尻から突っ込んでいった。
「その程度!」
 アリスは横に動いてそのヒップを難なく躱す。だが避けられたサンドリヨンがぶつかるのはアリスが背にしていたロープ。そのロープに体を回して正面からの形でぶつかり、その反動で再度尻を突き出してアリスに向かっていくサンドリヨン。
 次も避けるか、あるいは堂々と真正面から勝負をかけるか……一瞬の逡巡の後、アリスは両手を突き出し、ヒップアタックのインパクトの瞬間を狙ってサンドリヨンの腰に手を回した。そのまま膝をたて、突き出されたサンドリヨンの尻の中心……尾骶骨にその膝を思い切り叩きつける。アトミックドロップという下半身を攻める打撃技が、綺麗にサンドリヨンの尻に決まった。
「ぎゃうっ!?」
 皮肉にも突進の威力の大きさによってダメージが積み増しされ、悶絶してリングに転がるサンドリヨン。だが転がっていても敵は容赦しない。脇に手を入れ無理矢理立つように持ち上げられ、そのままドラゴンスープレックスで脳天を叩きつけられる。
「サンドリヨンさん!」
 クララがそこに救援に行こうとするが、もう一人のアリスが立ちふさがりそれを阻む。大きな胸を狙って押し返すような前蹴りを当て、挑発しつつも行動を制限することでそれぞれが1対1になっている状況を崩させない。
 サンドリヨンを投げたアリスはフォールに行かず、手を放して体制を入れ替えて腰を掴み、サンドリヨンを逆さまにしたまま持ち上げる。そしてそのまま股の間に顔を挟んで相手の恥辱を煽った後で、勢いよく腰を落とす……文字通りに自分の体を落下させるように座りツームストーンパイルドライバーで頸椎を痛めつける。
 投げの大技のフルコースに、サンドリヨンはすっかり動かない状態。パイルドライバーを喰らった状態のままのサンドリヨンを、アリスは高々と持ち上げた。
「よくみてなさい、これがあなたの運命よ!」
 懸命に足をばたつかせるサンドリヨンの抵抗をあざ笑うかのように、垂直落下式ハートボムで頭から投げ落とすアリス。頭部がキャンパスに突き刺さった瞬間大爆発が起こり、上半身を丸ごとリングに突きささるかのような状態でサンドリヨンは体を全て弛緩させ、完全にKOされた状態となってマットに沈んだ。
「お……お……」
 一応息はあるが、白目をむいて痙攣している。その姿に、ハートボムを放ったアリスはもちろん、クララを足止めしていたアリスも勝ち誇った笑みを浮かべ、クララをすっかり捨て置いて観客たちへのアピールを始めた。
「敵がまだいるのに勝ったつもりか……?」
 パフォーマンスの域を超えたその勝ち誇りぶりに、スマッシャーは眉をひそめる。だが曲がりなりにも自身が扱いた直弟子。ここまで油断し切るなどありえることなのか。
 その彼の懸念を的中させるかのように、クララが二人に後ろから猛然と掴みかかった。油断しきっていた二人は全く反応することができず、そのまま片手で振り回されてしまう。
「私が負けても……私には仲間がいるのよっ!」
 マットに沈んだサンドリヨンの口がそう動く。自ら敗北し敵に醜態を見せつけることで、相手に油断と慢心を受け付ける【英雄の敗北】。ユーベルコードであるその力は集団型オウガであるアリス達の心など簡単に緩ませ、猟兵でない者でさえ容易にKOを奪えるほどの大きな隙を曝させることに成功した。
「てやぁぁぁぁぁぁっ!」
 その巨体で大きくアリスを振り回し、勢いをつけてロープに二人纏めて放り投げるクララ。外見に違わぬ腕力での投げは踏ん張って止まることすら許されず、勢いのままロープにぶつかり跳ね返る二人。
「たあああああああああっ!!」
 そして両手を広げ、ダブルラリアットが二人のアリスの首と顔を捉えた。その筋肉の塊のような極太の腕がどれほどの勢いでぶつかったかは、上下左右に激しく揺れ回るクララの巨大な双丘が表していた。
 ユーベルコードによって作られた油断と慢心に侵されきっていたアリス達は覚悟も受け身もなくその衝撃を顔と首に受け、その勢いのまま後頭部をもマットに打ち付け倒れ込んだ。
 敵が動かなくなったのを確認し、クララは慌ててサンドリヨンを助け起こす。
「ナイスラリアット……!」
 ふらつきながらも親指を立てるサンドリヨン。仮面の姫は純白のドレスを赤き血に濡らしながら、自らの敗北一つで勝利を二つ作り出したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シウム・ジョイグルミット
[POW]
またお困りのようだね、アリス達
正義の時計ウサギ、只今参上だよ!

リングに上がったら、クララと同じようなコスチュームにチェンジしようかな
そして『Hungry Dumpty』召喚!セコンドよろしくっ!
まあ、こっそりお菓子なリングに変えちゃうのが目的だけどね

敵の攻撃は飛んだり跳ねたりでふわふわ避けて、その隙にクララには投げを狙ってもらおうかな
投げる前にリングをハードビスケットにしてダメージ増々!

終盤は敵の足下を水飴にして、はまったら固めて捕獲
ロープを弾力抜群のグミにして、ダンプティに思いきり引っ張ってもらうね
反動を利用してクララを敵に向かって飛ばしちゃおう
強烈なラリアットをお見舞いしちゃえ!



「またお困りのようだね、アリス達」
 再度閉幕のアリスを倒すも連続でリングインしてくる新たなアリス。だが、その都度また新たなる猟兵が、困っているアリスを助けるべくリングへと飛び込んできた。
「え、また……?」
 確かにクララ、そして大弥がオウガにひどい目にあわされるのはこれが初めてではない。そしてそのことを知っているということは。
「あ、あなたは……!」
 忘れもしない。自分たちを助け、この世界に導いてくれた時計ウサギ。
「正義の時計ウサギ、只今参上だよ!」
 シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)が、ぴょんと飛び跳ね笑顔を二人のアリスに向けた。
「また、助けに来てくれたんだな……」
「もちろん! それがボクのお仕事だからね」
 大弥の言葉に笑顔でそう答えるシウム。さらにリングに上がると同時にその体が光に包まれ、クララににた形状のレスリングコスチュームへと変化する。
「それじゃ、セコンドよろしくっ!」
 さらに【Hungry Dumpty】を召喚、大弥の隣で自分用のセコンドに着けて、試合の準備は万端だ。
 そして戦いの始まりを告げるゴングが鳴った。開始と同時にシウムに掴みかかるアリス。それをシウムはふわりと浮きいて躱す。
「貴様、レスラーとして恥ずかしくないのか!」
「えー、そんなこと言われても―」
 本来プロレスでは悪手である回避。だが時折近づいてはふわり、ふわりとすぐ離れるという相手を挑発するような動きを入れることで、余裕を見せつける効果的なパフォーマンスへとそれを消化するシウム。
 もちろんただ避けているわけではない。
「さあ、今だよクララ!」
 シウムを捕まえ損ねてバランスを崩したところに、クララを掴みかからせる。クララはそのままアリスの一人を捕まえて高々と持ち上げ、さらにカットに行こうとするもう一人の前にはシウムが取り付いてそちらへ行かせない。
「せーの!」
 クララがそのまま相手をリングに叩きつける、その瞬間。
「よーしやっちゃえ!」
 もう一つの指示を出すシウム。それに答えるように、マット全体がビスケット……それも歯が欠けそうなほどの超ハードビスケットへと変化した。
 そこに向かって相手を思い切り叩きつけるクララ。固いビスケットの衝撃がアリスを貫き、そのまま立つこともなくダウンさせる。
「な、なんだと!?」
「ここは不思議の国だもん、こんなこともあるよ?」
 平然と言うシウム。もちろんこれも全て彼女の仕込んだこと。セコンドに付かせたHungry Dumptyの本当の役目は、その能力を持ってリングを菓子へと変えることであった。
 さらに残ったアリスの足元が水飴になり、その足を捕まえる。
「ひ、卑怯だぞ!」
「せっかくアリスラビリンスなんだから、それらしくした方が盛り上がると思うけどなー? さ、君にも不思議なフィニッシュをお見舞いしてあげよう」
 そう言ってロープをグミに変えさせ、そこにクララを寄りかからせる。
「クララは思いっきり力を溜めといてね。それじゃみんなで、いっくよー!」
 組のロープを弾プティが思いっきり引っ張り、ついでにシウムも力を添える。ロープにくっついたクララも一緒に下がっていくが、その体重を引っ張るためロープを掴んでいる者たちも全力だ。
「ま、まさか……」
 アリスは何をしようとしているのか察するが、足元の水飴が固まって逃げられない。
「強烈なラリアットをお見舞いしちゃえ!」
 その言葉と共に手が離され、グミのロープが高速でしなってリング内側へ戻った。その勢いでヘビー級の体を持つクララが高速で打ち出され、筋肉の弾丸となってアリスに迫る。
「てぇ~~~~い!」
 その勢いのまま、横に伸ばした腕がアリスの顔面に思い切り激突した。そのあまりの勢いに飴を砕いてアリスは吹き飛ばされ、逆サイドのグミロープをちぎってリング外まで吹っ飛んでいく。
「さっすが、重量級のお姫様!」
「否定できないですけどぉ……」
 兎の導きで勝利へと辿り着いた力持ちの姫は、自分の筋肉をさすりながら勝利の喜びと恥ずかしさの両方で顔を赤らめるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『チャンピオン・スマッシャー』

POW   :    グローリーチャンピオンベルト
自身の【チャンピオンベルト】が輝く間、【自身】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    キス・マイ・グローリー
【プロレス技】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
WIZ   :    アイ・アム・チャンピオン
自身の【攻撃を回避しないチャンピオンとしての信念】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 数多の戦いの果て、ついに閉幕のアリス達は皆KOされた。
「素晴らしい。まさに強者よ!」
 それまでずっと試合を見守っていたチャンピオン・スマッシャーがそう言ってリングへと近づく。
「これほどの逸材、我らを統べるあの男が喜ばぬはずが……いや、誤魔化しはよそう」
 リングの傍らに立ち、堂々と腕を組むスマッシャー。
「最早我慢ならん! 娘よ、小僧よ、そしてそれを守ろうとする正義の者たちよ! 私と試合って貰おう! 私の心が、体が! お前たちとの戦いを求めている!」
 その巨体に似合わぬ軽やかな動きで跳躍し、颯爽とリングに降り立つスマッシャー。
「我が名はチャンピオン・スマッシャー! ロードオブグローリー総裁にしてアリスラビリンス絶対不敗のチャンピオンである! 私の前に覇道はない。私の歩いた道が覇道となるのだ!」
 高らかに宣言し、これでもかと己の肉体を見せつけるスマッシャー。その堂々たる威容に、相手が侵略者であることも忘れ見取れる観客たち。
 しかし、その威に押されながらもクララは引く様子はない。どんなに怖くても、適いそうになくても、その体の後ろに小さな王子様がいる限り、大きなお姫様はその場を退くことは絶対に出来ないのだ。
 さあ猟兵よ、彼女を守り、そしてアリスラビリンスのチャンピオンを名乗る男に36世界統一チャンピオンの力を見せつけてやるのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
私はレスラーでは有りませんので。
本来の戦い方で失礼しますねぇ?

『F●S』各種をリングサイドに展開し【燦華】を発動、全身を『ガンマ線』に変換しますねぇ。
『不可視』且つ『光速』で動く『電磁波』の状態であれば、攻撃回数が増えていても回避は容易でしょうが、猟書家幹部である以上『非実体を捉える能力』はあり得ますので、油断せず回避専念しますぅ。
その間に『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FMS』によるレーザーで、外からの攻撃を行いますねぇ。
隙があれば『ガンマナイフ』の原理で、鍛えようのない『内臓』や『脳』を直接攻撃、ダウン等で投げられる状態になりましたら、クララさんにお願いしますぅ。



 ついに動き出した猟書家『チャンピオン・スマッシャー』。猟書家としての使命のため、そして己のレスラーとしての戦闘意欲を満たすため、リングに上がったその男。
 そして猟兵もまた彼を阻み、力持ちの少女を守るためリングに上がる。
「私はレスラーでは有りませんので。本来の戦い方で失礼しますねぇ?」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はリングの周囲に浮遊兵装核種を展開、プロレスに付き合う姿勢を一切見せない包囲態勢を整えた。
「デスマッチならばリングに危険物があって当然。レフェリーの抱き込みに比べれば可愛いものよ!」
 その包囲にも一切構う様子を見せず、スマッシャーは堂々とるこるへと迫っていく。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
 だが、その接近を待つことなく、るこるは【豊乳女神の加護・燦華】を発動。己の身をガンマ線へと変化させた。
 その身は平たく言えば電磁波の一種。肉弾戦のみのスマッシャーに捕らえられるはずもなく、掴みかかったその手は空を切った。
 さらにそこから配置した浮遊兵装の一斉射撃をかけ、スマッシャーをそのまま射倒そうとするるこる。
「ほほう……これは嬉しいぞ。ここまでせねば私を倒せぬと理解しているのだな!」
 だが、その砲撃をスマッシャーは一切躱さない。分厚い僧帽筋が、割れた腹筋が、盛り上がった大胸筋が、それらの砲撃を全て受け止める。
「これは効く……だが、このベルトの輝きにかけて私は負けるわけにはいかん!」
 第一射を耐えきった時、スマッシャーのベルトが眩く輝いた。その光に導かれるように、スマッシャーはロープに上り跳ね上がる。
「ふぅん!」
 そのままロープを蹴り、空中に踊るスマッシャー。その狙いは何もない空中……否。
「見えているのですかぁ?」
 電磁波となったるこるがいる、正にその場所目掛け巨体を軽々飛ばし、ボディアタックをかけた。
 るこるは光速で動きそれを躱す。スマッシャーの巨体がマットに叩きつけられるが、まるでそこがトランポリンでもあるかのように体をはねさせ、回転しながらフライングニールキックをるこるの移動先へと放った。
 移動先まで追ってきた蹴りにるこるの反応が遅れ、その電磁波の体を踵が切り裂く。
「やはり、そういう力が……」
 本来殴った所で電磁波を破壊することなどできない。だが、るこるの体には掠った分だけの明確なダメージがあった。戦闘スタイルはプロレスであっても、彼は上級オブリビオンたる猟書家であり、常識の通じないアリスラビリンスのオウガなのだ。無茶、理不尽は当たり前ということか。
 着地してから次は素早くサマーソルトを放つスマッシャー。ベルトの輝きに力を得た連撃は、一発一発が必殺の重さを持っている。
 これ以上被弾するわけにはいかない。繰り出されるそのプロレス技を、るこるは避け切ることに全ての神経を集中させた。
 跳躍の勢いでコーナーポストに上りムーンサルトプレス、それを躱されればまたしゃがみ体勢からの急上昇頭突きと、高速の空中殺法がるこるを察知し襲い続ける。
 そして寿命を削る九連撃目、真正面から両足で挟み込む規格外のウラカン・ラナが、ついにるこるの電磁波の体を捕らえた。そのまままるで相手が普通の肉の体でもあるかのように、そのまま後方に反り返って投げ飛ばそうとする。
 だが、その掴まれた瞬間こそが最大の攻撃のチャンスでもあった。
「外は固くても、中は鍛えられないでしょう」
 るこるは自信を捉えるスマッシャーの体の中に、自分の体を構成する電磁波を捻じ込んで一点にそれを集めた。
 本来切開の必要なく腫瘍を焼くためのガンマナイフという放射線治療。だが、今破壊するのは健康極まりないスマッシャーの体内だ。
 その読み通り、未体験の苦痛に寄ってさしものスマッシャーも技のかかりが揺らぎ、不完全な状態でリングに仰向けに倒れ込む。
「クララさん、今ですよぉ!」
「はい!」
 ダウンしたならば外からの攻撃を当てられる。中を攻めたるこるに合わせるように、クララがスマッシャーを掴みその体を持ち上げた。
「えぇい!」
 そのまま肩に担ぐような形から何度も叩きつける餅つき式パワーボム……風の【びったんびったん】で外部へのダメージを与えていくクララ。
 るこるが最初に彼女に教えた技をこの場に合わせて出し、巨峰たちはまず一度目のダウンを奪うことに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カナ・リーアス
【心情】出てきたなー!チャンピオーン!あんたを倒せばこっちの勝ちなんだよー!クララとその想い人の為にも負けられないんだよー!

【作戦】またクララとのツープラトンでいくんだよー!敵の攻撃は【見切り】で避けるか【怪力】で受け止めるんだよー!隙を見つけたらクララと一緒にチャンピオンの足元を付かんでコケさせたら二人そろってのヒップドロップなどでチャンピオンを追い詰めていくんだよー!(技を決めるときは観客にヒップ行くんだよー!などとアピール)そして起き上がったら二人でダブルパンチだー!うおー!(絡み・アドリブ・OK。)



 一度のダウン程度で折れることなどないというのか、再びリングに堂々と立つチャンピオン・スマッシャー。その彼をリングに上がったカナ・リーアス(鬼の元気っ娘・f04987)が堂々と迎え撃つ。
「出てきたなー!チャンピオーン! あんたを倒せばこっちの勝ちなんだよー! クララとその想い人の為にも負けられないんだよー!」
 びしっと相手を指さし宣言するカナ。その言葉にクララは真っ赤になってわた渡しているが、まあ前回のアリス戦で何人かの猟兵からその辺りも指摘されていたので今更だろう。
 ともあれ試合開始だ。まずは様子見ということか、軽いチョップや蹴りを当てるスマッシャー。カナもそれを受けたり弾いたりしては同じように撃ち返すが、やはり簡単な攻撃ではスマッシャーの分厚い筋肉を貫くことなどできず何の有効打にもならない。
「なるほど、やはり遊びはいらないようだな。ならば見よ、これがチャンピオンの威光!」
 手加減無用とばかりにスマッシャーのベルトが輝く。それは彼の力を如実に表す輝きであり、その輝きを誇るかのよう鋭い大技がカナへと叩きつけられる。
「なんの!」
 その動きを見切り、全てをさばき切らんとするカナ。初激とはまるで別ものの、斬撃のような逆水平チョップを受け止め、続いて襲うハイキックを屈んで躱す。回転の勢いのまま放たれる後ろまわし蹴りは腕で受け止め、一度その防御姿勢を解いた後でドロップキックが放たれ、それは自身の胸で堂々を受ける。
 、連続攻撃の一部に回避を挟むことで少しでも消耗を抑えながらも、回避単品にしないことで観客が冷めるのを防ぐ防御法。その守りに周囲の観客もスマッシャーの攻撃と同等以上にカナの守りに応援を迎える。
「やりおる、なっ!」
 立ち上がって頭突きを出し、それによって体制の矢や沈んだカナに無理矢理足を駆けてのシャイニングウィザード。おまけのストンピングに、そこからロープ上に上ってのフライングエルボーと、徐々にカナの守りをぶちぬく連撃を見せ、その姿勢を大きく崩させた。
 そして最後の九発目。膝をつくカナの前に立って堂々といちど観客にアピールをした後、連続技の最後として足を大きく上げ大振りなスーパーキックをはなつスマッシャー。
 だが、この相手のフィニッシュの瞬間こそカナが待っていたものだった。
「今なんだよー!」
 キックの強烈なインパクトを両手で抑え込み、その蹴り足を捉えるカナ。そこでカナの呼び声に呼応し、クララがリングサイドから突進、スマッシャーの軸足の方を捉える。
「せーの!」
 掛け声と共に二人が思い切り足を救い上げ、両足を取られてスマッシャーは仰向けに倒れた。
 猛攻をしのぎ切ったのなら、今度は攻勢にかかる番。あるいはスマッシャーもそれを理解しているのか、即座に振り払ったり立ち上がるような様子は見せない。
 まるでその姿勢に答えるかの如く、カナはクララを伴ってロープに上がり、ポストの両脇で互いに支え合うように立った。
「ヒップ行くんだよー!」
 自分の大きな尻を指さし、観客にアピールするカナ。促されてクララも顔を赤らめながらも自分の巨尻を振ってアピールする。その仕草に沸き立つ観客の声援を受け、二人は宙を舞った。
「お尻でドーン! なんだよー!」
 カナのフェイバリット、【ヒップドロップ】がツープラトンでスマッシャーに打ち付けられた。リングを揺るがすほどのヘビー級の尻はスマッシャーの強靭な肉体をも貫き、その全身にダメージを与える。
 ふらつきながらも立とうとするスマッシャーを、掴んで無理矢理引きずり起こすような形で立ちあがらせるカナ。
「二人でダブルパンチだー! うおー!」
「うおー!」
 掛け声と共に大きく振りかぶった二人のパンチが、スマッシャーを大きく跳ね飛ばし、再度マットに沈めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シウム・ジョイグルミット
[POW]
引き続き『Hungry Dumpty』でクララをサポートするよ
力を合わせて、マッチョマンを驚かせちゃおう!

敵が攻撃してきたら、ダンプティの能力でクララの身体をマシュマロに変えるね
物理攻撃の威力はふわふわっと吸収しちゃうよ
逆にクララの攻撃は、腕や脚を硬いビスケットに変えて威力アップ!
ダメージが蓄積してきたら、クララに敵を投げてもらおうかな
掴んでグルグル振り回した後、上に放り投げちゃえ
ボクは脚を硬いキャンディに変えて空中で待機しておくよ
飛んできた敵の首の位置に脚をセットして、そのまま急降下
その間にリングも同じキャンディに変えて思い切り叩きつけちゃう
決まったら笑顔でクララとハイタッチだー♪



 ダウンしても再び起き上がるチャンピオン・スマッシャー。その目に不安や恐怖など一かけらたりと感じられず、むしろ強者とのぶつかり合い、それそのものを楽しんでいるようにすら見られた。
 その男の待つリングに、シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)が上がる。
「力を合わせて、マッチョマンを驚かせちゃおう!」
 リングに立つクララに明るく告げつつ、アリス戦と同じように【Hungry Dumpty】
をセコンドに付ける。スマッシャーもアリスの試合を全て見ていたのだ、それが何を意味するかは重々分かっていた。
「私にも挑むというか……受けて立とう、そのデスマッチ!」
 一切の弾力のないハードビスケット製のリングと、過剰な伸縮性のグミロープ。そんな本式のレスラーにとっては間違いなくアウェーな環境を作られるだろうことを予想し、それを新たなデスマッチとして受けるスマッシャー。王者を名乗るならば引かないのは当然。不利を飲んで負けるより有利を求め引く方が決してあってはならないことなのだ。
「無論、負ける気などないのだがな!」
 そして不利の中勝つことこそ最上。そう言わんばかりに殴り掛かるスマッシャー。まずは連戦で動きの鈍いクララに、その腕を浴びせかけた。
「ひえっ!?」
 思わず立ちすくみ、それをもろに受けてしまうクララ。だがその体は、マシュマロのようにぐにょんと凹んでその腕を受け流した。
 否、ようにではない。クララの筋肉質で豊満な体が、見た目そのままのマシュマロと化していたのだ。
 さらに反撃としてクララがナックルパートを出すが、今度はその手がグーの形をした巨大なハードビスケットになり、さながら凶器攻撃と言わんばかりの硬さで相手を打ち据えた。
「なんとっ……!?」
 予想外の攻撃にスマッシャーも思わずよろける。実力そのものは猟兵たちに大きく劣るものの、この娘のスタイルは小細工のないパワーファイト。これまでの戦いでそう判断していたスマッシャーは、完全に虚を突かれ守りの外のダメージを受けることとなった。
 その秘密は、クララの足元に取り付いた手足の生えた口……Hungry Dumptyだ。彼はその小ささを活かしてこっそりリングに上ってクララに取り付き、その体の方を菓子へと変じさせていたのだ。もちろんそれを企図したのはシウム。彼女のマッチメイクは、先の戦いを踏まえてリングに上がるところから既に始まっていたのだ。
「なるほど、貴様の差し金か!」
 それを察したスマッシャーがシウムの方目がけて猛然とかかっていくが、シウムはふわりと浮き、そこにクララがカットに入る。多くの猟兵に手助けされなんどもプロレススタイルの戦いを繰り返してきたクララは、こういった補助、援護のタイミングを徐々に体で覚えてきていた。
「よーし、空中殺法いくよー! 掴んでグルグル振り回した後、上に放り投げちゃえ!」
 その指示の下、スマッシャーに掴みかかって【びったんびったん】の構えに入るクララ。マシュマロ化した体のバネは通常の人体とは違う形で曲がり、見栄えは愉快だが抵抗し難い。
「ぬおお、おおおおお!?」
 これにはスマッシャーも成す術なく振り回される。あるいはその反応こそ好ましいと、あえて無理な反撃はしていないのか。
 そして指示通りスマッシャーを空中に放り投げるクララ。その先には、両足を固いキャンディーに変えたシウムが待ち受けていた。
「ここだね!」
 狙いすましてその足をスマッシャーの首にかけるシウム。その勢いを殺さぬよう姿勢制御しつつ空中で一回転し、そのまま急降下。その間に、クララに取り付いていたダンプティがリングをやはり固いキャンディに変える。
「これが僕たちの必殺技!」
 そのまま空中浮遊からのフランケンシュタイナーという、常識ではありえないオリジナルホールドが炸裂、スマッシャーの頭部がキャンディにめり込み、そのままフォールを決めた。
 シウムが足をほどき離れると、少し遅れて逆立っていたスマッシャーの体がばたりと倒れる。
「やったね♪」
「はい!」
 完全に決めたシウムは笑顔でクララとハイタッチ。不思議の国ならではのプロレスに、観客も笑顔で歓声を送るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ホーク・スターゲイザー
※アリス、ミラーと行動
アドリブOK

奥に見える小さい滝に広がった川、その中心に小島がある。
(ここは)
夢で見た場所、光輝く鷹に導かれ、必ずたどり着く場所。
武神の覇気を纏い、軽業による功夫で攻める。
(神聖な林、ヘラルド)
魔女の世界の辺境、そこが戦いの場になる事に迷いはない。
先程の冷たい言葉も役割にとって無意味。
味方の安全の確保はできるが自身の安全は自ら得なければいけない。
集中で魔力溜めを行い、地面に拳を打ち付けて溜めた魔力を解放して爆風の様な衝撃波と閃光を起こす。


アリス・スラクシナ
※ミラー、ホークと行動
アドリブOK

無理矢理だが交代する形になってしまった。
「少しは気をつけてくれ」
先程のミラーの言葉のせいか一人で挑むと言い出して挑んだが。
「昔の私に似てるからな、ホークは」
連れてきた理由を聞かれ、ふと昔の事を話す。
名もない人造人間、戦争の道具、廃棄物扱いされていた事や名前を与えた男なんかの話を。
「まああの男のお人好しぶりは」
気配を感じてそちらに目を向ければ、角の付いた兜を付けた漆黒の黒騎士が。

クララを退かせろ、また会うことになる、それだけ言って消えた。
「なんでもない」
ホークの動きを見る限り、クララがいて技を出し辛いのかもしれん。


ベアトリス・ミラー
※アリス、ホークと行動
アドリブOK

先程の事で言われてしまい、またやってしまったと。
前に言われたことを思い出して心が痛みますね。
「相手を考えずに自分勝手だと怒られた事もあるのに」
心の傷や相手の状態を考えずにずかずかと聞き入ってキツイ事を言われたことを忘れてしまうとは。
後で謝らないといけませんね。
「気になってたのですが、なぜ肩入れを?」
信じ難い話ですが今までの事を考えれば。
「どうしました?」
聞いてみても気のせいと言われ、それからすぐにクララさんを連れてくるようにと。
戦乙女を急いで呼び出して連れ戻しましょう。
あれだけ魔力を溜めているという事は大技を繰り出す筈ですし。



 次の戦いは、クララがまず一人リングに立っていた。
 猟兵の助けがついに尽きたのではない。リングサイドには、むしろ今までより多くの猟兵が控えていた。
「勝ち抜きか? それとも変則マッチか……いいだろう、何であろうとチャンピオンたる私に引くという選択はない!」
 堂々と宣言するスマッシャー。その威容にクララは足を震わせながら構えるが、その肩を早々にリングサイドから一人の猟兵が叩いた。
「無理はするな。あくまで形だけの先鋒だ」
 その言葉に、クララは自分の方に乗ったその手をタッチする。それを合図に彼女はリングから降り、それに代わってアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)がリングインした。
「なるほど、そちらの形か……いいだろう、いくぞ!」
 多対一である以上どうしても変則マッチの形にはなる。だが、それでも一人がリングに入りタッチで交代するというタッグマッチに近い形式をとるのは閉幕のアリス戦含めてもこれが初めてということもあり、スマッシャーは正面から堂々とアリスへと向かっていった。
 それに対し、あえて徒手空拳で迎え撃つアリス。
「ぐっ……なかなか!」
 拳法の心得がないわけではない。だが、普段武器を用いて戦っているということもあってやはり勝手は違い、専門家であるスマッシャーにはどうしても後れを取ってしまう。
 そのアリスの姿を、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)は彼女がリングイン直前に言った言葉を思い出しながら見ていた。
「少しは気をつけてくれ」
 閉幕のアリスとの戦いの時、つい言ってしまった言葉。
「相手を考えずに自分勝手だと怒られた事もあるのに」
 心の傷や相手の状態を考えずにずかずかと聞き入ってキツイ事を言われたことを忘れてしまうとは。そう反省し、やってしまったことに心を痛めていた。
 共闘する者に信を置けず、冷たい言葉を放ってしまったこと。
 後で謝らねば。そう思いその相手、ホーク・スターゲイザー(過去を持たぬ戦士・f32751)に目を向けるが、彼はただ黙って試合を見守っていた。
 声をかけよう、ベアトリスがそう思った瞬間、ホークはリングに身を乗り出し、ロープ際まで追い込まれていたアリスの手を強引に叩いた。
「タッチだ、代われ」
 そう言ってアリスを半ば強引にリング外に引きずり出し、自分がリングインするホーク。
「全く強引な……気を付けろよ」
 それに少しだけ文句を言いつつ、アリスはリングの外へ下がった。
「人数を揃えての波状攻撃とは……だが一人一人倒していけばいずれは尽きよう!」
 それにスマッシャーもあからさまな異は唱えない。次なる相手に浴びせ蹴りをかまし、歓迎の挨拶とした。
「気になってたのですが、なぜ肩入れを?」
 自分と違い、初めて会った時から彼に好意的だったアリス。その理由が気になり、ベアトリスは彼女にそう尋ねた。
「昔の私に似てるからな、ホークは」
 それに対しアリスは、どこか遠くを見るような眼で答える。そして彼女が話すのは、自身の昔の話。名もない人造人間、戦争の道具、廃棄物扱いされていた事や名前を与えた男なんかの話を、アリスはベアトリスに聞かせた。
「なんと……」
 今まで知らなかった、予想外の話にベアトリスも言葉を失う。そして彼女がそれを理由にシンパシーを感じるというなら、ホークもまた。
 そして当の本人は、スマッシャーと打ち合いながら心は自身と世界の事を考えていた。
 奥に見える小さい滝に広がった川、その中心に小島がある。
(ここは)
 夢で見た場所、光輝く鷹に導かれ、必ずたどり着く場所。
 それを心に浮かべながら、『武神の覇気』を纏い軽やかな功夫の動きで攻めていくホーク。覇気を武器型にすることも可能だが、今はそれはしない。
「軽いと侮ったが……なるほど、何かが乗っているな。だが私の肉体にそのようなものが通じるかな!?」
 鋭い撃ち込みを分厚い筋肉で受けるスマッシャー。彼は如何様な攻撃も、避けるよりはまず受けることを考える。
 それに対しホークが考えるのは、いずこかの地が戦いの場になるであろうこと。
(神聖な林、ヘラルド)
 魔女の世界の辺境、そこが戦いの場になる事に迷いはない。かけられた冷たい言葉も己の役割を揺らがすものではない。
 それ故に、今目の前の敵は全力を尽くして退ける必要がある。
 その意思を感じ取ったか、アリスはホークの方へ改めて目を向けた。
「まああの男のお人好しぶりは」
 視線の先の角の付いた兜を付けた漆黒の黒騎士が、自分たちに何かをさせようとしている。
「どうしました? まさか……」
「気のせいだ。それよりクララを連れて下がれ。大弥もだ」
 リングサイドよりなお遠くへ。その指示に、ベアトリスは【クイーン・フォース】の戦乙女を呼び出し、彼女たちにかばわせるようにして二人を連れて下がった。
「あれだけ魔力を溜めているという事は大技を繰り出す筈ですし」
 下がる直前に見えたホークの仕草。リング全体どころかそれから溢れ出しかねない力を蓄えているのは明らかだった。
「ホークの動きを見る限り、クララがいて技を出し辛いのかもしれん」
 アリスもそれを察しクララをリングから遠ざけつつ自分も下がる。下がれともう一つ、また会うことになる、彼の言ったその言葉をクララに伝えながら。
「味方の安全の確保はできるが自身の安全は自ら得なければいけない」
 そう言ってホークは魔力を溜めた拳をリングに叩きつけた。その場所から爆風の如き衝撃と閃光が巻き起こり、リングはおろかその周囲までをも巻き込む。
「自爆技……なんと……!」
 プロレスにもかける方が痛い技はある。だが、異界の者が使うとなればそれはショーでは済まぬ威力。
 下がっていたアリスとベアトリス、そしてクララと大弥も目を伏せ吹き飛ばされないよう踏ん張る。離れていてこれなら爆心地にいた者は。
「……全く」
 ホークの姿はすでに消えていた。何かあったというわけではなく、役目を果たしたとして帰還したのであろう。そしてスマッシャーは、リングの外に吹き飛ばされ場外ダウンを取られていた。
 試合としては両者リングアウト。スマッシャーが戻らぬうちにとクララをリングに上げ、勝利の形をとる。リングを降りた男がどこへ行ったかは分からねどアリス、そしてベアトリスも、深い心配はしないのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

死絡・送
アド絡み共闘OK
「白いマットは我が宮廷、正義のファイトは残虐だ!」
ジガンソーレからノーブルバットに変身して飛び出してリングイン。
クララ嬢には初対面なので「猟兵のノーブルバット、あんたに加勢する」
と挨拶し
「そこの自称チャンピオン、忍者由来の正義のダーティーファイトを受けて見ろ!」
と宣戦布告し、二段ジャンプで跳躍して背後を取りに行き相手の首筋に
貫手で貫通攻撃し吸血し生命吸収。
相手の攻撃は気合いとオーラ防御で耐える、締めや関節技はグラップルで
エスケープを挑み投げ技は空中浮遊で軽減して回転受け身と受けて守る。
クララ嬢にも見せ場を作る。
自分がノーブルフォールを掛けるタイミングで彼女とツープラトンを試す。



 ただ負けるより『おいしくない』結果を出してしまったチャンピオン・スマッシャー。このまま観客を冷めさせてはチャンピオンの名折れ。そう思い次の戦いを始めんとリングに上がり直しクララと向き合わんとするが、やはりそこに一つの影が颯爽とリングに飛び込んできた。
「白いマットは我が宮廷、正義のファイトは残虐だ!」
 掛け声と共に飛び込んできたのは蝙蝠を模した黒いスーツを着た男。そしてその出てきた場所は、なんと後方に立つ巨大ロボットから。
「猟兵のノーブルバット、あんたに加勢する」
 初対面であるクララにそう挨拶し、ノーブルバットこと死絡・送(ノーブルバット・f00528)は彼女を守るよう前に立つ。
 そしてその送の台詞と態度は、スマッシャーのレスラー魂にこの上なく火をつけた。
「なるほど正義の名の下にはいかなる暴力も正当化される、まさに残虐の極みよ! その真っ黒な装いこそが貴様の正義を何より語っておるわ!」
 堂々と宣言し、送を指さすスマッシャー。これは彼の思想と言うより、相手の台詞を受けてのマイクパフォーマンスだろう。
「そこの自称チャンピオン、忍者由来の正義のダーティーファイトを受けて見ろ!」
 その言葉に、やはり相手のチャンピオン名乗りを否定しつつかかっていく送。無論これもまたパフォーマンスの一環であるが、一方ファイトは本気だ。忍者式二段ジャンプからの背後取り、そして首を狙っての貫き手攻撃というまさにダーティな急所狙いがいきなり炸裂する。
 その鋭い手刀を、スマッシャーは極太の首で堂々と受けた。皮膚が破れ血が流れ出るも、致命の場所には届いていない。
「いきなり殺しにかかるとは、まさに残虐非道。だが我がチャンピオンの光はこの程度には屈さぬ!」
 相手が闇路線をいくならばと、向こうを張るようにベルトを輝かせるスマッシャー。その光に力を与えられ、猛然としたチャンピオンの九連撃が送を襲った。
 強烈なナックルパートからの裏拳、そして喧嘩キックの打撃連打は気合いとオーラを込めた防御で受ける。さらに頭突き一発からのヘッドロック、そこから態勢を入れ替えての卍固めと関節技に移行するが、それに対しては送は己のグラップル技術を駆使しエスケープを図った。だが、一度抜け出してもスマッシャーは追いすがる。素早い掴みからのボディスラムがついに送をリングに叩きつけ、一発ストンプ、そして最後は豪快なジャイアントスイングが送の黒き体を竜巻の如く振り回し、巻き込まんとばかりにクララの方へと勢いよく放り投げた。
「……それだけは!」
 自身の体を弾丸とされ守るべき者へ強襲してしまう送。だが、浮遊能力を最大限用い空中で己を制御、そのまま派手に回転して勢いを殺しつつ、直前のマットに身を当てて自身をバウンドさせることで受け身を取り、クララとぴったりくっつくギリギリの場所でその身を止めることに成功した。
「驚かせたな、大丈夫か?」
「は、はい、ありがとうございます……」
 おずおず礼を言うクララ。ぴっちりしたハイレグに包まれたその巨峰に一瞬送の目が留まるが、残念だが守護対象だしお相手あり。今はそちらの好みは抑え込んでおく時と、ダメージ無しでクッションインなラッキーも我慢し勢いは殺しきったのだ。
 そしてここを我慢したのだから、最後までカッコつけたいところだ。
「クララ嬢、ツープラトンでいくぞ」
 激しい回転で足元不確かなスマッシャーの足をタックルで刈り、そこに自身の頭を刺しこんで肩車風に持ち上げる送。
「これが貴族のフォークリフト、そしておっぱ……愛の力だ!」
 ちょっと本音を漏らしつつ、ツープラトン仕様の【ノーブルフォール】を詠唱する送。そしてその正面では、クララがコーナーへと登っていた。
「よし、こい!」
「えぇ~い!」
 送の合図でクララはコーナーから跳躍、今まで何度も出してきて第二の必殺技と化しつつあるラリアットを叩きつける。そしてそれに合わせ、送も思い切り後ろに倒れ込み、強烈な角度をつけてスマッシャーの頭をリングに叩きつけた。
 投げと打撃のユーベルコード込みダブル・インパクト。残虐なる正義の技がチャンピオンの輝きをマットに沈めたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

草剪・ひかり
POW判定

プロレスラー、特に女子では
最初は技術や体力よりも、闘う気持ちが大切

私もクララちゃんに負けじとスマッシャーと相対する
私は「次元を超えたプロレス女王」だからね!

クララちゃんと二人でスマッシャーと力比べ
私が抑えている間にクララちゃんが体当たり
そこから私のスリーパーホールドでスマッシャーを消耗させる

とはいえ、相手の地力は底なし?
遂に私達は彼の必殺技に蹴散らされ……

けど、クララちゃんと私の手が触れて
お互いに九死に一生を得て再び立ち上がる!

スマッシャーを捉えて思いきりロープへ振り
「クララちゃん、一緒にやるよ!」
合体で私の必殺「アテナ・パニッシャー」を発射!

クララちゃん、次の女王は、アナタかもね!



 ここまで何度も激戦を目の当たりにし、自身も少しずつながらそこに加わってきた力持ちの少女、クララ。猟兵ではない身の彼女がそこまで戦い続けたのは、どうしても引けない理由が後ろにあるから。
「プロレスラー、特に女子では最初は技術や体力よりも、闘う気持ちが大切」
 その姿勢を、草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)は己の考える女子プロレスラーの在り方に重ねて考える。彼女ははっきり言って単純な実力は猟兵にもスマッシャーにも遠く及ばない。だが、それでも猟兵の助けを得て戦い続けるのは、その気持ちに支えられているところが大きいだろう。
 そんな『大切なもの』を持つ若手に、絶対女王が遅れるわけにはいかない。ひかりはクララに負けじとスマッシャーに相対し、その姿を相手に、クララに、そして観客に見せつけた。
「私は「次元を超えたプロレス女王」だからね!」
 ひかりのその名乗りに、スマッシャーは笑みを浮かべて返す。
「本来女王とは王の隣にある者。時に王よりも強く、苛烈に、不思議の国を支配する」
 おとぎ話では、往々にして王よりも印象深い役を得ることの多い女王。
「だが、我らの世界にそれはない。世界に王は二人いらぬ。ベルトを腰に巻くことができるのは常に一人! ベルトを持つ者が並んだ時、そこに共存の道はない!」
 現実には複数の団体、複数のタイトルがあるのは誰もが知ること。だが、そんな現実的な正論はこの場の誰も求めてはいない。
 そして始まる、本日のラストマッチ。二人の女子レスラーは同時に突進し、スマッシャーは両の手でそれぞれを抑えつけた。
 まずは基本となる正面からの力比べ。二対一の状況でありながら、それぞれと五分に押し合えるのはやはりチャンピオンを名乗るだけはあるということだろう。
 だが、いつまでも膠着状態が続くのは絵的によろしくない。双方それは分かっているのだ。ひかりはクララを下がらせ、自分一人で正面からスマッシャーと力比べの体勢に入る。
「一人で私を押し込めると思うのか!?」
「一人になったつもりはないよ!」
 その声に呼応するように、クララがその巨体をスマッシャーに体当たりでぶつける。その重量に思わずスマッシャーがよろけ、それを機とばかりにひかりが素早く絡みつき、スリーパーホールドをかけた。
 ひかりの腕ががっちりスマッシャーの首を捉え、その息とスタミナを消耗させていく。シンプルながら完璧に決まれば絶対に逃れられないと言われる技でこのまま勝負あり……
「ぬぅぅぅん!」
 そう思われた瞬間、スマッシャーが体を起こし、そのまま強引に後ろに倒れ込んだ。筋肉の塊のような体とマットに挟まれ、ひかりの締め付けが思わず緩む。
「底なし……?」
 その地力の強さに驚愕するひかりを、ベルトを輝かせたスマッシャーの連撃が襲った。ネックハンギングツリーからのチョークスラムで投げ捨てる。そして転がってうつぶせになった所に跨ってキャメルクラッチでの背骨折り。
「だめです……!」
 そこにクララがカットに入るが、すばやく技を外して身をかわし、蹴り足を取ってのドラゴンスクリューで倒し、そのまま足を掴んでのスピニングトーホールド。
「あぁっ……!」
 痛みに悲鳴を上げるクララを救おうと、今度はひかりが立ちあがってカットに行くもその体はショルダーブロックからのソバットで蹴り飛ばされ押し返される。
 そしてその隙にバックブリーカーにクララを持ち上げ背を痛めつけた後、配下の閉幕のアリスの敵討ちをするかのごとくにサンダーファイアーパワーボムでその巨体をひかりの体に叩きつけた。
 大技の連撃に、ついに二人はマットに倒れる。
「クララ!」
 リングサイドで大弥が叫ぶ。だが、王子様の声にもお姫様は答えない。
 そしてどこからか聞こえるカウント。ここまで善戦してきた力持ち、そして猟兵もついに敗北か……
 その時、僅かに二人の体が動き、その手が重なった。
「まだ……!」
 その手で互いを支え合うように、ひかりとクララはカウント9.9での立ち上がりを見せた。
 奇跡の復活にセコンド、そして観客からも歓声が起こる。だが、奇跡はここで終わりではない。
 猛然とひかりはスマッシャーに掴みかかった。傷ついているはずのその力はむしろ試合開始時より強いほどで、スマッシャーは成す術なく振り回される。
「ぬぅぅ!」
 そのままロープに振られ、スマッシャーはその体を勢いよく跳ね返らせる。
『さぁ、絶対女王草剪ひかり! ここで遂に、激闘に終止符を打つ必殺の右を繰り出すか!?』
 そしてまたもどこからともなく聞こえな謎のアナウンス。だが、これはただのにぎやかしではない。これが聞こえた後、閉幕のアリスはどうなったか。
「クララちゃん、一緒にやるよ!」
「はい!」
 ひかりが右腕を上げ、隣に立ったクララが左腕を上げる。
「「だぁぁぁぁっ!」」
 裂帛の気合いと共に、絶対女王草剪・ひかりのフェイバリット【“戦女神の断罪の斧”アテナ・パニッシャー】が二人がかりで叩き込まれたのだ。
 戦女神の名を冠するその斧は、一世界のチャンピオンに収まっていた男の首を容赦なく刈り取った。
 そこに足されたクララのラリアット。ひかりを初め数多くの猟兵が使用を指示したその技は、最早彼女のフェイバリットと言ってもいいだろう。
「クララちゃん、次の女王は、アナタかもね!」
「えぇっ!? そ、そんな……」
 クララは赤くなったり青くなったりで慌ててそれを否定するが、ひかりの目に曇りはない。
 そしてその後ろでゆっくりと10秒。ついにチャンピオン・スマッシャーは立ち上がることなく、その王座から降ろされた。
「……良かった。私は喜んでこのベルトを手放そう。女王よ、私に代わり今日から君がアリスラビリンス王者だ」
「そんなものに興味はないよ。私はとっくに、「次元を超えた女王」なんだからね」
 その答えに満足そうに笑んだ後、ベルトがスマッシャーの体から外れ、そしてその体諸共消えてなくなった。

「ダイヤ!」
 敵がいなくなったと同時にクララはすぐにリングから降り、セコンドにいた大弥を抱きしめる。
「良かった……守れたよ……私、ダイヤのこと……」
「ごめんな、クララ……こんなにボロボロになって、俺、何もできなくて……」
 抱き合って涙を浮かべる二人だが、同時にやはりこの世界に安息はない、命ある限り出口を探し彷徨わねばならないのだと、それを改めて心に刻み込まれていることだろう。
 最高の試合の後にある彼女たちの過酷な運命を察しながらも、ひかりは観客の快哉に答え、そして一時とはいえタッグパートナーであった少女の前途が無事であるよう祈るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月26日


挿絵イラスト